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わかる統計教室 第3回 理解しておきたい検定 セクション14

インデックスページへ戻る第3回 理解しておきたい検定セクション14 ロジスティック回帰分析を学ぶセクション1 セクション2 セクション3 セクション4 セクション5セクション6 セクション7 セクション8 セクション9 セクション10セクション11 セクション12 セクション13近年の論文では、ロジスティック回帰分析を目にすることがとても増えてきています。ロジスティック回帰分析は、疫学調査などの大規模なスタディには必須となっています。セクション14では、このロジスティック回帰分析の手法について学んでいきます。■ロジスティック回帰はどのようなときに使うのかたとえば、脳卒中の危険因子を検討する場合、いろいろな分析方法が考えられます。脳卒中発症の有無に対して、性別、飲酒量、γ-GTP、喫煙、血圧、不整脈症状などについて t 検定を行う方法や、ある薬剤の服用の有無についてカイ2乗検定を行う方法などが簡単な分析方法です。しかし、仮に脳卒中を発症する群がγ-GTPの高い値の群に多かったとした場合、同時に飲酒量の多い群も脳卒中が多い群になってしまうかもしれません。γ-GTPで有意差が得られたとしても、それはお酒の飲み過ぎで肝臓が悪くなり、γ-GTPの検査値に影響した可能性が大きいと考えられ、正しい検定ではなくなってしまうことがあります。このような交絡因子、つまり2つ以上の因子が混じり合って、分けることができない状態が存在する場合の検定に役立つのが「ロジスティック回帰分析」です。この場合、脳卒中は目的変数(または従属変数)と、性別、飲酒量、γ-GTP、喫煙、血圧、不整脈症状などは説明変数(または独立変数)と呼びます。■ロジスティック回帰分析はどのような手法かロジスティック回帰とは、2群(たとえば健康の有無)を判別するのに、重要な要因は何かを明らかにする。任意の例の確率(健康である可能性)を予測するモデル式を作る。表43のようにモデル式を用い、Wさんの確率を予測する。という手法です。表43 モデル式適用できるデータは、目的変数は2群(1、0の2値データ)、説明変数は数量データです。■ロジスティック回帰分析の解析手順(表44)表44 解析の手順■ロジスティック回帰分析のモデル式ロジスティック回帰分析は、1、0の2値データを目的変数として、回帰分析を行う方法です。ロジスティック回帰分析は、表45のような形の式を導き出す解析手法です。表45 導入式■ロジスティック回帰-理論値の算出方法モデル式に回答データを代入し、理論値(各例の健康状態の程度)を求めます。理論値は、モデル式に説明変数のデータを代入することにより算出できます。〔例〕表46の回答者No.2について、理論値の求め方を示しましょう。表46 理論値と確率の相関モデル式モデル式の分母である下記の値を求めます。は手計算では求められません。Excelなどの計算により0.4681と算出されます。次にYの値を求めます。Y=1÷(1+0.468)=0.681理論値は、0.681 となります。■ロジスティック回帰-確率すべての回答者の理論値を算出します。理論値は、健康状態の程度を示す確率として適用できます。表46で、たとえば回答者No.2の健康状態が良い確率は68.1%です。判別分析との大きな違いは、確率が求められることです。(再掲)表46 理論値と確率の相関モデル式次に、モデル式が、予測に適用できるかどうかを検討します。統計モデルの良さを評価するための指標として、AIC(Akaike's Information Criterion: 赤池情報量基準)を用います。AICは、統計数理研究所 元所長の赤池 弘次氏が1971年に考案し、1973年に発表した、統計学の世界では非常に有名な指標であり、多くの統計ソフトに備わっています。AICはモデルの精度を調べる尺度である。AICは値が小さいほど良いモデルといえる。いくつ以下なら良いという基準はない。他のモデル式と比較するときに用いる。寄与率は、重回帰分析の決定係数と類似している。0.5以上のモデル式は良いと判断できる。判別的中率は、75%が良いモデル式と判断できる。母集団において、モデル式が適用できるかを検定します(表47)。表47 モデルの予測式の適合p<0.05は、母集団の予測に適用できると判断できます(表48)。表48 モデルの適合情報■ロジスティック回帰-モデル式の検討説明変数について検討します。回帰係数はモデル式の係数になります(表49)。オッズ比、Wald-square、標準回帰係数は、説明変数の目的変数への影響度を調べる尺度です。値が大きいほど、影響度が高い項目といえます。p値は、母集団において説明変数が有意であるかどうかを調べる尺度となります。オッズ比はe回帰係数で求められる値です。表49 回帰係数のモデル式■ロジスティック回帰-分割表の解析表50のデータについて、分割表、リスク比、オッズ比を求めてみましょう。表50 ロジスティック回帰解析のデータ表不整脈症状に対する影響度が最も強いのは喫煙の有無、次にギャンブル嗜好、飲酒の有無は3番目でした。ギャンブル嗜好のほうが、飲酒の有無より不整脈症状に対して影響度が高いのは違和感がありますね。そこで、要因相互間の関係をみてみましょう。■ロジスティック回帰-説明変数相互の関係表51の説明変数相互の分割表を作成し、リスク比を求めます。すると、ギャンブル嗜好は、喫煙の有無の影響要因となっていることがわかります。表51 データからリスク比を算出表52のリスク比で3要因の関係をみてみましょう。表52 リスク比3要因の関係喫煙するからギャンブルが好きなのか、ギャンブルが好きだから喫煙するのか因果関係の方向はわかりませんが、両者の関係は強いようです。ギャンブル嗜好と不整脈症状の関係が強いのは、ギャンブル嗜好が喫煙の有無の影響を受けているからだと考えられますね。そのため、ギャンブル嗜好と不整脈症状との真の相関関係(喫煙の有無の影響を除去した相関)を調べる必要があるのです。これを解決してくれる解析手法がロジスティック回帰です。■ロジスティック回帰 - 両解析のオッズ比の比較表53でカテゴリデータを1点、0点の数量データに変換してロジスティック回帰を行います。表53 ロジスティック回帰のためのデータ整理これによりギャンブル嗜好は、不整脈症状の影響要因でなかったことがわかります。■ロジスティック回帰 - 解析結果の解釈ロジスティック回帰を行うと、オッズ比が出力されます。オッズ比から順位が把握できるので、不整脈症状の影響要因の1位は喫煙の有無で、次に飲酒の有無となります。ギャンブル嗜好は、不整脈症状にそれほど影響がないことがわかります。表53の分割表のオッズ比とロジスティック回帰でのオッズ比が異なっています。影響要因が複数あるとき、要因相互で高い相関があるとこのような事象が起こります。ロジスティック回帰の結果は、影響要因相互の影響を除去して算出されるので、見かけでない真の結果といえると思います。■傾向スコア(propensity score : PS)とは最後に、ロジスティック回帰を用いて計算される傾向スコア(propensity score:PS)について簡単に説明します。通常の臨床試験では、無作為化割付試験を行って治療群とコントロール群に割り当てられる個々の患者の確率は、等しく50%とします。しかしながら実際の臨床現場においては、さまざまな患者の背景を考慮して治療が割り当てられるため、治療群とコントロール群(場合によっては治療A群と治療B群の比較)では患者背景が異なることがほとんどです。このような治療の割り当てに影響する因子を用いて、治療割り当ての確率であるPSを算出し、同じPSの得点の患者同士を比較することで、疑似的に観察研究のデータを無作為化割り付け試験のように解析するというのが、PSを用いた解析の概念です。PSを用いて治療群とコントロール群の背景因子を調整するために、通常はロジスティック回帰モデルを用いて、年齢、性別、人種などの背景因子から、それぞれの患者個人が介入される確率(0.0~1.0)を計算します。この確率こそがPSなのです。■今回のポイント1)ロジスティック回帰で適用できるデータは、目的変数が2群(1、0の2値データ)、説明変数が数量データ!2)ロジスティック回帰によって、特定の患者リスクを計算することができる!3)母集団において、モデル式を検定し、p<0.05であれば、母集団の予測に適用できる!インデックスページへ戻る

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TAVI 世界の現状と今後

Investigators InterviewTAVI 世界の現状と今後日本でも実績が積まれ、徐々に普及しつつあるTAVI。その長期予後、合併症に関する現在のエビデンスとは?また、データの蓄積、新デバイスの登場により、TAVIの適応、施行施設は今後どのように変化していくのか?SAVRとの比較を含め、欧米での現状、そしてPARTNER2試験など最新の臨床試験結果を踏まえて、日本初のTAVI指導医である慶應義塾大学 循環器内科 林田健太郎氏がTAVIの現状と今後を語る。講師紹介

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自殺予防の介入効果はどの程度あるのか

 多くの国において、最新で高品質なエビデンスを有する自殺予防戦略の開発が必要とされている。米国・コロンビア大学のGil Zalsman氏らは、2005年以降の自殺予防介入の有効性をアップデートした。The Lancet. Psychiatry誌2016年7月号の報告。 2005年1月1日~2014年12月31日に発表された研究を、自殺予防に関連する複数の用語を使用してPubMed、Cochrane Libraryより検索を行った。著者らは、公共および医師の教育、メディア戦略、スクリーニング、自殺手段へのアクセス制限、治療、インターネットまたはホットラインによるサポートの7つの介入について評価した。データより、自殺行動(自殺、自殺企図、自殺念慮)などの関心のある主要アウトカムと中間または副次的アウトカム(治療検討、個人リスクの同定、抗うつ薬の処方や使用率、専門医への紹介)を抽出した。13の欧州諸国の自殺予防の専門家18人により、文献をレビューし、オックスフォード基準を用いて、エビデンスの質を評価した。集団の異質性および方法論のため、本分析においてはメタ分析は許容されず、ナラティブ分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・1,797報の研究が抽出された。そのうち、システマティックレビュー23報、メタアナリシス12報、無作為化比較試験(RCT)40報、コホート研究67報、環境調査または集団ベース調査22報が含まれた。・自殺予防のための、致死的な自殺手段へのアクセス制限は、2005年以降強化されていた。とくに、鎮痛薬の制御に関しては43%の減少、飛び降り自殺のホットスポットは86%(79%~91%)減少していた。・学校ベースの認識プログラムは、自殺企図(OR:0.45、95%CI:0.24~0.85、p=0.014)、自殺念慮(OR:0.5、95%CI:0.27~0.92、p=0.025)を低減させることが示唆された。・クロザピンとリチウムの抗自殺効果が認められているが、これまで考えられていたよりもその効果は低い可能性がある。・うつ病に対する効果的な薬理学的および心理的な治療は、自殺予防に重要である。・プライマリケア、一般的な公共教育、メディアガイドラインにおけるスクリーニングの自殺予防に対する効果を評価するためのエビデンスは不十分であった。・ゲートキーパーのトレーニング、医師の教育、インターネットおよびヘルプラインサポートを含む他のアプローチについては、さらなる調査が必要とされる。・予防的介入の評価において、RCTの不足が主要な制限因子であった。 結果を踏まえ、著者らは「効果的な自殺予防の取り組みの探求は、単一の戦略では明らかにすることが難しい。個人レベルと集団レベルでの科学的根拠に基づいた戦略の組み合わせは、しっかりとした研究デザインで評価すべきである」としている。関連医療ニュース 自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か 自殺と不眠は関連があるのか 自殺リスクの危険因子の検証、年齢別のうつ症状との関係

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韓国のMERSアウトブレイクから得た教訓/Lancet

 2015年に韓国で中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染症の大規模なアウトブレイクが発生した。韓国・成均館大学校医学部/サムスン医療センターのSun Young Cho氏らはアウトブレイク疫学調査の結果、過密な緊急救命室(ER)に入室した1人の感染患者からの大規模伝播である可能性が大きいことが示されたと報告した。著者は、「調査の結果は、医療施設は世界的視野の下で、新興感染症への備えをする必要があるという確たる証拠を提示するものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年7月8日号掲載の報告。1病院ERでの伝播のリスクを調査 韓国のMERSアウトブレイクは2015年5~7月に発生し、ソウル市にある高次医療機能病院のサムスン医療センターのERで第1号患者(68歳男性)が診断され、最終的に全国的に186例が確認されるに至った。第1号患者は、中東への旅行・帰国者で、サムスン医療センターでMERSと診断されたが、その前に複数の医療施設を受診していた。今回研究グループは、サムスン医療センター内でのMERS-CoVアウトブレイクの疫学調査を行った。 調査は、2015年5月27日~5月29日の診断症例と、その間にERにいて接触した可能性があるすべての患者および医療従事者とした。患者はER内での曝露に基づきグループ分けした。Aグループは、同一ゾーンにいた患者群、Bグループはゾーンは異なるが受付エリアや放射線検査エリアを共有、Cグループはゾーンが異なった患者群であった。 MERS-CoV感染症の症例を記録し、痰検体をRT-PCR法で調べて確認。罹患率(attack rates)、ウイルスの潜伏期間、伝播リスク因子について分析した。MERS-CoV伝播の主要リスク因子は曝露した場所 接触者として患者675例、医療従事者218例が特定された。MERS-CoV感染症は87例(患者33例、医療従事者8例、来訪者41例)で確認された。 罹患率は、Aグループで最も高く20%(23/117例)であった(p<0.0001)。Bグループは5%(3/58例)、Cグループは1%(4/500例)であった。 医療従事者の罹患率は2%(5/218例)であった。なお最終的には8例報告されているが、3例は、当初は接触感染者と確認されていなかった(1例は警備員、1例は医師、1例は転院者)。 9例(発症日が確認できなかった6例とデータが不足していた3例の来訪者)を除外して算出したウイルス潜伏期間中央値は、7日(範囲:2~17、IQR:5~10)であった。また、同潜伏期間中央値は、Cグループ(11日[IQR:6~12])との比較で、Aグループ(5日[同:4~8])で有意に短期であった(p<0.0001)。 なお、5月29日のER患者および来訪者において感染が確認された症例はなかった。また、感染例と直接的に接触しておらず環境曝露のみであった場合も感染症例は確認されなかった。 MERS-CoV伝播の主要リスク因子は、曝露した場所であった。

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わが国のLDL-C目標値達成とスタチン処方の実態は?

 わが国のリアルワールドでの心血管高リスク患者の集団における調査から、日本動脈硬化学会(JAS)ガイドラインが推奨しているLDLコレステロール(LDL-C)目標値の達成率は低く、スタチンや他の脂質修飾薬の処方率も低いことが、帝京大学臨床研究センターの寺本 民生氏らの研究で明らかになった。Atherosclerosis誌オンライン版2016年7月4日号に掲載。 LDL-Cは、心血管疾患発症においてキーとなる修正可能な危険因子である。JASが2012年に発行したガイドラインでは、心血管イベントリスクが高い患者ではLDL-Cを低下させるための薬物治療の第1選択薬として、スタチンを推奨している。本研究では、国内の心血管高リスク集団において、推奨されたLDL-C管理目標値の達成と脂質修飾薬(LMT)の使用について調査した。 本研究の対象は、わが国の病院ベースの請求データベースであるメディカル・データ・ビジョン(MDV)データベースから、以下の選択基準を満たした患者とした。[2013年にLDL-Cを測定、20歳以上、データベースに2年以上表出、心血管高リスクの状態(最近発症した急性冠症候群(ACS)、他の冠動脈疾患(CHD)、虚血性脳卒中、末梢動脈疾患(PAD)、糖尿病)] LDL-C目標の達成は、JASガイドラインにおけるLDL-C目標値に基づいて評価した。 主な結果は以下のとおり。・3万3,325例の心血管高リスク患者が選択基準を満たした。・全体として、コホートの68%がガイドライン推奨のLDL-C目標を達成し、スタチン治療を受けていたのは42%にとどまった。・LDL-C目標の達成率は、ACS患者で68%、CHD患者で55%、虚血性脳卒中、PAD、糖尿病の患者でそれぞれ80%であった。・非スタチン系の脂質修飾薬の併用率は低かった。

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認知症の重症度を検出するスーパーマーケット課題

 認知症スクリーニング検査the Rapid Dementia Screening Test日本語版(RDST-J)に含まれるスーパーマーケット課題は、スーパーマーケットで購入可能な物品の単語を迅速(1分間)に回答するテストである。このタスクは、クラスタサイズやスイッチを調べることができる。東京・駒木野病院の森山 泰氏らは、アルツハイマー病患者における認知症の重症度とスーパーマーケット課題のクラスタサイズや転換との関連を検討した。Psychogeriatrics誌オンライン版2016年6月30日号の報告。 非常に軽度~重度のアルツハイマー病患者250例と健康対照49例を対象に、RDST-Jを行った。患者のMMSEスコアは12~26であった。臨床的認知症評価尺度(CDR)スコアに基づき、4群に振り分けた(0.5、1、2、3)。対象4群と対照群の両方において、スーパーマーケット課題のクラスタサイズとスイッチスコアに基づいた統計学的な分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・クラスタサイズとスイッチスコアは、認知症の重症度に関連して悪化した。・CDRスコア0.5の患者群は、クラスタサイズは損なわれていたが、スイッチは損なわれていなかった。・スーパーマーケット課題のクラスタサイズとスイッチスコアは、アルツハイマー病患者における認知症症状の重症度を検出するために有用であると考えられる。関連医療ニュース 認知症になりやすい職業は 認知症に進行しやすい体型は たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能

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【JSMO2016見どころ】血液がん

 2016年7月28日(木)から3日間にわたって、第14回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立って、先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、がん治療の最新動向と、今回のJSMOで注目すべき各領域のトピックが紹介された。 このうち、血液がんについては松岡 広氏(神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科 准教授)が登壇した。以下、松岡氏のコメントを紹介する。【松岡 広氏コメント】 血液領域では、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(B細胞性リンパ腫)の新規治療薬に関する講演に注目したい。多発性骨髄腫治療では良い治療薬に恵まれない時代が長く続いていたが、10年前よりプロテアソーム阻害剤や免疫調節薬(IMiDS)などの画期的な治療薬が登場し、患者予後は大きく改善した。これらは「新規治療薬」といわれ、時代を変えたといわれた。昨年からはさらなる新薬登場が相次いでおり、治療成績の向上が期待される。現在はいわば「新規治療薬の第二の波」といえる。シンポジウム29では、新規プロテアソーム阻害剤をはじめこれらの“新”新規治療薬について作用機序や治療成績について解説される。B細胞性リンパ腫においては、最近、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)に対する阻害剤が慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫に対する治療薬として承認された。BTKはBリンパ球にとって重要な働きを持つ分子で、これに対する阻害剤はB細胞性リンパ腫治療薬の中で、いわば“横綱クラス”の薬剤になるのではないか、と期待されてきた。シンポジウム28では、BTK阻害剤をはじめB細胞リンパ腫に対する、期待される新しい治療法に関して講演される。【注目演題】 本学会で、松岡氏が血液がん関連の注目演題として挙げたのは、以下のとおり。International Symposium「Emerging new effective treatments of B-cell malignancies」日時:7月30日(土)10:10~12:10場所:Room6(神戸国際展示場1号館2F展示室B)JSH/JSMO Joint Symposium「New era of new drugs for multiple myeloma」日時:7月30日(土)13:30~16:00場所:Room6(神戸国際展示場1号館2F展示室B)一般口演「血液悪性腫瘍①」日時:7月28日(木)9:00~10:00場所:Room12(神戸国際会議場5階502会議室)【第14回日本臨床腫瘍学会学術集会】会期:2016年7月28日(木)~30日(土)会場:神戸国際展示場・神戸国際会議場会長:南 博信(神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科 教授)テーマ:Breaking through the Barriers:Optimizing Outcomes by Integration and Interaction第14回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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抗精神病薬の過量投与は減少しているのか

 薬物中毒の罹患率や死亡率は、30年間減少している。これは、より安全な薬が開発され、過量投与に対するより良いアウトカムが得られたことによる。オーストラリア・Calvary Mater NewcastleのIngrid Berling氏らは、26年間にわたり抗精神病薬の処方変更と過量投与の変化との関連を検討した。British journal of clinical pharmacology誌2016年7月号の報告。 1987~2012年のtertiary referral toxicology unitが発表したすべての抗精神病薬中毒を検討した。人口統計、薬物摂取情報、臨床効果、合併症、治療に関するデータをプロスペクティブに収集した。オーストラリアにおける抗精神病薬の使用率は、1990~2011年のオーストラリア政府出版物から収集し、郵便番号で過量投与入院とリンクさせた。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬の過量投与は3,180件(第1世代抗精神病薬1,235件、第2世代[非定型]抗精神病薬1,695件、リチウム250件)であった。・26年間で、抗精神病薬の過量投与は1.8倍に増加した。第1世代抗精神病薬はピーク時より5分の1に減少し(80件/年~16件/年)、第2世代抗精神病薬は2倍に増加した(160件/年)。そのうち、オランザピンとクエチアピンが78%を占めていた。・すべての抗精神病薬過量投与において、ICU滞在時間中央値18.6時間、ICU入院15.7%、人工呼吸10.4%、院内死亡0.13%であり、第1世代、第2世代抗精神病薬ともに同様であった。・同期間の抗精神病薬処方は2.3倍に増加していた。第1世代抗精神病薬が減少する一方、第2世代抗精神病薬は急激に上昇した(主にオランザピン、クエチアピン、リスペリドンで79%)。 結果を踏まえ、著者らは「26年にわたる抗精神病薬処方の増加は、過量投与の増加と関連付けられる。抗精神病薬の種類は変更されているが、過量投与は増加しており、罹患率や死亡率は同じままである」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬の併用療法、有害事象を解析 抗精神病薬多剤併用による代謝関連への影響は 統合失調症入院高齢患者、アジアでの多剤併用率は50%以上

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SU薬とメトホルミン、単独服用時の低血糖リスクを比較/BMJ

 血糖降下薬SU薬単独服用者は、メトホルミン単独服用者と比べて、低血糖発症リスクが約2.5倍と有意に高く、同リスクは、グリベンクラミド服用者や、腎機能が低下している人では、さらなる増大が認められた。オランダ・マーストリヒト大学のJudith van Dalem氏らが、12万例超を対象に行ったコホート試験の結果、明らかにした。低血糖リスクの増大は、すべてのSU薬服用者で観察されたという。現行のガイドラインの中には、低血糖リスクがより低いとして、SU薬の中でもグリクラジドを第1選択薬とするものがあるが、今回の試験結果は相反するものとなった。そのため著者は、「さらなる検討が必要である」と述べている。BMJ誌オンライン版2016年7月13日号掲載の報告。1,100万人超の患者データベースを基に試験 研究グループは、英国内674ヵ所の医療機関からの1,100万例超の診療録データを包含する「Clinical Practice Research Datalink」(CPRD)を基に、2004~12年に非インスリン抗糖尿病薬の処方を受けた18歳以上の患者12万803例を対象に、コホート試験を行った。 SU薬の服用量や、腎障害、SU薬のタイプと低血糖症リスクについて、Cox比例ハザードモデルで解析を行った。年齢や性別、ライフスタイル、併存疾患、使用薬剤については補正を行った。低血糖症リスク、グリベンクラミドはメトホルミンに比べ7.48倍 その結果、低血糖症の発症リスクは、メトホルミンのみを服用している人に比べ、SU薬のみを服用している人では約2.5倍の有意な増大が認められた(補正後ハザード比[HR]:2.50、95%信頼区間[CI]:2.23~2.82)。グリクラジド服用患者の同ハザード比も2.50(同:2.21~2.83)だった。 SU薬単独服用者の中でも、糸球体濾過量(GFR)が30mL/分/1.73m2未満の人で、低血糖症リスクはさらに増大した(同:4.96、同:3.76~6.55)。また、SU薬服用量が多い人(グリベンクラミド10mg同等量超)や、グリベンクラミド服用患者では、よりリスクの増大がみられた。それぞれの補正後HRは、3.12(95%CI:2.68~3.62)、7.48(同:4.89~11.44)だった。なお、SU薬の第1選択薬であるグリクラジドの補正後HRは2.50(同:2.21~2.83)で、その他のSU薬(グリメピリド:1.97[1.35~2.87]、glipizide:2.11[1.24~3.58]、トルブタミド:1.24[0.40~3.87])も同程度だった。

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HSCT後の造血器腫瘍再発、イピリムマブが有効の可能性/NEJM

 同種造血幹細胞移植(HSCT)後に造血器腫瘍を再発した患者に対し、免疫チェックポイント阻害薬イピリムマブを投与することで、抗腫瘍効果が得られる可能性があることが示された。米国・ダナファーバーがん研究所のMatthew S. Davids氏らが第I・Ib相臨床試験の結果、明らかにしたもので、NEJM誌2016年7月14日号で発表した。被験者のうち完全奏効が認められたのは、約2割だった。一方で免疫関連の有害事象を発症した人も約2割に上っている。イピリムマブ3mg/kgまたは10mg/kgを投与 研究グループは、HSCT後に造血器腫瘍を再発した28例を対象に、多施設共同試験を行い、イピリムマブの安全性・有効性について検証した。被験者に対して、イピリムマブ3mg/kgまたは10mg/kgを、導入療法として3週ごとに4回投与した。そのうち臨床的効果が認められた人については、その後も12週ごとに最長で60週間投与を継続した。 イピリムマブにより、T細胞の補助刺激受容体CTLA-4を標的にすることで、免疫チェックポイントを阻害し、移植片対腫瘍効果による抗腫瘍効果を保つことができるかどうかを検証した。完全奏効が23%、部分奏効は9% その結果、免疫に関連する有害事象を発症したのは6例(21%)で、そのうち1例が死亡。さらに移植片対宿主病(GVHD)を発症しイピリムマブ投与を中止したのは4例(14%)だった。 10mg/kgを投与した22例については、完全奏効が5例(23%)で、部分奏効が2例(9%)、また腫瘍量の減少が6例(27%)で認められた。 完全奏効が認められた人のうち4例は、髄外性急性骨髄性白血病の再発で、1例は急性骨髄性白血病に至る骨髄異形成症候群だった。また4例で、治療効果の1年以上の継続が認められた。効果として、細胞傷害性CD8+T細胞の上皮内浸潤、制御性T細胞活性化の低下、血液中のエフェクターT細胞亜集団の増加がみられた。 なお、イピリムマブ3mg/kgを投与した群では、正式な治療効果基準を満たした人はいなかった。

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【JSMO2016見どころ】就労支援とサバイバー

 2016年7月28日(木)から3日間にわたって、第14回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立って、先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、がん治療の最新動向と、今回のJSMOで注目すべき各領域のトピックが紹介された。 このうち、就労支援とサバイバーについては清田 尚臣氏(神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科 助教)が登壇した。なお、講演資料については高橋 都氏(国立がん研究センターがん対策情報センター がんサバイバーシップ支援部)の著作による。【高橋 都氏コメント】 近年、「がんと就労」が社会的注目を集めている。仕事は収入の糧であるだけでなく、さまざまな意味を持ち、診断後の暮らし全般(がんサバイバーシップ)に大きく影響する。 働く世代へのがん対策の充実は、第2期がん対策推進基本計画に重点課題として盛り込まれ、「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会」でも議論された。がん診療連携拠点病院における社会保険労務士やハローワークとの連携も始まり、さらに2016(平成28)年2月には、がんを含む長期有病者の治療と職業生活の両立支援に向けた企業向けガイドラインも厚生労働省から発出された。政策の展開とともに、健康経営やダイバーシティマネジメントなどの観点から、慢性疾患を持つ労働者への支援対応は企業の経営戦略の課題にもなりつつある。 国内の複数の調査では、診断時の有職者のうち、およそ1/3~1/4の患者の離職が報告されている。疾患や治療が患者の職業生活に及ぼす影響は医学的要因だけでは決まらず、個人の背景や治療の副作用の出方、心理社会面への影響、職種や職位、働く意欲などに影響される。がんの種類や治療が同じでも、職業生活への影響には大きな個人差があることがこのテーマの特徴である。 このように、多要因に影響される治療と職業生活の両立支援においては、治療を受ける本人を中心として、医療機関、職域、地域コミュニティの関係者間の連携が欠かせない。しかし、現状は、がん就労者や職場関係者が直面する課題が徐々に明らかになってきたものの、企業関係者、医療者、労働相談の専門家(社会保険労務士、キャリアコンサルタントなど)、行政などがそれぞれの立場からどのように動くべきか、支援と連携のかたちに関する試行錯誤が続いている。【注目演題】 本学会で、就労支援とサバイバーに関連した注目演題は、以下のとおり。教育講演「がんサバイバーシップの概念と最近の展開―特に多領域の連携について」「がん患者の就労支援の現状」日時:7月28日(木)14:40~15:25場所:Room4(神戸国際展示場2号館3F3A会議室)シンポジウム「がんサバイバーシップ支援とピアサポート―がんサバイバーができること、期待すること―」日時:7月28日(木)15:30~17:00場所:Room4(神戸国際展示場2号館3F3A会議室)【第14回日本臨床腫瘍学会学術集会】会期:2016年7月28日(木)~30日(土)会場:神戸国際展示場・神戸国際会議場会長:南 博信(神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科 教授)テーマ:Breaking through the Barriers:Optimizing Outcomes by Integration and Interaction第14回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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網膜症は、糖尿病の有無に関係なく死亡率増加の予測因子

 網膜症は死亡率と関連していることが示唆されているが、その理由はよくわかっていない。米国国立衛生研究所(NIH)のDiana E. Fisher氏らは、併存疾患を有している高齢者の死亡率に対し網膜症がどのように影響するのか、前向きコホート研究のデータを解析し調べた。結果、網膜症は軽微であっても、高齢者、とくに男性で、糖尿病の状態に関係なく死亡率増加の有意な予測因子であったという。著者は、「網膜症を有するということは、健康状態の綿密な臨床的管理を必要とする根拠となりうる」と指摘している。Ophthalmology誌2016年7月号(オンライン版2016年4月7日号)の掲載報告。 研究グループは、アイスランドの地域住民を対象とした無作為抽出コホート「AGES Reykjavik Study」から、67~96歳の4,966例(男性が43.2%)について、全死因死亡および心血管疾患(CVD)による死亡と健康状態との関連を調査した。 網膜症は、Early Treatment Diabetic Retinopathy Studyのプロトコルを取り入れたmodified Airlie House を用い、デジタル眼底写真で評価した(2002~06年)。死亡率は、2013年9月(死因別の死亡は2009年)まで調査した。 主要評価項目は、全死因死亡およびCVDによる死亡とした。 主な結果は以下のとおり。・4,966例中、ベースラインにおいて503例(10.1%)は糖尿病、614例(12.4%)は網膜症を有していた。このうち、136例(2.7%)は糖尿病と網膜症の両方を有していた。・追跡期間中央値8.6年で、1,763例が死亡した。うち276例(45.0%)は網膜症患者、1,487例(34.2%)は非網膜症患者で、それぞれ糖尿病を有していたのは76例、162例であった。・CVDによる死亡例は2009年までで366例であった。うち72例(ベースラインで網膜症を有していた人の11.7%)は網膜症を有しており、294例(ベースラインで網膜症を有していない人の6.8%)は有していなかった。・多変量解析の結果、網膜症は全死因死亡(ハザード比[HR]:1.26、95%信頼区間[CI]:1.10~1.43、p<0.01)およびCVD関連死亡(HR:1.57、95%CI:1.20~2.06、p<0.01)と有意に関連していた。・この関連は、男性でより顕著であった(全死因死亡HR:1.33、95%CI:1.11~1.60、CVD関連死HR:1.81、95%CI:1.25~2.63)。・死亡リスクは、微量アルブミン尿症と網膜症の両方を有する人で高く(全死因死亡HR:1.70、95%CI:1.03~2.23、CVD関連死HR:2.04、95%CI:1.27~3.28)、また、網膜症、微量アルブミン尿症および糖尿病を有しているとさらに高まった(全死因死亡HR:2.01、95%CI:1.22~3.31、CVD関連死HR:5.24、95%CI:1.91~14.42)。・臨床的な脳卒中の既往歴は、網膜症を有する人々の間で心血管関連死のリスクを高めた(HR:3.30、95%CI:2.05~5.32)。網膜症と糖尿病を合併しているとリスクはさらに高まった(HR:5.38、95%CI:1.80~16.06)。

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【JSMO2016見どころ】肺がん

 2016年7月28日(木)から3日間にわたって、第14回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立って、先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、がん治療の最新動向と、今回のJSMOで注目すべき各領域のトピックが紹介された。 このうち、肺がんについては里内 美弥子氏(兵庫県立がんセンター 呼吸器内科部長)が登壇した。以下、里内氏のコメントを紹介する。【里内 美弥子氏コメント】 肺がんは、がんの個別化治療や分子標的薬の開発が最も進んだ領域であり、昨年末には免疫チェックポイント阻害剤も実地医療に導入され、治療効果を上げてきている。今年はさらに分子標的治療薬の耐性に効果を示す薬剤などが臨床導入されており、今後も新薬導入が続く見通しとなっており、大きな治療の変遷の只中にある。 これらの進展を背景に本学会では、免疫療法の臨床成績、EGFR変異・ALK融合遺伝子陽性肺がんの最新治療、抗がん剤耐性の克服、これら薬剤のバイオマーカー診断に関するトピックス、本邦で行われている全国規模の肺がん遺伝子解析(LC-SCRUM)の現状と、この解析で判明したドライバー変異を持った肺がんの新薬での治療成績など最新の話題が数多く発表される。海外の第一線で活躍する多くの研究者を招聘しており、これらのホットな話題に世界レベルの活発かつ意義深い討論が期待される。【注目演題】 本学会で、里内氏が肺がん関連の注目演題として挙げたのは、以下のとおり。一般口演「EGFR遺伝子変異陽性肺がん」日時:7月29日(金)16:00~17:00場所:Room3(神戸国際展示場2号館2F 2A会議室)「肺がん EGFR・VEGFR」日時:7月29日(金)8:30~9:30場所:Room3(神戸国際展示場2号館2F 2A会議室)「肺がん バイオマーカー」日時:7月29日(金)9:30~10:30場所:Room3(神戸国際展示場2号館2F 2A会議室)「肺がん ALK、ROS、RET」日時:7月29日(金)10:30~11:30場所:Room3(神戸国際展示場2号館2F 2A会議室)「分子・遺伝子診断」日時:7月28日(木)14:30~15:30場所:Room10(神戸国際会議場4F401・402会議室)International Symposium「ALK inhibitors and other targeted therapies」日時:7月28日(木)9:00~11:00場所:Room5(神戸国際展示場1号館2F展示室A)「Resistance of cancer molecular targeted drug and new insights of overcoming therapy」日時:7月28日(木)12:30~14:30場所:Room6(神戸国際展示場1号館2F展示室B)「Immune Check Point Inhibitor;Paradigm Shift of Cancer Treatment」日時:7月28日(木)13:15~14:45場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)「Resistance of cancer molecular targeted drug and new insights of overcoming therapy」日時:7月28日(木)12:30~14:30場所:Room6(神戸国際展示場1号館2F展示室B)Panel Discussion「免疫チェックポイント阻害薬の副作用管理」日時:7月30日(土)13:30~15:30場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)ESMO/JSMO Joint Symposium「Evolving molecular targeting treatment for lung cancer」日時:7月28日(木)12:50~14:50場所:Room5(神戸国際展示場1号館2F展示室A)ASCO/JSMO Joint Symposium「Cancer Immunotherapy」日時:7月30日(土)8:50~11:50場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)Encore Session日時:7月29日(金)15:40~17:00場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)【第14回日本臨床腫瘍学会学術集会】会期:2016年7月28日(木)~30日(土)会場:神戸国際展示場・神戸国際会議場会長:南 博信(神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科 教授)テーマ:Breaking through the Barriers:Optimizing Outcomes by Integration and Interaction第14回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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統合失調症患者、そもそもプロラクチン値が高い

 ドパミン受容体遮断の副作用である高プロラクチン血症は、統合失調症や他の精神病性障害患者において一般的であり、無月経、乳汁漏出、性腺機能低下、低受胎、骨粗鬆症につながる可能性がある。ギリシャ・イオアニナ大学のPetros Petrikis氏らは、統合失調症および他の精神病性患者において、抗精神病薬治療開始前に高プロラクチン血症が発症するかを検討した。International journal of psychiatry in clinical practice誌2016年9月号(オンライン版2016年6月23日号)の報告。 対象は、新規に統合失調症および他の精神病性障害と診断された薬物治療未実施の患者群40例と年齢性別をマッチさせた健康成人群40例。血清プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、トリヨードサイロニン(T3)フリーテトラヨードサイロニン(FT4)、コルチゾールレベルが測定された。 主な結果は以下のとおり。・中央プロラクチン値は、患者群で12.5ng/ml(範囲:2~38 ng/ml)、健康成人群で8.6ng/ml(範囲:4~17.6 ng/ml)であった(p=0.011)。・患者群(平均:1.08ng/ml、SD:0.16)は、健康成人群(平均:1.18ng/ml、SD:0.18)と比較しT3レベルが低かった(p=0.008)。・血清TSH、FT4、コルチゾールレベルは、両群間で差はなかった。・重回帰分析によると、血清プロラクチン値の差は、甲状腺機能(TSH、FT4、T3)や血清コルチゾールレベルと関連していないことが明らかとなった。 ・新規に統合失調症および他の精神病性障害と診断された薬物治療未実施の患者において、健康成人と比較し、抗精神病薬開始前でも高血清プロラクチンレベルが認められた。関連医療ニュース 各種非定型抗精神病薬、プロラクチンへの影響を比較 抗精神病薬ナイーブ統合失調症患者におけるプロラクチンレベルは リスペリドン誘発性高プロラクチン血症への補助療法

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転移性前立腺がん、DNA修復遺伝子変異の発現頻度が判明/NEJM

 前立腺がんにおける遺伝性DNA修復遺伝子の発現について、転移性前立腺がんの患者では11.8%にみられ、限局性前立腺がん患者に比べて有意に高率であることが明らかにされた。米国・フレッド・ハッチンソンがん研究センターのC.C. Pritchard氏らが米国および英国の複数施設から被験者が参加した7つのケースシリーズに包含されていた合計692例の患者について調べ報告した。BRCA2などのDNA修復遺伝子は、致死率の高い前立腺がんリスクの増大と関連していることが知られる。これまで転移性前立腺がん患者の同遺伝子の発現については明らかにされていなかった。NEJM誌オンライン版2016年7月6日号掲載の報告。692例を対象に、20のDNA修復遺伝子について調査 研究グループは、診断時のがん家族歴や年齢および遺伝的背景に関して調整をしていない、転移性前立腺がん患者692例を集めた。生殖細胞DNA(germline DNA)を分離し、マルチシーケンス法を用いて、20個のDNA修復遺伝子の変異を調べ、常染色体優性遺伝性がん素質症候群との関連を調べた。限局性前立腺がんよりも発現頻度が有意に高率 結果、被験者82例(11.8%)で、合計84個の有害と推定されたgermline DNA修復遺伝子の変異が確認された。変異は16の遺伝子で見つかり、BRCA2が37例(5.3%)、ATMが11例(1.6%)、CHEK2が10例(534例中、1.9%)、BRCA1は6例(0.9%)、RAD51Dは3例(0.4%)、PALB2は3例(0.4%)などであった。なお、変異の頻度は、前立腺がん家族歴の有無や診断時の年齢で差はみられなかった(それぞれp=1.0、p=0.90)。 全体に、DNA修復遺伝子のgermline変異は、限局性前立腺がん患者(その多くで疾患リスクが進行)では4.6%(499例中)であり、また、がんが未診断5万3,105例を包含するExome Aggregation Consortiumにおける同変異の発現は2.7%であり、転移性前立腺がん患者のほうが有意に高率であった(いずれもp<0.001)。

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【JSMO2016見どころ】免疫療法

 2016年7月28日(木)から3日間にわたって、第14回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立って、先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、がん治療の最新動向と、今回のJSMOで注目すべき各領域のトピックが紹介された。 このうち、がん免疫療法については西川 博嘉氏(国立がん研究センター研究所/先端医療開発センター 腫瘍免疫学担当/免疫TR分野)が登壇した。以下、西川氏のコメントを紹介する。【西川 博嘉氏コメント】 免疫チェックポイント阻害剤(とくに抗PD-1抗体)が悪性黒色腫、非小細胞肺がんに臨床導入され、がんに対する免疫応答を人為的に操作することで、がん治療が可能であることが示された。これに続いて腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、一部の大腸がんで従来の治療に対する優位性が示され、臨床応用が期待されている。また膀胱がんに対しては、抗PD-L1抗体がFDAに承認され、さまざまな免疫チェックポイント阻害剤の臨床導入が加速している。加えて、これらのがん免疫療法では、臨床効果が20~30%程度の患者でしかみられないことから、レスポンダーの層別化、ノンレスポンダーへの新規がん免疫療法開発の検討も急速に進んでいる。一方、レスポンダーでの投与継続の必要性、従来の抗がん剤ではみられない副作用など、解決すべき課題も多い。本学会では、世界初の免疫チェックポイント阻害剤、抗CTLA-4抗体の開発者であるJames Allison博士をはじめとする国内外の研究者を集め、現在のがん免疫療法が抱える課題について討論し、今後の展開を考える。【注目演題】 本学会では、免疫チェックポイント阻害薬企画特集として、以下7つの演題が用意されている。特別講演「がん免疫療法の進歩」日時:7月29日(金)11:00~12:00場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南) 教育講演「免疫チェックポイント阻害剤~過去、現在、今後の展望~」日時:7月28日(木)9:00~9:30場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)International Symposium「免疫チェックポイント阻害薬の新展開」日時:7月28日(木)13:15~14:45場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)「免疫チェックポイント阻害薬の期待」日時:7月28日(木)14:55~16:55場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)「免疫チェックポイント阻害薬に対するバイオマーカー研究の最前線」日時:7月29日(金)8:30~10:10場所:Room5(神戸国際展示場1号館2F展示室A) Panel Discussion「免疫チェックポイント阻害薬の副作用管理」日時:7月30日(土)13:30~15:30場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)JSMO/ASCO Joint Symposium「Cancer Immunotherapy」日時:7月30日(土)8:50~11:50場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)【第14回日本臨床腫瘍学会学術集会】会期:2016年7月28日(木)~30日(土)会場:神戸国際展示場・神戸国際会議場会長:南 博信(神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科 教授)テーマ:Breaking through the Barriers:Optimizing Outcomes by Integration and Interaction第14回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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アルツハイマー型認知症、抗精神病薬で死亡率上昇

 アルツハイマー型認知症における抗精神病薬の累積投与量が、既知の危険因子で調整後の全死亡率に対して及ぼす影響について、デンマーク・オールボー大学病院のR E Nielsen氏らが検討を行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2016年6月30日号の報告。 全国集団ベース後ろ向きコホート研究により、アルツハイマー型認知症と診断された患者における死亡率をアウトカムとしてを調査した。 主な結果は以下のとおり。・4万5,894例を対象として、追跡期間(380万3,996人年)における死亡数は2万7,894例であった。・重症度と身体的および精神的併存疾患のマーカーで調整後、抗精神病薬累積曝露は、死亡率を増加させた。 1日投与量0~90未満(HR:2.20、95%CI:2.14~2.27、p<0.001) 1日投与量90~365未満(HR:1.81、95%CI:1.74~1.89、p<0.001) 1日投与量365~730未満(HR:1.38、95%CI:1.428~1.49、p<0.001) 1日投与量730以上(HR:1.06、95%CI:0.95~1.18、p=0.322)関連医療ニュース 認知症者への抗精神病薬投与の現状は 非薬物的介入の併用で認知症への抗精神病薬使用が減らせるか 非定型抗精神病薬は認知症に有効なのか

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くしゃみの速度は時速何km?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第71回

くしゃみの速度は時速何km? 「くしゃみの速度は新幹線よりも速いんだ」と書いてある雑誌を子供の頃に読んだことがあり、それ以来私はくしゃみとはとてつもない速度で飛び出すという固定観念を抱いていました。 しかし、近年の研究によってくしゃみの速度がだいたいわかってきました。どうやら新幹線というのは言い過ぎのようですね。 Nishimura H, et al. A new methodology for studying dynamics of aerosol particles in sneeze and cough using a digital high-vision, high-speed video system and vector analyses. PLoS One. 2013 Nov 27;8:e80244. デジタルハイビジョン・ハイスピードビデオシステムを用いて、くしゃみの速度を計測した研究です。これはくしゃみに特化した研究ではないのですが、その中からくしゃみに関する部分だけを取り出してみます。被験者は身長180cmの20代前半の男性で、ティッシュで作ったこよりを使ってくしゃみを誘発しました。速度は、6m/秒以上の部分はありますが、どうやら10m/秒を超える粒子はなさそうです。最大速度を7m/秒とした場合、時速は25.2kmです。あれ? 新幹線どころか、ノロノロ運転の軽トラックに近い数値ですね。この被験者のくしゃみの飛距離は85cmあたりです。 画像を拡大する 図. くしゃみの飛距離と速度(文献より引用) Tang JW, et al. Airflow dynamics of human jets: sneezing and breathing - potential sources of infectious aerosols. PLoS One. 2013;8:e59970. 同じ雑誌のこの論文。今度は被験者6人です(男性4人、女性2人、平均年齢は20代後半)。飛距離は60cm程度と1つ目の論文ほど伸びていません。そのため、速度は最大で4.5m/秒程度、時速に換算すると16.2kmです。成人男性が普通に走ったらこのくらいの速度は出せるんじゃないでしょうか。 画像を拡大する 図. くしゃみの飛距離と速度2(文献より引用)時速がとてつもなく速いというのは、Wells氏らの報告により時速360kmと推定されたためです1)。しかし、これは今から60年以上前の報告であり、水滴Rayleigh formulationのCastleman adaptation※に基づいた推定値とされています。他にもいろいろ文献はありそうですが、くしゃみの速度は、少なくとも新幹線のような高速の乗り物に匹敵するということはなさそうで、せいぜい成人~ウサイン・ボルトが走る程度の速度しかないと考えてよさそうです。※おそらく物理学に精通している方にはわかるのでしょうが、私にはさっぱり意味がわかりません(笑)。参考文献1)Wells WF. Airborne Contagion and Air Hygiene: an Ecological Study of Droplet Infection. Cambridge, MA:Harvard University Press;1995. p.423.インデックスページへ戻る

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乳がんのI-SPY試験、neratinibは第II相を卒業し第III相へ/NEJM

 HER2陽性ホルモン受容体陰性乳がんに対する術前化学療法は、標準療法+neratinibの併用が、トラスツズマブを用いた標準療法と比較し病理学的完全奏効率が高くなる可能性が高いことが示された。米国・カリフォルニア大学のJohn W. Park氏らが、I-SPY2試験の結果、報告した。I-SPY2試験は、複数の新薬候補を同時に評価できる適応的無作為化デザインを用い、StageII/IIIの高リスク乳がんに対する標準的な術前化学療法と併用する新薬候補の有効性をバイオマーカーで評価する多施設共同第II相臨床試験。新薬候補としてチロシンキナーゼ阻害薬であるneratinibを含む7種が検討されている。本試験で、neratinibは有効性の閾値に達したことから「卒業」となり、第III相臨床試験(I-SPY3試験)へ進んでいる。NEJM誌オンライン版2016年7月7日号掲載の報告。neratinib併用の病理学的完全奏効率を適応的無作為化デザインにて比較 研究グループは、適応的無作為化デザインにより、パクリタキセル→ドキソルビシン+シクロホスファミド(AC)(対照群)と、neratinib+パクリタキセル→AC(neratinib併用群)を比較した。対照群でHER2陽性例にはトラスツズマブも投与した。 適格基準は、18歳以上、StageII/III、未治療、腫瘍径が臨床検査で2.5cm以上および画像で2cm以上、ECOG PSが0~1、MRIが実施可能、MammaPrint検査で高リスク、MammaPrint検査の結果に関係なくHER2陽性またはHR陰性、である。適格患者をHER2の状態、HRの状態および70遺伝子の発現プロファイル(MammaPrint検査)に基づき8つのサブタイプに分類し、10種類のバイオマーカー特性(あらゆるバイオマーカー、HR陽性、HR陰性、HER2陽性、HER2陰性、MammaPrint検査で高リスクカテゴリー2、HER2陽性/HR陽性、HER2陽性/HR陰性、HER2陰性/HR陽性、HER2陰性/HR陰性)に関して有効性を評価した。 主要評価項目は病理学的完全奏効(pCR)で、対照群に対するneratinib併用群の優越性のベイズ確率に基づき患者を割り付けた。1種類以上のバイオマーカー特性においてあらかじめ規定した有効性の閾値(300人規模の第III相試験で成功のベイズ予測確率が85%以上)を満たした場合に「卒業」(第III相試験へ進む)、すべてのバイオマーカー特性について成功のベイズ予測確率が10%未満の場合は登録中止とした。neratinib併用療法はHER2陽性HR陰性乳がんに対して有効である確率が高い 2010年3月~2013年1月に、計127例がneratinib併用群に、84例が対照群に割り付けられ、このうちpCRの評価可能症例はそれぞれ115例および78例であった。 neratinibは、HER2陽性/HR陰性に関してのみ事前に規定した有効性の閾値に達した。HER2陽性/HR陰性乳がん患者の推定pCR率は、neratinib群56%(95%ベイズ確率区間[PI]:37~73%)、対照群33%(95%PI:11~54%)で、第III相試験における成功予測確率は79%であった。

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新医療機器―早期の解禁と安全面の担保、どちらを優先しますか?(解説:折笠 秀樹 氏)-566

 EU・米国で認可された医療機器の安全性に関する報告があった。EU・米国で認可された309件の医療機器を調査した。EUで先に認可された機器に安全面の問題が多かった、という結論である。安全面の報告レベルには、安全性警告(Safety Alert)・回収(Recall)・撤収(Withdrawal)の3種類が知られる。この順に厳しくなっている。本研究では、安全性警告・回収の割合をEU・米国で比較した。EU先行認可の機器では27%(=62/232件)、米国先行認可の機器では14%(=11/77件)であり、EUで先に認可された医療機器に安全面の懸念がうかがわれた。 では、どうしてだろうか?それはたぶん、EUと米国で医療機器の認可制度が異なるためだろう。米国ではClass IIIというハイリスク医療機器の多くには、臨床試験を課している。いわゆるPMA制度で承認されなければならない。本研究でも、PMA対象の機器でEUより3年も認可が遅れていた。一方、510(k)という届出で済む機器では遅れはみられなかった。PMA対象の物には心臓関係の機器が多く、しかも、ピカ新といわれる機器が多い。そうした機器では、米国ではより慎重に審査をしてから認可しているが、EUでは少し甘いように思われる。いち早く利用できることと安全面の担保、あなたならどちらを重視しますか? 米国FDAでは医療機器の安全性については、MedWatchというデータベースが公開されている。どのような安全性警告が出ているかを確認できるので、一度開いてみてほしい1)。食品・医薬品・化粧品などの安全性情報も載っている。医療機器ではそうでもないが、医薬品では膨大な警告リストが挙がっている。

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