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新規抗うつ薬「ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬」その実力とは?

 新規抗うつ薬として注目されるノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬(NDDI)であるアゴメラチン。オーストリア・ウィーン医科大学のSiegfried Kasper氏らは、アゴメラチンの有効性および忍容性を評価するため、SSRIやSNRIとの各種比較試験より解析を行った。International clinical psychopharmacology誌2013年1月号の報告。 患者データのプール解析によりアゴメラチンの抗うつ効果をSSRIやSNRIと比較した。適応用量内で実施されたベンラファキシン、セルトラリン、フルオキセチン、パロキセチン、エスシタロプラムを用いた6試験無作為化二重盲検比較試験より解析を行った。一次評価にはHAM-D17を用いた。治療間の差の推定については、最終観察時点(6、8、12週目)の値に基づいて算出した。 主な結果は以下のとおり。・各試験で無作為化された対象患者は2,034例(年齢:47.6±14.9歳、男女比:27:73、HAM-D17トータルスコア:29.6±3.0)。・解析対象患者は最大で1,997例(アゴメラチン群:1,001例、SSRI/SNRI群:996例)。・アゴメラチン群では、SSRI/SNRI群と比較し、HAM-D17トータルスコア(E[SE]=0.86[0.35]、95%CI=0.18~1.53、p=0.013)、HAM-D17におけるレスポンダーレート(p=0.012)、CGI-I(CGI-Improvement)スコア(p=0.032)の有意な改善が認められた。・重度なうつ病患者においても同様な結果が得られた。・アゴメラチン群では、SSRI/SNRI群と比較し、優れた忍容性が認められた。関連医療ニュース ・難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」 ・うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」 ・ドパミンD3受容体拮抗薬、統合失調症治療薬としての可能性は?

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今、話題の糖質制限食は寿命を延ばすことができるのか?

 糖尿病の食事療法は、カロリー制限が標準的な治療として実践されている。しかし、継続できない患者が少なからずいることも事実だ。そこで、カロリー摂取量は無制限にして、糖質(炭水化物)だけを制限する『糖質制限食』が提唱され、昨今わが国でも話題となっている。糖質制限食は、短期的(数週間~数年間)な減量や動脈硬化リスクファクター改善に有効であることが臨床的に示されているが、長期的なアウトカムや安全性についてはこれまで明らかではなかった。 今回、国立国際医療研究センター病院 糖尿病・代謝・内分泌科の能登洋氏らは、糖質制限食による死亡・心血管疾患イベントのメタアナリシスを行った。この結果が第47回日本成人病(生活習慣病)学会で発表される事前に、ケアネットでは単独インタビューを実施した。糖質制限食により総死亡リスクが有意に増加する 能登氏はMedline、EMBASE、ISI Web of Science、Cochrane Library、ClinicalTrials.gov、医中誌を用いて2012年9月12日までの検索を行い、その該当文献中の引用文献から適切な研究を選択し、システマティックレビューを実施した。その結果、492報が該当し、メタアナリシスに9報を精選した。 総死亡については4つのコホート研究(6サブグループ)が解析対象となった(追跡期間5~26年)。227,216人(女性66%)のうち、総死亡者数は15,981人であり、糖質制限食の遵守は、総死亡に対する有意なリスクファクターであった〔調整リスク比 1.31(95%信頼区間:1.08~1.59)、p=0.007〕。 また、心血管疾患死については3つのコホート研究(5サブグループ)が解析対象となった(追跡期間10~26年間)。249,272人(女性67%)のうち、心血管疾患死亡者数は3,214人であり、心血管疾患死に対して、糖質制限食遵守は有意なリスクファクターとして認められなかった〔調整リスク比 1.10(95%信頼区間:0.98~1.24)、p=0.12〕。同様に、心血管疾患発症に対しても有意なリスクファクターではなかった〔調整リスク比 0.98(95%信頼区間:0.78~1.24)、p=0.87〕。 能登氏らの研究結果は、糖尿病患者への影響は不明であるものの、糖質制限食の長期的な有用性は認められず、むしろ死亡リスクが有意に増加することを示唆した。米国糖尿病協会(ADA)のガイドラインにおいては「糖質制限食、低脂肪食、カロリー制限食、地中海食は短期間(2年まで)の減量には有効」と記述されており、能登氏は「短期間(2年まで)」と表記されていることが重要だと述べる。これは最近発表された2013年版においても変わっていない。すなわち、継続性や減量効果の持続性や長期アウトカムについては不明であったからだ。したがって、患者さんには「糖質制限食は短期的な(2年まで)減量効果や動脈硬化リスクファクターの改善効果があるものの、続けやすい食事療法ではなく、長期的には体重も戻りやすく生命の危険性の可能性もある」ことを伝えることが大事だとし、薬物治療を実施している糖尿病患者さんでは低血糖を回避するためにも、糖質制限食だけでなく、どのような食生活をしているかについて尋ねることも重要だと述べた。患者さんは食生活について(とくに遵守できていない場合)、主治医に自ら話したがらないことも多いので、医療スタッフが患者さんに尋ねることが、患者さんの食生活の把握には有効だとしている。

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ネクサバール、放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺がん患者の無増悪生存期間の延長を達成

 ドイツのバイエル ヘルスケア社と米国オニキス・ファーマシューティカル社は3日、放射性ヨウ素治療抵抗性の局所進行性または転移性分化型甲状腺がん患者を対象としたネクサバール錠(一般名:ソラフェニブトシル酸塩)の第III相臨床試験において、主要評価項目である無増悪生存期間の統計学的有意な延長が認められたことを発表した。バイエル薬品が10日に報告した。 DECISION (stuDy of sorafEnib in loCally advanced or metastatIc patientS with radioactive Iodine refractory thyrOid caNcer)試験は、無作為化プラセボ対照の国際多施設共同試験。 同試験では、化学療法やチロシンキナーゼ阻害剤、VEGFまたはVEGF受容体を標的としたモノクローナル抗体、またはその他の分子標的薬の前治療歴のない、放射性ヨウ素治療抵抗性の局所進行性または転移性分化型甲状腺がん(乳頭がん、濾胞がん、ヒュルトレ細胞がん、低分化がん)の患者さん417名が登録され、ネクサバール400mgを経口で1日2回投与する群と、同量のプラセボを投与する群に、無作為に割り付けられた。プラセボ群の患者の病勢が進行した場合は、患者の状態を考慮した上で、治験責任医師の判断により、ネクサバールの投与に切り替えるとが可能であった。本試験の主要評価項目は、RECIST基準に基づいた無増悪生存期間で、副次評価項目は、全生存期間、無増悪期間、奏効率、奏効期間などであり、併せて安全性と忍容性も検討されたという。 試験の有効性および安全性に関する詳細な分析の結果は、今後開催される医学学会で発表される予定とのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://byl.bayer.co.jp/html/press_release/2013/news2013-01-10.pdf

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Qスイッチレーザーのタトゥー除去成功、セッション15回で74.8%

 Pier Luca Bencini氏らは、Qスイッチレーザーのタトゥー除去のアウトカムと後遺症への影響について前向き観察コホート研究を行った。その結果、臨床効果を減じる因子として喫煙や色(黒と赤以外)などが関連していることを明らかにした。著者によると、本検討はQスイッチレーザーによる効果的なタトゥー除去のための予後因子を評価する初の研究であるという。Archives of Dermatology誌2012年12月号(オンライン版2012年9月17日号)の掲載報告。 本研究は、Qスイッチレーザーのタトゥー除去の治療方針と予後に影響を及ぼす因子について解析することを目的とし、イタリア・ミラノのレーザー治療センターで行われた。 被験者は全員、同一の施術者によって、Q-switched 1,064/532nm Nd:YAG laserまたはQ-switched 755-nm alexandrite laserにより除去手術を受けた。レーザーセッションのスケジュールは、6週間以上の間隔が空けられた。 主要評価項目は、治療の成功(タトゥー除去が一時的な皮膚表面の低色素や黒ずみを除く有害事象を伴うことなく行われた場合)と定義した。 主な結果は以下のとおり。・1995年1月1日~2010年12月31日の間に397人の連続患者が登録された。そのうち352人(男性201人、女性151人、年齢中央値30歳)が解析に組み込まれた。・タトゥー除去に成功した患者の累積割合は、レーザーセッション10回後で47.2%(95%CI:41.8~52.5%)、15回後で74.8%(同:68.9~80.7%)であった。・治療の臨床効果の減少と関連していた因子として、喫煙、赤と黒以外の色がある場合、タトゥーが30cm2超、下肢にあるまたは36ヵ月以上前からのタトゥー、高い色密度、治療間隔が8週間未満、黒ずみの発現が認められた。・以上の結果から、著者は「タトゥー除去の治療プランでは、有効率に影響を及ぼす因子について考慮すべきである」と提言する。

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ヒトとトナカイの鼻腔微小血管は類似していることが明らかに/BMJ

 クリスマスソングに登場する世界で最も有名なトナカイのルドルフ。歌にあるように、トナカイの鼻が明るく赤く発光しているのは、鼻腔微小血管の赤血球が豊富で血管密度が高い(ヒトよりも25%高値)からであることを、オランダ・エラスムス大学のCan Ince氏らが、ハンディカムタイプの生体内用ビデオ顕微鏡を使った観察研究によって明らかにした。同ビデオ顕微鏡の登場でヒトの臓器の微小血管を描出することが可能になったが、これまで鼻腔微小血管の描出は行われたことがないという。BMJ誌2012年12月22日号(オンライン版2012年12月14日号)掲載「クリスマス特集」より。ビデオ顕微鏡でヒトとトナカイの鼻腔微小血管を観察 研究グループは、生体内用ビデオ顕微鏡がルドルフ(空を飛ぶこともできるとされる)の赤く光る鼻の謎を解くことに役立つのではないかとして、同器具を用いた観察研究を行った。 ノルウェーのトロムソ(北極の近く)とオランダのアムステルダムで、5人の健康なボランティアと2頭の大人のトナカイ、およびグレード3の鼻ポリープを有する患者1人を対象に行われた。 主要評価項目は、鼻中隔粘膜の微小血管構造と下鼻甲介の上部構造、赤血球速度、塗り薬に対する微小血管のリアルタイム反応性であった。伝説のトナカイの赤鼻の謎も明らかに 結果、ヒトとトナカイの鼻腔微小血管は類似していることが明らかになった。 トナカイの鼻中隔粘膜のヘアピン様の毛細血管は、赤血球が豊富であり、潅流血管密度は20(SD 0.7)mm/mm2であった。 赤血球が流れる毛細血管に囲まれるように点在する陰窩や腺様の構造が、トナカイおよびヒトの両者で認められた。 健康なボランティアに対して行った鼻腔微小血管の反応性テスト(局所麻酔薬で血管収縮を引き起こす)の結果は、毛細血管の血流をダイレクトに停止させたことが確認された。 また、鼻ポリープを有する患者では、微小血管の異常が認められた。 以上の結果を踏まえて著者は、「トナカイの鼻腔微小血管は赤血球が豊富で、潅流血管密度もヒトより25%高かった。これらの結果は、ルドルフの鼻は赤く光るという伝説が、固有の生理学的な性質であることを示す。その特性は、そりを引いている間に鼻が凍らないようにして、トナカイの脳内温度を調節するためであり、極寒下でサンタクロースをそりに乗せて飛ぶのに必須なものであることが強調された」とまとめている。

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人工膝関節形成術へのドクターフィー年5%減で起きた総医療費の劇的上昇

 米国では1997年8月に財政赤字への懸念から連邦均衡予算法(Balanced Budget Act of 1997)が可決され、メディケアプログラム下の医師への診療報酬(ドクターフィー)の引き下げが命じられた。個々のドクターフィー引き下げそのものによる節減効果と、加えて報酬引き下げは労働インセンティブを低下させ、結果としてアウトプットが減り節減効果がもたらされる、という2つの支出コスト抑制効果があると考えられたためであったという。その一方で、「症例数を増やして個々の減額分の穴埋めをするようになるから、かえって支出コストの増大につながる可能性がある」との指摘もあった。米国・ペンシルベニア大学整形外科のJoseph Bernstein氏らは、個々の症例に対する報酬の引き下げは総量の増大に結びつくとの仮説を整形外科領域で検証するため、1995~2006年の間の人工膝関節形成術(TKA)数などを調べた。Orthopedics誌2012年12月号の掲載報告。 整形外科治療の総コストは一般に、ドクターフィーの何倍も大きく、大部分はインプラントのコストが占めている。そのため、労働アウトプットの増大は、とくに整形外科手術のような分野でかなりの経済的影響がみられることから、研究グループはTKAを対象に調査を行った。 手術件数は、Healthcare Cost and Utilization Project(HCUP)の全国入院患者サンプルから入手し、メディケア・メディケイドサービスセンターから65歳以上患者の数を入手し分析した。 主な結果は以下のとおり。・1996~2005年の10年間で、TKAに対するドクターフィーは年率でおよそ5%ずつ引き下げられ、2,847ドルから1,685ドルへと減額していた。・一方で同期間に、手術件数は25万3,841件から49万8,169件へと増加(年間のメディケア受給者1,000人当たりTKA件数は7.6から13.9へと増加)していたこと、また病院に対する支払いが医師への支払いを大きく上回っているため、TKAに関する総コストは劇的に増大した。・1996年のドクターフィー総計は7億2,300万ドルであったが、その後の9年間は平均6億5,400万ドルであった。10年間の総計は66億800万ドルであった。・一方、ホスピタルフィー総計は、10年間で推定71億ドル以上増えていた。10年間の総計は360億ドルであった。・以上の結果を踏まえて著者は、「ドクターフィーを引き下げ続けると、医療費コストは増大し続ける結果が示された。、全体的な医療費コストをコントロールするための最良の戦略としては、外科の報酬は低くするよりも、高くするほうがよい可能性がある」と述べている。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(46)〕 糖尿病・多枝病変患者ではDES-PCIはCABGと比較して4年の短期追跡でも心筋梗塞・死亡率は高い

糖尿病患者に対する冠動脈血行再建術選択に関しては、BARI studyの結果から冠動脈インターベンション(PCI)は冠動脈バイパス術(CABG)と比較すると糖尿病患者100人に対して5年間で15人、7年間で20人、10年間で22人死亡数が多いことが報告されているが、ランダム化試験のサブグループ解析結果でありエビデンスレベルはCであった。FREEDOM Trialは糖尿病管患者に対するDESを使用したPCIとCABGを比較した初のランダム化試験である。 冠血行再建術選択は、主として冠動脈狭窄病変の解剖学的条件に重点が置かれる傾向にあり、糖尿病合併の有無はその適応決定に影響しないという意見がある。実際に複雑病変(主幹部病変・3枝病変)を対象としたSYNTAX trialの結果では、4年の追跡期間でCABG群と比較してPCI群では死亡率、心筋梗塞発症率、再血行再建術率のすべてが高率であり、糖尿病の有無は予後に影響しなかった。 主幹部病変を含まない2枝病変のようなシンプルな冠動脈疾患の場合は、糖尿病合併の有無がPCIかCABGの選択に重要と思われる。Hlatkyらのメタ解析(主幹部病変を除外した2枝病変63%あるいは3枝病変37%)の結果で、糖尿病患者においてはPCIよりもCABGを選択する方が生命予後は良好であることが示されている。また、国内の多施設・大規模レジストリ研究であるCREDO-Kyoto研究でも、軽症冠動脈疾患(主幹部病変を除外した2枝病変49%または3枝病変51%)を対象とした場合、糖尿病患者ではPCIよりもCABGを選択した方が生命予後は良好であることが報告されている。さらに、糖尿病患者を対象としたBARI 2D試験では、積極的薬物治療下でも、CABGを施行することにより心筋梗塞発症率をさらに低下させることが示された。FREEDOM Trialの結果、追跡期間5年という短期間でもPCIはCABGと比較して死亡率、心筋梗塞発症率が高い結果となった。しかし、対象患者の80%以上が3枝病変であるので、「糖尿病・3枝病変ではCABGが有利[エビデンスレベルB]というのが冷静な解釈であると考える。Hlatkyらのメタ解析結果を超えるものではなく、今後糖尿病・シンプル病変におけるCABGの治療効果を評価するためのランダム化試験が必要である。

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神経ステロイド減量が双極性障害患者の気分安定化につながる?

 近年、臨床および前臨床研究から、GABA受容体作動性神経ステロイドの量的変動と気分障害の病態との関連性が明らかになりつつある。イタリア・カリアリ大学のMauro Giovanni Carta氏らは、これまでに報告された基礎的ならびに臨床的研究をレビューし、神経ステロイド量の減少が気分障害の悪化に関連しており、神経ステロイド量の是正/増加が気分安定化につながる可能性を示唆した。Behavioral and Brain Functions誌オンライン版2012年12月19日号の掲載報告。 神経ステロイドは脳内で合成され、脳の興奮性を調節しているが、この神経ステロイドが鎮静作用、麻酔作用、抗痙攣作用を有し、さらに気分に影響を及ぼすというエビデンスが蓄積されつつある。一般に、神経ステロイドはプレグナン系(アロプレグナノロン、アロテトラヒドロデオキシコルチコステロン)、アンドロスタン系(アンドロスタンジオール、エチオコラノン)、サルフェート系(プレグネノロンサルフェート、デヒドロエピアンドロステロンサルフェート)などに分類されるが、とくにアロプレグナノロン、アロテトラヒドロデオキシコルチコステロンなどのプロゲステロン誘導体が気分障害の病態に関与し、気分安定化に重要な役割を果たしている可能性が示唆されている。  著者は、これらは、以下の主な知見によって支持されるとした。・双極性障害の気分安定化への有効性が示されているクロザピンおよびオランザピンは、ラットの海馬、大脳皮質および血清中のプレグネノロンレベルを上昇させる。・リチウム投与マウスでは、非投与マウス(コントロール)に比べ血中アロプレグナノロン、プレグネノロンレベルの上昇が認められる。・双極性障害の女性では、概して月経周期に関連して症状の悪化がみられる。出産直後はプロゲステロン誘導体レベルの低下が認められ、それに伴って気分障害が発症または再発しやすい。・一方、双極性障害の改善を認めた女性では、月経前の期間に健常人または大うつ病性障害の女性に比べて血漿アロプレグナノロン濃度の上昇が認められる。・うつ病エピソードの期間、血中アロプレグナノロンレベルは低い。・フルオキセチンは、うつ病患者における神経ステロイドレベルを正常化する傾向にある。・以上の結果、「多くの抗痙攣薬が双極性障害に対して有効である、あるいは神経ステロイドに抗痙攣作用がみられるという事実と矛盾しない」とした上で、「神経活性ステロイドの作用に関するさらなる探究は、気分障害、とくに双極性障害の病因および治療の研究において、新分野の開拓につながりうる」としている。関連医療ニュース ・夢遊病にビペリデンは有望!? ・オキシトシン鼻腔内投与は、統合失調症患者の症状を改善 ・南に住んでる日本人では発揚気質が増強される可能性あり

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イヌの嗅覚を活かしたC difficile感染症の病棟スクリーニングの可能性/BMJ

 オランダ・VU University Medical CentreのMarije K Bomers氏らは、イヌの優れた嗅覚を、便検体および入院患者のクロストリジウム・ディフィシル(C difficile)感染症の検出に活用できることを実証するための試験(principle study)を行った。その結果、感度・特異度ともに高く(便検体では100%)、検出が可能であることが示されたという。BMJ誌2012年12月22日号(オンライン版2012年12月13日号)掲載「クリスマス特集」より。イヌに嗅ぎ分けを訓練し、便検体および300人の患者で検証 研究は、ケースコントロール研究デザインの手法を用いて、オランダの2つの教育病院で行われた。 2歳のビーグル犬にC difficileを嗅ぎ分ける訓練を2ヵ月間行った後、2つの診断精度を検証する試験を行った。 1つは便検体を嗅ぎ分ける試験で、陽性検体50例と陰性検体50例を用いて行われた。C difficileの匂いを正確に嗅ぎ分けられるかを調べるため、それぞれの検体は異なる材質に貼付し環境や濃度を変えて繰り返し(10回)ビーグル犬に提示された。 もう1つは、300人の患者を嗅ぎ分ける試験だった。患者は30人がC difficile感染症群、270人が対照群で、トレーナー(患者の感染状態を知らされていない)がビーグル犬を病室に導いて行われた。各病室には、10人の患者(1人が感染症者、9人が対照群)がおり、ビーグル犬は、感染者を見つけたらその場に座るか伏せをするように訓練されていた。 主要評価項目は、便検体および患者対象の試験におけるC difficile検出の感度と特異度であった。検出の感度と特異度、便検体は100%・100%、患者は83%・98% 結果、便検体の試験では、感度、特異度ともに100%(95%信頼区間:91~100)であった。 患者検出試験では、感染者については30人中25人(感度83%、95%信頼区間:65~94)を正しく嗅ぎ分け、対照群については270人中265人(特異度98%、95%信頼区間:95~99)を正しく嗅ぎ分けた。 C difficile感染症は、早期かつ迅速に同定し十分な隔離と治療を開始することが感染の拡大を防ぐために重要となる。しかし先行研究によると、症状発現から治療開始までに平均3~8日を要していると報告されていた。本研究の結果を受けて著者は、「イヌがC difficile感染症を検出できるよう訓練することは可能であり、病棟スクリーニングに活用できる可能性がある。そのようなスクリーニングは、よくある診断の遅れを回避し、C difficile感染症のコントロールおよび拡大防止に役立つ可能性がある」とまとめている。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(44)〕 MADIT試験の変遷

はじめに 欧米における心臓突然死は年間35万人と推定され、その約80~90%が虚血性心疾患による心室性頻脈性不整脈が原因とされている1)。わが国における心臓突然死は年間6~8万人と推測され2)、約35%が心筋症(拡張型、肥大型、催不整脈右室心筋症など)、約30%が虚血性心疾患、その他プライマリ不整脈疾患(ブルガダ症候群、QT延長症候群、J波症候群など)の内訳となっている3)。心臓不整脈死の予防に対して、植込み型除細動器(ICD)の有効性はすでに確立されているが、本稿では主にMADIT試験の変遷に準拠して概説してみる。MADIT(Multicenter Automatic Defibrillator Implantation Trial)-I試験4) 陳旧性心筋梗塞の既往を持つ左室駆出率35%以下の心不全例(NYHA I~III)で、無症候性の非持続性心室頻拍(心拍数>120/分、3連発以上)を有し、プロカインアミド無効な心室頻拍・心室細動が誘発された196例を対象に、ICD治療群と抗不整脈薬治療群の無作為割り付けによる生命予後を比較した試験である(平均観察期間27ヵ月)。その結果、ICD治療群は抗不整脈薬治療群に比し総死亡率を54%低下させた(p=0.009)。サブ解析では、左室駆出率26%未満の高度左室機能障害例でとくに高いICD治療群の生命予後改善効果が示された。本試験により、虚血性心疾患に対するICD治療の高い心臓突然死の一次予防効果が確認された。MADIT-II試験5) 同様に、陳旧性心筋梗塞の既往を持つ左室駆出率30%以下の心不全患者1,232例(NYHA I~III)を対象に、非持続性心室頻拍や心室頻拍・心室細動の誘発性は問わず、ICD治療群742例と抗不整脈薬群490例の無作為割り付けによる生命予後を比較した試験である(平均観察期間20ヵ月)。その結果、ICD治療群は抗不整脈薬治療群に比し総死亡率を31%低下させた(p=0.007)。サブ解析では、左室駆出率25%未満の高度左室機能障害例やQRS幅150msec以上の心室内伝導障害例における高いICD治療群の生命予後改善効果が示された。MADIT-CRT(Cardiac Resynchronization Therapy)試験5) 虚血性、非虚血性を問わず左室駆出率30%以下、QRS幅130msec以上の心不全患者1,820例(NYHA I~II)を対象に、ICD治療群731例とCRTD治療群1,089例の3:2無作為割り付けによる生命予後、ならびに心不全発症の複合イベントを比較した試験である(平均観察期間2.4年)。その結果、CRTD治療群はICD治療群に比し複合イベント率を41%低下させた(p<0.001)。サブ解析では、QRS幅150msec以上の心室内伝導障害例における高いCRTD治療群の心不全予防効果が示された。MADIT-RIT(Reduce Inappropriate Therapy)試験7) 以前より、ICDの上室性頻脈性不整脈などによる不適切作動は患者の生命予後を悪化させることが指摘されていた8)。そのICDの不適切作動を減らすために、ICD移植1,500例を対象に異なる3つの作動プログラミング設定(標準、高心拍、待期的)について検証した国際多施設無作為化試験の結果が、最近になって報告された(平均観察期間1.4年)。従来のICD標準作動プログラム群(170~199拍/分は2.5秒待機で作動、200拍/分以上は1.0秒待機で作動)に比し、高心拍数作動群(200拍/分以上は2.5秒待機で作動)は、初回不適切作動を79%減らし(p<0.001)、全死亡を55%減らす(p=0.01)結果であった。同様に、従来のICD標準作動プログラム群に比し、待機的作動群(170~199拍/分は60秒待機で作動、200~250拍/分は12秒待機で作動、250拍/分以上は2.5秒で作動)は、初回不適切作動を76%減らし(p<0.001)、全死亡を44%減らす(p=0.06)結果であった6)(参考文献6 Figure1、Figure2)。本研究の結果より、ICDの作動プログラミング設定を適切に調節することにより、誤作動を減らし、患者の生命予後を改善させることが示された。おしまいに イスラエル出身のミロウスキー博士によって開発されたICDは、第1例目の移植術が始まってすでに30年以上も経過している。もし、より疼痛が少ない抗頻拍ペーシングや短時間での除細動が可能となれば、患者の精神的苦痛も軽減されるであろう。今後のICD治療には、患者の生命予後改善のみならず、日常生活の質(QOL)向上を目的としたデバイスの開発ならびに設定の配慮が必要であろう。参考文献1. Bayés de Luna A, et al. Am Heart J. 1989; 117:151-159.2. 豊嶋英明ほか.心臓性突然死の疫学.In:村山正博ほか編.心臓性突然死.医学書院;1997.p.6-18.3. 笠貫宏.ICDの適応.日本心臓ペーシング・電気生理学会植込み型除細動器調査委員会編.植込み型除細動器の臨床.医学書院;1998:p.15-32.4. Moss AJ, et al. N Engl J Med. 1996; 335: 1933-1940.5. Moss AJ, et al. N Engl J Med. 2002; 346: 877-883.6. Moss AJ, et al. N Engl J Med. 2009; 361: 1329-1338.7. Moss AJ, et al. N Engl J Med. 2012; 367: 2275-2283.8. Daubert JP, et al. J Am Coll Cardiol. 2008; 51: 1357-1365.

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多枝冠動脈疾患の糖尿病患者、DES-PCIよりCABGが長期アウトカム良好/NEJM

 糖尿病で多枝冠動脈疾患の認められる患者には、冠動脈バイパス術(CABG)が、積極的薬物治療併用の薬剤溶出性ステント(DES)による経皮的冠動脈インターベンション(PCI)よりも、長期アウトカムが良好であることが明らかになった。一方で脳卒中発生率は、CABG群でDES-PCI群のおよそ2倍に上った。これまでに、糖尿病患者に対するCABGがPCIより良好であるとする試験結果はあったが、DES-PCIと積極的薬物治療の併用を比較したものは今回が初めてという。米国・Mount Sinai School of MedicineのMichael E. Farkouh氏らが、140ヵ所の医療機関を通じて行った無作為化比較試験「FREEDOM試験」の結果、報告した。NEJM誌2012年12月20日号(オンライン版2012年11月4日号)掲載より。被験者1,900人を無作為化、中央値4年弱追跡 FREEDOM試験では2005~2010年にかけて、糖尿病で多枝冠動脈疾患の認められる患者1,900人を無作為に2群に分け、一方にはDES-PCIを、もう一方にはCABGを行い追跡した。被験者には全員、LDLコレステロール、収縮期血圧、糖化ヘモグロビンのコントロールに関する推奨薬物治療が行われた。 主要アウトカムは、総死亡、非致死心筋梗塞または脳卒中の複合イベント発生だった。追跡期間は最低2年(中央値:3.8年)だった。 被験者の平均年齢は63.1歳(標準偏差:9.1)で、女性は29%、三枝冠動脈疾患が認められたのは全体の83%だった。心筋梗塞発生率、総死亡率ともにCABG群がPCI群より低率 結果、主要アウトカム発生はPCI群で多く、5年発生率は、PCI群が26.6%、CABG群が18.7%だった(p=0.005)。 内訳をみると、心筋梗塞5年発生率はPCI群が13.9%に対しCABG群が6.0%、総死亡率はそれぞれ16.3%と10.9%と、いずれもCABG群で有意に低率だった(それぞれ、p<0.001、p=0.049)。 一方で脳卒中発生率は、CABG群でPCI群より有意に高率で、5年発生率は、PCI群が2.4%に対しCABG群は5.2%だった(p=0.03)。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(43)〕 もうひとつのeGFR算出式(CKD-EPI)を使った200万人規模のメタ解析が明らかにする『高齢者CKDはAgingに非ず』

今世紀になって、CKDが新たな心血管リスクとして注目されているのは周知のことである。CKD診療のゴールは、『健康長寿(healthy longevity)の実現』と『腎不全の回避』を両立させることにある。CKDの診断基準は、持続するeGFRの低下あるいは、アルブミン尿(蛋白尿)をはじめとする腎障害のいずれか(あるいは両方)を満たす場合とされたが、KDIGO Controversy Conferenceに代表される議論の末1)、eGFR・アルブミン尿(タンパク尿)・腎障害の原因を考慮したComposite Rankingが採用されることになった。 本論文はCKDクライテリアであるeGFRとアルブミン尿(蛋白尿)について、全死亡・末期腎不全(ESRD)に対するサロゲートマーカーとしての妥当性・正当性を、改めて検討することを主眼にしている。とくにeGFRの低下と加齢については、その独立性についての疑問が指摘されており、CKDの分類以前に、受容できる臨床リスクとしての性能や精度が問われていた背景がある。eGFRの低下は高齢者では加齢による結果であり、不可避な老化現象ではないかといった議論が根強く残っていた。本研究では、eGFRの算出にあたり、従来のModification of Diet in Renal Disease(MDRD)Study式に代わって、同じ変数を使いながら、よりリスク予測能が高いとして注目されている慢性腎臓病疫学共同研究(CKD-EPI)式2)を用いていることも大きな特色である。 200万人を超える膨大なデータを解析した結果、eGFR(CKD-EPI)とアルブミン尿(蛋白尿)はともに、年齢とは独立したリスク(全死亡、ESRD)であった。一般集団・ハイリスク集団を対象とした解析から、全死亡に対するeGFRの相対リスクは、加齢とともに低下する傾向にあったが、絶対リスクは、加齢とともに増加する傾向が認められた(Figure1 A/C)。eGFRの低下は、加齢によるリスク上昇により相殺される傾向があるといえる。eGFRを標的にした治療には、年齢別にcost-effectivenessを考慮する必要がでてくるかもしれない。ESRDをエンドポイントとした解析では、アルブミン尿(蛋白尿)は、加齢に対する独立性は認められるものの、年代によるリスク差がほとんどないことが特徴であった(Figure2 B/D)。この結果は、CKDクライテリアに質的診断を加味したComposite Rankingの妥当性を裏付けているといえよう。 先行するCKD-EPI式とMDRD式によるeGFRの算出結果を比較検討した研究から、従来のMDRD式によって、低eGFRによるCKDが過大に評価されている可能性が示唆された3)。精度の足りない計測や測定法による数値に基づいた議論が、診療の最適化を目指すガイドラインを有名無実にすることがあってはならないのは、言うまでもないことであろう。

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Dr.香坂の循環器診療 最前線

第1回「心房細動はどこを治療する?」第2回「狭心症の診断と治療」第3回「心不全は見た目ではない」 絶えず進歩し続けるダイナミックな循環器領域。その診断・治療法について最新の研究結果をカバーしながら、疾患概念の本質(コア)を押さえるお手伝いをします。様々な検査や治療方法がからんでくる循環器は一見複雑ですが、派手な所見や手技に目を奪われず、その患者さんにとって一番大事なポイントを押さえることが肝要です。豊富なエビデンスとリサーチをもとに、臨床の現場ですぐに役立つ情報を基本から分かりやすく解説。実際の処方例や検査のアプローチの仕方を見直しながら、視野を広げて、着実にステップアップしていきましょう!第1回「心房細動はどこを治療する?」心房細動のポイントはまず“やり過ぎない”こと。そして、リスクを知った上で最大限効果を挙げられる治療法を選ぶことです。「心房細動はすべて敵だ!」というような、一昔前の考え方を捨て、どの人にどのような手段を選んでいくのか、テーラーメードな治療の選択を目指しましょう。第2回「徹底的にエビデンスにこだわった狭心症の診断と治療」ダイナミック(動的)な疾患、安定狭心症。そのワークアップは安静時の症状や心電図だけで語ることはできません。負荷試験を組み合わせ、さらに診断と予後の情報を分けて考えていきましょう。その治療も PCI なのか CABG なのか、という二択ではなく、より立体的にとらえる必要があります。このセッションを通じて狭心症のマネジメントの枠を広げましょう。第3回「心不全は見た目ではない」治療は見た目ではない: ラシックスの一辺倒は時代遅れ?予後は見た目ではない: 心臓は全身から支えられている機能は見た目ではない: 心機能が落ちていないのに心不全?『EF』よりもだいじなもの

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家族性のがんリスクに関する検討/BMJ

 がんの家族性リスクが早期発症例に限定されるかどうかを判断するため、ドイツがん研究センターのE Kharazmi氏らは、全国規模のSwedish Family-Cancer Databaseを用いて前向きコホート研究を実施した。その結果、「子」のがんリスクが最も高くなるのは「親」が若い年齢で同一がんが診断された場合だが、「親」が高齢で診断された場合においてもリスクが増加することが認められた。著者は、「家族性のがんは、高齢でがんに罹患した家族を持つ人々における早期発症をいうのではなく、早期発症と遅発性発症という別個の構成要素があるのかもしれない」と考察している。BMJ誌2012年12月20日号に掲載。 本研究の対象は、1931年以降に生まれたすべてのスウェーデン人とその両親の計1,220万人で、主なアウトカムは診断時の年齢による同一がんの家族性リスクであった。 主な結果は以下のとおり。・「親」が若い(40歳未満)ときにがんと診断された場合に、家族性リスクが最も高かった。・「親」が高齢(70~79歳、80~89歳)で診断された場合でも、大腸がん、肺がん、乳がん、前立腺がん、膀胱がん、黒色腫、皮膚扁平上皮がん、非ホジキンリンパ腫では、家族性リスクが有意に増加した。・「親」がより高齢(90歳以上)で診断された場合でも、「子」における同一がんのリスクは、皮膚扁平上皮がん(ハザード比:1.9、95%信頼区間:1.4~2.7)、大腸がん(同1.6、同1.2~2.0)、乳がん(同1.3、同1.0~1.6)、前立腺がん(同1.3、同1.1~1.6)で有意に増加した。・「親」が50歳未満でがんに罹患し、「子」が60~76歳でがんと診断された場合は、ほぼすべてのがんで家族性リスクの有意な増加はみられなかった。

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雪下ろしによる転落外傷、記録的な大雪に見舞われた2010年冬からの教訓

 2010年冬にフィンランドでは記録的な大雪に見舞われ、とくに南部地方で雪下ろしのために屋根に上った人の転落外傷が例年にない規模で発生したという。ヘルシンキ大学病院のM. Aulanko氏らは、その発生状況と大学病院で行われた処置およびコストなどについて解析した。Scandinavian Journal of Surgery誌2012年第4号12月15日号の掲載報告。 本研究は、ヘルシンキ大学病院外傷診療部門で治療を受けた、突発的な転落により外傷を負った患者の外傷パターン、院内治療、外科手術、および主要な入院総コストを調べることを目的とした。 同部門で2010年1月1日~3月31日の間に治療を受けた、雪下ろしで転落し外傷を負った患者をすべ登録した。年齢、性別、可能な限り飲酒の影響、安全ベルトの有無、転落した高さ、職業などが記録された。また、外傷発生の時間帯、場所、入院遅延、外傷状態、手術、ICU入室期間および入院期間もレトロスペクティブに調べた。 コストについては、6月末までのアフターケアも含めた分について検証した(仕事への影響、リハビリテーション治療などのコストは除外した)。 主な結果は以下のとおり。・屋根から転落したのは30例(65%)であり、12例ははしごからの転落であった。・屋根から転落したが、安全ベルトで地面への激突を免れた人は3例であった。・アルコールの影響が認められた人は2例であった。・調査期間の3ヵ月間に入院した患者は、46例であった。そのうち41例(89%)は2月に起きた事故であった。・大半は男性(43例、93%)であり、平均年齢は52.9歳(範囲:22~82歳)であった。・ICUに入院となったのは7例であった。平均入室期間は7日であった。・平均入院期間は4.7日であった。30日死亡率は0%であった。・46例の外傷総数は97件であり、そのうち骨折は65件(63%)であった。最も頻度の高い外傷は、上下肢と脊柱の骨折であった。・調査対象となった大学病院での治療コストは、総計約54万ユーロであり、患者1人当たり約1万2,300ユーロであった。・結果を踏まえて著者は、「同様の不必要な転落を防止するためには、外傷リスクを理解するとともに除雪の必要性についてプロフェッショナルの意見を求めることが重要である。必要であれば、適切な安全ベルトを着用すること、専門業者の助けを借りることが望ましい」とまとめている。

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聖路加GENERAL 【Dr.小林の消化器内科】

第1回「海外で ""生肉""は要注意?」第2回「黄疸は 急いで診断 よい治療」第3回「つっかえ感? まず内視鏡」第4回「先生、胸のあたりが痛むのですが・・・」 第1回「海外で ""生肉""は要注意 ? 」絶対に聞いておきたい4つのポイントや腹部診察のコツを紹介します。【CASE1:72歳女性 急性下痢】倦怠感や嘔気を感じ、徐々に腹痛と下痢も出始めた症状が持続したため外来を受診。急性下痢症の鑑別では、まず小腸型か大腸型かを見分けることが必要です。正しい鑑別のために、絶対に聞いておきたい4つのポイントを紹介します。また、病歴聴取の際は、最近の渡航歴や服薬歴、生肉などの十分加熱されていない食物を口にしていないかといった点についても注意します。これらのポイントに沿って診察を進めた結果、腸管出血性大腸炎と判明しました。さて、ここからどのように原因を探っていけばよいでしょうか。また、どのような場合に直腸診や便培養を行うのか、適切なフォローアップについても見ていきます。【CASE2:21歳女性 慢性下痢】1ヵ月前から下腹部痛、1日3〜4回の下痢が生じ、熱も出始めて外来を受診。発熱と体重減少があったことから、機能性ではなく器質的なものを疑いました。体重の変化など、鑑別で注意すべき病歴から診断の検索をしていきます。このケースでは、腹部診察で索状の腫瘤を触知したので、悪性腫瘍や炎症性腸疾患で壁肥大になっている可能性を疑い、血液検査をした結果、慢性下痢症ということになりました。ではそこからどのように診断を進めていけばよいでしょうか。慢性下痢症の特徴、どのような場合に内視鏡検査を行えばよいか、内視鏡検査で異常が見られなかった場合についても、次に行うべき検査を項目別に分かりやすくお伝えします。また、知っておきたい腹部診察のコツを紹介します。第2回「黄疸は 急いで診断 よい治療」外来でも出くわすことの多い黄疸について紹介します。【CASE1:40歳男性 倦怠感発熱と黄疸症状】1週間ほど前から熱や倦怠感を自覚していたが、市販薬を飲んで仕事をしていた。しかし、数日前から食欲が低下し、尿の濃染や眼球の黄染に気づいて外来を受診。黄疸は外見に出やすく患者自身も気づきやすい症状ですが、鑑別していく上で注意すべき病歴を細かく見ていきます。特に、問診では魚介類の生食の既往を聞くことが多いですが、生肉生食の既往についても、期間は1ヵ月以上と長期的に見ることが重要です。また、黄疸は特にウィルス感染も疑われる疾患ですので、ウィルス性肝炎や評価に役立つ検査方法について分かりやすく解説します。【CASE2:63歳男性 上腹部痛と黄疸症状】1ヵ月ほど前から上腹部の軽い痛みを感じながらも、市販の胃薬で様子をみていたが、最近眼球の黄染が出始め、便が灰白色になったため外来を受診。常用薬はありましたが、黄疸を誘発するようなものではなく、海外渡航歴もないため、ウィルス性肝炎の可能性はあまり考えられません。診察を進め、腹部でやや腫大した胆嚢が触知されましたが、痛みはないということで、急性ではなく別の症状を疑いました。そこで検査所見や腹部超音波検査を行うと、膵がんによる閉塞性黄疸だということがわかりました。発見が遅れると予後の悪い本疾患について、アメリカの例と比較したスクリーニング法や効果的な検査方法など、早期発見のポイントを紹介します。また、最新の治療方法とその成績についてお伝えします。第3回「つっかえ感? まず内視鏡」嚥下障害について、ポイントを押さえ、わかりやすく解説します。【CASE1:64歳男性 嚥下困難(固形物で)】食べ物のつかえ感と胸やけの症状が続いたため、外来を受診。持続する嚥下困難の症状があり、食道の炎症なども考えられるため、詳しく病歴を聞くことにしました。嚥下困難の問診のポイントとなる嚥下痛や体重減少があり、喫煙が1日に20本、飲酒も仕事上機会が多いということから、悪性疾患が疑われます。さらなる精査のため、内視鏡検査を行った結果、食道がんという診断に至りました。早期発見が治療の鍵となる食道がんを鑑別するための効果的な内視鏡検査・治療について最新の情報を紹介します。また、嚥下困難をきたす原因は多岐にわたるため、その鑑別方法について、ポイントを解説します。【CASE2:52歳女性 嚥下困難(液体でも)】数年前から食べ物のつっかえ感を自覚、固形物だけでなく液体でも症状が見られます。症状が持続し体重減少があるものの、既往歴はなく身体所見でも異常はありません。このようなケースで医療面接で聞いておくべきポイント、嚥下障害の非消化管疾患について詳しく紹介します。本症例では液体でも嚥下障害が見られるということで、機能的疾患を疑い内視鏡検査を行いましたが、腫瘤性病変は認められず、更なる精査として食道内圧測定を行った結果、アカラシアと診断しました。アカラシアは比較的まれな症例ですが、早期発見が重要な疾患です。アカラシアに関する効果的な検査、最新の治療方法を紹介します。第4回「先生、胸のあたりが痛むのですが・・・」患者が痛みを訴える部位とは異なる場所が原因ということもあります。腹痛の部位によってカテゴライズした鑑別診断について詳しく説明します。【CASE1:45歳男性 高血圧の既往のある心窩部痛】来院当日に心窩部痛を発症し来院。ACSが疑われたため、心電図をとったところ不整が見られましたが、フォローの心電図、トロポニンともに異常なかったことから別の原因が考えられます。血液検査でも白血球がわずかに増多していた他は異常なし。来院前に嘔吐や下痢があり、改善していないこと、急性発症という点、そして他の疾患の特徴にあてはまらないことから腹部CTを行った結果、腫脹した虫垂を認め、急性虫垂炎の診断に至りました。腹痛は日常診療で頻繁に遭遇する疾患ですが、原因が患者が痛みを訴える部位とは異なる関連痛もあり、その鑑別は多岐に渡ります。腹痛について分かりやすく、診察でつかえるポイントを詳しく紹介します。【CASE2:47歳女性 腹部膨満感を伴う心窩部痛】半年前から心窩部痛を自覚していた。最近になって腹部膨満感を感じるようになったため外来を受診 。しかし、食事との関連や体重減少もなく、検査でも異常ありません。そこで、鑑別診断として機能性ディスペプシアを疑いました。機能性疾患の診断に必要な器質的疾患の除外のために行う検査について、ポイントを押さえてわかりやすく紹介します。また、腹痛の部位によってカテゴライズした鑑別診断について詳しく説明します。最近のホットトピックでもあるヘリコバクター・ピロリについても、検査に役立つ注意事項など、最新の情報をお伝えします。

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聖路加GENERAL 【Dr.仁多の呼吸器内科】

第1回「息が苦しいのはどういう時ですか?」第2回「胸が痛いのは、心臓のせいだけではありません」第3回「慢性の咳にはまずCXRから」第4回「先生、痰に血が混じっているのですが・・・」 第1回「息が苦しいのはどういう時ですか?」鑑別の難しい呼吸器疾患へのアプローチのポイントについて、役立つ情報が満載です。【CASE1:軽い咳と白色痰が続くために来院した65歳の男性】身体所見は特に問題ありません。しかし、よくよく聞いてみると、数年前から駅の階段を昇る時に息苦しさがあり、最近強くなってきたことがわかりました。また、この患者は40本/日の喫煙を45年間続けていました。労作時呼吸困難は、医師から尋ねないとわからないことが多いため、詳細な問診が重要なポイントになります。検査の結果、労作時呼吸困難の原因は重度のCOPDでした。他に考えられる労作時呼吸困難を引き起こす症例としては間質性肺炎があります。その診断方法、病期分類、治療について詳しく解説します。【CASE2:3ヶ月前から駅の階段を昇るときに息苦しさを感じ始め、増悪傾向の60歳女性】この方は、ペットとしてチンチラを飼っています。肺疾患の場合、ペット飼育歴や住環境を必ず確認します。診察の結果、聴診で両下肺野でfine cracklesを聴取しました。呼吸副雑音を聴取したときは、その音の性質とフェーズを確認することで、その原因をある程度絞り込むことができます。その方法について、詳しく解説します。そして、びまん性肺疾患の場合、症状がない場合でも専門医に送ることが勧められています。必要な検査を実施し、治療方針を立てて、協力しながら治療を進めることが重要です。この患者の場合も、検査の結果、意外なところに原因がありました !第2回「胸が痛いのは、心臓のせいだけではありません」気胸の鑑別、画像による診断、治療などについて詳しく解説します。【CASE1:突然刺されるような胸痛を訴えた42歳の男性】胸痛といえば、循環器疾患を思い浮かべますが、今回は呼吸器による胸痛の症例です。労作時に呼吸困難があったことから、胸部X線写真を撮った結果、気胸であることがわかりました。気胸は、つい見逃しがちな疾患といえますが、まずは、「胸痛の鑑別診断に必ず含める」ということを気を付けたいところです。若年に多いとされる自然気胸ですが、40代でも発症する例はあります。気胸には緊急性を要するものがあるため、この患者のように突然発症した場合は、まず救急車で搬送するのが原則です。【CASE2:3ヵ月前から慢性的に右胸痛を訴える58歳の女性】労作時呼吸困難を伴うため、胸膜炎などによる胸水が疑われます。単純エックス線写真を撮影したところ、右肺にかなりの胸水が貯留していることが確認されました。CTも撮影してよく確認してみると、胸水の貯留している右肺ではなく、比較的健康に見えた左肺にその原因につながる影が確認されました。胸痛の診断のポイントは、ずばり問診です。痛みの性状にくわえて、突然発症したか、持続するか断続的かなどの時相的な要素も重要なポイントになります。胸痛には、解離性大動脈瘤など、緊急性の高い疾患も含まれますので、しっかり問診をして鑑別することが重要です。これらのポイントについて、具体的にわかりやすく解説します。第3回「慢性の咳にはまずCXRから」慢性咳嗽についてポイントを詳しく解説します。【CASE1:15本/日の喫煙を40年間続けてきた62歳男性】咳嗽の出現をきっかけに救急室を受診し、気管支炎の疑いで抗菌薬を処方されましたが、改善しませんでした。その後、抗菌薬を変えたところ効果があったかにみえましたが、またすぐに咳嗽が再燃してしまいました。このように、長引く咳をみたときには、まず胸部単純写真(CXR)を撮ることが、診断のポイントになります。本症例では、CXRから結核を疑い、検査の結果結核と診断されました。初動が遅れることで結果的に治療が遅れ、感染の可能性が高まってしまいました。このような事例を防ぐためには、常に疑いをもち、問診の時点から結核を発症しやすい患者を見ぬくことがコツです。また、多剤併用が原則の治療についても、詳しく解説します。【CASE2:乳がん術後、化学療法中の65歳女性】数カ月前から乾性の咳が続くため、咳喘息の疑いで吸入ステロイド治療を開始しましたが、改善はあるものの軽快しません。胸部単純写真を撮影したところ、正面では問題がないように見えましたが、側面では、ちょうど心臓の裏側に隠れるように浸潤影が確認されました。咳の鑑別において重要なことは、まず腫瘍、結核などの器質的疾患を除外することです。そのためには、胸部単純写真は正面だけでなく、側面も撮ること、必要があればCTを撮って確認することが重要です。どのような場合にCTを撮ればよいのか、ポイントをお伝えします。また、遷延する咳の鑑別について詳しく解説します。第4回「先生、痰に血が混じっているのですが・・・」血痰の鑑別について、詳しく解説します。【CASE1:半年ほど前から、週に2〜3回、断続的に痰に血が混じるようになった77歳の女性】60歳ごろから検診などで胸部異常陰影を指摘されていましたが、経過観察となっていました。血痰をみると、まず結核、肺がん、気管支拡張症などを疑いますが、最初に考えなくてはいけないことは、「本当に血痰なのかどうか」です。もしかすると、口腔内の出血や、吐血の可能性もあります。この患者の場合は、以前より胸部異常陰影があることと、喫煙歴などから肺病変の疑いが強いと考え、検査をしたところ、非結核性抗酸菌症であることがわかりました。非結核性抗酸菌症においては、最終的な診断が出るまで、必ず結核の疑いを持つことが重要です。【CASE2:若い頃から気管支拡張症を指摘されていた66歳の女性】3日前から発熱、喀痰が増加し、近医で肺炎と診断されて、抗菌薬治療を開始していました。ところが、入院当日に持続する喀血があり、救急車で搬送。画像検査では、気管支拡張症と肺の病変が認められました。喀血において、最も重要なことは、その量です。出血の原因より、喀血による窒息のほうが重要な問題を引き起こすためです。本症例においても、大量の喀血とされる600ml/24hrを超えると思われる出血がありました。このような場合、まず気道確保が重要です。気管支鏡検査をしたところ、出血部位を下方にしても両側に血液が流れこむほどの出血があったため、気管支ブロッカーを使用して気道を確保しました。その後、原因とみられる気管支動脈をBAEによって塞栓しました。このように、大量喀血は緊急性の高い場合が多く、その検査の流れなどを詳しく解説します。

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ニンニク摂取は大腸がん発症リスクを下げるのか?

 実験的研究では、大腸がん発症に対してニンニクの摂取が有益であることが示唆されていたが、今回、米国ハーバード公衆衛生大学院のShasha Meng氏らは、前向きコホート研究で大腸がん発症率とニンニク摂取の関連を評価した。その結果、大腸がん発症に対するニンニク摂取やニンニクサプリメントの使用による影響は認められなかった。Cancer Epidemiology誌オンライン版2012年12月19日号に掲載。 著者らは、看護師健康調査における7万6,208人の女性と医療従事者追跡調査における4万5,592人の男性を24年間追跡調査し、ニンニク摂取やニンニクサプリメントの使用と大腸がんリスクの関連を検討した。ニンニク摂取とサプリメントの使用に関する情報は食物摂取頻度アンケートを用いて評価し、多変量ハザード比(MV-HR)および95%信頼区間(95%CI)の推定にはCox比例ハザード回帰モデルを使用した。 主な結果は以下のとおり。・2,368人(女性1,339人、男性1,029人)が大腸がんを発症した。・ニンニク(1食あたり1片または4振り)の1日1単位以上の摂取は、月1単位未満の摂取に比べて、MV-HR(95%CI)は女性で1.21(0.94~1.57、傾向p=0.14)、男性で1.00(0.71~1.42、傾向p=0.89 )で、ニンニクの摂取と大腸がんリスクとの間に関連は認められなかった。・ニンニクサプリメントの使用(各研究の参加者のうち6%が使用)における大腸がんのMV-HR(95%CI)は、女性で0.72(0.48~1.07)、男性で1.22(0.83~1.78)であった。

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不眠症の人おすすめのリラクゼーション法とは

 不眠症の人にはリラクゼーショントレーニングが推奨されるが、実際にどのように利用されているのかは明らかとなっていない。米国・ハーバードメディカルスクールのSuzanne M. Bertisch氏らは、不眠症の米国成人が、どのようなリラクゼーション法や補完代替医療(CAM)を利用しているのかについて、全米調査の結果を解析した。その結果、リラクゼーション法やCAMの利用はあるが、不眠症のために利用している人は少ないことが判明したという。結果を踏まえて著者は、「リラクゼーション法についてディカッションを促すことが、不眠症のための利用を促進することにつながるのではないか」と提案している。Journal of Clinical Sleep Medicine誌2012年12月15日号の掲載報告。 研究グループは、不眠症の人のリラクゼーション法およびCAMの利用パターンと、それを利用している理由を調べるため、2007全米健康インタビューサーベイ(2万3,358人)の結果を分析した。サーベイで不眠症を申告した成人(4,415人)を有病者と推定し、リラクゼーション法などの利用状況・理由や医療関係者に自分の利用状況を開示しているかについて調べた。ロジスティック回帰分析にて、リラクゼーション法およびCAMの利用と不眠症状との補正後関連を評価した。 主な内容は以下のとおり。・不眠症を申告した4,415人のうち、23%がリラクゼーション法を、45%がCAMを利用していた。・不眠症を申告した人は申告しなかった人よりも、リラクゼーション法(補正後OR:1.48、95%CI:1.32~1.66)やCAM(同:1.29、1.15~1.44)の利用傾向が高かった。・最もよく利用されていたリラクゼーション法は、深呼吸エクササイズであった。・不眠症緩和を目的にCAMを利用している不眠症の人は、2%足らずであった。・不眠症の人で、医療関係者に自分が利用しているリラクゼーション法を開示している人は26%のみであった。・リラクゼーション法の利用傾向が低い不眠症の人は、男性、低教育レベル、低身体活動度、収入2万ドル未満、南部に居住、高血圧の人であった。関連医療ニュース ・慢性不眠症患者の中途覚醒の原因は? ・夢遊病にビペリデンは有望!? ・睡眠薬、長期使用でも効果は持続

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抗てんかん薬、神経膠腫術後患者の言語記憶を改善

 抗てんかん薬投与を受ける悪性度の高い神経膠腫(high-grade glioma、HGG)の患者について、認知機能の低下などさまざまな有害事象が報告されている。しかし従来薬、新薬ともに抗てんかん薬の認知機能への影響について、これまで大部分が不明であった。オランダ・VU University Medical CenterのMarjolein de Groot氏らは、HGG術後患者に対する抗てんかん薬の認知機能への影響を調べた。その結果、バルプロ酸、レベチラセタムともに認知機能を障害することはなく、むしろ言語記憶に関する薬効がみられさえしたことを報告した。Neuro Oncology誌オンライン版2012年12月11日号の掲載報告。 評価は、抗てんかん薬について従来薬を受ける群、新薬を受ける群、非投与群の異なる3コホートのHGG患者を選択し行われた。3群の患者はいずれも、術後治療の開始前6週以内に手術を受け評価対象に包含された。認知機能の評価は、包括的な神経心理学的評価によって、6つの認知機能の領域(注意、実行機能、言語記憶、ワーキングメモリ、精神運動機能、情報処理速度)を対象に行われた。 主な結果は以下のとおり。・包含基準を満たしたのは、117例の患者であった。・35例が新しい抗てんかん薬(全例がレベチラセタム)の単独療法を、38例が従来薬(バルプロ酸またはフェニトイン)の単独療法を受けた。44例は非投与であった。・レベチラセタム群および従来薬群の患者は、非投与群と同程度の評価となった。・レベチラセタム群の患者は言語記憶テストで、非投与群と比べて、より良好な認知機能を示した。・事後解析において、従来薬群では、バルプロ酸服用群のほうがフェニトイン服用群よりも、認知機能が良好であることが明らかになった。・レベチラセタムもバルプロ酸も、HGG患者における付加的な認知障害との関連はみられなかった。両抗てんかん薬は、HGG患者の言語記憶に関する薬効を有するようである。関連医療ニュース ・側頭葉てんかんでの海馬内メカニズムの一端が明らかに ・レベチラセタムは末梢性の鎮痛・抗浮腫作用を示す ・てんかん発作時の脳炎がPET画像診断活用で明らかに

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