内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:159

COVID-19緊急事態は過ぎたが依然として対策意識の維持・向上を―AHAニュース

 世界保健機関(WHO)と米国政府の公式見解によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はもはや緊急事態には当たらないという。これは大きな変化ではあるが、誰もがパンデミックを意に介さずに行動できるようになったわけではないと、多くの専門家が指摘している。その1人、米ミシガン大学のPreeti Malani氏は、「誰にとってもリスクがなくなったわけではない。ただ、3年以上前に緊急事態宣言が発出された時とは、大きく状況が変化した」と語る。  WHOが2020年1月30日に初めて「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した時点で、COVID-19による死亡者はわずか213人しか判明していなかった。しかしその後、その数は世界中で700万人近くに増加した。WHOは今年5月5日に、緊急事態の終了を宣言し、5月11日には米国で公衆衛生上の緊急事態宣言が解除された。これに伴い、COVID-19のモニタリング体制や検査・ワクチン接種費用の公費負担も終了しつつある。とはいえ、COVID-19のウイルスが消え去ったわけではなく、WHOのMaria Van Kerkhove氏も、「緊急事態は終了したがCOVID-19の流行はまだ終わっていない」と、警戒の継続を呼びかけている。

脳卒中既往のある心不全患者の心血管リスク、HFrEFとHFpEFで検討

 左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)と左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)の患者における脳卒中既往と心血管イベント(心血管死/心不全入院/脳卒中/心筋梗塞)発生率を調べたところ、左室駆出率にかかわらず、脳卒中既往のある患者はない患者に比べて心血管イベントリスクが高いことが示された。英国・グラスゴー大学のMingming Yang氏らが、European Heart Journal誌オンライン版2023年6月26日号で報告。  本研究は、HFrEFとHFpEFの患者が登録されていた7つの臨床試験のメタ解析である。

認知症患者に処方される抗精神病薬と併用薬の分析

 さまざまな問題が指摘されているにもかかわらず、抗精神病薬が認知症患者に対し、依然として一般的に処方されている。北里大学の斉藤 善貴氏らは、認知症患者に対する抗精神病薬の処方状況および併用薬の種類を明らかにするため、本検討を行った。その結果、認知症患者への抗精神病薬の処方と関連していた因子は、精神科病院からの紹介、レビー小体型認知症、NMDA受容体拮抗薬の使用、多剤併用、ベンゾジアゼピンの使用であった。著者らは、抗精神病薬の処方の最適化には、正確な診断のための地域の医療機関と専門医療機関の連携強化、併用薬の効果の評価、処方カスケードの解決が必要であるとしている。Dementia and Geriatric Cognitive Disorders誌オンライン版2023年5月26日号の報告。

菜食に変えると血清脂質値が良好になる―RCT30件のメタ解析

 無作為化比較試験(RCT)の報告を対象とするメタ解析から、食事を菜食(ベジタリアン食やビーガン食)に変えると、血清脂質値が有意に低下することが分かった。コペンハーゲン大学(デンマーク)のRuth Frikke-Schmidt氏らの研究の結果であり、詳細は「European Heart Journal」に5月24日掲載された。  この研究では、文献データベース(PubMed、Embase)を用いて、1980年~2022年10月に発表された、18歳以上の成人を対象に食習慣を菜食に変更するという介入を行っていたRCTを検索。抽出された30件の研究を統合して、菜食群と一般的な食事(雑食)を続けた群との血清脂質値の差異を検討した。

抗ウイルス薬が処方されていないCOVID-19外来患者のリバウンド

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患時に抗ウイルス薬が投与されなかった患者で、症状がいったん軽快した後に再燃したり、ウイルス量が増加したりすることが少なくないという報告が、「Annals of Internal Medicine」に2月21日掲載された。米ハーバード大学のRinki Deo氏らの研究によるもの。  COVID-19に対する抗ウイルス薬の一つであるニルマトレルビル/リトナビルによる治療後に、症状が再燃(リバウンド)することが報告されている。ただし、抗ウイルス薬を用いていない患者でのCOVID-19の自然経過は十分明らかになっていない。Deo氏らの研究は、非入院COVID-19患者に有効な薬剤探索のための多施設共同プラットフォーム試験「ACTIV-2/A5401」のデータを用いた後方視的研究により、この点を検討した。

認知症リスク、チーズとヨーグルトで関連が逆の可能性~大崎コホート

 日本人高齢者における乳製品摂取と認知症発症リスクとの関連について東北大学のYukai Lu氏らが調査したところ、総乳製品摂取量が多いほど認知症発症リスクが低いという用量反応関係は確認できなかったが、相対的に少ない摂取量(第2五分位)で認知症発症リスクが低い可能性が示された。また、乳製品別の摂取頻度と認知症発症リスクの関連については、牛乳では低い摂取頻度(月1~2回)で認知症発症リスクが低い可能性が示された。さらに、ヨーグルトでは毎日摂取すると認知症発症リスクが低い一方、チーズでは毎日摂取するとリスクが高い可能性が示唆された。European Journal of Nutrition誌オンライン版2023年6月19日号に掲載。

糖尿病の正しい理解と持続性GIP/GLP-1受容体作動薬マンジャロへの期待

 2023年6月8日、日本イーライリリーと田辺三菱製薬は、「2型糖尿病治療におけるアンメットニーズと展望」をテーマに、メディアラウンドテーブルを開催した。  前半では日本イーライリリー 研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部の今岡 丈士氏が、イーライリリー・アンド・カンパニー(米国)による世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「マンジャロ皮下注アテオス」(一般名:チルゼパチド、以下「マンジャロ」)の特徴を紹介した。

日本における抗認知症薬に関連する有害事象プロファイル

 抗認知症薬であるアセチルコリンエステラーゼ阻害薬に関連する有害事象(ADE)の発生率は、5~20%と推定されており、さまざまな症状が認められる。しかし、各抗認知症薬のADEプロファイルの違いを検討した報告は、これまでなかった。帝京大学の小瀬 英司氏らは、抗認知症薬とADEプロファイルに違いがあるかを検討した。Die Pharmazie誌2023年5月1日号の報告。  医薬品副作用データベース(JADER)に基づき、データを収集した。2004年4月~2021年10月のADEデータを分析するため、レポートオッズ比(ROR)を用いた。対象薬剤は、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチンとした。最も発生頻度の高い有害事象の上位10件(徐脈、食欲不振、意識喪失、発作、変性意識状態、転倒、せん妄、嘔吐、失神、横紋筋融解症)を選択した。主要アウトカムはRORとし、副次的アウトカムは抗認知症薬に関連するADEの発現年齢および発生までの期間とした。

小児への新型コロナワクチン、接種率を上げるために/ファイザー

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、5月8日に感染症法上の位置付けが5類に移行した。ワクチンや治療薬によってパンデミックの収束に貢献してきたファイザーは6月2日、「5類に移行した新型コロナウイルス感染症への対策や心構えとは~一般市民への最新意識調査の結果を交え~」と題してメディアに向けたラウンドテーブルを開催した。講師として石和田 稔彦氏(千葉大学 真菌医学研究センター感染症制御分野 教授)と舘田 一博氏(東邦大学 医学部 微生物・感染症学講座 教授)が登壇した。

新型コロナワクチン、午前に打つと効果が高い?

 概日リズム(体内時計)によってワクチンによる防御効果に差が出るという研究結果が報告された。米国・ワシントン大学のGuy Hazan氏らによる本研究はJournal of Clinical Investigation誌2023年6月1日号に掲載された。  研究者らは、イスラエルの大規模コホートに登録された1回以上COVID-19ワクチンを接種した151万5,754例(12歳以上、99.2%がファイザー製BNT162bを接種)を後方的に分析、ワクチンの接種時間とCOVID-19感染予防効果との関連を分析した。エンドポイントはブレークスルー感染、COVID-19関連の救急外来受診および入院だった。ワクチン接種の時間帯は、午前(8時~11時59分)、午後(12時~15時59分)、夜間(16時~19時59分)に分けた。年齢、性別、合併症の有無の差を調整するためにCox回帰を採用した。