血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

高齢の進行古典的ホジキンリンパ腫、ニボルマブ+AVDがBV+AVDより有用(S1826サブ解析)/JCO

 進行古典的ホジキンリンパ腫に対する1次治療としてニボルマブ(N)+AVD(ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)とブレンツキシマブ ベドチン(BV)+AVDを比較した第III相S1826試験における高齢者(60歳以上)のサブセット解析で、N+AVDはBV+AVDより忍容性および有効性が高いことが示された。米国・Weill Cornell MedicineのSarah C. Rutherford氏らがJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年6月16日号で報告した。

DVRd療法、移植適応・非適応によらず未治療多発性骨髄腫に使用可能に/J&J

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は25日、ダラツムマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(商品名:ダラキューロ配合皮下注)について、医薬品添付文書改訂相談に基づく添付文書改訂により「用法及び用量に関連する注意」が追加された結果、ダラツムマブ+ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(DVRd)療法が、造血幹細胞移植(ASCT)が適応および適応とならない未治療の多発性骨髄腫に対する新たな治療選択肢として使用可能になることを発表した。

CLLの1次治療、I-V併用vs.イブルチニブ単独vs.FCR/NEJM

 慢性リンパ性白血病(CLL)患者において、イブルチニブ+ベネトクラクス(I-V)併用療法はイブルチニブ単独またはフルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ(FCR)療法と比較して、測定可能残存病変(MRD)陰性および無増悪生存期間(PFS)延長の達成割合が高かったことが示された。英国・Leeds Cancer CentreのTalha Munir氏らUK CLL Trials Groupが第III相の多施設共同非盲検無作為化試験「FLAIR試験」の結果を報告した。同試験のPFSの中間解析では、MRDに基づいて投与期間を最適化するI-V併用療法はFCR療法に対する優越性が示されていたが、イブルチニブ単独と比較した有効性は不明であった。NEJM誌オンライン版2025年6月15日号掲載の報告。

重症血友病BにおけるAAV遺伝子治療、13年後の有効性・安全性は?/NEJM

 アデノ随伴ウイルス(AAV)を介した遺伝子治療は、血友病Bの有望な治療法である。米国・セントジュード小児研究病院のUlrike M. Reiss氏らは、2014年に、scAAV2/8-LP1-hFIXcoを単回静脈内投与した重症血友病Bの患者において、この遺伝子治療が成功したことを報告した。しかし、臨床的ベネフィットの持続性については不確実性が残っており、またAAVを介した遺伝子導入の長期安全性は不明であった。研究グループは、治療に成功した患者集団について入手できた追跡期間中央値13.0年のデータを解析し、第IX因子の発現は持続しており、臨床的ベネフィットは維持され、遅発性の安全性に関する懸念は認められなかったことを報告した。NEJM誌2025年6月12日号掲載の報告。

多発性骨髄腫のASCT前処置、BU+MEL vs.MEL200/Blood

 新規診断の多発性骨髄腫に対する自家幹細胞移植(ASCT)の前処置として、高用量ブスルファン(BU)+メルファラン(MEL)とMEL単独(MEL200)を比較した第III相GEM2012試験の結果、BU+MELがMEL200より微小残存病変(MRD)陰性率を有意に向上させることが示された。無増悪生存期間(PFS)は、BU+MELで約16ヵ月改善したものの有意差は認められなかった。スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのJuan-Jose Lahuerta氏らが、Blood誌オンライン版2025年6月11日号で報告した。

多発性骨髄腫の導入療法後MRD陰性、Isa-KRd vs. ASCT(MIDAS)/NEJM

 新規診断の多発性骨髄腫において、導入療法後に感度10-5で測定可能残存病変(MRD)が陰性と判定された患者では、より厳格な感度10-6で維持療法前MRD陰性の割合は、地固め療法としてイサツキシマブ+カルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン4剤併用療法(Isa-KRd)を受けた患者と自家幹細胞移植(ASCT)を受けた患者で差はなく、導入療法後に感度10-5でMRD陽性と判定された患者では、感度10-6で維持療法前MRD陰性の割合は、地固め療法としてのシングルASCTとタンデムASCTでも差はないことが、フランス・Universite de ToulouseのAurore Perrot氏らMIDAS Study Groupが実施した「MIDAS試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2025年6月3日号に掲載された。

がん患者のワクチン接種率を上げるカギは医療者からの勧め/日本がんサポーティブケア学会

 第10回日本がんサポーティブケア学会学術集会において、国立がん研究センター東病院の橋本 麻子氏は「がん患者を対象としたワクチン接種に関する2年間のアンケート調査」の内容をもとに、がん患者におけるワクチン接種の実態と課題について発表した。  がん患者は、治療や疾患の進行に伴って免疫機能が低下していることが多く、感染症予防は非常に重要である。そのため、学会などでも季節性インフルエンザ、肺炎球菌、帯状疱疹、新型コロナウイルスワクチンの定期接種が推奨されている。

DLBCLの予後予測、1次治療後のPhasED-Seqを用いたctDNAによるMRDが有用~前向き多施設共同研究/ASCO2025

 1次治療を受けるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者の予後予測に、治療終了時におけるPhasED-seq(phased variant enrichment and detection sequencing)を用いた循環腫瘍DNAによる測定可能残存病変(ctDNA-MRD)検出が有用であることが、全国規模の前向き多施設共同研究で示された。オランダ・Amsterdam UMC Location Vrije UniversiteitのSteven Wang氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。

真性多血症へのrusfertideの第III相試験、32週までの結果(VERIFY)/ASCO2025

 標準治療を受けている真性多血症(PV)患者で頻回の瀉血を必要とする患者に対するrusfertideの上乗せのベネフィットを評価する現在進行中の国際共同第III相VERIFY試験のパート1aにおいて、臨床的奏効割合、瀉血回数、ヘマトクリット値および症状の改善が示された。米国・Moffitt Cancer CenterのAndrew Tucker Kuykendall氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)のプレナリーセッションで発表した。  PVは赤血球の過剰産生を特徴とし、心血管・血栓イベントリスクを増加させる。rusfertideは鉄恒常性における主な調節因子であるヘプシジンのペプチド模倣薬である。この国際共同無作為化プラセボ対照第III相試験は、パート1a(用量漸増、二重盲検)、パート1b(非盲検)、パート2(非盲検、長期安全性評価)から成り、パート1a(0~32週)を完了した患者がパート1b(32~52週)に移行し、パート1bを完了した患者がパート2に進む。今回はパート1aの結果が報告された。

どのように多発性骨髄腫治療の長い道のりを乗り越えるか/日本骨髄腫学会

 多発性骨髄腫の治療は目覚ましい進歩を遂げている。その一方で、高齢化や治療の長期化に伴う課題も顕在化している。第50回日本骨髄腫学会学術集会では、多発性骨髄腫診療における地域連携と多職種連携について議論された。  兵庫医科大学の吉原 享子氏は、地域の中核病院の立場から多発性骨髄腫治療について述べた。多発性骨髄腫の治療は、中核病院で患者を安定させ、地域連携病院や在宅診療へと移行するのが通常である。長期に渡る治療においては合併症のフォローアップが重要であり、地域医療機関との連携は不可欠である。とくに、CAR-T療法などの高度治療では、紹介元病院との連携を密にして円滑に治療を提供できる体制づくりが求められる。