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エボラ出血熱にまだまだ気を付けろッ!【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。 本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」(まあ誰も呼んでないんですけどね)は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。第11回目となる今回は「エボラ出血熱」についてお話しいたします。エボラ出血熱というと、もはや一昔前に流行った感染症であり、今や時代遅れだなんて思っていませんか? とんでもありません! まだ、エボラとの戦いは終わっていないのですッ!エボラ出血熱の現在の状況それではまず、エボラ出血熱の現在の状況をみてみましょう。2013年末にギニア、シエラレオネ、リベリアの西アフリカ3ヵ国を中心に始まったエボラ出血熱の流行は、2015年9月2日までに2万8,256人の感染者が報告され、1万1,306人が死亡しています(死亡率40.0%)(図)1)。症例の報告数は、一時期指数関数的に増加していましたが、2014年11月以降はそれまで最も感染者が出ていたリベリアでの報告数が減り始め、そのリベリアの報告数を追い越し感染者が増えていたシエラレオネでも、2015年1月にようやく新規の症例報告数が減少に転じ始めました。これも現地で働く医療従事者、そして世界中から支援に駆け付けた医療従事者の懸命な努力のおかげですね。現在、リベリアでは終息宣言が出され、シエラレオネとギニアでも1週間の報告数が10例未満になってきています。これを受けて2015年9月18日に厚生労働省もエボラ出血熱の疑似症の定義を、これまでの「流行国への21日以内の渡航歴+発熱」から「エボラ出血熱に矛盾しない臨床症状+エボラ出血熱患者との接触歴(またはコウモリなどの動物との接触歴)」に変更しました。これまでよりも疑似症の基準の閾値を高くしたことになります。(エボラ出血熱の国内発生を想定した対応について)しかし、まだ完全に終息したわけではありません。流行が完全に終息するまで、日本にいるわれわれも(特に特定・一類感染症指定医療機関で働く医療従事者は)気を抜かずに、いつ輸入症例が入ってきても適切に対処できるように、訓練を続けておく必要があるのですッ!今回の大流行でわかってきたエボラ出血熱の新たな病像かつてない規模となった今回の西アフリカでのエボラ出血熱の大流行によって、これまでに知られていなかったエボラ出血熱の新たな病像が、明らかになってきました。驚異的な致死率であるエボラ出血熱から何とか無事に生還した人々の間で、遷延する食思不振や関節痛・筋肉痛が問題になっています。つい最近の報告では、ギニアでエボラ出血熱に罹患し、生還した105人のうち、103人で遷延する食思不振が、8割以上の人に慢性関節痛が、2割の人に慢性筋肉痛が認められたとのことです2)。このような病態は現地では“Post-Ebola Syndrome”と呼ばれています。このような症状以外にも、視力障害や聴力障害といった後遺症に悩まされている生還者もいるようです。このような病態はデング熱にかかった後の患者さんでも時に散見され“Post Dengue Fatigue Syndrome”と呼ばれることがありますが、デング熱と比較しても頻度・症状の深刻さはずっとタチが悪いようです。生還した人たちをなおも苦しめ続けるエボラ出血熱、やはり恐ろしい感染症です…。発症から約200日経っていても感染しうる?先日、エボラ出血熱に関するある衝撃的な報告が出されました。リベリアのエボラ出血熱生還者と性交渉をもった相手が、エボラ出血熱を発症し、またこの生還者の精液からエボラウイルスが検出されたのです3)。しかもなんとこの生還者がエボラ出血熱を発症したのは、相手が検査をした199日も前だったのですッ!エボラウイルスは精液から長期間検出される、というのは以前からいわれていたことですが、それが199日も続き、また実際に感染力があることがわかった驚異的なレポートでした。2015年5月にリベリアでは、西アフリカ3ヵ国のうち最初のエボラ出血熱終息宣言が出されました。しかし、終息したはずのリベリアで、2015年7月に新規のエボラ出血熱患者が報告されました。当初、単に症例が十分に追跡できていなかっただけではないか、あるいは動物と曝露したことによる感染ではないか、などと推測されていましたが、実は性交渉による感染である可能性も出てきました。というわけで、生還者の体液から長期間ウイルスが検出され続けることがあるということは、いったん終息したようにもみえても、また新規症例が出てくる可能性があるということになります。やはりエボラ出血熱への警戒は、まだまだ続ける必要がありそうです。さて、今回は新興再興感染症の代名詞ともいえるエボラ出血熱について取り上げましたが、次回はおそらく読者のどなたも興味を示さないであろう「ダニ媒介性脳炎」について、わが国での流行の可能性も含めて取り上げたいと思いますッ!1)WHO. Ebola Situation Report-2 Sep 2015.2)Qureshi AI, et al. Clin Infect Dis.2015;61:1035-1042.3)Christie A, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2015;64:479-481.

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トランス脂肪酸の禁止で冠動脈疾患死2.6%回避/BMJ

 英国・ランカスター大学のKirk Allen氏らは、英国で食品へのトランス脂肪酸の使用を削減または禁止する方針を打ち出した場合の、健康や社会経済に与える影響や費用対効果について調べる疫学的モデル研究を行った。その結果、禁止とした場合、今後5年間の冠動脈疾患死を2.6%回避もしくは延期する可能性があることなどを報告した。BMJ誌オンライン版2015年9月15日号掲載の報告。完全禁止、表示改善、外食のみ禁止それぞれの場合の影響を試算 研究は、英国の国民食事栄養調査(National Diet and Nutrition Survey)、低所得者食事栄養調査(Low Income Diet and Nutrition Survey)、統計局からのデータおよびその他公表されている研究からの医療経済データを用いて行われた。 25歳以上成人を、社会経済的状況で5群に層別化し、加工食品へのトランス脂肪酸の使用を完全に禁止、トランス脂肪酸の表示を改善、レストランおよびテイクアウトでのトランス脂肪酸の使用を完全に禁止としたそれぞれの場合の影響を調べた。 主要評価項目は、冠動脈疾患による死亡の回避または延期、生存年(life years gained)、質調整生存年(QALY)。また、政府および産業界のポリシーコストや、医療費およびインフォーマルケアの減少がもたらす節減、および生産性低下などとした。完全禁止で、不平等な冠動脈疾患死も15%減少可能 加工食品へのトランス脂肪酸の使用を完全に禁止とした場合、2015~20年において、冠動脈疾患死について約7,200例(2.6%)を回避または延期可能であることが示された。また、冠動脈疾患による早期死亡が、社会経済的に最も恵まれていない階層群で多いが、この不平等さを完全禁止とすることで約3,000例(15%)減少可能であることが示された。 表示の改善やレストラン/ファストフードでの使用のみを禁止とした場合は、冠動脈疾患死の回避は1,800例(0.7%)~3,500例(1.3%)、不平等さの減少は600例(3%)~1,500例(7%)と試算され、効果は半減に留まることが示された。 また、完全禁止とした場合、楽観的な試算(完全禁止による生産活動が通常のビジネスサイクルとして行われる)では最大で約2億6,500万ポンド(4億1,500万ドル)のコスト削減がもたらされること、悲観的に見積もっても(アウトサイドの正常サイクルとして行われる)でも6,400万ポンドのコスト削減が見込まれた。 これらを踏まえて著者は、「トランス脂肪酸を排除する規制方針が、英国において最も効果的で公正な政策オプションである。中間的な方針も有益である。しかしながら、産業界に自発的な改善を望むだけでは、健康アウトカムおよび経済アウトカムともにマイナスの影響を与え続けるだけである」と述べている。

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ホルモン受容体陽性早期乳がん対象のpalbociclib大規模国際共同第III相試験

 2015年8月26日-Alliance Foundation Trials, LLC(AFT)、オーストリア乳がん・結腸直腸がん研究グループ(ABCSG)、ファイザー社は、PALLAS(Palbociclib Collaborative Adjuvant Study:Palbociclibの術後補助療法に関する共同研究)試験を開始したことを発表した。この国際共同第III相臨床試験は、早期乳がん患者を対象としたもので、Breast International Group(BIG)、German Breast Group(GBG)、National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project(NSABP)、およびPrECOG, LLC(PrECOG)と共同で実施される。 PALLAS試験は、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんを対象とし、palbociclibと標準療法の併用によりPFSの改善、再発予防を評価するもの。同試験は、ステージ2またはステージ3のHR+/HER2-早期乳がんを有する閉経前および閉経後の女性または男性を対象とした多施設・前向き無作為化オープンラベル2群間比較国際共同第III相試験。被験者は、2群に無作為に割り付けられ、試験薬群では、palbociclibを2年間投与(1~21日目に125mg/日経口投与し7日間休薬する28日サイクル)に並行して標準的内分泌術後補助療法を少なくとも5年間投与する。比較対照群では、単独の標準的内分泌術後補助療法を少なくとも5年間投与する。 サイクリン依存性キナーゼ(CDK4/6)は細胞周期の調節に主要な役割を果たしており、細胞増殖を引き起こす。palbociclibはCDK4/6を阻害する経口薬であり、ER+/HER2-閉経後進行乳がんに対する初期内分泌療法として、2015年2月に米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得している。ファイザー株式会社のプレスリリースはこちら

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抗精神病薬でけいれん発作リスクが増大する疾患は

 スイス・バーゼル大学のMarlene Bloechliger氏らは、統合失調症、情動障害、認知症患者における抗精神病薬の使用と初回けいれん発作発生との関連を検討した。その結果、情動障害患者では、中~高力価第1世代抗精神病薬の使用は抗精神病薬非服用に比べけいれん発作のリスクを2.5倍に増加したが、その他の抗精神病薬使用とけいれん発作との関連は認められなかった。また認知症患者では、アミスルプリド、アリピプラゾール、リスペリドン、スルピリドを除く抗精神病薬で、その使用がけいれん発作リスクを増大させる所見が示されたことを報告した。CNS Drugs誌2015年7月号の掲載報告。 研究グループは、1998~2013年のUK-based Clinical Practice Research Datalinkデータベースを用いて、コホート内症例対照分析法による追跡研究を実施した。統合失調症、情動障害、認知症患者を特定し、けいれん発作誘発可能性が示唆されている4種の抗精神病薬――(1)オランザピンまたはクエチアピン、(2)アミスルプリド、アリピプラゾ-ル、リスペリドンまたはスルピリド、(3)低~中力価の第1世代抗精神病薬(クロルプロマジン、ズクロペンチキソール、フルペンチキソール、ペリシアジン、プロマジン、チオリダジン)、(4)中~高力価の第1世代抗精神病薬(ハロペリドール、プロクロルペラジン、トリフロペラジン)を服用している患者、および抗精神病薬を非服用患者における、けいれん発作の発生頻度を推定した。交絡調整のため、情動障害または認知症患者におけるけいれん発作のオッズ比を、抗精神病薬の使用と使用時期で層別化し、独立して推測した。 主な結果は以下のとおり。・コホートの総患者数は6万121例であった。・それらのけいれん発作頻度は、1万人年当たり、(1)オランザピンまたはクエチアピン使用者で32.6(95%信頼区間[CI]:22.6~42.6)、(2)アミスルプリド、アリピプラゾール、リスペリドンまたはスルピリド使用者で24.1(同:13.2~34.9)、(3)低~中力価の第1世代抗精神病薬使用者で49.4(同:27.7~71.0)、(4)中~高力価の第1世代抗精神病薬使用者で59.1(同:40.1~78.2)、そして抗精神病薬非服用患者では11.7(同:10.0~13.4)であった。・認知症患者は、抗精神病薬使用の有無にかかわらず、情動障害患者と比べ初回けいれん発作の発生頻度が有意に高かった。・情動障害患者では、非服用者と比べ(3)低~中力価の第1世代抗精神病薬使用が、けいれん発作のリスク増加と関連したが(調整オッズ比:2.51、95%CI:1.51~4.18)、他の抗精神病薬の使用との関連は認められなかった。・認知症患者においては、非服用者と比べ(1)オランザピンまたはクエチアピンの使用(調整オッズ比:2.37、95%CI:1.35~4.15)、(3)低~中力価の第1世代抗精神病薬の使用(同:3.08、1.34~7.08)、(4)中~高力価の第1世代抗精神病薬の使用(同:2.24、1.05~4.81)は、けいれん発作のリスク増加と関連したが、(2)アミスルプリド、アリピプラゾール、リスペリドンまたはスルピリドの使用との関連は示されなかった(同:0.92、0.48~1.75)。・統合失調症患者における抗精神病薬の使用に関しては、対象数が少なく検討できなかった。関連医療ニュース 抗精神病薬の適応外処方、年代別の傾向を調査 せん妄患者への抗精神病薬、その安全性は 認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加  担当者へのご意見箱はこちら

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デブと呼んでごめんね! DEB改めDCB、君は立派だ(解説:中川 義久 氏)-419

 PCI(経皮的冠動脈インターベンション)の歴史は、再狭窄との戦いであったといわれます。現在の進化した薬剤溶出性ステント(DES)を用いても、依然として再狭窄は一定の確率で生じます。このステント内再狭窄に対する再治療をいかに行うかは、今なお残された重大な課題です。 薬物溶出性ステントを用いて治療することも1つの戦略です。しかし、ここで再度の再狭窄を生じれば2枚重ねのステントの内部の狭窄病変ということになります。このような病変への治療は非常に難渋します。ステントを何枚も重ねることなく治療する方法が望まれてきました。バルーンで拡張するだけの方法では不十分であることがわかっていました。そこで登場したのが、薬剤被覆バルーン:Drug coated balloon (DCB)です。 現在主流のDCBは、パクリタキセルを薬剤として用いています。この薬剤は脂溶性であるため組織への移行性に優れるとされるからです。しかし、これまでは、ステント内再狭窄へのDCBを含む治療成績の報告はありましたが、個々の報告の症例数は結論を下すには十分なものではありませんでした。 薬剤溶出性ステント内の再狭窄治療に対する27のランダマイズ試験の結果を、メタ解析で検討した結果がLancet誌に報告されました。その結果では、最も有効であったのがエベロリムス溶出性ステント(EES)による再PCI、次に有効だったのはDCBを用いた治療でした。DCBを用いた治療が、再度DESを用いて治療することに取って代わるということを示したわけではありませんが、このDCBの有効性を確認した研究として非常に大切な報告と考えられます。 DCBは、つい最近まで薬剤溶出性バルーン:Drug eluting balloon (DEB)と呼称されていました。薬剤が徐放性に溶け出すステントが薬剤溶出性ステント(DES)と呼ばれることに対応した用語でした。しかし、正確には徐放性を有せず拡張の際に薬剤が壁に刷り込まれるだけであることから、薬剤被覆バルーン(DCB)と名前を変えたのです。この古い呼称であるDEBの時代には、このデバイスは皆から「デブ」、「デブ」と呼ばれていました。その言葉の中には「デブ」って本当に効くの? といったイメージも重なっていました。今回のしっかりしたメタ解析の結果から「デブ」を見直した、というのが正直な感想です。「君はもうデブじゃない、DCBとして役割をしっかり果たしてくれ!」と応援メッセージを送ります。 また、このメタ解析論文を構成する個々の研究の中には、日本の倉敷中央病院からの発信された研究も重要な要素として含まれていることも強調したい点です。

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「第14回 With You Tokyo ~あなたとブレストケアを考える会~」開催のご案内

 With You ~あなたとブレストケアを考える会~は、10月25日(日)に「第14回 With You Tokyo ~あなたとブレストケアを考える会~」を東京にて開催する。同会は、ブレストケアの質の向上を図るために、患者およびその家族と乳腺診療に携わる多職種の方々が同じ土俵に立って意見を交わすことのできる会で、患者や家族のケアに目を向け、地域に根ざした活動を行っている。これまで、全国7ヵ所(北海道・東北[仙台]・東京・名古屋・関西[大阪]・九州[福岡]・沖縄)で開催されており、東京での開催は14回目を迎える。■開催概要【会期】2015年10月25日(日)13:00~17:00(12:00 開場・受付開始)【会場】聖路加国際大学 アリス・C・セントジョン メモリアルホールアクセス情報はこちら。(PDF)【対象】乳がん患者さんとそのご家族、乳がん診療に携わる医療従事者【参加費】一般:1,000円/ 医療従事者:2,000円/ 医師:3,000円※グループワーク参加希望の方は、所定のハガキによる事前申し込みが必要です。 下記ホームページからの登録も可能です。 http://withyou-tokyo.s2.weblife.me/photo.html (グループワーク参加申し込み締切:2015年9月末日 消印有効)【プログラム】第1部:グループワーク●グループワーク(各教室)さまざまなテーマ(手術/ 乳房再建/ 治療・再発・生活などに対する不安や疑問/ 20~30歳代の患者、仕事をしながら治療を受けている方/ リンパ浮腫(デモンストレーションあり)/ 心のケア/ 家族のグループ/ 緩和ケア/ 乳がん体験者の妊娠・出産について)に関して、患者と医療従事者が意見交換できる。●何でも質問コーナー(グループワークに参加されない方)講堂にて乳がん診療のスペシャリストが参加者からの質問に答える『何でも質問コーナー』を開催。第2部:ミニレクチャー●「乳がん関連情報update 2015」講師:鈴木 正人氏(国立病院機構 千葉医療センター 乳腺外科)乳がんに関する、すぐに役に立つ情報満載の最新の乳がん関連情報●「乳がんと遺伝」講師:喜多 瑞穂氏(がん研有明病院 遺伝子診療部)アンジェリーナ・ジョリーの報道で近年話題となっている遺伝性乳がんについて解説●「骨密度のお話」講師:佐藤 信吾氏(東京医科歯科大学 整形外科 助教)内分泌療法に伴う骨密度の低下について解説第3部:特別講演●『笑顔は最高の万能薬!! ―QOLを高める心と身体のエクササイズ―』講師:広瀬 真奈美氏(一般社団法人キャンサーフィットネス 代表理事)がんサバイバーが、QOLを高めるための心と身体のエクササイズについて講演し、参加者もその場でエクササイズを体感できる。「第14回 With You Tokyo ~あなたとブレストケアを考える会~」の詳細はこちら。「With You ~あなたとブレストケアを考える会~」14年間の活動についてはこちら。画像を拡大する

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米国直近の糖尿病有病率は12.4%、1988年から増加傾向続く/JAMA

 米国の2011~12年の糖尿病有病率は12.4%であり、1988~94年の9.8%、2001~02年の10.8%から増加傾向が続いていることが明らかになった。同様の傾向は、男女別にみても、また年齢別や人種別にみた場合も認められたという。米国疾病予防管理センター(CDC)のAndy Menke氏らが、米国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)のデータを基に調べ報告した。JAMA誌2015年9月8日号掲載の報告。非入院の米国住民について、横断研究 調査は、1988~94年、1999~2012年それぞれの期間、非入院の米国住民を対象に行われた。2011~12年の有病率予測には、2,781人のデータを利用。1988~2010年の傾向の予測には、さらに2万3634人のデータを加えて推算を行った。 有病率の定義は、糖尿病診断歴あり、または(1)HbA1c値が6.5%以上または空腹時血糖値(FPG)が126mg/dL以上、(2)食後2時間血糖値が200mg/dL以上とした。糖尿病前症の定義は、HbA1c値が5.7~6.4%、FPG値が100~125mg/dL、食後2時間PGが140~199mg/dLとした。本調査定義の糖尿病患者のうち25~36%が未診断者 評価分析の結果、2011~12年の、補正前糖尿病有病率は、14.3%(95%信頼区間[CI]:12.2~16.8%)であった。このうち糖尿病と診断歴ありは9.1%で、5.2%は未診断の人だった。 糖尿病前症の補正前有病率は、38.0%(同:34.7~41.3)で、このうち36.4%の人が未診断の人だった。 有病率定義のうち、(1)または(2)を用いた場合の、補正前糖尿病有病率は12.3%(同:10.8~14.1)で、うち未診断の人の割合は3.1%(同:2.5~3.9%)であり、また、糖尿病前症の補正前有病率は36.5%(同:33.2~40.0%)で、うち未診断の人の割合は25.2%(同:21.1~29.8)だった。 人種別の年齢補正後糖尿病有病率は、白人11.3%に対して、黒人が21.8%(p<0.001)、アジア人20.6%(p=0.007)、ヒスパニック系22.6%(p<0.001)と後者が高かった。 年齢補正後の糖尿病有病率(HbA1c値またはFPGによる)は、1988~94年の9.8%から2001~02年の10.8%へ、さらに2011~12年の12.4%へと、有意な増加傾向が認められた(傾向p<0.001)。また、性別、年齢、人種/民族、教育レベル、収入対貧困比率の三分位群のいずれのサブグループでみた場合も、同様の有意な増加傾向が認められた。

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脳卒中後の予防的抗菌薬投与、肺炎を抑制せず/Lancet

 脳卒中ユニットで治療中の嚥下障害がある脳卒中後患者について、予防的抗菌薬投与を行っても肺炎発症は抑制されず、同治療は推奨できないとする見解を、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのLalit Kalra氏らがクラスター無作為化試験の結果、報告した。脳卒中後肺炎は、死亡の増大および機能的アウトカムの不良と関連している。研究グループは、予防的抗菌薬の有効性を調べるため今回の検討を行ったが、アルゴリズムに基づく発症率の補正後オッズ比は1.21であるなど、肺炎の発症に有意な差は認められなかったという。Lancet誌オンライン版2015年9月3日号掲載の報告。7日間の抗菌薬投与+通常ケア vs.通常ケアで検討 検討は、英国内48の脳卒中ユニットで、UK National Stroke Auditに認定・包含された18歳以上の新規脳卒中後嚥下障害患者を募って実施された。試験は、前向き非盲検、エンドポイントを盲検化して行われた。対象者について、抗菌薬投与が禁忌、嚥下障害が発症前に既往または感染症が認められる、もしくは14日間の生存が見込めない患者は除外した。 被験者は発症48時間以内にユニット単位で、7日間の抗菌薬投与+通常ケアを行う群、または通常ケアのみを行う(対照)群に、コンピュータで無作為に割り付けられた。割り付けは、入院件数の層別化および専門的ケアを評価するため最小化にて行われた。また、被験者、評価および解析スタッフは、割り付けユニットについて知らされなかった。 主要アウトカムは、当初14日間における脳卒中後肺炎の発生で、intention-to-treat集団にて、階層的アルゴリズムと医師の診断の両者の診断基準に基づく評価を行った。また、安全性についてもintention-to-treat解析を行った。アルゴリズム定義および医師の診断に基づく発生率とも、両群間で有意差みられず 2008年4月21日~2014年5月17日に、48ヵ所の脳卒中ユニット(患者は全ユニット総計1,224例)を2つの治療群(各群24ヵ所)に無作為に割り付けた。無作為化後14日間を待たずに、11ユニットと患者7例が試験中止となった。intention-to-treat解析には残る37ユニット1,217例の患者が組み込まれた(抗菌薬群615例、対照群602例)。 結果、予防的抗菌薬投与は、アルゴリズム定義の脳卒中後肺炎の発生に影響を及ぼさなかった。発生率は、抗菌薬群13%(71/564例) vs.対照群10%(52/524例)で、周辺補正後オッズ比(OR)1.21(95%信頼区間[CI]:0.71~2.08、p=0.489)、クラス内相関係数(ICC)0.06(95%CI:0.02~0.17)であった。なお、アルゴリズム定義の脳卒中後肺炎は、データ損失のため129例(10%)の患者について確認できなかった。 医師の診断に基づく脳卒中後肺炎の発生状況についても、両群間の差は認められなかった。同発生率は、16%(101/615例) vs.15%(91/602例)で、補正後OR:1.01(95%CI:0.61~1.68、p=0.957)、ICC:0.08(95%CI:0.03~0.21)であった。 有害事象は、感染症とは無関係の脳卒中後肺炎(主に尿路感染症)の頻度が最も高かったが、同発生頻度は抗菌薬群のほうが有意に低率であった(4%[22/615例] vs.7%[45/602例]、OR:0.55[95%CI:0.32~0.92]、p=0.02)。 クロストリジウム・ディフィシル感染症の発生は、抗菌薬群2例(1%未満)、対照群4例(1%未満)であった。また、MRSAコロニー形成の発生は、抗菌薬群11例(2%)、対照群14例(2%)であった。

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うつ病へのボルダリング介入、8週間プログラムの成果は

 うつ病は、先進国における最も一般的な疾患の1つである。そして、うつ病患者の身体活動は、重要な治療介入であると考えられる。ロッククライミングやボルダリングは、うつ病治療に有用であると考えられる多くの側面を有しているが、うつ病患者に対するボルダリングのグループ介入の研究はほとんど行われていなかった。ドイツ・フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクのKatharina Luttenberger氏らは、ボルダリングによる心理療法的介入の8週間プログラムを開発し、その介入効果を評価した。BMC psychiatry誌2015年8月25日号の報告。 ボルダリング介入は、週に1回3時間を8週間実施した。参加者は、介入群と待機群の2群に無作為に割り付けられた。介入群は、ベースライン測定直後よりボルダリング介入を実施し、非介入群は通常治療8週間後よりボルダリング介入を行った。8週間隔で4測定点において、ベックうつ病評価尺度-II(BDI-II)、症状チェックリスト-90-R(SCL-90)、リソースと自己管理スキルに関するアンケート(FERUS)、注意テストd2-Rを実施した。合計47例が試験を完了し、データは記述統計学を用い分析した。エフェクトサイズはCohen's dを用い算出した。主要仮説は、回帰分析と治療必要数(NNT;BDI-IIにおける6点以上の改善)にて算出した。 主な結果は以下のとおり。・ボルダリング介入8週間後、うつ病の指標でプラスの効果が認められた(BDI-II:Cohen's d=0.77)。これは、唯一有意なうつ病の症状変化の予測因子として、グループの回帰分析で示された(p=0.007)。・NNTは4であった。・本知見は、ボルダリング介入がうつ病の効果的な治療法である可能性を示す最初の報告であり、さらなる研究が必要である。関連医療ニュース うつ病にダンスセラピー、その効果は 少し歩くだけでもうつ病は予防できる 日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project  担当者へのご意見箱はこちら

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ベムラフェ二ブが有毛細胞白血病に高い効果/NEJM

 プリンアナログ療法後に再燃または難治性の有毛細胞白血病(HCL)に対して、BRAF阻害薬ベムラフェニブ(HCLに対しては未承認)の16~18週投与が高い治療効果を示したことが報告された。イタリア・ペルージャ大学のEnrico Tiacci氏らがイタリアと米国の2施設で行った第II相臨床試験の結果、報告した。HCLでは遺伝子病変としてBRAF V600Eが認められることから、本検討が行われた。NEJM誌オンライン版2015年9月9日号掲載の報告より。ベムラフェニブ 960mgを1日2回、中央値16週または18週投与 試験は、イタリアと米国の各1施設から被験者を集め、ベムラフェニブ(960mgを1日2回)を、イタリアの試験施設では中央値16週間、米国では同18週間投与して行われた。 主要エンドポイントは、イタリア試験群では完全奏効率(complete response rate)と米国試験群では全奏効率(overall response rate)であった。被験者登録は、イタリア試験群では2013年4月時点で28例が完了、米国試験群はいまだ継続中で予定患者36例中26例が登録を完了している。全奏効率は96~100%、完全奏効率は35~42% 結果、全奏効率は、イタリア試験群で中央値8週治療後96%(評価対象25/26例)、米国試験群では中央値12週治療後100%(24/24例)であった。また完全奏効率は、それぞれ35%(9/26例)、42%(10/24例)だった。 イタリア試験群では、フォローアップ中央値23ヵ月後、無再発生存期間の中央値は、完全奏効達成患者群で19ヵ月、部分寛解達成患者で6ヵ月だった。無治療生存期間の中央値は、それぞれ25ヵ月、18ヵ月であった。 米国試験群では1年時点で、無増悪生存率は73%、全生存率は91%だった。 試験薬関連の有害事象発生は、概してグレード1または2で、用量減量となった最も頻度の高い事象は発疹、関節痛または関節炎であった。2次性の皮膚腫瘍疾患(簡単な摘出術で治療可能)は7/50例の患者で認められた。 なお、治療後に骨髄でみられたリン酸化ERK陽性白血病細胞の存在は、抵抗性メカニズムとしてMEKやERKのバイパス再活性化を示唆するものであった。

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PNH妊婦へのエクリズマブ、有効性と安全性を確認/NEJM

 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に対するエクリズマブ投与は、胎児生存率が高く、母親の合併症発生率も低いことが明らかにされた。英国のセント・ジェームス大学病院のRichard J. Kelly氏らが、PNH妊婦の妊娠75件について調べて明らかにした。エクリズマブ使用に関してPNHの妊娠中女性を対象とした試験は初めてという。NEJM誌2015年9月10日号掲載の報告より。国際PNH専門家会議メンバーらに質問票を送付 研究グループは、国際PNH専門家会議(the International PNH Interest Group)のメンバーと、国際PNHレジストリに参加する医師に対して質問票を送付し、PNH患者の妊娠に関する調査を行った。 出生児の出生・発達記録と母親の有害イベントについて調べ、PNHの妊婦に対するエクリズマブの安全性と有効性について検証した。妊婦死亡なし、胎児死亡率は4% 発送した質問票94通のうち、回答が得られたのは75通(回答率80%)だった。 61例のPNH妊婦、75件の妊娠について分析を行った。その結果、妊婦の死亡はなく、胎児の死亡は3例(4%)であった。妊娠第1期の流産は、6例(8%)だった。 赤血球輸血の必要性は、妊娠前6ヵ月は0.14単位/月だったのに対して、妊娠中は0.92単位/月へと増量した。 妊娠第1期を経過した妊婦の54%で、エクリズマブ投与量または投与頻度の増加が必要だった。 出血イベントは10例で、血栓イベントは2例発生し、血栓イベントのいずれもが産褥期に発生した。早産は22例(29%)だった。 臍帯血サンプル20例について調べたところ、エクリズマブが検出されたのは7例だった。また、母乳栄養を行った乳児25例のうち10例について調べたところ、いずれの母乳にも、エクリズマブは検出されなかった。

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レビー小体型とアルツハイマー型を見分ける、PETイメージング

 レビー小体型認知症(DLB)とアルツハイマー型認知症(AD)の鑑別診断において、PETイメージングによる脳内のアセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性を測定する方法が有用である可能性が示された。国立研究開発法人放射線医学総合研究所分子イメージング研究センターの島田 斉氏らが検討を行った結果、AD患者と比較してDLB患者では一貫して顕著な脳内コリン作動性障害がみられたという。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2015年8月17日号の掲載報告。 研究グループは、脳AChE活性測定の診断能を調べるため、DLB患者とAD患者で、[11C]MP4A PETイメージング法を用いた検討を行った。DLB患者14例とAD患者25例、および年齢で適合した健常対照(HC)18例を対象とし、全被験者にMP4A PETスキャンを行い、脳内局所のAChE活性を測定した。スキャン画像の解剖学的標準化を行い、k3値、AChE活性指数を、ボクセルごとに非線形二乗法分析によって推算した。関心領域(Volumes of interest:VOI)は、正面、側頭、頭頂、後頭皮質および前方と後方の帯状束回(ACGとPCG)で、パラメトリックk3イメージで同定した。そしてVOIごとに、k3値によるADとDLBの鑑別診断能を、ROC曲線下面積(AUC)で評価した。ボクセルベースの統計学的分析も行った。 主な結果は以下のとおり。・皮質AChE活性の平均値は、AD患者(HCとの比較で-8.2%)およびDLB患者(-27.8%)ともにHCより有意に低かった(それぞれp<0.05、p<0.001)。・また、AD患者とDLB患者との間に、皮質平均AChE活性の有意な差が認められた(p<0.001)。・ACG以外の同定VOIのすべての局所において、脳AChE活性の測定により、DLBとADを区別することが可能だった。とくにPCGにおける診断能が最も有意であった(AUC=0.989、95%CI:0.965~1.000)。関連医療ニュース 認知症、アルツハイマー型とレビー小体型の見分け方:金沢大学 うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 統合失調症と統合失調感情障害、鑑別のポイント  担当者へのご意見箱はこちら

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2型糖尿病への肥満手術、5年時点も転帰良好/Lancet

 肥満症の2型糖尿病患者に対しては肥満手術を行ったほうが薬物療法のみよりも、糖尿病の長期コントロールが良好であることが報告された。イタリア・Sacred Heartカトリック大学のGeltrude Mingrone氏らによる単施設非盲検無作為化試験の5年フォローアップの結果、示された。著者は、「肥満症の2型糖尿病患者において手術を治療アルゴリズムに組み込むべきである」と述べ、同時に、手術群においても高血糖再発を予防するために、血糖コントロールのモニタリングは継続すべきだとも指摘している。Lancet誌2015年9月5日号掲載の報告より。薬物療法 vs.肥満手術群の5年アウトカムを分析 先行研究の無作為化試験で、胃バイパス手術は従来薬物療法よりも、短期的な2型糖尿病コントロールが良好であることが示されていたが、フォローアップ期間が短く、研究グループは、5年アウトカムを評価することを目的とした試験を行った。 検討は、イタリアの単施設で行われ、30~60歳でBMI 35以上、過去5年以内に2型糖尿病歴のある患者を、薬物療法群または肥満手術(Roux-en-Y胃バイパス手術または胆膵路転換手術)群にコンピュータで無作為に割り付けて追跡評価した。 割り付け治療について、被験者は手術前に、試験研究者は割り付け時点で認識していた。 主要エンドポイントは、2年時点の糖尿病寛解率で、寛解は、1年間薬物療法を行っておらずHbA1c値6.5%以下および空腹時血糖値5.6mmol/L以下と定義した。 今回研究グループは、無作為化後5年時点の血糖および代謝コントロール、心血管リスク、使用薬物、QOL、長期合併症について分析。per protocolに従い主要エンドポイントをintention to treatにて評価を行った。5年時点で糖尿病寛解維持は手術群50%、薬物療法群は0% 2009年4月27日~10月31日の間に、60例の患者を胃バイパス術群(20例)または胆膵路転換術群(20例)と、薬物療法群(20例)に無作為に割り付けた。このうち53例(88%、19例、19例、15例)が、5年の追跡調査を完了した。 5年時点で糖尿病寛解を維持していたのは、手術群患者19/38例(50%)(胃バイパス群7/19例[37%]、胆膵路転換術群12/19例[63%])に対し、薬物療法群は0/15例であった(p=0.0007)。 高血糖の再発について、2年時点で寛解が認められた胃バイパス群の患者15例のうち8例(53%)、同胆膵路転換術群の患者19例のうち7例(37%)で認められた。 一方、薬物療法の有無にかかわらずHbA1c6.5%以下であったのは、胃バイパス術群8例(42%)、胆膵路転換術群は13例(68%)で、薬物療法群4例(27%)と比べて手術群の達成は有意に高率であった(p=0.0457)。 また、手術群は薬物療法群よりも体重減量が大きかったが、体重の変化により術後の糖尿病寛解または再発は予測されなかった。一方でいずれの手術も、脂質低下、心血管リスク、薬物使用との有意な関連が認められた。 糖尿病重大合併症は5例(1例は致死的心筋梗塞)でみられ、4例(27%)が薬物療法群における発生で、1例は胃バイパス群であり、胆膵路転換術群では報告例がなかった。 手術群では末期合併症または死亡は報告されなかった。栄養面における有害事象は、主に胆膵路転換術後においての報告であった。

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女性はSU薬による低血糖リスクが高い

 女性は男性よりもスルホニル尿素(SU)薬による低血糖リスクが高いことが、熊本大学の梶原 彩文氏らの研究により明らかになった。これは、SU薬による低血糖の潜在的なリスク因子として女性に焦点を当てて検討した初めての報告である。著者らは、本知見について「女性の低血糖リスクだけでなく、心血管疾患および認知症リスク、死亡率増加リスクなどを低下させるためにも、患者一人ひとりに合った治療を行うことが重要であるとの考えを支持するもの」としている。Clinical drug investigation誌オンライン版2015年9月号の掲載報告。 いくつかの報告において、女性は男性よりも低血糖リスクが高い可能性が示唆されているが、まだ結論には至っていない。また、糖尿病治療薬が誘発する低血糖について女性であることを考慮に入れた検討はない。そこで本研究では、女性はSU薬による低血糖リスクが高いのかを日常診療において検討した。 熊本県で行われた日本薬剤師会の薬剤イベントモニタリングプロジェクトに参加した日本人糖尿病患者2,119人を対象に、SU薬の副作用発生率を調査した。女性と低血糖症状の発生率の関連について、多重ロジスティック回帰分析を用いて、調整オッズ比(OR)および95%信頼区間(95%CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・女性と低血糖症状の発生率には、有意な関連が認められた(男性 vs.女性; OR 2.04、95%CI:1.22~3.41、p=0.007)。・女性に特異的な低血糖のリスク因子は、糖尿病治療薬の多剤併用(2剤以上 vs.併用なし; OR 2.80、95%CI:1.17~6.67、p=0.021)、短い糖尿病治療期間(3ヵ月未満 vs.24ヶ月以上; OR:4.14、95 %CI:1.06~16.14、p=0.041)、長いフォローアップ期間(OR 1.02、95%CI:1.00~1.04、p=0.041)と同定された。

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リードレスペースメーカーの有用性、9割で確認/NEJM

 リードレス心臓ペースメーカーの有用性が、市販後調査試験LEADLESS IIの中間解析の結果から報告された。3ヵ国56施設で526例を登録して行われた、前向き非無作為化試験の登録初期300例のうち9割の患者で、事前規定の6ヵ月時点のペーシング閾値および感知振幅の達成が確認されたという。装置関連の重篤有害事象の発生は、患者15例につき1件の頻度であった。ペースメーカーは装置関連の合併症、とくに感染症および電源供給のリード線に関連した問題により限界が指摘されていた。NEJM誌オンライン版2015年8月30日号掲載の報告より。埋設後6ヵ月時点の有効性と安全性を評価 LEADLESS IIは、永久的な心室単腔ペーシングを必要とする患者を対象に、Nanostim(セント・ジュード・メディカル社製)の有効性と安全性について検討した試験。同装置は、FDA承認の小型化された完全植込み型リードレスペースメーカーで、カテーテルにより非侵襲的に埋設が可能である。 試験では、主要有効性エンドポイントを、6ヵ月間の容認可能な、ペーシング閾値(0.4msec時2.0V以下)および感知振幅(R波5.0V以上、または埋設時と同等もしくはそれ以上)とした。主要安全性エンドポイントは、6ヵ月間の装置関連重篤有害事象の未発生とした。 主要エンドポイントの解析は、6ヵ月間のフォローアップが完了した登録初期300例(主要コホート)のデータについて行うこととあらかじめ規定され、分析目標の有効性エンドポイントは85%のデータについて、安全性エンドポイントは86%と規定されていた。 また、付加的アウトカムの評価が、2015年6月時点で登録されていた全被験者526例(全コホート)について行われた。装置関連重篤有害事象は6.7% 全コホート526例におけるリードレスペースメーカーの埋設成功例は、504例であった(95.8%)。 主要コホート300例における、intention-to-treat解析による主要有効性エンドポイントの達成者は270例であった(90.0%、95%信頼区間[CI]:86.0~93.2、p=0.007)。 同様に主要安全性エンドポイントの達成者は280例であった(93.3%、95%CI:89.9~95.9、p<0.001)。 6月時点で、装置関連重篤有害事象が観察されたのは、6.7%であった。内訳は、経皮的除去(1.7%)、心穿孔(1.3%)、ペーシング閾値上昇で経皮的除去および装置の再埋設を要した(1.3%)であった。

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アレルギー高リスク乳児でも、急性気管支炎にアドレナリン吸入は効果なし

 乳児の急性細気管支炎に対する気管支拡張薬の吸入療法は、ガイドラインで支持されていないにもかかわらず、アトピー性疾患のある個人には有効と信じられ、しばしば用いられている。しかし、細気管支炎後にアトピー性皮膚炎、アレルギー感作または気管支閉塞を発症した乳児について解析したところ、急性細気管支炎による入院期間はエピネフリン(アドレナリン)吸入によって減少していなかったことが、ノルウェー・オスロ大学のHavard Ove Skjerven氏らによる無作為化二重盲検試験の追跡調査で明らかになった。著者は、「仮説に反し、本研究の結果、アレルギー疾患のリスクが高い小児における急性細気管支炎に対しアドレナリン吸入の試みは支持されない」とまとめている。Lancet Respiratory Medicine誌オンライン版2015年8月25日号の掲載報告。 研究グループは、乳児の急性細気管支炎に対するアドレナリン吸入療法が、後に気管支閉塞を発症した患者、あるいはアトピー性皮膚炎やアレルギー感作を有する患者に有用であったかどうかを評価する目的で、中等症~重症の急性細気管支炎の乳児(生後12ヵ月未満)404例を対象とした無作為化二重盲検試験の追跡調査を行った。 急性細気管支炎による入院期間中、アドレナリン吸入(ラセミ体アドレナリン20mg/mL)または食塩水吸入(0.9%食塩水)が最高で2時間ごとに行われた。投与量は乳児の体重に応じ、5kg未満は0.10mL、5~6.9kgは0.15mL、7~9.9kgは0.2mL、10kg以上は0.25mLとし、すべて0.9%食塩水2mLに溶解して吸入した。 主要評価項目は入院期間であった。 追跡調査では、2歳時に問診、臨床検査および17種のアレルゲンに関する皮膚プリックテストを行い、気管支閉塞、アトピー性皮膚炎およびアレルギー感作の有無を確認し、サブグループ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・2歳時の追跡調査を実施できたのは294例であった。・2歳までに気管支閉塞を発症した乳児のサブグループ(143例、48.6%)では、アドレナリン吸入群と食塩水吸入群とで入院期間に差はなかった(相互作用のp=0.40)。・2歳までのアトピー性皮膚炎またはアレルギー感作発症例(77例)では、アドレナリン吸入の効果と有意な相互作用を認めた(相互作用のp=0.02)。・すなわち、2歳までにアトピー性皮膚炎またはアレルギー感作を認めなかった患者では、食塩水群と比較しアドレナリン吸入群で、入院期間が有意に短かったが(-19.9時間、p=0.003)、2歳までにアトピー性皮膚炎またはアレルギー感作を認めた患者では、アドレナリン吸入群と食塩水吸入群で、入院期間に有意差はなかった(相互作用のp=0.24)。

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乾癬治療薬の安全性は生物学的製剤でも変わらない?

 ドイツで実施された中等度~重症乾癬患者の登録試験において、従来の全身治療薬と生物学的製剤では、感染症、心血管系イベント、悪性腫瘍の発生などの安全性に差はみられなかったことが、ドイツ・ハンブルク大学のKristian Reich氏らにより報告された。Archives of Dermatological Research誌オンライン版2015年9月10日号掲載の報告。 本登録試験「PspBest」は、中等症~重症乾癬患者を対象とし、従来の全身治療薬と生物学的製剤について長期の有効性と安全性を調査することを目的として、2008年から251ヵ所の皮膚センターで実施された。 各治療薬の安全性評価にあたっては、重大な感染症、悪性腫瘍、主要有害心血管イベントに焦点が当てられた。2012年6月までに2,444例(女性40%、平均年齢47.3歳[SD 14.1]、平均罹患18.2年[SD 14.7])が登録された。平均PASIスコアは14.7、皮膚科領域に特化したQOL指標 であるDLQIは11.1、平均BMIは28.2であった。 主な結果は以下のとおり。・すべての有害事象の100人年あたりの発現率は、従来の全身治療薬投与群で1.3(SD 0.9)、生物学的製剤群で1.5(SD 1.2)で有意差はみられなかった(p>0.5)。・重大な感染症の発現は、従来の全身治療薬群0.33(95%CI:0.13-0.54)、生物学的製剤群0.65(95%CI:0.35~0.98)であった。・主要な心血管イベントの発現は、従来の全身治療薬群0.56(95%CI:0.29~0.97)、生物学的製剤群0.77(95%CI:0.41~1.31)であった。・非黒色腫皮膚がんを除く悪性腫瘍の発現は、従来の全身治療薬群0.46(95%CI:0.22~0.84)、生物学的製剤群0.49(95%CI:0.21~0.97)であった。・単一の薬剤間で安全性パラメーターに差はみられなかった。

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軽度うつ病患者の大うつ病予防効果を検証するRCTは実施可能か

 大うつ病の基準に満たない持続性抑うつ症状は、大うつ病に進行するリスクの高い慢性状態を表す。それら抑うつ患者や軽度うつ病に対する、人間中心療法(Person-Centred Counselling)や低強度の認知行動療法といった心理療法のエビデンスは限られており、とくに長期アウトカムは限定的であった。ブラジルのジュイス・デ・フォーラ連邦大学のElizabeth Freire氏らは、大うつ病の基準に満たない抑うつ症状および軽度うつ病患者を対象とした心理療法に関する無作為化対照試験の、実行可能性について検証を行った。BMC Psychiatry誌2015年8月15日号の掲載報告。 パイロット/実行可能性試験であった本検討は、被験者募集登録率、ベースラインから6ヵ月時点でのアドヒアランスと継続(非脱落)率を主要評価項目とした。また重大副次評価項目として、6ヵ月時点でのうつ病回復またはうつ病発症予防とし、これらの評価は被験者の治療状況を盲検化したうえで独立した評価者が構造化臨床面接により行った。5件の一般診療所(GP)で36例の患者が登録され、週1回8週にわたる人間中心療法のセッションを受ける群(各々最大1時間)と、週1回8週にわたる認知行動療法(毎回20~30分間、電話サポートでリソースの活用を促す)のセッションを受ける群に無作為に割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。・GPの患者数からみた被験者登録率は1.8%であった。・両群の介入に関して、患者は平均5.5セッション参加した。・追跡6ヵ月時点の評価に組み込まれた患者は、72.2%であった。・6ヵ月時点で評価が行われた被験者のうち、ベースライン時に軽度うつ病と診断された被験者の71.4%で回復が認められ、ベースライン時に持続性うつ病と診断された被験者のうち66.7%は大うつ病への進行を認めなかった。・6ヵ月時点での回復およびうつ病発症予防、その他のいずれのアウトカムにおいても、治療群間で有意な差は認められなかった。・以上から、被験者登録は実行可能であり、プライマリケア設定で大うつ病の基準に満たない患者および軽度のうつ病患者に対して、人間中心療法と認知行動療法はいずれも提供可能であることが示された。・ただし、GPでの登録には多大な労力を要することも示唆された。・本研究は、短期間の人間中心療法と低強度の認知行動療法は有効であると思われること、その効果については、医療経済面の評価を含む大規模無作為化対照試験で評価すべきであることを示唆するものであった。関連医療ニュース うつ病の精神療法、遠隔医療でも対面療法と同程度 日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project 自殺リスク評価の無作為化試験は実施可能なのか  担当者へのご意見箱はこちら

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仮説検定としては意味があるが独創的とは言い難い(解説:野間 重孝 氏)-415

 本研究は、急性ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に対して、プライマリ経皮的冠動脈インターベンション施行前にシクロスポリンを静脈内投与することにより、1年時点で評価した有害事象(全死因死亡、初回入院中の心不全の悪化、心不全による再入院、左室拡張末期容積15%以上増加のリモデリング)の発生を軽減することができるという仮説を検定したものである。 本研究に先立ち、著者らは2008年に58例を対象としたパイロットスタディを発表しており、シクロスポリンの前投与により、CK遊出量・トロポニン遊出量の減少、第5病日においてMRI hyperenhancementで計量した心筋梗塞量の減少を報告した1)。 今回の研究は、上記のphase3に当たるものであり、42施設、970例を対象として二重盲検プラセボ対照無作為化試験として実施された。結果は、複合アウトカム発生オッズ比が1.04であり、サブ解析でも優位を示した項目がみられず、仮説は否定された形となった。 この今回の研究における仮説の基礎には、心筋梗塞巣のサイズの決定に、再潅流に伴ういわゆる再潅流障害が重要な役割を果たしており、シクロスポリンはミトコンドリア壊死を防止することにより再潅流障害を軽減することができるのではないかとの予想があった。この点については、若干の解説が必要であろう。 真核生物の細胞内小器官であるミトコンドリアは、ADPの酸化的リン酸化によりATPを産生することを重要な役割としており、構造としては二重の生体膜(内膜と外膜)によって囲まれている。内膜と外膜の接触部位(contact sites)にはPTP(permeability transition pore)と呼ばれる穴構造が存在する。PTPはCaイオンの存在下に開口することが知られており、開口により膜電位が低下すると、まずアポトーシスが発生し、さらに開口して全エネルギーが失われると(complete deenerzation)ミトコンドリアが壊死に陥ることが知られている。心筋再潅流時にはミトコンドリアがCaイオン過負荷状態にあると考えられ、これがミトコンドリアの壊死から細胞全体の壊死へと発展するのではないかと考えられている。 シクロスポリンはPTPの構成物質中のcyclophilin Dとadenine nucleotide translocaseの結合を阻害することにより、PTPの開口を防止することがin vitroで確かめられており、このことからシクロスポリンは心筋再潅流時のCa過負荷から、ミトコンドリアを保護する働きがあるのではないかと考えられたのである。 予想が成立しなかった原因はいくつか考えられるだろう。シクロスポリンの一連の保護仮説の真偽は置いておくとして、まず第1に考えられるのは静脈内投与によっては十分量の薬剤が心筋に到達しなかった可能性である。これは、かなり初歩的な考え方のように思われるかもしれないが、薬剤前投与で現在まではっきり有効であると証明された薬剤がないことからも、静脈内投与の限界が考えられなくてはならないのではないだろうか。 第2に、そもそも大梗塞域の形成に果たす再潅流障害の意味付けを過大評価しているのではないかという疑問である。著者らが対象とした症例はいずれも重症例であったが、その病状形成に再潅流障害が大きく関与していたとどうして証明できるだろうか。単純に虚血域が大きいことだけで十分な危険因子なのである。 第3には、再潅流障害が起こったとして、in vitroの実験とは異なり、PCIにより再潅流している以上、微小血栓を末梢に飛ばすなど化学的以外の物理的な要因も考慮されなければならないことである。また、心筋壊死巣の大きさにはtotal ischemic timeこそが大きな意味を持つと考えられ、12時間以内という縛りでは、十分に速やかに再潅流が得られたとは言い難い点も指摘しておきたい。 急性心筋梗塞に対する治療は、この20年に著しい進歩を遂げたと言ってよい。しかしながら、それはPCI施行可能施設の増多、救急隊員・救命救急医の練度の向上、door to balloon timeの短縮といった社会的、人的な努力によるところが大きい。ステントの進歩や血栓吸引療法の登場など種々の進歩はあったものの、いわゆるパラダイムシフトが起こるには至っていない。本研究も、シクロスポリンというこの分野ではあまり注目されることのない薬剤を使用したこと、ミトコンドリア保護に注目した点は新しいと言えるが、根本的にはほかの薬剤の術前投与研究を踏襲したもので、目新しいとまでは言えない研究と考えられる。

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108)握力をキーワードにサルコペニア対策を指導【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者先生、最近、困っていることがあって……。 医師それは何ですか? 患者手の力が弱くなったのか、ビンのふたが開けにくくって……。 医師確かに、握力が弱るとだんだんビンや缶のふたを開けるのが億劫になりますね。 患者そうなんです。 医師ちょっと握力を測ってみましょうか?(握力計をみせる) 患者はい。……。 医師右が○○㎏、左が○○㎏です。若い頃と比べて、いかがですか。 患者かなり落ちていますね。鍛えないといけませんね。 医師握力は鍛えると、上がっていきますので。チャレンジしてみてください。次回もチェックしますね。 患者はい。わかりました(うれしそうな顔)。●ポイント若い頃の握力と比較することで、体力低下への気づきが生まれます●資料 1) Chen LK, et al. J Am Med Dir Assoc. 2014;15:95-101. 2) Arai H, et al. Geriatr Gerontol Int. 2014;14:1-7.

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