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てんかん患者のアンメットニーズは

 てんかん患者は、一般人よりも医療ニーズが満たされていないと感じていると考えられる。カナダ・Schulich School of Medicine and DentistryのMayuri Mahendran氏らは、てんかん患者における医療ニーズが満たされていないと感じる理由について、システマティックレビューにより評価した。Epilepsy & behavior誌オンライン版2017年8月23日号の報告。 Medline、Embase、PsycINFO、Cochrane、Web of Science databasesより検索を行った。「unmet healthcare needs」「treatment barriers」「access to care」に関連するキーワードを使用した。本研究には、すべての国、成人および小児、調査研究および定性的研究を含めた(2001年以前の非英語研究は除外した)。満たされていないニーズの理由を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・調査研究19件と定性的研究22件が抽出された。・調査研究3件と定性的研究5件の併存疾患患者は除外した。・てんかん患者における満たされていないニーズは、身体ケアよりも精神医療に関する研究が2倍多かった。・欧米および発展途上国のどちらにおいても、医療サービスの可能性の乏しさ、アクセスの問題、医療情報不足が、満たされないニーズとして抽出された。・米国に加え、ユニバーサルヘルスケアシステムを導入している国々において、医療サービスの欠如、待機時間の長さ、非協調的なケア、必要な医療情報の入手困難が抽出された。・また一方、米国の研究においては、一般的にケア費用に関する満たされないニーズが報告されていた。 著者らは「本レビューは、さまざまな国のてんかん患者における満たされないニーズの理由を明らかにしており、改善するための具体的な介入の必要性を示唆している。いくつかの研究において合併症を伴うてんかん患者を除外したため、満たされないニーズは過小評価されている可能性がある。満たされないニーズへの合併症の影響、介護者や家族の要因との相互作用を確認するためには、さらなる研究が必要である」としている。■関連記事てんかん重積状態に対する抗てんかん薬処方の変化てんかん患者の性的問題の現状世界のてんかん研究を解析、有病率に影響を与える要因は

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ダブラフェニブ・トラメチニブ併用、BRAF変異肺がん1次治療で奏効率64%/ESMO2017

 BRAF遺伝子変異でもっとも一般的なBRAF V600Eは、肺腺がんの1~2%に認められる。このBRAF V600E変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の未治療患者に対する、BRAF阻害薬ダブラフェニブ(商品名:タフィンラー)とMEK阻害薬トラメチニブ(商品名:メキニスト)の併用療法の第Ⅱ相試験の結果を、スペイン・マドリードで開催された欧州腫瘍学会(ESMO2017)でフランス Institute Gustave RoussyのDavid Planchard氏が発表した。 ESMO2017での発表は、この第Ⅱ相試験における、3つの連続コホートのうち、第3コホート(コホーC)の結果。このコホートでは、未治療のBRAF V600変異転移性NSCLC患者36例が、ダラブフェニブ(150mg×2/日)とトラメチニブ(2mg×1/1日)の併用療法による1次治療を受けた。主要評価項目は、治験担当医評価の全奏効率(ORR)、副次評価項目は奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性であった。 データカットオフ時(2017年4月8日)の追跡調査期間は15.9ヵ月。ORRは64%(46~79)で、CRは2例(6%)、PRは21例(58%)であった。SDは4例(11%)で、病勢コントロール率(DCR)は75%(58~88)であった。 治験担当医評価のDORは10.4ヵ月(8.3~17.9)であった。PFS中央値は10.9ヵ月(7.0~16.6)、OS中央値は24.6ヵ月(12.3~NE)であった。 すべての患者がGrade1以上の有害事象(AE)を経験。69%がGrade3/4のAEを複数回以上経験した。重篤なAEとしては、ALT上昇14%、発熱11%、AST上昇8%、心駆出率減少が8%で報告された。■参考ESMO2017プレスリリースBRF113928試験(Clinica Trials.gov)■関連記事BRAF変異肺がん、ダブラフェニブ・トラメチニブ併用がFDAで承認BRAF変異肺がん、ダブラフェニブ・トラメチニブ併用がEUで承認

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新たな血管内デバイス、治療抵抗性高血圧を著明に改善?/Lancet

 治療抵抗性高血圧の新たな治療デバイスとして開発された血管内圧受容器増幅デバイス「MobiusHD」(米国Vascular Dynamics社製)について、持続的な降圧効果と安全性が確認されたことを、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのWilko Spiering氏らが、ヒトでは初となる前向き非盲検臨床試験「CALM-FIM_EUR試験」の結果、発表した。MobiusHDは、頸動脈洞を再構築(reshape)する血管内インプラントで、頸動脈の圧反射活性が血圧を低下するという原理を応用して開発された。Lancet誌オンライン版2017年9月1日号掲載の報告。片側頸動脈内に留置し6ヵ月時点で安全性と有効性を評価 CALM-FIM_EURはproof-of-principle試験で、欧州の6施設(オランダ5、ドイツ1)にて治療抵抗性高血圧の成人患者(18~80歳)を集めて行われた。 患者の適格要件は、利尿薬を含む3剤以上の降圧薬併用治療にもかかわらず診察室血圧が≧160mmHg、平均24時間ABPが130/80mmHg以上であった。主な除外基準は、高血圧が睡眠時無呼吸症候群以外に起因している患者、頸動脈または大動脈弓のプラークまたは潰瘍の形成あり、頸動脈の内径が5.00mm未満または11.75mm超、BMIが40以上、慢性心房細動、2剤併用抗血小板療法の禁忌あり、長期に経口抗凝固薬を服用中、過去3ヵ月に心筋梗塞または不安定狭心症、前年に脳血管系の発作、推定糸球体濾過量45mL/分/1.73m2以下、イミダゾリン受容体薬やその他の中枢性に作用する降圧薬の服用者などであった。 MobiusHDデバイスを片側の頸動脈内に留置。主要エンドポイントは6ヵ月時点の重篤有害事象の発現率とした。副次エンドポイントは、診察室血圧および24時間ABPの変化などであった。留置後半年で、診察室血圧24/12mmHg、24時間ABPは21/12mmHg降圧 2013年12月~2016年2月に、患者30例が登録されデバイスを成功裏に留置した。被験者の平均年齢は52歳(SD 12)、15例(50%)が男性、降圧薬の平均服用数は4.4剤(SD 1.4)であった。 ベースラインの平均診察室血圧は184/109mmHg(SD 18/14)であったが、6ヵ月時点で24/12mmHg(SD 13~34/6~18)の降圧が認められた(収縮期p=0.0003、拡張期p=0.0001)。 また、ベースラインの24時間ABPは166/100mmHg(SD 17/14)であったが、6ヵ月時点で21/12mmHg(SD 14~29/7~16)の降圧が認められた(収縮期、拡張期ともp<0.0001)。 6ヵ月間で重篤有害事象の発生は、患者4例(13%)において5件が報告された。低血圧症が2例、高血圧症の悪化が1例、間欠性跛行1例、創感染1例であった。

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パーキンソン病におけるエキセナチド週1回投与の効果(解説:山本康正 氏)-736

【目的】 2型糖尿病に使用されているglucagon-like peptide-1(GLP-1)の受容体作動薬であるエキセナチドには、げっ歯類において神経毒により作成されたパーキンソン病モデルで神経保護作用・神経修復作用があることが示されている。著者らは以前に、少数例のオープンラベル試験でエキセナチドがパーキンソン病患者の運動・認知機能障害を改善した結果を得ており、今回パーキンソン病患者に対するエキセナチドの効果を、single-centre, randomized, double-blind, placebo-controlled trialによって確認する試験を行った。【方法】 25~75歳のQueen Square Brain Bank criteriaで評価された特発性パーキンソン病患者で、ドーパミン治療がなされているがwearing offを有し、治療下においてYahl分類が2.5以下の患者を対象とした。通常のドーパミン系治療に加えて、エキセナチド2mgとプラセボの週1回皮下注射を48週間行い、12週間のwash out期間の後、評価を行った。患者は12週ごとに受診し、抗パーキンソン病薬服用後8時間以上あけたoff-medication stateにおいて、運動・非運動症状や認知機能、心理テスト等の総合的評価がなされた。最初と60週目にドーパミンの働きを見る検査であるDaTscan(ダットスキャン)を行った。1次エンドポイントは、60週目にMovement Disorders Society Unified Parkinson's Disease Rating Scale(MDS-UPDRS)のmotor subscale part3を用いて評価したスコアの差である。【結果】 62例がエントリーされ、32例がエキセナチド、30例がプラセボに割り付けられた。最終60週目において、MDS-UPDRS-part3はプラセボ群で2.1点悪化し、エキセナチド群で1.0点改善した。調整後の差は-3.5点で、エキセナチド群で有意に改善した(p=0.031)。ちなみに48週目の時点では、-4.3点の差でエキセナチド群が勝っていた(p=0.0026)。認知機能、非運動症状、QOL、気分、ジスキネジア等に差はなかった。DaTscan imagingでは、1回目に比べて2回目は両群とも低下傾向にあったが、エキセナチド群で低下はより軽度であった。【考察】 48週目のみならず12週間のwash out期間の後もエキセナチドの効果が持続していたことは注目すべきであり、これはエキセナチド持続の長い症候改善作用を有するためなのか、あるいは、疾患の病態生理に影響を与えた結果なのかは今後の検討が待たれる。【解説】 パーキンソン病は年月とともに進行性で、進行期には、不随意運動、幻覚、起立性低血圧や頑固な便秘など自律神経障害も出現して難渋することが多い。ドーパミン受容体作動薬やモノアミン酸化酵素阻害薬に神経保護作用が期待されているが、さらに新規の神経保護作用を有する薬剤が待たれている。エキセナチドは2型糖尿病に使用されているGLP-1の受容体作動薬であるが、今回の試験では従来の抗パーキンソン病薬に追加することで、運動症状の改善のみならず12週間のwash out期間の後も効果が持続していた。このことは、単に持続作用が長いことを示しているのかもしれないが、疾患の病態生理に作用し神経保護作用を有する可能性があり期待される。

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第1回 No Car, No Life【ドクター クルマ専科】

No Car, No Life皆さま、はじめまして、私は糖尿病・内分泌内科が専門の内科医で、千葉県の船橋市立医療センターという病院に勤務しております。私たち医師は、夜間や休日の緊急呼び出しもありますので他の職種の方よりもクルマに乗る機会が多いですし、また気分転換・ストレス発散としてドライブに行く方もおられるでしょう、したがって、クルマ好きの医師が多いと思います。このエッセイでは、私の愛車遍歴と現在の愛車をご紹介させていただきます。画像を拡大する私と愛車のポルシェ911ターボ私もクルマが大好きで、現在までに通算31台のクルマに乗ってきました。現在の愛車は、991型と呼ばれている最新のポルシェ911ターボ、ライトウェイト・オープンカーのアバルト124スパイダー、そして5人乗りのBMW 430iグランクーペの3台です。現在のラインアップ、つまりスポーツカー、オープンカー、実用的なスポーティセダン(またはSUV)という3台が、私としては理想的な組み合わせです。私の愛車遍歴初めての愛車は、大学生時代の1976年に手に入れた日産スカイライン2000GT(いわゆる「ケンメリ」)でした。その後は、マツダ・サバンナRX-7に乗り、1984年に結婚してからはホンダ・アコードに乗っていました。私の愛車遍歴の大きな転機は、1990年ごろでした。当時、買ったばかりの新車スカイラインGTS-4に乗っていた時、信号待ちで停車中、運転手がてんかん発作を起こしてしまったクルマにノーブレーキで追突されてしまいました。あとから警察官に伺った話では、推定速度は50〜60km/hくらいとのことでした。当時の日本車はガソリンタンクがトランクの下にある構造でしたので、追突された衝撃でガソリンが漏れて引火してしまい、クルマはあっという間に全焼してしまいました。ガソリンに引火すると、クルマはほんの数分で全焼してしまいます。幸い、私にほとんど怪我はありませんでしたが、もっと安全なクルマに乗り換えよう(国産車はやめよう)と思った瞬間でした。そして、より安全なドイツ車として、初めての外車がBMW 525iです。元々ドイツ車は好きでしたから、当時は無理して手に入れたとはいえ、うれしかったですね。その後は、メルセデス・ベンツE320に2世代乗り継ぎました。この2台で通算12年くらい乗りましたね。大人4人がゆったり乗れて、安心、まさに「安全で安心なメルセデス」ですね。このまま、4人家族でずっとメルセデスEクラスという人生なら、ごく普通のカーライフでしたが…。気付けば私も50歳になっていました。そんなある時、友人から「先生もずっとメルセデス・ベンツですね、上がりですかねぇ」と言われたのですね。メルセデスは、「上がりのクルマ」と言われていました。『冗談じゃない! このまま終わってたまるものか!』と、私の反骨精神がメラメラと目覚めたのです。2人の息子たちも成長しましたし、これまで仕事も頑張ってきたという思いもありました。私は中学生時代から、The WhoというRock Bandが大好きなのですが、50歳になったし、そろそろ「ロックなクルマ」を選んでもいいのではないかと思い立ち、2006年当時としてはセダンでは圧倒的なパワーを誇った5Lで500psというV10エンジンが搭載されたBMW M5に乗り替えたのです。「50歳、5L、500ps」と5が3つそろいました、これも何かの「ご縁」でしょうね(笑)。私のクルマ道楽は、このM5で一気に弾けました。M5はV10エンジンが奏でる音も最高でしたし、アクセルを踏み込めばものすごい加速! 同じドイツ車ですが、今まで乗ってきた通常のモデルでは味わえない世界を知ることができました。BMWでも、やはり「M」はまったく違いました。ページTOPへいよいよポルシェ911へそして、いよいよ長年の憧れだったポルシェ911に乗り替える決意を固めたのです。ポルシェ911への憧れは大学生のころからありました。当時は、六本木で通い詰めていたライブハウス(ピット・イン)がありました。今はアウディのディーラーになってしまいましたが、当時、そのライブハウスのすぐ近く、飯倉片町(港区六本木)の交差点にポルシェ(ミツワ自動車)のショールームがありました。この店の前を通るたびに「いつかは私もポルシェを手に入れたいな」と思ったものです。1970年代末ですからポルシェといえば、もちろん911だけですね。私は、空冷か水冷かという点にはこだわりはなかったのですが、ATのティプトロニックはどうも抵抗があったのですね。かといって、再びMTに戻るのも面倒だな、という意識がありました。そのころ、ちょうど良いタイミングでATが、DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション、ポルシェではPDKと呼びます)に置き換わりました。セールスマンの勧めもあり、最初に乗る911は、より安定している4WDがいいということでカレラ4を、そして、どうせならばよりパワーがあるカレラ4Sを手に入れることにしたのです。画像を拡大する愛車のBMW 430iグランクーペそのまま、ずっとポルシェ911に乗り続けてもよかったのですが、経済的にとても大変ですので、もう一度BMWの世界に戻りました。同じくやはり憧れの存在だったアルピナB5を手に入れ、その後はBMW M6クーペと乗り継ぎました。どちらも素晴らしいクルマでした、しかしやはり、911の存在が気になってしまうのです。ちょうど、997型から991型へモデルチェンジしたタイミングだったこともあり、BMW M6クーペからポルシェ911カレラSに乗り替えました。991後期モデルではカレラ系のエンジンにもターボが積まれました。911の伝統的なRR(リアエンジン・リアドライブ)で、かつ最後のNA(自然吸気)エンジンを搭載したカレラSを所有できてよかったと、今でも思っています。ページTOPへ911は最高です!2014年の春、年上のドクターと食事する機会があり、お互いクルマ好きということで会話も弾みました。その方が、「最近、911ターボ・カブリオレを手に入れました」とおっしゃったのですね。ここでまたもや私のロック魂に火がついてしまいました。「よし! 俺も、長年の憧れ911ターボに乗ろう!」そう思って、カレラSからターボに乗り替える決心をしました。カレラSからターボでは、とても価格差が大きく、経済的にはかなり大変でしたが…。911ターボはすべてオーダーメードになります。7ヵ月ほど待ちましたが、2015年4月に現在の911ターボが納車された時は、とてもうれしかったですね! 今は、すべてが最高です。学生時代から憧れていたポルシェ911、それもターボを手に入れることができたのですから…。911ターボは、日常の足としても申し分ないですし、いざアクセルを踏み込めば0-100km/h 3.2秒という異次元の加速が味わえます。それでいてロングツアラーとしての快適性も兼ね備えています。燃費は、街乗りで6km/L台、高速で10km/L以上というところでしょうか。まさに究極のオールラウンダーでしょう。私のように公道のみでしたら、911ターボが最高の911だと思います。通勤にも買い物にも普通に使えますし、大雨でも安心です。またリアシートがあり、荷物がかなり載せられる点も大きいですね。プロの映像作家に依頼して、私と911ターボのプロモーションビデオまで作成してしまいました。どうぞご笑覧ください。サーキットも走る方には、GT3やGT2というスーパーマシンもありますが、超ハイパワーでかつRR(リアエンジン・リアドライブ)ですからプロ級の腕がないとコントロールするのが難しいと思います。911はバリエーションもとても豊富ですから、さまざまなニーズに応えられますね。ボディタイプだけで、クーペ、カブリオレ、タルガと3種類もあります。駆動方式は、伝統的なRR(リアエンジン・リアドライブ)と4WDから選べます。エンジンはほとんどがターボ化されましたが、あえてGT3というスパルタンなモデルだけはNA(自然吸気)エンジンを残しています。これだけ種類が多いスポーツカーは、世界でも911だけです。1964年の初代911登場以来、すでに53年が経過しています、2017年夏には、通算100万台を突破しました。そして、全生産台数の70%が現在でも稼働しているという驚くべき数字が、ポルシェ社から発表されています。画像を拡大する愛車のアバルト124スパイダー実際、1973年型の911S(通称「ナナサンS」と呼ばれる名車です)を、最新の911カレラ4Sを新車で買えるくらいの高価な価格で購入して、大切に乗っている親しい友人もおります。7月の猛暑日に助手席に乗せてもらいましたが、2.4L空冷エンジン、5速マニュアルシフト、エアコンなし、という現在44歳の高齢なクルマですが、まさに「低速官能性」を感じました。わずか190psですが、車重が1,075kgしかありませんので、すごく軽快です。ちなみに、私の911ターボは1,600kgもありますし、ライトウェイト・オープンカーのアバルト124スパイダーでも1,150kgです。40km/hくらいで走行していてもとても楽しいクルマでした!「最新の911が、最良の911」とはよくいわれる言葉ですが、同時にまた「俺の911が、最高の911」でもあるのです。そして、このどちらも真実ですね。最新の991ターボと、かつてサーキット漫画で有名になった930ターボ(初代の911ターボ)という2台を所有している方もおられます。最新の水冷911と空冷911の2台を所有されている方は、911オーナーの中でも憧れの的です。フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンなど世の中にはスーパーカーもたくさんありますが、通勤でも買い物でも毎日気軽に乗れて、かつリアシートには荷物も積めるエブリディ・スポーツカーとしては、私は911が昔も今も世界最高のクルマだと思います。たゆまぬ努力と技術革新で、デビューから50年以上、常に世界のトップ、他車の目標であり続けていることは、本当に稀有で素晴らしいことだと思います。カイエンやマカンやパナメーラで初めてポルシェに乗られた方々には、ぜひ素晴らしい「911の世界」も知っていただきたいと思います。※今年8月、アバルトの公式サイトに私のアバルト124スパイダーのオーナー・インタビューが掲載されました。こちらは、気軽にオープン・エアを楽しめる爽快な車です。どうぞお読みください。 バックナンバー

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durvalumabとオシメルチニブは新たな標準治療となりうるか:PACIFIC/FLAURA試験

 欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017)では、抗PD-L1抗体durvalumabの第III相PACIFIC試験ならびに第3世代EGFR-TKIオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)の第III相FLAURA試験という、肺がん領域の2つの大きな臨床試験結果が発表された。発表後、PACIFIC試験の主任研究者であるスペイン・Hospital Universitario de OctubreのLuis Paz-Ares氏、FLAURA試験の主任研究者である米国・Winship Cancer Institute of Emory UniversityのSuresh Ramalingam氏がプレスに対して試験結果について解説した。本稿では、開発企業であるアストラゼネカ株式会社メディカル本部オンコロジー領域部部門長の橋上 聖氏および同社Global Medicines Development、Head of Oncology、Senior Vice PresidentのKlaus Edvadsen氏へのインタビュー内容を交え、今回の結果からみえてきた点や今後の展望について紹介する。放射線療法と免疫療法の間に相乗効果か:PACIFIC試験 切除不能局所進行(ステージIII)非小細胞肺がん(NSCLC)は本邦では年間約2万人が新たに罹患する。標準治療である同時化学放射線療法(CCRT)後、約9割の患者が長期的には何らかの形で進行するが、その治療法は定まっていない。「メディカルニーズの高い患者群であること、皮膚がん領域での近年の研究で、放射線療法と免疫チェックポイント阻害薬の間に相乗効果の可能性が示唆されていたことが、今回の試験につながった」と橋上氏は説明した。 ESMO2017で発表されたPACIFIC試験の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS、追跡期間14.5ヵ月の中間解析結果)はdurvalumab群16.8ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月で、durvalumab群で有意な延長が認められた(HR:0.52、95%CI:0.42~0.65、p<0.0001)。橋上氏は「3倍近いPFSの延長という結果は予想を上回るもので、抗PD-L1抗体による付加的な効果というよりは、やはり何らかの相乗効果があるのではないかと考えている」と語った。 Paz-Ares氏は、安全性プロファイルについて「全体的にdurvalumab群で有害事象がわずかに増加しているが、重度の事象については両群で同程度といえる」と述べ、「CCRT後のdurvalumabによる治療は、管理可能な安全性プロファイルを持ち、約11ヵ月PFSを延長したことで、ステージIIIのNSCLC 患者に対する治療の新たな選択肢といえる。長期フォローアップにより、全生存率(OS)への影響を見ることが重要だ」と結論付けている。 今後について橋上氏は、「免疫療法を行う時期や期間については、本試験での条件に限らず、検討の余地がある。実臨床で患者にとってのベネフィットが最も大きな組合せ、条件を明らかにしていきたい」と語った。脳転移に対する効果が大きな収穫:FLAURA試験 ESMO2017で発表されたFLAURA試験の主要評価項目であるPFS中央値は、オシメルチニブ群が18.9ヵ月、標準治療群が10.2ヵ月であり、オシメルチニブ群で有意な延長が示された(HR:0.46、95%CI: 0.37~0.57、p<0.0001)。これらの改善効果は、脳転移の有無にかかわらず確認されている。また副次評価項目のうちOSについては、中間解析のハザード比が0.63(95%CI: 0.45~0.88)とオシメルチニブ群における延長傾向がみられたが、現時点では統計学的な有意差は得られていない。Ramalingam氏は、「標準治療と比較して、オシメルチニブの安全性プロファイルはより良好であり、PFS中央値を約11ヵ月延長した。オシメルチニブはEGFR変異陽性の進行NSCLC患者の新たな標準治療となるだろう」と結論付けている。 一方、ESMO2017でディスカッサントを務めた香港・香港中文大学のTony Mok氏は、脳転移例に対する有効性は支持したものの、第1/第2世代TKIとの最適な治療の順番・組合せについては、AURA3試験ならびにFLAURA試験の最終的なOSにより判断すべきと指摘していた。Edvadsen氏は、「もちろん最終的なOSが明らかになるまで確定的なことは言えない。しかし、少なくとも第1世代TKI投与後のオシメルチニブ投与との比較については、ゲフィチニブを1次治療に使った場合に20%以上の患者で脳転移が起こること、20~30%の患者が2次治療前に亡くなってしまうことを考えれば、私は1次治療からオシメルチニブを使っていくべきだと考えている」と述べ、10月に横浜で開催される世界肺がん学会で、FLAURA試験の解析結果について続報を発表予定とした。 また、オシメルチニブを1次治療で使った場合の耐性の獲得についてEdvadsen氏は、「オシメルチニブ耐性となった患者の20~25%に、MET遺伝子変異があることが明らかになっている。この変異に対しては、savolitinibという阻害薬の開発を進めており、将来的にはその他の変異についても阻害薬の開発を進めていく」と語った。 最後に橋上氏は、今後発表されるOSの最終データと、日本人を含むアジア人サブグループ解析の結果を踏まえ、本邦におけるオシメルチニブの1次治療での承認申請に向けて進めていきたいとの考えを示した。■関連記事durvalumab維持療法、Stage III肺がんのPFSを有意に改善(PACIFIC)/ESMO2017肺がんMYSTIC試験、durvalumab・tremelimumab併用の一部結果を発表HR0.46、オシメルチニブが1次治療で標準治療を上回る(FLAURA)/ESMO2017ステージ3切除不能肺がん、durvalumab維持療法が良好な結果:PACIFIC試験durvalumab、切除不能StageIII肺がんのブレークスルー・セラピーに指定オシメルチニブ、肺がんFLAURA試験の主要評価項目を達成オシメルチニブ、CNS転移例にも有効性示す:AURA3試験/ASCO2017

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医療勤務環境改善マネジメントシステム普及促進セミナー開催のお知らせ

 長時間労働や当直、夜勤・交代制勤務をこなす医療従事者が、質の高い医療の提供や医療安全の確保を図りつつ、健康で安心して働くことができる環境を整えることは、医療機関の管理者や経営者にとっての喫緊の課題である。 厚生労働省は、「医療勤務環境改善マネジメントシステム」を活用した取り組みを推進するため、医療機関の経営者や管理者を対象としたセミナーを開催する。セミナーは今月23日(土)の東京を皮切りに、2018年2月までに全国9ヵ所で順次開催される。 セミナーでは、PDCAサイクルにより、計画的に医療従事者の勤務環境改善に取り組む仕組みや最新の動向、医療機関の事例発表のほか、グループ討議などのプログラムが予定されている。 概要は以下の通り。<医療勤務環境改善マネジメントシステム普及促進セミナー概要> 日時:2017年9月~18年2月 13:30~16:40 会場:全国9ヵ所(札幌・仙台・東京・名古屋・富山・大阪・広島・高松・福岡)で    地域セミナーを計9回、東京でTOPセミナーを1回実施予定    詳しい日時と会場はこちら 定員:100名 参加費:無料 申し込み期限:開催日の1週間前、もしくは定員に達した時点で受け付け終了 参加のお申し込みはこちらから                            お問い合わせ先:株式会社日本能率協会総合研究所(厚生労働省委託事業実施機関) 本件担当:医療勤務環境改善マネジメントシステム普及促進セミナー 事務局      河野(カワノ) TEL:フリーダイヤル 0120-676-715(平日10:00~17:00)

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第3回 医師が乗っているクルマ、乗りたいクルマ

緊急の呼び出し、外勤への移動など医師はクルマを使う機会が多いこともあり、クルマへの思い入れが強い方も少なくない。CareNet.comでは、会員医師にクルマ(四輪車)に関するアンケートを実施。回答者総数は307名であった。その結果を3回に分けて報告する。最終回は「医師が乗っているクルマ乗りたいクルマ」。結果概要(医師が乗っているクルマ)現在乗っているクルマ上位3車はトヨタ、ホンダ、メルセデス・ベンツ1位はトヨタで、クルマ所有医師の30%以上という圧倒的シェアを占める。ホンダ、メルセデス・ベンツがほぼ同割合で2位、3位。以降スバル、フォルクスワーゲン、レクサス、BMWと続く。■設問 現在乗っているクルマは下記のうちいずれですか? 往診専用車を除き教えてください。(回答はいくつでも)

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HIV-1感染患者への初回治療、bictegravirレジメンが有用/Lancet

 未治療HIV-1感染患者に対する、新規の強力なインテグラーゼ阻害薬(INSTI)bictegravirを含むエムトリシタビンとテノホビル・アラフェナミドとの配合薬(B/F/TAF)の、48週後のウイルス学的著効率は92%で、ドルテグラビルとアバカビルおよびラミブジンの配合薬(DTG/ABC/3TC、商品名:トリーメク配合錠)に対する非劣性、および安全性、消化管系の忍容性が良好であることが示された。米国・Southwest CARE CenterのJoel Gallant氏らが、631例を対象に行った実薬対照無作為化非劣性試験の結果、明らかにし、Lancet誌オンライン版2017年8月31日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「B/F/TAF投与は、事前のHLA-B*5701検査が不要で、HIVとB型肝炎の複合感染患者に対するガイドラインの推奨治療である。臨床における迅速または初回治療に向いたレジメンと思われる」とまとめている。48週の血漿HIV-1・RNA量50コピー/mL未満の割合を比較 研究グループは2015年11月13日~2016年7月14日にかけて、欧州、中南米、北米の122ヵ所の外来診療所を通じて、18歳以上のHIV-1感染患者631例を対象に試験を開始した。被験者は、HIV-1感染未治療(HIV-1・RNA量:500コピー/mL以上)、HLA-B*5701陰性、B型肝炎ウイルス陰性で、遺伝子型スクリーニングの結果、エムトリシタビン、テノホビル、ラミブジン、アバカビル感受性を示し、推定糸球体濾過量は50mL/分以上だった。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはbictegravir 50mg、エムトリシタビン200mg、テノホビル・アラフェナミド25mgを(B/F/TAF群316例)、もう一方にはドルテグラビル50mg、アバカビル600mg、ラミブジン300mgの配合薬を(対照群315例)、それぞれ1日1回144週間にわたり投与した。 無作為化は、HIV-1・RNA量(10万以下、10万超~40万以下、40万超[単位:コピー/mL])、CD4数(50個未満、50~199個、200個以上[/μL])、試験地(米国内または外)で層別化。研究者、被験者、試験治療担当者、アウトカム評価者、データ収集者は、割り付けを知らされなかった。 主要エンドポイントは、48週時点における血漿HIV-1・RNA量50コピー/mL未満(米国FDAアルゴリズムによる定義)だった患者の割合。事前に規定した非劣性マージンは-12%だった。悪心発現率はB/F/TAF群でより低率 解析は、試験薬を1回以上服用したB/F/TAF群314/316例、対照群315/315例を対象に行われた。 48週時点で主要エンドポイントを達成した患者の割合は、B/F/TAF群92.4%(290/314例)に対し、対照群93.0%(293/315例)で、群間差は-0.6%(95.002%信頼区間[CI]:-4.8~3.6、p=0.78)と、B/F/TAF群の非劣性が示された。 試験治療下での治療抵抗性はいずれの群でも認められなかった。有害事象の発現率や重症度は両群で類似していたが、悪心の発現率について、B/F/TAF群(10%)が対照群(23%)に比べ有意に低率だった(p<0.0001)。 試験薬関連の有害事象もB/F/TAF群が少なかった(26% vs.40%)。群間の差は、薬剤関連の悪心の発現率の有意差に起因していた(5% vs.17%、p<0.0001)。

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がん診断後の禁煙、生存率への効果は?

 がん患者が禁煙することで死亡率が低下するかはわかっていない。今回、英国・オックスフォード大学のConstantinos Koshiaris氏らが、喫煙関連がんの患者において禁煙と予後の関連を検討した結果、肺がんと上部気道消化管がんでは禁煙した患者は喫煙し続けた患者より死亡リスクが低いことが示された。British journal of cancer誌2017年9月12日号に掲載。 本研究は1999~2013年の後ろ向きコホート研究で、がん診断後1年間の禁煙と全死亡率およびがん特異的死亡率との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・肺がん2,882例、上部気道消化管がん757例、膀胱がん1,733例のうち、それぞれ27%、29%、21%が禁煙した。・肺がんでは、禁煙した患者は喫煙し続けた患者に比べ、全死亡率は有意に低く(HR:0.82、95%CI:0.74~0.92)、がん特異的死亡率(HR:0.89、95%CI:0.76~1.04)とindex cancerによる死亡率(HR:0.90、95%CI:0.77~1.05)は、有意ではないものの低かった。・上部気道消化管がんで禁煙した患者は、全死亡率(HR:0.81、95%CI:0.58~1.14)、がん特異的死亡率(HR:0.84、95%CI:0.48~1.45)、index cancerによる死亡率(HR:0.75、95%CI:0.42~1.34)とも、有意ではないが低かった。・膀胱がんでは禁煙と死亡の関連はみられず、全死亡率のHRは1.02(95%CI:0.81~1.30)、がん特異的死亡率のHRは1.23(95%CI:0.81~1.86)、index cancerによる死亡率のHRは1.25(95%CI:0.71~2.20)であった。

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PCI後ACSの抗血小板薬、de-escalationしても非劣性/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた急性冠症候群(ACS)患者において、抗血小板治療を血小板機能検査(PFT)のガイド下でプラスグレル(商品名:エフィエント)からクロピドグレルへと早期に変更(de-escalation)しても、1年時点のネット臨床的ベネフィットは、プラスグレルを継続する標準治療に対して非劣性であることが示された。ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのDirk Sibbing氏らが、欧州の33施設で行った無作為化非盲検試験「TROPICAL-ACS試験」の結果、報告した。現行のガイドラインでは、PCIを受けたACS患者に対しては12ヵ月間、プラスグレルまたはチカグレロル(商品名:ブリリンタ)による抗血小板療法が推奨されている。これらの抗血小板薬はクロピドグレルよりも作用が強力で、速やかに最大の抗虚血ベネフィットをもたらすが、長期にわたる治療で出血イベントを過剰に引き起こすことが指摘されていた。Lancet誌オンライン版2017年8月25日号掲載の報告。プラスグレルからクロピドグレルに切り替える戦略の安全性と有効性を検証 研究グループは、急性期には強力な抗血小板薬を投与し、維持期にはクロピドグレルに変更するという段階的治療戦略が、現行の標準治療に替わりうるかを明らかにするため、PFTガイド下でプラスグレルからクロピドグレルに変更する抗血小板療法の安全性と有効性を検証した。 TROPICAL-ACS試験は研究者主導、評価者盲検化にて、ACSのバイオマーカーが陽性でPCIに成功し、12ヵ月間の2剤併用抗血小板療法(DAPT)が予定されていた患者を登録して行われた。登録患者は、プラスグレル投与を12ヵ月間受ける標準治療群(対照群)、またはステップダウンレジメン群(退院後、第1週はプラスグレル[10mgまたは5mg/日]を投与、第2週はクロピドグレル[75mg/日]を投与し、14日目からはPFTに基づきクロピドグレルかプラスグレルの投与による維持期治療を行う:ガイド下de-escalation群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、無作為化後1年時点のネット臨床的ベネフィット(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、BARC出血基準Grade2以上の出血の複合)で、intention to treat解析で評価した。非劣性マージンは30%であった。プラスグレルからクロピドグレルへの早期変更で複合リスク増大は認められなかった 2013年12月2日~2016年5月20日に、患者2,610例が無作為化を受けた(ガイド下de-escalation群1,304例、対照群1,306例)。 主要エンドポイントの発生は、ガイド下de-escalation群95例(7%)、対照群118例(9%)であった(ハザード比[HR]:0.81、95%信頼区間[CI]:0.62~1.06、非劣性のp=0.0004、優越性のp=0.12)。 早期にプラスグレルから作用が弱い抗血小板薬クロピドグレルに切り替えたにもかかわらず、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合リスクについて、ガイド下de-escalation群での増大は認められなかった(32例[3%] vs.対照群42例[3%]、非劣性のp=0.0115)。BARC出血基準Grade2以上の出血イベントは、ガイド下de-escalation群64例(5%)、対照群79例(6%)であった(HR:0.82、95%CI:0.59~1.13、p=0.23)。 結果を踏まえて著者は、「試験の結果は、PCIを受けたACS患者において、抗血小板治療の早期de-escalationが代替アプローチになりうることを示すものであった」とまとめている。

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統合失調症の再発率比較、併用療法 vs. 単独療法 vs. LAI

 統合失調症に対する抗精神病薬の併用療法(CA)は、有効性に関するエビデンスが限られているにもかかわらず、行われている。米国・フロリダ国際大学のAdriana Foster氏らは、CA療法から単独療法に切り替えた際の効果を調査するため、PROACTIVE(Preventing Relapse in Schizophrenia: Oral Antipsychotics Compared with Injectables: Evaluating Efficacy)研究データの探索的分析を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌2017年10月号の報告。 統合失調症および統合失調感情障害患者305例を対象に、リスペリドン持効性注射剤(LAI)または第2世代経口抗精神病薬(OA)治療に無作為化したのち、30ヵ月フォローアップを行った。PROACTIVE研究より抽出されたCA群50例、LAI群20例、OA群206例の患者において、再発までの期間および臨床尺度の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・OA群は、CA群と比較し、ベースライン時の入院率が有意に低かった(p=0.009)。・再発した患者の割合は、CA群68%、LAI群53%、OA群52%であった。・カイ検定では、再発率に有意な群間差は認められなかった(χ=3.85、p=0.146)。しかし、ログランク検定では、初回再発までの期間において有意な差が認められ(χ=6.81、p=0.033)、OA群(平均期間:562.8日)は、CA群(平均期間:409.5日)と比較し、再発までの期間が有意に長かった(p=0.011)。・LAI群の初回再発までの期間は、平均594日であり、他の群と比較し、有意な差は認められなかった。・入院回数で調整しても、有意な群間差は認められなかった(ハザード比:1.541、p=0.052)。 著者らは「本探索的分析に基づくと、抗精神病薬の併用療法は、早期再発が予測され、統合失調症患者に対する併用療法は、より指導が必要である」としている。■関連記事統合失調症の再発、リスク因子とその対策抗精神病薬併用でQTc延長リスクは高まるか抗精神病薬の併用療法、有害事象を解析

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AF患者の経口抗凝固療法、教育的介入で増加/Lancet

 心房細動患者への経口抗凝固療法に関して、多角・多面的な教育介入により同療法を受ける患者の割合が有意に増加したことが、ルーマニア・キャロルダビラ医科大学のDragos Vinereanu氏らが5ヵ国(アルゼンチン、ブラジル、中国、インド、ルーマニア)を対象に行った国際クラスター無作為化試験「IMPACT-AF試験」の結果、示された。心房細動患者は脳卒中を発症するリスクが高いが、経口抗凝固療法で予防は可能であり、現行ガイドラインでも推奨されている。しかし、適応患者への同療法が十分に行われていない状況が報告されており、とくに中所得国において過少で、任意抽出集団を対象に調べた投与患者の割合は、東ヨーロッパ・南米・インドでは40%未満、中国では11%にとどまるという。研究グループはこれらの国々における教育介入のインパクトを評価した。Lancet誌オンライン版2017年8月25日号掲載の報告。医療提供者と患者に啓発、Webやeメール、SNSを活用 IMPACT-AF試験では、心房細動を有し経口抗凝固療法が適応(CHA2DS2-VAScスコア2以上、またはリウマチ性心臓弁膜症)の18歳以上の患者を包含したクラスターを、質的改善の教育介入を受ける群(介入群)または通常治療群(対照群)に、無作為に1対1の割合で割り付けた。無作為化は、eClinicalOS電子データ収集システムを用いて中央コーディングセンターで行われた。 介入は、医療提供者および患者の両者に対して行われ、定期的なモニタリングとフィードバックを伴った。患者・家族に対しては小冊子やウェブベースのビデオ教材を用いた啓発を行い、医療提供者には定期的なeメール送付で系統的レビューや関連論文、ウェブカンファレンスやオンラインセミナー、コーディングセンターとの質疑応答ができる掲示板の案内などを行った。介入は経口抗凝固療法の導入と継続を奨励することに焦点が置かれていた。 主要アウトカムは、ベースラインから教育介入1年時点までの、経口抗凝固療法を受けた患者の割合の変化であった。1年間で介入群12%増に対し対照群3%増、オッズ比は3.28 2014年6月11日~2016年11月13日の間に、5ヵ国の48クラスター(ブラジル8、その他各国10クラスター)、患者計2,281例(アルゼンチン343例、ブラジル360例、中国586例、インド493例、ルーマニア499例)が登録された。追跡期間は中央値12.0ヵ月(IQR:11.8~12.2)。 介入群において、経口抗凝固療法を受けた患者の割合は、ベースライン時68%(804/1,184例)から1年時点80%(943/1,184例)へ増大した(変化:12%)。一方、対照群は64%(703/1,092例)から67%(732/1,092例)への増大であった(同3%)。両群の変化の絶対差は9.1%(95%信頼区間[CI]:3.8~14.4)であり、オッズ比(OR)は3.28(95%CI:1.67~6.44、補正後p=0.0002)であった。 抗凝固療法に関する主な副次アウトカムをみると、ベースラインと1年時点いずれにおいても同療法を受けていた患者の割合は介入群と対照群で有意差はなかったが(補正後OR:1.68、p=0.10)、介入群においてわずかだがビタミンK拮抗薬の使用率が低下した変化がみられた(87%から78%、対照群は78%で推移)。また、同療法をベースラインでは受けていなかったが1年時点では受けていた患者の割合は、介入群48%、対照群18%であった(補正後OR:4.60、95%CI:2.20~9.63、p<0.0001)。 副次臨床的アウトカムのうち、Kaplan-Meier法で推定した脳卒中の発生は、対照群と比べて介入群で減少したことが示された(HR:0.48、95%CI:0.23~0.99、log-rank検定p=0.0434)。同値は補正後Coxモデルの評価でも変わらなかったが、CI値の上下限値幅が大きかった(HR:0.49、95%CI:0.21~1.13、p=0.09)。なお、全死因死亡、複合アウトカム(脳卒中・全身性塞栓症・大出血)、大出血の発生は、両群で差はなかった。

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検証 NSCLCにおけるニボルマブの適正投与期間(CheckMate-153)/ESMO2017

 PD-1/PD-L1阻害薬の適正な治療期間は明らかになっておらず、今後の重要な問題である。スペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017)において、米国Sarah Cannon Research Institute/Tennessee OncologyのDavid Spigel氏が、PD-1/PD-L1阻害薬の治療期間を評価する初めての無作為化試験であるCheckMate-153試験の結果を発表した。 CheckMate-153試験は、既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)で、ニボルマブの治療(3mg/kg 2週ごと)を1年間継続した患者を、同剤の治療を継続するcontinuous nivolumab群(治療継続群)と、同剤の治療を1年間で中止するstop nivolumab群(ストップ群)に無作為に割り付け、臨床効果と安全性を評価した。主要評価項目は、Grade3~5の治療関連有害事象。探索的評価項目は、治療継続群とストップ群の安全性と有効性である。 1,245例が試験に登録され、ニボルマブの治療が1年間継続されている220例が無作為割り付けの対象となった。そのうち病勢コントロール(CR、PR、SD)されていた治療継続群76例とストップ群87例で有効性評価が行われた。両群の患者背景は同等で、患者の4分の1は3つ以上の前治療がある重度治療集団であった。 データカットオフ時(2017年5月15日)の追跡期間は、最短10.0ヵ月、最長14.9ヵ月であった。無作為割り付け後1年の無増悪生存(PFS)率は、治療継続群65%、ストップ群40%と、治療継続群で高かった(HR:0.42、95%CI:0.25~0.71)。PFSサブグループ解析においても、ほとんどの項目で治療継続群が優位であった。全生存期間については、治療継続群は未到達、ストップ群は23.2ヵ月と、統計学的有意には至らなかったものの、治療継続群で優れた傾向にあった(HR:0.63、95%CI:0.33~1.20)。今後の追跡結果が待たれるところである。 ストップ群ではPD後、ニボルマブによる再治療が認められているが、同群87例中49%(43例)がPDとなり、このうちの79%(34例)がニボルマブによる再治療を選択している。 安全性については、全Grade、重症Grade共に、治療継続群でわずかに頻度が高かった。治療関連死は両群共に認められていない。 Discussantであるドイツ Lungen Clinic Grasshausdorf Airway research CenterのMartin Reck氏は、「本試験は有効性を探索的評価項目としているが、PD-1/PD-L1阻害薬の適正な治療期間は重大な臨床的疑問である。今後橋渡し研究を進めると共に、有効性を主要評価項目とした、適切な統計パワーと患者数および統計デザインによる医師主導前向きランダム化試験が必要である」と述べた。■参考CheckMate-153試験(Clinical Trials.gov)

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ワクチンの安全性をどう伝えるか

 2017年8月23日、国立国際医療研究センターの国際感染症センター予防接種支援センターと、国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センターは、国立国際医療研究センター病院内で「予防接種とコミュニケーション~メディアや専門家が伝えていること、いないこと~」をテーマに、講演とパネルディスカッションを開催した。ワクチンの正しい知識の底上げが大事 はじめに医療者の立場から氏家 無限氏(同センター予防接種支援センター)が、「定期の予防接種における一時中止・積極的勧奨の差し控え」と題して、講演を行った。 わが国では、国民の健康保持と予防接種被害の救済の目的のもと制定されている予防接種法に基づき、小児、成人への予防接種が行われている。また、万が一、健康被害が起こっても副反応報告制度とともに、予防接種健康被害救済制度などにより、被接種者の保護がなされている。 実際、1975年のDPT(三種混合)ワクチン、2000年のポリオワクチン(Lot.39)の一時中止、2005年の日本脳炎ワクチンの積極的勧奨差し控えを例に挙げ、いずれもその後に、安全性の確認されたワクチンなどが上市されても、社会的な影響は大きく長く続き、ワクチン未接種者を生む結果となったと問題を提起した。 そして今、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンが同じような状態になっていると指摘する。2013年の積極的勧奨差し控え以降(公費助成は継続)、それまで実施対象者の75.3%が接種していたワクチン実施率も、2014年には0.7%にまで落ち込んだという。 同ワクチンは、現在も厚生労働省の審議会で安全性の審議がされているが、「デメリットが強調されやすいワクチンの特性を理解したうえで、医療従事者やメディアが中心となって、全体の関心、知識、理解の底上げを行っていくことが重要であろう」と述べ、レクチャーを終えた。若者の健康を守ることは次代への投資 同じく医療者の立場から北村 邦夫氏(一般社団法人 日本家族計画協会 理事長)が、「女性の健康」と題して、レクチャーを行った。 最初に『世界人口白書(2003年)』からの引用として「思春期の若者の健康と権利への投資は次世代に大きな利益をもたらす」と若年者への健康配慮の重要性を説いた。具体的には10代での避妊や性感染症の検査・治療、とくにコストについて触れ、クリニックの利用などほぼ公費で無料である欧米各国と比べ、わが国には補助制度がなく、著しく遅れている現状を紹介。デリケートな内容だけに、親や社会が触れることに積極的ではないと指摘する。 また、HPVワクチンについて言及し、わが国では1年間に約1万人の女性に子宮頸がんが発症し、1年間に約3,000人の女性が本症で死亡し、20~30代女性で罹患率・死亡率ともに増加している中で、ワクチン非接種の女性が出産年齢を迎えている。早急にワクチンの有効性をエビデンス1-4)を基に説明し、ワクチン接種の必要性と重要性を啓発する必要があると提案する。「諸外国より遅れているワクチンギャプを一刻も早く解消することが若者を救う近道」と述べ、レクチャーを終えた。●参考文献1)Ozawa N, et al. Tohoku J Exp Med. 2016;240:147-151.2)Tanaka H, et al. J Obstet Gynaecol Res. 2017 Jul 14. [Epub ahead of print]3)Matsumoto K, et al. Int J Cancer. 2017;141:1704-1706.4)World Health Organaization. Weekly epidemiological record. 2017;92:393-404.メディアは科学的根拠に基づいた報道で世論形成を 続いて報道の立場から岩永 直子氏(BuzzFeeD JAPAN)が、「子宮頸がんワクチンの報道について」をテーマに、現在の報道の在り方と今後の方向性についてレクチャーを行った。 HPVワクチンは、2013年6月の「積極勧奨の中止」以降、医療者の間でも接種に消極的な医師が増え、事実上、わが国では接種がストップしてしまった。 これについてメディアは、接種が再開されないことに疑問を呈しながらも、副反応やネガティブな情報の両論併記をすることで、一般の受け手の不安を増大させたと、同氏は指摘する。また、ワクチンの専門家が、接種中止の弊害を発信しても、それが一般の受け手に届いていないという現実もあるという。今、世界中でHPVワクチンの科学的知見が蓄積されている。これらの客観的な価値判断をメディアは行い、伝える必要性があると指摘する。 具体的には、「行政、医学界、メディアが科学的な根拠を捻じ曲げた判断をせずに、最新の科学的根拠を、この三者が連携して絶えず発信することで、世論形成をするべきではないか」と提案し、レクチャーを終えた。求められる情報の受け手に配慮した情報発信 続いて、堀 成美氏(国際感染症センター 感染症対策専門職)が、情報を受ける側の立場から、メディアへの要望などを述べた。 HPVワクチンの報道では、メディアが不安をあおるようなものが多数見られた。その情報を得て、受け手が不安になりWebなどで検索することで、さらに不安を増大させる現象があったと指摘する。問題は、メディアが「続報」をきちんと伝えないことであり、一度流れた情報が修正されないまま、今日まで来ているという。また、医学系学会などの情報発信も一般の受け手を意識した発信を行っているかどうか(たとえば専門用語で難しい、読みやすさなど工夫がないなど)、受け入れ易い情報発信をしているかどうか検討する必要があると語った。各国各様のワクチン啓発事情 後半では、ブータン、マレーシア、オーストラリア、スコットランド(イギリス)、デンマーク、アイルランドからのパネリストも交え「報道、専門家は何を伝え、伝えていないか~海外のHPVワクチン事情を例に~」をテーマに、パネルディスカッションが行われた。 ブータン、マレーシア、オーストラリア、スコットランドでは、HPVワクチンの学校接種が行われ、印刷物、ラジオ、テレビなどを使用し、予防接種推奨のメッセージを発信し続けている。その成果もあり、ワクチンに否定的なメディアもあまり見られないという。 一方、デンマークでは、2015年に放映された副反応を取り上げたテレビ番組などにより、日本と同様の問題に直面している。また、アイルランドでも、副反応の刺激的な取り上げ方がメディアで行われたものの、厚生大臣が先頭に立ち、政府がエビデンスに基づいた情報を発信、ワクチン接種推奨の啓発活動を行っていると紹介した。 このほか、今後の情報発信ツールとして「FacebookなどのSNS」を通じて、「短いメッセージでさまざまなワクチンの有効性を発信する」、「同じ内容を繰り返し動画配信する」などさまざまな事例や建設的な提案がなされディスカッションを終えた。■参考厚生労働省 予防接種情報

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飲酒でのフラッシング反応別の膀胱がんリスク~JPHC研究

 わが国の多目的コホート研究(JPHC研究、主任研究者:津金昌一郎氏)において、飲酒量と膀胱がんの関連を、アセトアルデヒド代謝能の代用マーカーであるフラッシング反応を含めて検討した。その結果、フラッシング反応のある男性では、飲酒量と膀胱がんリスクとの間に逆U字型の関連を示した。また、飲酒とフラッシング反応との交互作用は有意傾向を示し、飲酒によるアセトアルデヒドが膀胱がんリスクと関連するという仮説を支持する可能性を示した。International journal of cancer誌オンライン版2017年9月5日号に掲載。 アセトアルデヒドの代謝酵素が不活性型であることが多い東アジア人集団において、飲酒量と膀胱がんリスクとの関連は十分に調査されていない。アセトアルデヒドは発がん物質とみなされていることから、アセトアルデヒドへの曝露の差を考慮することにより、飲酒による膀胱がんリスクをより正確に評価することができる。 本研究では、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・1990~2012年の追跡期間中に、9万5,915人(男性4万5,649人、女性5万266人、40~69歳)のうち、男性354人と女性110人が新たに膀胱がんと診断された。・全体の分析では、飲酒量と膀胱がんリスクに有意な関連は認められなかった。・フラッシング反応を示す男性では、1週間当たりの飲酒量(純エタノール換算、例:ビール500mLで20g)が1~150g、151~300g、301~450g、>450gの飲酒者における、非飲酒者および機会飲酒者に対するHRは、順に1.04(95%CI:0.70~1.54)、1.67(同:1.16~2.42)、1.02(同:0.62~1.67)、0.63 (同:0.33~1.20)であり、飲酒量と膀胱がんリスクとの間に逆U字型の関連を示した。・一方、フラッシング反応のない男性では、有意な関連は確認されなかった。・飲酒とフラッシング反応との交互作用は有意傾向(交互作用のp=0.083)を示した。

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第2回 医師がクルマを選ぶ基準

緊急の呼び出し、外勤への移動など医師はクルマを使う機会が多いこともあり、クルマへの思い入れが強い方も少なくない。CareNet.comでは、会員医師にクルマ(四輪車)に関するアンケートを実施。回答者総数は307名であった。その結果を3回に分けて報告する。第2回は「医師がクルマを選ぶ基準」。結果概要クルマを選ぶ基準の第1位は使い勝手クルマを選ぶ基準、全体の第1位は、「使い勝手」(乗降性、サイズ、取り回しなど)で30%、第2位が「性能」の25%、次いで「価格」の14%。これらが上位3要素となっている。「リセールバリュー」と答えた医師はいなかった。■往診専用車を除き、クルマ(四輪車)を選ぶ基準について、下記の選択肢からもっとも当てはまるものを一つお選びください。(回答は1つ)1) 価格2) 性能3) 居住性4) 使い勝手(乗降性、サイズ取り回しなど)5) ボディタイプ6) デザイン7) ブランド8) リセールバリュー9) その他勤務医と開業医で異なる基準勤務医では「使い勝手」28%、「性能」25%、「価格」が16%。開業医(経営者)では「使い勝手」が36%、「性能」22%、次いで「ブランド」の11%が上位3項目。全体3位の「価格」は4%にとどまり、「デザイン」(9%)に続く、第5位に下がる。画像を拡大する画像を拡大する性別によって異なる基準男性に比べ、女性は「使い勝手」を選ぶ率が高く、「価格」を選ぶ率が低かった。画像を拡大する画像を拡大する年代によって異なる基準特徴のある2つの集団を示す。20代・30代では「使い勝手」34%、「性能」21%、「価格」19%が上位3項目。全体に比べ「使い勝手」、「価格」の要素が高い。一方、50代では、「性能」が30%で第1位、次いで「使い勝手」26%、「デザイン」の14%が上位3項目。全体3位の「価格」は10%にとどまり、11%の「ブランド」に続く第5位に下がる。50代の上位項目は、全体および他世代と異なる傾向にあった。画像を拡大する画像を拡大する

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durvalumab維持療法、Stage III肺がんのPFSを有意に改善(PACIFIC)/ESMO2017

 切除不能な局所進行Stage III肺がんに対するdurvalumab維持療法が、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善。抗PD-L1抗体durvalumabの第III相PACIFIC試験の最新の結果を2017年9月9日、スペイン・マドリードで行われた欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017)でスペインHospital Universitario de OctubreのLuis Paz-Ares氏が発表した。 PACIFIC試験は、プラチナベース化学療法と放射線の同時併用療法後に進行が認められないStage IIIのNSCLC患者において、抗PD-L1抗体durvalumab維持治療を標準療法と比較する第III相試験である。 NSCLCと診断される患者の3分の1はStage IIIである。PS良好なStage III NSCLCの標準治療は、プラチナ併用療法を用いたCCRTであるが、CCRT開始からのPFS中央値は8~10ヵ月、5年生存率は15%程度で良好な成績とはいえず、新たな治療が望まれていた。 PACIFIC試験では、切除不能な局所進行(Stage III)NSCLCと診断され、2サイクル以上のプラチナ・ベースのCCRT後に病勢進行が認められない患者を対象とし、CCRT後42日間に、durvalumab(10mg/kg、2週ごと最大12ヵ月投与)群とプラセボ群に2:1の割合で無作為に割り付けを行った。患者はPD-L1発現状況にかかわらずに登録された。 主要評価項目は、盲検化独立判定委員会評価のPFSと全生存期間(OS)。副次評価項目は奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性などであった。本試験は、Stage III NSCLC患者に対する免疫チェックポイント阻害薬の効果を評価した初めての第III相試験である。 2014年5月~2016年4月に713例が登録され、durvalumab群に473例、プラセボ群に236例が割り付けられた。患者背景には大きな偏りはなかった。PD-L1発現25%未満は、durvalumab群とプラセボ群でそれぞれ、39.3%と44.3%。発現25%以上は24.2%と18.6%、不明は36.6%と37.1%であった。 今回の発表は、追跡期間14.5ヵ月(データカットオフ2017年2月13日)におけるPFSの中間解析の結果である。主要評価項目のPFSは、durvalumab群16.8ヵ月(13.0~18.1)、プラセボ群5.6ヵ月(4.6~7.8)と、durvalumab群で有意なPFSの延長が認められた(HR:0.52、95%CI:0.42~0.65、p<0.0001)。PFSのサブグループ解析では、EGFR変異陽性または不明のサブグループを除き、durvalumab群が一貫して優位であった。また、いずれのPD-L1発現状況(25%未満、25%以上、不明)においても、durvalumab群が優位であることが示された。 副次評価項目であるORRは、durvalumab群28.4%、プラセボ群16.0%と、durvalumab群で有意な改善がみられた(p<0.001)。DORは、durvalumab群では未到達、プラセボ群は13.8ヵ月と、durvalumab群で延長が認められた(HR:0.43、95%CI:0.22~0.84)。遠隔転移または死亡までの期間は、durvalumab群23.2ヵ月(23.2~未到達)、プラセボ群14.6ヵ月(10.6~18.6)と、durvalumab群で有意に延長していた(HR:0.52、95%CI:0.39~0.69、p<0.0001)。なお、OSについては、解析に十分なイベントが発生していなかった。 durvalumab群の安全性プロファイルは、進行NSCLCに対する単剤療法の場合と同様であり、本試験で新たな有害事象(AE)の発現は認められなかった。Grade 3/4のAE発現頻度はdurvalumab群で29.9%、プラセボ群で26.1%であり、AEによる治療中止はdurvalumab群15.4%、プラセボ群9.8%であった。Grade 3/4の肺臓炎または放射線肺臓炎の発現頻度はdurvalumab群で3.4%、プラセボ群で2.6%であり、これらによる死亡は、それぞれ1.1%と1.7%であった。 以上の結果より、「durvalumabはIII期NSCLC患者に対するCCRT後の治療オプションとして有望である」とPaz-Ares氏は述べた。 この結果は、同時にNew England Journal of Medicine誌に掲載された。■参考ESMO2017プレスリリースAntonia SJ, et al.N Engl J Med. 2017 Sep 8.[Epub ahead of print]PACIFIC試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ステージ3切除不能肺がん、durvalumab維持療法が良好な結果:PACIFIC試験

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動脈硬化へのカナキヌマブ、がん発症への影響は/Lancet

 インターロイキン‐1β(IL-1β)抗体カナキヌマブを、心筋梗塞歴があり、高感度CRP(hsCRP)値が2mg/L以上のアテローム性動脈硬化症患者に投与することで、肺がん発症リスクと同死亡リスクが有意に低下する可能性が示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul M. Ridker氏らが、カナキヌマブの血管イベント再発抑制に関する無作為化二重盲検プラセボ対照試験「CANTOS試験」の、事前に規定していた2次(探索的)解析を行い明らかにした。Lancet誌オンライン版2017年8月25日号掲載の報告。1万例超を中央値3.7年で追跡 研究グループは、心筋梗塞歴があり、hsCRP値が2mg/L以上のアテローム性動脈硬化症患者で、がんの診断を受けたことがない1万61例を対象に試験を行った。 用量依存的な有効性を評価するため、被験者を4群に分け、カナキヌマブ50mg、150mg、300mg、プラセボをそれぞれ3ヵ月ごとに皮下投与した。追跡期間の中央値は3.7年だった。 2次解析のエンドポイントは、がん発症・死亡で、カナキヌマブ投与の割り付けをマスクされたがんエンドポイント委員会が判定を行った。解析はintention to treatにて行った。カナキヌマブ300mg群でがん死亡0.49倍、肺がん死亡0.23倍 ベースラインのhsCRP値とインターロイキン-6値の中央値は、追跡期間中に肺がんを発症した患者でいずれも高かった。どのがんも発症しなかった患者との比較で、それぞれ6.0 vs.4.2mg/L、3.2 vs.2.6ng/Lだった(いずれもp<0.0001)。 カナキヌマブ投与により、追跡期間中のhsCRP値とインターロイキン-6値には用量依存的抑制効果が認められ、それぞれ26~41%、25~43%の低下がみられた(すべての比較についてp<0.0001)。 がんによる死亡は全体で196例であり、カナキヌマブ投与プール群がプラセボ群に比べ有意に少なかった(傾向のp=0.0007)。カナキヌマブ投与量別にみると、300mg群でのみプラセボ群に比べがん死亡率が有意に低率だった(ハザード比[HR]:0.49、95%信頼区間[CI]:0.31~0.75、p=0.0009)。 肺がんを発症したのは129例だった。同発症率は、150mg群と300mg群でプラセボ群に比べ有意に低かった(HRは150mg群:0.61[95%CI:0.39~0.97、p=0.034]、300mg群:0.33[95%CI:0.18~0.59、p<0.0001]、また傾向のp<0.0001)。 肺がん死亡率は、300mg群ではプラセボ群に比べ大幅に低く、HRは0.23(95%CI:0.10~0.54、p=0.0002)で、カナキヌマブ投与群全体でも有意に低かった(傾向のp=0.0002)。 致死的感染症や敗血症は、カナキヌマブ群でプラセボ群に比べ高率だった。全死因死亡率は、両群で同等だった(HR:0.94、95%CI:0.83~1.06、p=0.31)。 これらの結果を踏まえて著者は、「肺がんは事前に規定した正式なエンドポイントではなかったが、発症および死亡が有意に低下する可能性が示された。これらのデータが、正式ながんスクリーニングや治療設定の下でも示されるかを調べる必要がある」とまとめている。

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オランザピン誘発性体重増加のメカニズム

 オランザピンなどの非定型抗精神病薬は、過度な体重増加や2型糖尿病を誘発することがある。しかし、これらの薬物誘発性代謝異常の根底にあるメカニズムは、あまりわかっていない。米国・テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのCaleb C. Lord氏らは、オランザピン誘発性代謝異常のメカニズムについて、動物実験により検討を行った。The Journal of clinical investigation誌オンライン版2017年8月14日号の報告。オランザピンがマウスの過食症および体重増加を誘発 本検討では、メスのC57BL/6マウスでオランザピン誘発性過食症および肥満を再現する実験モデルを用いた。 オランザピン誘発性体重増加について動物実験により検討した主な結果は以下のとおり。・オランザピンは、マウスの食物摂取量を急増させ、耐糖能異常を引き起こし、身体活動およびエネルギー消費を変化させることが明らかとなった。・オランザピン誘発性過食症および体重増加は、セロトニン2C受容体欠損マウスにおいて鈍化した。・選択的セロトニン2C受容体アゴニストであるlorcaserinによる治療は、オランザピン誘発性過食症および体重増加を抑制することが示された。・lorcaserinは、オランザピン投与マウスの耐糖能を改善させた。 著者らは「オランザピンは、セロトニン2C受容体への拮抗作用を介して、有害な代謝系副作用を発現することが示唆された」としている。■関連記事オランザピン誘発性体重増加を事前に予測するには:新潟大学抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学

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