検証 NSCLCにおけるニボルマブの適正投与期間(CheckMate-153)/ESMO2017

PD-1/PD-L1阻害薬の適正な治療期間は明らかになっておらず、今後の重要な問題である。スペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017)において、米国Sarah Cannon Research Institute/Tennessee OncologyのDavid Spigel氏が、PD-1/PD-L1阻害薬の治療期間を評価する初めての無作為化試験であるCheckMate-153試験の結果を発表した。
CheckMate-153試験は、既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)で、ニボルマブの治療(3mg/kg 2週ごと)を1年間継続した患者を、同剤の治療を継続するcontinuous nivolumab群(治療継続群)と、同剤の治療を1年間で中止するstop nivolumab群(ストップ群)に無作為に割り付け、臨床効果と安全性を評価した。主要評価項目は、Grade3~5の治療関連有害事象。探索的評価項目は、治療継続群とストップ群の安全性と有効性である。
1,245例が試験に登録され、ニボルマブの治療が1年間継続されている220例が無作為割り付けの対象となった。そのうち病勢コントロール(CR、PR、SD)されていた治療継続群76例とストップ群87例で有効性評価が行われた。両群の患者背景は同等で、患者の4分の1は3つ以上の前治療がある重度治療集団であった。
データカットオフ時(2017年5月15日)の追跡期間は、最短10.0ヵ月、最長14.9ヵ月であった。無作為割り付け後1年の無増悪生存(PFS)率は、治療継続群65%、ストップ群40%と、治療継続群で高かった(HR:0.42、95%CI:0.25~0.71)。PFSサブグループ解析においても、ほとんどの項目で治療継続群が優位であった。全生存期間については、治療継続群は未到達、ストップ群は23.2ヵ月と、統計学的有意には至らなかったものの、治療継続群で優れた傾向にあった(HR:0.63、95%CI:0.33~1.20)。今後の追跡結果が待たれるところである。
ストップ群ではPD後、ニボルマブによる再治療が認められているが、同群87例中49%(43例)がPDとなり、このうちの79%(34例)がニボルマブによる再治療を選択している。
安全性については、全Grade、重症Grade共に、治療継続群でわずかに頻度が高かった。治療関連死は両群共に認められていない。
Discussantであるドイツ Lungen Clinic Grasshausdorf Airway research CenterのMartin Reck氏は、「本試験は有効性を探索的評価項目としているが、PD-1/PD-L1阻害薬の適正な治療期間は重大な臨床的疑問である。今後橋渡し研究を進めると共に、有効性を主要評価項目とした、適切な統計パワーと患者数および統計デザインによる医師主導前向きランダム化試験が必要である」と述べた。
■参考
CheckMate-153試験(Clinical Trials.gov)
(ケアネット 細田 雅之)
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