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ニボルマブ、消化器がんで2つの適応が追加承認を取得/小野・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2021年11月25日、ニボルマブについて、化学療法との併用療法による「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、および「食道癌の術後補助療法」に対する二つの効能又は効果並びに用法及び用量の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得した。治癒切除不能な進行・再発の胃がんへの適応 今回の承認は、CheckMate -649試験とATTRACTION-4試験のデータに基づいたもの。 CheckMate-649試験は、日本を含む世界規模で、未治療のHER2陽性以外の治癒切除不能な進行・再発の胃がん、胃食道接合部がんまたは食道腺がんを対象に、ニボルマブと化学療法の併用療法またはイピリムマブとの併用を、化学療法単独と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相臨床試験。 同試験で、ニボルマブと化学療法の併用療法群は、化学療法単独群と比較して、主要評価項目である全患者およびCPS5以上の患者の全生存期間(OS)と、CPS5以上の患者の無増悪生存期間(PFS)で有意な延長を示した。 ATTRACTION-4試験は日本、韓国、台湾で未治療のHER2陰性の治癒切除不能な進行・再発の胃がんまたは胃食道接合部がんを対象に、ニボルマブと化学療法の併用療法をプラセボと化学療法の併用療法と比較評価した多施設共同無作為化第II/III相臨床試験。 同試験で、ニボルマブと化学療法の併用療法群は、プラセボと化学療法の併用療法群と比較して、主要評価項目の1つであるPFSの統計学的に有意な延長を示した。もう1つの主要評価項目であるOSでは統計学的に有意な延長を示さなかった。食道がん術後補助療法への適応 今回の承認は、食道がんまたは食道胃接合部がん切除後患者の術後補助療法として、ニボルマブ単剤療法をプラセボと比較評価した多施設国際共同無作為化二重盲検第III相試験であるCheckMate-577試験の結果に基づいたもの。 同試験において、ニボルマブ単剤療法群は、プラセボ群と比較して、主要評価項目である無病生存期間(DFS)で統計学的に有意な延長を示している。

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左後方心膜切開術、心臓手術後のAFを抑制/Lancet

 心臓手術時に左後方心膜切開術を加えると、これを行わない場合に比べ術後の心房細動の発生率がほぼ半減し、術後合併症リスクの増加はみられないことが、米国・Weill Cornell MedicineのMario Gaudino氏らが実施した「PALACS試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年11月12日号で報告された。米国の単施設の無作為化対照比較試験 研究グループは、左後方心膜切開術は心臓手術後の心房細動の発生を抑制するとの仮説を立て、これを検証する目的で適応的単盲検無作為化対照比較試験を実施した(研究助成は受けていない)。 本試験は、Weill Cornell Medicine(米国ニューヨーク市)の心臓胸部外科医によってニューヨーク・プレスビテリアン病院で実施され、2017年9月~2021年8月の期間に患者のスクリーニングが行われた。 左後方心膜切開術は、心膜を横隔神経の後方で左下肺静脈から横隔膜まで4~5cm垂直に切開するもので、心臓手術後の心膜腔内の心嚢液や血栓を左胸膜腔へ排出する簡便な手術手技である。 対象は、年齢18歳以上、心房細動や他の不整脈の既往歴がなく、冠動脈、大動脈弁、上行大動脈、またはこれらのうち複数の血管の初回待機的手術を受けた患者であった。 被験者は、心臓手術中に左後方心膜切開術を受ける群または介入を受けない群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。患者と評価者には、治療割り付け情報が知らされなかった。フォローアップは、退院後30日まで行われた。 主要アウトカムは、intention-to-treat(ITT)集団における術後の入院期間中における心房細動の発生とされた。安全性の評価はas-treated集団で行われた。術後心嚢液貯留も少ない:12% vs.21% 420例が登録され、左後方心膜切開術群に212例、非介入群に208例が割り付けられた。全体の年齢中央値は61.0歳(IQR:53.0~70.0)で、女性が102例(24%)含まれた。ベースラインのCHA2DS2-VAScスコア中央値は2.0(IQR:1.0~3.0)で、155例(37%)が3以上だった。 臨床的、外科的な背景因子は、2群間でバランスが取れていた。フォローアップを完了できなかった患者はおらず、データの網羅性は100%だった。左後方心膜切開術群の3例が、実際には介入を受けなかった。 ITT集団における術後心房細動の発生率は、左後方心膜切開術群が17%(37/212例)と、非介入群の32%(66/208例)に比べて有意に低かった(Mantel-Haenszel検定のp=0.0007)。層別変数で補正したオッズ比(OR)は0.44(95%信頼区間[CI:0.27~0.70、p=0.0005)であり、相対リスクは0.55(95%CI:0.39~0.78)だった。 退院後30日以内の死亡率は、左後方心膜切開術群が1%(2/209例)、非介入群は<1%(1/211例)であった。また、術後の心嚢液貯留の発生率は、左後方心膜切開術群で低かった(12%[26/209例]vs.21%[45/211例]、相対リスク:0.58、95%CI:0.37~0.91)。 術後の重度有害事象(術後脳卒中、術後心筋梗塞)は、左後方心膜切開術群が6例(3%)、非介入群は4例(2%)で発現した。左後方心膜切開術関連の合併症は認められなかった。 著者は、「今回の結果はこれまでに得られたエビデンスと一致しており、左後方心膜切開術による大きな治療効果が認められ、介入のリスク/ベネフィット比がきわめて良好であることから、ほとんどの心臓手術でこの手技の追加を考慮すべきと考えられる」とまとめ、「介入の潜在的な臨床的利益を定量化するには、心臓手術の全領域を含む大規模で実践的な多施設共同確認試験を行う必要がある」としている。

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脳梗塞の血栓除去術、発症6h以降でも機能障害を改善/Lancet

 発症後6~24時間で、可逆的な脳虚血の証拠が確認された急性期脳梗塞患者の治療において、血管内血栓除去術はこれを施行しない場合と比較して、90日後の修正Rankin尺度(mRS)で評価した機能障害が良好であり、日常生活動作の自立(mRS:0~2点)の達成割合も高いことが、米国・Cooper University Health CareのTudor G. Jovin氏らが実施した「AURORA試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年11月11日号で報告された。6つの無作為化対照比較試験のメタ解析 研究グループは、発症から6時間以上が経過した脳梗塞患者における、血管内治療のリスクとベネフィットを評価する目的で、無作為化対照比較試験の系統的レビューを行い、個々の患者データに基づくメタ解析を実施した(Stryker Neurovascularの助成を受けた)。 医学データベース(MEDLINE、PubMed、Embase、ClinicalTrials.gov)を用いて、2000年1月1日~2021年3月1日の期間に発表された文献が検索された。最後に健常な様子が目撃されてから6時間以上経過した前方循環系の大血管閉塞による脳梗塞患者において、第2世代血栓回収デバイス(ステント型血栓回収機器、大口径吸引カテーテル)+標準的薬物療法(介入群)と標準的薬物療法単独(対照群)を比較した無作為化対照比較試験を適格とした。 主要アウトカムは、90日の時点における修正Rankin尺度(mRS、0[障害なし]~6[死亡]点)で評価した機能障害の程度とされ、順序ロジスティック回帰分析で評価された。主な安全性アウトカムは、症候性脳出血と90日以内の死亡であった。 スクリーニングの対象となった17の試験のうち6つの試験(DAWN、DEFUSE 3、ESCAPE、REVASCAT、POSITIVE、RESILIENT)が、この研究の基準を満たした。1例でmRSを1点以上低下させる必要治療数は3 6試験の参加者505例(介入群266例、対照群239例、平均年齢68.6歳[SD 13.7]、女性259例[51.3%])が解析に含まれた。ベースラインのNIHSSスコア(0~42点、点数が高いほど脳卒中の重症度が高い)中央値は16点、発症から無作為化までの時間中央値は625分(IQR:472~808)、ASPECTS(0~10点、点数が高いほどCT画像上の早期虚血性変化を呈する中大脳動脈領域が少ない)中央値は8点(IQR:7~9)であった。 主要アウトカムの解析では、補正前の共通オッズ比(OR)は2.42(95%信頼区間[CI]:1.76~3.33、p<0.0001)、補正後の共通ORは2.54(1.83~3.54、p<0.0001)であり、血栓除去療法の利益が確認された。1例の患者でmRSを1点以上低下させて機能障害を改善するのに要する治療必要数は、3であった。 また、介入群は対照群に比べ、90日時点の日常生活動作の自立(mRS:0~2点)の割合が高かった(45.9%[122/266例]vs.19.3%[46/238例]、率比:2.37、95%CI:1.69~3.33、p<0.0001)。一方、90日死亡率(16.5%[44/266例]vs.19.3%[46/238例])および症候性脳出血の発生率(5.3%[14/266例]vs.3.3%[8/239例])は、両群間に有意差はみられなかった。 主要アウトカムに関して、すべてのサブグループ(年齢、性、ベースラインの脳梗塞の重症度、血管の閉塞部位、ベースラインのASPECTS、発症時の状況[目撃者あり、起床時、目撃者なし])で血栓除去療法の治療効果が認められ、発症後12~24時間に無作為化された患者(共通OR:5.86、95%CI:3.14~10.94、p<0.0001)は、6~12時間に無作為化された患者(1.76、1.18~2.62、p=0.0060)に比べ治療効果が高かった(p interaction=0.0087)。 著者は、「この研究結果は、保健施策の検討や臨床現場にいくつかの示唆を与え、現行のガイドラインの変更につながる可能性がある」とし、「これらの知見は、前方循環系の大血管近位部閉塞による脳梗塞患者では、高齢であることやベースラインのCT検査で梗塞サイズが中等度であること、中等度または重度の臨床的障害、発症状況、発症後6~24時間という時間枠を理由に、血管内血栓除去術を控えるべきではないことを示唆する」と指摘している。

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双極性障害診断の遅延に関連する要因

 双極性障害の診断は、遅延することが少なくない。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のKamyar Keramatian氏らは、双極性障害の診断遅延に関連する臨床的および人口統計学的要因を調査した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年10月1日号の報告。 診断遅延は、初回気分エピソード(うつ状態、躁状態、軽躁状態)時の年齢と双極性障害と診断された年齢との差として定義した。データは、カナダの多施設自然主義的研究より抽出した。双極I型障害192例、双極II型障害127例を対象にHOPE-BD(Health Outcomes and Patient Evaluations in Bipolar Disorder)研究を実施した。これまで双極性障害の診断遅延と関連していると考えられていた社会人口統計学的特徴および臨床的特徴を分析に含めた。 主な結果は以下のとおり。・診断遅延の中央値は、双極I型障害で5.0年、双極II型障害で11.0年であった。・診断遅延の長さと関連していた因子は、早期発症、自殺企図歴、不安症の合併などの臨床的要因であった。一方、診断遅延の短さと関連していた因子は、精神症状の存在や精神科入院歴であった。・分位点回帰分析では、双極I型障害および双極II型障害の診断遅延の増加を予測する因子は、専門家相談時の年齢の高さと発症年齢の低さであった。・初回エピソードでのうつ状態は、双極II型障害ではなく双極I型障害の診断遅延の予測因子であった。 著者らは「本調査により、双極性障害の診断遅延の現状および遅延に影響を及ぼす因子が特定された。双極性障害の早期診断と介入戦略実施の必要性があらためて浮き彫りとなった」としている。

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抗血小板薬抵抗性などの問題(解説:後藤信哉氏)

 心筋梗塞、脳梗塞などの疾病予防のため降圧、糖尿病管理などが行われる。降圧薬の効果は血圧で簡便・正確に計測できる。血糖もしかりである。アスピリン、クロピドグレルなどの抗血小板薬の効果を簡便・正確に計測する方法は確立されていない。このため、新薬が開発されるごとに古い薬の「抵抗性」などが強調された。クロピドグレルの特許切れ前には「アスピリン抵抗性」などが喧伝された。簡便・正確な薬効指標がないため、反論は困難であった。一世を風靡したクロピドグレルも特許切れした。同一の薬効標的に対してプラスグレル、チカグレロルが開発された。しかし、臨床家が実感できるクロピドグレルの欠点を探すのは困難であった。多くの医師は自らが処方する多く薬剤の代謝経路など理解していない。しかし、クロピドグレルについてはCYP2C19という肝酵素により活生体が産生されることが強調された。CYP2C19の遺伝子型も解明され、代謝の速いヒト、遅いヒトがいるとされた。代謝の遅いヒトではクロピドグレルの効果が発現しないように喧伝された。日本人を含むアジア人では代謝の遅いpoor metabolizerが多いのでクロピドグレルが効きにくいとされた。クロピドグレルの臨床開発に寄与して、日本人はむしろ効き過ぎて出血が増える懸念があるとして50mgの減量を承認したプロセスを熟知する筆者には世の中の風の変化が驚きであった。 クロピドグレルが効きにくいとされるCYP2C19のpoor metabolizerを6,412例集めて、イベントリスクの高いminor stroke/TIAを対象としたランダム化比較試験は科学的価値が高い。クロピドグレル群における7.6%の有効性1次エンドポイントの発現に対してチカグレロル群では6.0%とわずかに低かった。中等度以上の出血イベントに差がなく、全出血ではチカグレロル群が多かったので、この試験ではクロピドグレルよりもチカグレロルがより強い抗血小板効果を発現したのであろう。 本試験の結果はCYP2C19 loss-of-function alleleにてクロピドグレルが効かないことを示したわけではない。急性冠症候群におけるPLATO試験にてクロピドグレルに対する優越性を示した180mg loading 90mg/日は一般に体重の軽いアジア人には多過ぎることを示唆しているのかもしれない。いずれにしても、薬効を反映する簡便・正確なマーカーがない抗血小板薬では、ノイズを作られると否定するのが大変である。チカグレロル、プラスグレルの特許が切れれば真実がわかるかもしれない。

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用 その3【「実践的」臨床研究入門】第14回

コクラン・ライブラリー~該当フル・レビュー論文を読み込んでみる2今回は前回に引き続き、われわれのリサーチ・クエスチョン(RQ)のブラッシュアップに参考となりそうな、コクラン・ライブラリーの検索で挙がった2編目のフル・レビュー論文(下記)を読み込んでみましょう。Protein restriction for diabetic renal disease(糖尿病性腎疾患に対する蛋白摂取制限)1)このシステマティック・レビュー(systematic review:SR)に組み入れられたランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)は9編でした。末期腎不全(透析導入)というハードエンドポイント(連載第3回参照)についての解析に組み込まれたRCTは、前回読み込んだ非糖尿病の慢性腎臓病(Choronic kidney disease: CKD)患者を対象としたコクランSR2)では6編(解析対象患者数1,814名)でしたが、今回取り上げたフル・レビュー論文1)では1編(解析対象患者数72名)でした。したがって、複数の研究結果を統合するメタ解析は行われていませんが、下記のように1つのRCTで示された相対リスク(Rlative risk:RR)の点推定値と95%信頼区間(95% confidence interval:95%CI)は記述されています。0.6g/kg/標準体重/日の低たんぱく食群は対照群(通常食)と比較して末期腎不全(透析導入)または死亡に到るRRは0.23(95%CI:0.07~0.72)であった(筆者による意訳)。前回読み込んだ非糖尿病CKD患者における低たんぱく食の臨床効果を検証したフル・レビュー論文2)では、末期腎不全(透析導入)というハードエンドポイントについては6編のRCT(解析対象患者数1,814名)をメタ解析し、低たんぱく食群(0.5~0.6g/kg/標準体重/日)の対照群(通常食)に対する末期腎不全(透析導入)に到るRRは1.05(95%CI:0.73~1.53)であった(筆者による意訳)。と述べています2)。ここで着目したいのは、上述の2つの解析結果の95%CIの範囲の違いです。95%CIの範囲が狭いということは、その点推定値の精度の高さを示しており、解析対象患者数の増加によるメタ解析の「ご利益」のひとつです。さて、糖尿病性腎疾患に対する低たんぱく食の腎機能低下速度というサロゲートエンドポイント(連載第3回参照)についてはどうでしょうか。1型糖尿病患者のみを対象とした7編のRCT(解析対象患者数222名)を組み入れたメタ解析の結果1)が下記のように報告されています。対照群(通常食)と比較した低たんぱく食群での推定糸球体濾過量(eGFR)低下速度の変化は0.1 ml/分/月(95%CI:0.1~0.3)であり、統計学的有意ではなかった(筆者による意訳)。eGFR 低下速度0.1ml/分/月の改善は統計学的にだけでなく臨床的にも有意でない僅かな変化だと考えます。前回取り上げた非糖尿病CKD患者を対象としたフル・レビュー論文2)での結果も併せて、腎機能低下速度に対する低たんぱく食の効果は不確かであると言えるでしょう。下記はこれまでにブラシュアップしてきた、われわれのCQとRQ(PECO)です。CQ:食事療法を遵守すると非ネフローゼ症候群の慢性腎臓病患者の腎予後は改善するのだろうか↓P:非ネフローゼ症候群の慢性腎臓病(CKD)患者E:食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の遵守C:食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の非遵守O:腎予後まだ、O(アウトカム)が「腎予後」と漠然としています。これまで見てきたコクランSRや個別のRCTでは、末期腎不全(透析導入)やeGFR低下速度の変化、というように明確に定義されていました。われわれのRQのOもこれらの先行研究に準じて、下記のように改訂することとします。P:非ネフローゼ症候群の慢性腎臓病(CKD)患者↓E:食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の遵守C:食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の非遵守O:1)末期腎不全(透析導入)、 2)eGFR低下速度の変化 Oは1)プライマリと2)セカンダリに分けて設定されることが多くあります。一般的にプライマリなOはその研究で最もみたいOが置かれ、臨床的に重要なハードエンドポイントであればより望ましいかもしれません。セカンダリなOはプライマリの次に関心のあるOで、サロゲートエンドポイントが設定されることが多いかと思います。1)Robertson L et al. Protein restriction for diabetic renal disease. The Cochrane database of systematic reviews. 2007 Oct 17:CD0021812)Hahn D et al. Low protein diets for non-diabetic adults with chronic kidney disease. Cochrane Database Syst Rev 2020 Oct 29:CD001892.

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新型コロナとインフルワクチンの同時接種は安全か/Lancet

 新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンを同時に接種できれば、医療現場の負担減少につながる。米国ではワクチン接種率を高めるために同時接種も可としているが、日本では現時点で互いに片方のワクチンを受けて2週間後に接種可となっている。今回、英国のComfluCOV Trialグループによる多施設共同無作為化第IV相試験で、新型コロナウイルスへのアストラゼネカ製ワクチン(ChAdOx1)もしくはファイザー製ワクチン(BNT162b2)とインフルエンザワクチンの同時接種により安全性の懸念は引き起こされなかったことが示された。また、両ワクチンに対する抗体反応も維持されていた。英国・University Hospitals Bristol and Weston NHS Foundation TrustのRajeka Lazarus氏らが、Lancet誌オンライン版2021年11月11日号で報告した。 本試験では、2021年4月1日~6月26日に英国における12施設で、新型コロナワクチン(ChAdOx1またはBNT162b2)の初回接種を受けた成人679人を登録し、以下の6グループに分けて検討した。・ChAdOx1+培養細胞4価インフルエンザワクチン:129人・BNT162b2+培養細胞4価インフルエンザワクチン:139人・ChAdOx1+MF59Cアジュバント添加3価インフルエンザワクチン:146人・BNT162b2+MF59Cアジュバント添加3価インフルエンザワクチン:79人・ChAdOx1+遺伝子組換え4価インフルエンザワクチン:128人・BNT162b2+遺伝子組換え4価インフルエンザワクチン:58人 その後、新型コロナワクチンの2回目接種と一緒にインフルエンザワクチンもしくはプラセボを接種し、その3週間後にインフルエンザワクチン接種者にはプラセボを、プラセボ接種者にはインフルエンザワクチンを接種し、6週間観察した。前者には340人、後者には339人が無作為に割り付けられた。主要評価項目は、インフルエンザワクチンもしくはプラセボの接種後7日間に参加者から報告された1つ以上の特定全身反応であり、差が25%未満であれば非劣性とした。また、局所および非特定全身反応、液性応答も評価した。 主な結果は以下のとおり。・6グループのうち、ChAdOx1+細胞培養4価インフルエンザワクチン(インフルエンザワクチン群とプラセボ群のリスク差:-1.29%、95%信頼区間:-14.7~12.1)、BNT162b2+培養細胞4価インフルエンザワクチン(6.17%、-6.27~18.6)、BNT162b2+MF59Cアジュバント添加3価インフルエンザワクチン(-12.9%、-34.2~8.37)、ChAdOx1+遺伝子組換え4価インフルエンザワクチン(2.53%、-13.3~18.3)の4グループでは非劣性を示した。一方、ChAdOx1+MF59Cアジュバント添加3価インフルエンザワクチン(10.3%、-5.44~26.0)、BNT162b2+遺伝子組換え4価インフルエンザワクチン(6.75%、-11.8~25.3)では、95%CIの上限が非劣性マージンを超えた。・ワクチン接種による全身反応のほとんどが軽度もしくは中等度だった。・局所および非特定全身反応の割合は、無作為に割り付けられた2群間で同様だった。・重篤な有害事象は重度の頭痛による入院の1件で、試験的介入に関連していると考えられた。・免疫応答への影響はなかった。 研究者らは「来シーズンに、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンを一緒に接種することで、ワクチン接種のための医療現場の負担が軽減され、ワクチンが必要な人々へのタイムリーなワクチン投与とCOVID-19とインフルエンザの予防を可能になる」と考察している。専門家はこう見る:CLEAR!ジャーナル四天王COVID-19ワクチンと季節性インフルエンザワクチン同時接種における安全性と免疫原性(解説:小金丸 博 氏)-1476 コメンテーター:小金丸 博( こがねまる ひろし ) 氏東京都健康長寿医療センター 感染症内科医長

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がん治療における遺伝子パネル検査、データ利活用の最前線/日本癌治療学会

 実臨床で得られた診療データをその後の研究に活かしていくという、「データ利活用」の動きが世界中で活発になっている。第59回日本癌治療学会学術集会(10月21~23日)では会長企画シンポジウムとして「大規模データベースを活用したがん治療の新展開――医療データの臨床開発への利活用」と題した発表が行われた。 冒頭に中島 直樹氏(九州大学病院 メディカル・インフォメーションセンター)が「データ駆動型の医療エビデンス構築の現在と未来」と題した講演を行い、日本の医療データの問題点として「収集後の名寄せが困難(マイナンバーの医療分野利用の遅れなど)」「医療情報の標準化の遅れ」「改正個人情報保護法によるハードル」を挙げた。そして、これらの問題の解決策として2018年に制定された次世代医療基盤法によるデータ収集と連携のプラットフォームに触れ、状況が変わりつつあることを紹介した。 続いて、谷口 浩也(愛知県がんセンター病院 薬物療法部)が、「産学連携ゲノム解析研究SCRUM/CIRCULATE-Japan Registryの医薬品医療機器承認への活用」と題した発表で、 国立がんセンターを中心とした産学連携全国がんゲノムスクリーニングプロジェクト「SCRUM-Japan」内の「SCRUM-Japan Registry」プロジェクトにおける、臨床研究データを蓄積し、外部の医薬品メーカーに提供、主に希少疾病の新薬開発における比較対照として活用して承認申請に結びつける取り組みを紹介した。「データの質を保つために参加施設を本体研究より絞り、患者背景の均一化などを工夫してきた。悉皆性の確保、参加施設のモチベーションの維持、コスト負担などが今後の課題だ」とした。 さらに、河野 隆志氏(国立がん研究センター がんゲノム情報管理センター=C-CAT)が「保険診療で行われるがん遺伝子パネル検査のデータの診療・研究・開発への利活用」と題した演題でC-CATのデータ利活用の現状を紹介。C-CATには2019年6月~2021年8月までに2万1,030例の遺伝子パネル検査の結果が集積。がん種は男性では肺がんよりも膵臓がんが多く、女性では乳がんと卵巣/卵管がんがほぼ同数などとなっている。「遺伝子パネル検査を受けるのは標準治療終了後の患者さんに限られるため、一般的ながん種別の罹患率とは異なり、悪性度の高いがんが多くなる傾向がある」(河野氏)という。これまで、「診療検索ポータル」という検索サイトを立ち上げ、患者背景ごとに適合する進行中の治験を検索できるようにしてきた。 さらに今年の10月から「利活用検索ポータル」として、研究・開発目的としてC-CATデータを提供するサイトをオープン。1万8,000例ほどから、がん種や遺伝子変異の種類、薬剤名、奏効率や有害事象などの条件で検索し、詳細なデータを閲覧できる。 利用者はC-CATによる審査・登録後、がんゲノム医療中核拠点病院、大学等の研究機関であれば無償、製薬メーカーは有償で利用できるようになる。「特定の遺伝子変異の患者データ等の把握が容易になり、治験などが活発になることを期待している。登録は審査が必要となり時間がかかるため、最低限の情報を確認できる『登録件数検索』機能を用意しており、興味がある方はぜひ一度見ていただきたい」(河野氏)とした。

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新規経口抗凝固薬milvexianが術後VTE予防に有効/NEJM

 新規経口第XIa因子阻害薬milvexianは、人工膝関節置換術後の静脈血栓塞栓症予防に有効であり、出血のリスクは低いことが示された。カナダ・マックマスター大学のJeffrey I. Weitz氏らが、エノキサパリンと比較するアダプティブデザインの第II相無作為化並行群間比較試験「AXIOMATIC-TKR試験」の結果を報告した。静脈および動脈血栓塞栓症の予防と治療において、第XIa因子阻害薬は従来の抗凝固薬より効果的で出血も少ない可能性が示されていた。著者は、「milvexianの有効性と安全性については、さらなる研究が必要である」とまとめている。NEJM誌オンライン版2021年11月15日号掲載の報告。milvexian 1日2回投与4用量、1日1回投与3用量vs.エノキサパリン 研究グループは、待機的人工膝関節置換術を受ける50歳以上の患者1,242例を、術後にmilvexian 25mg/50mg/100mg/200mgを1日2回投与、または25mg/50mg/200mgを1日1回投与、またはエノキサパリン40mgを1日1回投与する7群のいずれかに無作為に割り付けた(非盲検)。 有効性の主要評価項目は静脈血栓塞栓症(無症候性深部静脈血栓症、確定診断された症候性静脈血栓塞栓症、全死因死亡の複合)で、安全性の主要評価項目は出血とした。25~200mg 1日2回投与は、エノキサパリンよりVTEの発生が有意に低い 静脈血栓塞栓症は、エノキサパリン群54/252例(21%)に対して、milvexianの1日2回投与集団では25mg群27/129例(21%)、50mg群14/124例(11%)、100mg群12/134例(9%)、200mg群10/131例(8%)で発生した。milvexianの1日1回投与集団では25mg群7/28例(25%)、50mg群30/127例(24%)、200mg群8/123例(7%)であった。 milvexian 1日2回投与集団では有意な用量反応性が認められ、同集団の静脈血栓塞栓症の発生率は12%(63/518例)で、事前に設定した基準値である30%より有意に低かった(片側p<0.001)。 すべての出血(重症度を問わない)の発生は、milvexian群38/923例(4%)、エノキサパリン群12/296例(4%)であった。大出血または臨床的に重要な非大出血はそれぞれ1%および2%に認められ、重篤な有害事象はそれぞれ2%および4%報告された。

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2型DMの新規発症リスクを低下・増加させる降圧薬は?/Lancet

 降圧治療は2型糖尿病の新規発症予防に効果的な戦略であるが、その効果は降圧薬のクラスにより異なっており、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)で良好な結果が得られることが、英国・オックスフォード大学のMilad Nazarzadeh氏らBlood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration(BPLTTC)のメタ解析で示された。降圧治療は、糖尿病の細小血管および大血管合併症を予防する戦略として確立されているが、糖尿病そのものの予防に寄与するかは不明であった。著者は、「降圧薬のクラスによる差はおそらくオフターゲット作用の違いによるものと考えられる。今回のエビデンスは、糖尿病発症予防のために降圧薬のクラスを選択する必要があることを支持するものであり、個々の臨床的な糖尿病リスクに応じた薬剤選択の改善に結び付くだろう」と述べている。Lancet誌2021年11月13日号掲載の報告。RCT 19件・約14万6千例をメタ解析 BPLTTC研究グループは、降圧治療が新規2型糖尿病の発症リスクに及ぼす影響を評価するとともに、5つの主要なクラスの降圧薬の新規2型糖尿病発症リスクに対する効果の違いを検討する目的で、無作為化試験の参加者個々のデータを用い、1段階法によるメタ解析ならびにネットワークメタ解析を行った。 対象は、1次予防および2次予防の効果について特定クラスの降圧薬とプラセボまたは他のクラスの降圧薬との比較を行い、各群1,000人年以上追跡した無作為化比較試験とした。ベースラインにおいて糖尿病と診断されている患者、および糖尿病既往の患者を対象とした試験はすべて除外した。 1段階法による個人データのメタ解析は層別Cox比例ハザードモデルを、個人データのネットワークメタ解析はロジスティック回帰モデルを用い、薬剤クラスの比較に関して相対リスク(RR)を算出した。 全体では、1973~2008年に実施された22件の臨床試験のデータが解析対象となった。1段階法による個人データのメタ解析には、このうち19件の無作為化比較試験から得られた14万5,939例(男性8万8,500例[60.6%]、女性5万7,429例[39.4%])が組み込まれ、個人データのネットワークメタ解析には全22試験が組み込まれた。全体では収縮期血圧5mmHg低下で2型DMの発症リスクが11%低下 追跡期間中央値4.5年(IQR:2.0)において、9,883例が新たに2型糖尿病と診断された。収縮期血圧が5mmHg低下した場合、追跡期間中の2型糖尿病の発症リスクは、全体で11%低下した(ハザード比:0.89、95%信頼区間[CI]:0.84~0.95)。 5つの主要なクラスの降圧薬の効果に関する検討では、プラセボと比較してACEI(RR:0.84、95%CI:0.76~0.93)、ARB(0.84、0.76~0.92)は、2型糖尿病の新規発症リスクを減少することが示された。一方、β遮断薬(1.48、1.27~1.72)、およびサイアザイド系利尿薬(1.20、1.07~1.35)は2型糖尿病の新規発症リスクを増加することが示され、カルシウム拮抗薬(1.02、0.92~1.13)についてはマテリアルな影響が見つからなかった。

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急性躁症状に対する薬物療法~ネットワークメタ解析

 藤田医科大学の岸 太郎氏らは、成人双極性障害患者の急性躁症状に対する薬理学的介入の有効性、受容性、忍容性、安全性を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2021年10月12日号の報告。 2021年3月14日までに公表された適格研究をPubMed、Cochrane Library、Embaseの各データベースより検索した。躁症状を有する成人を対象に10日以上の経口薬単剤治療を実施したランダム化比較試験(RCT)を適格研究とし、試験期間中に抗精神病薬によるレスキュー投与を行った研究は除外した。主要アウトカムは、治療反応(有効性)およびすべての原因による中止(受容性)とした。副次的アウトカムは、躁症状の改善と効果不十分による中止とした。 主な結果は以下のとおり。・適格研究79件のうち、23薬剤とプラセボによる72件の二重盲検RCTをメタ解析に含めた(平均研究期間:3.96±2.39週間、1万6,442例、平均年齢:39.55歳、男性の割合:50.93%)。・プラセボと比較し、治療反応が高かった薬剤は、アリピプラゾール、アセナピン、カルバマゼピン、cariprazine、ハロペリドール、リチウム、オランザピン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドン、タモキシフェン、バルプロ酸、ziprasidoneであった(56研究、1万4,503例)。・プラセボと比較し、すべての原因による中止が少なかった薬剤は、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、すべての原因による中止が多かった薬剤は、トピラマートであった(70研究、1万6,324例)。・プラセボと比較し、躁症状の改善が認められた薬剤は、アリピプラゾール、アセナピン、カルバマゼピン、cariprazine、ハロペリドール、リチウム、オランザピン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドン、タモキシフェン、バルプロ酸、ziprasidoneであった(61研究、1万5,466例)。・プラセボと比較し、効果不十分による中止が少なかった薬剤は、アリピプラゾール、アセナピン、カルバマゼピン、cariprazine、ハロペリドール、リチウム、オランザピン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドン、バルプロ酸、ziprasidoneであった(50研究、1万4,284例)。 著者らは「各抗精神病薬、カルバマゼピン、リチウム、タモキシフェン、バルプロ酸は、急性躁症状の治療に有効であることが示唆された。ただし、プラセボよりも良好な受容性が認められた薬剤は、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンのみであった」としている。

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新型コロナウイルスワクチン接種者のブレークスルー感染(既感染者と未感染者の比較)(解説:小金丸博氏)

 新型コロナウイルスワクチン接種後にブレークスルー感染が起こることはすでに知られた事実である。今回、mRNAワクチンである「BNT162b2」(Pfizer-BioNTech製)または「mRNA-1273」(Moderna製)の接種者を対象に、ブレークスルー感染発生率を既感染者と未感染者で比較した観察研究がJAMA誌に報告された。 BNT162b2接種群の累積感染発生率(追跡期間120日)は既感染者で0.15%(95%信頼区間[CI]:0.12~0.18)、未感染者で0.83%(同:0.79~0.87)、mRNA-1273接種群では既感染者で0.11%(同:0.08~0.15)、未感染者で0.35%(同:0.25~0.48)だった。既感染者は感染により自然免疫を獲得できているため、感染発生率が低いのは予想できる結果である。今回の研究では、既感染者の中でワクチン接種群と非接種群を比較したデータはなく、既感染者にワクチンを接種することによるワクチン免疫の上乗せ効果がどれだけあったかは不明である。 また、既感染者のうち、初回ワクチン接種が感染後6ヵ月以上経過していた人の方が6ヵ月未満だった人よりも、ブレークスルー感染率が低いという結果が得られた。興味深い結果ではあるが、このような結果が得られた理由は説明できていない。既感染者に対するワクチンの適切な接種時期、スケジュールは確立されておらず、今後の課題の1つである。 本研究はカタールで実施された全国レベルの大規模なコホート研究である。注意すべきLimitationとしては、未感染者の中に見逃された感染者が含まれている可能性があること、対象に小児や高齢者の割合が少なく一般化できないこと、基礎疾患に関してマッチングをできていないこと、2種類のワクチンの直接比較はできなかったこと、などが挙げられる。 ワクチンの効果は患者側の要因(年齢、基礎疾患など)に加えて、ウイルスの要因(変異株の種類など)の影響を受けると考える。ブレークスルー感染が起こる原因を特定し、有効性の高いワクチンの開発やブースター接種スケジュールの確立が望まれる。

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ナッツ類の摂取と乳がんサバイバーの転帰の関係

 ナッツ類の積極的な摂取が、全死亡や心血管疾患などの死因別死亡リスク低下と関連するという報告があるが、乳がんサバイバーにおけるがんの転帰との関連はみられるのだろうか。米国・ヴァンダービルト大学メディカルセンターのCong Wang氏らは、乳がんサバイバーを対象に、ナッツ類の消費量と全生存率(OS)および無病生存率(DFS)との関連を分析した。International Journal of Cancer誌オンライン版2021年10月19日号に掲載の報告より。 本研究では、中国の大規模コホート研究・上海乳がん生存者調査のデータが用いられた。同調査では、乳がん診断後5年時点で、食事摂取頻度調査票を用いた過去1年間の包括的な食事評価が実施されている。ピーナッツ、クルミ、その他のナッツを含むナッツ類の消費量は、1週間当たりの摂取量をグラム数に換算して評価。ナッツ類の総消費量が0g/週を超える患者はナッツ類消費者、それ以外はナッツ類非消費者と定義され、さらにナッツ類消費者は≦中央値(17.32g/週)、>中央値に分類された。ナッツ類の消費量とOSおよびDFSの関連はCox回帰分析を用いて評価された。 主な結果は以下のとおり。・診断後5年時点で食事評価が実施された乳がんサバイバー3,449例が対象。食事評価実施後の追跡期間中央値は8.27年で、252例の乳がんによる死亡を含む374例の死亡があった。・診断後5年の食事評価時点で再発のなかった3,274例のうち、209例で乳がんの再発、転移、または乳がんによる死亡が報告された。・初回の食事評価からさらに5年後(診断10年後)の評価では、ナッツ類消費者は、非消費者と比較してOS(93.7% vs.89.0%)およびDFS(94.1% vs.86.2%)が有意に高かった(p<0.001)。・多変量調整後、ナッツ類消費量は用量反応パターンにしたがってOS(傾向のp=0.022)およびDFS(傾向のp=0.003)と正の相関がみられた。ナッツ類消費量>中央値と非消費者の比較では、OSのハザード比(HR)は0.72(95%信頼区間[CI]:0.52~1.05)、DFSのHRは0.48(95%CI:0.31~0.73)だった。・これらの関連は、ナッツの種類による違いはみられなかった。・また層別化分析では、総エネルギー摂取量が多い患者とOS(交互作用のp=0.02)および、早期(StageI~II)乳がん患者とDFS(交互作用のp=0.04)において関連性がより明白であることが示された。・ナッツ類消費とDFSの関連について、ホルモン受容体の状態およびその他既知の予後因子による変化はみられなかった。 著者らは、長期の乳がんサバイバーにおけるナッツ類の摂取は、より良い生存、とくにDFSと関連していたと結論付けている。

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コロナ入院患者にアスピリン併用は有効か/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、アスピリンによる治療は28日死亡率、侵襲的人工呼吸管理への移行または死亡のリスクを低下させなかったが、28日以内の生存退院率はわずかに改善した。無作為化非盲検対照プラットフォーム試験「RECOVERY試験」の結果で、英国・オックスフォード大学のPeter W. Horby氏らRECOVERY試験共同研究グループが報告した。これまで、その抗血栓性に基づきCOVID-19に対する治療薬としてアスピリンが提案されていたが、著者らは、「今回の結果は、COVID-19入院患者において、標準的な血栓予防や治療的抗凝固療法としてアスピリンを追加することを支持するものではない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2021年11月17日号掲載の報告。通常治療単独とアスピリン併用の有効性を28日死亡率などで比較 RECOVERY試験は、COVID-19入院患者においてさまざまな治療法の有効性を評価する医師主導の試験で、英国177施設、インドネシア2施設、ネパール2施設で実施された。 研究グループは、適格基準を満たし同意が得られたCOVID-19入院患者を、通常の標準治療+アスピリン(150mg、1日1回)群または通常治療群に、Webシステムを用いて1対1の割合(非層別)で無作為に割り付けた。 主要評価項目は28日死亡率で、intention-to-treat解析で評価した。28日死亡率に有意差なし、入院期間と28日以内の生存退院率はわずかに改善 2020年11月1日~2021年3月21日にRECOVERY試験に登録された2万2,560例中、1万4,892例(66%)が適格基準を満たし、7,351例がアスピリン群に、7,541例が通常治療群に割り付けられた。 全体で無作為化から28日以内に、アスピリン群で1,222例(17%)、通常治療群で1,299例(17%)が死亡した(率比:0.96[95%信頼区間[CI]:0.89~1.04]、p=0.35)。事前に規定したすべてのサブグループで、一貫した結果が得られた。 アスピリン群では通常治療群より入院期間がわずかに短く(中央値8日[IQR:5~>28]vs.9日[5~>28])、28日以内の生存退院率が高かった(75% vs.74%、率比:1.06[95%CI:1.02~1.10]、p=0.0062)。 ベースラインで侵襲的人工呼吸管理を受けていなかった患者において、侵襲的人工呼吸管理または死亡に至った割合に有意差はなかった(21% vs.22%、リスク比:0.96[95%CI:0.90~1.03]、p=0.23)。 アスピリンは、血栓イベントの減少(4.6% vs.5.3%、絶対群間差:-0.6%、SE:0.4%)、および大出血イベントの増加(1.6% vs.1.0%、絶対群間差:0.6%、SE:0.2%)と関連していた。 結果について著者は、本無作為化試験は非盲検試験で、入院患者のみを対象としており、放射線学的または生理学的アウトカムに関する情報が不明であることなどを研究の限界として挙げている。なお、現在、入院していないCOVID-19患者におけるアスピリンの安全性と有効性に関する臨床試験が進行中である。

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ポイント交換FAQ

ポイント交換FAQ1.ポイント交換はどのように行いますか?2.ポイント交換の内容を確認するにはどうすればよいですか?3.電子マネーギフトコードとは何ですか?4.電子マネーギフトコードの詳細を教えてください。5.電子マネーギフトコードの利用方法を教えてください。6.電子マネーギフトコード以外にポイントの交換先はありますか?7.交換した電子マネーギフトコードはどのように受け取りますか?8.交換した電子マネーギフトコードはいつ届きますか?9.交換した電子マネーギフトコードが記載されたメールが届きません。10.電子マネーギフトコードを誤って交換してしまいました。交換先や交換額の変更、交換のキャンセルは可能でしょうか?11.電子マネーギフトコードが記載されたメールを削除・紛失してしまいました。メールの再送手続きは可能でしょうか?12.電子マネーギフトコードに有効期限はありますか?13.電子マネーギフトコードの登録方法を教えてください。14.交換した電子マネーギフトコードの使用状況を教えてください。(ギフトコードが利用済み・登録済み等と表示される)15.交換した電子マネーギフトコードを利用・登録しましたが、残高が増えませんでした。16.交換した電子マネーギフトコードが利用できませんでした。17.管理番号とは何ですか?1.ポイント交換はどのように行いますか?ポイント・プログラムページ内でご利用先を選択いただき、ご本人確認のうえで交換をお申し込みいただきます。交換ページから交換したいギフト券やサービスを選択後、画面の指示に従いお進めください。2.ポイント交換の内容を確認するにはどうすればよいですか?「ポイント」ページメニューの「ポイント交換履歴」をクリック(タップ)していただきますと、これまでお申し込みいただいたポイント交換の履歴がご確認いただけます。3.電子マネーギフトコードとは何ですか?提携企業が発行する電子マネー等を、ギフトとして送るためにコード化したものです。4.電子マネーギフトコードの詳細を教えてください。各電子マネーギフトコードの詳細につきましては、以下の案内ページをご確認ください。1.Amazonギフトカード2.nanacoギフト3.EdyギフトID4.Pontaポイント コード5.Apple Gift Card6.Google Play ギフトコード7.ポイント@ギフト(PayPayマネーライト)8.ポイント@ギフト(dポイント)9.WAONポイントID10. Uber ギフトカード5.電子マネーギフトコードの利用方法を教えてください。上記A4に記載の各マネーギフトのご案内ページに記載がございますので、ご確認ください。Apple Gift Cardギフトカードにつきましては、Appleサイトを、Google Play ギフトコードにつきましては、Google Play サイトを、 Uber ギフトカードにつきましては、 Uber サイトをご確認ください。6.電子マネーギフトコード以外にポイントの交換先はありますか?「日本赤十字社」「ユニセフ」「ワールドビジョン」等の寄付先へのご寄付や、提携サービスである「医書.jp」での電子書籍ご購入時のご利用、または医師・医療者向けの医学チャンネル「CareNeTV」での番組視聴権購入の際にご利用いただけます。7.交換した電子マネーギフトコードはどのように受け取りますか?交換申し込みが完了しますと、交換受付完了メールが、会員情報のご登録メールアドレス宛に送信されます。その後、約1週間後にご登録メールアドレス宛に、電子マネーギフトコードを記載したメールが送信されます。8.交換した電子マネーギフトコードはいつ届きますか?セキュリティ対策の都合上、交換のお手続きをいただいてから、約1週間後にご登録メールアドレス宛に電子マネーギフトコードを記載したメールが送信されます。9.交換した電子マネーギフトコードが記載されたメールが届きません。交換の手続きをしていただいてから、約1週間お待ちいただき、受信の確認ができない場合は、「ポイント」ページ内メニューの「ポイント交換履歴」をクリック(タップ)、ポイント交換履歴ページより該当メールの再送手続きが可能です。※再送の操作をしていただいても受信の確認ができない場合、迷惑メールの振り分けや、受信設定をご確認ください。10.電子マネーギフトコードを誤って交換してしまいました。交換先や交換額の変更、交換のキャンセルは可能でしょうか?申請済みのポイント交換の取り消しや変更は、お受けできませんので、ご了承くださいますようお願いいたします。11.電子マネーギフトコードが記載されたメールを削除・紛失してしまいました。メールの再送手続きは可能でしょうか?「ポイント」ページ内メニューの「ポイント交換履歴」をクリック(タップ)、ポイント交換履歴ページより該当メールの再送手続きが可能です。※再送のご操作をしていただきましても受信の確認ができない場合、迷惑メールの振り分けや、受信設定をご確認ください。12.電子マネーギフトコードに有効期限はありますか?各電子マネーギフトコードにより、発行からの有効期限は異なります。各サービスのご案内ページにて、有効期限をご確認ください。有効期限切れでの再発行等は致しかねますので、あらかじめご承知おきください。13.電子マネーギフトコードの登録方法を教えてください。各交換先のご案内ページをご確認ください。【nanacoギフト】ご案内ページ内の[nanacoギフトのご利用方法]をご参照ください。【EdyギフトID】ご案内ページ内の[EdyギフトIDのご利用方法]をご参照ください。【Pontaポイント コード】ご案内ページ内の[Pontaポイント コードのご利用方法]をご参照ください。【Apple Gift Card】ご案内ページをご参照ください。【Google Play ギフトコード】ご案内ページをご参照ください。【ポイント@ギフト(PayPayマネーライト)】ご案内ページ内の[ポイント@ギフト(PayPayマネーライト)のご利用方法]をご参照ください。【ポイント@ギフト(dポイント)】ご案内ページ内の[ポイント@ギフト(dポイント)のご利用方法]をご参照ください。【WAONポイントID】ご案内ページ内の[WAONポイントIDのご利用方法]をご参照ください。【 Uber ギフトカード】ご案内ページをご参照ください。14.交換した電子マネーギフトコードの使用状況を教えてください。ケアネットにてお調べすることができませんので、ギフト発行元サイトにお問い合わせください。※Amazonギフトコードにつきましては、Amazonサポートへお問い合わせください。15.交換した電子マネーギフトコードを利用・登録しましたが、残高が増えませんでした。ケアネットでは発行後の電子マネーギフトコードについては、詳細をお調べすることができかねますため、ご交換先に応じたお問い合わせ先にご連絡くださいますようお願い申し上げます。【Amazonギフトコード】Amazonサポートへお問い合わせください。【nanacoギフト・EdyギフトID・Pontaポイントコード・ポイント@ギフト(PayPayマネーライト)・ポイント@ギフト(dポイント)・WAONポイントID】電子マネーギフトコード発行元サイトへお問い合わせください。【Apple Gift Card】Apple サポートへお問い合わせください。【Google Play ギフトカードコード】Googleヘルプセンターへお問い合わせください。【 Uber ギフトカード】 Uber のヘルプページへお問い合わせください。Uber Eats ご利用時はこちら。Uber ご利用時はこちら。16.交換した電子マネーギフトコードが利用できませんでした。ケアネットでは発行後の電子マネーギフトコードについては、詳細をお調べすることができかねますため、交換先に応じたお問い合わせ先に連絡くださいますようお願い申し上げます。【Amazonギフトコード】Amazonサポートへお問い合わせください。【nanacoギフト・EdyギフトID・Pontaポイントコード・ポイント@ギフト(PayPayマネーライト)・ポイント@ギフト(dポイント)・WAONポイントID】電子マネーギフトコード発行元サイトへお問い合わせください。【Apple Gift Card】Apple サポートへお問い合わせください。【Google Play ギフトカードコード】Googleヘルプセンターへお問い合わせください。【 Uber ギフトカード】 Uber のヘルプページへお問い合わせください。Uber Eats ご利用時はこちら。Uber ご利用時はこちら。17.管理番号とは何ですか?電子マネーギフトコード(ID)を識別するために割り当てられた番号です。ギフト発行元サイトへお問い合わせいただく際に必要となる場合がございます。

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甲状腺ホルモン不応症〔RTH:Syndrome of Resistance to Thyroid Hormone〕

1 疾患概要■ 定義甲状腺ホルモン不応症は、甲状腺ホルモンに対する標的臓器の反応性が減弱している家族性症候群として、1967年にRefetoffらによって初めて報告された。そのため、かつては「レフェトフ症候群」という名称が一般的であった。本疾患における甲状腺ホルモンに対する反応性の低下は、甲状腺ホルモン受容体を介した作用の低下が主な原因である。甲状腺ホルモン受容体はα型とβ型の二つがあるが、本疾患は先天性・家族性のβ型甲状腺ホルモン受容体異常症である。■ 疫学わが国と米国で別個に行われたスクリーニング調査の結果、いずれの調査でも、甲状腺ホルモン不応症の発症頻度は約40,000人に1人と推定された。もし、この数字をそのまま日本の総人口に当てはめると、わが国には約3,000人の症例が存在することになる。しかし、わが国でこれまでに報告されているのは100例程度で、現状では大部分の症例がきちんと診断されていないという可能性もある。■ 病因本疾患は常染色体顕性(優性)遺伝形式の先天性・家族性疾患であり、50%の確率で遺伝する。甲状腺ホルモン不応症家系の約85%にβ型受容体遺伝子変異が認められる。残りの約15%の家系も同様の遺伝形式となり、その病因は明らかではないが、遺伝子変異を伴う家系と変異が認められない家系との臨床症状は区別がつかないことから、何らかの原因でβ型受容体の機能が障害され発症するものと考えられている。β型甲状腺ホルモン受容体は視床下部・下垂体におけるネガティブフィードバック機構を制御しており、甲状腺ホルモンが多くなると、甲状腺刺激ホルモン(TSH)およびTSH放出ホルモン(TRH)の産生を抑制して、甲状腺ホルモンが過剰になるのを防いでいる。そのため、本疾患では、フィードバック機構が障害され、甲状腺ホルモン高値にもかかわらずTSH値が抑制されない「不適切TSH分泌症候群」(syndrome of inappropriate secretion of TSH:SITSH)となる。■ 症状前述のSITSHにより高値となった甲状腺ホルモンに対する反応性の程度によって、甲状腺機能亢進症症状から低下症の症状まで症例によって多様である。各臓器では変異のないα型およびβ型甲状腺ホルモン受容体がさまざまな程度で発現しており、その作用を変異β型受容体がさまざまな程度で阻害するため、ホルモンに対する反応性は各臓器および個体で異なる。このことが症状の多様性の大きな理由の一つと考えられる。甲状腺ホルモンに対する反応性の減弱が過剰な甲状腺ホルモンにより代償された状態となるため、結果としてほとんど自覚症状がない症例や軽度の頻脈のみを呈する症例が多い。ただし、甲状腺機能亢進症症状が強く注意欠如・多動症や著しい頻脈を示す症例や、先天性甲状腺機能低下症の症状である知能発達遅延や低身長、難聴などを伴う症例も存在する。一方、甲状腺腫大は、TSHによる刺激が原因で生じる所見であり、比較的頻度が高い。■ 分類かつては、甲状腺機能亢進症症状が強い症例を下垂体型、その他の症例を全身型と分類していたが、現在ではあまり用いられていない。■ 予後一般的に生命予後は健常人と変わらないとされているが、そのエビデンスは確立されていない。女性症例が変異を持たない児を妊娠した場合、母体から移行してくる過剰な甲状腺ホルモンによって児が甲状腺中毒症になり、流産や低出生体重児となることがある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)血清遊離サイロキシン(T4)が高値でTSHが基準値下限以上であればSITSHと判断され、甲状腺ホルモン不応症診断の出発点となる。これまでに、研究班によって診断のためのアルゴリズムが策定されており、後述する日本甲状腺学会臨床重要課題ウェブサイト上で、診断基準ならびに重症度分類第2次案の一部として公開されている。1回の血液検査でSITSHの所見が得られた場合も、単に「見かけ上のSITSH」を呈していることが多い。たとえば、TSHの変動はT4の変動に遅れるため、破壊性甲状腺炎やバセドウ病など甲状腺中毒症の初期に、TSHの抑制がT4の上昇に一時的に追いついていない場合がある。また、患者(被検者)が抗T4抗体や抗マウス抗体を持っていた場合にT4測定系やTSH測定系に干渉するアーチファクト、T4製剤(商品名:チラーヂンS)補充療法に伴うT4高値、アミオダロンなどヨウ素を含有する薬剤の影響などでも見かけ上のSITSHを呈することがある。「真の」あるいは「確からしい」SITSHであることを示すために、再検査を1ヵ月後以降に、さらに3ヵ月後に行い、これら再検査の際、可能なら検査方法を変えて測定することが推奨される。真のSITSHを来す疾患は、甲状腺ホルモン不応症とTSH産生下垂体腺腫であり、これらの鑑別が重要である。TSH産生下垂体腺腫症例では、画像検査で明らかな下垂体腫瘍(マクロアデノーマ)を認めることが多い。画像検査でマクロアデノーマを認めない症例では鑑別が困難である。確定診断にはβ型甲状腺ホルモン受容体遺伝子検査が有用である。ただし、甲状腺ホルモン不応症家系の15%は遺伝子変異を持たず、病因も不明である。現在、β型甲状腺ホルモン受容体遺伝子検査は保険収載となっており、倫理面に配慮して施行する。指定難病および小児慢性特定疾病となっており、診断された場合は医療費助成の申請を検討する。指定難病制度では重症度分類中等度以上が助成の対象となる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)SITSHに対して、抗甲状腺薬や放射性ヨウ素内用療法、甲状腺摘出術などのバセドウ病に対する治療を行うと、TSH分泌が促進されて甲状腺腫増大(摘出術の場合を除く)や下垂体のTSH産生細胞の過形成をまねく可能性があり、推奨できない。多くの症例では、甲状腺ホルモンに対する標的臓器の反応性の低下がホルモン高値になることで代償されており、治療を必要としない。頻脈を呈する症例では、β遮断薬による対症療法が有効であることが多い。先天性甲状腺機能低下症の症状を示す症例では、血清甲状腺ホルモンは高値だが、甲状腺ホルモン製剤の投与により症状が緩和される。4 今後の展望診断基準ならびに重症度分類について、日本甲状腺学会臨床重要課題のウェブサイト上では第2次案が公開されているが、厚生労働省および難病情報センターでは改訂前の第1次案が使用されており、現在第2次案に変更する手続きを行なっている。また、現在診療ガイドラインを策定中である。エビデンスに乏しい中での策定であるが、公開されれば今後の診療に寄与することが期待される。これらはいずれも2021年10月時点の情報であり、遠くないうちに実現することが予想される。一方、α型甲状腺ホルモン受容体遺伝子異常症も存在し、β型受容体異常症とは表現型が異なることが知られている。2012年に初めて報告された疾患であり、関連疾患として今後の研究の発展が期待される。5 主たる診療科内分泌内科、小児科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本甲状腺学会臨床重要課題 甲状腺ホルモン不応症診断基準(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 甲状腺ホルモン不応症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児慢性特定疾病情報センター 甲状腺ホルモン不応症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)Thyroid Disease Manager(医療従事者向けのまとまった情報)公開履歴初回2021年11月25日

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うつ病・不安症患者の病欠や職場復帰のパターン

 不安症やうつ病による病欠は、差し迫った公衆衛生上の問題である。ノルウェー科学技術大学のKenneth Sandin氏らは、うつ病および不安症の患者における仕事に焦点を当て、治療前、治療中、治療後の病欠パターンを特定するため、29.5ヵ月に及ぶ縦断的研究を行った。また、これらの軌跡の背景と臨床的特徴との関連も併せて調査を行った。BMJ Open誌2021年9月29日号の報告。 患者の背景や臨床データは、専門のメンタルヘルスケアクリニックにおける観察研究で実施した患者の自己報告(619例)に基づき収集した。病欠に関する情報は、national registry dataより収集した。軌跡の特定には、潜在成長混合モデルを用いた。背景特性の違いは多項ロジスティック回帰を、臨床的な違いは一元配置分散分析(one-way ANOVA)を用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。・次の3つの軌跡が特定された。●レジリエント群:47.7%●リカバリー群:31.8%●ハイリスク群:20.5%・レジリエント群は、期間を通じて病欠が少なかった。・他の2群は、治療前と同様の軌跡を示し、1年前に病欠が少なかった人では治療開始時に病欠リスクの増加が認められた。・治療後、リカバリー群は、ほぼ職場復帰が果たされたが、ハイリスク群は病欠リスクが高いままであった。・リカバリー群およびハイリスク群は、レジリエント群と比較し、女性の割合が高く、より高齢であった。・すべての群において、治療開始時には同様の臨床スコアが示されたが、ハイリスク群では、治療終了後も抑うつ症状の残存が認められた。・不安症およびうつ病のエフェクトサイズは、すべての群において中~大であり(Cohen's d=0.74~1.81)、87.2%は治療1年後には完全に職場復帰していた。 著者らは「軌跡の異なる3つの群が確認された。女性と高齢は、治療開始時の病欠リスクの高さと関連が認められ、治療終了時の抑うつ症状の残存は、継続的な病欠を予測していた。患者の特性に合わせて治療を調整し、層別化することで、将来の患者の治療アウトカムが改善する可能性がある」としている。

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急性期脳梗塞の欧州人患者、血管内治療前のアルテプラーゼは不要か/NEJM

 欧州人の急性期脳梗塞患者の治療において、血管内治療(EVT)単独はアルテプラーゼ静注後にEVTを行う通常治療と比較して、90日後の修正Rankin尺度で評価した機能障害に関して優越性も非劣性もみられず、死亡や症候性脳出血の発生にも両群間に差はないことが、オランダ・アムステルダム大学のNatalie E. LeCouffe氏らが実施した「MR CLEAN-NO IV試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2021年11月11日号に掲載された。欧州3ヵ国の医師主導無作為化試験 本研究は、急性期脳梗塞の欧州人の患者の治療におけるEVT単独の有効性と非劣性をアルテプラーゼ静注後のEVTと比較する医師主導の非盲検(エンドポイント評価者盲検)無作為化試験であり、2018年1月~2020年10月の期間に、オランダ、ベルギー、フランスの20の病院で参加者の登録が行われた(オランダCollaboration for New Treatments of Acute Stroke consortiumなどの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、前方循環の頭蓋内近位部閉塞による急性期脳梗塞を発症し、各地域のガイドラインに従って、症状発症後4.5時間以内のアルテプラーゼ静注とEVTが可能と判定され、EVTが施行可能な施設に直接入院した患者であった。被験者は、EVT単独群またはアルテプラーゼ静注後にEVTを受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、90日の時点における修正Rankin尺度(0[障害なし]~6[死亡]点)で評価した身体機能のアウトカムとされた。EVT単独群のアルテプラーゼ+EVT群に対する優越性とともに、非劣性の評価が行われた。2つの群のオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)が算出され、95%CIの下限値0.8が非劣性マージンとされた。アジアの試験とは対照的な結果 539例が修正intention-to-treat解析に含まれ、273例(年齢中央値72歳[IQR:62~80]、男性59.0%)がEVT単独群、266例(69歳[61~77]、54.1%)はアルテプラーゼ+EVT群であった。通常治療群の脳梗塞発症からアルテプラーゼ投与までの時間中央値は98分(75~156)だった。 90日時における修正Rankin尺度スコア中央値は、EVT単独群が3点(IQR:2~5)、アルテプラーゼ+EVT群は2点(2~5)であった。補正後共通ORは0.84(95%CI:0.62~1.15、p=0.28)であり、EVT単独群の優越性と非劣性はいずれも示されなかった。 初回頭蓋内血管造影における再開通(EVT単独群2.8% vs.アルテプラーゼ+EVT群3.7%、OR:0.79、95%CI:0.42~1.47)や、最終頭蓋内血管造影における再灌流の成功(78.7% vs.83.1%、0.73、0.47~1.13)、24時間後のCTA/MRA上の再開通(78.2% vs.84.7%、0.82、0.52~1.28)の割合にも、両群間に差はなかった。 安全性のエンドポイントである90日時の死亡率は、EVT単独群が20.5%、アルテプラーゼ+EVT群は15.8%(補正後OR:1.39、95%CI:0.84~2.30)、症候性脳出血の発生率はそれぞれ5.9%および5.3%(1.30、0.60~2.81)であり、いずれも両群間に有意な差は認められなかった。 著者は、「前方循環脳梗塞のアジア人患者を対象とする既報の試験(中国のDIRECT-MT試験とDEVT試験)では、90日後の身体機能の転帰に関してEVT単独の非劣性が確認されているが、欧州人を対象とする本試験は対照的な結果となった」とまとめ、「この試験では、アルテプラーゼを投与されてから、EVTを受けるために他の病院へ転院した患者は除外されている。また、発症から病院到着までの時間が相対的に短いため、これらの知見の搬送に時間を要する環境への一般化可能性には限界がある」と指摘している。

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インパクトファクターのインパクトを考える【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第42回

第42回 インパクトファクターのインパクトを考えるインパクトファクター(Impact Factor;IF)という言葉を聞いたことがあると思います。IFは、学術ジャーナルの影響力の大きさを測る指標です。わかりやすく説明すれば、あるジャーナルに掲載された論文が1年間に何回引用されるかを示す数値です。IFの値が高いジャーナルには、価値の高い論文が掲載されることを意味します。ある学術ジャーナルAの2020年のIFを計算する方法を具体的に紹介しましょう。ジャーナルAは、2018年の掲載論文数が140論文、2019年が160論文であったとします。この2年間で総数として300論文が掲載されたことになります。この300論文から2020年の1年間に計600回引用されたとします。このジャーナルAの2020年のIFは、600÷300=2.0となります。ここで、ややこしい説明をします。2020年のIF値は、2020年の被引用数が確定しなければ計算できませんから、2021年になってから発表されます。2020年のIFは、2021年の7月頃に発表されます。これを2021年版のIFと呼びます。2021年版のIFは、2020年のIFの値を意味します。この「版」という言葉の有無によって1年の相違があることを多くの方が理解できていませんので、詳しく紹介しました。臨床医学系のジャーナルでIFの高いものとして有名なのは、NEJM誌、JAMA誌、Lancet誌、BMJ誌などです。このケアネットでも、この4つの雑誌を「ジャーナル四天王」と称して、最新のトピックスを紹介しています。2020年のNEJM誌のIFは、91.245と非常に高いものとなっています。生命科学に関する基礎系のジャーナルとして有名なのが、Cell誌、Nature誌、Science誌で、頭文字をとってCNSと呼ばれます。CNSなどのハイ・インパクトファクター誌に論文が掲載されることは多くの研究者にとって憧れです。IFが5を超えるジャーナルに掲載されれば、学問として意義のある内容をしっかり報告している論文といえます。IFが10を超えるジャーナルに掲載される論文は、その学術的な意義に加え、新規性に富む内容で一流の仕事としてみなされる研究です。IF値が25を超えるジャーナルに掲載されるには、独創性に満ちた学術領域に大きな影響を与える内容とされ、ここに論文を発信する研究者は超一流といえます。現実には、IFが2から3のジャーナルに論文を発表することすら容易ではありません。IFをもつジャーナルに論文を掲載することが若手医師の最初の目標でしょう。IFの本来の意味は、あるジャーナルの同じ分野で他と比較しての重要度を評価するものですが、現在は指標が一人歩きしており弊害も指摘されます。発表した論文の総IFの数字が研究者の評価となり、大学教員の採用の場面で決定的な意味を持つケースもあります。IFを科学的成果や科学者自身を評価する指標として使用することは、大きな問題を含みます。各ジャーナルの編集部も、IFを高めるために必死です。いろいろの小技があります。1つ紹介しましょう。多く引用されることが予測される優秀な論文は、なるべく1月号に掲載するのです。IFの算出法から、年初に掲載したほうが引用してもらうための時間を稼ぐために有利だからです。皆さんの日常でIFと似た問題が、TV番組の視聴率です。本来は、ある番組を放送区域内の世帯の何%が視聴したかを推計する数字です。放送番組の人気度や、番組の間に流されるCM効果を測定する際の尺度として利用されます。皆が見たくなる質の高い番組を制作すれば視聴率が上昇し、CM効果も高まるはずです。TV局は、視聴率を高めることが至上命題です。ブラウン管テレビから液晶テレビになり、テレビの物理的な厚みだけでなく、番組の質も薄くなったと揶揄される由縁がここにあります。視聴率をあげる小技を紹介しましょう。ネコが起用されているTV番組やCMをよく見かけると感じませんか? 特集でネコがよく取り上げられ、ネコの動画を冒頭で紹介して視聴者を惹きつけるなど、ネコの露出が増えています。「ネコブーム」の到来を利用して視聴率を稼ぐのです。これは視聴率偏重の弊害と言われるかもしれませんが、小生にとっては神風ともいえる福音です。IF偏重の流れを批判しようと書き始めた文章が、いつのまにか「ネコブーム」賞賛に変質しました。この文章のニャンパクト・ファクターはいかほどでしょうか?

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第87回 イベルメクチンの本領発揮~寄生虫感染症を一掃

米国Merck & Co(メルク社)は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への駆虫薬イベルメクチン(商品名:StromectolやMectizan)の効果の裏付けはないとの見解を示していますが1)、同剤のこの上なく貴重で価値ある本来の役割への支援は惜しまず、その甲斐もあってアフリカのナイジェリアが寄生虫感染症の流行解消の成功を手にしつつあります。米国FDAはメルク社と同様にCOVID-19へのイベルメクチンの効果は示されていないと判断2)していますが、遡ることおよそ四半世紀前の1998年にヒトの寄生虫感染症2つ・オンコセルカ症と糞線虫症の治療に同剤を使うことを承認しています。河川盲目症としてよく知られるオンコセルカ症は河川で繁殖する吸血性の昆虫・ブユに刺されることで移る寄生虫によって引き起こされます。人の体内でその寄生虫はたいてい眼を害し、その結果失明を引き起こします。河川盲目症はアフリカで広く認められ、ブラジル、ベネズエラ、イエメンでも感染流行地が点在します。河川盲目症の撲滅の取り組みの中心をなすのはイベルメクチンの集団投与です。集団投与では河川盲目症の蔓延地域の対象者全員にイベルメクチンを年に1回か2回繰り返し服用してもらいます。熱帯風土病の撲滅を使命とする米国熱帯医学会(ASTMH) の年次総会での発表によると、地域のボランティアによる25年に及ぶイベルメクチン(Mectizan)配布、メルク社から寄付される同剤の流通を請け負う組織・Mectizan Donation Program(MDP)、その他協力者の貢献などが功を奏し、ナイジェリアの2つの州プラトーとナサラワでは河川盲目症の伝播がどうやら断ち切れています3)。メルク社からのイベルメクチン寄付はこれからも継続します。その寄付を糧とし、ナイジェリアでのそれら2つの州での成功事例が同国の他の地域、ひいてはアフリカ全域での河川盲目症撲滅の取り組みを推進することを研究者は期待しています。その期待通り少なくともナイジェリアでの河川盲目症は今後も減り続けていくようです。同国のデルタ州では伝播の解消の前段階である小康(interrupted)に至っています。その状態に至るとイベルメクチン治療が停止され、しばらく様子を見たうえで伝播解消が宣言されます。他に同国の4つの州がまもなく小康状態に達する見込みです。参考1)Merck Statement on Ivermectin use During the COVID-19 Pandemic / Merck 2)Why You Should Not Use Ivermectin to Treat or Prevent COVID-19 / FDA3)New evidence that mass treatment with Ivermectin has halted spread of river blindness in two Nigerian states / Eurekalert

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