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統合失調症患者の同意能力と認知機能との関係

 同意の意思決定能力は、倫理的および法的な新しい概念であり、重要な医学的決定や臨床研究への参加に直面している患者において、自己決定と密接に関連するものである。国立精神・神経医療研究センターの菅原 典夫氏らは、統合失調症患者における同意の意思決定能力と認知機能との関係について、Frontiers in Psychiatry誌2019年4月12日号で報告した。 主な内容は以下のとおり。・近年、意思決定能力を評価するため、4つの側面(理解、感謝、推論、選択の表現)からなる半構造化インタビューのMacArthur能力評価ツール(MacCAT)が開発された。・MacCATで測定された統合失調症患者群の意思決定能力は、健常対照群と比較し、損なわれていることが示唆されている。・このことは、統合失調症患者の意思決定能力が、必ずしも低下していることを意味するものではない。・リアルワールドでは、統合失調症患者からインフォームドコンセントを得ることが求められるが、そのためには、精神病理学的特徴と疾患における意思決定能力との関係を評価することが重要である。・統合失調症患者では、陰性症状が、意思決定に関連する情報を理解する能力、合理的な理由、状況の理解、その結果と関連していることが証明されている。・一方で、幻覚や妄想などの陽性症状は、低い能力との一貫した相関はみられていない。・いくつかの研究では、統合失調症の中核症状の1つである認知機能障害が、陽性症状や陰性症状よりも、意思決定能力に対し、より大きく関与している可能性が示唆されている。 著者らは「統合失調症患者の認知機能を強化し、同意や自主性を促進する能力を向上させることは、医学的治療や臨床研究への参加において合理的であると考えられる。このことや関連する問題を解明するためには、さらなる研究が求められる」としている。

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英国の性交頻度、性的活発集団で急低下/BMJ

 性的に活発な人々の割合や、この集団における性交頻度の低下が、日本を含むいくつかの国で観察されている。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のKaye Wellings氏らは、同国の全国調査のデータを解析し、最近は性交頻度に低下傾向が認められ、とくに25歳以上および結婚/同棲者で顕著であることを明らかにした。BMJ誌2019年5月7日号掲載の報告。3つの反復的な横断研究間で、実際/望ましい性交頻度を比較 研究グループは、英国における性交頻度およびその生活様式上の因子との関連の経時的な変化を調査する目的で、3つの反復的な横断研究のデータの解析を行った(英国Wellcome Trustなどの助成による)。 National Surveys of Sexual Attitudes and Lifestyles(Natsal)-1は、年齢16~59歳の1万8,876例と面談し、1991年に終了した。また、Natsal-2は、年齢16~44歳の1万1,161例を対象とし、2001年に終了しており、Natsal-3の対象は、年齢16~74歳の1万5,162例で、2012年に終了した。 年齢16~44歳(3つの調査で一般的な年齢層)における実際の性交頻度と望ましい性交頻度を、16~24歳、25~34歳、35~44歳に分けて、3つの調査間で比較した。また、Natsal-3のデータを用いて、週1回以上の性交頻度と関連する因子の評価を行った。 主要アウトカムは、最近4週間の性交頻度および望ましい性交頻度とした。健康、雇用、所得が良好な集団で頻度が高い 過去1ヵ月の性交回数中央値は、女性ではNatsal-1とNatsal-2が4回で、Natsal-3は3回であり、男性では3つの調査とも3回であった。 過去1ヵ月に性交なしと回答した割合は、女性ではNatsal-1の28.5%からNatsal-2の23.0%へと減少し、男性では30.9%から26.0%へと低下したが、Natsal-3では女性が29.3%、男性は29.2%へとそれぞれ増加した。 過去1ヵ月の性交回数が10回以上と回答した割合は、女性ではNatsal-1の18.4%からNatsal-2の20.6%へと上昇し、男性では19.9%から20.2%へと増加したが、Natsal-3では女性が13.2%、男性は14.4%へとそれぞれ減少した。 年齢25歳以上および結婚/同棲の集団では、性交頻度が最も急低下していた(交互作用検定 p<0.05)。また、性交頻度の低下とともに、性交頻度はもっと高いほうが好ましいとの回答の割合の増加が認められた。 過去1ヵ月の性交回数が4回以上と回答した集団で、さまざまな因子との関連を評価したところ、男女ともに身体的健康および心の健康が良好な集団で性交頻度が高く、同様に完全雇用および高所得の集団でも高頻度であった。 著者は、「英国の性交頻度の低下は、性的に活発な集団における頻度の低下によって促進されていた」とまとめ、「これらの知見とその意義は、英国の技術的、人口統計学的、社会的な変化との関連において説明する必要があり、さらなる検討を要する」としている。

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労作ではあるがnegative studyである(解説:野間重孝氏)-1051

 評者は多くの読者がこの論文を誤解して読んだのではないかと危うんでいる。つまり、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)による心停止から回復した患者に対する治療方針として、血管インターベンション(PCI)を前提とした緊急冠動脈造影を行うのが望ましいのか、待機的冠動脈造影とするのが望ましいのかを検討した論文として読んだ方が多いのではないだろうか。また、ある方はもっとストレートに、NSTEMIを基礎として起こった心停止例の治療に対して緊急PCIが望ましいのか、待機的PCIが望ましいのかを検討した成績として読んだ方もいらっしゃるかもしれない。確かに、この論文の筆致から致し方がないようにも思われるのだが、もう一度この論文の題名を確かめていただきたい。“Coronary Angiography after Cardiac Arrest without ST-Segment Elevation”となっており、NSTEMIといった言葉は入っていないことに気付かれると思う。論文評としてはいささか妙な書き出しになったのは、実は評者自身一読した段階で誤解しそうになったからだ。 重篤な不整脈による心停止の原因として圧倒的に虚血発作が多いことは、いくつもの観察研究ですでに明らかになっている。しかし、ER到着時にST上昇がない症例については、多少のST-T変化があったとしても虚血性心疾患とは断定できない場合が多い。発生からの時間により心筋逸脱物質もまだ上昇していない場合もあれば、ある程度上昇していてもそれが冠動脈疾患によるものなのか、心停止による心筋障害なのか区別がつかない場合も多い。重症心不全もなく、本研究の除外基準であるショック、治療抵抗性の不整脈の発生もない症例で、ただ心停止回復後で意識が戻らないという症例をみたときにどうするのか。そういった症例に対して、確定診断+場合による治療の目的で緊急冠動脈造影をすることが正しいのか、それとも内科的至適治療をしながら意識が戻るのを待ち、待機的に造影をすることが正しいのか、これが本研究の問い掛けなのである。後者を考える場合“意識が戻る”というのが重要で、脳死状態に移行していってしまう患者に対して、それ以上の検査・治療行為は無駄であるからである。その結論が、「緊急冠動脈造影とその結果による緊急PCIを行うか行わないかは、90日生存率に影響を与えない」、つまり緊急冠動脈造影を行う必要はないというものだったのである。この場合NSTEMIであるのかどうかは関係がない。実際、冠動脈造影の1/3の症例で冠動脈は正常だったし、血栓性閉塞だったと考えられた症例は両群を合わせても22例しかいなかったことからも明らかだろう。 本研究で重要な点は上記に加えて、心停止後の生命予後の決定因子としては、神経損傷の程度が心筋損傷の程度に比べて圧倒的に重要であることを示したことである。しかし残念ながら、現行の医学のレベルにおいては神経損傷の程度を急性期に正確に評価する方法はなく、また予後不良であることが予測できた場合でも、積極的にインターベンションを加える方法は確立されていない。本研究では低体温療法における目標体温までの到達時間に差があったことを論じているが、低体温療法自体がどの程度の効果があるのか結論が出ていない今、多少の時間の違いを論じてもあまり意味がないだろう。なお、著者は目標体温到達まで時間を要してしまったことが、緊急血管造影の潜在的ベネフィットを弱めた可能性があると付け加えている。おそらくどれも有意差が出なかった中でこの項目だけ差が出てしまったため、著者らとしては言及せざるを得なかったのだろうが、これは神経損傷因子を修飾する付加的因子であるので、両群間で神経損傷による死亡率に差が出たのならそれも言えるが、そうではない以上、この議論は不要であると考えられた。 こうした臨床研究に出会ったときにいつも述べることなのだが、普段私たちがあまり疑問に思わないでいるような事柄も、実は検証してみないとわからない場合が多い。そういう意味でこの研究にも敬意を表するものではあるのだが、では、こうした患者を診たときにお前は造影をするのかしないのかと聞かれれば、やはりすると答えてしまうのはカテ屋の性のようなものだろうか。というのは素直でない表現になってしまったが、実臨床では害がないのならば早い時期に確定診断を付けて、できる治療はやってしまいたいと考える実地医家は少なくないのではないかと思う。著者らの意図とは別に意見の分かれるところではないだろうか。これは問題の冠動脈造影の時期については結局negative studyであったのだから、致し方がないと思う。 苦言を呈するとすれば、appendixにではなく、本文中のMethodsの項に対象の基準、除外基準を書き込み、統計法についてももう少し詳しく言及し、appendixを読まなくても独立した論文として読める体裁にまとめてほしかったと感じた。実際、本論文では除外基準が重要であるのだが、全体像はappendixを読まないとわからない。近年論文の長さに制限を設け、細かな内容についてはappendixを付けてそちらに書き込むように指導する雑誌が増加しているようだ。細かなCOIに関する項目やプロトコールの詳細、フローチャート、統計にしても細かな数式上の問題などはappendixに書き込んでいただいたほうが本文は読みやすくなって助かるが、それも程度の問題であり、本文がそれだけでは独立性がなくなってしまうようでは本末転倒であると思う。この部分は論文評とは言えないが、各誌にご一考を求めたいと思う。

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進行胆道がん、nab-パクリタキセルの上乗せで生存延長/JAMA Oncol

 進行胆道がんの生存期間改善に有望な治療法が示唆された。現在、進行胆道がんに対する標準治療はゲムシタビン+シスプラチンであるが、無増悪生存期間(PFS)中央値は8.0ヵ月、全生存期間(OS)は11.7ヵ月である。米国・アリゾナ大学がんセンターのRachna T. Shroff氏らは、ゲムシタビン+シスプラチンへのnab-パクリタキセルの上乗せ効果について検討し、nab-パクリタキセル+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法により、ヒストリカルコントロール(ゲムシタビン+シスプラチン)の報告と比較し、PFSおよびOSが改善したことを報告した。著者は「今回の結果は、第III相の無作為化臨床試験で検証されることになるだろう」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2019年4月18日号掲載の報告。 研究グループは、ゲムシタビン+シスプラチンへのnab-パクリタキセル上乗せが進行胆道がん患者のPFSを改善するかどうかを評価する目的で、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターおよびアリゾナ州フェニックスのメイヨー・クリニックにて、単群非盲検第II相臨床試験を実施した。 2015年4月14日~2017年4月24日の期間に進行胆道がん患者62例が登録され、ゲムシタビン(1,000mg/m2)、シスプラチン(25mg/m2)およびnab-パクリタキセル(125mg/m2)を3週間間隔で1日目と8日目に投与された。最初に登録された32例に血液学的有害事象が認められたため、残りの患者では用量をそれぞれ800mg/m2、25mg/m2および100mg/m2とした。 主要評価項目は、intention-to-treat集団における治験担当医師の評価によるPFSである。 主な結果は以下のとおり。・治療を開始した60例の患者背景は、平均年齢58.4歳、肝内胆管がんが38例(63%)、肝外胆管がんが9例(15%)、胆嚢がんが13例(22%)で、47例(78%)が転移を有する症例、13例(22%)が局所進行例であった。・追跡期間中央値12.2ヵ月において、PFS中央値は11.8ヵ月であった。・部分奏効率は45%、病勢コントロール率は84%、OS中央値は19.2ヵ月(95%CI:13.2~評価不能)であった。・安全性解析集団(57例)において、治療サイクル数中央値は6であり、26例(46%)では試験期間を通じて開始用量が維持された。・Grade3以上の有害事象の発現率は58%であった。9例(16%)が有害事象のために試験中止となった。最も発現率が高かったGrade3以上の有害事象は好中球減少症(19/57例、33%)であった。・事後解析の結果、開始用量、胆道がんの種類または疾患状態と有効性との間に有意な関連は認められなかった。また、忍容性は減量例で改善した。

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貧血/鉄欠乏の心臓手術患者、術前日の薬物治療で輸血量減少/Lancet

 鉄欠乏または貧血がみられる待機的心臓手術患者では、手術前日の鉄/エリスロポエチンアルファ/ビタミンB12/葉酸の併用投与により、周術期の赤血球および同種血製剤の輸血量が減少することが、スイス・チューリッヒ大学のDonat R. Spahn氏らの検討で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年4月25日号に掲載された。貧血は、心臓手術が予定されている患者で高頻度に認められ、赤血球輸血量の増加や、死亡を含む有害な臨床アウトカムと関連する。また、鉄欠乏は貧血の最も重要な要因であり、鉄はエネルギーの産生や、心筋機能などの効率的な臓器機能に関与する多くの過程で中心的な役割を担っている。そのため、貧血と関連がない場合であっても、術前の鉄欠乏の治療を推奨する専門家もいるという。術前の超短期間の薬物併用治療による、輸血量削減効果を評価 本研究は、術前の超短期間の薬物併用投与による、周術期の赤血球輸血量の削減と、アウトカムの改善の評価を目的に、単施設(チューリッヒ大学病院臨床試験センター)で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照並行群間比較試験であり、2014年1月9日~2017年7月19日に患者登録が行われた(Vifor Pharmaなどの助成による)。 対象は、貧血(ヘモグロビン濃度が、女性は<120g/L、男性は<130g/L)または鉄欠乏(フェリチン<100mcg/L、貧血はない)がみられ、待機的心臓手術(冠動脈バイパス術[CABG]、心臓弁手術、CABG+心臓弁手術)が予定されている患者であった。 被験者は、手術の前日(手術が次週の月曜日の場合は金曜日)に、カルボキシマルトース第二鉄(20mg/kg、30分で静脈内注入)+エリスロポエチンアルファ(40,000U、皮下投与)+ビタミンB12(1mg、皮下投与)+葉酸(5mg、経口投与)を投与する群(併用治療群)またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、手術施行日から7日間の赤血球輸血とした。赤血球輸血コストは低いが、総コストは高い 修正intention-to-treat集団は484例であった。243例(平均年齢69歳[SD 11]、女性35%)が併用治療群に、241例(67歳[12]、34%)はプラセボ群に割り付けられた。 手術日から7日間の赤血球輸血中央値は、併用治療群では0単位(IQR:0~2)であり、プラセボ群の1単位(0~3)に比べ、有意に低かった(オッズ比[OR]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.50~0.98、p=0.036)。また、術後90日までの赤血球輸血も、併用治療群で有意に少なかった(p=0.018)。 輸血された赤血球の単位が少なかったにもかかわらず、併用治療群はプラセボ群に比べ、術後1、3、5日のヘモグロビン濃度が高く(p=0.001)、網赤血球数が多く(p<0.001)、網赤血球ヘモグロビン含量が高かった(p<0.001)。 新鮮凍結血漿および血小板輸血量は、術後7日および90日のいずれにおいても両群で同等であったが、同種血製剤の輸血量は術後7日(0単位[IQR:0~2]vs.1単位[0~3]、p=0.038)および90日(0[0~2]vs.1[0~3]、p=0.019)のいずれにおいても併用治療群で有意に少なかった。 術後90日までの赤血球輸血の費用は、併用治療群で有意に安価であったが(中央値0スイスフラン[CHF、IQR:0~425]/平均値370 CHF[SD 674]vs.231 CHF[0~638]/480 CHF[704]、p=0.018)、薬剤費を含む総費用は、併用治療群で有意に高額であった(682 CHF[682~1,107]/1,052 CHF[674]vs.213 CHF[0~638]/480 CHF[704]、p<0.001)。 副次アウトカムは、重篤な有害事象(併用治療群73例[30%]vs.プラセボ群79例[33%]、p=0.56)および術後90日までの死亡(18例[7%]vs.14例[6%]、p=0.58)を含め、そのほとんどで両群に有意差はみられなかった。 著者は、「待機的心臓手術を受ける患者では、ヘモグロビンと鉄のパラメータをルーチンに測定し、手術前日であっても貧血/鉄欠乏への併用薬物治療を考慮する必要がある。この点は、急性心イベントから数日以内に行われる待機的心臓手術の割合が増加している現状との関連で、とくに重要と考えられる」としている。

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エンドセリン受容体拮抗薬は糖尿病腎症の新しい治療アプローチとなるか?(解説:小川大輔氏)-1049

オリジナルニュースエンドセリン受容体拮抗薬の糖尿病性腎症への効果は?:SONAR試験/国際腎臓学会(2019/4/18掲載) 糖尿病腎症の治療において血糖のコントロールは基本であるが、同時に血圧や脂質、体重などを適切に管理することも重要である。そして早期の糖尿病腎症であれば多面的かつ厳格な管理により腎症の進展を抑制することが示されている。ただひとたび腎障害が進行すると、集約的な治療を行っても腎不全への進展を阻止することが難しい。 今年4月に開催された国際腎臓学会(ISN-WCN 2019)において、SGLT2阻害薬カナグリフロジンが顕性アルブミン尿を呈する糖尿病腎症患者の腎アウトカムを有意に改善するという結果(CREDENCE試験)が報告され注目を集めている。実はこの学会でもう1つ、糖尿病腎症に対する薬物療法の試験結果(SONAR試験)が発表された。この試験も顕性腎症患者を対象としており、エンドセリン受容体拮抗薬atrasentanの有効性と安全性が検討された。 この試験の特徴は、試験デザインが通常の二重盲検法ではなく、まず本試験の前に6週間atrasentanの投与を行い(著者らはこの期間を“enrichment period”と称している)、アルブミン尿が30%以上低下し、かつ体液貯留の認められなかった症例(“responders”)を選び出し、それから2群に分けて試験を開始している点である。 エンドセリン受容体拮抗薬はアルブミン尿減少効果や血圧低下作用と同時にナトリウム貯留作用がある。以前に糖尿病患者を対象とした別のエンドセリン受容体拮抗薬の試験で体液貯留により心不全が増加したため、その反省を踏まえ副作用を回避しつつ効果を最大限に発揮させるためにこれまでの臨床試験にはなかった試験デザインになっている。 中央値2.2年の観察期間で、主要評価項目の「クレアチニンの2倍化あるいは末期腎不全への移行」はプラセボ群と比較しatrasentan群で有意に抑制されたが、それに寄与したのはクレアチニンの2倍化であった。またatrasentan群で末期腎不全への移行や心血管イベントの抑制は認められなかった。懸念される有害事象の心不全はプラセボ群とatrasentan群とで有意差はなかったが、体液貯留と貧血はatrasentan群で有意な増加を認めた。 本試験前に6週間atrasentanを投与された症例の約35%が“non-responders”であった点を踏まえると、糖尿病腎症患者すべてがこの薬剤の適応とはならないだろう。もしエンドセリン受容体拮抗薬を糖尿病腎症患者に投与するならば、著者らが行ったように投与開始初期の蛋白尿の減少効果を確認し、継続か中止を判断するのが妥当と思われる。また継続投与する際には体液貯留の出現や貧血の進行に注意し、場合によっては利尿薬を追加・増量する必要があると考えられる。 エンドセリン受容体拮抗薬の効果が期待できる症例の選択方法や、適正な使用方法についてはさらに検証する余地があると思われるので、今後の検討に注目したい。

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スマホが銃撃から女性を守ったという論文【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第139回

スマホが銃撃から女性を守ったという論文ぱくたそより使用ドラマかよ!というような、とても珍しい医学論文がありました。 Thabouillot O, et al.A Fortunate Story of an Unusual AK-47 Bullet Trajectory: Always Keep a Smartphone in Your Pocket.Prehosp Disaster Med. 2016;31:343-345.2015年11月13日のフランス、パリ。皆さんは何が起こったか記憶にありますでしょうか? そう、パリ同時多発テロ事件があった日です。ISIL(イスラム国、IS)の戦闘員とみられる複数のジハーディストのグループによる銃撃および爆発が同時多発的に発生し、死者130名、負傷者は300名以上に上ったテロ事件です。使用された銃は、AK-47。かの有名なカラシニコフが設計したもので、1949年にソ連軍が採用した自動小銃として知られています。この論文の主人公が銃撃を受けたのは、ハードロックバンドが演奏していたライブハウスでした。3人のテロリストが急襲し、AK-47を群衆に向かって乱射したのです。180cmの30歳だった男性は、愛する彼女を守るため※、彼女を抱きしめてテロリストに背を向けました。コイツだけは俺が守る! くぅ~、カッコイイ!※論文中には愛していたのかどうかは記載されていない。あくまで私の妄想である。彼の左臀部に銃弾が当たってしまい、男女もろとも地面に倒れ込みました。幸いにも2人の命に別状はありませんでしたが、彼は大腿部に派手な銃創を負ってしまいました。病院に到着し、彼はポケットに入っていたスマホを医師に見せました。スマホは弾丸で粉々になっていました。スマホがなければそのまま貫通して彼女に当たっていたのかもしれませんが、弾丸はスマホのおかげでリバウンドし、彼の大腿の筋肉内にとどまったのです。その後、彼は手術を受け、経過は良好だったようです。さてさて、それから2人はどうなったのか。残念ながら、この論文には書いていませんでした。いや、しかしコレは女性としては、ほれてまうやろー!これによく似た都市伝説として、「胸ポケットのジッポーが弾丸を止めた」というものがあります。第二次世界大戦中、ベルギー戦線に従軍していた米軍兵士がドイツ軍に狙撃されたものの、弾丸は胸ポケットに入れていたポケット版聖書を貫通し、ジッポーライターにヒット。弾丸はジッポーの所で停弾したというものです。こちらの真偽は不明です。

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新世代DES vs.BMS、2万例超のメタ解析結果/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行後最初の1年における新世代薬剤溶出ステント(DES)の成績は、安全面から従来のベアメタルステント(BMS)を標準治療と見なすべきとする見解を打破するものであることが示唆されたという。イタリア・フェデリコ2世 ナポリ大学のRaffaele Piccolo氏らが、新世代DESとBMSのアウトカムを比較検証した無作為化臨床試験のシステマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。新世代DESは、ほとんどが初期DESと直接比較する非劣性試験で検証され、概して同等の有効性と優れた安全性が示されてきたが、BMSとの比較については明確なものがなかった。今回の結果から著者は「1年を超える臨床アウトカムの改善を目標に、DESのさらなる技術開発が望まれる」とまとめている。Lancet誌オンライン版2019年5月2日号掲載の報告。無作為化臨床試験20件2万6,616例の個人データをメタ解析 研究グループは、PCI施行患者における新世代DESとBMSの転帰を比較するため、2017年12月19日までに報告された無作為化臨床試験の個人データのメタ解析を実施した。 主要評価項目は、心臓死または心筋梗塞の複合エンドポイントとした。ランダム効果モデルの一段階法でデータを併合し、最大調査期間および1年のランドマーク解析で検証した。また、リスク推定はハザード比(HR)およびその95%信頼区間(CI)として報告。解析はすべてIntention-to-treat集団にて行われた。 メタ解析には、無作為化試験20件、合計2万6,616例が組み込まれた。追跡調査期間は平均(±SD)3.2±1.8年であった。新世代DES、複合エンドポインドのHRは0.84と有意に低下 主要評価項目の複合エンドポイントは、BMS留置患者よりDES留置患者で有意なリスク低下を認めた(HR:0.84、95%CI:0.78~0.90、p<0.001)。心筋梗塞の有意なリスク低下(HR:0.79、95%CI:0.71~0.88、p<0.001)が大きく寄与しており、心臓死のリスクは低下が認められたが有意ではなかった(HR:0.89、95%CI:0.78~1.01、p=0.075)。 全死因死亡への影響は認められなかったが、ステント血栓症(definite)(HR:0.63、95%CI:0.50~0.80、p<0.001)および標的血管再血行再建術(HR:0.55、95%CI:0.50~0.60、p<0.001)のリスクは、DES留置患者で低下した。 DES留置による主要評価項目の有意なリスク低下は、留置後最長1年まで認められ、時間依存的な効果が確認された。治療効果は長期的に維持されたものの、1年後を超えて以降はBMS留置との差は確認されなかった。 なお、今回の結果について著者は、抗血小板薬2剤併用療法の実施期間の影響は加味されていないことなどを研究の限界として指摘している。

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第22回 患者と医療者の認識にはこんなに大きなギャップがある【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 薬局で得られる患者さんの情報は病院と比べると限られているため、患者さんが病院で聞いた情報や、知らないことの確認がしばしばコミュニケーションの入り口となります。今回は、患者さんが何を理解していて、何を医療者に伝えていないのか示唆を与えてくれる米国の論文を2つ紹介します。なお、米国には、患者経験価値(PX:Patient eXperience)から医療サービスを評価し、それが金銭的なインセンティブに結び付くHCAHPS(Hospital Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems)という患者評価指標があるため、PXを調査した研究が豊富にあり参考になります。1つ目は医療者側と患者側の認識の齟齬について調査した研究です1)。コネチカット州にある367床の病院で行われたアンケート調査で、2008年10月10日~2009年6月23日に入院した患者の経験を評価しています。合計89人の患者と43人の医療者が参加し、患者の多くが高卒以上という教育水準で、平均年齢は57.3歳、平均在院日数は5.4日(範囲:2.0~36.0日)でした。結果をみると、患者と医療者の認識のギャップが浮き彫りになっています。たとえば、医療者の77%が患者は診断名を理解していると考えていますが、実際には退院日に自分の診断名を正しく回答している患者は57%でした。また、患者の67%が入院中に薬剤を新規処方されていますが、そのうち25%は医療者から新しい薬の処方があることについて説明を受けていないと回答しています。薬剤の有害事象については90%の患者が説明を受けたことがないと回答していますが、有害事象について一度も話したことがないと回答した医療者は19%でした。心理的ケアについては、患者の半数である46人が入院中に不安や恐怖を感じており、うち25人(54%)は医療者とそのことについて話し合ったことがないと回答している一方で、98%の医療者が少なくとも1回は患者と不安や恐怖について話し合っていたと回答しています。薬局においても、自分はきちんと伝えた、患者さんも理解しているはず、と思わずに、新規薬剤や有害事象の説明や不安のケアを、より丁寧に行うことの重要性を再認識させられる結果です。患者の70%超は医療者にあえて話していないことがある続いて、患者が治療上重要な情報をどれだけ医療者に開示しているかについて、米国の成人4,510例を対象としたオンライン調査の研究を紹介します2)。患者情報を得ることは、正しい診断や指導、禁忌薬投与の回避などに大切ですが、70%超が何らかの重要な事項を医療者へ伝えていないという結果が出ています。2015年3月16~30日にクラウドソーシングのAmazon Mechanical Turk (MTurk)を用いた調査(n=2,096)と、2015年11月6~17日にアンケート調査会社のSurvey Sampling International(SSI)による調査(n=3,011)から参加者を募り、2018年9月28日~10月8日にデータ解析が行われました。無効回答を除いた最終的なサンプルサイズは、2,011例(MTurk)+2,499例(SSI)の計4,510例でした。プライマリアウトカムとして、医療者への7タイプの情報の非開示が設定され、各アウトカムにおける患者の割合は以下のとおりでした。全体では、MTurkで1,630人(81.1%)、SSIで1,535人(61.4%)が少なくとも1つ以上の情報開示をしていません。その理由をみていくと、多い順に「行動について判断や指導をされたくない(MTurk 81.8%、SSI 64.1%)」「その行動がいかに悪いか聞かされたくない(MTurk 75.7%、SSI 61.1%)」「認めるのが恥ずかしい(MTurk 60.9%、SSI 49.9%)」「難しい患者だと思われたくない(MTurk 50.8%、SSI 38.1%)」「医療者の余計な時間を取りたくない(MTurk 45.2%、SSI 35.9%)」「問題だと思っていない(MTurk 38.6%、SSI 32.9%)」「ばかだと思われたくない(MTurk 37.6%、SSI 30.6%)」「記録に残されたくない(MTurk 34.5%、SSI 30.6%)」などと続きます。中には「医療者がその問題を解決できると思わないから(MTurk 27.7%、SSI 28.9%)」のような溝を感じさせる回答もあり、こうした心情への配慮の大切さを物語っています。1つ目の文献において、医療者がしばしば自己紹介していないことが言及されていますが、相手が自己開示しなければ自分も情報提供しづらいという心理は返報性の原理から納得のいくことです。私が以前勤めていた薬局では、まずあいさつして名乗ることが手順化されていましたが、改めて大切なことであったと思います。弊社の電子薬歴システムユーザーで在宅患者数が急速に伸びている薬局があり、秘訣を聞いた際の回答はこうでした。「自分たちや自分たちができることを患者さんに伝える努力をしました」。1)Olson DP, et al. Arch Intern Med. 2010;170:1302-1307.2)Levy AG, et al. JAMA Netw Open. 2018;1:e185293.

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CIDPの病態は再発と寛解の繰り返し…患者のQOLを変えるハイゼントラ

 2019年4月10日、CSLベーリング株式会社は、都内で慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)に関するメディアセミナーを開催した。セミナーでは、最新のCIDPの知見のほか、患者実態調査の報告などが行われた。CIDPの典型的な症状として急に箸が持てない、手がピリピリする はじめに「CIDPの多様性と治療戦略 患者さんのQOLを維持するために」をテーマに、祖父江 元氏(名古屋大学大学院医学系研究科 特任教授)を講師に迎え、診療の概要が説明された。 CIDPとは、進行性または再発性の経過で、2ヵ月以上にわたりびまん性の四肢の筋力の低下やしびれ感を来す末梢神経疾患である。典型的な症状としては、左右対称性に腕があがらなくなる、箸が使えないほどの握力低下、階段に登れないなどがある。また、手足のしびれ感やピリピリ感などの違和感を認めることもあるという。免疫の関与が指摘されているが、くわしい原因はいまだ不明でわが国には、約5,000人の患者がいると推定されている。 診断は、主に臨床所見と電気生理所見に基づいて行われ、とくに“European Federation of Neurological Societies/Peripheral Nerve Society(EFNS/PNS)”の診断基準が世界的に使用されている。典型的CIDPでは「2ヵ月以上進行する四肢における対称性・びまん性の筋力低下と感覚障害」「深部腱反射の全般性減弱もしくは消失」が、非典型CIDPでは「典型的CIDPとは異なる臨床像」「深部腱反射の異常は障害肢のみに限定される」が臨床基準として受け入れられている。疫学的には典型的CIDPが6割を占めるという。CIDP治療、ピリヴィジェンやハイゼントラの有用性 CIDPの治療では、第1選択療法として、免疫グロブリン静脈内投与(IVIg)療法、副腎皮質ステロイド療法、血漿浄化療法があるが、血漿浄化療法は専門性が高く、専用機器を必要とすることから前二者が主に行われている。 IVIg療法は、急性期と維持療法の両方で行われ、同療法による再発抑制と長期予後の有効性は“ICE study”で報告されている。27週のプラセボ群との再発率の比較で、プラセボ群45%に対し、同療法群は13%と有意な結果を示した1)。また、製剤の進歩もあり、近年では急性期でも維持療法でも使用できるIVIg製剤ピリヴィジェン(商品名)や維持療法で高濃度のIVIg製剤が皮下注射で投与できるハイゼントラ(商品名)が登場している。 これら製剤の国際共同第III相試験である“PATH試験”について、ハイゼントラについて言及すると、26週時点で再発抑制に有用なだけでなく、より少ない投与量(0.2/kg/week)での有効性も示された。安全性については、注射部位の膨張・紅斑・疼痛、頭痛、疲労は報告されたものの死亡などの重篤なものはなかった2)。 同氏は、CIDPの病態は再発と寛解の繰り返しと説明し、「なかでも再発の前に治療介入することが重要だ」と指摘した。ハイゼントラについては、「国内初の皮下注製剤であること、在宅でも注射できること、投与後の血中IgG濃度が安定していること、自己注射のため患者の自律性と自由度が高いこと」を理由に、これからの維持療法への活用に期待をにじませた。また、今後の展望として「患者ニーズに合わせた、適切な治療の普及のほか、難治症例への治療法の研究・開発が今後の課題」と語り、レクチャーを終えた。CIDP治療、時間に拘束されない治療法を望む患者の思い 次に「CIDP患者としての思い」をテーマに、患者会の代表である鵜飼 真実氏(全国CIDPサポートグループ 理事長)が登壇し、患者実態調査(n=200)の報告を行った。 報告によると、「患者歴」では5~10年未満(32%)が1番多く、ついで10~15年未満(23%)、5年未満(22%)などの順だった。「確定診断までに要した病院数」では2ヵ所(32%)が1番多く、ついで1ヵ所(23%)、3ヵ所(22%)などの順だった。「確定診断までに要した期間」では6ヵ月以上1年未満(16%)が1番多く、約6割が1年以内に確定診断がされていた。また、診断では、整形外科、内科、脳神経内科の順で受診が多いという。 CIDPの治療では、急性時、再発時ともに約8割でIVIg療法が実施され、維持療法では経口ステロイド療法(42%)が1番多かった。同氏は、患者の声として、「多くの患者は治療だけでなく介護も必要としており、体力の問題、治療費用など経済問題も抱えて生きている。治療では、病院で過ごす時間が長く、患者は疲弊している。自宅で治療できる治療薬が普及すれば、さまざまな問題も解決できると考える」と思いを語った。■参考文献1)Hughes RA, et al. Lancet Neurol. 2008;7:136-144.2)van Schaik IN, et al. Lancet Neurol. 2018;17:35-46.■参考ピリヴィジェン(R)10%点滴静注(液状静注用人免疫グロブリン[IVIG]製剤)、慢性炎 症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の治療薬として製造販売承認を取得ハイゼントラ(R)20%皮下注(皮下注用人免疫グロブリン[SCIG]製剤)、慢性炎症性脱 髄性多発根神経炎(CIDP)の治療薬として効能追加の承認を取得

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院外心停止への経鼻蒸発冷却法は有益か/JAMA

 院外心停止患者への経鼻蒸発冷却法(trans-nasal evaporative intra-arrest cooling)の実施は、通常ケアと比較して90日後の良好な神経学的アウトカムの生存を、統計学的に有意に改善しなかったことが示された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のPer Nordberg氏らが、欧州7ヵ国の救急医療サービス(EMS)を通じて行った国際多施設共同無作為化試験「PRINCESS試験」の結果で、JAMA誌2019年5月7日号で発表した。経鼻蒸発冷却法は、心肺蘇生中(すなわち心停止中)に主に脳を冷却するための手法である。心停止後に実施する低体温治療は、良好な神経学的アウトカムの生存を増大する可能性が示唆されていた。90日後の脳機能カテゴリー1~2での生存率を比較 PRINCESS試験では、2010年7月~2018年1月にかけて、バイスタンダー目撃のある院外心停止患者677例を対象に試験を開始し、2018年4月29日まで追跡した。 研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方には経鼻蒸発冷却法を(343例)、もう一方には通常のケアを行った(334例)。両群の被験者ともに、入院後に全身低体温療法(24時間32~34℃)を行った。 主要アウトカムは、90日後の脳機能カテゴリー(CPC)1~2で定義した、良好な神経学的アウトカムを有する生存だった。副次アウトカムは、90日生存率と中核体温が34℃未満に達するまでの経過時間だった。90日後CPC 1~2生存率、介入群16.6%、対照群13.5%で有意差なし 被験者677例の年齢中央値は65歳、女性は25%だった。671例が試験を完遂した。 90日後のCPC 1~2達成患者は、経鼻蒸発冷却法を行った介入群56/337例(16.6%)に対し、通常ケアの対照群45/334例(13.5%)で、両群に有意差はなかった(群間差:3.1%[95%信頼区間[CI]:-2.3~8.5]、相対リスク[RR]:1.23[95%CI:0.86~1.72]、p=0.25)。 90日時点での生存は、介入群60/337例(17.8%)に対し、対照群52/334例(15.6%)で、有意差はみられなかった(群間差:2.2%[95%CI:-3.4~7.9]、RR:1.14[0.81~1.57]、p=0.44)。 中核体温34℃未満達成までの時間中央値は、介入群105分、対照群182分で、有意差が認められた(p<0.001)。 なお、最も高頻度の介入デバイス関連有害事象は軽微な鼻血で、介入群45/337例(13%)で報告された。7日間までの有害事象発生率は両群で同程度だった。

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論文をトイレで読んでみた、失敗した!【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】 第11回

第11回 論文をトイレで読んでみた、失敗した!「論文・見聞・いい気分」も11回目を迎えました。幸いにもCareNet.com編集部から連載企画中止の宣告もありません。皆さまありがとうございます。これまでの10回の中で、もっとも多くの方々に読んでいただいたのが「第4回 論文は風呂で読むべし、試してみなはれ!」だそうです。他の9回を大きく引き離す人気のようです。この第4回を読んだ方から、「俺はトイレで本を読む」、「私はトイレでマンガを読むのが至福の時間」、「風呂よりトイレでしょ!」などの声を頂戴しました。自分の感想は、「えっ?トイレ?」でした。自分は、人生でのトイレ滞在時間のすべてを排泄作業のみに集中してきたからです。そこで挑戦です。論文をトイレで読むぞ!論文の選択も大切です。敬意を表してNEJM誌から「PARTNER 3試験」を選んでみました。これは、低手術リスクの大動脈弁狭窄症の治療で、経カテーテル的な大動脈弁置換術が、従来の外科的手術よりも術後1年時の死亡・脳卒中・再入院によって定義されるエンドポイントに優れることを示した研究です。2019年3月に開催された、ACC(米国心臓病学会)2019という大規模な国際学会のLate-breaking Sessionで公表されました。発表直後に大会場が聴衆総立ちの拍手喝采となったものです。すぐに情報やコメントがネット上にあふれ、発表スライドも公開されています。そのため、試験デザインや結果の概要についてはすでに把握しています。しかし、詳細な内容を理解するには論文を読む必要があります。論文のDiscussionの部分で、どのような論点が挙げられているのかに興味がありました。読むべき論文を紙に印刷したものを手にして、トイレに入ります。職場ではなく自宅のトイレです。一般的にトイレに長居すると家族に怒られると思います。皆に緊急の必要性がないことを確認のうえで、籠城に入りました。さあ、読むぞ! えっへん! 手にした英文に目を通していきます。「だめだ!」全く読めません。苦労して文字を追っても頭に入りません。そのうえ、肝心の作業である用足しもできないのです。最悪です。すべてが快調な風呂とは大違いです。下品な話をします。人間の生理的現象である、排便・排尿は快感をともなうものです。不要な老廃物を身体から出してスッキリすれば、論文の情報はサクサクと頭に入ると期待していました。期待は裏切られました。出るモノもなく、入るモノもありません。悪あがきせずに作戦終了です。トイレ本来の目的に集中し、一定の結果を得て撤収しました。運気? を吸った論文はゴミ箱にサヨナラしました。NEJMの神様(紙様?)、お許しください。この失敗の原因を考えてみました。大動脈弁に関する論文を、排便作業をしながら読むという戦略に無理があったのかもしれません。ベンベン!論文を堪能するのは、やっぱり風呂ですね。

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オバマケア、低出生時体重/早産の転帰を改善/JAMA

 米国の低所得者を対象とする公的医療保険制度であるメディケイドの受給資格の拡大(Medicaid expansion)に関連して、これを導入した州と未導入の州で、新生児の低出生時体重および早産のアウトカムに差はないものの、導入州は未導入州に比べ黒人と白人の新生児の間にみられたアウトカムの相対的な差が改善されたことが、米国・University of Arkansas for Medical SciencesのClare C. Brown氏らの調査で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年4月23日号に掲載された。米国では、低出生時体重および早産は、新生児の死亡や新生児~成人の慢性疾患のリスク増大などの有害な結果をもたらすが、黒人の新生児は白人の新生児よりも早産の可能性が高く、死亡や慢性疾患にも差がみられる。一方、1990年の包括財政調整法(OBRA)下では、メディケイドの適用は妊娠が条件であったため、各州の貧困の基準を満たさない低所得の母親は、産後60日で保険適用を失う場合があったが、医療費負担適正化法(ACA、オバマケア)下では、一部の州でメディケイド拡大が導入され、貧困基準の緩和とともに、妊娠の有無にかかわらず低所得の女性も継続的な医療の利用が可能となり、これによって母親の健康および出産前の早期ケアの受診機会が改善された可能性が示唆されていた。導入州と未導入州で、出生アウトカムを比較 研究グループは、メディケイド受給資格の拡大が、全体および人種/民族別の双方において、低出生時体重と早産のアウトカムに変化をもたらすかを評価する目的で検討を行った(Arkansas Center for Health Disparities[ARCHD]などの助成による)。 2011~16年の米国国立衛生統計センター(National Center for Health Statistics:NCHS)出生データファイルの人口ベースのデータを使用した。メディケイド拡大を導入した州の多くは、2014年1月1日から導入を開始した。 メディケイド拡大の導入州と未導入州の乳児の出生アウトカムを比較し、19歳以上の女性の単胎生児出産における人種/民族的に少数の集団の相対的な差の変化を評価するために、多変量線形確率回帰(multivariable linear probability regression)を用いて、差分の差分(DID)および差分の差分の差分(DDD)モデルを推定した。 主要アウトカムは、早産(在胎期間37週未満)、超早産(同32週未満)、低出生時体重(2,500g未満)、超低出生時体重(1,500g未満)とした。導入州で、4つのアウトカムの人種間の差がいずれも縮小 1,563万1,174件の出産が解析に含まれ、新生児は白人824万4,924例、黒人220万1,658例、ヒスパニック系394万4,665例であった。このうち、メディケイド拡大の導入州(ワシントンD.C.と18州)が853万751例、未導入州(17州)は710万423例だった。 DID解析では、メディケイド拡大導入の前後で、導入州と未導入州の間に早産の発生率の変化に有意な差は認められなかった(導入前から導入後の変化:導入州6.80%から6.67%[差:-0.12]vs.未導入州7.86%から7.78%[-0.08]、補正後DID:0.00ポイント、95%信頼区間[CI]:-0.14~0.15、p=0.98)。 同様に、超早産(導入前から導入後の変化:導入州0.87%から0.83%[差:-0.04]vs.未導入州1.02%から1.03%[0.01]、補正後DID:-0.02ポイント、95%CI:-0.05~0.02、p=0.37)、低出生時体重(5.41%から5.36%[-0.05]vs.6.06%から6.18%[0.11]、-0.08ポイント、-0.20~0.04、p=0.20)、および超低出生時体重(0.76%から0.72%[-0.03]vs.0.88%から0.90%[0.02]、-0.03ポイント、-0.06~0.01、p=0.14)にも有意差はみられなかった。 一方、白人新生児に比べ黒人新生児で不良であった4つのアウトカムはいずれも、メディケイド拡大未導入州よりも導入州において、その差が有意に小さくなった(早産:負の補正後DDD係数:-0.43ポイント、95%CI:-0.84~-0.02、p=0.05、超早産:-0.14、-0.26~-0.02、p=0.03、低出生時体重:-0.53、-0.96~-0.10、p=0.02、超低出生時体重:-0.13、-0.25~-0.01、p=0.04)。ヒスパニック系におけるアウトカムの相対的な差には、有意な変化はみられなかった。 著者は、「導入州における、黒人新生児の低出生時体重および早産の、白人新生児との相対的な差の縮小は、黒人の乳児死亡率の大幅な低下の説明となる可能性がある」としている。

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ベンゾジアゼピン系睡眠薬とアルコールの併用率を日本の精神科外来患者で調査

 ベンゾジアゼピンとアルコールの併用は、一般的に認められる。慶應義塾大学の内田 貴仁氏らは、精神科外来患者におけるベンゾジアゼピン系睡眠薬とアルコールの併用率、併用と関連する臨床的特徴および因子、併用に関する精神科医の意識について調査を行った。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2019年4月15日号の報告。ベンゾジアゼピン系睡眠薬とアルコールの併用率は39.8% ベンゾジアゼピン系睡眠薬の投与を受けている統合失調症、うつ病、不眠症の外来患者を対象に、睡眠薬とアルコールの使用も記録可能な睡眠日誌を7日間連続で記入するよう依頼した。臨床的特徴を評価し、併用に関連する因子を調査するため、ロジスティック分析を実施した。さらに、担当精神科医に対し、患者がベンゾジアゼピン系睡眠薬とアルコールを併用したと思ったかどうかを調査した。 主な結果は以下のとおり。・ベンゾジアゼピン系睡眠薬とアルコールの併用率は、39.8%(93例中37例)であった。・CAGE(アルコール依存症スクリーニング尺度)スコアが、併用と有意な正の相関を示した(オッズ比:2.40、95%信頼区間:1.39~4.16、p=0.002)。・精神科医によってベンゾジアゼピン系睡眠薬とアルコールの併用が疑われた患者は、併用患者のうち32.4%のみであった。 著者らは「これらの結果は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬とアルコールの併用は一般的であり、これを精神科医は見過ごしている可能性があることを示唆している。このような潜在的な危険性を有する患者をスクリーニングするために、CAGE質問票が役立つであろう」としている。

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エーラス・ダンロス症候群〔EDS:Ehlers-Danlos syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義エーラス・ダンロス症候群(Ehlers-Danlos syndrome:EDS)は、皮膚・関節の過伸展性、各種組織の脆弱性を特徴とする遺伝性結合組織疾患の総称である。■ 疫学EDS全体としての頻度は1/5,000人程度と推定されている。古典型EDSでは1/2万人、関節過可動型EDSでは1/5,000~2万人、血管型EDSでは1/5~25万人、後側弯型EDSでは1/10万人とされる。それ以外の病型ではさらに頻度は低くまれとなる。詳しい病型は後述する。■ 病因コラーゲン分子、もしくは修飾酵素の遺伝子変異などにより発症する。古典型EDSはV型コラーゲン遺伝子変異、血管型EDSはIII型コラーゲン遺伝子変異によるdominant negative効果またはハプロ不全に基づき発症する。筋拘縮型EDSでは、デルマタン4-0-硫酸基転移酵素-1またはデルマタン硫酸エピメラ-ゼの欠損に基づき、代表的なデルマタン硫酸(DS)含有プロテオグリカンであるデコリンのグリコサミノグリカン鎖の組成が変化し(DSの消失、コンドロイチン硫酸への置換)、デコリンが媒介するコラーゲン細線維のassembly不全を来すことによって進行性の結合組織脆弱性を生じる。関節過可動型EDSでは、いまだ原因遺伝子は同定されていない。■ 症状EDSの各病型の臨床症状は、後述する表2の診断基準のとおりである。血管型EDSでは、薄く透けて見える皮膚、易出血性、特徴的な顔貌、動脈・腸管・子宮の脆弱性を特徴とする。血管破裂・解離、腸管破裂、臓器破裂は70%の成人例における初発症状となる(平均年齢23歳)。新生児期には、内反足、先天性股関節脱臼を、小児期には鼠径ヘルニア、気胸、反復性関節脱臼・亜脱臼を合併しうる。妊婦では分娩前後の動脈・子宮破裂により、死亡する危険性がある(~12%)。古典型EDSでは、滑らかでベルベット様の皮膚、過伸展性、脆弱性が目立ち、創傷治癒が遅れ瘢痕が薄く伸展する(萎縮性瘢痕:シガレットペーパー様と称される)。また、縫合部位は離開しやすい。肩、膝蓋骨、指、股、橈骨、鎖骨などが容易に脱臼するが、自然整復または自力で整復できることが多い。運動発達遅延を伴う筋緊張低下、易疲労性、筋攣縮、易出血性がみられることがある。妊婦は前期破水・早産(罹患胎児の場合)、会陰裂傷、分娩後の子宮・膀胱脱を生じうる。関節過可動型EDSでは、皮膚の過伸展性は正常もしくは軽度であるが、関節過伸展性が顕著であり、脱臼・亜脱臼の頻度も高い。変形性関節症もよくみられる。関節痛を含めた慢性疼痛が深刻であり、身体的・精神的な障害となりうる。しばしば胃炎、胃食道逆流、過敏性腸症候群といった消化器合併症を呈する。筋拘縮型EDSでは、先天性多発関節拘縮(内転母指、内反足)、顔貌上の特徴、内臓や眼の先天異常など先天異常関連症状、そして、皮膚の脆弱性、関節の易脱臼性、足・脊椎の変形、巨大皮下血腫、大腸憩室など進行性の結合組織疾患脆弱性関連症状を呈する。■ 分類1998年に発表された国際命名法により、6つの主病型に分類されてきたが,近年新たな病型がその生化学的・遺伝学的基盤とともに報告されており、2017年に新たな国際分類が定められ13の病型に分類された(表1)。表1 2017年に発表された新たなEDSの国際分類画像を拡大する■ 予後予後は各病型によりさまざまである。血管型EDSでは生涯を通じて易出血性を呈する。20歳までに25%の症例が、40歳までに80%の症例が深刻な合併症を発症し、死亡年齢の中央値は48歳とされる。とくに誘因もなく突然発症し、突然死、脳卒中、急性腹症、ショックといった形で現れることも多い。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断では、表2に示したEDSの各病型の診断基準を参照されたい。関節過可動型EDSを除きいずれの病型でも、最終診断には分子遺伝学的検査が必須となってくる。関節過可動性の評価としては、Beightonの基準を用いる。(1)小指の他動的背屈>90°(片側1点)、(2)母指が他動的に前腕につく(片側1点)、(3)肘の過伸展>10°(片側1点)、(4)膝の過伸展>10°(片側1点)、(5)前屈で手掌が床につく(1点)(計9点中5点以上で関節過可動性ありと判断)。表2 EDS各病型の診断基準画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)各病型に共通している診療のポイントは、医療者(関係各科、救急)と患者・家族が疾患についてあらゆる情報を共有し、起こりうる合併症の早期発見・早期治療を行うことである。病型にもよるが皮膚裂傷や関節過伸展性・脆弱性に対しては、激しい運動を控えサポーターなどで保護を行う。関節過可動型EDSでは、関節保護の理学療法、補装具の使用、鎮痛薬投与なども必要であり、重症患者では身体障害や難治性疼痛への負担に配慮した心理カウンセリング、抗うつ薬の投与などの対応が必要な時もある。血管型EDSでは動脈合併症予防のためセリプロロール(商品名:セレクトール)投与を考慮する。急性の動脈病変(瘤、解離)が生じた場合、可能な限り保存的に対処するが、病状が進行する場合は、血管内治療を考慮する。手術を行う場合は、血管および組織脆弱性を考慮し、細心の注意が必要になる。患者の妊娠はハイリスクであり、カップルに対し十分な情報提供を行ったうえで、心臓血管外科のバックアップができる施設において、陣痛開始前のコントロールされた分娩(おそらくは帝王切開のほうが安全)を行う。古典型EDSの裂傷の予防対策として、小児で皮膚裂傷を予防するためには、前頭部、膝、頸部を保護する。縫合に際しては、張力をかけない、できれば2層で縫合するなど十分注意を払う。さらに瘢痕を広げないよう、抜糸までの期間を通常の2倍程度に延ばす、テープで補強するなどの工夫が必要となる。また、遺伝カウンセリングについてふれると、これは「臨床遺伝専門医を中心に認定遺伝カウンセラー、担当医、看護・心理職種が協力して、患者自身または家族の遺伝に関する問題を抱える患者を対象に、臨床情報の収集に基づき正確な診断と発症・再発リスク評価を行い、わかりやすく遺伝に関する状況の整理と疾患に関する情報提供を行うこと、同時に患者が遺伝に関連したさまざまな負担に、その人らしく向き合い、現実的な意思決定を行っていけるような継続的な心理社会的支援を行うことを含んだ診療行為」とされる。EDSの病型は常染色体優性遺伝が多く、この場合、本症と診断されることは、患者自身が難治性疾患であることに加え、次世代が罹患する確率が50%であることを示すものである。また、稀少病型の多くは常染色体劣性遺伝であり、発症者の同胞への再発率は25%とされる。診断の時点、家族計画の相談が出た時点など診療の局面で、遺伝子医療部門への紹介を考慮したい。4 今後の展望次世代シークエンスを活用した、網羅的な遺伝学的検査の運用が始まっている。現在、唯一原因遺伝子が同定されていない関節過可動型EDSの原因遺伝子同定に向けた研究が進行中である。5 主たる診療科小児科、皮膚科、整形外科、循環器内科、心臓血管外科、消化器内科、消化器外科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、リハビリテーション科、麻酔科(ペインクリニック)、リウマチ科、救急科、遺伝子医療部門など関与する診療科は多岐にわたる。各科との連携が重要である。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター エーラス・ダンロス症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児慢性特定疾病情報センター エーラス・ダンロス(Ehlers-Danlos)症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)Gene Reviews(医療従事者向けの研究情報:英文のみ)Gene Review Japan(医療従事者向けの研究情報。血管型、古典型、関節可動型について詳細説明あり)患者会情報日本エーラスダンロス症候群協会(友の会)(患者とその家族および支援者の会)公開履歴初回2019年5月14日

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抗うつ薬ミルタザピンの速効性と費用対効果との関連

 これまでの研究で、ミルタザピンは他の抗うつ薬と比較し、効果発現が速い特徴を有するといわれている。いくつかの研究において、費用対効果が評価されているが、その際、早期寛解については考慮されていなかった。慶應義塾大学の佐渡 充洋氏らは、この研究ギャップに対処するため、正確な臨床データを用いることで、日本におけるミルタザピンの費用対効果について評価を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2019年4月11日号の報告。 週ごとの推移確率を反映するためのマルコフモデルを開発した。マルコフ周期は、1週間に設定した。臨床パラメータは、主にメタ解析から抽出し、費用関連データは、行政報告から抽出した。費用対効果は、確率感度分析に基づいて推定された質調整生存年の増分費用対効果比(incremental cost effectiveness ratios:ICER)により評価した。ICERは、2、8、26、52週で推定した。 主な結果は以下のとおり。・重症うつ病のICERは、87万2,153円~177万2,723円であった。ICERの閾値を500万円とした場合、費用対効果でミルタザピンが効果的な割合は、0.75~0.99の範囲であった。・中等度うつ病のICERは、235万6,499円~477万145円であった。ICERの閾値を500万円とした場合、費用対効果でミルタザピンが効果的な割合は、0.55~0.83の範囲であった。 著者らは「ミルタザピンの効果発現の速さを考慮すると、日本国内においてとくに重度のうつ病や早期治療では、SSRIと比較し費用対効果が高いと考えられる。しかし、本研究の限界として、ミルタザピンと各SSRIを比較していない点、併用療法を考慮していない点が挙げられる」としている。■「抗うつ薬比較」関連記事抗うつ薬21種の有効性と忍容性を検討~522試験のメタ解析/Lancet

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ABATE Infection trial:非ICUにおけるクロルヘキシジン清拭は耐性菌発生を抑制できるか?(解説:小金丸博氏)-1043

 医療関連感染(Health-care-associated infections)は頻度が高く、重大な合併症を引き起こすことがあるため、世界中で予防策が検討されている。予防策の1つが患者の皮膚や鼻腔に定着した病原体の除菌であり、医療関連感染の発生や伝播を減らすことが期待されている。これまでに発表された、いくつかのクラスター無作為化比較試験において、ICU入室患者に対するクロルヘキシジン清拭やMRSAの鼻腔除菌が血流感染症やMRSA感染症を抑制することを示してきたが、非ICU入院患者に対する効果ははっきりしていなかった。 今回発表された研究(ABATE Infection trial)は、非ICU入院患者に対するICU同様の感染対策(全例に対するクロルヘキシジン清拭とMRSA保菌者に対するムピロシン鼻腔内塗布の併用)の感染予防効果を検討したクラスター無作為化比較試験である。米国の53病院(ICUを除いた194病棟)を対象とし、介入群と通常ケア群(非消毒薬による清拭、石鹸を用いたシャワー浴)との間でMRSAやバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の培養検出率や、全病原体による血流感染症発生率などを比較検討した。その結果、ベースライン期と比べた介入期のMRSA培養陽性またはVRE培養陽性のハザード比は、クロルヘキシジン清拭+ムピロシン鼻腔除菌群0.79(95%信頼区間:0.73~0.87)、通常ケア群0.87(同:0.79~0.95)であり、有意差は認めなかった(p=0.17)。全病原体による血流感染症の発生率にも有意差はなかった。有害事象の発生率は、クロルヘキシジン清拭群で1%未満と低率だった。 本研究では、非ICU入院患者に対するクロルヘキシジン清拭とMRSA保菌者に対するムピロシン鼻腔内塗布の併用は、通常ケア群と比較して、MRSAやVREの発生率や全病原体による血流感染症発生率を有意に低下させなかった。本研究の結果は、大きなサンプルサイズの無作為化試験の中で、かつ高いプロトコル遵守率の中で得られた結果であり、非重症患者全例に対する介入はそれほど有用ではない可能性が高い。その一方で事後のサブグループ解析では、中心静脈カテーテルなどのデバイスが留置されていた患者において、介入群で全病原体による菌血症が32%、MRSAまたはVRE発生率が37%減少していた。デバイスが留置されている患者に対しては有用な介入である可能性があるが、あくまで事後解析の結果であり、追加の確認試験が必要であろう。 クロルヘキシジンは日常的によく用いられる消毒薬であり、忍容性は良好だが、局所の皮膚毒性やアナフィラキシーと関連する。クロルヘキシジンに繰り返し曝露されると細菌の感受性低下を誘導するため、クロルヘキシジンの使用は患者の利益が明確な状況に限定されるべきと考える。

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第19回 心電図界のギョーカイ用語、知りたくない?~QRS波の命名法~(後編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第19回:心電図界のギョーカイ用語、知りたくない?~QRS波の命名法~(後編)第17回に続き、今回もQRS波(群)の命名法を扱いましょう。各要素は、上向きのR波を起点に前後の下向き波(Q波・S波)を命名するのが基本でした。今回の後編では、心疾患があるような人に見られる、より複雑な波形の呼び方についてDr.ヒロが解説します。【問題】次のQRS波はどう呼んだらいいか? 波形に注目して「~型」と答えよ。(図1)各QRS波形を表現できますか?画像を拡大する解答はこちら(1)rSR'型、(2)Rsr'S'型、(3)Qrsr's'型、(4)RR'型、(5)rSS'型、(6)rsR'R''s'型解説はこちらゴールデンウイーク中に“おさらい”の回を挟みましたが、今回もQRS波のカタチから「~型」と名前を与える問題を考えましょう。前々回に学んだ基本を覚えていますか?QRS波は、上向きが「R波」、下向きが「Q波」または「S波」と表現するのでした。各要素が1つずつなら、話はカンタンですが、複数あったらどうでしょう? Q波はあっても1つですが、ほかのR波やS波は2個、3個となる可能性があります。その時の対応方法がわかったら、より複雑な波形の命名も可能になりますよ。“2号や3号をどう呼ぶか?”今回は、より複雑なカタチをしたQRS波に名前を付けていきます。早速(1)からいきましょう。ちなみに最後のほうにある、なだらかな下向き波は「陰性T波」です。これは無視して、あくまでもQRS波にフォーカスして命名するのでご注意あれ! まず、見つけるべきは上向きの波形要素「R波」でしたね。…あれっ? よーく見ると、深掘れの“谷”を挟んで最初に小さな「r波」、そして最後に立派な「R波」と、2つの上向き波がありませんか?こういう時の呼び方はちゃんと決められており、“心電図業界”では、R波がいくつかある場合、左(手前)から順に「R波」、「R’波」、「R’’波」…とダッシュ「’」を付けて表現するんです。“~1号、~2号、~3号”みたいなノリで、2つ目の「R波」なら「アールダッシュ(R’)」、3つ目もあったら「アールダブルダッシュ(R”)」のように呼ぶんです。この(1)には「Q波」はなく、間の“谷”が「S波」になるので、「rSR'型」が正解になります。QRS幅も3.5mm(0.14秒[140ms])と幅広で、これは「完全右脚ブロック」の時にV1やV2誘導で見られる典型波形です。続いて(2)です。これも水平なST部分を介してなだらかな陰性T波に接続していますので、左端から9mmちょっとまでがQRS波です。これも「Q波」はなく、「R波」、「S波」ともに2つあるでしょう? ST部分につながる下向き波は幅広ですが(スラー)、これが2つ目の「S波」です。“2号”にダッシュがつくのは「R波」も「S波」も同じなので、「Rsr'S'型」が正解です。ここで『2つの「R波」に挟まれた“谷”は、深いのでは?』という人がきっといるはず(若かりし時のボクにもそう見えた)。こういう場合、“海抜0m地帯”、すなわち基線からの“振れ”を下向き波のサイズとして判定するんですって。基線とは…そう、T-Pライン(ないしT-QRSライン)です(第14回)。今回の波形は2心拍なく、T-PあるいはT-QRSラインが適用できないため、通常は同一線上にある「PR部分」(P波のおわり~QRS波のはじまり)で代用すると良いでしょう。すると、“谷”の部分は最初の「R波」の頂点からはガクンと落ち込みますが、下向き波としては1.5mm程度の深さとなるため、小文字アルファベットで表記するのです。では、より複雑な(3)はどうでしょう? なんかこの波形、見た目にもギザギザでヤバいですよね? 最初は「Q波」。これは幅が広く(1mm以上)なので「異常Q波」として扱います(第17回)。ここからは複雑なので、拡大して解説します(図2)。“地平線”的に基線を意識し、網掛け部分のQRS波に狙いを定めます。(図2)QRS波形(3)を拡大画像を拡大するすると、基線より上の“地上”にわずかに頭を出した小さい「r波」が2つ。その間に小さな「s波」(1つ目)、そして5番目、最後の下向き波も“地下”3mmに届かないので「s'波」(2つ目)です。よって、正解は「Qrsr's'型」。このように、ギザギザ・チックなQRS波は、高率で病的なことが多く、「fragmented QRS(complexes)」と呼ばれています。“幻の小さい波に惑わされるな”どんどんいきましょう。次の(4)は、これもQRS幅がワイドで「完全左脚ブロック」と診断する時に、V5やV6誘導、そして“ご近所”のIやaVL誘導で認められる波形です。恥ずかしながら、若かりし日のDr.ヒロは、ある程度QRS波の命名ができるようになってからも、これが“RsR'型”だと思っていました。ただし、教科書では「RR'型」となっていて、これが正解です。『あれ?2つのR波にある、ちーさな下向きの波は…「s波」とは違うの?』そう思う人いませんか?でも、これは違うんです。だって、“地下”に掘れてないもの。実は、基線より下向きの振れではないと「S波」と言わないのです。今思うと“常識”ですが、あまり教科書にも書かれてないこともあり、当時のボクがそれに気づくまでしばらく時間がかかりました。だからこそ、Dr.ヒロは取り上げます!次の(5)もまったく同じ考え方で大丈夫。1mmにも満たないはじめの「r波」を見逃さず、かつ“rS型”でも、ましてや“rSr'S'型”でもありません(これではボクと“同じ穴のむじな”状態になってしまいますよ~)。正しい答えは「rSS'型」。(4)も(5)も「R波」ないし「S波」が連続する時には、反対向きの小波はカウントせず、間にノッチ(notch)があると表現します。では、最後に“卒業問題”の(6)を扱って終わります。P波や(陰性)T波に惑わされず、基線を意識しながら波の上下を見定め、ノッチの“罠”にひっかからないように…。正解は「rsR'R''s'型」です。うーん、これが正しく言えたのなら、アナタはもうどんなQRS波形を見ても正しく命名できるでしょう。Dr.ヒロが太鼓判を押しますよ。“QRS fragmentationの臨床的意義”今回扱ったギザギザ波形の場合、「QRS fragmentation」または「fragmented QRS」があるという表現をします。これは心室内における電気伝導の遅延を反映しており、心臓病が起こって“キズ”がついていると理解するのがスムーズです。もっともシンプルなのは、心筋梗塞などの話です。次の図は、虚血性心疾患において「fragmented QRS」の有無で生存曲線を比較したものですが、有意差がありますね(図3)。(図3)Fragmented QRSの意義画像を拡大するそして、心筋症や弁膜症などの非虚血性心疾患でも心電図上の独立した予後不良因子*1となります。また、そのほか多くの疾患で死亡・心臓突然死などの予測因子の一つであることも示されています。ただ単に名前が言えるだけではなく、実臨床での話に還元すると非常に興味深いですよね。最後に、前編・後編で扱ったQRS波の命名ルールをまとめました(図4)。(図4)QRS波の命名法まとめ画像を拡大する2回に分けてお送りした「QRS波の命名法」、いかがだったでしょうか。個々の波を正しく認識し、ルールに沿って全体の波をどう呼ぶかを考える。複雑な波形の名前がビシッとうまく言えたとき、何だかオレ(ワタシ)成長しなたなぁ…そんな風に思うのではないでしょうか?QRS波に命名する…それは“我が子”に名を与える親の様子にも似ているなぁ。QRS波一つ一つの“名付け親”になることで波形が愛おしくなり、世界中の皆さんが心電図を好きになってくれたらなぁ…と考えてしまうDr.ヒロなのでした。Take-home MessageQ波はあっても1つだが、R波やS波は複数あったら「ダッシュ(’)」を用いて表現する上向きか下向きかは、基線(T-P [QRS] ライン)からの上下で見極めよう脚ブロックに典型的なQRS波の名称(型)と形をイメージできるようになろう!*1:Jain R, et al. Curr Cardiol Rev. 2014;10:277-286.杉山 裕章. 心電図のみかた、考え方[基礎編]. 中外医学社;2013.p.68-74.【古都のこと~日本循環器学会学術集会2019】今回は、京都を飛び出して「特別編」をお送りします。2019年3月末、パシフィコ横浜で行われた第83回日本循環器学会学術集会に参加してきました。新幹線を降りた時、やや肌寒さを感じましたが、会場はアツかった! セッションやセミナー各種、展示企画まで盛りだくさんの内容でした。自己研鑽以外、もう一つの“お目当て”が。それは、学会に合わせて刊行した2冊の書籍の様子伺いをすることでした。うち1冊の『心電図の読み“型”教えます!Season 1』は、本連載(初回~第11回)の内容をベースに、加筆・修正したものです。陳列された実際の書籍を目にすると、学会直前ギリギリまで作業を続けてくれた中外医学社の関係諸氏への感謝の念が湧き上がります。普段、編集を担当してくれている土井女史とも喜びを分かち合い、書籍コーナーで記念写真をパシャ(笑)これもいい記念になりました。爽やかな刺激を受けたことで、ボクももっとやらなきゃと謙虚な気持ちになり、適度な疲れとともに家路につきました。なお、食いしん坊は、中華街にもちゃっかり足を伸ばし、点心コースを堪能しましたとさ…。

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第14回 医療の質・安全学会学術集会【ご案内】

 2019年11月29日(金)、30日(土)の2日間、第14回医療の質・安全学会学術集会が国立京都国際会館で開催される。今回のテーマは、「レジリエンスの探求~つながり、共創、イノベーション~」。レジリエンスとは、システムの特性を表す用語で、柔軟性、弾力性、しなやかさを意味する。 本学術集会は、さまざまな専門性や多様性を有する医療者が「医療の質・安全」を共通言語としてつながり、創発的なひらめきを共創し、機能・価値の創造と技術革新などのイノベーションを引き起こし、ヘルスケアシステムにレジリエンスを実装することを目的としている。レジリエンス・エンジニアリングの世界的権威であるエリック・ホルナゲル教授をはじめ、国内外からさまざまな学際領域の専門家が招聘され、学術的かつ実践的な議論が行われる予定だ。4月24日(水)より演題登録を行っているので、ご興味のある方は、ぜひ登録をお願いしたい。 開催概要は以下のとおり。【日時】2019年11月29日(金)~30日(土)【場所】国立京都国際会館【大会長】大阪大学医学部附属病院中央クオリティマネジメント部 教授 中島 和江氏【テーマ】レジリエンスの探求~つながり、共創、イノベーション~Enabling Resilient Health Care through Connections, Co-creation and Innovation【お問い合わせ先】大阪大学医学部附属病院 中央クオリティマネジメント部〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-15株式会社コンベンションリンケージ内〒531-0072 大阪府大阪市北区豊崎3-19-3 PIAS TOWER 11FTEL 06-6377-2188FAX 06-6377-2075E-mail:14jsqsh@c-linkage.co.jp第14回医療の質・安全学会学術集会詳細はこちら

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親密なパートナーからの暴力への介入、妊婦の産後QOLを改善するか/JAMA

 親密なパートナーからの暴力(intimate partner violence:IPV)は公衆衛生上の課題であり、女性や子供に重大で有害な結果をもたらす。カナダ・マックマスター大学のSusan M. Jack氏らは、初めての子供を持つ社会的および経済的な不利益を経験している妊婦への看護師による自宅訪問プログラム(nurse home visitation program)に、IPVへの包括的な介入を加えても、出産後の母親の生活の質(QOL)の改善は得られないことを示した。研究の詳細はJAMA誌2019年4月23日号に掲載された。米国の3つの無作為化試験では、看護師による自宅訪問プログラムは妊娠アウトカム、子供の健康、母親のライフコース(life-course)における成長を改善すると報告されているが、IPVが中等度~重度の母親ではこの効果は得られていない。また、他の米国とオランダの試験では、IPVへの同プログラムの効果に関して相反する知見が得られているという。IPV介入による強化の有用性を評価するクラスター無作為化試験 研究グループは、看護師による自宅訪問プログラムをIPV介入で強化することによる、母親のQOLへの影響を評価する目的で、単盲検クラスター無作為化試験を行った(米国国立傷害予防管理センター[NCIPC]などの助成による)。 2011年5月~2015年5月の期間に、米国8州の15施設で、社会的不利益を受け、2.5年間の看護師による自宅訪問プログラムに参加している16歳以上の妊娠女性492例を登録した。参加施設は、看護師による自宅訪問プログラム+IPV介入を行う強化プログラム群(7施設、229例)または看護師による自宅訪問プログラムのみを行う標準プログラム群(8施設、263例)に無作為に割り付けられた。 強化プログラム群の施設では、看護師が集中的なIPV教育を受け、IPV介入を行った。介入には、安全性計画(safety planning)、暴力の認識(violence awareness)、自己効力感(self-efficacy)、社会的支援への紹介に焦点を当てた評価や個別的ケアを支援するクリニカルパスが含まれた。標準プログラムには、暴力曝露に関する限定的な質問と、虐待を受けた女性に関する情報が含まれたが、看護師への標準化されたIPV研修は行われなかった。 主要アウトカムは、ベースラインおよび出産後から24ヵ月までの6ヵ月ごとの面談で得られたQOLとした。QOL評価にはWHOQOL-BREF(0~400点、点数が高いほどQOLが良好)を用いた。7つの副次アウトカムにも有意差なし 全体の平均年齢は20.3(SD 3.7)歳で、白人が62.8%、黒人/アフリカ系米国人が23.3%であり、高卒/職業訓練校修了が53.3%、独身/未婚が80%、被扶養/無収入が35.7%だった。421例(86%)が試験を完遂した。 WHOQOL-BREFスコアは、強化プログラム群ではベースラインの299.5(SD 54.4)点から24ヵ月後には308.2(52.6)点へ、標準プログラム群では293.6(56.4)点から316.4(57.5)点へといずれも改善し、QOLはむしろ標準プログラム群のほうで良好な傾向がみられた。マルチレベル成長曲線分析では有意な差はなかった(モデル化スコア差:-4.9、95%信頼区間[CI]:-16.5~6.7)。 7つの副次アウトカム(Composite Abuse Scale[CAS]によるIPV、SPANによる心的外傷後ストレス障害[PTSD]、Patient Health Questionnaire 9[PHQ-9]によるうつ状態、TWEAKによる飲酒問題、Drug Abuse Severity Test[DAST]による薬物問題、12-Item Short-Form Health Survey[SF-12]による心の健康および身体的健康)はいずれも、両群に有意差はみられなかった。また、有害事象の記録は両群ともになかった。 著者は、「これらの知見は、この複雑で多面的なIPVへの介入によって、看護師による自宅訪問プログラムを強化した支援を支持しない」としている。

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