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感染患者使用後の病室消毒の強化で感染リスク低下/Lancet

 多剤耐性菌とクロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)は、入院患者の死亡をもたらす医療関連感染の主要原因であるが、終末消毒(感染患者が入院していた部屋の消毒)の強化により、感染リスクが低下することが示された。米国・Duke Infection Control Outreach NetworkのDeverick J Anderson氏らが、4種の消毒法の有効性を検証するBenefits of Enhanced Terminal Room(BETR)Disinfection試験を行い報告した。先行研究で、標準消毒法に殺胞子活性を有する化学薬剤や他の殺菌技術を追加することで病院内感染リスクが低下することは示されていたが、このような強化戦略を評価した多施設無作為化試験は行われていなかった。Lancet誌オンライン版2017年1月16日号掲載の報告。4種類の終末消毒法をクラスター無作為化クロスオーバー法で比較 研究グループは、米国南東部の病院9施設で実務的クラスター無作為化クロスオーバー試験を実施した。標的とする細菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌・バンコマイシン耐性腸球菌・C. difficile・多剤耐性アシネトバクター)の感染・保菌患者が使用していた病室を患者退室後に次の4種の方法で最終的に消毒することとし、順次4種の方法を行うよう参加施設を1対1対1対1の割合で無作為に割り付け、各方法をそれぞれ7ヵ月間、連続して4種を実施した。(1)標準消毒法(標準群):C. difficile以外は第4級アンモニウム消毒剤、C. difficileには漂白剤を使用、(2)標準消毒法+UV(標準+UV群):C. difficile以外は第4級アンモニウム消毒剤+紫外線殺菌(UV-C)、C. difficileには漂白剤+UV-C、(3)漂白剤(漂白剤群)、(4)漂白剤+UV法(漂白剤+UV群)。 主要評価項目は、消毒後の病室に次に入院した患者を曝露患者としたときの、曝露患者における全標的菌の感染率または保菌率、およびC. difficile感染率でintention-to-treat解析にて評価した。標準消毒法+紫外線殺菌追加で、次の入室患者の感染・保菌率が低下 曝露患者は3万1,226例で、基準を満たした解析対象は2万1,395例(69%;標準群4,916例、標準+UV群5,178例、漂白剤群5,438例、漂白剤+UV群5,863例)であった。 標準群では、曝露期間2万2,426日中の標的菌感染・保菌者は115例、頻度は51.3/1万日であったのに対し、標準+UV群では曝露期間2万2,389日においてそれぞれ76例、33.9/1万日であり、標準群より有意に低かった(相対リスク[RR]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.50~0.98、p=0.036)。 一方、漂白剤群(101例、41.6/1万日、RR:0.85、95%CI:0.69~1.04、p=0.116)、ならびに漂白剤+UV群(131例、45.6/1万日、RR:0.91、95%CI:0.76~1.09、p=0.303)は、標準群と有意差は認められなかった。C. difficile感染率も同様に、漂白剤のみと漂白剤+UV-Cで差はなかった(36vs .38例、31.6/1万日 vs.30.4/1万日、RR:1.0、95%CI:0.57~1.75、p=0.997)。

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各種抗精神病薬のEPS発現を副作用データベースから分析

 定型抗精神病薬は、錐体外路症状(EPS)などの有害事象が多く発現する。一方、非定型抗精神病薬による有害事象発生頻度は低い。そのため、統合失調症治療には非定型抗精神病薬が広く使用されている。しかし、定型、非定型抗精神病薬のEPS発現頻度には、差が認められないとの報告もある。日本大学の小瀬 英司氏らは、日本の医薬品副作用(JADER)データベースを用いて、定型、非定型抗精神病薬治療におけるEPS発現プロファイルの評価を行った。Yakugaku zasshi誌2017年号の報告。定型、非定型抗精神病薬の報告オッズ比に違いがほとんどなかった JADERデータベースのEPS報告を分析し、EPSに関連する抗精神病薬の報告オッズ比(ROR)を算出した。データベースのtime-to-event dataには、ワイブル分布を用いた。 主な結果は以下のとおり。・定型、非定型抗精神病薬のRORに、違いがほとんどなかった。・EPSの発現時期に関連する有意な差は認められなかった。・しかし、各薬剤を比較すると、パリペリドン、ペロスピロン、ブロナンセリン、アリピプラゾールは、早期にEPSが発現していた。・一方、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、クエチアピンは、早期だけでなく長期使用後もEPSが発現していた。

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軟性S状結腸鏡検査、60歳以上の女性では効果なし?/BMJ

 軟性S状結腸鏡検査による大腸がんスクリーニングは、大腸がん発症リスクを男性では24%、女性では17%の減少効果があったものの、年齢別にみると60歳以上の女性については同スクリーニングによる大腸がん発症リスクの抑制効果は認められなかった。ノルウェー・Sorlandet Hospital KristiansandのOyvind Holme氏らが、被験者総数約29万例を対象に行ったプール解析で明らかにしたもので、BMJ誌2017年1月13日号で発表した。軟性S状結腸鏡検査スクリーニングは、無作為化試験で、大腸がんへの有用性が示されているが、年齢および性別にみたスクリーニング効果は不明であった。米国、イタリア、ノルウェーの無作為化試験をプール解析 研究グループは、3つの無作為化試験(米国のPLCO試験[Prostate, Lung, Colorectal and Ovarian cancer screening trial]、イタリアのSCORE試験[Screening for Colon and Rectum trial]、ノルウェーのNORCCAP試験[Norwegian Colorectal Cancer Prevention trial])についてプール解析を行い、軟性S状結腸鏡検査による大腸がんスクリーニングについて、性別、年齢別の有効性を検証した。 被験者の年齢は、PLCO試験が55~74歳、SCORE試験が55~64歳、NORCCAP試験が50~64歳だった。各試験の介入群は、SCORE試験とNORCCAP試験では1回、PLCO試験では2回の軟性S状結腸鏡検査によるスクリーニングを受けた。対照群はいずれも0回だった。大腸がん死亡リスク、女性では60歳未満で低下 被験者総数28万7,928例を対象にプール解析を行った。被験者のうち、軟性S状結腸鏡検査によるスクリーニングを受けた人は11万5,139例、スクリーニングなしで通常のケアを受けた人は17万2,789例だった。追跡期間の中央値は、10.5~12.1年だった。 同スクリーニングにより、男性の大腸がんの相対リスクは、0.76(95%信頼区間:0.70~0.83)、女性は0.83(同:0.75~0.92)に減少した。男性については、60歳未満と60歳超では、スクリーニングの有効性に差は認められなかった。 一方女性では、60歳未満では同スクリーニングにより大腸がんの相対リスクは0.71(同:0.59~0.84)に減少したが、60歳以上については、同リスクの有意な減少は認められなかった(相対リスク:0.90、同:0.80~1.02)。また、大腸がん死亡率も、男性では年齢にかかわらず有意に減少し、女性では60歳未満において有意に減少した。 大腸がんの部位別にみると、遠位部の発症についてはスクリーニングの効果は男女で同程度であったが、近位部では性および年齢間に有意な交互作用が認められた(p=0.04)。 著者は、「スクリーニングの有益性は60歳以上女性では小さくまた統計的に有意ではなかった。同集団について、近位部腫瘍検出のより効果的なスクリーニング法を検討する必要がある」と述べている。

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歩くのが遅いと認知症リスク大

 歩行速度は、将来の認知症を予測する良い因子である。東京都健康長寿医療センター研究所の谷口 優氏らは、日本人高齢者の歩行性能軌道パターンを特定し、歩行性能が認知症と関連しているかを検討した。Journal of the American Medical Directors Association誌2017年2月号の報告。 2002~14年の日本における集団ベースフォローアップ観察プロスペクティブ研究として実施された。65~90歳の認知症でない高齢者1,686人(平均年齢:71.2歳[SD:5.6]、女性比:56.3%)を対象に、2002年6月~2014年7月まで毎年、老人保健調査を行った。追跡調査数の平均は3.9、総観察数は6,509件であった。歩行性能は、通常および最大速度での歩行速度と歩幅を測定することにより評価した。日本の公的介護保険制度のデータベースを調査したところ、2014年12月までに196人(11.6%)が認知症を発症していた。 主な結果は以下のとおり。・通常と最大速度での歩行速度と歩幅より高・中・低の3つの軌道パターンを特定した。これら歩行パターンは、男女間で同様に減少した。・重要な交絡因子で調整したのち、通常ベースの歩行速度と歩幅の低パターン群における認知症発症率は、それぞれ3.46(95%CI:1.88~6.40)、2.12(95%CI:1.29~3.49)倍であった。・最高速度ベースの歩行速度と歩幅の低パターン群における認知症発症率は、それぞれ2.05(95%CI:1.02~4.14)、2.80(95%CI:1.48~5.28)倍であった。 著者らは「歩行速度および歩幅の3つの主要パターンは、ベースラインのレベルにかかわらず、年齢関連変動を示す傾向があった。歩行速度および歩幅の低パターン高齢者は、認知症リスクが高いため、歩行能力改善のための介入が重要である」としている。関連医療ニュース 米国の認知症有病率が低下、その要因は 歩くスピードが遅くなると認知症のサイン 認知症者はどの程度活動性が落ちているか

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遠隔医療を活用した未熟児網膜症スクリーニング法4つを比較

 米国・ペンシルベニア大学のJaclyn Gurwin氏らは、急性期未熟児網膜症の遠隔評価法(Telemedicine Approaches to Evaluating Acute-Phase Retinopathy of Prematurity:e-ROP)研究における遠隔医療システムでの眼底所見分類と、フィラデルフィア小児病院未熟児網膜症(CHOP-ROP)出生後体重増加予測モデルを相乗的に使用し、重症ROP発症児を特定するROPスクリーニング段階的アプローチ法(tiered approach to retinopathy of prematurity screening:TARP)について検討した。その結果、TARPはほかの方法と比較して画像検査および眼科検査の回数減少と関連していることを明らかにした。著者は、「出生後成長モデルと遠隔医療システムを用いた段階的アプローチ法は、ROPに対する臨床介入の回数を減少できる可能性がある」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年1月5日号掲載の報告。 研究グループは、e-ROP研究(前向き研究)とPostnatal Growth and Retinopathy of Prematurity(G-ROP)研究(後ろ向きコホート研究)の両コホートを対象に、事後解析を行い、次の4つのROPスクリーニング法について評価した:ROUTINE(眼科医による診断検査)、CHOP-ROP(出生体重、在胎期間、体重増加量率より毎週リスクを算出し、閾値を超えたら診断検査)、e-ROP IMAGING(訓練された読影者(非医師)が専門医への紹介を要すると判断したら検査を開始)、TARP(CHOP-ROPの基準で画像検査を行い、専門医への紹介を要するROPの所見を認めたら眼科医が診断)。 e-ROP研究は、出生体重1,251g未満の早産児が対象で、2011年5月25日~2013年10月31日に登録された。G-ROP研究は、2006年1月1日~2011年12月31日に生まれROP検査を受けたすべての乳児が対象であった。 評価項目は、1型ROPの検出感度、画像検査を行った乳児数、撮像セッション数、眼科検査の回数、患者面接(撮像セッションと眼科検査)などであった。 主な結果は以下のとおり。・本研究には、ROPと診断された242例が組み込まれた(出生体重:中央値858g、範囲690~1,035g、在胎期間:中央値27週、範囲25~29週、性別:女児51%、男児49%)。・1型ROP(32例)の検出感度は、いずれのアプローチも100%(95%CI:89.3~100%)であった。・各スクリーニング法での検査例数と回数は以下のとおり。 ROUTINE:眼科検査242例・計877回 CHOP-ROP:眼科検査184例・計730回 e-ROP IMAGING:画像検査242例・撮像セッション計532回、眼科検査94例・計345回(患者面接877回) TARP:画像検査182例・撮像セッション計412回、眼科検査87例・計322回(患者面接734回)

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スタチンが静脈血栓塞栓症を予防~メタ解析

 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症と肺塞栓症)に対するスタチンの予防効果が示唆されているが、明確なエビデンスはない。英国ブリストル大学のSetor K Kunutsor氏らは観察コホート研究と無作為化比較試験(RCT)の系統的レビューおよびメタ解析を行ったところ、静脈血栓塞栓症の1次予防にスタチンが有益であることが示唆された。また、スタチンによって効果に差があることも示された。Lancet Haematology誌オンライン版2017年1月12日号に掲載。 スタチンと静脈血栓塞栓症との関連を報告した研究について、MEDLINE、Embase、Web of Science、Cochrane Libraryのデータベース、2016年7月18日までに出版された研究の参考文献のマニュアル検索、研究者との電子メールのやりとりから特定した。スタチン使用と成人の静脈血栓塞栓症/深部静脈血栓症/肺塞栓症との関連を調べた観察コホート研究、スタチン治療の効果をプラセボ投与や無治療と比較し、静脈血栓塞栓症/深部静脈血栓症/肺塞栓症の転帰に関するデータを収集している介入試験を特定した。なお、スタチンの効果を他のスタチンや脂質低下薬と比較した試験は除外した。ランダム効果モデルを用いて試験特異的な相対リスク(RR)を統合し、研究レベルによってグループ分けした。 主な結果は以下のとおり。・13のコホート研究(314万8,259例)、スタチン治療をプラセボもしくは無治療と比較した23のRCT(11万8,464例)の36試験を適格とした。・観察研究において、スタチン使用群を不使用群と比較した場合の静脈血栓塞栓症の統合RRは0.75(95%CI:0.65~0.87、p<0.0001)で、この関連性は研究レベルによってグループ分けされた場合でも同様であった。・RCTにおいて、スタチン治療をプラセボもしくは無治療と比較した場合の静脈血栓塞栓症のRRは0.85(95%CI:0.73~0.99、p=0.038)であった。・サブグループ解析では、ロスバスタチンが他のスタチンと比べ静脈血栓塞栓症リスクが最も低く(RR:0.57、95%CI:0.42~0.75、p=0.015)、スタチンの効果がスタチンによって有意に異なることが示された。・肺塞栓症へのスタチンの効果についてはエビデンスが得られなかった。・深部静脈血栓症のエンドポイントのリスクは、スタチン使用が不使用に比べて有意に低下した(RR:0.77、95%CI:0.69~0.86、p<0.0001)。

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クレヨンしんちゃん【ユーモアのセンス】Part 2

なぜ遊びは「ある」の?―進化心理学しんちゃんがするようなふざけ、からかい、いたずらなどは、社会的遊びと言えます。これまで、「なぜ遊びをするのか?」について考えてきました。その1つの答えは、コミュニケーション能力を高めるためでした。それでは、そもそもなぜ遊びは「ある」のでしょうか? その答えを、進化心理学的に考えてみましょう。実は、私たち人間だけでなく、犬やねずみなど多くの哺乳類も社会的遊びをしています。例えば、ネズミ同士が上になったり下になったりする戦いごっこ(プレイ・ファイティング)、犬が頭を下げてお尻を上げて尻尾を振る挨拶遊び(プレイ・バウ)などです。そして、哺乳類の中で私たちヒトは、さらに高度なコミュニケーションの心理を進化させました。それが、社会脳です。これは、先ほど説明した社会性、共感性、積極性を主に含んでいます。太古の昔から、そうする種、そうしたいと思う種が生き残り、子孫を残しました。その子孫が現在の私たちです。逆に、そうではない種は、子孫を残さないわけですから、理屈の上ではこの世にほぼ存在しないと言えます。つまり、「なぜ遊びは『ある』の?」という問への答えは、進化心理学的に言えば、生きるためそして子孫を残すため、つまり生存と生殖に必要だからです。だからこそ、運動と同じように、コミュニケーションもすればするほど心地良いと感じ、その能力が高まっていくのです。社会的遊び、習い事、娯楽の違いは? ―表4現代の文明社会では、社会的遊びに取って代わって、習い事や娯楽に占める割合が増えてきています。この3つの違いを比較して、その本質を探り、私たちに必要なものは何か考えてみましょう。(1)社会的遊びしんちゃんが母みさえとのやりとりを楽しんでいるように、社会的遊びの特徴は、新奇希求性です。これは、新しいことや変わったことを求める心理です。そうすること自体に楽しさを見いだし、夢中になります(内発的動機付け)。逆に言えば、目的はなく、偶発性に富んだ生身の体験で、シリアスではないので余裕があります。うまく行くことが前提ではないので、冒険をして、失敗を繰り返すことができます。プラス面は、チャレンジ精神のエネルギー源になり(積極性)、コミュニケーションのルールを自分で学び(社会性)、応用するようになることです(創造性)。一方、マイナス面は、この心理を育むには時間と親や周りの配慮が必要になることです。(2)習い事カザマくんが塾で勉強をけなげにがんばっているように、習い事の特徴は、緊張感です。特定の能力を習得するために、必死になります(外発的動機付け)。はっきりとした目的があり、その目的を達成するという必然性に縛られた仮想的な体験で、シリアスで余裕があまりないです。うまく行くことが前提なので、冒険はできず、失敗は恐怖になりえます。もちろん子どもの能力がもともと高い場合、その緊張感に勝って楽しさを見いだすでしょう。しかし、子どもの能力が高くない場合は、習い事が増えれば増えるほど、難易度が高くなればなるほど、そして子どもの能力が低ければ低いほど、こなすことに追われたり、失敗による恐怖体験を繰り返すので、そうすること自体に楽しさを見いだしにくくなります。また、親が監視してプレッシャーを与えると、緊張感はますます高まります。習い事のプラス面は、習得した特定の能力を社会生活に生かしたり、生活を豊かにすることができます。例えば、勉強したことが学歴や資格となれば、職業的に役立ちます。また、スポーツや楽器演奏はそれ自体が楽しみとなります。一方、マイナス面は、主に3つあります。1つ目は、子どもの能力が低い場合、結果的に、習得しようとする能力が身に付かないばかりか別の能力が中途半端になる危うさです。顔や体格、身体能力と同じように、知的能力や言語能力についても、親の能力が子どもに一定の割合で遺伝することが分かっています。よって、例えば、親がもともと外国語を話さなかったり、母語の語彙力が多くない場合、子どもをバイリンガルにしようと早期の英語教育をしても、言語の許容能力の限界から、母語の習得も外国語の習得も中途半端になり、どちらも平均的な語彙力が身に付かない危うさがあります。また、フラッシュカードなど記憶力を高めるトレーニングばかりしても、実生活で生かされる場面が限られていれば、能力の維持が難しいという現実があります。そればかりか、知的能力のバランスが記憶力重視(システム化)に傾いてしまうので、共感性などのコミュニケーション能力の発達が中途半端になる危うさもあります。これは、先ほど説明した、ユーモアがよく分からないという心理につながっていきます。2つ目は、習い事は、社会的遊びと違って、目的や手段などの枠組みがあらかじめ決まっているため、積極性や創造性が高まりにくいことです。さらに、その時間が費やされた分、積極性や創造性を育む社会的遊びの時間が削られていくことです。例えば、幼児期の早期英才教育やお受験で週7回の習い事があったり、思春期に親が部活や恋愛を禁止する状況です。ものごとの知識としては知っているけど、生々しい体験としては分からなくなります。分かったつもりになってしまい、頭でっかちです。これは、先ほど説明した受け身の心理につながっていきます。大人になっても、とりあえずやってみようという冒険心が足りなくなります。そのため、コミュニケーション能力を高めようとしても、マニュアル本やオウム返しのなどのトレーニングに頼ってばかりになってしまいます。本や習い事で得たせっかくの知識を生かして、とりあえず職場で雑談したり合コンに行くなど実際の生身の体験を積み重ねることにためらいがちになります。また、コミュニケーションの手段としても、ライン、メール、スカイプなど情報が限られていて、いつでも相手をシャットアウトできる枠組みのあるツールや関係性に頼りがちになります。実際に会ってざっくばらんに話すことが苦手になってしまいます。3つ目は、無理強いすると、体を壊すのと同じように、緊張感や心の余裕のなさの心理的ストレスから心を壊す危うさもあります。心理実験で、もともと解決できない問題を解かされ続けた学生は、その後に簡単な問題を与えられても、無力感を持ち、学力が下がったという結果があります(学習性無力感)。このように、人は、達成しきれないことが繰り返されると、長期的にやる気をなくしてしまいます。これは、昨今の社会問題であるひきこもりにつながる心理です。よって、習い事における親の役目の大事なことは、親は単なる監督ではなく、いっしょにやって楽しむチームメイトにもなることです。例えば、あえてすぐに正解を教えず、いっしょに「なんでだろう?」と考えて、わくわくすることです。さらには、親がわざと間違えるくらいの構えが良いでしょう。また、親が本人に同じ目線でかかわり、限界を見極め、無理強いをさせないことです。例えば、習い事の更新の期間を設け、本人に続けたいか決めさせることです。また、本人が辞めたいと言っている時は、そのわけを話し合い、親が「あともう1か月続けてみるのは?」などの提案をしたとしても、最終的には本人の意思を尊重することです。そして、「どっちにしてもあなたは大丈夫」と保証して、自尊心を保つことです。本来、習い事は、社会的遊びの延長でした。学校(school)や学者(scholar)などの語源は、ギリシア語の「スコレー(scholē)」」です。これは、暇、余暇という意味で、その心の余裕から、思索や問答などの自発的で主体的な活動を指しています。ここから、ギリシア哲学が発展しました。しかし、現代の「スコレー」は、高度に構造化され、競争原理が働き、心の余裕があまりないようになってしまっています。(3)娯楽ネネちゃんが時々ウサギのぬいぐるみを殴っているように、娯楽の特徴は、ストレスを発散させる嗜癖性(しへきせい)です。嗜癖とは、すっきりするためについやってしまう心理です。英語では、アディクション(addiction)、中毒に当たります。娯楽も、社会的遊びと同じように、そうすること自体に楽しさや快感があります。しかも、自分気ままに一方的にできるので、全くシリアスではなく、心にとても余裕があります。ただし、その分、相手の気持ちを察したりして苦労することが求められないので、より良いコミュニケーションのための積極性や創造性は高まりません。また、成功体験を積み重ねているわけではないので、失敗への恐怖が克服されるわけでもないです。娯楽のプラス面は、ストレス発散です。一方、マイナス面は、2つあります。1つ目は、ストレス発散の裏返しで、嗜癖性、つまり刺激が強すぎて病みつきになり、のめり込む危うさがあることです。例えば、アルコールやタバコなどの嗜好品が分かりやすいです。さらに、より一般的には、テレビ、映画、テレビゲーム、インターネット、スマホです。これらは、映像、音声、情報の刺激がとても強い代表格です。進化心理学的に考えれば、原始の時代、このような情報や体験の入手には、調べたり人に聞いたり実際に行ったりして時間と労力がとてもかかるものでした。これらのコストをかけても生存や生殖に有利になるからこそ、脳が心地良いと感じるように進化したのでした。しかし、現代の文明社会では、あまりにも手軽に情報を入手でき、しかも疑似体験までできてしまいます。そうなると、脳は、ますますその刺激を求めるようになるわけです。特に幼少期の脳の発達は、外界からの影響を受けやすいので、刺激が強いとその分、のめり込みやすさ(嗜癖性)が強まりやすいです。よって、テレビを初めとする情報機器について、特に乳幼児には厳しく制限をすることが望ましいです。実際に、アメリカ小児科学会(AAP)は、2歳までの子どものテレビ視聴は奨励していないとの見解を示しています。これは、アメリカでディズニーが販売した赤ちゃん向け知育DVDの「ベイビーアインシュタイン」を見た赤ちゃんは、見ていない赤ちゃんよりも、語彙力が少ないという研究結果が出てしまい、返金騒動に発展したことを受けています。さらに、もともと行動の自由気ままさや人間関係での身勝手さが相まってしまうと、アルコールやドラッグなどの依存症になりやすい大人になります(クロスアディクション)。これは、先ほど説明した、出しゃばりで身勝手な心理につながっていきます。2つ目は、娯楽に時間が費やされた分、社会的遊びの時間が削られ、社会性や創造性が高まりにくくなることです。これは、先ほど説明した出しゃばり身勝手の心理につながっていきます。一見、オンラインソーシャルゲームやロールプレイングゲームは、協力したり想像して選択するルールがあるため、コミュニケーション能力を高めるのではないかと思われます。しかし、実際は、あくまでゲームです。ゲームは売れるために作られています。より多く売れるように、利用者に都合が良い刺激が過剰に仕組まれています。逆に、現実世界の厳しさを学べるような利用者に都合の悪い刺激のあるゲームは、楽しくないので、売れません。よって、娯楽における親の役目の大事なことは、娯楽に対する子どものセルフコントロールを支えることです。例えば、テレビやインターネットは2時間までのご褒美として、どの番組を見るかはチケット制にして選ばせることです。そして、「あなたならできる」と刺激して、セルフコントロールする自信を引き出すことです。本来、娯楽も、社会的遊びの延長でした。娯楽(recreation)の語源は、「再び(re)+創造(creation)」です。これは、気晴らし、元気回復という意味で、もともと創造性があることを示唆しています。それは、お祭りのように年に数回と限られていたからです。しかし、現代は、刺激の強いものが身の回りにあふれ、昔と比べると、毎日がお祭りです。つまり、現代の「再び創造(レクリエーション)」は、いつも「創造」の状態で、創造力が麻痺してしまっており、逆に創造性が失われてしまっています。これからの教育とは? ―詰め込み教育、ゆとり教育、そしてアクティブラーニングへこれまで考えてきた社会的遊び、習い事、娯楽の本質は、ちょうどそれぞれの時代の学校の3つの教育方針にも当てはまります。時代の流れの順に、それぞれの特徴を考えてみましょう。(1)詰め込み教育まずは、習い事が当てはまる詰め込み教育です。これは、まさにひたすら知識を詰め込む教育です。18世紀後半の産業革命以降、特に日本だと19世紀後半の文明開化以降、世の中に求められたのは、一定の知識、忍耐力、正確さ、そして従順さなどの画一的な労働力でした。そのために必要だったのが、画一的な教育です。それが、詰め込み教育だったのです。この教育は、戦後から60年代の高度成長期を支える大きな役割を果たしました。しかし、90年代以降、バブル崩壊による年功序列制度と終身雇用制度の破綻によって、行き詰まっています。そのわけは、もはや苦労して勉強してもあまり報われなくなったからでした。(2)ゆとり教育次に、娯楽が当てはまるゆとり教育です。これは、ゆったりとした時間を確保する教育です。詰め込み教育によって、競争意識が過剰に働くようになりました。そして、落ちこぼれや非行が問題化しました。その反省として、90年代以降、横並び意識を重視した教育方針のもと、学習時間を減らし、自由時間を増やしたのでした。しかし、ゆとり教育の問題点は、その自由時間の使い方です。子どもは、社会的遊びをしないで、当時に普及したテレビゲームや漫画などの娯楽を楽しんでいるだけだったのです。(3)アクティブラーニング最後に、社会的遊びが当てはまるアクティブラーニングです。これは、積極的に学ぶ動機付けをする教育です。詰め込み教育による受け身の心理や、ゆとり教育による自由気ままさや横並びの心理から、不登校やいじめの問題が深刻化していきました。その反省として、2014年から、積極性を重視した教育方針が打ち出されたのです。これは、授業スタイルが、従来の一方的な一斉指示による教師中心から、双方向のグループワークによる生徒中心にシフトしています。従来は、授業で内容を理解して、復習として宿題をするスタイルでした。一方、アクティブラーニングでは、予習で大まかな内容をあらかじめ理解して、授業で他の生徒たちと協力して問題に取り組み、復習を兼ねた振り返りを最後にします。よって、宿題はないです(反転授業)。そのため、アクティブラーニングでは、あえて説明を減らし、目標を示して質問を増やします。自由な発想を引き出すため、生徒がしゃべること、立ち歩くことが勧められます。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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ADHD治療薬は将来のうつ病発症に影響するか

 注意欠如・多動症(ADHD)は、うつ病を含む精神疾患を高率に合併するといわれている。しかし、ADHD治療薬がうつ病リスクの増減と関連するかは不明である。スウェーデン・カロリンスカ研究所のZheng Chang氏らは、ADHD治療薬の投与とうつ病との関連を検討した。Biological psychiatry誌2016年12月15日号の報告。 対象は、1960~98年にスウェーデンで生まれ、ADHDの診断を受けた患者3万8,752例。ADHD治療薬の処方、うつ病および他の精神疾患の診断、集団ベースのレジスタから得た人口統計学的要因に関するデータを入手した。ADHD治療薬の投与とうつ病との関連は、Cox比例ハザード回帰分析を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・人口統計学的および臨床的交絡因子で調整後、ADHD治療薬の投与は、うつ病の長期リスク(3年後)低下との関連が認められた(HR:0.58、95%CI:0.51~0.67)。・ADHD治療薬の投与期間が長いほど、うつ病リスクは低かった。・また、ADHD治療薬の投与は、うつ病合併率の低下と関連しており、未投与患者と比較し、うつ病発症率が20%低下していた(HR:0.80、95%CI:0.70~0.92)。 著者らは「ADHD治療薬の投与は、その後のうつ病リスクを増加させないことが示唆された。むしろ、ADHD治療薬の投与は、その後のうつ病合併率の低下と関連していた」としている。関連医療ニュース ADHD発症や重症度にビタミン摂取が関連 成人ADHD、世界の調査結果発表 2つのADHD治療薬、安全性の違いは

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ハイリスクな僧帽弁逆流症に対するTMVR―その有効性と安全性

 症候性の僧帽弁逆流症(MR)は罹患率および死亡率が高い。外科的な修復および弁置換術で改善が期待できるにもかかわらず、多くのMR患者は外科手術を受けていない。カテーテルを用いた僧帽弁置換術(Transcatheter mitral valve replacement:TMVR)は、重症のMR患者に対して選択肢となりうると考えられている。St.Vincent’s Hospital(シドニー、オーストラリア)のDavid W.M.Muller氏らによる本研究は、開心術がハイリスクと考えられる自己弁のMR患者に対して、TMVRが有効かつ安全であるかを評価する目的で行われた。Journal of the American College of Cardiology誌2016年12月号の掲載。全身麻酔下での左側胸アプローチ、小開胸、心尖部アプローチ 患者はオーストラリア、米国、ノルウェーの8つの施設で登録された。全身麻酔下での左側胸アプローチで、小開胸後、カテーテルを用いて自己拡張型の僧帽弁デバイスが心尖部から植込まれた。前向きレジストリによる、短期および30日のアウトカムが調査された。人工僧帽弁に使用されたTendyne僧帽弁システムは、ニチノール(ニッケル・チタン形状記憶合金)で作成された自己拡張型僧帽弁である。植込みの成功率は93.3% 重症度III~IVのMRを有する患者30例(平均年齢:75.6±9.2歳、25例が男性)がTMVRを受けた。MRの原因は二次性(23例)、一次性(3例)、そして両方の混合型(4例)であった。STS-PROM(米国胸部外科学会死亡リスク予測因子)のスコアは、7.3±5.7%であった。デバイスの植込みは28例(93.3%)で成功した。急性期の死亡、脳梗塞、心筋梗塞は認められなかった。TMVRから13日後、院内肺炎により1例が死亡した。また、フォローアップ中に1例で人工弁の血栓症が認められたが、ワルファリンによる抗凝固で消失した。30日後の時点の経胸壁エコーにおいて、TMVRによって人工弁が植込まれた27例の内、I度の中心性MRが1例で認められたが、残りの26例においては、残存MRは認められなかった。左室の拡張末期容積係数(90.1±28.2 mL/m2ベースラインvs.72.1±19.3 mL/m2フォローアップ、p= 0.0012)および左室収縮末期容積係数は減少した(48.4±19.7 mL/m2 vs.43.1±16.2 mL/m2、p=0.18)。75%の患者は軽症もしくは無症候にまで改善 フォローアップの時点で、75%の患者は軽度の症状もしくは無症状と報告した(NYHA分類 I度またはII度)。30日間における心臓血管に伴う死亡、脳梗塞および植込み弁の異常がなく、植込みが成功した患者は86.6%であった。 登録された患者において、TMVRは症状を伴った自己弁のMRの患者に対して有効かつ安全であった。著者らは僧帽弁のためにデザインされた人工弁を用いたTMVRのさらなる評価が必要であるが、この侵襲的手技によって、ハイリスクな僧帽弁逆流症患者の満たされていないニーズが改善される可能性がある、と結論付けている。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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減塩政策、世界中で高い費用対効果/BMJ

 政府が基準を設けて推奨する減塩加工食品生産と、国民への減塩喚起キャンペーンを組み合わせた自主的取り組みを促す減塩政策(soft regulation policy)は、世界中で高度な費用対効果をもたらしていることが示された。米国・スタンフォード大学のMichael Webb氏らが、183ヵ国の政策と費用対効果を定量化し明らかにした。BMJ誌2017年1月10日号掲載の報告。183ヵ国のsoft regulation policyの取り組みを評価 世界各国のsoft regulation policyは、成功したとされる近年の英国のプログラムをモデルとしている。各国の取り組みの減塩目標にはばらつきがあり、評価に当たっては、10年間に達成されたナトリウム摂取量減少10%、30%、0.5g/日、1.5g/日などさまざまなシナリオを包含して分析した。 183ヵ国のナトリウム摂取量、血圧値、血圧へのナトリウムの影響、心血管疾患への血圧の影響、2010年の心血管疾患率を、それぞれ年齢および性別で特徴付けた。国別のsodium reduction policyの費用は、World Health Organization Noncommunicable Disease Costing Toolで推算し、国別の死亡・障害調整生存年数(DALY)を比較リスク評価法でモデル化した。今回、研究グループは、プログラム費用のみを評価し、イベント予防による医療費削減は評価に組み込まなかった。 主要評価項目は、費用対効果比で、10年間のDALY当たりの費用を国際的な通貨ドルで換算して評価した。99.6%の国が高度な費用対効果を享受 世界中で、10年間でナトリウム摂取量の10%減少が、心血管疾患関連の約580万DALYs/年を回避すると見積もられた。 10年間の介入の1人当たりの人口加重平均で求めた費用は1.13ドルであり、人口加重平均で求めた費用対効果比は、約204ドル/DALYであった。 世界の9地域のうち、減塩の費用対効果が最も優れていたのは南アジア地域で推算116ドル/DALYであった。人口の多い上位30ヵ国では、ウズベキスタン(26.08ドル/DALY)とミャンマー(33.30ドル/DALY)が優れていた。 費用対効果が低かったのは、オーストラリア/ニュージーランドで880ドル/DALY、0.02×GDP/人であった。しかし、費用対効果の介入の標準閾値(<3.0×GDP/人)よりはかなり良好で、高度な費用対効果(<1.0×GDP/人)であった。 今回評価を行った各国生存成人の大半(96.0%)が、また、99.6%の国が、<1.0×GDP/人の費用対効果比を有していた。

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第34回

第34回:脳転移、せん妄…緩和ケアの話キーワード脳転移せん妄LancetJAMA Intern MedMulvenna P, et al. Dexamethasone and supportive care with or without whole brain radiotherapy in treating patients with non-small cell lung cancer with brain metastases unsuitable for resection or stereotactic radiotherapy (QUARTZ): results from a phase 3, non-inferiority, randomised trial. Lancet. 2016; 388: 2004-2014. Agar MR, et al. Efficacy of Oral Risperidone, Haloperidol, or Placebo for Symptoms of Delirium Among Patients in Palliative Care: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2016 Dec 5. [Epub ahead of print]

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統合失調症患者の再入院、ベンゾジアゼピンの影響を検証:東医大

 ベンゾジアゼピン(BZP)の高用量投与は、統合失調症患者の認知機能およびQOLに悪影響を及ぼすことが報告されている。しかし、統合失調症の臨床経過におけるBZPの効果は明らかになっていない。東京医科大学の瀧田 千歌氏らは、BZPと統合失調症患者の再入院との関連についてレトロスペクティブ研究を行った。Neuropsychiatric disease and treatment誌2016年12月15日号の報告。 対象は、2009年1月~2012年2月に東京医科大学病院から退院した統合失調症患者のうち、退院後2年以上治療を継続した108例。臨床的特徴、BZPおよび抗精神病薬などの処方量、退院時の機能の全体的評価(Global Assessment of Functioning:GAF)スコアを調査した。主要アウトカムは、何らかの理由による中止とした。 主な結果は以下のとおり。・2年間の研究期間中に44例(40.7%)が再入院した。・Cox比例ハザードモデルによる多変量解析では、教育歴の低さ(HR:2.43、p=0.032)、統合失調症発症年齢の低さ(HR:2.10、p=0.021)、ジアゼパム換算投与量の高さ(HR:6.53、p=0.011)が、退院後の再入院期間と有意に関連していた。 著者らは「統合失調症患者に対する退院時のBZP高用量投与は、再入院までの期間を短縮する可能性がある」としている。関連医療ニュース 不適切なベンゾジアゼピン処方、どうやって検出する 統合失調症の再入院、剤形の違いで差はあるのか 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには

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血液透析下SHPTの新規治療薬「エテルカルセチド」―有効性、安全性は?

 二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)は、慢性腎疾患に伴う骨・ミネラル代謝異常の中で高頻度に発症し、生命予後やQOLに影響を与える病態である。 本研究では、SHPTを有する日本の血液透析患者における新規静脈内投与カルシウム受容体作動薬エテルカルセチド(商品名:パーサビブ、国内未発売)の有効性と安全性が検討された。Nephrology Dialysis Transplantation誌オンライン版2017年1月5日号掲載の報告。エテルカルセチドは血液透析下におけるSHPTの新たな治療選択肢<試験デザイン> 国内第III相プラセボ対照二重盲検比較試験<方法> 試験対象は、血液透析下の血清インタクト副甲状腺ホルモン(iPTH)濃度が300 pg/mL以上のSHPT患者155例。 対象者をエテルカルセチド群、プラセボ群に無作為に割り付けた。 エテルカルセチドおよびプラセボを初回用量5mg投与開始し、その後4週間隔で2.5〜15mgの範囲で用量調整を行い、週3回合計12週間、静脈投与した。 主要評価項目は、日本透析医学会が定めるiPTH 濃度の管理指針(60~240pg/mL)を達成した患者の割合とした。 副次評価項目は、ベースラインから血清iPTHが30%以上減少した患者の割合とした。 SHPTを有する血液透析患者におけるエテルカルセチドの有効性を検討した主な結果は以下のとおり。・主要評価項目に合致したSHPT患者の割合は、エテルカルセチド群で有意に高かった(エテルカルセチド群59.0%、プラセボ群1.3%)。・副次評価項目に合致したSHPT患者の割合も、エテルカルセチド群で有意に高かった(エテルカルセチド群76.9%、プラセボ群5.2%)。・血清アルブミン補正カルシウム、リンおよびインタクト線維芽細胞増殖因子23の濃度は、エテルカルセチド群で減少した。・エテルカルセチド群において認められた悪心、嘔吐および低カルシウム血症は軽度であった。・エテルカルセチドに関連する重大な有害事象は認められなかった。 本研究において、エテルカルセチドの有効性および安全性が実証された。エテルカルセチドは唯一の静脈内投与カルシウム感受性受容体作動薬として、血液透析下におけるSHPTの新たな治療選択肢となりうる。

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バラバラ殺人の頻度【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第83回

バラバラ殺人の頻度 FREEIMAGESより使用 テレビでは毎日のように殺人事件のニュースが流れており、また先進国でもテロの懸念があることから、多くの人が社会に不安を感じているでしょう。今回はバラバラ殺人について取り上げてみたいと思います。世の中にこういう医学論文があるという事実にも驚きました。こんな悲しい医学論文がなくなる時代が来てほしいものです。 Sea J, et al.Mutilation in Korean Homicide: An Exploratory Study.J Interpers Violence. 2016 Aug 15. [Epub ahead of print]この韓国の論文は、バラバラ殺人の頻度を調べた驚くべき報告です。他殺の多くは刺殺ですが、手足や首などを切断するケースは、強い怨恨がない限りはまれとされています。韓国で、1995年から2011年までに同定された殺人事件1,200件のうち、切断によるもの、つまりバラバラ殺人がどのくらいの頻度だったかをこの研究グループは調べました。すると、1,200件のうち65件(5.4%)がバラバラ殺人であることがわかりました。この研究グループは、韓国以外の国における頻度も参照文献として挙げていますが、国によっていろいろな特徴があることもわかりました。たとえばフィンランドでは、バラバラ殺人は共犯であることが多く、これは切断した死体を遠距離運ぶ必要があったことが示唆されています(都市部から遠くに捨てれば犯行が露呈しにくいと考えられた?)。ちなみにフィンランドでは、全殺人のうちバラバラ殺人の頻度は2.2%だったと報告されています1)。教育水準の低さや幼児期の被虐待などがリスクではないかと考えられています。日本の刑法では、死体をバラバラにすることは死体損壊罪・死体遺棄罪の適用になります。つまり、バラバラ殺人は殺人事件であるとともに死体損壊・遺棄事件でもあるため、「殺人・死体損壊事件」と呼ばれます。近年では神戸長田区小1女児殺害事件、佐世保女子高生殺害事件などが記憶に新しいところです。参考資料1)Hakkanen-Nyholm H, et al. J Forensic Sci. 2009 ;54:933-937.インデックスページへ戻る

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重症下肢虚血に対する足首以下への血行再建の効果は?

 重症下肢虚血(CLI)は予後は悪く、保存的療法後1年の大切断は73~95%という報告がある。CLIの救肢において、バイパス手術および血管内治療(EVT)による動脈血行再建は重要である。バイパス手術は、救肢率、創傷治癒率共に高いものの、その侵襲性から適応となる患者は多くない。そのような中、侵襲性の低さとバイパス手術に匹敵する救肢率からEVTが注目され始めている。一方、CLIでは足首以下の病変の合併が多く、この足首以下の病変の存在は、創傷治癒率を低下させ、創傷治癒遅延(DH)をもたらすことが明らかになっている。EVTによる足首以下の病変への補助的な血行再建(PAA)は、創傷治癒を改善させる可能性があり、有効性を示す単施設の研究も報告されている。しかしながら、EVTの創傷治癒率は高いとはいえない。そこで、多施設によるPAAの効果を評価するため、RENDEZVOUS(Retrospective Analysis for the Clinical Impact of Pedal Artery Revascularization Strategy for Patients With Critical Limb Ischemia) レジストリ研究が宮崎市郡医師会病院 仲間達也氏らにより行われ、JACC Cardiovascular Interventions誌で報告された。 RENDEZVOUSレジストリでは、国内の経験豊富な循環器センター5施設でEVTを施行した、膝下動脈と足首以下に病変を有する新規CLI患者257例(257肢)が、PAA施行群140例と非施行群117例の2群に分類され、後ろ向きに評価された。主要評価項目は、1年後の創傷治癒率と創傷治癒までの時間。副次的有効性評価項目は、救肢率、大切断回避生存率、再血行再建回避率。副次的安全性評価項目は、PAA成功率、手技関連合併症であった。また、創傷治癒遅延の独立危険因子を多変量解析で求め、危険因子の数から創傷治癒遅延スコア(DHスコア)を規定。DHスコア(危険因子数)0を低リスク、DHスコア1~2を中等度リスク、DHスコア3を高リスクに層別化し、各リスク群でのPAAによる1年後の創傷治癒率を評価した。PAA追加の基本的な適応は、1)標的血管血行再建後の血流が確認されない、2)足動脈のランオフ不良によるimpaired flow現象、3)広範囲な創傷、救肢と創傷治癒のために大量の血液供給が必要になる感染、とした。 主な結果は以下のとおり。・患者の平均年齢は73.2歳、男性が68.1%、51.4%が自立歩行不能、62.3%が透析患者、77.8%の患肢がRutherford分類5であった。・全体の救肢率は88.5%、大切断回避生存率は73.5%、創傷治癒率は49.5%であった。・主要評価項目である創傷治癒率は、PAA群57.5%、非PAA群37.3%とPAA群で有意に高かった(p=0.003)。・同じく主要評価項目の創傷治癒までの時間は、PAA群211日、非PAA群365日とPAA群で有意に短かった(p=0.008)。・副次的安全性評価項目であるPAA手技の成功率は88.6%、手技関連合併症は17例(6.6%)。PAA群と非PAA群で差はみられなかった。・副次的有効性評価項目はいずれも両群間で差はみられなかった。・DHの危険因子は、歩行不能、創傷の深さ(UTグレード2以下)、透析であった。・低リスク群の創傷治癒率は、PAA群93.3%、非PAA群69.2%とPAA群で高かったが、統計学的有意には至らなかった(p=0.184)。・中等度リスク群の創傷治癒率は、PAA群59.3%、非PAA群33.9%とPAA群で有意に高かった(p=0.001)。・高リスク群の創傷治癒率は、PAA群29.4%、非PAA群35.7%と、PAAによる創傷治癒への影響はみられなかった(p=0.477)。 PAAによる介入は、救肢率や大切断回避生存率、再血行再建回避率には影響を及ぼさなかったものの、創傷治癒に関連するアウトカムには重要な影響を及ぼした。また、PAAの介入は、創傷治癒遅延中等度リスク群でとくに有効であった。当研究は後ろ向き非無作為化研究であったが、今後はさらに前向きの無作為化研究の実施が望まれる。(ケアネット 細田 雅之)原著および論説はこちらNakama T, et al. JACC Cardiovasc Interv. 2017;10:79-90.Mustapha JA,et al. JACC Cardiovasc Interv. 2017;10:91-93.関連コンテンツ【CVフロントライン】CLIの創傷治癒を改善した足首以下の血行再建「RENDEZVOUSレジストリ」

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脳室内出血の血腫洗浄、アルテプラーゼ vs.生理食塩水/Lancet

 脳室内出血に対し、脳室ドレーンを介したアルテプラーゼ注入による血腫洗浄を行っても、生理食塩水での洗浄と比較して機能の改善は認められなかった。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のDaniel F Hanley氏らが、世界73施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験CLEAR IIIの結果を報告した。脳室内出血は、死亡率が50%を超え、機能転帰が良好な生存者は20%足らずと報告されているが、これまでメタ解析などで血腫の除去が閉塞性水頭症の軽減や神経毒性の減少をもたらし生存率や機能転帰を改善することが示唆されていた。今回の検討では、脳室ドレーンを介したアルテプラーゼ注入の安全性は確認されたことから、著者は「今後、アルテプラーゼにより迅速かつ完全に脳室内の血腫を除去し得るよう外科的カテーテル留置法を改良し、機能回復について検討する必要がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年1月9日号掲載の報告。500例で、アルテプラーゼ vs.生理食塩水投与で機能改善を比較 CLEAR III(Clot Lysis:Evaluating Accelerated Resolution of Intraventricular Hemorrhage Phase III)は、出血量が30mL未満の非外傷性脳出血患者で、集中治療室にて状態が安定しており、脳室内出血により第3または第4脳室が閉塞し脳室ドレーンを留置した患者を対象に行われた。被験者を、アルテプラーゼ群(脳室ドレーンを介して8時間間隔でアルテプラーゼ1mgを最大12回注入)、またはプラセボ群(0.9%生理食塩水を同様に注入)に1対1の割合で無作為に割り付け、投与期間中24時間ごとにCTを撮影した。 主要有効性アウトカムは、良好な機能アウトカム(180日時点の修正ランキンスケール[mRS]が3点以下)とした。 2009年9月18日~2015年1月13日の間に500例が無作為化され、アルテプラーゼ群で249例中246例、プラセボ群で251例中245例が解析対象となった。アルテプラーゼ脳室内投与は安全であったが、機能改善効果は示されず 良好な機能アウトカムを示した患者の割合は、両群で同程度であった(アルテプラーゼ群48% vs.プラセボ群45%、リスク比[RR]:1.06、95%信頼区間[CI]:0.88~1.28、p=0.554)。脳室内出血量と視床出血で補正後の両群差は3.5%で有意差はなかった(RR:1.08、95%CI:0.90~1.29、p=0.420)。 180日時点の致死率は、アルテプラーゼ群のほうが有意に低かったが(18% vs.29%、ハザード比:0.60、95%CI:0.41~0.86、p=0.006)、mRS 5点(寝たきりなどの重度障害)の割合も有意に多かった(17% vs.9%、RR:1.99、95%CI:1.22~3.26、p=0.007)。脳室炎(7% vs.12%、RR:0.55、95%CI:0.31~0.97、p=0.048)や重篤な有害事象(46% vs.60%、RR:0.76、95%CI:0.64~0.90、p=0.002)は、アルテプラーゼ群のほうが出現頻度は低かったが、症候性出血の割合は同程度であった(2% vs.2%、RR:1.21、95%CI:0.37~3.91、p=0.771)。

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日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの効果は

 自閉スペクトラム症を有する小児および青年(6~17歳)における易刺激性の治療に対するアリピプラゾールの有効性、安全性を評価するため、東京都立小児総合医療センターの市川 宏伸氏らは、8週間のプラセボ対照無作為化二重盲検試験を行った。Child psychiatry and human development誌オンライン版2016年12月21日号の報告。 対象患者には、フレキシブルドーズのアリピプラゾール(1~15mg/日)またはプラセボを投与した。対象患者92例は、アリピプラゾール群47例とプラセボ群45例にランダムに割り付けられた。親/介護者による異常行動チェックリスト日本語版(Aberrant Behavior Checklist Japanese Version :ABC-J)の易刺激性サブスケールスコアを用いて評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾール群の平均ABC-Jスコアは、第3~8週にかけて、プラセボ群と比較し有意に改善した。・アリピプラゾール群の平均医師CGI-Iスコアは、第2~8週にかけて、プラセボ群と比較し有意に高い改善効果を示した。・アリピプラゾール群のすべての患者が試験を完了し、重篤な有害事象は報告されなかった。・プラセボ群では、3例が中止した。 著者らは「日本人小児および青年の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の治療に対するアリピプラゾール投与は、効果的かつ一般的に安全で忍容性が良好である」としている。関連医療ニュース 自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か 成人発症精神疾患の背景に自閉スペクトラム症が関連

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統合失調症患者への抗精神病薬高用量投与、自律神経系への影響は:横浜市大

 統合失調症患者は、一般集団と比較し、異常な自律神経系(abnormal autonomic nervous system:ANS)の活性を有する。この理由の1つとして、抗精神病薬のムスカリン親和性があり、ムスカリン受容体遺伝子の一塩基多型が、ANS機能不全に影響を及ぼすといわれている。横浜市立大学のmasatoshi miyauchi氏らは、抗精神病薬が投与されている統合失調症患者のANS活性に対するコリン作動性ムスカリン性受容体(cholinergic muscarinic receptor:CHRM)遺伝子の一塩基多型の影響を検証した。Neuropsychobiology誌2016年12月7日号の報告。 対象は、日本の統合失調症患者173例。心拍変動をANS活性の指標として測定した。CHRM1(rs542269、rs2075748)、CHRM2(rs324640、rs8191992、rs1824024、rs7810473)、CHRM3(rs3738435、rs4620530、rs6429157)の一塩基多型は、TaqMan法を用いて遺伝子解析を行った。標準的なクロルプロマジン(CP)換算に従って、高CP群(1,000mg以上)と低CP群(1,000mg未満)に患者を分類し、ANS活性の群間比較を行った。患者の心拍変動のトータル、LF(low-frequency)、HF(high-frequency)、LF/HF成分、高CP群と低CP群の両方の一塩基多型遺伝子を比較した。Bonferroni補正には多重比較を適用し、臨海p値は<0.005とした。 主な結果は以下のとおり。・高CP群におけるCHRM2 rs8191992多型のAアレルは、ANS活性の低下と関連していた。 著者らは「統合失調症患者に対する抗精神病薬の高用量投与は、CHRM2 rs8191992多型と関連するANS活性の低下を示す。CHRM2多型は、統合失調症患者のANS活性に対し、重要な役割を果たす可能性がある」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬のアジア実態調査:高用量投与は36% 抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大 統合失調症、維持期では用量調節すべきか:慶應義塾大

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末梢動脈疾患と関連する食事~前向き研究

 食事はアテローム性動脈硬化性心血管疾患の発症に関連しているが、食物摂取量や食事パターンと末梢動脈疾患(PAD)との関係を調べた研究はほとんどない。米国ミネソタ大学のRachel P. Ogilvie氏らは、中年期の習慣的な食事とその後の約20年間のPAD発症の関係を前向きコホート研究で調査した。その結果、肉の摂取量が多いほどPADリスクが高く、適度な飲酒はPADリスクが低いことと関連していた。なお、これらの関連における因果関係の有無は不明である。The American journal of clinical nutrition誌オンライン版2017年1月11日号に掲載。 著者らは、ARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)研究に登録された参加者においてPADを発症していなかった1万4,082人に対し、ベースライン時(1987~89年)にハーバード食物摂取頻度調査票を用いて食物摂取量を評価した。食品群や食事パターン(「健康的」および「西洋風」)について、五分位数または四分位数で分類した。PAD発症は、2012年までの2回の検査で、ABI(ankle brachial index:足関節上腕血圧比)<0.9、および退院時診断コードで判断した。分析は多変量調整Cox比例ハザード回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・平均19.9年のフォローアップ期間中、1,569人がPADを発症した。・人口統計学的特徴、行動、食品群について調整したモデルで、PAD発症のハザード比(95%CI)は食肉消費量の五分位を通して増加した[第1五分位:基準、第2五分位:1.38(1.16~1.65)、第3五分位:1.38(1.16~1.65)、第4五分位:1.45(1.20~1.74)、第5五分位:1.66(1.36~2.03)、傾向のp<0.001]。・週に1~6杯飲酒した人は、飲酒しなかった人よりPAD発症リスクが低かった[0.78(0.68~0.89)]。・コーヒーを1日4杯以上飲んでいる人は、飲まない人に比べてPAD発症が少なかった[第1五分位に比した第5五分位:0.84(0.75~1.00)、傾向のp=0.014]。・他の食品群やパターンとPAD発症との関連はみられなかった。

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境界性パーソナリティ障害の自殺リスク、ポイントは睡眠の改善か

 境界性パーソナリティ障害(BPD)患者の睡眠状態を英国・ウォーリック大学のCatherine Winsper氏らが調査した。Neuroscience and biobehavioral reviews誌オンライン版2016年12月15日号の報告。 BPD患者の客観的および主観的な睡眠特性結果を組み合わせるためのメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・1980~2105年12月までに公表された32件の研究を特定した。・メタ解析では、客観的な睡眠持続性(睡眠潜時、総睡眠時間、睡眠効率)、睡眠構築(REM潜時、REM 密度、徐波睡眠)の評価、自己報告の睡眠問題(悪夢、睡眠の質)について、BPD群と健常対照群で有意な差が示された。・所見は、うつ病および向精神薬併用と無関係であった。・BPD群と臨床コントロール(大多数がうつ病)群との間に有意な差はほとんど認められなかった。 著者らは「BPDでは、うつ病と同様の睡眠障害との関連が認められた。この睡眠障害は、うつ病併存に起因するわけではなかった。睡眠障害が、情動調節不全や自殺リスクを悪化させる可能性があるとのエビデンスが増加したことを考慮すると、BPDの治療では、睡眠問題に取り組むべきであることが明確となった。」としている。関連医療ニュース 境界性パーソナリティ障害患者の自殺行為を減少させるには 境界性パーソナリティ障害と睡眠障害は密接に関連 境界性人格障害患者の自殺予防のポイントはリハビリ

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