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精神疾患患者の激越症状に対する新旧治療戦略

 双極性障害や統合失調症患者の急性激越症状に対する治療は、多面的かつ機能的な課題であり、医療従事者にとって独特で複雑なチャレンジといえる。イタリア・University of Siena School of MedicineのGiovanni Amodeo氏らは、統合失調症または双極性障害の激越患者に対し、どの薬剤が最も有効であるかについて検討を行った。CNS & neurological disorders drug targets誌オンライン版2017年9月18日号の報告。激越症状がせん妄やほかの病状に起因する場合、根本原因に対処する 統合失調症または双極性障害患者における、激越症状の治療に関する現行のガイドラインおよび関連文献の選択的レビューを行った。 激越症状の治療に関する文献などの選択的レビューを行った主な結果は以下のとおり。・激越症状に対する薬理学的治療は、最も可能性の高い激越症状の原因の評価に基づき行うことが推奨される。・統合失調症および双極性障害患者の急性激越症状に対する治療では、第1世代抗精神病薬、第2世代抗精神病薬、ベンゾジアゼピン、新規吸入抗精神病薬loxapineについてレビューされ、コメントされている。・激越症状がせん妄または他の病状に起因する場合、臨床医はまず、根底にある原因に対処し、治療する必要がある。・激越症状が主に統合失調症または双極性障害に起因する場合、抗精神病薬および/またはベンゾジアゼピンが通常では治療の主流となる。・新規吸入抗精神病薬loxapineは、軽度から中等度の統合失調症または双極性障害患者の激越症状を速やかに軽減することが示されており、初回投与の10分後の評価において、激越症状の減少が認められている。■関連記事統合失調症の急性増悪期、抗精神病薬の使用状況は?:国立精神・神経医療研究センターせん妄治療への抗精神病薬投与のメタ解析:藤田保健衛生大統合失調症患者の暴力行為が魚油摂取で改善

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ISNTの法則、実はそれほど当てはまらない?

 ISNTの法則――正常眼の場合、視神経乳頭辺縁部の厚さは、下方(inferior)>上方(superior)>鼻側(nasal)>耳側(temporal)の順である――は、緑内障診断のポイントの1つになっているが、米国・ハーバード医科大学のLinda Yi-Chieh Poon氏らによる調査の結果、正常眼でISNTの法則に当てはまったのは乳頭写真評価で約3分の1、網膜神経線維層厚測定では半分以下にすぎないことが明らかとなった。著者は、ISNT法則の変形版(ISTあるいはIS)が、70%以上に当てはまる有効な法則であることを示し、この方法を考慮する余地があるとまとめている。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2017年9月22日号掲載の報告。 研究グループは、正常眼の何%がISNTの法則に従うか、また、ISNT法則の変形が一般化できるかどうかについて横断研究を行った。 対象は健常者110例で、乳頭写真にて視神経乳頭辺縁部(以下、リム)の評価を行うとともに、スペクトラルドメインOCTにて網膜神経線維層厚(RNFL)を測定した。 主要評価項目は、ISNTの法則とその変形に従う被験者の割合である。 主な結果は以下のとおり。・ISNTの法則が当てはまった被験者は、乳頭写真のリム評価で37.0%、RNFL測定で43.8%であった。・ISNTの法則がリム評価およびRNFL測定の両方で当てはまらなかった大きな理由は、予想されるISNTのパターンより鼻側に偏向していたためであった。・具体的には、被験者の10.9%は下方より鼻側が大きく、29.4%は上方より鼻側が大きく、14.7%は耳側より鼻側が狭く、そして、42.9%は耳側四半部と比較して鼻側のRNFLが薄かった。・ISNTの法則から鼻側四半部を除外したISNT法則の変形は、有効性が顕著に増加した。すなわち、乳頭写真のリム評価ではIST法則に従った被験者が70.9%、IS法則が76.4%、RNFL測定ではそれぞれ70.9%および71.8%であった。

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上市がん治療薬、約半数はOS延長・QOL改善しない?/BMJ

 2009~13年に欧州医薬品庁(EMA)が承認したがん治療薬は、そのほとんどが生存期間やQOLを改善したという明らかなエビデンスがないまま上市され、販売開始から最短3.3年の時点ではまだほとんどの適応症で決定的なエビデンスはなく、また、既存の治療もしくはプラセボに対する生存期間の延長が示されてもその多くは必ずしも臨床的に意味のあるものではないことが明らかとなった。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのCourtney Davis氏らが、審査報告書を後ろ向きに調査した結果を報告した。がん治療の目標は生命予後とQOLの改善であるにもかかわらず、承認を得るための臨床試験ではそれに代わるもしくは間接的な項目が有効性として評価されている。これまで、欧州で承認されたがん治療薬についてエビデンスやベネフィットの大きさを系統的に調べた研究はなかった。BMJ誌2017年10月4日号掲載の報告。2009~13年に欧州で承認されたがん治療薬について調査 研究グループは、2009~13年に承認されたがん治療薬について、EMAのデータベースを検索し、試験デザイン(無作為化、クロスオーバー、盲検化)、対照薬およびエンドポイントからpivotal試験および上市後臨床試験を特定し、そのデータを審査報告書(European Public Assessment Report:EPAR)から得るとともに、PubMedで無作為化比較試験を検索し、承認時ならびに市販後の全生存期間(OS)またはQOLに対する有効性および有益性を検討した。承認時または上市後にOSの延長が示された薬剤については、その延長の臨床的な価値をEuropean Society for Medical Oncology Magnitude of Clinical Benefit Scale(ESMO-MCBS)を用いて評価した。承認後中央値5.4年で臨床的に意味のあるOS延長確認は半数 2009~13年にEMAが承認したがん治療薬は48製剤、68適応であった。このうち8適応(12%)は、治験薬だけの単群試験に基づいて承認されていた。 承認時点でOSの有意な延長が認められたのは、24/68適応(35%)で、その延長期間は1.0~5.8ヵ月(中央値2.7ヵ月)であった。また、承認時点でQOLの改善が認められたのは、7/68適応(10%)であった。 承認時点でOSの延長が認められなかった44適応のうち、上市後の臨床試験でOS延長のエビデンスが確認されたのは3適応(7%)、QOLに対する有益性が報告されたのは5適応(11%)であった。 また、68適応について、承認後中央値で5.4年(範囲3.3~8.1年)追跡した結果、OSまたはQOLの有意な改善が示されたのは35適応(51%)に過ぎず、残りの33適応(49%)は不明なままであった。また、OSの改善が示された26適応のうち、ESMO-MCBSスケールを適用できた23適応(23製剤)において、臨床的に意味があると判定されたのは半数未満(11/23適応、48%)であった。

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大脳型副腎白質ジストロフィー、遺伝子治療が有望/NEJM

 大脳型副腎白質ジストロフィー(Cerebral Adrenoleukodystrophy:CALD)に対し、Lenti-D遺伝子治療が同種造血幹細胞移植に代わる安全で有効な治療法となる可能性が示された。米国・ハーバード・メディカル・スクール/マサチューセッツ総合病院のFlorian Eichler氏らが、第II/III相単群非盲検臨床試験「STARBEAM試験」の中間解析結果を報告した。副腎白質ジストロフィー(ALD)はABCD1遺伝子変異によるX連鎖性遺伝性疾患で、CALDは脱髄と神経変性を特徴としている。これまでは同種造血幹細胞移植が、神経機能の喪失と死亡につながる疾患進行を食い止める唯一の方法であった。結果を踏まえて著者は、「さらなる追跡調査で、奏効期間や長期安全性を完全に評価することが必要である」とまとめている。NEJM誌オンライン版2017年10月4日号掲載の報告。CALD発症早期の17例において、24ヵ月後の生存と重度機能障害を評価 STARBEAM試験の対象は、17歳以下のCALD男児で、MRIでガドリウム造影効果を認めた発症早期の17例であった。患者から得たCD34+細胞に、elivaldogene tavalentivec(Lenti-D)レンチウイルスベクターを用いてABCD1遺伝子を導入し、自家移植を行った。 今回の中間解析では、移植片対宿主病(GVHD)の発症、死亡、主要機能障害、神経機能の変化、MRI上の病巣範囲の変化について評価した。主要エンドポイントは24ヵ月時の重度機能障害のない生存であった。Lenti-D遺伝子治療後、80%以上が生存 中間解析における追跡期間中央値は29.4ヵ月(範囲:21.6~42.0)であった。全例で移植後にマーカー遺伝子細胞が認められ、遺伝子の挿入部位解析において既知のがん遺伝子の優先的組み込みやクローン増殖は検出されなかった。また、全例でALDタンパクが確認された。治療関連死亡やGVHDの報告はなかった。 17例中15例(88%)が、わずかな臨床症状のみで重度機能障害はなく生存していた。1例は急速に神経機能が悪化し、疾患進行のため死亡した。別の1例は、MRI上で疾患進行が確認され、同種造血幹細胞移植を実施するために本試験から離脱し、後に移植関連合併症のため死亡した。 著者は今後の課題として、「長期的な追跡調査とより多くの症例数で、Lenti-Dレンチウイルスベクターを用いた遺伝子治療の遺伝毒性の低さ、臨床的有効性および安全性の裏付けをとる必要がある」との見解を述べている。

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治療抵抗性うつ病、抗うつ薬併用 vs.抗精神病薬増強

 治療抵抗性うつ病患者は、抗うつ薬の併用療法(ADs)または第2世代抗精神病薬(SGA)の増強療法(SGA+AD)で治療されるが、臨床的特徴、SGA+ADへの治療反応と独立して関連する因子、アウトカムの経過についてはよくわかっていない。カナダ・マギル大学のGabriella Gobbi氏らは、治療抵抗性うつ病に対するADsおよびSGA+ADの治療効果について検討を行った。International clinical psychopharmacology誌オンライン版2017年9月12日号の報告。 2回以上の抗うつ薬治療に抵抗性を示した、治療抵抗性うつ病患者86例(ADs:36例、SGA+AD:50例)を対象に、最近の安定した試験(約3ヵ月間、投薬変更なし)に関して自然主義的研究を行った。MADRS(Montgomery-Asberg Depression Rating Scale)、HAM-D17(ハミルトンうつ病評価尺度)、その他の尺度による評価は、最近3ヵ月間の安定した試験の前(T0)と後(T3)に実施した。 主な結果は以下のとおり。・SGA+ADでは、ADsと比較し、精神病理的特徴を有するうつ病、パーソナリティ障害および物質使用障害の合併、ADsに対し治療抵抗性を示した回数、全尺度におけるT0での抑うつ症状について、それぞれの割合の増加が認められた(p<0.001)。・SGA+AD、ADsともに、T0と比較し、T3におけるMADRSおよびHAM-D17で抑うつ症状の有意な軽減が認められた(p<0.001)。SGA+ADは、平均スコアのより大きな低下を示した。・ロジスティック回帰分析では、精神病理的特徴、パーソナリティ障害、物質使用障害が、SGA+AD療法と独立して関連していることが示された。 著者らは「SGA+AD後にうつ症状の改善がより大きければ、精神病理的特徴、物質使用障害、パーソナリティ障害を伴う重度の治療抵抗性うつ病に対し、SGAによる増強療法は第1選択の治療法とすべきである」としている。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬の比較治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

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エキセナチドの週1回製剤とリラグルチドの週1回製剤は異なる作用を持つのだろうか…?(解説:吉岡成人 氏)-743

 GLP-1受容体作動薬であるリラグルチドとリラグルチドの週1回製剤であるセマグルチドは、LEADER(Liraglutide Effect and Action in Diabetes: Evaluation of Cardiovascular Outcome Results)、SUSTAIN-6(Trial to Evaluate Cardiovascular and other Long-Term Outcomes with Semaglutide in Subjects with Type2 Diabetes)の2つの臨床試験により、心血管イベントに対して一定の抑制効果があることが示されている。「GLP-1受容体作動薬」そのものにGLP-1を介した心血管イベント抑制の効果があるのではないかと考えられていたのだが、エキセナチド徐放剤(商品名:ビデュリオン、エキセナチドをマイクロスフェアに包埋し持続的に放出する製剤)の週1回投与では心血管死、心筋梗塞、脳卒中を抑止する効果が認められなかったとする報告がなされた。 EXSCEL(Exenatide Study of Cardiovascular Event Lowering)と命名されたこの臨床試験は、心血管疾患の既往ないしは心血管疾患のリスクを有する2型糖尿病14,752人を対象に、糖尿病の標準治療にエキセナチド徐放剤を併用する群とプラセボを併用する群に割り付けて、心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合エンドポイントを主要心血管イベントとして3.2年間追跡したものである。主要心血管イベントの発症率はエキセナチド徐放剤群で11.4%(3.7イベント/100人年)、プラセボ群で12.2%(4.0イベント/100人年)であり、ハザード比は0.91(95%信頼区間:0.83~1.00)で優越性を認めることができなかった(p=0.061)。EXSCELとSUSTAIN-6を比較すると、年齢(62.0 vs.64.6歳)、HbA1c(8.0 vs.8.7%)などは若干異なるものの、心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合エンドポイントの発症頻度はセマグルチド群3.2イベント/100人年、プラセボ群4.4イベント/100人年であり、同じようなリスクの患者を対象とした試験であると想定される。患者の年齢についてはEXSCELではサブグループ解析が行われており、ベースライン時の年齢が65歳以上の集団ではエキセナチド徐放剤群における主要心血管イベントのハザード比が0.80(95%信頼区間:0.71~0.91)であり、リスクの減少は統計学的に有意であると記載されている。エキセナチドを追加投与し、観察期間中に中央値でHbA1cは0.53%低下し、体重は1.27kg減少している。有害事象としての膵炎、膵がんなどの発症率は同等であった。 これらの成績からEXSCELにおける安全性とサブグループ解析を重くみて、エキセナチド徐放剤は心血管疾患のリスクを増加させることなく安全に使用でき、とくに高齢患者では心血管イベントを抑制しうる効果が期待されるのではないかと受け止めることができるのか、エキセナチド徐放剤は他の薬剤を超える素晴らしい(exceed and excellent)薬剤とは言い難いと解釈するのか、LEADER、SUSTAIN-6とやや異なる結果が得られたことは悩ましい。

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資産形成、最初の一歩はタネ銭から【医師のためのお金の話】第1回

資産形成、最初の一歩はタネ銭からはじめまして、「自由気ままな整形外科医」と申します。本稿を担当させていただきます。私は40代半ばの整形外科医で、某病院の人工関節センターに勤務しています。整形外科医として充実した医師ライフを送る一方で、なぜCareNet.comで「医師のためのお金の話」を連載することになったか? それは、勤務医にもかかわらず、金融資産投資、不動産投資、そしてスモールビジネス経営を通じて、資産形成を行っているからです。このあたりの顛末は、私のブログである「整形外科医のブログ」において週末限定で公開しています。想定している読者は、医師を中心とした、資産形成に興味のある医療関係者です。世の中には株式投資や不動産投資のハウツー本があふれていますが、現役医師によって執筆されたものはほとんどありません。資産形成には興味があるけれど、怖くて第一歩を踏み出すことができない…。そんな皆さまが少しでも興味を持って、健全な資産形成を始めることができるようなお金の話題を取り上げたいと思います。皆さまのお金に関する疑問が、1つでも解決されれば幸いです。CareNet.comで連載を始めるに当たって、読者である会員医師の皆さまにアンケートをとってもらいました。アンケートの結果は3回にわたり公開されています。その中で「収入(手取り)のうち、おおよそ何%を貯蓄していますか?」という質問に対する回答に驚きました。なんと、収入の20%未満の貯蓄しかしていない方が、全体の67%も占めていたのです! 手取り月給が60万円の場合、毎月50万円近く消費していることになります。う~ん、これではお金が貯まらないのも納得できます。本多 静六 博士に学ぶ、貯蓄の極意資産形成の第一歩は、タネ銭を貯めることです。明治から昭和にかけて林学博士・投資家として活躍した本多 静六 博士は、貧農に生まれながら苦学して東京帝国大学教授となり、「給与4分の1の天引き貯金」を元手に投資を行い、巨万の富を築きました。本田博士は、給与の少ない時代から「給与4分の1の天引き貯金」を実践して、投資のタネ銭を貯めたのです。資産形成を行うためには、元手になるタネ銭が必要です。このタネ銭を作るためには、本田博士のように地道に給与を貯めていくことが王道だと思います。ライフステージを予想して、まずは「貯蓄」医師の年収カーブは特殊で、早い人では20代後半に1,000万円の大台に乗ることも珍しくありません。逆に年齢を重ねても、それほど年収が増えるわけではないことにも、注意する必要があります。とくに40代になると、ライフステージの変化で子供の教育費など、出費が増加する人の割合が増えていきます。収入が頭打ちの中で支出が増えるのですから、家計の状況は厳しくならざるを得ません。このような事態を避けるためにも、できるだけ早い時点から貯蓄を意識的に開始する必要があります。そして、貯蓄を始めるのが遅過ぎるということはありません。貯蓄の必要性に気付いた時から、とにかく始めることが重要なのです。貯蓄の基本は「天引き貯金」幸い、医師として収入を得るために、華美な消費は必要ありません。医師としての技量と、高級車や高価なスーツを購入することには何の関係もないからです。会社経営者や弁護士とは異なり、病院・クリニックでは白衣やスクラブという「制服」があるため、医師は外見にそれほど気を遣う必要がないからです。そして、貯蓄については「給与天引き貯金」は有効です。本田博士の貯蓄法は4分の1ですが、年収の高い医師では給与の2分の1以上の貯蓄を目指すべきだと思います。あなたが若くて配偶者や子供がいないのであれば、給与4分の3天引き貯金も夢ではありません。先人の知恵に学んで賢くタネ銭を貯めることが、資産形成を始めるコツだと思います。金融資産投資や不動産投資を学ぶよりも、まずはタネ銭を貯める方法を考えてみましょう。

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1型糖尿病妊婦のCGM、新生児にも有益?/Lancet

 1型糖尿病の妊婦に対する持続血糖モニタリング(CGM)は、新生児アウトカムを改善することが、カナダ・Sinai Health SystemのDenice S. Feig氏らによる多施設共同非盲検無作為化試験「CONCEPTT試験」の結果、示された。著者らは、「CGMは、インスリン強化療法を受ける1型糖尿病の全妊婦に推奨すべきである」と提言している。1型糖尿病妊婦はリスクが高く、至適血糖コントロールに努めることが推奨される。しかし、母体の高血糖により新生児アウトカムは良好には至らない状況であった。なお今回の検討は、CGM使用による血糖以外の健康アウトカムについて、改善の可能性を示唆した初の試験であったという。Lancet誌オンライン版2017年9月14日号掲載の報告。妊婦と妊娠計画女性を対象にCGM使用、非使用の効果を調査 研究グループは、カナダ、英国、スコットランド、スペイン、イタリア、アイルランド、米国の31病院において、1型糖尿病に12ヵ月以上罹患しておりインスリン強化療法を受けている18~40歳の、妊婦(13週6日目以下)または妊娠を計画している女性を集めて、母体血糖コントロール、産科アウトカムおよび新生児アウトカムに対するCGMの効果を調べた。検討は、妊婦を対象とした試験と妊娠計画女性を対象とした試験を同時並行で行った。 各試験の被験者は、自己血糖測定モニタリング(capillary glucose monitoring)とCGMを行う群、または自己血糖測定モニタリングのみを行う群に、無作為に割り付けられた。インスリン療法(ポンプまたは注射)、ベースライン糖化ヘモグロビン(HbA1C)値による層別化も行った。 主要アウトカムは、妊婦対象試験は無作為から妊娠34週までのHbA1C値の変化とし、妊娠計画女性対象試験は無作為から24週または懐胎までのHbA1C値の変化とした。評価は、無作為化を受けベースラインで評価を受けた全参加者について行った。 副次アウトカムは、産科および新生児の健康アウトカムなどで、入手データのみで評価を行った。新生児健康アウトカムが有意に改善 2013年3月25日~2016年3月22日に、325例(妊婦試験215例、妊娠計画女性試験110例)が、CGM使用群(各試験108例、53例)またはCGM非使用群(107例、57例)に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムについて、妊婦試験ではCGM使用が好ましいことを示す、わずかだが有意なHbA1C値の変化に関する群間差を示す結果が認められた(平均差:-0.19%、95%信頼区間[CI]:-0.34~-0.03、p=0.0207)。また、妊婦試験においてCGM使用群は非使用群よりも、血糖目標値達成期間が有意に延長し(68% vs.61%、p=0.0034)、高血糖期間が有意に短縮した(27% vs.32%、p=0.0279)。また、重篤な高血糖エピソードが少なく(18件 vs.21件)、低血糖期間は短かった(3% vs.4%、p=0.10)。 さらにCGM使用群では、新生児健康アウトカムの有意な改善が認められた。LGA(large for gestational age)例は少なく(オッズ比:0.51、95%CI:0.28~0.90、p=0.0210)、24時間超NICU滞在例(0.48、0.26~0.86、p=0.0157)および新生児低血糖例も少なく(0.45、0.22~0.89、p=0.0250)、総入院期間は1日短かった(p=0.0091)。 一方、CGMの有益性について、妊娠計画女性試験の参加者では見当たらなかった。 有害事象の発現は、妊婦試験ではCGM使用群51例(48%)、非使用群43例(40%)であり、妊娠計画女性試験ではそれぞれ12例(27%)、21例(37%)であった。重篤有害事象の発現は、妊婦試験で13例(6%)(CGM使用群8例[7%]、非使用群5例[5%])、妊娠計画女性試験で3例(3%)(各群2例[4%]、1例[2%])報告された。 最も頻度の高かった有害事象は皮膚反応であり、妊婦試験ではCGM使用群49/103例(48%)、非使用群8/104例(8%)、妊娠計画女性試験ではそれぞれ23/52例(44%)、5/57例(9%)報告された。最も頻度の高かった重篤有害事象は消化器系で認められた(悪心および嘔吐が、妊婦試験で4例、妊娠計画女性試験で3例)。

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スタージ・ウェーバー症候群〔SWS:Sturge-Weber syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義スタージ・ウェーバー症候群(Sturge-Weber syndrome:SWS)は、顔面におけるポートワイン母斑(2014年、国際的に共通認識となっているISSVA分類において、「ポートワイン母斑」は「毛細血管奇形」へと名称変更された)、頭蓋内の軟膜血管腫、眼の脈絡膜血管腫これを起因とした緑内障を3主徴とする疾患である。本症は、神経皮膚症候群の範疇とされている。■ 疫学23万人に1人の発症といわれる。遺伝性はない。ほとんどの症状が出生時から認められる。■病因顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)と頭蓋内軟膜血管腫の病理組織標本の検討から、Gタンパク質のαサブユニットをコードするGNAQ遺伝子の異常が証明された。GNAQ遺伝子異常は、一塩基変異体(p.Arg183Glnをコードするc.548G→A)である。すなわち、GNAQ遺伝子の体細胞モザイク変異が原因と同定された。脳、皮膚、眼での特定の血管領域が障害される。脳では頭蓋内血流が障害され、脳機能低下や脳萎縮に陥り、精神運動や発達遅滞を発症する。皮膚では真皮毛細血管が障害され、皮膚に血管腫を思わせる赤い“ポートワイン”色の母斑(毛細血管奇形)を発症する。眼では脈絡膜血管が障害され、血流うっ滞から緑内障を発症する。■ 症状1)脳(頭蓋内)頭蓋内軟膜に血管奇形が生じ、うっ滞から軟膜血管虚血となり、局所の石灰化や壊死に至る。さまざまな障害となるので、臨床経過も多様である。痙攣、精神運動発達遅滞、運動片麻痺、片頭痛などが知られる。障害される脳の部位では、頭頂葉、後頭葉、前頭葉の頻度となっている。病変範囲が広いほど、てんかん発症年齢も早く難治化する。運動麻痺は、顔面皮疹と反対側の半身麻痺が多い。2)皮膚顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)は、その名のとおりポートワインのような色をした“赤あざ”と呼ばれる斑点である。時に薄ピンク色から深紫色まで個人差がある。部位は、三叉神経第1枝、第2枝領域が多い。3)眼脈絡膜血管腫は、顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)と同側である。そして緑内障を発症する。当然、視力・視野障害が発症してしまう。■ 分類定義で示した顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)、頭蓋内の軟膜血管腫、眼の脈絡膜血管腫の3主徴が必ずしも、すべてでみられるわけではない。1型:顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)と頭蓋内の軟膜血管腫の両方が認められるタイプ2型:顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)は認められるが、頭蓋内の軟膜血管腫がないタイプ3型:頭蓋内の軟膜血管腫は認められるが、顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)がないタイプに分類される。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)厚生労働省では、スタージ・ウェーバー症候群関連研究班が3つ存在することに着目し、その統一を図っている。以下に、改正された診断基準・重症度分類を表に示す。脳症状に関する検査には、脳MRIでガドリニウム増強において明瞭となる頭蓋内軟膜血管腫、罹患部位の脳萎縮、患側脈絡叢の腫大、白質内横断静脈の拡張がある。脳CTで頭蓋内石灰化、Single photon emission computed tomography(SPECT:単一光子放射断層撮影)で頭蓋内軟膜血管腫部位の低血流域、Positron emission tomography(FDG-PET:陽電子放出断層撮影)で頭蓋内軟膜血管腫部位の糖低代謝がある。また、脳波は患側の低電位徐波、発作時の律動性棘波または鋭波が知られている。表 スタージ・ウェーバー症候群の新規診断基準・重症度分類<診断基準>A 基本所見1頭蓋内軟膜血管腫2顔面ポートワイン斑(毛細血管奇形)3脈絡膜血管腫または緑内障B 症状1てんかん2精神運動発達遅滞3運動麻痺4視力・視野障害5片頭痛C 検査所見1 画像検査所見MRI:ガドリニウム増強において明瞭となる頭蓋内軟膜血管腫、罹患部位の脳萎縮、患側脈絡叢の腫大、白質内横断静脈の拡張CT:頭蓋内石灰化を認めるSPECT:頭蓋内軟膜血管腫部位の低血流域FDG-PET:頭蓋内軟膜血管腫部位の糖低代謝2 生理学的所見脳波:患側の低電位徐波、発作時の律動性棘波または鋭波D 鑑別診断その他の神経皮膚症候群E 遺伝学的検査GNAQ遺伝子の変異頭蓋内軟膜血管腫と顔面ポートワイン斑(毛細血管奇形)に関して<診断のカテゴリー>以下の場合に確定診断される。Aの1項目以上を満たし、かつBの2項目以上を有するもの<臨床所見(該当する項目の□にレ印を記入する)>てんかん発作型(複数選択可)□全般発作 □単純部分発作 □複雑部分発作 □二次性全般化発作 □てんかん重積状態頭蓋内軟膜血管腫の脳内局在□前頭葉 □側頭葉 □頭頂葉 □後頭葉 □その他 □両側てんかん外科治療□焦点切除術 □脳梁離断術 □多脳葉手術 □半球離断術 □迷走神経刺激療法顔面ポートワイン斑(毛細血管奇形)□顔面の5%以下 □顔面の5~30% □顔面の30%以上運動麻痺□なし □あり視力・視野障害□なし □あり片頭痛□なし □あり<重症度分類>●てんかんおよび精神運動発達遅滞精神保健福祉手帳診断書における「G40てんかん」の障害等級判定区分、障害者総合支援法における障害支援区分、精神症状・能力障害二軸評価を用いて、以下のいずれかに該当する患者を対象とする。「G40てんかん」の障害等級の能力評価区分「G40てんかん」の障害等級判定区分*「てんかん発作のタイプ」イ 意識障害はないが、随意運動が失われる発作ロ 意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作ハ 意識障害の有無を問わず、転倒する発作ニ 意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作●能力障害評価判定に当たっては、以下のことを考慮する。1)日常生活あるいは社会生活において必要な「支援」とは、助言、指導、介助などをいう。2)保護的な環境(たとえば入院・施設入所しているような状態)ではなく、たとえばアパートなどで単身生活を行った場合を想定して、その場合の生活能力の障害の状態を判定する。(1)精神障害や知的障害を認めないか、または、精神障害、知的障害を認めるが、日常生活および社会生活は普通にできる。適切な食事摂取、身辺の清潔保持、金銭管理や買い物、通院や服薬、適切な対人交流、身辺の安全保持や危機対応、社会的手続きや公共施設の利用、趣味や娯楽あるいは文化的・社会的活動への参加などが自発的にできる、あるいは適切にできる。精神障害を持たない人と同じように、日常生活および社会生活を送ることができる。(2)精神障害、知的障害を認め、日常生活または社会生活に一定の制限を受ける。(1)に記載のことが自発的あるいはおおむねできるが、一部支援を必要とする場合がある。たとえば、1人で外出できるが、過大なストレスがかかる状況が生じた場合に対処が困難である。デイケアや就労継続支援事業などに参加するもの、あるいは保護的配慮のある事業所で、雇用契約による一般就労をしている者も含まれる。日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難が生じることがある。清潔保持は困難が少ない。対人交流は乏しくない。引きこもりがちではない。自発的な行動や、社会生活の中で発言が適切にできないことがある。行動のテンポはほぼ他の人に合わせることができる。普通のストレスでは症状の再燃や悪化が起きにくい。金銭管理はおおむねできる。社会生活の中で不適切な行動をとってしまうことは少ない。(3)精神障害、知的障害を認め、日常生活または社会生活に著しい制限を受けており、時に応じて支援を必要とする。(1)に記載のことがおおむねできるが、支援を必要とする場合が多い。たとえば、付き添われなくても自ら外出できるものの、ストレスがかかる状況が生じた場合に対処することが困難である。医療機関などに行くなどの習慣化された外出はできる。また、デイケアや就労継続支援事業などに参加することができる。食事をバランスよく用意するなどの家事をこなすために、助言などの支援を必要とする。清潔保持が自発的かつ適切にはできない。社会的な対人交流は乏しいが、引きこもりは顕著ではない。自発的な行動に困難がある。日常生活の中での発言が適切にできないことがある。行動のテンポが他の人と隔たってしまうことがある。ストレスが大きいと症状の再燃や悪化を来しやすい。金銭管理ができない場合がある。社会生活の中でその場に適さない行動をとってしまうことがある。(4)精神障害、知的障害を認め、日常生活または社会生活に著しい制限を受けており、常時支援を要する。(1)に記載のことは常時支援がなければできない。たとえば、親しい人との交流も乏しく引きこもりがちである、自発性が著しく乏しい。自発的な発言が少なく発言内容が不適切であったり、不明瞭であったりする。日常生活において行動のテンポが他の人のペースと大きく隔たってしまう。些細な出来事で、病状の再燃や悪化を来しやすい。金銭管理は困難である。日常生活の中でその場に適さない行動をとってしまいがちである。(5)精神障害、知的障害を認め、身の回りのことはほとんどできない。(1)に記載のことは支援があってもほとんどできない。入院・入所施設などの患者においては、院内・施設内などの生活に常時支援を必要とする。在宅患者においては、医療機関などへの外出も自発的にできず、付き添いが必要である。家庭生活においても、適切な食事を用意したり、後片付けなどの家事や身辺の清潔保持も自発的には行えず、常時支援を必要とする。●運動麻痺下記の“Modified Rankin Scale”を用いて、中等症以上に該当する患者を対象とする。軽症 :0~2中等症:3~4重症 :5Modified Rankin Scale0まったく症候がない。1症候があっても明らかな障害はない。日常の勤めや活動は行える。2軽度の障害:発症以前の活動がすべて行えるわけではないが、自分の身の回りのことは介助なしに行える。3中等度の障害:何らかの介助を必要とするが、歩行は介助なしに行える。4中等度から重度の障害:歩行や身体的要求には介助が必要である。5寝たきり、失禁状態、常に介護と見守りを必要とする。参考0自覚症状および他覚徴候がともにない状態である。1自覚症状および他覚徴候はあるが、発症以前から行っていた仕事や活動に制限はない状態である。2発症以前から行っていた仕事や活動に制限はあるが、日常生活は自立している状態である。3買い物や公共交通機関を利用した外出などには介助を必要とするが、通常歩行、食事、身だしなみの維持、トイレなどには介助を必要としない状態である。4通常歩行、食事、身だしなみの維持、トイレなどには介助を必要とするが、持続的な介護は必要としない状態である。5常に誰かの介助を必要とする状態である。●視力・視野障害下記の尺度を用いて、中等症以上に該当する患者を対象とする。軽症 :1中等症:2重症 :3~4判定に当たっては、矯正視力、視野ともに良好な眼の測定値を用いる。1矯正視力0.7以上かつ視野狭窄なし2矯正視力0.7以上、視野狭窄あり3矯正視力0.2~0.74矯正視力0.2未満3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■脳(頭蓋内)症状てんかん発作を抑制し、精神運動発達障害を未然に防ぐ必要がある。まず、抗てんかん薬による治療が行われ、約50%の症例で効果が認められる。しかし、残りの約50%は、抗てんかん薬でコントロール不良であり、外科的治療が考慮される。広範囲に病変がある症例、すなわち半球性および両側性の軟膜血管腫を持つ症例は、内科的治療でのてんかん発作とそれによる精神運動発達障害が回避できないので、早期の脳梁離断術、多脳葉切除(離断)術、迷走神経刺激療法などが考慮される。しかし、術後には運動麻痺、視野欠損、言語障害といった副作用が十分起こりうる。患児の脳可塑性に期待しなければならないことも多い。部分的な軟膜血管腫を持つ症例は、手術適応の判断が困難であるが、早期手術のほうが術後の発達改善効果は高いので、判断を先延ばしにしてはならない。1歳までが手術治療の適応を決める最初のポイントになる。■皮膚症状顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)に伴う外見上の問題は、内面的な苦痛を生み出しQOLの著しい低下を招いている。1980年代からPDL(flashlamp pumped-pulsed dye laser)が使用されてきた。しかし、施術後の浮腫や色調の残存から、患者のニーズに十分応えられていない。1990年代後半、皮膚冷却を装備したパルス可変式のレーザー機器が開発され、深部の血管および血管径が大きい血管への治療が可能になった。■眼症状眼圧を下げるために点眼薬をまず使用する。効果が乏しいときは、隅角切開術や線維柱帯切開術が行われる。4 今後の展望皮膚と脳組織からGNAQ遺伝子の異常が証明されたので、血液検査のみでGNAQ遺伝子異常を検出可能か否かが、今後の検討課題となる。すなわち、血液で診断ができれば、早期発見・早期介入さらに出生前診断へと展望が開けてくる。この点を踏まえて厚生労働省関係3班を中心に多施設共同の臨床研究が開始された。また、脳(頭蓋内)症状に対する外科的治療をどう選択するか、顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)に対するレーザー治療をいかに有効に施術していくのかなど、治療にはまだまだ難渋している。5 主たる診療科皮膚科、小児科、脳外科、形成外科6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療・研究に関する情報難病情報センター スタージ・ウェーバー症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)希少疾患患者情報登録システム(J-RARE)※現在、「J-RARE」という希少疾患患者情報登録システムが開設され、本症の登録に向けて準備が進んでいる(2017年10月現在未登録)。患者会情報スタージ・ウェーバー家族会(患者とその家族の会)1)Shirley MD, et al. New Engl J Med. 2013;368:1971-1979.公開履歴初回2017年10月10日

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うつ病になりやすい性格

 3つの性格特性、神経症(neuroticism)の傾向、外向性(extraversion)、適度な誠実性(conscientiousnes)の相互の影響が、健常な人々の抑うつ症状を予測している。この効果が、引きこもり(withdrawal)、勤勉(industriousness)、熱意(enthusiasm)といった3つの低次特性によって引き起こされるかを、米国・Centre for Addiction and Mental HealthのTimothy A. Allen氏らが検討し、この相互の影響を臨床集団内で初めて複製した。Journal of personality誌オンライン版2017年9月16日号の報告。 対象は、健常成人376例(サンプル1)、うつ病患者354例(サンプル2)。性格および抑うつ傾向の測定には、サンプル1においてはBig Five Aspect ScalesとPersonality Inventory for DSM-5を用い、サンプル2においてはNEO-PI-RとBeck Depression Inventory-IIを用いた。 主な結果は以下のとおり。・引きこもり、勤勉、熱意が相互に影響を及ぼし、両サンプルの抑うつ傾向を予測した。・相互パターンは、「3つの中で最良の2つ」の原則を支持していた。すなわち、2つの特性における低リスクスコアで、残る1つの高リスクスコアを防ぐことが示唆された。・また、「3つの中で最悪の2つ」の原則も存在し、2つの高リスクスコアは、3つすべてが高リスクスコアの場合と同等の抑うつ症状重症度との関連が認められた。 著者らは「これらの結果は、精神病理学における性格特性の相互効果を調査することの重要性を示唆している」としている。■関連記事痩せるだけでうつは軽減するうつ病患者の多い診療科はどこかたった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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LDL-Cが低い人でもスタチンは有用か

 LDLコレステロール(LDL-C)の管理とスタチン治療戦略に関する推奨は、ガイドラインによって異なる。国立国際医療研究センターの辻本 哲郎氏らの前向きコホート研究の結果、スタチン治療はLDL-C値が低い場合も高リスク患者の全死亡率を下げるために有効であることが示唆された。The American Journal of Cardiology誌オンライン版2017年8月30日号に掲載。 著者らは、1999~2010年の米国における国民健康・栄養調査のデータを使用して前向きコホート研究を実施した。全死亡・心血管死亡・非心血管死亡について、Cox比例ハザードモデルを用いて無調整および多変量調整後のハザード比(HR)を調べた。年齢、性別、人種と民族、学歴、喫煙状況、BMI、心血管疾患とがんの既往歴、糖尿病、高血圧、LDL-C値、HDL-C値、トリグリセライド値(対数変換)、eGFR値、微量アルブミン尿の有無で調整した。本研究は、心血管疾患リスクが高い患者で、LDL-C値が120mg/dL未満(平均88.7mg/dL)の1,500例を対象とし、99%の患者がフォローアップを完了した。 主な結果は以下のとおり。・多変量Cox比例ハザードモデルによると、全死亡率はスタチン投与群が非投与群より有意に低かった(HR:0.62、95%CI:0.45~0.85、p=0.004)。・傾向スコアでマッチさせた患者およびLDL-C値100mg/dl未満(平均78.6mg/dL)の患者に限定した解析でも、同様の結果であった。・スタチン投与患者における全死亡率について、LDL-C値70mg/dL未満の患者が70~120mg/dLの患者より低いということはなかった(HR:1.27、95%CI:0.76~2.10、p=0.35)。(2017年10月10日10:37 タイトルおよび本文を一部訂正いたしました)

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乾癬患者はアルコール関連死亡リスクが高い

 乾癬と診断された人々は早期死亡のリスクが高いが、その根底にある原因はわかっていない。英国・マンチェスター大学のRosa Parisi氏らは、集団ベースのコホート研究において、乾癬を有する人々は、同じ年齢および性別の一般集団と比較し、アルコールが関連した原因により死亡するリスクが約1.6倍になることを明らかにした。このことは、早期死亡率の差の鍵を握る1つの原因であると思われ、著者は「乾癬患者に対しては、一次および二次医療のいずれにおいても、飲酒習慣スクリーニングテスト(Alcohol Use Disorders Identification Test:AUDIT-C)を用いアルコール消費および乱用についてルーティンにスクリーニングを行い、リスクの高い患者の特定と治療が必要である」と指摘している。JAMA Dermatology誌オンライン版2017年9月15日号掲載の報告。 研究グループは、臨床診療研究データリンク(Clinical Practice Research Datalink:CPRD)、ならびに英国の病院データ(Hospital Episode Statistics:HES)および国家統計局(Office for National Statistics:ONS)の死亡記録を用い、乾癬患者はアルコール関連死亡のリスクが高いかどうかを調査した。上記データから、1998~2014年における18歳以上の乾癬患者、および乾癬患者と年齢・性別・一般診療をマッチさせた乾癬のない患者を特定し、アルコール関連死亡について解析した。 アルコール関連死亡の原因別ハザード比は、層別化Cox比例ハザードモデルを用いて、社会経済的状態を補正し算出した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、乾癬患者5万5,537例、非乾癬患者(対照)85万4,314例であった。・指標日の年齢中央値(四分位範囲)は47(27)歳、全体の44.9%(40万8,230例)は男性であった。・追跡期間中央値(四分位範囲)4.4(6.2)年において、アルコール関連死亡頻度は、乾癬患者群4.8/1万人年(95%信頼区間[CI]:4.1~5.6、152例)、対照群2.5/1万人年(95%CI:2.4~2.7、1,118例)であった。・乾癬患者群におけるアルコール関連死亡のハザード比は1.58(95%CI:1.31~1.91)で、主な原因はアルコール性肝疾患(65.1%)、肝線維化および肝硬変(23.7%)、アルコールによる精神および行動障害(7.9%)であった。

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結膜にタトゥーをしたら眼球を突き破ってしまった【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第100回

結膜にタトゥーをしたら眼球を突き破ってしまった 図.結膜にタトゥーをするとこんな感じになる素材Goodよりイラスト使用、作製 今回は、記念すべき連載100回目です。そんなときも、いつものように淡々と“おどろき”論文を紹介し続けるのが私。(`・ω・´)キリッ!さて、若者の間ではワンポイントタトゥーみたいなものがはやっていますが、私の常識とはかけ離れたタトゥーが存在するようです。その名も結膜タトゥー。結膜全体に色を付けるもの(図)や、一部の結膜に星形やハート形のワンポイントアクセントを施すものなど、いろいろあるそうです。いやいや、どうやって処置するの、コレ! 痛くてムリじゃないんですか!? Cruz NF, et al.Conjunctival Tattoo With Inadvertent Globe Penetration and Associated Complications.Cornea. 2017;36:625-627.これは、結膜タトゥーによって起こった悲劇的な症例報告です。25歳の女性が、美容目的で結膜タトゥーを入れる手術を受けました。その後、重度の眼痛と視野障害が出現。細隙灯で観察すると、結膜全体に黒色の沈着物があり、これが角膜、前房隅角、虹彩、水晶体前嚢にまで到達していました。つまり、処置中に眼を突き破ってしまったんですね。あちゃー。これにより前部ぶどう膜炎を起こし、さらには続発性の緑内障を併発してしまいました。さすがに手術をして異物を取り除かねば、治る余地はなかったようです。しかし、手術を受けてから3ヵ月を経過しても、まだ合併症に対する治療は継続されており、後遺症が現れる可能性が高いと記載されています。ブルブル。皆さん、眼球の表面にタトゥーを入れたくなっても、我慢しましょうね!インデックスページへ戻る

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医師から情報提供あったのは約2割~遺伝性乳がん・卵巣がん

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長:マーク・デュノワイエ)は、9月最終週の「遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)啓発週間」に合わせて、乳がん・卵巣がん患者を対象にHBOC関連情報へのニーズと情報の入手状況についての調査を実施。その結果、患者の6割以上は診療時に医師からHBOCの情報を得たいと思っていたにもかかわらず、実際に情報を得ることができたと回答したのは約2割に留まっていることが明らかとなった。 HBOCは、乳がん・卵巣がん患者の約5~10%を占め、BRCA1あるいは BRCA2というがん抑制遺伝子の生まれつきの変異が原因で発症する「遺伝性腫瘍」。BRCA1/2遺伝子の変異は、親から子へ、性別に関係なく50%の確率で受け継がれる。HBOCでは、乳がんと卵巣がんの両方の発症、乳がんの若年発症やトリプルネガティブ乳がん、両方の乳房での発症や片方に複数回発症するという特徴が報告されている。BRCA1/2遺伝子変異を持つ場合、乳がんの発症率が6~12倍、卵巣がんの発症率が8~60倍高いといわれており、発症前に正しくリスクを認識するため、そしてより良い治療を選択するためには、HBOCに対する十分な理解が必要となっている。患者は医師からの情報提供を望むも、主な認知経路はテレビやネット 調査は、乳がんまたは卵巣がんを治療中、もしくは治療経験のある計154人を対象に、2017年9月にオンラインで実施された。乳がん・卵巣がんの治療中に、医師からどのような情報提供をしてほしい(ほしかった)かという問いに対し、「遺伝性かどうかについて」は62.3%、「自分以外の血縁者への遺伝リスクについて」は53.9%と、それぞれ過半数が医師から情報提供をしてほしいと思っていることがわかった。一方で、「医師から遺伝性かどうかについて説明があった」と回答したのは22.1%。「自分以外の血縁者への遺伝リスクについて説明があった」と回答したのは29.2%に留まった。 HBOCについてどんな情報源を通じて知ったかという問いに対しては、テレビ・ラジオが64.2%と最も多く、次いでインターネットが43.3%であった。医師は26.9%に留まり、新聞・雑誌と並ぶという結果となっている。約6割がさらに詳しい情報を知りたいと回答 血縁者の中に、「乳がん・卵巣がん・前立腺がん」の診断を受けたことがある人がいるかという問いに対しては、第一度近親者(父母、きょうだい、子供)で100%、 第二度近親者(祖父母、おじ、おば、めい、孫)で96.4%、 第三度近親者(曾祖父母、大おじ、大おば、いとこ、おい・めいの子供、曾孫)で71.6%ががん診断歴を認識しており、自身の「がん家族歴」についての把握度は高いことがわかった。 また、調査を通じてHBOCについて説明を受けたことで、「自分の子供など親族のことが心配になった」(33.1%)、「自分の乳がん・卵巣がんが遺伝性なのか知りたいと思った」(27.3%)など、 自身のがんとHBOCとの関連性を意識した回答者は63%に上ることが明らかになった。そのうえで、今後さらにHBOCについて「知りたい」と回答した乳がん・卵巣がん患者は58.4%に上り、さらなる情報提供へのニーズが明らかとなっている。■参考アストラゼネカ株式会社プレスリリース

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ランジオロールの心臓手術後AF抑制作用

 ランジオロールは、心臓手術後1週間以内の心房細動(AF)発症を抑制することが、高知医科大学の田村 貴彦氏らによる研究で明らかになった。また、ランジオロール非投与群と比較して、院内死亡率および合併症発症率に有意な差は認められなかった。Journal of Clinical Anesthesia誌2017年11月号(オンライン版2017年7月21日号)の報告。 AFは、心臓手術後の死亡率と関連している。そして、術後AFの抑制にはランジオロールが有用であるという研究結果がいくつか報告されている。そのため、著者らは、低用量のランジオロールが有効性と安全性のバランス面で有用であるかどうかを調査した。 PubMed、Cochrane library、医中誌WEBで、心臓手術後におけるランジオロールのAF抑制作用を検討したランダム化比較試験を検索した。571例の患者を対象とした6件のランダム化比較試験を抽出し、メタアナリシスを実施した。主要評価項目は術後AFの発生率、副次的評価項目は院内死亡率および合併症発症率とした。 主な結果は以下のとおり。・手術後1週間以内のAF発生率は、ランジオロール投与群において、非投与群より有意に低かった(オッズ比 0.27、95%CI 0.18~0.42、p<0.001)。・6件の研究のうち3件で院内死亡率および合併症発症率について検討されたが、ランジオロール投与群および非投与群の間に有意な差は認められなかった。 院内死亡率:0.7% vs.3.0%、オッズ比 0.45、95%CI 0.07~2.74、p=0.39 合併症発症率:4.5% vs.9.7%、オッズ比 0.45、95%CI 0.16~1.23、p=0.12

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ARDSへの肺リクルートメント手技+PEEP最適化、その意義は?/JAMA

 中等症~重症の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者において、肺リクルートメント手技+呼気終末陽圧(PEEP)の最適化は、従来の低PEEP管理と比較し、28日死亡率が有意に増加することが明らかにされた。ブラジル・HCor Research InstituteのAlexandre Biasi Cavalcanti氏らによる多施設共同無作為化臨床試験(Alveolar Recruitment for ARDS Trial:ART)の結果で、著者は「これらの患者では肺リクルートメント手技+PEEP最適化のルーチン使用は推奨されない」と述べている。ARDS患者において、肺リクルートメント手技+PEEP最適化が臨床アウトカムに与える影響は、これまで不明であった。JAMA誌オンライン版2017年9月27日号掲載の報告。中等症~重症ARDS患者約1,000例で、28日死亡率を評価 研究グループは2011年11月17日~2017年4月25日に、9ヵ国の集中治療室(ICU)120ヵ所における、発症後72時間以内かつ人工呼吸器管理中の中等症~重症ARDS患者1,010例を登録し、肺リクルートメント手技(一時的に気道内圧を高圧にして虚脱した肺胞を再開通させる)+最良の呼吸器系コンプライアンスに従ったPEEP最適化による実験的戦略(実験)群(501例)と、ARDSNetで推奨される低PEEP戦略を受ける対照群(509例)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。他の呼吸器設定は統一され、全患者は人工呼吸器離脱まで従量式補助/調節換気(A/C)モードを受けた。 主要アウトカムは28日間の全死因死亡率、副次アウトカムはICU在室期間、在院日数、28日間で人工呼吸器が未使用だった期間、7日以内のドレナージを要した気胸、7日以内の圧外傷、ICU死亡率、院内死亡率、6ヵ月死亡率とした。統計には、Cox比例ハザードモデルを用いてintention-to-treat解析が実施された。実験群で28日死亡率、6ヵ月死亡率、気胸・圧外傷リスクが増加 登録された1,010例の患者背景は、女性37.5%、平均(±SD)年齢50.9(±17.4)歳であった。 28日時点において、実験群で501例中277例(55.3%)、対照群で509例中251例(49.3%)が死亡した(ハザード比[HR]:1.20、95%信頼区間[CI]:1.01~1.42、p=0.041)。対照群と比較して実験群では、6ヵ月死亡率の増加(65.3% vs.59.9%、HR:1.18、95%CI:1.01~1.38、p=0.04)、人工呼吸器未使用期間平均日数の減少(5.3 vs.6.4、群間差:-1.1、95%CI:-2.1~-0.1、p=0.03)、ドレナージを要した気胸リスクの増加(3.2% vs.1.2%、群間差:2.0%、95%CI:0.0%~4.0%、p=0.03)、および圧外傷リスクの増加(5.6% vs.1.6%、群間差:4.0%、95%CI:1.5%~6.5%、p=0.001)が認められた。ICU在室期間、在院日数、ICU死亡率および院内死亡率は、両群で有意差は認められなかった。

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脳卒中急性期にルーチンの酸素投与は有益か?/JAMA

 低酸素血症のない脳卒中(脳梗塞、脳内出血、一過性脳虚血発作)急性期の患者に対する低用量酸素の予防的投与は、3ヵ月後の死亡または障害を減少しないことが示された。英国・キール大学のChristine Roffe氏らによる、多施設共同無作為化単盲検臨床試験「SO2S試験」(The Stroke Oxygen Study)の結果で、「これらの患者では低用量酸素療法を支持しない結果が示された」と報告している。低酸素血症は、急性脳卒中発症後の最初の数日間に生じることが多く、しばしば間欠的であったり検出されないことがある。酸素投与は、低酸素症や二次的神経機能低下を予防することによって回復を促す可能性がある一方、有害事象が生じる可能性もあった。JAMA誌2017年9月26日号掲載の報告。約8千例で、持続的酸素投与、夜間酸素投与、必要時酸素投与の機能的転帰を比較 研究グループは、ルーチンの予防的低用量酸素投与が必要時の酸素投与より90日時点の死亡や障害を減らすのか、また、低酸素症の頻度が最も高くリハビリテーションへの影響が最も少ないと思われる夜間のみの酸素投与が、持続的酸素投与よりも有効かを評価する目的で、英国136施設において単盲検無作為化比較試験を行った。 対象は、入院後24時間以内で、酸素療法の明確な適応がないまたは禁忌ではない成人急性脳卒中患者8,003例。持続的酸素投与(72時間)群、夜間酸素投与(21時~7時、3日間)群および対照群(臨床的適応がある場合のみ酸素投与)に、1対1対1の割合で無作為に割り付け(それぞれ2,668例、2,667例、2,668例)、ベースラインの酸素飽和度が93%以下の場合は3L/分、94%以上の場合は2L/分で、経鼻チューブにより酸素投与を行った(登録開始日2008年4月24日、最終追跡調査日2015年1月27日)。 主要アウトカムは、90日時点の修正Rankinスケールスコア(mRS、0[症状なし]~6[死亡]、臨床的に意義のある最小変化量は1)とし、質問票を郵送して評価を実施した(被験者は非盲検、評価者は盲検)。mRSは、順序ロジスティック回帰分析を用いて、障害度が1レベル改善する共通オッズ比(OR)を算出し、ORが1より大きい場合は障害の改善を意味した。持続+夜間投与 vs.必要時投与、持続投与 vs.夜間投与、いずれも有意差なし 登録された8,003例の患者背景は男性4,398例(55%)、平均(±SD)年齢72(±13)歳、National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)スコア中央値5、ベースラインの平均酸素飽和度96.6%であった。 主要アウトカムについて回答が得られた患者は7,677例(96%)であった。未補正OR(順序ロジスティック回帰解析で算出)は、酸素投与群(持続投与群+夜間投与群) vs.対照群で0.97(95%信頼[CI]:0.89~1.05、p=0.47)、持続投与群 vs.夜間投与群は1.03(95%CI:0.93~1.13、p=0.61)であった。酸素療法が有益なサブグループも特定されなかった。 また、1件以上の重篤な有害事象が発現した被験者は、持続投与群348例(13.0%)、夜間投与群294例(11.0%)、対照群322例(12.1%)で、重大な有害性は認められなかった。 なお著者は、アドヒアランス不良の影響や、集中治療室を除き酸素投与の完全なアドヒアランスを得るのは難しいこと、主要アウトカムの評価が郵送の質問票によって実施されていることなどを研究の限界として挙げている。

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ニボルマブ、既治療胃がんに良好な効果持続(ATTRACTION-02アップデート)/ESMO2017

 2レジメン以上に抵抗性を示した進行胃・胃食道接合部(G/GEJ)がんの予後は不良である。これらのがんにおいては、ニボルマブなどのPD-1阻害薬の効果が期待される。ATTRACTION-02は、上記患者において、日本、韓国、台湾で行われたニボルマブの第III相試験である。スペイン・マドリードで行われた欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017 Congress)では、同試験の追跡結果とPD-L1発現レベルによる有効性について、国立がん研究センター中央病院の朴成和が発表した。 ATTRACTION-02試験では、2レジメン以上の化学療法に抵抗性を示した20歳以上の切除不能の進行・再発G/GEJがん493例を、ニボルマブ3mg/kg(n=330)またはプラセボ(n=163)に2:1に無作為化し行われた。主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)などの有効および安全性であった。また、探索的研究として、腫瘍細胞サンプルが得られた患者に対して、28-8pharmDxアッセイを用いて、腫瘍細胞のPD-L1発現による評価を後ろ向きに行った。 KangらによりASCO-GI 2017で発表された一次解析の結果は、追跡期間8.9ヵ月において、ニボルマブ群のOSは5.3ヵ月、プラセボ群は4.1ヵ月であった(HR:0.63、95%CI:0.51~0.78、p<0.0001)。今回は追跡期間中央値15.7ヵ月(12.1~27.2)の情報を発表した。結果、OSはニボルマブ群5.3ヵ月、プラセボ群4.1ヵ月、1年OS率はニボルマブ群27%、プラセボ群12%と、一次解析と同様ニボルマブ群で有意にOSを改善した(HR:0.62、95%CI:0.50~0.76、p<0.0001)。ORRは、ニボルマブ群12%、プラセボ群0%であった(p<0.0001)であった。 PD-L1発現別のOSをみると、PD-L1発現1%未満の症例では、ニボルマブ群では6.1ヵ月、プラセボ群では4.2ヵ月であった(HR:0.71、95%CI:0.50~1.01)。PD‐L1発現1%以上の症例では、ニボルマブ群5.2ヵ月、プラセボ群3.8ヵ月であり(HR:0.58、95%CI:0.24~1.38)、PD-L1発現の程度にかかわらずニボルマブの効果がみられた。全Gradeの有害事象(AE)は、ニボルマブ群の43%、プラセボ群の27%で発現した。ニボルマブの免疫関連AE(irAE)については、ほとんどがGrade1~2であり、その多くは治療後 3ヵ月以内に発現していた。また、Grade3以上のirAE発現率は2%以下で、その多くは治療後6ヵ月以内に発現し、時間経過とともに発現率は低下した。 今回発表された1年以上の追跡においても、進行G/GEJがん患者におけるニボルマブの長期生存ベネフィットが確認された。■参考ATTRACTION-02/ONO-4538-12試験(ClinicalTrials.gov)ASCO-GI 2017 Abstract■関連記事ニボルマブ 標準治療不応の胃がんに良好な効果(ONO-4538-12試験)/ASCO-GI 2017

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米国でのCEA・CASの実施率とアウトカムの推移/JAMA

 米国で1999~2014年にかけて、頸動脈内膜剥離術(CEA)の実施率は継続的に減少した一方、頸動脈ステント留置術(CAS)の実施率は、1999~2006年にかけていったん増加し、その後2007~14年にかけて減少していたことが明らかにされた。術後アウトカムについては、血管リスク因子が増加したにもかかわらず、いずれも改善が認められた。米国・イェール大学のJudith H. Lichtman氏らが、同国のメディケア受給者の動向について調べた結果で、JAMA誌2017年9月19日号で発表した。 血行再建率、入院死亡率、30日脳卒中などを評価 研究グループは1999~2014年の65歳以上のメディケア出来高払いプラン受給者について、メディケア入院・共通特性ファイルを用いて連続的横断分析を行い、頸動脈内膜剥離術と頸動脈ステント留置術施行の全米の傾向について調査した。 年齢・性別・人種を補正した混合モデルを用いて、各郡特異的リスク標準化血行再建率を算出した。混合モデルにより、人口統計学的属性や併存疾患、症状の状態について補正後のアウトカムの傾向の評価を行った。 主要評価項目は、出来高払い受給者10万人年(以下、10万人年)ごとの血行再建率、入院死亡率、30日脳卒中・死亡、30日脳卒中・心筋梗塞・死亡、30日総死亡、1年脳卒中のいずれも発生率だった。術後30日虚血性脳卒中・死亡率は頸動脈内膜剥離術で年率2.90%減少 試験期間中、頸動脈内膜剥離術を受けたのは93万7,111例で、平均年齢は75.8歳、うち女性は43%だった。一方、頸動脈ステント留置術を受けたのは23万1,077人で、平均年齢は75.4歳、うち女性は49%だった。 1999年に頸動脈内膜剥離術を受けたのは8万1,306例だったのに対し、2014年は3万6,325例で、同実施率は1999~2000年の298/10万人年から2013~14年の128/10万人年へと有意に減少した(p<0.001)。 一方、頸動脈ステント留置術を受けたのは、1999年の1万416例から2006年の2万2,865例と、同実施率は1999~2000年の40/10万人年から2005~06年の75/10万人年へと有意に増加した(p<0.001)。しかし、その後2014年までに、同実施率は38/10万人年へと有意に減少した(p<0.001)。 また、頸動脈内膜剥離術や頸動脈ステント留置術を行った患者の高血圧罹患率が、それぞれ67%から81%、61から70%に増加するなど、血管リスク因子が増加し、さらに症候性の患者の割合が増えていたが、アウトカムについては改善が認められた。 頸動脈内膜剥離術の術後30日以内の虚血性脳卒中発症率または死亡率の補正後年間減少率は、2.90%(95%信頼区間[CI]:2.63~3.18)、頸動脈ステント留置術の同減少率は1.13%(同:0.71~1.54)だった。1999~2014年にかけて、頸動脈内膜剥離術について同発症率の絶対的減少が認められたものの、頸動脈ステント留置術では認められなかった。 術後1年の虚血性脳卒中発症率も減少し、頸動脈内膜剥離術では補正後年間減少率は2.17%(95%CI:2.00~2.34)、頸動脈ステント留置術では1.86%(同:1.45~2.26)だった。院内死亡率や術後30日脳卒中・心筋梗塞・死亡率、30日総死亡率などについても、改善が認められた。

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ニボルマブ、進行・再発胃がんに国内承認

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良暁)とブリストル・マイヤーズスクイブ社(NYSE:BMY)は2017年9月22日、抗PD-1モノクローナル抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)が、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」に対する国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したと発表。 ニボルマブは、標準治療に不応又は不耐の切除不能な進行又は再発胃がん(食道胃接合部がんを含む)患者を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験(ONO-4538-12/ATTRACTION-2試験)において、世界で初めて全生存期間(OS)の延長を示した。同試験の主要評価項目であるOS(中央値)は、オプジーボ群で5.26ヵ月(4.60~6.37)と、プラセボ群の4.14ヵ月(3.42~4.86)に対して統計学的に有意な延長を示した(HR:0.63、95%CI:0.51~0.78、p<0.0001)。12ヵ月OS率は、オプジーボ群で26.2%、プラセボ群で10.9%であった。Grade3以上の薬剤に関連有害事象(AE)は、オプジーボ群11.5%、プラセボ群5.6%で発現した。薬剤に関連AE(グレードを問わず)により、オプジーボ群2.7%、プラセボ群2.5%で治験薬の投与が中止された。■参考小野薬品工業株式会社ニュースリリースONO-4538-12/ATTRACTION-2試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ニボルマブ 標準治療不応の胃がんに良好な効果(ONO-4538-12 試験)/ASCO-GI 2017

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