サイト内検索|page:182

検索結果 合計:10312件 表示位置:3621 - 3640

3621.

第64回 米国の平均寿命1.5年短縮、第二次世界大戦以来/CDC

<先週の動き>1.米国の平均寿命1.5年短縮、第二次世界大戦以来/CDC2.診療所へのワクチン接種加算、8月以降も継続3.総接種回数7,000万回突破、高齢者の8割超が1回目接種済み4.モデルナと来年の追加供給を契約、ワクチン不足への対応急ぐ5.海外渡航に必要なワクチンパスポート受付、26日から開始6.5年以内に供給不足の後発品企業、新規薬価収載見送りへ/厚労省1.米国の平均寿命1.5年短縮、第二次世界大戦以来/CDC米国疾病予防管理センター(CDC)は、2020年のアメリカ人の平均寿命が77.3歳と、2019年から2020年にかけて1.5歳短くなったことを公表した。最大の要因は、新型コロナウイルスによる死者数の増加である。平均寿命が短縮したのは、第二次世界大戦中の1943年(2.9歳短縮)以来のこと。これまで延長していた平均寿命は、20年近くも後退した。また、今回の平均寿命短縮を人種別で見ると、ヒスパニック系は81.8歳から78.8歳と-3.0歳、黒人は74.7歳から71.8歳と-2.9歳でそれぞれ短くなった一方、白人は78.8歳から77.6歳と1.2歳の短縮に留まり、人種差が再び広がる傾向が見られた。(参考)新型コロナの影響で米国の平均寿命が1.5歳短く 第2次大戦以来の落ち込み(東京新聞)米CDC “平均寿命1歳半短く 新型コロナによる死者増が主要因”(NHK)Provisional Life Expectancy Estimates for 2020(CDC)2.診療所へのワクチン接種加算、8月以降も継続政府は、7月末までに新型コロナウイルスのワクチン接種を加速させるため、これまで診療所に支援してきた特例加算を継続することとした。8月以降も、週100回以上の接種を4週間以上行う診療所には1回につき2,000円、週150回以上の場合は3,000円を上乗せして補助する。11月までに、希望者全員にワクチン接種の完了を目指す。(参考)ワクチン接種 診療所への費用上乗せ支援策 来月以降も継続へ(NHK)3.総接種回数7,000万回突破、高齢者の8割超が1回目接種済み政府は、7月19日時点で、国内の新型コロナウイルスワクチンの総接種回数が7,000万回を超えたと公表した。1回の接種を受けた人の割合は総人口の33.5%となり、65歳以上の高齢者では81.7%、2回目まで完了した高齢者は57.9%となった。なお、7月23日時点で、2回目の接種率は総人口の19.6%であり、欧米と比べた遅れがまだ挽回できていない。また、都道府県別の接種率を見ると、上位は25%を超える中、下位には千葉県17.4%、埼玉県16.7%、東京都16.6%、栃木県16.4%、沖縄県14.5%など、感染拡大が続いている大都市圏が並び、さらなる接種の推進が求められる。(参考)新型コロナワクチンについて(内閣府)ワクチン接種1回目終了 高齢者全体の8割超(NHK)国内ワクチン接種、7000万回超す 7月19日公表分までで(日経新聞)4.モデルナと来年の追加供給を契約、ワクチン不足への対応急ぐ厚労省は20日、新型コロナウイルスワクチンについて、2022年の初頭から5,000万回分の追加供給を受けることをモデルナと正式契約したことを明らかにした。また、菅 義偉首相は23日に、来日しているファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)と会談し、10月以降に予定していたワクチン供給の前倒しを要請した。さらに、米・ノババックスとも、来年前半から1億5,000万回分のワクチン供給について協議を進めている。政府は、ワクチン供給不足による接種計画の遅れに対する国民の声に対して、早期のワクチン接種完了を急ぐ。(参考)米モデルナとワクチンの追加契約 22年以降の5000万回分(毎日新聞)ワクチン供給、前倒し要請 首相、ファイザーCEOと会談(日経新聞)5.海外渡航に必要なワクチンパスポート受付、26日から開始政府は、海外へ渡航する人が新型コロナウイルスワクチンの接種済みを証明する「ワクチンパスポート(予防接種証明書)」の申請受け付けを、26日から各市町村で開始することを明らかにした。イタリア、オーストリア、トルコ、ブルガリア、ポーランドの5ヵ国に入国する際に利用可能となる。なお、発行に当たっては、海外渡航にワクチンパスポートが必要な場合に限って申請が認められ、国内での使用は想定していない。(参考)ワクチン接種証明書 発行手続 第1回自治体向け説明会(内閣官房副長官補室)同 第2回自治体向け説明会(同)「ワクチンパスポート」26日から受け付け開始 「経済活動再開の第一歩」「差別につながる」と賛否渦巻く(J-CAST)「ワクチンパスポート」発行テスト 26日から申請受け付け(NHK)6.5年以内に供給不足の後発品企業、新規薬価収載見送りへ/厚労省厚労省は、後発医薬品の出荷調整や回収による欠品発生を防止する目的で、薬価収載日から5年経過していない後発品で供給不足を起こした企業が新たな薬価基準収載希望書を提出する際には、「安定供給義務が守れない品目があった場合には以後2回分の収載を見送る」との念書を提出するよう求めた。今回の通知は8月16日までに製造販売承認を受け、20日までに薬価収載希望書の受け付けが済んだ医薬品が対象となる。今年12月収載予定からの運用となる見込み。これにより、医療機関や調剤薬局が直面している欠品による調達困難の改善や後発品への不安を取り除くのが狙い。(参考)欠品で1年間の収載見送り~後発品に対する規制強化【厚生労働省】(薬読)

3622.

心血管疾患の1次予防、スタチンは有益性・有害性のバランス良好/BMJ

 心血管疾患の1次予防において、スタチンの有害事象リスクは心血管疾患の予防効果を上回るものではなく、有益性と有害性のバランスは概して良好であることが示唆された。一方で、安全性の懸念を考慮し治療開始前にスタチンの種類や投与量を調整することを支持するエビデンスは限定的だったという。英国・オックスフォード大学のTing Cai氏らが、ネットワークメタ解析によるシステマティックレビューの結果を報告した。現行のスタチンの種類および投与量に関する推奨事項は、異なるレジメンの多様な有害事象は考慮せず、脂質低下効果に基づくものとなっていることから、研究グループは心血管疾患の1次予防におけるスタチンと有害事象の関連性、種類や投与量別にどのような関連性があるのかを調べた。BMJ誌2021年7月14日号掲載の報告。無作為化比較試験62件、約12万例についてメタ解析 研究グループは、過去のシステマティックレビューおよび2020年8月までに発表された論文をMedline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trialsで検索し、心血管疾患の非既往成人を対象に、スタチンvs.非スタチン治療を検討した、または種類や投与量が異なるスタチン治療を比較した無作為化比較試験を特定した。 主要評価項目は、一般的な有害事象(自己申告の筋症状、臨床的に確認された筋障害、肝機能障害、腎機能不全、糖尿病、眼症状)、副次評価項目は有効性の指標としての心筋梗塞、脳卒中、心血管疾患による死亡であった。 ペアワイズメタ解析を行い、スタチンvs.非スタチンの各評価項目のオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出し、1年間の治療を受けた患者1万人当たりのイベント数の絶対リスク差を推定した。また、異なる種類のスタチンの有害事象を比較するため、ネットワークメタ解析を行うとともに、各スタチンの有害事象の用量反応性をEmaxモデルに基づくメタ解析を行い評価した。 計62件の無作為化比較試験、12万456例が解析に組み込まれた。追跡期間は平均3.9年であった。肝機能障害リスクのORは1.33、眼症状は1.23 スタチンは、臨床的に確認された筋障害ならびに糖尿病との関連は認められなかったが、自己申告の筋症状(21試験、OR:1.06[95%CI:1.01~1.13]、絶対リスク差:15[95%CI:1~29])、肝機能障害(21試験、1.33[1.12~1.58]、8[3~14])、腎機能不全(8試験、1.14[1.01~1.28]、12[1~24])、眼症状(6試験、1.23[1.04~1.47]、14[2~29])のリスク増加がみられた。ただし、リスクの増加は、主要心血管イベントのリスク減少を上回るものではなかった。 アトルバスタチン、lovastatin、ロスバスタチンはそれぞれ、いくつかの有害事象と関連していたが、スタチンの種類による有意差はほとんど認められなかった。肝機能障害に対するアトルバスタチンの効果については用量反応性が認められたが、他のスタチンについては有害事象の用量反応性について結論が得られなかった。

3623.

HBOCにおけるリスク低減乳房切除術、実施割合の高い女性は?/日本乳癌学会

 わが国では2020年4月、乳がんもしくは卵巣がんの既往歴のある遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)女性に対するリスク低減乳房切除術(RRM)とリスク低減卵巣卵管摘出術(RRSO)が保険適用された。今回、保険適用となる前のJOHBOCデータを用いて、HBOC女性のRRM実施状況を分析した結果について、国立病院機構四国がんセンターの大住 省三氏が第29回日本乳癌学会学術総会で報告した。子供がいる女性、乳房のサーベイランスを実施した女性、RRSOを実施した女性では、RRM実施割合が高かったという。 本調査の対象は、2010~19年にBRCA遺伝学的検査を受け、病的バリアントを有することが判明し、JOHBOCの全国登録に登録されたHBOCの女性748例。大住氏らは、RRM実施割合と、RRM実施と子供の有無、乳房のサーベイランスの有無、RRSOの実施の有無、乳がん既往歴の有無、第2度近親者以内の乳がん家族歴の有無との関係を分析した。さらに、RRMを受けた年齢および遺伝学的検査を受けた年齢を調べた。統計学的有意性はカイ2乗検定とt検定で評価した。 主な結果は以下のとおり。・BRCA1の病的バリアントを認めたのは437例、BRCA2は307例、4例がどちらも認めた。RRMを受けた女性は計90例(12.0%)で、その割合はBRCA1(67例、15.3%)のほうがBRCA2(23例、7.5%)より有意に高かった(p=0.000)。・子供あり、乳房のサーベイランスあり、RRSO実施ありの女性は、RRMを受けた割合が高かった。 - 子供の有無:あり13.8% vs.なし7.6%(p=0.038) - 乳房のサーベイランスの有無:あり19.9% vs.なし8.7%(p=0.000) - RRSO実施の有無(卵巣がん患者を除く):あり31.4% vs.なし6.8%(p=0.000) - RRSO実施の有無(卵巣がん患者を除く、RRM後にRRSO実施した女性はRRSO実施なしに分類した場合):あり27.8% vs.なし8.7%(p<0.001)・乳がん既往歴と家族歴は、RRMを受けた割合に対して有意な影響はみられなかった。 - 乳がん既往歴:あり13.1% vs.なし8.2%(p=0.092) - 乳がん家族歴:あり15.1% vs.なし9.7%(p=0.054)・RRMを受けた女性のRRM時の平均年齢(±標準偏差)は42.9(±7.3)歳、遺伝学的検査を受けた年齢では、RRMを受けた女性で平均42.7(±7.1)歳、受けなかった女性で 47.5(±12.2)歳で、受けた女性のほうが約5歳若かった(p=0.00)。 大住氏は「RRMが保険適用となった2020年から、RRMを受けるHBOCの女性が増えてきている。今回の結果は保険適用前の状況を示しており、2020年以降のRRM実施データとの比較について関心がある」と述べた。

3624.

新薬GIP/GLP-1受容体ダブルアゴニストは糖尿病診療に新たなインパクトを与えるか?(解説:栗山哲氏)

本論文は何が新しいか? 本論文は、2型糖尿病治療薬として開発された新規薬剤GIP/GLP-1のダブルアゴニストtirzepatideを臨床評価したものである。 同剤は、グルコース依存性インスリン刺激性ポリペプチド(GIP)に類似した39個のアミノ酸残基に長鎖脂肪酸を結合させた週1回注射製剤である。本剤の特徴は、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)とGIPの両受容体を刺激するダブルアゴニスト製剤として開発されたことである(GIP受容体の単独作動薬はない)。 GLP-1受容体作動薬のエビデンスは、多くの臨床研究でその有用性が肯定されている。すなわち、LEADER、SUSTAIN-6、REWINDなどでは心血管イベント(MACE)の改善効果が、さらにLEADER、SUSTAIN-6、AWARD-7などで2型糖尿病腎症の腎エンドポイントにも改善効果が報告されている。 本論文(SURPASS-1試験)は、tirzepatideのHbA1cや体重への効果をプラセボ群と比較した臨床研究である。その改善結果は、既存の糖尿病治療薬に比較しても驚くほど顕著であり、今後の糖尿病治療に一石を投じるものと考えられる。本論文の主たる結果 SURPASS-1試験においては、試験参加者の54%は未治療、糖尿病の平均罹病期間は4.7年、ベースラインの平均HbA1c 7.9%、平均体重85.9kg、BMI 31.9kg/m2であった。主要評価項目と重要な副次評価項目に、ベースラインから40週投与後のHbA1c低下および体重減少を指標とした。tirzepatideの最高用量群(15mg)において、プラセボに対してHbA1cは2.07%低下、体重は9.5kg(11.0%)減少した。この投与群の半数以上(51.7%)は、非糖尿病レベルであるHbA1c 5.7%未満に改善した。全体的な安全性は、既知のGLP-1受容体作動薬と同等で、消化器系の副作用が最も多い有害事象であった。 以上の結果から、tirzepatideが従来の糖尿病治療薬と比較しても顕著なHbA1cと体重の低下効果を有する可能性が示唆された。特徴は、本剤によるHbA1c低下や体重の減少は、従来の糖尿病治療薬に比べても著明な薬効であるも、しかるに胃腸障害の副作用が増加しないことであろう。また、重症低血糖がほとんどないことも特筆に値する。HbA1c 5.7%未満を達成でき、低血糖が少ない薬効を証明できた成績は、糖尿病内科医にとってもインパクトの高い論文と思われる。推定されるtirzepatideの作用機序 脂肪細胞にあるGIP受容体にGIPが結合すると脂肪蓄積に働くため、GIPは体重を増加させる作用がある。一方、視床下部にもGIP受容体があり、こちらにGIPが結合すると食事量を減らし体重減少効果が認められる。そのため、全体的には、GIP自体はそれほど体重を増やさないのではないかと考えられる。一方、GLP-1受容体刺激とGIP受容体刺激が相加されると、なぜGLP-1受容体作動効果が相乗的に高まるか、という疑問に関しては不明であり、今後の研究課題と思う。本論文の日本での意義付け 本研究を今後の糖尿病治療に外挿すると、BMIが30超の高度の肥満を伴う2型糖尿病患者が最も良い適応症になると思われる。今後、日本人にも多いと思われるBMI 25~27あたりでの層別解析が注目される。また、この効果が実際にMACE抑制に結び付くか否かはそれにも増してさらに興味深い。現在進行中のSURPASS-CVOT(NCT04255433)においては、デュラグルチドとの比較が計画され2024年末ごろには効果が確認される。 ただ、危惧される点もいくつかある。試験を完了できなかった対象患者が15%と多いこと、体重減少が大き過ぎること、などである。とくに、本邦のように高齢者2型糖尿病患者が多い条件下では、体重が下がり過ぎることがデメリットになる可能性がある。このことから、本邦での薬剤選択上は第1・第2選択薬のように早期ステージでの使用は少なかろうと思う。治療継続率が対照薬よりも良くなかったことからも、あくまでも現在のGLP-1受容体作動薬などの糖尿病注射剤と近似した位置付けになるのではないかと推察する。一方、インスリン/GLP-1受容体作動薬の配合剤がtirzepatideに置き換わっていく可能性もありえよう。本論文から何を学ぶ? 今後のインクレチン薬の展望は? GIP/GLP-1受容体ダブルアゴニストtirzepatideは優れた糖代謝改善作用を有することが示された。SURPASS-1に追従して、ほぼ同時にSURPASS-2の結果が報告され、ここではtirzepatide群をセマグルチド群と比較して検討し、SURPASS-1の結果と同様に前者で優れたHbA1c低下効果ならびに体重減少効果が確認されている(Frias JP, et al. N Engl J Med. 2021 Jun 25. [Epub ahead of print])。今後、SURPASS-3やSURPASS-5などで本剤の評価が次々と報告されていく予定があり、すべての試験で結果が一貫していると聞く。これらの集積は、現行の糖尿病ガイドラインを変える可能性もあろう。 また、インクレチン関連薬の配合剤の創薬の新たな話題として、GLP-1受容体作動薬にグルカゴンを付帯したデュアル製剤(cotadutide)が2型糖尿病腎症やNASHの治療薬として開発されている(Nahra R, et al. Diabetes Care. 2021 May 20. [Epub ahead of print])。グルカゴンは糖代謝の絶対悪ではなく、エネルギー産生作用を有しておりエネルギー消費を上げる方向に作用し、蠕動運動の低下や中枢神経を介して食欲を抑制する作用もあるようだ。これらの作用をGLP-1と組み合わせて効果を増強しようというのが、GLP-1/グルカゴン受容体作動薬である。実際に、GLP-1/グルカゴン受容体作動薬に関してグルコース吸収の遅延とインスリン感受性の改善がみられている。作用機序の面から、まだまだ検討の余地は残されるものの、興味深いダブル製薬の1つと思われる。

3625.

新型コロナとしもやけ様の皮膚疾患、関連性は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック当初、同疾患の特徴の1つとしてしもやけ様の皮膚疾患の増大が盛んに報じられた。米国・Permanente Medical GroupのPatrick E. McCleskey氏らは、COVID-19罹患率としもやけ罹患率の相関性について、これまで疫学的な検討がされていなかったとして、北カリフォルニアの大規模集団を対象に評価した。23地点・9ヵ月間にわたって集めたデータを分析した結果、パンデミック中にしもやけ罹患率は増大したが、COVID-19罹患率との相関関係は弱いことが示されたという。著者は、「今回の研究結果は、COVID-19との因果関係による結果であると思われる。パンデミック中にしもやけを有した患者の受診機会が増えたことや、外出制限の措置中の行動変化による可能性が示唆される」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年6月23日号掲載の報告。 研究グループは、COVID-19罹患率としもやけ罹患率に相関性があるかを後ろ向きコホート研究にて評価した。2016年1月1日~2020年12月31日(パンデミック前およびパンデミック中)における、440万人が加入するカイザーパーマネンテ北カリフォルニア(健康保険システム)の全年齢加入者データを集めて行われた。COVID-19罹患率は、北カリフォルニアの207地点月(location-months)のデータ(23地点・9ヵ月間)を集めて解析した。 主要評価項目は、しもやけ罹患率とし、207地点月のCOVID-19発生率との関連性を、Spearman順位相関係数を用いて調べた。 主な結果は以下のとおり。・パンデミック中に報告されたしもやけ患者は780例で、パンデミック前と比較し罹患率は上昇した。うち464例が女性(59.5%)、平均年齢は36.8(SD 21.8)歳であった。・COVID-19罹患率としもやけ罹患率に相関性は認められた(Spearman係数は0.18、p=0.01)が、パンデミック中にしもやけを有し、検査でSARS-CoV-2陽性だった患者は17/456例(3.7%)のみで、しもやけを診断されてから6週間以内にSARS-CoV-2陽性だった患者は9/456例(2.0%)のみだった。・検査でSARS-CoV-2 IgG抗体陽性だった患者は、1/97例(1.0%)であった。・人種年齢性別の層別解析においては、中南米系の患者がCOVID-19症例の46%を占めたが、しもやけ症例では9%と影響を認められなかった。

3626.

脳卒中を発症する人としない人、過去10年間の軌跡

 脳卒中の兆候は10年前から表れているかもしれない。オランダ・Erasmus MC University Medical CenterのAlis Heshmatollah氏らが、脳卒中を起こした患者における発症前10年間の認知機能と日常生活動作(ADL)の軌跡、および脳卒中のない人の対応する軌跡を調査した。その結果、脳卒中を起こした患者は、そうでない人と比較して、過去10年間で認知機能とADLの急激な低下が見られた。Journal of neurology, neurosurgery, and psychiatry誌2021年7月6日号に掲載。 研究者らは、1990~2016年の間、オランダの人口ベースのコホート「ロッテルダム研究」から、45歳以上の参加者1万4,712人を対象に、認知機能(MMSE、15-Words Learning、Letter-Digit Substitution、Stroop、Verbal Fluency、Purdue Pegboard)および基本的ADL・手段的ADL(BADL・IADL)を、4年おきに評価した。脳卒中の発症は、2018年までの医療記録を継続的に監視することで評価され、脳卒中のある者とない者を、性別および出生年に基づいて(1:3)でマッチングした。それぞれに対応する軌跡は、調整された線形混合効果モデルを使用して構築された。 主な結果は以下のとおり。・12.5±6.8年の平均追跡期間中に、計1,662例の参加者が、初めての脳卒中を経験した。・脳卒中を発症した患者は、脳卒中のない対照群よりもすべての認知機能テストで悪いスコアを示した。認知機能およびBADLは脳卒中が診断される8年前に、IADLは7年前に、脳卒中のない対照群の軌跡から逸脱し始めた。・各スコアで見られた有意な逸脱は、MMSEで脳卒中発症の6.4年前、Stroopは5.7年前、Purdue Pegboardは3.8年前、IADLは3年前、BADLは2.2年前だった。 研究者らは、「われわれの発見は、脳内病変の蓄積が脳卒中の発症前に、すでに臨床的影響を及ぼしている可能性を示唆している」と結論している。

3627.

Question the Status Quo―ACLSの「常識」に挑んだ臨床試験(解説:香坂俊氏)

爬虫類は寒冷期に冬眠状態となるが、それでも生命機能を維持することが可能である。哺乳類は冬眠をしないが、人為的に体温を低下させることにより組織や脳の保護作用が得られることはナポレオンの時代から報告されてきた(ロシア遠征に当たり損傷部を雪に埋めたりしたらしい)。低体温療法が本格的に医療の現場に登場するのは2002年以降である。この時期に2つのRCTの結果が同時に発表され、いずれも院外停止症例に対して高い効果を示した:・Bernardらは院外心停止で心拍再開した昏睡状態の患者を2群に分けたが、低体温群(心拍再開から2時間以内に33℃に冷却し12時間維持)では49%の患者が自宅退院・リハビリ施設に転院したが、正常体温群では26%にとどまった(死亡率には差なし)。・The Hypothermia After Cardiac Arrest StudyでもVFによる心停止患者に対する低体温療法(32~24℃の低体温療法を24時間)は、標準的治療群と比較して予後が良好で、死亡率が低かったことが報告されている。これらの報告受けAmerican Heart AssociationのACLSプロトコールは現在に至るまで脳低体温療法の実施を院外心肺停止患者に対して推奨している(心拍再開した昏睡状態の成人に対し、12〜24時間32~34℃に冷却する)。わが国でも2006年に低体温療法は保険適用となり、直腸温35℃以下で12時間以上維持し、3日間に限り算定する、とされている。ここに20年振りに大規模なRCT(TTM2試験)が実施され、低体温療法の是非が問われることとなった。その詳細に関しては他稿に譲るが(心停止後の昏睡患者の6ヵ月死亡率、低体温療法vs.常温療法/NEJM)、「targeted hypothermia did not lead to a lower incidence of death by 6 months than targeted normothermia」という論文の結語に集約される(低体温療法を行っても半年後の死亡率に差はない)。ぜひ生存曲線を見ていただきたいが、低体温群と通常治療群の2つのカーブはピタリと重なっている。この研究では主解析のほかにさまざまな感度分析を行っているが、いずれも主解析の結果を大きく揺るがすものではなかった。実はここ最近低体温療法に対しては否定的な内容のRCTの結果が続いている。このTTM2試験はなかでも最も大規模なものであり(これまでの試験すべての参加者を合わせてもTTM2試験の参加者の5分の1程度)、おそらく決定的といってもよい結果をもたらした。20年前と比較し、集中治療全般がかなり進歩しており低体温療法を実施しなくても予後が担保できるようになったとも考えられるが、おそらくは十分な患者数のデータを集積することによって、院内予後というshort-spanではない解析が可能になったというところが大きいのではないか。個人的には、こうした現状に対する検証的な大規模臨床試験の結果を見るたびに、「疑問を常に解決する姿勢で診療に当たる(question the status quo)」という言葉を思い出す。鉄壁といわれたACLSプロトコールを覆すような結果がこうして20年越しで出るのであるから、おそらく現代医療で改善できる点はまだまだあるものと考えられる。

3628.

肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症〔PVOD:pulmonary veno-occlusived isease/PCH:pulmonary capillary hemangiomatosis〕

1 疾患概要■ 定義肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症(pulmonary veno-occlusive disease:PVOD/pulmonary capillary hemangiomatosis:PCH)は、肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)を呈する極めてまれな疾患であり、臨床所見のみでは肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)との鑑別が困難とされている。しかし、病理組織学的には肺動脈に病変が生じるPAHと明らかに異なり、PVOD/PCHの主たる病変は肺静脈/毛細血管にある。2013年2月に開催された第5回世界肺高血圧症シンポジウム(フランス、ニース)では、PVOD/PCHは肺高血圧症分類I群の中の1つと位置付けられ、他のPAHとは明らかに病態が異なるI’群のサブクラスとして分類された。さらに2015年8月に発表されたESC/ERS(欧州心臓病/呼吸器学会)ガイドラインでは、その亜分類として1)特発性PVOD/PCH、2)遺伝性PVOD/PCH(EIF2AK4およびその他の遺伝子変異あり)、3)毒物/薬物/放射線惹起性PVOD/PCH、4-1)膠原病に伴うPVOD/PCH、4-2)HIV感染症に伴うPVOD/PCHが示された。2015年1月より厚生労働省の難病対策が改定され、指定難病として「PAH」「慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)」に加え、「PVOD/PCH」が追加された。また難病指定に伴い、2014年度難治性疾患政策研究事業「呼吸不全に関する調査研究班」によって、特発性または遺伝性のPVOD/PCHを対象に、難病申請に必要な具体的な臨床診断基準が立案された。これが2021年7月時点での公的な指定難病「PVOD/PCH」の概念である。2018年に開催された第6回世界肺高血圧症シンポジウム(フランス、ニース)でPH臨床分類は改訂され「PVOD/PCH」概念は軌道修正された。PVOD/PCHはPAHスペクトラムの中の1つの病態という位置付けに変わった。なお、本稿では異なる2つの概念を合わせて記述している。■ 疫学PVOD/PCHの疾患概念は、2013年から2018年世界肺高血圧症シンポジウムで変化を認めた。2021年7月の時点でわが国における正確な有病率は把握されていない。PVOD/PCHの位置付けをPAHスペクトラムの一部とすると疫学はまったく不明となる。PVOD病態は、さまざまな疾患に合併しており、特に強皮症を始めとする膠原病での合併が多いとされている。また、内科治療に不応性のPAH患者14例の病理組織学的検討で86%にPVODの所見が認められたとする報告もあり、IPAH、心不全、間質性肺疾患などに混在している可能性がある。■ 病因強皮症に合併したPVOD病変を合併した患者のsmall-andpost-capillary vesselでは細胞増殖に関与するPDGFR-βの発現亢進があり、肺静脈のリモデリング/狭窄に関与する可能性が示唆されているが指摘されている。また、EIF2AK4遺伝子変異の関与から、TGFβ1経路の抑制、mTOR経路との関連も指摘されている。造血幹細胞移植後のPVODでは、移植による内皮障害/凝固活性亢進が要因の1つとして挙げられている。しかし、どの説も全体像の説明には至っていない。■ 症状自覚症状はPAHスペクトラムの一部であるという観点からもPAHと同様である。労作時息切れが主な自覚症状である。PAHと比較して肺からの酸素の取り込みが制限されているため、より低酸素血症が強度であることもあり、診断時の労作時息切れの程度は強い可能性がある。■ 分類世界肺高血圧症シンポジウムは5年毎に開催される。2013年から2018年にかけてのPVOD/PCH概念の変遷はその分類(位置付け)の違いに反映されている(表1、2)。表1 第5回世界肺高血圧症シンポジウム2013におけるPH臨床分類の中でのPVOD/PCHの位置づけ(一部のみ抜粋)※PVOD/PCHは第1群の亜分類となっている第1群 肺動脈性肺高血圧症(PAH)1.1特発性肺動脈性肺高血圧症(idiopathic PAH:IPAH)1.2遺伝性肺動脈性肺高血圧症(heritable PAH:HPAH)1.2.1BMPR21.2.2ALK1、Endoglin、SMAD9、CAV1、KCNK3などBMPR2以外の変異第1'群 肺静脈閉塞症(PVOD)および/または肺毛細血管腫症(PCH) 1’.1特発性1’.2遺伝性1’.2.1EIF2AK4変異1’.2.2EIF2AK4以外の変異1’.3薬物・毒物誘発性1’.4各種疾患に伴うPVOD/PCH1’.4.1結合組織病1’.4.2HIV感染症表2 第6回世界肺高血圧症シンポジウム2018におけるPH臨床分類の中でのPVOD/PCHの位置づけ(一部のみ抜粋)※PVOD/PCHは第1群に含まれている1肺動脈性肺高血圧症(PAH)1.1特発性PAH1.2遺伝性PAH1.3薬物・毒物誘発性PAH1.4各種疾患に伴うPAH1.5カルシウム拮抗薬に長期間にわたり反応するPAH1.6静脈/毛細血管(PVOD/PCH)病変の明らかな特徴を示すPAH1.7新生児遷延性肺高血圧症■ 予後PVOD/PCHは病態が急速に進行する予後不良の疾患とされているが、診断が困難であることもあり、いまだその正確な予後を示す報告は少ない。PAHに有効な選択的肺血管拡張薬の効果は限定され、ほとんどの症例が診断から2年の経過で死亡するとされる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 診断1)病理診断所見PVOD末梢肺静脈(特に小葉間静脈)のびまん性かつ高度(静脈の30~90%)な閉塞所見ありPCH    肺胞壁の毛細管様微小血管の多層化および増生。さらにPVODに準じた末梢肺静脈病変を認める場合もあり2)臨床診断基準【主要項目】(1)右心カテーテル所見が肺動脈性肺高血圧症(PAH)の診断基準を満たす(a)肺動脈圧の上昇(安静時肺動脈平均圧で25mmHg以上、肺血管抵抗で3Wood Unit、240dyne・sec・cm-5以上のすべてを満たす)(b)肺動脈楔入圧(左心房圧)は正常(15mmHg以下)(2)PVOD/PCHを疑わせる胸部高解像度CT(HRCT)所見(小葉間隔壁の肥厚、粒状影、索状影、スリガラス様影(ground glass opacity)、縦隔リンパ節腫大)があり、かつ間質性肺疾患など慢性肺疾患や膠原病疾患を除外できる(3)選択的肺血管拡張薬(ERA、PDE5 inhibitor、静注用PGI2)による肺うっ血/肺水腫の誘発【副次的項目】(1)安静時の動脈血酸素分圧の低下(70Torr以下)(2)肺機能検査:肺拡散能の著明な低下(%DLco4 今後の展望疾患概念の変遷はあったが、PVOD/PCH病態を有するPAH患者さんの診断・治療に難渋することは変わっていない。前毛細血管でなく、毛細血管・肺静脈病変がより強い症例では肺血管拡張療法の有用性が低下して、肺血管拡張療法に伴う有害事象が増えると想定される。今後、病因解明、新規治療法の探求を継続する必要がある。図 PAH spectrumの中のPVOD/PCH画像を拡大する5 主たる診療科循環器内科、呼吸器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)「肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症診療ガイドライン」(Minds認証)日本肺高血圧・肺循環学会ホームページMindsガイドラインライブラリ(医療従事者向けのまとまった情報)難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究班ホームページ(医療従事者向けのまとまった情報)公開履歴初回2021年7月20日

3629.

第69回 COVID-19ワクチンの確かな情報源は医療従事者/神経精神症状を呈するCOVID-19入院小児

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを接種するかどうかを決めるのに最も頼れる情報源は医療従事者であることが世界12ヵ国の4万人超の試験で示されました。また、英国からの報告によると神経精神症状を呈するCOVID-19入院小児の割合は大人に比べて高いようです。COVID-19ワクチン接種の意思決定の柱は医療従事者アジア、アフリカ、南アメリカの低~中所得10ヵ国(LMIC)、中所得国の中で上位のロシア、高所得国の米国の4万人超を調べたところ、LMICの人の8割(80.3%)は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを希望しており、ロシアや米国をだいぶ上回りました1-3)。ロシアでのCOVID-19ワクチン接種希望者はとくに低く僅か約30%、米国は約65%でした。自分の身を守ることがCOVID-19ワクチン接種を望む第一の理由となっており、接種を求めるLMICの人の91%の接種志望動機となっていました。一方、副作用の心配がCOVID-19ワクチンを望まない主な理由であり、接種を希望しないLMICの人の41%の非希望理由となっていました。COVID-19ワクチンを接種するかどうかの判断で最も頼りにされていたのは医療従事者からの情報であり、ワクチン忌避が解消するように社会や行動を変える取り組みに各地の医療従事者が携わることはとくに有効なようです。医療従事者に寄せられる信頼はCOVID-19やCOVID-19ワクチンに関する誤情報の排除にも役立つに違いありません。米国はCOVID-19に関する誤情報の増加を警戒しており、フェイスブック(Facebook)のようなソーシャルメディアがCOVID-19ワクチンの誤った情報の掲載を許していることは米国のバイデン大統領に言わせれば殺戮行為です。ワクチンの間違った情報とFacebookなどのソーシャルメディアに対する見解を記者が先週金曜日に官邸(ホワイトハウス)で尋ねたところ「いまや感染流行はワクチン非接種の人に限られ、ソーシャルメディアは人殺し(killing people)をしている」と大統領は答えました4)。ワクチン接種判断で最も信頼されている医師からの説明はワクチンの誤情報を誤情報と知ってもらうことにも大いに貢献するでしょう。神経精神症状を呈するCOVID-19入院小児の割合は成人に比べて高いらしい神経や精神の症状を呈するCOVID-19入院小児の割合は成人に比べてどうやら高いようです。COVID-19で入院した英国イングランドの小児1,334人の3.8%(51人)が神経や精神の症状を呈して入院しており、成人のCOVID-19入院患者のその割合0.9%を4倍ほど上回りました5)。神経精神症状を呈して入院した英国のCOVID-19小児のうち入院時に呼吸器症状を呈していたのは52人中僅か12人(23%)のみであり、初期症状は多くの場合解消していました。52人のうち8人(15%)はそもそもCOVID-19感染症状がなく、PCR検査して初めて新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染が発覚しました。この結果によると急な神経性症状を呈した小児はみなSARS-CoV-2検査をする必要があるようです。神経精神症状を呈して入院したCOVID-19小児のおよそ3人に2人(65%)は無事回復しましたが、3人に1人(33%)は退院時に体の不自由さを呈していました。死亡したのは1人(2%)のみでした。多くは込み入った治療を受けており、しばしば免疫系の制御を目当てとしたそれらの治療の長期経過への影響を今後の試験で調べる必要があります6)。神経症状はCOVID-19入院後の合併症として生じることも知られており、19歳以上のCOVID-19入院成人7万人超を調べた試験ではおよそ20人に1人(4.3%)が神経合併症(髄膜炎、脳炎、てんかん、脳卒中)を入院中に発現しています7)。参考1)Study finds vaccine hesitancy lower in poorer countries / Eurekalert2)Understanding COVID-19 vaccine hesitancy / Nature Medicine3)Solis Arce JS,et al.. Nat Med. 2021 Jul 16. [Epub ahead of print] 4)Biden says Facebook, others 'killing people' by carrying COVID misinformation / Reuters5)Ray STJ, et al. Lancet Child Adolesc Health. 2021 Jul 14:S2352-4642,00193-0.6)New UK study reveals extent of brain complications in children hospitalized with COVID-19 / Eurekalert7)Drake TM, et al.Lancet. 2021 Jul 17. [Epub ahead of print]

3630.

急性腰痛に筋弛緩薬は有効か/BMJ

 非特異的腰痛の治療における筋弛緩薬の臨床的有効性と安全性には、かなりの不確実性が存在し、確実性がきわめて低いエビデンスではあるが、急性腰痛では非ベンゾジアゼピン系抗痙攣薬が2週間以内に、痛みの強さを臨床的な意義はないもののわずかに軽減することが、オーストラリア・Neuroscience Research AustraliaのAidan G. Cashin氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2021年7月8日号に掲載された。疼痛強度、機能障害、受容性、安全性をメタ解析で評価 研究グループは、腰痛治療における筋弛緩薬の有効性と受容性、安全性を評価する目的で、系統的レビューとメタ解析を行った(特定の研究助成は受けていない)。 医学データベース(Medline、Embase、CINAHL、CENTRAL、ClinicalTrials.gov、clinicialtrialsregister.eu、WHO ICTRP)を用いて、創設時から2021年2月23日までに登録された文献を検索した。 対象は、非特異的腰痛の成人(年齢18歳以上)患者の治療において、筋弛緩薬をプラセボ、通常治療、介入待機(waiting list)、無治療と比較した無作為化対照比較試験であった。 2人の研究者が別個に、試験を同定し、データを抽出し、バイアスのリスク(Cochrane risk-of-bias toolを使用)およびエビデンスの確実性(Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluationsを使用)を評価した。制限付き最尤推定法による変量効果メタ解析モデルを用いて、プールされた効果とその95%信頼区間(CI)を推定した。 アウトカムは、疼痛強度尺度(0~100点)、機能障害尺度(0~100点)、受容性(投与期間中のあらゆる理由による投与中止数で評価した満足度)、安全性(有害事象、重篤な有害事象、有害事象により試験を中止した参加者の数)であった。大規模で信頼性の高い試験が早急に必要 レビューには49の試験が含まれ、このうち31試験(6,505例)がメタ解析の対象となった。これらの試験は、18種の筋弛緩薬について評価しており、29試験が非ベンゾジアゼピン系抗痙攣薬、11試験がその他の薬剤、5試験が抗攣縮薬、4試験はベンゾジアゼピン系薬の検討を行っていた。 急性腰痛では、確実性が「非常に低(very low)」のエビデンスとして、対照群と比較して、2週時または2週以内に非ベンゾジアゼピン系抗痙攣薬は疼痛強度の軽減と関連した(平均差:-7.7、95%CI:-12.1~-3.3)が、機能障害の軽減は認められなかった(-3.3、-7.3~0.7)。 また、急性腰痛では、確実性が「低(low)」のエビデンスとして、対照群と比較して、非ベンゾジアゼピン系抗痙攣薬は有害事象のリスクを増加させ(相対リスク:1.6、95%CI:1.2~2.0)、確実性が「非常に低」のエビデンスとして、受容性に及ぼす効果はほとんどないか、まったくない可能性が示された(0.8、0.6~1.1)。 他の筋弛緩薬や腰痛の持続時間の違いを検討した試験は少なく、ほとんどの試験はバイアスのリスクが高かったことから、エビデンスの確実性は低かった。 著者は、「腰痛治療における筋弛緩薬の有効性と安全性に関する不確実性を解消するには、大規模で信頼性の高いプラセボ対照比較試験が早急に必要である」としている。

3631.

二段階認証について

二段階認証二段階認証についてご本人確認用電話番号の登録・変更方法についてSMS(ショートメッセージ)で認証する音声で認証するSMS(ショートメッセージ)に認証コードが届きません音声での認証コードが届きません認証コードを入力しても認証されない認証コードを発行できないご本人確認用電話番号を登録できない二段階認証についてケアネットではご本人様以外による不正利用を防ぐため、二段階認証を導入しています。パスワードに加えて、ご本人様の電話番号で受け取る「認証コード」が必要になります。ご登録までのステップ「認証コード」を受信するための電話番号(ご本人確認用電話番号)の登録方法は次の通りです。(1)ご本人の確認(メールアドレス+生年月日)CareNet.comにご登録済みの「メールアドレス」「生年月日」を入力してください。ご登録済みのメールアドレスに「ご本人確認用電話番号 登録 URL」を記載した確認メールが届きます。(2)ご本人確認用電話番号の登録・変更確認メールに記載のURLからご本人確認用電話番号(携帯電話 推奨)を登録・変更してください。この電話番号でSMS(ショートメッセージ)を受信します。SMS非対応の場合は、音声での受け取りも可能です。(3)二段階認証の実施ご登録のご本人確認用電話番号で取得した認証コードを、CareNet.com上の画面に入力し認証してください。二段階認証とは?二段階認証とは、二段階の本人確認を行う仕組みです。パスワードの確認(一段階)に追加して、さらに「セキュリティ認証コード」による確認(二段階)を行います。仮に、パスワードが漏洩した場合でも、認証されるのはご自身のみとなるため安心です。画像を拡大するSMS認証とは?二段階認証のやり方の1つです。ご自身のスマートフォン(携帯電話)の「SMS(ショートメッセージ)」を介して通知された「認証コード」で、ご本人確認を行います。画像を拡大するご本人確認用電話番号の登録・変更方法について二段階認証では、パスワードに加えて、ご本人様の電話番号で受け取る「認証コード」が必要になります。ご登録はこちら。(1)ご本人確認画像を拡大するCareNet.comにご登録済みの「メールアドレス」「生年月日」を入力し、「送信する」ボタンを押してください。「ご本人確認用電話番号 登録URL」を記載した確認メールを、ケアネットからお送りします。届いたメールに記載されたURLからご本人確認用電話番号の登録ページにアクセスできます。(2)確認メール通知ご入力のメールアドレスと生年月日がCareNet.comにご登録済みのものと一致した場合、「ご本人確認用電話番号 登録URL」を記載した確認メールが、CareNet.comにご登録済みのメールアドレスに届きます。確認メールに記載されているURLから「二段階認証/ご本人確認管理ページ」にアクセスしてください。(配信元アドレス:customer@official.carenet.co.jp件名:【 CareNet.com 】ご本人確認用電話番号 登録URLのご連絡にてメールをお送りしています)。(3)-A ご本人確認用電話番号の登録(携帯電話・SMSの場合)画像を拡大する認証コードの取得方法は、スマートフォン(携帯電話)のSMS(ショートメッセージ)、または電話による音声通話のどちらかをお選びになれます。スマートフォン(携帯電話)の場合は、「SMS(ショートメッセージ)で認証コードを取得」をクリックし、二段階認証の認証コードを受け取るご本人の携帯電話番号をご入力のうえ、SMSで認証コードを取得してください。090、080、070から始まる番号(携帯電話)以外は、SMSでの認証を行うことができません。(3)-B ご本人確認用電話番号の登録(固定電話・音声通話の場合)画像を拡大する認証コードの取得方法は、スマートフォン(携帯電話)のSMS(ショートメッセージ)、または電話による音声通話のどちらかをお選びになれます。音声通話での受け取りを希望される場合は、「音声通話で認証コードを取得」をクリックし、二段階認証の認証コードを受け取るご本人の電話番号をご入力のうえ、音声通話で認証コードを取得してください。電話番号「050-3135-6600」から音声で認証コードをお知らせします。(4)認証コード入力画像を拡大するSMSもしくは音声で取得した認証コードを入力し、「認証する」ボタンを押して認証してください。(5)認証完了画像を拡大するご本人確認用電話番号の登録および二段階認証が完了しました。元のサイトへ戻ってください。SMS(ショートメッセージ)で認証する(1)認証コード発行(SMS)画像を拡大するご登録済みの「ご本人確認用電話番号」に、SMS(ショートメッセージ)で認証コードが送信されます。SMSをご利用になれない場合は、「音声で認証コードを取得」をクリックしてください。(2)認証コード入力画像を拡大するSMSで取得した認証コードを入力し、「認証する」ボタンを押して認証してください。音声で認証する(1)認証コード発行(音声)画像を拡大するご登録済みの「ご本人確認用電話番号」に、050-3135-6600より電話の着信があります。音声で流れる数字の認証コードを入力し、認証を行います。(2)認証コード入力画像を拡大する音声で取得した認証コードを入力し、「認証する」ボタンを押して認証してください。SMS(ショートメッセージ)に認証コードが届きませんご登録いただいている「ご本人確認用電話番号」をご確認ください。「ご本人確認用電話番号」を確認したうえでSMSに認証コードが届かない場合は、以下の項目をご確認ください。以下の項目をご確認いただいても改善しない場合は、スマートフォン(携帯電話) の再起動で、SMSを受信できる場合があります。迷惑メール設定等でSMSの受信を制限している通信会社(キャリア)の迷惑メール対策機能で、SMSを受信しない、または連絡先(電話帳)に登録がない番号からのメッセージを拒否している等の設定を行っていないかご確認ください。※設定方法はお使いのスマートフォン(携帯電話)によって異なります。ご利用の携帯端末機器メーカーのヘルプ、または取扱説明書等をご確認ください。スマートフォン(携帯電話)のシステムが最新の状態ではないスマートフォン(携帯電話)をご利用の場合は、システムのバージョンが最新の状態であるか念のためご確認いただき、認証コードを再発行してください。ご利用のスマートフォン(携帯電話)や契約回線にSMS機能が付いていないご利用のスマートフォン(携帯電話)や、回線のご契約状況によっては、SMS機能をご利用いただけない場合があります。ご契約内容については、ご利用の通信会社(キャリア)にご確認ください。携帯電話番号ポータビリティ(MNP)後でSMSが受信できないMNP後、通信会社(キャリア)によりSMSの受信ができなくなる、または受信するまでに時間がかかる場合があります。詳しくは、通信会社(キャリア)のサービス窓口等にお問い合わせください。SMSの保存容量がいっぱいになっている不要なデータを削除したうえで、再度、認証コードを発行してください。モバイル通信ができない状態になっているWi-Fiのみがつながっている、機内モードになっている等、モバイル通信が利用できていない場合はSMSを受信できません。モバイル通信がオンになっているか、お確かめください。通信会社(キャリア)側で通信障害が起きているご利用の通信会社(キャリア)で通信障害が発生している場合や、メンテナンスによって通信ができていない場合があります。しばらくたってから、再度お試しください。音声での認証コードが届きませんご登録いただいている「ご本人確認用電話番号」をご確認ください。「ご本人確認用電話番号」を確認したうえで10分以上たっても着信がない場合は、以下の項目をご確認ください。着信は「050-3135-6600」の番号からとなります。回線が混み合っている混雑状況により、音声案内の開始までに最大10分ほどお時間がかかる可能性があります。着信があるまでしばらくお待ちください。連絡先(電話帳)に登録がない番号からの着信を拒否している連絡先(電話帳)に登録されていない番号からの着信拒否設定をしている場合は、その設定を解除するか、電話番号「050-3135-6600」を連絡先に登録してください。通話中の着信であったため届かなかった通話中に着信があった場合、音声での認証コードは届きません。再度、認証コードを発行してください。留守番電話の設定がある場合は、そちらもご確認ください。電話会社側で通話障害が起きているご利用の電話会社で通話障害が発生している場合や、メンテナンスによって通話ができない場合があります。しばらくたってから、再度、認証コードを発行してください。認証コードを入力しても認証されない有効期限が切れた認証コードには有効期限があります。認証コードの有効期限が切れた場合は、再度認証コードを発行してください。認証中に別の認証コードを発行している認証が完了する前に、新たに認証コードを発行すると、過去に発行した認証コードは無効になります。 直近の認証コードを入力してください。認証コードを間違って入力した取得した認証コードを確認し、再度入力してください。認証コードを発行できないSMSに対応していない携帯電話番号で発行を試みているSMSに対応していないスマートフォン(携帯電話)の電話番号はご利用になれません。SMSを利用できるスマートフォン(携帯電話)の電話番号、または電話による音声通話での発行をお試しください。ご本人確認用電話番号を登録できない海外の電話番号を利用している海外の電話番号はご利用になれません。同一の電話番号が別のアカウントに登録されている同じ電話番号を複数のCareNet.com(ケアネット・ドットコム)アカウントに登録することはできません。勤務先施設の電話番号をご登録いただく場合は、施設内の他のご利用者様が、すでに登録している可能性があります。その場合は、ご自身のスマートフォン(携帯電話)の電話番号をご登録ください。「この電話番号はご登録になれません。申し訳ございませんが、別の電話番号をご入力ください。」と表示される同じ電話番号を複数のCareNet.com(ケアネット・ドットコム)アカウントに登録することはできません。登録しようとした電話番号がすでに登録されていた場合は、別の電話番号をご登録ください。お心当たりがない場合は、こちらまでお問い合わせください。

3632.

VEGFR-TKIの心毒性、注意すべきは治療開始○ヵ月【見落とさない!がんの心毒性】第4回

第4回はチロシンキナーゼ阻害薬(TKI:Tyrosine Kinase Inhibitor)の心毒性メカニズムと管理法に、草場と森山が解説します。はじめに血管は、酸素や栄養素の供給、炎症部位への細胞輸送など、ヒトのからだにとって必要不可欠な組織です。血管形成は胎生期より始まり、出生後には創傷治癒や月経などの生理的機能、がんや糖尿病などの疾病と深くかかわっています。VEGFR-TKIとは?血管内皮細胞増殖因子VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)のファミリーにはVEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、 胎盤増殖因子(PIGF)-1、PIGF-2があり、これらは細胞表面に発現するVEGF受容体(VEGFR)-1、VEGFR-2、VEGFR-3、 NRP(neuropilin)1、NRP2のチロシンキナーゼ型受容体と結合して、下流のシグナル伝達経路を活性化することにより、血管内皮細胞の増殖・分化・遊走や血管透過性の調整など血管新生において中心的な働きをします(図1)。(図1)VEGFRシグナルとVEGFR-TKI画像を拡大する多くのがんにおいて、VEGFRを介したシグナル伝達経路の活性化は、がんの増殖や進展に促進的に働きます。VEGFRなどのチロシンキナーゼ型受容体のリン酸化を阻害するTKIは「血管新生阻害薬」の一つとして、様々ながんの治療に用いられています。VEGFR-TKIの種類VEGFR-TKI は、主な標的分子であるVEGFR以外にも複数の分子の機能を阻害します。以下に各薬剤の主な標的分子、本邦での適応疾患を(表1)に示します。(表1) VEGFR-TKI の主な標的分子と適応疾患主な心毒性とリスク因子VEGFは、血管拡張作用を有する一酸化窒素とプロスタサイクリンを増加させ、血管収縮作用を有するエンドセリン-1産生を抑制するため、VEGFの機能が阻害されると血圧が上昇すると考えられています1)。そのため、VEGFR-TKIでは高血圧の頻度が高く(15~40%)、治療開始後2ヵ月以内に発症・増悪する場合が多いのが特徴です。また、微小血管の毛細血管床の密度低下や腎臓におけるメサンギウム細胞・内皮細胞障害なども高血圧発症に関与するとされています1)。リスク因子として、高血圧症の既往、NSAIDsやエリスロポエチン製剤との併用が報告されており2)、時に高血圧緊急症に至る場合があるため、適切な治療が必要です。また、心筋障害・心不全(~5%)、血栓塞栓症(0.6~11.5%)、QT延長(0.6~13.4%)などの心血管毒性も見られます3)。がん患者を対象とした研究のメタ解析でもVEGFR-TKIは、心不全、血栓塞栓症のリスク因子と報告されているのです4)5)。そのほか、倦怠感(35~50%)、下痢(30~70%)、手足症候群などの皮膚毒性(15~70%)、肝機能障害(5~50%)の頻度が高いです。管理法予防・治療の基本は、がん治療の効果を維持しながら、毒性のリスクを減らすことを目指します。VEGFR-TKIのみを対象とした心血管毒性の管理法の研究は少なく、特異的な管理法は未確立のため、通常の心血管リスク管理が重要です。高血圧診療の目標は、早期診断と血圧管理であり、リスク因子(高血圧の既往と現在の血圧など)の評価と既存の高血圧の治療は、VEGFR-TKI投与前に開始しましょう。投与開始後は、重篤な合併症を避けるために血圧上昇の早期発見と治療が重要で、通常の高血圧治療と同様に、ACE阻害薬、ARB、ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬が推奨されています6)。VEGFR-TKIはCYP3A4により代謝されるため、CYP3A4阻害作用を有する降圧剤(非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬)との併用は避ける必要があります。心機能の低下した心不全患者では、ACE阻害薬、ARB、β遮断薬を第一選択とします6)また、VEGFR-TKIは下痢の頻度が高く、利尿剤による脱水を助長する危険性もあります。利尿剤には電解質異常、二次性QT延長のリスクがあるため慎重に用います。重症高血圧があらわれた場合は、循環器専門医と連携して、頻繁なモニタリングと治療効果の評価を行うとともに、VEGFR-TKIの休薬・減量・再開について検討しましょう。心不全診療では、心不全症状発現前の心機能低下を早期発見する為に定期的な心エコー評価を行います。がん治療関連心筋障害を合併した場合は循環器専門医と相談しレニン・アンギオテンシン系阻害薬、β遮断薬などを開始します6)。血栓塞栓症診療では、下肢の浮腫やD-dimer上昇などの血栓症を疑う所見が見られた際に下肢静脈エコーで深部静脈血栓症の評価を行い、臨床的に肺塞栓症を疑う場合は胸部造影CTを行います。静脈血栓塞栓症の診断に至った際は、症例ごとに出血・血栓症のリスクを評価して抗凝固療法の適応を判断します。腎機能正常例では、ワルファリンよりも出血リスクが低い直接経口抗凝固薬(DOAC)が推奨されます6)。心不全や血栓塞栓症の症例において、がん治療を休止・中止すべきかどうかはがん治療医と循環器専門医が連携して判断する必要があります。おわりに近年、悪性腫瘍の領域において、精力的な薬剤開発と良好な抗腫瘍効果から、VEGFR-TKIはがん治療に広く用いられるようになってきました。それに伴い、心血管毒性の管理の重要性が増しており、がん治療医と循環器専門医との緊密な連携がより重要になっているのです。1)Li W, et al. J Am Coll Cardiol. 2015;66:1160-1178. 2)Robinson ES ,et al . Semin Nephrol. 2010;30:591-601.3)日本腫瘍循環器学会編集委員会編. 腫瘍循環器診療ハンドブック. メジカルビュー社;2020.4)Ghatalia P, et al. Crit Rev Oncol Hematol. 2015;94:228 -237.5)Abdel-Qadir H, et al. Cancer Treat Rev. 2017;53:120-127.6)Zamorano JL, et al. Eur Heart J. 2016;37:2768-2801.講師紹介

3633.

HER2低発現乳がんの臨床的特徴/Lancet Oncol

 抗HER2抗体薬物複合体の開発により、HER2低発現の患者を含む乳がん患者に新たな治療オプションがもたらされている。この新たなサブタイプの臨床的・分子生物学的特徴は、HER2陰性乳がん患者とどのように異なるのか。ドイツ・University Hospital of Giessen and MarburgのCarsten Denkert氏らが、術前化学療法への反応や予後を含む、HER2低発現症例の特徴をHER2陰性乳がん症例と比較し、Lancet Oncology誌オンライン版2021年7月9日号に報告した。HER2低発現乳がんはHER2陰性乳がんより生存期間が長い 研究者らは、2012年7月30日~2019年3月20日に実施された4つの前向き試験(GeparSepto、GeparOcto、GeparX、Gain-2 neoadjuvant)において、併用術前補助化学療法で治療されたHER2非増幅型の原発性乳がん患者2,310例のコホートを対象に、プール解析を実施。HER2検査は、すべての試験で参加者の無作為割り付け前に前向きに行われた。HER2低発現の状態の評価は米国臨床腫瘍学会/米国病理学会のガイドラインに基づき、IHC1+またはIHC2+/ in-situ陰性と定義され、HER2陰性はIHC0と定義された。 無病生存率および全生存率のデータは、1,694例(GeparXを除く3試験から)で利用可能であり、追跡期間中央値は46.6ヵ月であった(IQR:35、0~52、3)。2変量および多変量ロジスティック回帰モデルとコックス比例ハザードモデルは、エンドポイントの病理学的完全奏効(pCR)、無病生存率、および全生存率の分析のために事前定義された統計分析計画に基づいて実行された。 HER2低発現乳がん患者の状態を評価した主な結果は以下のとおり。・2,310の腫瘍のうち計1,098(47.5%)がHER2低発現であり、1,212(52.5%)がHER2陰性であった。・HER2低発現腫瘍を有する患者1,098例中703例(64.0%)がホルモン受容体陽性であったのに対し、HER2陰性腫瘍を有する患者では1,212例中445例(36.7%)であった(p<0.0001)。・HER2低発現腫瘍のpCR率は、HER2陰性腫瘍よりも有意に低かった(1,098例中321例[29.2%] vs.1,212例中473例[39.0%]、p=0.0002)。・また、ホルモン受容体陽性サブグループのpCR率は、HER2低発現腫瘍ではHER2陰性腫瘍と比較して有意に低かった(703例中123例 [17.5%] vs.445例中1053例 [23.6%]、p = 0.024)、しかしホルモン受容体陰性サブグループではこの差はみられなかった(395例中198例 [50.1%] vs.767例中368例 [48.0%]、p=0.21)。・HER2低発現腫瘍を有する患者は、HER2陰性腫瘍を有する患者よりも有意に長い生存期間を示した(3年無病生存率:83.4%[95%CI:80.5~85.9] vs.76.1% [72.9~79.0]、層別ログランク検定p=0.0084/3年全生存率:91.6%[84.9~93.4] vs.85.8%[83.0~88.1]、層別ログランク検定p=0.0016)。・ホルモン受容体陰性腫瘍の患者でも生存率に差がみられた(3年無病生存率:84.5%[79.5~88.3] vs.74.4%[70.2~78.0]、層別ログランク検定p=0.0076/3年全生存率:90.2%[86.0~93.2] vs.84.3%[80.7~87.3]、層別ログランク検定p=0.016)、ただしホルモン受容体陽性腫瘍の患者ではみられなかった(3年無病生存率:82.8%[79.1~85.9] vs.79.3%[73.9~83.7]、層別ログランク検定p=0.39/3年全生存率:92.3%[89.6~94.4] vs.88.4%[83.8~91.8]、層別ログランク検定p=0.13)。 研究者らは、これらの結果はHER2低発現腫瘍がHER2陰性腫瘍とは異なり、標準化されたIHC評価によって乳がんの新しいサブグループとして識別できることを示すとまとめている。また、HER2低発現腫瘍には特定の生物学的特徴があり、治療と予後への反応に違いがみられ、治療抵抗性のホルモン受容体陰性腫瘍でとくにその傾向がみられるとしている。

3634.

脳静脈洞血栓症患者の血小板減少症、COVID-19流行前はまれ/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の以前には、脳静脈洞血栓症(CVST)患者におけるベースラインの血小板減少症の頻度は低く、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)や血小板第4因子(PF4)/ヘパリン抗体の発生もきわめてまれであったことが、オランダ・アムステルダム大学医療センターのMayte Sanchez van Kammen氏らの調査で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2021年7月2日号で報告された。COVID-19ワクチンであるChAdOx1 nCov-19(AstraZeneca/Oxford)およびAd.26.COV2.S(Janssen/Johnson & Johnson)の接種後4~28日以内に、血小板減少症を併発するCVSTを発症した症例が報告されており、その根本的な病理学的機序として、PF4/ヘパリン抗体に関連する免疫介在性反応が提唱されている。7ヵ国7病院の検体の後ろ向き記述的解析 研究グループは、COVID-19の世界的流行以前にCVSTと診断された患者において、入院時の血小板減少症、HIT、PF4/ヘパリン抗体の発現の頻度を明らかにする目的で、レトロスペクティブな記述的解析を行った(特定の研究助成は受けていない)。 解析には、フィンランド、オランダ、スイス、スウェーデン、メキシコ、イラン、コスタリカの国際脳静脈洞血栓症コンソーシアムに参加している7つの病院から得られた、1987年1月~2018年3月の期間にCVSTと診断された患者の検体が用いられた。 865例で、ベースラインの血小板数のデータが得られた。このうち93例のサブセットで、以前の試験(2009年9月~2016年2月)で採取された凍結血漿検体を用いてPF4/ヘパリン抗体の解析が行われた。 主要アウトカムは、入院時の血小板減少症(血小板数<150×103/μL)、HIT(担当医の診断による)、PF4/ヘパリンIgG抗体(光学濃度[吸光度]>0.4、過去に血漿検体を採取した患者のサブセット)の頻度とされた。血小板減少症8.4%、HIT 0.1%、PF4/ヘパリン抗体0% 865例(年齢中央値40歳[IQR:29~53]、女性70%)のうち、73例(8.4%、95%信頼区間[CI]:6.8~10.5)が血小板減少症であり、751例(86.8%)が正常血小板数(150~450×103/μL)、41例(4.7%)は血小板増加症(>450×103/μL)であった。 血小板減少症73例の重症度の内訳は、軽症(血小板数100~149×103/μL)が52例(6.0%)、中等症(50~99×103/μL)が17例(2.0%)、重症(<50×103/μL)は4例(0.5%)だった。 PF4/ヘパリン抗体を伴うHITは、1例(0.1%、95%CI:<0.1~0.7)にみられた。また、血漿検査が行われた93例の便宜的な検体のサブセットでは、8例(9%)に血小板減少症(軽症6例、中等症2例)が認められ、PF4/ヘパリン抗体がみられた患者はいなかった(0%、95%CI:0~4)。抗PF4 IgGの光学濃度中央値は0.106(IQR:0.088~0.142、範囲:0.064~0.357)だった。 著者は、「これらの知見は、ChAdOx1 nCoV-19およびAd26.COV2.S COVID-19ワクチンと、血小板減少症を伴う脳静脈洞血栓症との関連性を調査する際に、有益な情報をもたらす可能性がある」としている。

3635.

CGMはリアルタイムか間歇スキャン式のいずれが優れているか?(解説:住谷哲氏)

 持続グルコース測定器(continuous glucose monitoring:CGM)は皮下間質液中のグルコース濃度を持続的に測定する機器で糖尿病治療に活用されている。CGMには大きく分けて3種類あり、現在わが国で使用できる機器も併せて記載すると、(1)リアルタイムCGM (real-time CGM[rtCGM]):その時の血糖値が常に測定表示されるもの(Dexcom G4 PLATINUM、ガーディアン コネクト)、(2)間歇スキャンCGM(intermittently scanned CGM[isCGM]、flush glucose monitoring[FGM]とも呼ばれる):患者がセンサーをスキャンした時にのみグルコース値が表示されるもの(FreeStyleリブレ)、(3)professional CGM(pCGM):患者はグルコース値を装着中に見ることができず検査終了後に解析するもの(FreeStyleリブレPro)、になる。グルコース値の読み取りも当初は専用のリーダーが必要であったが、現在ではBluetoothを用いてスマートフォンや腕時計型デバイスで読み取り可能のものも登場している。 本試験はrtCGMのisCGMに対する優位性を検証する目的で、rtCGMの開発企業であるDexcomによって実施されたRCTである。isCGMであるFreeStyleリブレを少なくとも半年以上使用している1型糖尿病患者をDexcom G6変更群(介入群)とFreeStyleリブレ継続群(対照群)に振り分けて6ヵ月間経過を観察した。結果は、目標グルコース値維持時間(time in range:TIR)、低血糖時間(<54mg/dL)、6ヵ月後のHbA1cの改善の程度のすべてにおいてrtCGMの優位性が示された。 CGMの違いが血糖コントロールの改善につながった理由については明らかではない。しかし筆者らが考察しているように、Dexcom G6に装備されているアラート機能、とくに低血糖トレンドアラートが影響した可能性が最も考えられる。今後はアラート機能を搭載したisCGM(FreeStyle Libre 2)が発売されるようなので、それとの比較試験が実施されればこの点についてより明らかになると思われる。 現時点では血糖コントロールの改善という点では、isCGMよりもrtCGMに優位性があるのは間違いないだろう。機器の扱いに問題がなければ、血糖変動の大きいすべての糖尿病患者にrtCGMを装着することで、血糖コントロールの改善とQOLの改善が得られる。しかし医療費の問題があり、装着が望ましい患者のごく一部しかその恩恵を受けていないのが現実である。テクノロジーは日進月歩であるが、わが国の医療制度が追い付いていかないのが残念である。

3636.

10種の待機的整形外科手術、臨床的効果は?/BMJ

 多くの一般的な待機的整形外科手術は保存治療と比較して、全体/サブグループにおいて有効と思われるが、より効果的であることを示す強力で質の高いエビデンスはないという。英国・National Institute for Health Research Bristol Biomedical Research CentreのAshley W. Blom氏らが、レベル1のエビデンスのアンブレラレビューの結果を報告した。著者は、「強力なエビデンスが不足しているにもかかわらず、これらの手技のいくつかは、特定の状況下において国のガイドラインで推奨されている」として、「一般的な待機的整形外科手術と無治療、プラセボ、非手術的治療と比較する研究を優先することが急務である」とまとめている。BMJ誌2021年7月7日号掲載の報告。10種の手術について、無作為化比較試験のメタ解析のアンブレラレビューを実施 研究グループは、Medline、Embase、Cochrane Libraryおよび参考文献を、2020年9月まで検索し、最も一般的な10種類の待機的整形外科手術のいずれかの臨床効果を無治療、プラセボまたは非手術的治療と比較した無作為化試験のメタ解析(メタ解析がない場合は他の研究デザイン)を特定し、アンブレラレビューを行った。 10種類の整形外科手術とは、関節鏡視下前十字靭帯再建術、関節鏡視下膝半月板修復術、関節鏡視下膝半月板部分切除術、関節鏡視下腱板修復術、関節鏡視下肩峰下除圧術、手根管減圧術、腰椎除圧術、腰椎固定術、人工股関節全置換術、人工膝関節全置換術である。 2人の研究者が独立して要約データを抽出し、3人目の研究者が加わりコンセンサスを得た。各メタ解析の方法論的な質はAssessment of Multiple Systematic Reviews instrumentを用いて評価し、Jadad decision algorithmを用いてどのエビデンスが最も優れているかを確認した。また、英国国立医療技術評価機構のエビデンス検索を用いて、各手技の推奨がエビデンスを反映しているかについて確認した。 主要評価項目は、一般的な待機的整形外科手術のエビデンスの質と量、および関連する国の臨床ガイドラインにおける推奨度との比較であった。手根管減圧術および人工膝関節全置換術のみ、非手術的治療より優れる 無作為化比較試験では、手根管減圧術および人工膝関節全置換術については、非手術的治療に対する優越性が支持された。人工股関節全置換術または半月板修復術については、非手術的治療と比較した無作為化比較試験はなかった。他の6つの手技に関する臨床試験のエビデンスは、非手術的治療と比較して有益性はないことを示した。 ほとんどの一般的な待機的整形外科手術は、決定的な無作為化比較試験が行われていないため、質の高いエビデンスに裏付けられていないことが明らかとなった。

3637.

アクティブラーニングで英語習得!医療者限定のオンラインプログラム開講

米国・マウントサイナイ大学で勤務する山田 悠史氏らは医療従事者向けの英語学習支援団体「Medical English Hub(めどはぶ)」を立ち上げ、2021年よりオンラインでの医療英語学習プログラムをスタートする。めどはぶは、山田氏をはじめとした海外で勤務する医療者と国内の英会話学校が共同で運営し、「医療英語学習プログラムの開発・提供」「グローバルな活躍を目指す医療従事者の為のオンラインサロンの開設」の2つの事業を展開する。医療英語学習プログラム2021年9月開講予定。全12回の授業はzoomを使った完全オンラインで、日曜日中心に提供する。英語全般のスキル向上に関しては語学教育のプロやネイティブ講師が指導を行う。英語の上達の為には自主学習が不可欠なことから、個別レベルチェックの実施で各個人の課題を明らかにし、カウンセリングで自主学習のアドバイスを行う。主体的・自律的に学ぶアクティブラーニングの実践をするチーム学習の要素を取り入れ、モチベーションを支え合い学習の習慣化を図る。リーティング・ライティング・スピーキング・リスニングの総合学習をグループ別のワークショップ、模擬診療等の実践授業を中心に進め、英語での医療プレゼンが完璧にできることを目指す。対象医師、医療従事者、医療系学生授業回数全12回(各回120分~180分)期間3ヵ月(第1期:2021年9月~11月)価格(一般)27万5,000円(税込) 価格(オンラインサロンメンバー)22万円(税込)URLhttps://www.oneup.jp/medhub/learning-program/グローバルな活躍を目指す医療従事者のオンラインサロンこれから英語を使ってキャリアの幅を広げていきたいと考えている医療者が新たな一歩を踏み出せるよう、国内外にて活躍する医療従事者が生の情報を発信し、メンバー同士で情報交換ができるコミュニティ。海外で活躍する医師をはじめとする医療のプロ、首都圏で英会話スクールを運営する英語学習のプロ、そしてグローバル人材育成のプロが、海外の医療現場進出や英語学習について情報をシェア。サロンメンバーとの勉強会やセミナーも定期的に開催し、コミュニケーションを促進。将来グローバルに活躍する医療従事者の為のアクティブラーニングのプラットフォームとなることを目指す。対象医師、医療従事者、医療系学生会費(一般)3,300円/月(税込)会費(学生)1,100円/月(税込)URLhttps://www.oneup.jp/medhub/online-salon/

3638.

足首骨折、石膏ギプスはブレースに優越性なし/BMJ

 成人の急性足関節骨折において、石膏ギプスの、取り外し可能な固定ブレースに対する優越性は認められなかったことが、英国・ウォーリック大学のRebecca Kearney氏らによる無作為化比較試験の結果、示された。16週時点で両群間にOMAS(Olerud Molander ankle score)の統計学的な差は示されなかったという。足関節骨折の治療では、固定を最大限とする石膏ギプスが伝統的に利用されてきたが、固定中に関節の硬直や筋肉の衰弱を引き起こす可能性がある。取り外し可能なブレースは早期の可動により、それらの問題を解決できる可能性はあるが、いずれの治療法が優れているかは明らかになっていなかった。BMJ誌2021年7月5日号掲載の報告。16週後のOMASで比較 研究グループは、英国の国民保健サービス(NHS)傘下の20ヵ所の外傷センターを通じて、急性足関節骨折を呈し、ギプス固定が適切な18歳以上、669例を無作為に2群に分け、一方には石膏ギプスで(334例)、もう一方には取り外し可能なブレースで(335例)足関節を固定した。石膏ギプス群は、膝下ギプスを装着し、ギプスが取れてから足首を動かすエクササイズを開始した。ブレース群は同練習を、装着後すぐに開始した。 主要アウトカムは、16週時点のOMASで、ITT解析にて評価した。副次アウトカムは、6週、10週、16週時点のマンチェスター-オックスフォード・フット質問票、機能障害評価指数(DRI)、生活の質(QOL)、合併症だった。OMASは有意差なし 被験者の平均年齢は46歳(SD 17)、57%(381例)が女性だった。試験を終了したのは、502例(75%)だった。 16週時点のOMASについて、両群間で有意差はみられなかった(ブレース群を支持する値:1.8、95%信頼区間:-2.0〜5.6)。他の評価時点のOMASについては、補正前、代入法、PPS解析でも、臨床的に重要な差はなかった。

3639.

英国のうつ病診療で使用されている治療法

 うつ病は、経口抗うつ薬で治療可能な慢性的または一時的な精神疾患である。しかし、現在利用可能な治療では、3人に1人は十分な治療反応が得られない。FDAやEMAでは、1度のうつ病エピソードに対し、連続で2つ以上の抗うつ薬治療に反応が得られない場合、治療抵抗性うつ病であるとしている。英国・ヤンセンのTom Denee氏らは、英国のうつ病および治療抵抗性うつ病に対する現在の臨床的マネジメント、治療戦略、メンタルヘルスの2次医療機関への紹介について調査を行った。Journal of Psychiatric Research誌2021年7月号の報告。 プライマリケアにおいて、うつ病と診断された成人(治療抵抗性うつ病を含む)を対象としたレトロスペクティブコホート研究を実施した。Hospital Episode Statistics and Mental Health Services Data Set dataにリンクした英国の大規模データベース(Clinical Practice Research Datalink GOLD primary care database)を用いて実施した。 主な結果は以下のとおり。・うつ病患者4万1,375例(平均年齢:44歳、女性の割合:62%、フォローアップ期間中央値:29ヵ月)、治療抵抗性うつ病患者1,051例(3%)が特定された。・治療抵抗性うつ病の診断までの平均期間は、18ヵ月であった。・99%超の患者は、第1選択抗うつ薬の単剤療法を受けていた。・治療抵抗性うつ病の診断後、単剤療法は、第1選択治療時の70%から第5選択治療時の48%まで比較的維持されていた。・2剤または3剤の抗うつ薬併用は、一定程度認められた(範囲:24~26%)。・抗うつ薬の使用量は、治療抵抗性うつ病の第1選択治療時の7%から第3選択治療時の17%へ増加が認められた。・最低限の非薬理学的介入が行われていた。 著者らは「現在の臨床ガイドラインでは、段階的アプローチが推奨されるにもかかわらず、同様の作用機序と有効性を有する多くの抗うつ薬が、繰り返し使用されていた。このような患者に対し、治療アウトカムを改善する新たな治療法へのアンメットニーズの高さが示唆される」としている。

3640.

総合内科専門医試験オールスターレクチャー 感染症

第1回 コロナウイルス第2回 新型コロナワクチン第3回 マダニ媒介感染症第4回 血液培養第5回 発熱と発疹を伴う感染症第6回 性感染症 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医11名を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。感染症については、国立国際医療研究センター国際感染症センター(※収録当時)の忽那賢志先生がレクチャー。猛威を振るう新型コロナウイルスの最新情報から、試験で問われやすいマイナーな感染症まで、狙いを定めて解説します。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 コロナウイルス猛威を振るう新型コロナウイルスについて、最新の知見をまとめます。新型コロナと、SARSコロナウイルスやMARSコロナウイルスとの特徴を比較。新型コロナの発生起源、動物を介した感染経路など、これまでに判明している事実を整理し、コロナウイルスについての理解を深めます。世界各地で拡大し国内でも増加傾向にある変異株まで、気になる最近の動向も解説。※このレクチャーは、2021年3月21日時点の情報に基づいています。第2回 新型コロナワクチン国内で2021年2月下旬より医療者への先行接種が開始されたワクチン。新型コロナワクチンに採用された新しいプラットフォームであるmRNA2ワクチンについて、その原理を解説。非常に高い確率の発症予防効果ならびに重症化予防効果が証明されています。報告されている副反応や、アレルギーのある人に接種した場合のアナフィラキシーの頻度について、データを確認します。※このレクチャーは、2021年3月21日時点の情報に基づいています。第3回 マダニ媒介感染症マダニ媒介感染症は、まず媒介者となるダニの生息分布域を確認。ライム病、ツツガムシ病、日本紅斑熱、SFTSなどの各種マダニ媒介感染症は、国内の流行地域が異なり、同じ県内でも微妙な地域差があります。輸入感染症の側面もあり、海外渡航歴も診断の手がかりに。症状には共通する特徴が多く見られますが、流行時期、潜伏期や刺し口の違いなどに注目して鑑別します。マニアックな感染症は、知っていると試験で差がつくポイントです。第4回 血液培養菌血症を疑ったときに行う血液培養。ガタガタと震える悪寒戦慄があると菌血症を疑うポイント。細菌性髄膜炎、腎盂腎炎、感染性心内膜炎といった、菌血症の頻度が高い感染症を知っておきましょう。血培は基本的に2セット採取します。コンタミネーションしやすい菌なのか、しにくい菌なのか、検出された菌の種類も判断の指標となります。血培で検出された真の起炎菌に対して、投与する抗菌薬の種類も忘れずに。第5回 発熱と発疹を伴う感染症麻疹と風疹はどう鑑別するのか、症例から診断のポイントを解説。発疹の性状だけで鑑別するのは非常に難しく、ワクチン接種歴、罹患歴が極めて重要。髄膜炎菌感染症、リケッチア症、毒素性ショック症候群、アナフィラキシー、感染性心内膜炎といったショックを伴う皮疹では、診断の決め手となるキーワードを確認します。発熱・皮疹は輸入感染症の可能性もあります。輸入感染症診療の3つのポイントは、渡航地、潜伏期、曝露歴。第6回 性感染症性感染症を疑った場合、性交渉歴を聞く上で大事な“5P”を確認。感染リスクの高い行為を聞き逃さないようにします。近年増加傾向にある梅毒は、発疹の性状がさまざまで、神経梅毒による認知症など多彩な症状が特徴。病期によって治療内容が異なります。性感染症を診断した場合、他の性感染症の合併リスクも高く、スクリーニング検査やパートナーの診断治療も必要です。無症状が多いHIV、梅毒、淋菌感染症、クラミジアなどに要注意。

検索結果 合計:10312件 表示位置:3621 - 3640