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Stage III肺がんdurvalumab維持療法PACIFIC試験におけるPatient Reported Outcome 世界肺癌学会2017プレスカンファレンスより 第8回【肺がんインタビュー】

第8回 Stage III肺がんdurvalumab維持療法PACIFIC試験におけるPatient Reported Outcome世界肺癌学会2017プレスカンファレンスよりPatient-Reported Outcomes with Durvalumab after Chemoradiation in Locally Advanced, Unresectable NSCLC:Data from PACIFIC

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10年以上、頬にペンが刺さったままだった男性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第101回

10年以上、頬にペンが刺さったままだった男性 いらすとやより使用 『仮面ライダーエグゼイド』(東映)にハマっていた長男に、ガシャコンキースラッシャーを頬に思いきり突き刺されたことが記憶に新しい今日この頃。たくさんオモチャを買わされたのに、もう次の仮面ライダーが始まってしまいました。ああ、また新しいオモチャを買えとせがまれるのだろうか。今回は、ほっぺたの異物論文をご紹介しましょう。 Jain A, et al.Removal of an Unusual Neglected Foreign Body in Infratemporal Region Using Navigation.J Craniofac Surg. 2017;28:e219-e221.19歳の男性が、かれこれ3ヵ月ほど前から硬口蓋に青みがかった物体が出ていることに気付きました。何だろうこれ、ペロペロ。そう思って過ごしていたのでしょうか。彼は8歳のころ、左の頬骨にペンが刺さったという外傷の既往があり、どうやらその時にペンは除去されているようなのです。しかし、これはイヤ~な予感がしますね。頬骨周辺のCT検査を行うと、側頭下窩から棒状の物体が硬口蓋に向けて出ているではありませんか。おいおい、ペンを除去できていなかったのかよ! しかも、よくよく見ると、上顎洞を貫通している! それにしても10年以上、このペンが何の症状ももたらさなかったのが不思議ですね。異物はその後、速やかに外科手術で除去されました。とくに術中・術後の合併症はなかったそうです。皆さんもペンを取り扱う場合には、顔に刺さらないよう注意してくださいね。

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治癒切除不能な進行・再発胃がんにニボルマブが有効/Lancet

 化学療法歴のある治癒切除不能な進行・再発の胃がんまたは食道胃接合部がん患者において、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体ニボルマブはプラセボに比べ全生存期間(OS)の有意な延長を示し、新たな治療選択肢となることが確認された。韓国・蔚山(Ulsan)医科大学のYoon-Koo Kang氏らが、国際共同第III相試験(ONO-4538-12、ATTRACTION-2)の結果を報告した。2レジメン以上の化学療法に不応/不耐の進行胃がんまたは食道胃接合部がん患者の予後は不良であるが、現在のガイドラインでは推奨される治療がなかった。Lancet誌オンライン版2017年10月6日号掲載の報告。日韓台3ヵ国の49施設で無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施 ONO-4538-12/ATTRACTION-2試験は、日本、韓国および台湾の49施設において実施された。対象は、20歳以上、ECOG PSが1以下、抗PD-1抗体またはその他のT細胞制御を目的とした抗体療法もしくは薬物療法の治療歴がない、2つ以上の化学療法歴を有する標準治療に不応または不耐の、切除不能な進行または再発の胃がんまたは食道胃接合部がん患者である。地域、ECOG PSおよび転移臓器数で層別化し、ニボルマブ(3mg/kg、静脈内投与、2週間間隔)群とプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付け、病勢進行または永続的な中断を必要とする毒性が発現するまで継続した。 主要評価項目は、intention-to-treat集団におけるOSであった。安全性に関しては、治験薬の投与を1回以上受けたすべての患者を解析対象とした。ニボルマブ群でOSが有意に延長 2014年11月4日~2016年2月26日に、計493例がニボルマブ群(330例)とプラセボ群(163例)に無作為に割り付けられた。 データカットオフ時点(2016年8月13日)の追跡期間中央値は、ニボルマブ群8.87ヵ月(IQR:6.57~12.37)、プラセボ群8.59ヵ月(IQR:5.65~11.37)で、OS中央値はそれぞれ5.26ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.60~6.37)および4.14ヵ月(同:3.42~4.86)であった(ハザード比:0.63、95%CI:0.51~0.78、p<0.0001)。 12ヵ月OS率は、ニボルマブ群26.2%(95%CI:20.7~32.0)、プラセボ群10.9%(同:6.2~17.0)であった。 Grade3もしくは4の治療関連有害事象は、ニボルマブ群330例中34例(10%)、プラセボ群161例中7例(4%)に発現し、治療関連有害事象による死亡がニボルマブ群で5例(2%)、プラセボ群で2例(1%)確認された。安全性に関する新たな懸念は観察されなかった。 なお試験は、非アジア人の患者を含めて継続中であり、さまざまな臨床設定や早期治療ラインにおけるニボルマブの進行胃がんまたは食道胃接合部がんに対する有益性を検討中である。

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卵巣予備能バイオマーカーと不妊、関連性は?/JAMA

 生殖年齢後期の女性において、血中の抗ミュラー管ホルモン(AMH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、インヒビンBあるいは尿中FSHといった卵巣予備能を示すバイオマーカーの低下は、妊孕性の低下とは関連していないことが明らかとなった。米国・ノースカロライナ大学のAnne Z. Steiner氏らが、不妊歴のない妊活3ヵ月未満の30~44歳の女性を対象とした前向きコホート試験の結果を報告した。卵巣予備能のバイオマーカーは、その有益性に関するエビデンスがないにもかかわらず、生殖能の目安として用いられている。著者は「尿または血中FSHや血中AMHを用いて、女性の現在の受胎能を評価することは支持されない」と注意を促している。JAMA誌2017年10月10日号掲載の報告。卵巣予備能バイオマーカーを測定し、1年間にわたり受胎率を評価 研究グループは2008年4月~2016年3月の期間で、ノースカロライナ州にあるローリー-ダーラムの地域コミュニティで募集した、不妊歴のない妊活3ヵ月未満の30~44歳の女性981例を対象に、卵胞期前期の血清AMH、血清FSH、血清インヒビンB、尿中FSHを測定した。 主要評価項目は、6周期と12周期までの累積受胎率および相対的な受胎確率(特定の月経周期における受胎率)とし、妊娠テスト陽性を受胎と定義した。 計750例(平均年齢33.3歳[SD 3.2]、白人77%、過体重または肥満36%)から血液と尿の検体が提供され、解析に組み込んだ。バイオマーカー低値と正常値の女性で受胎率に有意差なし 年齢、BMI、人種、現在の喫煙状況、ホルモン避妊薬使用の有無で補正後、妊活6周期までの推定受胎率は、AMH低値(<0.7ng/mL)群(84例)で65%(95%信頼区間[CI]:50~75%)、AMH正常値群(579例)で62%(同:57~66%)と両群で有意差はなかった。妊活12周期までの推定受胎率比較においても、有意差は示されなかった(AMH低値群84%[同:70~91%] vs. 正常値群75%[同:70~79%])。 血清FSHについても同様に、妊活6周期までの推定受胎率は高値(>10mIU/ml)群(83例、63%[95%CI:50~73%])と正常値群(654例、62%[同:57~66%])で有意差はなく、12周期までの推定受胎率も有意差はなかった(82%[同:70~89%] vs.75%[同:70~78%])。 尿中FSH値についても、高値(>11.5mIU/mg creatinine)群の妊活6周期までの推定受胎率(69例、61%[95%CI:46~74%])は、正常値群(660例、62%[同:58~66%])と有意差はなく、妊活12周期までの推定受胎率も有意差はなかった(70%[同:54~80%] vs.76%[同:72~80%])。 インヒビンB値に関しては、測定しえた737例において特定の月経周期での受胎率との関連性が確認されなかった(1-pg/mL増加当たりのハザード比:0.999、95%CI:0.997~1.001)。 なお著者は、出生ではなく受胎を主要評価項目としていること、排卵は評価されていないこと、男性の精液検体は提供されていないことなどを研究の限界として挙げている。

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肺動脈圧ガイドにおける左心室収縮能が低下した心不全のマネジメント

 ガイドラインに準じた薬物療法が増えているにも関わらず、左心室の駆出率が低下した心不全(heart failure and reduced ejection fraction:HFrEF)患者の一部は入院、および死亡率が依然高い。そこで、米国Brigham and Women’s HospitalのMichael M Givertz氏ら研究グループが、肺動脈圧の遠隔モニターにより薬物療法の最適化と予後を改善につながる情報を臨床医に提供しうるか検証した。Journal of the American College of Cardiology誌2017年10月10日号に掲載。CHAMPION試験:LVEFが低下した患者に対するサブ解析 CHAMPION(CardioMEMS Heart Sensor Allows Monitoring of Pressure to Improve Outcomes in NYHA Class III Heart Failure Patients trial)試験では、550例の慢性心不全患者を左室駆出率に関わらず登録し、事前に決められたサブグループ解析で、左室駆出率が低下(LVEF≦40%)した心不全患者の入院と死亡率について、治療群とコントロール群とで比較した。ガイドラインに準じた薬物療法の使用が可能なケースについては、事後解析が行われた。入院と死亡率の解析には、Andersen-GillとCox比例ハザードモデルが使われた。ガイドラインに準じた薬物療法が行われている場合、心不全入院33%、死亡率47%低下 HFrEF患者456例のうち、心不全での入院率は治療群でコントロール群に比べて28%低く(ハザード比[HR]:0.72、 95%信頼区間[CI]: 0.59~0.88、 p= 0.0013)、統計学的な有意差には至らなかったが、死亡率が32%低下する傾向が認められた(HR:0.68、95% CI:0.45~1.02、p=0.06)。試験開始時にガイドラインに準じた薬物療法(ACEI、ARBもしくはβ遮断薬)を少なくとも1種類内服している患者が445例おり、これらの患者では心不全の入院率が33%低下し(HR:0.67、95%CI、0.54~0.82、p=0.0002)、死亡率は47%低かった(HR:0.63、95%CI:0.41~0.96、p=0.0293)。コントロール群と比較して、ガイドラインに準じた薬物療法を2種類とも内服している群(337例)では、心不全の入院が43%低下し(HR:0.57、95%CI:0.45~0.74、p<0.0001)、死亡率は57%低下した(HR:0.43、95%CI:0.24~0.76、p=0.0026)。検証の結果、肺動脈圧を使用した心不全のマネジメントは、心不全の悪化と死亡率を低下させるとともに、血行動態と神経ホルモンの双方を改善するという相乗効果の重要性を明らかにした。CardioMEMS(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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初回抗うつ薬治療無効患者、増量療法に意味はあるか

 多くのうつ病患者は、最初の抗うつ薬単独療法に十分反応しない。そのため、次の治療手段として、投与されている抗うつ薬の増量(漸増、高用量)がしばしば行われる。オーストリア・ウィーン医科大学のMarkus Dold氏らは、うつ病への抗うつ薬の増量について二重盲検無作為化比較試験のメタ解析を行った。Psychotherapy and psychosomatics誌2017年号の報告。 メタ解析には、標準用量の抗うつ薬で治療反応が不良であったうつ病患者を対象としている、抗うつ薬増量療法と標準用量継続療法を直接比較したすべての二重盲検無作為化比較試験(RCT)が含まれた。主要アウトカムは、HAM-D総スコアの平均変化とした。副次的アウトカムは、治療反応率、全原因による治療中断、無効、副作用とした。Hedges gとリスク比は、エフェクトサイズとして計算した。 主な結果は以下のとおり。・7つの二重盲検RCT(8アーム)より、1,208例が抽出された。・内訳は、fluoxetine 2件(448例)、セルトラリン2件(272例)、パロキセチン2件(146例)、デュロキセチン1件(255例)、マプロチリン1件(87例)であった。・抗うつ薬増量療法は、標準用量継続療法よりもHAM-D総スコア低下において有効ではないことが、プールされた抗うつ薬群(7件、999例、Hedges g:-0.04、95%CI:-0.20~0.12、p=0.63)と個々の抗うつ薬群のどちらでも認められた。・治療反応率、全原因による治療中断、無効による脱落について、差は認められなかった。・抗うつ薬増量療法の患者では、標準用量継続療法の患者よりも、副作用による脱落が有意に多かった。・メタ回帰分析では、ベースラインの症状重症度やエフェクトサイズに対する用量増加の影響は示されなかった。 著者らは「メタ解析の結果から、初回の抗うつ薬治療において標準用量で治療反応が認められない患者への抗うつ薬増量療法は、うつ病に対する一般的なエビデンスベースの治療選択肢としてみなされない」としている。■関連記事治療抵抗性うつ病、抗うつ薬併用 vs.抗精神病薬増強たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

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非小細胞肺がんへのatezolizumab、OAK試験の日本人解析/日本肺癌学会

 2017年10月14日、第58回日本肺癌学会学術集会で、岡山大学病院の久保 寿夫氏が、国際共同第III相臨床試験OAK試験の日本人集団の解析結果を発表した。OAK試験は、プラチナ製剤を含む化学療法中または後に増悪した局所進行・転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者1,225例を対象に、抗PD-L1抗体atezolizumabの有効性と安全性をドセタキセルと比較検討したオープンラベル無作為化試験。主要評価項目は、全患者およびPD-L1で選別されたサブグループ患者の全生存期間(OS)、副次評価項目は客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性などである。すでに発表されている全集団における解析では、ドセタキセル群と比較してOSを4.2ヵ月延長し(OS中央値:13.8ヵ月 vs.9.6ヵ月、ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.62~0.87)、良好な安全性が示されている。 日本人集団(OS解析対象の64例)のOS中央値はatezolizumab群で21.3ヵ月、ドセタキセル群で17.0ヵ月、ハザード比は0.80(95%CI:0.41~1.57)であり、全集団同様PD-L1の発現状態にかかわらず、atezolizumab群で改善が認められた。 有害事象については日本人101例を対象に解析され、Grade 3 以上の有害事象の発現率はatezolizumab群が26.8%、ドセタキセル群が91.1%とatezolizumab群で低かったが、免疫関連有害事象を含む投与中止に至った有害事象についてはatezolizumab群で多かった(17.9% vs.6.7%)。外国人集団との比較においては、Grade 3 以上の有害事象は日本人集団で少なかった(26.8% vs.40.1%)。日本人集団で多くみられたのは発熱(35.7%)、鼻咽頭炎(19.6%)などであった。 なお、atezolizumabはOAK試験ならびに第II相無作為化臨床試験であるPOPLAR試験の結果に基づき、上記患者に対して2016年10月に米国食品医薬品局(FDA)、2017年9月に欧州委員会(EC)により承認されている。■参考OAK試験(Clinical Trials.gov)中外製薬のプレスリリース■関連記事抗PD-L1抗体atezolizumab、非小細胞肺がんのOSを延長/Lancet抗PD-L1抗体atezolizumab、肺がんに承認:FDA

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BPSDに対するイチョウ葉エキスの効果~メタ解析

 イチョウ葉抽出エキスであるEGb761が認知症のBPSD(認知症の行動と心理症状)治療に有効であることが、無作為化比較試験で報告されている。スイス・チューリッヒ大学のEgemen Savaskan氏らは、これらの無作為化試験についてメタ解析を行った。International psychogeriatrics誌オンライン版2017年9月21日号の報告。 特定のBPSDに対するEGb761の効果を評価するため、臨床的に有意なBPSD(NPI総スコア6以上)が認められる(アルツハイマー病[AD]が疑われる、脳血管性認知症もしくは脳血管疾患を有するADが疑われる)認知症患者を対象とした、20週以上の無作為化プラセボ対照試験を抽出した。データをプールし、NPI single item compositeおよびcaregiver distressスコアの共同解析を、固定効果モデルのメタ解析により実施した。 主な結果は以下のとおり。・4つの研究より1,628例(EGb761群:814例、プラセボ群:814例)が抽出された。治療期間は、22~24週であった。EGb761の1日用量は、すべての研究において240mgであった。・すべての研究の全分析セットのデータを含むプールされた分析(EGb761群:796例、プラセボ群:802例)では、EGb761群はプラセボ群よりも合計スコア、10の単一症状スコアで有意な優越性が示された。・caregiver distressスコアに関しては、EGb761群はプラセボ群よりも妄想、幻覚、多幸を除くすべての症状において有意な改善が認められた。・EGb761のベネフィットは、主にベースライン時の症状改善であるが、いくつかの症状において発症率の低下が認められた。 著者らは「イチョウ葉抽出エキスEGb761を用いた22~24週の治療は、統合失調症様症状を除くBPSDと、それらの症状によって引き起こされる介護者の苦痛も改善した」としている。■関連記事BPSD治療にベンゾジアゼピン系薬物治療は支持されるか認知症になりにくい性格はなぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか

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血尿よ、お前もか!-抗血栓薬は慎重に(解説:桑島巖氏)-748

 最近、循環器領域の疾患では、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)や抗血小板薬を処方する傾向が顕著になっている。確かに脳卒中や心筋梗塞予防効果はあることはあるが、そのウラ側にある有害事象のことも考えてほしいというのが本研究のメッセージである。抗血栓薬処方の爆発的な増加には企業の激しい宣伝合戦も影響しているかもしれないが、ここで一歩立ち止まって考える必要がありそうだ。言うまでもないことではあるが、抗血栓薬は血栓を予防して梗塞性イベントを防ぐ一方で、大出血という重大な有害事象を発生することも、あらためて認識する必要がある。 すでに、JAMA誌(Gaist D, et al. JAMA. 2017;317:836-846.)では、抗血栓薬で明らかに硬膜下血腫リスクが増大しているというデータを示しているが、今回の本論文は血尿である。 カナダ・オンタリオ州における66歳以上の一般住民の追跡調査であるが、抗凝固薬や抗血小板薬などの抗血栓薬服用者の肉眼的血尿発現率は、123.95イベント/1,000人年であり、これは非服用者の80.17人年に比べて1.44倍高かったという。この調査での血尿は、入院と救急外来受診者に限定され、一般診療での血尿は含まれておらず、一般臨床での血尿を含めるとさらに多くなると思われる。 本研究はあくまでも一般住民での追跡調査成績であり、いくつかのlimitationはあるとしても、抗血栓薬の安易な処方傾向に一石を投じる報告である。 抗血栓薬服用者では、泌尿器科処置に伴う合併症や、入院、救急外来受診率などの頻度も、非服用者に比していずれも有意に高かった。これらは医療行為による医師の負担を増大させ、医療経済の点から言ってもマイナスの要因であろう。 抗血栓薬処方の裏では、消化管出血、血尿、硬膜下血腫などの副作用で、消化器科医師、泌尿器科医師、脳外科医師がその後始末に四苦八苦している事情も知っておくべきである。 近年では、脳卒中の急性期治療の進歩により、脳卒中死は著しく減少したが、消化管出血、硬膜下血腫などは死亡に直結する有害事象であることは、あらためて認識する必要がある。とくにDOACは効果のマーカーがないだけに、高齢者では慎重な処方が必要である。

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妊娠中の飲酒、子供の認知機能に及ぼす影響

 妊娠中のアルコール摂取は、子供の発育の危険因子であると考えられている。子宮内アルコール曝露の子供におけるバイオマーカーについては、ほとんど研究されていない。ドイツ・フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン・ニュルンベルクのAnna Eichler氏らは、胎便中のアルコール代謝物(エチルグルクロニド:EtG)が、小学校就学年齢の子供における認知機能の発達、ADHD関連行動、注意および執行制御の神経生理学的マーカーと関連しているかを調査した。Journal of child psychology and psychiatry, and allied disciplines誌オンライン版2017年9月11日号の報告。 母親は、妊娠第3期にアルコール摂取に関する自己アンケートを提出した。胎便のサンプルは、出生時に収集した。検出限界(10ng/g以上)を上回る胎便中EtGを有する44例と、そうではない対照群44例の比較を行った。検出量の影響を調査するため、第2の閾値(154ng/g以上)を設定した。子供が小学校就学年齢に達した際、母親はADHD関連行動を評価し、子供の認知機能の発達はIQテストバッテリーを用いて測定され、イベント関連の可能性の測定にはgo/nogoタスクを用いた。 主な結果は以下のとおり。・両方のEtG陽性群は、対照群と比較しgo/nogoタスクに対する注意力リソースが少なかった(goタスクにおけるP3が減少)。・胎便中EtGが154ng/g以上の群は、他の群よりもIQが6ポイント低かった。・EtG 154ng/g以上の群は、EtG値とADHD関連行動との間に正の相関が認められた。・これらの有意な影響は、母親の自己報告データでは観察されなかった。 著者らは「EtGと認知機能障害、注意力リソース能力、ADHD関連行動との関連は、部分的に検出量に依存的な影響が認められた。母親の自己報告に加え、この子宮内アルコール曝露のバイオマーカーは、子供の発達の予測因子と考えられる」としている。■関連記事ADHD発症しやすい家庭の傾向妊娠中の抗うつ薬治療、注意すべきは母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か

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低用量のアスピリンを中止することによる心血管リスクの上昇

 大手術や出血がないにもかかわらず、アスピリンを中止することに伴うリスクへの懸念が高まっている。そこでスウェーデンの研究グループが、長期の低用量アスピリンを中止および治療の中断に伴う心臓血管リスクの増加に関して検証を行った。Circulation誌2017年9月26日号に掲載。スウェーデンの処方データを用いて60万人以上を解析 研究はスウェーデンの処方データを用いて行われ、2005~09年、低用量アスピリンを1次もしくは2次予防として内服する40歳以上で、悪性腫瘍の既往がなく、観察期間の最初の1年で80%以上内服を順守していた60万1,527例が対象。心血管イベントはスウェーデンの入院および死亡原因のデータベースを使って同定された。大出血もしくは外科的処置から3ヵ月間は、イベント発生のリスク期間から除外された。アスピリンの中断で心血管イベントが30%以上も上昇 3年間(中央値)のフォローアップ期間で、6万2,690件の心血管イベントが発生した。アスピリンを中止した患者では、継続した患者に比べて高い確率で心血管イベントが発生した(多変量解析調整後のハザード比:1.37、95%信頼区間:1.34~1.41)。これは、アスピリンを中止すると毎年74例に1例の割合で、さらなる心血管イベントが起こるという計算となる。また、心血管イベントのリスクは、内服中止後すぐに上昇し、その後も改善しなかった。 低用量のアスピリンを長期間使用している患者にとって、大手術や出血などがないにもかかわらず内服を中止することは、心血管イベントが30%以上増加することがわかった。検証の結果、大手術や出血がない患者において、低用量アスピリン内服の順守は重要な目標であるといえる。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの長期効果は

 東京都立小児総合医療センターの市川 宏伸氏らは、日本人小児(6~17歳)の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の治療に対する、アリピプラゾールの長期安全性および有効性を評価した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2017年9月23日号の報告。 本研究は、以前行われた8週間の二重盲検無作為化プラセボ対照試験のオープンラベル後続研究として実施された。登録患者には、アリピプラゾールが本邦で自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の適応を取得するまで、フレキシブルドーズ(1~15mg/日)にて投与を行った。 主な結果は以下のとおり。・登録された86例のうち、70例(81%)が48週間の評価を完了した。・平均治療期間は、694.9日であった。・治療期間中のアリピプラゾール1日平均用量は7.2mg、最終平均用量は8.5mgであった。・最も一般的な治療中の有害事象(20%以上)は、鼻咽頭炎、傾眠、インフルエンザ、体重増加であった。・これらの有害事象の大部分は軽度から中等度であり、死亡例はなく、プロラクチン低下、バイタルサイン、身長、ECGパラメータを除く臨床検査値に関連する所見は認められなかった。・48週時の、異常行動チェックリスト日本語版(ABC-J)の易刺激性サブスケールスコアにおけるベースラインからの平均変化量は、以前の試験のプラセボ群と比較し-6.3、以前の試験のアリピプラゾール群と比較し-2.6であった。 著者らは「アリピプラゾールは、日本人小児の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の長期治療に対し、一般的に安全であり、良好な忍容性と有効性が認められた」としている。■関連記事日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの効果は母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か妊娠中の抗うつ薬使用、自閉スペクトラム症への影響は

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抗ジカウイルスDNAワクチン、ヒトで免疫応答/NEJM

 開発中の抗ジカウイルスDNAワクチン(GLS-5700)の、ヒト接種の安全性と免疫原性を検討した第I相非盲検臨床試験の速報結果が、NEJM誌オンライン版2017年10月4日号で発表された。米国・ペンシルベニア大学のPablo Tebas氏らが、米国とカナダの3施設で健康なボランティア成人40例(年齢中央値38歳)を集めて1mgまたは2mg接種について検討した結果、全例で安全に免疫応答を誘発したことを報告した。ジカウイルス(ZIKV)感染症に対する承認ワクチンは、現状ではない。今回の結果を受けて著者は、「さらなる試験を行い、ワクチンの有効性と長期的安全性を評価する必要がある」とまとめている。接種&エレクトロポレーションで免疫原性を高める 試験は2016年8~9月に、ペンシルベニア大学(フィラデルフィア)、QPS-Miami Research Associates(マイアミ)、ラヴァル大学(ケベック)で、健康なボランティアを集め、デング熱検査が陰性であった40例を登録して行った。 GLS-5700は、ZIKVのpremembrane and envelopeタンパク質をコードする合成DNAワクチンで、皮下注後に接種部位でエレクトロポレーション(ワクチンに封入されたDNAシーケンスを、パルス電界を利用して細胞に導入する方法)を行い、免疫原性を高める。 今回の第I相試験では、被験者を2群に分けて(各群20例)、GLS-5700を1mgまたは2mg皮下注投与し安全性と有効性を調べた。接種とエレクトロポレーションは、ベースライン、4週後、12週後に行った。3回投与の安全性と有効性を確認 被験者の年齢中央値は38歳(四分位範囲:30~54歳)、60%が女性で、人種は78%が白人、22%が黒人であった。また、被験者をヒスパニック系か否かで分類した場合、ヒスパニック系は30%であった。 14週の中間解析の時点(ワクチン3回接種後を含む)で、重篤な副反応の報告はなかった。ワクチン接種部位反応(注射部位の痛み、発赤、腫脹、かゆみなど)は、被験者の約50%で報告された。 ワクチン3回接種後、ELISA法にて、全被験者で結合抗体が検出された。幾何平均抗体価(GMT)は、1mg投与群1,642、2mg投与群2,871であった。中和抗体は、Vero細胞培養アッセイにて、62%で発現が認められた。神経細胞培養アッセイでは、70%の血清サンプルで、ZIKV感染を90%阻止したことが認められ、95%のサンプルでは50%の感染阻止が認められた。 IFNARノックアウトマウス(インターフェロンαおよびβ受容体をコードする遺伝子欠損モデル)を用いたワクチン接種後の評価では、致死量のZIKV-PR209株のチャレンジ試験において、103/112例(92%)で感染阻止が認められた。ベースライン接種後にチャレンジ試験を受けたマウスでは生存例はみられず、生存は中和抗体価と無関係であった。

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リバーロキサバンの安定型冠動脈疾患に対する効果(解説:高月誠司氏)-745

 本研究は、抗Xa薬リバーロキサバンの冠動脈疾患患者に対する心血管イベントの2次予防効果を検証した二重盲検試験である。2万7,395例の安定した冠動脈疾患患者を対象とし、リバーロキサバン2.5mg 1日2回+アスピリン100mgの併用群、リバーロキサバン5mg 1日2回単剤群、アスピリン100mg単剤群の3群に無作為割り付けした。主要評価項目は心血管死、脳卒中、心筋梗塞の複合エンドポイントで、平均23ヵ月の追跡期間である。 結果、主要評価項目の発生は、リバーロキサバン・アスピリン併用群のほうがアスピリン単剤群よりも少なかった(4.1% vs.5.4%、ハザード比0.76、p<0.001)。しかし、大出血の頻度はリバーロキサバン・アスピリン併用群のほうがアスピリン単剤群より多かった(3.1% vs.1.9%、ハザード比1.70、p<0.001)。ただし、脳出血や致死的な出血の頻度は変わらなかった。リバーロキサバン単剤群とアスピリン単剤群との比較では、主要評価項目は変わらなかったが、大出血はリバーロキサバン単剤群で多かったという。試験は主要評価項目において、リバーロキサバン・アスピリン併用群が一貫して優位であり、早期中止された。 抗Xa薬、抗トロンビン薬といった新規経口抗凝固薬は心房細動や深部静脈血栓症に対する抗凝固療法薬として広く使用されているが、冠動脈疾患に対する効果も検証されている。アピキサバンのAPPRAISE-2、リバーロキサバンのATLAS ACS-TIMI 51や最近報告されたダビガトランのRE-DUAL PCIなどの報告があり、後2者では肯定的な結果が得られている。本研究の特徴は安定した冠動脈疾患が対象で、心房細動の有無を問わないという点で、リバーロキサバン・アスピリン併用群のアスピリン群に対する有用性が明らかとなった。冠動脈疾患に対しても、抗Xa薬は有用と考えていいだろう。ただし、リバーロキサバン単剤群は5mg 1日2回、併用群のリバーロキサバンは2.5mg 1日2回という用法・用量で、これらはいずれも心房細動に対するそれとは異なる。 心房細動に対する用法・用量は、欧米では20mg 1日1回(減量時15mg 1日1回)、本邦では15mg 1日1回(減量時10mg 1日1回)であり、本研究では低用量を分服している。それでも、本研究のリバーロキサバン単剤群はアスピリン群よりも大出血の頻度が高かった。本研究はリバーロキサバン・アスピリン併用群でアスピリン群よりも、心血管死、脳卒中、心筋梗塞の頻度が少なかったが、サブグループ解析の結果では、その優位性は75歳以上の患者、体重60kg以下の患者では認めなかった。ワルファリンとは異なり、用量調節不要というのが新規経口抗凝固薬の利点であるが、用法・用量の設定が大事だということがわかる。 欧米人と日本人を比較すると、平均で約20kgの体重差がある。少なくとも本研究で用いられた用量は本邦で用いることはできないだろうし、本邦における検討が必要であろう。また、本研究では主要エンドポイントに致命的な出血や有症状の主要臓器の出血を加えたネットクリニカルベネフィットも併用群で頻度が少なかったと報告している。通常ネットクリニカルベネフィットの算出には症状によって重み付けし、たとえば脳出血は1.5倍や2倍として計算することがあるが、本研究では単純に頻度が比べられている。高齢者、低体重など出血が危惧される患者で本当にベネフィットがあるかどうか検証が必要である。

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突然やってくる!? 外国人患者さん対応エピソード集 第7回

第7回 訪日外国人患者の医療費で未収を発生させないために<Case7>高齢の中国人夫婦が来院。妻が骨折と診断され手術が必要となり、すぐに入院することになりました。医事課職員が概算医療費(約300万円)の提示と支払い方法の確認をしたところ、夫婦が持っているカードは中国国内で主にデビットカードとして発行されている「銀聯(ぎんれん)カード」のみでした。病院の会計では銀聯カードの決済対応はしておらず…。対談相手市立千歳市民病院事務局次長 貫田 雅寿 氏事務局総務課調整係 係長 黒田 尚樹 氏事務局医事課医事係 主任 菊地 真一 氏左から菊地氏、貫田氏、黒田氏JIGH:今回は、北海道千歳市の市立千歳市民病院事務局の貫田さん、黒田さん、菊地さんにお話を伺います。このご夫婦の支払いはどうなったのでしょうか。菊地:支払い方法について相談した結果、コンビニATMで引き出し限度額を毎日引き出してもらうことで、何とか退院日までに全額をお支払いいただくことができました。JIGH:北海道では訪日外国人数が右肩上がりで増加しており、「外国人患者さんの受け入れ」は注目度の高いトピックだと伺っています。この事例では、会計時の支払いについての課題が浮き彫りになっていますね。菊地:私たちの病院は空港のすぐ近くにあるので、患者さんが空港から運ばれてきたり、帰国直前の患者さんが来院したりすることがあります。そういった方々は手元に現金(日本円)がなかったり、この事例のように利用できるクレジットカードを持っていなかったりして、医療費の未払いが発生するリスクがどうしてもあります。JIGH:医療費の未払い防止のため、何か対策は取られているのでしょうか。貫田:今回紹介した事例を受け、銀聯カード決済の導入を決定しました。北海道にはアジア圏からの観光客が多く、実際に銀聯カードしか持っていないという方も多くいらっしゃいます。銀聯カードの決済手数料は少し高いのですが、患者さんに対するサービス向上という側面のほかに、高額となる医療費の未払いリスクを回避するという点でメリットの方が勝るという判断で、導入しました。JIGH:先進的な取り組みですね。導入後の利用状況はいかがですか。黒田:これまで実際に銀聯カードで決済をされた患者さんは、1名です。ただ、この患者さんは脳神経外科での手術が必要で、医療費は700万円と高額でした。利用実績は少ないものの、今後もいつ発生するか分からない高額医療費の未収を防ぐための、体制整備という意味合いが大きいですね。JIGH:銀聯カードへの対応のほか、未収金発生防止のために取り組まれていることがあれば教えてください。菊地:外国人患者さんが受診されたら、まず医事課職員が医療費の概算を事前に提示し、支払い方法について確認します。保険に加入されている外国人患者さんは、肌感覚では4割程度という印象です。ただしほとんどの場合、いったんは患者さんが医療機関に医療費を支払う保険内容になっているので、どうしても患者さんに支払い義務が発生します。そのため事前のオペレーションを徹底し、患者さんに納得していただくことで、未払いリスクを回避するようにしています。JIGH:やはり体制整備が重要ということですね。本日はありがとうございました。<本事例からの学び>訪日外国人患者さんの医療費未払い防止には、多様な支払い方法への対応と、事前の概算確認が重要!

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治療抵抗性うつ病、抗うつ薬併用 vs.抗精神病薬増強

 治療抵抗性うつ病患者は、抗うつ薬の併用療法(ADs)または第2世代抗精神病薬(SGA)の増強療法(SGA+AD)で治療されるが、臨床的特徴、SGA+ADへの治療反応と独立して関連する因子、アウトカムの経過についてはよくわかっていない。カナダ・マギル大学のGabriella Gobbi氏らは、治療抵抗性うつ病に対するADsおよびSGA+ADの治療効果について検討を行った。International clinical psychopharmacology誌オンライン版2017年9月12日号の報告。 2回以上の抗うつ薬治療に抵抗性を示した、治療抵抗性うつ病患者86例(ADs:36例、SGA+AD:50例)を対象に、最近の安定した試験(約3ヵ月間、投薬変更なし)に関して自然主義的研究を行った。MADRS(Montgomery-Asberg Depression Rating Scale)、HAM-D17(ハミルトンうつ病評価尺度)、その他の尺度による評価は、最近3ヵ月間の安定した試験の前(T0)と後(T3)に実施した。 主な結果は以下のとおり。・SGA+ADでは、ADsと比較し、精神病理的特徴を有するうつ病、パーソナリティ障害および物質使用障害の合併、ADsに対し治療抵抗性を示した回数、全尺度におけるT0での抑うつ症状について、それぞれの割合の増加が認められた(p<0.001)。・SGA+AD、ADsともに、T0と比較し、T3におけるMADRSおよびHAM-D17で抑うつ症状の有意な軽減が認められた(p<0.001)。SGA+ADは、平均スコアのより大きな低下を示した。・ロジスティック回帰分析では、精神病理的特徴、パーソナリティ障害、物質使用障害が、SGA+AD療法と独立して関連していることが示された。 著者らは「SGA+AD後にうつ症状の改善がより大きければ、精神病理的特徴、物質使用障害、パーソナリティ障害を伴う重度の治療抵抗性うつ病に対し、SGAによる増強療法は第1選択の治療法とすべきである」としている。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬の比較治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

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エキセナチドの週1回製剤とリラグルチドの週1回製剤は異なる作用を持つのだろうか…?(解説:吉岡成人 氏)-743

 GLP-1受容体作動薬であるリラグルチドとリラグルチドの週1回製剤であるセマグルチドは、LEADER(Liraglutide Effect and Action in Diabetes: Evaluation of Cardiovascular Outcome Results)、SUSTAIN-6(Trial to Evaluate Cardiovascular and other Long-Term Outcomes with Semaglutide in Subjects with Type2 Diabetes)の2つの臨床試験により、心血管イベントに対して一定の抑制効果があることが示されている。「GLP-1受容体作動薬」そのものにGLP-1を介した心血管イベント抑制の効果があるのではないかと考えられていたのだが、エキセナチド徐放剤(商品名:ビデュリオン、エキセナチドをマイクロスフェアに包埋し持続的に放出する製剤)の週1回投与では心血管死、心筋梗塞、脳卒中を抑止する効果が認められなかったとする報告がなされた。 EXSCEL(Exenatide Study of Cardiovascular Event Lowering)と命名されたこの臨床試験は、心血管疾患の既往ないしは心血管疾患のリスクを有する2型糖尿病14,752人を対象に、糖尿病の標準治療にエキセナチド徐放剤を併用する群とプラセボを併用する群に割り付けて、心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合エンドポイントを主要心血管イベントとして3.2年間追跡したものである。主要心血管イベントの発症率はエキセナチド徐放剤群で11.4%(3.7イベント/100人年)、プラセボ群で12.2%(4.0イベント/100人年)であり、ハザード比は0.91(95%信頼区間:0.83~1.00)で優越性を認めることができなかった(p=0.061)。EXSCELとSUSTAIN-6を比較すると、年齢(62.0 vs.64.6歳)、HbA1c(8.0 vs.8.7%)などは若干異なるものの、心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合エンドポイントの発症頻度はセマグルチド群3.2イベント/100人年、プラセボ群4.4イベント/100人年であり、同じようなリスクの患者を対象とした試験であると想定される。患者の年齢についてはEXSCELではサブグループ解析が行われており、ベースライン時の年齢が65歳以上の集団ではエキセナチド徐放剤群における主要心血管イベントのハザード比が0.80(95%信頼区間:0.71~0.91)であり、リスクの減少は統計学的に有意であると記載されている。エキセナチドを追加投与し、観察期間中に中央値でHbA1cは0.53%低下し、体重は1.27kg減少している。有害事象としての膵炎、膵がんなどの発症率は同等であった。 これらの成績からEXSCELにおける安全性とサブグループ解析を重くみて、エキセナチド徐放剤は心血管疾患のリスクを増加させることなく安全に使用でき、とくに高齢患者では心血管イベントを抑制しうる効果が期待されるのではないかと受け止めることができるのか、エキセナチド徐放剤は他の薬剤を超える素晴らしい(exceed and excellent)薬剤とは言い難いと解釈するのか、LEADER、SUSTAIN-6とやや異なる結果が得られたことは悩ましい。

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ニボルマブ、導入療法後の転移性トリプルネガティブ乳がんで有望な効果(TONIC試験)/ESMO2017

 転移性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する、放射線照射または化学療法後のニボルマブによる治療の奏功率が、これまでのPD-1 / PD-L1阻害薬の単剤療法による奏効率と比較して有望なことが、スペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2017)で報告された。 2017年9月9日、オランダがん研究所(アムステルダム)のMarleen Kok氏は、TONIC試験から得られた知見について発表し、「転移性TNBC患者の任意抽出のコホートに対する以前の研究で、PD-1 / PD-L1阻害薬の単剤療法が持続性のある応答をもたらしうることは明らかになっていたが、奏功率は約5~10%と比較的低いものだった。本試験は、TNBCに対し放射線照射または化学療法にて腫瘍微小環境を調整後のニボルマブ治療が実行可能であることを示す最初の試験であり、抗PD-(L)1抗体に対してより感受性の高い状態に腫瘍微小環境を調整する戦略を明らかにすることは、臨床的に必要性の高い課題である」と述べた。 TONIC試験は、アダプティブデザインの第Ⅱ相無作為化非比較試験(Eudract number:2015-001969-49)。3ライン以下の緩和化学療法を受けた転移性TNBCの患者が、2週間、以下の5つの導入療法群に割り付けられた;(1)1つの転移巣に対し放射線量8Gyを3サイクル照射する群、(2)ドキソルビシン15mg/週を2サイクル投与する群、(3)シクロホスファミド50mg/日を経口投与する群、(4)シスプラチン40mg/m2を2サイクル投与する群、(5)導入療法を行わない群。2週間の導入療法後、iRECISTおよびRECIST v1.1評価に基づく進行が認められるまで、すべての患者が3mg / kgのニボルマブ治療を受けた。 治療群への組み入れは、生検検体(導入療法前および導入療法後)を有する評価可能な50例が登録するまで続けられ(段階1)、“pick the winner”のコンセプト(Simonの2段階デザイン)により、段階2で終了した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間の中央値10.8ヵ月(範囲1~15.7ヵ月)で、50例について評価可能となった。・患者の20%が前治療歴なし、52%が1ライン、28%が2 ライン以上の前治療を受けていた。・RECIST v1.1に基づくコホート全体に対するニボルマブの客観的奏功率(ORR)は22%、iRECISTでは24%であり、完全奏功(CR)1例(2%)、部分奏功(PR)11例(22%)であった。・さらに、1例(2%)で24週間以上持続した安定(SD)が達成され、その結果、26%の臨床的有用率(CBR = CR + PR + SD> 24週間)が得られた。・奏功した患者では、奏功期間の中央値は9ヵ月(95%信頼区間:5.5~NA)であった。・予備解析の結果、ドキソルビシンまたはシスプラチンによる導入療法後の奏功率が高い可能性が示唆された。・腫瘍生検で高値の白血球浸潤およびCD8 陽性T細胞を有する患者でより奏効率が高い可能性があることが、研究者らにより観察された。 ESMO 2017の発表でディスカッサントを務めたミラノ大学のGiuseppe Curigliano氏は、「本試験は併用療法について探る非常に革新的な試験で、放射線療法や化学療法による免疫系のプライミング(準備刺激)効果に関するデータや、Tumor infiltrating lymphocytes(TILs)の定量的・定性的評価に関するデータを提供している」と述べ、「本試験の限界は、導入療法への曝露前後での遺伝子変異量(mutational burden)やTILsについてのデータ、ER陽性やHER2陽性といった他の有用な患者群が含まれていないことである」と指摘した。■参考ESMO 2017プレスリリース

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1型糖尿病妊婦のCGM、新生児にも有益?/Lancet

 1型糖尿病の妊婦に対する持続血糖モニタリング(CGM)は、新生児アウトカムを改善することが、カナダ・Sinai Health SystemのDenice S. Feig氏らによる多施設共同非盲検無作為化試験「CONCEPTT試験」の結果、示された。著者らは、「CGMは、インスリン強化療法を受ける1型糖尿病の全妊婦に推奨すべきである」と提言している。1型糖尿病妊婦はリスクが高く、至適血糖コントロールに努めることが推奨される。しかし、母体の高血糖により新生児アウトカムは良好には至らない状況であった。なお今回の検討は、CGM使用による血糖以外の健康アウトカムについて、改善の可能性を示唆した初の試験であったという。Lancet誌オンライン版2017年9月14日号掲載の報告。妊婦と妊娠計画女性を対象にCGM使用、非使用の効果を調査 研究グループは、カナダ、英国、スコットランド、スペイン、イタリア、アイルランド、米国の31病院において、1型糖尿病に12ヵ月以上罹患しておりインスリン強化療法を受けている18~40歳の、妊婦(13週6日目以下)または妊娠を計画している女性を集めて、母体血糖コントロール、産科アウトカムおよび新生児アウトカムに対するCGMの効果を調べた。検討は、妊婦を対象とした試験と妊娠計画女性を対象とした試験を同時並行で行った。 各試験の被験者は、自己血糖測定モニタリング(capillary glucose monitoring)とCGMを行う群、または自己血糖測定モニタリングのみを行う群に、無作為に割り付けられた。インスリン療法(ポンプまたは注射)、ベースライン糖化ヘモグロビン(HbA1C)値による層別化も行った。 主要アウトカムは、妊婦対象試験は無作為から妊娠34週までのHbA1C値の変化とし、妊娠計画女性対象試験は無作為から24週または懐胎までのHbA1C値の変化とした。評価は、無作為化を受けベースラインで評価を受けた全参加者について行った。 副次アウトカムは、産科および新生児の健康アウトカムなどで、入手データのみで評価を行った。新生児健康アウトカムが有意に改善 2013年3月25日~2016年3月22日に、325例(妊婦試験215例、妊娠計画女性試験110例)が、CGM使用群(各試験108例、53例)またはCGM非使用群(107例、57例)に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムについて、妊婦試験ではCGM使用が好ましいことを示す、わずかだが有意なHbA1C値の変化に関する群間差を示す結果が認められた(平均差:-0.19%、95%信頼区間[CI]:-0.34~-0.03、p=0.0207)。また、妊婦試験においてCGM使用群は非使用群よりも、血糖目標値達成期間が有意に延長し(68% vs.61%、p=0.0034)、高血糖期間が有意に短縮した(27% vs.32%、p=0.0279)。また、重篤な高血糖エピソードが少なく(18件 vs.21件)、低血糖期間は短かった(3% vs.4%、p=0.10)。 さらにCGM使用群では、新生児健康アウトカムの有意な改善が認められた。LGA(large for gestational age)例は少なく(オッズ比:0.51、95%CI:0.28~0.90、p=0.0210)、24時間超NICU滞在例(0.48、0.26~0.86、p=0.0157)および新生児低血糖例も少なく(0.45、0.22~0.89、p=0.0250)、総入院期間は1日短かった(p=0.0091)。 一方、CGMの有益性について、妊娠計画女性試験の参加者では見当たらなかった。 有害事象の発現は、妊婦試験ではCGM使用群51例(48%)、非使用群43例(40%)であり、妊娠計画女性試験ではそれぞれ12例(27%)、21例(37%)であった。重篤有害事象の発現は、妊婦試験で13例(6%)(CGM使用群8例[7%]、非使用群5例[5%])、妊娠計画女性試験で3例(3%)(各群2例[4%]、1例[2%])報告された。 最も頻度の高かった有害事象は皮膚反応であり、妊婦試験ではCGM使用群49/103例(48%)、非使用群8/104例(8%)、妊娠計画女性試験ではそれぞれ23/52例(44%)、5/57例(9%)報告された。最も頻度の高かった重篤有害事象は消化器系で認められた(悪心および嘔吐が、妊婦試験で4例、妊娠計画女性試験で3例)。

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