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無作為化試験の患者データを基にしたメタ解析:DES vs BMS

現在のプールされた患者レベルのメタ解析の結果、プライマリPCIを受けたST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において、シロリムスやパクリタキセルの薬剤溶出ステント(DES)が、ベアメタルステント(BMS)に比較し、長期間におけるターゲット部位の血行再建を減少させたが、逆に、遅発性再梗塞およびステント血栓症はDES群において増加したと報告された。これは、イタリアの De Lucaらの報告によるもので、STEMIに対して実施されたDESの無作為化試験の全てが対象とされ、合計6,298人であった。内訳は、DES群が3,980人(63.2%)、BMS群が2,318人(36.8%)であり、DESの99%にシロリムスまたはパクリタキセルの溶出ステントが使用されている。主な結果は以下のとおり。 ・平均フォロー日数は1201(±440)日であった。・標的部位の血行再建率は、DES群で12.7%、BMS群で20.1%(ハザード比:0.57[95%CI:0.50-0.66], P

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低量分割ゲムツズマブ・オゾガマイシン追加療法、AMLの1次治療アウトカムを改善

ゲムツズマブ・オゾガマイシン(GO、商品名:マイロターグ)の低量分割投与法は、急性骨髄性白血病(AML)の1次治療において安全に施行可能で、標準的な化学療法との併用により、標準治療単独に比べアウトカムを実質的に改善することが、フランスVersailles-Saint Quentin大学Mignot病院のSylvie Castaigne氏らが行ったALFA-0701試験で示された。標準治療と、ヒト化抗CD33モノクローナル抗体とカリケアマイシンの複合体であるGOの併用療法は、第III相試験で相反する結果が報告されている。一方、GOは当初、9mg/m2を第1、14日に投与するレジメンが用いられたが、血液毒性や肝中心静脈閉塞(VOD)に起因する肝毒性が高頻度に発現したことから、低量分割レジメン(3mg/m2[最大5mg/m2]、第1、4、7日)が開発されたという。Lancet誌2012年4月21日号(オンライン版2012年4月5日号)掲載の報告。低量分割GOの上乗せ効果を無作為化第III相試験で検証ALFA-0701試験は、AMLに対する1次治療としての標準的化学療法への低量分割GOの上乗せ効果を検証する非盲検無作為化第III相試験。2008年1月~2010年11月までに、フランスの26施設から新規に診断された50~70歳の未治療ALM患者が登録された。これらの患者が、寛解導入療法として標準治療単独あるいは標準治療+GOを施行する群に無作為に割り付けられた。標準治療群はダウノルビシン(60mg/m2、第1~3日)+シタラビン(200mg/m2、第1~7日間)を行い、GO追加群は標準治療に加えGO(3mg/m2、第1、4、7日)を投与した。15日目に骨髄穿刺を行い、骨髄芽球が10%以上の患者には2回目の寛解導入療法としてダウノルビシン(60mg/m2、第1~2日)+シタラビン(1,000mg/m2/12時間、第1~3日)を施行した。完全寛解(CR)または血小板回復が不十分なことを除きCR(CRp)を達成した患者には、さらに2回の地固め療法を実施した。すなわち、標準治療群では、1回目はダウノルビシン(60mg/m2、第1日)+シタラビン(1,000mg/m2/12時間、第1~4日)、2回目はダウノルビシン(60mg/m2、第1~2日)+シタラビン(1,000g/m2/12時間、第1~4日)を施行した。GO追加群には各回とも標準治療に加えGO(3mg/m2、第1日)を投与した。1次治療としてのGOの再評価を正当化する知見280例が登録され、標準治療群に140例、GO追加群にも140例が割り付けられた。それぞれ139例ずつが解析の対象となった。寛解導入療法のCR/CRp率は、標準治療群が75%(104/139例)、GO追加群は81%(113/139例)であり、有意な差はなかった(オッズ比:1.46、95%信頼区間[CI]:0.20~2.59、p=0.25)。主要評価項目である2年後の無イベント生存率(EFS)は、標準治療群の17.1%に対しGO追加群は40.8%と有意に改善し(ハザード比[HR]:0.58、95%CI:0.43~0.78、p=0.0003)、副次的評価項目である全生存率(OS)にも有意差が認められた(標準治療群:41.9% vs. GO追加群:53.2%、HR:0.52、95%CI:0.36~0.75、p=0.0003)。無再発生存率(RFS)もGO追加群が有意に優れた(22.7% vs. 50.3%、HR:0.52、95%CI:0.36~0.75、p=0.0003)。血液毒性のうち、特に持続性血小板減少が標準治療群に比べGO追加群で多かったが(3% vs. 16%)、毒性に起因する死亡リスクの増大は認めなかった。著者は、「GOは低量分割投与により、累積的高用量を安全に投与することが可能となり、実質的なアウトカムの改善をもたらした」と結論づけ、「これらの知見は、AMLに対する1次治療としてのGOの再評価を正当化するものだ」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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PCI対CABG、長期生存はCABGが優れる

 血行再建戦略の有効性について、多枝冠動脈疾患65歳以上患者を対象に経皮的冠動脈介入(PCI)と冠動脈バイパス術(CABG)の長期生存について比較した結果、CABGを受けた患者のほうがPCIを受けた患者よりも、長期生存に優れることが見いだされたと結論する報告が発表された。米国心臓病学会財団(ACCF)と米国胸部外科医学会(STS)による共同研究で、研究グループの筆頭著者としてChristiana Care Health SystemのWilliam S. Weintraubが報告を行った。NEJM誌2012年4月19日号(オンライン版2012年3月27日号)掲載より。65歳以上のレジストリ多枝病変患者を4年間追跡 研究グループは、65歳以上の急性心筋梗塞がない2枝病変または3枝病変を有する冠動脈疾患患者についてPCIとCABGの効果を検討する非無作為化観察研究を行った。2004~2008年に収集された、ACCFの全米心血管データレジストリ(National Cardiovascular Data Registry)とSTSの成人心臓手術データベース(Adult Cardiac Surgery Database)を、メディケア・メディケイドの請求データとリンクさせて検討した。また、アウトカムについての比較は、治療選択バイアスを極力軽減するため、傾向スコアと逆確率加重補正を用いて行われた。死亡率、術後1年は有意差ないが、4年後はCABGのほうが低くリスク比0.79 被験者は、CABG群8万6,244例、PCI群10万3,549例で、追跡期間中央値は2.67年だった。 結果、治療後1年の補正後死亡率について、両群間に有意差は認められなかった(CABG群6.24%、PCI群6.55%、リスク比:0.95、95%信頼区間:0.90~1.00)。 しかし治療後4年では、CABG群のほうがPCI群より死亡率が低い傾向が認められた(16.4%対20.8%、リスク比:0.79、95%信頼区間:0.76~0.82)。複数のサブグループ解析や、いくつかの異なる解析方法を用いた場合でも類似の結果が示された。残存交絡については感度解析によって評価された。 これらを踏まえ研究グループは、「緊急処置を必要としない高齢の多枝冠動脈疾患患者においては、CABGを受けた患者のほうがPCIを受けた患者と比較して、長期生存に優れるることが見いだされた」と結論した。

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オフポンプCABG対オンポンプCABGの30日アウトカム

冠動脈バイパス術(CABG)の施行について、心拍動下(オフポンプ)CABGの人工心肺(オンポンプ)CABGに対する相対的な有益性とリスクを検討する国際多施設共同無作為化対照試験が行われた。カナダ・マクマスター大学のAndre Lamy氏ら研究グループによるもので、血液製剤や術中出血、合併症の減少など周術期の有益性は認められる一方、血行再建術の早期再施行リスクの上昇が認められたと報告している。NEJM誌2012年4月19日号掲載報告より。30日時点の優位性を79施設で比較研究グループは2006年11月~2011年10月の間に19ヵ国79施設から、CABGが予定されていた4,752例を登録して試験を行った。被験者は81%が男性、平均年齢は68歳だった。被験者は、オフポンプCABG群(2,375例)またはオンポンプCABG群(2,377例)に無作為に割り付けられた。第1の共通主要アウトカムは、無作為化30日後の死亡、非致死性の脳卒中、非致死性の心筋梗塞、または透析を必要とする腎不全の新規発症の複合とした。血行再建術の早期再施行リスクは増加結果、オフポンプCABGとオンポンプCABGの間に、主要複合アウトカムの発生率についての有意差はみられなかった(9.8%対10.3%、オフポンプ群のハザード比:0.95、95%信頼区間:0.79~1.14、P=0.59)。個々のアウトカムについても同様だった。オフポンプCABGはオンポンプCABGと比較して、血液製剤の輸注量(50.7%対63.3%、相対リスク:0.80、95%信頼区間:0.75~0.85、P

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洞調律の心不全患者にはワルファリンとアスピリンのどちらを投与すべきか?(5月2日掲載NEJMオンライン速報版より)

心不全では洞調律であっても、血栓塞栓イベントリスクが高く、ワルファリンやアスピリンが投与されることは少なくない。WARCEF(Warfarin vs. Aspirin in Reduced Cardiac Ejection Fraction)試験の結果、ワルファリンはアスピリンに比べ、虚血性脳卒中の発症リスクを軽減するものの、出血の発症リスクを増大させ、洞調律の心不全患者に対してワルファリン、またはアスピリンのどちらを投与すべきかという疑問に対する決定的なエビデンスは依然存在せず、個々の患者によって考慮すべきであることが、5月2日NEJM誌オンライン速報版に発表された。ワルファリン vs アスピリン:死亡・脳卒中抑制に差なしWARCEF試験に参加した、洞調律の左室駆出率が低下した心不全2,305例が、ワルファリンまたはアスピリンが投与される治療群に無作為に割り付けられた。ワルファリンはINRが2.0-3.5の範囲に収まるよう用量が調整された。患者は平均3.5年間追跡され、追跡期間内の虚血性脳卒中、脳出血、死亡のいずれかの発現を主要評価項目として2つの治療の優劣が比較された。主な結果は下記のとおり。1. 主要評価項目(虚血性脳卒中、脳出血、死亡)の発現に、  両治療間で有意な差は認められなかった。  ● ワルファリン群:7.47/100患者・年  ● アスピリン群:7.93/100患者・年  ハザード比:0.93(95%信頼区間:0.79-1.10、P=0.40)2. 時間が経過するに連れ、ワルファリン群で良好となり、  追跡4年目ではわずかではあるが、有意にワルファリンが  アスピリンを有意に上回った(P=0.046)。3. 虚血性脳卒中の発現リスクは、ワルファリン群はアスピリン群に比べ  有意に少なかった。  ● ワルファリン群:0.72/100患者・年  ● アスピリン群:1.36/100患者・年  ハザード比:0.52(95%信頼区間:0.33-0.82、P=0.005)4. 大出血の発現リスクは、ワルファリン群はアスピリン群に比べ  有意に多かった(P

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カンデサルタン、アムロジピンの併用療法は、日本人においてどの程度の降圧効果が期待できるか?

 大阪大学大学院 医学系研究科 老年・腎臓内科学の楽木氏らは、ARBカンデサルタン、Ca拮抗薬アムロジピンの単剤療法と、それらの併用療法による降圧効果を種々の用量ごとに測定した。この結果はClinical Therapeutics誌4月号に掲載された。楽木氏らは軽症から中等症の本態性高血圧患者を対象に、多施設無作為化二重盲検比較試験が実施した。カンデサルタン、アムロジピンの併用療法群は単剤療法群より有意な降圧 4週間のプラセボ投与による観察期間終了後、444例の被験者は(1)カンデサルタン8mg+アムロジピン5mg群(n=101)、(2)カンデサルタン8mg+アムロジピン2.5mg群(n=36)、(3)カンデサルタン4mg+アムロジピン5mg群(n=36)、(4)カンデサルタン4mg+アムロジピン2.5mg群(n=35)、(5)カンデサルタン8mg群(n=100)、(6)アムロジピン5mg群(n=100)、(7)プラセボ群(n=36)のいずれかに無作為に割り付けられ、12週間投与された。 主要評価項目はトラフ時の拡張期血圧の変化、副次評価項目はトラフ時の収縮期血圧値の変化。 カンデサルタン、アムロジピンの単剤療法と、それらの併用療法による降圧効果を種々の用量ごとに測定した主な結果は下記のとおり。1) ベースラインの平均血圧値は153.4/95.7 mm Hg2) カンデサルタン8mg+アムロジピン5mg群:27.4mmHg/16.3mHg  カンデサルタン8mg群:13.9mmHg/7.8mHg  アムロジピン5mg群:19.9mmHg/11.2mmHg カンデサルタン、アムロジピンの併用療法群はそれぞれの単剤療法群より有意な降圧を認めた。

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ステント血栓症の抑制効果、コバルトクロム合金製エベロリムス溶出ステントが最も高い

コバルトクロム合金製エベロリムス溶出ステント(CoCr-EES)は、ベアメタルステント(BMS)や他の薬剤溶出ステントに比べステント血栓症のリスクが低いことが、イタリアPoliclinico S Orsola(ボローニャ市)のTullio Palmerini氏らの検討で示された。薬剤溶出ステントとBMSのステント血栓症のリスクについては議論が続いているが、ステント血栓症の総発生率の低さを考慮すると、各ステントの差を正確に評価するには、膨大なサンプル数が必要とされる。ネットワークメタ解析は、共通の治療法をレファランスとして個々の治療法の間接的な比較を可能にする新しい研究法で、サンプル数を増やすことができるという。Lancet誌2012年4月14日号(オンライン版2012年3月23日号)掲載の報告。ステント血栓症のリスクをネットワークメタ解析で評価研究グループは、アメリカ食品医薬品局(FDA)の承認を受けている薬剤溶出ステントとBMSによるステント血栓症の発生率を検討した無作為化試験を対象に包括的なネットワークメタ解析を行った。解析の対象となった薬剤溶出ステントは、CoCr-EES、プラチナクロム合金製エベロリムス溶出ステント(PtCr-EES)、パクリタキセル溶出ステント(PES)、シロリムス溶出ステント(SES)、Resoluteゾタロリムス溶出ステント(Re-ZES)、ホスホリルコリンポリマーベースのゾタロリムス溶出ステント(PC-ZES)の6つであった。Academic Research Consortium(ARC)のステント血栓症の定義に基づき、definiteステント血栓症の1年発生率を主要評価項目とした。ランダム効果モデルを用いたネットワークメタ解析を行い、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。感度分析には固定効果モデルを用いた。パラダイムシフトの可能性も49試験に参加した5万844例が解析の対象となった。definiteステント血栓症の1年発生率は、CoCr-EESがBMSに比べ有意に低かった(OR:0.23、95%CI:0.13~0.41)。30日発生率(同:0.21、0.11~0.42)および31日~1年の発生率(同:0.27、0.08~0.74)も、CoCr-EESがBMSよりも有意に低値を示した。CoCr-EESの1年definiteステント血栓症発生率は、PES(OR:0.28、95%CI:0.16~0.48)、SES(同:0.41、0.24~0.70)、PC-ZES(同:0.21、0.10~0.44)、Re-ZES(同:0.14、0.03~0.47)との比較でも、有意に良好だった。フォローアップ期間2年の時点でも、CoCr-EESのdefiniteステント血栓症の発生率はBMS(OR:0.35、95%CI:0.17~0.69)やPES(同:0.34、0.19~0.62)よりも有意に低かった。BMSよりも2年definiteステント血栓症発生率が低いステントはほかにはなかった。著者は、「2年以内のステント血栓症の発生率はCoCr-EESが最も低かった」と結論し、「今後、無作為化試験でCoCr-EESがBMSよりもステント血栓症が少ないことが示されれば、パラダイムシフトが起きるだろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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急性冠症候群疑いの救急搬送患者にはCCTA戦略が有用

 救急搬送されてきた急性冠症候群の疑い患者に対しては、冠動脈CT血管造影(CCTA)を基本として診断スクリーニング戦略が有用であることが、米国・ペンシルベニア大学のHarold I. Litt氏らによる無作為化試験の結果、明らかにされた。Litt氏は「他の診断スクリーニング戦略では入院したであろう患者が、CCCT戦略であれば安全かつ早期退院できる可能性がある」と結論している。急性冠症候群の疑いの救急搬送患者の入院率は高いが、最終的には心臓に起因する症状ではないことが判明するケースがほとんどである。一方で、CCTAは冠動脈疾患の陰性的中率は非常に高いが、救急部門での判定に有用かどうかはこれまで確立されていなかった。NEJM誌2012年4月12日号(オンライン版2012年3月26日号)掲載報告より。低~中程度リスク患者をCCTA戦略群と従来型戦略群に無作為化 研究グループは、2009年7月~2011年11月の間に米国の5施設で登録された、低リスクから中程度リスクの急性冠症候群疑いの患者を、CCTAを受ける群と従来型検査を受ける群に無作為に2対1の割合で割り付け比較検討した。 被験者は、TIMI(Thrombolysis in Myocardial Infarction)リスクスコアが0~2で、入院または検査を要する徴候または症状が認められた30歳以上の患者であった。 被験者は、CCTA群908例、従来型検査群462例の、合計1,370例で、基線特性は両群で同程度だった。主要評価項目は、CCTA検査で陰性だった患者の安全性評価とし、発症後30日以内に心筋梗塞や心臓死が起こらないことと定義した。退院率、入院期間、冠疾患検出率でCCTAが優位 結果、主要評価対象であるCCTA検査で陰性だった640例の患者において、30日以内に死亡したり心筋梗塞を起こした例はなかった(0%、95%信頼区間:0~0.57)。 CCTA群の患者は従来型検査を受けた患者と比較して、救急治療部からの退院率がより高く(49.6%対22.7%、格差:26.8ポイント、95%信頼区間:21.4~32.2)、入院期間がより短く(中央値で18.0時間対24.8時間、P<0.001)、冠動脈疾患の検出率はより高かった(9.0%対3.5%、格差:5.6ポイント、95%信頼区間:0~11.2)。 なお有害事象は、各群に重篤例が1例ずつ認められた。

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多発性骨髄腫や固形癌骨転移による骨病変に効能・効果「ランマーク皮下注120mg」が発売

第一三共とアストラゼネカは17日、第一三共が多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変を効能・効果とする「ランマーク皮下注120mg」(一般名:デノスマブ〔遺伝子組換え〕)を発売した。同日付で薬価収載もされている。ランマークは破骨細胞の活性を抑制する世界初のヒト型抗RANKLモノクローナル抗体で、骨転移を有する癌患者および多発性骨髄腫患者の骨関連事象の発生を抑制することが確認されている。 なお、同社らは2011年5月24日に日本におけるランマークの本適応症に関するコ・プロモーションについて契約を締結している。詳細はプレスリリースへhttp://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/004316.htmlhttp://www.astrazeneca.co.jp/activity/press/2012/12_4_17.html

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新型血管造影X線診断装置「Allura Clarity」ファミリー 発売

フィリップス エレクトロニクス ジャパンは13日、新型血管造影X線診断装置「Allura Clarity」ファミリーの販売を開始することを発表した。Allura Clarityファミリーは、医療現場で最も強く要求される、画質の向上と被ばくの低減の両立を実現し、たとえば同社従来品と比較した場合、ほぼ同じ画質を維持して被ばく量を73%低減することができるという。近年、X線装置を使用した血管内治療は、より複雑・高度化し、治療に要する時間も長時間化している。このような高度な治療に際して正確な診断を行うためには、以前にも増して高画質が求められる一方で、長時間の検査・治療や高画質への要求は患者および医療スタッフへの被ばくの増加にもつながっており、被ばくの低減も大きな課題となっている。また、(1)画像処理技術の向上によりリアルタイム作動が可能になり、動きのある部位でもノイズやアーチファクトを低減できる(2)自由度の高いデジタル画像処理技術をX線管からモニタまで適用し、心臓領域、脳神経外科領域といったそれぞれのアプリケーションに最適化された画像処理がされ、インターベンションにおいて被ばくを抑えつつ高画質を実現した(3)システムの500以上のパラメータをアプリケーションごとに調整でき、大容量X線管のMRC tubeも被ばくの低減に貢献している、といった技術的特長が挙げられる。Allura Clarityファミリーの製品ラインアップは、循環器用シングルプレーンシステム FD10、循環器用バイプレーンシステム FD10/10、頭腹部・全身用シングルプレーンシステム FD20、頭腹部・全身用バイプレーンシステム FD20/10、20/20。詳細はプレスリリースへhttp://www.newscenter.philips.com/jp_ja/standard/about/news/healthcare/120413_allura_clarity.wpd

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イグザレルト 肺塞栓症治療と深部静脈血栓症、PE再発抑制の適応症に関し、欧州連合の製造販売承認を申請

独バイエル ヘルスケア社は12日、経口抗凝固剤イグザレルト(リバーロキサバン)を成人における肺塞栓症(PE:pulmonary embolism)の治療、ならびに深部静脈血栓症(DVT:deep vein thrombosis)およびPEの再発抑制の適応症で、欧州医薬品庁(EMA:European Medicines Agency)に製造販売承認申請を行ったと発表した。リバーロキサバンは、静脈・動脈血栓症の主要な領域の大部分で、すでに承認されている。今回の承認申請は、グローバル第III相臨床試験 EINSTEIN-PEのデータに基づき行われた。試験結果は、今年3月に米国心臓病学会(ACC:American College of Cardiology)第61回年次学術集会で発表され、同時にニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(10.156/NEJMoa1113572)に掲載された。EINSTEIN-PE試験は、リバーロキサバン15mg1日2回を3週間投与した後、20mg 1日1回投与する経口単剤療法と、エノキサパリンを皮下注射した上で、その後、ビタミンK拮抗剤を投与する既存の標準治療法を比較したもの。同試験に参加した急性症候性PE患者4,833人は、3、6または12ヵ月の治療を受けたという。リバーロキサバンは、主要評価項目である症候性DVTと非致死性・致死性PEの複合からなる再発性症候性VTEの減少に関し、既存の標準治療法に少なくとも劣らない有効性を示したとのこと。全体的な出血事象発現頻度は治療グループ間で同程度であったが、重要なことは、リバーロキサバンは重大な出血事象の発現頻度が有意に低かったことだ。EINSTEIN-PE試験は、約1万人の静脈血栓症の治療に関し、リバーロキサバンの安全性と有効性を評価したグローバルEINSTEINプログラムの第III相臨床試験3試験のうちの一つ。ほかの2試験(EINSTEIN-DVT試験とEINSTEIN-EXT試験)は、ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに一緒に掲載された(10.1056/NEJMoa1007903)。イグザレルトは、2011年12月9日に、成人における急性DVT発症後の治療、ならびに再発性DVTおよびPE発症抑制の適応症に関し、欧州委員会から製造販売承認に関する承認を取得している。詳細はプレスリリースへhttp://byl.bayer.co.jp//scripts/pages/jp/press_release/press_detail.php?file_path=2012%2Fnews2012-04-13.html

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「ACC/AHA末梢動脈疾患診療ガイドライン2011」改訂のポイント

米国心臓病学会財団(ACC)と米国心臓協会(AHA)は、2005年に策定した末梢動脈疾患(PAD)の診療ガイドラインを見直し、2011改訂版を公表した。5年間で集積されたエビデンスを基に下記についての見直しが図られ、患者管理と予防の新たな臨床判断の指標とすることを促している。足関節上腕血圧比(ABI)、足趾腕血圧比(TBI)検査にかかる勧告見直し禁煙指導に関する勧告見直し抗血小板療法に関する勧告見直し重症肢虚血に対する勧告見直し腹部大動脈瘤に対する勧告見直しガイドライン2011の特徴は、下肢PAD予防と早期発見の重要性がさらに強調されたことである。まず、PADの過少診断を防ぐため、足関節上腕血圧比(ABI)実施対象患者の見直しが行われた。具体的には、2005年版では、対象者のひとつに「70歳以上」があったが、2011年版では、「65歳以上」に改訂された(クラスI、エビデンスレベルB)。その上で、ABI値について、正常値は1.0~1.4、異常値は0.9以下とし、0.91~0.99は境界値と明確に定義した(クラスI、エビデンスレベルB)。また、治療においては、禁煙指導と抗血小板薬に対する変更があった。禁煙指導については、下肢PAD患者に対する心血管イベントの抑制効果のエビデンスは乏しかったものの、医師の介入による禁煙率の上昇という点を評価し、プライマリ・ケア医による積極的な禁煙プログラムの推奨強化を図っている(表1)。薬物療法については、アスピリンおよびクロピドグレルのクラスIとしての位置づけに変更はなかったが、文言の明確化が図られた。新たな推奨項目として、クラスIIaとIIbが加えられた(表2)。重症肢虚血や腹部大動脈瘤に対する、手術とバルーン血管形成術のアウトカムについては、その一方の優位性を示す長期試験結果がないため、患者の個別の状態に応じ、最も適切な動脈瘤修復の方法を選択すべきであるとされた。なお今回の改定では、腎・腸間膜動脈疾患については、新たなエビデンスが乏しいため、同分野における見直しは行われなかった。表1 禁煙指導に関する勧告【2011年勧告の主な変更ポイント】●クラスⅠ1.喫煙者または喫煙歴のある患者は、毎回の診察時にタバコ使用に関する現状について問診を受けるべきである。(エビデンスレベルA)<新たな勧告>2.(喫煙者の)患者には、禁煙のために、薬物療法や(または)禁煙プログラムへの紹介を含む禁煙のための計画策定やカウンセリングを行うべきである。(エビデンスレベルA)<新たな勧告>3.下肢PADの患者で、タバコや他の種類のタバコを使用する人は、診察を受けるすべての医師から禁煙を勧められ、行動療法や薬物療法の提供を受けるべきである。(エビデンスレベルC)<以前の勧告の変更。文言を明確化し、エビデンスレベルをBからCに変更>4.患者に禁忌や他のやむにやまれぬ臨床適応がない限り、バレニクリン、ブプロピオン、ニコチン置換療法のうち、1つ以上の薬物療法を提供するべきである。(エビデンスレベルA)<新たな勧告>表2 抗血小板薬と抗血栓薬に関する勧告【2011年勧告の主な変更ポイント】●クラスⅠ1.抗血小板療法は、間欠性跛行または重症肢虚血、下肢血行再建術歴(血管内または外科的)や下肢虚血による切断術歴のある人を含む、症候性アテローム性下肢PADの患者に対し、心筋梗塞や脳卒中、血管死リスクを減少する。(エビデンスレベルA)<以前の勧告の変更。文言を明確化>2.アスピリン(一般的には75~325mg/日)は、間欠性跛行または重症肢虚血、下肢血行再建術歴(血管内ステント留置術または外科的)や下肢虚血による切断術歴のある人を含む、症候性アテローム性下肢PADの患者に対し、心筋梗塞や脳卒中、血管死リスクを減少する、安全で効果的な抗血小板療法として推奨される。(エビデンスレベルB)<以前の勧告の変更。文言を明確化し、エビデンスレベルをAからBに変更>3.クロピドグレル(75mg/日)は、間欠性跛行または重症肢虚血、下肢血行再建術歴(血管内ステント留置術または外科的)や下肢虚血による切断術歴のある人を含む、症候性アテローム性下肢PADの患者に対し、心筋梗塞や虚血性脳卒中、血管死リスクを減少するための、アスピリンの代替となる安全で効果的な抗血小板療法として推奨される。(エビデンスレベルB)<以前の勧告の変更。文言を明確化>●クラスIIa1.抗血小板療法は、ABIが0.90以下の無症候性の人に対し、心筋梗塞や脳卒中、血管死リスクを減少させる可能性がある。(エビデンスレベルC)<新たな勧告>●クラスIIb1.ABIが0.91~0.99の、ボーダーラインの無症候性の人に対する抗血小板療法が、心筋梗塞や脳卒中、血管死リスクを減少する効果があるかどうかについては、まだ立証されていない。(エビデンスレベルA)<新たな勧告>2.アスピリンとクロピドグレルの併用は、間欠性跛行または重症肢虚血、下肢血行再建術歴(血管内ステント留置術または外科的)や下肢虚血による切断術歴のある人で、出血リスクの増大がなく、既知の心血管リスクの高い人を含む、症候性アテローム性下肢PAD患者に対して、心筋梗塞や脳卒中、血管死リスクの減少を目的に考慮しても良い。(エビデンスレベルB)<新たな勧告>●クラスIII(利益なし)1.アテローム性下肢PADの患者に対し、有害心血管虚血イベントのリスク減少を目的に、ワルファリンを抗血小板療法へ追加投与することは、利益がなく、大出血リスクの増大のために、潜在的に有害となる。(エビデンスレベルB)<以前の勧告の変更。エビデンスレベルをCからBに変更>参照Rooke TW, et al. 2011 ACCF/AHA Focused Update of the Guideline for theManagement of Patients With Peripheral Artery Disease (updating the 2005 guideline):a report of the American College of Cardiology Foundation/American Heart AssociationTask Force on Practice Guidelines. J Am Coll Cardiol. 2011; 58: 2020-2045.

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【ご案内】日本小児科学会にてクーポン付フリーペーパー配布します!

株式会社ケアネットは4月20日~22日、福岡で開催される「第115回日本小児科学会学術集会」の医療品・機器展示会場にてケアネット・ドットコムの記事を抜粋したフリーペーパーを配布します。本誌にはケアネット・ドットコムや、ケアネット+Styleの記事を紹介しており、ちょっとした空き時間の暇つぶしに最適です。また、学会の会場周辺の「おすすめレストラン情報」や本誌限定の特別クーポン券もついています。是非ケアネットのブースにお立ちよりください。 ※医療品・機器展示会場内の株式会社ケアネットのブースにて配布します。※本誌の内容が変更になる場合があります。予めご了承ください。 【第115回 日本小児科学会学術集会】日程:4月20日~22日会場:福岡国際会議場 福岡サンパレスホテル&ホール 第115回日本小児科学会学術集会:http://www2.convention.co.jp/jps115/index2.html ケアネット+Style:http://style.carenet.com/8174.html

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brodalumab、中等度~重度の乾癬に有効

尋常性乾癬に対する、brodalumab(開発コードAMG 827)の有効性と安全性を検討した第2相試験の結果が報告された。brodalumabは、抗IL-17受容体完全ヒト抗体で、第1相試験において、1回700mg投与の6週間時点での相当な改善が示され、本試験では用量プロファイルが模索された。乾癬は、米国では人口の2~3%、欧州では0.6~6.5%に存在するとされる慢性T細胞自己免疫疾患で、皮膚細胞が炎症症状を起こし角化するのが特徴で、最近の研究で、その発現にIL-17が関わっていることが明らかになっている。カナダ・Probity Medical ResearchのKim A. Papp氏らによる本報告は、NEJM誌2012年3月29日号で発表された。重症度の高い患者を4段階の用量別に無作為化Papp氏らによる、第2相無作為二重盲検プラセボ対照用量探索試験は、乾癬面積・重症度指数(PASI、0~72までのスコアで、高いほど重篤であることを示す)が12以上で、体表面積の10%以上が乾癬病変である患者198例を、brodalumab(用量70mg、140mg、210mg を1日目と1・2・4・6・8・10週目に、または280mgを月1回)、またはプラセボを投与する群に、無作為に割り付け行われた。主要エンドポイントは、12週時点のPASIスコアのベースラインからの改善率とした。副次エンドポイントは、12週時点のPASIスコア75%以上の改善、同90%以上の改善、医師による総合評価(sPGA)スコアとした。重症度、医師の総合評価とも、有意に改善12週時点のPASIスコア平均改善率は、brodalumab用量70mg群45.0%、140mg群85.9%、210mg群86.3%、280mg群76.0%で、プラセボ群は16.0%だった(プラセボとの全比較におけるP<0.001)。12週時点のPASIスコア75%以上の改善は、brodalumab用量140mg群(77%)、210mg群(82%)で報告され、プラセボ群は0%であった。また、同90%以上の改善は、140mg群で72%、210mg群で75%であったのに対し、プラセボ群は0%だった(全比較のP<0.001)。sPGAの結果、症状が消失または最小と評価された患者の割合は、プラセボ群3%であったのに対し、brodalumab用量70mg群で26%、140mg群85%、210mg群80%、280mg群69%だった(いずれもプラセボとの比較のP<0.01)。安全性については、brodalumab用量210mg群でグレード3の好中球減少症が2例報告された。すべて用量brodalumab群を合わせた中で、最も高頻度に報告された有害事象は鼻咽腔炎(8%)、上気道感染症(8%)、注射部位紅斑(6%)だった。研究グループは、「12週投与の第2相試験の結果、brodalumabは、尋常性乾癬を有意に改善したことが認められた」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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薬剤費自己負担の増加で、小児喘息患者の喘息による入院増加

米国の5~18歳の小児喘息患者について、薬剤費の自己負担額が増えるにつれ、喘息治療薬服用日数がやや減少し、一方で喘息による入院件数が増大することが明らかにされた。米国・ミネソタ大学のPinar Karaca-Mandic氏らが、約9,000人の18歳以下の喘息患者について調べた結果で、JAMA誌2012年3月28日号で発表した。米国では近年、民間医療保険会社が、薬剤費の患者自己負担を増加してきているという。そのことによる小児患者への影響については明らかにされていなかった。年間喘息治療薬自己負担は、約150ドル研究グループは、1997~2007年に治療を開始した、小児喘息患者8,834人について、薬剤費の自己負担額と、喘息治療薬の使用量、喘息による入院や救急外来受診との関連について、後ろ向きに調査を行った。調査対象となったのは、37の雇用主で、追跡期間は1年間だった。被験者の平均年齢は7.3歳、うち男子が59.9%だった。追跡期間中の、喘息治療薬自己負担額の年間平均は、5~18歳(5,913人)が154ドル(95%信頼区間:152~156)、5歳未満(2,921人)が151ドル(同:148~153)だった。追跡期間1年の間に、被験者のつい5~18歳が喘息治療薬を服用した日数は平均40.9%、喘息による入院は220人(3.7%)だった。5歳未満は、喘息治療薬服用日数は平均46.2%、喘息による入院は231人(7.9%)だった。薬剤自己負担額最高四分位範囲の入院は2.4/100児、最低同範囲は1.7/100児喘息治療薬の服用日数についてみると、5~18歳では、自己負担額が最も少ない四分位範囲群41.7%に対して、最も多い四分位範囲群は同40.3%と有意に少なかった(p=0.02)。5歳未満では、こうした有意差は認められなかった。また、補正後の喘息による入院についてみると、5~18歳では、自己負担額最高四分位群が2.4/100児(同:1.9~2.8)だったのに対し、最低四分位群は1.7/100児(同:1.3~2.1)と、有意に少なかった(p=0.004)。5歳未満の被験者では、こうした格差はなかった。なお、救急外来受診については、薬剤自己負担額による有意差は認められなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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携帯電話の使用、神経膠腫の発生に影響せず

アメリカでは現在、携帯電話の使用率がほぼ100%に達しているが、関連が指摘されている神経膠腫のリスク増大は認めないことが、アメリカ国立がん研究所のM P Little氏らの検討で示された。国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer:IARC)は最近、2つの疫学試験[interphone試験(2010年)、スウェーデン試験(2011年)]で報告された相対的なリスクに基づいて、携帯電話の使用と脳腫瘍のリスクの関連について再評価を行い、発がん促進の可能性のある携帯電話のマイクロ波放射の分類を行った。その一方で、1990年半ば以降、脳腫瘍の発生率の傾向は携帯電話の使用増加を反映しておらず、一般にこの状況は現在も続いているという。BMJ誌2012年3月25日号(オンライン版2012年3月8日号)掲載の報告。神経膠腫発生の観測値と推定値を、携帯電話の使用状況との関連で比較研究グループは、IARCの発がん性分類における携帯電話の位置づけの観点から、神経膠腫のリスクに関する最近の2つの報告(IARC分類に基づく)と、アメリカにおける実際の発生状況の整合性について検討した。1997~2008年の神経膠腫発生の観測値と推定値を比較した。推定値は、2010年のInterphone試験、2011年のスウェーデンの試験で報告された相対リスクと、年齢・レジストリー・性別による調整値、携帯電話の使用データ、種々の潜伏期間を統合して算出した。アメリカのSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)プログラムの12のレジストリーから、1992~2008年の神経膠腫発生のデータを用いた。神経膠腫と診断された18歳以上の非ヒスパニック系の白人2万4,813例が解析の対象となった。使用状況は大きく変わったが、リスクは変化せず1992~2008年の間に、アメリカの携帯電話の使用状況はほぼ0%から100%へと大きく変化したが、この間に年齢特異的な神経膠腫の発生率は全般的に変化しなかった(年間発生率の変化率:-0.02%、95%信頼区間:-0.28~0.25%)。電話の使用と神経膠腫リスクが相関し、さらに潜伏期間10年、低相対リスクとした場合でも、推定値が観測値を上回っていた。腫瘍の潜伏期間と累積電話使用期間から算出されたスウェーデン試験の相対リスクに基づくと、アメリカの2008年の推定値は観察値を40%以上も上回っていた。一方、Interphone試験の携帯電話の使用頻度が高い群における神経膠腫発生の推定値は観測値と一致していた。携帯電話の使用頻度が低い群や相対リスクが1以上の群に限定した場合でも、これらの結果の妥当性は維持されていた。著者は、「IARCの再評価に基づくスウェーデン試験で報告された携帯電話の使用による神経膠腫のリスク増大は、アメリカの携帯電話使用者における観測値とは一致しなかったが、Interphone試験の中等度リスク群とアメリカの状況は一致していた」とまとめている。(菅野守:医学ライター)

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双極性障害治療における課題と新たな治療選択肢への期待

 2012年2月22日、オランザピン(商品名:ジプレキサ)の「双極性障害におけるうつ症状の改善」の適応承認を受け、3月14日、日本イーライリリー株式会社による記者発表会が開催された。この会では、帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・教授の張賢徳氏より、現在の双極性障害治療の課題や新たなる選択肢への期待などについて講演が行われた。双極性障害とは? 双極性障害は躁症状とうつ症状の二つの病相を繰り返す疾患であり、わが国における生涯有病率は0.6%程度 1) と決して珍しい疾患ではない。躁症状は自尊心の肥大や快楽的活動への熱中などにより人間関係や社会的信頼の失墜をもたらす一方で、うつ症状は無気力や種々の身体症状、自殺のリスクの増大などにより、患者やその家族の社会生活に大きな影響を及ぼすことが知られている。双極性障害診療の問題点 双極性障害の診断には躁症状の認識が重要であるが、患者が躁症状を自覚していないことが多く、医師に報告されないことも多いため診断が難しいと言われている。さらに、双極性障害におけるうつ症状と単極性うつ病の症状は類似しており、鑑別が難しいケースが少なくない。海外の報告によると、69%の患者が単極性うつ病など他の精神疾患と診断され、適切に診断されるまで10年以上かかる患者は35%にのぼると言われている 2)。 鑑別診断が難しい一方で、薬物治療に関してはそれぞれのうつ症状に対し、異なるアプローチを要する。しかし、これまで、わが国において双極性障害におけるうつ症状の改善の適応を有する治療薬はなく、気分安定薬や抗精神病薬、抗うつ薬などが用いられてきた。双極性障害におけるうつ症状に対し抗うつ薬治療を継続すると、躁転やラピッドサイクル化、衝動性の亢進などのリスクが伴うことが報告されており 3)、その使用の是非や適切な治療の重要性が長期にわたり叫ばれてきた。オランザピン、「躁」「うつ」両症状に適応をもつ唯一の双極性障害治療剤に このような背景のもと、非定型抗精神病薬であるオランザピンは双極性障害における躁症状に加え、わが国では初となるうつ症状の改善も承認され、両症状の改善に適応が認められた唯一の薬剤となった。 今回の適応取得の根拠となった国際共同第III相プラセボ対象二重盲検比較試験及び非盲検継続治療試験(HGMP試験)は、DSM-IV-TRにより『双極I型障害、最も新しいエピソードがうつ病』と診断され、大うつ病エピソードの基準を満たしている患者514例を対象としており、日本人156例も含まれる。結果をみると、最終観察時点(投与開始6週後)におけるMADRS(Montgomery-Asberg Depression Rating Scale:うつ症状の評価指標)合計点のベースラインからの変化量の平均値は、オランザピン群でプラセボ群と比較して有意な改善が認められ、日本人のみで検討した場合でも同様の結果が示された。また、うつ症状治療時における躁症状の発現率もプラセボと比較して有意に少ないことも示された。HGMP試験に続いて実施された長期投与試験(HGMS試験)では、HGMP試験を完了した日本人患者及びHGMS試験から参加した患者を対象に48週間、オランザピンの持続した効果が示された。張氏は講演の中で、「双極性障害の治療の基本は波のコントロールである。両症状の改善の適応をもつオランザピンは情動の安定化が期待できるのではないだろうか」と述べた。 なお、同試験における副作用は、頻度の高いものから体重増加、傾眠、食欲亢進、鎮静、過眠症などであった。 また、うつ症状の疾患自体に自殺のリスクが伴うため、十分に患者の状態を評価しながら投与することが必要であることから、添付文書の使用上の注意に自殺に対する注意喚起が追記された。今後への期待 双極性障害は患者の社会生活や健康、生命が脅かされる重大な疾患であり、薬物治療を中断すると再発するリスクが大きいことが知られている。さらに再発を繰り返すにつれて次の再発までの期間が短くなることに加え、薬剤の効果が得られなくなることが報告されており 4)、早い段階から適切な治療を行うことが必要である。 双極性障害の治療目標の一つに、「再発を防ぎ、患者が普通の社会生活を送れるようにする」ことが挙げられる。わが国で唯一、双極性障害における躁症状とうつ症状の両症状に適応を有するオランザピンは今後、長期的な症状のコントロールと再発の予防の観点からも、治療上重要な役割を担うことが期待される。

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急性虚血性脳卒中に対するtenecteplase対アルテプラーゼ

 急性虚血性脳卒中に対するrt-PA静注療法として、tenecteplase(遺伝子組み換え型変異体組織プラスミノーゲン活性因子)は、現在唯一の標準療法であるアルテプラーゼ(商品名:アクチバシン、グルトパ)よりも再灌流および臨床アウトカムが有意に優れることが無作為化試験の結果、報告された。本報告は、英国・ジョン・ハンター病院のMark Parsons氏らが、アルテプラーゼ標準療法と、2つの用量群でのtenecteplase療法とを比較検討したフェイズ2Bの無作為化オープンラベル単盲検試験の結果で、NEJM誌2012年3月22日号で発表された。無作為化前に、被験者にCT灌流イメージングを実施 研究グループは、75例の虚血性脳卒中患者を、発症後6時間以内にアルテプラーゼ(0.9mg/kg体重)またはtenecteplase(0.1mg/kg体重または0.25mg/kg体重)を投与されるよう3群に無作為に割り付け(各25例ずつ)比較検討した。無作為化に際し、血栓溶解療法のメリットを最も受けやすい患者を選択するため、基線でのCT灌流イメージングで梗塞巣よりも20%以上大きな灌流病変があり、CT血管造影でこれに関連した血管閉塞が認められる患者を適格とした。 共通主要エンドポイントは、24時間後の灌流強調MRI検査画像で再灌流が確認された灌流障害病変部の割合と、NIHSS(the National Institutes of Health Stroke Scale、42ポイントスケールでスコアが高いほど神経学的欠損が重い)で評価した24時間後の臨床的改善の度合いとした。高用量tenecteplase群が再灌流と臨床アウトカムに優れる 全患者の基線での平均(±SD)NIHSSスコアは14.4±2.6で、投与までに要した時間は2.9±0.8時間だった。24時間後、tenecteplase投与群は2群とも、アルテプラーゼ群より再灌流(P=0.004)と臨床状態(P

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高齢者は聴力低下の自覚に乏しい、スクリーニングには“ささやき検査”が有効

高齢者の聴力スクリーニングでは、単一の質問ではなく10項目からなる質問票のほうが、また2フィート先からささやいた文字や数などを答える「ささやき検査」が有効であるとの報告が、JAMA誌2012年3月21日号で発表された。米国・ミネソタ大学のJames T. Pacala氏らが、高齢者の聴覚障害について行われた1,700超の研究結果を再調査し明らかにした。高齢者の聴力の低下は、自覚がないまま進行することも少なくないという。米国の2005~2006年のNational Health and Nutrition Examination Surveyによると、70歳以上のうち、聴力低下が認められる人の割合は63%で、そのなかでも中程度から重度の聴覚障害は27%に上ることがわかっている。10項目の聴覚障害調査票によるスクリーニング、単一質問より有効研究グループは、1980~2011年12月1日までに発表された、高齢者の聴力喪失に関する研究結果について、PubMedを用いて再調査を行った。抽出した1,742件の研究結果のうち、エビデンスの程度が、A(質が高い)、B(中程度の質)以上のものについてのみ、分析を行った。医師による聴力喪失に関する診察時のスクリーニングの種類とその検査能について、以下のような結果が得られた。問診時の質問で、「聞こえにくいことがありますか?」「聞く力が弱くなってきたと思いますか?」という質問による、聴力喪失に関する陽性尤度比は2.4~4.2、陰性尤度比は0.33~0.55だった。さらに、10項目の質問からなる、「聴覚障害調査票、高齢者スクリーニング版」(Hearing Handicap Inventory for the Elderly-Screening Version)で、8ポイント超の場合、陽性尤度比は2.4~7.9、陰性尤度比は0.25~0.70と、先の質問よりも検査能は高かった。2フィート先からのささやき検査、特に除外診断に有効聴力障害のスクリーニングとして、なかでも検査能が高かったのは、2フィート先からの「ささやき検査」だった。6つの文字または数字のうち、3つ以上について聞き取れなかった場合を失格とし、陽性尤度比は7.4、陰性尤度比は0.007と、特に聴力障害の可能性を除外するのに有効だった。一方、オーディオスコープを用いた聴力検査は、ささやき試験よりも検査能は劣り、陽性尤度比は3.1~5.8、陰性尤度比は0.03~0.40だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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クロストリジウム・ディフィシル感染症治療薬「フィダキソマイシン」 アステラスが日本で独占的開発・販売へ

アステラス製薬は30日、米国のバイオ医薬品会社オプティマー社(英名:Optimer Pharmaceuticals, Inc.)と、同社のクロストリジウム・ディフィシル感染症治療薬である「Fidaxomicin(フィダキソマイシン)」について、日本における独占的開発・販売契約を2012年3月29日(米国時間)に締結したと発表した。「フィダキソマイシン」はオプティマー社が開発した新規の作用機序と選択的な抗菌スペクトルを有する経口の大環状抗菌剤で、同社の欧州子会社であるアステラス ファーマ ヨーロッパ Ltd.が、2011年2月に欧州、中東、アフリカ、独立国家共同体(CIS)の地域における本剤の独占販売権を、オプティマー社より取得している。欧州においては、「DIFICLIR」という製品名で販売の準備段階にあるという。また、日本国内においては同剤の開発は行われていないが、今後、同社が開発を進めていくとのこと。なお、欧米で実施されたクロストリジウム・ディフィシル感染症患者を対象とした第III相臨床試験において、同剤はバンコマイシンと同等の臨床治療効果が確認されているという。また、バンコマイシンに対して統計学的に有意に優れた総合治療効果と再発抑制効果があることも認められているとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/post-141.html

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