血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

CAR19療法後再発LBCL、CAR22療法が有望/Lancet

 CD19を標的としたキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞(CAR19)療法後に疾患進行が認められた大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)患者において、CD22が免疫療法の標的として特定され、このCD22を標的としたCAR-T細胞(CAR22)療法により持続する臨床的有効性が認められたことが、米国・スタンフォード大学のMatthew J. Frank氏らCARdinal-22 Investigator groupが行った第I相の用量設定試験で示された。CD22はほぼ普遍的に発現しているB細胞表面抗原であるが、LBCLにおけるCAR22療法の有効性は不明であった。今回の結果について著者は、「有望ではあるが、第I相用量設定試験であることを認識することが重要である」とし、「さらなる検討を行い、長期有効性を確立するとともに、CAR22療法によって最も利益を受けられる患者サブグループを特定する必要がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2024年7月9日号掲載の報告。

蕁麻疹の診断後1年、がん罹患リスク49%増

 デンマークの医療データベースを使用したコホート研究によると、蕁麻疹患者はそうでない人と比較して、診断後1年間でがんに罹患するリスクが49%高く、その後の数年間でも6%のリスク増が見られたという。デンマーク・オーフス大学病院のSissel B. T. Sorensen氏らによる本研究は、British Journal of Dermatology誌オンライン版2024年6月27日号に掲載された。  研究者らは、デンマークの医療登録データを使用して遡及的コホート研究を実施し、蕁麻疹患者のがん罹患リスクと一般集団のリスクを比較した。1980~2022年に病院の外来、救急外来、入院において初診で蕁麻疹と診断された8万7,507例(女性が58%)を特定した。追跡期間中央値は10.1年だった。非黒色腫皮膚がんを含む偶発がんは、デンマークがん登録を使用して特定され、診断時の転移の程度によって分類された。蕁麻疹診断後 1 年内のがん罹患の絶対リスク、およびデンマークの全国がん罹患率で標準化された95%信頼区間(CI)と標準化罹患比(SIR)を計算した。

進行期古典的ホジキンリンパ腫の1次治療、BrECADDが有効/Lancet

 進行期の古典的ホジキンリンパ腫の成人患者に対する1次治療において、ブレオマイシン+エトポシド+ドキソルビシン+シクロホスファミド+ビンクリスチン+プロカルバジン+prednisone(eBEACOPP)療法と比較して、2サイクル施行後のPET所見に基づくbrentuximab vedotin+エトポシド+シクロホスファミド+ドキソルビシン+ダカルバジン+デキサメタゾン(BrECADD)療法は、忍容性が高く、無増悪生存(PFS)率を有意に改善することが、ドイツ・ケルン大学のPeter Borchmann氏らAustralasian Leukaemia and Lymphoma Groupが実施した「HD21試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月3日号に掲載された。

急性肝障害の発現率、194種類の薬剤で比較

 実臨床における重度の薬剤誘発性急性肝障害の発現率に関するデータは少ない。そこで、米国・ペンシルベニア大学のJessie Torgersen氏らの研究チームは、肝毒性が疑われる194種類の薬剤について、重度の急性肝障害の発現率を調査した。その結果、1万人年当たり10件以上の重度の急性肝障害が認められた薬剤は7種類であった。また、重度の急性肝障害の発現率が高い薬剤には、抗菌薬が多かった。本研究結果は、JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年6月24日号で報告された。  研究チームは、米国退役軍人のデータを用いて後ろ向きコホート研究を実施した。本研究には、2000年10月1日~2021年9月30日の期間のデータを用いた。対象は、肝臓疾患や胆道疾患の既往歴がない患者789万9,888例とした。外来で処方される薬剤のうち、過去に薬剤誘発性肝障害が報告されている194種類について、1万人年当たりの重度の急性肝障害の発現率を調査した。主要評価項目は、薬物治療開始後に発現した入院を要する重度の急性肝障害の発現率とした。

VEXAS症候群、83%に皮膚病変

 VEXAS(Vacuoles, E1 enzyme, X-linked, Autoinflammatory, Somatic)症候群は、近年定義された後天性自己炎症性疾患で、主に50歳以上の男性に発症する。全身性の炎症症状、進行性骨髄不全症、炎症性皮膚症状がみられるのが特徴である。米国・ラトガース大学のIsabella J. Tan氏らは、観察コホート研究においてVEXAS症候群では皮膚症状が一般的かつ早期からみられる症状であることを明らかにした。そのうえで「皮膚血管炎、好中球性皮膚症、または軟骨炎を患う高齢の男性患者では、VEXAS症候群についての遺伝的評価を検討する必要がある。早期診断を促進するために、皮膚科医の間でVEXAS症候群の認識を高めることが重要である」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年6月12日号掲載の報告。

日本BDが血培ボトル出荷調整、学会が対応を注意喚起

 日本ベクトン・ディッキンソンは7月3日のリリースにて、「BDバクテック血液培養ボトル」8製品を出荷調整することを発表した。米国本社より、供給元からの同製品の原材料であるプラスチックボトルの供給に3ヵ月程度の遅延が発生したため、今後の製造と出荷が通常時の50%程度に制限される見込みであるとの報告があり、当面の間、世界的にすべての需要を満たすことが困難な状況となった。本報告を受けて、日本臨床微生物学会と日本感染症学会は同日、医療機関側でも出荷調整の数ヵ月間を大きな混乱なく診療ができるように、対応について告知した。

リブテンシティ、臓器移植における難治性のCMV感染症にて承認取得/武田

 武田薬品工業は2024年6月24日付のプレスリリースにて、「リブテンシティ錠200mg」(一般名:マリバビル)について、「臓器移植(造血幹細胞移植も含む)における既存の抗サイトメガロウイルス療法に難治性のサイトメガロウイルス(CMV)感染症」を効能または効果として、厚生労働省から製造販売承認を取得したと発表した。  本承認は、SOLSTICE試験(海外第III相非盲検試験)および国内第III相非盲検試験の結果に基づくものである。SOLSTICE試験(リブテンシティ群235例、既存の抗CMV治療群117例)において、リブテンシティは、主要評価項目である投与開始後8週時点のCMV血症消失において既存の抗CMV治療群と比較して統計学的に有意な差が検証された。

再発・難治性DLBCL、複数の分子標的薬を含む5剤併用療法が有効/NEJM

 再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療において、ベネトクラクス+イブルチニブ+prednisone+オビヌツズマブ+レナリドミド(ViPOR)の5剤併用療法は、特定の分子サブタイプのDLBCLに持続的な寛解をもたらし、有害事象の多くは可逆性であることが、米国・国立衛生研究所(NIH)のChristopher Melani氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年6月20日号に掲載された。  研究グループは、DLBCLの複数の発がん性遺伝子変異を標的とするレジメンであるViPOR療法の安全性と有効性の評価を目的に、単一施設において第Ib/II相試験を行った(米国国立がん研究所などの助成を受けた)。  2018年2月~2021年6月に、年齢18歳以上でECOG PSスコアが0~2点の再発または難治性B細胞リンパ腫患者60例を登録した。このうち20例(DLBCL 10例を含む)を第Ib相試験、40例(すべてDLBCL)を第II相試験の対象とした。

CAR-T療法、2次がん・T細胞リンパ腫のリスクは?/NEJM

 キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法では、2次がん、とくにウイルスベクターの組み込みに関連するT細胞腫瘍のリスクが新たな懸念事項となっているが、米国・スタンフォード大学のMark P. Hamilton氏らは、同大学医療センターで2016年以降にCAR-T細胞療法を行った症例について解析し、2次がんはまれであることを明らかにした。「クローンの関連を明確にし、ウイルスベクターのモニタリングに関する枠組みが必要と考えられる」とまとめている。NEJM誌2024年6月13日号掲載の報告。  研究グループは、2016年2月4日~2024年1月15日に、スタンフォード大学医療センターでCAR-T細胞療法を実施した724例(791件)について、2次がんの発生率を調査した。

再発難治性多発性骨髄腫、belantamab mafodotin上乗せの有用性/NEJM

 レナリドミド治療歴のある再発または難治性の多発性骨髄腫患者において、belantamab mafodotin+ポマリドミド+デキサメタゾン(BPd)併用療法はポマリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン(PVd)併用療法と比較し、無増悪生存期間(PFS)の有意な改善と、より深く持続的な奏効が得られることが示された。眼関連有害事象の発現率は高かったが、belantamab mafodotinの用量変更によって管理可能であった。ギリシャ・アテネ大学のMeletios Athanasios Dimopoulos氏らDREAMM-8 Investigatorsが、18ヵ国95施設で実施された無作為化非盲検第III相試験「DREAMM-8試験」の結果を報告した。プロテアソーム阻害薬、免疫調節薬、抗CD38抗体を組み合わせた3剤または4剤併用療法により、未治療多発性骨髄腫患者の生存期間は延長したが、初回治療におけるレナリドミドの使用により初回再発時にレナリドミド耐性患者が増加していた。NEJM誌オンライン版2024年6月2日号掲載の報告。