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タモキシフェン治療中の高齢乳がん患者、パロキセチン併用で乳がん死が増大

タモキシフェン(TAM)治療中の乳がん女性にパロキセチン(商品名:パキシル)を併用投与すると、乳がん死のリスクが増大することが、カナダSunnybrook医療センターのCatherine M Kelly氏らが実施したコホート研究で示された。乳がんの内分泌療法の標準治療薬であるTAMは、チトクロームp450 2D6(CYP2D6)によって活性代謝産物であるエンドキシフェンに変換されるプロドラッグである。TAM投与を受けている乳がん女性にはパロキセチンなどの選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が広く用いられているが、SSRIはCYP2D6を阻害するためエンドキシフェンの産生が低下してTAMの効果が減弱する可能性が指摘されていた。BMJ誌2010年2月13日号(オンライン版2010年2月8日号)掲載の報告。TAM+SSRI併用乳がん患者の治療終了後の乳がん死を、併用期間の長さ別に解析研究グループは、SSRIがCYP2D6を介する生物活性を阻害することでTAMの効果を減弱する可能性について検討するために、地域住民ベースのコホート研究を行った。対象は、1993~2005年までにオンタリオ州に居住した66歳以上のTAM治療を受けている乳がん女性で、SSRI[パロキセチン、fluoxetine、sertaline、フルボキサミン(商品名:デプロメール、ルボックス)、citalopram、venlafaxine)]を1剤併用投与された患者であった。TAM治療完遂後の乳がんによる死亡リスクを、TAM治療期間中のSSRI併用期間の長さで分類して解析を行った。 パロキセチン併用期間が長くなるにしたがって乳がん死亡率が有意に増大TAMとSSRIを併用投与された乳がん患者2,430例のうち、平均フォローアップ期間2.38年の時点で374例(15.4%)が乳がんが原因で死亡した。年齢、TAM投与期間、他の交絡因子で補正後のTAM+パロキセチン(不可逆的なCYP2D6阻害薬)群の乳がん死亡率は、パロキセチン併用期間が長くなるにしたがって有意に増大した(TAM治療期間におけるパロキセチン併用期間の割合が25%の患者の乳がん死亡率:24%、併用期間割合50%の患者:54%、併用期間割合75%の患者:91%、p<0.05)。これに対し、他のSSRIではこのような乳がん死リスクの増大は認めなかった。パロキセチン群の併用期間の割合の中央値は41%であった。この場合、TAM投与終了後5年以内に、19.7例に1例がパロキセチンの影響によって乳がんで死亡すると推算された。併用期間がさらに長くなれば、乳がん死リスクも増大すると予測される。著者は、「TAM治療中の乳がん患者にパロキセチンを使用すると乳がん死リスクが増大する。この知見は、パロキセチンは乳がん患者におけるTAMのベネフィットを損なうという仮説を支持するものである」と結論し、「TAMの代謝活性におけるCYP2D6の重要性が改めて示された。TAMは年齢を問わずホルモン受容体陽性乳がん女性の重要な治療薬であり、TAM治療中の乳がん患者に抗うつ薬を併用する場合は、CYP2D6への作用の少ない薬剤を選択すべきである」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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社会経済的格差が、国民のがん治療格差をもたらしている:英国

英国で2000年に公表された「NHS Cancer Plan」は、英国社会全体の、がん治療アウトカムの向上と健康格差を是正するため、医療サービスへのアクセスの平等を図ることを目的に作成されたものである。ロンドン大学校疫学・公衆衛生部門のRosalind Raine氏らのグループは、その導入効果を評価するため、がん患者の救急入院と選択的入院、大腸がん、乳がん、肺がんの外科手術の種類が、社会経済的要因、年齢、性別、入院年によってどのように変動したかを調査した。BMJ誌2010年2月6日号(オンライン版2010年1月14日号)より。衰退が進む地域の女性、高齢者ほどがん救急入院率が高い研究グループは、1999年4月1日から2006年3月31日までの病院症例統計(HES)の患者個人データを基に、反復横断研究を行った。症例対象は大腸がん、乳がん、肺がんの診断で入院治療を受けた50歳以上の患者56万4,821例。主要評価項目は、救急入院した患者の比率と、推奨手術治療を受けた患者の割合とした。結果、がん救急入院率が、社会経済的に衰退傾向が進む地域の住民、女性、高齢者で高い傾向にあることが明らかになった。たとえば乳がんに関する救急入院率は、地域衰退指数(Index of Multiple Deprivation、5段階評価)が最低の地域(衰退が進んでいない地域)と最高地域(衰退が進む地域)との補正オッズ比が、0.63(95%信頼区間:0.60~0.66)だった。また肺がんに関する救急入院率で、50~59歳群と比べて80~89歳群の補正オッズ比は3.13(同:2.93~3.34)に上った。この年齢層による差異は、年々改善している傾向はみられたが、衰退が進む地域の患者については、改善傾向はみられなかった。衰退が進む地域の患者ほど、がん推奨手術を受けていないさらに、衰退指数が高い地域の患者ほど、大腸がん、乳がん、肺がんで推奨される手術を受けていないことが認められた。またその傾向が、改善してきている傾向は認められなかった。たとえば、大腸がんで前方切除術を受けていた割合は、衰退指数が最低地域では75.5%(4,497/5,959例)だったのに対し、最高地域では67.4%(3,529/5,237例)で、オッズ比1.34(95%信頼区間:1.22~1.47)の差があった。乳がんで乳房温存手術を受けていた割合は、衰退指数が最低地域では63.7%(18,445/28,960例)だったのに対し、最高地域では54.0%(11,256/20,849例)で、オッズ比は1.21(同:1.16~1.26)だった。また男性は女性と比べて前方切除術や肺がん切除術を受けている割合が低く、高年齢層ほど乳房温存手術と肺がん切除を受けている割合が低かった。たとえば、肺がん切除の場合、50~59歳群と比べて80~89歳群の補正オッズ比は、0.52(95%CI 0.46~0.59)。これらから研究グループは、「NHS Cancer Plan実行にもかかわらず、国民の医療サービスへのアクセスおよびケア供給いずれにも、社会経済的要因がいまだに強い影響をおよぼしている」と報告をまとめている。

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利尿薬ベースの降圧療法、セカンドライン選択は?:住民ベースの症例対照研究

米国ワシントン大学心血管ヘルス研究ユニットのInbal Boger-Megiddo氏らは、利尿薬を第一選択薬とし降圧療法を受けている高血圧患者の、併用療法移行時の選択薬は、β遮断薬、Ca拮抗薬、RA系阻害薬いずれが至適かを明らかにするため、心筋梗塞および脳卒中の発生率を主要評価項目に、住民ベースの症例対照研究を行った。結果、Ca拮抗薬追加群の心筋梗塞発生リスクが、他の2群よりも高いことが明らかになったという。BMJ誌2010年2月6日号(オンライン版2010年1月25日号)より。症例群353例、対照群952例で検討研究グループは本研究を実施した背景について、「ALLHAT試験で、低用量利尿薬が第一選択薬としてCa拮抗薬やRA系阻害薬よりも優れていることが示唆され、そのエビデンスを踏まえたガイドラインが米英で作成されている。一方で、降圧療法を受ける高血圧患者の半数は併用療法を要する。だが利尿薬ベースの患者の心血管疾患予防を見据えたセカンドラインの選択薬はどれが至適か明らかになっておらず、米国NHLBI(National Heart, Lung, and Blood Institute)は、試験実施の勧告を出しているが、いまだ実施されていない」と述べている。試験は、ワシントン州シアトル市に拠点を置くヘルスケアシステム「Group Health Cooperative」の加入者データから、症例群353例、対照群952例の被験者を選定し行われた。症例群は、30~79歳の降圧療法を受けていた高血圧患者で、1989~2005年に致死性または非致死性の初回の心筋梗塞か脳卒中を発症したと診断記録があった人だった。対照群は、降圧療法を受けていた高血圧患者が無作為にGroup Health Cooperative加入者から選ばれた。なお、心不全、冠動脈疾患、糖尿病、慢性腎不全患者は除外された。+Ca拮抗薬は心筋梗塞リスクを増大する結果、心筋梗塞リスクについて、利尿薬+Ca拮抗薬群が、+RA系阻害薬群、+β遮断薬群よりも高いことが認められた。+β遮断薬群を基準とした、+Ca拮抗薬群の心筋梗塞リスクの補正後(年齢、性、服薬期間、喫煙、飲酒)オッズ比は、1.98(95%信頼区間:1.37~2.87)だった。脳卒中リスクについては、増大は認められず、オッズ比は1.02(同:0.63~1.64)だった。一方、+RA系阻害薬群の心筋梗塞および脳卒中リスクは、ともに有意ではなかったものの低く、心筋梗塞リスクの同オッズ比は0.76(同:0.52~1.11)、脳卒中は0.71(同:0.46~1.10)だった。研究グループは結果を踏まえ、「低リスクの高血圧患者を対象とした本試験で、セカンドラインにCa拮抗薬を選択することは、他の薬剤を選択するよりも心筋梗塞リスクが高いことが明らかになった。この結果はNIHCE(National Institute for Health and Clinical Excellence)ガイドラインを支持するもので、米国NHLBIが勧告する大規模試験を行うべきであろう」とまとめている。

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多発性硬化症に対する経口fingolimod、2年間の有効性確認

多発性硬化症の治療薬として開発中の、経口fingolimod(FTY720、フィンゴリモド;スフィンゴシン1リン酸受容体調節薬)は、リンパ節からのリンパ球放出を抑制する作用が特徴の免疫抑制薬である。これまで第II相、第III相(12ヵ月間)臨床試験の結果、プラセボまたはインターフェロンβ-1a筋注と比べて、多発性硬化症の再発率およびMRI評価のエンドポイントを有意に改善することが明らかになった。本稿は、スイス・バーゼル大学病院Ludwig Kappos氏らFREEDOMS治験グループによる、24ヵ月間の第III相プラセボ対照二重盲検無作為化試験の報告で、NEJM誌2010年2月4日号(オンライン版2010年1月20日号)に掲載された。再発寛解型多発性硬化症患者1,033例を対象に治験グループは、障害のEDSSスケール(Expanded Disability Status Scale、0~10の範囲で、スコアが高いほど障害の程度が高い)スコアが0~5.5で、過去1年間に1回以上の再発または過去2年間に2回以上再発したことがある18~55歳の再発寛解型多発性硬化症患者1,272例を登録、24ヵ月間にわたって二重盲検無作為化試験を行った。被験者は経口fingolimodまたはプラセボを1日1回、0.5mgまたは1.25mg投与された。エンドポイントは、年間の再発率(主要エンドポイント)と障害進行までの期間(副次エンドポイント)とした。被験者のうち試験を完了したのは、計1,033例(81.2%)だった。0.5mg、1.25mg用量とも24ヵ月間の再発率、障害進行リスクを有意に低下主要エンドポイントの年間再発率は、fingolimod 0.5mg投与群が0.18、fingolimod 1.25mg投与群が0.16に対し、プラセボ投与群は0.40だった(投与群対プラセボはいずれもP

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多発性硬化症に対する経口クラドリビン、2年間の有効性確認

日本では白血病の抗がん剤としてのみ承認されている免疫抑制薬クラドリビン(商品名:ロイスタチン)は、リンパ球サブタイプを選択的に標的とする特徴を有する。ロンドン大学クイーンズ・メアリー校のGavin Giovannoni氏ら「CLARITY」研究グループは、再発寛解型多発性硬化症患者への有効性を評価する、第III相試験である短期コース経口療法の96週間(24ヵ月間)の結果を報告した。NEJM誌2010年2月4日号より。再発寛解型多発性硬化症患者1,326例を対象に研究グループは、障害のEDSSスケール(Expanded Disability Status Scale、0~10の範囲で、スコアが高いほど障害の程度が高い)スコアが5.5以下で、過去1年間に1回以上の再発を経験した再発寛解型多発性硬化症患者1,326例を対象に無作為化試験を行った。被験者は、経口クラドリビンを累積投与量で3.5mg/kg体重投与される群、同5.25mg/kg体重投与される群、またはプラセボを投与される群に1:1:1となるよう割り付けられた。試験期間96週のうち、最初の48週での投薬は4コース(クラドリビン3.5mg/kg群は2コース+プラセボ2コース)行われた(投薬日数計8~20日間/年)。その後の48週以降に2コース(48週時点と52週時点)投与が各群に行われた(プラセボ群にはプラセボ投与、他の2群にはクラドリビン投与)。主要エンドポイントは、96週時点での再発率とした。試験を完了したのは1,184例(89.3%)、解析はintention-to-treatにて行われた。3.5mg群、5.25mg群とも再発率・障害進行とも有意に低下、ただし有害事象も高頻度クラドリビン投与群はいずれの用量群も、年間再発率がプラセボ群より有意に低下した。それぞれ3.5mg群0.14、5.25mg群0.15、プラセボ群0.33だった(両比較ともP

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CKDの転帰、糸球体濾過量が同レベルなら、蛋白尿が多い群で増悪

慢性腎不全(CKD)患者、糸球体濾過量(GFR)が同レベルなら、蛋白尿濃度が高い患者の方が、死亡や心筋梗塞のリスクが増大するようだ。カナダCalgary大学内科Brenda R. Hemmelgarn氏らが、92万人以上について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2010年2月3日号で発表した。92万人超を中央値35ヵ月で追跡同研究グループは、2002~2007年にかけて、カナダのアルバータ州で血清クレアチニン値を1回以上測定した人で、登録時に腎臓移植を必要としなかった、92万985人の成人について調査を行った。蛋白尿については、試験紙法とアルブミン・クレアチニン比(ACR)による測定を行った。追跡期間の中央値は、35ヵ月。被験者の89.1%が、GFR値が60mL/min/1.73m(2)以上だった。GFR量が多く高濃度の蛋白尿群の死亡率は、正常値群の2倍以上結果、蛋白尿が高濃度(試験紙法によるもの)で、GFR値が60mL/min/1.73 m(2)以上の群の補正後死亡率は、7.2/千人・年だった。これに対し、蛋白尿正常でGFR値が45~59.9mL/min/1.73m(2)の群では、2.9/千人・年で、2倍以上に上ることが認められた(率比:2.5、95%信頼区間:2.3~2.7)。蛋白尿をACRで測定した場合も、それぞれの群の補正後死亡率は、15.9/千人・年と7.0/千人・年と、率比は2.3(同:2.0~2.6)だった。また、心筋梗塞による入院や末期腎疾患、血清クレアチニン値の倍増といったイベントリスクについても、両群を比較した際、同様の傾向がみられた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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術前心臓検査、中~高リスクの待機的非心臓手術施行患者の予後を改善

中~高リスクの待機的非心臓手術を受ける患者は、術前の非侵襲的心臓負荷検査によって1年生存率が改善され、入院期間が短縮することが、カナダ臨床評価学研究所(ICES)のDuminda N Wijeysundera氏が実施したコホート研究で示された。術前の非侵襲的心臓負荷検査は術後の心臓合併症を予防する可能性があるという。また、虚血性心疾患を検出したり、術前のインターベンション、術中の積極的な血行動態管理、術後のサーベイランス、手術の回避が有効な患者を同定するだけでなく、周術期のβ遮断薬使用の指針ともなる。それゆえ、ACC/AHAガイドラインは術前心臓検査を推奨しているが、対象は心臓合併症のリスク因子を有する患者に限られ、リスク因子のない患者を含めた術後の予後への影響は明確ではないという。BMJ誌2010年1月30日号(オンライン版2010年1月28日号)掲載の報告。10年間の後ろ向きコホート研究研究グループは、中~高リスクの待機的非心臓手術施行前の非侵襲的心臓負荷検査が生存率および入院期間に及ぼす影響を評価するために、レトロスペクティブなコホート研究を行った。対象は、1994年4月1日~2004年3月31日までにカナダ・オンタリオ州の救急施設に収容され、中~高リスクの待機的非心臓手術を施行された40歳以上の患者で、術前6ヵ月以内に非侵襲的心臓負荷検査を受けた者とした。全体の1年生存率、入院期間は改善されたが、低リスク患者ではむしろ有害な可能性も全コホート27万1,082人のうち、非侵襲的心臓負荷検査を受けたのは2万3,991人(8.9%)であった。傾向スコア法で術前心臓負荷検査を受けた患者と受けない患者の差を補正し、背景因子をマッチさせたコホート(4万6,120人)を設定した。術前心臓負荷検査により、1年生存率が有意に8%上昇し(ハザード比:0.92、p=0.03)、入院日数は有意に0.24日短縮した(p<0.001)。サブグループ解析として、改訂版心リスク指標(Revised Cardiac Risk Index;RCRI)に基づく検討を行ったところ、術前心臓負荷検査は低リスク(RCRIスコア:0)患者ではむしろ有害であった(ハザード比:1.35)が、中リスク(RCRIスコア:1~2)患者(ハザード比:0.92)および高リスク(RCRIスコア:3~6)患者(ハザード比:0.80)では有意なベネフィットが得られた。著者は、「術前の非侵襲的心臓負荷検査により、中~高リスクの待機的非心臓手術施行例患者の1年生存率が改善され、入院期間が短縮された」と結論し、「このベネフィットがもたらされるのは、主に3つ以上のリスク因子を有する周術期心臓合併症の高リスク患者である。一方、リスク因子が1~2つの中リスク患者ではベネフィットが少なくなり、リスク因子のない低リスク患者ではむしろ有害な可能性が示唆される。これらの知見は、術前心臓検査を推奨するACC/AHAガイドラインを支持するものである」としている。(菅野守:医学ライター)

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ticagrelorは、急性冠症候群の予後をクロピドグレルに比べ有意に改善:PLATO試験

新たな経口P2Y12受容体阻害薬であるticagrelorは、侵襲的治療が適用とされる急性冠症候群(ACS)患者の抗血小板療法において、クロピドグレル(商品名:プラビックス)に比べ有意に予後を改善することが、米国Brigham and Women’s病院TIMI study groupのChristopher P Cannon氏らが実施したplatelet inhibition and patient outcomes(PLATO)試験で示された。クロピドグレルの抗血小板作用には個人差がみられ、不可逆的であるため、ACS患者における至適な用量や投与のタイミングについては議論がある。ticagrelorはクロピドグレルと同じP2Y12受容体阻害薬であるが、その作用は可逆的で、より強力かつ長期に持続するという。Lancet誌2010年1月23日号(オンライン版2010年1月14日号)掲載の報告。約13,000例を対象とした二重盲検ダブルダミー無作為化試験PLATO試験の研究グループは、入院後できるだけ早期に治療を開始する必要があるため侵襲的治療が計画されたACS患者を対象に、ticagrelorとクロピドグレルの予後改善効果および出血リスクを比較する二重盲検ダブルダミー無作為化試験を実施した。ST上昇あるいは非上昇ACSで入院中の患者18,624例が登録され、そのうち侵襲的治療が計画された13,408(72.0%)例が、ticagrelorとプラセボを投与する群(負荷用量180mg投与後、90mg×2回/日を投与)あるいはクロピドグレルとプラセボを投与する群(負荷用量あるいは維持用量として300~600mgを投与後、75mg/日を投与)に無作為に割り付けられ、6~12ヵ月の治療が行われた。全例にアスピリンが投与された。主要評価項目は、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイントとし、intention-to-treat解析を実施した。1,000例当たり年間11例の死亡、13例の心筋梗塞、6例のステント血栓症を防止ticagrelor群に6,732例が、クロピドグレル群には6,676例が割り付けられた。治療開始後360日における複合エンドポイントのイベント発生率は、ticagrelor群が9.0%とクロピドグレル群の10.7%に比べ有意に低かった(ハザード比:0.84、p=0.0025)。大出血の発生率は、ticagrelor群が11.5%、クロピドグレル群は11.6%と両群間に差を認めなかった(ハザード比:0.99、p=0.8803)。GUSTO(Global Use of Strategies To Open occluded coronary arteries)の出血基準に基づく重篤な出血についても、それぞれ2.9%、3.2%と同等であった(ハザード比:0.91、p=0.3785)。著者は、「薬物療法開始時に侵襲的治療が計画されているACS患者に対する抗血小板療法としては、ticagrelorがより有用な選択肢と考えられる」と結論している。これらの知見に基づいて推算すると、ticagrelorはクロピドグレルに比べ大出血や輸血の頻度を上昇させずに、年間にACS患者1,000例当たり11例の死亡を回避し、13例の心筋梗塞および6例のステント血栓症を防止するという。また、今回の結果は、「血小板P2Y12受容体の阻害を増強すれば、大出血を増加させずに死亡率を低減させることが可能との考え方を支持するもの」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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政治的暴力への曝露がパートナーへの暴力を増長、パレスチナのもう一つの戦い

男性が政治的暴力に曝露されると、女性パートナーへの身体的および性的な暴力が増加することが、アメリカ・ミネソタ大学医療格差研究プログラムのCari Jo Clark氏らが実施した調査で明らかとなった。戦争、国家の弾圧、拷問、暴力的な政治紛争などの集団的な暴力への曝露は、ジェンダーに基づくさまざまな暴力のリスクを増大させることが指摘されている。国連安全保障理事会決議1325(2000年)は、このような武力抗争下における性的暴力からの女性および少女の保護を要請している。Lancet誌2010年1月23日号掲載の報告。被占領パレスチナ地域の既婚女性3,510人に関する横断的研究研究グループは、被占領パレスチナ地域において、政治的暴力によって親密なパートナー間における男性の女性に対する暴力が増加しているか否かを評価する横断的研究を実施した。調査は、2005年12月18日~2006年1月18日までにパレスチナ中央統計局によって行われた。無作為に選択された4,156世帯から15~64歳の婚姻歴のある女性3,815人が登録された。解析はその時点で婚姻状態にある女性3,510人(92%)について行われた。政治的暴力への曝露とは、当該女性の夫が直接的に曝露した場合および夫の家族の経験を介して間接的に曝露した場合とされ、曝露による当該世帯への経済的影響とパートナーへの暴力の関連についても検討した。補正多項式ロジスティック回帰モデルを用いて政治的暴力と親密なパートナーへの暴力との関連のオッズ比を算出した。身体的暴力、性的暴力とも増加、ガザ地区では経済的影響も暴力の原因に政治的暴力により親密なパートナーへの暴力のオッズが有意に増大した。夫が直接的な政治的暴力に曝露した場合は、間接的な暴力に曝露した場合に比べパートナーに対する身体的暴力のオッズ比が1.89、性的暴力のオッズ比は2.23に達した。夫が間接的な政治的暴力に曝露した場合は、間接的な暴力にも曝露しなかった場合に比しパートナーに対する身体的暴力のオッズ比は1.61、性的暴力のオッズ比は1.97であった。被占領地域のうちガザ地区においてのみ、暴力への曝露による経済的な影響がパートナーへの暴力のオッズを上昇させていた。著者は、「男性の政治的暴力への曝露は女性パートナーへの暴力のオッズを増大させ、数多くの心的外傷により健康状態が不良となる」と結論し、「紛争地域において心理社会的介入を行う場合は、政治的暴力について広範に評価すべきである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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DNAマイクロアレイを用いた新たな敗血症アッセイの有効性を確認

新たに開発されたDNAマイクロアレイによる敗血症アッセイは、従来のgold standardである血液培養法に比べ、細菌の同定における感受性、特異度が優れるうえに、より迅速に結果が得られることが、フィンランド・ヘルシンキ大学病院検査部のPaivi Tissari氏らが行った観察試験で明らかとなった。細菌性敗血症は生命を脅かす疾患であり、世界的に罹患率、死亡率がともに高く、有効な抗生物質が利用可能な先進国でさえも重要な課題となっている。罹患率や死亡率増大の原因として、原因菌の種類を同定せずに不適切な広域スペクトラムの抗菌薬を使用したり、適切な治療の遅れが挙げられるという。Lancet誌2010年1月16日号(オンライン版2009年12月10日号)掲載の報告。培養陽性の2,107検体を、従来法と新規のアッセイで検査研究グループは、DNAマイクロアレイをプラットフォームとして新たに開発された敗血症アッセイ「Prove-it Sepsis」の感受性、特異度、所要時間の検討を行った。臨床的に敗血症が疑われる患者の3,318の血液検体のうち、血液培養で陽性を示した2,107の検体について、従来の培養法と新規の敗血症アッセイにより細菌の種類の同定を行った。アッセイに用いられた新たなPCR/マイクロアレイ法は、50種類のバクテリアのgyrB、parE、mecA遺伝子を増幅して検出するもの。検査アッセイを取り扱う検査員には培養結果は知らされなかった。臨床・検査標準協会(CLSI)の勧告に基づいて、感受性、特異度、所要時間が算出された。感受性94.7%、特異度98.8%、所要時間は従来法より18時間短縮培養陽性の2,107検体のうち1,807検体(86%)から、アッセイが検出対象とする病原菌が検出された。アッセイの感受性は94.7%、特異度は98.8%であり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の感受性と特異度はともに100%であった。検出までの所要時間は、従来の培養法が実働日数で1~2日を要するのに対し、アッセイはこれより平均18時間早かった。3,284検体のうち34検体(1.0%)が、技術的な問題や検査員の誤操作のために除外された。著者は、「PCR/マイクロアレイを用いた敗血症アッセイは、細菌種の最終的な同定において高い感受性と特異度を示し、従来法よりも迅速な検査が可能である」と結論し、「本アッセイはプライマリ・ケアの日常診療に容易に導入できる。現在、先進国、開発途上国の双方で、このアッセイが患者の予後やマネジメント、さらに種々の病原菌のルーチンな迅速診断の実行にどの程度貢献するかについて、プロスペクティブな調査を行っている」としている。(菅野守:医学ライター)

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重傷外傷後のPTSD予防にモルヒネが有効?

重傷外傷後の心的外傷後ストレス障害(PTSD)予防に、ケア中のモルヒネ投与が有効である可能性が、米国海軍ヘルスリサーチセンターのTroy Lisa Holbrook氏らによって報告された。PTSDの2次的発現の予防に薬物療法が、効果があるとされてはいるが実証検証はほとんど行われていない。一般的な精神治療薬の研究結果はばらついており、モルヒネ投与に関しては、熱傷を負った小児を対象とする試験で保護作用があることは報告されているが重傷成人に関する研究は行われていなかったという。NEJM誌2010年1月14日号掲載より。イラク従軍の重度外傷者700例を調査Holbrook氏らは、重傷外傷後のPTSD発現予防に対するモルヒネの有効性を調べるため、米国海軍の外傷者登録データベース(CTR EMED)を用いて、重傷者のPTSD発現リスクに関する蘇生術中およびケア中のモルヒネ使用効果を調べた。調査対象となったのは、2004年1月~2006年12月の間にイラク戦争で重度の外傷性脳損傷を負った軍人696例。全員、薬物療法に関するデータは入手できた。PTSDの診断は、海軍ヘルスリサーチセンターが管理しているCareer History Archival Medical and Personnel Systemから入手すると同時に、カルテをチェックし確認した。モルヒネ投与群で、PTSDが発現した人は発現しなかった人の0.47倍PTSDと診断されていたのは243例、されていなかったのは453例だった。蘇生術中およびケア中のモルヒネ使用は、PTSDのリスク低下と有意に関連していた。モルヒネ投与を受けていて、PTSDが発現した人は61%(147/243例)だったのに対し、発現しなかった人は76%(346/453例)で、オッズ比は0.47だった(P

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膵頭部がんにおけるルーチンな術前胆道ドレナージ、合併症リスクを倍増

膵頭部がん手術を受ける患者へのルーチンな術前胆道ドレナージは、合併症のリスクを増大することが、オランダ・アムステルダムにあるAcademic Medical CenterのNiels A. van der Gaag氏らによって明らかにされた。本手技は、膵頭部の腫瘍による閉塞性黄疸がある患者の術後アウトカムを改善するために導入されたが、その有益性については明らかにされていなかった。NEJM誌2010年1月14日号掲載より。多施設共同無作為化試験で、術前胆道ドレナージ実施群と未実施群の転帰を検証Gaag氏らは、13施設(大学病院5、地域病院8)において、術前胆道ドレナージを行った群と未実施群とを比較する多施設共同無作為化試験を行った。被験者は、閉塞性黄疸を伴い、ビリルビン値が40~250μmol/L(2.3~14.6mg/dL)の18~85歳の患者202例で、診断後4~6週の間に内視鏡的胆道ドレナージ(主としてERCP;内視鏡的逆行性胆道膵管造影法による)を行ってから膵頭部がん手術を行う群(術前胆道ドレナージ群:96例)と、診断後1週間以内に膵頭部がん手術を行う群(早期手術群:106例)に無作為に割り付けられ追跡された。主要転帰は、無作為化後120日以内の重篤な合併症の発症率とした。ドレナージ実施群の重篤な合併症リスクは、未実施群の約2倍重篤な合併症が起きたのは、早期手術群39%(37例)だったのに対し、術前胆道ドレナージ群は74%(75例)で、相対リスクは0.54(95%信頼区間:0.41~0.71、P

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5-HT3受容体拮抗型制吐剤「アロキシ」製造販売承認取得

大鵬薬品工業株式会社は20日、5-HT3(セロトニン)受容体拮抗型制吐剤 「アロキシ静注0.75mg」(一般名:パロノセトロン塩酸塩)の製造販売承認を取得したと発表した。アロキシは2004年1月の大鵬薬品とスイスのヘルシン社(HELSINN HEALTHCARE SA)とのライセンス契約に基づき、同社が国内開発した薬剤。海外においては、2003年7月に米国、2005年3月に欧州で承認され、2009年 12月現在、世界62ヵ国で承認されている。アロキシは、がん化学療法(シスプラチン等)実施前の1回投与で、急性悪心、嘔吐のみならず、現行の治療薬では効果の不十分であった遅発性悪心、嘔吐にも有効性が確認されている。同剤は、血中消失半減期が約40時間と非常に長く、5-HT3受容体に対して高い結合親和性と選択性を有している。また、 NCCNの「制吐療法ガイドライン」で、高度催吐性化学療法に伴う悪心、嘔吐の予防に用いる薬剤として推奨されているという。詳細はプレスリリースへhttp://www.taiho.co.jp/corporation/news/2010/20100120.html

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抗悪性腫瘍剤「テモダール 点滴静注用100mg」承認取得

シェリング・プラウ株式会社は20日、悪性神経膠腫の治療薬、「テモダール 点滴静注用100mg」(TEMODAL Injection 100mg 一般名:テモゾロミド)の承認を取得したと発表した。テモダールは旧シェリング・プラウ・コーポレーション(現:Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A)が1991年に欧州連合(EU)で承認を受けて以降、カプセル剤と点滴静注剤を合わせ、現在90ヵ国以上で承認されており、点滴静注剤は33ヵ国で承認されている。日本においては、2005年7月22日、厚生労働省の「未承認薬使用問題検討会議」により「テモダール カプセル20mg/100mg」(TEMODAL Capsule 20mg/100mg)が早期承認申請の要請を受け、申請後、同年9月30日付で「優先審査品目」に指定された。その後2006年9月、悪性神経膠腫の適応を有する日本で19年ぶりの新規薬剤として発売されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.schering-plough.co.jp/press/index.html

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新型インフルに最も有効なワクチンが明らかに、中国の検討

新型インフルエンザウイルス(2009年汎発性インフルエンザA/H1N1)に対するワクチンによる予防治療としては、ヘマグルチニン(HA)を7.5μg含みアジュバントを用いないsplit-virionワクチンの1回接種が最も有効なことが、中国疾病予防管理センターのXiao-Feng Liangらが実施した多施設共同試験で明らかとなった。現在、世界各国で新型インフルワクチンの臨床試験が行われているが、いずれも参加者が少なく、過去の感染や交差反応による既存の免疫反応の影響を除外しきれない試験もあるため、プラセボを対照とした大規模臨床試験が切望されていた。Lancet誌2010年1月2日号(オンライン版2009年12月16日号)掲載の報告。8つのワクチン製剤の安全性、免疫原性をプラセボと比較研究グループは、中国の製薬会社10社が開発した8つの新型インフルエンザワクチン製剤の安全性と免疫原性を評価するために、二重盲検無作為化プラセボ対照試験を実施した。中国の10施設に3歳以上の12,691人が登録された。各施設において年齢で層別化し、8つのワクチン製剤のうち1つを接種する群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けた。ワクチン製剤の種類は、アジュバント(水酸化アルミニウム)を用いHAをそれぞれ7.5、15、30μg含むsplit-virionワクチン、アジュバントを用いずHAを7.5、15、30μg含むsplit-virionワクチン、アジュバントを用い5、10μgのHAを含むwhole-virionワクチンの8つであった。すべてのワクチン製剤は再集合体株X-179A(A/California/07/2009-A/PR/8/34)から生産された。ワクチン製剤の安全性(有害事象)、免疫原性[赤血球凝集抑制抗体の幾何平均抗体価(GMT)]、抗体保有率(seroprotection rate、GMTが接種前の40倍以上の場合を抗体保有者とする)についてper protocol解析を行った。HA 7.5μg非アジュバントsplit-virionワクチンは、全年齢層でEU認可基準を満たす12,691人がday 0に1回目のワクチン接種を受け、そのうち12,348人がday 21に2回目の接種を受けた。8つのワクチンの初回接種後21日における抗体保有率は、最低値がHA 7.5μgアジュバントsplit-virionワクチンの69.5%で、最高値はHA 30μg非アジュバントsplit-virionワクチンの92.8%であった。プラセボ群の抗体保有率が9.8%(140/1,432人)であったのに対し、HA 7.5μg非アジュバントsplit-virionワクチンは86.5%(796/920人)と有意に優れていた(p<0.0001)。HA 7.5μg非アジュバントsplit-virionワクチンの年齢別の抗体保有率は、3~11歳が76.7%(178/232人)、12~17歳が96.8%(211/218人)、18~60歳が89.5%(289/323人)、60歳以上が80.3%(118/147人)であり、すべての年齢層がEUの認可基準を満たしていた。3~11歳の子どもは、2回目のワクチン接種により抗体保有率が97.7%(215/220人)に上昇した。有害反応はほとんどが軽度~中等度であり、特に治療をしなくても回復するものが多かった。重篤な有害事象はプラセボ群が1例(0.1%)のみであったのに対し、ワクチン群では69例(0.6%)に認めた。最も多かったのが発熱で、初回接種後は25例(0.22%)、2回目接種後は4例(0.04%)に見られたが、プラセボ群ではまったく認めなかった。著者は、「12歳以上の2009年汎発性インフルエンザA(H1N1)に対するワクチン製剤としては、HAを7.5μg含む非アジュバントsplit-virionワクチンの1回接種が有用と考えられる。3~11歳の子どもは2回接種を要する可能性がある」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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病院パフォーマンスレポート、導入による医療の質改善効果は不明

病院パフォーマンスレポートを導入しても、医療の質改善につながるかどうかは不明であることが無作為化試験の結果として報告された。カナダInstitute for Clinical Evaluative SciencesのJack V. Tu氏らが明らかにしたもの。治療過程や患者アウトカムについて、その質に関する成績表であるレポートカード導入と質改善について行った無作為化試験は初めてという。試験結果は、JAMA誌2009年12月2日号(オンライン版2009年11月18日号)で発表された。病院86ヵ所について、成績表フィードバック時期をずらして無作為化評価Tu氏らは、1999~2005年にかけて、カナダのオンタリオ州にある、86ヵ所の病院について、住民ベースのクラスター無作為化試験を行った。対象としたレポートカードは、急性心筋梗塞(12項目)とうっ血性心不全(6項目)の治療過程指標。試験対象病院は1999年4月~2001年3月の間のパフォーマンスデータを基線とし、無作為に2004年1月にレポートカードのフィードバックがあった群(前期フィードバック群)、もう一方は2005年9月にフィードバックがあった群(後期フィードバック群)とに分けられた。両群は2004年4月~2005年3月の間の同指標の再調査が行われ評価された。再調査までの治療過程指標改善に両群で差はなしその結果、前期フィードバック群と後期フィードバック群との間に、試験開始時から再調査時点にかけての心筋梗塞の治療過程指標の改善に有意差は見られなかった(絶対格差1.5%、95%信頼区間:-2.2~5.1、p=0.43)。冠動脈性心不全の治療過程指標の改善についてもまた、両群で有意差は見られなかった(絶対格差0.6%、同:-4.5~5.7%、p=0.81)。なお、追跡期間中の急性心筋梗塞の30日死亡率については、前期フィードバック群の方が、後期群に比べ、2.5%低率だった(95%信頼区間:0.1~4.9、p=0.045)が、院内死亡率については、両群で有意差は認められなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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子宮筋腫を切らずに日帰りで治療 日本初のMRガイド下集束超音波治療器が発売

GEヘルスケアグループの日本法人であるGEヘルスケア・ジャパン株式会社は13日、日本初のMRガイド下集束超音波治療器「ExAblate 2000(エクサブレート2000)」を全国の産婦人科を主対象に発売した。ExAblate 2000は、MRI(磁気共鳴画像診断装置)で撮影した画像をもとに、体外から超音波を照射して筋腫領域に集束させることで、筋腫組織を局所的に加熱し、壊死させるMRガイド下集束超音波治療器(MRgFUS:MR-guided Focused Ultrasound Surgery)だ。対象は痛みや出血などの自覚症状がある症候性子宮筋腫患者。治療は平均3~4時間で腹部を切らずに低侵襲的に完了し、痛みや副作用も軽いため、日帰りでの治療が可能になるなど、患者のQOLも高まる。またMRIと組み合わせて使用するため、MRIの撮影画像上で治療計画を策定できるほか、治療中もMRIから得られる画像データをもとに、超音波の照射位置や焦点温度などをリアルタイムで監視しながら治療できる。従来より行われていた外科手術では、患者の体への負担が大きく、術式によって1日~2週間の入院治療が必要で、しかも開腹術の場合には腹部に傷が残るという課題があったが、ExAblate 2000では、MRIの画像をもとに、虫眼鏡で光を1点に集めるのと同様に、208個の発生源から出る超音波を1点に集めて、うつ伏せになった患者の患部に照射し、焦点組織の温度を65~85度まで上昇させ、子宮筋腫組織を壊死させる。治療時間は平均約3~4時間で、麻酔もかけないため、手術後1時間ほど安静にすれば日帰りも可能だという。また低侵襲的で体に傷跡が残ることもない。詳細はプレスリリースへhttp://japan.gehealthcare.com/cwcjapan/static/company/press/pr_208.html

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ホルモン受容体陽性閉経後乳がん、新たな術後補助療法が確立

ホルモン受容体陽性、リンパ節転移陽性の閉経後乳がんに対する術後補助療法では、化学療法施行後に逐次的にタモキシフェン(TAM、商品名:ノルバデックスなど)を5年間投与する方法が、TAMのみを投与する治療法よりも良好な予後をもたらすことが、アメリカLoyola大学のKathy S Albain氏らBreast Cancer Intergroup of North Americaの研究グループが実施した第III相試験で明らかとなった。TAMはホルモン受容体陽性閉経後乳がんに対する術後補助療法のgold standardであり、化学療法との併用療法は理論的には有望視されていたもののコンセンサスが得られていなかった。最近のメタ解析において、術後TAM+化学療法は閉経前乳がんでは大きな生存べネフィットが示されたが、閉経後乳がんにおける有用性は境界域にとどまったという。Lancet誌2009年12月19/26日合併号(オンライン版2009年12月10日号)掲載の報告。TAM+化学療法併用はTAM単剤よりも、逐次投与は同時投与よりも優れるか?研究グループは、ホルモン受容体陽性閉経後乳がんに対する術後補助療法としてのTAM単剤とTAM+化学療法の併用療法の有用性を比較し、併用療法のうち逐次投与と同時投与ではどちらが優れるかを検討するオープンラベル無作為化比較第III相試験(SWOG-8814, INT-0100)を実施した。ホルモン受容体陽性でリンパ節転移陽性の閉経後乳がん患者が、術後補助療法としてTAM単剤を投与する群(毎日、5年間)、シクロホスファミド+ドキソルビシン+5-FU(CAF、4週毎、6コース)とTAM(毎日、5年)を逐次投与する群(CAF→T群)、CAFとTAMを同時投与する群(CAFT群)に2:3:3の割合となるよう無作為に割り付けられた。主要評価項目は、TAM単剤群に対するTAM+化学療法併用群(CAF→T群、CAFT群)の無病生存率(DFS)の優位性、および同時投与(CAFT群)に対する逐次投与(CAF→T群)のDFSの優位性とした。副次評価項目は、全生存率(OS)および安全性であった。アンスラサイクリン系薬剤ベースレジメン施行後に、逐次的にTAMを5年間投与する方法が有用1989年6月~1995年7月までに1,558例が登録され、1,477例(95%)が評価可能であった。TAM単剤群に361例、CAF→T群に566例、CAFT群には550例が割り付けられた。フォローアップ期間中央値8.94年(最長13年)の時点で、DFSイベント数はTAM単剤群が179件、CAF→T群が216件、CAFT群は242件であった。10年DFSは、TAM+化学療法併用群(CAF→T群、CAFT群)が57%と、TAM単剤群の48%よりも有意に優れた(補正Cox回帰分析によるハザード比:0.76、p=0.002)。10年OSは併用群が65%、TAM単剤群が60%であり、ハザード比は0.83、p値は境界域(p=0.057)で有意差は認めなかった。併用群間の比較では、CAF→T群の10年DFSは60%、CAFT群は53%と、逐次投与群でより良好な傾向が見られたものの有意差はなかった(ハザード比:0.84、p=0.061)。10年OSはそれぞれ68%、62%であり、両群で同等であった(ハザード比:0.90、p=0.30)。CAF→T群はTAM単剤群よりも10年DFS(ハザード比:0.70、p=0.0002)、10年OS(同:0.79、p=0.032)がともに有意に優れたが、CAFT群とTAM単剤群間には10年DFS(同:0.83、p=0.062)、10年OS(同:0.87、p=0.22)ともに有意差はなかった。TAM単剤群に比べTAM+化学療法併用群で頻度の高い有害事象として、好中球減少、口内炎、血栓塞栓症、うっ血性心不全、白血病が認められた。著者は、「ホルモン受容体陽性、リンパ節転移陽性の閉経後乳がんの術後補助療法は、TAMのみを5年間投与する方法よりも、アンスラサイクリン系薬剤をベースとする化学療法を施行後に逐次的にTAMを5年間投与する方法が、リスク/ベネフィット比が優れる。しかし、アンスラサイクリン系薬剤ベースレジメンが無効なサブグループが存在する可能性も示唆される」と結論し、「術後補助療法の有用性を評価するには、長期にわたるフォローアップが不可欠なことを、この試験は示している」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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2009新型インフルワクチンの有効性:中国製不活化ワクチン

中国・江蘇省疾病管理予防センターのFeng-Cai Zhu氏ら研究グループは、中国国内で最近開発・販売承認された2009新型インフル用の単価不活化ワクチンの安全性と免疫原性について検討した、無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果を発表した。試験は3~77歳の被験者を4つの年齢群に分け行われた。12~60歳では1回接種後(アジュバント非添加15μg)に大多数に十分な免疫応答が得られ、小児(3~11歳)および高齢者(61歳以上)では2回投与の必要性が認められる結果が得られたという。NEJM誌2009年12月17日号(オンライン版2009年10月21日号)より。年齢別にアジュバントの有無、抗原量・回数検討試験は、2009年7月から8月の間に、2,200例が参加し行われた。ワクチンは、21日間隔で2回接種された。2回とも接種を受けたのは2,103例(95.6%)。年齢別に階層化された被験者は、プラセボまたは抗原量7.5μg、15μg、30μgの各ワクチン(+アルミニウムアジュバント添加の有無それぞれ)の群別に無作為化され接種を受け、ベースラインと接種21日目、35日目に血清分析が行われた。12~60歳はアジュバント非添加の15μgワクチン1回接種で結果、アジュバント非添加の15μgワクチンを投与された被験者で、21日目までに赤血球凝集抑制抗体価が40倍以上に達した割合は、「3~11歳群」74.5%、「12~17歳群」97.1%、「18~60歳群」97.1%、「61歳以上群」79.1%だった。35日目までに達したのは、それぞれ98.1%、100%、97.1%、93.3%。40倍以上達成率が最も高かったのは、アジュバント添加・非添加にかかわらず30μgワクチンを接種された被験者群だった。また免疫応答は、アジュバント非添加ワクチン群の方が、添加ワクチン群より大きかった。なお安全性については、ワクチンと関連した重度の有害反応は認められず、アジュバント非添加ワクチン群で注射部位の局所反応または全身反応が観察されたが(5.5~15.9%)、ほとんどが軽度だった。局所反応はアジュバント非添加ワクチン群の方が添加ワクチン群より少なかった。(医療ライター:武藤まき)

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2009新型インフルワクチンの有効性:細胞培養ワクチン

ノバルティス製造の細胞培養による2009新型インフル用のワクチン、MF59アジュバント添加ワクチンの忍容性と免疫原性について行われた臨床試験の結果が、英国レスター大学病院Tristan W. Clark氏らによって発表された。試験はレスター大学病院において、18~50歳の成人176例を対象に行われ、1回接種で予防効果があると思われる抗体反応が得られたという。NEJM誌2009年12月17日号(オンライン版2009年9月10日号)より。MF59アジュバントの有無、抗原量・回数検討A/California/2009(H1N1)表面抗原を含有するMF59アジュバント添加ワクチンに関する臨床試験は、2009年7月から9月の間に、アジュバント添加・非添加のワクチンを用いて行われた。被験者は、MF59アジュバント添加7.5μgワクチンの2回接種を、0日間隔(同日に両腕に接種)、7日間隔、14日間隔、21日間隔で受ける群に、または3.75μgワクチンの2回接種を21日間隔で受ける群に(以上、「添加群」)、あるいはアジュバント非添加の7.5μgワクチンまたは15μgワクチンの2回接種を21日間隔で受ける群(以上、「非添加群」)に、無作為に割り付けられた。接種後0、14、21と42日目に、赤血球凝集抑制試験とマイクロ中和試験を用いて、抗体反応を測定した。MF59アジュバント添加ワクチン1回接種で結果、21日目の測定で、MF59アジュバント添加ワクチン接種群の方が、非添加ワクチン群より、高い抗体価が認められた(マイクロ中和試験によるP

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