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急増する電子タバコ関連肺損傷の臨床像が明らかに/Lancet

 電子タバコまたはベイピング関連肺損傷(lung injury associated with e-cigarettes or vaping:EVALI)は、重度の肺損傷や、全身および消化器症状と関連する新たな疾患であり、重症度は多岐にわたること、多くが抗菌薬やステロイドで治療されているが、臨床的に改善しても異常が残存する患者が多いことが、多施設共同前向き観察コホート研究で示された。米国・Intermountain HealthcareのDenitza P. Blagev氏らが報告した。米国では2019年3月からEVALIの発生が急増し現在も報告が相次いでいるが、本疾患の原因、診断、治療および経過は明らかになっていなかった。著者は、「EVALIの臨床診断は、感染症や他の肺疾患とオーバーラップしているままで、原因、適切な治療および長期的アウトカムを理解するには本疾患を疑う高度な指標が必要である」と述べている。Lancet誌オンライン版2019年11月8日号掲載の報告。米国ユタ州の総合医療システムで、前向き観察研究を実施 研究グループは2019年6月27日~10月4日の期間で、米国ユタ州の総合医療システムIntermountain Healthcareにおいて確認されたEVALI患者全例のデータを収集した。 中央管理組織としてソルトレークシティーに拠点を置くTeleCritical Careに肺疾患専門医および救命救急医からなる委員会を設け、症例の検証と分析を行った。また、カルテの再評価とユタ州保健局が実施した患者面接から、患者の症状、治療および退院後2週間のデータを抽出し、短期追跡結果をまとめた。電子タバコ関連肺損傷では、呼吸器症状のみならず消化器症状も顕著 Intermountain Healthcareの13施設において確認されたEVALI患者は60例であった。 60例中、33例(55%)が集中治療室(ICU)に入室し、53例(88%)が全身症状、59例(98%)が呼吸器症状、54例(90%)が消化器症状を呈していた。 57例(95%)にステロイドが投与され、54例(90%)はオーバーラップした症状と診断の不確実性のために抗菌薬が投与されていた。 6例(10%)は、2週間以内にICUまたは病院に再入院となった。そのうち3例(50%)は電子タバコまたはベイピングを再開していた。 退院後2週間の追跡調査を行った26例において、全例で臨床症状が改善しX線検査でも急性所見の改善は認められたが、症例の多くが、X線検査(15例中10例、67%)および肺機能検査(9例中6例、67%)で異常の残存が確認された。 死亡は2例であった。2例ともEVALIが死因ではなかったが寄与因子と考えられた。 なお、TeleCritical Careの委員会は今回の調査結果を基に、EVALIの診断と治療のガイドライン案を作成し公表もしている。

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三尖弁逆流へのTriClipの有用性/Lancet

 三尖弁逆流を軽減する低侵襲の経カテーテル三尖弁修復システム(TriClip)は、その重症度を少なくとも1段階軽減するのに安全かつ有効であることが示唆され、その軽減の程度は、術後6ヵ月時点での有意な臨床的改善に相当する可能性があるという。ドイツ・University Hospital BonnのGeorg Nickenig氏らが、欧州および米国の21施設で実施した多施設共同前向き単群臨床試験「TRILUMINATE試験」の結果を報告した。三尖弁逆流症は、合併率および死亡率の高さと関連する広く一般的にみられる疾患だが、治療の選択肢はほとんどないとされている。Lancet誌オンライン版2019年11月7日号掲載の報告。三尖弁逆流の重症度を5段階に分類し有効性を評価 TRILUMINATE試験の対象は、NYHA心機能分類II以上で、適切な標準治療を受けた中等度以上の三尖弁逆流を有する患者で、TriClip三尖弁修復システムによるedge-to-edge法を用いて治療を受けた。収縮期肺動脈圧60mmHg以上、三尖弁処置歴を有する患者、およびTriClip留置を妨げる可能性がある心血管電子機器が植え込まれている患者は除外した。三尖弁逆流の重症度は、標準的な米国心エコー図学会(ASE)の分類を拡張した5段階(mild、moderate、severe、massive、torrential)で分類した。 有効性の主要評価項目は、三尖弁逆流重症度が術後30日時点で1段階以上改善した患者の割合で、達成目標は35%とした。有効性の解析対象は、大腿静脈穿刺による三尖弁修復術を試みた全患者であった。 安全性の主要評価項目は、6ヵ月時点における主要有害事象で、発現率は39%未満とした(複合エンドポイント)。なお、追跡調査期間が6ヵ月を満たさず、かつ追跡中に主要有害事象が発現しなかった患者は、安全性解析対象から除外した。 本試験の登録は完了し、現在、追跡調査が進行中である。術後30日時点で1段階以上改善した患者の割合は86% 2017年8月1日~2018年11月29日に85例(平均[±SD]年齢77.8±7.9歳、女性56例[66%])が登録され、成功裏にTriClip留置を受けた。 心エコーのデータおよび画像が利用可能であった83例において、三尖弁逆流の重症度が術後30日時点で1段階以上改善した患者は71例、86%であった。片側97.5%信頼区間の下限値は76%であり、事前に定義した達成目標の35%を上回った(p<0.0001)。 安全性解析対象は84例で、6ヵ月時点において主要有害事象が認められた患者は3例(4%)であり、事前に定義した39%未満を満たした(p<0.0001)。一弁尖のみの把持は、72例中5例(7%)に発現した。術中の死亡、術式変更、デバイス塞栓、心筋梗塞、脳卒中は発生しなかった。6ヵ月時点で全死因死亡は84例中4例(5%)に確認された。 なお著者は本研究の限界として、無作為化試験ではなく、合併率と死亡率の低下との関連性は不明であることを挙げ、「今後は、患者の長期アウトカムに関する三尖弁逆流の軽減の有効性を評価する無作為化試験が必要である」とまとめている。

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サイトメガロウイルス(CMV)の再活性化に対するmaribavirの効果(解説:吉田敦氏)-1140

原著論文はこちらMaribavir for Preemptive Treatment of Cytomegalovirus Reactivation これまで臨床応用された抗サイトメガロウイルス(CMV)薬(治療薬)の効果は、概して高くはなく、一方で副作用が多いという短所があった。ガンシクロビルは骨髄抑制、ホスカルネットは腎障害・電解質異常、cidofovir(本邦未承認)は腎障害がしばしば出現し、使用に当たっては躊躇することもある。四半世紀前と比べても、それほど進歩したという印象はない。今回、新規の抗CMV薬として開発されたmaribavir(マリバビル)の効果について、第II相オープンラベル試験の結果が発表された。 造血幹細胞移植、固形臓器移植を受けた後の成人で、血中(全血・血漿中)のCMV DNA量が1,000~10,000コピー/mLとなり、CMVの再活性化が生じているものの、明らかなCMV感染症が認められない患者、つまりCMV感染症発症の前段階の患者に、本薬が投与された。対照はバルガンシクロビルで、CMV DNA量が減少し、検出感度(200コピー/mL)未満を達成した患者割合、到達までの期間、CMV感染症発症率が比較された。結果として、CMV DNA量が減少した患者割合、到達までの期間は2群でほぼ同等であったが、maribavir耐性関連変異を認めた者が少数おり、さらにmaribavir群において消化器症状(とくに味覚障害)を中心とした副作用が多かったこと、一方で、バルガンシクロビル群で有意に白血球減少が多かったことが明らかとなった。 今回のデザインは、CMVの再活性化に対し早期に薬剤を開始するpreemptive therapy(先制治療)の評価である。maribavirはウイルスカプシドの集合を阻害するため、DNAポリメラーゼを阻害する従来の抗CMV薬とは作用機序を異にする。従来薬を大きく上回るほどの抗ウイルス効果は示せなかったが、今回の第II相試験で、供試した中では低用量(400mgを1日2回)でも効果が変わらなかったことは明らかにできた。 確かに著者が考察しているとおり、オープンラベル試験であり、maribavir群に割り付けられていることを知っているために生じる、副作用の報告バイアスは存在するかもしれない。しかし消化器系の副作用はほかの臨床試験でも認められており、再現性があることはおそらくほぼ動かないであろう。一方でバルガンシクロビルによる白血球減少には、ほかの感染症への易感染性を助長するといった、負の影響も大きい。 あらためて、理想的な抗CMV薬の開発はかなり難しい課題といえよう。選択肢が増えることは歓迎されるが、maribavirの特徴が効果的に発揮されるような患者集団あるいは状況での使用について、さらに追究が必要かもしれない。maribavirの臨床応用に関する検討そのものも、最初の報告がなされてからすでに15年以上が経過している。ハードルの高い課題ではあるが、maribavirの適切な使用、およびmaribavirの後継となりうる改良薬の候補の探求についても、研究が進むことを期待したい。

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インフルエンザ予防の新知見、養命酒の含有成分が有効か

 クロモジエキスを配合した、あめの摂取によるインフルエンザ予防効果が示唆された―。養命酒製造株式会社(以下、養命酒)と愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センターの共同研究グループは、2017/2018シーズンに実施した「クロモジエキス配合あめ」のインフルエンザ予防効果に関する二重盲検試験を実施。風邪症状(発熱、喉・鼻症状)の有無や有症日数についても同時に解析を行った結果、クロモジエキス配合あめ摂取群がプラセボあめ摂取群と比較して、インフルエンザ感染患者の抑制ならびに風邪症状の有症期間を有意に短縮した。対象者は同大学で勤務し、インフルエンザワクチン接種済みの看護師の男女134名で、1日3回、12週間にわたりクロモジエキス67mgを配合したあめ摂取群とプラセボあめ群に割り付けられていた。この報告はGlycative Stress Research誌オンライン版2019年9月30日号1)に掲載された。 また、今年9月20日には、養命酒と信州大学農学部の共同研究グループがクロモジエキスのインフルエンザウイルス増殖抑制効果の長時間持続に関する可能性を示唆し、「クロモジ熱水抽出物の持続的なインフルエンザウイルス増殖抑制効果」に関する論文を、薬理と治療(JPT)誌2019年8月号で発表した。2) このような論文報告を受け、2019年11月11日、養命酒がメディアセミナー「国産ハーブ『クロモジ』の機能性研究におけるインフルエンザ予防の新たな可能性」を開催。伊賀瀬 道也氏(愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長)が「クロモジエキスのインフルエンザ・風邪予防に関するヒト試験について」、河原 岳志氏(信州大学学術研究院農学系 准教授)が「クロモジエキスの持続的な抗ウイルス活性~3回チャージで19時間キープ~」について講演し、報告研究の詳細を語った。クロモジとは… クロモジ(黒文字、漢方名:烏樟[うしょう])は、日本の産地に自生するクスノキ科の落葉低木である。クロモジから得られる精油はリラックス作用が期待されるリナロールを主成分とし、非常に良い香りがあることから、古くから楊枝や香木などに使用されてきた。また、耐久性もあるため、桂離宮の垣根や天皇の即位式後の大嘗祭でも使用された。 これまではクロモジをそのままで利用することが多かったが、近年では加工抽出される精油やアロマウォーターの活用が広がっている。今回の研究では、クロモジを煮出して濃縮、乾燥させて作られるエキス剤が用いられた。このように用途の広がるクロモジだが、近年ではさまざまな機能性研究がなされており、今回は抗ウイルス作用に着目した研究が行われた。食後のクロモジ摂取でインフルエンザの予防、症状緩和 現時点でクロモジの作用機序は解明されていないが、ノロウイルスやロタウイルスの代替ウイルス(ネコカリシウイルス)、日本脳炎ウイルスなどの細胞増殖抑制について報告されている。これを踏まえて、伊賀瀬氏は「in vitroの実験ではインフルエンザウイルスの増殖抑制が達成されており、今回の臨床試験でも同様の結果が得られた。風邪症状の有症期間の短縮については、風邪に感染した後でもクロモジエキス配合あめを摂取することで予後が良好になったのではないか」と推測している。 クロモジは全国各地でお茶として販売されているが、本研究ではあめを利用している。その理由として、同氏は「インフルエンザウイルスは主に上気道で感染して増殖する。抗インフルエンザ効果が長期間発揮するには成分が長く滞留することが必要であり、あめならば咽頭から喉頭部分に滞留するため予防が可能と考えた」と述べた。加えて、「ただし、一般的な予防法(流行前のワクチン摂取、外出後の手洗いなど)を行いながらの摂取が前提」と、注意事項も伝えた。クロモジエキス、1日3回摂取でインフルエンザウイルスの抑制効果アップ 河原氏らは前述の伊賀瀬氏の研究報告を受け、培養細胞を利用したクロモジエキスによるインフルエンザウイルスの増殖抑制タイミングと、その効果の持続性について検証した。その結果、クロモジエキスを細胞培養液から取り除いた24時間後にウイルス感染させても、ウイルス増殖指標の抑制が確認できた。また、本研究では細胞にクロモジエキスを8分間処理して5時間後にウイルス感染させても効果が持続し、さらに、繰り返しクロモジエキス処理を行うことで抑制効果が高まることを実証した2)。これらの結果を踏まえ、同氏は「クロモジエキスはウイルス感染に対して予防的な働きをする」と述べ、今後の作用メカニズムなどの詳細解明について意気込んだ。

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difelikefalin、透析患者のかゆみとQOLを改善/NEJM

 中等度~重度のかゆみを呈する透析患者において、κオピオイド選択的受容体作動薬difelikefalin投与を受けた患者は、プラセボ投与を受けた患者と比べて、12週後のかゆみの強度は有意に軽減し、かゆみに関連したQOLは有意に改善したことが示された。米国・Donald and Barbara Zucker School of Medicine at Hofstra/NorthwellのSteven Fishbane氏らによる、第III相の多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検試験「KALM-1」試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年11月8日号で発表された。difelikefalinまたはプラセボを週3回12週間静脈投与 試験は米国内56ヵ所で行われ、2018年2月~12月に登録された中等度~重度のかゆみを呈する透析患者378例を無作為に2群に分け、一方にはdifelikefalin(0.5μg/kg体重)を、もう一方にはプラセボを、それぞれ週3回12週間静脈投与した。 主要アウトカムは、かゆみのない状態を0、想像しうる最悪のかゆみを10とした24時間自己評価「WI-NRS」スコアで、ベースラインから12週後までに、週の平均値が3ポイント以上改善(低下)した患者の割合とした。 副次アウトカムは、かゆみに関連したQOLスコアのベースラインからの変化や、WI-NRSスコアが4ポイント以上改善した患者の割合、および安全性などだった。 difelikefalin群の51.9%でWI-NRSスコア3ポイント以上改善 12週後の週平均WI-NRSスコアが3ポイント以上改善した患者の割合は、プラセボ群30.9%(165例中51例)に対し、difelikefalin群は51.9%(158例中82例)だった。WI-NRSスコアが3ポイント以上改善した患者の帰属割合予測値は、それぞれ27.9%、49.1%でdifelikefalin群が有意に高率だった(p<0.001)。 difelikefalin群は、5-DかゆみスケールおよびSkindex-10スケールで測定したかゆみに関連したQOLスコアについても、有意な改善が認められた。 WI-NRSスコアが4ポイント以上改善した患者の帰属割合予測値も、プラセボ群17.9%に対し、difelikefalin群は37.1%と有意に高率だった(p<0.001)。 一方で、下痢やめまい、嘔吐の発現頻度が、プラセボ群よりもdifelikefalin群で高かった。

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急性期全般不安症に対する第1選択薬の有効性、受容性比較~メタ解析

 全般性不安症(GAD)の第1選択薬としては、SSRIやSNRIがガイドラインで推奨されている。中国・西安交通大学のHairong He氏らは、これら第1選択薬の有効性、受容性を比較するため、ネットワークメタ解析を用いて、エビデンスのアップデートを行った。Journal of Psychiatric Research誌2019年11月号の報告。 成人GADの急性期治療に使用された11種類の薬剤のプラセボ対照および直接比較試験について、1980~2019年1月1日のエビデンスを電子データベースより検索した。各研究より、人口統計、臨床、治療に関するデータを抽出した。主要アウトカムは、有効性(ハミルトン不安尺度の合計スコアのベースラインからの変化)および受容性(すべての原因による治療中止)とした。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たしたランダム化比較試験は、41件であった。・有効性に関しては、fluoxetineとボルチオキセチンを除くすべての薬剤において、プラセボよりも有効であった。ハミルトン不安尺度スコアの加重平均差は、エスシタロプラムの-3.2(95%信頼区間[CI]:-4.2~-2.2)からvilazodoneの-1.8(95%CI:-3.1~-0.55)の範囲であった。・受容性については、vilazodone(オッズ比:1.7、95%CI:1.1~2.7)のみがプラセボよりも悪化が認められており、その他の薬剤では有意な差は認められなかった。・直接比較試験では、ボルチオキセチンは、受容性および忍容性が優れていたが、有効性と奏効率が悪かった。・全体として、デュロキセチンとエスシタロプラムは有効性が高く、ボルチオキセチンは受容性が良好であった。

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AFIRE試験を複数形で祝福しよう!【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第17回

第17回 AFIRE試験を複数形で祝福しよう!この日がやってきました。夢ではなく現実の出来事として、夢のような吉報がもたらされました。世界中の医学雑誌の中でも頂点に位置するNEJM誌に、日本からの臨床研究が紹介されたのです。その名も「AFIRE試験」です。2019年9月2日、フランスのパリで開催されたヨーロッパ心臓病学会(ESC)の満員のHot Line Session会場で、国立循環器病研究センター病院の安田 聡先生により発表され、同時にエンバーゴが解除されてNEJM誌掲載となりました(N Engl J Med 2019; 381:1103-1113)。エンバーゴの意味を知りたい方は、「第3回 エンバーゴ・ポリシーで言えませんと言ってみたい!」を参考にしてください。心房細動を合併した安定冠動脈疾患では、これまでは複数の抗血栓薬が必要と考えられてきました。この研究は、むしろ薬剤を減らして単剤とする治療のほうが、心血管イベントの発生を増加させることなく、出血性イベントを有意に減らすことを明らかにしました。病態に応じて複数の薬剤を組み合わせることで濃厚な治療になりがちな中で、"薬剤を減らす"という選択肢の意義を証明したのです。数多くの医療機関によるAll Japan体制の結果として成果が得られたことも、特筆すべきことです。発表会場では、満場の拍手が贈られました。私自身も、パリの会場で快挙の場に立ち会った瞬間の高揚感と、日本人としての誇らしい気持ちを忘れることができません。座長の先生の第一声は「Congratulations!」で、その後のディスカッションでも「Congratulations!」が飛び交っておりました。ここで注意すべきは、Congratulationは複数形であることです。「コングラッチュレーション!」と叫びたくなりますが、コングラッチュレーション”ズ”が正解です。単数形では単に「祝い」という意味になり、複数形にすることではじめて、「おめでとう!」と祝福の気持ちを伝える言葉になるそうです。正しい英語を使いたいものです。さらには、「Congratulations!」は、同じ「おめでとう!」でも、努力の対価として得られた成果を祝福する際に用いる言葉で、大学受験合格・就職・昇進などの場面で使うのが適切な言葉です。この「AFIRE試験」は、研究の立案から遂行、そしてNEJM誌編集部の厳しい査読、これらすべての難題を克服した成果ですから、まさに「Congratulations!」が相応しいといえます。「新年おめでとう!」「誕生日おめでとう!」などは季節が巡れば自然とやってくる事象ですから、「Congratulations」は使わないようです。この場合は「Happy」が使われます。「Happy New Year!」、「Happy Birthday!」です。この世で、最も努力や苦労という言葉とは無縁の世界にいるのが、ノウノウと暮らす家猫です。猫は気まぐれで気難しく、風来坊で横着です。我が家の愛すべき猫様も勤勉とは無縁の生き物です。「びよーん」と尻尾を伸ばしたまま、日当たりの良い場所で寝て過ごします。野生ネコのように身体に尻尾を巻き付ける緊張感はありません。思わず尻尾を踏みつけそうになります。一度だけ思い切り踏んでしまったことがあるのですが、悲鳴を上げて1m以上も猫が飛び上がった姿は忘れられません。「足元に注意」です。これは「Watch your step.」です。日本人的にはなぜstepがstepsではないのか気になるところです。本当に英語は難しいですね。最後に改めて「AFIRE試験」に関与した皆様に心から祝福と敬意を表します。「Congratulations!」

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アトピー児の皮膚生検にテープストリッピング法が有用

 早発性アトピー性皮膚炎(AD)児の皮膚生検を低侵襲で行える再現性ある手法として、テープストリッピング法が有用であることが示された。米国・マウントサイナイ医科大学のEmma Guttman-Yassky氏らによる検討で、小児ADの病変もしくは非病変の皮膚バイオマーカーとなり、治療反応の追跡や将来的な経過、並存疾患の予測に有用である可能性が示された。AD表現型の評価には皮膚生検の分子プロファイリングが標準であるが、皮膚生検は小児にとって常に適しているとは限らない。縦断研究や臨床試験で皮膚疾患を追跡評価できる、再現性ある低侵襲のアプローチが不足していた。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年10月9日号掲載の報告。 研究グループは、テープストリッピング法により特定した皮膚バイオマーカーが、全組織生検によって特定したバイオマーカーの代替となり得るかを断面調査にて評価した。 2016年1月22日~2018年4月20日の間、シカゴのAnn & Robert H. Lurie小児病院の皮膚科外来で計51例の5歳未満児を登録。このうち21例は早期発症(罹病期間6ヵ月未満)の中等度~重度AD児であり(AD児群)、30例は非AD児または本人・家族のAD歴がない児であった(非AD児群)。 AD児においては、可能な限り、16枚のD-Squameテープストリップで連続的に肘前窩の病変皮膚を集めた。また、同じ腕の近接皮膚から非病変皮膚を集めた。非AD児の皮膚検体も同一期間に同一部位から集めた。 テープストリップは連続的にラベリングをし、最初の2枚は破棄。定量リアルタイムPCR法および免疫組織化学法で、遺伝子およびタンパク質を評価した。 主な結果は以下のとおり。・AD児21例は、平均(SD)年齢1.7(1.7)歳で、大半が男児(15例、71.4%)・白人(15例、71.4%)であった。非AD児30例は、1.8(2.0)歳で、大半が女児(20例、66.7%)、白人(22例、73.3%)であった。・評価した79種の免疫およびバリア遺伝子産物のうち77種が検出された(遺伝子検出率97%)。・それらはテープストリップ71枚のうち70枚で検出された(サンプル検出率99%)。・79種のうち53種について、AD児の病変および/または非病変でマーカーとして識別ができ、また非AD児においても識別ができた。・T細胞(CD3)、AD関連の樹状細胞(FcεRIとOX40リガンド受容体)、炎症性のキー細胞(マトリックス金属ペプチダーゼ12)、自然免疫細胞(IL-8、IL-6)、ヘルパーT細胞2(TH2[IL-4、IL-13]、ケモカインCCL17とCCL26)、TH17/TH22(IL-19、IL-36G、S100Aタンパク質)といった多くの細胞マーカー遺伝子が、正常皮膚からのテープストリップ検体と比べて、AD児の病変および非病変では有意に増大していた。たとえば、IL-4は病変皮膚では平均(SE)-15.2(0.91)であり、正常皮膚では-19.5(0.48)であった(p<0.001)。・表皮性バリア遺伝子産物(FLG、CLDN23、FA2H)と負の免疫レギュレータ(IL-34、IL-37)では、平行して低下が発生していた。たとえば、FLGは皮膚病変では平均(SE)-2.9(0.42)と低下していたが、正常皮膚では2.2(0.45)であった(p<0.001)。・重症度や経表皮水分蒸散量と、AD病変および非病変皮膚(SCORing Atopic Dermatitis[SCORAD]、Eczema Area and Severity Index[EASI]、Pruritus Atopic Dermatitis Quickscore[ADQ]ツールで評価)のTH2(IL-33、IL-4R)やTH17/TH22(IL-36G、S100As)産生との間で、関連性が認められた。

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コマーシャルペーパーといわれても致し方がないのではないか(解説:野間重孝氏)-1136

 チカグレロルとプラスグレルは、世界の薬剤市場でクロピドグレルの後継を巡って、いわばライバル薬品として扱われているといってよい。両剤ともに作用の発現が早く、また投与中止後、薬効の消失が速やかであることが期待できるという点で共通している。しかしプラスグレルはいわゆるチエノピリジン系に属し、そのものは活性を有しないのに対し、チカグレロルはそのものが活性を持つという点が大きく異なる。ただし、プラスグレルはクロピドグレルと異なり、複数のCYPにより代謝されるため、チカグレロルに劣らない速度で活性を発揮することが可能になっている。 チカグレロルの有用性を検討した主な試験は2つあり、1つがPLATO試験(2009年)、もう1つがPEGASUS試験(PEGASUS-TIMI 54、2015年)である。これらの試験により、出血性合併症がやや多いものの、心血管イベントの発症抑制のためのDAPTの構成薬品として有用なだけでなく、クロピドグレルよりも成績が良いことが示された。しかしこれらの試験では日本人を中心とする東洋人の参加が少なかったことを受け、PHILO試験(2015年)が日本、台湾、韓国の急性冠症候群(ACS)患者を対象として施行された。いわばブリッジ試験であったが、この試験は規模が十分でないとされたものの、結果においてクロピドグレルに対する優位性を示すことができない一方で、それまでも問題視されていた出血イベントが増加してしまった。このことから、同剤はわが国でもPCI後の抗血小板剤として2016年9月に認可されたものの、「アスピリンを含む抗血小板剤2剤併用療法が適切である場合で、かつ、アスピリンと併用する他の抗血小板剤の投与が困難な場合に限る」というただし書きが付けられてしまった。 プラスグレルとの直接比較はPRAGUE-18試験(2016年)で行われたが、この試験は安全性を確かめることに重点が置かれていたことから、両剤の優劣を確かめることなく、一応の安全性が確認された段階で早期中止になってしまった。この後両者の直接比較は行われていなかったが、Schupke Sらが本年に発表したISAR-REACT 5試験で、両者でACSに対する効果に差がないにもかかわらず、以前から問題にされていた出血性イベントにはっきり差があることが示された。このCLEAR!ジャーナル四天王でも東海大学の後藤 信哉氏が同研究の論文評で、「日本の宇部興産と第一三共が開発したプラスグレルこそがクロピドグレルの後継となれるポテンシャルのあった薬なのかもしれない。いいものを持ちながら戦略性にて欧米に負ける日本の現状の問題を提起する試験であった」と、強い調子で書かれた気持ちがよくわかる。つまり世界的な薬剤シェアでは、プラスグレルはクロピドグレルの後継を巡ってチカグレロルに負け越しているのが現状なのである(ちなみに現在でもシェアトップはクロピドグレル)。 本試験は6ヵ月以上の血糖降下薬の投与を受けた2型糖尿病を持つ安定冠動脈疾患患者から、PCI・冠動脈バイパスの既往の有無、冠動脈造影で50%以上の狭窄を指摘されているかのいずれかの因子を持つ患者を選び、これをアスピリン+プラセボ群とアスピリン+チカグレロル群に無作為に分け、中央値で3.3年間フォローし、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイントの発生率をintention to treat解析により検討したものである。結果はチカグレロル群がプラセボ群に比し有意に良好であったが、出血性イベントではチカグレロル群で有意に多かった。 本研究はAstraZeneca社の助成によって行われたとあるが、一体何の目的で行われたものなのか疑問である。プラセボを相手に行えば、差が出ることも、出血性合併症が多いことも、上記のPEGASUS試験ですでにわかっていたことではないのか。著者らは「大出血の発生率は有意に高かったが、致死的出血および頭蓋内出血では有意差がなかった」というが、一体何が言いたいのだろうか。大出血で有意差が出ればそれで十分ではないか。 さらに事前に規定された探索的エンドポイントである総合的臨床ベネフィットにおいて有意に優れていたものの、非PCI群では差が出なかったというが、これも糖尿病患者の冠動脈内に治療のためとはいえ異物を残すわけだから、PCIを振り分け因子として振り分ければ当たり前なのではないかと考えられる。つまり第1に、糖尿病は当然のように心血管イベントの危険因子である。第2に、PCIや冠動脈バイパスなどのインターベンションの成績は非糖尿病患者に比べて糖尿病患者では劣る。そして第3として、その心血管イベントの予防に対してDAPTは有効である。以上、考えていただければ容易におわかりいただけるように、本研究はチカグレロルの特別の優位性を示す研究とはいえない。なお蛇足ながら付け加えさせていただくと、糖尿病は薬物療法に対して種々の影響を持ちそうに思われるだろうが、少なくともDAPTの長期vs.短期の検討を行う際に糖尿病の存在は独立した影響因子にはならないことが現在では定説になっている(Gargiulo G, et al. BMJ. 2016;355:i5483.)。 以上、糖尿病という因子を持ち込むことによっていかにも説得力を持つように見せているが、本試験は要するにSAPT vs.DAPTの試験にすぎない。企業助成によるコマーシャルペーパーといわれても致し方がないのではないかと思う。

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最近の話題:小細胞肺がん【侍オンコロジスト奮闘記】第83回

第83回:最近の話題:小細胞肺がんPaz-Ares L, et al. Durvalumab plus platinum-etoposide versus platinum-etoposide in first-line treatment of extensive-stage small-cell lung cancer (CASPIAN): a randomised, controlled, open-label, phase 3 trial.Lancet. 2019 Oct 4.[Epub ahead of print]小細胞肺がんに対するデュルバルマブ+化学療法の成績(CASPIAN)/ESMO2019

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利益相反の開示は論文査読に影響するのか/BMJ

 現行の倫理規定では、すべての科学論文について利益相反(conflicts of interest:COI)の開示が求められているが、米国・ハーバード・ビジネス・スクールのLeslie K. John氏らによる無作為化試験の結果、論文の査読にCOI開示は影響しないことが示された。著者は、「査読者が出版を評価する論文のあらゆる質の評価に、COI開示が影響していることを確認できなかった」としている。科学雑誌やアカデミックな倫理基準において、査読者、エディターおよび読者が、可能性があるバイアスを検出・補正できるように、著者に対してCOI開示が命じられている。しかし、これまでその行為が目的を達しているかを確認する検討は行われていなかったという。BMJ誌2019年11月6日号掲載の報告。Annals of Emergency Medicineの論文レビュープロセスで無作為化試験 研究グループは、医学専門誌において、査読者に対する著者のCOI開示の影響を評価するため、Annals of Emergency Medicineの論文レビュープロセスにて無作為化試験を行った。 2014年6月2日~2018年1月23日に、論文を評価するレビュワーを2群に無作為に割り付け、論文を評価する前に、一方には著者による完全なInternational Committee of Medical Journal Editors(ICMJE)のCOI開示文書を提供し(介入群)、もう一方には提供しなかった(対照群)。両群のレビュワーは、通常どおり8つの質の格付けで論文を評価。その後に、反事実的スコア(counterfactual score)―もしCOI開示を受けていたら与えたと考えるスコアについてサーベイを受けた。介入群のレビュワーには、どのようにスコアを付けたのか、開示を受けていなかったら与えたであろうスコアを思い出してもらった。また、レビュワーのCOI開示に対する姿勢および人口統計学的特性の評価も行った。 主要評価項目は、レビュワーがレビューの提出時に論文に割り当てた全体的な質(Annals of Emergency Medicineでの出版についての全体的な好ましさ)のスコア(1~5段階で評価)。副次評価項目は、レビュワーが7つの特定の質の評価で与えたスコアと、フォローアップサーベイで示された反事実的スコアであった。 試験期間中にレビューを行ったレビュワーは838人、論文は1,480本であった。開示の有無による論文の質の評価への影響見られず 1,480本のうち525本(35%)が、COIがあることを報告していた(955本[65%]はないことを報告)。525本のうち、資金提供が商業者であると報告していたのは115本(22%)、非営利組織は118本(23%)、政府140本(27%)、大学41本(8%)などであった。研究グループは、レビュワー838人による3,041例のレビューを入手。各論文は平均2.1例(SD 0.9)のレビューを受けていた。人口統計学的特性が入手できたレビュワーは、介入群361人、対照群368人で、男性がそれぞれ76%、75%、平均年齢45.74歳、45.72歳などであった。 解析の結果、著者のCOI開示の提供は、レビュワーによる論文の質の評価に影響を及ぼさないことが示された。全論文における質の評価の平均スコア(SD)は5段階評価で、対照群2.70(1.11)、介入群は2.74(1.13)であった(平均群間差:0.04、95%信頼区間[CI]:-0.05~0.14)。COIがあったと報告していた論文においてさえも、対照群2.85(1.12)、介入群2.96(1.16)であった(平均群間差:0.11、95%CI:-0.05~0.26)。同様に、その他7つの質の評価においても、COI開示の影響はみられなかった。 レビュワーは、COIを重要であると認識しており、それらが開示された場合は、評価を修正する可能性があると考えていた。しかしながら、反事実的スコア(平均2.69)と実際のスコア(同2.67)に差はみられなかった(平均群間差:0.02、95%CI:0.01~0.02)。利益相反があると報告していた場合でも、資金提供元のタイプ(政府、非営利会社など)による影響の違いはみられなかった。

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双極性障害患者の自殺企図有病率~メタ解析

 双極性障害(BD)は、自殺リスクの高い重度の精神疾患である。中国・Guangdong Academy of Medical SciencesのMin Dong氏らは、BD患者の自殺企図の有病率および関連因子についてメタ解析を実施した。Epidemiology and Psychiatric Sciences誌オンライン版2019年10月25日号の報告。 PubMed、PsycINFO、EMBASE、Web of Scienceより、2018年6月11日までの文献をシステマティックに検索した。BD患者の自殺企図有病率は、変量効果モデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・検索により3,451件中79件(3万3,719例)が適合基準を満たしていた。・自殺企図の生涯有病率は、33.9%(95%CI:31.3~36.6%、I2=96.4%)であった。・サブグループおよびメタ回帰分析では、自殺企図の生涯有病率と関連する因子は以下のとおりであった。 ●女性 ●双極I型障害 ●特定不能のBD ●ラピッドサイクラー ●収入レベル ●地理的特性 著者らは「BDでは、自殺企図が一般的に認められ、多くの因子が関連している。BD患者の自殺企図の発見や予防を促進するためには、さらなる努力が必要であり、心理社会的介入と併せて気分安定薬の長期使用の可能性を検討すべきである」としている。

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HIF-PH阻害薬vadadustatの腎性貧血に対する国内第III相試験結果/米国腎臓学会

 今年ノーベル生理学・医学賞を受賞した「低酸素応答の仕組みの解明」の研究を基に、各社で低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬の開発が進められている。その1つであるvadadustat(MT-6548)は、田辺三菱製薬がアケビア社から導入した1日1回経口投与のHIF-PH阻害薬で、今年7月に腎性貧血を適応症として厚生労働省に承認申請している。今月、ワシントンで開催された米国腎臓学会腎臓週間(11月5~10日)で、本剤の保存期および血液透析期の腎性貧血患者に対する国内第III相臨床試験の結果が発表された。vadadustatの有効性は保存期・血液透析期とも52週まで維持 発表された試験は、HIF-PH阻害薬のvadadustatを保存期の腎性貧血患者304例に52週間投与した無作為化非盲検実薬対照第III相試験と、血液透析中の腎性貧血患者323例に52週間投与した無作為化二重盲検実薬対照第III相試験で、対照はどちらも赤血球造血刺激因子製剤(ESA)のダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)製剤である。 両試験とも、20週および24週の平均ヘモグロビン濃度は、vadadustat群がダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)製剤群に対して非劣性を示した。さらに、24週以降52週までヘモグロビン濃度は安定して推移し、保存期および血液透析期の腎性貧血患者においてvadadustatの有効性が52週まで維持することが確認された。また、vadadustat群ではベースラインに対してヘプシジンの低下がみられ、鉄代謝を改善させることが示唆された。安全性については、これまで報告されているvadadustat の安全性プロファイルと大きく異なる傾向はみられなかった。

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マンガ喫茶で結核集団感染!【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第151回

マンガ喫茶で結核集団感染!ぱくたそより使用私は普段から結核を診療していますが、たまに集団感染・集団発病があります。とくに、睡眠や生活を同じ空間で過ごしている場合や、換気の悪い空間で長時間接触した場合は、感染・発病リスクが上昇します。多剤耐性結核の韓国人女性が飛行機に乗っていて、その後座席が近い乗客に空気感染した事例もあります1)。感染というのは、結核菌の感染を受けた状態のことで、発病は体内で結核菌が増殖して他人に感染させる状態になることを指します。感染から発病まで、半年~70年と幅があります。「集団感染」とは周囲への感染リスクが高い発病患者さんが大量発生したという事態ではありませんのでご注意を。さて、今日紹介する論文は、マンガ喫茶で起こった集団感染・発病の報告です。Endo M, et al.A tuberculosis outbreak at an insecure, temporary housing facility, manga cafe, Tokyo, Japan, 2016-2017.Epidemiol Infect. 2019 Jan;147:e222.2016年11月のことでした。新宿駅近くのマンガ喫茶で1年ほど寝泊まりしていた30代女性が、塗抹陽性の肺結核であることが判明したのです。ゲゲップ!マンガ喫茶は、なんというか、モワっとしていてあまり換気がよいとは思えません。また、体調が悪い人もゴホゴホ咳をしながら同じ空間で生活しているので、1人結核の発病者が出れば、感染リスクはかなり高いと言えるでしょう。実際、過去の臨床研究で、狭い閉鎖空間のほうが感染リスクは高いことが示されています2)。さて、マンガ喫茶のスタッフ31人に接触者健診が行われました。すると、31人のうち、肺結核を発病したのは6人(19.3%)でした。発病はしていないけど感染があった(インターフェロンγ遊離試験が陽性:潜在性結核感染)のは、7人(22.6%)でした。なんと、マンガ喫茶店員の半数近くが結核に感染してしまったということになります※。マンガ喫茶の利用者はどうだったでしょうか。1年ものあいだ、2,000人を超える利用者がいましたが、当然ながら1人1人調べていくわけにはいきません。それでも長期滞在利用者を11人ピックアップし、3人から同意が得られたそうです。ラッキーなことに、その3人は誰も結核に感染していませんでした。しかし、上述した30代の女性よりも前に長期滞在していた50代の男性が、実はすでに肺結核にかかっていることがわかりました。おや?つまり、この50代の男性を発端にして、30代の女性に感染し、その後スタッフに集団感染したというストーリーになっていたのです(図)。画像を拡大する漫画喫茶で寝泊まりするのはもちろん自由ですが、罹患率が高い地域(日本では大阪や東京)では、こういうリスクがあることも知っておく必要があります。※発病者の1人は、縦列反復配列多型(VNTR)検査の結果、別の結核菌だったようです。1)Kenyon TA, et al. Transmission of multidrug-resistant Mycobacterium tuberculosis during a long airplane flight. N Engl J Med 334:933-8, 1996.2)Bailey WC, et al. Predictive model to identify positive tuberculosis skin test results during contact investigations. JAMA 287:996-1002, 2002.

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術後せん妄予防に対するメラトニン~メタ解析

 外科の高齢患者は、術後せん妄発症リスクが高い。せん妄の予防には、非薬理学的介入が推奨されるが、せん妄の発症を減少させる確固たるエビデンスを有する薬剤は、今のところない。米国・アリゾナ大学のAshley M. Campbell氏らは、周術期のメラトニンが、外科手術を受けた高齢患者のせん妄発症率を低下させるかについて評価を行った。BMC Geriatrics誌2019年10月16日号の報告。 1990年1月~2017年10月に英語で公表された文献を、PubMed/Medline、Embase、PsycINFO、CINAHLおよびリファレンスより検索した。2人の独立したレビューアーが、タイトルおよびアブストラクトをスクリーニングし、コンセンサス生成とバイアス評価を含む文献全文レビューを行い、データを抽出した。術後入院患者(平均年齢50歳以上)のせん妄を予防するためにメラトニンまたはラメルテオンを使用し、その結果を報告した研究は組み入れ対象とした。固定効果モデルを用いてデータをプールし、フォレストプロットを生成し、せん妄発症率のサマリーオッズ比を算出した。不均一性は、Cochran's Q値およびI2値を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・335件をスクリーニングし、定性分析に6件、メタ解析に6件(1,155例)の研究を抽出した。・対象研究の患者平均年齢は、59~84歳の範囲であった。・介入群には、心臓胸部、整形外科、肝臓の手術の前夜または手術当日から1~9日間、メラトニンまたはラメルテオンを2~8mg/日投与していた。・せん妄の発症率は、介入群で0~30%、対照群で4~33%であり、メラトニン群で有意な減少が認められた。メタ解析のサマリーエフェクトによるオッズ比は0.63(95%CI:0.46~0.87、Cochran's Q=0.006、=72.1%)であった。・1つの研究を分析より削除すると、全体のオッズ比が0.310(95%CI:0.19~0.50)に減少し、不均一性も減少した(Cochran's Q=0.798、I2=0.000)。 著者らは「対象研究において、周術期のメラトニンは、高齢患者のせん妄の発症率を低下させることが示唆された。最適な投与量は明らかではないが、メラトニンおよびメラトニン受容体アゴニストの潜在的なベネフィットにより、外科手術を受けた高齢患者のせん妄予防に使用するための選択肢となりうる可能性がある」としている。

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認知症予防の可能性、カマンベールチーズvs.運動

 東京都健康長寿医療センター、桜美林大学、株式会社 明治(以下、明治)の共同研究グループは、高齢者女性を対象としたランダム化比較試験(RCT)において、カマンベールチーズの摂取による認知機能低下抑制を示唆し、認知症予防の可能性を見いだすことに成功した1)。 2019年11月6日、明治主催のメディアセミナー「人生100年時代に考える認知症予防について~カマンベールチーズの新たな可能性~」が開催。鈴木 隆雄氏(桜美林大学老年学総合研究所 所長)が「人生100年時代~認知症予防とBDNF」を、金 憲経氏(東京都健康長寿医療センター研究所 研究部長)が「カマンベールチーズがBDNFに及ぼす影響~ランダム化比較試験」について講演した。BDNF濃度が認知症予防に影響 国内外の研究報告によると、高齢者の認知症の中で最も多くの患者数を占めるのがアルツハイマー病である。現在の日本では、認知症は高齢者人口の約15%を占め、その前駆状態である軽度認知障害(MCI)すなわち認知症予備軍は約13%を占めている。MCIの高齢者の約半数が5年以内にアルツハイマー病に移行することが報告されていることから、鈴木氏は「MCIの段階で予防対策を講じることが極めて重要」と述べた。さらに、「エビデンスの質、科学的根拠のレベルの高さが重要となる中で、これまでの認知症予防の視点での食品研究はほとんどが観察研究だった。今回の試験結果は介入試験からの結果であり、信頼性は高い」と、過去の研究とエビデンスレベルが異なる点を強調し、Journal of the American Medical Directors Association 9月号1)に掲載された研究について解説した。 今回の研究で一番の焦点となったのは、BDNF(脳由来神経栄養因子)の上昇である。BDNFとは、神経細胞の発生・成長・維持・再生を促進させる、いわば“脳の栄養分”とも呼ばれる重要なタンパク質で、脳内、とくに記憶の中枢である海馬に高濃度に存在している。BDNFの血中濃度は加齢や糖代謝異常、そして認知症に伴い減少することが示されており、臨床的に広く評価されている指標でもある。 BDNFの変動については、運動が血中BDNF濃度の増加に寄与していることがこれまでいくつかの研究で示されている。しかし、同氏は「食品とBDNFの関連性についてのエビデンスレベルの高い研究は少なく、今回の研究の意義は大きい」と、述べた。カマンベールチーズで血中BDNF濃度が有意に上昇 以前、65歳以上の高齢女性を対象にチーズ摂取と認知機能に関する観察研究を行い、チーズ摂取の有無と認知機能の関連性を明らかにした金氏は、「国内では、アルツハイマー病マウスでのカマンベールチーズの作用が示唆2)されていたことから、今回、実際のヒトを対象として、70歳以上のMCIの高齢女性を対象としたRCTを行った」と述べた。 次に、同氏はチーズの利用価値について説明。チーズは栄養価が非常に高く、タンパク質、ミネラル、ビタミンを効率よく補うことができる食品であり、世界で1,000種類以上も存在する。なかでも、カマンベールチーズには、デヒドロエルゴステロールという神経細胞において抗炎症作用を示す成分が含まれるほか、白カビの作用によりトリグリセリドからオレイン酸が、タンパク質からアンモニアが生じる。 このような過程で生じたオレイン酸とアンモニアが反応し、オレアミドが産生される。これが脳内のミクログリアに作用することで、アミロイドβの除去2)やミクログリアの過剰な炎症を抑制2、3)すると考えられている。 今回の研究では、カマンベールチーズ群と対照チーズ群でオレアミドの含有量を比較。その結果、カマンベールチーズ群の含有量は対照チーズ群の10倍以上であった。また、今回のRCTの結果、血中BDNF濃度がカマンベールチーズ群では対照チーズ群と比較して有意に増加し、ベースラインから変化率が6.18%も増加した。これらの結果を踏まえて、金氏は「血中BDNF濃度が約6.2%も増加するということは、フレイル高齢者が1回あたり60分の運動を2回/週、3ヵ月継続したもの(変化率:7.6%)4)とほぼ同等の効果であり、注目に値する」と述べ、「来年に発表される長期追跡試験のデータから認知機能改善作用が確認できるかどうかが今後の課題である」と、締めくくった。

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製薬企業の“ギフト”が開業医の処方を左右/BMJ

 製薬企業から“ギフト”を受け取っていないフランスの一般開業医(GP)は、受け取っているGPと比べて、薬剤処方効率指標が良好で低コストの薬剤処方を行っていることが明らかにされた。フランス・レンヌ第1大学のBruno Goupil氏らが、製薬企業からの物品・金銭類提供と薬剤処方パターンとの関連性を評価する目的で、同国2つのデータベースを用いた後ろ向き研究の結果を報告した。世界保健機関(WHO)およびオランダに拠点を置く非営利組織のHealth Action International(HAI)による先行研究で、医療用医薬品のプロモーションが非合理的で高コストの薬剤処方と関連していることが示されており、フランスのGPが製薬企業から“ギフト”(物品、食事、交通費、宿泊等の提供)を受ける可能性があることから、研究グループはその実態と処方との関連を調べた。BMJ誌2019年11月5日号掲載の報告。フランスの2つのデータベースを用い、GP約4万1,000人について解析 研究グループは、国民健康保険システムで管理されている「National Health Data System」と「Transparency in Healthcare」の2つのフランスのデータベースを用いて解析した。 対象は、2016年において、5例以上の登録患者がいる民間医療機関(部門)のGP 4万1,257人で、医薬品・医療機器メーカーおよびほかの健康関連会社の報告に基づく“ギフト”の金銭価値に従って6つのグループに分類した。 主な評価項目は、診察(診療所または在宅)ごとの薬剤処方に対して国民健康保険から支払われた金額、および医師の特別手当と関連する実績を算出するために国民健康保険で使用される11項目の薬剤処方効率指標とした。統計解析は、医師および患者の特性を調整変数とし、有意閾値は0.001とした。“ギフト”を受け取っていない医師で低コストの薬剤処方頻度が増加 1回の診察で処方された薬剤の金額は、2013~16年にギフトを受け取っていなかったGP群(ギフトなし群)が、2016年にギフトを1回以上受け取ったGP群(ギフトあり群)と比べて有意に少なかった。2016年に1,000ユーロ以上のギフトを受け取ったGP群との比較では、ギフトなし群の処方金額は5.33ユーロ有意に少なかった(99.9%信頼区間[CI]:-6.99~-3.66、p<0.001)。 処方頻度も同様で、ジェネリックの抗菌薬(1,000ユーロ以上のギフトあり群との比較で2.17%[99.9%CI:1.47~2.88])、降圧薬(同4.24%[3.72~4.77])およびスタチン(同12.14%[11.03~13.26])の処方頻度はいずれも、ギフトなしGP群のほうが2013~2016年に1回以上ギフトを受け取ったGP群よりも有意に高かった(p<0.001)。 また、ギフトなし群は、2016年の報告で240ユーロ以上のギフトを受け取ったGP群と比較して、12週以上のベンゾジアゼピン系薬(240~999ユーロのギフトあり群との比較で-0.68%[99.9%CI:-1.13~-0.23])、血管拡張薬(1,000ユーロ以上のギフトあり群との比較で-0.15%[-0.28~-0.03])の処方頻度が有意に低かった(p<0.001)。さらに、2016年の報告で1,000ユーロ以上のギフトを受け取ったGP群と比較して、すべてのACE阻害薬およびサルタン系薬の処方頻度が有意に高かった(1.67%[0.62~2.71]、p<0.001)。 アスピリン、ジェネリックの抗うつ薬およびジェネリックのプロトンポンプ阻害薬の処方に関しては、有意差は確認されなかった。

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市中肺炎に新規経口抗菌薬lefamulinが有効/JAMA

 市中細菌性肺炎(CABP)患者において、lefamulinの5日間経口投与はモキシフロキサシン7日間経口投与に対して、初回投与後96時間での早期臨床効果が非劣性であることが示された。米国・Nabriva TherapeuticsのElizabeth Alexander氏らが、CABPに対するlefamulinの有効性および安全性を評価した無作為化二重盲検ダブルダミー並行群間第III相試験「LEAP 2試験」の結果を報告した。標準治療による抗菌薬耐性の拡大と安全性の懸念から、CABP治療の新しい抗菌薬が必要とされている中、lefamulinは、先に行われた第III相試験「LEAP 1試験」において、初回静脈内投与後経口投与への切り替えでモキシフロキサシンに対する非劣性が示されていた。JAMA誌オンライン版2019年9月27日号掲載の報告。lefamulin 5日間投与vs.モキシフロキサシン7日間投与、早期臨床効果を比較 LEAP 2試験は、2016年8月30日~2018年1月2日に19ヵ国99施設にて実施された。対象は、Pneumonia Outcomes Research Team(PORT)リスク分類がクラスII、IIIまたはIVで、X線所見により肺炎が確認され発症後7日以内、CABP症状(呼吸困難、新規咳嗽または咳嗽増加、膿性痰、胸痛)のうち3つ以上がみられ、2つ以上のバイタルサイン異常を有する18歳以上の成人患者738例であった。 対象患者を、lefamulin群(12時間ごとに600mgを5日間、370例)、またはモキシフロキサシン群(24時間ごとに400mgを7日間、368例)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、治験薬初回投与後96時間(±24時間)時点の早期臨床効果で、4つのCABP症状のうち2つ以上で改善を認め、CABP症状の悪化がなく、治験薬以外の抗菌薬治療を受けずに生存している場合に有効とした。 副次評価項目は、投与終了時評価(最終投与後5~10日間)における治験担当医師判定による臨床効果である。非劣性マージンは、早期臨床効果および治験担当医師判定による臨床効果に関して10%とした。 解析対象は、主要評価項目が無作為化されたすべての患者(intention-to-treat[ITT]集団)、副次評価項目が修正ITT集団および臨床評価可能集団であった。有効率はどちらも約91%、非劣性を確認 無作為化された738例(平均年齢:57.5歳、女性:351例[47.6%]、PORTリスク分類クラスIII/IV:360例[48.8%])のうち、707例(95.8%)が試験を完遂した。 早期臨床効果の有効率はlefamulin群90.8%、モキシフロキサシン群90.8%であった(群間差:0.1%、片側97.5%信頼区間[CI]:-4.4~∞)。治験担当医師判定による臨床効果は、修正ITT集団での有効率がlefamulin群87.5%、モキシフロキサシン群89.1%(-1.6%、-6.3%~∞)、臨床評価可能集団ではそれぞれ89.7%および93.6%であった(-3.9%、-8.2%~∞)。 治療下で発現した有害事象は、胃腸障害が最も多く報告された。発現率は、下痢がlefamulin群12.2%(45/368例)、モキシフロキサシン群1.1%(4/368例)、悪心がそれぞれ5.2%(19/368例)、1.9%(7/368例)であった。

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がん悪液質のステージと診断基準「知っている」~医師の3割/日本癌治療学会

 がん悪液質は食欲不振・体重減少・筋肉減少・疲労などを主な症状とし、進行がん患者の50~80%に発症する重大な合併症であり、がん患者のQOL低下、全生存期間や治療効果にも影響する原因として問題視されている。しかしながら、がん悪液質は治療対象として十分に認識されていない可能性があり、医療従事者(医師・メディカルスタッフ)のがん悪液質に対する疾患理解度や、食欲不振・体重減少に対する問題意識の程度、がん患者自身が食欲不振や体重減少でどのくらい困っているのか、といった実態は明らかとなっていない。そのような中、小野薬品工業メディカルアフェアーズ統括部の森本 貴洋氏は、がん悪液質への疾患理解度とがん悪液質の症状(食欲不振、体重減少など)に対する認識の実態を明らかにすることを目的としてWebアンケート調査を行い、第57回日本癌治療学会学術集会(10月24~26日、福岡)で報告した。 Webアンケート調査は2019年7月に行われた。対象は、肺・胃・食道・大腸・肝臓・胆道・膵臓がんのいずれかのがん患者を直近3ヵ月以内に5例以上診療した医師500名、がん治療に携わるメディカルスタッフ(看護師、薬剤師、栄養士など)500名、そして、前記がん腫のいずれかのがんを罹患し1年以内にがん治療のために医療機関に入院・通院経験がある20歳以上のがん患者500名、前記がん種のいずれかのがん患者に対し、生活を共にする家族500名であった。質問は、(1)がんに伴う食欲不振・体重減少に関する日常の評価・測定状況、(2)食欲不振・体重減少に対する治療介入状況、(3)がん悪液質の診断基準に対する理解と治療介入状況について合計30問で構成された。本学会では、(3)がん悪液質の診断基準に対する理解と治療介入状況について報告された。 主な結果は以下のとおり。・「がん悪液質という言葉をご存じですか」の質問に対して、「よく知っている」または「ある程度知っている」と回答した割合は、医師ではそれぞれ51.6%と43.6%、メディカルスタッフでは33.0%と43.8%、患者では3.2%と5.0%、家族では2.3%と12.2%であった。これらの結果より、がん悪液質という言葉の認知度は、医療従事者では高いものの、治療対象となる患者・家族では低いことが明らかとなった。・「EPCRC(European Palliative Care Research Collaborative)による『がん悪液質のステージと診断基準』をご存じですか」の質問に対して、「知っている」と回答した医師は33.1%、メディカルスタッフは33.9%であった。これらの結果から、医療従事者のがん悪液質という言葉自体の認知度は高いものの、診断基準の認知度は低いことが明らかとなった。・「がん悪液質という言葉からどのような状態を連想されますか」の質問に対する回答では、「PS不良」が医師で75.2%、メディカルスタッフは70.6%と最も多く、続いて「栄養不良」「がんの末期症状」が多かった。これらの結果から、医療従事者はがん悪液質という言葉からは、がん患者の終末期の状態を連想していることが明らかとなった。・『EPCRCがん悪液質のステージと診断基準』の提示前後で、医師が想起するがん悪液質患者数がどのように変化するかを質問した。提示前ではその割合(がん悪液質を想起する患者の割合)は28.1%(8,366例中2,354例)であったのに対し、提示後は51.5%(8,366例中4,309例)に増加した。この結果は、終末期の状態として想起されていたがん悪液質が、診断基準の提示によってより早期から発症する合併症であると認識されたためだと考えられる。・「がん悪液質の診断と治療に関する課題は何ですか」の質問に対して医師の回答は、「治療選択肢がない」52.8%、「明確な診断基準がない」40.2%、「治療ガイドラインがない」27.6%であった。 上記の結果から、医療従事者(医師・メディカルスタッフ)だけでなく、がん患者やその家族に対しても、がん悪液質の診断基準と治療の重要性の啓発・教育活動をしていくこの必要性が示唆された。

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治療抵抗性うつ病におけるMetS有病率~FACE-DR研究

 フランス・ソルボンヌ大学のOphelia Godin氏らは、フランス人の治療抵抗性うつ病(TRD)患者のコホートにおけるメタボリックシンドローム(MetS)有病率を推定し、社会人口統計学的、臨床的および治療に関連する因子との相関について検討を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2019年10月15日号の報告。 対象は、2012~18年に中等度~重度(MADRSスコア20以上)のうつ病エピソード(DSM-IV基準)を有し、ステージII以上の治療抵抗性(Thase and Rush基準)が認められたTRD患者205例。社会人口統計学的および臨床的特徴、ライフスタイルの情報、治療および併存疾患に関する情報を収集し、血液サンプルも採取した。MetSは、国際糖尿病連合(IDF)基準に従って定義した。 主な結果は以下のとおり。・MetS基準を満たしていたTRD患者は、全体の38%であった。・MetSの頻度は、40歳以上の患者において女性(35.2%)よりも男性(46.3%)で高かった(p=0.0427)。・糖尿病のマネジメントは良好であったが、高血圧または脂質異常症の治療を受けていた患者は3分の1未満であった。・多変量解析では、血清CRPレベルの異常は、他の潜在的な交絡因子とは独立して、MetSリスクを3倍増加させることが示唆された(95%CI:1.5~5.2)。 著者らは「TRD患者では、他の精神疾患患者よりもMetS有病率が高く、十分な治療が行われていない可能性がある。TRD患者の心血管疾患を予防するために、MetSの診断および治療をシステマティックに行う必要がある。本調査結果は、精神科医とプライマリケア医との連携を強化し、統合ケアの必要性を示唆している」としている。

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