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オラパリブの乳がんコンパニオン診断プログラムが国内承認

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム)は3月29日、ミリアド ジェネティック ラボラトリーズ,インク(本社:アメリカ合衆国ユタ州ソルトレークシティ)が、オラパリブ(商品名:リムパーザ)の乳がん患者への適応判定のコンパニオン診断プログラムとして、「BRACAnalysis診断システム」の外国製造医療機器としての国内における製造販売承認を取得したと発表。オラパリブの「BRCA遺伝子変異陽性の手術不能または再発乳がん」の適応については、アストラゼネカが国内承認申請中。 BRACAnalysis診断システムは、患者から採取した全血検体を用いてBRCA1またはBRCA2遺伝子のバリアントを検出する。検出されたバリアントは、「病的変異」、「病的変異疑い」、「臨床的意義不明のバリアント(VUS)」、「遺伝子多型の可能性」または「遺伝子多型」の5つのカテゴリーのいずれかに分類された後、医療従事者宛に判定結果が送付される。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第44回

第44回:CKD(慢性腎臓病)の評価方法監修:表題翻訳プロジェクト監訳チーム 2002 年に米国で提唱されたChronic Kidney Disease(慢性腎臓病:CKD)の概念は、現在、世界中に普及し、日常の外来でも多く遭遇します。厚生労働省「平成26年患者調査の概況」によると、国内のCKD総患者数は29万6,000人(男性18万5,000人、女性11万人)とされています。 今回は、CKDの検出や初期評価に関してまとめましたので、参考にしてみて下さい。なお、国内では「CKD診療ガイド」1)や「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン」2)が上梓されています。この機会にぜひ併せてご覧ください。 以下、American family physician 2017年12月15日号3)より【CKD定義・重症度分類】本邦指針では、下記の定義が定められている1)。(1)尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか。とくに、0.15 g/gCr 以上の蛋白尿(30 mg/gCr 以上のAlb尿)の存在が重要(2)GFR<60 mL/分/1.73 m2(1)、(2)のいずれか、または両方が3 ヵ月以上持続する。CKDの重症度分類に関しては、2012年KDIGO(Kidney Disease Improving Global Outcomes)において、従来の糸球体濾過量(GFR)のみによる病期分類がGFR と尿蛋白Alb尿を組合せた形式となり、著聞されている通りです。【CKD評価時のClinical recommendation】CKD評価時のClinical recommendationとしては、下記の項目が挙げられている。なお、Evidence RatingはいずれもC(=consensus, disease oriented evidence, usual practice, expert opinion, or case series)である。GFRの初期評価には、血清Cre値と血清Cre値を用いたeGFRを用いるべきである。CKD患者の初期評価における早朝スポット尿のAlb/Cre比は、タンパク尿評価よりも好ましい。血中シスタチンCは、血清Cre値が上昇しているが、既知のCKD、危険因子、Alb尿症も有しない患者において、GFRの減少が偽陽性かどうかを決めるときに測定すべきである。CKDは、eGFRおよびAlb尿症の程度を用いて分類されるべきである。CKDを有する患者は、少なくとも年一回、血清Hb値を測定すべきであり、CKDの重症度でその頻度を増す。骨密度のルーチン評価は、結果が不正確である可能性があるため、eGFR<45mL /分/1.73m2の患者では行わない。ステージ3a~5の CKD(eGFR<45mL /分/1.73m2)の患者評価には、血清Ca、P、副甲状腺ホルモン、ALPおよび25‐ヒドロキシビタミンD値の測定が含まれるべきである。【CKDを疑う際の初期診断アプローチ】下記の表を参考に、CKDのリスクや病因を評価する。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 社団法人 日本腎臓学会編「CKD診療ガイド2012」 2) 社団法人 日本腎臓学会編「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013」 3) Gaitonde DY, et al. Am Fam Physician. 2017 Dec 15.

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日本のPCI患者のDAPT期間。リアルワールドでは6ヵ月?/日本循環器学会

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)における適正な抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の適正な期間は明らかになっていない。福岡山王病院 循環器センターの横井宏佳氏が、2018年3月23〜25日に大阪で開催された第82回日本循環器学会学術集会Late Breaking Cohort Studiesにて、リアルワールドデータを解析した日本人患者のDAPT継続期間とアウトカムの疫学研究を発表した。 この研究では、多数のDPC病院から成る、メディカルデータビジョン社のデータベースソースを使用した。2012年4月〜2013年6月までに登録された614万以上のデータのうちCADの診断がついた34万例以上から、登録基準に合致した7,473例が解析対象になった DAPT継続している患者の割合は、6ヵ月で63.4%、12ヵ月で41.9%であった。3ヵ月ランドマーク解析による虚血イベント(死亡、心筋梗塞、脳卒中)は、DAPT継続3ヵ月未満17.8%、3ヵ月以上9.7%であった(p=0.001)。6ヵ月ランドマーク解析による虚血イベントは、DAPT継続6ヵ月未満17.8%、6ヵ月以上9.7%であった(p=0.002)。12ヵ月ランドマーク解析による虚血イベントは、DAPT継続12ヵ月未満8.1%、12ヵ月以上5.9%であった(p=0.242)。継続期間6ヵ月まではShort DAPTよりもLong DAPTで有意にイベントが少ないという結果となった。

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簡単な便秘対策は、トイレを我慢しない

 2018年3月27日、株式会社ツムラ後援による第4回Kampo Academiaプレスセミナーが都内において開催された。今回のテーマは「便秘における漢方薬の再認識」。セミナーでは、日常診療で見過ごされやすい便秘の機序、影響、治療での漢方薬の役割、対策についてレクチャーが行われた。思い当たる? 7~8人に1人は便秘症状 セミナーでは、中島 淳氏(横浜市立大学大学院医学研究科 肝胆膵消化器病学教室 主任教授)を講師に迎え、「~腸内環境は気になるけれど、“たかが便秘”と自己流の対策で悪化させていませんか?~便秘における漢方薬の再認識」をテーマに講演が行われた。 便秘の中でも、慢性の便秘は日本人の7~8人に1人は症状があるとされている(厚生労働省「平成25年(2013年)国民生活基礎調査」)。 そして、便秘とは、「排便回数の減少」と「排便困難症」が相まった病態であるとされ、ホルモンの関係から患者は女性で圧倒的に多い(ただし高齢になるにつれ性差は縮小)。長期間にわたり罹患し、治癒することは難しいとされる。その原因として、一番問題となるのは「便意の我慢」であり、そのほか間違えたダイエットや加齢による大腸運動の低下、薬剤によるものなどがあるという。 便秘が日常生活に及ぼす影響として、放置により疾患の原因となる可能性があり、便秘が続くと腸内環境はどんどん悪化する。また、便秘はQOLを下げるので、日常活動性や労働生産性の低下を招き、職場の欠勤率を上昇させるという報告もある。 慢性便秘症の分類には、「便秘型IBS」「機能性便秘」「薬剤性便秘」「症候性便秘」「器質性便秘」の5つがあり、薬剤性では抗うつ薬や抗コリン薬など、症候性では糖尿病、パーキンソン病など、器質性では大腸がん、炎症性腸疾患などに、とくに注意が必要だという。患者が満足する便秘治療とは 便秘の治療としては、かかりつけ医、消化器内科、胃腸科、肛門科、内科が主診療科となるが、「医療者の意識改革も必要であり、便秘の治療では、単に排便ができるようになるだけでなく、患者満足度の高い治療を行うことが重要」と中島氏は指摘する。たとえば、刺激性下剤により排便がされたとしても、水様便で下痢のままでは、患者満足度は低いままである。そうならないためには、「完全排便を目指す」「便形状の正常化(ブリストルスケールで“4”)」「初診で刺激性下剤を出さない」の3点に加え、便形状の聞き取りなどの外来でのフォローが重要だという。 現在、便秘で処方される治療薬としては、緩下剤(便をやわらかくし、排便促進作用)、刺激性下剤(腸を刺激し、強制的に排便させる作用)、漢方薬(体質や症状に合わせて選択できる)の3種類がある。緩下剤では、酸化マグネシウムがわが国では広く処方されているが、高マグネシウム血症への注意や併用注意薬の多さが短所であり、刺激性下剤であるセンノシドなどでは、連用することで習慣性、依存性が生じ、効果が低下することが指摘されている(海外では頓用で使用される)。 その点、漢方薬は、患者の安心感が高く、作用の強弱が選択でき、便秘周辺症状(腹部膨満など)にも対応できることで最近見直されているという。 具体的には、「大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)」「麻子仁丸(マシニンガン)」「潤腸湯(ジュンチョウトウ)」「桂枝加芍薬大黄湯(ケイシカシャクヤクダイオウトウ)」「防風通聖散(ボウフウツウショウサン)」「大建中湯(ダイケンチュウトウ)」の6種類が、便秘の治療で使われる代表的な漢方薬である。 各漢方薬の特徴として、次の点が挙げられる。「大黄甘草湯」は、比較的作用が強くエビデンスもあるが、高齢者には注意が必要である。「麻子仁丸」は、高齢者に適している。「潤腸湯」は効果がマイルドで軽症から中等症の患者や高齢者に適している。「桂枝加芍薬大黄湯」は、腹部膨満感や腹痛、ガス排出など便秘周辺症状にも効果がある。「防風通聖散」は、作用が弱いもののゆっくりと効果を発揮し、中高年に適している。「大建中湯」は、作用が弱いものの、下腹部の重さ、痛みなどの便秘周辺症状にも適している。「このように多種の漢方薬をうまく使いこなすことで、患者のさまざまな訴えに対応することができる。ただし、妊婦、産婦、授乳婦への投与について安全性が確立されていないので処方には慎重な判断が必要」と、同氏は注意を促す。便秘対策は生活習慣の改善と排便姿勢から 便秘対策としては、食物繊維・運動・水分不足といった生活習慣の是正が重要であり、子供のころからトイレを我慢しない行動も大事だという。また、排便の姿勢について、和式トイレのしゃがんだ姿勢が理想だが、洋式トイレが主流の現代では、前かがみ35度の前傾姿勢で排便するのが望ましいとしている。 まとめとして同氏は、「患者の半分以上が便秘治療に不満足の今、満足度の向上が必要である。自己流ではなく自分に適した対策のため、便秘は放置せずに医師に相談する。漢方薬を服用する際は、正しく理解して服用し、自己判断せずに専門医に処方してもらうことが大切だ」と語り、レクチャーを終えた。■参考日本東洋医学会漢方のお医者さん探し

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前立腺がんの診断にMRI標的生検が有用/NEJM

 臨床的に前立腺がんのリスクを有する生検未施行の男性の診断では、生検の前にMRIでリスク評価を行い、がん病変が陽性の場合に標的を絞って生検を行う方法(MRI標的[狙撃]生検)が、従来の標準的な経直腸的超音波(TRUS)ガイド下生検よりも有益であることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのVeeru Kasivisvanathan氏らが行ったPRECISION試験で示された。研究の成果は、NEJMオンライン版2018年3月19日号に掲載された。標準的な10~12コアのTRUSガイド下生検は、高Grade(臨床的に意義のある)前立腺がんを過少に検出し、低Grade(臨床的に意義のない)がんを過剰に検出する可能性が指摘されている。一方、マルチパラメトリックMRIは、結果が陰性の場合は生検を回避するトリアージ検査として用いられ、陽性の場合は前立腺の異常領域を標的に生検が行える。MRI標的生検は標準的生検に比べ、臨床的に意義のあるがんの検出率が同等またはそれ以上とする報告のほか、臨床的に意義のないがんの検出率は低いとの報告がある。前立腺がん診断におけるMRI標的生検の非劣性を検証 PRECISIONは、前立腺がんが疑われる男性の前立腺がん診断における、MRI標的生検のTRUSガイド下生検に対する非劣性を検証する多施設共同無作為化試験である(英国国立健康研究所[NIHR]などの助成による)。 対象は、前立腺生検を受けたことがなく、PSA上昇または直腸指診の異常所見、あるいはこれら双方により前立腺がんが疑われた男性であった。 被験者は、MRI標的生検または標準的TRUSガイド下生検を受ける群に無作為に割り付けられた。MRI標的生検群は、MRIで前立腺がんが示唆された場合に標的生検を受け、示唆されない場合は生検が提示されなかった。標準的生検群は、10~12コアのTRUSガイド下生検を受けた。 主要アウトカムは、臨床的に意義のあるがんの診断を受けた男性の割合とし、副次アウトカムには、臨床的に意義のないがんの診断を受けた男性の割合などが含まれた。95%信頼区間(CI)の下限値が-5ポイントより大きい場合に非劣性とし、0より大きい場合には優越性ありと判定することとした。 2016年2月~2017年8月の期間に、試験に参加した11ヵ国25施設のうち23施設で500例が登録され、MRI標的生検群に252例、標準的生検群には248例が割り付けられた。前立腺がん診断のための生検を28%で回避、検出率の優越性を確認 ベースラインの平均年齢は、MRI標的生検群が64.4±7.5歳、標準的生検群は64.5±8.0歳であり、PSA中央値はそれぞれ6.75ng/mL(IQR:5.16~9.35)、6.50ng/mL(5.14~8.65)、前立腺がんの家族歴ありは19%、16%、直腸指診異常所見ありは14%、15%だった。MRI標的生検群のうち71例(28%)で前立腺がんが示唆されず、これらの男性は生検を受けなかった。 臨床的に意義のあるがんの検出率は、MRI標的生検群が38%(95/252例)であったのに対し、標準的生検群は26%(64/248例)であった(補正後群間差:12ポイント、95%CI:4~20、p=0.005)。MRI標的生検群は標準的生検群に対し非劣性であり、95%CIはMRI標的生検群の優越性を示すものであった。 臨床的に意義のないがんの検出率は、MRI標的生検群が9%(23例)であり、標準的生検群の22%(55例)に比べて低かった(補正後群間差:-13ポイント、95%CI:-19~-7、p<0.001)。 最大コア腫瘍長(maximum cancer core length)は、MRI標的生検群が7.8±4.1mm、標準的生検群は6.5±4.5mmであった(補正後群間差:1.0mm、95%CI:0.0~2.1、p=0.053)。また、がんが陽性であったコアの割合は、MRI標的生検群が44%(422/967本)、標準的生検群は18%(515/2,788本)だった。 著者は、「医療経済学的な観点からは、MRI標的生検は臨床的に意義のあるがんを早期に検出し、意義のないがんの検出や生検の反復を抑制することで医療費を削減する可能性があり、また長期的に費用対効果が優れることを示唆する研究もある」と指摘している。

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成人における抗うつ薬使用と副作用リスクに関するコホート研究

 抗うつ薬は、若年および中年成人に対し最も一般的に処方される薬剤の1つであるが、この年齢層における一連の有害なアウトカムについての安全性に関する情報は、あまり多くない。英国・ノッティンガム大学のCarol Coupland氏らは、うつ病と診断された20~64歳における抗うつ薬治療と有害なアウトカムとの関連を評価するため、検討を行った。BMC medicine誌2018年3月8日号の報告。 QResearchプライマリケアデータベースに登録されている英国全体の20~64歳の患者23万8,963例を対象にコホート研究を実施した。うつ病の初回診断を受けた患者だけが含まれた。アウトカムは、フォローアップ中に記録された転倒、骨折、上部消化管出血、道路交通事故、薬物治療による副作用、全死因死亡とした。潜在的な交絡変数で調整された抗うつ薬曝露に関連するハザード比を推定するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・5年間のフォローアップ期間中におけるアウトカムは、転倒4,651例、骨折4,796例、上部消化管出血1,066例、道路交通事故3,690例、薬物治療による副作用1,058例、死亡3,181例であった。・抗うつ薬を使用しなかった期間と比較し、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI、調整ハザード比[aHR]:1.30、95%CI:1.21~1.39)および他の抗うつ薬(aHR:1.28、95%CI:1.11~1.48)を使用した場合、骨折の割合が有意に増加した。・すべての抗うつ薬において、転倒の割合の有意な増加と関連が認められた。・SSRIと比較し、三環系および関連する抗うつ薬(aHR:1.54、95%CI:1.25~1.88)、他の抗うつ薬(aHR:1.61、95%CI:1.22~2.12)を使用した場合、副作用の割合が有意に高かった。・トラゾドンは、上部消化管出血リスク増加と有意な関連が認められた。・全死因死亡率は、SSRIと比較し、5年以上の三環系および関連する抗うつ薬(aHR:1.39、95%CI:1.22~1.59)、他の抗うつ薬(aHR:1.26、95%CI:1.08~1.47)で有意に高く、85日以上SSRI治療を行った後に減少した。・ミルタザピンは、1年および5年間のフォローアップにおいて、死亡率上昇と有意な関連が認められた。 著者らは「SSRIは、三環系および関連する抗うつ薬よりも骨折の割合が高かったが、他の抗うつ薬よりも死亡率および薬物治療による副作用の割合が低かった。ミルタザピンと死亡率との関連については、さらなる調査が必要である。抗うつ薬治療を決定する際には、これらのリスクを患者ごとに慎重に考慮し、潜在的なベネフィットとのバランスをとる必要がある」としている。■関連記事うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は韓国人うつ病患者における3種類の抗うつ薬の6週間ランダム化比較試験高齢者に不向きな抗うつ薬の使用とその後の認知症リスクとの関連

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DPP-4阻害薬で炎症性腸疾患リスク増大/BMJ

 2型糖尿病患者においてDPP-4阻害薬は、炎症性腸疾患(IBD)のリスク増大と関連することが、カナダ・Jewish General HospitalのDevin Abrahami氏らによる住民コホート研究の結果、明らかにされた。著者は「結果について再現性があるのかを確認する必要があるが、医師はこうした関連の可能性があるということを念頭に置くべきであろう」と指摘している。IBDのような自己免疫疾患における、DPP-4酵素が及ぼす影響は解明されていない。しかし、低濃度のDPP-4酵素がIBDの疾患活動度を高めることは知られている。これまで、DPP-4阻害薬とIBD発症との関連を検討した観察研究は行われていなかったという。BMJ誌2018年3月21日号掲載の報告。英国14万1,170例の住民コホート研究 研究グループは、2型糖尿病患者において、DPP-4阻害薬の使用がIBD発症と関連しているかを、住民コホート研究にて評価した。 700ヵ所以上の一般診療所(GP)が関与している英国の医療関連データベース(UK Clinical Practice Research Datalink)を用いて、2007年1月1日~2016年12月31日の間に抗糖尿病薬の服用を開始し、2017年6月30日までフォローアップが行われていた、18歳以上の14万1,170例について検討した。 主要評価項目は、DPP-4阻害薬使用と関連したIBD発症の補正後ハザード比で、使用について全体的な評価と、累積使用期間ごと、および使用開始からの期間別に、時間依存的Cox比例ハザードモデルを使用して推定評価した。DPP-4阻害薬の使用(単独または他の抗糖尿病薬と併用)は時変変数(time varying variable)としてモデル化し、他の抗糖尿病薬の使用と比較、また、6ヵ月の遅延曝露を用いてIBDの潜在性と診断遅延について明確にした。他の抗糖尿病薬と比較して発症リスクは1.75倍、3~4年使用後がピークで2.90倍 追跡期間55万2,413人年に、208例のIBDイベントが発生した(粗発生率:10万人年当たり37.7[95%信頼区間[CI]:32.7~43.1])。 全体として、DPP-4阻害薬の使用とIBDのリスク増大との関連が認められた(10万人年当たりDPP-4阻害薬使用群53.4 vs.他の抗糖尿病薬使用群34.5、HR:1.75[95%CI:1.22~2.49])。HRは、使用期間が長いほど段階的に上昇し、3~4年使用後にピークに達し(HR:2.90、95%CI:1.31~6.41)、4年超になると低下が認められた(1.45、0.44~4.76)。 同様のパターンは、DPP-4阻害薬使用開始からの期間で評価した場合にも観察された。また複数行った感度解析でも、一貫した所見が認められた。

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進行性腎細胞がんの1次治療、ニボルマブとイピリムマブ併用が有効/NEJM

 未治療の中等度~高リスク進行性淡明細胞型腎細胞がん患者の治療では、ニボルマブ+イピリムマブ併用により、従来の標準治療であるスニチニブに比べ全生存期間が延長し、客観的奏効率が改善されることが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのRobert J. Motzer氏らが行った「CheckMate 214試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年3月21日号に掲載された。進行性腎細胞がんの約75%が中等度~高リスク病変であり、低リスク病変に比べアウトカムが不良である。本併用レジメンの第I相試験では、未治療および既治療の進行性腎細胞がん患者において、良好な抗腫瘍活性を発揮することが報告されている。中等度~高リスク例で3つの主要エンドポイントを評価 CheckMate 214は、未治療の進行性淡明細胞型腎細胞がん患者におけるニボルマブ+イピリムマブ併用の有用性を、スニチニブと比較する非盲検無作為化第III相試験である(Bristol-Myers Squibb社とOno Pharmaceutical社の助成による)。 年齢18歳以上、カルノフスキーの一般全身状態スコア(0~100点、点数が低いほど機能障害が重度)≧70点の患者が、導入療法としてニボルマブ(3mg/kg)+イピリムマブ(1mg/kg)を3週ごとに4回静脈内投与した後、維持療法としてニボルマブ(3mg/kg)を2週ごとに投与する群、またはスニチニブ(50mg)を1サイクル6週として、1日1回(4週間)経口投与し休薬(2週間)する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは3つで、IMDC分類で中等度~高リスクの患者における全生存期間(α水準:0.04)、客観的奏効率(0.001)、無増悪生存期間(0.009)であった。 2014年10月~2016年2月の期間に、日本を含む28ヵ国175施設で1,096例が無作為化を受けた。併用群550例、スニチニブ群546例であり、そのうち中等度~高リスクの患者はそれぞれ425例、422例であった。死亡リスクが37%減少、9%で完全奏効 ベースラインの年齢中央値は併用群が62歳、スニチニブ群も62歳、中等度~高リスク例はそれぞれ62歳、61歳であり、男性は75%と72%、74%と71%であった。 フォローアップ期間中央値25.2ヵ月時における中等度~高リスク例の18ヵ月全生存率は、併用群が75%(95%信頼区間[CI]:70~78)、スニチニブ群は60%(55~65)で、全生存期間中央値はそれぞれ未到達、26.0ヵ月であり、死亡のハザード比(HR)は0.63と、併用群が有意に良好であった(p<0.001)。 また、中等度~高リスク例の客観的奏効率は併用群が42%と、スニチニブ群の27%に比べ有意に高く(p<0.001)、このうち完全奏効率(探索的解析)は9%、1%(p<0.001)であり、有意差が認められた。 一方、中等度~高リスク例の無増悪生存期間中央値は、併用群が11.6ヵ月、スニチニブ群は8.4ヵ月(HR:0.82、p=0.03)と、事前に規定された有意水準の閾値(0.009)を上回り、有意差を認めなかった。 治療を受けた全患者(1,082例)における治療関連有害事象の発現率は、併用群が93%(509/547例)、スニチニブ群は97%(521/535例)で、そのうちGrade3/4はそれぞれ46%(250例)、63%(335例)であった。治療中止の原因となった治療関連有害事象の発現率は、併用群が22%(118例)、標準治療群は12%(63例)、治療関連死はそれぞれ8例、4例であった。 併用群のうち436例に治療関連の免疫系を介する有害事象(皮膚、内分泌、消化器、肺、肝、腎)が認められ、152例(35%)が高用量グルココルチコイドの投与を受けた。 著者は、「ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は、主要エンドポイント3つのうち2つを達成し、死亡リスクを37%減少させ、スニチニブ療法を上回る生存ベネフィットを示した」とまとめている。

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スペインにおける妊娠中の抗てんかん薬使用に関する比較研究

 妊娠中の抗てんかん薬処方パターンは、変化してきているが、スペインでどの程度の変化が起こっているかは、よくわかっていない。妊娠中の発作をコントロールするための新薬の有効性は重要であり、長年にもわたり医師がこれらの新薬を使ってきたことによって、その処方パターンは変化している可能性がある。スペイン・Hospital Mutua de TerrassaのM. Martinez Ferri氏らは、これらの疑問を評価するため、12年にわたって収集したスペインEURAPレジストリの結果を報告した。Neurologia誌2018年3月号の報告。 インフォームドコンセントに署名した後、患者はレジストリに登録され、妊娠初期、妊娠第2期、第3期の終わり、出産後、出産1年後に評価が行われた。抗てんかん薬、てんかんの種類、妊娠1期当たりおよび妊娠期間中全体での発作頻度、妊娠中の発作のない頻度、先天性奇形の頻度について分析を行った。2001年6月~2007年10月(前期)と2008年1月~2015年5月(後期)のデータの比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・前期より304報、後期より127報の単剤療法の文献について比較を行った。・カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタールの使用が減少し、レベチラセタムの使用が明らかに増加した。また、バルプロ酸の使用がわずかに減少し、ラモトリギンおよびoxcarbazepineの使用がわずかに増加した。・カルバマゼピンおよびバルプロ酸で治療したてんかんの種類に変化は認められなかったが、後期においてラモトリギンで治療した全般てんかん症例は少なかった。・この傾向は、発作頻度の有意な変化とは関連が認められず、妊娠第3期における新規発作に対するより良いコントロールと関連が認められた。・発作コントロールに関して、レベチラセタムは、カルバマゼピンやバルプロ酸と同等であり、ラモトリギンよりも有効であった。・全般てんかんは、レベチラセタムで治療された症例の64%を占めていた。 著者らは「スペインにおける妊娠中の抗てんかん薬処方パターンは変化しており、カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタールの使用が減少していた。全般てんかんに対するラモトリギン使用が少ないため、この変化はてんかんの種類の影響を受けている。レベチラセタムは、古典的な抗てんかん薬と同様の発作コントロールを示し、ラモトリギンよりも効果的かつ良好であった」としている。■関連記事妊娠可能年齢のてんかん女性にはレベチラセタム単独療法がより安全「妊娠、抗てんかん薬」検索結果は患者に役立つか?新規抗てんかん薬の催奇形性リスクは

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スマートウオッチによる自動心房細動検知の精度は?【Dr.河田pick up】

 心房細動の早期検知は、血栓塞栓症を未然に防ぐという観点からも非常に重要である。残念ながら、脳梗塞を契機に心房細動が発見されるということが多い。HolterやZio patchなどのモニターよりも低コストで簡易な携帯心臓モニターは、患者にとっては便利なものである。今回はApple Watchを用いた心臓モニターに関する論文を紹介したい。 KardiaBandは、アップルのスマートウオッチ(Apple Watch)を用いて心臓リズムを記録することができる新しい技術である。専用バンドとアプリを組み合わせることで、自動で心房細動(AF)を検知することが可能である。米国クリーブランド・クリニックのJoseph M.Bumgarner氏ら研究グループは、医師による12誘導心電図とKardiaBandの記録の解釈と比較し、KardiaBandが洞調律とAFとを正確に判別できるかを検討した。Journal of American College of Cardiology誌2018年3月号に掲載。除細動で受診したAF患者100例で比較 本研究では、AFに対する除細動のために受診した、連続した患者100例が研究に組み込まれた(68歳±11歳)。患者は除細動前に心電図とKardiaBandの記録を受けた。除細動が行われた場合、除細動後の心電図とKardiaBandの記録が取得された。KardiaBandの解釈は、医師の診断による心電図と比較された。KardiaBandの記録は、患者情報を知らない不整脈専門医によって再度診断を受け、心電図の解釈と比較された。感度、特異度とK係数が求められた。169例のKardiaBandの記録のうち57例は解釈不能 100例中8例は除細動を受けなかった。169例について、心電図とKardiaBandの同時記録が得られた。KardiaBandの記録のうち、57例については解釈不能であった。心電図と比較して、KardiaBandが解釈した記録は、感度が93%、特異度が84%、K係数は0.77であった。一方、医師が解釈したKardiaBandの記録は感度99%、特異度は83%、K係数は0.83であった。解釈不能だった57例のKardiaBandの記録について不整脈専門医が診断したところ、感度100%、特異度80%、K係数は0.74であった。KardiaBandと医師ともに診断可能であった113例においては、双方の診断はかなり一致しており、K係数は0.88であった。医師のサポートによりKardiaBandによるAF検知アルゴリズムは有用 医師によって確認されたKardiaBandのAF検知アルゴリズムは、AFと洞調律の正確な区別が可能であった。この技術は、選択的除細動に先立って患者をスクリーニングする際に役立ち、不必要な手技を回避する一助となりうる。

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レンバチニブ、世界に先駆け肝細胞がんに国内承認

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)とMerck & Co., Inc. Kenilworth, N.J, U.S.A.は2018年3月23日、マルチキナーゼ阻害薬レンバチニブ(商品名:レンビマ)について、日本において新たに「切除不能な肝細胞癌」の効能・効果追加の承認を取得したと発表。これは、肝細胞がん全身化学療法の1次治療薬として、約10年ぶりの治療選択肢の追加となる。 今回の承認は、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がん患者を対象としたレンバチニブの臨床第III相試験(304/REFLECT試験)の結果に基づいている。本試験の結果、レンバチニブは、標準治療薬ソラフェニブを対照として、全生存期間の統計学的な非劣性を証明し(レンバチニブ群13.6ヵ月 vs.ソラフェニブ群12.3ヵ月)、主要評価項目を達成した(HR:0.92、95%CI:0.79~1.06)。また、副次評価項目の無増悪生存期間(HR:0.66、95%CI:0.57~0.77、p<0.00001)、無増悪期間(HR:0.63、95%CI:0.53~0.73、p<0.00001)、奏効率(レンバチニブ群24% vs.ソラフェニブ群9%、p<0.00001)について、ソラフェニブに対して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。本試験においてレンバチニブ群で高頻度に確認された有害事象は、高血圧(42%)、下痢(39%)、食欲減退(34%)、体重減少(31%)、疲労(30%)で、これまでに認められた安全性プロファイルと同様であった。■参考REFLECT試験(Clinical Trials.gov)

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コントロール不良喘息へのLAMA併用、RCTのメタ解析/JAMA

 コントロール不良の持続型喘息患者に対し、吸入ステロイド(ICS)への長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の追加は、ICS単独と比べて増悪のリスクが有意に低かった。一方で、追加薬としてのLAMAの効果は、長時間作用性β2刺激薬(LABA)よりも上回る可能性は示されなかった。また、3剤併用(ICS+LAMA+LABA)が増悪リスクをより低減することは示されなかった。米国・コネティカット大学薬学校のDiana M. Sobieraj氏らが、15の無作為化試験についてメタ解析を行い明らかにしたもので、JAMA誌オンライン版2018年3月19日号で発表した。2017年までに発表された試験をレビュー 研究グループは、MEDLINE、Embase、Cochraneデータベース、ClinicalTrials.govや世界保健機関(WHO)の臨床試験データベースを基に、2017年11月28日までに発表された臨床試験について、システマティックレビューとメタ解析を行った。 対象とした試験は、コントロール不良の持続型喘息患者を対象に、ICS+LAMA vs.ICS+プラセボ(またはその他の対照薬)、またはICS+LABA+LAMA(3剤併用療法)vs.ICS+LABAについて行った、無作為化試験または観察試験で、2人のレビュワーが選定した。 主要評価項目は喘息の増悪で、ランダム効果モデルを用いてリスク比(RR)やリスク差(RD)、平均差(MD)を95%信頼区間(CI)とともに算出してメタ解析を行い評価した。引用文献のスクリーニング、データ抽象化、リスク評価、エビデンスの強さの評価付けは、2人の独立したレビュワーにより行われた。LAMA追加投与群で、増悪リスクは有意に低下 1,326の試験が特定され、そのうち15の無作為化試験(被験者総数7,122例)が解析に包含された。ほとんどの試験が、ICS+LAMA vs.ICS+プラセボ、またはICS+LAMA vs.ICS+LABAを比較したものだった。 ICS+LAMA vs.ICS+プラセボの比較では、LAMA追加投与群で全身性ステロイド投与を必要とする増悪リスクが有意に低かった(RR:0.67[95%CI:0.48~0.92]、RD:-0.02[-0.04~0.00])。 ICS+LAMA vs.ICS+LABAの比較では、LAMAの追加が増悪リスクを有意に改善するという関連は認められなかった(RR:0.87[95%CI:0.53~1.42]、RD:0.00[-0.02~0.02])。その他のアウトカムについてもLAMA群で有意な改善はみられなかった。 3剤併用療法 vs.ICS+LABAの比較でも、3剤併用療法が増悪リスクを有意に改善するという関連はみられなかった(RR:0.84[95%CI:0.57~1.22]、RD:-0.01[-0.08~0.07])。

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ヒス束ペーシング vs.右心室ペーシング、予後の改善に有用なのは?【Dr.河田pick up】

 米国ではヒス束ペーシングを行う施設が徐々に増えてきている。今回は、右室ペーシングと比較してヒス束ペーシングが有効であることを示す最新の論文を紹介したい。 右心室ペーシングは心不全と死亡率の増加につながりやすい。一方、ヒス束ペーシングは生理的であり、右心室ペーシングの代替となりうる。Mohamed Abdelrahman氏ら米国のグループによる本研究は、ヒス束ペーシングの臨床転帰を右心室ペーシングと比較することを目的として行われた。Journal of American College of Cardiology誌2018年3月号に掲載。ヒス束ペーシングと右心室ペーシングを前向きに比較 本研究では、2013年10月~16年12月までの期間にペースメーカーの植込みを必要とするすべての患者が研究対象となった。永久ヒス束ペーシングの植込みを連続的に1つの病院で実施し、別の関連病院で右心室ペーシングが試みられた。主要評価項目は、複合エンドポイント(植込み時の特徴、全死亡、心不全による入院、両心室ペーシングへのアップグレード)とした。ヒス束ペーシングは92%で成功し、右心室ペーシングに比べて予後を改善 連続した患者332例のうち、304例(92%)でヒス束ペーシングが成功し、433例の患者に右心室ペーシングが植え込まれた。主要評価項目については、右心室ペーシング群に比べて、ヒス束ペーシング群で有意に減少していた(ヒス束ペーシング群:83/332例[25%]、右心室ペーシング群:137/433例[32%]、ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.534~0.944、p=0.02)。この違いは、主に心室ペーシングが20%以上必要な患者によるものであった(ヒス束ペーシング群:25% vs.右心室ペーシング群:36%、HR:0.65、95%CI:0.456~0.927、p=0.02)。 心不全による入院は、ヒス束ペーシング群で有意に減少していた(ヒス束ペーシング群:12.4% vs.右心室ペーシング群:17.6%、HR:0.63、95% CI:0.430~0.931、p=0.02)。ヒス束ペーシング群では死亡率の低下の傾向も認められた(ヒス束ペーシング群:17.2% vs.右心室ペーシング群:21.4%、p=0.06)。 本研究では、ヒス束ペーシングは、右心室ペーシングに比べて、死亡、心不全による入院、両心室ペーシングへのアップグレードを有意に減少させた。永久ヒス束ペーシングは、大規模なリアルワールドの患者において可能な手段であったと言える。 これまでの報告においても、ヒス束ペーシングを使用したペースメーカーの植込みの成功率は高く、今後は右室ペーシングに代わり、ヒス束ペーシングが増えていくことが予想される。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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チェリージュースによる不眠症治療とそのメカニズムを研究するためのパイロット研究

 不眠症は高齢者において頻繁に認められ、慢性疾患と関連している。高齢者に対する睡眠薬による不眠症治療は、転倒の発生率を増加させる恐れもある。自己報告質問票では、トリプトファン分解酵素を阻害するモンモランシータルトチェリージュースが不眠症を改善するといわれている。米国・ルイジアナ州立大学のJack N. Losso氏らは、睡眠ポリグラフ検査で睡眠状態を確認し、不眠症治療にトリプトファンが有用であるかについて検討を行った。American journal of therapeutics誌2018年3/4月号の報告。 50歳以上を対象としたバランスの取れたプラセボ対照クロスオーバー研究。参加者をプラセボまたはチェリージュース(1回240mLを1日2回、2週間)の2群にランダムに割り付け、2週間のウォッシュアウト期間を設けた。睡眠状態は、睡眠ポリグラフ検査と検証された5つの質問票により評価を行った。血清インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、血清キヌレニン/トリプトファン比、プロスタグランジンE2を測定した。in vitroにおいて、Caco-2細胞をインターフェロンγで刺激し、トリプトファンを分解し、炎症を刺激するIDOを阻害するチェリージュースプロシアニジンの作用を測定した。チェリージュース中のプロシアニジンB-2および他の主要なアントシアニンの含有量を測定した。 主な結果は以下のとおり。・11例中、睡眠時無呼吸症候群の3例を除く8例をランダムに割り付けた。・試験を完了した8例は、睡眠ポリグラフ検査において睡眠時間が84分増加し(p=0.0182)、ピッツバーグ睡眠質問票において睡眠効率が上昇していた(p=0.03)。・その他の質問票では、有意な差は認められなかった。・血清キヌレニン/トリプトファン比は減少し(p<0.05)、同様にプロスタグランジンE2レベルも減少した(p<0.05)。・in vitroにおいて、チェリージュース中のプロシアニジンB-2は、用量依存的にIDOを阻害した。 著者らは「チェリージュースは、睡眠時間と睡眠効率を高めた。チェリージュース中のプロシアニジンB-2は、IDOを阻害し、トリプトファンの作用を増加させ、炎症を軽減し、不眠症の改善に対し部分的に関与している可能性がある」としている。■関連記事チェリージュースで認知機能が改善うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」ADHD発症にトリプトファンが関連か

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抗PD-1/PD-L1抗体薬によるirAE発現のメタ解析/BMJ

 がん治療では、PD-1またはそのリガンドであるPD-L1を標的とする薬剤の使用頻度が増加しつつある。適切な臨床管理には免疫関連有害事象(irAE:臓器特異的免疫関連有害事象、免疫活性化関連の全身性有害事象、筋骨格系の問題と一致する有害事象)の理解が求められるが、これらの発症率は不明であり、予想外の有害事象に関して一貫性のない報告が行われている可能性があるという。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのShrujal Baxi氏らは、抗PD-1/PD-L1抗体薬によるirAEの発現状況を調査し、BMJ誌2018年3月14日号で報告した。13試験、7,000例以上のメタ解析 研究グループは、抗PD-1抗体薬および抗PD-L1抗体薬のirAEの発現状況を明らかにするために、系統的レビューとメタ解析を行い、標準治療(対照薬)と比較した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 再発または転移性がん患者に関する臨床研究を対象とした。2017年3月16日までに5つの医学関連データベースに登録された論文を検索し、ClinicalTrials.govのデータも参照した。 メタ解析には論文13編(介入群:3,803例、対照群:3,353例)が含まれた。論文はすべて、2014年11月~2017年2月の期間にオンライン版として公表され、出版バイアスのエビデンスは示されなかった。すべて製薬企業の助成による国際的な多施設共同試験だった。 irAEのうち、臓器特異的免疫関連有害事象(organ specific immune-related adverse events)には大腸炎、肝臓炎、肺臓炎、下垂体炎/下垂体機能低下症、甲状腺機能低下症が含まれ、免疫活性化関連の全身性有害事象(general adverse events related to immune activation)には疲労、下痢、皮疹が、筋骨格系の問題と一致する有害事象(adverse events consistent with musculoskeletal problems)には関節炎、関節痛、背部痛、筋骨格痛、筋肉痛が含まれた。筋骨格系の有害事象も一般的に発現する可能性 13編のうち、転移性非小細胞肺がんが7編、悪性黒色腫が3編で、腎細胞がん、膀胱細胞がん、頭頸部扁平上皮がんが1編ずつであった。また、ニボルマブが6編、ペムブロリズマブが5編、アテゾリズマブが2編で、対照薬は化学療法薬が11編、分子標的薬が1編、双方が1編だった。 抗PD-1抗体薬では、重篤な臓器特異的免疫関連有害事象はまれであったが、対照薬と比較して甲状腺機能低下症(オッズ比[OR]:6.92、95%信頼区間[CI]:3.25~14.75、p<0.001)、肺臓炎(5.37、2.73~10.56、p<0.001)、大腸炎(2.88、1.30~6.37、p=0.009)、下垂体炎(3.38、1.03~11.08、p=0.04)の発症率が増加していた。 免疫活性化関連の全身性有害事象は、対照薬に比べ皮疹のみ発症率が高かった(OR:2.34、95%CI:1.40~3.91、p=0.001)。疲労(32%)と下痢(19%)の発症率も高かったが、対照薬とほぼ同じ頻度であった。 筋骨格系の問題と一致する有害事象の報告には一貫性がなく、発症率にばらつきがみられたが、いくつかの試験では関節痛と背部痛が20%を超えていた。 著者は、「抗PD-1抗体薬による臓器特異的免疫関連有害事象の頻度は高くないが、対照薬に比べリスクが高く、免疫活性化関連の全身性有害事象の多くは対照薬とほぼ同頻度であり、筋骨格系の問題と一致する有害事象の報告は一貫性がないものの、一般的に発現する可能性がある」とまとめている。

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TNF受容体関連周期性症候群〔TRAPS:Tumor necrosis factor receptor-associated periodic syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義TNF受容体関連周期性症候群(Tumor necrosis factor receptor-associated periodic syndrome:TRAPS)は、常染色体優性形式をとる家族性の周期性発熱・炎症疾患である。本疾患は1982年にWilliamsonらが再発性の発熱、皮疹、筋痛、腹痛を呈するアイルランド/スコットランドの1家系を見いだし、“familial Hibernian fever”として報告したことに始まる。1999年にMcDermottらが1型TNF受容体の遺伝子変異が本疾患の原因であることを報告し“TRAPS”と命名した1)。その論文において、自己炎症という新しい疾患概念が提唱された。TRAPSは自己炎症疾患(autoinflammatory disease)の代表的疾患であり、自己抗体や自己反応性T細胞によって生じる自己免疫疾患(autoimmune disease)とは異なり、自然免疫系の異常によって発症すると考えられている。本症は2015年1月1日より医療費助成対象疾患(指定難病、小児慢性特定疾病)となった。■ 疫学欧米人、アジア人、アフリカ系アメリカ人などさまざまな人種において、まれな疾患として報告されている。「TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)の病態の解明と診断基準作成に関する研究」研究班(研究代表者:堀内孝彦[九州大学] 平成22-24年度 厚生労働省)が行った全国調査では、わが国には少なくとも33家系51例の患者がいることが明らかになった2)。■ 病因1型TNF受容体遺伝子(TNFRSF1A)の変異で生じる。1型TNF受容体は455個のアミノ酸より構成され、細胞外ドメインの4つのCRD(cysteine-rich domain)と細胞膜貫通部、細胞内ドメインと細胞内のDD(death domain)という特徴的な構造を持っている。TRAPSで報告されている変異のほとんどはCRD1とCRD2をコードしているエクソン2-4の単一塩基ミスセンス変異である。なかでもタンパクの高次構造に重要な働きをしているジスルフィド(S-S)結合を形成するシステイン残基の変異が多い。これらの変異がTRAPSの病態形成にいかに関与するかは、いくつかの仮説が提唱されてきた。現時点では次のように考えられている。高次構造の異常によるmisfolding(タンパク質の折り畳みの不良)のため、変異1型TNF受容体は細胞表面へ輸送されずに小胞体内に停滞する。小胞体内の変異1型TNF受容体は、ミトコンドリアからのROS産生を介して細胞内のMAPキナーゼ脱リン酸化酵素を阻害することにより、定常状態でのMAPキナーゼを活性化状態にする。これだけでは炎症性サイトカイン産生の誘導は起こらないが、細菌感染などでToll様受容体からのシグナルが加わることにより、IL-1、IL-6、TNFなどの炎症性サイトカイン産生誘導が起こると考えられる。また、マクロファージなどのTNF産生細胞では、片方の対立遺伝子由来の正常なTNF受容体からのシグナルにより、炎症がパラクライン的に増幅されると考えられる3)。■ 症状TRAPSは常染色体優性の遺伝形式をとり、典型的な変異を示すものでは浸透率は85%以上と高い。発症年齢は同一家族内でも一定ではなく、乳児期から成人期に至るまで幅広い。症状の種類については2002年にHullらが提案したTRAPS診断指針を参照いただきたい(表1)4)。発作時には、38℃以上の発熱はほぼ必発であり、それに加えて腹痛、筋痛、皮疹、結膜炎、眼窩周囲浮腫、胸痛、関節痛などの随伴症状をともなう。わが国のTRAPS患者での個々の症状の頻度を表2に示す2)。表1 TRAPS診断指針1. 6ヵ月を超えて反復する炎症症状によるエピソードの存在(いくつかは同時にみられることが一般的)(1)発熱(2)腹痛(3)筋痛(移動性)(4)皮疹(筋痛を伴う紅斑様皮疹)(5)結膜炎・眼窩周囲浮腫(6)胸痛(7)関節痛、あるいは単関節滑膜炎2. エピソードの持続期間が(エピソードごとにさまざまだが)平均して5日を超える3. ステロイドに反応するがコルヒチンには反応しない4. 家族歴あり(いつも認められるとは限らない)5. どの人種、民族でも起こりうる画像を拡大する1)発熱最も特徴的でありTRAPSを疑うきっかけになる。1ヵ月~数ヵ月の間隔で不規則に繰り返す。発熱の期間は通常1~4週間であることが多く、平均21日程度である。2)腹痛日本人の頻度は欧米人に比べて少ない。腹膜炎や腸炎、腹壁の筋膜炎によって生じる。嘔気や便秘を伴うこともある。3)筋痛原因は筋炎というよりも筋膜炎と考えられている。症状は通常1ヵ所に起こり、発作期間中に寛解と増悪を繰り返す。4)皮疹(図1A)遠心性に移動性の紅斑であり筋痛の位置に一致することも多い。熱感と圧痛を有し、自然消退する。5)結膜炎・眼窩周囲浮腫(図1B)片側性または両側性の結膜炎、眼窩周囲浮腫、眼窩周囲痛が発作期間中に出現する。6)胸痛胸膜炎や胸壁の筋膜炎による症状である。7)関節痛非破壊性、非対称性で下肢の大関節に起きることが多い。画像を拡大する■ 予後TRAPSの長期予後については不明な点が多いが、経過とともに症状が増悪していく症例も、軽症化していく症例もみられる。長期的な経過では、ステロイド治療の副作用や、アミロイドーシスの合併が問題となる。欧米ではアミロイドーシスは10%の合併頻度であるが、わが国の全国調査ではアミロイドーシス合併例の報告はない。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)2002年、Hullらは症状、家族歴などから構成される「TRAPS診断指針」を発表したが、これは診断基準ではなく、遺伝子検査の適応を判断するための指針であった(表1)。TRAPS診断のgold standardは遺伝子検査である。疾患関連性が明確なTNFRSF1A遺伝子異常は、CDR1、CDR2のシステインの変異、T50M変異などである。これらが認められれば診断は確定する。その一方で、病的意義の明らかではない多型も存在する。その代表は、欧米ではP46LとR92Qである。これらは欧米の健常人の数%に認められるため、病的意義について議論がある。P46LとR92QのTRAPSは浸透率が低く、軽症で予後が良い。わが国ではT61Iが最も多くのTRAPS患者から報告されているが、健常人にも約1%の対立遺伝子頻度で認めるため病的意義については議論がある6)。TNFRSF1A遺伝子異常のリストは、INFEVER websiteで参照できる。「自己炎症疾患とその類縁疾患に対する新規診療基盤の確立」研究班(研究代表者:平家俊男[京都大学]平成24-26年度 厚生労働省)では、前述の厚生労働省堀内班の研究結果を踏まえてTRAPS診療フローチャートを作成した。この診断フローチャートは、指定難病、小児慢性特定疾病の診断基準として利用されている(図2)。6ヵ月以上の炎症兆候の反復を必須条件とし、家族歴などの補助項目を満たす場合に遺伝子検査を推奨している。最終的な診断は遺伝子検査による。遺伝子検査結果の解釈は専門家への相談が必要である。画像を拡大する2015年、ヨーロッパの小児リウマチ学会(Paediatric Rheumatology International Trials Organisation:PRINTO)は、ヨーロッパを中心とした自己炎症症候群患者のデータベース(Eurofever registry)のデータを元に、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、クリオピリン関連周期熱症候群、TRAPSの予備的臨床的診断基準を作成し発表した(表3)7)。作成にあたり遺伝子検査で診断が確定した患者がgold standardとされた。TRAPSのP46LとR92Qのような浸透率の低い遺伝子異常や疾患関連性が不明な遺伝子異常は除外された。陰性対照群としてPFAPA症候群を加えた5疾患の患者群の臨床所見について多変量解析が行われ、各疾患を区別する項目が抽出され、そして、各項目をスコア化して診断基準が作成された。診断基準の適用については、感染症や他のリウマチ性疾患などを除外していることが重要な前提条件である。この予備的臨床的診断基準は、遺伝子検査の適応の判断や、疾患関連性が不明な遺伝子異常を有する患者の診断において参考にできる。将来的には、検査値や遺伝子検査と組み合わせた診断基準の作成が期待される。画像を拡大する症状は典型的な有熱性エピソードに関連してなければならない(感染症などの併存疾患を除外する)。†:末梢側へ向かって移動する紅斑であり、最も典型的には筋痛の部位を覆い、通常四肢または体幹に生じる。‡:東地中海:トルコ人、アルメニア人、非アシュケナージ系ユダヤ人、アラブ人  北地中海:イタリア人、スペイン人、ギリシャ人略称FMF:家族性地中海熱 MKD:メバロン酸キナーゼ欠損症 CAPS:クリオピリン関連周期熱症候群 TRAPS:TNF受容体関連周期性症候群■ 検査本症に疾患特異的なバイオマーカーはない。発作時に血沈、CRP、フィブリノゲン、フェリチン、血清アミロイドA蛋白などの急性期反応物質の増加が認められる。好中球の増加、慢性炎症に伴う小球性低色素性貧血、血小板の増加なども認められる。これらの検査値は発作間欠期にも正常ではないことがある。筋症状があっても、CK、アルドラーゼの上昇は認められない。最も重篤な合併症であるアミロイドーシスでは腎病変の頻度が高く、蛋白尿が認められるため、早期発見のために定期的な尿検査が推奨される。血清中の可溶型1型TNF受容体濃度の低値が特徴的とされていたが、TRAPSに特異的な所見とはいえず診断的意義は乏しいと考えられる。■ 鑑別診断ほかの周期性発熱を呈する疾患が挙げられる。ただし、筋痛や腹痛などが前景に立ち高熱が認められない症例、炎症性エピソードが周期的(反復性)ではなく慢性的に持続する患者などでもTRAPSの可能性はある。具体的には、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、クリオピリン関連周期熱症候群などの自己炎症疾患や全身型若年性特発性関節炎、成人スティル病、ベーチェット病などが鑑別に挙がる。TRAPS様症状の家族歴は、遺伝子異常の存在を予測する最も重要な因子である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)前述したわが国のTRAPS診断フローチャートに、治療(TRAPS診療の推奨)についての記述がある(表4)。また、2015年にPRINTOからTRAPSを含む自己炎症疾患の診療に関するエビデンスに基づいたレコメンデーションが発表された(表5)。発作時の短期的なNSAIDsもしくはステロイド投与が基本治療である。発作が軽症で頻度も年1、2回などと少ない場合、NSAIDsによる症状緩和のみでも対応可能である。わが国の診断フローチャートにある、経口プレドニゾロン(PSL)1mg/kg/日で開始し7~10日で減量・中止する方法(表4)は、HullらがTRAPS診断指針を発表した論文で推奨した方法である。留意事項に記載されているとおり、必要なステロイドの投与量や期間は、症例毎に、また同一症例でも発作ごとに異なり、状況に応じて判断していく必要がある。ステロイドは、当初効果があった症例でも次第に効果が減弱し、増量や継続投与を強いられる場合がある。重度の発作が頻発する場合、追加治療としてTNF阻害薬のエタネルセプト(商品名:エンブレル)とIL-1阻害薬カナキヌマブ(同:イラリス)が推奨されている。エタネルセプトは受容体製剤であるが、同じTNF阻害薬でも抗体製剤であるインフリキシマブ(同:レミケード)とアダリムマブ(同:ヒュミラ)はTRAPSで著しい増悪を起こした報告があり使用が推奨されない。また、エタネルセプトもステロイドと同様に効果が減弱するとの報告がある。PRINTOのレコメンデーションは、IL-1阻害薬の推奨度をより高く設定し、欧州医薬品庁(European Medicines Agency:EMA)は、TRAPSに対するIL-1阻害薬のカナキヌマブの使用を認可している。わが国でも2016年12月にカナキヌマブがTRAPSに対して適応が追加された。画像を拡大する表5 TRAPS診療の推奨画像を拡大するL:エビデンスレベル1B(randomised controlled study)、2A(controlled study without randomisation)、2B(quasi-experimental study)、3(descriptive study)、4(expert opinion)S:推奨の強さA(based on level 1 evidence)、B(based on level 2 or extrapolated from level 1)、C(based on level 3 or extrapolated from level 1 or 2)、D(based on level 4 or extrapolated from level 3 or 4 evidence)略称TRAPS:TNF受容体関連周期性症候群 MKD:メバロン酸キナーゼ欠損症 CAPS:クリオピリン関連周期熱症候群4 今後の展望TRAPSは国内の推定患者数が数十例の極めてまれな疾患だが、不明熱の診療などで鑑別疾患に挙がることは少なくない。TRAPS様症状の家族歴があるときには遺伝子検査が診断に最も有用であるが、保険適用はなく施行できる施設も限られており、容易にできる検査とは言い難い。日本免疫不全・自己炎症学会では、TRAPSを含めた関連疾患の遺伝子検査の保険適用を将来的に目指した検討を進めている。5 主たる診療科小児科、膠原病内科、血液内科、感染症内科、総合診療科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療研究情報INFEVER website(医療従事者向けのまとまった情報)一般社団法人日本免疫不全・自己炎症学会(医療従事者向けのまとまった情報)1)McDermott MF, et al. Cell. 1999;97:133-144.2)Ueda N, et al. Arthritis Rheumatol. 2016;68:2760-2771.3)Simon A, et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2010;107:9801-9806.4)Hull KM, et al. Medicine (Baltimore). 2002;81:349-368.5)Lachmann HJ, et al. Ann Rheum Dis. 2014;73:2160-2167.6)Horiuchi T. Intern Med. 2015;54:1957-1958.7)Federici S et al. Ann Rheum Dis. 2015;74:799-805.公開履歴初回2018年03月27日

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血清尿酸値上昇は高LDL-C/高TG血症リスク~日本人コホート研究

 高い血清尿酸(SUA)値は脂質異常症と関連するが、高尿酸血症がLDLコレステロールを増加させるかどうかは不明である。今回、コロラド大学の桑原 政成氏らが行った日本人のコホート研究により、SUA値の上昇が高LDLコレステロールおよび高トリグリセライド血症の発症リスクを増加させたことが初めて報告された。著者らは「この結果は心血管疾患におけるSUAの役割を解明するかもしれない」としている。International Journal of Cardiology誌オンライン版2018年3月13日号に掲載。 本研究は、2004年に聖路加国際病院(東京)で健康診断を受診し、2009年に再評価された健康な日本人成人6,476人(年齢:45.7±10.1歳、男性:2.243人)の後ろ向き5年コホート研究である。被験者には、ベースラインの検査で高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病ではなかった人、高尿酸血症/痛風の治療薬を投与されていた人が含まれた。年齢、BMI、喫煙・飲酒習慣、ベースラインの推定糸球体濾過率(eGFR)、ベースラインのSUA、5年間のSUAの変化について調整し分析した。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインの高SUAは、男性(OR:1mg/dL増加当たり1.159、95%CI:1.009~1.331)、女性(OR:同1.215、95%CI:1.061~1.390)とも、高LDLコレステロール発症の独立したリスクであった。・その他の危険因子として、ベースラインの高LDLコレステロール、高BMI、ベースラインの高eGFRが認められた(女性では後者の2因子)。・5年間のSUAの増加は、高LDLコレステロールおよび高トリグリセライド血症発症の独立したリスクであったが、低HDLコレステロールについてはそうではなかった。■関連記事LDL-Cが高い人ほど心筋梗塞の予後良好!?

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統合失調症に対する抗精神病薬と抗うつ薬増強の有効性と安全性

 抗精神病薬で維持治療を行っている統合失調症患者に対する、抗うつ薬増強療法の有効性と安全性について、ドイツ・ベルリン大学附属シャリテ病院のB. Galling氏らが評価を行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌2018年3月号の報告。 PubMed、MEDLINE、PsycINFO、Cochrane Libraryより、データベースの初めから2017年10月10日までの、統合失調症に対する抗うつ薬増強療法の有効性に焦点を当てたプラセボ対照ランダム化二重盲検比較試験を、システマティックに検索した。 主な結果は以下のとおり。・42件(1,934例、期間:10.1±8.1週)のランダム効果メタ解析では、抗うつ薬増強療法はプラセボと比較し、全体の症状に関して軽減が認められた(SMD:-0.37、95%CI:-0.57~-0.17、p<0.001)。これは陰性症状の改善(SMD:-0.25、95%CI:-0.44~-0.06、p=0.010)によるものであり、陽性症状(p=0.190)および全般症状(p=0.089)では改善が認められなかった。・第1世代抗精神病薬への抗うつ薬増強療法の研究において、陰性症状の優越性が認められたが(SMD:-0.42、95%CI:-0.77~-0.07、p=0.019)、第2世代抗精神病薬では認められなかった(p=0.144)。・NaSSAにおいてのみ、全体の症状軽減(SMD:-0.71、95%CI:-1.21~-0.20、p=0.006)の優越性は陰性症状(p=0.438)によるものではなく、陽性症状の改善(SMD:-0.43、95%CI:-0.77~-0.09、p=0.012)によりもたらされた。・抗うつ薬では、プラセボより優れたうつ症状の改善は認められなかった(p=0.185)。・抗うつ薬増強療法では、口渇(RR:1.57、95%CI:1.04~2.36、p=0.03)を除き、有害事象および全原因/特定の原因による試験中止との関連は認められなかった。 著者らは「抗精神病薬で維持治療を行っている統合失調症患者に対して、抗うつ薬の追加は、全体の症状(とくに陰性症状)の軽減に有用である。しかし、その効果は軽度~中程度であり、抗うつ薬によっても異なり、また陰性症状の改善は第1世代抗精神病薬への増強療法に限られるようである」としている。■関連記事統合失調症への抗うつ薬追加は有益なのか統合失調症患者への抗うつ薬併用、効果はどの程度か統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか

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「意識障害」は遭遇するけど苦手

 CareNet.comでは、会員医師の方々に「内科的な救急診療」に関するアンケートを実施。今回、その結果がまとまったので概要を報告する。 調査は、2018年1月22日にCareNet.comの会員医師を対象にインターネット上で行われ、回答者総数は329名。その内訳は、20代:2%、30代:16%、40代:29%、50代:34%、60代:16%、70代:2%。また、所属別では勤務医師が79%、開業医師が21%だった。救急対応の多くは病院や診療所で遭遇 設問1で「過去3年以内の救急診療の経験」を尋ねたところ、「ある」との回答が75%、「ない」は25%だった。回答した会員の8割近くが何らかの救急診療を経験していた。 設問2で「救急診療をした場所(複数回答)」について尋ねたところ、「病院」での対応が一番多く(243回答)、続いて「診療所・クリニック」(84回答)、「国内の外出先」(10回答)の順で多かった。ドラマなどでよくある航空機や電車内での救急診療は1桁台であり、多くは医療機関で遭遇していた。また、救急診療を経験したことがないという回答数は44だった。救急診療で知りたい症候、「意識障害」「失神」「痙攣」が上位 設問3「救急診療した具体的な症候(複数回答)」では、「意識障害」(191回答)、「呼吸困難」(153回答)、「腹痛」(143回答)の順で多く、生命予後に直結する症候が占めた。また、不定愁訴では「腹痛」(143回答)、「発熱」(142回答)、「めまい」(136回答)が多かった。 設問4で「救急診療で詳しく知りたい症候(複数回答)」について尋ねたところ、「意識障害」(176回答)、「失神」(139回答)、「痙攣」(130回答)の順で多く、上位はいずれも診断時に患者とコミュニケーションがとれない症候で占められた。 最後に設問5として「内科的な救急診療で知りたい、日頃疑問に思っていること」を自由記入で質問したところ、「めまい」に関しての疑問が一番多く、そのほかにも「意識障害」「胸痛」などへの疑問が寄せられた。今回の調査結果の詳細と、寄せられた具体的なコメントは、CareNet.comに掲載中。

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急性脳梗塞の血管内治療は日常診療でも有効か/BMJ

 急性虚血性脳卒中の血管内治療は、無作為化対照比較試験の結果と同様に、ルーチンの臨床診療でも有効かつ安全であることが、オランダ・アムステルダム大学学術医療センターのIvo G. H. Jansen氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2018年3月9日号に掲載された。前方循環系の頭蓋内血管近位部閉塞による急性虚血性脳卒中では、症状発現後6時間以内の血管内治療の有効性と安全性が無作為化試験やメタ解析で示されているが、ルーチンの臨床診療でも既報の無作為化臨床試験と同等の有用性が得られるかは不明であった。MR CLEANレジストリをMR CLEAN試験の結果と比較 研究グループは、オランダの16施設が参加・進行中の前向きコホート研究「MR CLEANレジストリ」の患者データを解析し、無作為化対照比較試験「MR CLEAN試験」の既報の結果と比較した(エラスムス大学医療センターなどの助成による)。 2014年3月~2016年6月の期間にMR CLEANレジストリに登録された急性虚血性脳卒中で、症状発現後6.5時間以内に血管内治療(ステント型血栓回収デバイス、血栓吸引デバイスなど)を受けた患者1,488例を解析の対象とした。 主要アウトカムは、症状発現後90日時の修正Rankin Scale(mRS、0[無症状]~6[死亡]点)のスコアによる機能障害とした。副次アウトカムには、90日時の機能アウトカムがexcellent(mRSスコア:0~1)、同good(0~2)、同favourable(0~3)の患者などが含まれた。臨床試験の介入群よりも機能アウトカムが良好 ベースラインの年齢中央値は、MR CLEANレジストリが71歳(IQR:60~80)、MR CLEAN試験の介入群(233例)が66歳(55~76)、同対照群(267例)は66歳(56~76)であり、男性はそれぞれ53.3%、57.9%、58.8%であった。NIHSSスコア中央値はそれぞれ16点、17点、18点であり、rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法は78.0%、87.1%、90.6%に行われていた。 90日時のmRSスコア中央値は、MR CLEANレジストリが3点(IQR:2~6)、CLEAN試験の介入群が3点(2~5)、同対照群が4点(3~5)であり、MR CLEANレジストリの機能アウトカムは、MR CLEAN試験の介入群(補正共通オッズ比:1.30、95%信頼区間[CI]:1.02~1.67、p=0.03)および同対照群(1.85、1.64~2.34、p<0.01)と比較して、いずれも有意に改善した。 90日時の機能アウトカムがexcellentの患者の割合は、MR CLEANレジストリが18.9%、MR CLEAN試験の介入群が11.6%、同対照群は6.0%であった。また、goodの患者はそれぞれ37.9%、32.6%、19.1%であり、favourableは52.1%、51.1%、35.6%だった。 再灌流の達成率(extended TICI gradeで2B-3の場合に再灌流成功と定義)は、MR CLEANレジストリとMR CLEAN試験の介入群がいずれも58.7%で、同対照群は該当なしであった。 また、脳卒中発症から、血管内治療開始までの期間中央値(MR CLEANレジストリ:208分[IQR:160~265]、MR CLEAN試験の介入群:260分[210~313])と、再灌流成功または最後の造影剤ボーラス注入までの期間中央値(267分[217~331]、339分[274~395])は、いずれもMR CLEANレジストリが約1時間短かった。 一方、症候性頭蓋内出血の発症率は、MR CLEANレジストリが5.8%と、MR CLEAN試験の介入群の7.7%、同対照群の6.4%に比べて低かった。 著者は、「この知見は、血管内治療が前方循環系の頭蓋内血管近位部閉塞による急性虚血性脳卒中の標準治療であることを裏付ける」としている。

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