内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:161

5~11歳へのファイザーワクチン、オミクロン株への有効性/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン変異株(B.1.1.529)流行中における5~11歳へのmRNAワクチンBNT162b2(ファイザー製)の2回接種により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院リスクは低下したことが、シンガポール・シンガポール大学のSharon H. X. Tan氏らによる検討で示された。2021年11月初旬に初めて確認されて以来、オミクロン変異株は多くの国で急速に拡大し、デルタ変異株(B.1.617.2)に置き換わり、優勢株となっている。これまで、小児におけるオミクロン変異株に対するワクチンの有効性に関するデータは不足していた。NEJM誌オンライン版2022年7月20日号掲載の報告。

不眠症治療薬、長期に有効・安全なのは?/Lancet

 不眠症治療薬のエスゾピクロンとレンボレキサントはいずれも有効性のプロファイルは良好であるが、エスゾピクロンは副作用発現例数が多く、レンボレキサントの安全性は結論に至っていないこと、またdoxepin、seltorexantおよびzaleplonは忍容性が良好であるが、有効性に関するデータは乏しく確固たる結論は得られていないことなどが、英国・オックスフォード大学のFranco De Crescenzo氏らが行ったシステマティック・レビューとネットワーク・メタ解析により示された。承認されている多くの薬剤は不眠症の急性期治療に有効であるが、忍容性が低いか長期の有効性に関する情報が得られておらず、メラトニン、ラメルテオンおよび未承認薬は全体的なベネフィットは示されなかった。著者は、「これらの結果は、エビデンスに基づく臨床診療に役立つと考えられる」とまとめている。Lancet誌2022年7月16日号掲載の報告。  研究グループは、Cochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE、PubMed、Embase、PsycINFO、WHO International Clinical Trials Registry Platform、ClinicalTrials.govおよび規制当局のウェブサイトにて、2021年11月25日までに報告された不眠症治療薬の無作為化比較試験を検索し、特定の診断基準に基づいて不眠障害と診断された成人(18歳以上)患者を対象とした不眠症治療薬に関するプラセボまたは他の経口実薬単剤との比較試験について解析した。クラスター無作為化試験またはクロスオーバー試験、および二次性不眠症(精神疾患または身体的な併存疾患による不眠症、薬物またはアルコールなどの物質による不眠症)患者が含まれる試験は除外した。

大豆と認知症の関連を日本人を対象に調査~JPHC研究

 国立がん研究センターがん対策研究所の村井 詩子氏らは、日本人における大豆製品、個々の大豆食品(納豆、みそ、豆腐)、イソフラボンの摂取量とその後の認知症リスクとの関連を調査した。その結果、大豆製品の総摂取量と認知症リスク低下との関連は認められなかったが、女性(とくに60歳未満)では、納豆の摂取量と認知症リスク低下との関連が認められたことを報告した。European Journal of Nutrition誌オンライン版2022年7月5日号の報告。  男性1万8,991人、女性2万2,456人を対象に人口ベースのプロスペクティブ研究を実施した。大豆製品およびイソフラボンの摂取量を算出するため、1995年と1998年の調査(対象者の年齢:45~74歳時点)で収集した検証済み食物摂取頻度質問票のデータを参照した。認知症は、2006~16年の要介護認定情報における認知症関連の日常生活障害により定義した。大豆製品、個々の大豆食品、イソフラボンの1日当たりの摂取量を算出して五分位で分類し、対象を5群に分けた。認知症予防に対する多変量ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。

パクスロビド投与でCOVID-19による入院リスクが45%低減

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の特効薬とされるパクスロビド(一般名ニルマトレルビル・リトナビル、日本での商品名パキロビッド)は、COVID-19による入院リスクを45%低減できることが、査読前の論文のオンラインアーカイブである「medRxiv」に6月17日発表された。論文の筆頭著者である米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のScott Dryden-Peterson氏は、「デルタ株の流行時に実施されたパクスロビドの臨床試験では90%の入院リスク低減が認められた。それに比べると劣るものの、同薬剤は依然として、インフルエンザに対するタミフルの効果に匹敵する防御率を維持している」と述べている。

熱中症に伴う急性腎障害の早期検出に適したマーカーは?―自衛隊富士病院

 熱中症に伴う急性腎障害(AKI)の検出能を、複数の尿バイオマーカーで比較検討した研究結果が報告された。5種類のバイオマーカーの中でL-FABPのクレアチニン補正値のみが、AKIの有無による有意差が見られ、かつ、血清クレアチニンやシスタチンCと有意に正相関したという。防衛医科大学校病院腎臓内分泌内科の後藤洋康氏らの研究によるもので、詳細は「Nephrology, Dialysis, Transplantation」に5月2日掲載された。  気候温暖化の影響で近年、夏季の熱中症の多発が社会的問題になっている。熱中症に伴いAKIを発症することがあり、それが急性転帰に影響を及ぼしたり、回復後に慢性腎臓病(CKD)へ移行する可能性があるため、AKIの速やかな診断と介入が求められる。そこで後藤氏らは、5種類の腎機能の尿バイオマーカーを用いて、熱中症関連AKIの診断能を比較した。

コロナ・インフルワクチン同時接種可、オミクロン株対応ワクチン秋以降に導入へ/厚労省

 これまで新型コロナワクチンの接種は他のワクチン接種と13日以上の間隔を空けて実施することとされていたが、知見等の蓄積をふまえ、インフルエンザワクチンに関しては同時接種も可能とすることが、7月22日に開催された第33回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で了承された。同会ではそのほか、オミクロン株対応ワクチンの接種や4回目接種の対象者拡大等についても議論された。 <同時接種の有効性> ファイザー社・アストラゼネカ社:2回目接種において、ファイザー社またはアストラゼネカ社ワクチン単独接種と比べ、新型コロナウイルス抗スパイクIgG抗体価は有意差がなかった。さらにファイザー社ワクチンとの同時接種においてインフルエンザの一部の株に対するHI抗体価の上昇がみられた。

‘Life's Simple 7’に「睡眠」を加え‘Life's Essential 8’に―AHAニュース

 米国心臓協会(AHA)は、心臓と脳の健康のスコアリングシステムとして広く用いられている‘Life's Simple 7’に、「睡眠」の要素を加えた‘Life's Essential 8’を新たに策定。「Circulation」に6月29日、米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部のDonald Lloyd-Jones氏らによる論文が掲載された。  AHAは2010年以来、心臓血管系の健康のために、適正体重の維持、禁煙、身体活動習慣、健康的な食習慣、血圧・血清脂質・血糖値のコントロールという7つの修正可能な因子をLife's Simple 7と名付け、それらの重要性を訴求してきた。これまでにLife's Simple 7を利用した研究の科学論文は2,500報以上報告されており、診察室での医師-患者間の会話でもしばしば話題に上る。Life's Essential 8ではこの7つに「睡眠」が新たに加わった。ただし、論文の筆頭著者でAHA会長でもあるLloyd-Jones氏は、「改訂のポイントは睡眠を追加しただけにとどまらない。新たなスコアリングシステムは、直近12年間のエビデンスを基に、食事や運動などの評価機能の強化も図られている」としている。

発熱に対する解熱薬と身体冷却、死亡リスクに影響するか/BMJ

 成人発熱患者に対する治療(解熱薬、身体冷却)は、死亡や重篤な有害事象のリスクに影響しないことが、スウェーデン・ルンド大学のJohan Holgersson氏らが実施したシステマティック・レビューとメタ解析で示された。これまでの試験は特定の患者群あるいは特定の発熱治療に焦点を当てたもので、統計学的な検出力に限界があり、発熱患者における発熱治療のリスクとベネフィットは不明であった。BMJ誌2022年7月12日号掲載の報告。

サル痘感染拡大、4~6月に感染した528例の特徴/NEJM

 2022年4月以降、欧米を中心にサル痘感染が広がっている。7月23日にはWHOが緊急事態を宣言し、日本でも7月25日に感染者が確認された。今回、英国・Queen Mary University of LondonのJohn P. Thornhill氏らの国際共同研究グループ(SHARE-net Clinical Group)が、2022年4月27日~6月24日に16ヵ国43施設でPCR検査によりサル痘と確認・診断された528例について、症状、臨床経過、転帰を調査した結果を報告した。NEJM誌オンライン版2022年7月22日号に掲載。