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ABO血液型不適合腎移植は、生存・生着を改善するか/Lancet

 ABO血液型不適合腎移植(ABOi-rTx)は、脱感作プロトコルや最適化に進展がみられるものの、3年以内の死亡率や移植腎の非生着率がABO血液型適合腎移植(ABOc-rTx)を上回ることが、ドイツ・オットー・フォン・ゲーリケ大学マクデブルクのFlorian G. Scurt氏らによるメタ解析で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2019年4月18日号に掲載された。ABOi-rTxは、提供臓器不足の打開策としてその使用が増加しているが、早期および長期のABOc-rTxに対する非劣性のエビデンスが求められている。ABOc-rTxを対照とし追跡期間1年以上の観察研究のメタ解析 研究グループは、ABOi-rTxとABOc-rTxのアウトカムを比較した観察研究を系統的にレビューし、メタ解析を行った。2017年12月31日までに発表され、ABOc-rTxを対照として移植術後1年以上のフォローアップが行われ、移植腎および移植を受けた患者の生存に関するデータを含む論文を選出した。死体腎ABOc-rTxは除外した。 主要エンドポイントは、術後1、3、5年および8年以降の全死因死亡、および移植腎の生着率とした。メタ解析では、I2が0の場合は固定効果モデルを、I2が0以上の場合は固定効果と変量効果モデルの双方を用いた。 1998年1月~2017年9月に発表された40件(日本の12件を含む)の試験に参加した6万5,063例を解析の対象とした。ABOi-rTx群が7,098例(平均年齢:44.9歳[範囲:34~56])、ABOc-rTx群は5万7,965例(43.1歳[31~55])であった。長期的な生存、生着には差がない、組み直し腎臓提供の強化を ABOi-rTx群はABOc-rTx群に比べ、移植後の1年死亡率(オッズ比[OR]:2.17、95%信頼区間[CI]:1.63~2.90、p<0.0001、I2=37%)、3年死亡率(1.89、1.46~2.45、p<0.0001、I2=29%)および5年死亡率(1.47、1.08~2.00、p=0.010、I2=68%)が有意に高かったが、8年以降の死亡率に有意差は認めなかった(1.18、0.92~4.51、p=0.19、I2=0%)。 移植腎生着率(death-censored graft survival)については、ABOi-rTx群はABOc-rTx群に比べ、1年時(OR:2.52、95%CI:1.80~3.54、p<0.0001、I2=61%)および3年時(1.59、1.15~2.18、p=0.0040、I2=58%)は有意に低く、5年時(1.31、0.96~179、p=0.09、I2=75%)および8年以降(1.07、0.64~1.80、p=0.79、I2=66%)は有意な差がなかった。 移植腎喪失の割合は、5年時および8年以降は両群で同等であった。一方、ABOi-rTx群で敗血症の割合が高かったが、尿路感染症やサイトメガロウイルス感染症には有意な差はなかった。また、ABOi-rTx群は出血や血腫、リンパ嚢腫の頻度が高かった。拒絶反応の割合は、全体、境界領域、T細胞関連型には両群で差はなかったが、急性抗体関連型の拒絶反応はABOi-rTx群で高かった。 リツキシマブベースの脱感作プロトコルは、これを用いた場合および用いなかった場合の死亡率が、初回脱感作プロトコルの有無にかかわらず、1年時(リツキシマブ不使用[OR:2.70、95%CI:1.74~4.18、I2=27%、pheterogeneity=0.23]、リツキシマブ使用[1.97、1.14~3.42、I2=45%、pheterogeneity=0.02])および3年時(リツキシマブ不使用[2.37、1.04~5.42、I2=47%、pheterogeneity=0.11]、リツキシマブ使用[1.77、1.20~2.60、I2=11%、pheterogeneity=0.33])ともに、ABOi-rTx群がABOc-rTx群よりも高かった。 出版バイアスは検出されなかった。また、移植後5年までの結果は頑健であったが、それ以降のデータは無効または非結論的だった。 著者は、「これらの知見は、ABO血液型不適合腎移植を進めるのではなく、組み直し腎臓提供(kidney paired donation)を支持するものであり、腎臓交換プログラムのネットワークを拡大し、その活用を強化する行動を求めるものである」としている。

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長時間作用型持効性注射剤による統合失調症患者の機能アウトカムへの効果~メタ解析

 心理社会的機能障害は、統合失調症で一般的にみられる。非定型抗精神病薬の長時間作用型持効性注射剤(LAI)は、アドヒアランスを改善することにより、心理社会的機能を改善すると考えられる。しかし、臨床試験において非定型抗精神病薬LAIが心理社会的機能に及ぼす影響を検討したシステマティックレビューは報告されていない。オーストラリア・アデレード大学のAndrew T. Olagunju氏らは、非定型抗精神病薬LAIとプラセボまたは経口抗精神病薬を比較したランダム化比較試験のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2019年4月8日号の報告。 主要データベースより、2018年までの非定型抗精神病薬LAIとプラセボまたは経口抗精神病薬を比較したランダム化比較試験を言語の制限なく検索した。心理社会的機能の変化とその予測因子に関する調査結果をシステマティックにレビューした。心理社会的機能の変化に関するデータは、ランダム効果モデルを用いてメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・システマティックレビューには26研究、メタ解析には19研究、8,616例(男性の割合:68.1%)が含まれた。・非定型抗精神病薬LAIは、心理社会的機能の改善において、プラセボ(標準化平均差[SMD]:0.39、95%信頼区間[CI]:0.32~0.47、p<0.001、I2=0%、9研究)および経口抗精神病薬(SMD:0.16、95%CI:0.01~0.31、p=0.04、I2=77%、10研究)と比較し優れており、その優位性は、短期および長期試験においても維持されていた。・心理社会的機能の不良の予測因子は、治療期間の長さ、症状重症度、認知機能不良、病識不良であった。・機能の評価は、単一または複数の方法の組み合わせにより評価したが、ほとんどの研究において、主要アウトカムではなかった。・その他のバイアス要因としては、盲検およびランダム化不良の報告が含まれていた点であった。 著者らは「非定型抗精神病薬LAIの心理社会的機能に対する改善効果は、プラセボと比較し有益であったが、経口抗精神病薬に対する優位性は大きくなかった。ベースライン時の重度な精神症状は、心理社会的機能の不良を予測した」としている。

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HIV予防薬服用で性感染症が増加するのは悪いことなのか?(解説:岡慎一氏)-1040

 いったんHIVに感染すると、現在の治療では治癒は不可能である。つまり、一生涯におよぶ治療が必要となる。日本では、年間の医療費は約250万円/人である。30歳前後でHIVに感染し、40年間治療を受ければ1人約1億円の医療費がかかる。HIV治療の公費負担は感染者が増えれば増えるほどかさむことになる。この10年間、毎年1,500人前後の新規感染者が発見されている。残念ながら、コンドーム推進キャンペーンが有効だとはいえない状況である。 世界で唯一、新規感染者を減らす方法として有効性が確立されているのは、今回の論文に出てくるHIV Pre-Exposure Prophylaxis(PrEP)である。PrEPとは、HIV感染リスクの高い人が前もって予防薬を服用することである。この予防法は非常に有効で、しっかりと予防薬さえ飲んでいれば、コンドームなどを使わなくてもHIVに感染することはほぼゼロになる。使わなくてもよければ使わない人が増えるのは当然で、その結果として、その他の性感染症(STI)が増加することは容易に予測される。この研究でも実際にSTIが増加したことが示されている。当然PrEPを始めると定期的にSTIの検査を受けるので、より多くのSTIが見つかるはずである。したがって、この論文では、検査件数で補正している。PrEP前に比べ検査件数で補正するとSTI全体で1.12倍増えている。しかしである。たった1.1年のフォローアップ期間である。PrEPにより定期的なSTI検査と早期診断・早期治療を徹底していけば、STI自体も減ってくるはずである(そのような地域もある)。さらに、HIV感染症と他のSTI、たとえば注射一本で治る淋病との重要度は比べようもない。HIVに対するrisk compensationとして1.12倍STIが増えたとしても取るに足らないことであろう。 現在、新規HIV感染者が激減しているのは、PrEPが実施されている国や地域のみである。2016年にWHOがHIVガイドラインでPrEPを強く推奨してから、2019年4月現在、世界ではすでに44ヵ国でPrEPが承認されている。そろそろ日本もcost effectivenessの確立されたPrEPの薬事承認をすべきときに来ている。

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横断中の歩きスマホがもたらすリスク【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第138回

横断中の歩きスマホがもたらすリスクぱくたそより使用今はもう、はやっていないのかもしれませんが、一時期「ポケモンGO」がものすごく流行しましたよね。社会現象になったくらい。私は時間がもったいなかったのでプレイしませんでしたが、街中にスマホを持ってウロウロしている人がたくさんいたのを覚えています。 Chen PL, et al.Pedestrian smartphone overuse and inattentional blindness: an observational study in Taipei, Taiwan.BMC Public Health. 2018;18:1342.この台湾の研究を最初読んだとき、歩きスマホで失明するのかと勘違いしそうになったのですが、タイトルにある非注意性盲目(inattentional blindness)というのは、無意識のうちに選んだ対象に注意を向ける際、その周囲で起こっている事象が背景化してしまい、記憶に残りにくいという現象のことを指します。マジックやイリュージョンでよく使われる現象です。この研究は、台北市において、スマホにおける通話、音楽、テキストメッセージのやりとり、ゲーム、ネットサーフィンといった行動が、スマホの過剰使用と歩行者の非注意性盲目に与える影響を調べたものです。Wi-Fiカメラを用いて、歩行者が信号を横断するときにスマホを使っていたかどうかを判断しました。横断した後、個々にインタビューを行い、気が散っていたか散っていなかったかの2群に分類されました。さて、どうやってそれを判定したかというと、横断歩道の反対側からピエロがスマホを持ち、そこからそれなりの音量の国歌を流して渡っていたので、普通ならば気付くでしょう、ということです。スマホに没入していると、ピエロには気付かないですよね。また、赤信号になっている間、歩行できる残り時間が表示されるのですが、渡り切ったときに「どのくらい時間が残っていたか」についても尋ねました。写真. 台湾の歩行者用信号(小緑人)Wikipediaより引用地道な作業が続けられ、なんと合計2,556人の歩行者のデータが集まりました。このうち、横断する前の歩道を歩いていた時点からインタビューするまでの間、スマホを触っていたのは2,215人で、横断している最中も触っていたのは約半数の1,112人に上ります。恐ろしい。判明したのは、調査当時に大流行していたポケモンGOのユーザーの非注意性盲目が顕著であったことです。ロジスティック回帰モデルで非注意性盲目の関連を調べると、ほかに独立リスク因子として記載されているのは、スマホの画面が大きいこと、データ使用制限がないスマホ、学生であること、でした。音楽を聴きながら横断していたなら国歌が聴こえないのはわかりますが、ゲームに熱中してピエロが国歌を流していたことがわからない集団がいるというのも怖い話です。何を言わんとしているかというと、とくに道路を横断しているときは歩きスマホは注意しましょうということです。

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小児双極性障害の最新疫学研究~メタ解析

 小児双極性障害に関連する研究は、過去7年間で増加している。米国・ザッカーヒルサイド病院のAnna Van. Meter氏らは、2011年の小児双極性障害の有病率についてのメタ解析をアップデートし、有病率に影響を及ぼす因子について検討を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2019年4月2日号の報告。 2018年、PubMedおよびPsycINFOより、英語で出版された論文を用いて文献レビューを行った。選定基準は、青少年の疫学サンプル、双極性スペクトラム障害を有する青少年の数、21歳以上と分類された青少年の有病率(両方を含む場合)とした。検索された2,400件中44件を評価し、8件を解析対象とした。各双極性障害サブタイプの有病率は、報告に沿って記録し、仮説モデレーター(研究の特徴や環境要因など)もコーディングした。 主な結果は以下のとおり。・8件の追加試験より、合計サンプル数19件が得られ、サンプルサイズは、5万6,103例(双極性障害患者1,383例)で3倍となった。・米国での研究が7件、南アメリカ、中央アメリカ、ヨーロッパでの研究が12件であった。・双極性スペクトラム障害の加重有病率は、3.9%(95%CI:2.6~5.8%)であった。・研究間での有意な不均一性が認められた(Q=759.82、df=32、p<0.0005)。・双極I型障害のプール率は0.6%(95%CI:0.3~1.2%)であり、これらにおいても不均一性が認められた(Q=154.27、df=13、p<0.0001)。・双極性スペクトラム障害有病率の高さの予測因子は、広義の双極性障害基準の使用(p<0.0001)、最少年齢(p=0.005)、生涯有病率(p=0.002)であった。・より新しい研究において、有病率の低さとの関連が認められた(p<0.0001)。 著者らは「最新のメタ解析では、米国の双極性スペクトラム障害有病率は、他の西欧諸国と比較し高くはなく、経時的な増加も認められないことが確認された。標準的でない診断基準は、全スペクトラムを除外した小児双極性障害の狭義の定義に焦点を当てた場合と同様に、さまざまな有病率を示すことにつながる。小児双極性障害の有病率に関する問題を解決するためには、検証済みの基準を一貫して適用することが求められる。非西欧諸国での研究は、国際的な有病率と危険因子を理解するうえで必要である」としている。■関連記事若年双極性障害への治療効果を高めるには小児・思春期の双極性障害に対する非定型抗精神病薬vs気分安定薬小児および青年期の重度な精神疾患発症率と薬理学的治療

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蠕虫感染症治療のベース、学校集団vs.地域集団/Lancet

 英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のRachel L. Pullan氏らは、土壌伝播蠕虫感染症に対する、学校集団を対象とした駆虫プログラムの代わりとなる集団治療の有効性を評価したクラスター無作為化比較試験を実施した。その結果、地域社会全体を対象に行った年1回の治療が、学校集団を対象とした同じく年1回の治療と比較して、鉤虫症の罹患率および感染強度の低下に有効であることが明らかにされた。検討では、年2回の介入も検討され、付加的利点はほとんど認められなかったことも判明した。学校集団を対象とした駆虫プログラムは、小児の土壌伝播蠕虫感染症の罹患率を低下させうるが、より広い地域社会への伝播は阻止できていなかった。今回の結果について著者は、「介入の範囲および効果の点で、地域社会全体への治療が非常に公正であることが示された」と述べている。Lancet誌オンライン版2019年4月18日号掲載の報告。学校集団(2~14歳)vs.地域集団(全年齢)、アルベンダゾール投与を比較 研究グループは、2015年3月18日~2017年5月17日の期間で、ケニア・クワレ地区(15万世帯)の120地域単位を対象に、アルベンダゾールによる治療を、2~14歳の学校集団で年1回実施する群、地域単位で全年齢を対象に年1回実施する群または年2回実施する群に1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、反復横断調査で評価した12ヵ月および24ヵ月時点の鉤虫症の罹患率であり、副次評価項目は、回虫および鞭虫の罹患率、各土壌伝播蠕虫感染症の感染強度ならびに治療の範囲と費用とし、intention-to-treat解析で評価した。地域集団の治療で鉤虫症罹患率が41~54%の低下 24ヵ月後、鉤虫症の罹患率は年1回学校集団治療群で18.6%(95%信頼区間[CI]:13.9~23.2)から13.8%(95%CI:10.5~17.0)に、年1回地域単位治療群で17.9%(95%CI:13.7~22.1)から8.0%(95%CI:6.0~10.1)に、年2回地域単位治療群で20.6%(95%CI:15.8~25.5)から6.2%(95%CI:4.9~7.5)に変化した。 年1回学校集団治療群と比較した、年1回地域単位治療群のリスク比は0.59(95%CI:0.42~0.83、p<0.001)、年2回地域単位治療群は同0.46(95%CI:0.33~0.63、p<0.001)であった。 リスクの低下は、12ヵ月の時点でも確認されたが24ヵ月の時点よりも少なかった。24ヵ月後のリスク比は、人口統計学的および社会経済的なサブグループ間で差異はなかった。アルベンダゾールに関連した有害事象の報告はなかった。

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乳がんのリンパ浮腫が一過性から持続性になるリスク因子

 乳がん治療関連リンパ浮腫(breast-cancer-related lymphedema、以下BCRL)には一過性と持続性があるが、持続性への移行のリスク因子が明らかにされた。台湾・Koo-Foundation Sun Yat-Sen Cancer CenterのI-Wen Penn氏らによる5年間のコホート研究の結果、対象患者342例のうち3分の2が持続性で、「リンパ節転移が多い」「体重増加がある」「上腕周囲径の差(circumferential difference、以下CD)が大きい」患者ほど、持続性の尤度が高いことが示されたという。Supportive Care in Cancer誌2019年3月号掲載の報告。 研究グループは、(1)BCRLを有する全患者において、持続性リンパ浮腫(persistent lymphedema、以下PLE)のリスク因子を特定すること、(2)PLE発症の予測モデルを確立することを目的とし、BCRLを有する患者342例を、腫脹発症から中央値5年間追跡し解析を行った。 PLEの定義は、皮下組織の硬化、上腕CDまたは追跡期間中の腫脹再燃とした。 多重ロジスティック回帰法にて、PLEリスク因子(腫脹、治療、患者関連因子など)を特定した。モデルの予測精度は、ROC曲線下面積(AUC)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・BCRL342例のうち、229例(67%)がPLEであった。・多重ロジスティック回帰分析により、リンパ節転移の数(p=0.012)、初回腫脹時の最大上腕CD(p<0.001)、追跡期間中の同差の最大値(p<0.001)が、PLEの有意な予測因子であることが明らかにされた。AUCは0.908であった。・体重増加(p=0.008)と、追跡期間最終時の最大CD(p=0.002)を含めると、分析精度はさらに上昇することが示された(AUC=0.920)。

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リファンピシン耐性結核の治療期間短縮トライアル(解説:吉田敦氏)-1038

 多剤耐性結核(キードラッグであるイソニアジド[INH]とリファンピシン[RIF]の両者に耐性)の治療は非常に難しい。薬剤数が多く、期間も長くなり、副作用も多く経験する。WHOは2011年のガイドラインにおいて、遺伝子検査を含む早期の耐性検査の実施、フルオロキノロン薬の使い分け、初期に行われるintensive phaseの治療期間の延長と合計18ヵ月以上の治療を推奨しているが、一方でそれよりも短期間の治療レジメンで良好な成績を収めた報告(例:バングラデシュ研究1))も存在する。今回は、RIF耐性結核例(ただし、フルオロキノロンとアミノグリコシドは感性)を対象とし、バングラデシュ研究で多剤耐性結核に対して用いられたレジメンと同様の9~11ヵ月の短期療法と、WHOのガイドラインに従った20ヵ月の長期療法の2法について、第III相ランダム化比較試験が実施された(実施国はエチオピア、モンゴル、南アフリカ共和国、ベトナム)。 有効性の判定で「良好」という基準は、132週の時点で経過が良く、培養陰性である(または陰性のままである)ことと定めた。患者の33%はHIV陽性であり、77%は肺に空洞を有していたが、治療レジメンについて十分なアドヒアランスが確保できたのは、短期療法群で75%、長期療法群で43%であった。そして上記の基準を満足した割合は、両群で差はなかった。Grade3以上の副作用出現率にも差はなかったが、「良好」の基準を満たさない患者での結核菌再検出率、心電図上のQT延長、ALT上昇、120週までの死亡、フルオロキノロン・アミノグリコシドの耐性出現は短期療法群でやや多かった。 使用された抗結核薬の内訳をみると、短期療法では最初の16週はintensive phaseとしてカナマイシン、イソニアジド、プロチオナミド、モキシフロキサシン(高用量)、クロファジミン、エサンブトール、ピラジナミドを投与、その後のcontinuation phaseではカナマイシン、イソニアジド、プロチオナミドを除いた4剤を、開始から40週以上投与していた。一方で長期療法は国によって用いる薬剤が異なっており、intensive phaseは5剤以上で6ヵ月以上、continuation phaseも4剤となっていた。つまり短期療法は、モキシフロキサシンを重視し、薬剤数を多くした(しかし短めの)intensive phaseを採用することで、長期療法との違いを打ち出していることになる。 総じて、短期療法は治療期間の短縮と、アドヒアランスの維持には貢献するが、不整脈を含む心臓への副作用の増加と突然死・死因不明死、肝障害に関連しているようで、実際に主に短期療法群でQT延長を確認後、モキシフロキサシンを減量したり、レボフロキサシンに変更した例が存在した。短期療法でみられたこのような副作用・デメリットが、モキシフロキサシンによるのか、その用量によるのか、あるいは他剤との相互作用によるのか、具体的な情報はない。HIV重複感染率が高かったため、その影響が事象を複雑にもしている。なおバングラデシュ研究ではモキシフロキサシンでなくガチフロキサシンが用いられていたが、ガチフロキサシンは低血糖などの理由で、本邦・米国等では発売が中止となっている。また本邦ではシタフロキサシンが抗酸菌感染症に用いられることがあるが、本検討にはシタフロキサシンは含まれていない。 WHOは2018年末に多剤耐性結核およびRIF耐性結核のガイドラインを改訂した2)。この中で短期療法の章が新たに設けられ、本試験を含む臨床試験の結果を考慮した短期療法と適応についてのスタンスが述べられている。2011年に比べ大きな進歩があったが、必須な薬剤の絞り込み、耐性に関する遺伝子検査のさらなる導入、副作用の早期発見と対処・代替薬剤の変更など、課題はまだまだ多い。条件を設定した短期治療は、標準化、個別化それぞれへの一歩といえるだろうが、最終的に個々の治療をさらに向上させるには、今後も多大な努力が求められるであろう。■参考1)Van Deun A, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2010;182:684-692.2)WHO updates its treatment guidelines for multidrug- and rifampicin-resistant tuberculosis.

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SGLT2阻害薬カナグリフロジンの腎保護作用がRAS抑制薬以来初めて示される:実臨床にどう生かす?(解説:栗山哲氏)-1039

オリジナルニュースSGLT2阻害薬カナグリフロジンの腎保護作用が示される:CREDENCE試験/国際腎臓学会(2019/04/17掲載)本研究の概要 SGLT2阻害薬の腎保護作用を明らかにしたCREDENCE研究結果がNEJM誌に掲載された。この内容は、本年4月15日(メルボルン時間)にオーストラリアでの国際腎臓学会(ISN-WCN 2019)において発表された。これまでにSGLT2阻害薬の心血管イベントに対する有効性や副次的解析による腎保護作用は、EMPA-REG OUTCOME、CANVAS Program、DECLARE-TIMI 58の3つの大規模研究で示されてきた。本試験は、顕性腎症を有する糖尿病性腎臓病(Diabetic Kidney Disease:DKD)の症例に対して腎アウトカムを主要評価項目とし、その有効性を明らかにした大規模研究である。 対象としたDKD患者背景は67%が白人で、平均年齢は63.0歳、平均HbA1c 8.3%、平均BMI 31%、平均eGFR 56.2mL/min/1.73m2、また尿アルブミン・クレアチニン比(UACR)の中央値は927mg/gCrの顕性腎症を呈するDKD例であった。併用薬は、99.9%にRAS抑制薬、69%にスタチンが投与されていた。対象の4,401例はカナグリフロジン100mg/日群(2,202例)とプラセボ群(2,199例)にランダム化され、二重盲検法で追跡された。主要評価項目は「末期腎不全・血清クレアチニン(Cr)倍増・腎/心血管系死亡」の腎・心イベントである。2018年7月、中間解析の結果、主要評価項目発生数が事前に設定された基準に達したため、試験は早期中止となった。その結果、追跡期間中央値は2.62年(0.02~4.53年)である。主要評価項目発生率は、カナグリフロジン群:43.2/1,000例・年、プラセボ群:61.2/1,000例・年となり、カナグリフロジン群におけるハザード比(HR)は、0.70(95%信頼区間[CI]:0.59~0.82)の有意低値となった。カナグリフロジン群における主要評価項目抑制作用は、「年齢」、「性別」、「人種」に有意な影響を受けず、また試験開始時の「BMI」、「HbA1c」、「収縮期血圧」の高低にも影響は受けていなかった。「糖尿病罹患期間の長短」、「CV疾患」や「心不全既往」の有無も同様だった。副次評価項目の1つである腎イベントのみに限った「末期腎不全・血清Cr倍増・腎死」も、カナグリフロジン群における発生率は27.0/1,000例・年であり、40.4/1,000例・年のプラセボ群に比べ、HRは0.66の有意低値だった(95%CI:0.53~0.81)。また、サブグループ別解析では、HRはeGFRの低い群(30 to <60mL/min/1.73m2、全体の59%)、尿ACRの多い群(>1,000、全体の46%)であり、進展したDKDでリスクが低値であった(Forest plotで有意差はなし)。同様に副次評価項目の1つである「CV死亡・心筋梗塞・脳卒中」(CVイベント)も、カナグリフロジン群におけるHRは0.80(95%CI:0.67~0.95)となり、プラセボ群よりも有意に低かった。なお、総死亡、あるいはCV死亡のリスクは、両群間に有意差を認めなかった。 有害事象のリスクに関しても、プラセボ群と比較した「全有害事象」のHRは0.87(95%CI:0.82~0.93)であり、「重篤な有害事象」に限っても、0.87(95%CI:0.79~0.97)とカナグリフロジン群で有意に低かった。また、「下肢切断」のリスクに関しては、発生率はカナグリフロジン群:12.3/1,000例・年で、プラセボ群:11.2/1,000例・年との間に有意なリスク差は認めなかった(HR:1.11、95%CI:0.79~1.56)。また、「骨折」の発生リスクにも、両群間に有意差はなかった。CREDENCE:何が新しいか? SGLT2阻害薬が心血管イベントを減少させるだけではなく、腎保護作用があることは、EMPA-REG OUTCOME、CANVAS Program、DECLARE-TIMI 58においても、すでに明らかにされている。本試験の新規性は、「中等度に腎機能低下した顕性腎症を呈するDKD患者においてもSGLT2阻害薬の腎保護が確認された」との点に集約される。たとえば、EMPA-REG OUTCOME試験においてはeGFRが60mL/min/1.73m2以下の症例は26%でRAS抑制薬は81%に使用されていたが、CREDENCEにおいては59%の症例がeGFR 60mL/min/1.73m2と腎機能低下例が多い背景であった。従来、SGLT2阻害薬は、eGFRを急激に低下させるため腎機能悪化に注意する、eGFR低下例では尿糖排泄も減少するため使用の意義は低い、とされてきた。CREDENCEの結果は、DKDで腎機能が中等度に低下し慢性腎不全と診断される症例において早めにSGLT2阻害薬を開始すると長期予後改善が期待される、と解釈される。CREDENCEの結果を実臨床にどう生かす SGLT2阻害薬が登場する前には、腎保護作用のエビデンスが知られる唯一の薬剤は、RAS抑制薬であるACE阻害薬(Lewis研究)とARB(RENAAL研究とIDNT研究)であった。CREDENCEの結果から、糖尿病治療薬では初めてSGLT2阻害薬が腎機能低下例においても腎機能保護作用が期待されることが示唆された。 SGLT2阻害薬の薬理学的作用機序は、腎尿細管のSGLT2輸送系の抑制によるNa利尿と尿糖排泄である。本剤は、DKDに対してのTubulo-glomerular Feedback改善作用や腎間質うっ血の改善効果は、他の糖尿病薬や利尿薬とはまったく異質のものであり、Glomerulopathy(糸球体障害)のみならずTubulopathy(尿細管障害)やVasculopathy(血管障害)の改善などで複合的に腎保護に寄与すると考えられる。 さて、CREDENCEの結果を受け、実臨床において、腎機能が低下したDKDにおいてSGLT2阻害薬を使用する医家が増えるものと予想される。しかし、現状では腎機能低下例での安全性が完全に払拭されているわけではない。本研究の患者背景は、大多数が60代、白人優位、高度肥満者、腎機能は約半数でeGFRが60mL/min/1.73m2以上に保たれている患者での成績であり、中等度以上の腎機能低下例や高齢者ではやはり十分な配慮が必要となる。一般に、SGLT2阻害薬有効例は、食塩感受性やインスリン感受性の高い患者群と想定される。わが国に多い2型糖尿病患者群は、中高年、肥満傾向、比較的良好な腎機能、食塩摂取過剰、などの傾向があることから、本剤に対する効果は大いに期待される。一方、現時点ではCREDENCEの結果をDKD患者に普遍的に適応するのは、いまだ議論が必要である。日本糖尿病学会の「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」(2016年)においては、同剤の適正使用に対して慎重になるべきとの警鐘を鳴らしている。とくに75歳以上の高齢者においては、脱水、腎機能悪化、血圧低下、低血糖、尿路感染、また、利尿薬併用例、ケトアシドーシス、シックデイ、などに注意して慎重に薬剤選択することが肝要であるとしている。結局、本邦においてSGLT2阻害薬の腎機能低下例における今後の評価は、各医家の実臨床における経験に裏付けされることが必要と思われる。

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BZP系薬剤抵抗性の小児けいれんてんかん重積、2次治療は?/Lancet

 ベンゾジアゼピン系薬剤抵抗性のけいれん性てんかん重積状態の小児における第2選択薬について、レベチラセタムはフェニトインに対し優越性は示されなかった。ニュージーランド・Starship Children's HospitalのStuart R. Dalziel氏らによる233例を対象とした非盲検多施設共同無作為化比較試験「ConSEPT」の結果で、Lancet誌オンライン版2019年4月17日号で発表した。本症の小児における第2選択薬は、フェニトインが現行では標準薬とされているが、効果があるのは60%に過ぎず、副作用が多く認められるという。レベチラセタムは新しい抗けいれん薬で、急速投与が可能であり、潜在的により有効であること、副作用プロファイルへの許容もより大きいことが示唆されている。レベチラセタムvs.フェニトイン、てんかん発作臨床的消失率を比較 ConSEPTは、レベチラセタムまたはフェニトインのいずれが、ベンゾジアゼピン系薬剤抵抗性のけいれん性てんかん重積状態の小児における第2選択薬として優れているかを明らかにすることを目的とした試験。2015年3月19日~2017年11月29日にかけて、オーストラリアとニュージーランドの13ヵ所の救急救命部門(ER)を通じて、けいれん性てんかん重積状態で、ベンゾジアゼピン系薬による1次治療で効果が得られなかった、生後3ヵ月~16歳の患者を対象に行われた。 研究グループは被験者を5歳以下と5歳超に層別化し、無作為に2群に分け、一方にはフェニトイン(20mg/kg、20分で静脈または骨髄内輸液)を、もう一方にはレベチラセタム(40mg/kg、5分で静脈または骨髄内輸液)を投与した。 主要アウトカムは、試験薬投与終了5分後のてんかん発作の臨床的消失で、intention-to-treat解析で評価した。投与終了5分後のてんかん発作の臨床的消失率、50~60%で同等 試験期間中に639例のけいれん性てんかん重積状態の小児がERを受診していた。そのうち127例は見逃され、278例は適格基準を満たしていなかった。また、1例は保護者の同意を得られず、ITT集団には残る233例(フェニトイン群114例、レベチラセタム群119例)が含まれた。 試験薬投与終了5分後にてんかん発作の臨床的消失が認められたのは、フェニトイン群60%(68例)、レベチラセタム群50%(60例)であった(リスク差:-9.2%、95%信頼区間[CI]:-21.9~3.5、p=0.16)。 フェニトイン群の1例が27日時点で出血性脳炎のため死亡したが、試験薬との関連はないと判断された。そのほかの重篤な有害事象は認められなかった。

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予後予測に優れた円形脱毛症評価ツールを開発

 円形脱毛症は、さまざまな原因やタイプがあることで知られている。韓国・延世大学校のSolam Lee氏らは、これに対し、すでに多くの評価ツールや分類法があるが、それらによる予後予測の価値は限定的だとして、予後の層別化に重点を置いた評価ツール「TOAST(topography-based alopecia areata severity tool)」を開発した。「TOASTは、毛髪損失の局所的特徴と予後を描出するのに効果的であり、医師はより良い治療計画を立てることができるだろう」と述べている。また、開発の過程で、「より良く予後を層別化するには、側頭部の病変を個別に評価することが必要」であることも明らかになったとしている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年3月27日号掲載の報告。 研究グループは、円形脱毛症における遺伝子表現型を同定し、予後を層別化するための予測モデルおよび重症度分類システム確立のため、クラスター分析を行った。 2012年10月~2017年2月に特定の3次医療施設を受診し4-view photographic assessmentを受けた円形脱毛症患者321例について、後ろ向きコホート研究を実施した。Severity of Alopecia Tool(SALT)2を用いて、臨床写真の毛髪損失を評価し、Ward法により円形脱毛症を階層別に分類、クラスター間の臨床的特徴と予後の違いを比較した。また、パフォーマンス、正確性、評価者間信頼性について、従来手法と比較し評価した。 主要評価項目は、円形脱毛症の遺伝子表現型と、12ヵ月以内の主要改善率(60~89%)および完全改善率(90~100%)であった。 主な結果は以下のとおり。・計321例が5つのクラスターに分類された。・グレード1は毛髪損失が限定的(200例:主要改善93.4%、完全改善65.2%)であり、グレード2A(66例:87.8%、64.2%)、2B(20例:73.3%、45.5%)は、グレード1より毛髪損失が大きかった。・また、グレード2Aと2Bは、毛髪損失の全体的な範囲は同程度だったが、2Bでは側頭部領域でも毛髪損失が大きく認められた。一方、2Aでは認められなかった。・グレード3は、びまん性もしくは広範囲にわたる円形脱毛症が含まれ(20例:45.5%、25.5%)、グレード4は全頭型に該当した(15例:28.2%、16.7%)。・予後は、グレード1とグレード2Aでは有意差は認められなかった(主要改善率のハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.56~1.12)が、グレード2B(HR:0.41、95%CI:0.21~0.81)、グレード3(HR:0.24、95%CI:0.12~0.50)、グレード4(HR:0.16、95%CI:0.06~0.39)では、有意に不良であった。・複合モデルにおいて、そのクラスターは最大の予後パフォーマンスと正確性を示した。・階層クラスターのツリーモデルをTOASTに変換し検証した結果、4人の皮膚科医において、優れた評価者間信頼性があることが示された(2次の重み付けκ係数中央値0.89)。

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女性へのゾルピデム使用リスク

 2013年、女性に対するゾルピデム就寝前投与は、昼間の鎮静リスクを上昇させ、運転技能の低下を来すことを示す新たなデータの存在をFDAが報告した。これには、女性では男性と比較し、ゾルピデムの代謝クリアランスの減少および朝の血中濃度の上昇が影響していると推定される。このことから、FDAは、女性へのゾルピデム推奨投与量を、男性の50%まで減量するよう指示した。しかし、世界的にどの規制当局においても同様な指示は出ていない。米国・睡眠障害研究センターのDavid J. Greenblatt氏らは、女性へのゾルピデム使用リスクについて、レビューおよび評価を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2019年5月号の報告。ゾルピデムの男女差は臨床試験では実証されていない ゾルピデムの薬物動態、薬力学、有害事象、臨床的有効性、運転能力に対する男女差の影響を評価するため、文献レビューとともにこれまでの研究データをさらに分析した。 ゾルピデムの薬物動態などに対する男女差の影響を評価した主な結果は以下のとおり。・女性では、男性と比較し、ゾルピデムの見かけのクリアランスが平均35%低いことが示唆された(236 vs.364mL/分、p<0.001)。・この違いは、体重による影響を受けていなかった。・いくつかの臨床試験において、同用量を服用している場合、男性よりも女性において機能障害が大きかったが、すべての研究において、経口投与8時間後における活性薬物は、プラセボ群と区分できなかった。・路上走行試験でも同様に、経口即時放出型ゾルピデム10mg投与8時間後において、男性および女性に運転障害があることは示されなかった。・ゾルピデムの臨床的有効性および有害事象における男女差は、臨床試験では実証されておらず、女性において特別なリスクがあることは示されなかった。 著者らは「女性に対するゾルピデム投与量減量は、入手可能な科学的根拠では裏付けられていない。過少投与が不適切な不眠症治療につながり、その結果として起こるリスクを上昇させる可能性がある」としている。■関連記事ゾルピデム処方と自動車事故リスク睡眠薬使用は自動車事故を増加させているのか日本人高齢者の不眠、男女間で異なる特徴:岡山大

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認知症への運動不足の影響、発症前10年から?/BMJ

 運動不足(physical inactivity)と認知症の関連についての観察研究は、逆の因果関係バイアスの影響が働く可能性があるという。フィンランド・ヘルシンキ大学のMika Kivimaki氏らIPD-Work consortiumは、このバイアスを考慮したメタ解析を行い、運動不足はあらゆる原因による認知症およびアルツハイマー病との関連はないのに対し、心血管代謝疾患を発症した集団では、運動不足により認知症リスクがある程度高い状態(1.3倍)にあることを示した。研究の詳細はBMJ誌2019年4月17日号に掲載された。無作為化対照比較試験では、運動による認知症の予防および遅延のエビデンスは得られていない。一方、観察コホート研究の多くはフォローアップ期間が短いため、認知症の発症前(前駆期)段階における身体活動性の低下に起因するバイアスの影響があり、運動不足関連の認知症リスクが過大評価されている可能性があるという。19件の前向き研究を逆の因果関係バイアスを考慮して解析 研究グループは、運動不足は認知症のリスク因子かを検討するために、この関連における心血管代謝疾患の役割および認知症発症前(前駆期)段階の身体活動性の変化に起因する逆の因果関係バイアスを考慮して、19件の前向き観察コホート研究のメタ解析を行った(NordForskなどの助成による)。 19件の研究は、Individual-Participant-Data Meta-analysis in Working Populations(IPD-Work) Consortium、Inter-University Consortium for Political and Social Research、UK Data Serviceを検索して選出した。 曝露は運動不足であり、主要アウトカムは全原因による認知症およびアルツハイマー病とし、副次アウトカムは心血管代謝疾患(糖尿病、冠動脈性心疾患、脳卒中)であった。変量効果によるメタ解析で要約推定量を算出した。運動不足は、発症前10年では関連あり、10年以上前では関連なし 認知症がなく、登録時に運動の評価が行われた40万4,840例(平均年齢45.5歳、女性57.7%、運動不足16万4,026例、活発な身体活動24万814例)について、電子カルテの記録で心血管代謝疾患および認知症の発症状況を調査した。認知症の平均フォローアップ期間は14.9年(範囲:9.2~21.6)だった。 600万人年当たり、2,044例が全認知症を発症した。認知症のサブタイプのデータを用いた研究では、アルツハイマー病は520万人年当たり1,602例に認められた。 認知症診断前の10年間(認知症の発症前段階)の運動不足は、全認知症(ハザード比[HR]:1.40、95%信頼区間[CI]:1.23~1.71)およびアルツハイマー病(1.36、1.12~1.65)の発症と有意な関連が認められた。一方、認知症発症の10年以上前の身体活動を評価することで、逆の因果関係を最小化したところ、活動的な集団と運動不足の集団に、認知症リスクの差はみられなかった(全認知症:1.01、0.89~1.14、アルツハイマー病:0.96、0.85~1.08)。これらの傾向は、ベースラインの年齢別(60歳未満、60歳以上)および性別(男性、女性)の解析でも同様に認められた。 また、認知症発症の10年以上前の運動不足は、糖尿病(HR:1.42、95%CI:1.25~1.61)、冠動脈性心疾患(1.24、1.13~1.36)および脳卒中(1.16、1.05~1.27)の新規発症リスクの上昇と関連し、診断前10年間では、これらのリスクはさらに高くなった。 認知症に先立って心血管代謝疾患がみられた集団では、運動不足の集団は認知症のリスクが過度な傾向がみられたものの、有意ではなかった(HR:1.30、95%CI:0.79~2.14)。心血管代謝疾患がみられない認知症では、運動不足と認知症に関連はなかった(0.91、0.69~1.19)。 著者は、「これらの知見は、運動不足を対象とする介入戦略だけでは、認知症の予防効果には限界があることを示唆する」としている。

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局所進行胃がん周術期療法、FLOT vs.ECF/ECX/Lancet

 切除可能な局所進行胃・胃食道接合部腺がんの治療において、ドセタキセルベースの3剤併用レジメンによる術前後の化学療法は標準レジメンと比較して、全生存期間(OS)を1年以上延長することが、ドイツ・UCT-University Cancer Center FrankfurtのSalah-Eddin Al-Batran氏らが行ったFLOT4-AIO試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年4月11日号に掲載された。術前後のエピルビシン+シスプラチン+フルオロウラシル(ECF)の有用性を示した大規模臨床試験(MAGIC試験)以降、いくつかのレジメンが検討されたが、いずれも不成功に終わっている。ドセタキセルベースの化学療法では、転移を有する胃・胃食道接合部腺がんにおける有効性が報告されている。FLOT4-AIOはFLOT群とECF/ECX群のレジメンに無作為割り付け FLOT4-AIOは、ドイツの38施設で実施された第II/III相非盲検無作為化試験であり、今回は第III相の結果が報告された(German Cancer Aid[Deutsche Krebshilfe]などの助成による)。 対象は、組織学的に確定された臨床病期cT2以上またはリンパ節転移陽性(cN+)、あるいはこれら双方で、遠隔転移がなく、切除可能な腫瘍を有する患者であった。 被験者は、次の2つのレジメンに無作為に割り付けられた。FLOT群:術前と術後に、2週を1サイクルとして4サイクルずつ、ドセタキセル(50mg/m2)+オキサリプラチン(85mg/m2)+ロイコボリン(200mg/m2)/フルオロウラシル(2,600mg/m2、24時間静注)を1日目に投与。ECF/ECX群(対照群):術前と術後に、3週を1サイクルとして3サイクルずつ、エピルビシン(50mg/m2、1日目)+シスプラチン(60mg/m2、1日目)+フルオロウラシル(200mg/m2、持続静注、1~21日)またはカペシタビン(1,250mg/m2、経口投与、1~21日)を投与。ECF/ECX群のフルオロウラシルかカペシタビンかの選択は担当医が行った。 主要アウトカムはOS(優越性)とし、intention-to-treat解析を実施した。FLOT群はECF/ECX群よりOSが15ヵ月延長 2010年8月~2015年2月の期間に716例が登録され、FLOT群に356例(年齢中央値62歳、男性75%)、ECF/ECX群には360例(62歳、74%)が割り付けられた。フォローアップは2017年3月に終了した。 実際に術前化学療法を開始したのは、FLOT群352例(99%)、ECF/ECX群353例(98%)で、全サイクルを完了したのはそれぞれ320例(90%)、326例(91%)であった。また、術後化学療法を開始したのはFLOT群213例(60%)、ECF/ECX群186例(52%)で、全サイクル完了はそれぞれ162例(46%)、132例(37%)だった。 投与中止の理由は、病勢進行/無効/早期死亡がFLOT群46例(13%)、ECF/ECX群74例(21%)、患者の要望がそれぞれ59例(17%)、62例(17%)、毒性が35例(10%)、47例(13%)であった。 手術開始は、FLOT群345例(97%)、ECF/ECX群341例(95%)、腫瘍手術が行えたのは、それぞれ336例(94%)、314例(87%)であった。断端陰性(R0)切除の達成は、FLOT群が301例(85%)と、ECF/ECX群の279例(78%)に比べ有意に高かった(p=0.0162)。 OS中央値は、FLOT群がECF/ECX群よりも有意に延長した(50ヵ月[95%信頼区間[CI]:38.33~未到達]vs.35ヵ月[27.35~46.26]、ハザード比[HR]:0.77、95%CI:0.63~0.94、p=0.012)。2、3、5年全生存率は、FLOT群がそれぞれ68%、57%、45%、ECF/ECX群は59%、48%、36%であった。このFLOTの治療効果は、すべてのサブグループで一致して認められた。また、無病生存期間中央値もFLOT群で有意に優れた(30ヵ月 vs.18ヵ月、0.75、0.62~0.91、p=0.0036)。 治療に関連する可能性のあるGrade3/4の有害事象のうち、FLOT群で多かったのは、感染症(18 vs.9%)、好中球減少(51 vs.39%)、下痢(10 vs.4%)、末梢神経障害(7 vs.2%)であり、ECF/ECX群で多かったのは、悪心(7 vs.16%)、嘔吐(2 vs.8%)、血栓塞栓イベント(3 vs.6%)、貧血(3 vs.6%)であった。また、治療関連の重篤な有害事象(手術のための入院期間中のものも含む)の発現状況は、両群で同等であった(FLOT群97例[27%]vs.ECF/ECX群96例[27%])。毒性による入院は、それぞれ89例(25%)、94例(26%)に認められた。 著者は、「本試験の結果は、有効な治療選択肢の幅を広げるものである」としている。

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左手(とリズムコントロール)は添えるだけ(解説:香坂俊氏)-1036

心房細動(AF)治療はカテーテルによる肺静脈焼灼術(いわゆるアブレーション)の登場により、多くのブレークスルーが起きているかのように見えるが、実をいうと「リズムコントロールで無理をしない」という軸はブレていない。このことはつい最近結果が発表され巷で話題となっているCABANA試験からも裏打ちされている(10ヵ国126施設が参加した非盲検無作為化試験:「症候性AFへのアブレーションの効果、CABANA試験で明らかに/JAMA」)。今回発表されたRACE-7試験の結果もこの「リズムコントロールで無理をしない」というコンセプトを急性期に拡張したものである(新規発症AFに対して除細動によるリズムコントロールを行うべきかランダム化によって検討:4週間後の洞調律維持率や心血管イベント発症率に有意な差を認めなかった)。(※)ちなみに、RACE-1試験[NEJM 2002]はAFに対してrate v. rhythm controlを比較し、RACE-2試験[NEJM 2010]はrate controlの中で 心拍数80/min以下(strict)v. 110/min以下(lenient)を比較した試験である(今回なぜ一気に「7」に飛んだかは不明)。このRACE試験の系譜でもそうなのであるが、今までAFでリズムコントロールがレートコントロールに予後改善という側面で勝ったことはない。現段階でリズムコントロール戦略は症状に応じて「添えるだけ」という捉え方でよいのではないかと自分は考えている。 現状のおおまかなAF治療方針: 1.血行動態が不安定なときは電気的除細動を考慮 2.それ以外はレートコントロール(lenientでよい) 3.長期的にはCHADS2-VAScに従って抗凝固薬を導入 4.AFの症状が日常生活に影響を及ぼすようであればリズムコントロール 5.その際は抗不整脈薬がダメなときに初めてアブレーション考慮

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小児けいれん重積2次治療、レベチラセタムvs.フェニトイン/Lancet

 小児のけいれん性てんかん重積状態の2次治療において、レベチラセタムの静脈内投与はフェニトインに比べ、てんかん重積状態の抑制に要する時間が短いものの、有意な差はなかったとの研究結果が、英国Bristol Royal Hospital for ChildrenのMark D. Lyttle氏らが実施したEcLiPSE試験で示された。研究の詳細はLancet誌オンライン版2019年4月17日号に掲載された。英国では、小児における本症の2次治療では、抗けいれん薬フェニトインの静脈内投与が推奨されている。一方、レベチラセタムは、本症に有効であり、より安全性が高い選択肢となる可能性を示唆するエビデンスがあるという。2剤を直接比較する英国30施設の無作為化試験 本研究は、英国の30ヵ所の2次または3次医療施設の救急診療部で行われた非盲検無作為化臨床試験である(英国国立衛生研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。 対象は、年齢6ヵ月~18歳で、2次治療を要するけいれん性てんかん重積状態(全般性強直間代性、全般性間代性、焦点性間代性)の患児であった。 被験者は、レベチラセタム(40mg/kg、5分で静脈内投与)またはフェニトイン(20mg/kg、最短で20分をかけて静脈内投与)の投与を受ける群に無作為に割り付けられた。引き続き、Advanced Paediatric Life Support(APLS)アルゴリズムに基づき、けいれん性てんかん重積状態の治療が行われた。 主要アウトカムは、無作為化からけいれん性てんかん重積状態の抑制までの時間とした。無作為化後に2次治療が不要となった患児や、同意が得られなかった患児を除く、修正intention-to-treat集団について解析が行われた。抑制までの時間:35分vs.45分、適切な選択肢となる可能性も 2015年7月~2018年4月の期間に実際に治療を受けた286例が解析に含まれた。レベチラセタム群が152例(年齢中央値2.7歳[範囲:0.6~16.1]、女児51%)、フェニトイン群は134例(2.7歳[0.6~17.9]、46%)であった。レベチラセタム群の3例がフェニトインの投与を受けた。 けいれん性てんかん重積状態は、レベチラセタム群が106例(70%)、フェニトイン群は86例(64%)で終息した。無作為化からけいれん性てんかん重積状態の抑制までの時間は、それぞれ35分(IQR:20~評価不能)および45分(24~評価不能)であり、両群に有意な差は認めなかった(ハザード比[HR]:1.20、95%信頼区間[CI]:0.91~1.60、p=0.20)。 追加的な抗けいれん薬の必要性(レベチラセタム群37.5% vs.フェニトイン群37.3%)、継続する発作を終息させるための迅速導入気管挿管(30.0% vs.35.1%)、高度治療室や小児集中治療室への入室(63.8% vs.53.7%)にも、両群に有意差はなかった。 有害事象は、レベチラセタム群では16例に20件、フェニトイン群では18例に23件認められた。レベチラセタム投与後にフェニトインの投与を受けた1例が、いずれの薬剤とも関連のない劇症脳浮腫の結果として死亡した。また、フェニトイン群の1例で、試験薬関連の2件の重篤な有害反応がみられた。 著者は、「レベチラセタムは、フェニトインに対して有意な優越性はなかったが、これまでに報告された安全性プロファイルや相対的に簡便な投与法を考慮すると、小児における本症の2次治療では、第1選択の抗けいれん薬として適切な選択肢となる可能性がある」としている。

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英国で食品中の砂糖20%削減へ、関連疾患は抑制されるか/BMJ

 2017年3月、英国政府は、食品製造および小売業界との協働で、シリアルや菓子類など特定の食品群の砂糖含有量を2020年までに20%削減する計画を発表した。イングランド公衆衛生庁(Public Health England)は、砂糖摂取目標を1日摂取カロリーの5%までとすることで摂取カロリーを11%削減し、これによって年間砂糖関連死を4,700件減らし、医療費を年間5億7,600万ポンド抑制するとのモデルを打ち出した。今回、同国オックスフォード大学のBen Amies-Cull氏らは、砂糖減量計画の潜在的な健康上の有益性について予測評価を行い、BMJ誌2019年4月17日号で報告した。砂糖減量計画の肥満、疾病負担、医療費への影響を検討 研究グループは、英国政府による砂糖減量計画が子供および成人の肥満、成人の疾病負担、医療費に及ぼす影響の予測を目的にモデル化研究を行った(特定の研究助成は受けていない)。 全国食事栄養調査(National Diet and Nutrition Survey:NDNS)の2012~13年度と2013~14年度におけるイングランドの食品消費と栄養素含有量データを用いてシミュレーションを行い、砂糖減量計画によって達成される体重およびBMIの潜在的な変化を予測するシナリオをモデル化した。 シナリオ分析は、個々の製品に含まれる砂糖の量の20%削減(低砂糖含有量製品へ組成を変更または販売の重点の転換[砂糖含有量の多い製品から少ない製品へ])または製品の1人前分量の20%削減について行った。イングランドに居住する4~80歳のNDNS調査対象者1,508例のデータを用いた。 主要アウトカムは、子供と成人の摂取カロリー、体重、BMIの変化とした。成人では、質調整生存年(QALY)および医療費への影響などの評価を行った。10年で、糖尿病が15万4,550例減少、総医療費は2億8,580万ポンド削減 砂糖減量計画が完全に達成され、予定された砂糖の減量がもたらされた場合、1日摂取カロリー(1kcal=4.18kJ=0.00418MJ)は、4~10歳で25kcal(95%信頼区間[CI]:23~26)低下し、11~18歳も同じく25kcal(24~28)、19~80歳では19kcal(17~20)低下すると推定された。 介入の前後で、体重は4~10歳で女児が0.26kg、男児は0.28kg減少し、これによってBMIはそれぞれ0.17、0.18低下すると予測された。同様に、11~18歳の体重は女児が0.25kg、男児は0.31kg減少し、BMIはそれぞれ0.10、0.11低下した。また、19~80歳の体重は女性が1.77kg、男性は1.51kg減少し、BMIは0.67、0.51低下した。 全体の肥満者の割合は、ベースラインと比較して、4~10歳で5.5%減少し、11~18歳で2.2%、19~80歳では5.5%減少すると予測された。 QALYについては、10年間に、女性で2万7,855 QALY(95%不確定区間[UI]:2万4,573~3万873)、男性では2万3,874 QALY(2万1,194~2万6,369)延長し、合わせて5万1,729 QALY(4万5,768~5万7,242)の改善が得られると推算された。 疾患別のQALY改善への影響は、糖尿病が圧倒的に大きく、10年間に女性で8万9,571例(95%UI:7万6,925~10万1,081)、男性で6万4,979例(5万5,698~7万3,523)、合計15万4,550例(13万2,623~17万4,604)が減少すると予測された。また、10年で大腸がんが5,793例、肝硬変が5,602例、心血管疾患は3,511例減少するが、肺がんと胃がんの患者はわずかに増加した。総医療費は、10年間に2億8,580万ポンド(3億3,250万ユーロ、3億7,350万米ドル、95%UI:2億4,970万~3億1,980万ポンド)削減されると推定された。 3つの砂糖減量アプローチ(製品組成の変更、1人前分量の削減、販売の重点の転換)のうち、1つで摂取カロリー削減に成功しなかった場合、疾病予防への影響が減衰し、健康上の有益性が容易に失われる可能性が示唆された。 著者は、「英国政府による砂糖減量計画では、砂糖の量および1人前の分量の削減が、摂食パターンや製品組成に予期せぬ変化をもたらさない限り、肥満および肥満関連疾患の負担の軽減が可能と考えられる」としている。

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治療抵抗性うつ病患者の脱落予測因子と臨床的影響

 第2選択薬治療による臨床試験より脱落した治療抵抗性うつ病患者について、イタリア・ボローニャ大学のPaolo Olgiati氏らが、調査を行った。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2019年4月2日号の報告。 対象は、第1選択薬で奏効が見られず、ベンラファキシンの6週間治療に移行したうつ病外来患者342例。社会人口統計学的および臨床的特徴を、脱落群と非脱落群で比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・脱落群65例(19%)のうち、30例(46%)は4週間以内に脱落していた。・脱落患者の特徴は、うつ病エピソード期間の長さ(p=0.011)、抗うつ薬の低用量投与(p<0.0001)、うつ症状の急激な減少(2週間)の結果(p=0.028)であった。・しかし、早期改善で制御したところ、脱落群は、抗うつ薬治療反応の可能性の低さと関連が認められた(オッズ比[OR]=0.16~0.83)。・14日目におけるMADRSスコア30%以上減少は、その後の脱落を高い特異度(81.9%・1.0%)で予測したが、臨床使用の低感度(19.6%・2.8%)を示した。 著者らは「長期間うつ病に罹患しており、抗うつ薬変更直後に症状が改善した患者では、脱落リスクが高くなる可能性がある。脱落を予測するためのこれらの特性の有用性を確認するためには、さらなる研究が必要とされる」としている。■関連記事治療抵抗性うつ病を予測する臨床的因子~欧州多施設共同研究治療抵抗性うつ病に対する増強療法~メタ解析治療抵抗性うつ病と自殺率

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5α-還元酵素阻害薬による2型糖尿病発症リスクの増加(解説:吉岡成人氏)-1033

5α-還元酵素阻害薬と前立腺肥大症、男性型脱毛症 前立腺肥大症や男性型脱毛症は中高年以降の男性が罹患する代表的疾患であるが、発症の要因の1つとしてジヒドロテストステロン(DHT)の関与が知られている。テストステロンは5α-還元酵素によってより活性の強いDHTに変換され、前立腺においてはテストステロンの90%がDHTに変換されている。そのため、5α-還元酵素に対して競合的阻害作用を持つ5α-還元酵素阻害薬が、前立腺肥大症や男性型脱毛症の治療薬として使用されている。 5α-還元酵素には2種類のアイソフォームがあり、type 1は肝臓、皮膚、毛嚢などに分布し、男性化に関与するtype 2は外陰部の皮膚、頭部毛嚢、前立腺などに分布している。type 1、type 2の双方を阻害する薬剤がデュタステリド(商品名:アボルブ、ザガーロ)であり、type 2のみを阻害する薬剤がフィナステリド(商品名:プロペシア)である。フィナステリドはRCTであるProstate Cancer Prevention Trial(PCPT)により、前立腺がんの発症リスクを低下させることが知られており、最近では、前立腺がんによる死亡リスクも低下させる可能性が示唆されている(Goodman PJ, et al. N Engl J Med. 2019;380:393-394.)。5α-還元酵素阻害薬の副作用としては性機能不全(勃起不全、射精障害)や女性化乳房があり、1%前後の割合で発症する。5α-還元酵素阻害薬によるインスリン抵抗性の増強 10~20例と少数例ではあるが、ヒトを対象とした臨床研究においてtype 1、type 2の双方の5α-還元酵素を阻害するデュタステリドはインスリン抵抗性を増強させ、肝臓での脂肪蓄積を引き起こすことが報告されている(Upreti R, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2014;99:E1397-E1406.、Hazlehurst JM, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2016;101:103-113.)。しかし、type 2の5α-還元酵素のみを阻害するフィナステリドにおけるインスリン抵抗性の増強作用は確認されていなかった。5α-還元酵素阻害薬と糖尿病の発症 このような背景の下で、大規模臨床データベースを用いて5α-還元酵素阻害薬の投与と2型糖尿病の発症についての関連を検討した成績がBMJ誌に掲載された(Wei L, et al. BMJ. 2019;365:l1204.)。英国の大規模臨床データベース(Clinical Practice Research Datalink:CPRD 2003-14)と台湾の医療保険請求に基づくデータベース(Taiwanese National Health Insurance Research Database:NHIRD 2002-12)を用いて解析が行われている。 英国におけるCPRDでは、デュタステリド投与群8,231例、フィナステリド投与群3万774例、対照としてα1遮断薬であるタムスロシン(商品名:ハルナール)を投与した1万6,270例を抽出して、プロペンシティースコアマッチングを行い、各群1,251例、2,445例、2,502例として2型糖尿病の発症についてCox比例ハザードモデルを用いて検討されている。追跡期間中央値5.2年の間における2型糖尿病の発症率は1万人年当たりで、デュタステリド群76.2(95%信頼区間:68.4~84.0)、フィナステリド群76.6(95%信頼区間:72.3~80.9)、タムスロシン群60.3(95%信頼区間:55.1~65.5)であり、デュタステリド、フィナステリドのいずれの投与群でもハザード比で1.32、1.26と2型糖尿病の発症リスクが増大することが確認された。 台湾におけるNHIRDの結果もCPRDに一致するもので、デュタステリド、フィナステリドのいずれの投与群でもハザード比で1.34、1.49であり、2型糖尿病の発症リスクが高まるという。 日本においては、男性型脱毛症における5α-還元酵素阻害薬の使用は保険診療ではないため、どの程度の人たちに使用されているのかはわからないが、前立腺肥大症の患者には一定の割合で使用されており、5α-還元酵素阻害薬の副作用として耐糖能障害や脂肪肝などインスリン抵抗性に基づく病態が惹起されることを再認識すべきではないかと思われる。

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日本人うつ病患者における健康関連QOLや経済的負担

   うつ病は、健康だけでなく経済的負担への影響も大きい疾患である。武田薬品工業の山部 薫氏らは、日本人成人におけるうつ病診断の有無による健康関連アウトカムとコストへの影響について調査を行った。ClinicoEconomics and Outcomes Research誌2019年3月号の報告。 日本の健康調査National Health and Wellness Survey(NHWS)の2012~14年のデータ(8万3,504人)を用いて、レトロスペクティブ観察研究を行った。日本人のうつ病診断群2,843例、うつ病未診断群2,717例(weight)、非うつ病対照群2,801例(weight)における健康関連QOL、仕事の生産性および活動障害に関する質問票(Work Productivity and Activity Impairment Questionnaire:WPAI)、医療リソース利用、年間コストの差を評価した。共変量で調整した後、傾向スコアの重み付けと加重一般化線形モデルを用いて、アウトカム変数の群間比較を行った。日本人うつ病患者は1人当たりのコストが高かった 日本人のうつ病診断による健康関連アウトカムとコストの主な調査結果は以下のとおり。・日本人のうつ病未診断群は、うつ病診断群よりも有意に良好なアウトカムを示したが(p<0.001)、非うつ病対照群よりも有意に不良なアウトカムを示した(p<0.001)。・平均精神的サマリー(Mental Component Summary)スコアの比較において、うつ病診断群(33.2)は、うつ病未診断群(34.5)および非うつ病対照群(48.6)よりも低かった。・同様の所見が、平均身体的サマリー(Physical Component Summary)スコア(49.2 vs.49.5 vs.52.8)および健康状態効用スコア(0.61 vs.0.62 vs.0.76)においても得られた。・日本人のうつ病診断群は、うつ病未診断群および非うつ病対照群よりも、欠勤(13.1 vs.6.6 vs.2.5%)、プレゼンティズム(presenteeism、41.4 vs.38.1 vs.18.8%)、全体的な作業生産性の低下(47.2 vs.41.1 vs.20.2%)、活動障害(48.4 vs.43.3 vs.21.1%)が多く認められた。・日本人のうつ病診断群は、うつ病未診断群よりも、患者1人当たりの直接的コスト(1.6倍)および間接的コスト(1.1倍)が高かった。 著者らは「本研究の知見で、うつ病の適切な診断・治療を促進するためには、日本人成人においてうつ症状をより意識する必要性を示唆している」としている。

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