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大腸がん手術、精神疾患患者での特徴

 精神医学的状態が存在すると、複雑な臨床像や治療的考慮のため、大腸がんの外科的治療のアウトカムに影響を及ぼす可能性がある。今回、米国University Hospitals Cleveland Medical CenterのVanessa P. Ho氏らの研究により、精神医学的疾患(PSYCH)の診断を受けた患者において、閉塞、穿孔および/または腹膜炎の存在下で実施される手術(OPP手術)の割合が有意に高かったことがわかった。著者らは、PSYCH と診断された大腸がん患者において、診察時の進行した大腸がんについての臨床的意味をさらに明らかにするため、さらなる検討が必要であるとしている。Journal of Surgical Research誌2018年3月号に掲載。 著者らは、2007~11年のNational Inpatient Sampleのデータを用いて、大腸がんの診断を受け、手術を受けた患者を同定した。National Inpatient Sampleに記載されている身体的併存疾患に加えて、統合失調症、せん妄/認知症、発達障害、アルコール/薬物乱用、その他の精神医学的状態を含むPSYCH患者を同定するためにClinical Classification Softwareを使用した。本研究のアウトカムはOPP手術とした。記述的解析に加え、患者の人口統計および身体的併存疾患の調整後にPSYCH状態とOPP手術のそれぞれの独立した関連性を、多変量ロジスティック回帰分析により分析した。 主な結果は以下のとおり。・本研究集団において、手術を受けていた大腸がん患者は59万1,561例で、そのうち、65歳以上が60.6%、女性が49.4%、併存疾患を5つ以上有する患者が6.3%、PSYCH患者が17.9%であった。・OPP手術を受けた患者の割合は、研究集団においては13.9%であったが、統合失調症(19.3%)、せん妄/認知症(18.5%)、発達障害(19.7%)、アルコール/薬物乱用(19.5%)の患者では有意に高かった。・多変量解析では、統合失調症、せん妄/認知症、アルコール/薬物乱用は、それぞれOPP手術率の増加に関連していた。

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PTSDの悪夢、プラゾシンで改善せず/NEJM

 α1アドレナリン受容体遮断薬プラゾシンは、慢性心的外傷後ストレス障害(PTSD)に伴う悪夢を軽減することはなく、睡眠の質も改善しないことが、PTSDを抱えた退役軍人を対象とする多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「PACT試験」の結果、示された。米国・VA Northwest Network Mental Illness Research, Education and Clinical CenterのMurray A. Raskind氏らが報告した。プラゾシンは、これまでの無作為化試験で退役軍人のPTSDと関連する悪夢の軽減に有効であることが示唆されていたが、試験期間が15週未満と短く症例数も中規模であった。NEJM誌2018年2月8日号掲載の報告。患者約300例において、プラゾシンとプラセボで悪夢と睡眠の質を比較 研究グループは、退役軍人医療センター13施設において、慢性PTSDを抱え頻繁に悪夢をみるという退役軍人304例を、プラゾシン群あるいはプラセボ群に無作為に割り付け、26週間治療した(プラゾシン群152例、プラセボ群152例)。投与量は、最初の5週間で男性は最大20mg/日、女性は12mg/日まで漸増し、10週目まで投与した後、さらに16週間二重盲検下で投与を継続した。 主要評価項目は、10週時におけるPTSD臨床診断面接尺度(CAPS)のB2「繰り返しみる悪夢」(0~8点:スコアが高いほど頻度が多く苦痛が大きい)、およびピッツバーグ睡眠質問票(PSQI:0~21点、スコアが高いほど睡眠の質が低い)のスコアのベースラインからの変化量、ならびに臨床全般印象評価(CGIC:1~7点、スコアが低いほど改善が大きく、4点が変化なし)である。線形混合モデルを用い、修正intention-to-treat解析を行った。10週時および26週時とも、両群で評価項目に差はなし プラゾシン群とプラセボ群の主要評価項目(10週時)は、CAPS-B2(群間差:0.2、95%信頼区間[CI]:-0.3~0.8、p=0.38)、PSQI(群間差:0.1、95%CI:-0.9~1.1、p=0.80)、およびCGIC(群間差:0、95%CI:-0.3~0.3、p=0.96)であり、いずれも有意差は認められなかった。 副次評価項目である26週時におけるCAPS-B2およびPSQIの変化量、CGIC、ならびにほかの副次評価項目も、両群間で有意差は確認されなかった。 10週時における仰臥位収縮期血圧のベースラインからの変化量の、両群の平均差は-6.7mmHgであった。有害事象である自殺念慮の新規発生また増悪は、プラゾシン群で8%、プラセボ群では15%に確認された。 なお、著者は研究の限界として、問診やカルテ以外で睡眠時無呼吸または睡眠呼吸障害のスクリーニングがなされておらず、未診断の睡眠時無呼吸がプラゾシンの効果をマスクした可能性があることなどを挙げている。

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抗CCR4抗体モガムリズマブ、HTLV-1関連脊髄症に光/NEJM

 ヒト化抗CCR4モノクローナル抗体モガムリズマブは、ステロイド維持療法の効果不十分なヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)関連脊髄症(HAM)(正式な疾患名の表記は、HAM/TSP[HTLV-1-associated myelopathy/Tropical spastic paraparesis、HTLV-1関連脊髄症/熱帯性痙性対麻痺])患者において、末梢血中のHTLV-1感染細胞数と髄液炎症マーカーを減少させることが認められた。主な副作用は皮疹で、忍容性も良好であった。聖マリアンナ医科大学の佐藤 知雄氏らが、身体機能を著しく損なう神経炎症性疾患であるHAMに対する、モガムリズマブの安全性および有効性を検討した医師主導の第I/IIa相試験の結果を報告した。NEJM誌2018年2月8日号掲載の報告。医師主導第I/IIa相試験でモガムリズマブの安全性と有効性を評価 HTLV-1は、成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)やHAMの原因となるウイルスで、HAM患者では、主にCCR4陽性のHTLV-1感染T細胞が異常細胞に変化し、脊髄内で慢性的な炎症を引き起こす。これまで、HAM患者から得た末梢血単核細胞を用いた前臨床試験で、モガムリズマブがHTLV-1感染細胞数と炎症性サイトカインの両方を減少することが示されていた。 研究グループは、2013年11月~2015年1月に、HAMに対するモガムリズマブの安全性、薬物動態および有効性を評価する目的で、第I/IIa相試験を実施した。 対象は、3ヵ月以上の経口プレドニゾロン投与が無効のHAM患者であった。第I相用量漸増試験(3+3デザイン)において、モガムリズマブの5用量(0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kgまたは0.3mg/kg)を各3例に段階的に単回投与(点滴静注)し、85日間観察した。計21例が投与を受けた。第IIa相試験には、第I相試験を完遂した19例を組み込み、第I相試験と同じ用量を投与した。0.003mg/kg、0.01mg/kgまたは0.03mg/kg投与群には8週ごと、0.1mg/kgまたは0.3mg/kg投与群には12週ごとに投与し、24週間観察した。忍容性は良好、血中HTLV-1感染細胞数と髄液中炎症マーカーが減少 モガムリズマブは、最大投与量0.3mg/kgまでの忍容性が確認された。最も頻度が高かった副作用は、Grade1/2の皮疹(発現率48%)、リンパ球減少および白血球減少(いずれも33%)であった。 末梢血単核細胞中のHTLV-1感染細胞数の減少(15日目に64.9%減少、95%信頼区間[CI]:51.7~78.1)、ならびに脳脊髄液中の炎症マーカーの減少(29日目にCXCL10濃度が37.3%減少[95%CI:24.8~49.8]、ネオプテリン濃度が21.0%減少[95%CI:10.7~31.4])が認められた。その効果は用量依存的で、第IIa相試験においても反復投与により試験終了まで維持された。また、下肢の痙性は79%の患者で改善し、運動障害の改善も32%で確認されている。

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PPIと認知機能低下は関連するのか~デンマークの大規模研究

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用と認知症の関連における研究は、相反する結果が報告されている。今回、南デンマーク大学のMette Wod氏らが、デンマークにおける2つの大規模な集団ベースの双生児研究で検討したところ、PPI使用と認知機能低下には関連が認められなかった。Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2018年1月29日号に掲載。 本研究は前向き研究で、46~67歳の中年の研究(Middle Aged Danish Twin study、2,346例、認知機能評価を10年実施)および高齢者の研究(Longitudinal Study of Aging Danish Twins、2,475例、認知機能評価を2年実施)からデータを収集した。著者らは、全国処方登録のデータを使用し、調査登録前の2年間および追跡期間中のPPIの累積使用量を、規定された1日投与量(defined daily dose:DDD)で定量した。多変量線形回帰モデルを用いて、PPI累積使用量、ベースライン時の認知機能総合スコア、追跡期間中のスコア低下の関連について調べた。 主な結果は以下のとおり。・中年での研究では、調査登録前にPPIを使用している群でベースライン時の平均認知機能スコアがやや低かった。・中年での研究では、PPI高使用者(400DDD以上)における調整スコアは、非使用者より低かった(PPI高使用者の平均粗スコア:43.4±13.1、非使用者の平均粗スコア:46.8±10.2、調整差:0.69ポイント、95%CI:-4.98~3.61)。・高齢者の双生児の縦断研究では、PPI高使用者は、非使用者よりも調整スコアが高かった(PPI高使用者の平均粗スコア:35.2±10.8、非使用者の平均粗スコア:36.2±11.1、調整差:0.95ポイント、95%CI:-1.88~3.79)。・認知機能低下については、高齢者の縦断研究では、ベースライン時と追跡期間のスコアの調整平均差は、PPI高使用者のほうが非使用者より低かった(PPI高使用者の平均粗スコア:ベースライン時36.6±10.1/追跡期間34.3±12.3、非使用者の平均粗スコア:ベースライン時38.1±10.5/追跡期間37.6±11.3、調整差:1.22ポイント、95%CI:-3.73~1.29)。・中年での研究では、PPI使用の最も多い群(1,600DDD以上)は、非使用者よりも認知機能低下が若干少なかった(PPI高使用者の平均粗スコア:ベースライン時43.4±10.1/追跡期間時41.3±9.7、非使用者の平均粗スコア:ベースライン時49.1±10.2/追跡期間時46.3±9.9、調整差:0.94ポイント、95%CI:-1.63~3.50)。・PPI使用者と非使用者のスコアの差は有意ではなかった。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、TMB高レベルNSCLCの1次治療でPFS優越性示す(CheckMate-227)

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は2018年2月5日、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療でニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法と化学療法を比較したIII相CheckMate-227試験で、腫瘍遺伝子変異量(TMB)高レベル(10変異/メガベース以上、以下mut/mb)の患者において、PD-L1発現の有無にかかわらず、同併用療法が無増悪生存期間(PFS)の評価項目を達成したと発表。 CheckMate-227試験は、1次治療の進行NSCLC患者2,500例以上を対象に、非扁平上皮および扁平上皮がんにわたり無作為に割り付け、ニボルマブを含むレジメンとプラチ・ダブレットレジメンを比較評価したオープンラベル第III相試験。このプログラムは、Part 1a、Part 1b、Part 2の3つのPartで構成されており(Part 1aはPD-L1陽性患者を対象に、ニボルマブ・イピリムマブ併用療法およびニボルマブ単独療法を化学療法と比較、Part 1bはPD-L1陰性患者を対象に、ニボルマブ・イピリムマブ併用療法およびニボルマブ・化学療法の併用療法を化学療法と比較)、今回の発表は、Part 1全体の解析結果に基づいたもの。 Part 1の主要評価項目は、PD-L1陽性患者におけるOSと、PD-L1発現の有無にかかわらない高TMB患者におけるPFS。当試験では、TMB評価可能な患者のうち、約45%が高レベル(10mut/mb以上)のTMBを有していた。ニボルマブとイピリムマブの併用療法の安全性プロファイルは、NSCLCの1次治療でこれまでに報告されているものと一貫していた。■参考CheckMate-227試験(Clinical Trials.gov)

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卵円孔開存の存在で周術期の脳梗塞リスク上昇/JAMA

 非心臓手術を受ける成人患者において、術前に卵円孔開存(PFO)の診断を受けた患者は受けなかった患者と比べて、術後30日間の周術期虚血性脳卒中リスクが有意に高いことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院(MGH)のPauline Y.Ng氏らが、18万例超を対象に行った後ろ向きコホート試験で明らかにしたもので、JAMA誌2018年2月6日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「今回の所見について、さらなる確証試験を行うとともに、PFOへの介入によって術後脳卒中のリスクが低減するのかどうかを確認する必要がある」とまとめている。全身麻酔で非心臓手術を受けた18万人超を対象に検討 研究グループは、2007年1月1日~2015年12月31日に、MGHと関連のコミュニティ病院2ヵ所で、全身麻酔下で非心臓手術を受けた成人18万2,393例について、後ろ向きコホート試験を行った。 術前のPFO診断と、術後30日間に発生した周術期虚血性脳卒中との関連を調べた。脳卒中のサブタイプはOxfordshire Community Stroke Project(OCSP)分類に基づき定義し、重症度はNIH脳卒中重症度スケール(National Institute of Health Stroke Scale:NIHSS)で定義した。周術期脳梗塞推定リスク、PFO群5.9例/1,000人、対照群2.2例/1,000人 解析の対象としたのは15万198例(年齢中央値55歳[SD 16])で、そのうち術前PFO診断例は1,540例(1.0%)だった。 術後30日間に虚血性脳卒中を発症したのは全体で850例(0.6%)だった。内訳は、PFO群が49例(3.2%)、非PFO(対照)群が801例(0.5%)だった。 補正後解析の結果、PFO群は対照群に比べ、周術期虚血性脳卒中リスクが有意に高かった(オッズ比:2.66、95%信頼区間[CI]:1.96~3.63、p<0.001)。1,000人当たりの虚血性脳卒中の推定リスクは、PFO群5.9例、対照群2.2例で、補正後絶対リスク差は0.4%(95%CI:0.2~0.6)だった。 また、PFO群は大血管領域脳卒中のリスク上昇も認められた(相対リスク比:3.14、95%CI:2.21~4.48、p<0.001)。さらに、脳卒中を呈した患者においてPFO群のほうが、NIHSSで定義した脳卒中関連の神経学的障害がより重度であることも認められた(PFO群のNIHSSスコア中央値:4[IQR:2~10] vs.対照群の同値:3[1~6]、p=0.02)。

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カナグリフロジン、心不全入院を低下も心血管系入院は同等/BMJ

 2型糖尿病の治療において、SGLT2阻害薬カナグリフロジンは、クラスが異なる他の3つの経口薬(DPP-4阻害薬[DPP-4i]、GLP-1受容体作動薬[GLP-1RA]、スルホニル尿素[SU]薬)と比べて、心不全による入院リスクは30~49%低いことが、また急性心筋梗塞/脳卒中による入院リスクは同程度であることが示された。米国・ハーバード大学医学大学院のElisabetta Patorno氏らが、大規模な住民ベースの後ろ向きコホート試験を行い明らかにしたもので、BMJ誌2018年2月6日号で発表した。これまで、カナグリフロジンの心血管安全性を評価した「CANVAS試験」などの結果において、同薬は心不全による入院リスクの低減効果を示しており、今回3種の糖尿病治療薬と直接比較を行うことで、その効果が確認された。米国の民間医療データベースで検証 研究グループは、米国の民間医療データベース「Optum Clinformatics Datamart」を基に、18歳以上の2型糖尿病の患者で、2013年4月~2015年9月にかけて、カナグリフロジンまたはDPP-4i、GLP-1RA、SU薬の服用を開始した患者を対象に、後ろ向きコホート試験を行った。 主要アウトカムは、心不全による入院と複合心血管エンドポイント(急性心筋梗塞、虚血性脳卒中、出血性脳卒中による入院)だった。100以上のベースライン特性を調整した傾向スコアでマッチング法を用い、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推算した。SU薬群との比較では、心不全入院リスクおよそ半減 30ヵ月の追跡期間中、カナグリフロジン群の心不全による入院に関するHRは、DPP-4i群との比較で0.70(95%CI:0.54~0.92、比較対象:1万7,667組)、GLP-1RA群との比較で0.61(0.47~0.78、2万539組)、SU薬群との比較で0.51(0.38~0.67、1万7,354組)だった。 複合心血管エンドポイントに関するカナグリフロジン群のHRは、DPP-4i群との比較で0.89(0.68~1.17)、GLP-1RA群との比較で1.03(0.79~1.35)、SU薬群との比較で0.86(0.65~1.13)だった。 なお、ベースライン時のHbA1c値による追加補正を行った感度分析や、心血管疾患または心不全の既往歴の有無によるサブグループ解析の結果も同様なものだった。

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チョコレートは心血管リスクを減らすか~メタ分析

 イタリア・ペルージャ大学のVincenza Gianfredi氏らが、一般集団でのチョコレート摂取と心血管リスクの関連について、系統的レビューおよびメタ分析で評価。その結果、とくに女性における心血管リスクや、男女における急性心筋梗塞に対して、チョコレートの適度な摂取による潜在的な保護効果が示された。Nutrition誌2018年2月号に掲載。 著者らは、PubMedで所定のキーワードでの構造化検索を2016年9月26日まで実施し、チョコレート摂取率の違いによる心血管疾患(脳卒中・急性心筋梗塞・心不全・冠動脈疾患、以下CVD)のリスクを評価した。メタ分析はソフトウェアProMeta 3を使用した。 主な結果は以下のとおり。・系統的レビューにより適格研究が16件同定された。・大部分の研究で、チョコレートを摂取しない人と比較したチョコレート摂取の保護効果を示していた。・チョコレート摂取の最も少ないカテゴリーに対する最も多いカテゴリーのCVD全体のリスク比(効果量[ES])は0.77(95%信頼区間[CI]:0.71~0.84、p=0.000)であった。異質性はmoderateであった。・CVDのサブグループに関連するリスクを分析したところ、急性心筋梗塞のESは0.78(95%CI:0.64~0.94、p=0.009)であった。統計学的な異質性はなかった(I2=46.56%、p=0.13)・性別ごとの分析によると、女性におけるESが0.85(95%CI:0.77~0.95、p=0.003)であった。異質性はvery lowであった(I2=62.21%、p=0.005)。

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長期宇宙滞在で、視神経乳頭に異常

 長期間の宇宙滞在により、視神経乳頭および周囲組織に形態学的な変化がみられることが報告された。米国・ヒューストン大学のNimesh Patel氏らは、国際宇宙ステーションに約6ヵ月間滞在した宇宙飛行士の、飛行前後の光干渉断層撮影(OCT)のデータを後ろ向きに解析し、長期間の無重力状態曝露により視神経乳頭および周囲組織の乳頭浮腫状変化が生じていることを明らかにした。著者は、「今回検討した定量化法は、宇宙飛行による長期的な視神経乳頭の変化と宇宙飛行士のための対策、および地球上での乳頭浮腫の原因の評価に役立つだろう」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年1月11日号掲載の報告。 研究グループは、視神経乳頭および周囲組織の変化を定量化する方法を開発することを目的に、飛行前後の視神経乳頭領域のOCTデータを後ろ向きに解析した。解析は、飛行前と対照群との比較と、飛行前と飛行後との比較の2回に分けて行った。 参加者は、過去に約6ヵ月間、国際宇宙ステーションに滞在し、飛行前後のOCTデータがある宇宙飛行士15例(飛行前の平均[±SD]年齢48.7±4.0歳)。すべての宇宙飛行士のデータは、NASA Lifetime Surveillance of Astronaut Healthより得た。対照群は、眼症状の既往歴ならびに無重力状態に曝露された経験のない43例で、対照群のデータはすべてヒューストン大学にて測定した。アルゴリズムの開発とデータ解析は、2012~15年に行われた。 OCTデータの分析には、カスタムMATLABプログラム(MathWorks)を用い、手動で描出したBruch membrane opening(BMO)をすべての形態学的な測定の基準とした。網膜色素上皮の位置はBMOの中央から2mmとし、BMO高を算出。全体および象限の全網膜厚と網膜神経線維層(RNFL)厚は、BMOに対応した楕円環状領域に対して算出し、標準的な乳頭周辺の円形スキャンを用いRNFL厚と脈絡膜厚を定量化した。 主な結果は以下のとおり。・BMOは、健常対照者と比較し飛行前の宇宙飛行士群において陥凹が認められ、長期間の無重力状態曝露後にさらに深くなった(変化量中央値:-9.9μm、差の95%信頼区間[CI]:-16.3~3.7、p=0.03)。・長期間滞在後、全網膜厚は1,000μmまで、RNFLは500μmまで増し(BMOを基準)、RNFL厚は中央値で2.9μm増したが(差の95%CI:1.1~4.4、p<0.01)、脈絡膜厚には変化がなかった(変化の中央値:9.3μm、差の95%CI:-12.1~19.6、p=0.66)。

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イスラム圏の健康状態、国家間格差の要因は?/Lancet

 乳幼児と妊産婦の健康改善を目標とした、ミレニアム開発目標(MDG)の項目4および5の推進は、世界的には大きな成果をもたらした。しかし、南アジア・中東・アフリカの多くのイスラム国家では、遅れをとっていることも明らかになっている。カナダ・トロント小児病院のNadia Akseer氏らは、イスラム国家間における、生殖や妊産婦・新生児・小児・青少年の健康状態および、その進展状況を評価する検討を行った。その結果、国家間の格差が認められ、そうした格差に関して、地域性や慣習の影響は認められなかったという。Lancet誌オンライン版2018年1月30日号掲載の報告。47のイスラム国家について調査 検討でとくに目的としたのは、イスラム国家における生殖や妊産婦・新生児・小児・青少年の健康状態および、それらの進展の現状と、開発が進んでいる先進イスラム国家における小児生存の決定因子を明らかにすることであった。そのために、イスラム国家と非イスラム国家の健康におけるアウトカムの差とキー決定因子を探るとともに、MDG4/5の達成程度(最良/不良/中程度)が異なるイスラム国家間の公的医療サービスのカバー率および決定因子を調べた。 具体的には、1990~2015年の複数の公表データ・レポジトリを基に、47のイスラム国家について調査した。そのうち26ヵ国が、Countdown to 2015 countriesと呼ばれるMDG4/5介入の最優先対象国(計75ヵ国)であった。これら26ヵ国について、非イスラムのCountdown国家48ヵ国と比較した。また、MDG4を達成するなど、小児生存率が大きく改善した、最も達成度が高かった8ヵ国の特徴も調べた。 青少年、妊産婦、5歳未満児、新生児の死亡率、死産率、死因別死亡、基本的な医療サービスのカバー率、決定因子の推算は、標準的手法を用いて行われた。 また、低所得および中所得のイスラム国家における、5歳未満児の死亡率と新生児の死亡率の決定因子について、階層的多変量解析も行った。貧しい国でも健康アウトカムの進展がみられる 1990~2015年の死亡率は、世界的には顕著な減少がみられたにもかかわらず、イスラム国家では全世界の推計値と比較して高く、Countdown国家間(イスラム国家と非イスラム国家)の比較においても高かった。基本的な公共医療サービスのカバー率も平均以下で、とくにリプロダクティブ・ヘルス、妊婦管理、出産・分娩、小児ワクチンの指標が低かった。 イスラム国家間において、死亡率および、生殖、妊産婦、新生児、小児、青少年に関する多数の健康アウトカム指標で、かなりのばらつきがあることが認められた。Countdown国家間の比較においては、構造的因子およびコンテキスト因子のうち、とくにガバナンス、コンフリクト、女性・少女のエンパワメント指標が、非イスラム国家と比較してイスラム国家では有意に不良であった。また、それらと小児・新生児の死亡率には、低所得および中所得のイスラム国家では強い関連性が認められた。 調整後の階層的モデルにおいて、その他の因子に関しても有意な関連性が認められている。イスラム国家における5歳未満児の死亡率は、難民の発生状況が高い国では上昇しているが(β=23.67、p=0.0116)、政情が安定しテロのない国(β=-0.99、p=0.0285)、政治力が強く政府が機能している国(β=-1.17、p<0.0001)、1人当たりの国民総所得が改善している国(β=-4.44、p<0.0001)、成人のリテラシーが高い国(β=-1.69、p<0.0001)、成人女性のリテラシーが高い国(β=-0.97、p<0.0001)、中等教育への進学者が男子よりも女子が多い国(β=-16.1、p<0.0001)においては低かった。 最良のパフォーマンスを示したイスラム国家は、アゼルバイジャン、バングラデシュ、エジプト、インドネシア、キルギス、モロッコ、ニジェール、セネガルで、パフォーマンスが中程度または不良のイスラム国家と比べて、家族計画介入や新生児あるいは小児のワクチン接種のカバー率が高く、またコンテキスト因子の大半で優れていた。 結果について著者は、「ニジェールやバングラデシュのように、貧困国でも進展がみられた」と指摘し、「今回の検討から得られたキー所見を政策やプログラムに適用し、統治者や政策立案者、開発パートナー、資金提供者、イスラム協力機構(Organization of the Islamic Cooperation)が優先的な割り当てを行うことで、2015年以降のイスラム国家の健康アウトカムのスケールアップおよび改善が可能になるだろう」とまとめている。

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ARREST試験:黄色ブドウ球菌菌血症に対するリファンピシン併用療法(解説:小金丸博氏)-811

 黄色ブドウ球菌菌血症は、市中でも院内でもみられるありふれた疾患である。他臓器への転移病巣形成や深部臓器感染の原因となり、死亡率は約20%と高率である。頻度や重症度が高い疾患であるにもかかわらず、いまだに最適な治療方法は定まっていない。 黄色ブドウ球菌感染症に対する併用薬の候補の1つにリファンピシンが挙げられる。リファンピシンは消化管からの吸収率が高く、細胞、組織、バイオフィルムによく浸透するため、βラクタム薬やグリコペプチド系薬と併用することで黄色ブドウ球菌感染症の予後を改善する可能性があると考えられてきた。主に感染性心内膜炎や人工物感染に対して世界中でリファンピシン併用が行われているが、高いエビデンスのある研究は存在しなかった。 本研究は、黄色ブドウ球菌菌血症に対するリファンピシン併用投与の効果を検証した多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対象比較試験である。標準的な抗菌薬治療開始から96時間以内の成人(18歳以上)を対象に、リファンピシン併用投与群とプラセボ併用投与群に分けて評価した。プライマリアウトカムは細菌学的治療失敗、再発、あらゆる原因による死亡までの時間とした。その結果、試験開始から12週までに、これらいずれかのアウトカムを経験した患者割合は、リファンピシン投与群17%、プラセボ投与群18%であり、両群間で有意差は認めなかった(絶対リスク差:-1.4%、95%信頼区間:-7.0~4.3、ハザード比:0.96、p=0.81)。アウトカムを個別にみてみると、リファンピシンを併用しても死亡率は減少しなかったものの、再発率は有意に減少した。細菌学的再発を1例防止するのに必要な治療数(number needed to treat:NNT)は29だった。 本試験では、黄色ブドウ球菌菌血症に対してリファンピシンを併用しても全体的なベネフィットは変わらないことが確認された。本試験は過去の試験よりサンプルサイズが大きいことが特徴の1つである。本試験の結果から、黄色ブドウ球菌菌血症と診断した全例に対してリファンピシンを併用する根拠は乏しいといえる。 黄色ブドウ球菌は、薬剤感受性パターンからMSSAとMRSAに分類される。本試験に組み込まれた患者の原因菌のうちMRSAは全体の6%しか占めておらず、MRSA菌血症に対するリファンピシンの併用効果を評価することは困難と考える。また、人工弁あるいは人工関節を有する患者は2%と少なく、本試験の結果のみでは人工物感染に対する併用効果を評価することも難しい。 MSSA感染症に対する世界標準薬は抗黄色ブドウ球菌用ペニシリンである。英国、オーストラリアではFlucloxacillin、米国ではNafcillinやクロキサシリンが好んで利用され、本試験では82%でFlucloxacillinが選択されている。ところが、日本では純粋な抗黄色ブドウ球菌用ペニシリンは認可されておらず、MSSA感染症に対しては第一世代セフェム系抗生物質であるセファゾリンが選択されることが多いため、本試験の結果を日常臨床にそのまま当てはめることはできない。本邦でも、世界標準薬が利用できる日がくることを希望する。

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境界性パーソナリティ障害治療におけるω3脂肪酸とバルプロ酸併用

 境界性パーソナリティ障害(BPD)患者に対するオメガ3(ω3)脂肪酸の有効性について、いくつかのエビデンスが報告されている。以前行われたBPD患者43例を対象とした12週間のランダム化比較試験において、バルプロ酸単独療法と比較し、イコサペント酸エチル(EPA)およびドコサヘキサエン酸エチル(DHA)とバルプロ酸の併用療法の有効性が評価されている。併用療法は、バルプロ酸単独療法(対照群)との比較で、衝動性行動制御、怒りの噴出、自傷行為など、いくつかのBPD症状に対し、より有効であった。イタリア・トリノ大学のPaola Bozzatello氏らは、ω3脂肪酸の投与中止後、両群間の有効性の差が維持されているかを評価するため、24週間のフォローアップ試験を行った。Clinical drug investigation誌オンライン版2018年1月5日号の報告。 12週間のランダム化比較試験を完了した34例に対し、フォローアップを行った。12週間の試験後に両群間で有意な差を認めた評価尺度を用い、フォローアップ期間の開始時および終了時に評価を行った。評価尺度には、境界性パーソナリティ障害重症度指数(Borderline Personality Disorder Severity Index:BPDSI)の「衝動性(impulsivity)」および「怒りの噴出(outbursts of anger)」の項目、バラット衝動性尺度(Barratt Impulsiveness Scale-Version 11:BIS-11)、自傷行為インベントリ(Self Harm Inventory:SHI)が含まれた。統計分析には、反復測定による分散分析(ANOVA)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間終了時、併用療法群内では、評価を行った4つの尺度すべてにおいて有意な差が維持されていたが、群間比較では、怒りの噴出のみで有意な差が維持されていた。・フォローアップ期間中の忍容性に関しては、臨床的に有意な副作用は認められなかった。 著者らは「BPD患者に対するバルプロ酸とω3脂肪酸の併用療法は、怒りのコントロールに関して、併用中止後も継続的な効果を示した」としている。■「DHA効果と脳」関連記事EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか

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再発性B細胞性ALL、CAR-T療法での長期転帰/NEJM

 新たな細胞免疫治療であるCD19特異的キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞療法は、再発性B細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)の小児および成人患者で、70~90%という良好な完全寛解率が示されている。しかし、これらの試験の多くはフォローアップ期間が相対的に短く、長期的な寛解の予測因子と考えられる背景因子の解析は行われていない。そこで、米国・メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(MSKCC)のJae H. Park氏らは、CD19 CAR T療法を受けたALL成人患者の第I相試験の長期フォローアップを行い、その結果をNEJM誌2018年2月1日号で報告した。単施設での再発性B細胞性ALLの第I相試験 研究グループは、MSKCCにおいて、再発性B細胞性ALLの成人患者を対象に、19-28z CAR発現自己T細胞注入の第I相試験を行った(Commonwealth Foundation for Cancer Researchなどの助成による)。 安全性および長期転帰の評価を行い、これらと人口統計学的特性、臨床的特性、疾患特性との関連を評価した。2010年2月~2016年6月に再発・難治性B細胞性ALLの成人登録患者53例が、MSKCCで作製された19-28z CAR T細胞の注入を受けた。 ベースラインの年齢中央値は44歳(範囲:23~74)で、18~30歳が14例(26%)、31~60歳が31例(58%)、60歳超は8例(15%)であった。前治療数は2が21例(40%)、3が13例(25%)、4以上は19例(36%)であった。同種造血幹細胞移植歴のある患者は19例(36%)、フィラデルフィア染色体陽性は16例(30%)だった。疾患負荷が小さい患者は、安全性と有効性が良好 完全寛解は44例(83%、95%信頼区間[CI]:70~92)で得られた。微小残存病変(MRD)の評価が可能であった48例のうち、MRD陰性の完全寛解例は32例(67%、95%CI:52~80)であった。移植の有無、前治療数、移植前化学療法のレジメン、年齢、CAR T細胞の用量の違いによる、完全寛解率の有意な差はなかった。 サイトカイン放出症候群は45例(85%)で発現し、そのうち重度(Grade≧3)は14例(26%)で、多臓器不全を併発した1例が死亡した。神経毒性は、Grade2が1例(2%)、Grade3が19例(36%)、Grade4が3例(6%)に認められたが、Grade5や脳浮腫はみられなかった。 疾患負荷が大きい(骨髄芽球≧5%または髄外病変を有する)患者は、小さい(骨髄芽球<5%)患者に比べ、重度のサイトカイン放出症候群(p=0.004)および神経毒性イベント(p=0.002)のリスクが高かった。 フォローアップ期間中央値29ヵ月(範囲:1~65)の時点で、無イベント生存期間中央値は6.1ヵ月(95%CI:5.0~11.5)、全生存期間中央値は12.9ヵ月(95%CI:8.7~23.4)であった。MRD陰性完全寛解例はMRD陽性完全寛解例/非奏効例に比べ、無イベント生存期間中央値(p<0.001)および全生存期間中央値(p<0.001)が有意に優れた。 治療前の疾患負荷が小さい患者では、大きい患者に比べ、無イベント生存期間中央値(10.6ヵ月[95%CI:5.9~未到達]vs.5.3ヵ月[95%CI:3.0~9.0]、p=0.01)および全生存期間中央値(20.1ヵ月[95%CI:8.7~未到達]vs.12.4ヵ月[95%CI:5.9~20.7]、p=0.02)が有意に延長した。 著者は、「コホート全体の全生存期間中央値は12.9ヵ月で、疾患負荷が小さい患者では20.1ヵ月であった。また、疾患負荷が小さい患者では、サイトカイン放出症候群と神経毒性イベントの発現率が著明に低かった」とまとめている。

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がん5年生存率、世界3,700万例調査/Lancet

 2015年、CONCORD-2プログラムは、世界のがんコントロール対策への情報提供に向け、医療システムの有効性の評価基準としての「がん生存率」に関して、世界的なサーベイランスを行うことを定めた。これを受けて、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のClaudia Allemani氏らCONCORDワーキンググループは、2014年までのがん生存率に関する最新データであるCONCORD-3の解析を行い、その結果をLancet誌オンライン版2018年1月30日号で報告した。世界322件のがん登録の約3,750万例の5年生存率を推算 CONCORD-3には、2000~14年の15年間にがんと診断された3,751万3,025例の記録が含まれる。データは、71の国と地域の322件の地域住民ベースのがん登録から提供され、そのうち47件は全住民を網羅している。この研究は、米国がん協会(ACS)、米国疾病管理予防センター(CDC)などの助成によって実施された。 対象は、18のがんまたは腫瘍群であった(成人の食道、胃、結腸、直腸、肝、膵、肺、乳房[女性]、子宮頸部、卵巣、前立腺、皮膚悪性黒色腫、および成人と小児の脳腫瘍、白血病、リンパ腫)。これらのがんは、世界で毎年診断されているすべてのがんの75%に相当する。 解析は、標準化された品質管理手順に従って進められた。5年生存率を推算し、推定値はInternational Cancer Survival Standard(ICSS)weightsで年齢調整を行った。東アジアは消化器がんの生存率が高い ほとんどのがんの5年生存率は、依然として米国/カナダ、オーストラリア/ニュージーランド、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンで最も高かった。またデンマークは、多くのがんに関して、他の北欧諸国との差が縮まりつつあった。 生存率は、比較的致死性の高いがんの一部を含め、全般に上昇傾向にあり、肝、膵、肺のがんの生存率が最大5%上昇した国もあった。2010~14年に診断を受けた乳がん女性の5年生存率は、オーストラリアが89.5%、米国は90.2%と高い値を示したが、インドでは66.1%と低い値を示し、依然として国によって大きな差が認められた。 2010~14年の消化器がんの年齢調整5年生存率は、東アジア諸国が最も優れていた。胃がんは韓国が68.9%(日本は60.3%)、結腸がんも韓国が71.8%(日本は67.8%)、直腸がんも韓国が71.1%(日本は64.8%)で最も高く、食道がんは日本が36.0%(韓国は31.3%)、肝がんは台湾が27.9%(日本は30.1%だがデータの信頼性が低かった)であり、最も良好な結果であった。 これに対し、東アジアの国は皮膚悪性黒色腫(韓国:59.9%、台湾:52.1%、中国:49.6%)、リンパ性悪性腫瘍(52.5%、50.5%、38.3%)、骨髄性悪性腫瘍(45.9%、33.4%、24.8%)の5年生存率が、他の地域に比べて低かった。 2010~14年に診断を受けた小児では、急性リンパ芽球性白血病の5年生存率が、エクアドルの49.8%からフィンランドの95.2%まで大きな差があることが認められた。また、小児の脳腫瘍の5年生存率は、成人よりも高かったが、ブラジルの28.9%からスウェーデン/デンマークのほぼ80%まで、国によって大きな差がみられた。 2017年以降、経済協力開発機構(OECD)は、世界48ヵ国の保健医療の質の指標のうち、がん生存率に関する公式の評価基準として、CONCORDプログラムの知見を使用している。「政府は、地域住民ベースのがん登録を、がんと診断されたすべての患者における、がん予防戦略の効果と医療システムの有効性の双方の評価に使用できる、重要な施策立案ツールとして認識すべきである」と、著者は指摘している。

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NOACで頭蓋内出血は少なくなる?(解説:後藤信哉氏)-810

 各種NOACの第III相ランダム化比較試験にて、INR 2-3を標的としたワルファリン群に比較してNOAC群にて頭蓋内出血が少ないとされても、筆者の心には響かなかった。INR 1.9であればワルファリンを増量し、INR 2.9であってもワルファリンを減量しないような治療は、自らの日常診療と大きく乖離していたためである。また、NOAC登場前の観察研究にて、日本も世界もワルファリン使用時の頭蓋内出血発現率は0.2%程度とされていたので、その3倍も頭蓋内出血が起こることを示した第III相試験のメッセージは「INR 2-3を標的としたワルファリン治療は頭蓋内出血を増やす」のみであった。 米国には各種registryがある。本研究はAHAが主導するGet With The Guidelines-Strokeのデータベースを用いた。第一著者はDuke大学に留学している日本人である。データベースはしっかり構築されており、Duke大学の解析チームのデータ解析は信頼できる。後ろ向きの解析であるためN Engl J Med, Circulationには届かない。JAMAではデータベースの大きさと質、トピックの重要性が重視されたと考える。 頭蓋内出血にて入院した141,311例の対象症例のうち、15%弱は抗凝固薬使用中の症例であった。抗凝固薬使用中の症例のほうが高齢で、心房細動の合併も多かった。しかし、これらのリスク因子を補正しても、院内死亡率は抗凝固療法使用歴のある患者で高かった。ワルファリン使用歴の長い私はINR 2-3を標的としたワルファリン治療をしたことがない。多くの症例はINR 1.7前後で2を超える症例も少ない。ワルファリン群に比較してNOAC群のほうが、院内死亡率が低いとしているが、私のように低いINRにコントロールしている場合はNOACと差がない。 4つのNOACの開発試験に強く寄与して、また実臨床においてNOACが広く使用されていく現状を観察して、一貫して自らの中で変化しなかったNOACの評価は「NOACは頭蓋内出血を増加させる」「INR 2-3を標的としたワルファリン治療では容認できない重篤な出血リスクをもたらす」の2つであった。抗凝固療法は、重篤な出血リスクを増やす怖い介入である。禁煙して運動習慣をつけ、各種リスク因子を補正して総合的に脳卒中、血栓塞栓イベントを減らす努力を継続すべきである。

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初期アルツハイマー病におけるエアロビクスエクササイズの影響

 アルツハイマー病患者は、自立した日常生活動作が妨げられる。アルツハイマー病患者の自立を支えるための介入を特定し、介護の経済的および心理的な負担を軽減することは不可欠である。米国・カンザス大学のEric D. Vidoni氏らは、初期アルツハイマー病患者の機能障害および介護の時間について調査を行った。Journal of geriatric physical therapy誌オンライン版2017年12月28日号の報告。 本調査は、アルツハイマー病患者に対する26週間の有酸素運動(AEx群)とストレッチやトーニング(toning)(ST群)の効果を比較したランダム化比較試験の二次解析である。機能依存性、非公式な介護の時間、認知機能の評価にはそれぞれ、認知症のための障害評価表(Disability Assessment for Dementia:DAD)、認知症に対するリソース使用率(Resources Utilization in Dementia Lite:RUD Lite)、認知機能評価バッテリー(standard cognitive battery)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・ST群の有意な機能低下(4%、F=4.2、p=0.04)と比較し、AEx群では機能が安定していた。・これは、とくに手段的日常生活動作においてより複雑であり、26週以上でST群が8%減少(F=8.3、p=0.006)したのに対し、AEx群では1%の上昇が認められた。・記憶の変化は、手段的日常生活動作のパフォーマンス低下を有意に予測する因子であった(r=0.28、95%CI:0.08~∞、p=0.01)。・非公式な介護の時間は、両群間で差は認められなかった。 著者らは「この分析では、初期アルツハイマー病患者の手段的日常生活動作の具体的な利点を明らかにすることにより、最近の研究結果を補完し、認知障害を有する患者に対する運動介入の価値を裏付けている」としている。■関連記事日本人高齢者、運動でアルツハイマー病リスク軽減:九州大学認知症への運動療法、効果はあるのかアルツハイマー介護負担、日本と台湾での比較:熊本大学

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第3世代ALK阻害薬lorlatnib、ALK陽性肺がんに国内申請

 ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:原田明久)は2018年1月30日、「ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能・効果で、lorlatnibの国内における製造販売承認を申請した。 lorlatnibは、ALK阻害薬の耐性変異を解明することにより創製した第3世代のALK阻害薬であり、耐性変異がみられる変異型ALKにも効果が期待される。 米国においてlorlatnibは、2017年4月に、1剤以上のALK阻害薬による前治療歴を有するALK陽性転移性NSCLC治療におけるブレークスルー・セラピー指定を受けている。■関連記事ALK/ROS1肺がんにおけるlorlatinibの国際第I相試験の結果/Lancet Oncol次世代ALK/ROS1阻害剤lorlatinib、ALK肺がんでFDAのブレークスルー・セラピー指定第3世代ALK阻害薬lorlatinibの成績発表/ASCO2017

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循環器内科 米国臨床留学記 第27回

第27回 米国における専門医 Boardの問題点日本で新しい専門医制度が始まり、物議を醸しています。私は米国で内科のレジデンシーと循環器のフェローシップ、不整脈(電気生理学:EP)のフェローシップを修了し、今年は不整脈の専門医試験を受けます。すでに内科、循環器の専門医を持っていますので、3つ目の専門医を持つことになりますが、3つすべてを維持していくのは大変です。しかし米国では、専門医を持たなければその科の専門医として働くことはほとんど不可能です。今回は、米国における専門医の持つ意味や、それにまつわる問題点に触れてみたいと思います。専門医がなければ、就職活動もできないフェローやレジデンシーは、最終年になると就職活動が始まります。内科のレジデンシー修了後に指導医(attending doctor)になる場合は、多くの場合hospitalistとなります。cardiologyやcritical care(集中治療)のフェローを修了した後であれば、cardiology やcritical careの指導医としてのポジションを探します。医師の募集広告には、よく「A hospital is seeking a BC/BE cardiology physician」 など書かれています。レジデンシーやフェローシップ、それらを修了後、専門医試験に合格するまでは、board eligible(BE)などと呼ばれますが、これはboardを受ける資格があるという意味です。フェローシップ終了後、数ヵ月以内に各科の専門医試験があり、それに合格することが前提で病院に雇われます。仮に1回目で落ちてもすぐにクビにはなりませんが、「就職後2年以内」などのルールが採用時に決められているため、その期限内に合格する必要があります。boardに合格すると、晴れてboard certified(BC)となります。医師の名前をインターネットで検索すると、すぐにどの専門医資格を持っているかがわかります。紹介患者以外でも、多くの患者がインターネットの情報を基に医師を選ぶので、専門医資格の有無は重要です。また、医療訴訟が起きた際に、専門医資格がないとかなり不利になってしまうようです。専門医資格の維持私の専門領域である不整脈(EP)の場合、専門医になるためには、まず内科の専門医になる必要があります。その上で循環器の専門医を取得し、最後にEPの専門医を取得します。一度専門医試験に合格すると、10年間は専門医資格が維持されます。その10年の間に医学知識、患者の調査や患者の安全に関するモジュールを行い、筆記試験(MOC試験:Maintenance of Certification)を受ける必要があります。また、内科、循環器、不整脈のすべての専門医資格を維持するとなると、10年間に3つの試験を受けなければなりません。こういった内科系の専門医資格に関しては、アメリカ内科学会(American Board of Internal Medicine: ABIM)が試験や資格維持に関するルールを決めていました。ところが、10年ごとの高額な専門医試験や、そのために重箱の隅をつつくような知識を学ぶことは不必要であり、高額な試験を課すことはABIMによる制度の悪用ではないか(お金を集めるために試験を義務付けている、MOC試験も1,000ドル以上かかる)といった批判の声が上がり、多くのサブスペシャルティがABIMの定めた専門医更新のルールに反対する意向を示しました。多くの医師が、更新直前まで試験勉強や点数集めをしないこともわかっており(この辺りは日本も米国も同じですね)、逆に言うと期限ギリギリまで知識のupdateをしないということになります。こうした点を踏まえ、10年目に慌てて知識を詰め込むよりも、継続した学習が評価されるように専門医維持の方法も変更されました。先述のように、サブスペシャルティの反対もあり、自分の専門領域の資格のみを維持することも認められました。例えば不整脈の場合、内科もしくは循環器の専門医を維持しなくても、不整脈の専門医だけを維持することができます。実際、分業が進む米国で、レジデンシー卒業後10年目に再び内科(とくに他科)の勉強をすることは非常に大変です。このように、米国における専門医維持の方法はここ数年で大きく変わり、今後も変更が予想されます。専門医を維持するために勉強するのは、医師として当たり前のことなので、定期的に知識をupdateするために試験を行うのは個人的には賛成です。しかしながら、普段の臨床からあまりにも逸脱した内容を学ぶことや高額な試験費用には疑問を感じます。とはいえ、試験費用はABIMにとって大きな収入源であり、その上、各専門医団体との利権も絡み合っており、すべての人が納得する制度を作るのは難しいのかもしれません。

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新薬が出ない世界で(2)(解説:岡村毅氏)-809

 アルツハイマー型認知症に対する疾患修飾薬(根本治療薬)であるアミロイド抗体(solanezumab)が、軽度のアルツハイマー型認知症の患者さんに対しても効果がなかったという報告である。すでに軽度から中程度においては効果がないことが示されていたが(EXPEDITION 1&2、Doody RS, et al. N Engl J Med. 2014;370:311-321. )、この時、軽度の方に対しては効果があるという希望が示されていた。そこで今回の研究(EXPEDITION 3)が遂行されたのだが、残念ながら希望はかなわなかった。 全体像をあらためて見てみよう。アルツハイマー型認知症とは、脳にアミロイドやタウがたまり、神経細胞が破壊され、もの忘れをはじめとする認知機能の低下が起こる病気である。このアミロイド仮説こそが、アルツハイマー型認知症のセントラルドグマといえる。そこでアミロイドを除去したり、産生を抑えたりする薬剤が開発されてきたが、ADNI(Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative)が明らかにしたことは、症状が出た時点でアミロイドの病理はすでに進行しているということであった。これを、ある著明な神経学者は「病気になってからアミロイドを除去するのでは、牛が逃げて行ってしまってから、牛小屋のドアを閉めるようなものだ」と述べている(アルツハイマー型認知症のセントラルドグマ)。 本報告の次に報告されるのは、時間軸をさかのぼり、アミロイドペットで脳内にアミロイドがたまっていることが確認されているものの、まだ発症していないプレクリニカルADと呼ばれる状態の人を対象にした予防研究になるはずだ。良き結果が出ることを心から願いたい。 製薬会社や治験に関するネガティブなニュースが一時期多かったが、一方で、ほとんどの関係者は困っている人を助けたいという使命感から働いている。東大で出会ったある製薬会社の医薬情報担当者さん(かつてはMRさんと呼ばれた)は、私がホームレスの方の支援研究をしていると知って、米国で刑務所から出所した方に勉強を教えるボランティアをしていたと話してくれた。医学論文に関するリテラシーが幅広く共有されることは、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与し、長い目で見たら善き人が善き活動をする助けになるはずだ。CLEAR!ジャーナル四天王は、製薬会社と人々をつなぐ重要な社会貢献と信じて書いています。

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抗VEGF薬硝子体内注射の効果をリアルワールドデータで確認

 米国・ラッシュ大学医療センターのElizabeth A. Atchison氏らは、米国眼科学会(AAO)によるIRIS(Intelligent Research in Sight)レジストリのデータを解析し、抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬の硝子体内注射後の眼圧低下は、わずかだが統計的に有意に持続していることを明らかにした。臨床的に有意な眼圧上昇は、治療眼全体で2.6%に認められたという。Ophthalmology誌オンライン版2018年1月11日号掲載の報告。 研究グループは、抗VEGF薬硝子体内注射後の眼圧の違いを同定する目的で、IRISレジストリに登録され、右眼に抗VEGF硝子体内注射(ベバシズマブ、アフリベルセプトまたはラニビズマブのいずれか1種類のみ)を受けた患者2万3,776例について解析した。加齢黄斑変性のみの患者、および試験前1年以上抗VEGF薬硝子体内注射を受けなかった患者をサブグループとした。 上記3剤について、それぞれ12、18および25回以上注射を受けた患者を解析対象とし、未治療眼と比較した。主要評価項目は、少なくとも1年後におけるベースラインからの平均眼圧変化量、および臨床的に重大な眼圧上昇(変化量6mmHg以上で、眼圧が21mmHg以上と定義)を認めた眼の割合とした。 主な結果は以下のとおり。・全例でベースラインからの眼圧低下が認められ、治療眼では平均0.9mmHg低下し、未治療眼では平均0.2mmHg低下した。この差は統計学的に有意であった。・一般化線形モデルを用いた解析の結果、アフリベルセプトおよびラニビズマブと比較し、ベバシズマブで眼圧低下がやや少ないことが示された。・臨床的に有意な眼圧上昇は、全体で治療眼2.6%、未治療眼1.5%に認められ、薬剤別では、アフリベルセプト1.9%、ラニビズマブ2.8%、ベバシズマブ2.8%であった。・臨床的に有意な眼圧上昇の割合は、ベバシズマブとラニビズマブでは未治療眼に比べ治療眼で高かったが、アフリベルセプトでは差はなかった。

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