サイト内検索|page:225

検索結果 合計:10324件 表示位置:4481 - 4500

4481.

小児ADHDに関連する食事パターン~メタ解析

 注意欠如多動症(ADHD)は、世界中の小児にみられる慢性的な精神疾患である。イラン・Shahid Sadughi University of Medical SciencesのElham Shareghfarid氏らは、小児の食事パターンとADHDとの関連について、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Clinical Nutrition ESPEN誌2020年4月号の報告。 Google Scholar、SCOPUS、ISI Web of science、PubMedなどのデータベースより2017年6月までの文献を検索し、ADHD児における食事パターンや食物摂取に関する研究を抽出した。達成された相対リスク(RR)およびオッズ比(OR)については、主な食事パターンのアドヒアランスの最大と最小を比較した。異質性は、コクランのQ検定およびI2検定により評価した。 主な結果は以下のとおり。・本システマティックレビューには、6つの食事パターンおよび6種類の食品または栄養素の研究を含めた。・6つの食事パターンの研究(8,816例)についてメタ解析を実施した。・プール解析では、健康的な食事パターン(OR:0.63、95%CI:0.41~0.96)はADHDリスクの有意な減少を示した。一方、西洋食(OR:1.92、95%CI:1.13~3.26、p=0.016)およびジャンクフード(OR:1.51、95%CI:1.06~2.16、p=0.024)の食事パターンはADHDリスクを有意に増加させた。 著者らは「野菜、果物、豆類、魚を多く含む健康的な食事パターンは、ADHDの発症を37%低減させた。さらに、甘味料入りの飲料やデザートを含むジャンクフードおよび赤身肉、精製穀物、加工肉、硬化油などの西洋食の食事パターンは、ADHDリスクを増加させた」としている。

4482.

DS-8201のHER2陽性胃がん、FDAブレークスルーセラピー指定に/第一三共

 第一三共とアストラゼネカは、2020年5月11日、トラスツズマブ デルクステカン(開発コード:DS-8201)が、米国食品医薬品局(FDA)よりHER2陽性の再発あるいは転移のある胃がん治療を対象としてブレークスルーセラピー指定を受けたと発表した。 今回の指定は、トラスツズマブを含む2つ以上の前治療を受けたHER2陽性の進行・再発胃腺がん患者または胃食道接合部腺がん患者を対象とした第II相臨床試験(DESTINY-Gastric01)および日米共同第I相臨床試験の解析結果に基づくもの。第II相臨床試験(DESTINY-Gastric01)の結果は、本年5月下旬に開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表予定である。参考DESTINY-Gastric01試験(Clinical Trials.gov) 国内では、2018年3月に厚生労働省よりHER2過剰発現の治癒切除不能な進行・再発の胃がん治療を対象として、先駆け審査指定を受けており、本年(2020年)4月に胃がんに係る効能又は効果追加の製造販売承認事項一部変更承認申請を行っている。

4483.

COVID-19と乳がん診療ガイドライン―欧米学会発表まとめ(吉村吾郎氏)

新型コロナウイルス (COVID-19) パンデミック下での乳がん診療の優先順位をどう考えるべきか。欧米関連学会が発表したガイドラインを市立岸和田市民病院 乳腺外科部長 吉村 吾郎氏が解説する。新型コロナウイルス (COVID-19) パンデミック下での乳がん診療について、欧州臨床腫瘍学会 European Society for Medical Oncology Cancer (ESMO) 1) と米国乳がん関連学会2)がガイドラインを作成している。いずれのガイドラインも COVID-19 リスクの最小化と診療利益の最大化を目的とする、乳がん患者の優先順位付けを推奨している。その内容に大差はなく、診療内容別に高優先度/中優先度/低優先度に分類し、米国ガイドラインは中および低優先度をさらに3段階に細分している。本邦の臨床事情に合わせて若干改変した両ガイドラインの概略を以下に記載する。【外来診療】○高優先度感染や血腫などで病状が不安定な術後患者発熱性好中球減少症や難治性疼痛など腫瘍学的緊急事態浸潤性乳がんの新規診断○中優先度非浸潤性乳がんの新規診断化学療法や放射線療法中の患者病状が安定している術後患者○低優先度良性疾患の定期診察経口アジュバント剤投与中、あるいは治療を受けていない乳がん患者の定期診察生存確認を目的とする乳がん患者の定期診察【診断】○高優先度重症乳房膿瘍や深刻な術後合併症評価目的の診断しこりやその他乳がんが疑われる自覚症状を有する症例に対する診断臨床的に明らかな局所再発で、根治切除が可能な病変に対する診断○中優先度マンモグラフィ検診で BI-RADS カテゴリ4または5病変の診断転移再発が疑われ、生検が必要とされる乳がん患者への診断○低優先度マンモグラフィ検診BRCAキャリアなど高リスク例に対する検診マンモグラフィ検診で BI-RADS カテゴリ3病変の診断無症状の初期乳がん患者に対するフォローアップ診断【手術療法】○高優先度緊急で切開ドレナージを要する乳房膿瘍および乳房血腫自家組織乳房再建の全層虚血術前化学療法を終了した、あるいは術前化学療法中に病状が進行した乳がん患者トリプルネガティブ乳がん、あるいはHER2陽性乳がん患者で、術前化学療法を選択しない場合○中優先度ホルモンレセプター陽性/HER2陰性/低グレード/低増殖性のがんで、術前ホルモン療法の適応となる乳がん患者臨床診断と針生検結果が不一致で、浸潤性乳がんの可能性が高い病変に対する外科生検○低優先度良性病変に対する外科切除広範囲高グレード非浸潤性乳管がんを除く、非浸潤性乳がん臨床診断と針生検結果が不一致で、良性の可能性が高い病変に対する外科生検二次乳房再建手術乳がん高リスク例に対するリスク軽減手術【放射線療法】○高優先度出血や疼痛を伴う手術適応のない局所領域病変に対する緩和照射急性脊髄圧迫、症候性脳転移、その他の腫瘍学的緊急事態症例に対する緩和照射高リスク乳がん症例に対する術後照射 (炎症性乳がん/リンパ節転移陽性/トリプルネガティブ乳がん/HER2陽性乳がん/術前化学療法後に残存病変あり/40歳未満)○中優先度65歳未満でホルモンレセプター陽性かつ HER2 陰性の中間リスク乳がんに対する術後照射○低優先度非浸潤性乳がんに対する術後照射65歳以上でホルモンレセプター陽性かつ HER2 陰性の低リスク乳がんに対する術後照射【初期乳がんに対する薬物療法】○高優先度トリプルネガティブ乳がんに対する術前および術後化学療法HER2 陽性乳がん患者に対する抗 HER2 療法併用の術前および術後化学療法炎症性乳がん患者に対する術前化学療法すでに開始された術前/術後化学療法高リスクのホルモンレセプター陽性かつ HER2 陰性乳がんに対する術前および術後ホルモン療法±化学療法術前ホルモン療法○具体的推奨事項化学療法と放射線療法の適応となるホルモンレセプター陽性症例において、放射線療法の先行は許容されるホルモンレセプター陽性かつHER2 陰性で臨床ステージI-II乳がんでは、6~12ヶ月間の術前ホルモン療法がオプションとなるホルモンレセプター陽性かつHER2 陰性で化学療法の適応となる乳がん症例では、術前化学療法がオプションとなる通院回数を減らす目的での化学療法スケジュール変更 (毎週投与を2週間または3週間毎投与に変更) は許容される。好中球減少症リスクを最小限とするため、G-CSF 製剤を併用し、抗生剤投与も行うべきである。免疫抑制を避けるため、デキサメタゾンは必要に応じて制限すべきである低リスク、あるいは心大血管疾患やその他の合併症を有する HER2 陽性乳がん症例では、術後の抗 HER2 療法の期間を6ヵ月に短縮することはオプションとなるLHRH アナログ製剤を、通院回数を減らすために長時間作用型へ変更すること、患者自身または訪問看護師による在宅投与することを、ケースバイケースで相談するアロマターゼ阻害剤を投与されている症例では、骨量検査を中止する (ベースラインおよびフォローアップとも)可能であれば、自宅の近くの医療機関で画像検査や血液検査を実施する可能であれば、遠隔医療による副作用のモニタリングを実施する【進行再発乳がんに対する薬物療法】○高優先度高カルシウム血症、耐えられない痛み、有症状の胸水貯留、脳転移など、腫瘍学的緊急事態症例に対する薬物療法重篤内蔵転移に対する薬物療法予後を改善する可能性の高い一次治療ラインでの化学療法、内分泌療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬○中優先度予後を改善する可能性のある二次、三次以降の治療ラインでの薬物療法○低優先度緊急性の低い高Ca血症や疼痛コントロール目的での骨修飾薬 (ゾレドロン酸、デノスマブ)○具体的推奨事項化学療法が推奨される場合、通院回数を減らす目的での経口薬治療は許容される通院回数を減らす目的での化学療法スケジュール変更 (毎週投与を2週間または3週間毎投与に変更) は許容される発熱性好中球減少症リスクの低いレジメンを選択することは許容される化学療法による好中球減少症リスクを最小限とするため、G-CSF 製剤を併用し、抗生剤投与も行うべきである。免疫抑制を避けるため、デキサメタゾンは必要に応じて制限すべきであるトラスツズマブとペルツズマブの投与間隔を延長することは許容される (例:4週毎投与)腫瘍量の少ない HER2 陽性転移性乳がんでトラスツズマブやペルツズマブによる治療が2年間以上にわたり行われている症例では、病状経過を3〜6ヵ月ごとにモニターしながら抗 HER2 療法の中止を考慮する耐容性を最適化し、有害事象を最小化するため、標的治療剤を減量投与することは許容される転移再発乳がん一次治療としての標的治療剤 (CDK4/6阻害剤、mTOR阻害剤、PIK3CA 阻害剤) とホルモン療法の併用を、ホルモン療法単独とすることは許容されるCDK4/6阻害剤による好中球減少症と COVID-19 発症リスクの関連は明らかではなく、感染徴候を注意深く観察し、COVID-19 を疑い症状が出現した場合は速やかに治療を中止する免疫チェックポイント阻害剤とCOVID-19 発症リスクの関連は明らかではなく、感染徴候を注意深く観察し、COVID-19 を疑い症状が出現した場合は速やかに治療を中止するLHRH アナログ製剤を、通院回数を減らすために長時間作用型へ変更すること、患者自身または訪問看護師による在宅投与することを、ケースバイケースで相談する多職種キャンサーボードでの議論と患者の希望を踏まえて、晩期治療ラインにおける休薬、最善支持療法、投与間隔の拡大、低容量維持療法は許容される骨転移患者に対する骨修飾薬は、通院回数を最小限にして投与されるべきである病状が安定している転移性乳がん症例では、ステージング目的の定期診察や画像検査の間隔を空ける抗 HER2療法中の心機能モニター検査は、臨床的に安定していれば遅らせることが許容される可能であれば、自宅の近くの医療機関で画像検査や血液検査を実施する可能であれば、遠隔医療による副作用のモニタリングを実施する1.ESMO magagement and treastment adapeted recommentaions in the COVID-19 ERA: Breast cancer. 2.Recommendations for prioritization, treatment, and triage of breast cancer patients during the COVID‐19 pandemic. the COVID‐19 pandemic breast cancer consortium.

4484.

膵がん患者の悪液質、1次化学療法開始後3ヵ月で3割、1年で6割強に

 悪液質は患者の身体的健康と生活の質に影響を及ぼし、さらにがん治療、とくに殺細胞性抗がん剤に対する患者の忍容性にも影響する。国立がん研究センター東病院の光永 修一氏らは、進行膵管腺がん(PDAC)患者を対象に悪液質について後ろ向きに調査し、1次化学療法開始後早期に悪液質が発現したものの、生命予後因子ではなかったことを明らかにした。ただし、1次化学療法開始後に悪液質が認められた患者では、認められなかった患者に比べ一部の有害事象の発現頻度が高い傾向にあったという。Supportive Care in Cancer誌オンライン版2020年2月26日号掲載の報告。がん治療開始後の悪液質の発現は全生存期間とは関連しない 研究グループは、2008年6月6日~2017年3月31日にPDACと診断され1次化学療法を受けた患者を対象に、後ろ向きに解析した。 悪液質は、>5%の体重減少、またはBMI<20の患者では>2%の体重減少と定義し、1次化学療法開始前6ヵ月までに認められたものをベースライン悪液質、治療開始後の悪液質をフォローアップ悪液質とした。 進行膵管腺がん患者を対象に悪液質について調査した主な結果は以下のとおり。・解析対象は150例(年齢中央値65歳、BMI中央値21.7)であった。・ベースライン悪液質は、50%の患者に認められた。・フォローアップ悪液質は、1次化学療法開始後12週以内に32%で発現し、治療開始後1年の時点では64%に達した。・フォローアップ悪液質の発現は、全生存期間とは関連しなかった。・フォローアップ悪液質なしの患者に比べフォローアップ悪液質ありの患者では、食欲不振、疲労、悪心および下痢が高頻度に認められた。

4485.

COVID-19重症化予測、血小板数とFARが有用か

 COVID-19の重症化予測マーカーを調べるため、中国・Wenzhou Medical UniversityのXiaojie Bi氏らがCOVID-19患者の血液検査データを検討した結果、フィブリノーゲン/アルブミン比(FAR)と血小板数が重症化の独立したリスク因子であることがわかった。また、FAR 0.0883未満かつ血小板数13.5万/μL以上の場合、重症化の可能性を除外しうることが示された。Platelets誌オンライン版2020年5月5日号に掲載。 本研究では、Taizhou Public Health CenterにおけるCOVID-19患者113例について臨床的特徴と血液検査データを解析した。COVID-19の重症化を予測するためのバイオマーカーを特定するために多変量Cox分析を行った。その結果に基づいてノモグラムを作成し、予測精度を検量線、決定曲線、臨床影響曲線、Kaplan-Meier分析により評価した。さらに感度、特異度、的中率を算出した。 主な結果は以下のとおり。・重症患者では、フィブリノーゲン、FAR、Dダイマーが高く、血小板数、アルブミンは低かった。・多変量Cox分析の結果、FARと血小板数が重症化の独立したリスク因子であることが示され、最適カットオフ値は、FARが0.0883、血小板数が13.5万/μLであった。・C-index(0.712、95%CI:0.610~0.814)、決定曲線、臨床影響曲線により、ノモグラムで重症化が予測可能であることが示された。・さらに、Kaplan-Meier分析の結果、FARが0.0883未満かつ血小板数が13.5万/μL以上の患者において潜在的リスクが減少することが示された。・このモデルの陰性的中率は0.9474(95%CI:0.845~0.986)であった。

4486.

心血管疾患を持つCOVID-19患者、院内死亡リスク高い/NEJM

※本論文は6月4日に撤回されました。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、心血管疾患を有する集団で過度に大きな影響を及ぼす可能性が示唆され、この臨床状況におけるACE阻害薬やARBによる潜在的な有害作用の懸念が高まっている。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMandeep R. Mehra氏らは、国際的なレジストリに登録された入院患者8,910例(日本の1施設24例を含む)のデータを解析し、基礎疾患として心血管疾患を有するCOVID-19患者は院内死亡のリスクが高いことを示した。また、院内死亡へのACE阻害薬およびARBの有害な影響は確認できなかったとしている。NEJM誌オンライン版2020年5月1日号掲載の報告。11ヵ国169病院のデータを用いた観察研究 研究グループは、Surgical Outcomes Collaborative(Surgisphere)に登録されたアジア、欧州、北米の11ヵ国169病院のデータを用いた観察研究を行った(ブリガム&ウィメンズ病院の助成による)。 対象は、2019年12月20日~2020年3月15日の期間に、COVID-19で入院し、2020年3月28日の時点で院内で死亡または生存退院した患者であった。 解析時に退院状況が確認できたCOVID-19患者8,910例(北米1,536例、欧州5,755例、アジア1,619例)のうち、515例(5.8%)が院内で死亡し、8,395例は生存退院した。ベースライン時に有意差がみられた背景因子 院内死亡例は生存例に比べ、高齢(平均年齢55.8±15.1歳vs.48.7±16.6歳、群間差:-7.1、95%信頼区間[CI]:-8.4~-5.7)で、白人(68.2% vs.63.2%、-5.0、-9.1~-0.8)および男性(女性34.8% vs.40.4%、5.6、1.3~10.0)が多く、糖尿病(18.8% vs.14.0%、-4.8、-8.3~-1.3)、脂質異常症(35.0% vs.30.2%、-4.8、-9.0~-0.5)、冠動脈疾患(20.0% vs.10.8%、-9.2、-12.8~-5.7)、心不全(5.6% vs.1.9%、-3.7、-5.8~-1.8)、心臓不整脈(6.8% vs.3.2%、-3.6、-5.8~-1.4)の有病率が高く、COPD(6.2% vs.2.3%、-3.9、-6.1~-1.8)や現喫煙者(8.9% vs.5.3%、-3.6、-6.2~-1.1)の割合が高かった。 入院時の薬物療法は、院内死亡例に比べ生存例でACE阻害薬(3.1% vs.9.0%、5.9、4.3~7.5)とスタチン(7.0% vs.9.8%、2.8、0.5~5.1)の使用が多かった。独立のリスク因子は高齢、冠動脈疾患、心不全、喫煙など 院内死亡リスクの増加と独立の関連が認められた因子は以下のとおり。 年齢65歳超(院内死亡率:65歳超10.0% vs.65歳以下4.9%、オッズ比[OR]:1.93、95%CI:1.60~2.41)、冠動脈疾患(10.2% vs.冠動脈疾患のない患者5.2%、2.70、2.08~3.51)、心不全(15.3% vs.心不全のない患者5.6%、2.48、1.62~3.79)、心臓不整脈(11.5% vs.心臓不整脈のない患者5.6%、1.95、1.33~2.86)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(14.2% vs.COPDのない患者5.6%、2.96、2.00~4.40)、現喫煙者(9.4% vs.元喫煙/非喫煙者5.6%、1.79、1.29~2.47)。 院内死亡の増加には、ACE阻害薬(院内死亡率:2.1% vs.ACE阻害薬非投与例6.1%、OR:0.33、95%CI:0.20~0.54)およびARB(6.8% vs.ARB非投与例5.7%、1.23、0.87~1.74)の使用との関連はみられなかった。スタチンの使用(4.2% vs.スタチン非投与例6.0%、0.35、0.24~0.52)は、ACE阻害薬と同様に、院内死亡のリスクが低かった。 また、女性は男性に比べ、院内死亡リスクが低かった(5.0% vs.6.3%、OR:0.79、95%CI:0.65~0.95)。 著者は、「これらの知見は、COVID-19で入院した患者では、基礎疾患としての心血管疾患は院内死亡リスクの増加と独立の関連を示したとする既報の観察研究の結果を裏付けるものである」としている。

4487.

集中治療医はスマホでタスク管理したほうがよい【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第163回

集中治療医はスマホでタスク管理したほうがよいpixabayより使用みなさんはスマートフォンに、スケジュールアプリやToDoリストを管理したアプリなどをインストールしているでしょうか?担当患者さんが増えてくると、あの人の検査は今日何があって、どの家族に説明して、そのあと内視鏡検査をやって……などと管理が難しくなってくるのがオジサンの性(さが)。病院内でスマホを触るのがよいのかどうかは別として、興味深いフランスの報告があったので紹介しましょう。Esposito M, et al.Smartphone to-do list application to improve workflow in an intensive care unit: A superiority quasi-experimental study. Int J Med Inform. 2020 Jan 21;136:104085. doi: 10.1016/j.ijmedinf.2020.104085.私は今でもそうなのですが、ToDoリストは基本的に紙です。「すべてのToDoはこのオレ様の脳に入っている」というデキるドクターはさておき、スマホでスケジュール管理している医師も増えてきたと思います。当然ながらスマホのほうが紙よりも資源に優しいですし、いつでも確認できる利便性があります。この研究は、ICUスタッフのモバイルタスク管理アプリケーションが、仕事効率に影響を与えるかしらべたものです。2018年10月と2019年1月の2期間において、20営業日、医療スタッフはスマホアプリによるタスク管理と、通常の紙ベースでのタスク管理を毎週ローテーションで体験しました。実際に毎日タスクが完了したのかどうかをアウトカムに設定し、満足度や診療の変化なども評価しました。25人の集中治療医が登録され、合計1,983件のタスクが登録されました。スマホアプリを使用したほうが、1日あたりのタスク完了率が高くなったという結果が得られました(99% vs.95%、p=0.006)。今回の研究では優越性マージンを8%に設定していたので、そこまでには達していなかったようです。タスクの進捗やスタッフ間のコミュニケーションなど、スマホアプリを使ったほうが肯定的であるという意見が多かったそうです(p=0.03)。病院の職員にiPhoneを配っているようなリッチな病院なら、こうしたタスク管理がスマホでできるかもしれませんね。

4488.

ADHDとうつ病との関連

 注意欠如多動症(ADHD)は、将来のうつ病との関連が示唆されており、両疾患の間には遺伝的関連があるといわれている。英国・カーディフ大学のLucy Riglin氏らは、ADHDやADHDの遺伝的罹病性がうつ病と関連するかについて、2つの異なる方法を用いて調査を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2020年4月6日号の報告。 まず、Avon Longitudinal Study of Parents and Children(ALSPAC)研究より8,310例を用いて、小児ADHD(7歳)と若年成人の再発性うつ病(18~25歳)との関連を評価した。次に、2サンプルのメンデルランダム化(MR)分析により、ADHDの遺伝的罹病性とうつ病との関連を、公開されているゲノムワイド関連解析(GWAS)データを用いて調査した。 主な結果は以下のとおり。・小児ADHDは、若年成人における再発性うつ病リスクの増加と関連が認められた(OR:1.35、95%CI:1.05~1.73)。・MR分析では、ADHDの遺伝的罹病性がうつ病に及ぼす因果関係が示唆された(OR:1.21、95%CI:1.12~1.31)。・うつ病のより広い定義を用いた場合、MR分析の所見と異なり、うつ病に対して弱い影響が示唆された(OR:1.07、95%CI:1.02~1.13)。 著者らは「ADHDは将来のうつ病リスクを高め、ADHDの遺伝的罹病性がうつ病に及ぼす因果関係が示唆された」としている。

4489.

パクリタキセル+ベバシズマブは非小細胞肺がん2次治療以降の選択肢となるか/Eur J Cancer

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(nsNSCLC)ではプラチナ製剤ベースの化学療法が不応の場合、ドセタキセルが標準治療となっているものの、選択肢は多くない。パクリタキセル+ベバシズマブも有効な選択肢となるのか。nsNSCLCの2次または3次治療において、パクリタキセル+ベバシズマブとドセタキセルを比較した、フランス・リール大学のAlexis B. Cortot氏らの第III相多施設非盲検無作為化試験「IFCT-1103 ULTIMATE試験」の結果が報告された。European Journal of Cancer誌オンライン版2020年4月8日号掲載の報告。 試験は、進行nsNSCLCで、経口プラチナ製剤ベースの化学療法を含む1次または2次治療を受けた患者を対象に行われた。 被験者を、パクリタキセル90mg/m2(Day1、8、15)+ベバシズマブ10mg/kg(Day1、15)の28日ごと投与群、またはドセタキセル75mg/m2の21日ごと投与群に無作為に割り付けた。病勢進行後のクロスオーバーは許容された。主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)であった。 主な結果は以下のとおり。・166例が、パクリタキセル+ベバシズマブ群(111例)またはドセタキセル群(55例)に無作為に割り付けられた。・PFS中央値は、パクリタキセル+ベバシズマブ群5.4ヵ月、ドセタキセル群3.9ヵ月と、パクリタキセル+ベバシズマブ群で有意に延長した(補正後ハザード比[HR]:0.61、95%信頼区間[CI]:0.44~0.86、p=0.005)。・全奏効率はパクリタキセル+ベバシズマブ群22.5%、ドセタキセル群5.5%であった(p=0.006)。・全生存(OS)期間中央値は、同等であった(補正後HR:1.17、p=0.50)。・クロスオーバーは、ドセタキセル群では55例中21例(38.2%)で認められた。・Grade3/4の有害事象は、パクリタキセル+ベバシズマブ群45.9%、ドセタキセル群54.5%で報告された(p=NS)。

4490.

COVID-19、主要5種の降圧薬との関連認められず/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者が重症化するリスク、あるいはCOVID-19陽性となるリスクの増加と、降圧薬の一般的な5クラスの薬剤との関連は確認されなかった。米国・ニューヨーク大学のHarmony R. Reynolds氏らが、ニューヨーク市の大規模コホートにおいて、降圧薬の使用とCOVID-19陽性の可能性ならびにCOVID-19重症化の可能性との関連性を評価した観察研究の結果を報告した。COVID-19患者では、このウイルス受容体がアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)であることから、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)に作用する薬剤の使用に関連するリスク増加の可能性が懸念されていた。NEJM誌オンライン版2020年5月1日号掲載の報告。患者1万2,594例について、降圧薬とCOVID-19陽性および重症化との関連を解析 研究グループは、ニューヨーク大学の電子カルテを用い、2020年3月1日~4月15日にCOVID-19の検査結果が記録された全患者1万2,594例を特定し検討を行った。 ACE阻害薬、ARB、β遮断薬、Ca拮抗薬およびサイアザイド系利尿薬の治療歴と、COVID-19検査の陽性/陰性の可能性、ならびに陽性と判定された患者における重症化(集中治療室への入室、非侵襲的/侵襲的人工呼吸器の使用または死亡と定義)の可能性との関連を評価した。 解析はベイズ法を用い、上記降圧薬による治療歴がある患者と未治療患者のアウトカムを、投与された薬剤クラスについて傾向スコアマッチング後に、全体および高血圧症患者とで比較した。事前に、10ポイント以上の差を重要な差と定義した。陽性率は全体46.8%/高血圧患者34.6%、重症化率17.0%/24.6% COVID-19の検査を受けた1万2,594例中5,894例(46.8%)が陽性で、このうち重症化したのは1,002例(17.0%)であった。高血圧症の既往歴を有する患者は4,357例(34.6%)で、うち2,573例(59.1%)が陽性、さらにこのうち634例(24.6%)が重症化した。 薬剤のクラスとCOVID-19陽性率増加との間に、関連性は確認されなかった。また、検討した薬剤のいずれも、陽性患者における重症化リスクの重要な増加と関連がなかった。 なお著者は、COVID-19検査の診断特性の多様性、検査の真の感度が不明なままであること、COVID-19の重症例の割合が過大評価されている可能性などを挙げ、本研究の結果は限定的であるとしている。

4491.

リキッドバイオプシーによるEGFR T790M同定の信頼度を評価するWJOG8815L/LPS試験【肺がんインタビュー】 第46回

第46回 リキッドバイオプシーによるEGFR T790M同定の信頼度を評価するWJOG8815L/LPS試験出演:近畿大学奈良病院 腫瘍内科 高濱 隆幸氏リキッドバイオプシーによるEGFR T790Mの同定の信頼度はどの程度か。その検出頻度と効果の関係を評価した前向き研究はない。Cancer誌で発表された、前向きに第II相WJOG8815L/LPS試験について筆頭著者である近畿大学奈良病院の高濱 隆幸氏に聞いた。参考Takahama T, et al. Cancer. 2020 Jan 01;126(9);1940-1948. Plasma screening for the T790M mutation of EGFR and phase 2 study of osimertinib efficacy in plasma T790M-positive non-small cell lung cancer: West Japan Oncology Group 8815L/LPS study.Cancer. 2020;126;1940-1948.Cancer.

4492.

capmatinib、METΔexon14変異肺がんのFDA承認取得

 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年5月7日、METexon14スキッピング変異が検出された転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者に対しMET阻害薬capmatinibを承認した。 capmatinibは、METexon14スキッピング変異陽性のNSCLC患者97例を対象にしたGEOMETRYmono1試験の結果に基づき、2020年2月から優先審査対象となっていたが、今回の承認も同試験に基づくもの。 GEOMETRYmono1試験は、7つのコホ-トに分けられるが、7コホート中の2コホートの結果が発表されている。コホート4は、1つ以上の前治療を受けた患者(69例)、コホート5では、治療歴のない患者(28例)が対象。 コホート4の盲検独立審査委員会(BIRC)評価による全奏効率は40.6%、コホート5bのORRは67.9%だった。奏効期間(DOR)中央値は、コホート4で9.72ヵ月、5bでは11.14ヵ月であった。無増悪生存期間(PFS)の中央値は、コホート4で5.42ヵ月、コホート5bでは9.69ヵ月であった。頭蓋内病変の中間解析では、54%(13人中7人)に奏効が観察された。 第II相マルチコホート研究に登録されたStage IIIB/IVの患者では、コホート4のBIRC評価のORRは42.0%、病勢制御率(DCR)は78.3%(治験担当医評価76.8%)。コホート5bのBIRC評価のORRは60.7%、DCRは96.4%(治験担当医評価96.4%)であった。評価可能な脳転移症例13例のうち4例の脳病変がCRであった。 Grade3/4の有害事象(AE)の発現は全体で35.6%、重篤な治療関連AEの発現は12.9%であった。最も頻度の多いAEは末梢浮腫で、全Gradeで41.6%、Grade3/4は7.5%の発現率であった。治療関連死亡は認められなかった。

4493.

ARBとACE阻害薬、COVID-19への影響みられず/NEJM

 ARBおよびACE阻害薬が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスクに影響を及ぼすとのエビデンスは示されなかったことが、イタリア・University of Milano-BicoccaのGiuseppe Mancia氏らが同国ロンバルディア地方で行った、住民ベースの症例対照試験で示された。症例群の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染確認群は対照群と比べて、心血管疾患の有病率が30.1%と高く、ARB(22.2% vs.19.2%)やACE阻害薬(23.9% vs.21.4%)の使用率も高かったが、両薬とCOVID-19にいかなる関連性も認められず、重症化や死亡との関連性もみられなかった。NEJM誌オンライン版2020年5月1日号掲載の報告。イタリア・ロンバルディア地方で住民ベースの症例対照試験 イタリア・ロンバルディア地方で行われた住民ベースの症例対照試験は、2020年2月21日~3月11日の間に、SARS-CoV-2感染患者6,272例と、性別・年齢・居住市町村でマッチングしたRegional Health Service加入者3万759例を対象に行われた。 被験者の選択的薬物の使用情報と臨床プロファイルを、地域の医療サービス利用データベースから入手し、薬物と感染症の関連についてオッズ比(OR)とその95%信頼区間(CI)を、交絡因子を補正し、ロジスティック回帰分析により求めて評価した。性差による違いもなし 被験者の平均年齢は68±13歳、女性は約37%であった。心血管疾患の有病率は、症例群30.1%、対照群21.7%(相対差:28.0%)で症例群が高く、ARB(22.2% vs.19.2%、相対差:13.3%)およびACE阻害薬(23.9% vs.21.4%、10.5%)の使用率も症例群が高かった。 症例群全体において、ARBおよびACE阻害薬の使用とCOVID-19にいかなる関連性も認められなかった(ARBの補正後OR:0.95[95%CI:0.86~1.05]、ACE阻害薬の補正後OR:0.96[0.87~1.07])。重症患者や致死的経過をたどった患者においても同様であった(ARBの補正後OR:0.83[95%CI:0.63~1.10]、ACE阻害薬の補正後OR:0.91[0.69~1.21])。また、これらの変数の関連性について、性差はみられなかった。

4494.

血管内血栓摘出術前のrt-PA静注、有益かリスクか/NEJM

 大血管閉塞による急性虚血性脳卒中を呈した中国人の患者において、血管内血栓摘出術の単独施行は、症状の発症4.5時間以内にアルテプラーゼ静脈内投与を行ったうえでの血管内血栓摘出術施行と比べて、機能的アウトカムに関して非劣性であることが示された。中国・Naval Medical University Changhai HospitalのPengfei Yang氏らが、同国内41の大学関連医療施設で行った無作為化試験の結果を報告した。急性虚血性脳卒中において、血管内血栓摘出術の前にアルテプラーゼ静脈内投与を行うベネフィットとリスクについては、不確実性があると指摘されている。NEJM誌オンライン版2020年5月6日号掲載の報告。中国41施設で、摘出術単独群vs.併用群、90日時点の修正Rankinスコアを評価 研究グループは、中国国内41の大学関連3次医療施設において、急性虚血性脳卒中患者における血管内血栓摘出術について、アルテプラーゼ静脈内投与の有無を評価する無作為化試験を行った。前方循環系大血管閉塞を来した急性虚血性脳卒中患者を1対1の割合で無作為に2群に割り付け、一方には血管内血栓摘出術のみを(血管内血栓摘出術単独群)、もう一方には血管内血栓摘出術に先行してアルテプラーゼ0.9mg/kg体重を、症状発症から4.5時間以内に静脈内投与した(併用群)。 主要アウトカムは、無作為化後90日時点で評価した修正Rankinスケールスコア(範囲:0[症状なし]~6[死亡])で、血管内血栓摘出術単独群と併用群の差を評価し非劣性について解析した。非劣性の基準は、補正後共通オッズ比の95%信頼区間(CI)の下限値が0.8%以上とした。 また、死亡や虚血部再灌流などさまざまな副次アウトカムの評価も行った。単独群の非劣性を確認、死亡率は17.7% vs.18.8% 2018年2月23日~2019年7月2日に1,586例がスクリーニングを受け、656例が無作為化を受けた(327例が血管内血栓摘出術単独群、329例が併用群)。被験者の年齢中央値は69歳(四分位範囲:61~76)、男性は370例(56.4%)であった。症状発症から無作為化までの時間中央値は単独群167分(四分位範囲:125~206)、併用群177分(126~215)、無作為化から血栓摘出までの時間中央値はそれぞれ31分、36分であった。 主要アウトカムの修正Rankinスケールスコアに関する補正後共通オッズ比は、1.07(95%CI:0.81~1.40、p=0.04)で、単独群の併用群に対する非劣性が認められた。 しかし、血栓摘出術前の再灌流成功率(2.4% vs.7.0%)、全体的な再灌流成功率(79.4% vs.84.5%)は単独群で低かった。90日時点の死亡率は、単独群17.7%、併用群18.8%であった。 結果を踏まえて著者は、「その他の集団で大規模な検討を行う必要がある」と述べている。

4495.

COVID-19、ICU入室患者の臨床的特徴/JAMA

 集中治療を要する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染患者の臨床的特徴の情報は限られている。イタリア・Fondazione IRCCS Ca' Granda Ospedale Maggiore PoliclinicoのGiacomo Grasselli氏らCOVID-19 Lombardy ICU Networkの研究グループは、同国ロンバルディア州の集中治療室(ICU)に入室した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の調査を行った。その結果、ICU入室患者の多くは高齢男性で、機械的換気を要する患者が9割近くに及び、呼気終末陽圧(PEEP)値が高く、ICU内死亡率は26%に達したことがわかった。研究の詳細は、JAMA誌2020年4月28日号で報告された。ICUベッドの利用や集中治療の提供の状況は国によって異なるが、ICU治療を要する重篤なCOVID-19患者のベースラインの特徴やアウトカムに関する情報は、地域の集団発生に対処するための取り組みの計画に従事する保健当局や政府関係者にとってきわめて重要である。確定例の9%が入室、年齢中央値63歳、82%が男性 本研究は、2020年2月20日~3月18日の期間に、ロンバルディア州の72のICUに入室したCOVID-19確定例を後ろ向きに評価した症例集積研究である(イタリアFondazione IRCCS Ca’ Granda Ospedale Maggiore Policlinicoの助成による)。最終フォローアップ日は2020年3月25日であった。 この期間に、鼻咽頭拭い液を検体とし、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT-PCR)で確定されたSARS-CoV-2感染患者は1万7,713例で、1,593例(9%)がICUに入室した。データが得られなかった2例を除く1,591例が解析に含まれ、人口統計学データと臨床データが収集された。 1,591例の年齢中央値は63歳(四分位範囲[IQR]:56~70、範囲:14~91)で、1,304例(82%)が男性であった。また、363例(23%)が71歳以上、203例(13%)は51歳未満だった。高血圧が多くCOPDは少ない、88%で機械的換気 データが得られた1,043例中、709例(68%)で1つ以上の併存疾患が認められた。最も多かったのは高血圧で、509例(49%)にみられ、次いで心血管疾患が223例(21%)、脂質異常症が188例(18%)、2型糖尿病が180例(17%)の順であり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は42例(4%)と少なかった。80歳以上は全例が、60歳以上は76%が、何らかの併存疾患を有していた。 呼吸補助のデータが得られた1,300例中、1,287例(99%)がICUで呼吸補助を必要とし、このうち1,150例(88%)は気管内挿管と機械的換気を、137例(11%)は非侵襲的換気を要した。また、データが得られた1,017例のPEEP中央値は14cmH2O(IQR:12~16)で、999例中887例(89%)で吸入気酸素濃度(FIO2)が50%以上であった。781例の動脈血酸素分圧(PaO2)/FIO2比中央値は160(IQR:114~220)だった。 年齢中央値(63歳)で2群に分けると、PEEP中央値は63歳以下(503例)が14cmH2O(IQR:12~15)、64歳以上(514例)も14cmH2O(12~16)であり、両群間に差は認められなかった(群間差:0、95%信頼区間[CI]:0~0)。また、FIO2中央値は63歳以下が60%(IQR:50~80)、64歳以上は70%(50~80)(群間差:-10%、95%CI:-14~-6)で、PaO2/FIO2比中央値は63歳以下が163.5(IQR:120~230)、64歳以上は156(110~205)であった(7、-8~22)。入室時27%で腹臥位換気、1%でECMO、高血圧患者は高齢 入室時に、875例中240例(27%)が腹臥位換気による治療を受け、498例中5例(1%、51~60歳が2例、61~70歳が3例)が体外式膜型人工肺(ECMO)による治療を要した。 高血圧患者(509例)は、非高血圧患者(526例)に比べ高齢であった(年齢中央値[IQR]:66歳[60~72]vs.62歳[54~68]、群間差:4、95%CI:2~6、p<0.001)。また、高血圧患者は、PaO2/FIO2比が低かった(中央値[IQR]:146[105~214]vs.173[120~222]、中央値の群間差:-27、95%CI:-42~-12、p=0.005)。64歳以上のICU内死亡率は36%、全体の入室期間中央値は9日 2020年3月25日の時点で、データが得られた1,581例のうち920例(58%)がICU入室中で、256例(16%)がICUから退室しており、405例(26%)はICU内で死亡した。また、ICU内死亡率は高齢患者で高かった(21~40歳:4/56例[7%]、41~50歳:16/142例[11%]、51~60歳:63/423例[15%]、61~70歳:174/596例[29%]、71~80歳:136/340例[40%]、81~90歳:11/21例[52%]、91~100歳:1/1例[100%])。高齢患者(64歳以上、786例)は、若年患者(63歳以下、795例)に比べICU内死亡率が高かった(36% vs.15%、群間差:21%、95%CI:17~26、p<0.001)。ICU退室患者の割合は、若年患者のほうが高かった(11% vs.21%、-9%、-13~-6、p<0.001)。 2020年3月25日の時点で、ICU入室期間中央値は9日(IQR:6~13)であった(1,591例)。内訳は、ICU入室中の患者(920例)が10日(8~14)、退室患者(256例)が8日(5~12)、ICU内死亡例(405例)は7日(5~11)だった。また、高血圧の有病率は、ICU内死亡患者が退室患者よりも高かった(63% vs.40%、群間差:23%、95%CI:15~32、p<0.001)。 著者は、「患者の多くは、呼吸補助を要する急性低酸素性呼吸不全のためICUへ入室となった。機械的換気の割合(88%)は、最近の中国や米国からの報告(30~71%)よりも高かった」としている。

4496.

ダパグリフロジン、FDAがHFrEFに承認/AstraZeneca

 米国食品医薬品局(FDA)は2020年5月5日、SGLT2阻害薬のダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)について、2型糖尿病合併の有無にかかわらず、左室駆出率が低下(NYHA心機能分類:II~IV)した心不全(HFrEF)の成人患者の心血管死および心不全入院のリスク低下に対する適応を承認した。英国・AstraZeneca社が発表した。HFrEFに対してFDAが承認した初のSGLT2阻害薬となる。 本承認は、第III相DAPA-HF試験の良好な結果に基づいている。本試験では、ダパグリフロジンを標準治療への追加治療として用い、HFrEF患者において、主要複合評価項目である心血管死または心不全悪化の発現率をプラセボと比較し26%低下させた(絶対リスク減少率[ARR]=5%[100患者・年当たりのイベント率換算で、それぞれ11.6例vs.15.6例]、p<0.0001)。試験期間中、ダパグリフロジン投与群では、21患者当たり1件の心血管死または心不全による入院/緊急受診を回避した。 なお、わが国における適応症は「2型糖尿病」および「1型糖尿病」であり、心血管死および心不全による入院リスク低下に対する適応は取得していない。

4497.

第7回 COVID-19に立ち向かう医療従事者をBCGワクチンで守れるか? 国際試験が進行中

新生児の結核予防にほぼ100年も前から使われてきたワクチンがほかの感染症も防ぐという裏付けに触発され、フランスの微生物学者の名にちなんで名付けられたそのワクチン・カルメットゲラン桿菌(BCG)で、目下の新型コロナウイルス感染(COVID-19)流行を防ぐことができるのか、研究者が調べ始めています。BCGワクチンの成分は結核を引き起こす細菌の類縁菌・Mycobacterium bovisを弱毒化したものです。これまでに40億人以上に接種されており、世界で最も広く投与されているワクチンの一つとなっています1)。BCGは結核に対する特異的な効果のみならず、幅広く、多くの感染症に対し非特異的に防御する効果を免疫系に備わせる働きがあります2)。たとえば、新生児の死亡率が高いギニアビサウでの3試験のメタ解析の結果、低体重出生児へのBCG-Denmark(BCGワクチンの1つ)接種は生後28日間の死亡率の38%低下と関連し、その効果は主に肺炎や敗血症による死亡の減少によってもたらされました3)。12~17歳の若者が参加した南アフリカでの無作為化試験ではBCG-Denmark接種で上気道感染症発現率がプラセボ群に比べて73%(2.1% vs 7.9%)低下しました2,4)。オランダのMihai Netea氏等による試験では、ウイルスへの効果も示唆されています。健康な成人にBCG-Denmarkを接種してしばらくしてからあえて弱毒化黄熱病ウイルスを投与したところ、血中ウイルス量がプラセボ投与に比べて有意に減少しました5)。そのような試験や研究成果を背景にして、COVID-19への効果の緒を掴むべく、BCG接種義務国とそうでない国を比較した結果が報告されるようになっています。たとえば査読前報告掲載サイトmedRxivに今月初めに掲載された報告によると、BCG接種が義務であることは流行最初の30日間のCOVID-19症例数や死亡数の増加がより緩やかであることと関連しました6)。3月末にmedRxivに掲載された別の報告ではイタリア、米国、オランダ等のBCGワクチンが広まっていない国はワクチンが広く接種されている国に比べて流行の被害がより大きいことが示されています7)。ただしそれらの報告は因果関係を示すものではありません。また、個々のヒト単位の比較ではなく国と国の比較には結果を偏らせる多くの要因が存在し、それらをすべて差し引いて解析することは不可能です。BCGワクチンをかれこれ20年調べているデンマークの疫学者Christine Stabell Benn氏は、COVID-19に関するそれらの最近のBCGワクチンの検討データは裏付けの重みとしては最底辺の類のものだが、長年に渡って蓄積された裏付けによると、BCGワクチンのCOVID-19予防効果にかけてみるのは悪くないと科学ニュースThe Scientistに話しています。Benn氏はすでに動きだしており、COVID-19のリスクが最も高い人々、すなわちその対処にあたる医療従事者1,500人を募る試験を始めています。BCGで欠勤が減るかどうかやCOVID-19発現が減るかどうか等が調べられます。デンマークでは1980年代までBCGワクチンが使われており、学校でかつてBCGワクチン接種経験がある医療従事者も試験には混じるでしょう。Benn氏は過去にBCG接種経験がある人への更なる接種は接種経験がない人より有効だろうと想定しています。Benn氏と協力関係にある上述のNetea氏はオランダで同様の試験を開始しています。また、オーストラリア出身のメディア王マードック氏の母親Dame Elisabeth Murdoch(エリザベス マードック)氏の支援を受けて30年前の1986年に設立された同国の小児健康研究所Murdock Children’s Research Institute(MCRI)は、Netea氏も協力する国際試験BRACEを3月27日に始めています。医療従事者を対象としたそれらの試験結果は待ち遠しいですが、無作為化試験以外で先走ってCOVID-19予防にBCGを接種してはいけないと世界保健機関(WHO)は釘を刺しています。あまり当てにならない最近の査読前報告を高品質な裏付けと勘違いしてBCGに群がると、すでに不足気味となっているBCGワクチンがそれを必要としている乳幼児に行き渡らなくなる恐れがあります。実際、アフリカの一部では小児向けのワクチンが医療従事者に横流しされていると上述のBRACE試験を率いるNigel Curtis氏は聞いており、「軽はずみにワクチンを使い始めると幼い子にツケが回る。いまあるワクチンは赤ちゃんの結核を予防するものだ」とThe Scientistに話しています。試験外での不適切な使用を注意しつつCurtis氏が進めているBRACE試験を支援する動きは広がっており、最近になってその被験者数はゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation)からの1,000万ドル支援を受けて4,000人から1万人へと大幅に増えています。5月5日の発表によると、試験にはすでに医療従事者2,500人が組み入れられています8)。感染症に広く効きうるBCGワクチン等が病因狙い撃ちワクチン完成までの橋渡しの役割を担うことは、目下のCOVID-19流行や将来の感染流行への対処に大いに貢献するだろうとCurtis氏等はLancet誌に記しています2)。参考1)An Old TB Vaccine Finds New Life in Coronavirus Trials / TheScientist2)Curtis N,et al. Lancet. 2020 Apr 30.3)Biering-Sørensen S,et al. Clin Infect Dis. 2017 Oct 1;65:1183-1190. 4)Nemes E,et al. N Engl J Med. 2018 Jul 12;379:138-149.5)Arts RJW,et al. Cell Host Microbe. 2018 Jan 10;23:89-100.6)Mandated Bacillus Calmette-Guerin (BCG) vaccination predicts flattened curves for the spread of COVID-19. medRxiv. May 04, 20207)Correlation between universal BCG vaccination policy and reduced morbidity and mortality for COVID-19: an epidemiological study. medRxiv. March 28, 20208)10M grant enables MCRI’s BCG vaccine trial to expand internationally, enrol 10,000 healthcare workers / Murdoch Children’s Research Institute’s (MCRI)

4498.

ワクチンと新型コロナウイルスと検疫【今、知っておきたいワクチンの話】総論 第5回

筆者は家庭医として長年予防接種および渡航医学に従事してきたが、2017年からは検疫官に転じて空港検疫所で勤務している。本稿は本来、2020年夏に開催予定であった東京オリンピック・パラリンピックに向けて、輸入感染症対策と検疫について執筆する予定であった。しかしご承知のとおり、新型コロナウイルス感染症(以下「COVID-19」)の拡大に伴って同競技会は延期が決定し、本稿執筆時点の5月上旬には新型インフルエンザ等特別措置法に基づく緊急事態宣言が5月31日まで延長されることとなった。市中医療機関と同じく、空港検疫所もCOVID-19対応に忙殺されている。筆者は現在成田空港検疫所に派遣され、大量の鼻咽頭検体採取を行っている。本稿は業務の合間を縫って書いている。COVID-19と検疫検疫業務の目的は「日本に常在しない病原体が国内に侵入することを防ぐこと」である(検疫法第1条)。わが国に常在しない病原体は世界中に無数にあるが、現地での発生頻度、重症度、船舶・航空機を介した侵入リスクなどを勘案して、15種の感染症(病原体でカウントすればさらに増える)が「検疫感染症」として検疫法第2条に指定されている。2019年12月31日に初めて世界に報告されたCOVID-19は、2020年2月1日には感染症法における指定感染症と同時に「検疫感染症」として定められた。さらに2月14日には「検疫法第34条の感染症」へと再指定され、陽性患者の隔離(強制入院)などの強い措置の権限が付与された。しかし、COVID-19は後者の再指定に遡ること1ヵ月前の1月16日には、国内で最初の患者が発見されていた。その後も輸入例や国内感染例が続発し、再指定直前の2月13日には東京での屋形船や和歌山での院内感染などのクラスター発生がすでに報告されていた。わが国に常在しない病原体の国内侵入の防止が検疫の目的であるにもかかわらず、検疫所に措置の権限が付与された時点では新型コロナウイルスはすでに「日本に常在する病原体」と化していたのである。厚生労働省発表によると、5月6日時点で国内のCOVID-19患者は累計15,192人が報告されているが(ダイヤモンドプリンセス号および武漢からのチャーター便での報告を除く)、空港検疫での発見数は147人と国内報告の100分の1に満たない。新型コロナウイルスが完全に日本に定着した状況でCOVID-19に対する検疫にどの程度人的・物的リソースを投じるかは、国内の発生状況や自治体、市中医療機関、検査機関への負荷などとのバランスを考慮しつつ、政府が臨機応変に見直していく必要がある。Withコロナの予防接種COVID-19の特異な臨床経過や感染様式、緊急事態宣言などに伴う外出自粛要請の影響により、市中医療機関のリアル外来受診数は大幅に減少している。それに伴い予防接種実施数も大きく減少する傾向にある。院内感染や来院前後の往来での感染を避けたいという心理は当然了解できる。しかし、COVID-19蔓延期、すなわち“withコロナ”で“stay home”が強く推奨される状況においても、予防接種のための受診は決して不要不急の外出には当たらず、むしろ必要火急とすら言える。[Withコロナで予防接種が必要火急であるのはなぜか?]1)ワクチン予防可能疾患(VPD:vaccine-preventable disease)は、必ずしも「家の外」だけで感染する疾患ばかりではない。肺炎球菌やヒブはヒトの気道常在菌であり、年長小児や成人の気道から免疫不十分な乳幼児へと感染し、致命的な侵襲性感染症を引き起こす。Stay homeにより家族間接触がより濃厚になる今だからこそ、それら感染症のリスクはむしろ高いと言える。あるいはstay homeで庭いじりや日曜大工に精を出す人も増えていよう。そうした作業で汚染外傷を生じれば破傷風リスクがある。Stay homeだからこそ、それらVPDに対する予防接種は必要火急なのだ。2)医療従事者をはじめ、通勤・出勤せねば業務が成り立たない職種も少なくない。通勤や勤務においてVPDに感染するリスクは常にあり、また、家で待つ家族にVPDを持ち帰るリスクも続いている。特に重大な麻疹1)と風疹2)は、4月7日の緊急事態宣言による全国的な外出自粛要請にもかかわらず発生の連鎖は止まっていない。それらVPDに対する予防接種も必要火急である。3)5月上旬時点で国内のCOVID-19発生は減少傾向にある。いずれ外出自粛が緩和され、各地の学校も再開される日が来る。そのとき、stay homeで勢いをひそめていたVPDが再び火を吹き始める。VPDの多くは発熱を伴うため、COVID-19との鑑別が困難であることから受診に至るまでに種々の手間とタイムラグが発生し得る。そうした近い将来のリスクを避けるためにも、今こそ予防接種は必要火急なのである。上記理由により、withコロナの現在だからこそ積極的に予防接種を進めていただきたい。それでも現実には予防接種実績は低迷する恐れが強い。ならば、リアル受診が回復し始めると同時に、接種遅れに対するキャッチアップ接種を積極的に行っていただきたいと強く切望する。さらに、一時的にCOVID-19発生が抑制できても、今冬には再び増加することが懸念されている3)。前記3)以上に、季節性インフルエンザとCOVID-19の初期の鑑別は困難である。インフルエンザの発生数自体を少なくすることが医療機関の負担軽減に直結する。インフルエンザワクチンは例年10月はじめには供給開始される。供給開始と同時に1人でも多くインフルエンザ予防接種を行っていただきたい。インフルエンザ患者が1人減れば医療機関の負担も1人分減るのだ。COVID-19のワクチンの可能性COVID-19のワクチンは武漢での発生当初から世界各国で盛んに研究開発が進んでいる。4月28日現在で90以上のワクチン候補が誕生し、うちすでに6ワクチンはヒトに対する第I相試験に進んでいる4)。古典的な弱毒化または不活化の手法は当然試されている。しかし、一般論として、安全かつ免疫原性の強い弱毒株は、ウイルス培養を繰り返す過程で生ずる変異株が偶然の産物として登場するのを待つしかなく、いつ実現するかは予測困難である。また、不活化ワクチンは少なくとも既知のコロナウイルスでは充分な効果のあるものが登場していない。新興病原体に対するワクチン開発で近年主流になっているのが、ヒトへの病原性がない他のウイルスに目的ウイルスの遺伝子を組み込むことで特異抗原を産生させ、そのまま“生”として、または不活化してワクチンとする遺伝子組み換え手法である。2018年から続いているコンゴ民主共和国でのエボラ出血熱アウトブレイクで濃厚接触者へのring vaccinationとして行われているワクチンも遺伝子組み換え“生”ワクチン(rVSV-ΔZEBOVワクチン)である。2012年に登場したMERSコロナウイルスにはこの手法でワクチン開発が進められ、動物実験までは行われている。COVID-19ワクチンの開発手法もこれを採用しているチームが多い。そのほか、核酸ワクチンという手法もある。ウイルス粒子ではなく、ヒトの免疫系が反応しうるウイルス抗原部分をコードしたウイルスゲノム(RNAのまま、またはDNAに変換)をワクチンとして接種し、ヒト細胞に取り込ませることで抗原を産生させ、それに対する免疫応答を惹起するのが目的である。コロナウイルスの持つタンパクのうち特にヒト免疫が反応しやすいもの(サブユニットと呼ぶ)だけを抽出してワクチン成分とするサブユニットワクチンもある。2003年に登場したSARSコロナウイルスに対してはすでにサブユニットワクチンが開発済みであるが、SARSが完全に封じ込められた影響もあり、サルでの動物実験に留まりヒトでの治験実績はない。これら以外にもワクチン開発技術には大小の異同があり、それぞれのチームが研究開発のしのぎを削っている。わずか4ヵ月あまり前に世界に登場した病原体に対して、すでに90以上のチームがワクチン開発に着手していることには希望が持てるが、しかし安全かつ効果のあるワクチンの開発は決して容易なことではない。COVID-19ワクチンへ希望は持ちつつも過剰な期待はせず、感染拡大防止の努力を徹底した上で、既存ワクチンの接種を遅れることなく推し進めることこそが医療職の使命と言える。読者諸氏には、必要なワクチンを1人でも多く接種いただきたく、深くお願い申し上げる。※上記はすべて筆者個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。1)国立感染症研究所.麻疹.Accessed May 6,2020.2)国立感染症研究所.風疹.Accessed May 6,2020.3)Sun Lena H. The Washington Post, April 22, 2020.4)Callaway E. Nature. 2020;580:576-577.講師紹介

4499.

統合失調症に対するドパミンD2/D3受容体パーシャルアゴニストの忍容性の比較

 アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール、cariprazineは、ほかの第2世代抗精神病薬と異なり、ドパミンD2/D3受容体に対するパーシャルアゴニスト作用を有している。オーストラリア・モナッシュ大学のNicholas Keks氏らは、3剤のドパミンD2/D3受容体パーシャルアゴニストについて比較を行った。CNS Drugs誌オンライン版2020年4月3日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾールとは対照的に、ブレクスピプラゾールは、ドパミンD2活性が低く、セロトニン5-HT1Aおよび5-HT2A受容体親和性が高い。一方、cariprazineは、ドパミンD3受容体親和性が最も高く、半減期も最も長い。・ドパミン受容体パーシャルアゴニスト(DRPA)の主な副作用は、軽度~中等度のアカシジアであり、多くは治療開始数週間のうちにごく一部の患者で認められる。・DRPA間の違いについて、決定的な結論に至るには直接比較研究が必要ではあるが、入手可能なエビデンスによる比較では、アカシジアはブレクスピプラゾールが最も発生率が低く、cariprazineが最も高いと考えられる。・体重増加リスクは、アリピプラゾールとcariprazineは低く、ブレクスピプラゾールは中程度である。・DRPAは、過鎮静、不眠症、悪心のリスクが低かった。・DRPAは、高プロラクチン血症リスクが低く、おそらく性機能障害リスクも低いと考えられる。・一部の患者では、プロラクチン濃度の低下が認められ、とくにDRPA治療開始前にプロラクチンレベルが上昇している患者で認められた。・DRPAは、有害事象による治療中止率は低く、忍容性は良好であった。・アリピプラゾールは、おそらくDRPA活性による病的賭博やほかの衝動制御行動と関連している可能性がある(ブレクスピプラゾールおよびcariprazineでの報告は認められなかった)。・DRPAによる糖尿病および遅発性ジスキネジアリスクは明らかではなかったが、低リスクであると考えられる。 著者らは「DRPAの忍容性は良好であることから、とくに統合失調症の治療初期における第1選択治療として検討すべきである」としている。

4500.

早期乳がんの術後AIの服薬アドヒアランス/JCO

 早期乳がんの術後補助療法におけるアロマターゼ阻害薬(AI)の服薬アドヒアランスは一般に低く、再発リスクにつながる。今回、大規模な長期無作為化試験(SWOG S1105)の結果、AIのアドヒアランス失敗率が高いこと、週2回のテキストメッセージ受信ではアドヒアランスが改善しなかったことを米国・コロンビア大学のDawn L. Hershman氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年5月5日号に掲載。 本試験は、米国の40施設においてテキストメッセージ(TM)群とテキストメッセージなし(No-TM)群を比較した無作為化試験。対象は、AI投与が36ヵ月以上計画され、30日以上服薬している早期乳がんの閉経後女性で、メッセージは週2回、36ヵ月送信した。メッセージの内容は服薬アドヒアランスの障壁の克服にフォーカスし、行動のきっかけ、薬物治療の効果に関するステートメント、AI服用の推奨などで、3ヵ月ごとに評価した。主要アウトカムは、アドヒアランス失敗(AF)までの期間(time to adherence failure)で、AFは、尿中AI代謝物の検査で、<10ng/mL、検出不能、検体提出なしのいずれかの場合と定義した。層別log-rank検定、複数の感度分析により評価した。 主な結果は以下のとおり。・2012年5月~2013年9月に計724例の患者が登録され、そのうち702例(TM群348例、No-TM群354例)がベースラインで対象となった。・1次解析ではAFまでの期間に差は見られなかった(3年AF率:TM群81.9% vs. No-TM群85.6%、HR:0.89、95%CI:0.76~1.05、p=0.18)。複数の感度分析でも同様に有意差は見られなかった。・自己報告によるAFまでの期間(3年AF率:TM群10.4% vs.No-TM群10.3%、HR:1.16、95%CI:0.69~1.98、p=0.57)、施設報告によるAFまでの期間(21.9% vs.18.9%、HR:1.31、95%CI:0.86~2.01、p=0.21)も差はなかった。

検索結果 合計:10324件 表示位置:4481 - 4500