消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:13

転移膵がん1次療法、ゲムシタビン+nab-パクリタキセルが最適(JCOG1611、GENERATE)/ESMO2023

 2023年のASCO-GIで発表されたNAPOLI-3試験において、転移のある膵がんの1次療法として、ナノリポソーム型イリノテカンを使ったNALIRIFOX療法の、ゲムシタビン+nab-パクリタキセル(GnP)療法に対する有意な改善が報告された。しかし、現在ではGnP療法とmFOLFIRINOX療法が同等の推奨とされており、さらにS-IROX療法(S-1、イリノテカン、オキサリプラチン)も第I相試験で高い奏効率が報告されている。これら3レジメンの有効性と安全性を直接比較することを目的とした第II/III相JCOG1611試験の中間解析結果を、国立がん研究センター中央病院の大場 彬博氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。

KRAS G12C変異大腸がん、ソトラシブ+パニツブマブが第III相試験でPFS延長(CodeBreaK 300)/ESMO2023

 KRAS G12C遺伝子変異を有する進行固形がんに対する、KRASG12C阻害薬ソトラシブの有用性をみる大規模バスケットCodeBreaK試験。第I相CodeBreaK 101試験ではKRAS G12C変異の転移大腸がん(mCRC)コホートにおいて、ソトラシブ+抗EGFR抗体パニツムマブ併用療法が30%の客観的奏効率(ORR)を示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)のPresidentialセッションでは、イタリアのFondazione IRCCS Istituto Nazionale dei TumoriのFilippo Pietrantonio氏が、第III相CodeBreaK 300試験の初回解析結果を発表した。

IBSの2次治療、低用量アミトリプチリンが有用/Lancet

 プライマリケアにおける過敏性腸症候群(IBS)の2次治療として、低用量アミトリプチリンはプラセボと比較し、6ヵ月後のIBS重症度尺度(IBS Severity Scoring System:IBS-SSS)スコアが有意に低く、安全性および忍容性も良好であることが示された。英国・リーズ大学のAlexander C. Ford氏らが、英国のプライマリケア55施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Amitriptyline at Low-Dose and Titrated for Irritable Bowel Syndrome as Second-Line Treatment:ATLANTIS試験」の結果を報告した。IBS患者の多くはプライマリケアで管理されている。IBSに対する1次治療が無効であった場合、英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは2次治療として低用量の三環系抗うつ薬を考慮することが推奨されているが、プライマリケアにおける有効性は不明であり処方頻度は低い。Lancet誌オンライン版2023年10月16日号掲載の報告。

胃がん1次治療、周術期ペムブロリズマブはEFS延長せず(KEYNOTE-585)/ESMO2023

 切除可能な局所進行切除可能な胃・胃食道接合部(G/GEJ)患者における免疫チェックポイント阻害薬の開発が進められているが、今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2023)において術後療法にニボルマブの上乗せを検証したATTRACTION-5試験では上乗せ効果は示されなかった。同じくG/GEJ患者を対象として、術前術後の化学療法にペムブロリズマブの上乗せ効果を検証した無作為化二重盲検第III相KEYNOTE-585試験においても、イベント生存期間(EFS)に有意な延長は見られなかったことがすでに報告されている。本試験の詳細について、国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。

多がん早期検出血液検査は、がんスクリーニングで実行可能か/Lancet

 多がん早期検出(multicancer early detection:MCED)血液検査は、腫瘍から循環血中に排出された遊離DNA(cell-free DNA:cfDNA)のがん特異的DNAメチル化パターンを検出し、がんシグナルが確認された場合はその起源(cancer signal origin:CSO)を予測することから、1回の採血で50以上のがん種の検出が可能とされる。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのDeb Schrag氏らは、「PATHFINDER研究」にてMCED血液検査を用いたがんスクリーニングは実行可能であることを確認し、今後、臨床的有用性を検証する研究を進める必要があることを示した。研究の成果は、Lancet誌2023年10月7日号で報告された。

日本人の冠動脈石灰化リスクに関連する腸内細菌叢

 冠動脈疾患患者の腸内細菌叢は健康人とは異なるが、冠動脈疾患が発症する前に違いがあるのかどうかはわかっていない。今回、滋賀動脈硬化疫学研究SESSAにおいて、日本人における冠動脈石灰化(CAC)の進行や冠動脈疾患の発症における新たなリスクや予防因子を特定するべく、CACや冠動脈疾患に関連する腸内細菌叢を調査した。その結果、Firmicutes門とBacteroidetes門の比率(F/B比)、とくにFirmicutes門とLactobacillales目がCACスコアおよび冠動脈疾患の既往と関連しており、これらの細菌群にCAC進行のリスク因子または腸内バイオマーカーが含まれている可能性があることを、滋賀医科大学の岡見 雪子氏らが報告した。American Heart Journal誌オンライン版2023年10月5日号に掲載。

MSI-H胃がん1次治療のニボルマブ+イピリブマブ、初回奏効率62%(NO LIMIT/WJOG13320G)/ESMO2023

 ニボルマブと低用量イピリムマブの併用は、マイクロサテライト不安定性の高い(MSI-H)大腸がんの第1選択療法として有用性を示している。一方、胃・胃食道接合部がん(G/GEJ)におけるMSI-Hの患者は5%程度とされ、同レジメンのMSI-H胃がん1次治療に対する有用性をみた、医師主導、国内単群非盲検第II相NO LIMIT(WJOG13320G/CA209-7W7)試験の初回解析結果を、愛知県がんセンターの室 圭氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。

HER2陽性胃がん、トラスツズマブ+化学療法のペムブロリズマブ上乗せは3年時も有用(KEYNOTE-811)/ESMO2023

 進行胃がんにおける免疫チェックポイント阻害薬の有効性は化学療法との併用においてより効果を発揮することが示唆されており、最適なレジメンが検討されている。第III相KEYNOTE-811試験は、胃・胃食道接合部がん1次治療としてのペムブロリズマブ+トラスツズマブ+化学療法の有用性を示し、この結果を基に米国食品医薬品局(FDA)は2021年5月に本レジメンを承認している。2023年10月の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのYelena Y. Janjigian氏が本試験の第3回中間解析結果を発表、同日にLancet誌に掲載された。

Stroke Oncology(脳卒中合併がん)の対策、学会の枠越え取り組み/日本腫瘍循環器学会

 がん患者の脳梗塞合併の課題解決に向け、脳卒中医とがん診療医が共同で取り組んでいる。  9月30日~10月1日の2日間、神戸で開催された第6回日本腫瘍循環器学会学術集会にて、NTT東日本関東病院の水上 拓郎氏が発表した。  がん患者の脳梗塞リスクは非がん患者と比べ高く、そのリスクはステージが進行するごとに上昇する。がん患者の脳卒中合併には複数の因子が絡み、がん種や診断時期によってリスクは異なるため、予後予測は複雑である。

ベジタリアン食で、胃がん罹患リスク6割減

 食事とがん発症リスクとの関連は多数の先行研究があり、果物、野菜、全粒穀物、豆類などの植物性食品の摂取量の増加はがん罹患の予防効果と関連し、赤身肉や加工肉の多量摂取はがん罹患リスク増加と関連している、という報告がある。こうした中、菜食(ベジタリアン食)と消化器がんリスクについて調査した研究結果が発表された。中国・香港中文大学Tongtong Bai氏らによるこのシステマティックレビューは、European Journal of Gastroenterology & Hepatology誌オンライン版2023年9月18日号に掲載された。