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乳がん術後再発、局所vs.全身麻酔で差なし/Lancet

 乳がんの根治的切除術時の麻酔法として、局所的な麻酔/鎮痛(傍脊椎ブロックとプロポフォール)は、全身麻酔(揮発性麻酔[セボフルラン]とオピオイド)と比較して、乳がんの再発を抑制しないことが、米国・クリーブランドクリニックのDaniel I. Sessler氏らBreast Cancer Recurrence Collaborationの検討で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年10月20日号に掲載された。手術時のストレス応答、揮発性吸入麻酔の使用、鎮痛のためのオピオイドは、がん手術の周術期因子であり、いずれも再発に対する宿主防御を減弱させるという。一方、これらの因子はすべて、局所的な麻酔/鎮痛によって改善するとされている。8ヵ国13施設が参加、2つの仮説を検証する無作為化試験 研究グループは次の2つの仮説を立て、これを検証する目的で無作為化対照比較試験を行った(アイルランド・Sisk Healthcare Foundationなどの助成による)。 (1)傍脊椎ブロックとプロポフォールを用いた局所麻酔/鎮痛は、揮発性麻酔薬セボフルランとオピオイド鎮痛による全身麻酔に比べ、治癒が期待される根治的切除術後の乳がんの再発を抑制する(主要仮説)、(2)局所麻酔/鎮痛は、乳房の持続性の術後痛を低減する(副次仮説)。 8ヵ国(アルゼンチン、オーストリア、中国、ドイツ、アイルランド、ニュージーランド、シンガポール、米国)の13病院で、治癒が期待される根治的切除術(初回)を受ける乳がん女性(85歳未満)が登録され、局所麻酔/鎮痛を受ける群または全身麻酔を受ける群に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、局所または転移を有する乳がん再発とし、intention-to-treat解析を行った。副次アウトカムは、6ヵ月後と12ヵ月後の術後痛であった。再発率:10% vs.10%、1年後の術後痛:28% vs.27% 2007年1月30日~2018年1月18日の期間に、2,108例の女性が登録され、1,043例(平均年齢53[SD 12]歳)が局所麻酔/鎮痛群に、1,065例(53[11]歳)は全身麻酔群に割り付けられた。1,253例(59%)が北京市、404例(19%)がダブリン市、170例(8%)はウィーン市からの患者であった。 ベースラインの患者背景は両群間でバランスがよくとれていた。追跡期間中央値は、両群とも36ヵ月(IQR:24~49)だった。 乳がんの再発は、局所麻酔/鎮痛群が102例(10%)、全身麻酔群は111例(10%)で報告され、両群間に有意な差は認められなかった(補正後ハザード比[HR]:0.97、95%信頼区間[CI]:0.74~1.28、p=0.84)。 術後痛は、6ヵ月の時点では局所麻酔/鎮痛群が856例中442例(52%)、全身麻酔群では872例中456例(52%)で報告され、12ヵ月時にはそれぞれ854例中239例(28%)、852例中232例(27%)で報告された(全体の中間補正後オッズ比:1.00、95%CI:0.85~1.17、p=0.99)。 神経障害性の乳房痛の発生には麻酔術による差はなく、6ヵ月時には局所麻酔/鎮痛群が859例中87例(10%)、全身麻酔群は870例中89例(10%)で認められ、12ヵ月時はそれぞれ857例中57例(7%)、854例中57例(7%)にみられた。 著者は、「乳がん再発と術後痛に関しては、局所麻酔と全身麻酔のどちらを使用してもよい」としている。

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モノ作りに優れて戦略に劣る日本?(解説:後藤信哉氏)-1127

 新薬開発企業は認可承認のために第III相試験を行う。第III相試験の結果が「エビデンス」として広く広報される。認可承認後に施行された第IV相試験の多くも製薬会社が製品の宣伝を目的として施行している。本研究は直接製薬企業によるfundを受けていない。実臨床にて使用可能なプラスグレルとチカグレロルの有効性と安全性を直接比較したオープンラベルのランダム化比較試験として臨床におけるインパクトの大きな研究である。 プラスグレルの第III相の開発試験TRITON-TIMI 38では、本研究と同様にPCIを計画された急性冠症候群が対象とされた。しかし、チカグレロルの第III相開発試験ではPCIを計画していない症例もランダム化された。10%程度の症例がバイパス手術を受け、バイパスによる大出血が薬剤による大出血を希釈したので、見かけはチカグレロル群にて出血が増えないように見えた。しかし、本研究のように試験のデザインをPCIを計画した症例とすると重篤な出血イベント発症率はチカグレロル群とプラスグレルに差がなく、数値としてはチカグレロル群にて多いようでさえあった。PLATO試験ではチカグレロル群にてクロピドグレル群より死亡率が低いことが注目された。しかし、本研究ではプラスグレル群と死亡率に差異はなく、死亡・心筋梗塞・脳卒中ではプラスグレル群が低かった。 第III相試験のプロトコールこそが新薬の認可承認とプロモーションの成否を決める。各企業は自らの薬剤の結果が良くなるように必死の戦略を練る。PLATO試験とTRITON-TIMI 38試験ではPLATOの計画者がより巧みであった。日本の宇部興産と第一三共が開発したプラスグレルこそがクロピドグレルの後継となれるポテンシャルのあった薬なのかもしれない。いいものを持ちながら戦略性にて欧米に負ける日本の現状の問題を提起する試験であった。

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新型タバコの発がんリスク【新型タバコの基礎知識】第11回

第11回 新型タバコの発がんリスクKey Points1件のモデル研究で、発がんリスクが大きい順に“紙巻タバコ>>加熱式タバコ>>電子タバコ”と推定されたが、解釈には注意が必要。日本で大流行している加熱式タバコのリスクは、欧米で流行している電子タバコよりもかなり大きいと考えられる。新型タバコの健康リスクのうち、データがないことを理由として評価が先送りにされそうなのが発がんリスクです。通常、がんの発症までには数10年の年月がかかる場合が多く、リスクの正確な評価には時間がかかるからです。しかし、タバコの健康リスクを考えるうえで重大なリスクである発がんリスクに関する考察を、先送りにするわけにはいかないのではないでしょうか。化学物質による発がんリスクを評価する標準的な手法として、個々の化学物質のユニットリスク(単位濃度μg/m3に生涯曝露された際の発がん確率)とその摂取量(濃度)の積からリスクを推定するという方法があります。タバコの煙に含まれる有害化学物質の情報(第5回参照)に基づき、紙巻タバコ、加熱式タバコ、電子タバコなど各種のタバコ製品による発がんリスクをモデル式により推定した研究があります1)。この研究では、発がんリスクが大きい順に、“紙巻タバコ>>加熱式タバコ>>電子タバコ”と推定されました。紙巻タバコを1日15本吸った場合の生涯の発がんリスクは10万人当たり2,400人であったのに対し、加熱式タバコを1日15スティック吸った場合には10万人当たり57人の発がんリスク、電子タバコを1日30L(平均的吸入量)吸った場合には10万人当たり9.5人の発がんリスクだと推定されました。つまり、新型タバコに替えると発がんリスクが大きく減るとの結果です。ただし、この結果を鵜呑みにはできません。そもそも、紙巻タバコと比較することは正しいことなのか? という点がありますが、これについては後述します。鵜呑みにできない理由としては、少なくとも3つあります:[理由その1]この研究では、タバコ会社が選択的に報告したデータが主に使用されています。過去の紙巻タバコに関する研究結果から、一部の有害物質だけの情報を用いて推定したタバコのリスクは、実際よりも非常に少なく見積もられてしまう可能性があると考えられます。タバコ会社は、加熱式タバコの方が少なかったという化学物質を選択的に報告している可能性も否定はできません(第6回参照)。加熱式タバコには、発がん性があると考えられる物質も含め、推定モデルに含まれていない未知の成分が多く存在しているのです。[理由その2]リスクを少なく見積もってしまう原因となる、有害物質の複合曝露の影響がこの推定モデルでは考慮されていません。複合曝露の影響を完全に解明することは不可能です(図)。そのため、タバコから出る特定の有害物質の量を測定するというリスクの推定方法には、どうしても解決できない限界として複合曝露の問題が残り続けます。画像を拡大する[理由その3]現実世界でのタバコの吸い方は単純ではありません。紙巻タバコを1日15本吸っていた人が、モデルの設定で想定しているように、加熱式タバコにスイッチしたら1日15スティック吸うようになるとは限りません。加熱式タバコにスイッチすると紙巻タバコの時よりも吸う回数が増えるとの報告もあります2)。また、そもそもスイッチできるとも限りません。2017年に日本で実施したインターネット調査では、加熱式タバコを吸っている人の約70%は紙巻タバコとの併用でした3)。こういった理由から、現実世界における加熱式タバコによる発がんリスクは、冒頭のモデル研究が推定するよりもかなり大きい可能性があると考えています。過去の紙巻タバコの研究から、1日の喫煙量が多いことよりも、喫煙期間が長いことの方が、より大きな肺がんリスクになると考えられます4,5)。加熱式タバコにスイッチして有害物質の量を仮に減らせたとしても、長期間吸っていたら発がんリスクは大きくなると推測されるのです。さらには、新型タバコの発がんリスクを考える上でキーになる物質は、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類の可能性があります。前述の推定モデルには、この観点も抜けています。動物実験および細胞実験の結果から、タバコ煙の発がん性物質のなかでも、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等を含むアルデヒド類が、他の発がん性物質よりも発がんに強く関与していると報告されています6)。もともとアルデヒド類はタバコ煙のタールに占める比重が高いため、煙に多く含まれるアルデヒド類の関与が大きいとする結果は妥当だろうと考えられます。紙巻タバコと比べ、新型タバコでどれだけリスクを低減できる可能性があるのか推定する場合には、もともと多く含まれていて有害性の高い物質であるアルデヒド類に注目していく必要があります。加熱式タバコや電子タバコでは他の有害物質と比べて、アルデヒド類が比較的多く検出されていることから、加熱式タバコや電子タバコではアルデヒド類を介した有害性が大きいだろうと考えられるのです。また、有害化学物質の絶対量が重要だとも考えられます。紙巻タバコと比べた相対的なデータ、すなわち%だけをみていては、絶対量の問題に気付かないかもしれません。もともと非常に少なく、リスクの程度の小さい化学物質であれば、量が2倍になっても半分になってもたいした影響はないでしょう。気を付けないと、そういう数字のマジックにも騙されてしまう可能性があります。ただし、今回取り上げたモデル研究から分かることで、とくに日本で重要な観点があります。日本で大流行している加熱式タバコの発がんリスクは、欧米で流行している電子タバコよりもかなり大きいと推計された、という点です。そもそもの問題:新型タバコのリスクを何と比較するか本連載では、新型タバコのリスクについてみてきましたが、そもそもの問題として、加熱式タバコがタバコ製品でなければ、市場に出てくることすらなかったはずです。タバコ製品だけはたばこ事業法のもと“タバコ”として扱われ、発がん性物質などの有害物質が検出されても、問題になるわけでもなく、それはタバコだから、となるわけです。新型タバコで検出される有害物質の量は紙巻タバコと比べて低いかもしれませんが、それは有害物質の塊である紙巻タバコと比較するからです(第10回参照)。新型タバコを、化粧品や食品などタバコ以外の商品と比較すれば、明らかに新型タバコの方が有害だと考えられます。タバコ会社は紙巻タバコから加熱式タバコへスイッチすることを積極的に勧めていますが、せっかく紙巻タバコをやめるなら、新型タバコもやめて、もっと安全な選択をしてもらいたいと願っています。第12回は、「新型タバコを吸っている患者に伝えたいこと」です。1)Stephens WE. Tob Control. 2018; 27: 10-17.2)Simonavicius E, et al. Tob Control.2019;28:582-94.3)Tabuchi T, et al. Tob Control.2018;2:e25-e33.4)Leffondre K, et al. Am J Epidemiol. 2002; 156: 813-823.5)Flanders WD, et al. Cancer Res. 2003; 63: 6556-6562.6)Weng MW, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018; 115: E6152-E6161.

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最近の話題:肺がんIO-IO CheckMate-227【侍オンコロジスト奮闘記】第82回

第82回:最近の話題:肺がんIO-IO CheckMate-227ニボルマブ+低用量イピリムマブ、NSCLCのOS有意に改善(Checkmate-227)/ESMO2019Hellmann MD, et al. Nivolumab plus Ipilimumab in Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med. 2019 Sep 28.[Epub ahead of print]

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ジムの継続率はわずか●%【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第150回

ジムの継続率はわずか●%いらすとやより使用ライ●ップがCMに流れ始めた頃から、徐々に浸透してきた「ジム」。最近、仕事帰りにジムに通って汗を流している医師も多いでしょう。しかし、こういうのって「長続きしない」のが世の常で。「なかなか痩せない」と言いながら、寝る前におやつを食べているなんて、ザラです。Sperandei S, et al.Adherence to physical activity in an unsupervised setting: Explanatory variables for high attrition rates among fitness center members.J Sci Med Sport. 2016 Nov;19(11):916-920.リオデジャネイロから興味深い報告がありました。フィットネスセンターに通っている人が、いつまで継続できるかを調べたものです。2005年1月~14年6月の間に、フィットネスセンターに通っていた5,240人の来店記録を参照して、12ヵ月または退会まで追跡し、トレーニング継続率を算出しました。Kaplan-Meier曲線を描いてみると、驚きの結果が得られました(図)。まず、新規会員になった人の63%が3ヵ月までにトレーニングをやめてしまったのです。3ヵ月……いくらなんでも意志が弱すぎるんじゃあ!(千鳥のノブ風)画像を拡大するトレーニング継続率は、6ヵ月で13.6%、1年だとわずか3.7%にまで減少しました。おいおい、やる気あんのかよ、というレベルです。もちろん、一概に日本と比較できるデータではありませんが、思っているより早期ドロップアウトって多いんだなぁと身につまされました。「そういえば最近ジムに行っていないなぁ」というそこのアナタ! 本当に続けられますか!?

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統合失調症や双極性障害の認知機能に対する睡眠の影響

 精神疾患患者では、精神病性障害だけでなく睡眠障害や認知機能障害を併発し、機能やQOLに影響を及ぼす。ノルウェー・オスロ大学のJannicke Fjaera Laskemoen氏らは、統合失調スペクトラム障害(SCZ)および双極性障害(BD)において睡眠障害が認知機能障害と関連しているか、この関連性が睡眠障害のタイプ(不眠症、過眠症、睡眠相後退[DSP])により異なるか、この関連性が健康対照者と違いがあるかについて検討を行った。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2019年10月5日号の報告。 対象は、ノルウェー精神障害研究センター(NORMENT)研究より抽出された797例(SCZ457例、BD340例)。睡眠障害は、うつ病症候学評価尺度(IDS-C)の項目に基づき評価した。いくつかの認知ドメインとの関連は、別々のANCOVAを用いてテストした。認知障害との関連性が睡眠障害のタイプにより異なるかをテストするため、three-way ANOVAを実施した。 主な結果は以下のとおり。・いくつかの共変量で調整した後、睡眠障害を有する患者では、睡眠障害のない患者と比較し、処理速度や認知抑制が有意に低いことが明らかとなった。・睡眠障害と認知機能との関連性は、SCZとBDで類似しており、不眠症と過眠症のいずれにおいても、処理速度や認知抑制への有意な影響が認められた。・健康対照者では、睡眠障害と認知機能に関連性は認められなかった。 著者らは「精神疾患患者における睡眠障害は、認知機能障害の一因となりうる。精神疾患患者の治療では、睡眠障害の治療が認知機能を保護するために重要であることを示唆している」としている。

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大手術時の麻酔深度、1年死亡率と関連する?/Lancet

 大手術後の合併症リスクが高い患者において、浅い全身麻酔は深い全身麻酔と比較して1年死亡率を低下しないことが示された。ニュージーランド・Auckland City HospitalのTimothy G. Short氏らによる、高齢患者を対象に検討した国際多施設共同無作為化試験「Balanced Anaesthesia Study」の結果で、著者は「今回の検討で、処理脳波モニターを用いて揮発性麻酔濃度を調節した場合、広範囲にわたる麻酔深度で麻酔は安全に施行できることが示された」とまとめている。麻酔深度の深さは、術後生存率低下と関連することがこれまでの観察研究で示されていたが、無作為化試験でのエビデンスは不足していた。Lancet誌オンライン版2019年10月20日号掲載の報告。術後合併症リスクが高い高齢者で、浅麻酔と深麻酔での1年全死因死亡率を比較 研究グループは7ヵ国73施設において、明らかな併存疾患を有し手術時間が2時間以上かつ入院期間が2日以上と予想される60歳以上の患者を登録し、大手術後の合併症リスクが高い患者を、bispectral index(BIS)を指標として浅い全身麻酔(浅麻酔群:BIS値50)または深い全身麻酔(深麻酔群:BIS値35)の2群に手術直前に無作為に割り付けた(地域別の置換ブロック法)。なお、患者および評価者は、割り付けに関して盲検化された。また、麻酔科医は、各患者の術中の平均動脈圧を適切な範囲に管理した。 主要評価項目は、1年全死因死亡率で、解析にはlog-rank検定およびCox回帰モデルを使用した。1年全死亡率は両群で有意差なし 2012年12月19日~2017年12月12日の期間に、スクリーニングされ適格基準を満たした1万8,026例中、6,644例が登録および無作為化された(intention-to-treat集団:浅麻酔[BIS50]群3,316例、深麻酔[BIS35]群3,328例)。 BIS中央値は、浅麻酔群で47.2(四分位範囲[IQR]:43.7~50.5)、深麻酔群で38.8(36.3~42.4)であった。平均動脈圧中央値はそれぞれ84.5mmHg(IQR:78.0~91.3)および81.0mmHg(75.4~87.6)であり、浅麻酔群が3.5mmHg(4%)高かった。一方、揮発性麻酔薬の最小肺胞濃度は、それぞれ0.62(0.52~0.73)および0.88(0.74~1.04)であり、浅麻酔群が0.26(30%)低かった。 1年全死因死亡率は、浅麻酔群6.5%(212例)、深麻酔群7.2%(238例)であった(ハザード比:0.88[95%信頼区間[CI]:0.73~1.07]、絶対リスク低下:0.8%[95%CI:-0.5~2.0])。 Grade3の有害事象は、浅麻酔群で954例(29%)、深麻酔群で909例(27%)に、Grade4の有害事象はそれぞれ265例(8%)および259例(8%)に認められた。最も報告が多かった有害事象は、感染症、血管障害、心臓障害および悪性新生物であった。 なお、著者は、両群で目標BIS値に到達していなかったこと、1年全死因死亡率が予想より2%低かったこと、揮発性麻酔薬で維持した全身麻酔に限定され、プロポフォール静脈投与による麻酔の維持に関する情報がないことなどを研究の限界として挙げている。

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早産児、主要併存疾患なし生存の割合は?/JAMA

 スウェーデンにおいて、1973~97年に生まれた早産児のほとんどは、成人期初期から中年期まで主要併存疾患を伴わず生存していたが、超早産児については予後不良であった。米国・マウントサイナイ医科大学のCasey Crump氏らが、スウェーデンのコホート研究の結果を報告した。早産は、成人期における心代謝疾患、呼吸器疾患および神経精神障害との関連が示唆されてきたが、主要併存疾患を有さない生存者の割合については、これまで不明であった。JAMA誌2019年10月22日号掲載の報告。1973~97年に生まれた約260万人を18~43歳まで追跡 研究グループは、1973年1月1日~1997年12月31日の期間にスウェーデンで生まれ、妊娠週数のデータがあり、2015年12月31日(18~43歳)まで生存と併存疾患に関する追跡調査を受けた全国住民256万6,699例について解析した。 主要評価項目は、超早産(22~27週)、極早産(28~33週)、後期早産(34~36週)、早期正期産(37~38週)で生まれた人と、満期正期産(39~41週)で生まれた人の主要併存疾患のない生存率であった。 併存疾患は、思春期および若年成人に一般的に現れる神経精神障害等を評価するAdolescent and Young Adult Health Outcomes and Patient Experience(AYA HOPE:思春期および若年成人の健康転帰と患者の体験)Comorbidity Indexを用いて定義するとともに、成人期の死亡率を予測する主要慢性疾患等を評価するCharlson Comorbidity Index(CCI)を用いて定義した。AYA HOPE併存疾患なし54.6%、CCI併存疾患なし73.1% 解析対象集団のうち、48.6%が女性、5.8%が早産で、追跡期間終了時の年齢中央値は29.8歳(四分位範囲12.6歳)であった。 追跡期間終了時でのAYA HOPE併存疾患なしの生存者の割合は、全早産出生者で54.6%(超早産22.3%、極早産48.5%、後期早産58.0%)、早期正期産で61.2%、満期正期産で63.0%であった。この割合は、満期正期産出生者と比較して全早産出生者で有意に低下した(補正後率比:超早産0.35[95%信頼区間[CI]:0.33~0.36、p<0.001]、全早産0.86[95%CI:0.85~0.86、p<0.001]、補正率比の差:超早産-0.41[95%CI:-0.42~-0.40、p<0.001]、全早産-0.09[95%CI:-0.09~-0.09、p<0.001])。 また、CCIで評価した併存疾患を有することなく生存していた人の割合は、全早産73.1%、超早産32.5%、極早産66.4%、後期早産77.1%、早期正期産80.4%、満期正期産81.8%であった(補正後率比 超早産:0.39[95%CI:0.38~0.41、p<0.001]、全早産:0.89[95%CI:0.89~0.89、p<0.001]、補正後率比の差 超早産:-0.50[95%CI:-0.51~-0.49、p<0.001]、全早産:-0.09[95%CI:-0.09~-0.09、p<0.001])。

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【GET!ザ・トレンド】ニューモシスチス肺炎の今日的意義(後編)

前回は、非HIV感染例が発症するPCP(non-HIV PCP)が、HIV例のPCP(HIV-PCP)と病態進行や予後、診断について取り上げました。今回はnon-HIV PCPの治療、そして予防の重要性について解説します。non-HIV PCPが鑑別疾患に残ったらnon-HIV PCPの可能性が除外できない場合、まず、「厳しい戦いになる可能性」を患者さんや家族に伝えましょう。また医療従事者は、状態の増悪に備える必要があります。たとえば、呼吸器内科医のいない施設なら、他院の呼吸器内科医にアクセスを始める、あるいは自施設の集中治療の先生に声を掛ける。また、増悪時に必要となる薬剤がそろっているかどうかも、事前に確認します。治療薬は基本的にHIV PCPと同じで、ST合剤が第1選択薬です。ただし、non-HIV PCPではHIV PCPに比べ、先述のとおり、菌体量が少ないため、低用量でもよいとの考え方もあります。なお、HIV PCPではステロイド併用も一般的ですが、non-HIV PCPに対して必要かどうか、まだはっきりしていません。ST合剤に忍容性がない、あるいは無効だった場合は、ペンタミジンかアトバコンに変更します。ペンタミジンは吸入剤と点滴静注がありますが、有害事象の発現するケースが多く、発熱、腎障害、肝障害が頻発します[藤井毅. 日本臨床微生物学雑誌. 2016;26:195-201.]。アトバコンは、治療効果の高さではST合剤に劣るものの効果はあり、ST合剤やペンタミジンに比べて副作用が少なく使いやすい薬剤です[Hughes W, et al. N Engl J Med. 1993;328:1521-1527.]。感染予防よりも発症予防次に、non-HIV PCPの予防について考えてみたいと思います。ステロイド剤や免疫抑制剤の投与を受けている症例は、その投与量や期間により予防投薬が必要と考えられます。その条件については諸説があります。non-HIV PCPは、空気感染の可能性が示唆されています [Choukri F, et al. Clin Infect Dis. 2010;51:259-265.]。しかし日和見感染症ですので、高リスク例が集中する病棟を除いて、隔離の必要性は低く、かつ非効率的だと考えられます。加えて空気感染であれば、外来患者が市中感染するリスクもあります。そのため、基本的には1次予防(予防投薬)が中心とならざるを得ません。予防投薬でも、第1選択薬はST合剤です。コクランレビューでは、1~2錠を1日1回、それを週3回でも連日投与と有効性に有意差はないとされています[Stern A, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2014 Oct 1. CD005590.] 。ただし、有害事象として高カリウム血症が起こりえますので、定期的なモニタリングが必要です。もっとも、有害事象として経験するのは、皮疹や発熱のほうが多いというのが実感です。また、アトバコンは予防投薬の場合、1回10mLを1日1回、食後に経口投与します。安全性に関しては、下痢・悪心や発疹などに注意が必要です。予防投薬の期間ですが、先述の様に諸説はありますが、一定量以上の免疫抑制薬やステロイドを使用している例では、中止することなく継続すべきでしょう。こうした条件において予防投薬をしない場合、10%以上がPCPを発症したという報告もあります [大曲貴夫ほか編. 免疫不全者の呼吸器感染症. 南山堂;2011.p.330.]。さらに非常に興味深いデータとして、腎移植後24年間予防投薬を続けていた例が、4ヵ月間予防投薬を中止しただけで、non-HIV PCPを発症したという報告があります [Kono M et al. Transplant Direct. 2018; 4: e359.] 。後者は、長期にわたる予防投薬継続の実行可能性、ならびに必要性を示すデータだと考えられます。以上、non-HIV PCPへの対応と、高リスク例1次予防の重要性について概説しました。日々の臨床にお役立ていただければ幸いです。

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EGFR-TKI併用療法、これまでのまとめ【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第10回

第10回 EGFR-TKI併用療法、これまでのまとめ1)Stinchombe TE, Janne PA, Wang X, et al. Effect of Erlotinib Plus Bevacizumab vs Erlotinib Alone on Progression-Free Survival in Patients With Advanced EGFR-Mutant Non-Small Cell Lung Cancer A Phase 2 Randomized Clinical Trial. JAMA Oncol. 2019 Aug 8. [Epub ahead of print]2)Noronha V, Patil VM, Joshi M, et al. Gefitinib Versus Gefitinib Plus Pemetrexed and Carboplatin Chemotherapy in EGFR-Mutated Lung Cancer. J Clin Oncol. 2019 Aug 14. [Epub ahead of print]3)Nakagawa K, et al. Ramucirumab plus erlotinib in patients with untreated, EGFR-mutated, advanced non-small-cell lung cancer (RELAY): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial.Lancet Oncol. 2019 Oct 4.[Epub ahead of print]EGFR変異陽性例に対する初回治療は、オシメルチニブがOSでも有効性を示した(Ramalingam S, ESMO2019)ことでおおむね片が付いたとみる向きが多いが、次なる方向性として併用療法やcell-free DNAを組み合わせたアプローチなどが模索されている。今回は最近の報告を基に併用療法についてまとめてみた。1)について米国から報告された第II相試験。88例をエルロチニブ+/-ベバシズマブに1:1で無作為化。プライマリーエンドポイントであるPFSは17.9ヵ月 vs.13.5ヵ月と併用群で延長していたが、統計学的な有意差なし(HR:0.81、p=0.39)。ORRは同等(81% vs.83%)、驚くべきことにOSは併用群で劣る傾向(32.4ヵ月 vs.50.6ヵ月、HR:1.41、p=0.33)であった。後治療としてオシメルチニブが併用療法群で10例・単剤群で13例投与されている(これらを省いたOSデータは示されていない)。2)について細胞傷害性抗がん剤との併用インドから報告された単施設の(!)第III相試験。350例をゲフィチニブ+/-化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)に1:1で無作為化。PS 2が21%と多く含まれている。プライマリーエンドポイントであるPFSは16ヵ月 vs.8ヵ月と併用群で有意に延長していた(HR:0.51、p<0.001)。ORR(75% vs.63%)、OS(中央値未到達vs.17ヵ月、HR:0.45、p<0.001)も併用群で有意に上回っていた。後治療として単剤群のうち、カルボプラチン+ペメトレキセドを受けたものは32.4%とやや低めである。解説血管新生阻害薬との併用については、本邦から報告されたゲフィチニブ+/-ベバシズマブの第II相試験(JO25567)での良好なPFSを基に複数の第III相臨床試験が計画された。昨年・本年のASCOで本邦からの第III相試験が報告され、PFS延長が確認されたことは周知のとおり(Saito, Lancet Oncol. 2019、Nakagawa, Lancet Oncol. 2019)。今後、中国やEUからも第III相試験の報告が予想されている。今回の第II相試験は残念ながらnegativeな結果に終わったが、著者らも触れているように単剤群の治療成績が予想よりよかったことも影響しており、血管新生阻害薬併用によるPFS延長は十分確認されたと考えられる。ただし、より重要なのは、JO試験に引き続いてOSの延長が認められなかったことであろう。それほど毒性の強い治療でもないので後治療に差があるわけではないと思うのだが、この理由は明らかになっておらず、今後の開発にやや不安を残したといえる。オシメルチニブとの併用を含めた主だった試験のまとめは以下のとおり。細胞傷害性抗がん薬との併用は、古くTRIBUTE試験などで検討されてきたが、EGFR変異陽性例に絞った検討はNEJグループが牽引してきた経緯がある(Sugawara S, Ann Oncol2015, Oizumi S, ESMO Open2018)。第III相試験については昨年のASCOで報告され(Furuya N, ASCO2018)、本年インドからも同様の結果が示された。PFSは延長して当然な一方で、2つの第III相試験ともにOS延長が示されたことは重要である(ただしインドの試験では低い後治療の割合がOSの大きな差に影響している可能性はあり)。主だった試験のまとめは以下のとおり。以上が現状のまとめとなる。元々のコンセプトとして、前者はEGFR-TKIの効果増強を意図している一方で、後者は腫瘍のheterogeneityに対して異なる機序の薬剤の相乗効果を狙っている。また、血管新生阻害剤併用の場合には後治療として化学療法(+免疫チェックポイント阻害剤)が使用可能であるのに対して、細胞傷害性抗がん剤併用後の増悪に対しては単剤化学療法が標準と考えられることから、これら併用療法のPFSを単純に比べることはあまり意味がなさそうである。一方でこれら試験結果を待っている間に、オシメルチニブというgame changerが登場したため、結果の解釈はより難しくなった。現在、オシメルチニブを用いても同様の治療戦略が成り立つのかを検討すべく、さまざまな計画がなされている(Yu H, ASCO2019)。以上、簡単にEGFR-TKI併用療法の現状をまとめた。今後オシメルチニブを軸に治療開発がなされると考えられるが、エンドポイントをどう設定するかは非常に重要な問題である。クロスオーバーの影響を考慮すべき治療の場合、PFSでは不十分な可能性があるが、そうなると相当大規模な症例数が必要となる。長期奏効の指標としてX年無再発率のような新しい指標を検討すべきなのか、乳がんのホルモン治療やICIで近年検討されているように「試験治療開始から化学療法開始までの期間(=どの程度の期間化学療法を回避できたか)」や「治療休止期間」のような患者のQOLをより反映したソフトエンドポイントも興味深く、ドライバー変異陽性肺がんもこうした新規エンドポイントを検討すべき時代になっているのかもしれない。また、オシメルチニブ単剤でも良好なPFSが得られる状況において、果たして併用療法が本当に意義のあるPFS延長を示せるのかも気になる点である(実際、オシメルチニブ+ベバシズマブの試験ではPFSはそれほど延びていない)。図表(ppt)はこちら。右クリックでダウンロードできます。

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肝がんの1次療法、ニボルマブとソラフェニブの比較第III相試験(CheckMate-459)/ESMO2019

 香港大学医学部のThomas Yau氏は進行肝細胞がんに対する1次治療として従来の標準治療薬のソラフェニブとニボルマブの効果を比較する第III相試験CheckMate-459の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で発表した。 CheckMate-459試験は切除不能な未治療の進行肝細胞がん患者743例が対象。この登録患者にソラフェニブとニボルマブを無作為に割り付けた。各群の詳細は以下のとおり。・試験群:ニボルマブ240mg、2週ごと(372例)・対照群:ソラフェニブ400mg、1日2回(371例)・投与期間:病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、PD-L1発現と有効性の関連など 主な結果は以下のとおり。・OS中央値はニボルマブ群が16.4ヵ月(95%信頼区間[CI]:13.9~18.4)、ソラフェニブ群が14.7ヵ月(95%CI:11.9~17.2)と両群間で有意差は認めなかった(ハザード比[HR]:0.85、95%CI:0.72~1.02、p=0.0752)。・PFS中央値はニボルマブ群が3.7ヵ月(95%CI:3.1~3.9)、ソラフェニブ群が3.8ヵ月(95%CI:3.7~4.5)であった。・奏効率(ORR)はニボルマブ群が15%、ソラフェニブ群が7%であった。・完全奏効(CR)率はニボルマブ群が4%、ソラフェニブ群が1%であった。・PD-L1発現率1%以上でORRはニボルマブ群が28%、ソラフェニブ群が9%であった。・治療薬に関連した深刻な有害事象(AE)に関してニボルマブ群で新たな懸念は認められなかった。・Grade3以上の治療関連AE発現率はニボルマブ群が22%、ソラフェニブ群が49%であった。 OSで有意差は示せなかったものの、今回の結果についてYau氏は「OS、ORR、CRでニボルマブ群はソラフェニブ群と比べ改善傾向を示した」と評した。

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性機能に対するボルチオキセチンの影響~ランダム化比較試験

 性機能障害はうつ病患者においてよくみられるが、抗うつ薬の一般的な副作用として認められるtreatment-emergent sexual dysfunction(治療に起因する性機能障害)の評価は、一部の患者において抑うつ症状の治療と混同される可能性がある。米国・Takeda Development Center AmericasのPaula Jacobsen氏らは、ボルチオキセチンの性機能に対する影響を評価するため、健康なボランティアを対象に、性機能障害を誘発することが知られているパロキセチンおよびプラセボとの比較を行った。The Journal of Sexual Medicine誌2019年10月号の報告。 本研究は、フェーズIVランダム化多施設二重盲検プラセボ対照4アーム固定用量head-to-head試験として実施された。性機能が正常な18~40歳の健康なボランティア(自己報告によるChanges in Sexual Functioning Questionnaire Short-Form[CSFQ-14]において男性は47点超、女性は41点超)に、ボルチオキセチン(1日1回10mgおよび20mg)、パロキセチン(1日1回20mg)、プラセボを5週間投与し、性機能障害の比較を行った。治療コンプライアンス不良を調整する2つの修正された完全分析セットを事前に指定した。主要エンドポイントは、5週間後のパロキセチンと比較したボルチオキセチンのCSFQ-14総スコアの変化とした。副次エンドポイントは、プラセボと比較したボルチオキセチンのCSFQ-14スコアの変化、CSFQ-14サブスケール、患者の全体的な印象度とした。 主な結果は以下のとおり。・対象は361例(平均年齢:28.4歳)。内訳は、白人約57%、黒人またはアフリカ系米国人34%、アジア系4%であった。・ボルチオキセチン10mgでは、パロキセチンよりも治療に起因する性機能障害が有意に少なかった(平均差:+2.74点、p=0.009)。・ボルチオキセチン20mgでは、パロキセチンよりも治療に起因する性機能障害が少なかったが(平均差:+1.05点)、統計学的に有意な差は認められなかった。・とくにパロキセチンおよびボルチオキセチン20mgでは、コンプライアンス不良が結果に影響を及ぼしている可能性が示唆された。・パロキセチンは、プラセボよりも治療に起因する性機能障害が有意に多かったが、ボルチオキセチンでは認められなかった。・ボルチオキセチンは、パロキセチンよりもCSFQ-14で測定した性機能障害の3つのフェーズおよび5つのディメンションにおいて良好な結果が認められた。・本試験では、健康なボランティアを対象とすることにより、結果に影響を及ぼすうつ症状の状態などのリスクが軽減された。 著者らは「健康なボランティアにおいて、ボルチオキセチンはパロキセチンよりも治療に起因する性機能障害が少なく、性機能障害が懸念されるうつ病患者のマネジメントにおいてボルチオキセチンが選択薬となりうることが示唆された」としている。■「ボルチオキセチン」関連記事ボルチオキセチン治療中のうつ病患者における睡眠と抑うつ症状との関係

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元プロサッカー選手、神経変性疾患死3.45倍/NEJM

 元プロサッカー選手は、神経変性疾患による死亡率が高く、一般的な疾患での死亡率は低いことが示された。英国・グラスゴー大学のDaniel F. Mackay氏らによる、スコットランドの元プロサッカー選手7,676例を対象とした後ろ向き適合コホート研究の結果で、元選手は認知症関連治療薬の処方率も高かったという。神経変性疾患は、コンタクトスポーツのエリート選手で報告されている。元プロサッカー選手の神経変性疾患の発症率については明らかにされていなかった。著者は、「今回観察された結果について、前向き適合コホート研究を行い確認する必要がある」と述べている。NEJM誌オンライン版2019年10月21日号掲載の報告。スコットランドの元プロサッカー選手と適合コホートを比較分析 研究グループは、スコットランドの選手データベースから、元プロサッカー選手7,676例と、性別、年齢、社会的剥奪(social deprivation)の程度で適合した一般住民の対照コホート2万3,028例について、後ろ向きコホート研究を行い、神経変性疾患死亡率を比較した。 死因については、死亡診断書で特定した。また、認知症治療薬の処方データについても比較した。処方情報は、全国処方情報システムから入手した。アルツハイマー病死のリスクが最も高く5.07倍 中央値18年以上の追跡において、元サッカー選手群では1,180例(15.4%)が、対照群では3,807例(16.5%)が死亡した。全死因死亡率は、70歳までは元サッカー選手群が対照群よりも低かったが、その後は逆に高かった。 虚血性心疾患による死亡リスクは、元サッカー選手群が対照群に比べ有意に低かった(ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.66~0.97、p=0.02)。また、肺がんによる死亡リスクも、元サッカー選手群で有意に低かった(同:0.53、0.40~0.70、p<0.001)。 一方で神経変性疾患による死亡率は、元サッカー選手群1.7%、対照群0.5%で有意に高率だった(虚血性心疾患死・全がん死の競合リスク補正後HR:3.45、95%CI:2.11~5.62、p<0.001)。元サッカー選手において、死亡診断書で神経変性疾患が死因・要因と記述されていた死亡は、疾患のサブタイプによってばらつきがあった。最も頻度が高かったのはアルツハイマー病で(元サッカー選手群vs.対照群のHR:5.07、95%CI:2.92~8.82、p<0.001)、最も低かったのはパーキンソン病だった(2.15、1.17~3.96、p=0.01)。 認知症関連治療薬の処方率も、元サッカー選手群が対照群に比べ有意に高率だった(オッズ比[OR]:4.90、95%CI:3.81~6.31、p<0.001)。 元サッカー選手の中で、神経変性疾患が死因・要因の割合は、元ゴールキーパーと元フィールド・プレーヤーで有意差はなかった(HR:0.73、95%CI:0.43~1.24、p=0.24)。しかし、認知症関連治療薬の処方率は、元ゴールキーパーが元フィールド・プレーヤーより有意に低率だった(OR:0.41、95%CI:0.19~0.89、p=0.02)。

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USMLE Step1、あなどれない基礎医学【臨床留学通信 from NY】第3回

第3回:USMLE Step1、あなどれない基礎医学今回から、USMLEのStepについてそれぞれ具体的な対策に触れていきます。まずはStep1です。この試験は基礎医学からの出題となりますが、その内容は臨床に必要な基礎医学を問うもので、いわゆる医学部低学年で基礎医学の試験を受けるのとは異なる印象でした。ただ、臨床をやりながら英語に興味があって英文の医学雑誌が読めたとしても、基礎医学の英語については馴染みがないのが普通です。そのため、Step1の問題に出てくる英語を逐一覚えていく(というより、問題を解きながら内容と共に頭に入れていく)という点で、Step2 CKとは大きく異なり、労力を要する試験と言えます。さらに私の場合、前述した通り、医学部時代の大部分をテニスに費やしたため、基礎医学の内容が日本語でもよくわかっていませんでした。早い段階で受験を考えていれば、学生のうちにStep1に挑戦する人もいますが、臨床をやりながら受験する際には、その時の忙しさ等も鑑みて、半年以上の時間を割けるタイミングでの受験となります。具体的な試験対策としては、First Aidを一度通読した後、オンライン問題集のUSMLE worldを解き始めるわけですが、1回目は辛うじて理解するのがやっとであり、各セクションの参考書で知識を補完していく形で進めることになると思います。ちなみに、USMLE worldの解説は、かなり丁寧でわかりやすいです。以下に私が使用した参考書を列挙します。Behavioral scienceこの分野は日本にはなく、Board Review Series (BRS Behavioral Science)を一読しました。Biochemistry配点が高いとされるBiochemistryについては、Lippincottで勉強はしましたが、通読はハードルが高く、わからないところは問題を解きながらその都度つぶしていくのがいいと思います。単語を覚えるのにも苦労しました。Microbiology臨床で感染症が得意であれば、さほど難しくはないと思います。日々の臨床で、Bacteria等の分類などを意識するようにしましょう。Lippincottを持ってはいましたが、どんどん問題を解いていくのがいいでしょう。PathologyこちらもBRSを一読しました。そこまで難しくない分野かと思います。Pharmacologyこちらも、薬理学的作用を日頃から意識するようにしておけば、難しくはないと思います。Lippincottを持ってはいましたが、こちらも問題をどんどん解いていくのがいいと思います。その他、physiologyなどの分野に関しては、First AidとUSMLE worldのみで勉強しました。やはり徹底した問題集研究こそが王道!とにもかくにも興味がある人は、教科書から入るのではなく、First Aidをざっと見終わったら、思い切ってUSMLE worldを解いてみるのがいいでしょう。医学部の試験も、専門医の試験も過去問から、と言われている通り、いくら教科書を読み込んでも、すぐさまアウトプットに結びつかないものなのです。Column画像を拡大する先月(9月)は、サンフランシスコでTCTというカテーテルの学会に参加してきました。ポスターではありますが、登壇し、口頭の発表と質問応答をする必要がありました1)。渡米して1年を超えましたが、まだまだ英語力が足りていないのを痛感しました。1)http://www.onlinejacc.org/content/74/13_Supplement/B305

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ESMO2019レポート 消化器がん

レポーター紹介胃がんに対する術前化学療法の意義―PRODIGY試験とRESOLVE試験切除可能な進行胃がんに対する治療は本邦では、S-1、CapeOx、SOX、S-1+ドセタキセル(DS)による術後補助化学療法が標準的治療の位置付けである。欧州では、FLOT4試験の結果、術前術後に3剤併用療法を行うことが標準となった。今回、アジアから2つの術前治療に関する第III相試験が発表された。PRODIGY試験は、韓国で実施されたcT2-3N+M0またはcT4NanyM0に対する術前DOS療法+手術+術後S-1療法(以下、CSC群)の、手術+術後S-1療法(以下、SC群)に対する優越性を検証する第III相無作為化比較試験である。計530例が登録され、最終的な解析対象(FAS)は484例であった。年齢中央値は両群とも58歳、食道胃接合部原発が5%程度含まれていた。CSC群におけるGrade3以上の治療関連有害事象として、好中球減少12.6%、発熱性好中球減少9.2%、下痢5.0%を認め、術前治療中の治療関連死は0.8%であった。手術におけるR0切除割合は、CSC群(238例)96.4% vs.SC群(246例)85.8%(p<0.0001)であった。CSC群では病理学的完全奏効(CR)が10.4%(p<0.0001)で認められた。主要評価項目の3年無増悪生存期間(PFS)は、CSC群66.3% vs.SC群60.2%(HR:0.70、95%CI: 0.52~0.95、p=0.0230)であった。ITT解析でもHR:0.69、6ヵ月のランドマーク解析でもHR:0.71と一貫した結果であった。RESOLVE試験は、中国で行われたcT4a/N+M0またはcT4bNanyM0に対する、術後XELOX、術後SOX、術前SOX+手術+術後SOXの3群比較試験である。計1,094例が登録され、年齢中央値は59~60歳、食道胃接合部原発が35~38%含まれていた。術後化学療法実施割合は、各群66~70%であった。3年無病生存(DFS)は、術後XELOX群と比較して、術前術後SOX群で優越性が示され(54.78% vs.62.02%、HR:0.79、95%CI:0.62~0.99、p=0.045)、術後SOX群の非劣性が示された(54.78% vs.60.29%、HR:0.85、95%CI:0.67~1.07、Non-Inferiority margin:1.33)。以上、中国および韓国から2つの第III相試験が報告され、術前化学療法の優越性が検証された。試験の質も大きな問題はないと考えられ、本邦の実地臨床にも外挿できる可能性が高いと考えられる。ただ、中国の試験はcT4と局所進行症例の中でもより進行した集団が対象であること、韓国の試験は優越性を示すも、PFS曲線はほぼR0切除率の差がPFSの差につながっていることが示唆されることを考慮すれば、すべての切除可能胃がんで術前化学療法が必要とは言い切れないだろう。ただ、発表からは術前化学療法の有害事象も許容範囲内で、術後合併症の発生割合も同程度であったことから、大きなデメリットが感じられない。本邦では、JCOG1509試験、JCOG1704試験の2つの胃がんにおける術前化学療法を検討する前向き試験が実施中である。前者はcT3-4N+M0(肉眼型大型3型および4型を除く)を対象に術前S-1+オキサリプラチン(OX)療法の優越性を無治療群と比較する第III相試験、後者はBulky Nがあるものを対象にしたDOS療法を評価する第II相試験である。これらの試験の結果を待つか、中国・韓国のエビデンスを外挿するか、もう少し国内での議論が必要かもしれない。BRAF V600E変異型大腸がんに対する新規分子標的治療―BEACON試験切除不能BRAF V600E変異陽性大腸がんは、大腸がんの約5%に認められ、きわめて予後不良である。大腸がん治療ガイドラインでは、1次治療においてFOLFOXIRI+ベバシズマブ療法が推奨レジメンの1つとなっているが、2次治療以降には有効な治療が乏しいのが現状である。BRAF変異陽性メラノーマや非小細胞肺がんではBRAF阻害薬+MEK阻害薬の有効性が示されており、同様の治療戦略が大腸がんでも期待されていた。BEACON試験は、BRAF V600E変異を有する切除不能・進行再発大腸がんにおいて、1次治療もしくは2次治療後に腫瘍進行を認めた患者を対象とした無作為化第III相試験である。対象患者665例は、エンコラフェニブ+ビニメチニブ+セツキシマブの3剤併用療法群、エンコラフェニブ+Cmabの2剤併用療法群、FOLFIRI+Cmab療法またはIRI+Cmab療法のコントロール群の3群に、1:1:1で無作為に割り付けられた。OS期間中央値は、3剤併用療法群vs.コントロール群で9.0ヵ月vs.5.4ヵ月(p<0.0001)、2剤併用療法群vs.コントロール群で8.4ヵ月vs.5.4ヵ月(p<0.0003)、最初の331例のORRは3剤併用療法群vs.コントロール群で26% vs.2%(p<0.0001)、2剤併用療法群vs.コントロール群で20% vs.2%(p<0.0001)であり、主要評価項目を達成した。相対用量強度(RDI)は3剤併用療法群では、エンコラフェニブ 91%、ビニメチニブ 87%、Cmab 91%、2剤併用療法群では、エンコラフェニブ 98%、Cmab 93%、コントロール群では74~85%であった。Grade3以上の有害事象割合は、3剤併用療法群58%、2剤併用療法群50%、コントロール群61%であり、3剤併用療法群で下痢10%、貧血11%が高く、全Gradeの有害事象において2剤併用療法群で筋肉痛(13%)、関節痛(19%)、頭痛(19%)などの頻度がやや高かった。QOLに関してはQLQ-C30、FACT-Cにおいては差を認めなかった。以上から、3剤併用療法群において良好な有効性を認め、高いRDIを維持しながらも、管理可能な有害事象のプロファイルとQOLの維持を認めた。以上から、今後切除不能BRAF V600E変異陽性大腸がんにおいて、本併用療法は2次治療以降の標準治療として臨床導入されることが期待される。3剤併用療法で有効性がやや高く、有害事象も2剤併用療法とプロファイルが異なるだけでQOLに差がないことからまずは3剤併用でトライしてみることが勧められる。Grade3以上の消化器毒性は3剤併用療法で高いことから、その場合には2剤併用療法もオプションとなりえるだろう。今後メラノーマ同様に1次治療や補助療法での有効性にも期待したいところである。現状、臨床現場でも困っている患者さんのために、早急な薬事承認に期待したいが、まだ1年程度先になるだろう。それまでは、拡大治験の実施や患者申出制度の利用に活路を見いだしたいところである。ハイリスクStageII結腸がんに対する補助療法―ACHIEVE-2試験リンパ節転移のないStageII結腸がんでは、臨床病理学的な再発ハイリスク因子を持つ場合にのみ術後補助化学療法が推奨され、レジメンはCAPOX/FOLFOX療法やフルオロピリミジン単独療法が6ヵ月間行われる。StageIIIにおいて、IDEA collaborationの結果から、CAPOX/FOLFOX療法の3ヵ月投与が治療選択肢として確立されたことからハイリスクStageII結腸がんでも同様の検討が行われた。2019年ASCOでIDEA collaborationに参加した6つの臨床試験のうち、4つの試験(SCOT、TOSCA、ACHIEVE-2、HORG)の統合解析が発表され、主要評価項目である5年無病生存率(DFS)は非劣性が証明されず、negative studyであった。しかし、CAPOX群では3ヵ月と6ヵ月で大きな差を認めず、ハイリスクStageII症例の術後補助化学療法を行う場合でも、CAPOXなら3ヵ月への短縮が可能と結論付けていた。今回のESMOでは、本邦での試験であるACHIEVE-2試験の結果が発表された。514例が登録され、ハイリスク因子はT4 36%、低分化腺がん10~13%、郭清リンパ節転移個数不十分13%、腸閉塞発症19~20%、脈管侵襲陽性87~88%であった。観察期間中央値約36ヵ月の時点で、3年DFSは3ヵ月群88.2% vs.6ヵ月群87.9%であった(HR:1.12、95%CI:0.80~1.57)。レジメン別解析では、FOLFOX群(n=82)3ヵ月群88.6% vs.6ヵ月群85.7%、CAPOX群(n=432)3ヵ月群88.2% vs.6ヵ月群88.4%であった。サブグループ解析では、T4群では3ヵ月群76.2% vs.6ヵ月群79.7%(HR:1.28、95%CI:0.84~1.95)であった。本試験結果の解釈は非常に悩ましい。もともとIDEA collaborationは、統合解析が主体となっていることから、個々の試験の解釈をするときは、統合解析の結果と合わせて評価することが必要である。3年DFSで大きな差はないが、HRが1.12と少し1を超えている点は気になるところである。とくに、T4集団での解析では少数例の検討とはいえ、HR:1.28と1を大きく超えている。全体の3年DFSがlow risk StageIIIよりも悪いことも鑑みると、T4集団ではCAPOX 6ヵ月を選択することが妥当という印象を持った。スペシャルセッションの最後には、登壇者からStageII CCの補助療法のアルゴリズムが提案されたが、私自身はあまり納得のいくものではなかった。国内でのコンセンサス形成には少し時間がかかると思われた。まとめ今回のESMOでも、多くの新しいエビデンスに巡り合うことができた。胃がん、大腸がんでは肺がんなどに比べ新薬の登場が遅れており、その間に周術期治療の開発がトピックスとなっている印象を受けた。日本人の発表やディスカッサント登壇も多く、世界と一緒に新しい治療方針を議論している実感が得られた。腫瘍医としての矜持を持ち、目の前の患者さんにこの新しいエビデンスをどう適用させるかが肝要である。その過程で、また新たなクリニカルクエスチョンが生じ、それに答えるべく臨床試験に取り組む…この繰り返しの結果が今日までのがん治療の進歩であり、令和の時代にも継続していかねばならないだろう。

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NSCLCのALK検査、リキッド・バイオプシーも有用(BFAST)/ESMO2019

 非小細胞肺がん(NSCLC)の遺伝子変異検査で、血液を検体とするリキッド・バイオプシーの有用性を評価した前向き臨床試験の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Rogel Cancer Center/University of MichiganのShirish M. Gadgeel氏より発表された。 BFAST試験は、血液検体のみを用いた6つのコホートからなる国際共同の前向き第II/III相試験である。今回はその中からALK陽性コホートのみ発表された。その他のコホートはRET陽性、ROS1陽性、TMB陽性、Real World Dataなどであり、血液検査(cfDNA)はFMI社によって実施された。・対象:Stage IIIB/IVの未治療のNSCLC。試験全体で2,219例をスクリーニング、ALK陽性は119例(5.4%)で、87例が本試験に登録された。・試験群:ALK陽性コホートにおいては、アレクチニブ600mg×2回/日投与・評価項目:[主要評価項目]治験担当医評価(INV)による奏効率(ORR)[副次評価項目]INVによる奏功期間(DOR)と無増悪生存期間(PFS)。独立評価委員(IRF)によるORR、DOR、PFS[探索的検討項目]脳転移を有する患者群の主治医判定によるORR 必要症例数算定などのために、同じくアレクチニブの国際共同試験であるALEX試験の結果をリファレンスとした(ALEX試験は腫瘍組織検査)。アレクチニブの用量が日本の承認用量とは異なるため、日本からはこのコホートへの登録はなかった。 主な結果は以下のとおり。・登録患者のベースライン特性は、年齢中央値55歳、脳転移有り40%などで、既報のALEX試験と大きな差はなかった。・追跡期間中央値12.6ヵ月。・INVによるORRは87.4%(95%信頼区間[CI]:78.5~93.5)、IRFによるORRは92.0%(95%CI:84.1~96.7)であった。・脳転移を有する患者群(35例)でのINVによるORRは91.4%、脳転移なしの患者群(52例)では84.6%であった。病勢進行(PD)の症例は各群1例と0例であった。・INVによるDORは中央値未到達で、6ヵ月時点でのイベントフリーは63例でありその割合は90.4%であった。・INVによるPFSも同様に中央値未到達であり、12ヵ月時点でのPFSは78.4%(95%CI:69.1~87.7)であった。・Grade3/4の有害事象(AE)は35%、AEによる治療中止は7%、用量減量は8%であった。主なAEは便秘などの消化器症状、浮腫、倦怠感、筋肉痛などであり、既報のアレクチニブの安全性プロファイルと差はなかった。 発表者のGadgeel氏は「血液サンプルでの遺伝子検査(NGS)は、ALK陽性NSCLC患者の治療方針決定に臨床的な意味がある事を示した」と述べた。

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sacubitril-バルサルタンでも崩せなかったHFpEFの堅い牙城(解説:絹川弘一郎氏)-1126

 sacubitril-バルサルタンのHFpEFに対する大規模臨床試験PARAGON-HFがESC2019のlate breakingで発表されると聞いて、5月のESC HFのミーティングで米国の友人と食事していた時、結果の予想をした記憶がある。私はESCで出てくるんだから有意だったんじゃないの、と言い、別の人はHFpEFには非心臓死が多いからmortalityの差は出ないよね、と言ったりしたものであった。相変わらず私の予想は外れ、ただ外れ方としてp=0.059という悩ましいprimary endpointの差であった。7つイベントが入れ替わったら有意だったそうである。ただ、入れ替わりってどういうこと?とも言え、読み方としてはやはりこれだけ大規模にやって有意でないものは有意でないとしか言えない。さらに言うと、CHARM-preservedでもTOPCATでも心不全再入院だけでいうと有意に抑制しているというデータもあり、心血管死亡に対して一定の(有意でないにしても)抑制がないと、これまでカンデサルタンもスピロノラクトンもダメと烙印を押してきた経緯に反する。 PARAGON-HFでは心血管死亡はそれこそ1本の線に見えるほど2群に差がなく、やはり有効でないと結論付けるのが妥当であろう。Solomon氏は対照群にバルサルタンを選ばなきゃよかったみたいなことを言い訳がましく言っていたが、まさにそれはそのとおりかと思う。HFpEFの中にRAS阻害薬がよく効くサブグループがいるようで、それがCHARM-preservedやTOPCATの一定の結果に関係しているかもしれない。一方で対プラセボでもまったく有効性のかけらもなかったI-preserveがどうしてなのかも考える必要がある。そのヒントは平均のLVEFと虚血性心疾患の割合である。平均のLVEFはCHARM-preserved 54%、I-preserve 60%、TOPCAT 56%、PARAGON-HF 57%、虚血性心疾患の割合はCHARM-preserved 56%、I-preserve 24%、TOPCAT 58%、PARAGON-HF 35%。つまり虚血性心疾患の割合が多く、またLVEFが低めの患者が多く含まれているほど実薬の有効性が高くなっている。CHARM-preservedでHFmrEF(昔はmid-rangeを分けてなかった)はHFrEF同様カンデサルタンが有効であったと報じられているし、このPARAGON-HFでもEF<57%では有意にsacubitril-バルサルタンが有効であった。 私は、虚血性心疾患からHFrEFに至る途中のmid-rangeに近いHFpEFはRAS阻害薬が有効であろうし、そしてその場合はPARADIGM-HFと同じくACE阻害薬よりsacubitril-バルサルタンがもっと有効であると思う。真のHFpEFとは何なのか、という議論が本当は必要であるが、虚血でないLVEF>60%のHFpEFに対して、もうHFrEFに対するGDMTの外挿では歯が立たないことが決まったような気がしている。

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【GET!ザ・トレンド】ニューモシスチス肺炎の今日的意義(前編)

ニューモシスチス肺炎(PCP)は、かつて「カリニ肺炎」と呼ばれHIVの合併症として注目を集めていました。しかし今日のPCPはもはや、HIV感染例に特異的な疾患ではありません。HIV例のPCP(HIV-PCP)と表現型や病態、予後がまったく異なる、非HIV感染例が発症するPCP(non-HIV PCP)の特徴と対策についてご紹介したいと思います。HIVとは無関係のPCPが著増よく知られているとおり、PCPはHIVに限らず、「免疫不全」を基礎とする呼吸器疾患です。そのため、ステロイド、あるいは臓器移植後の免疫抑制薬使用頻度の増加、さらに新規の抗がん剤やリウマチ治療薬などの登場に伴い、この免疫不全を引き起こす状態はHIVに限られることなく、多岐にわたるようになりました。その結果、著明に増加したのが、HIV感染を伴わないnon-HIV PCPです。英国のデータでは、HIV PCP例の入院数が経時的に減少を続けているにもかかわらず、PCP入院例の総数は逆に増え続けています(図1)[Maini R, et al. Emerg Infect Dis. 2013;19:386-392.]。この増加のほとんどは、non-HIV PCPと考えられます。図1.英国におけるニューモシスチス肺炎患者数の推移non-HIV PCPは病態進行が早く予後は悪いnon-HIV PCPの表現型は、HIV PCPとまったく異なります。最大の相違点は「病態の進行速度」です。緩徐に進行するHIV PCPと対照的に、non-HIV PCPは「日~週単位」で病態が増悪します。さらに予後も良くありません。台湾からの報告によれば、診断後30日間の死亡率は、HIV PCP例の6.7%に対し、non-HIV PCPでは50%という高値でした[Su YS, et al. J Microbiol Immunol Infect. 2008;41:478-482.]。したがって、早期の診断と治療開始が必要となります。HIV PCP例を診るのと同じ感覚で経過観察していると、取り返しのつかない事態に追い込まれかねません。診断は困難、まず患者背景からリスクを評価しかし困ったことに、「診断が困難」なのもnon-HIV PCPの特徴です。すなわち、HIV PCPのような定型的臨床像や画像を示す患者はきわめてまれです。また、HIV PCPと異なり菌体量が少ないため、検出も困難です。では、non-HIV PCPをどのように診断すればいいでしょう? 最も重要なのは、「鑑別疾患としてnon-HIV PCPを想起する」という点につきます。最初に注目すべきは「患者の背景因子」です。先述のとおり、non-HIV PCPも背景にあるのは免疫不全です。したがって、免疫を低下させるステロイドや免疫抑制薬、ある種の抗がん剤など、特定の薬剤(表1)を用いている場合、「高リスク」と認識します。また、non-HIV PCP発症率の高い疾患も明らかになっています。フランスにおける1990年~2010年までのnon-HIV PCP患者データの解析からは、小・中血管炎、血液がん、固形臓器移植(とくに腎移植)、関節リウマチ例における高い発症率が報告されています[Fillatre P, et al. Am J Med. 2014;127:1242.e11-7.]。これらの背景因子からまず、non-HIV PCP高リスクを否定できるか考えます。表1.ニューモシスチス肺炎の発症と関連が示唆されている薬剤「傍証」を集め、総合的に判断背景因子からnon-HIV PCPを除外できなければ、迅速に検査を始めます。「血清β-d-グルカン濃度」は、non-HIV PCPを疑う良い指標となります。高値を示す場合、その理由が説明できないならば、non-HIV PCPを疑います。ただし、除外診断には必ずしも有用とは言えません。発症からしばらく経過しないと、低値が維持されるケースがあるためです。そのうえで、疑いがあれば、気管支肺胞洗浄液(BAL)や誘発喀痰を用いて、Diff-Quik染色、ギムザ染色(栄養体の検出)、あるいはグロコット染色(嚢子の検出)をします。PCR法は定着菌を判断している可能性が否定できないため、血清検査や画像など傍証を集めて総合的に判断する必要があります。また染色やPCR法では「偽陰性」の可能性もかなりありますので、陰性であっても、それだけではnon-HIV PCPを除外できません。問題は、施設内でグロコット染色ができない場合です。外注の場合、結果を待っている間に、non-HIV PCPならば症状は著明に増悪します。そのような場合、先述の「高リスク例」であればnon-HIV PCPであるという前提で治療を開始するのも(見切り発車)、予後を考えれば選択肢の1つとなるかもしれません。

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大腸がん術後補助化学療法、ctDNAによる評価(A GERCOR-PRODIGE)/ESMO2019

 フランス・European Georges Pompidou HospitalのJulien Taieb氏は、StageIIIの結腸がんでの術後補助化学療法では血液循環腫瘍DNA(ctDNA)が独立した予後予測因子であり、ctDNAが陽性か否かにかかわらず、術後補助化学療法は6ヵ月のほうが無病生存期間(DFS)が良好な傾向が認められたと欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で報告した。 今回の結果はIDEA FRANCE試験に参加した患者の血液検体を用いたA GERCOR-PRODIGE試験に基づくもの。IDEA FRANCE試験は、大腸がんの術後補助化学療法としてのFOLFOX療法またはCapeOX療法の投与期間について、3ヵ月間と6ヵ月間を比較した6つの前向き第III相無作為化試験を統合解析したIDEA collaborationに含まれる試験の1つ。 IDEA collaboration では全体として6ヵ月投与群に対する3ヵ月投与群の非劣性は確認されなかった。とくにCapeOX療法の患者の低リスク群では、3ヵ月投与は6ヵ月間投与と同様の有効性を示した。ただ、FOLFOX療法の患者の高リスク群では、6ヵ月間投与群でより高いDFSが得られたという結果になっている。 A GERCOR-PRODIGE試験の対象はIDEA FRANCE試験参加者のうち805例。検体採取は化学療法施行前にEDTA採血管を用いて行われている。検体の解析はWIF1遺伝子と神経ペプチドY(NPY)のメチル化マーカーをデジタルPCRによって解析した。最終的に805例のうち、ctDNA陰性群は696例、ctDNA陽性群は109例であった。 主な結果は以下のとおり。・2年DFS率はctDNA陽性群が64.12%、ctDNA陰性群が82.39%でctDNA陽性群は予後不良であった(ハザード比[HR]:1.85、95%信頼区間[CI]:1.31~2.61、p<0.001)。・多変量解析では、ctDNA陽性(HR:1.85、95%CI:1.31~2.61、p=0.0005)、N2(≧4)(HR:2.09、95%CI:1.59~2.73、p<0.0001)は予後不良因子であった。・治療期間別にみると、6ヵ月投与は3ヵ月投与に比べ予後が良好だった(HR:0.6、95%CI:0.45~0.78、p=0.0002)・ctDNA陽性・陰性別と治療期間の関係では、ctDNA陽性群で治療期間3ヵ月間でのDFS率が最も低かった(p<0.0001)。・T4またはN2(≧4)あるいはその両方を有する高リスクStage IIIではctDNA陽性群のDFS率が有意に低かった(p<00001)。・T1-3かつN1(1-3)の低リスクStage IIIではctDNA陽性群とctDNA陰性群の間でDFS率に有意差は認めなかった(p=0.07)。 今回の結果についてTaieb氏は「術後補助化学療法の3ヵ月間はとりわけctDNA陽性結腸がん患者では不十分なアウトカムに関連している可能性がある」と述べている。

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またも敗北した急性心不全治療薬―血管拡張薬に未来はないのか(解説:絹川弘一郎氏)-1124

 急性心不全に対する血管拡張薬は、クリニカルシナリオ1に対しては利尿薬も不要とまで一時いわれたくらい固い支持があるクラス1の治療である。シナリオ2でもほどほど血圧があればafterloadを下げることは古くから収縮不全に悪かろうはずがないと考えられてきて、そもそもV-HeFT IやV-HeFT IIはvasodilatorがHFrEFの長期予後を改善するのではないかという(今では顧みられない)コンセプトで始まり、レニンアンジオテンシン系にたどり着いた歴史的経緯がある。 現在は急性心不全の血行動態改善に血管拡張薬が強く推奨されてはいるものの、予後改善効果は期待しないというのが硝酸薬に対する立ち位置である。ASCEND-HFでnesiritideが、急性期の呼吸困難感がprespecifiedの有効性基準に達しなかったからダメというのも厳しい見方であったと思うが、それはそれで急性期の効果を1次エンドポイントにしていた。しかし、その後の臨床試験では結局6ヵ月程度の予後改善効果を求めるというスタンスにいつの間にか変化してきていて、ularitideは予後改善効果がないということでボツになったようである。それで唯一残っていた急性心不全に対する血管拡張薬がserelaxinである。 serelaxinは妊娠中に働くrelaxinの遺伝子組み換え製剤であり、血管拡張作用以外にこれでもかというくらい心血管系に対するベネフィットが報告されてきた。カルペリチドとその辺はよく似ているが、それはさておきRELAX-AHFという580/581例をエントリーした決して数が少ないとは言えない試験で、実は急性期の呼吸困難感をLikert scaleで評価した、どちらかというと客観性がより高いと思われる項目で有意差を達成できていなかった。ただ、180日までの死亡が少ないようだということで、RELAX-AHF-2というこの試験で再評価することになった。今回は3,274/3,271例という本当の大規模で施行され、180日の心血管系死亡を減らせるかを1次エンドポイントにした(後で5日までの心不全悪化も加えている)。残念ながら、より大規模にしてprimaryにセットすると予後改善効果が消えてしまうという心不全あるあるの罠にはまったようで、この薬も終わってしまった。もともとLikert scaleで有意差がない時点で予後改善をいう資格なしと思っていた。同時期にわが国においてもRELAX-AHF-Asiaという試験が走っていたのであるが、これも露と消えてしまった。 要するに硝酸薬で大抵なんとかなっているんだから、それよりずっと高い薬を承認してくれというなら、硝酸薬は予後改善しなくてもいいけど高い薬は予後改善してくれということのようであるが、私見ではそもそも最初の2~3日の治療が半年後の予後を変えるというコンセプトになじめないので、このようなコンセプトで急性心不全の新薬を開発することはやめたほうがいいのではないかと思っている。いずれにせよ、わが国のカルペリチドを残して世界中から硝酸薬以外の急性心不全に対する血管拡張薬は消滅しつつあるし、今後の期待も当面ない。

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