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認知症で修正可能な危険因子は?~ランセット認知症予防モデルを検証

 認知症リスクに対し修正可能なリスク因子は、40%の影響を与えるといわれており、認知症の予防または進行遅延につながると考えられる。Lancet委員会による認知症予防のリスク因子ライフコースモデルは、一般集団においてまだ検証されていない。ニュージーランド・オタゴ大学のCharlotte Mentzel氏らは、高齢者の大規模データセットを用いて、本モデルの評価を行った。その結果、ニュージーランドの高齢者集団においてBMI、高血圧、聴覚障害、うつ病が、認知症の修正可能なリスク因子として確認されたことから、認知症予防のためのこれらのリスク因子に対する介入の信頼性が向上したことを報告した。Archives of Gerontology and Geriatrics誌オンライン版2022年11月2日号の報告。ランセットの認知症予防モデルを6万6,638人で検証 標準化されたデータセットを提供するため、ニュージーランドで高齢者に義務付けられているinterRAI assessment(236項目を網羅する包括的なエビデンスベースツール)を2013~18年に受けた6万6,638人を対象に、ランセットの認知症予防モデルの検証を行った。女性のインタビュー回答者は59%(平均年齢:82歳、年齢範囲:65~107歳)であった。認知症診断を主要アウトカムとし、ロジスティック回帰分析を用いて、横断的データセット分析を行った。 ランセットの認知症予防モデルの検証を行った主な結果は以下のとおり。・ランセットの認知症予防モデルは、部分的にサポートされた。・高血圧、聴覚障害、過去または現在のうつ病は、認知症リスクを高めることが示唆された。・認知症リスク増加との関連は、年齢では85歳まで、性別では女性、BMIでは高BMIによる初期の影響が認められた。・修正可能な因子である運動、糖尿病、視覚障害、喫煙についてはLancet認知症リスクモデルとの関連が認められなかった。・分析したデータセットの制限が、本調査結果に影響を及ぼした可能性が考えられるが、認知症リスクを増加させる修正可能なリスク因子が確認された。

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母子手帳アプリ『母子モ』で疾患啓発/AZ

 アストラゼネカは、11月28日付のプレスリリースで、母子手帳アプリ『母子モ』を通じた早産児やRSウイルス感染症に関する情報提供を11月11日より開始したことを発表した。 RSウイルスは、2歳までにほとんどの乳幼児が感染するといわれており、早産児や生まれつき肺や心臓などに疾患を抱える乳児では感染すると重症化しやすいとされている。また、正期産であっても生後6ヵ月未満は感染後重症化するリスクが高いため、該当する年齢の乳幼児を持つすべての保護者に疾患情報や感染対策について知ってもらうことが重要である。 今回の取り組みでは、母子手帳アプリ『母子モ』を通じて、妊娠中もしくは該当する年齢の乳幼児を持つ保護者を対象に、アストラゼネカが作成した早産児やRSウイルス感染症に関する情報を提供する。同アプリは、母子健康手帳との併用により、妊娠から子育てまで切れ目ない子育て支援サービスを受けられることが特徴で、全国47都道府県510の自治体で採用されている(2022年11月時点)。 『母子モ』は、妊婦健診など「妊娠中」メニュー、予防接種管理や乳幼児健診の記録、身体発育曲線などの「子育て」メニューを網羅した母子健康手帳機能のほか、子育てイベントやニュースなど地域の子育て情報機能を利用できる。また、本アプリの開発と運営は、生理日予測をはじめとした女性の健康情報サービス『ルナルナ』(2022年2月時点のアプリ累計ダウンロード数1,800万以上)など、モバイルサイトでヘルスケアサービスを提供するエムティーアイの子会社、母子モ株式会社が行っている。なお、今回の取り組みは、i2.JP(アイツードットジェイピー:Innovation Infusion Japan)―「患者中心」の実現に向けて、医療・ヘルスケア業界はどうあるべきか、といった難題の解決策を探るべく発足―というオープンなコミュニティで検討するなかで、『母子モ』を通じた情報提供が可能となった。 アストラゼネカは、「患者中心」の実現を目指すなか、この活動を通じてRSウイルス感染症の効果的な疾患啓発について検討するとともに、母子手帳アプリ『母子モ』で対象となる保護者へのタイムリーかつ適切な情報提供により、早産児やRSウイルス感染症に関する啓発の輪を一層広げていく、としている。

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STEMIのPCI時の抗凝固療法、bivalirudin vs.ヘパリン/Lancet

 主に経橈骨動脈アプローチによる初回経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けるST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において、bivalirudinのボーラス投与+PCI後2~4時間の高用量点滴静注は、ヘパリンのボーラス投与と比較し、30日全死亡/大出血の発生が有意に低下した。中国・General Hospital of Northern Theater CommandのYi Li氏らが、中国63都市の87施設で実施した医師主導の無作為化非盲検比較試験「Bivalirudin With Prolonged Full-Dose Infusion During Primary PCI Versus Heparin Trial-4 trial:BRIGHT-4試験」の結果を報告した。初回PCIを受けるSTEMI患者を対象にbivalirudinとヘパリンを比較したこれまでの無作為化試験では、bivalirudinの用法・用量あるいは糖蛋白IIb/IIIa阻害薬の併用の有無など試験方法が異なるため、矛盾する結果が報告されていた。Lancet誌2022年11月26日号掲載の報告。bivalirudinのボーラス投与+高用量静注投与vs.未分画ヘパリン単独投与 研究グループは、線溶療法、抗凝固薬、糖蛋白IIb/IIIa阻害薬の投与歴がなく、発症後48時間以内に初回PCI(橈骨動脈アクセスを優先)を受けるSTEMI患者を、bivalirudin群または未分画ヘパリン単独群に1対1の割合で無作為に割り付けた。盲検化は実施しなかった。 bivalirudin群では、冠動脈造影前に0.75mg/kgを急速静注し、続いてPCI施行中および施行後2~4時間に1時間当たり1.75mg/kgを点滴静注した。未分画ヘパリン単独群では、冠動脈造影前に70U/kgを急速静注した。両群とも、糖蛋白IIb/IIIa阻害薬(tirofiban)はPCI施行中の血栓合併症に対してのみ投与可とし、全例に抗血小板薬2剤併用療法(アスピリンとクロピドグレルまたはチカグレロル)が施行された。 主要評価項目は、30日以内の全死因死亡または大出血(BARC出血基準3~5)の複合とし、intention-to-treat解析を行った。 2019年2月14日~2022年4月7日の期間に、計6,016例が無作為化された(bivalirudin群3,009例、未分画ヘパリン単独群3,007例)。カテーテル室への移動中に死亡した6例と冠動脈造影に適さないと判断された2例を除く6,008例のうち、5,593例(93.1%)で橈骨動脈アクセスが使用された。30日全死因死亡/大出血の複合イベントはbivalirudin群で31%有意に低下 主要評価項目のイベント発生は、未分画ヘパリン単独群(132例、4.39%)と比較しbivalirudin群(92例、3.06%)で少なく、群間差は1.33%(95%信頼区間[CI]:0.38~2.29)、ハザード比(HR)は0.69(95%CI:0.53~0.91、p=0.0070)であった。 30日以内の全死因死亡は、未分画ヘパリン単独群で118例(3.92%)、bivalirudin群で89例(2.96%)が報告され(HR:0.75、95%CI:0.57~0.99、p=0.0420)、大出血はそれぞれ24例(0.80%)および5例(0.17%)発生した(HR:0.21、95%CI:0.08~0.54、p=0.0014)。 30日以内の再梗塞/脳卒中/虚血による標的血管再血行再建の発生率は、両群間で有意差はなかった。また、30日以内のステント血栓症は、bivalirudin群で11例(0.37%)、未分画ヘパリン単独群で33例(1.10%)の発生が報告された(p=0.0015)。

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乳がん内分泌療法中のホットフラッシュに有効な新規薬剤/Lancet

 新規非ホルモン性小分子化合物Q-122は、乳がん後に経口内分泌療法中の女性患者において、ホットフラッシュや発汗など血管運動神経症状の改善に有効で忍容性は良好であることが、オーストラリア・QUE OncologyのAmanda Vrselja氏らが、オーストラリア、ニュージーランド、米国の18施設で実施した第II相無作為化二重盲検プラセボ対照概念実証試験の結果、示された。血管運動神経症状は、経口内分泌療法中の乳がん女性の3分の2以上にみられるが、安全で有効な治療法はない。Q-122は、視床下部にあるエストロゲンに反応するKNDyニューロンの活性化を減少することにより、血管運動神経症状を抑制する可能性が示唆されていた。著者は、「今回の結果は、Q-122の大規模かつ長期的な試験の実施を支持するものであり、更年期のホルモン療法に代わる治療を必要としている閉経後女性にも使用できる可能性もある」とまとめている。Lancet誌2022年11月12日号掲載の報告。中等度~重度の血管運動神経症状に対するQ-122の有効性と安全性をプラセボと比較 研究グループは、乳がん後にタモキシフェンまたはアロマターゼ阻害薬を30日以上服用しており、中等度~重度の血管運動神経症状(ホットフラッシュおよび発汗)が週50回以上発現している18~70歳の女性患者を、Q-122群(100mgを1日2回)またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け(BMI値[≦30または>30]、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ガバペンチン、プレガバリンのいずれかの使用で層別化)、28日間経口投与した。 血管運動神経症状の重症度は、血管運動神経症状重症度スコア(VMS-SS、スコア1[軽度:発汗を伴わない熱感]、スコア2[中等度:発汗を伴う熱感があるが、活動を継続できる]、スコア3[重度:発汗を伴う熱感があり、活動が停止])で患者に評価してもらった。 主要評価項目は、中等度および重度VMS-SS(msVMS-SS)のベースラインから28日目までの平均変化率であった。msVMS-SSは、(2×中等度血管運動神経症状数)+(3×重度血管運動神経症状数)として算出した。 少なくとも1回試験薬を服用し、試験開始後に1回以上有効性の評価を行った修正intention-to-treat集団を有効性解析対象集団とし、少なくとも1回試験薬を服用した全患者を安全性解析対象集団とした。Q-122群でmsVMS-SSが有意に改善 2018年10月24日~2020年9月9日の期間に、243例がスクリーニングされ、そのうち131例が無作為化された(Q-122群65例、プラセボ群66例)。 msVMS-SSのベースラインから投与28日目までの平均変化率(最小二乗平均値)は、Q-122群が-39%(95%信頼区間[CI]:-46~-31)、プラセボ群が-26%(95%CI:-33~-18)であり、プラセボ群と比較してQ-122群で有意に低下した(p=0.018)。 試験薬投与下で発現した有害事象は多くが軽症から中等症であり、両群間で類似していた。治療関連有害事象の発現率は、Q-122群17%(11/65例)、プラセボ群14%(9/66例)で、重篤な有害事象はQ-122群ではみられず、プラセボ群でのみ2例に認められた。

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STEMIの治療開始までの時間と院内死亡率、直近4年で増加/JAMA

 米国・Lindner Center for Research and EducationのJames G. Jollis氏らが、2018~21年のST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者11万例超を対象に行った横断研究の結果、治療開始までの時間(中央値)は2018年第2四半期86分、2021年第1四半期91分、院内死亡率はそれぞれ5.6%および8.7%で、いずれも統計学的に有意に増加していた。そのほか、来院形態にかかわらず、治療開始までの時間が目標を達成した場合に院内死亡率が低いなど、2018~21年の期間におけるSTEMI治療の経過と転帰に関する解析結果を報告している。JAMA誌2022年11月22日号掲載の報告。STEMI患者約11万5千例について解析 研究グループは、GWTG-CADレジストリに参加している648施設において、2018年第2四半期~2021年第3四半期の間に登録された急性冠症候群患者のうち、心電図でSTEMIまたはSTEMI同等の心電図波形を呈した患者を対象に、治療開始までの時間、院内死亡率、システム目標の順守(最初の医療従事者の接触[first medical contact:FMC]から、経皮的冠動脈インターベンション[PCI]施行施設への直接来院では90分以内、PCI非施行施設からの施設間搬送の場合は120分以内に、75%の患者を治療)について解析した。 登録患者28万4,792例のうち解析対象は11万4,871例で、年齢中央値は63歳(四分位範囲[IQR]:54~72)、男性71%、女性29%であった。治療開始までの時間目標達成で、院内死亡率が低い 症状発現からPCIまでの時間中央値は、救急搬送症例集団で148分(IQR:111~226)、独歩来院症例集団で195分(IQR:127~349)、施設間搬送症例集団で240分(IQR:166~402)であった。 補正後院内死亡率は、目標時間内に治療を受けた患者のほうが、目標時間を超えて治療された患者より低かった。 すなわち、救急搬送症例集団での院内死亡率は、救急隊員による最初の評価から心臓カテーテル室起動までの時間≦20分の目標達成3.6% vs.非達成9.2%(補正後オッズ比[aOR]:0.54、95%信頼区間[CI]:0.48~0.60)、病院到着からPCI開始までの時間≦90分の目標達成3.3% vs.非達成12.1%(0.40、0.36~0.44)であり、独歩来院症例集団では病院到着からPCI開始までの時間≦90分の目標達成1.8% vs.非達成4.7%(0.47、0.40~0.55)、施設間搬送症例集団では最初の病院到着から出発までの時間<30分の目標達成2.9% vs.非達成6.4%(0.51、0.32~0.78)、最初の病院到着からPCI開始までの時間≦120分の目標達成4.3% vs.非達成14.2%(0.44、0.26~0.71)であった。 来院形態にかかわらずほとんどの四半期でシステム目標を達成できておらず、施設間搬送症例では最初の病院到着から120分以内にPCIを受けた患者の割合は、わずか17%であった。

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軽症のコロナ入院患者、ARB上乗せは無益/BMJ

 軽症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)(主にテルミサルタン40mg/日)による治療は疾患重症度に対する有益性がないことが、オーストラリア・シドニー大学のMeg J. Jardine氏らがインドとオーストラリアの17施設で実施したプラグマティックなアダプティブデザインの無作為化比較試験「CLARITY試験(Controlled evaLuation of Angiotensin Receptor blockers for covid-19 respIraTorY disease)」の結果、示された。これまで、ARB未治療の患者を対象とした5件の無作為化臨床試験において、レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬の主要評価項目に対する中立的効果が報告され、1件では副次評価項目である死亡に対し高用量テルミサルタン(80mgを1日2回14日間投与)の有益性が報告されていた。著者は本試験の結果について、「対象のほとんどがベースラインで酸素吸入を必要としない患者であったため」と述べたうえで、「現在進行中の試験では、より重症患者におけるARBの効果を評価できる可能性があり、ベイジアン・アダプティブ・デザインを用いることで、臨床診療に役立つ確定的かつ効率的な回答が得られる」と述べている。BMJ誌2022年11月16日号掲載の報告。標準治療+ARB(主にテルミサルタン)vs.標準治療のみ(±プラセボ) 研究グループは、ARBによる治療歴がなく、検査による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の確定診断を受け、COVID-19の管理のために入院した18歳以上の患者を、標準治療に加えてARBまたは対照薬を投与する群に1対1の割合で無作為に割り付け、1日1回28日間経口投与した。なお、ARBは、インドではテルミサルタン(開始用量40mg/日)、オーストラリアでは担当医の選択とし、対照薬はインドではプラセボ(二重盲検試験)、オーストラリアでは標準治療のみ(非盲検試験)であった。 主要評価項目は、14日目における修正WHO臨床進行スケール(WHO-CPS)(1:退院・活動制限なし~7:死亡)によるCOVID-19の疾患重症度、副次評価項目は28日目のWHO-CPS、死亡率、集中治療室入室、呼吸不全であった。14日目の疾患重症度は両群で同じ 2020年5月3日~2021年11月13日の期間に、2,930例がスクリーニングを受け、787例がARB群(393例、うち388例[98.7%]はテルミサルタン40mg/日)または対照群(394例)に無作為に割り付けられた。787例中、778例(98.9%)がインドから、9例(1.1%)がオーストラリアからの参加であった。 主要評価項目である14日目のWHO-CPS中央値は、ARB群(384例)で1(四分位範囲[IQR]:1~1)、プラセボ群(382例)で1(1~1)であった(補正後オッズ比[OR]:1.51、95%信用区間[CrI]:1.02~2.23、オッズ比>1の確率〔Pr[OR>1]〕:0.98)。 28日目のWHO-CPSは、両群間でほとんど差は認められなかった(補正後OR:1.02、95%CrI:0.55~1.87、Pr[OR>1]:0.53)。 本試験は、事前に設定された無益性の基準を満たし中止となった。

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その1【「実践的」臨床研究入門】第26回

前回まで、著者らが出版したコクラン・システマティックレビュー(SR:systematic review)論文1)のAppendixで公開されている検索式の実例を用いて、PubMedでの検索式構築の概要について解説してきました。今回からは、これまでわれわれがブラッシュアップしてきた、下記のClinical Question (CQ)とResearch Question(RQ)、 PECOに立ち返り(連載第21回参照)、関連研究レビューのための検索式(例)を実際に作ってみたいと思います。CQ:食事療法(低たんぱく食)を遵守すると、非ネフローゼ症候群の慢性腎臓病患者の腎予後は改善するのだろうかP:非ネフローゼ症候群の慢性腎臓病(CKD)患者E:食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の遵守C:食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の非遵守O:1)末期腎不全(透析導入)、 2)eGFR低下速度の変化P(対象)の構成要素の検索式を作ってみる検索式を作る際には、MeSH(Medical Subject Headings)が有用でした(連載第21回参照)。それではまず、われわれのRQのPの構成概念である慢性腎臓病(chronic kidney disease)のMeSH term(統制語)を調べてみましょう。連載第21回で解説したとおり、PubMedトップページのMeSH Databaseを開き、検索窓に"chronic kidney disease"と入力します。すると、Renal Insufficiency, Chronicが慢性腎臓病のMeSH termに該当することがわかります。"Renal Insufficiency, Chronic"の階層構造(連載第25回参照)をみてみると(リンク参照)、その下位概念に”Kidney Failure, Chronic”を含んでいます。”Kidney Failure, Chronic”は透析や腎移植を必要とする末期腎不全を示すMeSH termであり(リンク参照)、われわれのRQのPである「透析前」の慢性腎臓病にはあてはまりません。したがって、下位のMesH termは含まないように、[mh:noexp]の「タグ」を付け、Renal Insufficiency, Chronic [mh:noexp]とします(連載第24回参照)。検索式では、MeSH termだけでなくテキストワードも併用すると良いのでした(連載第24回参照)。検索式に加えるテキストワードは該当するMesH termの類語(Entry termsとして列記されている)(連載第21回参照)や、連載第3回で紹介したライフサイエンス辞書を活用しましょう。"Renal Insufficiency, Chronic"のEntry terms(リンク参照)をみて、"chronic kidney disease""chronic renal disease"をテキストワードとして追加することにします。ここで、前方一致検索(トランケーション)という便利な機能についても紹介しましょう。上記の"disease"は単数形だけでなく複数形で表されることもあります。このような語尾変化のある単語をまとめて検索したいときには、単語の最後に*(アスタリスク)を付けます。"chronic kidney disease*""chronic renal disease*"ライフサイエンス辞書で慢性腎臓病を検索するとCKDという略語も良く使われているようなので、テキストワードに加えます。また、「透析前」というキーワードをライフサイエンス辞書で調べるとpredialysisというテキストワードがヒットしましたので追加します。"predialysis"は"pre-dialysis"とハイフンをはさんで表記されることも多いので、こちらも検索式に加えましょう。"pre dialysis"とスペースをはさんで表記されることもありますが、PubMedではハイフンはスペースに置き換えても検索されるので、"pre-dialysis"だけでもカバーされます。テキストワードの「タグ」は[tiab]を指定します(連載第23回参照)。したがって、Pの構成要素の検索語を以下のように選定しました。1.Renal Insufficiency, Chronic[mh:noexp]2."chronic kidney disease*"[tiab]3."chronic renal disease*"[tiab]4.CKD[tiab]5.predialysis[tiab]6.pre-dialysis[tiab]最後に、これらの検索語をORでつないでまとめます。7.#1 OR #2 OR #3 OR #4 OR #5 OR #61)Hasegawa T, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2021 Feb 15;2:CD013109.

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双極性うつ病に対する補助療法の有効性と安全性~メタ解析

 双極性うつ病に対する補助療法の有効性および安全性は、いまだ明らかとなっていない。杏林大学の丸木 拓氏らは、双極性うつ病に対しラモトリギン、リチウム、バルプロ酸の単剤療法の補助療法として使用された第2世代抗精神病薬、ラモトリギン、リチウム、バルプロ酸の有効性および安全性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、双極性うつ病に対する第2世代抗精神病薬、ラモトリギン、リチウム、バルプロ酸による補助療法は、ベネフィットとリスクの両方を上昇させる可能性があるものの、重度の有害事象においては有意差がないことが示唆された。著者らは、双極性うつ病に対する補助療法は、患者の併存疾患および状態を十分に考慮し、意思決定を共有したうえで進めていくことが重要であろうとまとめている。International Journal of Bipolar Disorders誌2022年10月21日号の報告。 対象研究は、2021年2月までに主要な電子データベースに公表された文献。2人の研究者が独立して、関連文献の選定およびデータ抽出を行い、Cochranの基準に基づいて方法論的質を評価した。 主な結果は以下のとおり。・選択基準を満たした研究は、5件であった。・メタ解析では、以下のアウトカムに有意な差が認められた。 ●抑うつ症状エピソードの寛解率(リスク比[RR]:1.23、95%信頼区間[CI]:1.01~1.50、p=0.04) ●抑うつ症状の改善(標準化平均差[SMD]:0.21、95%CI:0.09~0.34、p=0.001) ●QOLの改善(SMD:0.22、95%CI:0.06~0.37、p=0.005) ●研究期間中の有害事象発生率(RR:1.12、95%CI:1.03~1.22、p=0.008)・自殺関連行動の発生率、研究期間中の治療中止率、躁転リスクは、単剤療法と補助療法併用との間に有意な差は認められなかった。

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AHA2022、米国で活躍する日本人ドクターたちと交流【臨床留学通信 from NY】第40回

第40回 シカゴのAHA2022、米国で活躍する日本人ドクターたちと交流11月11~13日は米国心臓協会学術集会(AHA Scientific Session 2022)でした。11月は重症心不全ローテーションで毎朝5時起きでしたが、つかの間の息抜きに、3泊4日で開催地のシカゴに行ってきました。ニューヨーク近郊には3つ大きな空港(ジョン・F・ケネディ空港、ラガーディア空港、ニューアーク空港)がありますが、今回は私の住んでいるマンハッタンの北のウェストチェスターカウンティの空港から行きました。空港まで家から15分、チェックインに15分程度で、そこから2時間半弱でシカゴに行けるのは便利でした。シカゴは空港とダウンタウンは離れていますが、地下鉄でダウンタウンまで5ドルで行けるのでアクセスもよいです。早速到着した夜に、シカゴの有名なノースウェスタン大学でリサーチフェローをしている循環器グループの友人たちと一杯交わしました。知人の紹介でここ2年ほど連絡を取り合っていたものの直接会ったことはなかったのですが、すでにリサーチ含めてやり取りをしているためか、「初めまして感」があまりありませんでした。コロナの影響もあってか、私が米国にいながらいろいろな人とやり取りしているのもあり、このようなことが増えています。翌日の土曜から学会の予定でしたが、1日目は心不全ローテ疲れからか電池切れ。午前中のセッションには出たものの、午後はホテルで休んでいました。夕方には回復して、シカゴのGyukakuを食べて大満足。日本のチェーン店を一層おいしく感じてしまうのは、味覚がアメリカナイズされているのかもしれません。2日目はセッションを聞きつつも、米国や日本で活躍している方々と話して情報交換ができました。ばったり会った同じ出身大学の人も話しかけてくれて、ボストンでリサーチをして活躍をしているということを聞くと嬉しく思いました。昨年の中頃から、米国では基本的にオンサイトの学会が再開されていますが、循環器フェローで忙しかったのもあり、演題はあっても学会参加を断念していました。そのため、私にとっては3年ぶりのオンサイトのAHA参加でした。さまざまな人から刺激を受け、多くの演題を聞くことで、今後の臨床、研究に生かすことができそうです。AHAは参加者に演題のオンデマンド配信をしていますが、到底すべての演題を聞くこともできませんので、現在は通勤しながら、英語の勉強も含めてオンデマンドの発表を聞く日々となっています。日本から参加するとなると、円安もあり、燃油サーチャージ代金含めると飛行機代が25~30万円になっていると聞きます。AHA/ACCといった大きな学会に参加しやすいのは米国ならではのメリットですので、引き続き参加していきたいと思います。ポストコロナ時代、現地の良さも生かしつつ、オンデマンドを残してよりグローバルに発信していくのが、日本の学会にも求められていくのではないでしょうか。Column画像を拡大するAHA2日目の夜に小児循環器内科のお2人と。1人は私より先に渡米してノースウェスタン大学でattending physician(指導医)として活躍中、もう1人はオハイオで基礎研究をし、来年よりオーストラリアで臨床フェローとのことです。しばらくは集まれなさそうなので、豪華にステーキを食しました。

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B型肝炎(HB)ワクチン【今、知っておきたいワクチンの話】各論 第15回

今回は、ワクチンで予防できる疾患(VPD:vaccine preventable disease)の1つであるB型肝炎を取り上げる。B型肝炎はがんの原因となりうるウイルス性疾患の1つで、わが国では2006年に定期接種に導入された。ワクチンで予防できる疾患B型肝炎ウイルス(HBV)は肝臓に感染し、一過性の感染もしくは持続性の感染を起こす。B型肝炎に感染すると20~30%が急性肝炎を発症し、そのうち1%前後が劇症化して昏睡・死亡に至ることがある。ウイルスを排除できず持続感染に至ると、慢性肝炎を発症し、さらに肝硬変、肝細胞がんを生じることがある。この持続感染の多くは出産時や乳幼児期に成立するため、ワクチンによる出生早期からの予防が望まれる1)。感染は血液や体液を介して成立する。母親がHBV保有者である場合、妊娠中あるいは出産中に、胎児もしくは新生児が母親の血液を介して感染することがある(垂直感染)。また、近年では性感染の割合も増加しており、2006~2015年に報告された急性B型肝炎のうち70%は性的接触による感染であった2)。さらに父子感染、保育園での集団感染といった汗、涙などによる感染が疑われる例も報告されている。そのほか医療従事者や清掃業者などが針刺し事故などの血液曝露で感染することがある1)(水平感染)。急性B型肝炎は感染症法において5類感染症に位置付けられており、診断から7日以内の届け出が義務付けられている1,3)。WHO(世界保健機関)による2019年の報告によると全世界の2億9,600万人がHBV持続感染者(キャリア)で、肝硬変や肝細胞がんにより年間82万人が亡くなっている4)。ワクチンの概要と接種スケジュール(表)表 B型肝炎ワクチンの概要画像を拡大する(おとなとこどものワクチンサイトより引用)開発、普及の歴史B型肝炎ワクチンは、1985年に母子感染予防事業として導入された。この事業では全妊婦で感染を確認し、HBs抗原陽性妊婦から出生した乳児に公費でワクチンおよび免疫グロブリン投与を行った。これにより94~97%と高率に母子感染が予防できるようになった5)。さらにWHOおよびUNICEF(国際連合児童基金)は、1992年にB型肝炎制圧のため、全世界の全新生児を対象にB型肝炎ワクチンの接種を行うように推奨した。これを受けて2016年10月には定期接種(A類疾病)となり、わが国においてもB型肝炎ワクチンはユニバーサルワクチンとなった1,3)。1)効果B型肝炎ウイルスの感染を予防する。2)対象定期接種(1)1歳に至るまでの年齢にある者(2)長期療養などで定期接種期間中に受けることができなかった者(治療後2年間)3)保険適応(1)HBs抗原陽性(B型肝炎ウイルスキャリア)の母親から出生した児(2)血液曝露後:事故発生からなるべく早く経静脈的免疫グロブリン療法(IVIG)と共に1回目を接種する(保険適応は7日以内)。業務上の曝露でHBs抗原が陽性なら労災保険が適応される。4)任意接種上記以外のすべての場合5)副反応ワクチン接種による一般的な副反応のみで、特異的な副反応は報告されていない。複数回の接種により、副反応の発現率が上昇することはない。6)注意点B型肝炎ワクチンによりアナフィラキシーを起こしたことがある場合は禁忌である。日常診療で役立つ接種ポイント1)どのような人に勧めるか?血液・体液に曝露する可能性のあるすべての人、つまり基本的にはすべての人に推奨される。特に医療・介護従事者、清掃業者、血液透析患者、コンタクトスポーツ(ラグビー、レスリングなど)をする人には必須である。そのほかHIV陽性者などの免疫不全者、HBs抗原陽性者のパートナーにも強く推奨される。また、海外留学の要件になることも多く、留学を考える人にとっても必須ワクチンの1つである。2)3回接種の途中で、異なる種類のワクチンを使っても良いか?問題はない。現在国内には、遺伝子型A由来のワクチン(商品名:ヘプタバックス-II[MSD社])と遺伝子型C由来のワクチン(同:ビームゲン[KMバイオロジクス社])の2種類が流通している。いずれも異なる遺伝子型に対しても有効であり、互換性がある。3)3回目接種が遅れた場合はどうすればよいか?気付いた時点で速やかに3回目を接種する。4)3回接種後の抗体確認は必要か?定期接種では不要である。ただし母子感染予防対象者、医療従事者などのハイリスク者では、3回目接種から1~2ヵ月後の抗体検査が推奨される。HBs抗体値が10mIU/mL未満の場合は1回の追加接種を行い、環境感染学会が推奨する図のアルゴリズムで対応する。被接種者の約10%が、1シリーズ(3回)接種後も抗体反応ができない(non responder)もしくは悪い(low responder)とされている。なお、若いほど抗体獲得率が高い7)ため、なるべく早期の接種が推奨される。図 ワクチン接種歴はあるが抗体の上昇が不明の場合の評価画像を拡大する(環境感染学会. 医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版. 2020.より転載)今度の課題、展望従来のワクチンで十分な感染予防効果が期待できないワクチンエスケープ株が報告されており、新しいワクチンの開発が進んでいる。HBVは3種類のエンベロープ蛋白(small-S、middle-S、large-S蛋白)を持つ。従来のワクチンはsmall-S蛋白を抗原としているが、現在開発されているのはmiddle-S蛋白からなる“Pre-S2含有”ワクチンと、large-Sとsmall-S蛋白を併用するワクチンで、より多くのHBV株に対する効果が期待される1,8)。B型肝炎ワクチンはユニバーサルワクチンである。職種を問わず全世代で推奨されるワクチンの1つであり、2016年4月以前に生まれた人の多くはワクチン接種歴がなく免疫を持たないため、1度は接種を検討すると良いだろう。参考となるサイトこどもとおとなのワクチンサイト1)B型肝炎、海外渡航者のためのワクチンガイドライン/ガイダンス2019. 日本渡航医学会; 2019.p.85-86.2)国立感染症研究所. IASR.2016;37:438.3)日本ワクチン産業協会. 予防接種に関するQ&A集. 2021.(2022年9月アクセス)4)Hepatitis B. WHO.5)白木和夫. IASR. 2000;21:74-75.6)環境感染学会. 医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版. 2020.(2022年11月アクセス)7)厚生労働省. B型肝炎ワクチンに関するファクトシート(平成22年7月7日版).(2022年9月アクセス)8)Washizaki A, et al. Nature Communications. 2022;13:5207.講師紹介

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英語で「その方針に賛成です」は?【1分★医療英語】第56回

第56回 英語で「その方針に賛成です」は?I will review the CT images today and let you know the treatment plan.(CT画像を確認してから、治療方針をお伝えしますね)Okay. That sounds like a plan.(わかりました。その方針に賛成です)《例文1》医師How about staying one more night and going home tomorrow?(もう一晩泊まって明日退院はどうでしょう?)患者That sounds like a plan!(いいですね!)《例文2》医師Let me check your incisions when you get here.(来院したときに、傷のチェックをしましょう)患者That sounds like a plan.(わかりました)《解説》この表現は、医療現場では主に患者さんが使うことが多いです。治療方針であったり、今後の流れを説明したりした際、患者さんが同意した場合に“That sounds like a plan”という答えが返ってきます。直訳すると「良い計画のように聞こえる」なのですが、ニュアンス的にはカジュアルな「その方針に賛成です」という意味になります。医療現場に限らず、友人と旅行の計画を立てているときなどにもまとめとして“That sounds like a plan!”といったように使うことができます。非常に便利な表現なので、ぜひ覚えて実際に使ってみてください。講師紹介

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第140回 long COVIDの偏見がまん延

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後に数週間や数ヵ月も続く不調・COVID-19罹患後症状(俗称:long COVID)の人のほとんどが社会からの偏見にも苛まれていることが英国での調査で浮き彫りになりました1,2)。英国の実に230万人がlong Covidを患っています。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染率は依然として高いことからその数は減っていません。long COVIDは治療がままならないこともその数の高止まりに加担しています。long COVID治療探しは一筋縄ではいかないようで、たとえば最近発表された試験結果ではプレドニゾロンのCOVID-19後嗅覚障害の改善効果は残念ながら認められませんでした3,4)。long COVIDの人はかなりの偏見に苛まれていると言われていますが、それがどれほどの負担になっているかはこれまで定かではありませんでした。そこで英国サウサンプトン大学等の研究者等は長引く不調でただでさえ生きづらくなっているlong COVIDの人がいわば泣きっ面に蜂の偏見でどれだけ難儀しているかを新たに開発された評価尺度を使って調べました。その試験はlong COVID患者団体(Long Covid Support)のからの意見も取り入れて設計されました。2年前の2020年のオンライン調査に参加した人にその1年後の2021年11月に案内を出し、以下の3種類の偏見に関する13の問いへの5択の回答をお願いしました。実際の偏見(enacted stigma):体調不良のせいで不当に扱われること内なる偏見(internalised stigma):自身の体調不良を恥じたり気にすること偏見の予感(anticipated stigma):体調不良で不利になると予想すること最終的に千人を超える1,166人から回答があり、そのほとんどを占める英国からの966人の情報が解析されました。解析の結果、ほぼ全員の95%が3種類の偏見のいずれか1つかそれ以上を少なくとも時々被っていました。また、8割近い76%の状況は深刻で、しばしばまたは常に偏見に直面していました。5人に3人(63%)は蔑ろにされたり付き合いを絶たれるなどの実際の偏見が少なくとも時々あり、91%はそういう実際の偏見の予感が少なくとも時々ありました。また、9割近い86%は体調不良を恥じたり、役立たずと感じたり、変わり者だと思い込むなどのlong COVID絡みの内なる偏見に少なくとも時々苛まれていました。そのような驚くばかりの偏見まん延2)はlong COVIDの人に肩身の狭い思いを強いているらしく、5人に3人(61%)はlong COVIDを打ち明けることに少なくとも時々は細心の注意を払っていました。また、3人に1人(34%)はlong COVIDを打ち明けたことを後悔したことが少なくとも時々ありました。今回の研究で使われた13の問い(“自身のlong COVIDのせいで相手が気まずそうだったことがある”等)への5択(ない、稀にある、時々ある、しばしばある、いつもそう)の回答結果に基づいてlong COVID患者が被る偏見のほどを表す検査が開発されています。long COVIDの人が被る偏見のほどの推移や、偏見を減らす取り組みの効果のほどを10分とかからず完了するその検査Long Covid Stigma Scale(LCSS)を使ってこれからは把握することができます。LCSSの開発を指揮した今回の試験の著者の1人Marija Pantelic 氏によると、long COVIDにつきまとう偏見はそれらの患者を害するのみならず社会や医療も損なわせもするようです。先立つ研究で喘息、うつ、HIVなどの他の長患いの偏見が社会をひどく不健全にすることがすでに示されています。偏見の恐れは人々を医療やその他の支援からおそらくより遠のかせ、その積み重ねが心身を蝕んでいきます。今回の試験では意外にもlong COVIDの診断を受けている人の方がそうではないlong COVIDの人に比べて偏見をより被っていました。その理由はわかりませんが、診断を受けた人ほど自身の体調を他の人により知らせているからなのかもしれません。その理由も含め、偏見がどこでどうやって発生するのか、どういう人が偏見を持ちやすいのか、どういうlong COVID患者が偏見を被りやすいのかを今後の試験で調べる必要があります2)。参考1)Pantelic M, et al. PLoS ONE . 2022;17:e0277317.2)Most people with long Covid face stigma and discrimination / Eurekalert3)Schepens EJA, et al.BMC Med. 2022;20:445.4)Prednisolone does not improve sense of smell after COVID-19 / Eurekalert

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コロナ感染、繰り返すほど重症化・後遺症リスク増

 新型コロナウイルスへの複数回の感染により、死亡と後遺症リスクは2倍超、入院リスクは3倍超になることが、米国・VAセントルイス・ヘルスケアシステムのBenjamin Bowe氏らによるコホート研究で明らかになった。新型コロナウイルスの感染による死亡や後遺症のリスクは知られているが、1回感染後の再感染によってそれらのリスクが高くなるかどうかは不明であった。Nature Medicine誌2022年11月10日掲載の報告。コロナ2回目以上の複数回感染群では後遺症発現のHRが2.10 調査は、2020年3月1日~2022年4月6日の米国退役軍人省の医療データベースを利用し、コロナ1回目感染者44万3,588例、コロナ2回目以上の複数回感染者4万947例(コロナ2回目感染者3万7,997例[92.8%]、コロナ3回目感染者2,572例[6.3%]、コロナ4回以上感染者378例[0.9%])、対照群として1回も感染していない未感染者533万4,729例を抽出し、死亡率、入院率、後遺症発現率を解析した。 コロナ複数回感染による死亡や後遺症のリスクを解析した主な結果は以下のとおり。・コロナ1回目感染群と比較して、コロナ2回目以上の複数回感染群では、全死因死亡のハザード比(HR)は2.17(95%信頼区間[CI]:1.93~2.45)、入院のHRは3.32(95%CI:3.13~3.51)であった。・同じく1つ以上の後遺症発現のHRは2.10(95%CI:2.04~2.16)で、腎障害(HR:3.55、95%CI:3.18~3.97)、肺障害(3.54、3.29~3.82)、血液凝固異常(3.10、2.77~3.47)、心血管障害(3.02、2.80~3.26)、消化器障害(2.48、2.35~2.62)、倦怠感(2.33、2.14~2.53)、精神的な不調(2.14、2.04~2.24)糖尿病(1.70、1.41~2.05)、筋骨格系障害(1.64、1.49~1.80)、神経学的障害(1.60、1.51~1.69)であった。これらは主に急性期に認められたが、コロナ再感染から6ヵ月後でも認められた。・これらのリスクは、新型コロナウイルスワクチンの接種状況に関係なく認められた。・コロナ感染回数が増えるほど後遺症リスクは上昇した。未感染群と比較して、コロナ1回目感染群のHRは1.37(95%CI:1.36~1.38)、コロナ2回目感染群のHRは2.07(95%CI:2.03~2.11)、コロナ3回目以上感染群のHRは2.35(95%CI:2.12~2.62)であった。 これらの結果より、同氏らは「新型コロナウイルスへの複数回感染は、初回の感染よりも死亡、入院、後遺症リスクが高まることが明らかになった。すでに1回感染した人は、コロナ2回目の感染を予防することでさらなる健康問題を防ぐことができる」とまとめた。

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2型DM患者の高TG血症へのペマフィブラート、心血管イベント抑制効果は?/NEJM

 軽度~中等度の高トリグリセライド血症を伴い、HDLコレステロールとLDLコレステロールの値が低い2型糖尿病患者において、ペマフィブラート(選択的ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体αモジュレーター)はプラセボと比較して、トリグリセライド、VLDLコレステロール、レムナントコレステロール、アポリポ蛋白C-IIIの値を低下させたが、心血管イベントの発生は抑制しなかったことが、米国ブリガム&ウィメンズ病院のAruna Das Pradhan氏らが実施した「PROMINENT試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2022年11月24日号に掲載された。24ヵ国のイベント主導型試験 PROMINENT試験は、日本を含む24ヵ国876施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照イベント主導型試験であり、2017年3月~2020年9月の期間に患者の登録が行われた(Kowa Research Instituteの助成を受けた)。 対象は、2型糖尿病と診断され、軽度~中等度の高トリグリセライド血症(空腹時トリグリセライド値200~499mg/dL)を伴い、HDLコレステロール値が40mg/dL以下の患者であった。また、患者は、ガイドラインに基づく脂質低下療法を受けているか、有害事象なしでスタチン療法を受けることができず、LDLコレステロール値が100mg/dL以下の場合に適格とされた。 被験者は、ペマフィブラート(0.2mg錠、1日2回)またはプラセボを経口投与する群に無作為に割り付けられた。 有効性の主要エンドポイントは、非致死的心筋梗塞、虚血性脳卒中、冠動脈血行再建術、心血管死の複合とされた。非アルコール性脂肪性肝疾患の頻度は低い 1万497例(年齢中央値64歳、女性27.5%)が登録され、ペマフィブラート群に5,240例、プラセボ群に5,257例が割り付けられた。1次予防の集団(年齢が男性50歳以上、女性55歳以上でアテローム動脈硬化性心血管疾患がない)が33.1%、2次予防の集団(年齢18歳以上で、アテローム動脈硬化性心血管疾患が確立されている)は66.9%であった。 ベースラインで95.7%がスタチンの投与を、80.1%がACE阻害薬またはARBの投与を、9.3%がGLP-1受容体作動薬を、16.8%がSGLT2阻害薬の投与を受けていた。空腹時トリグリセライド中央値は271mg/dL、HDLコレステロール中央値は33mg/dL、LDLコレステロール中央値は78mg/dLだった。追跡期間中央値は3.4年。 4ヵ月の時点におけるプラセボ群と比較した脂質値のベースラインからの変化率の差は、トリグリセライドが-26.2%(95%信頼区間[CI]:-28.4~-24.10)、VLDLコレステロールが-25.8%(-27.8~-23.9)、レムナントコレステロールが-25.6%(-27.3~-24.0)、アポリポ蛋白C-IIIが-27.6%(-29.1~-26.1)と、いずれもペマフィブラート群で低かった。一方、HDLコレステロールは5.1%(4.2~6.1)、LDLコレステロールは12.3%(10.7~14.0)、アポリポ蛋白Bは4.8%(3.8~5.8)であり、ペマフィブラート群で高かった。 有効性の主要エンドポイントは、ペマフィブラート群が572例(3.60/100人年)、プラセボ群は560例(3.51/100人年)で発生し(ハザード比[HR]:1.03、95%CI:0.91~1.15、p=0.67)、両群間に差はなく、事前に規定されたすべてのサブグループで明確な効果修飾(effect modification)は認められなかった。 重篤な有害事象の発生には両群間に有意な差はみられなかった(ペマフィブラート群 14.74/100人年vs.プラセボ群14.18/100人年、HR:1.04、95%CI:0.98~1.11、p=0.23)。一方、ペマフィブラート群では、腎臓の有害事象(10.67/100人年vs.9.55/100人年、HR:1.12、95%CI:1.04~1.20、p=0.004)、静脈血栓塞栓症(0.43/100人年vs.0.21/100人年、HR:2.05、95%CI:1.35~3.17、p<0.001)の発生率が高く、非アルコール性脂肪性肝疾患(0.95/100人年vs.1.22/100人年、HR:0.78、95%CI:0.63~0.96、p=0.02)の発生率が低かった。 著者は、「ペマフィブラート群で観察されたアポリポ蛋白BとLDLコレステロール値の上昇が、トリグリセライド値やレムナントコレステロール値の低下による有益性を打ち消した可能性は否定できない」としている。

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事例012 アトピー性皮膚炎疑いでのTARC検査で査定【斬らレセプト シーズン3】

解説事例では、アトピー性皮膚炎疑いの患者に、「D015 血漿蛋白免疫学的検査の(19)TARC(Thymus and Activation-Regulated Chemokine)検査」を施行したところ、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)にて査定となりました。査定の理由には、「TARC検査は、アトピー性皮膚炎およびCOVID-19の確定病名以外では原則認められない」と付記されていました。査定内容を確認するために、医師に問い合わせたところ「炎症が著しかったためにアトピー性皮膚炎を強く疑い、確定診断検査に合わせて行った」と説明を頂きました。査定時の付記を確認するためにTARC検査の留意事項を参照したところ、「アトピー性皮膚炎の重症度評価の補助を目的として、血清中のTARC量を測定する場合に、月1回を限度として算定できる」とありました。アトピー性皮膚炎の確定診断後の検査であることが分かります。医師には、2022年度診療報酬改定時に新しく示された留意事項を示して、レセプトには確定診断を付与いただくようにお願いしました。レセプトシステムには、アトピー性皮膚炎およびCOVID-19に「疑」が付与されている場合には、確定診断が必要と表示されるように改修し査定対策としています。

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SGLT2阻害薬、DM有無問わずCKD進行と心血管死を抑制/Lancet

 SGLT2阻害薬は、心血管リスクの高い2型糖尿病患者のみならず慢性腎臓病または心不全を有する患者においても、糖尿病の状態、原発性腎疾患または腎機能にかかわらず、腎臓病進行および急性腎障害のリスクを低下させることが、英国・オックスフォード大学のNatalie Staplin氏らSGLT2 inhibitor Meta-Analysis Cardio-Renal Trialists' Consortium(SMART-C)による解析の結果、報告された。Lancet誌2022年11月19日号掲載の報告。大規模二重盲検プラセボ対照試験15試験の約9万例についてメタ解析 研究グループは、MEDLINEおよびEmbaseを用い、2022年9月5日までに発表されたSGLT2阻害薬の臨床試験(SGLT1/2阻害薬の併用を含む、年齢18歳以上の成人を対象とした二重盲検プラセボ対照試験[クロスオーバー試験は除く]、各群500例以上、試験期間6ヵ月以上)を検索し、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。 2人の研究者が独立して、各試験の要約データを査読付き論文から抽出するか、または結果が公表されていない試験については治験責任医師よりデータの提供を受け、コクランバイアスリスクツール(バージョン2)を用いてバイアスリスクを評価した。また、逆分散重み付けによるメタ解析を行い、治療効果を推定した。 主な有効性の評価項目は、腎臓病進行(無作為化時からの推定糸球体濾過量[eGFR]50%以上の持続的低下、持続的なeGFR低値、末期腎不全、または腎不全による死亡)、急性腎障害、ならびに心血管死または心不全による入院の複合であった。その他の評価項目は、心血管死および非心血管死、主な安全性評価項目はケトアシドーシスおよび下肢切断とした。 文献検索の結果、15試験が特定され、このうち追跡期間が6ヵ月未満の2試験(inTandem3、DARE-19)を除外した13試験(DECLARE-TIMI 58、CANVAS Program、VERTIS CV、EMPA-REG OUTCOME、DAPA-HF、EMPEROR- REDUCED、EMPEROR- PRESERVED、DELIVER、SOLOIST-WHF、CREDENCE、SCORED、DAPA-CKD、EMPA-KIDNEY)が解析対象となった。無作為化を受けた患者は計9万413例で、このうち糖尿病の状態が不明であった4例を除く9万409例(糖尿病患者7万4,804例[82.7%]、非糖尿病患者1万5,605例[17.3%]、各試験のベースラインの平均eGFRの範囲37~85mL/min/1.73m2)が解析に組み込まれた。対プラセボで腎臓病進行リスクを37%低下、心血管死リスクを14%低下 SGLT2阻害薬はプラセボと比較して、腎臓病進行リスクを37%低下させた(相対リスク[RR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.58~0.69)。その低下の程度は、糖尿病患者(RR:0.62)と非糖尿病患者(0.69)でほぼ同じであった。慢性腎臓病を有する患者を対象とした4件の試験(CREDENCE、SCORED、DAPA-CKD、EMPA-KIDNEY)では、原発性腎疾患の診断にかかわらず腎臓病進行リスクのRRは類似していた。 また、SGLT2阻害薬はプラセボと比較して、急性腎障害のリスクを23%(RR:0.77、95%CI:0.70~0.84)、心血管死または心不全による入院のリスクを23%(0.77、0.74~0.81)低下させ、いずれも糖尿病の有無にかかわらず同様の効果がみられた。 SGLT2阻害薬は、心血管死リスクも低下させたが(RR:0.86、95%CI:0.81~0.92)、非心血管死リスクの有意な低下は認められなかった(0.94、0.88~1.02)。これら死亡の評価項目に関するRRは、糖尿病患者と非糖尿病患者で類似していた。 すべての評価項目において、各試験のベースラインの平均eGFRに関係なく、結果はほぼ同様であった。絶対効果の推定に基づくと、SGLT2阻害薬の絶対利益は、ケトアシドーシスや切断の重篤な危険性を上回った。

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うつ病の急性期治療期間と再発との関係~STAR*D研究の再解析

 うつ病の維持療法を行っている際に、再発を予測することは難しい。慶應義塾大学の久保 馨彦氏らは、うつ病の急性期治療において寛解を達成するまでの期間がその後の再発率や再発までの期間に及ぼす影響を検討した。その結果、抗うつ薬治療に対し早期に治療反応が認められるうつ病患者では、長期的に寛解を維持する可能性が高まることが示唆された。このことから著者らは、「寛解までに比較的長い期間を要する患者においては、再発予防のために細心の注意を払う必要がある」としている。Journal of Affective Disorders誌2023年1月1日号の報告。 分析データの収集には、Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression(STAR*D研究)のデータセットを用いた。citalopramによる治療(最長14週)で寛解を達成した非精神病性うつ病外来患者1,296例を対象に、12ヵ月間の自然主義的フォローアップ調査を実施した。2、4、6、9、12、14週時点で寛解を達成した患者におけるフォローアップ期間中の再発率および再発までの期間を比較するため、一元配置分散分析とJonckheere-Terpstra傾向検定を用いた。寛解および再発の定義は、それぞれ自己記入式簡易抑うつ症状尺度(QIDS-SR)スコア5以下および11以上とした。 主な結果は以下のとおり。・再発率は、寛解達成までの期間別に有意な違いが認められた(F(5,1087)=4.995、p<0.001)。・再発率は、4週目(25.7%)で寛解を達成した患者が最も低く、12週目(42.4%)で寛解を達成した患者が最も高く、それぞれ有意な差が認められた(p=0.006)。・寛解達成までの期間と再発までの期間との間にも、有意な傾向が認められた(z=-6.13、p<0.001)。

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Pharmacoequity―SGLT2阻害薬/GLP-1受容体作動薬は公正に処方されているか?-(解説:住谷哲氏)

 筆者は本論文で初めてpharmacoequityという用語を知った。「処方の公正性」とでも訳せばよいのだろうか。平等equalityと公正equityとの違いもなかなか難しいが、この用語の生みの親であるDr. Utibe R. Essienは、Ensuring that all individuals, regardless of race, ethnicity, socioeconomic status, or availability of resources, have access to the highest quality medications required to manage their health is “pharmacoequity”. と述べている1)。その意味するところを簡単に言えば、エビデンスに基づいた治療薬を必要とするすべての患者に公正に処方することを担保するのがpharmacoequityである、となる。 Essienが最初に報告したのは、心房細動患者に対するDOACをはじめとする抗凝固薬の処方率が人種race/民族ethnicityで異なり、白人に比較してアジア人と黒人で有意に低かった、とするものである2)。この研究も本論文と同じく対象患者は退役軍人保健局(Veterans Health Administration)の加入者であり、これが両論文のポイントであるが、すべての加入者に薬剤が無料または低価格で提供されるため、薬価によるバイアスがほとんどない。本論文は同様のアプローチで、心房細動患者に対する抗凝固薬の代わりに、2型糖尿病患者に対するSGLT2阻害薬/GLP-1受容体作動薬の処方率を検討した研究である。その結果は、抗凝固薬の場合と同様に、SGLT2阻害薬/GLP-1受容体作動薬の処方率は白人に比較して黒人で有意に低率であった。 人種/民族が、なぜ抗凝固薬またはSGLT2阻害薬/GLP-1受容体作動薬の処方率と関連していたのかは、両研究では明らかになっていない。しかし心房細動患者に対する抗凝固薬の処方だけではなく、本論文によって2型糖尿病患者に対するSGLT2阻害薬/GLP-1受容体作動薬の処方にも人種/民族が影響していることが明らかとなった。したがって、他のエビデンスに基づいた治療薬の処方においても同様の状況にある可能性は十分にある。EBMの実践が人種/民族によって影響される状況は公正とは言えないだろう。多民族国家ではないわが国ではこのあたりの状況に敏感ではないが、医療における公正性equity in medicine をいま一度よく考える契機となる報告である。

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うつ病と自殺念慮に対する思春期~成人期の24時間行動ガイドラインの重要性

 若年および成人の24時間行動ガイドラインでは、最適な健康状態を確保するために特定の身体活動時間、座位時間、睡眠時間を推奨しているが、メンタルヘルスの指標との関連についてはよくわかっていない。スペイン・ナバーラ州立大学のAntonio Garcia-Hermoso氏らは、思春期~成人期の24時間行動ガイドラインと、成人期のうつ病および自殺念慮を伴う思春期中期(12~17歳)から成人期(33~39歳)までの軌跡との関係を調査するため、本検討を行った。その結果、思春期中期~成人期での24時間行動ガイドラインの利用促進および継続で、メンタルヘルスに関する問題が予防可能であることが示唆された。ただし、本研究結果について著者らは、エラーやバイアスにつながる恐れのある自己評価や、1994~96年のガイドラインへの適合測定を2016年に行いデータセットを作成した点などから、慎重に解釈する必要があるとしている。The International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity誌2022年10月23日号の報告。 米国における思春期~成人期の健康に関する全国縦断研究(Add Health)のWeves I(1994~95年)およびV(2016~18年)の参加者を対象に、プロスペクティブコホート研究を実施した。身体活動時間、スクリーンタイム、睡眠時間は、アンケートを用いて収集した。過去4週間でうつ病の自己申告歴および/または抗うつ薬の使用があった成人は、うつ病として分類した。自殺念慮は、Weves IまたはVにおいて自己申告の単一質問を用いて収集した。Weves Iでの24時間行動ガイドラインにおける特定の組み合わせおよび思春期~成人期の軌跡に応じて、成人期のうつ病および自殺念慮の発生率比(IRR)を推定するため、ポアソン回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象は、7,069人(女性の割合:56.8%)。・思春期中期に身体活動ガイドラインおよび3つのガイドラインすべてを満たしていた人は、いずれも満たしていなかった人と比較し、成人期のうつ病(IRR:0.84、95%信頼区間[CI]:0.72~0.98)および自殺念慮(IRR:0.74、95%CI:0.55~0.99)のリスクが低かった。・思春期および成人期ともにスクリーンタイムのガイドラインおよび3つのガイドラインすべてを満たしていた人は、満たしていなかった人と比較し、うつ病([スクリーンタイム]IRR:0.87、95%CI:0.72~0.98、[3つすべて]IRR:0.37、95%CI:0.15~0.92)および自殺念慮([スクリーンタイム]IRR:0.74、95%CI:0.51~0.97、[3つすべて]IRR:0.12、95%CI:0.06~0.33)のリスクが低かった。・思春期に3つのガイドラインすべてを満たしていなかったが、成人期に満たしていた人は、ガイドラインをまったく満たしていなかった人と比較し、自殺念慮のリスクが低かった(IRR:0.81、95%CI:0.45~0.89)。

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急性心不全、強化治療戦略で死亡・再入院リスク減/Lancet

 急性心不全で入退院後、診療ガイドラインに準じた標準的心不全治療(guideline-directed medical therapy:GDMT)の早期漸増と頻回なフォローアップによる強化治療戦略は、通常治療と比較して症状軽減、QOL改善、および180日以内の全死因死亡+心不全再入院リスクの減少をもたらすことが、フランスのパリ・シテ大学のAlexandre Mebazaa氏らが実施した多施設共同無作為化非盲検並行群間試験「STRONG-HF試験」の結果、示された。急性心不全で入退院後にGDMTを行う際の用量や漸増速度に関するエビデンスは不足していた。Lancet誌オンライン版2022年11月7日号掲載の報告。2週間で目標用量まで漸増するGDMTと通常治療を比較 研究グループは、14ヵ国(アルゼンチン、オーストリア、ブルガリア、コロンビア、フランス、ハンガリー、イスラエル、モザンビーク、ナイジェリア、ロシア、セルビア、スロバキア、南アフリカ、チュニジア)の87病院において、急性心不全で入院し退院予定日前2日以内に経口心不全治療薬の最大用量を投与されていない18~85歳の患者を対象に試験を行った。 退院前に左室駆出率(≦40% vs.>40%)および国で層別化して、通常治療群または高強度(high-intensity)治療群(β遮断薬、RAS阻害薬[ACE阻害薬、ACE阻害薬に不耐用の場合はARB]、ARNI、MR拮抗薬による)に1対1の割合で無作為に割り付けた。通常治療群では各地域の診療に従った治療を行い、高強度治療群では無作為化後2週間以内に推奨用量の100%まで治療薬を漸増するとともに、無作為化後1・2・3・6週時に臨床状態、臨床検査値、NT-proBNP値を評価した。 主要評価項目は、180日以内の心不全による再入院または全死亡で、intention-to-treat(ITT)集団を対象に有効性と安全性を評価した。主要評価項目については、倫理委員会がプロトコルの修正を承認し180日目まで患者の追跡調査を可とした病院に登録された患者のみを解析対象集団とした。 なお、本試験は、計1,069例が無作為化された時点の解析で主要評価項目の群間差が予測より大きかったため、データ安全性モニタリング委員会の勧告により2022年9月23日に早期中止となった。早期漸増で180日以内の全死因死亡+心不全再入院リスクが有意に減少 2018年5月10日~2022年9月23日の期間に、計1,641例がスクリーニングを受け、1,078例が高強度治療群(542例)または通常治療群(536例)に無作為化された(ITT集団)。患者背景は、平均(±SD)年齢63.0±13.6歳、男性61%で、白人またはコーカサスが77%/黒人21%/アメリカ先住民<1%/太平洋諸島系<1%/その他1%であった。 データカットオフ時点(2022年10月13日)において、高強度治療群は通常治療群と比較して、90日目までに経口心不全治療薬を最大用量まで漸増された患者の割合が高かった(RAS阻害薬:55% vs.2%、β遮断薬:49% vs.4%、MR拮抗薬:84% vs.46%)。また、高強度治療群は通常治療群より、90日目までに血圧、心拍数、NYHA分類、体重およびNT-proBNP値が改善した。 180日以内の心不全による再入院または全死亡は、高強度治療群で506例中74例、通常治療群で502例中109例発生した(補正後リスク差:8.1%[95%信頼区間[CI]:2.9~13.2]、p=0.0021、リスク比:0.66[95%CI:0.50~0.86])。 90日以内の有害事象は、高強度治療群(223/542例、41%)が通常治療群(158/536例、29%)より多く認められたが、重篤な有害事象の発現率(88例[16%]vs.92例[17%])、致死的有害事象の発現率(25例[5%]vs.32例[6%])は同等であった。

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