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尿pHで糖尿病発症を予測できるか~日本の大規模コホート

 これまでに2型糖尿病患者の低い尿pHとの関連が明らかになっているが、尿中pHと2型糖尿病の発症との関連は不明である。今回、京都府立医科大学の橋本 善隆氏らは、わが国における男性の大規模コホート研究で、低い尿pHが糖尿病の独立した予測因子となることを報告した。尿pHが簡単で実用的な糖尿病のマーカーである可能性が示唆された。Diabetes research and clinical practice誌オンライン版2017年5月9日号に掲載。 本研究は男性3,119人の5年間の観察研究である。参加者を尿pHで4群に分け、多変量ロジスティック回帰分析により、2型糖尿病発症の調整オッズ比(OR)および95%CIを算出した(年齢、BMI、喫煙、運動、飲酒、高血圧症、高トリグリセライド血症、LDLコレステロール値、空腹時血糖異常で調整)。 主な結果は以下のとおり。・追跡調査において113人が糖尿病と診断された。・糖尿病の発症率は、尿pHが最も低い群(尿pH=5.0)で6.9%(318人中22人)、2番目に低い群(尿pH=5.5)で3.4%(1,366人中46人)、3番目に低い群(尿pH=6.0)で3.5%(856人中30人)、最も高い群(尿pH≧6.5)で2.6%(579人中15人)であった。・尿中pHが最も低い群では、その他の群と比較して糖尿病発症リスクが高かった。2番目に低い群に対する多変量ORは1.91(95%CI:1.05~3.36、p=0.033)、3番目に低い群に対する多変量ORは1.99(95%CI:1.05~3.71、p=0.036)、最も高い群に対する多変量ORは2.69(95%CI:1.30~5.72、p=0.008)であった。

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足白癬

【皮膚疾患】足白癬◆症状次の3タイプに大きく分かれますが、複数のタイプが混在することもあります。また、かゆみがないこともあります。趾間型:足の趾の間の浸軟やびらん、紅斑、水ぶくれ小水疱型:足底~足趾の水ぶくれと細かい皮むけ角質増殖型:足底の角質の増殖と皮膚の落屑◆原因白癬菌による感染で起きます。診療では検査で菌の存在を証明してから治療するのが望ましいです。◆治療と予防・抗真菌薬の外用薬で治療します。角質増殖型では内服薬で治療することもあります。・中途半端な治療では再発するので、徹底的に治療する必要があります。家庭内での感染に注意しましょう。監修:ふくろ皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.袋 秀平氏

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陰茎に弾丸を入れた男性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第92回

陰茎に弾丸を入れた男性 ぱくたそより使用 珍しいところに珍しい異物を入れると、「こりゃ珍しい」と担当医に症例報告にされてしまうのが異物医学の世界。とくに、陰茎や肛門などはその対象になることが多いようです。陰茎に関しては、当連載でも「第85回:尿道に安全ピンを安全には入れられない」や「第63回:パン切りナイフで性器を切断した男性」で、誠に痛そうな症例報告を紹介しました。というわけで、今回も陰茎にからんだ論文を紹介しましょう。うーん、しかしなんか悪趣味なコラムニストみたいでイヤだな…。 Gunasekaran K, et al.Unusual metallic penile foreign body.BMJ Case Rep. 2017 Mar 27.pii:bcr2017219377.この論文は、陰茎に、ある異物を入れてしまった男性の話。主人公は、重度の認知症のある85歳の男性です。血尿がひどいということで、妻に連れられて救急部を受診しました。担当した医師が腹部の診察を行うと、腹部はやや膨満しており、どうも陰茎の辺りに硬い腫瘤を触れる…。というか、陰茎の中に何か入っている…。さっそくCTを撮影しました。すると、陰茎に弾丸が入っているではありませんか! 発砲される前の薬きょうごと挿入されていたのです。イタタタ!弾丸は泌尿器科医によって無事に除去されました。妻いわく、「家に銃はあるけど、弾丸を彼がどこに持っているのか知らなかった」とのこと。いやはや、自分に向けて発砲しなくてよかったですよ、ほんと。今回は認知症が原因でしたが、性的倒錯や精神科疾患も陰部異物のリスク因子とされています1)。そのため、異物を挿入した人が救急外来を受診した場合は、基礎疾患の検索が極めて重要です。1)Bedi N, et al. JRSM Short Rep. 2010;1:18.インデックスページへ戻る

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日本のてんかんセンター、術後精神疾患に対する強みと課題:愛知医大

 てんかん手術後の精神医学的課題は、大きな問題として知られているが、てんかんセンターによるこれら課題の実際の認識は、まだ明らかにされていない。愛知医科大学の郷治 洋子氏らは、日本全国のてんかんセンターによる精神医学的評価と介入の使用に関して調査した。Epilepsy & behavior誌オンライン版2017年4月12日号の報告。 2016年初めに、てんかん手術前後の精神医学的評価、手術後の精神医学的介入、てんかん手術に関連する精神医学的課題に対処するための今後の計画に関するアンケートを、全国てんかんセンター協議会(JEPICA)の全メンバーに郵送した。アンケートは、24項目で構成した。日本のほとんどの主要なてんかんセンターは、JEPICAに含まれており、2016年に31センターを擁していた。そのうち24センター(77%)がアンケートに回答した。 主な結果は以下のとおり。・精神科医がてんかん手術ユニットの一部に組み込まれていると回答したのは、17センター(70.8%)であった。・この17センターは手術前に精神医学的評価を行っており、評価者が精神科医であったのは8センター(33.3%)、心理士11センター(45.8%)であった。・少なくとも感受性の高い患者に対して、手術後の精神疾患発症リスクを手術前に日常的に説明していたのは23センター(95.8%)であった。・手術後の精神疾患例は16センター(66.7%)で認められ、最も一般的だったのがうつ病(41.7%)であり、次いで不安(33.3%)、精神障害(25.0%)、心因性非てんかん発作(8.3%)であった。 著者らは「日本のてんかんセンターの強みは、ほぼすべてのJEPICAメンバーが手術後の精神疾患に対し深刻な懸念を抱いており、患者に対し精神的有害事象リスクを事前に説明していることである。一方、いくつかのてんかんセンターは小規模で、てんかんユニットを担当する精神科医の意欲に対する依存はもとより、精神症状評価のための標準化された方法が欠如している。てんかん手術に関連する精神医学的課題に関して、てんかんセンター間における、診断および治療上の有意なギャップにつながったと考えられる」としている。■関連記事 てんかん重積状態に対する抗てんかん薬処方の変化 てんかん患者の自動車運転、世間の意識は:愛知医大 世界のてんかん研究を解析、有病率に影響を与える要因は

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下気道感染症の抗菌薬処方戦略/BMJ

 合併症のない下気道感染症の若年および成人患者において、抗菌薬を即時処方してもその後の入院または死亡は減少しない。もともと、このような入院や死亡はまれである。英国・サウサンプトン大学のPaul Little氏らが、異なる抗菌薬処方戦略による有害転帰への影響を評価する前向きコホート研究(Cough Complication Cohort:3C)の結果を報告した。英国のGeneral Practice Research Database(GPRD)を用いた2つの試験では、抗菌薬の処方により肺炎リスクが減少する可能性が示唆されている。しかし、どちらの試験も、入院や死亡といった有害転帰への影響は記録されておらず、交絡因子も調整されていなかった。著者は、「医師が抗菌薬の処方を検討しているなら、病状悪化による再診の減少が認められた延期処方のほうが望ましい」と結論づけている。BMJ誌2017年5月22日号掲載の報告。抗菌薬処方戦略別に再診、入院/死亡を追跡調査 研究グループは、英国の一般診療クリニックを受診した16歳以上の下気道感染症患者2万8,883例を登録し、初回診察時に患者の症状や所見、抗菌薬処方戦略(処方なし、即時処方、延期処方)について記録した。初回診察時にX線検査で肺炎と診断された患者や、当日入院した患者、他の原因による急性の咳嗽、免疫不全患者などは除外した。 主要評価項目は、初回診察後30日以内の下気道感染症症状による再診、入院、死亡である。抗菌薬の処方傾向に関連する因子および医師のクラスタリングについて調整し、多変量解析を行った。延期処方で入院/死亡は19%、再診は36%減少、即時処方ではどちらも減少せず 登録された2万8,883例中、初回診察日にX線検査や入院目的で他院へ紹介、またはがんで入院した104例(0.4%)を除く2万8,779例が解析対象となった。2万8,779例において、初回診察日以降に入院または死亡した患者の割合は、抗菌薬処方なし群が0.3%(26/7,332例)、即時処方群が0.9%(156/1万7,628例)、延期処方群(延期日数中央値3日、四分位範囲:2~3日)が0.4%(14/3,819例)であった。 多変量解析の結果、延期処方群では統計学的に有意ではなかったものの入院および死亡が減少したが(多変量リスク比:0.81、95%信頼区間[CI]:0.41~1.64、p=0.61)、即時処方群では減少しなかった(多変量リスク比:1.06、95%CI:0.63~1.81、p=0.84)。新たな症状による再診(1,443/7,332例[19.7%])、症状悪化による再診(4,455/1万7,628例[25.3%])、症状が改善しないことによる再診(538/3,819例[14.1%])はよくみられ、これらは延期処方群で有意に減少したが(多変量リスク比:0.64、95%CI:0.57~0.72、p<0.001)、即時処方群では減少しなかった(多変量リスク比:0.98、95%CI:0.90~1.07、p=0.66)。

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ペムブロリズマブの胃がん適応拡大に優先審査:FDA

 Merck社は2017年5月23日、米国食品医薬品局(FDA)が2ライン以上の化学療法を受けた再発・進行の胃および胃食道接合腺がんに対するペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の承認を求める生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理したと発表。FDAの決定日は2017年9月22日。 FDAに提出された申請は、既治療患者に対してペムブロリズマブ200mgの3週間ごと単独投与の承認を求めたもの。2つ以上の化学療法後に進行し、重度の治療が行われた上記患者を対象とした第II相試験KEYNOTE-059のコホートデータに基づいている。 このKEYNOTE-059のコホートデータは、第53回米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO 2017)で発表される。■参考MERCK(米国本社)ニュースリリースKEYNOTE-059試験(Clinical Trials.gov)

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肝細胞がんに対するニボルマブの優先審査を受理:FDA

 ブリストル・マイヤーズスクイブ社は2017年5月24日、米国食品医薬品局(FDA)が、ソラフェニブ治療歴のある肝細胞がん(HCC)を対象としたニボルマブ(商品名:オプジーボ)の適応拡大を求める生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理したと発表した。FDAは、以前にHCC治療薬としてニボルマブを希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定しており、今回、本申請を優先審査の対象として受理した。FDAによる審査完了期日は、2017年9月24日である。 この申請は、B型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルス感染および非感染進行HCC患者に対するニボルマブの第I/II相試験CheckMate-040の結果に基づいている。この試験データは、Lancet誌に最近掲載され、本年(2017年)の米国臨床腫瘍学会(ASCO)総会ポスターディスカッションセッションで発表される。■参考 ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社ニュースリリース El-Khoueiry AB, et al. Lancet. 2017 Apr 20. [Epub ahead of print] Checkmate-040試験(Clinical Trials.gov)

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双極性障害、リチウムは最良の選択か

 双極性障害の治療ではリチウムが頻繁に使用されており、最も確立された長期治療法と考えられる。実際に、リチウムは再発リスクを最小限にとどめ、エピソード間の症状を改善するための治療の基本である。イタリア・ローマ・ラ・サピエンツァ大学のGabriele Sani氏らは、双極性障害治療におけるリチウムの入手可能なエビデンスを検討した。それには、効能、限界、潜在的な利点や、別の製剤を考慮した有効性も含まれた。また、双極性障害患者への抗てんかん薬、抗うつ薬、抗精神病薬の長期的代替使用に関する、顕著な比較をオーバーレビューした。Clinical drug investigation誌オンライン版2017年5月5日号の報告。双極性障害患者の多くに初期治療としてリチウムを使用すべき 双極性障害治療におけるリチウムの有効性を検討した主な結果は以下のとおり。・入手可能なエビデンスによると、双極性障害患者は主としてリチウムで治療し、いくつかのケース(とくに急性期治療)では抗精神病薬と組み合わせ、リチウム不耐性または無効例では抗てんかん薬を用いるべきであると考えられる。・補助的な抗うつ薬の使用は、ブレークスルーうつ病エピソードに限定されるべきである。・自殺念慮や自殺行為に、リチウムの長期的な利点と潜在的な副作用についての十分な情報を有している場合には、双極性障害患者の多くに初期治療としてリチウムを使用すべきである。・疾患または抗精神病薬の経過を悪化させる、重大で長期的な副作用を引き起こす可能性があるなどの抗うつ薬との併用を行うことなく、多くの患者でリチウムは許容可能である。■関連記事双極性障害に対する抗けいれん薬の使用は、自殺リスク要因か双極性障害の再発リスク、1年目で4割超双極性障害の自殺企図、“だれ”よりも“いつ”がポイント

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高齢者の肥満、有酸素運動+筋トレの併用が有効/NEJM

 肥満高齢者に対し食事による減量プログラムと運動療法を行う際、有酸素運動と筋力トレーニングを併せて実施することで、有酸素運動または筋力トレーニングのみを実施する場合に比べ、半年後の身体機能はより大幅に向上することが示された。米国・ベイラー医科大学のDennis T. Villareal氏らが、160例の高齢者を対象に行った無作為化比較試験で明らかにしたもので、NEJM誌2017年5月18日号で発表した。肥満はフレイルの原因となるが、減量は加齢に伴う筋量および骨量の低下を加速させ、結果としてサルコペニアやオステオペニアを生じさせるのではと指摘されていた。有酸素運動、筋力トレーニングとその併用を比較 研究グループは、肥満高齢者160例を対象に、減量によるフレイルからの回復や筋量・骨量の減少予防に資する、より効果的な運動の種類について検証した。 被験者を無作為に4群に分け、うち3群は減量プログラムとともにそれぞれ1)有酸素運動、2)筋力トレーニング、3)有酸素運動と筋力トレーニングを併用した。4)対照群には減量プログラムも運動療法も行わなかった。 主要評価項目は、ベースラインから6ヵ月後の、身体機能テスト(Physical Performance Test:0~36点で、高いほど身体機能が良好)の点数の変化とした。副次的評価項目は、その他のフレイルに関する指標、骨密度、身体機能の変化などとした。除脂肪体重の減少、有酸素運動群で5%と最大 被験者のうち試験を完了したのは141例(88%)だった。 身体機能テストのスコア変化は、1)有酸素運動群が14%(29.3から33.2点に)増加、2)筋トレ群が14%(28.8から32.7点に)増加だったのに対し、3)有酸素運動+筋トレ群は21%(27.9から33.4点に)増加と、より大幅に上昇した(それぞれボンフェローニ補正後、p=0.01、p=0.02)。また、すべての運動群は対照群と比べ、同点数が大幅に増加した(いずれもp<0.001)。 最大酸素消費量は、3)有酸素運動+筋トレ群(17%増)と1)有酸素運動群(18%増)が、2)筋トレ群(8%増)より大幅に増加した(いずれもp<0.001)。 筋力については、3)有酸素運動+筋トレ群(18%増)と2)筋トレ群(19%増)が、1)有酸素運動群(4%増)より大幅に増加した(いずれもp<0.001)。体重は、すべての運動群で9%減少したのに対し、4)対照群では有意な変化は認められなかった。 一方、除脂肪体重は、1)有酸素運動群では5%低下だったのに対し、3)有酸素運動+筋トレ群と2)筋トレ群ではそれぞれ3%低下、2%低下と、減少率はより小幅にとどまった(いずれもp<0.05)。股関節骨密度低下についても同様に、1)有酸素運動群が3%低下に対し、3)有酸素運動+筋トレ群と2)筋トレ群ではそれぞれ1%低下、0.5%低下にとどまった(いずれもp<0.05)。 運動関連の有害事象は、筋骨格損傷などが報告された。

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潰瘍性大腸炎への抗MAdCAM-1抗体、有効量を確認/Lancet

 従来療法に不耐容の中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎患者に対し、開発中の、粘膜アドレシン細胞接着分子1(MAdCAM-1)を標的とする完全ヒトモノクローナル抗体PF-00547659(抗MAdCAM-1抗体)を投与することで、プラセボと比べ寛解導入が有意に良好であったことが報告された。また、安全性、忍容性も確認された。ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学のSeverine Vermeire氏らが、357例の患者を対象に行った第II相の無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果として、Lancet誌オンライン版2017年5月17日号で発表した。この結果を受けて同研究グループは現在、より大規模な第III相臨床試験を進行中である。抗TNFα治療歴で層別化し、抗MAdCAM-1抗体4種の用量を投与 研究グループは2012年11月2日~2016年2月4日にかけて、21ヵ国105ヵ所の医療施設を通じ、肛門縁から15cm超までに病変部が拡張している活動期潰瘍性大腸炎患者で、少なくとも1つの従来療法の効果が不十分または忍容性が不良の357例を対象に試験を行った。被験者の年齢は18~65歳で、総メイヨースコアは6以上、メイヨー内視鏡所見サブスコアは2以上だった。 被験者を抗TNFα治療歴の有無によって層別化し、無作為に5群に分け、抗MAdCAM-1抗体7.5mg(71例)、22.5mg(72例)、75mg(71例)、225mg(70例)、またはプラセボ(73例)を、ベースライン時と4週後にそれぞれ皮下注投与した。 主要エンドポイントは、12週後の寛解(総メイヨースコア2以下、1超の個別サブスコアなし、直腸出血サブスコア1以下)を達成した患者の割合とした。 有効性解析は、無作為化治療を1回以上受けた全患者を包含して行った。また安全性解析は、割り付け治療ごとに行った。すべてのp値は片側に多変量調整して算出した。抗MAdCAM-1抗体の22.5mg群、75mg群で最も有効 12週後の寛解率は、抗MAdCAM-1抗体群のうち投与量の少ないほうから3用量群でプラセボ群より有意に高率だった。プラセボ群の寛解率は2.7%に対し、7.5mg群は11.3%(プラセボ群とのリスク差:8.0%、p=0.0425)、22.5mg群は16.7%(同:12.8%ポイント、p=0.0099)、75mg群は15.5%(同:11.8%、p=0.0119)と有意差が認められたが、225mg群は5.7%(同:2.6%、p=0.1803)であり、有意差は認められなかった。 これらの寛解率は、抗TNFα治療歴の有無で補正後も同様の傾向が認められた。 なお、抗MAdCAM-1抗体の安全性に関する疑わしい事象は認められなかった。

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循環器内科 米国臨床留学記 第21回

第21回 カリフォルニアの医療通訳事情日本を訪れる外国人の数も年々増えており、日本でも外国人の受診が増えていると思います。私が臨床を行っているカリフォルニアは多人種が集まっており、言語が問題となることも多いです。メキシコなど中南米からの移民が多いために、ほかのどの州よりもスペイン語を話す人が多く、私の印象でも10~20%の人はスペイン語しかできず、通訳を必要とします。また、ベトナム戦争の頃に移住してきたベトナム人が住むリトルサイゴンという町が近いため、5~10%の患者はベトナム語しか話せません。中国人や韓国人も多く、日常臨床でも毎日通訳が必要となります。残念ながら、日本語しか話せない患者を診る機会はほとんどありません。問診などは、バイリンガルの家族がいれば通訳をお願いすることができますが、心臓カテーテルなどの手技の同意をとる際に、家族にお願いすることは許されません。病院が雇う通訳者はスペイン語、ベトナム語に限定されており、夜間は常駐していません。ですから、その他の言語については電話を使った通訳システムに頼らざるを得ません。電話による通訳は、通訳者の質が保障されておらず、難しいこともあります。さらに、医療用語は特殊なため、いくらバイリンガルでも医療用語に精通していないと会話が難しくなります。ましてや、医者であるわれわれもネイティブスピーカーでないことがあるため、時には診察に2~3倍以上の時間がかかります。病院が雇っている通訳者を介した通訳に比べると、電話による通訳はスムーズにはいきません。そんな中、ローテーション先のLong Beach市の病院ではテレビ電話を用いた通訳システムを採用しており、患者の表情や様子が通訳の助けになるため、音声だけの通訳よりは使いやすく感じます。カリフォルニアでは、法律で患者が通訳を求める権利があります。また、すべての病院は通訳サービスを提供することが義務付けられています。家族が通訳に入ると、患者に情報を隠したり、歪曲して伝えたりする可能性があります。例えば、民族的、宗教的な信念から、患者にがんの診断を伝えないなどといったことが挙げられます。ですから、たとえバイリンガルの家族がいても、患者本人が求める場合には必ず通訳を提供しなければなりませんし、同意書をとる時などは、家族を介しての通訳は認められません。そのような背景もあり、医療通訳は一つの職業としてしっかり認知されています。Payscaleというウェブサイトによると、医療通訳者の給料は時給が19ドル前後です。看護師(Registered Nurse)の時給が38ドル程度ですから、約半分です(ちなみにカリフォルニアの労働者の最低賃金は10ドルです)。日本では外国人を診る機会が基本的に少なく、医療従事者が英語を十分に話せるということはまだまだ少ないと思います。私も日本にいた頃、とくに東京で勤務していた際は、英語しか話せない患者を1ヵ月に一度程度は診ていました。十分な情報を伝えられていなかったこともあったと思います。当時は通訳サービスがなく、中国語を話す患者の診療に困ったこともありました。2020年の東京オリンピックに向けて、ますます外国人の訪問者数が増えそうですし、今後は英語以外の言語も含め、電話などを介した通訳サービスを拡張させていく必要があるように感じます。また、患者の利益を考えると、通訳を義務付ける法律の整備も必要なのかもしれません。

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高齢緑内障患者、視野検査時には認知機能の評価必要か

 米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のAlberto Diniz-Filho氏らは、前向き観察コホート研究を行い、認知機能低下と視野検査における変動の増大が関連していることを明らかにした。視野検査における変動は、緑内障の進行の検出を妨げる可能性があり、また高齢者は神経認知障害と緑内障の両方を有している可能性があるが、これまで認知機能の変化と視野検査における変動との関連を調べた研究はなかった。この結果を踏まえて著者は、「緑内障の視野障害の評価において、認知機能のスクリーニングとモニタリングを重視すべき可能性が示唆された」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年5月18日号掲載の報告。 研究グループは2011年3月~2015年4月の間、115例211眼を対象に、自動視野計(SAP)による検査を行うとともに、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)を用いて長期にわたり認知機能を評価し、認知機能低下と視野検査における変動との関連について調べた。 平均追跡期間は2.5(標準偏差[SD] 0.8)年(範囲1.2~4.7年)で、2015年11月~2016年5月に解析が行われた。 主な結果は以下のとおり。・115例は、ベースラインの平均年齢が67.4(SD 10.1)歳、男性63例(54.8%)、白人86例(74.8%)であった。・MoCAスコア変化と視野検査における経時的な変動との間に、統計的に有意な関連が認められた。・単変量モデルにおいて、MoCAスコアの5ポイント低下は、SAP平均偏差(MD)残差SDの0.18dB増加と関連していた(R2=4.3%、95%信頼区間[CI]:0.06~0.30、p=0.003)。・ベースラインのMoCAスコア、SAP MDの平均値、年齢、性別、人種/民族、教育水準、収入およびSAP検査回数で調整した多変量モデルにおいても、MoCAスコアの5ポイント低下は、SAP MD残差SDの0.23dB増加と関連していた(95%CI:0.11~0.35、p<0.001)。

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セリチニブALK陽性肺がんの1次治療に適応拡大:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年5月26日、セリチニブ(商品名:ジカディア)に、ALK陽性の転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する通常承認を与えた。 セリチニブは2014年4月、クリゾチニブで病勢進行したか、クリゾチニブ耐性のALK陽性転移性NSCLCに対する迅速承認を得ている。これは、163例のシングルアーム試験での独立第3者評価機関(BIRC)による44%の奏効率(ORR)に基づいている。 今回の承認は、未治療のALK陽性NSCLCに対する多施設オープンラベル無作為化実薬比較試験ASCEND-4のデータに基づいたもの。ASCEND-4では31ヵ国201施設376例の対象患者が、セチニブ群またはプラチナ+ペメトレキセド化学療法群に無作為に割り付けられた。 結果、BIRC評価の無増悪生存期間(PFS)の中央値は、セリチニブ群16.6ヵ月(95%CI:12.6~27.2)、化学療法群は8.1ヵ月(95%CI:5.8~11.1)と、セリチニブ群で有意に長かった(HR:0.55、95%CI:0.42~0.73、p<0.0001)。また、ORRはセリチニブ群73%(95%CI:66~79%)、化学療法群27%(95%CI:21~34%)であった。■参考FDA(Resources for Information on Approved Drugs)ASCEND04試験(Clinical Trials.gov)■関連記事セリチニブがALK陽性肺がん1次治療の優先審査対象に:FDAALK陽性NSCLCの1次治療、セリチニブでPFS延長/Lancet

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統合失調症と気分障害の死亡率、高いのは

 精神疾患患者は、重大な公衆衛生上の懸念である過剰な死亡率を示す。韓国・延世大学校のWoorim Kim氏らは、統合失調症、気分障害、精神活性物質使用による精神的および行動的障害と診断された韓国人患者の全死因および自殺死亡率を調査し、これを一般人と比較した。Journal of Korean medical science誌2017年5月号の報告。 対象は、2002~13年の韓国National Health Insuranceコホートより得られた15歳以上の10万7,190例。10万人年当たりの死亡率を算出した。全死因および自殺死亡リスクに対するベースライン特性の影響を定量化するために、ポアソン回帰モデルを用いた。標準化死亡率(SMR)も算出した。 主な結果は以下のとおり。・全死因では、精神的および行動的障害の患者で最も高く(10万人年当たり1051.0)、次いで統合失調症患者(10万人年当たり949.1)、気分障害患者(10万人年当たり559.5)であった。・自殺死亡では、統合失調症患者で最も高く(10万人年当たり177.2)、次いで精神的および行動的障害の患者(10万人年当たり143.7)、気分障害患者(10万人年当たり59.7)であった。・全死因および自殺死亡率に対する率比(RR)は、若者および女性で低下した。・精神疾患患者は、一般集団よりも全死因死亡率が高かった(統合失調症SMR:2.4、95%信頼区間[CI]:2.2~2.5。気分障害SMR:1.4、95%CI:1.3~1.5。精神的および行動的障害SMR:2.6、95%CI:2.5~2.8)。・精神疾患患者は、一般集団よりも自殺死亡率が高かった(統合失調症SMR:8.4、95%CI:7.2~9.6。気分障害SMR:2.8、95%CI:2.1~3.5。精神的および行動的障害SMR:6.8、95%CI:5.7~7.9)。 著者らは「これらの知見より、精神疾患における過剰死亡率を減少させる努力がなされるべきである」としている。関連医療ニュースうつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は重度な精神疾患+物質使用障害、自殺リスクへの影響統合失調症、心臓突然死と関連するプロファイルは

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二尖弁大動脈弁狭窄症に対するTAVRの効果と評価

 経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)は、高リスクな症候性大動脈弁狭窄症(AS)患者への新たな技術として発展してきた。これまでの無作為化比較試験において、開心術が難しい、もしくは高リスクな患者に対し、TAVRを標準治療として用いることが妥当であることが証明されてきたが、形態学的な特徴を理由に、先天性二尖弁の患者は除外されてきた。 二尖弁に対するTAVRの報告は少数であるが、これまでのレジストリによれば、二尖弁AS患者の割合は2~6%に及んでいる。米国Cedar Sinai Medical CenterのSung-Han Yoonshi氏、Raj Makkar氏らは、Bicuspid AS TAVR多施設レジストリのデータを基に、二尖弁と三尖弁それぞれの患者に対する手技と臨床結果についてプロペンシティスコアマッチを用いて比較した。Journal of the American College of Cardiology誌2017年5月15日号掲載の報告。プロペンシティスコアでマッチさせた546例の三尖弁と二尖弁のASを比較 本研究では、欧米アジアを含む33ヵ国のレジストリデータを基に、二尖弁患者561例と、三尖弁患者4,546例をプロペンシティスコアでマッチさせ、ベースライン時に同様の特徴を有する546例のペアを比較した。手技と臨床結果については、VARC-2 基準に従って記録された。 その結果、二尖弁のAS患者は、三尖弁のAS患者と比べてより高い頻度で外科手術に変更され(2.0% vs. 0.2%、p=0.006)、人工弁の留置の成功率は有意に低かった(85.3% vs. 91.4%、p=0.002)。旧世代の人工弁(Sapien XT、CoreValve)は二尖弁患者320例と三尖弁患者321例に使用され、新世代の人工弁(Sapien、Lotus、Evolut R)は二尖弁患者226例と三尖弁患者225例に使用された。旧世代の人工弁については、二尖弁の患者がSapien XTの植込みを受けた際、大動脈基部の損傷がより頻繁に起こり(4.5% vs. 0.0%、p=0.015)、CoreValveの植込みを受けた患者は、より高頻度に中等度~重度の弁周囲逆流が生じていた(19.4% vs. 10.5%、p=0.02)。一方、新世代の人工弁を植込まれた患者では、手技に関する成績は異なる種類の人工弁でも相違なく、同等であった。2年間での累積全死亡率は、二尖弁と三尖弁で同等であった(17.2% vs. 19.4%、p=0.28)。大動脈障害を考慮した長期のフォローアップ研究が必要 三尖弁と比較して、二尖弁患者に対するTAVRは同様の予後であったが、人工弁留置の成功率は低かった。手技に伴う成績の差は、旧世代の人工弁では認められたが、新世代の人工弁では違いが認められなかった。 TAVRの適応を若くリスクが低い患者に広げることは、二尖弁のASに併存する大動脈拡大などの大動脈障害を考慮しなければならないことを意味する。著者らは、二尖弁のASに対するTAVRの評価には、これらの併存する大動脈障害と、人工弁の耐久性を長期にフォローアップした研究が必要と述べている。

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イマチニブが重症喘息の気道過敏性を抑制?/NEJM

 KIT阻害薬イマチニブは、重症喘息患者の気道過敏性を抑制し、マスト細胞数とトリプターゼ放出を減少させることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のKatherine N. Cahill氏らの検討で明らかとなった。これらの知見は、重症喘息の病態生物学的な基盤には、KIT依存性の過程とマスト細胞の寄与があることを示唆するという。研究の成果は、NEJM誌2017年5月18日号に掲載された。マスト細胞は、ステロイド治療を行っても重症喘息患者の気道に残存し、不良なQOLや不十分な喘息コントロールなどの疾患特性に関連する。幹細胞因子とその受容体KITは、組織での正常なマスト細胞の発育や生存に不可欠であり、イマチニブはKITのチロシンキナーゼ活性を阻害することで、慢性骨髄性白血病患者の骨髄中のマスト細胞数を著明に減少させ、血清トリプターゼ値を低下させることが知られている。原理を検証するプラセボ対照無作為化試験 研究グループは、イマチニブが重症喘息の生理学的マーカーである気道過敏性や、気道のマスト細胞数とその活性化に及ぼす影響の評価を目的とする原理検証(proof-of-principle)試験を実施した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 対象は、年齢18~65歳、最大限の薬物療法を行っても、気道過敏性が認められるコントロール不良の重症・難治性喘息患者であった。これらの患者が、二重盲検下に、イマチニブを投与する群(200mg/日を2週間投与し、その後は400mg/日に増量)またはプラセボ群にランダムに割り付けられ、24週の治療が行われた。割り付け前と24週時に気管支鏡検査を実施した。 主要評価項目は、気道過敏性のベースラインから3ヵ月および6ヵ月までの変化(1秒量の20%低下に要するメサコリン濃度[PC20]で評価)とした。 試験期間は2010年11月~2015年7月であった。米国の7施設で62例が登録され、イマチニブ群に32例(平均年齢42.0歳、女性59%)、プラセボ群には30例(37.7歳、60%)が割り付けられ、それぞれ24例、26例が治療を完遂した。マスト細胞標的治療の臨床試験の土台となるデータ イマチニブ群は、プラセボ群に比べ気道過敏性が著明に低下した。3ヵ月時のメサコリンPC20は、イマチニブ倍量群がベースラインよりも平均値(±SD)で1.20±0.52(p=0.03)増加し、6ヵ月時には1.73±0.60(p=0.008)増加しており、いずれも有意な変化が認められたのに対し、プラセボ倍量群では3ヵ月時に0.03±0.42(p=0.94)、6ヵ月時には1.07±0.60(p=0.08)の増加にとどまり、試験期間を通じて両群間に有意な差が認められた(p=0.048)。 マスト細胞活性化のマーカーである血清トリプターゼ値も、イマチニブ群はプラセボに比し顕著に低下した。ベースラインの平均血清トリプターゼ値は、イマチニブ群が4.75±2.59ng/mL、プラセボ群は4.86±2.13ng/mLであり、6ヵ月時にはイマチニブ群が2.02±2.32ng/mL(42.7±31.6%)低下し、プラセボ群は0.56±1.39ng/mL(11.5±31.0%)の低下であった(p=0.02)。 気道のマスト細胞数は両群とも減少しており、有意な差はみられなかった(気道全体:-54.2±96.5 vs.-32.3±79.8/mm2、p=0.11、気道平滑筋:-102.7±167.9 vs.-79.2±157.3/mm2、p=0.07)。 全有害事象および重度有害事象の頻度は、両群に差はなかった。筋痙攣と低リン酸血症が、プラセボ群よりもイマチニブ群で多くみられた。イマチニブ群では2例が有害事象により試験を中止した(好中球減少と足の筋攣縮が1例ずつ)。 著者は、「これらのデータは、臨床的方向性を示すものではないが、重症喘息患者におけるマスト細胞を標的とするフォローアップ試験の土台となるものである」と指摘している。

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スタチンによる筋肉痛はnocebo effect?(解説:興梠 貴英 氏)-682

 スタチンに限らず、副作用が出現しうることを知らされたために患者がその副作用ではないかと訴えることは日常よく経験するところである。この現象は古くから知られており、nocebo effectと名付けられているそうである。 さて、本論文はASCOT-LLAの二重盲検期間中とオープンラベル期間中の副作用報告率を比較して本当にnocebo effectがあったのかを調べたものである。 ASCOT-LLA試験の背景を解説すると、最初にASCOT-BPLAという2つの降圧薬レジメン(アテノロール+サイアザイド vs.アムロジピン+ペリンドプリル)間で心血管系イベント発生に違いがあるかを評価した試験が計画された。さらに、その被験者群の中で心血管系リスクは高いが血清LDL-コレステロールが高くない(6.5mmol/L以下)患者に対してスタチンの投与が心血管系イベントを抑制するかを評価する試験ASCOT-LLAが計画された。ASCOT-BPLAがPROBEデザインであったのに対して、ASCOT-LLAにおけるアトルバスタチンおよびプラセボ服用については二重盲検であった。結局、ASCOT-BPLA全体の1万9,342人中、基準を満たした1万0,305人がASCOT-LLAに割り当てられた(アトルバスタチン群5,168人、プラセボ群5,137人)。さらにASCOT-LLAではアトルバスタチン投与群において早期に有意に心血管系イベントを抑制することが示されたために、追跡期間中央値3.3年で早期終了となったのに対して、ASCOT-BPLAは計画よりは早まったものの追跡期間中央値5.5年まで継続した。この差の期間中はアトルバスタチンの服用がオープンラベルになり、本論文の解析の元データとなった。 データを解析した結果、二重盲検期間中のプラセボ、アトルバスタチンの筋肉関連副作用報告率はそれぞれ2.00%、2.03%とほぼ同じで有意差がなかったのに対し、オープンラベル期間ではアトルバスタチン非服用者で1.00%、アトルバスタチン服用者で1.26%で有意差がつく、という差が認められた。つまり、nocebo effectがあり、スタチンは実際には筋肉関連の副作用をあまり増やさないのではないか、ということが示された。一方でランダム割付試験における副作用報告は患者選択によって低く出る傾向がある、もしくは導入期間を設けることで不耐性の患者が最初から取り除かれている、という批判がされることがあるが、本論文では盲検期間とオープンラベル期間は同じ患者群であり、導入期間も設けられていないため、そうした批判は当たらない。ほかに勃起障害、不眠、認知機能に関する副作用の検討も行っているが、それらについてもアトルバスタチンによる悪影響を認めない、という結果であった。 本論文の結果はスタチンによる筋肉関連副作用はその多くがnocebo effectによるものかもしれないということを客観的に示した点で興味深いが、ASCOTがAnglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trialの頭文字から成り立っていることから分かるように、これが日本人にも当てはまるかどうかは確実なことは言えず、またわが国では患者が筋肉関連の副作用を訴えたときにはCPKを測定して実際の筋肉障害の有無も確認しつつ中止するかどうかを決めることになるのではないだろうか。本論文でもCPKに関する報告があればより興味深い結果が得られたかもしれない。

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脳卒中リスク因子の年齢別パターン

 脳卒中の血管リスク因子について、ユトレヒト大学のAllard J. Hauer氏らが脳卒中サブタイプ別・年齢別に調査した結果、主な心血管リスク因子を有する割合の年齢別パターンがサブタイプにより異なることが示された。Journal of the American Heart Association誌2017年5月8日号に掲載。 本研究は、多施設共同の大学病院ベースでのコホート4,033例における研究である。大動脈アテローム性動脈硬化症または小血管疾患または心原性による虚血性脳卒中患者、自然発症脳出血患者、動脈瘤性くも膜下出血患者(計5サブタイプ)が有していた血管リスク因子(男性、非白人、肥満、高血圧症、高脂血症、糖尿病、喫煙、家族歴)を調査し、55歳未満、55~65歳、65~75歳、75歳以上の4群で各リスク因子を有する患者の割合を計算した。また基準年齢群(虚血性脳卒中および脳出血では65~75歳、動脈瘤性くも膜下出血では55~65歳)と比較した平均差と95%CIを計算した。 主な結果は以下のとおり。・55歳未満の患者は、非白人が有意に多く(とくに自然発症脳出血および動脈瘤性くも膜下出血患者)、喫煙頻度が最も高かった(動脈瘤性くも膜下出血患者で最も顕著)。・55歳未満の大動脈アテローム性動脈硬化症または小血管疾患による虚血性脳卒中患者は、心原性の虚血性脳卒中患者よりも、高血圧症、高脂血症、糖尿病の頻度が高かった。・全体として、高血圧症、高脂血症、糖尿病の頻度は、すべての脳卒中サブタイプで年齢とともに増加したが、喫煙は年齢とともに減少した。・年齢にかかわらず、大動脈アテローム性動脈硬化症/小血管疾患による虚血性脳卒中患者で、修正可能なリスク因子の累積が最も顕著であった。

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ケアプログラムは、急性期病院での終末期の質を改善するか/Lancet

 Care Programme for the Last Days of Life(CAREFuL)と呼ばれる終末期医療プログラムは、継続的なモニタリングを要するものの、急性期病院の高齢者病棟における臨死期の医療を改善する可能性があることが、ベルギー・ブリュッセル自由大学のKim Beernaert氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年5月16日号に掲載された。英国の高齢者の50%以上が、終末期医療の質が最良とは言えない環境の急性期病院で死亡するという。また、CAREFuLと同様のプログラムとして、リバプール・ケア・パスウェイ(LCP)がよく知られているが、既報の急性期病院でのクラスター無作為化試験はイタリアで行われたがん患者を対象とするものが1件あるのみで、この試験ではケアの質改善は確認されていない。CAREFuLの有効性を評価するクラスター無作為化試験 本研究は、臨死期の高齢者への看取りの医療の快適性(comfort)や質の改善における、終末期医療プログラムCAREFuLの有効性を評価するクラスター無作為化対照比較試験である(The Flemish Government Agency for Innovation by Science and Technologyとベルギーがん協会“Kom Op Tegen Kanker”の助成による)。 CAREFuLは、既存の3つのLCP(英国、オランダ、イタリア)に基づいて開発されたプログラムで、終末期の処置の手引き、研修、支援文書、実施の手引きから成る。 2012年10月1日~2015年3月31日に、ベルギー、フランドル地方の10の急性期病院(クラスター)の高齢者病棟が参加した。これらの病院が、CAREFuLを行う群または標準的医療を行う群(対照群)に無作為に割り付けられた。患者と家族には割り付け情報がマスクされ、医療者にはマスクされなかった。 主要評価項目は、看護師と家族介護者の評価による臨死期(死亡までの48時間)の快適性(End-of-Life in Dementia-Comfort Assessment in Dying[CAD-EOLD]で評価)および症状管理(End-of-Life in Dementia-Symptom Management[SM-EOLD]で評価)であり、intention to treat解析が行われた。看護師評価による快適性が良好、家族介護者の満足度は不良 解析には10病院の4,241床のベッドのうち451床(11%)が含まれた。2つの群に5病院ずつが割り付けられ、CAREFuL群の164例、対照群の118例が評価基準を満たした。このうち、看護師による評価はCAREFuL群が132例(80%、死亡時平均年齢85.8[SD 6.84]歳、男性53%、原死因:肺炎27%、肺炎以外の感染症19%、フレイル19%)、対照群は109例(92%、84.0[7.52]歳、男性56%、原死因:心不全24%、がん21%、肺炎20%)で、家族介護者による評価はそれぞれ48例(29%)、23例(19%)で行われた。 CAREFuL群は対照群に比べ、看護師評価による死亡までの48時間の快適性が有意に良好であった(CAD-EOLDの補正平均差:4.30、95%信頼区間[CI]:2.07~6.53、p<0.0001)。家族介護者評価による快適性(CAD-EOLD補正平均差:-0.62、95%CI:-6.07~4.82、p=0.82)、看護師評価による症状管理(SM-EOLD補正平均差:-0.41、-1.86~1.05、p=0.58)、家族介護者評価による症状管理(SM-EOLD補正平均差:-0.59、-3.75~2.57、p=0.71)には、両群間に差を認めなかった。 一方、死亡までの48時間の家族介護者評価による満足度(End-of-Life in Dementia-Satisfaction With Care[SWC-EOLD]で評価)は、CAREFuL群のほうが有意に不良であった(SWC-EOLD補正平均差:-4.00、95%CI:-7.87~-0.12、p=0.04)。また、対照群では、ベースラインに比べ介入終了後のSWC-EOLDがわずかに改善したのに対し、CAREFuL群にはこのような改善もみられなかった。 著者は、「CAREFuLは、急性期病院高齢者病棟における死の質および医療の質を改善する可能性が示唆されるが、医療への満足度に及ぼすCAREFuLの効果のよりよい理解を得るには、質に関するさらなる検討を要する」とし、「より良好な管理のもとでプログラムを実施することで、終末期医療が改善される可能性が高く、他の形態のプログラムを導入して評価を行うことも考慮に値するだろう」と考察している。

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収縮性心不全への鉄補充、経口投与での効果は?/JAMA

 鉄欠乏を伴う左室駆出率(LVEF)が低下した収縮性心不全(HFrEF)患者では、経口高用量鉄補充療法を行っても運動耐容能は改善しないことが、米国・マサチューセッツ総合病院のGregory D. Lewis氏らが行ったIRONOUT HF試験で示された。鉄欠乏は、HFrEF患者の約半数にみられ、生活機能の低下や死亡の独立の予測因子とされる。静脈内投与による鉄補充の良好な結果が報告されているが、高価で外来患者にとっては定期的な受診が負担となるのに対し、経口鉄補充は安価で容易に行えるが、心不全に対する効果は明らかではない。JAMA誌2017年5月16日号掲載の報告。米国の225例で最大酸素摂取量の変化を評価 研究グループは、鉄欠乏を伴うHFrEF患者において、経口鉄補充療法による運動耐容能の改善効果を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験を実施した(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]の助成による)。HFrEFはLVEF<40%の心不全とし、鉄欠乏は血清フェリチン値15~100ng/mLまたはトランスフェリン飽和度<20%の場合は101~299ng/mLと定義した。2014年9月~2015年11月に、米国の23施設に225例が登録された。経口鉄補充群(鉄多糖類150mg、1日2回)に111例、プラセボ群には114例が割り付けられ、16週の治療が行われた。 主要評価項目は、ベースラインから16週までの最大酸素摂取量(peak VO2)の変化とした。副次評価項目には、6分間歩行距離、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)値、健康状態(Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire[KCCQ]:0~100点、スコアが高いほどQOLが良好)が含まれた。投与ルートの違いで効果に差がある可能性 ベースラインの全体の年齢中央値は63歳(IQR:55~70)、36%が女性であった。心不全の罹患期間中央値は5.7年(IQR:1.9~10.0)、HFrEFの病因の78%が虚血性心疾患であり、LVEF中央値は25%(20~34)であった。また、peak 2中央値は1,172mL/分(IQR:887~1,449)、6分間歩行距離中央値は363m(292~428)、NT-proBNP中央値は1,111pg/mL(453~2,412)、KCCQ臨床スコア中央値は75.5点(61.5~88.5)だった。 ベースラインから16週時のpeak VO2値の変化は、経口鉄補充群が23mL/分であり、プラセボ群の-2mL/分との間に有意な差を認めなかった(差:21mL/分、95%信頼区間[CI]:-34~76、p=0.46)。 同様に、ベースラインから16週時の6分間歩行距離の変化(差:-13m、95%CI:-32~6、p=0.19)、NT-proBNP値の変化(159pg/mL、-280~599、p=0.48)、KCCQ臨床スコアの変化(1.0点、-2.4~4.4、p=0.57)にも、両群間に有意な差はみられなかった。 有害事象(経口鉄補充群:35% vs.プラセボ群:39%、p=0.50)、重篤な有害事象(10 vs.9%、p=0.77)、永続的な投与中止(14 vs.15%、p=0.76)、死亡または心血管疾患による再入院(13 vs.11%、p=0.64)の頻度は両群で同等であり、初回有害事象の発現までの期間(経口鉄補充群のハザード比:0.85、95%CI:0.56~1.31、p=0.47)にも差はなかった。 著者は、「経口鉄補充による鉄貯蔵の改善効果も最小限であったことを含め、これらの結果は、類似の患者集団を対象とする静脈内投与による鉄補充の試験とは対照的であった。したがって、本試験でベネフィットが得られなかったのは、鉄補充戦略というよりも、投与ルートの問題である可能性が示唆される」と指摘している。

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