感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:58

コロナ患者に接する医療者の感染予防効果、N95 vs.サージカルマスク

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に接する医療者のマスクの種類によるCOVID-19予防効果を調査したところ、サージカルマスクはN95マスクと比較して非劣性であったことが、カナダ・マックマスター大学のMark Loeb氏らによる多施設共同無作為化非劣性試験の結果、明らかになった。Annals of Internal Medicine誌オンライン版2022年11月29日号掲載の報告。  N95マスクと比較して、サージカルマスクがCOVID-19に対して同様の感染予防効果があるかどうかは不明であった。そこで研究グループは、サージカルマスクはN95マスクに劣らないという仮説を立てて検証を行った。

開発中の経口レムデシビル、ニルマトレルビル/リトナビルに非劣性/NEJM

 重症化リスクの高い軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)成人患者において、VV116(重水素化レムデシビル臭化水素酸塩)の経口投与は、経口抗ウイルス薬ニルマトレルビル+リトナビル(商品名:パキロビッドパック)と比較して、持続的な臨床的回復までの期間に関して非劣性であり、安全性は良好であることが、中国・Shanghai Institute of VirologyのZhujun Cao氏らが実施した第III相無作為化観察者盲検比較試験の結果、報告された。VV116は、レムデシビルの経口抗ウイルス薬の1つとして中国で開発が進められている。これまで小規模試験で、陽性確定後5日以内の投与は通常ケアと比較してウイルス排出期間が短縮したことが示されていた。NEJM誌オンライン版2022年12月28日号掲載の報告。

オミクロン株XBB.1の細胞侵入効率と免疫回避能

 2022年1月、新型コロナウイルスのオミクロン株XBB系統がインドで初めて検出され、アジアと欧州で増加している。XBB系統は主に5つの亜系統(XBB.1~5)が派生し、ほとんどがXBB.1である。ドイツ・German Primate CenterのPrerna Arora氏らは、XBB.1系統の宿主細胞への侵入と抗体による中和を回避する能力を初めて評価した。その結果、ワクチンを4回接種した人や3回接種後にBA.5に感染した人においてもXBB.1の中和回避能が非常に高いことがわかった。また、この高い中和回避能は、細胞侵入効率の若干の低下と引き換えにもたらされた可能性が示唆された。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年1月5日号に掲載。

モルヌピラビル、ワクチン接種済み患者の入院・死亡への効果は?/Lancet

 SARS-CoV-2の経口抗ウイルス薬モルヌピラビルは、地域で暮らす高リスクのワクチン接種済み成人集団における、COVID-19関連の入院または死亡の発生を減少しなかった。英国・オックスフォード大学のChristopher C. Butler氏らが、約2万6,000例を対象とした非盲検プラットフォームアダプティブ無作為化対照試験「PANORAMIC試験」の結果を報告した。Lancet誌オンライン版2022年12月22日号掲載の報告。  PANORAMIC試験は2021年12月8日~2022年4月27日に、50歳以上、または18歳以上で関連併存疾患のある体調不良で在宅療養5日以内のCOVID-19確定患者を適格対象として行われた。被験者を無作為に2群に分け、一方にはモルヌピラビル(800mg、1日2回、5日間)+通常ケアを、もう一方の群には通常ケアのみを行った。

高齢者施設での新型コロナ被害を最小限にするために/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第112回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、12月28日に開催された。その中で「高齢者・障がい者施設における被害を最小限にするために」が、舘田 一博氏(東邦大学医学部教授)らのグループより発表された。  このレポートでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染すると死亡などのリスクの高い、高齢者・障害者を念頭に大人数が集まるケア施設内などでのクラスター感染を防ぐための対応や具体的な取り組み法として、健康チェック、ワクチン、早期診断と対応、早期治療、予防投与が可能な薬剤、リスク時の対応、保健所や医療機関との連携などが示されている。

終わらない結核、結核菌の新たな生き残り戦略

 結核は、世界で最も死亡率の高い感染症の1つである。毎年、約1,060万人が結核に罹患し、160万人が死亡する。その背景の1つとして、抗菌薬の普及により薬剤耐性を有する結核菌が増加し、治療が困難になっていることがあるといわれる。そこで、米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのQingyun Liu氏らの研究グループは、結核患者から単離された結核菌のゲノム解析を行った。その結果、転写因子resR遺伝子に変異があると、抗菌薬への曝露終了後に急速に再増殖を開始することが明らかになった。本研究結果は、Science誌2022年12月9日号に掲載された。

「新型コロナ感染症対策の情報提供サイト」開設/モデルナ

 モデルナは2022年12月22日、一人ひとりにあった感染予防対策や最新情報の提供を目指した、新型コロナウイルス感染症情報サイト『コロナ対策ステーション』(以下、当サイト)を開設した。当サイトは4つのメニューから構成されており、各コンテンツを通して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する正しい知識を得られる場となることが期待される。  SARS-CoV-2感染によるCOVID-19は、日本の公衆衛生にとっていまだ脅威であり、今後さらなる感染再拡大も懸念されている。当サイトは、「一人ひとりの年齢やこれまでのワクチン接種状況などに応じて、感染対策情報の提供と新型コロナウイルス感染症に関する疑問を解決する」というコンセプトのもと、「あなたのための新型コロナウイルス対策(FAQ)」「知っておきたいコロナ対策(動画5本掲載)」「コロナウイルス流行株インフォ」「ワクチン接種会場を調べる」の4つのメニューで構成され、「一人ひとりにあった感染予防対策や最新情報」を提供している。

オミクロン株の新系統に対するワクチンの有効性/東京大学・国立国際医療研究センター

 第8波の主体となっている新型コロナウイルス・オミクロン株。現在では、欧米諸国でBA.5系統から派生したBQ.1.1系統が、インドやシンガポールなどのアジア諸国ではBA.2系統から派生したXBB系統の感染例が急激に増加している。これら現在流行中の系統に対する新型コロナワクチンの有効性は、どの程度あるのだろうか。東京大学医科学研究所ウイルス感染部門の河岡 義裕氏らの研究グループは国立国際医療研究センターと共同で、オミクロン株BQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン(パンデミック初期株をもとに作られたワクチン)の有効性を検証するため、患者から分離したBQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン被接種者血漿の中和活性を調べた。

生後6ヵ月以上へのBA.4/5対応ワクチン承認/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は12月8日、モデルナおよびファイザーのオミクロン株BA.4/5対応の新型コロナウイルス2価ワクチンについて、緊急使用許可(EUA)を修正し、生後6ヵ月以上の小児への使用を追加したことを発表した。  今回のEUA修正により、モデルナのBA.4/5対応2価ワクチン(mRNA-1273.222)は、生後6ヵ月~5歳の小児に対して、1価ワクチンの初回シリーズ(2回)を接種して2ヵ月後に、追加免疫として1回(10μg)の接種を行うことができる。

コロナ死亡例、脳を含む広範囲に長期ウイルスが存在/Nature

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡者の体内には、呼吸器をはじめ非呼吸器、脳に至るまで広く長期に渡ってSARS-CoV-2が存在していることが、新たな研究で判明した。米国国立衛生研究所(NIH)のSydney R. Stein氏らによる本研究結果は、Nature誌オンライン版2022年12月14日号に掲載された。  COVID-19は、重症の感染時に多臓器不全を引き起こすことが知られており、一部の患者には罹患後症状と呼ばれる症状が長く続く。しかし、呼吸器以外の感染負荷やウイルスが消失するまでの時間、とくに脳においては十分に解明されていない。  研究者らは、COVID-19の感染後に死亡した44例の患者の完全剖検を行い、うち11例の患者の中枢神経系を広範囲に採取し、感染から症状発現後7ヵ月以上までの、脳を含む人体全体のSARS-CoV-2の分布、複製、細胞型特異性のマッピングと定量分析を行った。組織および症例間のSARS-CoV-2 RNAレベルを定量的、統計的に比較するために、呼吸器系および非呼吸器系組織の観点から結果を分析した。