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高校進学時のうつ病に対する予防プログラム

 中学校から高校へ進学する青少年におけるうつ病および不安症状に対する学校ベースの適応予防プログラムの効果について、米国・ワシントン大学のHeather Makover氏らが、検討を行った。Prevention Science誌オンライン版2019年3月9日号の報告。 高校進学プログラム(The High School Transition Program:HSTP)は、青少年にとってとくに脆弱な時期における社会的および学術的な問題解決のスキルとエンゲージメントを構築するために設計されたプログラムである。太平洋沿岸北西部の6校の中学校の生徒2,664人を対象に、8年生の後半に普遍的な感情健康診断を実施し、うつ病スコアが高く、行動障害問題スコアの低かった生徒に対し研究参加を依頼した。対象生徒497人は、HSTP群(241例)または対照群(256例)にランダム化した。うつ病および不安症状は、自己報告法を用いて18ヵ月間にわたり5回の測定を行った。予防効果およびベースライン時の症状、人種、性別などの調整因子を評価するため、階層的線形モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・HSTP群は、対照群と比較し、経時的に抑うつ症状の減少率が上昇することが示唆された(d=0.23)。・HSTP群は、不安スコアの変化率が有意に速まった(d=0.25)。・ベースライン時の不安の重症度、人種、性別は、症状アウトカムの推移に影響を及ぼさなかった。 著者らは「ストレスの多い青少年の進学において、予防プログラムの意義を検討すべきである」としている。■関連記事青年期うつ病を予測する小児期の特徴思春期の少年少女における自殺念慮の予測日本人学生のスマートフォン使用とうつ病リスク

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第13回Transcatheter Imaging Forum(TCIF2019)開催のご案内

 NPO法人日本血管映像化研究機構は、2019年4月26日(金)・27日(土)に第13回Transcatheter Imaging Forum (TCIF2019)を開催する。本会は当初より、種々の画像診断技術を用いて、動脈硬化性疾患の評価をライブ中継画像を交えながら真摯に議論する集まりとして開催されてきた。近年は、改良された血流維持型血管内視鏡によって観察される大動脈内腔、自然破綻を繰り返す動脈硬化性粥腫(プラーク)に注目し、その診断、病態、治療に関する種々の検討を積み重ねている。 今回は、大阪暁明館病院心臓血管センターから、血流維持型血管内視鏡を用い、上行大動脈から末梢動脈までを観察する症例をライブ中継し、大動脈内腔で起きている病的現象を観察し、共に考え、検討することが企画されている。ことに大動脈内面の微細病変、動脈硬化性粥腫と繰り返し起こっている粥腫(プラーク)破綻、さらに破綻部から放出される多彩な物質が末梢臓器に与える影響を中心に議論を交わしたいと考えている。大動脈内で大量に浮遊し、末梢へと飛散する物質(Debris)が長い時間を経て、老化と密接に関連するであろうとの仮説の下に、本年のテーマは「血管内視鏡がひも解く老化のメカニズム~人は大動脈と共に老いる~」とされている。すべての診療科を超えて老化のメカニズムに迫れるものと考えている。【日程】 2019年4月26日(金)・27日(土)【会場】 大阪国際会議場 グランキューブ大阪12階 特別会議場 大阪市北区中之島5丁目3-51【中継施設】 大阪暁明館病院【テーマ】 血管内視鏡がひも解く老化のメカニズム~人は大動脈と共に老いる~【参加費】 日本血管映像化研究機構の個人正会員:無料(年会費1万円) 非会員:15,000円【主催】 NPO法人日本血管映像化研究機構 〒550-0005 大阪市西区西本町1丁目8番2号 三晃ビル5階 TEL:06-4391-0111 http://npo-jviro.com「第13回Transcatheter Imaging Forum(TCIF2019)」の詳細はこちら。

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脳卒中リスクを有するAF患者へのアブレーションの有用性/JAMA

 心房細動(AF)患者におけるカテーテルアブレーション戦略は、薬物療法と比較して主要評価項目(死亡・後遺症を伴う脳卒中・大出血・心停止の複合エンドポイント)に有意差は認められなかった。米国・メイヨー・クリニックのDouglas L. Packer氏らが、10ヵ国126施設で実施した医師主導型の多施設共同非盲検無作為化試験「The Catheter Ablation vs Antiarrhythmic Drug Therapy for Atrial Fibrillation trial:CABANA試験」の結果を報告した。ただし結果について著者は、「予想よりイベント発生率が低く治療のクロスオーバーが行われていることが、カテーテルアブレーションの治療効果に影響を与えている可能性があり、本試験結果の解釈には注意を要する」としている。カテーテルアブレーションは、AFを洞調律に戻すのに有効であるが、死亡や脳卒中のリスクに対する長期的な影響はわかっていなかった。JAMA誌2019年4月2日号掲載の報告。AF患者約2,000例で死亡・後遺症を伴う脳卒中・大出血・心停止等の予後を比較 研究グループは、2009年11月~2016年4月の期間に、65歳以上、または脳卒中の危険因子(高血圧、心不全、脳卒中の既往、糖尿病、他の心疾患)を1つ以上有する65歳未満のAF患者2,204例を登録し、カテーテルアブレーション群または薬物療法群に1対1の割合で無作為に割り付け、2017年12月31日まで追跡した。 カテーテルアブレーション群では、肺静脈隔離術を実施するとともに、医師の裁量で補助的なアブレーションが追加された。薬物療法群では、ガイドラインに従い標準的なリズム/レートコントロール薬が投与された。 主要評価項目は、死亡・後遺症を伴う脳卒中・大出血・心停止の複合エンドポイント(intention-to-treat解析)。副次評価項目は13項目あるが、今回は3項目(全死亡、全死亡または心血管入院、AF再発)について報告された。主要評価項目に有意差なし、AF再発はカテーテルアブレーション群で有意に抑制 2,204例の患者背景は、年齢中央値68歳、女性37.2%、発作性AF 42.9%、持続性AF 57.1%で、89.3%が試験を完遂した。カテーテルアブレーション群では90.8%(1,006/1,108例)が施術を受け、薬物療法群では27.5%(301/1,096例)がカテーテルアブレーションも受けた。 追跡期間中央値48.5ヵ月において、主要評価項目の複合エンドポイントの発生率は、アブレーション群8.0%(89例)、薬物療法群9.2%(101例)で、有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.65~1.15、p=0.30)。 副次評価項目については、アブレーション群vs.薬物療法群でそれぞれ、全死亡が5.2% vs.6.1%(HR:0.85、95%CI:0.60~1.21、p=0.38)、全死亡または心血管入院が51.7% vs.58.1%(HR:0.83、95%CI:0.74~0.93、p=0.001)、AF再発が49.9% vs.69.5%(HR:0.52、95%CI:0.45~0.60、p<0.001)であった。

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小児の潰瘍性大腸炎、ステロイドフリー寛解予測因子とは/Lancet

 新たに潰瘍性大腸炎(UC)と診断された小児患者において、52週時のステロイドフリー(メサラジン単独療法)寛解の予測に、初期の臨床的活動性および4週までの治療反応が有用であることが、米国・コネチカット小児医療センターのJeffrey S. Hyams氏らによる検討の結果、明らかにされた。新たに診断された小児UCについては、エビデンスベースのアウトカムデータの不足が、作成された治療計画に不確実性をもたらしている、として問題視されていた。著者は、「個別的な臨床的/生物学的特性を明らかにすることで、確固たるUC治療方針の提示につながることが示された」と述べている。Lancet誌オンライン版2019年3月29日号掲載の報告。4~17歳の新規UC患者で52週時のステロイドフリー寛解を評価 研究グループは、UC小児患者を対象に、治療前の臨床的因子やトランスクリプトームおよび微生物因子により、疾患経過を予測できるかを検証するため、多施設共同発端コホート研究「The predicting response to standardized pediatric colitis therapy study:PROTECT研究」を行った。 アメリカとカナダの29施設で、新たにUCと診断された4~17歳の小児患者(小児用活動性指標のPUCAIスコア≧10)を登録し、免疫調整薬(チオプリン)/抗TNFα療法へ段階的に切り替えるための事前に決められた基準に従い、メサラジンまたはステロイドを投与する標準治療を行った。また、治療前にRNAシーケンシングにより直腸の遺伝子発現を、16Sシーケンシングを用いて直腸および糞便の微生物叢を調べた。 主要評価項目は、52週時でのステロイドフリー寛解(メサラジン以外の治療なし)とし、ロジスティック回帰モデルを用いて要因と主要アウトカムとの関連性を評価した(per-protocol解析)。4週までの臨床的寛解がステロイドフリー寛解の予測に重要 2012年7月10日~2015年4月21日に467例が登録され、428例が薬物療法を開始した。このうち52週時に評価が可能だったのは400例(93%)で、386例(90%)が試験を完遂した。 52週時のステロイドフリー寛解率は38%(150/400例)で、うち147例(98%)がメサラジンを内服しており、3例(2%)は何も内服していなかった。400例中74例(19%)が免疫調整薬単独投与、123例(31%)が抗TNFα療法、25例(6%)が結腸切除へ治療を変更していた。 ベースラインの臨床的重症度が低く、ヘモグロビン高値、4週時の臨床的寛解が、52週時でのステロイドフリー寛解達成と関連していた(386例、ロジスティックモデルのROC曲線下面積[AUC]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.65~0.75、特異度77%[95%CI:71~82])。 274例の独立コホートでベースライン重症度と4週時の寛解について検証した結果、臨床的な予測因子を調整後、抗菌ペプチド遺伝子シグネチャー(オッズ比[OR]:0.57、95%CI:0.39~0.81、p=0.002)、ルミノコッカス属の存在度(OR:1.43、95%CI:1.02~2.00、p=0.04)、Sutterella(OR:0.81、95%CI:0.65~1.00、p=0.05)が52週時のステロイドフリー寛解と関連することが確認された。

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統合失調症の陰性症状に対する運動療法の効果~メタ解析

 統合失調症患者の陰性症状に対するさまざまな運動療法(PE)の効果を評価するため、オランダ・フローニンゲン大学のJelle Sjoerd Vogel氏らは、メタ解析を実施した。Psychiatry Research誌オンライン版2019年3月14日号の報告。 本研究では、心身運動(mind-body exercise:MBE)、有酸素運動(aerobic exercise:AE)、レジスタンストレーニング(resistance training:RT)について検討を行った。2018年4月26日までの研究をCochrane Library、Medline、Embase、PsycINFOより検索を行った。陰性症状の評価のため、統合失調症患者におけるPE群と任意の対照群を比較したランダム化比較試験を含めた。本メタ解析は、PRISMAガイドラインに従って実施した。研究の方法論的な質の評価には、Cochrane Risk of Bias assessment toolを用いた。モデレーター分析、感度分析、メタ回帰分析を用いて、異質性の分析および研究の質への影響を調査した。 主な結果は以下のとおり。・抽出された研究は、22件(1,249例)であった。・全体的な方法論的な質は低かった。・メタ解析(変量効果モデル)では、任意のPEは、任意の対照条件と比較し、中程度の有意な効果が認められた(Hedges’g:0.434、95%CI:0.196~0.671)。・任意の対照群と比較し、MBEでは中程度の有意な効果(Hedges’g:0.461)、AEではわずかに有意な効果(Hedges’g:0.341)が認められた。・RTの効果は、調査できなかった。・全体的に不均一性が高く(I2:76%)、モデレーター分析または感度分析では低減できなかった。 著者らは「PEは、統合失調症患者の陰性症状治療において有望な介入となりうることが示唆された。しかし、抽出された研究の質は低く、異質性が高かったため、明確に推奨することは困難であり、慎重な解釈が求められる」としている。

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第107回 日本泌尿器科学会総会 会長インタビュー【Oncologyインタビュー】第4回

2019年4月18~21日、名古屋において第107回 日本泌尿器科学会総会が開催される。メインテーマは「技術と心の調和:次世代への胎動」である。会長の千葉大学大学院医学研究院 泌尿器科学 教授 市川 智彦氏に総会の趣旨と見どころについて聞いた。第107回大会のメインテーマ「技術と心の調和:次世代への胎動」にはどのような意味が込められているのでしょうか。生殖医療、ゲノム医療、ロボット手術など泌尿器の分野でも医療技術が進歩しています。しかし、ただ新しいことをやればよいということではなく心も伴っていること、技術と心の調和が必要です。今はそれが混沌として生まれる前の状態、つまり胎動している段階です。技術と心の調和をしっかり理解して、次の世代につなぐ、という意味を込めてこのテーマとしました。今総会の見どころを教えていただきたいと思います。初日の基調講演はゲノムのトピックですね。初日の午前中は、基調講演1として中村 祐輔先生(公益財団法人がん研究会がんプレシジョン医療研究センター 所長)に「がんプレシジョン医療の現状と展望」、基調講演2として福嶋 義光先生(信州大学医学部 遺伝医学教室 特任教授)に「ゲノム医療と遺伝カウンセリング」と題してお話しいただきます。総会テーマの趣旨をプログラムにも反映させ、中村先生にはゲノム医療の技術進歩について、福嶋先生にはゲノム分析が患者さんの心にもたらす部分も含めてご講演いただきます。会長指定企画「最先端と次世代へのメッセージ」は2日間にわたるセッションですが、その内容について教えていただけますか。ここでは今注目されている11の領域・テーマを、初日の午後と2日目の午前・午後の3回にわたり取り上げます(会長指定企画1:生殖医療における技術の進歩・心の変化、腎移植の将来展望、地域医療と泌尿器科、2:癌と泌尿器科、泌尿器癌に対するゲノム医療の実現に向けて、前立腺癌とAR axis、泌尿器癌を対象とした臨床研究、3:エンドウロロジーによる泌尿器科手術の進歩、尿路結石診療における研究の未来、LUTS治療、小児泌尿器科手術の現況と明日)。どのテーマも日本の指導的な立場の先生が話されますので、このセッションを聞いていただければ、泌尿器科の最先端の情報がご理解いただけると思います。シンポジウムについてはいかがですか。泌尿器科で注目されているがん免疫療法、そして去勢抵抗性前立腺がんについてもシンポジウムで取り上げます。初日の午後には、シンポジウム1「泌尿器がんに対する免疫療法」を行います。今総会は理解を深めるために、教育講演、海外招請講演など関連テーマとシンポジウムを連続して行いますが、ここでも教育講演1「最新の基礎研究成果から読み解くがん免疫療法」、海外招請講演1 「Immunotherapy for the treatment of urological cancers」をシンポジウムの前に開催し、基礎研究、世界的なトピック、そして日本の先生の総括という流れで理解を深めていただきます。2日目の午後は、去勢抵抗性前立腺がんについて、シンポジウム11「前立腺癌薬物治療のパラダイムシフト」で取り上げます。こちらも同様に、シンポジウムの前に海外招請講演6「Update in metastatic hormone naive prostate cancer treatment」で、先行する海外の状況をお話しいただいたうえで、薬物療法に理解を深めていただきます。Late-breaking & Encore Sessionについて教えていただけますか。Late-breaking & Encore Sessionは、最新の研究成果をお届けするために行います。当総会の演題締め切り後に結果が出た研究、EAUやASCO-GUといった直近の泌尿器科の学会での発表などを紹介します。今回は初めてweb上で公募する試みを行い、集まった演題の中から9演題を採用しました。そのほかのセッションについてはいかがですか。3日目は土曜日ということもあり、市民も入れるセッションを2つ用意しました。1つは、招請講演1「チバニアンと地磁気逆転」です。千葉大学として千葉に関する話題を岡田 誠先生(茨城大学理学部 教授)にご講演いただきます。もう1つは、会長指定企画4 鼎談「長寿社会の医療を考える」です。1週間後に同じ会場で、第30回 日本医学会総会が、「医学と医療の深化と広がり~健康長寿社会の実現をめざして~」というテーマで開催されますので、それにつなげる意味で企画しました。愛知県の2つの医学部の学長、郡 健二郎先生(名古屋市立大学 学長)と星長 清隆先生(学校法人藤田学園 理事長)に、小出 宣昭氏(中日新聞・東京新聞 顧問)を加え議論していただきます。3日目の午後の招請講演3では「これからの日本の経済社会構造の変化と泌尿器科診療」と題し、医師であり弁護士であり参議院議員でもある古川 俊治先生に、医療経済などと絡めた泌尿器科診療についてお話しいただきます。ケアネット会員の先生方(泌尿器科以外の方も含め)にメッセージをお願いします。泌尿器科領域でも、ゲノム医療、それに伴う遺伝カウンセリングが必要になりつつあります。今回の総会でも、基調講演の2つはゲノム医療と遺伝カウンセリングというテーマで、そこに光を当てています。泌尿器科の先生には総会への参加をお願いするとともに、泌尿器科以外の先生方もプログラムなどで泌尿器科学会に興味を持っていただければと思います。1)第107回 日本泌尿器科学会総会

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日本において将来の認知症ケアに対し不安を感じている人の特徴

 認知症にやさしい地域社会を目指すことは、世界的な目標ではある。しかし、認知症の地域住民は、いまだ対処されていない認知症関連ケアのニーズを抱えている。東京都健康長寿医療センター研究所の岡村 毅氏らは、将来必要となった際に適切な認知症ケアを受けられない可能性について不安を感じている人の特徴を調査した。Psychogeriatrics誌オンライン版2019年3月18日号の報告。 東京都の1地域に在住する65歳以上のすべての住民13万2,005人に対し、郵送によるアンケート調査を実施した。アンケートは、適切な認知症ケアを受けられない可能性についての不安を測定する項目ならびに、社会人口統計、抑うつ症状、フレイル、在宅状況、社会経済的状況、社会的サポート、開業医(GP)へのアクセス、認知症ケアの経験に関する項目を含んだ。 主な結果は以下のとおり。・不安を測定する項目に回答した7万4,171人中、将来必要となった際、適切な認知症ケアを受けられない可能性について不安を感じている人は、5万8,481人(78.8%)であった。・強制投入法(simultaneous)多重ロジスティック回帰分析では、不安との関連が予想される要因は以下のとおりであった。 ●うつ症状 ●フレイルまたはその予備群 ●女性 ●現在、社会経済的に不利な状況ではない ●気分がすぐれないときに、病院へ連れていける人がいない ●より若い(65~74歳) ●既婚 ●隣人を信頼していない ●高等教育レベル(9年超) ●困っているときに相談できる人がいない ●働いていない ●小児期に社会経済的に不利な状況を経験 ●隣人とは、あいさつを交わす程度の関係 ●認知症ケアの経験がない・GPへのアクセス、独居、外出が1回/週以下では、関連性は認められなかった。 著者らは「これらの不安を軽減するための介入に関して、さらなる研究が必要とされる」としている。■関連記事世界で最も高齢化している日本における認知症の推定コストたった2つの質問で認知症ルールアウトが可能レビー小体型認知症とアルツハイマー病における生存率の違い~メタ解析

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日本人における糖尿病とがんリスクを検証~JPHC研究

 日本人集団における糖尿病とがんリスクについて、多目的コホート研究(JPHC研究)での前向きメンデルランダム化解析により、これらの関連を裏付ける強いエビデンスは見いだされなかったことを、国立がん研究センターの後藤 温氏らが報告した。従来の回帰モデルを用いたコホート研究では、2型糖尿病患者のがんリスク増加が一貫して示されていた。しかし、因果の逆転や糖尿病とがんに共通する危険因子による残余交絡が存在する可能性があり、糖尿病そのものががん発症に寄与しているかどうかは不明であった。International Journal of Cancer誌オンライン版2019年3月30日号に掲載。 JPHC研究における40~69歳の適格な3万2,949人から、サブコホート1万536人および新規にがんと診断された3,541人を用いて症例コホート研究を実施した。すでに知られている29個の2型糖尿病感受性遺伝子多型を用いて、糖尿病とがん全体および部位ごとのがんリスクとの関連について、逆分散加重法を用いてハザード比を推定した。 主な結果は以下のとおり。・糖尿病の確率が2倍になることによるがんのハザード比(HR)は、がん全体で1.03(95%信頼区間[CI]:0.92~1.15)、膵臓がんで1.08(同:0.73~1.59)、肝臓がんで0.80(0.57~1.14)、結腸がんで0.90(同:0.74~1.10)であった。・追加解析として、日本人における大腸がんの大規模ゲノムワイド関連解析の公開データを用いて分析したところ、HRは1.00(95%CI:0.93~1.07)であり、より精確な結果が得られた。

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原発性硬化性胆管炎〔primary sclerosing cholangitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis:PSC)は、小胆管周囲にonion-skin様の結合織に囲まれる炎症により特徴付けられる肝の慢性炎症である。結合織の増加により胆管は狭窄、閉塞を起こし、胆汁うっ滞を来し、閉塞性黄疸となり、最終的には肝硬変、肝不全に進展する。PSCの発症・進展には、自己免疫機序が深く関わることが推定されているものの、血清学的に特異的な免疫指標は残念ながら同定されておらず、病因は現在も不明である。■ 疫学2012年の全国疫学調査によると、国内症例数は2,300名前後、人口10万人当たりの有病率は0.95程度と推測されている。しかし、欧米諸国で近年発症率の増加が報告されていること、画像検査の進歩により診断率が向上していることにより、実際の患者数はもう少し多いことが推察される。患者は、男性にやや多く、20代と60代の二峰性を示す。わが国では肝内・肝外胆管両者の罹患症例が多く、潰瘍性大腸炎の罹患合併が34%で、とくに若年者に高率である。また、胆管がんの合併を7.3%に認めている。■ 病因PSCには炎症性腸疾患との関連が認められており、欧米ではPSC患者の80%で合併がみられるが、わが国ではその頻度は低く、とくに高齢者では合併例は少ない。潰瘍性大腸炎患者の約5%とクローン病患者の約1%がPSCを発症する。こうした関連性といくつかの自己抗体(例:抗平滑筋抗体、核周囲型抗好中球抗体[pANCA])の存在から、免疫を介した発生機序が示唆されている。T細胞が胆管の破壊に関与するとみられることから、細胞性免疫の障害が示唆されている。家系内で集積傾向がみられ、自己免疫疾患との相関もしばしば報告され、HLAB8およびHLADR3を有する人々での頻度がより高いことから、遺伝的素因の存在が示唆されている。遺伝的素因のある人々では、おそらく原因不明の誘因(例:細菌感染、虚血性の胆管傷害など)によってPSCが引き起こされると考えられている。■ 症候病初期には無症状で、偶然の機会に胆道系酵素の上昇などで発見されることもある。発症は通常潜行性で、進行性の疲労や掻痒感が認められる場合が多い。約10~15%の症例では、右上腹部痛と発熱を認める。診断時の症状についての全国アンケート調査では、黄疸28%、掻痒感16%が認められるとの報告がある。病態が進行すれば、脂肪便、脂溶性ビタミン欠乏を来す場合があり、持続性の黄疸により病態は進行し、肝硬変の症状を呈する。約75%の症例で症状を伴う胆石や総胆管結石症を伴うことが報告されている。なお、一部の症例では晩期まで無症状のまま経過し、肝脾腫、肝硬変の状態で診断される場合もあるが、本疾患は緩徐ながら確実に進行し、末期には非代償期肝硬変に至る。診断から肝不全に至るまでの期間は、約12年とされている。なお、合併が多い炎症性腸疾患とは独立した経過をたどり、潰瘍性大腸炎はPSCに数年遅れて発現するケースがあり、合併が認められた場合、潰瘍性大腸炎は比較的軽症の経過をとる傾向があるとされている。結腸全摘術を施行された場合でも、PSCの経過には変化がないことが報告されている。そのほか、PSCと炎症性腸疾患両者が存在すると大腸がんのリスクが上昇し、このリスクはPSCに対して肝移植を施行しても変わらないことが報告されている。■ 予後わが国の全国調査によれば、肝移植なしの5年生存率は75%とされている。肝移植症例では、とくに近親者からの移植症例で再発が高頻度であるとの報告がある。早期症例では、肝硬変に至るまでの期間は15~20年とされているが、8~10%の症例では胆管がんの合併があるので注意が必要である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)確定診断に至る臨床的特異的マーカーは存在せず、また、肝生検でも確定診断は困難である。診断は、肝内外胆管病変の画像診断によるが、類似の画像所見を示す疾患、とくに自己免疫性膵炎(AIP)に伴う胆管炎との鑑別が重要である。診断に当たっては、以下の臨床像に十分留意する。(1)胆汁うっ滞に基づく腹痛、発熱、黄疸などの症状、(2)炎症性腸疾患、とくに潰瘍性大腸炎の存在、(3)6ヵ月以上持続する胆道系酵素、AlPの正常上限2~3倍以上の持続上昇。 また、画像所見や超音波検査では、(1)散在する胆管内腔の狭窄と拡張、(2)散在する胆管壁肥厚に留意が必要となる。そして、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)では(1)肝内外胆管の散在する輪状、膜状、帯状狭窄および憩室様突出、数珠状狭窄、(2)肝内外胆管の毛羽立ち、刷子縁様の不整像、(3)肝内胆管分枝像の減少、(4)肝外胆管狭窄に符合しない肝内胆管拡張、などの特徴的所見が認められ、ERCP施行によりこれら所見はより明確になる(図1、2)。(図1、2入る)画像を拡大する画像を拡大するなお、診断確定に当たっては、以下の(1)~(9)の疾患の除外が重要であり、IgG4関連硬化性胆管炎の鑑別も重要である(下に挙げた厚生労働省研究班の診断基準を参照)。(1)IgG4関連硬化性胆管炎、(2)胆道感染症による胆管炎、(3)胆道悪性腫瘍、(4)胆管結石、(5)腐食性硬化性胆管炎、(6)先天性胆道異常、(7)虚血性胆管狭窄、(8)胆道外科手術後状態、(9)floxuridine動注による胆管障害。病変の広がりにより、1)肝内型、2)肝外型、3)肝内外型に分類される。2016年原発性硬化性胆管炎診断基準厚生労働省難治性肝・胆道疾患に関する調査研究班(滝川班)【原発性硬化性胆管炎の疾患概念】原発性硬化性胆管炎は病理学的に慢性炎症と線維化を特徴とする慢性の胆汁うっ滞を来す疾患であり、進行すると肝内外の胆管にびまん性の狭窄と壁肥厚が出現する。病因は不明である。胆管上皮に強い炎症が惹起され、胆管上皮障害が生ずる。診断においてはIgG4関連硬化性胆管炎*、発症の原因が明らかな2次性の硬化性胆管炎**、悪性腫瘍を除外することが重要である。わが国における原発性硬化性胆管炎の診断時年齢分布は2峰性を呈し、若年層では高率に炎症性腸疾患を合併する。持続する胆汁うっ滞の結果、肝硬変、肝不全に至ることがある。有効性が確認された治療薬はなく、肝移植が唯一の根治療法である。【原発性硬化性胆管炎の診断基準】IgG4関連硬化性胆管炎*、発症の原因が明らかな2次性の硬化性胆管炎**、胆管がんなどの悪性腫瘍を除外することが必要である。A.診断項目I.大項目A. 胆管像1)原発性硬化性胆管炎に特徴的な胆管像の所見を認める。2)原発性硬化性胆管炎に特徴的な胆管像の所見を認めない。B. アルカリフォスファターゼ値の上昇II.小項目a. 炎症性腸疾患の合併b. 肝組織像(線維性胆管炎/onion skin lesion)B.診断上記による確診・準確診のみを原発性硬化性胆管炎として取り扱う。*IgG4関連硬化性胆管炎は、“Clinical diagnostic criteria of IgG4-related sclerosing cholangitis 2012”(Ohara H,et al. J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2012;19:536-542.)により診断する。**2次性硬化性胆管炎は以下の通りである(Nakazawa T, et al. World J Gastroenterol. 2013;19:7661-7670.)。先天性カロリ病Cystic fibrosis慢性閉塞性総胆管結石胆管狭窄(外科手術時の損傷によるもの、慢性膵炎によるもの)Mirizzi症候群肝移植後の吻合狭窄腫瘍(良性、悪性、転移性)感染性細菌性胆管炎再発性化膿性胆管炎寄生虫感染(cryptosporidiosis、microsporidiosis)サイトメガロウイルス感染中毒性アルコールホルムアルデヒド高張生理食塩水の胆管内誤注入免疫異常好酸球性胆管炎AIDSに伴うもの虚血性血管損傷外傷後性硬化性胆管炎肝移植後肝動脈塞栓肝移植後の拒絶反応(急性、慢性)肝動脈抗がん剤動注に関連するもの経カテーテル肝動脈塞栓術浸潤性病変全身性血管炎アミロイドーシスサルコイドーシス全身性肥満細胞症好酸球増加症候群Hodgkin病黄色肉芽腫性胆管炎通常、肝生検は診断に必須ではないが、施行した場合には、胆管増生、胆管周囲の線維化、炎症、および胆管の消失が認められる。疾患が進行するにつれて、胆管周囲の線維化が門脈域から拡大していき、最終的には続発性胆汁性肝硬変に至る。なお、小児症例では、自己免疫性肝炎との鑑別が困難な症例が多数存在することに、注意が必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)確立された治療法は現在なく、進行した場合は、肝移植が唯一の治療法となる。通常、無症状の患者はモニタリング(身体診察と肝機能検査を年2回など)のみで経過観察する。ウルソデオキシコール酸(商品名:ウルソ[5mg/kg、1日3回、経口、最大15mg/kg/日])は、掻痒を緩和し、生化学マーカー値を改善し、現在第1選択薬となっており、2012年の全国調査でも81%の症例で投与されているが、残念ながら、生存率は改善できない。脂質異常症の治療薬であるベザフィブラート(同:ベザトール)のPSCに対する有効性も報告されているが、報告では胆道系酵素の改善のみで、組織学的な改善や画像診断上の改善を促すものではないが、ウルソデオキシコール酸治療で十分な効果が得られなかった症例でも一定の改善効果がある点が注目されている。慢性胆汁うっ滞および肝硬変に至った場合には、支持療法が必要である。細菌性胆管炎の発症時には、抗菌薬が必要であり、必要に応じて治療的ERCPも施行する。単一の狭窄が閉塞の主な原因と考えられる場合(優位な狭窄、約20%の患者にみられる)は、ERCPによる拡張術(腫瘍の確認のための擦過細胞診も行う)とステント留置術により症状を緩和することができる。PSC患者では、肝移植が期待余命を延長する唯一の治療法であり、治癒も可能である。繰り返す細菌性胆管炎または肝疾患末期の合併症(例:難治性腹水、門脈大循環性脳症、食道静脈瘤出血)には、肝移植が妥当な適応である。脳死肝移植が少ない本邦では生体肝移植が主に行われているが、生体肝移植後PSCの再発率が高い可能性が、わが国から報告されている。4 今後の展望診断に有用な臨床マーカーの確立、病態の解明とそれに基づいた治療法の確立が大きな課題である。5 主たる診療科消化器科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 原発性硬化性胆管炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Nakazawa T, et al. J Gastroenterol. 2017;52:838-844.2)Chapman R,et al. Hepatology. 2010;51:660-678.公開履歴初回2019年4月9日

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第11回 意識障害 その9 原因が1つとは限らない! それで本当におしまいですか?【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)確定診断するまで思考停止しないこと!2)検査は答え合わせ! 異常値だからといって、原因とは限らない!3)急性か慢性か、それが問題だ! 検査結果は必ず以前と比較!【症例】68歳男性。数日前から発熱、倦怠感を認め、食事量が減少していた。自宅にあった解熱鎮痛薬を内服し様子をみていたが、来院当日意識朦朧としているところを奥さんが発見し救急要請。救急隊の観察では、明らかな構音障害や麻痺は認めず、積極的に脳卒中を疑う所見は乏しい。●搬送時のバイタルサイン意識10/JCS、E3V4M6/GCS血圧142/88mmHg脈拍78回/分(整)呼吸20回/分SpO295%(RA)体温38.2℃瞳孔3/3mm+/+既往歴高血圧(50歳〜)、脂質異常症(44歳〜)内服薬アムロジピン、アトルバスタチン今回は意識障害の最終回です。今までいろいろと述べてきましたが、復習しながら鑑別を進めていきましょう。意識障害の原因は“AIUEOTIPS”に代表されるように多岐にわたります。難しいのは、何か1つ意識障害の原因となりうるものを見いだしたとしても、それのみが原因とは限らないことです。脳出血+痙攣、敗血症+低血糖、アルコール+急性硬膜下血腫、急性期疾患+薬剤の影響、などはしばしば経験します。目の前の患者さんの症状は、自身が考えている原因できちんと説明がつくのか、矛盾点は本当にないのか、最終的に診断をつける際には必ず自問自答しましょう。救急外来での実際のアプローチ今回も10’s rule(表1)をもとに考えていきましょう。画像を拡大する患者さんは数日前から発熱を認め、徐々に状態が悪化しているようです。血圧はやや高めですが、CPSS※(構音障害、顔面麻痺、上肢の麻痺)陰性で、頭痛の訴えもなく脳卒中を積極的に疑う所見は認めませんでした。糖尿病の既往もなく、低血糖の検査前確率は低いですが、感染症(とくに敗血症)に伴う副腎不全や薬剤などの影響で、誰もが低血糖になりうるため、10’s ruleにのっとり低血糖は否定し、頭部CT検査を施行する方針としました。CTでは、予想通り明らかな異常は認めませんでした。qSOFAは意識障害以外該当しないものの、発熱も認め感染症の関与も考え、fever work upを施行する方針としましたが…。※ Cincinnati Prehospital Stroke Scale急性か慢性か、それが問題だ!採血(もしくは血液ガス)の結果でNa値が126mEq/Lを認めました。担当した研修医は、「低ナトリウム血症による意識障害の可能性」を考えました。これはOKでしょうか?採血以外にも、救急外来では心電図やX線、エコー、CTなどの検査を施行することは多々あります。その際、検査に何らかの異常を認めた際には、必ず「その異常はいつからなのか?」という視点を持つ必要があります。以前と異なる変化であれば、今後介入の必要はあるかもしれませんが、少なくとも急性の変化と比較し、緊急性はぐっと下がります。以前の結果と比較(問い合わせをしてでも)することを心掛けましょう。忙しい場合には面倒に感じるかもしれませんが、急がば回れです。不適切な介入や解釈を行わないためにも、その手間を惜しんではいけません。低ナトリウム血症は高齢者でしばしば認めますが、急性の変化でない限り、そして著明な変化でない限り、通常無症候性です。救急外来では120mEq/L台の低ナトリウム血症では、最低限の介入(塩分負荷または飲水制限)は原因に応じて行いますが、それのみで意識障害、痙攣、食思不振などの直接的な原因とは考えないほうがよいでしょう。慢性的な変化、もしくは何らかの急性疾患に伴う変化と考え対応する癖を持ちましょう。大切なのはHi-Phy-Vi!Rule 2にもありますが、やはり大切なのは病歴、身体所見やバイタルサイン(Hi-Phy-Vi:History、Physical、Vital signs)です。この患者さんは、急性の経過で発熱を伴っています。そして、熱のわりには心拍数は上昇していません。このような経過の患者さんに低ナトリウム血症を認めたわけです。何かピンッとくる疾患はあるでしょうか?急性の経過、そしてSIRSやqSOFAは満たさないものの、発熱を認め、呼吸回数も高齢者にしては多いという点からは、感染症の関与が考えられます。菌血症を疑わせる悪寒戦慄は認めませんでしたが、いわゆる細菌感染症として頻度が高いfocusは鑑別の上位に挙がります(参考に第6回 意識障害 その5)。肺炎、尿路感染症、皮膚軟部組織感染症、胆道系感染症などは意識して所見をとらなければ高齢者では容易に見逃してしまうものです。この患者さんは改めて聴診すると、右下葉で“coarse crackles”を聴取しました。同部位のX線所見も淡い浸潤影を認めました。しかし、喀痰のグラム染色では有意な菌は認められませんでした。もうおわかりですね?レジオネラ症(Legionella disease)意識障害などの肺外症状(表2)、グラム染色で優位な菌が認められないとなると、必ず鑑別に入れなければならない疾患が「レジオネラ症」です。レジオネラ肺炎は重症肺炎の際には必ず意識して対応しますが、本症例のように明らかな酸素化低下などの所見が認められない場合や肺外症状をメインに来院した場合には、意識しなければ、初診時に診断することは容易ではありません。しかし、レジオネラ肺炎(Legionella pneumophila)は、マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)やクラミドフィラ(Chlamydophila pneumoniae)など、そのほかの非定型肺炎とは異なり、初診時に疑い治療介入しなければ、予後の悪化に直結します。見逃してはいけないわけです。画像を拡大するレジオネラ症を疑う手掛かりとしては、私は表3を意識するようにしています2,3)。そのほか、検査結果では、電解質異常(低ナトリウム血症、低リン血症)、肝機能障害、CPK上昇を意識しておくとよいでしょう。絶対的なものではありませんが、レジオネラ症らしいか否かを判断するスコアもあるので一度確認しておきましょう4)。画像を拡大するさいごに意識障害の原因は多岐にわたります。自信を持って確定診断するまでは、常に「本当にこれが原因でよいのか?」と自問自答し、対応することが大切です。忙しいが故に検査結果などの異常値を見つけると、そこに飛びつきたくなりますが、そもそも何故その数値や画像の異常が出るのか、それは本当に新規異常なのか、症状は説明がつくのか、いちいち考える癖をつけましょう。その場での確定診断は難しくとも、イチロー選手のように「後悔などあろうはずがありません!」と断言できるよう、診断する際にはこれぐらいの覚悟で臨みましょう。1)Cunha BA. Infect Dis Clin North Am. 2010;24:73-105.2)坂本壮. 救急外来ただいま診断中!. 中外医学社;2015.p.280-303.3)坂本壮. 救急外来 診療の原則集―あたりまえのことをあたりまえに. シーニュ;2017.p.65-67.4)Gupta SK,et al. Chest. 2001;120:1064-1071.

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アルコール依存症患者の再入院とBMIや渇望との関連

 常習性の飲酒、渇望、過食は、共通の病理学的メカニズムを有している。ドイツのフリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクのChristian Weinland氏らは、BMIや渇望がアルコール依存症入院患者のアウトカムを予測するかどうかを調査した。Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry誌2019年3月2日号の報告。 早期に禁酒したアルコール依存症入院男性患者101例および女性患者72例を対象に、プロスペクティブ研究を実施した。渇望は、Obsessive-Compulsive Drinking Scale(OCDS)スコアを用いて定量化した。24ヵ月以上のアルコール関連再入院を記録した。 主な結果は以下のとおり。・男性では、より高いBMIは、アルコール関連再入院と関連しており(中央値:26.1kg/m2 vs. 23.1kg/m2、p=0.007)、より高頻度(ρ=0.286、p=0.004)で、より早期(ρ=-0.256、p=0.010)の再入院との相関が認められた。・これらの関連性は、活発な喫煙者のサブグループ(79例)においてより強く認められた([アルコール関連再入院]中央値:25.9kg/m2 vs. 22.3kg/m2、p=0.005、[高頻度]ρ=0.350、p=0.002、[早期]ρ=-0.340、p=0.002)。・女性では、BMIは有意な予測因子ではなかった。・1回以上の再入院があった男性では、そうでない男性と比較し、OCDSスコアが高く(OCDS-total、OCDS-obsessive、OCDS-compulsive、p<0.040)、OCDSスコアは、再入院の高頻度(男性:OCDS-total、OCDS-obsessive、OCDS-compulsive、ρ>0.244、p<0.014、女性:OCDS-compulsive、ρ=0.341、p=0.003)と初回再入院までの期間短縮(男性:OCDS-total、OCDS-compulsive、ρ<-0.195、p<0.050、女性:OCDS-compulsive、ρ=-0.335、p=0.004)との相関が認められた。・OCDSスコアにより、男性におけるBMIとアウトカムとの関連は9~19%説明可能であった。 著者らは「BMIおよび渇望は、アルコール依存症入院患者における再入院の予測因子である。このことは、将来の再入院を予防するために使用できる可能性がある」としている。■関連記事アルコール関連での緊急入院後の自殺リスクに関するコホート研究飲酒運転の再発と交通事故、アルコール関連問題、衝動性のバイオマーカーとの関連アルコール依存症に対するナルメフェンの有効性・安全性~非盲検試験

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チカグレロルの中和薬、第I相試験で有効性確認/NEJM

 チカグレロルの特異的中和薬であるPB2452について、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のDeepak L. Bhatt氏らは、健常ボランティアにおいて、チカグレロルの抗血小板作用を迅速かつ持続的に中和し、毒性は軽度であることを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年3月17日号に掲載された。チカグレロルは経口P2Y12阻害薬で、急性冠症候群の患者や心筋梗塞の既往のある患者において、虚血性イベントのリスクを抑制するために、アスピリンとの併用で使用される。しかし他の抗血小板薬と同様、チカグレロルも大出血や緊急の侵襲的手技に伴う出血が懸念され、その抗血小板作用には、血小板輸血による可逆性はなく、出血の抑制には速効型の中和薬が有用とされる。複数の検査法で血小板機能を評価するプラセボ対照第I相試験 本研究は、健常ボランティアを対象に、単施設で行われた二重盲検プラセボ対照無作為化第I相試験であり、2018年4月3日~8月23日に参加者の登録が行われた(PhaseBio Pharmaceuticalsの助成による)。 PB2452は、チカグレロル中和薬として、チカグレロルに高い結合親和性を有するモノクローナル抗体フラグメントである。健常ボランティア(年齢18~50歳、体重50~120kg、BMI 18~35)において、48時間のチカグレロルによる治療の前後およびPB2452またはプラセボを投与後に血小板機能の評価を行った。 血小板機能の評価には、透過光血小板凝集検査法、P2Y12血小板反応性のポイント・オブ・ケア検査、血管拡張因子刺激リン酸化タンパク質検査が用いられた。中和作用は投与開始5分以内に発現、20時間以上持続 64例が登録され、PB2452群に48例(平均年齢30.5歳、男性48%)、プラセボ群には16例(34.0歳、69%)が割り付けられた。 PB2452群では、17例に27件の有害事象が認められた。主なものは注射部位内出血(4件)、医療機器部位反応(3件)、血管穿刺部位出血(2件)、注入部位血管外漏出(2件)であった。用量制限毒性や輸注反応はみられず、死亡や試験薬中止を要する有害事象、および入院を要する有害事象もみられなかった。 48時間のチカグレロル治療後には、血小板凝集能が約80%抑制された。迅速な中和を得るためにPB2452を静脈内ボーラス投与後、中和を持続させるために注入時間を8、12、16時間と延長すると、3つの測定法のすべてで、血小板機能がプラセボ群に比べ有意に上昇した。 チカグレロルの中和作用は、PB2452の投与開始から5分以内に発現し、20時間以上持続した(3つの測定法のすべての測定時点の値をBonferroni法で調整後のp<0.001)。薬剤投与終了後の血小板活性には、リバウンドの証拠はなかった。 著者は、「PB2452によるチカグレロルの抗血小板作用の中和は、出血患者に対し、より迅速な止血をもたらすか、また緊急の侵襲的手技を施行された患者において、出血を予防するかについては、まだ不明である」としている。

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うつ、不安、睡眠の質に対する「お笑い介入」~メタ解析

 うつ病や不安症状の治療に対し、ネガティブな感情を減少させるための介入が求められており、お笑いやユーモアを用いた介入(お笑い介入)は、安全かつ便利で、患者と医療従事者との関係を良好に保つことが期待される介入方法である。成人のうつ病、不安および睡眠の質に対するお笑い介入の効果を定量化するため、中国・吉林大学のJinping Zhao氏らが検討を行った。Journal of Advanced Nursing誌オンライン版2019年3月18日号の報告。 ランダム化比較試験のメタ解析を実施し、2018年12月までの研究を各種データベース(PubMed、Embase、PsycINFO、Web of Science、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Chinese National Knowledge Infrastructure、Weipu、Wanfang Data)より検索した。Cochrane Collaborationガイドラインに従って、メタ解析レビューを実施した。研究の選択、データ抽出、バイアスリスク(Cochrane Collaborationバイアスリスク評価ツール)の評価は、独立した2人のレビューアにより実施した。 主な結果は以下のとおり。・10研究より、814例が抽出された。・メタ解析では、お笑い介入が成人のうつ病、不安を有意に減少させ、睡眠の質を改善することが示唆された。・サブグループ解析では、長期的なお笑い介入は、うつ病患者により多くのベネフィットをもたらすことが示唆された。 著者らは「お笑い介入は、成人のうつ病や不安を軽減し、睡眠の質の改善に有効であることが明らかとなった。今後は、質の高いフォローアップ評価を行うために、さらなる研究が求められる」としている。■関連記事「笑い」でうつ病診断が可能にこれからのうつ病治療、どんな介入を行うべきかうつ病や不安症状に対する食事療法~メタ解析

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β遮断薬長期投与、肝硬変の代償不全を予防/Lancet

 代償性肝硬変および臨床的に重要な門脈圧亢進症(CSPH)の患者では、β遮断薬の長期投与により代償不全(腹水、胃腸出血、脳症)のない生存が改善されることが、スペイン・バルセロナ自治大学のCandid Villanueva氏らが実施したPREDESCI試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年3月22日号に掲載された。肝硬変における臨床的な代償不全は予後不良とされる。CSPHは、肝静脈圧較差(HVPG)≧10mmHgで定義され、代償不全の最も強力な予測因子だという。代償不全/死亡をプラセボと比較 本研究は、β遮断薬によるHVPG低下が、CSPHを伴う代償性肝硬変における代償不全や死亡のリスクを低減するかを検証する研究者主導の二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験である(Spanish Ministries of Health and Economyの助成による)。 高リスクの静脈瘤のない代償性肝硬変およびCSPHで、HVPG≧10mmHgの患者(年齢18~80歳)を登録し、プロプラノロール静脈内投与によるHVPGの急性反応を評価した。レスポンダー(HVPGがベースラインから>10%低下)は、プロプラノロール(40~160mg、1日2回)またはプラセボを投与する群に、非レスポンダーはカルベジロール(≦25mg/日)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、肝硬変の代償不全(腹水、門脈圧亢進症関連の胃腸出血、顕性肝性脳症の発現と定義)または死亡とした。代償性肝硬変では、代償不全が発症する前の死亡は、ほとんどが肝臓とは関連がないため、肝臓非関連死を競合イベントとしたintention-to-treat解析が行われた。主要エンドポイント:16% vs.27%、腹水の発生低下が主要因 2010年1月~2013年7月の期間に、スペインの8施設で201例が登録され、β遮断薬群に100例(平均年齢60歳、男性59%、プロプラノロール67例、カルベジロール33例)、プラセボ群には101例(59歳、63%)が割り付けられた。フォローアップ期間中央値は37ヵ月だった。 主要エンドポイントの発生率は、β遮断薬群が16%(16/100例)と、プラセボ群の27%(27/101例)に比べ有意に低かった(ハザード比[HR]:0.51、95%信頼区間[CI]:0.26~0.97、p=0.041)。 この両群の差は、β遮断薬群で腹水の発生が少なかったためであり(9% vs.20%、0.42、0.19~0.92、p=0.0297)、胃腸出血(4% vs.3%、1.52、0.34~6.82、p=0.61)および顕性肝性脳症(4% vs.5%、0.92、0.40~2.21、p=0.98)には差はみられなかった。 全体の有害事象の発生は、両群でほぼ同等であった(β遮断薬群84% vs.プラセボ群87%)。治療に関連する可能性があると判定された有害事象は、それぞれ39%、30%、その可能性が高いと判定された有害事象は16%、15%であった。6例に重度の有害事象が認められ、β遮断薬群が4例、プラセボ群は2例だった。 著者は、「この非選択的β遮断薬の新たな適応は、患者転帰の改善や医療費の抑制に多大な効果をもたらし、今後、臨床ガイドラインに影響を及ぼす可能性がある」としている。

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膀胱留置カテーテルは地獄の痛み?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第136回

膀胱留置カテーテルは地獄の痛み?ぱくたそより使用膀胱留置カテーテルは、病院でよく使用されていますが、入れられるほうはたまったもんじゃありません。私も過去に椎間板ヘルニアの手術時に1日だけ留置されたことがありますが、まさに地獄の苦しみでした。思い出したくもない。 Saint S, et al.Urinary catheters: what type do men and their nurses prefer?J Am Geriatr Soc. 1999;47:1453-1457.この研究は、大学病院で尿道カテーテルを使用した患者さん104人と医療従事者99人にアンケートをとったものです。104人の患者さんのうち、コンドームカテーテルを使用していたのが21人、膀胱留置カテーテルを使用していたのが83人でした。その結果、膀胱留置カテーテルを使用した患者さんでは、不快感があるのは42%、疼痛を感じていたのは48%、ADLが制限されていたのは61%と約半数がネガティブな回答をしました。コンドームカテーテルの場合、これらはそれぞれ14%、14%、24%でしたから、明らかな差がありますね。コンドームカテーテルの装着には、膀胱留置カテーテルよりも5~10分長くかかってしまうと医療従事者は回答しており、これは本研究の対象が寝たきりの高齢者が多かったからかもしれません。また、医療従事者の96%はコンドームカテーテルの脱落や尿漏れを懸念していることがわかりました。20年前の論文ですから、コンドームカテーテルの質もイマイチだったのかもしれませんね。今のコンドームカテーテルは結構ピッチリしていて、漏れにくくなっています。医療従事者にとって、膀胱留置カテーテルのほうが管理しやすいのは確かですが、患者サイドに立って考えると、コンドームカテーテルのほうが快適なのです。膀胱留置カテーテルを留置された83人のうち2人は「地獄のような痛みだ(“hurts like hell”)」と回答しており、私もこれには至極同意いたします。もう2度と入れられたくありません…。ルーチンワークで尿道にカテーテルを通さなければならない理由はそう多くないと思います。

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転移乳がん、アナストロゾール単剤vs.フルべストラント併用/NEJM

 米国・カリフォルニア大学アーバイン医療センターのRita S. Mehta氏らは、閉経後ホルモン受容体陽性転移乳がんに対する、アロマターゼ阻害薬アナストロゾールと選択的エストロゲン受容体調節薬フルベストラントの併用療法の有効性および安全性を検証した、多施設共同無作為化非盲検試験「S0226試験」の全生存期間(OS)に関する最終解析結果を報告した。アナストロゾール+フルベストラント併用投与群はアナストロゾール単独投与群と比較して、OS延長の有意な効果が長期にわたり維持されていたことが示されたという。一方で、アナストロゾール単独投与群の患者の約半数は増悪後にフルベストラントの投与(クロスオーバー)が行われた。本試験について研究グループは2012年に、閉経後ホルモン受容体陽性転移乳がんに対する1次治療としてのアナストロゾール+フルベストラント併用療法は、アナストロゾール単独投与群と比較し、無増悪生存期間を有意に延長し、OSも有意ではあるもののわずかに延長することを報告していた。NEJM誌2019年3月28日号掲載の報告。アナストロゾール単独群vs.併用群、有効性と安全性を最長12年追跡 S0226試験では、未治療の閉経後ホルモン受容体陽性転移乳がん患者を、アナストロゾール単独投与群およびフルベストラント併用投与群に1対1の割合で、術後のタモキシフェン使用の有無で層別化し、無作為に割り付け追跡した。アナストロゾール単独投与群は増悪時にフルベストラント投与へのクロスオーバーが強く推奨された。 両側層別化log-rank検定およびCox回帰法により生存解析を行うとともに(intention-to-treat解析)、有効性および安全性についてサブグループ解析も行った。 無作為化された患者707例のうち、適格患者694例が解析対象となった。アナストロゾール併用群のOSが単独群より有意に延長 フルベストラント併用投与群は349例中247例(71%)が死亡しOS中央値は49.8ヵ月。一方、アナストロゾール単独投与群は345例中261例(76%)が死亡しOS中央値は42.0ヵ月であり、有意差が確認された(死亡のハザード比[HR]:0.82、95%信頼区間[CI]:0.69~0.98、log-rank検定のp=0.03)。 サブグループ解析の結果、タモキシフェン治療歴がない患者では、フルベストラント併用投与群はアナストロゾール単独投与群よりもOSの延長が認められたが(OS中央値はそれぞれ52.2ヵ月および40.3ヵ月、HR:0.73、95%CI:0.58~0.92)、タモキシフェン治療歴がある患者では、両群のOSは同程度であった(OS中央値はそれぞれ48.2ヵ月および43.5ヵ月、HR:0.97、95%CI:0.74~1.27)(相互作用のp=0.09)。 Grade 3~5の有害事象の発現率は、両群で同程度であった。 なお、アナストロゾール単独投与群の約45%がフルベストラント投与へクロスオーバーしていた。 著者は、「今回の結果から、とくに術後補助内分泌療法の治療歴がない患者において、アナストロゾール+フルベストラント併用療法の有効性が高いことが示唆された」とまとめている。

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アフリカの黒人高血圧に有益な降圧薬2剤併用は/NEJM

 サハラ以南のアフリカに住む黒人高血圧患者において、アムロジピン+ヒドロクロロチアジドまたはペリンドプリルの併用療法は、ペリンドプリル+ヒドロクロロチアジド併用療法より6ヵ月時の降圧効果が大きく、有効であることが示されたという。ナイジェリア・アブジャ大学のDike B. Ojji氏らが、サハラ以南のアフリカ6ヵ国で実施した無作為化単盲検3群比較試験「Comparison of Three Combination Therapies in Lowering Blood Pressure in Black Africans:CREOLE試験」の結果を報告した。黒人のアフリカ人は高血圧の有病率が高く、血圧コントロールに2剤以上の降圧薬を必要とすることが多いが、現在利用可能で最も有効な2剤併用療法の組み合わせは確立されていなかった。NEJM誌オンライン版2019年3月18日号掲載の報告。3つの2剤併用療法について、6ヵ月後に有効性を比較 研究グループは2017年6~12月に、血圧コントロール不良の黒人のアフリカ人患者728例(未治療患者または1剤のみの降圧薬を服用している患者、≧140/90mmHg)を対象に試験を行った。 被験者を、アムロジピン+ヒドロクロロチアジド(HCTZ)併用群、アムロジピン+ペリンドプリル併用群、ペリンドプリル+HCTZ併用群の3群に無作為に割り付けた。投与量は、いずれの群もアムロジピン5mg/日、HCTZ 12.5mg/日、ペリンドプリル4mg/日から開始し、2ヵ月後に倍量(それぞれ10mg/日、25mg/日、8mg/日)にして4ヵ月間投与した。 主要評価項目は、ベースラインから6ヵ月時の24時間自由行動下収縮期血圧の変化とし、線形混合効果モデルを用いintention-to-treat集団にて有効性を解析した。アムロジピン+ヒドロクロロチアジドまたはペリンドプリルの併用が有効 被験者は、平均年齢51歳、女性が63%であった。ベースラインと6ヵ月時に24時間血圧モニタリングを実施できた患者621例について解析した。 アムロジピン+HCTZ併用群およびアムロジピン+ペリンドプリル併用群は、ペリンドプリル+HCTZ併用群と比較し、24時間自由行動下収縮期血圧が低かった。ベースラインからの変化量についてペリンドプリル+HCTZ併用群との群間差は、アムロジピン+HCTZ併用群が-3.14mmHg(95%信頼区間[CI]:-5.90~-0.38、p=0.03)、アムロジピン+ペリンドプリル併用群は-3.00mmHg(95%CI:-5.8~-0.20、p=0.04)であった。アムロジピン+HCTZ併用群とアムロジピン+ペリンドプリル併用群の群間差は、-0.14mmHg(95%CI:-2.90~2.61、p=0.92)であった。 診察室血圧および自由行動下拡張期血圧についても、3群間にみられた差は同様であった。

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プライマリケアにおける高齢者の尿路感染症には速やかな抗菌薬処方が有効(解説:小金丸博氏)-1023

 尿路感染症は高齢者における最も代表的な細菌感染症である。重症度は自然軽快する軽症のものから、死亡率が20~40%に至る重症敗血症まで幅広い。高齢者では典型的な臨床経過や局所症状を認めないことも多く、診断は困難である。そのうえ、65歳以上の女性の20%以上に無症候性細菌尿を認めることが尿路感染症の診断をさらに困難にする。 現在、薬剤耐性菌を減らすための対策として世界中で抗菌薬の適正使用を推進する動きがある。最近の英国からの報告によると、2004年~2014年の間にプライマリケアにおける高齢者の尿路感染症に対する広域抗菌薬の処方は減少していたが、その一方でグラム陰性菌による血流感染症が増加しており、その関連性が議論されている。 本研究は、高齢者の下部尿路感染症患者に対する抗菌薬治療介入の方法と治療成績の関係を検討した後ろ向きコホート研究である。英国のプライマリケアを受診した65歳以上の患者のうち、下部尿路感染症と確定診断、あるいは疑われた全患者を対象とした。無症候性細菌尿、複雑性尿路感染症、入院例などは除外された。抗菌薬の処方タイミングによって、即時処方群(初回診断日に処方)、待機処方群(初回診断日から7日以内に処方)、処方なし群の3群に分類し、診断から60日以内の血流感染症、全死亡率などを比較した。その結果、60日以内の血流感染症の発生率は即時処方群が0.2%だったのに対し、待機処方群は2.2%、処方なし群は2.9%と有意に高率だった(p=0.001)。共変量で補正すると、即時処方群と比較した待機処方群の血流感染症のオッズ比は7.12(95%信頼区間:6.22~8.14)、処方なし群のオッズ比は8.08(同:7.12~9.16)だった。60日以内の全死亡率は、即時処方群が1.6%、待機処方群が2.8%、処方なし群が5.4%だった。多変量Cox回帰モデルで解析した結果、高齢、男性、Charlson併存疾患指数、喫煙などが60日以内の死亡と関連があった。特に、85歳以上の男性において死亡リスクが高かった。 本研究において、高齢者の下部尿路感染症に対して抗菌薬を即時処方することで、その後の血流感染症発生率や死亡率を減らすことが示された。後ろ向き研究であるものの、英国のデータベースを用いた非常に患者数の大きい研究であり、結果の信頼度は高い。研究のlimitationとして、菌名や耐性菌の割合など原因微生物の情報がないこと、患者の服薬遵守率が不明なこと、続発した血流感染症の侵入門戸が尿路かどうか不明なことなどが挙げられる。耐性菌を蔓延させないために抗菌薬の使用量を減らす努力は重要であるが、高齢者の尿路感染症に対して抗菌薬を投与することは妥当と考える。ただし、無症候性細菌尿に対して抗菌薬を投与することは厳に慎まなければならない。 本研究の結果をみると即時処方群が86.6%を占めていたが、本邦では高齢者の尿路感染症に対してもっと高率に抗菌薬を処方していると思われる。処方された抗菌薬をみてみると、トリメトプリム、ニトロフラントインがセファロスポリンやペニシリン系より多かった。キノロン系抗菌薬の割合が4.4%と少なかったことは、日本のプライマリケアの現場でも大いに見習うべき点であろう。

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母親の産後うつが子供の言語発達を遅らせるか

 母親の後期発症型の産後うつは子供の言語発達遅滞を引き起こす可能性があることが、浜松医科大学子どものこころの発達研究センターの青柳 早苗氏らの研究によって明らかになった。PeerJ誌2019年3月号に掲載。 母親の産後うつにさらされることが乳児の言語発達遅滞に関与するということは示唆されている。しかし、言語発達の遅れが幼児期まで持続するのか、また早期発症型の産後うつ(産後4週間以内)と後期発症型の産後うつ(産後5~12週間)のどちらが言語発達遅滞に関与しているかについては明らかではなかった。 著者らは、早期発症型と後期発症型の産後うつで、どちらが乳児期から早期の幼児期の子供(生後40ヵ月まで)の表出性言語スコアを低下させるのかについて検討を行った。 本研究は、「浜松母と子の出生コホート研究」の一部として実施され、969例の新生児およびその母親を対象に行われた。早期発症型および後期発症型の産後うつは、Edinburgh Postnatal Depression Scaleによって診断された。表出性言語発達はMullen Scales of Early Learningによって測り、6つの時点(生後10、14、18、24、 32、40ヵ月)でモニターした。説明変数と表出性言語スコアの変化との関係は、共変量で調整された重回帰分析と成長曲線分析によって評価された。 主な結果は以下のとおり。・成長曲線分析の結果から、後期発症型の産後うつを発症した母親の子供では生後10~40ヵ月にかけての表出性言語スコアが有意に単調減少した。・後期発症型の産後うつは、子供の生後18ヵ月以降の表出性言語スコアを有意に低下させ、生後40ヵ月時点では標準偏差の0.6倍のスコア低下が認められた(95%CI:-0.888~-0.265、p<0.001)。・早期発症型の産後うつを発症した母親の子供では、表出性言語スコアの有意な減少は認められなかった。 著者らは本研究の結果について、「母親の後期発症型の産後うつによって子供の乳幼児期の表出性言語発達遅滞が引き起こされることが示唆され、言語発達遅滞の早期発見と治療介入を容易にするために後期発症型の産後うつのモニタリングが重要である」としている。

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タファミジス、ATTR-心アミロイドーシスに適応追加/ファイザー

 ファイザー株式会社は、2019年3月26日、タファミジス(商品名:ビンダケル)に関して、新たな適応症として「トランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型及び変異型)に対する製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表。 ATTR-心アミロイドーシスは、トランスサイレチン(TTR)という4量体のタンパク質が加齢(野生型)や遺伝変異(変異型)により単量体に解離して変性が起こることによりアミロイド線維が形成され、全身の組織内へ沈着することが原因で障害が生じる疾患。心アミロイドーシスは、そのアミロイド線維が心筋に沈着することで、難治性の不整脈や心不全等により最終的に死に至る可能性のある進行性の疾患である。 タファミジスメグルミンは、ATTR-心アミロイドーシスの患者を対象としたATTR-ACT試験において、死因を問わない死亡および心血管事象に関連する入院の減少に対する有効性を示した。これらの臨床試験結果に基づき、2018年11月にATTR-心アミロイドーシスの適応症に対する一部変更承認申請を行い、この度承認を取得した。なお、同剤は「トランスサイレチン型心アミロイドーシス」の効能・効果に対して、2018年3月に厚生労働省より「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定されていた。なお、日本循環器学会では、心アミロイドーシスに関するガイドラインの策定を開始するとともに、ATTR-心アミロイドーシス症例に対してビンダケルが適性に投与されるため、厚生労働省が定める患者要件に加え、施設要件、医師要件を定め、これらのすべての要件が満たされることをビンダケル投与導入の条件とするステートメントを発表した。■参考トランスサイレチン型心アミロイドーシス症例に対するビンダケル適性投与のための施設要件、医師要件に関するステートメント(日本循環器学会)

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