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ASCO2018消化器がん会員聴講レポート

2018年6月1日から5日まで、米国シカゴにて開催された2018 ASCO Annual Meetingの情報をまとめました。会員現役ドクターによる聴講レポートおよびCareNet.comオリジナルのASCO2017 ニュースを紹介しています。現地シカゴからオンサイトレビュー会員聴講レポートASCO2018消化器がん関連ニュース現地シカゴからオンサイトレビュー会員聴講レポートレポーター紹介ASCO2018消化器がん関連ニュースケアネットオリジナル消化器がん関連のニュースです。今回は、2018年6月1日から5日開催のASCO2018から重要トピックを紹介します。

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日本人思春期統合失調症に対するアリピプラゾールの有効性、安全性

 東海大学の松本 英夫氏らは、日本における思春期統合失調症に対するアリピプラゾールの有効性および安全性を評価するため、検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2018年5月18日号の報告。 6週間のランダム化二重盲検用量比較試験において、思春期統合失調症患者(13~17歳)をアリピプラゾール2mg/日群、6~12mg/日群、24~30mg/日群にランダムに割り付けた。6週間の試験終了後、対象患者は52週間のフレキシブルドーズオープンラベル拡大試験(初回用量:2mg/日、維持用量:6~24mg/日、最大用量:30mg/日)に移行した。 主な結果は以下のとおり。【6週間のランダム化二重盲検用量比較試験】・治療を完了した患者の割合は、2mg/日群で77.1%(35例中27例)、6~12mg/日群で80.0%(30例中24例)、24~30mg/日群で85.4%(41例中35例)であった。・ベースラインからエンドポイントまでのPANSS総スコアの最小二乗平均変化量は、2mg/日群で-19.6、6~12mg/日群で-16.5、24~30mg/日群で-21.6であった。・いずれの群においても20%以上で認められた治療下で発現した有害事象(TEAE)は、悪心、アカシジア、不眠、傾眠であった。・ほとんどのTEAEの重症度は、軽度または中等度であった。また、死亡例はなかった。【52週間のフレキシブルドーズオープンラベル拡大試験】・治療を完了した患者の割合は、60.3%(68例中41例)であった。オープンラベル試験開始時から52週までのPANSS総スコアは、7.9減少した。・20%以上で認められたTEAEは、鼻咽頭炎と傾眠であった。・ほとんどのTEAEの重症度は、軽度または中等度であった。また、死亡例はなかった。 著者らは「日本における思春期統合失調症に対するアリピプラゾールの短期および長期治療は、安全かつ十分な忍容性を有することが示唆された」としている。■関連記事日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの長期効果は統合失調症に対する短期治療、アリピプラゾール vs.リスペリドン日本人統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの長期安全性・有効性に関する52週オープンラベル試験

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デング熱ワクチンの有効性・リスクが明らかに/NEJM

 四価デング熱ワクチン(CYD-TDV)の有効性について、ワクチン接種前のウイルス曝露者には5年の間、重症型デング熱の発症(virologically confirmed dengue:VCD)やデング熱での入院に対する保護効果が認められたが、非曝露者では、反対に重症型VCDやデング熱による入院のリスクをより高めるとのエビデンスが確認されたという。フランス・サノフィ社サノフィパスツール(ワクチン部門)のSaranya Sridhar氏らが、有効性に関する3試験のデータを再解析し報告した。CYD-TDVの有効性試験では、ワクチン接種を受けた2~5歳児においてデング熱による過剰な入院が観察されていた。NEJM誌オンライン版2018年6月13日号掲載の報告。有効性に関する3試験のデータを再解析 研究グループは有効性に関する3試験のデータを用いて、ケースコホート研究を行った。ベースラインで収集した検体数に限りがあり、デング熱の血清状態を確認して正確なリスクを推定することができなかったため、デング熱NS1抗原IgG抗体ELISAを開発するとともに、月齢13ヵ月児の血清状態を確認した検体を用いて安全性と有効性の事後解析を行った。 主要解析では、50%プラーク減少中和検査(PRNT50)によるベースライン測定値(入手できた場合)と、13ヵ月齢の抗NS1アッセイの結果など共変量を用いて補完した力価(入手不可の場合)に基づき確認した、ベースライン血清状態を用いた。 加重Cox回帰法および標的最小損失ベースの推定による、VCD入院、重症型VCD、デング熱抗体有無別の症候性VCDのリスクを推算した。ウイルス血清陽性者には有効、陰性者にはリスク デング熱血清反応陰性であった2~16歳児において、VCD入院の5年累積発生率は、ワクチン接種群3.06%、非接種(対照)群1.87%で、データカットオフ時のハザード比(HR)は1.75(95%信頼区間[CI]:1.14~2.70)であった。血清反応陰性の9~16歳児において同発生率は、ワクチン接種群1.57%、対照群1.09%で、HRは1.41(95%CI:0.74~2.68)であった。また、重症型VCDについても同様に、血清反応陰性者では、ワクチン接種群のほうが対照群よりもハイリスクの傾向がみられた。 一方、血清反応陽性の2~16歳児においては、VCD入院の5年累積発生率は、ワクチン接種群0.75%、対照群2.47%で、HRは0.32(95%CI:0.23~0.45)であった。9~16歳児においても各群の同発生率は0.38%、1.88%で、HRは0.21(95%CI:0.14~0.31)であった。重症型VCDについても同様に、血清反応陽性者では、ワクチン接種群のほうが対照群よりも低率であった。

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食道がん3次治療、ペムブロリズマブの効果(KEYNOTE-180)/ASCO2018

 現在、進行および転移のある食道がんでは5-FU+シスプラチン併用療法を軸にした治療がスタンダードだが、多くの症例では2~3次治療で治療選択肢が尽き、一般的には予後が悪い固形がんと認識されている。 一方、食道がんでは免疫による攻撃を回避する分子PD-L1の発現が高頻度で認められるため、免疫チェックポイント阻害薬の有効性に注目が集まっている。 こうした中で進行および転移のある食道がんの3次治療として、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)を用いた第II相試験であるKEYNOTE-180の結果を、Weill Cornell Medical CollegeのM.A.Shah氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 試験の対象となったのは、化学療法を2次治療以上まで行った進行および転移のある食道腺がん、食道扁平上皮がん、食道胃接合部領域がんの患者。登録された患者では、3週ごとにペムブロリズマブ200mgが投与された。 主要評価項目は全奏効率(ORR)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効持続期間(DOR)、安全性・忍容性とした。なお、登録した患者では治療前検体で、22C3抗体を用いた免疫組織染色でPD-L1発現を測定。腫瘍細胞CPS(Combined Positive Score;PD-L1で染色された細胞数)10%以上をPD-L1陽性と規定した。 試験には121例の患者が登録され、今回の結果は2017年9月18日をカットオフとした。登録患者の9%にあたる11例では、カットオフ日以降も治療が継続されている。追跡期間の中央値は5.8ヵ月で、登録患者の組織型別割合は扁平上皮がんが52%、腺がんが48%。CPS10%以上が48%、CPS10%未満が52%。登録前の治療歴は2次治療が85%で、3次治療以上は15%だった。 主要評価項目であるORRは10%(CR0%、PR10%)。組織型別のORRは扁平上皮がんが14%、腺がんが5%。PD-L1発現状況別のORRはPD-L1陽性が14%、PD-L1陰性が6%だった。 副次評価項目では全体のPFS中央値が2.0ヵ月(95%CI:1.9~2.1ヵ月)。組織型別のPFS中央値は扁平上皮がんが2.1ヵ月(同2.0~2.4ヵ月)、腺がんが1.9ヵ月(同1.8~2.0ヵ月)。PD-L1発現状況別のPFS中央値はPD-L1陽性が2.0ヵ月(同1.9~2.2ヵ月)、PD-L1陰性が2.0ヵ月(同1.9~2.1ヵ月)となった。 OS中央値は全体が5.8ヵ月(同4.5~7.2ヵ月)。組織型別のOS中央値は扁平上皮がんが6.8ヵ月(同5.4~8.9ヵ月)、腺がんが3.9ヵ月(同3.2~6.3ヵ月)。PD-L1発現状況別のOS中央値はPD-L1陽性が6.3ヵ月(同4.4~9.3ヵ月)、PD-L1陰性が5.4ヵ月(同3.9~6.3ヵ月)だった。なお、DORは未達成。 Grade3以上の有害事象の発現率は12%。有害事象全体として主なものは疲労感、発疹、皮膚掻痒、甲状腺機能低下症、下痢、肺臓炎。治療関連有害事象による死亡例が肺臓炎で1例認められた。 治療効果は組織型の違いやPD-L1発現状況にかかわらず認められており、Shah氏は「今回の結果からは、ペムブロリズマブは進行および転移のある食道がんの3次治療での重要な選択肢となる」との見解を示している。

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メポリズマブは難病EGPAの治療を変えるか

 2018年6月6日、グラクソスミスクライン株式会社は、同社のメポリズマブ(商品名:ヌーカラ)が、5月25日に好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(以下「EGPA」と略す)の適応追加の承認を取得したことを期し、本症に関するメディアセミナーを都内で開催した。 セミナーでは、EGPAの診療概要ならびにメポリズマブの説明が行われた。EGPAの診断、喘息患者に神経症状が現れたら要注意 セミナーでは、石井 智徳氏(東北大学 血液免疫病学分野 特任教授)が、「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症について」をテーマにEGPAの最新の知見を講演した。 EGPAは、従来「チャーグ・ストラウス症候群」や「アレルギー性肉芽腫性血管炎」と呼ばれていたが、2012年より本症名で統一された。EGPAの病態は、気管支喘息というアレルギーの要素と種々の臓器障害という血管炎の要素を併せ持った疾患であり、自己抗体(ANCA:抗好中球細胞質抗体)が出現することで著明な好酸球増多を起こし、血管に炎症を起こすとされている。わが国のEGPAの患者像として、推定患者は約2,000例、男女比では女性が多く、その平均発症年齢は55歳、気管支喘息の既往歴のある患者が多いという。 EGPAの全身症状としては、発現頻度順にしびれ、感覚障害などの「神経症状」(93%)、発熱、関節痛などの「全身症状」(76%)、肺炎などの「呼吸器症状」(60%)、紫斑などの「皮膚症状」(51%)、糸球体腎炎などの「腎障害」(39%)、副鼻腔炎などの「耳鼻咽喉症状」(23%)、不整脈などの「心血管系症状」(16%)、腹痛、下痢などの「消化器症状」(16%)、強膜炎などの「粘膜・目の症状」(10%)が報告されている。 診断では、先行症状の喘息、副鼻腔炎などからEGPAに結びつけることは難しく、ANCAでは臨床検査を行っても陽性率が30~50%とあまり高くなく、診断では見逃されている可能性が高いという。石井氏は「EGPAの診断では、患者教育と丁寧な問診、診察が求められ、患者が『最近、喘息発作が多い』『手足がしびれた感じがする』『足首に力が入らず上げられない』など訴えた場合は、本症を疑うべき」と診療のポイントを示した。また、EGPAでは、血管炎による心血管症状が最も予後に関わることから息切れ、心電図異常、MRI・心エコー検査の結果に注目する必要があるという。メポリズマブによるEGPA治療でステロイドを減量できた EGPAの治療では、現在第1選択薬としてステロイドが使用されている。ステロイドは、効果が確実に、早く、広く作用する反面、易感染症、骨粗鬆症、糖尿病の発症、脂質異常症、肥満など副作用も多いことが知られている。そこでステロイド抵抗性例やステロイドの減量を目的に、シクロフォスファミド、アザチオプリン、タクロリムスなどの免疫抑制剤が治療で併用されている。効果はステロイドのように広くないものの、長期投与では副作用がでにくく、最初はステロイドで治療し、免疫抑制剤とともにステロイドを減量する治療も行われている。そして、今回登場した生物学的製剤メポリズマブは、好酸球を作るIL-5に結合することで、好酸球の増殖を阻止し、血管などでの炎症症状を抑える効果を持つ。副作用も注射部位反応はプラセボに比べて多いものの、重篤なものはないという。 最後に石井氏は、「本症のステロイド治療者で糖尿病を発症し、インスリン導入になった患者が、メポリズマブを使用したことでステロイドの減量が可能となり、インスリンを離脱、糖尿病のコントロールができるようになった」と具体的な症例を紹介するとともに、「メポリズマブは、好酸球浸潤のコントロールが難しかった症例への適用やステロイドが減量できなかった症例への効果が期待でき、さらに再燃を抑制し、寛解維持を目指すことができる」と希望を寄せ、講演を終えた。メポリズマブの製品概要 薬効分類名:ヒト化抗IL-5モノクロナール抗体 製品名:ヌーカラ皮下注 100mg 効能・効果:(追加として)既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 用法・容量:通常、成人にはメポリズマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを4週間ごとに皮下に注射する

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若者の約4割がネット依存…精神症状との関連は?:日本の大学生

 日本の大学生の約4割は、インターネットによって生活に問題がもたらされているという研究結果が、慶應義塾大学の北沢 桃子氏らによって報告された。筆者らは、その予測要因として、女性であること、年齢が高いこと、睡眠不足、ADHD傾向、うつ病、不安傾向が挙げられるとした。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌2018年4月13日号に掲載。 最近、インターネットの利用が人にどのような悪影響を及ぼすかという研究が重要視されているが、日本の青少年への影響については十分なデータが得られていなかった。そこで、本研究では、日本の5つの大学に在籍する学生に対してインターネット依存度テスト(IAT:Internet Addiction Test)を実施し、有効回答人数1,258人のインターネット依存度を評価した。また、睡眠の質、ADHDの傾向、抑うつ、不安症状についても聞き取りを行った。 主な結果は以下のとおり。・回答者全体の38.2%が「インターネットによる問題あり」に分類された。・女性は、男性よりも「インターネットによる問題あり」に分類される傾向が有意に高かった(男性35.2%、女性40.6%、p=0.05)。・「インターネットによる問題あり」に分類された群は、分類されなかった群と比較して、以下の項目で有意な差が認められた。 インターネット利用時間が長い(p<0.001) 睡眠の質が低い(p<0.001) ADHD傾向が強い(p<0.001) うつ病スコアが高い(p<0.001) Trait-Anxietyスコアが高い(p<0.001)・「インターネットによる問題あり」のリスク上昇に寄与した要因は、女性(OR=1.52)、年齢が高い(OR=1.17)、睡眠不足(OR=1.52)、ADHD傾向(OR=2.70)、うつ病(OR=2.24)、不安傾向(OR=1.43)であった。

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Stage IV胃がん2次治療、ペムブロリズマブ対パクリタキセル(KEYNOTE-061)/ASCO2018

 現在、Stage IV胃がんでは、国際的には1次治療としてフッ化ピリミジン系抗がん剤と白金製剤の併用、2次治療ではタキサン系抗がん剤のパクリタキセルと分子標的治療薬のラムシルマブの併用、あるいはパクリタキセル、ドセタキセル、塩酸イリノテカンの単剤が用いられている。 一方、ペムブロリズマブは、KEYNOTE-059試験で、2ライン以上の治療歴のあるPD-L1陽性の胃/胃・食道接部がんで良好な効果と安全性を示している。こうしたことを受けて、進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者を対象に2次治療でペムブロリズマブとパクリタキセルの効果を比較する第III相試験 KEYNOTE-061が実施された。その初回解析の結果を国立がん研究センター東病院消化器内科の設樂紘平氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 対象はフッ化ピリミジン系抗がん薬と白金製剤の併用の1次治療を終了したStageIVの切除不能進行・転移性の進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者。登録患者はペムブロリズマブ(1回200mg)3週ごとの群とパクリタキセル(1日目、8日目、15日目に投与)4週ごとの群に割り付けられた。 登録患者では治療前検体で、22C3抗体を用いた免疫組織染色でPD-L1発現を測定。CPS(Combined Positive Score)1%以上をPD-L1陽性と規定した。主要評価項目はCPS1%以上の患者での全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)とし、副次評価項目は同じくCPS1%以上の患者での全奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)、安全性・忍容性とした。 登録総患者数は592例でペムブロリズマブ群とパクリタキセル群が各296例。このうちCPS1%以上はペムブロリズマブ群が196例、パクリタキセル群が199例だった。 主要評価項目であるPD-L1陽性でのOS中央値は、ペムブロリズマブ群で9.1ヵ月(6.2~10.7ヵ月)、パクリタキセル群で8.3ヵ月(7.6~9.0ヵ月)で、両群間に有意差はなかった(HR:0.82、95%CI:0.66~1.03、p=0.04205[片側])。またPFS中央値はペムブロリズマブ群で1.5ヵ月(1.4~2.0ヵ月)、パクリタキセル群で4.1ヵ月(3.1~4.2ヵ月)だった(HR:1.27、95%CI:1.03~1.57)。 副次評価項目では、ORRがペムブロリズマブ群で15.8%、パクリタキセル群で13.6%、DOR中央値がペムブロリズマブ群で18.0ヵ月(1.4~26.0ヵ月)、パクリタキセル群で5.2ヵ月(1.3~16.8ヵ月)。 Grade3以上の治療に伴う有害事象の発現率は、ペムブロリズマブ群が14.3%、パクリタキセル群が34.8%。Grade1以上の有害事象全体で主なものは、ペムブロリズマブ群が疲労感(15.8%)、食欲不振(8.2%)、パクリタキセル群が脱毛(40.2%)、疲労感(23.2%)。 また、Grade3以上の免疫関連有害事象や注射部位反応の発現率は、ペムブロリズマブ群が3.4%、パクリタキセル群が1.8%で、ペムブロリズマブ群で多かった免疫関連有害事象は甲状腺機能低下症(7.8%)、甲状腺機能亢進症(4.1%)となっていた。 OS、PFSは両群間で有意差は認められなかったが、サブグループで解析すると、PD-L1陽性患者でECOG PS0の場合、OS中央値はペムブロリズマブ群で12.3ヵ月(9.7~15.9ヵ月)、パクリタキセル群で9.3ヵ月(8.3~10.5ヵ月)であり(HR:0.69、95%CI:0.49~0.97)、PD-L1陽性でもCPS10%以上ではペムブロリズマブ群で10.4ヵ月(5.9~17.3ヵ月)、パクリタキセル群で8.0ヵ月(5.1~9.9ヵ月)と(HR:0.64、95%CI:0.41~1.02)ともにペムブロリズマブが良好な傾向を示した。 また、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)陽性の患者のみに限定すると、OSはペムブロリズマブ群が未達成、パクリタキセル群が8.1ヵ月(2.0~16.7ヵ月)であり(HR:0.42、95%CI:0.13~1.31)、ORRはペムブロリズマブ群が46.7%、パクリタキセル群が16.7ヵ月と、ペムブロリズマブ群で良好な傾向を示した。 設樂氏は「今回のデータからペムブロリズマブ単独療法でベネフィットを得られる患者集団の特定に向けた研究が必要である」との見解を示している。■参考KEYNOTE-061試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ASCO2018消化器がんオンサイトレポート進行胃がん、ペムブロリズマブの治療効果は?KEYNOTE-059/ASCO2017〔6月19日 記事の一部に誤りがありましたので、修正いたしました。〕

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がん悪液質ガイド日本語翻訳版を公開/日本がんサポーティブケア学会

 一般社団法人 日本がんサポーティブケア学会は、2018年5月22日、「JASCCがん支持医療ガイド翻訳シリーズ」として「がん悪液質:機序と治療の進歩 初版日本語版(編集:日本がんサポーティブケア学会 Cachexia 部会)」を公開した。 「がん悪液質:機序と治療の進歩 初版日本語版」は、がん悪液質の概要、機序や治療選択肢など5章88ページからなる。 同学会サイトでPDFデータが閲覧でできる。日本がんサポーティブケア学会 刊行物・ガイドライン

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腎がんの分子標的治療に腎切除は必要か/NEJM

 転移を有する腎細胞がん患者において、スニチニブ単独療法は、腎切除後にスニチニブ投与を受ける標準治療に対し、非劣性であることが示された。フランス・ジョルジュ・ポンピドゥー欧州病院のArnaud Mejean氏らによる、第III相の無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年6月3日号で発表された。この20年の間、転移を有する腎細胞がんの治療は、無作為化試験や大規模後ろ向き試験によって腎切除術が標準とされてきたが、研究グループは、近年の分子標的薬の台頭を受けて、腎切除術の役割について評価を行った。標準治療 vs.スニチニブ単独の無作為化試験 試験は、転移を有する腎細胞がんが生検で確認され腎切除術が至適であった患者を、手術を受けその後にスニチニブ投与を受ける(標準治療)群またはスニチニブ投与のみを受ける群に、無作為に1対1に割り付けて行われた。無作為化では、Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)分類に基づき予後リスク(中または高)による層別化も行った。 スニチニブの投与は、50mg/日を28日間、その後14日間休薬する6週間サイクルで行われた。主要エンドポイントは、全生存期間(OS)であった。OS中央値がスニチニブ単独群で延長、死亡HRは0.89で非劣性を確認 2009年9月23日~2017年9月8日に、フランス79施設およびその他の欧州の施設から、計450例の患者が登録された(フランス425例、英国14例、ノルウェー10例、スウェーデン1例)。 計画されていた中間解析の時点(2017年12月12日)で、追跡期間中央値50.9ヵ月、男性被験者が大半を占め(74.7%)、intention-to-treat集団(標準治療群226例、スニチニブ単独群224例)の年齢中央値は62歳、56.0%がECOG PSスコア0であった。両群のベースライン特性は均衡がとれており、MSKCC分類に基づく中リスク患者は、標準治療群55.6%、スニチニブ単独群58.5%、高リスク患者はそれぞれ44.4%、41.5%であった。 中間解析の時点で、326例(91.0%ががんに関連)の死亡が観察された。intention-to-treat集団のOS中央値は、スニチニブ単独群(18.4ヵ月、95%信頼区間[CI]:14.7~23.0)が標準治療群(13.9ヵ月、11.8~18.3)に比べて延長が認められた。MSKCCリスクスコアで層別化したOSの解析における死亡に関するハザード比は、0.89(95%CI:0.71~1.10)で、95%CI上限値は非劣性マージン(≦1.20)を満たした。 奏効率や無増悪生存は、両群間で有意な差はみられなかった。有害事象は、両群とも想定内のものであった。

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NIHやメガファーマが資金提供した臨床試験はやはり優れていた(解説:折笠秀樹氏)-873

 臨床試験の世界最大登録サイトであるClinicaltrials.govと医学文献データベースであるPubMedを使って、主にファンディング(財源)と臨床試験の品質との関係が調査された。登録された薬剤臨床試験として、最近の4万5,620件を対象にした。 ファンディングとスポンサリングとはちょっと異なる。ファンディングとは資金の出処(資金源)を指し、試験への関与は問わない。スポンサリング(主宰と訳す)とは資金提供とともに、試験への全面的関与も意味する。日本語では同じ意味で使われているようだが、区別しておきたい。A企業が資金提供して試験も全責任をもつ場合、ファンディングはA企業、スポンサリングもA企業となる。一方、A企業が資金提供するも、試験は研究グループが責任をもって実施する場合、ファンディングがA企業となるだけである。後者は、臨床研究法の中の「特定臨床研究」に該当する。 臨床試験など、いかなる研究にも財源が必須である。研究発表すると、「財源はどこですか」と聞かれる。「とくにない、手弁当だ」と答える日本人がいるが、それは欧米では通じないことが多い。外部資金を確保できない研究者は研究できないことになり、降格してカレッジなどへ移ることがある。もちろん、資金は外部からだけとは限らず、大学や病院から受けることもあるだろう。本調査では、財源を国家予算(NIH)、製薬企業(メガファーマ、中小ファーマ)、その他(財団、大学、病院など)に分けた。製薬企業52%(メガ31%、中小21%)、NIH11%、その他37%という結果であった。これは件数ベースの報告であり、金額ベースだと製薬企業の比率はもっと高いと思われる。 事前登録された臨床試験数は急速に伸びており、2017年には1万件を超えていた。それに伴い、品質の悪い臨床試験報告が増えている印象を持つ。査読の適当な雑誌も増えているのが原因だと思われる。量が増えると、平均的には必ず水準が下がる。統計的には「平均への回帰」と呼んでいる。1期生は優秀だが、どんどん水準が落ちていく例に似ている。だれでも臨床試験を手掛けられるよう、裾野が広がるためと思われる。ちなみに、事前登録はヘルシンキ宣言の35項に書かれている。 ヘルシンキ宣言には、「研究結果は必ず公表する」という研究者の義務についても書かれている(36項)。メガファーマやNIHが試験提供した臨床試験では60%程度の公表率であったが、その他の臨床試験では40%程度と低かった。これは何を意味しているだろうか。メガファーマやNIHの支援で実施された臨床試験のほうが、試験品質の良いことが推測される。品質の悪い試験は、雑誌の査読過程で棄却されがちだからである。 領域別の結果も出ていた。予想に反して、「がん・循環器・脳神経」領域で、ビッグファーマの割合が30%程度と最も低かった。この割合は件数ベースであり、金額ベースでは違うと推測される。これらの3領域は、規模が圧倒的に大きいことも影響していることだろう。

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進行肺がんへのアテゾリズマブ単剤療法、効果予測因子としての血中TMBの値は?(B-F1RST)/ASCO2018

 非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)2次治療におけるアテゾリズマブ単剤療法の有効性を評価した2つの無作為化試験(第III相OAK試験、第II相POPLAR試験)において、腫瘍遺伝子変異量(TMB)が高レベルの患者で、PFSのベネフィットが大きいことが確認されている。血液中のTMB(bTMB)がアテゾリズマブの効果予測因子となりうるかについて評価したB-F1RST試験の中間解析結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で、米国・クリーブランド・クリニックのVamsidhar Velcheti氏により発表された。 B-F1RST試験は、次世代シーケンサー(NGS)パネルを用いて、bTMBのバイオマーカーとしての有効性を前向きに評価した第II相シングルアーム試験。対象は、免疫療法未施行のStage IIIB~IVBのNSCLC患者で、アテゾリズマブ1,200mgが3週間ごとに投与された。 78例が中間解析集団(IAP)に組み入れられ、うち58例が、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を十分に検出可能な血液試料(MSAF≧1%)を有する、バイオマーカー評価可能集団(BEP)であった。BEPにおける臨床的有効性を評価するために、bTMBスコアのカットオフ値は16と事前指定された(高bTMB群:≧16、低bTMB群:<16)。 主な結果は以下のとおり。・年齢、性別、全身状態、PD-L1発現状況などのベースライン時の特性は、IAPとBEPで同様であった。・BEPにおける無増悪生存期間(PFS)中央値(最少追跡期間:6ヵ月)は、高bTMB群(11例)で9.5ヵ月、低bTMB群(47例)で2.8ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.51、90%信頼区間[CI]:0. 24~1.08、p=0.1315)。・BEPにおけるPFSのハザード比は、bTMBスコアが高くなるに従い改善された。・BEPにおける客観的奏効率(ORR)は12.1%であった(高bTMB群:36.4%、低bTMB群:6.4%、オッズ比:8.38 、90% CI:2.02~34.79、p=0.02)。・IAP全体において、治療関連の重篤な有害事象は15.4%、grade3以上の有害事象は19.2%で発現した。これまでのアテゾリズマブ単剤療法における報告と異なる安全性シグナルは確認されなかった。 B-F1RST試験は進行中であり、153例の患者が登録を完了している。■参考ASCO2018 AbstractB-F1RST試験(Clinical Trials.gov)■関連記事atezolizumabによる長期生存NSCLC患者の特徴:OAK/WCLC※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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まさかの場所に魚の骨が!?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第117回

まさかの場所に魚の骨が!? いらすとやより使用 魚骨って消化器系の異物論文ではよく見掛ける原因なんですが、基本的に頸部周辺では簡単に摘出できるものが多く、異物論文としての報告例自体は少ないです。そんな中、異彩を放つ論文がありました。 Wu E, et al.Migratory Fish Bone in the Thyroid Gland: Case Report and Literature Review.Case Rep Med. 2018;2018:7345723.そもそも魚骨は咽頭に引っ掛かって、救急外来で「ほら、取れたよ」というシーンになることが多いのですが、咽頭に刺さった骨がそのまま移動してしまって…というシナリオはあまり想定されていません。この症例報告は、なんと31歳の女性の甲状腺で魚骨が見つかったというものです。食道から胃のほうへ流れていくのならともかく、なぜに甲状腺…!?この女性、ディナーパーティーの時にパクパクといろんなものを食べていたら、突然、喉の痛みを感じたらしいです。魚の骨だと気付き、米やら飲み物やらジャカジャカ飲み食いして流そうとしましたが、ダメでした。仕方なく病院を受診し、ファイバーで喉頭をのぞいてもらいました。しかし、どこにも異物はなく、「ま、おそらく流れていったんでしょう」という結果になりました。いつしか、彼女の咽頭の違和感も消えていました。さて、このエピソードから2ヵ月経ったころでしょうか。首を回転させると、左頸部に違和感があるのです。グルン、イタッ。グルン、イタッ。なにこれ。超音波をしてみました。痛い場所は甲状腺です。……アレッ!!! 甲状腺に魚の骨がある!!!とりあえず、甲状腺に骨があってはタイヘンなので、外科手術で摘出されました。なんと、長さ2.45cmの魚の骨が甲状腺から出てきたのです。珍しい経過ですが、実は過去に20例近い甲状腺魚骨の症例が報告されており、“長い魚の骨”というのがリスク因子ではないかと考えられています。鋭く尖った骨が、食事によって運悪く甲状腺に押し込まれてしまうのです。

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吸入薬の使い方、効果発現の要は舌を下げること

 気管支喘息治療の根幹はステロイド薬を中心とした吸入薬であり、正しい吸入操作を行うことが必要不可欠である。今回、藤田保健衛生大学の堀口 高彦氏らは、吸入デバイスの操作だけでなく、目に見えない口腔内の状況、とくに舌に焦点を当て、吸入薬使用時の望ましい舌の位置について検討を行った。その結果、舌を下げて吸入薬の通り道をつくることで、より多くの薬剤が咽頭に到達し、気管方向に流入していく様子が確認できた。舌が吸入薬の流入経路の妨げにならないよう、舌と舌根をなるべく下げ、喉の奥を広げるよう患者に指導することが望ましい。今回の結果は、The journal of allergy and clinical immunology:In practice誌2018年5~6月号に掲載された。吸入薬は舌を下げたほうが有意に多くの粉末が咽頭領域に達する 本研究では、28~41歳の健康な非喘息のボランティア6人(男女各3人)を対象とした試験が行われた。プラセボがセットされた粉末吸入器(DPI:Dry Powder Inhaler)とエアゾール吸入器(pMDI:pressurized Metered Dose Inhaler)を用い、吸入する際に意識して舌を下げない場合と、吸入口の下に舌を入れ、舌を下げて喉の奥を広げるようにした場合の、気管への薬剤流入量の違いを内視鏡を用いて撮影した。撮影した動画から、最も多くの粉末もしくはエアロゾルが流入した静止画を抽出し、DPIでは粉末の量を、pMDIではエアロゾルの濃度を画像解析で比較した。 吸入薬使用時の望ましい舌の位置について検討した主な結果は以下のとおり。・DPI使用例において、選択された画像全体で粉末が占める割合は、舌を下げたとき60.7%だったのに対し、舌を下げていないときは17.4%だった。・DPI全使用例において、舌を下げたほうが有意に多くの粉末が咽頭領域に達した(p=0.0116)。・pMDI使用例において、選択された画像でエアロゾル濃度を示す平均ピクセル強度は、舌を下げたとき255だったのに対し、舌を下げていないときは154だった。・pMDI全使用例において、舌を下げたほうが有意に多くのエアロゾルが咽頭領域に達した(p=0.00165)。外来で患者に「ホー」吸入を説明する方法(1)「ホー」と歌うつもりで舌を下げてもらう。  舌と舌の根元を下げ、喉の奥の広がりを感じることができる。(2)息を十分に吐いた後、大きく息を吸って、気流が喉の奥(咽頭の後壁)に当たるのを感じたか患者に確認する。感じない場合は、繰り返し練習してもらう。(3)吸入練習器で音が鳴るか実践してもらう。 患者がこの技法を習得できれば、気管内への薬の送達が改善され、吸入薬の有効性を最大限に高めることができる。医療者は、外から見えない口腔内の状況まで考慮する必要があると考える。■関連記事吸入薬使い方ガイド

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メガファーマスポンサーの臨床試験は結果公表率が高い?/BMJ

 臨床試験のデザインと結果の公表は、疾患領域だけではなく資金提供組織のタイプや規模によっても大きく異なるという。英国・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのMagdalena Zwierzyna氏らが、資金提供組織と専門領域別に臨床試験の実施状況、デザインの特性および公表(dissemination)について調査した記述分析の結果を報告した。登録された臨床試験であっても、試験デザインが最適でなかったり、結果の公開が遅れることはよくあり、全試験のほぼ半数が試験完遂後何年も公表されないままである。現在、さまざまな組織が臨床試験に資金提供を行っており、報告される割合やその他の研究の質は、資金提供組織のタイプによって異なる可能性が指摘されていた。BMJ誌2018年6月6日号掲載の報告。Clinicaltrials.govに登録された臨床試験計4万5,000件を検証 研究グループは、Clinicaltrials.govにおける試験のプロトコール情報、PubMedにおける試験結果に関する学術論文のメタデータ、Scimago Journal & Country Rankのデータベースにおける関連学術誌の品質測定法を用い、2006年1月以降2015年7月以前に完了した全臨床試験相にわたる無作為化試験および非無作為化試験で、分子標的治療、生物学的製剤、アジュバントおよびワクチンを評価した計4万5,620件について記述的分析を行った。大企業やNIHから資金提供を受けた臨床試験、結果の公表率は約6~7割 企業は非営利組織に比べ大規模な国際共同無作為化試験に資金提供しているようであったが、時間とともに資金提供する試験方法に差はみられなくなった。試験を完遂した有効性評価試験(第II~IV相試験)2万7,835件のうち、結果が公表されていたのは1万5,084件(54.2%)であった。 企業は非営利組織よりも試験結果を公表する可能性が高く(59.3%[1万444/1万7,627件]vs.45.3%[4,555/1万66件])、大規模製薬会社は小規模の製薬会社よりも公表率が高かった(66.7%[7,681/1万1,508件]vs.45.2%[2,763/6,119件])。また、米国国立衛生研究所(NIH)から資金提供を受けた試験は、他の非営利組織から資金提供を受けた試験よりも公表率が高かった(60.0%[1,451/2,417件]vs.40.6%[3,104/7,649件])。 大規模製薬会社ならびにNIHから資金提供を受けた試験の結果は、非営利組織から資金提供を受けた試験と比較して、Clinicaltrials.govに掲載されていることが多く、主に学術論文として公表されていた。無作為化試験は非無作為化試験に比べ学術雑誌で公表される可能性が高く(34.9%[6,985/19,711件])vs.18.2%[1,408/7,748件])、学術雑誌で発表される割合は腫瘍学で20%、自己免疫疾患では42%と、疾患領域によって差異があった。 なお著者は、Clinicaltrials.govに登録された臨床試験に限定していること、登録ミスや不適切な登録・不明確な用語といったデータの質に関する要因がある可能性を、研究の限界として挙げている。

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日本の急性期統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性

 CNS薬理研究所の石郷岡 純氏らは、日本人急性期統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの有効性、安全性、忍容性について、プラセボと比較し、評価を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2018年5月18日号の報告。 日本における第II/III相試験として、6週間の多施設二重盲検プラセボ対照臨床試験を実施した。急性期統合失調症患者を対象に、ブレクスピプラゾール1、2、4mg/日またはプラセボ群にランダムに割り付けた。主要評価項目は、ベースラインから6週目におけるPANSS(陽性・陰性症状評価尺度)総スコアの変化量とした。 主な結果は以下のとおり。・ランダム化された459例において、プラセボと比較し、以下の変化が認められた。 ●ブレクスピプラゾール2mg/日群 有意な改善(治療差:-7.32、p=0.0124) ●ブレクスピプラゾール4mg/日群 改善(治療差:-3.86、p=0.1959) ●ブレクスピプラゾール1mg/日群 最も少ない変化(治療差:-0.63、p=0.8330)・ブレクスピプラゾール群において、発現率が5%以上およびプラセボと比較し2倍以上であった治療下で発現した有害事象(TEAE)は、嘔吐、血中プロラクチン上昇、下痢、悪心、う蝕であった。・ほとんどのTEAEの重症度は、軽度~中等度であった。・ブレクスピプラゾール群では、心電図パラメータ、体重、検査値、バイタルサインの臨床的に有意な変化は認められなかった。 著者らは「日本人成人の急性期統合失調症患者に対するブレクスピプラゾール治療は、有効かつ忍容性が良好であった」としている。■関連記事日本人統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの長期安全性・有効性に関する52週オープンラベル試験統合失調症の維持治療に対するブレクスピプラゾールの長期安全性評価研究新しいドパミン受容体パーシャルアゴニスト、ブレクスピプラゾール

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閉経前乳がん術後、卵巣機能抑制の上乗せ効果/NEJM

 閉経前の乳がん患者に対する内分泌療法では、タモキシフェン単独に比べ、タモキシフェン+卵巣機能抑制により、無病生存率と全生存率が改善することが示された。無病生存率はタモキシフェン単独に比べ、エキセメスタン+卵巣機能抑制でも改善が認められた。オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのPrudence A.Francis氏らが、閉経前乳がん患者への内分泌療法について行った2つの無作為化試験、SOFT試験とTEXT試験の最新の結果をまとめたもので、NEJM誌オンライン版2018年6月4日号で発表した。タモキシフェンとエキセメスタンの内分泌療法を5年間実施 SOFT試験では、閉経前乳がん患者を無作為に3群に分け、内分泌療法としてタモキシフェン、タモキシフェン+卵巣機能抑制、エキセメスタン+卵巣機能抑制をそれぞれ5年間実施した。また、TEXT試験では、閉経前乳がん患者を無作為に2群に分け、タモキシフェン+卵巣機能抑制とエキセメスタン+卵巣機能抑制をそれぞれ5年間実施した。無作為化については、化学療法の有無によって層別化した。 これまでに行われた両試験の分析では、タモキシフェン+卵巣機能抑制よりもエキセメスタン+卵巣機能抑制で、5年時の乳がん再発率が有意に低減したことが報告されている。今回Francis氏らは、2試験の最新の結果を報告した。8年無病生存率、タモキシフェン単独群78.9%、タモキシフェン+卵巣機能抑制群83.2% SOFT試験において8年無病生存率は、タモキシフェン単独群78.9%、タモキシフェン+卵巣機能抑制群83.2%、エキセメスタン+卵巣機能抑制群85.9%だった(タモキシフェン単独群対タモキシフェン+卵巣機能抑制群のp=0.009)。 8年全生存率は、タモキシフェン単独群91.5%、タモキシフェン+卵巣機能抑制群93.3%、エキセメスタン+卵巣機能抑制群92.1%だった(タモキシフェン単独群対タモキシフェン+卵巣機能抑制群のp=0.01)。また、化学療法後の閉経前乳がん患者の全生存率はそれぞれ85.1%、89.4%、87.2%だった。 化学療法を受けたHER2陰性患者の8年遠隔転移率は、エキセメスタン+卵巣機能抑制群がタモキシフェン+卵巣機能抑制群に比べ有意に低率だった(SOFT試験では7.0ポイント、TEXT試験では5.0ポイント)。 Grade3以上の有害事象は、タモキシフェン単独群で24.6%、タモキシフェン+卵巣機能抑制群で31.0%、エキセメスタン+卵巣機能抑制群で32.3%報告された。

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ASCO2018肺がん会員聴講レポート

2018年6月1日から5日まで、米国シカゴにて開催された2018 ASCO Annual Meetingの情報をまとめました。会員現役ドクターによる聴講レポートおよびCareNet.comオリジナルのASCO2018 ニュースを紹介しています。現地シカゴからオンサイトレビューASCO2018肺がん関連ニュース現地シカゴからオンサイトレビュー会員聴講レポートレポーター紹介ASCO2018肺がん関連ニュースケアネットオリジナル肺がん関連のニュースです。今回は、2018年6月1日~5日開催のASCO2018から重要トピックを紹介します。

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発症時間不明の脳梗塞、MRIミスマッチを根拠とするrt-PA静注療法で転帰改善か(中川原譲二氏)-871

 現行ガイドラインの下では、アルテプラーゼ静脈療法は、発症から4.5時間未満であることが確認された急性脳梗塞だけに施行されている。ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのGotz Thomalla氏らは、発症時間が不明だが、MRIによって発症が直近の脳梗塞と示唆された患者について、アルテプラーゼ静脈療法にベネフィットがあるかを検討した(多施設共同無作為化二重盲険プラセボ対照試験「WAKE-UP試験」)。その結果、発症時間不明の急性脳卒中患者において、脳虚血領域のMRIによる拡散強調画像(DWI)とFLAIR画像のミスマッチを根拠に行ったアルテプラーゼ静脈療法は、プラセボ投与と比べて、90日時点の機能的転帰は有意に良好であることが示された。ただし、頭蓋内出血は数的には多く認められた(NEJM誌オンライン版2018年5月16日号)。MRIミスマッチを根拠に介入、90日時点の機能的転帰を評価 研究グループは、ヨーロッパの8ヵ国で発症時間が不明の脳卒中患者を集め、アルテプラーゼ静脈内投与群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。すべての患者についてMRIが施行され、DWIで虚血病変が認められるが、FLAIR画像では明らかな高信号域(hyperintensity)が認められず、脳卒中発症がおそらく4.5時間未満と示唆された。なお、被験者のうち、血栓除去術が予定されていた患者は除外した。主要評価項目は、修正Rankinスケール(mRS)による90日時点の神経学的障害スコア(0[障害なし]~6[死亡])が、0または1で定義される良好な転帰とした。副次評価項目は、シフト解析による、アルテプラーゼ群がプラセボ群よりも、mRSのスコアを低下させる尤度とした。治療群で機能的アウトカムは有意に改善、一方で死亡・頭蓋内出血例が上昇 試験は、当初800例を見込んでいたが、無作為化を受けた503例(アルテプラーゼ群254例、プラセボ群249例)の登録時点で、試験継続の資金調達が困難と予想され早期に中止となった。90日時点で転帰良好であった患者は、アルテプラーゼ群131/246例(53.3%)、プラセボ群102/244例(41.8%)であった(補正後オッズ比:1.61、95%信頼区[CI]:1.09~2.36、p=0.02)。90日時点のmRSスコアの中央値は、アルテプラーゼ群1、プラセボ群2であった(補正後共通オッズ比:1.62、95%CI:1.17~2.23、p=0.003)。一方で、死亡は、アルテプラーゼ群10例(4.1%)、プラセボ群3例(1.2%)が報告された(オッズ比:3.38、95%CI:0.92~12.52、p=0.07)。また症候性頭蓋内出血は、アルテプラーゼ群2.0%、プラセボ群0.4%で認められた(オッズ比:4.95、95%CI:0.57~42.87、p=0.15)。アルテプラーゼ静脈療法の治療根拠にtissue-baseの適応が加わる 現行のアルテプラーゼ静脈療法は、当初は発症から3時間未満であることが確認された急性脳梗塞だけが適応とされ(NINDS trial、1995年)、その後、time windowが発症から4.5時間未満まで延長された(ECASS III trial、2008年)。すなわち、アルテプラーゼ静脈療法については、time-baseの適応基準のみが確立されてきた。これに対して、今回の研究は、発症時間が不明であっても、MRIでDWIとFLAIR画像のミスマッチが見られる症例では、アルテプラーゼ静脈療法が有効であることが示され、tissue-baseの適応基準が加わったことになる。脳梗塞の成立には、発症からの時間と虚血組織の残存脳血流が関与することは言うまでもない。DWIとFLAIR画像のミスマッチは、発症からの時間が間もないことを反映する。しかし、残存脳血流がきわめて乏しい症例のDWIでは高信号病変(不可逆病変)がただちに出現するが、FLAIR画像では高信号病変の出現に時間がかかる。急性期のFLAIR画像に高信号病変が見られないことは、必ずしも組織の不可逆的変化の程度を反映しない。本研究におけるアルテプラーゼ群の死亡や症候性頭蓋内出血の増加が、FLAIR画像に高信号病変が見られない重症脳虚血症例に対するtime window外の治療開始を反映している可能性があることを考慮する必要がある。

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ベンゾジアゼピン耐性アルコール離脱症状に対するケタミン補助療法

 ベンゾジアゼピン(BZD)治療抵抗性アルコール離脱は、利用可能な薬剤に関するエビデンスが限定的であるため、多くの施設において課題となっている。現在、アルコール離脱に対して、NMDA受容体アンタゴニストであるケタミンを用いた研究が報告されている。米国・Advocate Christ Medical CenterのPoorvi Shah氏らは、ICU(集中治療室)におけるBZD治療抵抗性アルコール離脱患者への、症状コントロールに対する補助的なケタミン持続点滴療法の効果およびロラゼパム静注の必要性について評価を行った。Journal of medical toxicology誌オンライン版2018年5月10日号の報告。 2012年8月~2014年8月に、ロラゼパム静注に補助的なケタミン療法を追加した重度のアルコール離脱患者を対象とし、レトロスペクティブレビューを行った。アウトカムは、症状コントロールまでの時間、ロラゼパム静注の必要性、ケタミンの初日および最大日の注入速度、ケタミンの副作用とした。 主な結果は以下のとおり。・分析に含まれた対象患者は、30例であった。・ロラゼパム静注開始後のケタミンの平均開始時間は、41.4時間であった。・すべての患者において、ケタミン開始後1時間以内に初期の症状コントロールが認められた。・ケタミンの注入速度中央値は、初日で0.75mg/kg/時、最大日で1.6mg/kg/時であった。・ケタミン開始後24時間で、ロラゼパムの注入速度の有意な低下が認められた(-4mg/時、p=0.01)。・中枢神経系の副作用が報告された患者はいなかった。・高血圧が2例で報告され、ケタミン関連の頻脈の報告はなかった。 著者らは「BZD治療抵抗性アルコール離脱患者に対するケタミン併用は、症状コントロールを可能とし、ロラゼパム静注の必要性を潜在的に減少させる可能性がある。BZD治療抵抗性アルコール離脱患者のための最適な投与量、開始時期、治療場所を決定するためには、さらなる研究が必要である。NMDA受容体を介するケタミンの作用機序は、BZD治療抵抗性アルコール離脱に対し有益である可能性がある」としている。■関連記事アルコール依存症治療に期待される抗てんかん薬不眠症とアルコール依存との関連アルコール摂取量削減のためのサービングサイズ変更効果

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