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丹毒

【皮膚疾患】丹毒◆病状急に顔面などが腫れて赤くなり、熱が高くなります。時に水ぶくれを伴い、痛みがあります。◆原因主にA群β溶血性レンサ球菌による感染で起こり、高齢者や糖尿病患者さんに多くみられます。溶血性レンサ球菌の合併症で腎障害が起こることもあり、注意が必要です。◆治療と予防・ペニシリン系やセフェム系抗菌薬の内服で治療します。再発や腎炎の可能性も考えて、改善後も10日ほど内服を続けます。●一言アドバイス小さな傷、扁桃炎、みずむしなどから、発症することがあるので注意しましょう。監修:ふくろ皮膚科クリニック 院長 袋 秀平氏Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.

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降圧薬と乳がんリスクの関連~SEERデータ

 米国Kaiser Permanente Washington Health Research InstituteのLu Chen氏らは、Surveillance, Epidemiology and End-Results(SEER)-Medicareデータベースを用いて、主要な降圧薬と乳がんリスクの関連を検討し、利尿薬とβ遮断薬が高齢女性の乳がんリスクを増加させる可能性があることを報告した。「ほとんどの降圧薬は乳がん発症に関して安全だが、利尿薬とβ遮断薬についてはさらなる研究が必要」としている。Cancer epidemiology, biomarkers & prevention誌オンライン版2017年8月14日号に掲載。 本研究では、2007~11年にStage I/II乳がんと診断された66~80歳の女性1万4,766例を同定した。がん発症後の各種降圧薬の使用についてMedicare Part Dデータで調べた。アウトカムは、SBCE(second breast cancer event、初回の再発または2次対側原発乳がんの複合)、乳がんの再発、乳がんによる死亡とした。時間変動Cox比例ハザードモデルを用いて、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値3年で、SBCEが791例、乳がんの再発が627例、乳がん死亡が237例であった。・乳がん診断後に利尿薬を使用した患者(8,517例)では非使用者と比較して、SBCEリスクは29%(95%CI:1.10~1.51)、再発リスクは36%(同:1.14~1.63)、乳がん死亡リスクは51%(同:1.11~2.04)、それぞれ高かった。・β遮断薬を使用した患者(7,145例)では非使用者と比較して、乳がん死亡リスクが41%(95%CI:1.07~1.84)高かった。・アンジオテンシンII受容体拮抗薬、Ca拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬の使用は、乳がんリスクに関連していなかった。

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日本人妊婦のうつ病診断、適切なカットオフ値はいくつか

 妊娠中のうつ病は、母親と子供の両方に悪影響を及ぼす。出産前のうつ病は、出産後のうつ病の予測因子であるため、早期発見は出産後うつ病の予防につながる可能性がある。エジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)は、周産期によく用いられるが、妊娠中のカットオフ値については、日本人で確認されていない。国立精神・神経医療研究センターの臼田 謙太郎氏らは、日本における妊娠中期のEPDSカットオフ値を最適化するため検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2017年8月2日号の報告。 妊娠12~24週目の20歳以上の妊婦を募集し、そのうちEPDS 9点以上の妊婦に研究への参加を依頼した。EPDSと同時に、うつ病エピソードの診断のために精神疾患簡易構造化面接法(日本語版)を行った。ROC曲線、感度および特異度、EPDSの陽性、陰性反応の予測値を算出した。 主な結果は以下のとおり。・参加者210例は、妊娠12週の1例を除き、すべて第2三半期であった。・20例がうつ病エピソードと診断された。・カットオフスコアを13点に設定した場合、ROC曲線下面積0.956、感度90.0%、特異度79.0%、EPDS陽性反応予測値54.5%、EPDS陰性反応予測値98.9%であった。 著者らは、「われわれの知る限り、本研究は日本において、妊娠第2三半期での最適なEPDSカットオフ値を明らかにするための、最初の研究である。本知見は、日本における出産前うつ病の適切なスクリーニングに役立つであろう」としている。■関連記事妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か妊娠中、血中濃度変化に注意が必要な抗精神病薬は

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進行メラノーマ、ペムブロリズマブかイピリムマブか/Lancet

 進行性黒色腫患者に対する、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の有効性および安全性をイピリムマブ(同:ヤーボイ)と比較し検証したKEYNOTE-006試験の全生存期間(OS)の最終解析結果を、イスラエル・Sheba Medical CenterのJacob Schachter氏らが報告した。中間解析で示されていたOSに関するペムブロリズマブのイピリムマブに対する優越性は、最終解析でも維持されており、ペムブロリズマブの投与スケジュールによる違いは確認されなかった。著者は、「この結果は進行悪性黒色腫の標準治療として、ペムブロリズマブの使用をさらに支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年8月16日号掲載の報告。16ヵ国87施設で約800例を登録し無作為化試験、約2年追跡 KEYNOTE-006試験は、16ヵ国の大学・病院・がんセンター87施設で行われた多施設共同非盲検無作為化第III相試験である。2013年9月18日~2014年3月3日に、18歳以上、ECOG PS 0〜1、RECIST v1.1による測定可能病変1つ以上、全身治療歴(抗CTLA-4、PD-1、PD-L1薬は除く)1回以下、イピリムマブ未治療の、切除不能または転移性(III期/IV期)悪性黒色腫患者(ぶどう膜または眼内悪性黒色腫は除く)834例を、ペムブロリズマブ10mg/kgの2週間間隔投与(Q2W)群、10mg/kgの3週間間隔投与(Q3W)群またはイピリムマブ3mg/kgの3週間間隔投与群(最高4回投与)に1対1対1の割合で無作為に割り付けた。全身ステロイド療法を必要とする活動性の脳転移または自己免疫疾患がある患者は除外された。 主要評価項目は、intention-to-treat集団(無作為化された全患者)におけるOS(無作為化から死亡までの期間)である。奏効は、12週時、その後48週までは6週ごと、以降は12週ごとに、独立した中央判定によりRECIST v1.1に基づいて評価された。生存は12週ごとに評価され、全患者を最低21ヵ月間追跡した後に最終解析が実施された。安全性解析対象集団は、治験薬を少なくとも1回投与されたすべての無作為割り付けされた患者とした。データカットオフ日は2015年12月3日であった。イピリムマブと比較して、ペムブロリズマブ群でOSが有意に改善 無作為化された834例(Q2W群279例、Q3W群277例、イピリムマブ群278例)のうち、Q2W群1例およびイピリムマブ群22例が同意を取り下げて治療を受けなかったため、安全性解析対象集団は811例となった。 追跡期間中央値22.9ヵ月において383例が死亡した。OS中央値は、ペムブロリズマブ両群で未到達、イピリムマブ群で16.0ヵ月であった。イピリムマブ群に対するハザード比(HR)は、Q2W群0.68(95%信頼区間[CI]:0.53~0.87、p=0.0009)、Q3W群0.68(0.53~0.86、p=0.0008)であった。24ヵ月OS率は、Q2W群55%、Q3W群55%、イピリムマブ群は43%であった。

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エボロクマブによるLDL-C低下は認知機能に影響せず/NEJM

 スタチンへのエボロクマブ(商品名:レパーサ)併用による心血管イベント抑制効果を検証するFOURIER試験に参加した患者を対象に、認知機能を前向きに評価した結果、追跡期間中央値19ヵ月において両群で認知機能に有意差は確認されなかったことを、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のRobert P. Giugliano氏らが報告した。これまでのPCSK9阻害薬の臨床試験から、同薬によるLDLコレステロール(LDL-C)低下と認知機能低下の関連が懸念されていた。NEJM誌2017年8月17日号掲載の報告。タッチスクリーン式の認知機能検査CANTABを用い認知機能を評価 研究グループは、FOURIER試験の患者を対象に、ケンブリッジ神経心理学テスト(CANTAB)を用い前向きに認知機能を評価した(ベースライン時、24週時、年1回、試験終了時に実施)。 主要評価項目は、実行機能の空間認識作業記憶スコア(範囲:4~28点、スコアが低いほど戦略と計画をより効率的に利用していることを示す)、副次評価項目は作業記憶スコア(範囲:0~279点、スコアが低いほど誤りが少ない)、エピソード記憶スコア(範囲:0~70点、スコアが低いほど誤りが少ない)、および精神運動速度(範囲:100~5100msec、速いほど成績良好)である。解析は、エボロクマブ群とプラセボ群で、空間認識作業記憶スコアのベースラインからの平均変化量を比較し、非劣性マージンをプラセボ群のスコアの標準偏差の20%に設定した。全認知機能評価項目、エボロクマブ併用群とプラセボ併用群で有意差なし 合計1,204例を中央値19ヵ月間追跡した結果、主要評価項目である空間認識作業記憶スコア素点のベースラインからの変化量(平均±SD)は、エボロクマブ群-0.21±2.62、プラセボ群-0.29±2.81であった(非劣性のp<0.001、優越性のp=0.85)。 副次評価項目である作業記憶スコア(変化量:エボロクマブ群-0.52、プラセボ群-0.93)、エピソード記憶スコア(変化量:それぞれ-1.53、-1.53)、精神運動速度(変化量:それぞれ5.2msec、0.9msec)は、両群間に有意差はなかった。また、探索的解析の結果、LDL-C値と認知機能の変化との間に関連は認められなかった。 著者は、認知症あるいは軽度認知障害患者が除外されていることや追跡期間が短いことなどを研究の限界として挙げている。なお現在、EBBUNGHAUS試験に参加した患者を対象としたCANTAB評価を含むFOURIER試験の5年間継続投与試験が進行中だという。

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大腿静脈カテーテル、望ましい穿刺位置と肢位は?

 大腿静脈カテーテル挿入は、血管の断面積(CSA)が大きな部位で行うと合併症リスクが減少する可能性がある。今回、ポーランド・Maria Sklodowska-Curie Memorial Cancer CenterのDorota Czyzewska氏らが、3つの肢位で2部位の右大腿静脈のCSAを調べたところ、肢位は開排位において最大であり、部位については性別で異なることが示された。PLOS ONE誌2017年8月14日号に掲載。 被験者は、同意を得られた19~39歳(平均23±3歳)の健康なボランティア205名(女性108名、男性97名)。超音波検査は線形14MHzトランスデューサーを用いて行った。調査した肢位は、外転、外転+外旋、外転+外旋+90°膝屈曲/開排位の3つ、位置は、鼠径靱帯の20mm尾側と鼠径溝の20mm尾側の2箇所である。 主な結果は以下のとおり。・測定位置にかかわらず、3つの肢位におけるCSA平均値に有意差が認められ、開排位での近位部においてCSA平均値が最大(114mm2±35mm2)であった。・CSAは性別および身長と有意に関連していた。・男性のCSAは、鼠径溝の20mm尾側ではすべての肢位で女性よりも大きかったが、鼠径靭帯の20mm尾側では女性のほうが大きかった。・外転でのCSAは全体の25%で、近位部が45.0mm2未満、遠位部が31.5mm2未満であった(直径にするとそれぞれ5.3mm、4.5mm)。

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がん発症後、動脈血栓塞栓症リスクが2倍以上に

 がん患者の動脈血栓塞栓症リスクの疫学的な関連をより明確にするため、がんステージの影響を含めて、米国Weill Cornell MedicineのBabak B. Navi氏らが検討したところ、新規がん発症患者において、動脈血栓塞栓症リスクが短期的に大幅な増加を示すことがわかった。Journal of the American College of Cardiology誌2017年8月22日号に掲載。 本研究では、Surveillance Epidemiology and End Results-Medicareにリンクしたデータベースを用いて、2002~11年に新規に、乳がん、肺がん、前立腺がん、大腸がん、膀胱がん、膵臓がん、胃がん、非ホジキンリンパ腫と診断された患者を同定した。がんではないメディケア登録者と人口動態および併存疾患でマッチさせ、それぞれのペアを2012年まで追跡した。また、診断コードを用いて、心筋梗塞または虚血性脳卒中として定義された動脈血栓塞栓症を同定した。さらに、競合リスク生存率統計を用いて累積発症率を算出し、グループ間の比較にはCoxハザード分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・がん患者とマッチさせた対照患者27万9,719ペアを同定した。・動脈血栓塞栓症の6ヵ月累積発症率は、対照患者の2.2%(95%信頼区間[CI]:2.1~2.2%)と比べ、がん患者では4.7%(95%CI:4.6~4.8%)であった(ハザード比[HR]:2.2、95%CI:2.1~2.3)。・心筋梗塞の6ヵ月累積発症率は、 対照患者の0.7%(95%CI:0.6~0.7%)と比べ、がん患者では2.0%(95%CI:1.9~2.0%)であった(HR:2.9、95%CI:2.8~3.1)。・虚血性脳卒中の6ヵ月累積発症率は、対照患者の1.6%(95%CI:1.6~1.7%)に比べ、がん患者では3.0%(95%CI:2.9~3.1%)であった(HR:1.9、95%CI:1.8~2.0)。・過剰リスクはがん種によって異なり(肺がんで最大)、がんのステージと相関し、概して1年で解消した。

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SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法

 うつ病女性において標準的な治療では十分な効果が得られないことがある。クレアチン水和物や5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)による従来の抗うつ薬治療の増強療法は、女性のうつ病に関連するセロトニン産生や脳の生物学的因子の欠損を補正し、相乗的な効果をもたらす。米国・ユタ大学のBrent M. Kious氏らは、SSRIまたはSNRI単独療法で効果不十分なうつ病女性に対する、5-HTPおよびクレアチン増強療法に関するオープンラベル試験を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌オンライン版2017年8月5日号の報告。 SSRIまたはSNRIを十分に服用し、現在もうつ症状が残存している女性15例(HAM-D17スコア16点以上)を対象に、クレアチン水和物5g/日と5-HTP 100mg 1日2回による増強治療を8週間行い、4週間フォローアップした。主要アウトカムは、平均HAM-Dスコアの変化量とした。 主な結果は以下のとおり。・平均HAM-Dスコアは、前処置時の18.9点(SD:2.5)から7.5点(SD:4.4)に低下し(p<0.00001)、60%の減少が認められた。・治療に関連した重篤な有害事象は認められなかった。 著者らは「SSRIまたはSNRI治療抵抗性のうつ病女性に対するクレアチンと5-HTP併用療法は、効果的な増強戦略であると考えられる。本研究は、小規模なオープンラベル試験であるため、今後は無作為化プラセボ対照試験により明らかにする必要がある」としている。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較SSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か

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循環器内科 米国臨床留学記 第23回

第23回 アメリカのモニター心電図事情 (Ziopatchなど)循環器の診断において、心電図、心エコーと並んで頻用されるモニター心電図ですが、その目的や用途に応じて使用するデバイスも変わってきます。今回は、アメリカで使用されているモニター心電図を紹介したいと思います。古くからあるHolter心電図はいまだ健在ですが、24~48時間とモニターできる期間が短く、患者はモニターの付け外しのために、その都度病院に来なければなりません。最近は、付け外しを自分で行うことが可能で、1週間以上の期間、心臓をモニターできるデバイスを用いる機会が増えています。その中でもZiopatchとMCOT(Mobile Cardiac Outpatient TelemetryTM)がよく使われています。Ziopatch は5cm×12.5cmの小さなデバイス(図1)で前胸部に張り付けるだけで2週間まで心電図がモニターできる優れたデバイスです。Ziopatchはサイズが小さく、患者自身で取り付けられるため、患者の自宅に郵送できます。モニター期間が終了すれば、患者自身でZiopatchの解析センターへ郵送してもらい、解析されたデータが医師の元に届くシステムです。(図1)心房細動や期外収縮の検知など、リアルタイムのモニターが必要でない場合、Ziopatchは非常に使いやすく感じます。逆に言えば、Ziopatchは“リアルタイム”のモニターができないので、モニター期間中に危険な徐脈や頻脈があっても、すぐには医師の元に報告が届きません。2週間のモニター期間が終了後、解析を受けて初めて知ることになるわけです。したがって、ハイリスクな徐脈または頻脈性不整脈を疑う時は、MCOTが必要となります。MCOTの代表的なものとしては、Cardionetが挙げられます。利点は、不整脈の検知がオンタイムでできることです。患者が基準を満たす頻脈、徐脈を生じると、すぐにセンターに情報が送られ、その情報は当直医などに届きます。当直の際には、夜間でもセンターから電話があり、「新たな心房細動が起きました」とか「3秒以上の心停止が検知されました」などといった情報がオンタイムで伝えられます。フェローの頃、当直中や夜間も含め、頻回に連絡が来るのは大変なこともありましたが、ハイリスクな不整脈が見つかった場合、すぐに患者に連絡して入院などの措置を取ることができるのはCardionetの利点です。またZiopatchやMCOTは、いずれも患者が症状のあるときに患者自身がボタンを押すことでイベントとして記録が可能です。日本でもおなじみのイベントモニターも、症候性のイベントを記録する目的として使用されます。患者が自ら購入できる比較的安価で便利なイベントモニターとしてAlivecorが挙げられます。Alivecorは医師が処方するのではなく、患者自身が購入し、心電図を好きな時に記録できます。100ドル以下で手に入り、iphoneに簡単に取り付けられます。これらのモニター心電図の中で最も長期間モニターが可能なのは、植込み型のループレコーダーです。米国では、Medtronic社のReveal Linqが頻用されています。Reveal Linqは日本でも承認されましたが、非常に小さく、手技も簡単なため、脳梗塞患者における心房細動の検知に対して積極的に植込まれています。これらのデバイスの長所、短所、費用などはMedscapeがまとめています。モニターをオーダーする際、患者の持つ保険で費用が変わってくるため、確認が必要です。例えば、Ziopatchをオーダーしたくても保険会社の許可が下りないといったことが起こりえます。この辺りも、アメリカならではというところです。

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PM2.5が高いと高濃度乳房になりやすい?

 マンモグラフィ乳腺密度は乳がんの強力な危険因子であるが、都市部と農村部の乳腺密度の違いにおける環境の影響についてはほとんどわかっていない。米国・フロリダ大学のLusine Yaghjyan氏らが集団ベースの大規模レジストリで調査したところ、きわめて高濃度乳房の女性は脂肪性乳房の女性に比べてPM2.5の曝露が多く、オゾンの曝露は少なかった。本研究から、PM2.5やオゾンへの曝露の違いでマンモグラフィ乳腺密度の地域差を部分的に説明できることが示唆された。Breast cancer research誌2017年4月6日号に掲載。 本研究の参加者は、Breast Cancer Surveillance Consortium(2001~09)においてイメージング施設でマンモグラフィ検診を受けた女性で、インデックスマンモグラムの前に自宅のzipコードがわかった40歳以上の女性27万9,967人。乳腺密度は、American College of RadiologyのBreast Imaging-Reporting and Data System(BI-RADS)の4カテゴリーによる乳腺密度分類を用いて評価した。米国環境保護庁の階層ベイズモデル(HBM)から米国の各グリッドのPM2.5およびオゾンの推定値(2001~08年)を入手した。大多数の女性(94%)で、マンモグラフィ検診日の前年の推定値が入手可能であった。 主な結果は以下のとおり。・きわめて高濃度乳房の女性は脂肪性乳房の女性に比べ、PM2.5(平均値)の曝露が多くオゾンは少なかった(それぞれ、8.97 vs.8.66μg/m3、33.70 vs.35.82ppb)。・回帰分析より、不均一高濃度乳房の女性は乳腺散在乳房の女性に比べ、PM 2.5への曝露が多い傾向がみられた(第1四分位に対する第4四分位のオッズ比[OR]:1.19、95%信頼区間[CI]:1.16~1.23)。・きわめて高濃度乳房の女性は乳腺散在乳房の女性に比べて、オゾンへの曝露が少ない傾向がみられた(第1四分位に対する第4四分位のOR:0.80、95%CI:0.73~0.87)。

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双極性障害患者の自殺念慮、予測パターンは

 自殺念慮は、双極性障害患者で頻繁に認められるが、その経過や経年変化はよくわかっていない。デンマーク・コペンハーゲン大学のOle Kohler-Forsberg氏らは、双極性障害患者の自殺念慮について、6ヵ月間の追跡調査を行った。Journal of affective disorders誌オンライン版2017年7月20日号の報告。 Bipolar CHOICE研究では、双極性障害外来患者482例を、他の向精神薬を含む6ヵ月間のリチウムまたはクエチアピンベースの治療群に無作為に割り付けた。対象者は、Concise Health Risk Tracking scaleを用いて自殺念慮を9回調査した。自殺念慮の軌跡を経験的に特定するため、潜在成長混合モデル分析を行った。軌跡と潜在的な予測因子との関連を推定するため、多項ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・4つの異なる軌跡が同定された。・中程度の安定群(Moderate-Stable)は11.1%で、一定の自殺念慮により特徴づけられた。・中程度の非安定群(Moderate-Unstable)では、より変動的な自殺に関する持続的な思考を伴う割合が2.9%であった。・持続的に低い群(Persistent-low:20.8%)と持続的に非常に低い群(Persistent-very-low:65.1%)では、自殺念慮が低かった。・うつ病スコアの上昇と自殺企図歴は、中程度の安定群の予測因子であったが(有意ではない傾向)、無作為化治療ではその限りではなかった。・本研究の限界として、自殺念慮に対する特別な治療は含まれておらず、また自殺念慮は数年間続く可能性がある。 著者らは「双極性障害を有する成人外来患者10人に1人以上において、6ヵ月間の薬物治療中に自殺念慮の増加がある程度認められた。同定された予測因子は、臨床医が自殺念慮に対する治療が必要である患者を特定するのに役立つであろう。今後の研究において、薬理学的および非薬理学的な標的治療が、持続的な自殺念慮の経過を改善するかを調査する必要がある」としている。■関連記事双極性障害患者の自殺、治療パターンを分析双極性障害、リチウムは最良の選択か双極性障害に対する抗うつ薬治療、その是非は

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悪性脳腫瘍に対するテモゾロミド療法の役割は?/Lancet

 新たに診断された1p/19q非欠失の退形成星細胞腫患者において、テモゾロミドアジュバント療法により、顕著な生存ベネフィットを得られることが、第III相無作為化非盲検試験「CATNON(EORTC study 26053-22054)」の中間解析として報告された。オランダ・エラスムスMCがん研究所のMartin J van den Bent氏らが、Lancet誌オンライン版2017年8月8日号で発表した。同患者に対するテモゾロミドによる化学療法は、1p/19q欠失の退形成星細胞腫よりも有効性は低く予後は不良とされているが、その役割は明確にはなっていなかった。放射線療法と併用またはアジュバント療法について評価 研究グループは、1p/19q非欠失の退形成星細胞腫成人患者における放射線療法と併用またはアジュバント療法として行うテモゾロミド化学療法を評価するため、2×2要因デザインを用いた検討を行った。適格患者は、18歳以上、1p/19q非欠失退形成星細胞腫を新規診断され、WHO全身状態スコアが0~2とした。 患者を、電子的EORTCウェブベースORTAシステムで、次の4群に1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。放射線治療(59.4Gy:1.8Gyずつの33分割)単独治療群、放射線治療+テモゾロミドアジュバント療法(1日目~5日目に150~200mg/m2投与を4週間サイクルで12回)群、放射線治療+テモゾロミド併用療法(75mg/m2/日)群、放射線治療+テモゾロミド併用+テモゾロミドアジュバント療法群。 主要エンドポイントは全生存率(OS)で、全身状態スコア(>0 vs.0)、年齢(50歳未満 vs.50歳以上)、1pヘテロ接合欠失(あり vs.なし)、オリゴデンドログリアの存在(あり vs.なし)、MGMT遺伝子プロモーター領域メチル化状態(メチル化 vs.メチル化していないが不明瞭または不明 vs.非メチル化)で補正を行いintention to treat解析を行った。 当初計画では、219例(41%)の死亡が発生した時点で中間解析を行い、有効性の帰無仮説を検証する予定であった(リジェクション閾値はp<0.0084)。アジュバント療法を行った群のOSに関するハザード比は0.65 2007年12月4日~2015年9月19日の間に、1,407例がスクリーニングを受け、748例が治療群に無作為に割り付けられていた。中間解析の条件に達したのは2015年5月。データをロックした同年8月31日時点で、登録完了していたのは745例(99%)であった。 追跡期間中央値は27ヵ月(95%信頼区間[CI]:25~30)。2015年5月31日までに、病勢進行は344例(46%)、死亡は221例(30%)であった。死亡の内訳は、テモゾロミドアジュバント療法を受けなかった群が129/372(35%)、受けた群は92/373(25%)であった。OSに関するハザード比(HR)は、テモゾロミドアジュバント療法を用いた群で0.65(99.145%CI:0.45~0.93、p=0.0014)であった。5年時点のOSは、テモゾロミドアジュバント療法を使用した群で55.9%(95%CI:47.2~63.8)、非使用群は44.1%(同:36.3~51.6)であった。 Grade3-4有害事象の発生は、テモゾロミド投与群に割り付けられた患者549例中8~12%で報告されたが、血液学的なものまたは可逆的な事象が主なものであった。 結果を踏まえて著者は、「さらなる分析で、テモゾロミド併用の役割と分子レベルの役割解明が必要である」と述べている。

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ベルソムラによる「せん妄予防」

 順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学の八田耕太郎氏らは、高齢救急患者における、就寝前に不眠症治療薬「ベルソムラ(一般名:スボレキサント)」投与によって、安全にせん妄を予防できることをJournal of Clinical Psychiatry誌に発表した。研究者らは本結果について、今まで実効性がなかったせん妄の療法に、薬物療法による新たなせん妄予防の道を拓いたもので、せん妄診療を治療から予防にパラダイムシフトさせる意義があるものとしている。ベルソムラ群はせん妄出現率が有意に低かった 研究グループは、ICUまたは一般病棟に入院する65~89歳の救急患者のうち、薬剤の経口摂取が可能で48時間以上の入院が見込まれる患者72例が対象に、ベルソムラ15mgを就寝前に1日1回3日間投与するベルソムラ群(n=36)と、プラセボを就寝前投与するプラセボ群(n=36)に封筒法で無作為に割り付け、せん妄の出現率について4日間観察した。 主な結果は下記のとおり。・DSM-IVに基づいてせん妄の出現を評価した結果、プラセボ群では17%の患者にせん妄が出現したのに対し、ベルソムラ群でせん妄を出現した患者はなく、ベルソムラ群はせん妄出現率がプラセボ群に比べ有意に低かった(p=0.025)。・日本語版せん妄評価尺度98年度改訂版(DRS-R-98-J)の睡眠覚醒サイクル障害(項目#1)評点の推移は、ベルソムラ群で低い傾向が観察された(p=0.053)。

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自閉症スペクトラム障害児に即興音楽療法は有用か/JAMA

 自閉症スペクトラム障害(ASD)の小児の治療では、強化標準治療に即興音楽療法を追加しても症状の重症度は改善しないことが、ノルウェー・Uni ResearchのLucja Bieleninik氏らが行ったTIME-A試験で明らかとなった。研究の成果はJAMA誌2017年8月8日号に掲載された。音楽療法は、ASD患者の社会的相互作用(social interaction)、共同注意(joint attention)、親子関係を改善することが無作為化試験で示されている。即興音楽療法は、患児と訓練を受けた音楽療法士が自発的に歌ったり、演奏したり、体を動かすことで音楽を創造する患児中心のアプローチで、音楽療法士は患児の関心や行動、好奇心に着目してこれに従うことで社会コミュニケーション技法の発達を促す。9ヵ国が参加した国際的無作為化試験 本研究は、ASD児の総合的な社会コミュニケーション技法に及ぼす即興音楽療法の効果を評価する無作為化臨床試験である(Research Council of Norwayの助成による)。 対象は年齢4~6歳11ヵ月のASD児(国際疾病分類第10版[ICD-10]の判定基準に準拠)で、9ヵ国の10施設が参加した(アジアからは韓国が参加)。2011年11月~2015年11月に患者登録を行い、2012年1月~2016年11月にフォローアップを実施した。 被験者は、強化標準治療のみを行う群または強化標準治療+即興音楽療法を行う群に1対1の割合で無作為に割り付けられ、後者はさらに即興音楽療法を週3回行う群(高強度群)または週1回行う群(低強度群)に割り付けられた。治療期間は5ヵ月であった。 セッションは1回30分で、クリニック、幼稚園あるいは家庭で患児と30人の有資格の音楽療法士(女性が21人、平均年齢34.7歳[範囲:23~55歳]、音楽療法士としての平均経験年数7.3年[範囲:0~30年])が1対1で行った(可能な場合は家族も参加)。評価担当者には、個々の患者の割り付け情報が知らされなかった。 主要評価項目は5ヵ月時の症状の重症度とし、自閉症診断観察検査(Autism Diagnostic Observation Schedule:ADOS)のsocial affectスコア(0~27点、点数が高いほど重症度が高い、臨床的に意義のある最小変化量:1点)で評価した。2および12ヵ月時にも評価を行った。ほとんどの探索的副次評価項目にも有意差はなし 364例が登録され、強化標準治療群に182例が、即興音楽療法群にも182例(高強度群90例、低強度群92例)が割り付けられた。全体の平均年齢は5.4歳で、男児が83%を占めた。主要評価項目の解析は314例(86%)で行われた。 5ヵ月間で、即興音楽療法群は中央値で19回の音楽療法を受け、3回の両親へのカウンセリングが行われ、36回のその他の治療セッションを受けた。強化標準治療群は、両親へのカウンセリングが3回、他の治療セッションは45回であった。 ADOSの平均social affectスコアは、即興音楽療法群がベースラインの14.08点から5ヵ月時には13.23点に、強化標準治療群は13.49点から12.58点に改善し、両群に有意な差は認めなかった(平均差:0.06、95%信頼区間:-0.70~0.81、p=0.88)。即興音楽療法群の高強度群と低強度群にも有意差はみられなかった。 また、20項目の探索的副次評価項目のうち17項目には有意な差はなかった。2および12ヵ月時のsocial affectスコア、2、5、12ヵ月時の対人応答性尺度(Social Responsiveness Scale:SRS)の総スコアにも差はみられなかった。 著者は、「有意差を認めた数少ない探索的副次評価項目もその差は小さく、臨床的な意義はないと考えられた」としている。

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169)意外と盲点!? ナッツ摂取の適正量【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者最近、ビールが美味しくて、つい飲み過ぎです。医師ハハハ。それは要注意ですね。つまみはどうされていますか?患者なんか健康に良いということでナッツを食べています。雑誌でコレステロールも下がるって書いてあったんで…。医師そうでしたか。どんなのを食べているんですか?(興味を持って質問)患者え~と、コンビニにお気に入りのミックスナッツがあるんです。このくらいの大きさので(80~100g)…。医師それだと500~600kcalくらいありそうですね。素焼きのアーモンド30gでLDLコレステロールは4mg/dL強下がるそうです。とくに効果があるのはアーモンドの皮の部分だそうです。ナッツは7つくらいが、ちょうど良いくらいかもしれませんね。患者えっ、それくらいしか下がらないんですか。それなら私、食べ過ぎですね。●ポイントナッツの健康効果について具体的に説明することで、患者の納得度が深まります1)Del Gobbo LC, et al. Am J Clin Nutr. 2015;102:1347-1356.2)Staniak HL, et al. Atherosclerosis. 2014;233:381-386.

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海外学会開催地オススメ情報「バルセロナ」

ケアネットでは、学会に参加しながらバルセロナ(スペイン)を十分にお楽しみいただくため、会員の方々から現地の名所、おすすめのレストラン情報などを募集しましたので、ここでご紹介します。※掲載されている情報は2017年8月時点のものです。ガウディ建築おすすめスポットとして会員の先生方から最も多く挙がったのは、やはりサグラダ・ファミリア。続いてグエル公園やカサ・ミラなど、ガウディ建築が圧倒的に人気でした。いずれもチケットは当日購入できますが、休暇シーズンは混雑が予想されるため、オンラインで事前購入しておくのがおすすめです。ちなみにガウディ以外にもバルセロナには個性的な近・現代建築が多く、学会会場となることの多いFira Gran Viaは伊藤豊雄氏が手掛けています。サグラダ・ファミリア Sagrada Familia1882年に着工され、以前は「完成まで数百年かかる」ともいわれていましたが、IT技術の進歩により、現在では2026年の完成を目指して建設中です。チケットは割引もあるオンライン購入がおすすめですが、予約は見学の時間帯が細かく設定されているのでご注意を。[アクセス] 地下鉄L2/L5線Sagrada Familia駅カサ・バトリョ Casa Batlloガウディが増改築した、実業家バトリョ氏の元邸宅。長らく非公開でしたが、2002年から一般公開されるようになりました。ステンドグラスに陽の光が差し込む日中も、ライトアップされる夜もどちらも魅力的です。チケットはオンライン購入でき、日時指定の有無や、優先入場可能なFAST PASSオプションなど、予定に応じて選べます。[アクセス] 地下鉄L2/L3/L4線Passeig de Gracia駅カサ・ミラ Casa Milaガウディによる最後から2番目の作品で、現在も住民が暮らす集合住宅。彫刻が施された屋上が特徴的です。チケットはオンライン購入でき、日時指定のないオープンチケットは「プレミアムチケット」です。カサ・バトリョ、カサ・ミラともグラシ通りにあり、旧市街のゴシック地区の近くです。ジョギングがてら行ってみるのもよいと思います。[アクセス] 地下鉄L3/L5線Diagonal駅グエル公園 Park Guell庭園式住宅地として設計されたもので、約15ヘクタールの広大な敷地は有料ゾーンと無料ゾーンに分けられています。主な見どころは有料ゾーンに集中しており、1時間程度で見て回ることができます。チケットは事前のオンライン購入がおすすめですが、予約時間から30分以上遅れると入場できなくなるので注意が必要です。最寄りの地下鉄駅からはいずれも徒歩15分ほどかかるため、タクシーを利用してもいいかもしれません。[アクセス] 地下鉄L3線Vallcarca駅あるいはLesseps駅名所サン・パウ病院 Hospital de la Santa Creu i Sant Pauガウディの師であり、ライバルともいわれる建築家、ルイス・ドメネク・イ・モンタネールの代表作。「世界一美しい病院」ともいわれ、2009年までは実際に使われていました。世界遺産に登録され、(設備等はすでに撤去・改修されていますが)手術棟や入院棟などを見て回ることができます。チケットはオンライン購入も可能です。サグラダ・ファミリアから徒歩10分ほどの距離なので、併せて見学するのはいかがでしょうか。[アクセス] 地下鉄L5線Sant Pau Dos de Maig駅カンプ・ノウ Camp Nouメッシやイニエスタを擁するFCバルセロナのホームスタジアム。試合のチケットは公式サイトで購入できます。観戦以外にも、「Camp Nou Experience」というスタジアムツアーに申し込めば、ミュージアムや更衣室などのバックヤードを見学でき、欧州最大規模のスタジアムの雰囲気を味わえます。[アクセス] 地下鉄L5線Collblanc駅あるいはL3線Palau Reial駅考える牛 El toro assegut & キリンのマハ La girafa coquetaロダンの「考える人」とゴヤの「裸のマハ」を牛&キリンで表現。カサ・ミラやカサ・バトリョの近く、カフェや土産物店が立ち並ぶカタルーニャ通りを散策していると遭遇できる、クスっと笑える彫刻です。[アクセス] 地下鉄L3/L5線Diagonal駅モンセラット Montserratバルセロナ郊外では、Espanya駅からカタルーニャ鉄道(FGC)で1時間ほどの、モンセラットが人気でした。登山鉄道やロープウエーで巡る、円筒状の不思議な形をした岩が連なる景色は、一見の価値ありです。[アクセス] カタルーニャ鉄道Aeri de Montserrat駅あるいはMonistrol de Montserrat駅レストランバルセロナはどこに行っても美味しい食事が味わえます。地元の料理であっても日本人の舌に合った味付けです。どのお店でも突き出しにオリーブのオイル漬けがでてきますが、これが癖になるほど美味です。他にもパンにトマトを擦り付けたパンコントマテ、シシトウのような野菜を調理したピミエントデパドロン、パエリアなどどれもおすすめですが、生ハムはお忘れなく。手ごろな価格で日本では考えられないくらいの量がでてきます。ワインと一緒にいかがでしょうか。ボケリア市場(サン・ジョセップ市場)日曜・祝日を除く毎日、朝8時から開いているバルセロナで一番大きな市場。ランブラス通り沿いにあります。フレッシュジュースやカットフルーツ、生ハムやシーフードのフライなどを食べ歩きながら散策できます(日本では高価なカラスミもリーズナブルなお値段で手に入ります)。また、市場内にはレストラン・バルも何軒かあり、小皿料理(タパス)やワインも楽しめます。なかでも老舗のバルPintxo barはいつもにぎわっています。小さなお店ですがさまざまなメニューがあり、地元のビジネスマンが必ず仕事前にテイクアウトするのが写真のパン。クロワッサンと言っていたかと思いますが、この写真を見せればわかってくれると思います。[アクセス] 地下鉄L3線Liceu駅Cal pep(地中海料理)行列必至、大人気のレストラン・バル。スペイン風オムレツのトルティーヤ、マグロのタルタルなどの魚介料理が評判のお店。開店時間前(ディナーは19時半~)に並んでおくと、比較的待ち時間少なく入れます。とくにマテ貝はおすすめです。メニューに載っていたらお試しください。[アクセス] 地下鉄L4線JaumeI駅Rocambolesc(アイスクリーム)ミシュランガイド3つ星の常連レストラン「El Celler de Can Roca」のパティシエがオープンしたアイスクリームショップ。バルセロナ店はスペインで4軒目の店舗です。ブリオッシュ生地にアイスクリームを挟んで焼いた「パネット」がおすすめ。[アクセス] 地下鉄L3線Liceu駅Koy Shunka(日本食)日本人シェフ松久秀樹氏が経営する和食レストラン。2013年にミシュランガイド1つ星を獲得しています。系列店に寿司Shunkaなどもあります。いずれも旧市街大聖堂のあるカタルーニャ広場からすぐのところにお店を構えています。[アクセス] 地下鉄L4線JaumeI駅あるいはL1/L4線Urquinaona駅RAMEN-YA HIRO(ラーメン)日本人オーナーによるバルセロナ初のラーメン店。醤油・味噌味のほか、海鮮ラーメンや餃子もあります。ラーメンが恋しくなったら、ぜひどうぞ。[アクセス] 地下鉄L4/L5線Verdaguer駅

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ESC 2017開催地、バルセロナのおすすめスポット

ケアネットでは、会員の先生方への事前アンケートでバルセロナの観光名所、レストランなどの情報をお寄せいただきましたので、ここにご紹介します。ESC 2017 注目の演題はこちらバルセロナ中心部から学会会場への移動学会会場のFira Gran Viaは、バルセロナ・エルプラット国際空港から地下鉄(L9 Sud)で約20分(4.50ユーロ)、タクシーを利用する場合は15分ほど(20ユーロ前後)のところにあります。最寄りはFira駅(会場直結)あるいはEuropa Fira駅(徒歩5分)。市内中心部のCatalunya駅から会場へ向かう場合、地下鉄(L1)でEspanya駅へ、Espanya駅で地下鉄(L8)に乗り換えて、Europa Fira駅で下車します(所要時間約20分)。中心部からタクシーを利用する場合は15~20分ほどです。ただし、朝夕のラッシュアワーは、かなり渋滞しますので、時間に余裕をもってお出かけください。ガウディ建築おすすめスポットとして会員の先生方から最も多く挙がったのは、やはりサグラダ・ファミリア。続いてグエル公園やカサ・ミラなど、ガウディ建築が圧倒的に人気でした。いずれもチケットは当日購入できますが、8月は休暇シーズンで混雑が予想されるため、オンラインで事前購入しておくのがおすすめです。ちなみにガウディ以外にもバルセロナには個性的な近・現代建築が多く、学会会場のFira Gran Viaは伊藤豊雄氏が手掛けています。サグラダ・ファミリア Sagrada Familia1882年に着工され、以前は「完成まで数百年かかる」ともいわれていましたが、IT技術の進歩により、現在では2026年の完成を目指して建設中です。チケットは割引もあるオンライン購入がおすすめですが、予約は見学の時間帯が細かく設定されているのでご注意を。[アクセス] 地下鉄L2/L5線Sagrada Familia駅カサ・バトリョ Casa Batlloガウディが増改築した、実業家バトリョ氏の元邸宅。長らく非公開でしたが、2002年から一般公開されるようになりました。ステンドグラスに陽の光が差し込む日中も、ライトアップされる夜もどちらも魅力的です。チケットはオンライン購入でき、日時指定の有無や、優先入場可能なFAST PASSオプションなど、予定に応じて選べます。[アクセス] 地下鉄L2/L3/L4線Passeig de Gracia駅カサ・ミラ Casa Milaガウディによる最後から2番目の作品で、現在も住民が暮らす集合住宅。彫刻が施された屋上が特徴的です。チケットはオンライン購入でき、日時指定のないオープンチケットは「プレミアムチケット」です。カサ・バトリョ、カサ・ミラともグラシ通りにあり、旧市街のゴシック地区の近くです。ジョギングがてら行ってみるのもよいと思います。[アクセス] 地下鉄L3/L5線Diagonal駅グエル公園 Park Guell庭園式住宅地として設計されたもので、約15ヘクタールの広大な敷地は有料ゾーンと無料ゾーンに分けられています。主な見どころは有料ゾーンに集中しており、1時間程度で見て回ることができます。チケットは事前のオンライン購入がおすすめですが、予約時間から30分以上遅れると入場できなくなるので注意が必要です。最寄りの地下鉄駅からはいずれも徒歩15分ほどかかるため、タクシーを利用してもいいかもしれません。[アクセス] 地下鉄L3線Vallcarca駅あるいはLesseps駅その他のおすすめ名所サン・パウ病院 Hospital de la Santa Creu i Sant Pauガウディの師であり、ライバルともいわれる建築家、ルイス・ドメネク・イ・モンタネールの代表作。「世界一美しい病院」ともいわれ、2009年までは実際に使われていました。世界遺産に登録され、(設備等はすでに撤去・改修されていますが)手術棟や入院棟などを見て回ることができます。チケットはオンライン購入も可能です。サグラダ・ファミリアから徒歩10分ほどの距離なので、併せて見学するのはいかがでしょうか。[アクセス] 地下鉄L5線Sant Pau Dos de Maig駅カンプ・ノウ Camp Nouメッシやイニエスタを擁するFCバルセロナのホームスタジアム。試合のチケットは公式サイトで購入できます。観戦以外にも、「Camp Nou Experience」というスタジアムツアーに申し込めば、ミュージアムや更衣室などのバックヤードを見学でき、欧州最大規模のスタジアムの雰囲気を味わえます。学会開催日の8月26日にDeportivo Alavesとの試合がありますが、残念ながらこの日はカンプ・ノウではなくアウェーのようです。[アクセス] 地下鉄L5線Collblanc駅あるいはL3線Palau Reial駅考える牛 El toro assegut & キリンのマハ La girafa coquetaロダンの「考える人」とゴヤの「裸のマハ」を牛&キリンで表現。カサ・ミラやカサ・バトリョの近く、カフェや土産物店が立ち並ぶカタルーニャ通りを散策していると遭遇できる、クスっと笑える彫刻です。[アクセス] 地下鉄L3/L5線Diagonal駅モンセラット Montserratバルセロナ郊外では、Espanya駅からカタルーニャ鉄道(FGC)で1時間ほどの、モンセラットが人気でした。登山鉄道やロープウエーで巡る、円筒状の不思議な形をした岩が連なる景色は、一見の価値ありです。[アクセス] カタルーニャ鉄道Aeri de Montserrat駅あるいはMonistrol de Montserrat駅市場・レストランバルセロナはどこに行っても美味しい食事が味わえます。地元の料理であっても日本人の舌に合った味付けです。どのお店でも突き出しにオリーブのオイル漬けがでてきますが、これが癖になるほど美味です。他にもパンにトマトを擦り付けたパンコントマテ、シシトウのような野菜を調理したピミエントデパドロン、パエリアなどどれもおすすめですが、生ハムはお忘れなく。手ごろな価格で日本では考えられないくらいの量がでてきます。ワインと一緒にいかがでしょうか。ボケリア市場(サン・ジョセップ市場)日曜・祝日を除く毎日、朝8時から開いているバルセロナで一番大きな市場。ランブラス通り沿いにあります。フレッシュジュースやカットフルーツ、生ハムやシーフードのフライなどを食べ歩きながら散策できます(日本では高価なカラスミもリーズナブルなお値段で手に入ります)。また、市場内にはレストラン・バルも何軒かあり、小皿料理(タパス)やワインも楽しめます。なかでも老舗のバルPintxo barはいつもにぎわっています。小さなお店ですがさまざまなメニューがあり、地元のビジネスマンが必ず仕事前にテイクアウトするのが写真のパン。クロワッサンと言っていたかと思いますが、この写真を見せればわかってくれると思います。[アクセス] 地下鉄L3線Liceu駅Cal pep(地中海料理)行列必至、大人気のレストラン・バル。スペイン風オムレツのトルティーヤ、マグロのタルタルなどの魚介料理が評判のお店。開店時間前(ディナーは19時半~)に並んでおくと、比較的待ち時間少なく入れます。とくにマテ貝はおすすめです。メニューに載っていたらお試しください。[アクセス] 地下鉄L4線JaumeI駅Rocambolesc(アイスクリーム)ミシュランガイド3つ星の常連レストラン「El Celler de Can Roca」のパティシエがオープンしたアイスクリームショップ。バルセロナ店はスペインで4軒目の店舗です。ブリオッシュ生地にアイスクリームを挟んで焼いた「パネット」がおすすめ。[アクセス] 地下鉄L3線Liceu駅Koy Shunka(日本食)日本人シェフ松久秀樹氏が経営する和食レストラン。2013年にミシュランガイド1つ星を獲得しています。系列店に寿司Shunkaなどもあります。いずれも旧市街大聖堂のあるカタルーニャ広場からすぐのところにお店を構えています。学会期間中はお休みかもしれませんので、お電話で確認の上いらしてください。[アクセス] 地下鉄L4線JaumeI駅あるいはL1/L4線Urquinaona駅RAMEN-YA HIRO(ラーメン)日本人オーナーによるバルセロナ初のラーメン店。醤油・味噌味のほか、海鮮ラーメンや餃子もあります。ラーメンが恋しくなったら、ぜひどうぞ。[アクセス] 地下鉄L4/L5線Verdaguer駅

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大部分のがんは男性で発症しやすく生存率も低い

 がんの発症リスクと生存率における性差について、スウェーデンがん登録のデータで調査したところ、男性のほうが39がん種のうち34がん種で発症リスクが高く、27がん種で生存率が低いことをスウェーデン・カロリンスカ研究所のCecilia Radkiewicz氏らが報告した。著者らは、「これらの性差を引き起こす原因を特定して排除することで、全体的ながん負担を軽減させる可能性がある」としている。European journal of cancer誌オンライン版2017年8月10日号に掲載。 本研究は、1970~2014年にスウェーデンがん登録に記録された成人のすべてのがん症例(87万2,397例)のデータを用いた、集団ベースのコホート研究である。診断された年齢と年を調整して、男性の女性に対する罹患率比(IRR)と過剰死亡指数(EMR)をポアソン回帰を用いて推定し、性別とがんリスク、性別と生存率との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・男性のほうが、39がん種中34がん種で発症リスクが高く、39がん種中27がん種で予後不良であった。・女性のほうが、39がん種中5がん種で発症リスクが高く、39がん種中2がん種で生存率が有意に低かった。・男性のほうが多いがん種のIRRの範囲は、肺腺がんの1.05(95%CI:1.03~1.1)から喉頭がんの8.0(同:7.5~8.5)であった。・男性のほうが生存率の低いがん種のEMRの範囲は、結腸がんの1.1(95%CI:1.03~1.1)から高分化型甲状腺がんの2.1(同:1.5~2.8)であった。

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肝がん1次治療、レンバチニブ対ソラフェニブREFLECT試験の日本人データ/日本臨床腫瘍学会

 レンバチニブ(商品名:レンビマ)は、VEGFR1~3、FGFR1~4、PDGFRα、RET、KITを標的とした経口マルチキナーゼ阻害薬であり、進行肝細胞がん(HCC)において、従来の標準治療薬であるソラフェニブ(商品名:ネクサバール)に対する非劣性が国際無作為化オープンラベル第III相非劣性試験REFLECT試験で示されている。第15回日本臨床腫瘍学会では、同試験の日本人集団の解析結果が、国立がん研究センター東病院池田 公史氏より発表された。 REFLECT試験は、全身化学療法治療歴のない切除不能な肝細胞がん患者954例を対象とし、レンバチニブ群とソラフェニブ群に1:1に無作為に割り付けられた。主要評価項目は全生存期間(OS)非劣性の検証、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、無増悪期間(TTP)、客観的奏効率(ORR)、安全性であった。全集団のOSはレンバチニブ群で13.6ヵ月、ソラフェニブ群では12.3ヵ月。HRは0.92、95%CIは0.79~1.06であり、主要評価項目の非劣性マージン1.08を達成し、PFS、TTP、ORRの有意な改善を示した。 日本人集団のOSは、レンバチニブ群17.6ヵ月(12.2~23.0)、ソラフェニブ群17.8ヵ月(11.9~19.5)であった。HRは0.90、95%CIは0.62~1.29であり、全集団に比べ若干長い傾向であった。日本人集団のORRはレンバチニブ群29.6%(19.7~39.6)、ソラフェニブ群6.9%(1.6~12.2)と、レンバチニブ群で有意であった(p=0.00006)。 レンバチニブ群の有害事象発現率は、下痢、疲労感を除き全集団に比べ、日本人集団で多くみられた。■参考REFLECT試験(Clinical Trials.gov)

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「コード・ブルー」医療監修、松本 尚氏に聞くドラマの裏側

 テレビドラマでは、やればおおむね当たると言われている「職業モノ」が2つあり、その1つが医療ドラマである(ちなみにもう1つは刑事ドラマ)。この夏、『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』(フジテレビ系列)が好評だ。本作は9年前のシーズン1、7年前のシーズン2に続く3作目。月曜9時枠としては硬派路線で、医療シーンが忠実に作り込まれているのが特徴だが、そのリアリティーを下支えしているのが医療監修である。今回、本作の医療監修を務め、自身も国内のフライトドクターの第一人者である松本 尚氏(日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター長)に、医療者の視点からみたドラマの裏側についてお話を伺った。―『コード・ブルー』で医療監修はどの段階から関わるのですか? 現場によってさまざまで、私自身もシーズンを追うごとに変わっていきました。実際シーズン1の初めのころは、シーンもセリフも完成直前の脚本を渡されていました。たとえば、藍沢医師(山下 智久)が「××(症状)が出ている」、すると白石医師(新垣 結衣)が「〇〇(診断名)ね」と。さらに緋山医師(戸田 恵梨香)が「△△(処置)しましょう」という具合にセリフが書かれている。それに対してわれわれは、ブランクになっている「××」や「〇〇」を埋めるという流れです。あるいは、すでに書かれている内容に対して、医学的に不自然なところがないかをチェックする、ということもありました。 しかしこの手順だと、明らかにおかしい部分を見つけた時の修正が大変で、たとえば、大手術をしたその日の夕方にもう患者が喋っているセリフが書かれている。さっきまでショック状態だった患者なのに…!(笑)。そうなると、そこからすべてを変更しないと先に進まなくなるので、『コード・ブルー』で医療監修をする回数を重ねていく中で、もっと早いプロット(構想)の段階から脚本にも関わるようになりました。 具体的な話をしましょう。今シーズンの第1話では、プロデューサーから夏祭り会場で山車(だし)が暴走して民家に突っ込み、多数の負傷者が出るというのはどうか、というような提案があって、さらに子どもが関係していること、それぞれの主要キャストに見せ場を作ることなどの条件が出ました。この条件に合致して、なおかつ現実に起こりうる医療設定を考えていくわけです。たとえば、緋山医師は周産期医療センターから救命救急に戻ってきたという設定なので、産科に関連した症例にしたい、といった要望でした。ただし、今シーズンでは主人公たちは10年近いキャリアを積んでいますので、安易なミスや見落としは許されません。そこで、一見妊婦とわかりづらい肥満気味の女性患者にして、後に妊婦と気付くという仕掛けを張っておくのはどうか、といった具合に打ち返します。 そうしたプロデューサーとのやり取りと改稿を何度も経てできているのが、今シーズンのシナリオの制作過程です。 われわれもだんだん慣れて勘所も掴めてきているので、こちらからも積極的に、何歳くらいの患者の想定か、セリフがある設定なのか(それでケガの程度が決まる)、などといった重要なポイントを聞いて、一緒に考えています。 もう1つ具体的なケースを挙げると、シアン化合物を服用した患者をドクターヘリで搬送する回(第3話)がありましたが、まずプロデューサーからの要望で、ヘリの中で何か事件を起こしたいという要望がありました。そこで考えたのは薬物中毒です。有機リン系の薬物中毒で、患者が嘔吐して有機溶媒の臭いがヘリの中に充満することで、ほかのクルーたちが何らかの症状を訴えるというケースです。 現在は、薬物中毒の疑いのある時点で、ヘリではなく救急車で搬送するルールになっています。そこで考えたのは、何らかの理由で中毒に気付かなかったということにしなければならないということです。ならば、中毒患者が嘔吐した時点で臭いでわかる有機リン系は使えません。ではその代わりになるものは何かということで、実はかなりの数の文献を検索しました。その結果、カプセルに入れた青酸を服用したものの、少しずつ徐放したことで助かったという症例報告を見つけたので、「これだ!」と思ったわけです。これを根拠にして、物語の中で必ず種明かしもしようと考えました。 この「根拠」が医療監修ではかなり重要だと考えます。根拠のない医療行為を見せることは避けなければいけません。青酸を飲んでなぜ救命できたか、というところにちゃんと根拠を示すのが医療監修者の責任でもあります。 『コード・ブルー』に関しては、10年前のシーズン1から医療監修にあたっていますが、医学的にあり得るのか、あり得ないのか、という点ははっきり示すことが大事と考えます。―そうした、現実とフィクションの世界との折り合いを付けるのが難しそうですね 確かにそうなのですが、ルールは至ってシンプルで、「絶対無いこと」はしない。これに尽きます。絶対に無くはないけど、現実的に可能性として低いものについては、必ずどこかにエクスキューズを示すことが大事です。だから、「必ずこういうセリフを入れてほしい」とか「必ずここで種明かしをしてほしい」ということは、はっきりとお願いしています。 たとえば、移植医療は厳格にルールが決められているので、「絶対無いこと」に対してははっきりと言います。そこは、視聴者に誤解を与えてはいけない部分でもあります。 他にも、災害現場のシーンを描くことが多いのですが、患者が50人もいるなかで、医療行為をしているのが主人公たちだけなんていうことは「絶対無いこと」ですよね。そこには必ずDMATなどが臨場しているはずです。必ずいるはずなのに、画面上に1人も映らないなんていうのは不自然だし現実的じゃない。主人公たちに絡むことがなかったとしても、DMATの格好をした人たちが、背景に映り込むだけでもいいのです。大事なのは、そういう数多くのスタッフの中に主人公たちのような医療行為者がいるという状況をきちんと描くこと。小さなことかもしれませんが、そういうこだわりの積み重ねが非常に重要だと思います。 逆に、医療者として妥協せざるを得ない部分もあります。よく言われるのが医療者たちがマスクを着用していないところです。少なくとも、オペのシーンではマスクとキャップは必ず着用するという点は譲れない部分として徹底していますが、それ以外のシーンでは、役者さんたちの表情(演技)を生かすために顔を隠したくないというドラマの作り手側の理屈もわかるので、『コード・ブルー』の監修者としては譲歩しているところですね。 ただ本作に関しては、プロデューサーをはじめ監督やスタッフたちがリアリティーの追求に相当なこだわりを持っているのは確かです。それは画角に映っていないところにまで及んでいて、役者さんの表情しか撮っていないシーンでも、手元がどうあるべきかと尋ねたりするので、そこにかける熱意は本当にすごいと感じます。―リアリティー追求のために、ほかに『コード・ブルー』の監修でどんな点にこだわっていますか? 今作は、主要キャストたちがフェローだったシーズン1から9年の歳月が経過している設定です。自分たちに置き換えてみてもわかりますが、医師が9年間を経た経験値の大きさは相当なものです。立ち居振る舞いも変われば、会話の内容もそれに応じたレベル感に変わっていないとおかしいので、そこはかなり意識しています。以前は主人公たちにどんどん失敗させて、それを軸にストーリーを進めていけましたが、今はもう、そうそう主人公たちには失敗させられません。むしろ何でも織り込み済みでやっているという余裕感すら持たせないといけません。 役者さんもシーズンを重ねるごとに本当に「医療者らしく」なってきていて、医師としての所作はもちろん、歳月を感じさせるお芝居がちゃんとできているのですからたいしたものです。 だから医療監修者としては、さらに一歩踏み込んだ指導ができて、こういうシーンでは、上級医になるとこんな心情だというようなメンタルのあり方を伝えています。役者さんがお芝居をするにあたって役に立つような情報提供をして、単に手技を指導するだけで終わらないようにしています。―医療をドキュメンタリーではなくドラマで見せる意義とは? ドキュメンタリーと違い、ドラマだと感情移入できるということに尽きますね。たとえば、私が出演した「プロフェッショナル」などを観た視聴者は、「ああ、すごいなあ」と感心はするけど、そこから先、自分だったらというような感情移入は起こらないと思います。しかし同じことを役者さんがやってみせると、視聴者は主人公たちを自分に置き換えて、どうなるのか、どう考えるのかと入り込める。そこがドキュメンタリーとドラマの大きな違いだと考えます。その感情移入の先に、ドクターヘリを志す未来の医師やナースがいるかもしれません。心が動くというのには、そんな意義もあると思います。 本当の「リアル」と、ドラマの「リアリティー」には大きな違いがあって、「ドラマなんて」と思う人も実際には多いと思います。現実世界で医療現場に身を置く医師は、特にそう思うかもしれません。事実、医療ドラマと銘打ったものは医療者からみると陳腐なものも多いですから。だけど、医療監修としてドラマ制作に関わってみて、熱意をもって「リアリティー」を追求している作り手側を目の当たりにすると、ドラマに対する見方もこれまでとは少し変わってきたのを実感します。―『コード・ブルー』の医療監修を経験して自身にも変化が? 病院と収録現場は案外似ているんじゃないかと気付いたことです。われわれ救命の現場もドラマの撮影現場も非日常の連続で、1日として同じシーンはありません。また、役者さんを取り巻くさまざまなスタッフが大勢いるのも、患者を中心にチーム医療をしているわれわれの構成と非常によく似ている。いろんな職種の人がいて、それをひとつにまとめあげるリーダーシップがどうあるべきか、といった観点でも学ぶことは多いです。しかも、撮影現場にいるスタッフの大半は自分よりも若い人たち。そういう若いメンバーをいかにまとめるか、というところも大いに参考になりました。―CareNet.com会員にメッセージをお願いします まずはぜひドラマをご覧になってください。われわれ医療者だからこそ頷けるようなセリフも多いです。ある回で出てくる「いつから医者は“大丈夫”と言えなくなったのだろうか」というセリフ。実は私自身が考えていたことで、プロデューサーとのやり取りの中でふと口にした言葉なのですが、それを覚えていたようで劇中で使っていただきました。そんな、医師としての感情の機微も描かれているので、楽しんでいただけるのではないかと思います。松本 尚(まつもと・ひさし)氏プロフィール/1987年金沢大学医学部卒。同大第2外科学教室へ入局。外科医として金沢大学医学部附属病院、黒部市民病院など勤務した後、95年からは救急医療(外傷外科)に従事。現在、日本医科大学救急医学教授、日本医科大学千葉北総病院 副院長、救命救急センター長。『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』フジテレビ系列で毎週月曜日21:00~21:54放映中http://www.fujitv.co.jp/codeblue/

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