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部位別がんの5年相対生存率

がんの5年相対生存率(部位別・男女別)34.1脳・中枢神経系甲状腺(%)37.491.360.7口腔・咽頭69.481.881.7喉頭40.6食道45.967.564.6胃72.470.1大腸肝および肝内胆管胆のう・胆管膵臓肺22.18.98.126.836.235.129.5男性94.494.692.3乳房子宮頸部76.5子宮体部81.3卵巣60.099.1前立腺膀胱63.0腎・尿路悪性リンパ腫白血病女性46.8皮膚多発性骨髄腫95.841.976.570.464.866.468.643.643.444.95年相対生存率:あるがんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表した値全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.がんの5年相対生存率(部位別・進行度別)口腔・咽頭13.953.514.554.0喉頭食道胃胆のう・胆管膵臓肺80.451.661.028.52.995.773.292.559.323.9前立腺甲状腺95.766.820.153.49.599.390.022.5卵巣腎・尿路98.139.3子宮体部遠隔65.816.5子宮頸部領域83.531.16.4乳房膀胱限局42.112.4皮膚97.375.317.315.43.11.896.751.96.6大腸肝および肝内胆管93.733.710.0(%)86.638.053.612.447.0100.099.287.394.395.7100.05年相対生存率:あるがんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表した値※限局:最初にがんが発生した臓器(原発臓器)にがんが限局/領域:所属リンパ節(原発臓器と関連するリンパ節)転移または隣接臓器への浸潤(がんの広がり)あり/遠隔:遠隔臓器、遠隔リンパ節などに転移・浸潤あり全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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日本の部位別がん死亡数

がんの種類と死亡数日本の部位別がん死亡数(2021年)口腔・咽頭 5,634胆のう、胆管 9,615喉頭 711乳房 105白血病 5,549膀胱 6,434食道男性8,864胃27,196大腸 28,080肝臓膵臓肺前立腺悪性リンパ腫その他15,91319,33453,27813,2177,6279,159皮膚 865甲状腺 656脳・中枢神経系 1,709口腔・咽頭 2,367喉頭 84食道 2,094胃女性14,428子宮体部 2,741子宮頚部 2,894多発性骨髄腫2,247胆のう、胆管 8,557大腸肝臓24,338 8,189甲状腺 1,278脳・中枢神経系 1,3280腎・尿路 6,274卵巣 5,081白血病 3,57550,000膵臓肺乳房悪性リンパ腫19,24522,93414,8036,154皮膚 853膀胱 3,009腎・尿路 3,523100,000その他 9,513多発性骨髄腫 2,050150,000200,000 (人)2021年にがんで死亡した人は38万1,505人(男性22万2,467人、女性15万9,038人)日本人ががんで死亡する確率は、男性26.2%(4人に1人)、女性17.7%(6人に1人)がん死亡数は男性では肺がんが最も多く、次いで大腸、胃、膵臓、肝臓、女性では大腸がんが最も多く、次いで肺、膵臓 、乳房、胃、男女合わせると肺がんが最も多く、次いで大腸、胃、膵臓、肝臓となっています国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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日本の部位別がん罹患数

1年間で新たにがんと診断される患者さんの数は日本の部位別がん罹患数(2019年)口腔・咽頭 16,463胆のう、胆管 11,964喉頭 4,688乳房 670白血病 8,396肝臓 25,339男性悪性リンパ腫食道胃大腸膵臓肺前立腺21,71985,32587,87222,28584,32594,74819,311その他20,308腎・尿路 20,678甲状腺 4,888脳・中枢神経系 3,116口腔・咽頭 7,208喉頭 423食道 4,663胃女性38,994皮膚 12,815子宮頚部 10,879子宮体部 17,880胆のう、胆管 10,195多発性骨髄腫 4,052白血病 5,922悪性リンパ腫肝臓 11,957大腸67,753膀胱 17,498肺膵臓 42,22117,325乳房卵巣97,14213,388その他16,81721,579甲状腺 13,892脳・中枢神経系 2,7330100,000200,000皮膚 12,432膀胱 5,885300,000400,000多発性骨髄腫 3,539腎・尿路 9,780500,000600,000(人)(2019年のデータに基づき)日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性65.5%、女性51.2%男性は前立腺がん(11.0%*)が最も多く、次いで大腸がん(10.3%) 、胃がん・肺がん(ともに10.0%)の順、女性は乳がん(11.2%)が最も多く、次いで大腸がん(8.1%) 、肺がん(5.0%)の順になっています*()内の%は生涯罹患リスク国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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骨転移診療ガイドライン改訂、薬剤などのエビデンス蓄積を反映

 『骨転移診療ガイドライン』の改訂第2版が2022年12月に発刊された。2015年に初版発刊後、骨修飾薬の使用方法や骨関連事象のマネジメントなどの医学的エビデンスが蓄積されてきたことを踏まえ、7年ぶりの改訂となる。今回、本ガイドライン作成ワーキンググループのリーダーを務めた柴田 浩行氏(秋田大学大学院医学系研究科臨床腫瘍学講座)に、改訂ポイントや疫学的データの収集などの課題について話を聞いた。患者は延命に加え機能維持を求めている がん治療で病巣を取り除けたとしても身体機能の低下によって生活の質(QOL)が低下してしまっては、患者の生きがいまでも損なわれてしまうかもしれない。骨転移はすべてのがんで遭遇する可能性があり1)柴田氏らはがん患者の骨転移がもたらす身体機能の低下をいかにして防ぐことができるのかを念頭に置いてガイドライン(GL)を作成した。「骨転移が生じる患者の多くはStageIVではあるが、外科的介入に対するエビデンスが蓄積されつつあることから、今回の改訂には多くの整形外科医にご参加いただき、外科領域のClinical Questionを増やした」と話し、「作成メンバーが、診断・外科・放射線・緩和・リハビリテーションと看護の5領域に分かれて取り組んだ点も成果に良く反映されている」と作成時の体制について説明した。 治療については、上市から10年が経過した骨修飾薬(BMA:ビスホスホネート製剤、RANKL抗体薬)に関する長期経過報告がまとめられ、近年では骨修飾薬を投与することで骨関連事象の発生が低下していること、骨修飾薬投与前の歯科検診や投与中のカルシウム値の補正が行われていることなどが示された(p.15 総説3)。一方で、その投与間隔や至適投与期間を有害事象やコスト面から検討する必要性も指摘され課題になっている。 それらを踏まえ、「標準的な診療の概要を示し、骨転移患者の診療プロセスの改善や患者アウトカムの改善を期すること」を目的とし、4つの総説(1.骨転移の病態、2.骨転移の診断、3.骨転移の治療とケア、4.高齢者・サルコペニア・フレイル患者の骨転移治療)、Background Question(36個)、Clinical Question(38個)、Future Research Question(41個)を盛り込んだ。骨転移の実数が見えにくい現状 GLを作成し、その成果をモニターする上で疫学的な情報は不可欠であるが、「骨転移の実態を知ることはなかなかに困難である」と同氏は話した。がんの罹患状況は2016年に厚生労働省がスタートさせた『全国がん登録』2)の集計結果などを参考にするが、そこには遠隔転移の記載のみで、骨転移を含む個別の転移部位については登録されない。結果、がんの『転移部位』はすべて“転移”に包含されてしまい、どの部位への転移なのかを入力する項目がないことから、「その集計結果から骨転移の実数などを把握できない。現在の骨転移に関する必要情報はカルテを直接調べるしかないのが実情」と残念がった。なお、本GLには日本の調査例として胸椎~腰椎の組織学的骨転移の剖検報告3)が示されており、それによると乳がんや前立腺がんでは75%、肺がんや甲状腺がんでは50%、消化器がん(消化器、肝胆膵)では20%前後の骨転移が認められている。このデータは約25年前のものであるが、2010~16年に米国の医療保険データベースを用いた研究結果と傾向は同様であった(p.2 総説1)。 このほか、読んでおきたい項目は以下のとおり。・CQ5「骨転移を有する原発不明がん患者において、骨転移巣を用いた遺伝子パネル検査は原発巣の同定に有効か?」・CQ8「病的骨折や切迫骨折のリスクのある四肢長管骨の骨転移に手術は有効か?」・CQ19「過去に外照射を受けた骨転移の痛みの緩和に再照射は有効か?」・CQ37「去勢抵抗性前立腺がん骨転移においてラジウム-223内用療法は有効か?」・FRQ31「骨転移の治療に外照射と骨修飾薬(BMA)の併用は有効か?」・FRQ32「骨代謝マーカーは骨転移を有するがん患者の治療モニタリングに有用か?」・FRQ39「病的骨折のある患者の外科的治療後にリハビリテーション医療は有用か?」・FRQ40「痛みのある骨転移患者に対するマネジメント教育は有効か?」ガイドラインの作成から患者の未来を変えたい さらに同氏は「GLの改訂というのは医療者側の知識のアップデートだけではなく、患者への骨転移の病態啓発や、骨転移に関する症状の有無を問診する際などの医師と患者の医療面接おいても重要」だと話した。さらにGLの内容を基に同氏は患者が理解を深めやすい資料作成にも意欲的に取り組み、秋田大学医学部附属病院ではオリジナル漫画を患者に配布している。また、昨今、盛んに行われる骨転移キャンサーボードも「多施設間で行うことも新たな情報や知識、視点が加わることになるので実施することをお薦めする」と話した。 GLは発刊後もその使用状況や患者アウトカムの改善についてモニタリングが必要で、作成して終わりではない。本GLの場合は発刊1年以降を目途に、臨床的アウトカム(1:骨転移のがん種別頻度、2:外科的介入の割合、3:放射線治療の割合、4:骨修飾薬の使用割合、5:ADLの評価[通院、入院治療の別]など)への影響に関して調査を行う予定である点にも触れた。 最後に同氏はGLを山登りに例え、「GLは“山岳ガイド”のようなもの。トップクライマーは遭難のリスクを冒してでも前人未踏の頂きを目指すかもしれないが、山岳ガイドは登山客を遭難させる冒険はできない。派手さはなくとも、安全に、確実に登頂できるように先導することが重要。もちろん、もっと高い頂きを目指す必要は常にあるが、現状でそれが無理なら技術を磨いたりルートを開拓したりする必要がある」と話し、医師の知識のアップデートに留まらず、患者一人ひとりの病態に応じて参考にされることやGLの課題が新たな臨床試験の推進力になることを願った。

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二重抗体薬talquetamab、再発難治多発性骨髄腫に有望/NEJM

 再発/難治性多発性骨髄腫患者において、Gタンパク質共役受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D)とCD3に対する二重特異性T細胞誘導抗体であるtalquetamabの405μg/kg週1回ならびに800μg/kg隔週の皮下投与は、いずれも同様の安全性プロファイルと有効性を示すことが、米国・マウントサイナイ医科大学のAjai Chari氏らによる第I相の「MonumenTAL-1試験」で明らかとなった。GPRC5Dは、正常なヒトの組織にはほとんど発現しておらず、悪性形質細胞に過剰発現しているオーファン受容体である。talquetamabは、GPRC5DとCD3の両方に結合してT細胞を動員および活性化し、GPRC5D発現骨髄腫細胞の殺傷を誘導する。著者は、「CAR-T細胞療法だけでなく二重特異性抗体によるアプローチでの抗骨髄腫活性は、GPRC5Dが骨髄腫の治療標的であることを立証している」とまとめている。NEJM誌2022年12月15日号掲載の報告。前治療が多い再発/難治性多発性骨髄腫患者で各用量の静脈内投与と皮下投与を検討 本試験は、用量漸増期(パート1)と拡大投与期(パート2)で構成されている。対象は、確立された既存の治療法(中央値で前治療歴6ライン)で病勢進行した、または許容できない副作用のためそれら確立された既存治療を受けることができない、18歳以上の再発/難治性多発性骨髄腫患者で、talquetamabの静脈内投与(ステップアップ投与ありまたはなしで0.5~3.38μg/kgを週1回または隔週、5~180μg/kg週1回)、または皮下投与(ステップアップ投与ありで5~405μg/kgを週1回、800μg/kgを週1回または隔週、1,200μg/kgを隔週、1,600μg/kgを月1回)を実施した。 主要評価項目は、用量制限毒性(DLT)の頻度と種類(パート1のみ)、有害事象および臨床検査値異常、副次評価項目は奏効率、薬物動態、薬力学および免疫原性であった。 2018年1月3日~2021年11月15日の期間に288例がスクリーニングを受け、適格患者232例が登録されtalquetamabの投与が行われた(静脈内投与:102例、皮下投与:130例)。405μg/kg週1回皮下投与で奏効率70%、奏効持続期間中央値約10ヵ月 用量漸増期(パート1)において、DLTは4例報告された。内訳は、Grade4のリパーゼ上昇1例(7.5μg/kg週1回静脈内投与群)、Grade3の斑状丘疹状皮疹2例(135μg/kg週1回皮下投与群、800μg/kg週1回皮下投与群)、Grade3の皮疹1例(800μg/kg隔週皮下投与群)であった。安全性、有効性、薬物動態および薬力学データに基づき、拡大投与期(パート2)の用法・用量として405μg/kg週1回および800μg/kg隔週の皮下投与が選択された。 405μg/kg週1回皮下投与群30例、800μg/kg隔週皮下投与群44例における主な有害事象は、サイトカイン放出症候群(発現率はそれぞれ77%、80%)、皮膚関連事象(67%、70%)、味覚異常(63%、57%)などであった。ほとんどはGrade1または2であり、Grade3のサイトカイン放出症候群は405μg/kg群で1例認められた。 追跡期間中央値11.7ヵ月(405μg/kg群)または4.2ヵ月(800μg/kg群)において、奏効率はそれぞれ70%(95%信頼区間[CI]:51~85)、64%(95%CI:48~78)、奏効持続期間中央値はそれぞれ10.2ヵ月および7.8ヵ月であった。

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血液がん、今年押さえておくべき論文&学会発表【Oncology主要トピックス2022 造血器腫瘍編】

2022年に発表、論文化された造血器腫瘍の重要トピックを大阪医療センター 柴山 浩彦氏が一挙に解説。今年の造血器腫瘍領域におけるプラクティスチェンジの要点がわかる。1)Polatuzumab vedotin in previously untreated diffuse large B-cell Lymphoma. (Tilly H, et al. N Engl J Med. 2022;386:351-363.)未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する標準治療は、2000年代初頭に抗CD20抗体薬のリツキシマブが登場して以降、CHOP療法と併用するR-CHOP療法が、約20年間、標準治療であった。これまで、さまざまな治療法がR-CHOPと比較されてきたがR-CHOPを凌駕する治療法はなかった。抗CD79b抗体にリンカーを介してMMAEを結合した抗体薬物複合体のポラツズマブ ベドチン(Pola)をオンコビンと入れ替えたPola-R-CHP療法を二重盲検法でR-CHOPと比較したPOLARIX試験において、主要評価項目のPFSについて有意にPola-R-CHP療法が優る結果が示された。本試験の結果を基に、日本でも未治療DLBCLに対し、Pola-R-CHP療法が保険適応となり、新たな標準治療となる可能性が示された。2)Overall survival with brentuximab vedotin in stage III or IV Hodgkin’s lymphoma.(Ansell SM, et al. N Engl J Med. 2022;387:310-320.)未治療の進行期ホジキンリンパ腫に対し、標準治療であったABVD療法と、抗CD30抗体にリンカーを介してMMAEを結合した抗体薬物複合体のブレンツキシマブ ベドチン(アドセトリス)をブレオマイシンと入れ替えたA-AVD療法を比較した試験(ECHELON-1試験)にて、主要評価項目のmodified PFSは有意にA-AVD療法が優り、その結果は、NEJM誌に報告された。この結果によって、日本では未治療ホジキンリンパ腫に対するA-AVD療法が保険適用で使用可能となっている。その後、ECHELON-1試験は6年間のフォローアップが実施され、全生存期間(OS)についても、有意にA-AVDを受けた患者群がABVDを受けた患者群よりも優れていることが示された。この結果によって、A-AVD療法は未治療の進行期ホジキンリンパ腫に対する真の標準治療とみなすことができると考えられた。3)Ibrutinib plus bendamustine and rituximab in untreated mantle-cell lymphoma.(Wang ML et al. N Engl J Med. 2022;386:2482-2494.)Efficacy and safety of ibrutinib combined with standard first-line treatment as substitute for autologous stem cell transplantation in younger patients with mantle cell lymphoma: results from randomized triangle trial by the European MCL network.(ASH 2022 #1:プレナリー演題)再発・難治のマントル細胞リンパ腫(MCL)に対し、BTK阻害薬のイブルチニブは、保険適用での単剤治療が認められている。自家移植併用大量化学療法の適応とならない高齢未治療MCLに対し、BR療法との併用の第III相試験(プラセボとの比較、SHINE試験)の結果が約7年のフォローアップののちに2022年のASCOにて発表され、NEJM誌にpublishされた。主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)においてイブルチニブ併用群が有意に優れているという結果であった。同様に、自家移植の適応となる未治療MCLに対し、自家移植を行わずとも、イブルチニブをR-CHOP/R-DHAP療法に併用し、その後、イブルチニブの維持療法を行うことで、FFS、OSともに差がみられなかったという結果が2022年ASHにおいてプレナリー演題として報告された。以上の2試験の結果、未治療MCLに対してはイブルチニブ併用の化学療法ののち、イブルチニブを維持療法として継続する治療が新たな標準治療となることが示された(日本では、2022年12月10日時点で未治療MCLに対するイブルチニブは未承認)。4)Triplet therapy, transplantation, and maintenance until progression in myeloma.(Richardson PG, et al. N Engl J Med. 2022;387:132-147.)自家移植併用メルファラン大量化学療法(Auto)の適応となる未治療多発性骨髄腫患者においては、ボルテゾミブ、レナリドミド、デキサメサゾン併用療法(VRD療法)を3~4サイクル行い、自家末梢血幹細胞採取を行ったあと、Autoを行い、その後、レナリドミドやイキザゾミブによる維持療法を行うのが標準療法とされている。本試験(DETERMINATION試験)では、VRDを8サイクル行い、その後レナリドミドの維持療法を行う群と、3サイクル後にAutoを行い、その後2サイクルのVRDを追加したあとレナリドミドの維持療法を行う群にランダム化し、PFS、奏効率、OSを比較している。その結果、主要評価項目のPFSではAutoを行った群で有意に優れていたがCR以上の奏効率、OSには差を認めなかった。この試験の結果から、Up-frontのAuto治療は、全患者に画一的に行うより、患者ごとに決定することも許容されることが示された。5)Treatment of adults with Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic Leukemia-from intensive chemotherapy combinations to chemotherapy-free regimens: A review.TKIが登場し、Ph+ALLの治療成績は格段に向上した。現在の未治療Ph+ALLの標準治療は、TKIと化学療法の併用治療を行い、血液学的寛解を得たのちに、適格症例においては同種移植を行うこととなっている。最近になって、TKI(ダサチニブやポナチニブ)とCD3XCD19二重抗体薬のブリナツモマブを併用したケモフリー治療によるPh+ALLに対する良好な治療成績が報告されている。本論文では、それらの臨床試験の結果をレビューしており、第1寛解期における同種移植の役割を疑問視している。今後、TKI+ブリナツモマブのケモフリーレジメンによる治療で、分子学的寛解が得られた場合は、従来の化学療法や同種移植は不要となる可能性が示唆されている。6)Second-line Tisagenlecleucel or standard care in aggressive B-cell lymphoma. (Bishop MR, et al. N Engl J Med. 2022;386:629-639.)Axicabtagene Ciloleucel as second-line therapy for large-B cell lymphoma.(Locke FL, et al. N Engl J Med. 2022; 386:640-654.)Lisocabtagene maraleucel versus standard of care with salvage chemotherapy followed by autologous stem cell transplantation as second-line treatment in patients with relapsed or refractory large B-cell lymphoma (TRANSFORM): results from an interim analysis of an open-label, randomised, phase 3 trial. (Kamdar M, et al. Lancet. 2022;399:2294-2308.)再発・難治性DLBCLに対し、現在、日本では3種類のCD19-CAR-T細胞治療(Tisa-cel、Axi-celLiso-cel)を保険適用で行うことができる。それぞれのCAR-T治療をDLBCLの標準的2次治療(自家移植併用大量化学療法:Auto)と比較する試験が実施され、その結果が発表された。対象となる患者背景に違いを認めたり、標準治療群で、実際に、Autoが実施できた患者の割合が異なったりしており、これらの試験を横並びに比較することはできないが、主要評価項目のEFS(Event-free survival)において、Axi-celとLiso-celは標準治療群よりも有意に優れていたが、Tisa-celは差がなかった。これらの試験結果より、一部の患者において、2次治療としてのCAR-T治療の有用性が認められることが明らかとなったが、CAR-T治療は高額であり、実施できる施設も限られていることから、どのような患者に2次治療としてCAR-T治療を行うべきか、今後の実臨床での症例の蓄積を待つ必要がある。7)Treatment outcomes after undetectable MRD with first-line ibrutinib (Ibr) plus venetoclax (Ven): Fixed duration treatment (placebo) versus continued Ibr with up to 5 years median follow-up in the CAPTIVATE study.(ASH 2022 #92)CLLの治療において、BTK阻害薬(イブルチニブやアカラブルチニブ)単剤治療が、抗CD20抗体と化学療法薬を組み合わせた免疫化学療法よりもPFSやOSが優れていることが示されている。ただし、BTK阻害薬単剤治療では、深い奏効が得られることは稀であり、長い期間治療を継続する必要がある。BTK阻害薬のイブルチニブとBCL-2阻害薬のベネトクラクスを併用することで、約1年間の固定期間の治療で、MRD陰性の深い奏効が得られ、MRD陰性が得られた症例では、継続治療が不要であることが、本年のASHにおいて、4~5年のフォローアップのデータとして示された。今後、とくに、若年のCLL患者に対しては、BTK阻害薬、BCL-2阻害薬、さらに抗CD20抗体薬を併用するケモフリーレジメンで、約1年程度の固定期間の治療を行い、MRD陰性を目指す治療法が標準治療となる可能性が示された。

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DWIBSは不明熱の診療にも有用?【知って得する!?医療略語】第19回

第19回 DWIBSは不明熱の診療にも有用?PET-CT以外にも全身の腫瘍を検索する方法があると聞きました。2年前に保険収載されたDWIBS法というMRIを使用した全身検査があります。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】DWIBS【日本語】背景抑制広範囲拡散強調画像・ドゥイブス法【英字】diffusion-weighted whole body imaging with background suppression【分野】腫瘍関連【診療科】全診療科実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。DWIBS(diffusion-weighted whole body imaging with background suppression)は2004年に放射線科医の高原 太郎氏(東海大学工学部医用生体工学科 教授)により開発された画像検査方法で、背景信号を抑制した全身のMRI拡散強調画像を撮影します。全身の拡散強調画像を1回で撮影でき、PET-CTと比較して遜色ないがんの描出ができるとされ、全身の悪性腫瘍の検索やリンパ節転移の検出、他臓器転移の検出への利用で注目を浴びています。DWIBSの利点は、造影剤や放射性医薬品が不要、放射線被爆がなく、繰り返しの検査でも被爆を心配する必要がないことです。また、検査価格もDWIBSはPET-CTの1/3~1/6程度と低価格です。このためDWIBSは経時的フォローに向いていると言えます。従来であれば、化学療法の効果判定は、腫瘍サイズの縮小などの形態変化から判断していましたが、DWIBSを利用すると腫瘍病変の信号強度の変化を捉えることで、抗がん剤の効果を判定することが可能となり、より早く効果判定することができます。DWIBSは2020年に保険収載されました。PET-CTとは異なり、原発不明がんの精査でも保険診療が可能で、造血器腫瘍は悪性リンパ腫のみならず、白血病や多発性骨髄腫にも保険適応があります。メディカル・データ・ビジョン株式会社のデータベース(MDV analyzer)で調べると、2020年4月~2022年6月の期間、全国調査対象の466施設中、18施設が全身MRI撮影加算を算定しており、検診領域のみならず一般診療にもDWIBSが利用され始めていることが分かります。悪性腫瘍の全身スキャンで注目を浴びるDWIBSですが、炎症部位の検出にも有用とされます。不明熱の患者さんで通常のCTやMRIで熱源や炎症フォーカスを特定できない時にPET-CTを行うこともありますが、DWIBSに置きかえられる可能性があり、PET-CTより低価格で簡便に検査が実施できる可能性があります。実際に発熱の熱源精査にDWIBSを使用し皮膚筋炎の診断に繋がった報告もあります。一方で腫瘍の良・悪性の鑑別には利用が難しいとする報告もあります。DWIBSの利用と可能性の限界について知見の集積が進み、より一般診療で活用できることをとても期待しています。1)今井 裕ほか. 日消誌. 2010;107:712-717.2)加藤 愛美ほか. Clin Rheumatol. 2016;28:150-157.3)Komori T,et al. Ann Nucl Med. 2007;21:209-215.4)今野 信宏. 頭頸部外科. 2021;31:85-89.

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血液がん患者でもブースター接種で一定程度の免疫を獲得

 悪性リンパ腫などの血液がん患者は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン(以下、新型コロナワクチン)を接種しても抗体が作られにくいと考えられている。こうした中、ワクチンの初回接種後には抗体が検出できなかった血液がん患者でも、ブースター接種後には新型コロナウイルスに対してある程度の免疫を獲得できることが、新たな研究から明らかになった。米ブラウン大学アルパートメディカルスクールのThomas Ollila氏らが実施したこの研究の詳細は、「Cancer」に7月11日発表された。 白血病やリンパ腫、多発性骨髄腫などの血液がんの患者は、がんが原因で免疫システムが低下した状態となる。また、化学療法などのがん治療は免疫システムにさらにマイナスに働くと考えられている。Ollila氏らは今回の研究で、18歳以上の血液がん患者378人のデータを後ろ向きに解析し、血液がん患者における新型コロナワクチンの初回接種後およびブースター接種後の抗体反応について調べた。 その結果、初回接種後に抗体が検出可能だった血液がん患者は48%(378人中181人)と半数に満たないことが分かった。最も抗体が獲得されにくいのは、活動性がんの患者や、がん治療(B細胞除去治療)中の患者であった。しかし、初回接種後に抗体が確認できなかった“ノンレスポンダー”の患者でも、1回目のブースター接種後には56%(85人中48人)が新型コロナウイルスに対する抗体を獲得できていた。また、追跡期間中に33人がCOVID-19に罹患し、3人がCOVID-19に起因する疾患が原因で死亡していたが、ワクチン接種後に抗体反応が確認された患者では、COVID-19による死亡例はなかった。 こうした研究結果についてOllila氏は、「血液がん患者は新型コロナワクチンの効果が得られにくいことを示した数多くの文献があるが、本研究は、そのような文献の蓄積を進める結果となった」と話す。その上で、「重要なのは、初回接種後にはワクチンに対する反応が見られなかった血液がん患者の多くが、ブースター接種後には反応することが示された点だ」と強調している。 なお、この研究の対象者には、2種類の長時間作用型抗体(チキサゲビマブとシルガビマブ)を組み合わせた抗体カクテル療法のEvusheldによる治療を受けた患者も含まれていた。EvusheldはCOVID-19パンデミック時に高リスク者の感染予防のため米食品医薬品局(FDA)による緊急使用許可を取得している。Ollila氏らは、この抗体カクテル療法を受けていた血液がん患者の中で、追跡期間中にCOVID-19と診断された患者はいなかったことも明らかにしている。 Ollila氏は、血液がん患者に対して新型コロナワクチンのブースター接種を行い、適応があれば予防目的の抗体療法を優先して行うことを有効な対策として挙げた上で、「われわれの研究から、これらの対策によって患者の命を救えることを示すリアルワールドのエビデンスが得られた」と付け加えている。

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新規診断多発性骨髄腫、3剤併用(RVD)+ASCTでPFS延長/NEJM

 新規多発性骨髄腫の成人患者において、レナリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン3剤併用療法(RVD)と自家造血幹細胞移植(ASCT)の組み合わせは、RVD単独と比較して無増悪生存(PFS)期間を延長したが、全生存(OS)期間には差がなかったことが、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のPaul G. Richardson氏らが米国の56施設で実施した無作為化非盲検第III相試験「DETERMINATION試験」の結果、示された。新規診断の多発性骨髄腫患者に対し、RVDにASCTを追加して、その後レナリドミド維持療法を病勢進行まで継続した場合の有効性については不明であった。NEJM誌2022年7月14日号掲載の報告。RVD+ASCT vs.RVD単独の無作為化非盲検第III相試験 研究グループは、2010年10月1日~2018年1月30日に18~65歳で新規に診断された症候性の多発性骨髄腫患者873例を登録し、適格基準等を満たした729例にRVDを1サイクル投与した後、撤回等を除く722例をRVD単独群とRVD+ASCT(移植)群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 RVD単独群(357例)では、RVDを2サイクル投与し幹細胞を採取した後、RVDを5サイクル投与した。移植群(365例)では、RVDを2サイクル投与し幹細胞を採取した後、高用量メルファラン+ASCTを施行し、回復後(約60日目)にRVDを2サイクル追加した。その後は、両群とも維持療法としてレナリドミドを病勢進行、許容できない副作用またはその両方が現れるまで継続した。 主要評価項目はPFS、副次評価項目は奏効率、奏効期間、無増悪期間、OS、QOLおよび有害事象であった。PFSはRVD+ASCT群67.5ヵ月、RVD単独群46.2ヵ月で有意差(p<0.001) 追跡期間中央値76.0ヵ月において、病勢進行または死亡のイベントはRVD単独群で189例(52.9%)、移植群で139例(38.1%)、計328例発生し、PFS中央値はRVD単独群46.2ヵ月(95%信頼区間[CI]:38.1~53.7)、移植群67.5ヵ月(95%CI:58.6~未到達)で、病勢進行または死亡のリスクはRVD単独群が移植群より53%高かった(ハザード比[HR]:1.53、95%CI:1.23~1.91、p<0.001)。 部分奏効以上(PR+VGPR+CR+sCR)の患者の割合は、RVD単独群95.0%、移植群97.5%(p=0.55)、完全奏効以上(CR+sCR)の患者の割合はそれぞれ42.0%、46.8%(p=0.99)であった。 Grade3以上の治療関連有害事象はRVD単独群で78.2%、移植群で94.2%に認められた。 5年生存率はRVD単独群79.2%、移植群80.7%であった(死亡のHR:1.10、95%CI:0.73~1.65)。

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ASCO2022 レポート 血液腫瘍

レポーター紹介今年のASCO 2022の年次総会も、COVID-19の影響で、昨年のASCO 2021に引き続き、ハイブリッド開催となりました。その恩恵を受けて、昨年と同様に、米国・シカゴまで行かずに、通常の病院業務をしながら、業務の合間に、時差も気にせず、オンデマンドで注目演題を聴講したり、発表スライドを閲覧したりすることができました。それらの演題の中から、今年も10の演題を選んで、発表内容をレポートしたいと思います。以下に、悪性リンパ腫(慢性リンパ性白血病含む)関連5演題、多発性骨髄腫関連3演題、白血病関連2演題を紹介します。悪性リンパ腫(慢性リンパ性白血病含む)関連First-line brentuximab vedotin plus chemotherapy to improve overall survival in patients with stage III/IV classical Hodgkin lymphoma: An updated analysis of ECHELON-1.  (Abstract #7503)ECHELON-1試験は、初発の進行期ホジキンリンパ腫患者を対象に、これまでの標準治療のABVD療法と、ブレンツキシマブベドチンとブレオマイシンを入れ替えたA-AVD療法を比較した第III相比較試験で、これまでの発表にて、A-AVD療法がABVD療法と比較し、PFSの延長効果が示されていた。今回の発表では、追跡期間の中央値が73ヵ月(約6年)の時点で、A-AVD療法の、OSについての優位性も示された(6年時点のOS:[A-AVD療法:93.9%、ABVD療法:89.4%]) (HR:0.590、95%信頼区間[CI]:0.396~0.879、p=0.009)。サブグループ解析では、IPSが4~7の患者、Stage IVの患者、節外病変が2以上の患者など、予後不良と思われる患者において、有意にA-AVD療法がABVD療法よりもOSを延長した。2次がんの発症率も、23例と32例で、A-AVD療法で少なかった。ホジキンリンパ腫については、これまで、ABVD療法に対し、OSでの優位性を示した治療法はなかったが、A-AVD療法が初めてABVD療法にOSで優ったことが示された歴史的試験結果となった。Glofitamab in patients with relapsed/refractory (R/R) diffuse large B-cell lymphoma (DLBCL) and >2 prior therapies: Pivotal phase II expansion results. (Abstract #7500)R/R DLBCL患者に対し、近年、CD19-CAR-T細胞治療やポラツズマブベドチン(ADC)などの新薬が登場し、治療成績は良くなったが、それらの治療にても再発・難治となる場合もあり、さらなる新薬の開発が望まれている。本発表では、CD20とCD3(2対1の比率)に対する二重抗体薬のglofitamabの第II相試験(21日サイクルにて、最大12サイクルまでの固定期間治療であり、サイクル1のDay1には、CRS軽減のため、オビヌツズマブを投与し、Day8に2.5mg、Day15に10mgを投与、サイクル2以降はDay1に30mgを投与する)の結果が報告された。154例の2ライン以上の前治療歴(リツキシマブの治療歴を含む)のあるR/R DLBCL患者が対象となった(59.7%が3ライン以上、33.1%がCAR-T治療を受けていた)。主要評価項目のCR率は39.4%であり、副次評価項目のORRは51.6%であった。また、CAR-T治療歴のある、なしでのCR率は、それぞれ35%と42%であった。CR維持率は12ヵ月時点で77.6%であった。CRSは63%に認めたが、うち59%はG1~2であり、ほとんどがサイクル2までに認められた。glofitamabは、CAR-T既治療例を含むR/R DLBCLに対する新たな治療薬として期待できる。Influence of racial and ethnic identity on overall survival in patients with chronic lymphocytic lymphoma. (Abstract #7508)CLLは、西欧諸国では頻度の多い疾患であるが、アフリカやアジアでは少なく、発症率や予後に、人種差が影響するかどうかは、明らかではなかった。本発表では、National Cancer Databaseに2004~18年に登録されたアメリカのCLL患者を解析している。9万7,804例のうち、8万8,680例(90.7%)が白人、7,391例(7.6%)が黒人、2,478例(2.6%)がヒスパニック、613例(0.6%)がアジア人であった。今回は、この中で、白人と黒人を比較している。黒人の方が、診断時の年齢が66歳(vs.70歳)と若く、合併症を有する割合も27.9%(vs.21.3%)と多かった。さらに、次の項目(女性患者、非保険加入者、低所得者)の割合が黒人で多かった。また、CLLの治療を、診断時すぐに開始された割合も35.9%(vs.23.6%)と多く、OSは短い(中央値:7.00年vs.9.14年)ことがわかった。CLLの病態に人種差がどのように影響しているかは不明だが、経済力の差などが、診断時期や治療法の選択にも影響している可能性もあり、それがOSの差に反映していると思われる。GEMSTONE-201: Preplanned primary analysis of a multicenter, single-arm, phase 2 study of sugemalimab (suge) in patients (pts) with relapsed or refractory extranodal natural killer/T cell lymphoma (R/R ENKTL). (Abstract #7501)R/R ENKTLの予後はきわめて不良である(OS中央値は7ヵ月未満、1年OSは20%未満)。本試験では、R/R ENKTLに対する抗PDL1抗体薬(sugemalimab)の第II相試験(GEMSTONE-201試験)の最初の解析結果が報告された(追跡期間の中央値が13.4ヵ月時点)。対象となった患者は、80例(年齢中央値:48歳、男性:64%、前治療が2ライン以上:49%、前治療に抵抗性:46%)であり、Suge 1,200mgを3週に1回投与し、最長24ヵ月投与した。主要評価項目のORRは、46.2%であった。また、副次評価項目のCR率は、37.2%であり、12ヵ月時点のDORは、86%であった。探索的評価項目の全生存率は、12ヵ月時点で68.6%であった。G3以上の有害事象は39%(治療薬関連は16%、そのうち重篤な有害事象は6.3%)でみられ、最も高頻度にみられたirAEは、甲状腺機能低下症が16%にみられた。R/R ENKTLに対する抗PDL1抗体薬は、その有効性と安全性のバランスから期待できる治療薬と考える。Primary results from the double-blind, placebo-controlled, phase III SHINE study of ibrutinib in combination with bendamustine-rituximab (BR) and R maintenance as a first-line treatment for older patients with mantle cell lymphoma (MCL). Abstract #LBA7502初発の自家移植非適応の高齢MCL患者(65歳以上)に対するBRX6サイクル+R維持療法(2ヵ月ごと2年間)と、その治療に最初からイブルチニブ560mg(or プラセボ)を上乗せし、イブルチニブ(or プラセボ)は、PDあるいは毒性中止となるまで継続する治療を比較した第III相比較試験のSHINE試験の結果がLate break abstractとして報告され、同日のNEJM誌にPublishされた。イブルチニブ群259例とプラセボ群260例が治療を受けた。主要評価項目のPFSの中央値は、80.6と52.9ヵ月であり、HR:0.75(0.59~0.96)と有意にイブルチニブを併用した治療で約2年のPFSの延長がみられた。ハイリスク症例(BlastoidタイプあるいはTP53変異あり)でも、イブルチニブ群でPFSが良い傾向にあったが、症例数が少なく、有意差は認めなかった。TTNTもHR:0.48(0.34~0.66)でイブルチニブ群で延長がみられた。イブルチニブ群では、G3/4の有害事象として、出血(3.5%)、心房細動(3.9%)、高血圧(8.5%)、関節痛(1.2%)を認めた。ただし、OSについては、HR:1.07(0.81~1.40)で差を認めていない。SHINE試験で、初めて、初発の高齢MCL患者に対するイブルチニブの有用性(併用効果)が示され、今後、標準治療の変更が見込まれる結果となった。多発性骨髄腫関連Major risk factors associated with severe COVID-19 outcomes in patients with multiple myeloma: Report from the National COVID-19 Cohort Collaborative (N3C). (Abstract #8008)NCATS’ National COVID Cohort Collaborative (N3C)のデータベースを用い、MM患者におけるCOVID-19の重症化のリスクを解析している。本データベースには、2万6,064例のMM患者が登録(うちCOVID-19 陽性は8,588例)されていた。多変量解析によって、肺疾患、腎疾患の既往は重症化のリスクであったが、糖尿病、高血圧は有意なリスクとはならなかった。喫煙は、むしろリスクが低い傾向があった。造血幹細胞移植、COVID-19ワクチン接種は有意に重症化リスクを下げた。一方、IMiDs、PI、デキサメサゾン治療は死亡リスクを上昇させたが、ダラツムマブ治療はリスクとはならなかった。1.93%のMM患者がCOVID-19感染10日以内に、4.47%のMM患者が30日以内に死亡した。本発表は、世界での最大級のデータベースを解析したものであり、COVID-19流行下のMM診療に役立つと思われる。Teclistamab, a B-cell maturation antigen (BCMA) x CD3 bispecific antibody, in patients with relapsed/refractory multiple myeloma (RRMM): Updated efficacy and safety results from MajesTEC-1. (Abstract #8007)BCMAとCD3に対する二重抗体薬 teclistamabの第I/II相MajesTEC-1試験の最新のデータが発表された。対象となった患者165例(第I相:40例、第II相:125例)は、前治療のライン数が5(2~14)で74%が4ライン以上であった。また、78%がトリプルクラス抵抗性、30%がペンタドラッグ抵抗性であり、90%が最後の治療に抵抗性の状態であった。Tecは、1.5mg/kgを週1回、皮下注で投与する方法が推奨用量であった。有効性の評価では、ORRは63%で、VGPR以上は58.8%、CR以上は39.4%であった。DORの中央値は18.4ヵ月、12ヵ月時点のDORは68.5%であり、CR以上が得られた患者では80.1%であった。PFSの中央値は11.3ヵ月、OSの中央値は18.3ヵ月であった。有害事象については、CRSは、72.1%でみられたが、G3は1例(0.6%)でG4/5はなかった。CRS発現は2日目(1~6)にみられ、2日間(1~9)続いた。治療関連死は5例(COVID-19 2例、肺炎1例、肝不全1例、PML1例)、AEによる減量は1例だけであった(21サイクル目)。BCMAを標的とするCAR-T療法よりは効果が落ちるものの、Off the shelfの薬剤であり、大いに期待される。Daratumumab carfilzomib lenalidomide and dexamethasone as induction therapy in high-risk, transplant-eligible patients with newly diagnosed myeloma: Results of the phase 2 study IFM 2018-04. (Abstract #8002)フランスのグループ(IFM)で実施されたHigh riskの染色体異常(CA)(t[4;14]、 del[17p]、 t[14;16]のいずれか)を有する移植適応のある初発MM患者を対象としたDara-KRD(6サイクル)+Auto(MEL200)+Dara-KRD(4サイクル)+2回目Auto(MEL200)+Dara-Len維持療法(2年)の第II相試験(IFN 2018-04試験)の寛解導入Dara-KRD治療の結果が報告された。50例の患者がエントリーされた。Del(17p)が20例、t(4;14)が26例、t(14;16)が10例、Gain(1q)は25例、前記の2以上のCAを有しているのは34例であった。46例が6サイクル完遂でき、2例はAE(COVID-19感染と腫瘍崩壊症候群)で中止、2例はPD中止となった。6例が2回Auto分のPBSCHに失敗したため、Dara-KRD(3サイクル)後にPBSCHを実施したところ、全例、PBSCHに成功した。ORRは96%、VGPR以上は91%、MRD測定(NGS)を行った37例中、MRD陰性であったのは、62%であった。今後、この治療法は続きがあるが、寛解導入部分の有効性、安全性は評価できると考える。白血病関連Overall survival by IDH2 mutant allele (R140 or R172) in patients with late-stage mutant-IDH2 relapsed or refractory acute myeloid leukemia treated with enasidenib or conventional care regimens in the phase 3 IDHENTIFY trial. (Abstract #7005)AMLにおいて、8~19%の症例で、IDH2遺伝子変異がみられ、IDH2遺伝子変異には、R140Q変異(75%)とR172K変異(25%)がある。変異IDH2阻害剤のenasidenibは、IDH2遺伝子変異を有する高齢R/R AML患者に対し、通常の治療(AZA、CA少量、BSC)と比較しOSの延長は認められなかった(IDHENTIFY試験)。今回の解析では、R140変異とR172変異に分けて解析している。R140と比較し、R172では併存する変異遺伝子の数が、少なかった。また、R140ではSRSF2、FLT3、NPM1、RUNX1遺伝子の変異を伴うのが多かったが、R172では、DNMT3A、TP53の変異が多かった。このことが影響したためか、R140では、OSに差を認めなかったが、R172においては、有意に、enasidenibが、通常治療よりもOSを延長した(14.6ヵ月 vs.7.8ヵ月)。遺伝子変異に基づいた治療法の選択は今後、ますます重要になると思われ、興味深い発表と考える。Efficacy and safety results from ASCEMBL, a phase 3 study of asciminib versus bosutinib (BOS) in patients (pts) with chronic myeloid leukemia in chronic phase (CML-CP) after >2 prior tyrosine kinase inhibitors (TKIs): Week 96 update.  (Abstract #7004)2ライン以上のTKIによる前治療歴があり、それらのTKI治療に抵抗性・不耐容のCML患者に対し、従来のTKIが結合するATP結合サイトとは異なるミリストイルポケットを標的とするasciminibとボスチニブを比較した第III相試験のASCEMBL試験のフォローアップデータが発表された。最初の解析時点から16.5ヵ月経過した2.3年時点での結果である。157例がasciminib、76例がボスチニブに割り付けられ、84例(53.5%)と15例(19.7%)が治療継続しており、治療効果不十分のため中止となった症例は、38例(24.2%)と27例(35.5%)であった。96週時点のMMR率(副次評価項目)は、37.6%と15.8%であり、有意にasciminibが優れていた(主要評価項目の24週時点のMMR率は25.5%と13.2%であった)。内服期間の中央値も23.7ヵ月と7.0ヵ月で、asciminibが長かった。asciminibでボスチニブよりも多くみられたAEは、血小板減少であり、ボスチニブでみられる下痢、嘔気・嘔吐、皮疹、肝障害は、明らかに少なかった。今回の結果から、asciminibは、既存のTKIに抵抗性・不耐容のCML患者の長く継続できる新たな治療薬として、再認識され、現在、日本でも保険適用で使用可能となった。おわりに以上、ASCO 2022で発表された血液腫瘍領域の演題の中から10演題を紹介しました。昨年のASCO 2021でも10演題を紹介いたしましたが、今年も昨年と同様に、どの演題も今後の治療を変えていくような結果であるように思いました。来年以降も現地開催に加えてWEB開催を継続してもらえるならば、ASCO 2023にオンライン参加をしたいと考えています。(でも、もう少し参加費を安くしてほしい、特に、円安の今日この頃(笑))

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多発性骨髄腫に対する二重特異性抗体薬teclistamabの有用性(MajesTEC-1)/ASCO2022

 再発難治の多発性骨髄腫(RR/MM)に対してBCMAとCD3に対する二重特異性抗体薬teclistamabの有用性を見た第I/II相MajesTEC-1試験。昨年のASH2021(米国血液学会)で発表された本試験の最新データを、米国エモリー大学のAjay K. Nooka氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表し、同日にNEJM誌に掲載された。・対象:プロテアソーム阻害薬、免疫調節薬、抗CD38抗体の3剤併用を含む3ライン以上の治療歴のあるRR/MM患者・試験群:teclistamab:0.06と0.3mg/kgのステップアップ投与後、1.5mg/kgの皮下注・評価項目:[主要評価項目]全奏効率(ORR)[副次評価項目]奏効期間(DOR)、微小残存病変(MRD)の有無、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)など 主な結果は以下のとおり。・165例が組み入れられた。年齢中央値は64(33〜84)歳、うち75歳以上が14.5%、58%が男性で、前治療回数の中央値は5(2〜14)だった。・追跡期間中央値14.1ヵ月におけるORRは63.0%(95%信頼区間[CI]:55.2~70.4)、65例(39.4%)が完全奏効(CR)以上だった。44例(26.7%)はMRD陰性で、CR以上におけるMRD陰性率は46.2%だった。・DOR中央値は18.4ヵ月(95%CI:14.9~推定不能)、PFS中央値は11.3ヵ月(95%CI:8.8~17.1)だった。・主な有害事象は、サイトカイン放出症候群(CRS)が72.1%(Grade3が0.6%、Grade4なし)、好中球減少症が70.9%(Grade3/4が64.2%)、貧血が52.1%(Grade3/4、37.0%)、血小板減少症が40.0%(Grade3/4が21.2%)などだった。感染症は76.4%(Grade3/4が44.8%)で発生し、有害事象による試験中止は2例、減量が1例だった。 著者らは「teclistamabはRR/MM患者において高い確率で持続的で深い奏効をもたらした。好中球減少症と感染症が多くみられたが、T細胞応答に一致する毒性作用はほとんどがGrade1/2で、新たな毒性は見られなかった。現在第III相試験に向けた準備が進んでいる」としている。

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多発性骨髄腫患者におけるCOVID-19重症化のリスク因子の検討/ASCO2022

 米国立衛生研究所(NIH)のNational COVID Cohort Collaborative(N3C)データベースを用いた解析により、肺疾患および腎疾患の既往、がん治療などが多発性骨髄腫患者のCOVID-19重症化リスクを高めることが示された。米国・Auburn大学のAmit Kumar Mitra氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。 高齢者に発症頻度が高い形質細胞腫瘍である多発性骨髄腫は、しばしば免疫不全を呈することから、COVID-19の重症化リスクを高める可能性がある。同研究では、NIHのNational Center for Advancing Translational Sciences(NCATS)が主導する全国一元公開データベースであるN3Cのデータセットを使用し、多発性骨髄腫患者のCOVID-19の重要化や死亡に関連するリスク因子について解析を行った。・対象:N3Cデータセットに登録された多発性骨髄腫患者26,064例の中で、COVID-19陽性が確認された8,588例・方法:多変量解析により多発性骨髄腫患者のCOVID-19重症化および死亡のリスク因子を検討・評価項目:COVID-19重症化、死亡に関するリスク因子 主な結果は以下のとおり。・対象患者の年齢(中央値)は65.9歳、46.8%が女性であり、喫煙歴は25.0%にみられ、腎疾患、肺疾患、糖尿病の既往歴はそれぞれ26.7%、19.8%、27.0%であった。・対象患者の55.8%は入院または救急搬送を要し、12.2%は入院中に急性腎障害を発症、3.2%は人工呼吸器を装着した。また、COVID-19の重症度については、17.8%が軽症(うち3.7%が救急搬送)、18.3%が中等度、0.9%が重症であり、6.7%がCOVID-19により死亡した。・ロジスティック回帰分析からは、肺疾患や腎疾患の既往、多発性骨髄腫のStage(中等度~重度)などがCOVID-19の重症化リスクを高め、ワクチン接種が重症化リスクを低下させていた。また、糖尿病の既往や多発性骨髄腫のStage(中等度~重度)などが死亡リスクを高め、ワクチン接種は死亡リスクも減少させていた。なお、喫煙歴はいずれのリスクとも相関していなかった。・多発性骨髄腫の治療との関連については、免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、デキサメタゾンがCOVID-19の重症化リスクを高め、プロテアソーム阻害薬は死亡のリスクも高めていた。一方で、骨髄移植はCOVID-19の重症化および死亡のリスクを低下させていた。

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移植適応のある高リスク多発性骨髄腫に対する4剤併用による寛解導入療法(Dara-KRd)の効果/ASCO2022

 ダラツムマブ(Dara)とカルフィルゾミブ/レナリドミド/デキサメタゾン(KRd)併用による4剤導入療法(Dara-KRd)は、高リスクな新規に診断された移植適応のある多発性骨髄腫(TE-NDMM)患者に対する寛解導入療法として有用であることが、第II相試験(IFM 2018-04)から示された。フランス・University Hospital Hotel-DieuのCyrille Touzeau氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。  KRdによる導入療法と移植は、高リスクなTE-NDMM患者に対して有用であることが知られている。また、この効果は導入療法にDaraを加えることや、タンデム移植(2回の移植)によってさらに高まることが報告されている。本試験は、フランスのグループ(IFM)が実施したオープンラベルの第II相試験で、Dara-KRdによる寛解導入療法を含めた高リスクのTE-NDMM患者に対する強化療法の実行可能性および有用性について検討した。・対象:高リスク[染色体転座 t(4;14)またはt(14;16)、17番染色体短腕欠失(del17p)を検出]の TE-NDMM患者(50例)・方法:Dara-KRd(6サイクル)による導入療法、幹細胞採取、自家幹細胞移植(ASCT)、Dara-KRd(4サイクル)による地固め療法、2回目のASCT、ダラツムマブとレナリドミド併用による維持療法を実施・評価項目:[主要評価項目]実行可能性(70%以上の患者が2回目のASCTまで到達)[副次評価項目]安全性、奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)など 主な結果は以下のとおり。・年齢中央値は57歳で、骨髄染色体検査ではdel17pが40%、 t(4;14)が52%、t(14;16)が20%に認められ、68%の患者は2つ以上の細胞遺伝学的異常を有していた。・データカットオフの時点(2022年4月25日)で、55例中36例(72%)が治療継続中(地固め療法11例、2度目のASCT 1例、維持療法24例)で、14例(28%)が疾患進行や有害事象(AE)、幹細胞採取失敗などの理由で治療を中断していた。・Dara-KRd導入療法の忍容性は良好で、Grade 3/4のAEは少なかった。・評価が可能であった48例において、ORRは96%であった。また、追跡期間中央値19.4ヵ月において、12ヵ月PFS率は96%、12ヵ月OS率も96%であった。

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新規抗体薬teclistamab、再発・難治性多発性骨髄腫に有効/NEJM

 新規の抗体製剤teclistamabは、3クラスの薬剤(免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、抗CD38抗体)の投与歴がある再発・難治性多発性骨髄腫の治療において、深く持続的な奏効を高率にもたらし、安全性も良好であることが、フランス・University Hospital Hotel-DieuのPhilippe Moreau氏らが実施した「MajesTEC-1試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年6月5日号に掲載された。teclistamabは、T細胞表面に発現しているCD3と、骨髄腫細胞表面に発現しているB細胞成熟抗原(BCMA)の双方を標的とし、T細胞の活性化とそれに続くBCMA発現骨髄腫細胞の溶解を誘導するT細胞再指向型二重特異性抗体で、本試験の用量設定第I相試験で有望な有効性が確認されていた。9ヵ国の第I/II相試験の結果 MajesTEC-1試験は、再発・難治性多発性骨髄腫患者の治療におけるteclistamabの有効性と安全性の評価を目的とする国際的な多施設共同臨床試験であり、今回は、第I/II相試験の結果が報告された(Janssen Research and Developmentの助成による)。本試験では、2020年3月~2021年8月の期間に、9ヵ国35施設で参加者の登録が行われた。 対象は、年齢18歳以上、国際骨髄腫作業部会(IMWG)の診断基準で再発・難治性骨髄腫と診断され、免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、抗CD38抗体を含む、少なくとも3つの治療ラインを施行され、全身状態の指標であるEastern Cooperative Oncology Group performance-status(ECOG PS)が0または1の患者であった。 被験者は、teclistamab 0.06mg/kgおよび0.3mg/kgを2~4日間隔で漸増投与後に、全用量1.5mg/kgを週1回、皮下投与された。1サイクルの期間は、第I相試験が21日、第II相試験は28日だった。teclistamabの投与は、病勢進行、許容できない毒性、同意の撤回、死亡、試験終了(最後に登録された患者への初回投与から2年後と定義)のいずれかが発生するまで継続された。 主要評価項目は全奏効(部分奏効以上)であった。感染症、サイトカイン放出症候群、血球減少の頻度が高い 165例(第I相試験40例、第II相試験 125例)が登録された。年齢中央値は64歳(範囲:33~84歳)で、女性が69例(41.8%)であった。前治療ライン数中央値は5(範囲:2~14)で、148例(89.7%)が直近の前治療ラインに抵抗性であり、128例(77.6%)が3クラスの薬剤(少なくとも1種の免疫調節薬、少なくとも1種のプロテアーゼ阻害薬、少なくとも1種の抗CD38抗体)に抵抗性、50例(30.3%)が5薬剤(少なくとも2種の免疫調節薬、少なくとも2種のプロテアーゼ阻害薬、少なくとも1種の抗CD38抗体)に抵抗性だった。 追跡期間中央値14.1ヵ月(範囲:0.3~24.4)の時点で、全奏効は165例中104例(63.0%、95%信頼区間[CI]:55.2~70.4)で達成された。また、最良部分奏効以上は97例(58.8%)、完全奏効以上は65例(39.4%)で得られた。 44例(26.7%)では、微小残存病変(MRD)が認められなかった。完全奏効以上の患者におけるMRD陰性割合は46%(30/65例)であった。 奏効は持続的で深く、奏効期間中央値は18.4ヵ月(95%CI:14.9~評価不能)、無増悪生存期間中央値は11.3ヵ月(95%CI:8.8~17.1)、全生存期間中央値は18.3ヵ月(95%CI:15.1~評価不能)だった。 有害事象では、サイトカイン放出症候群(72.1%[119例]、このうちGrade3は0.6%[1例]、Grade4は0%)の頻度が高かったが、これにより投与が中止された患者はいなかった。そのほか、好中球数減少(70.9%、Grade3/4は64.2%)、貧血(52.1%、Grade3/4は37.0%)、血小板減少(40.0%、Grade3/4は21.2%)の頻度が高かった。 感染症の頻度も高かった(76.4%[126例]、Grade3/4は44.8%[74例])。また、神経毒性イベントが24例(14.5%、Grade4が1例)で発現した。このうち5例(3.0%、すべてGrade1/2)の9件のイベントは免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群で、7件はサイトカイン放出症候群と同時に発現したが、9件とも投与中止や減量をせずに消退した。 著者は、「この集団において深い持続的な奏効が高い割合で達成されたことは、本薬剤がより広範な患者集団に臨床的利益をもたらす可能性を示している」としている。

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RVd±ASCTとレナリドミド維持療法による新規診断多発性骨髄腫の進展抑制効果(DETERMINATION)/ASCO2022

 レナリドミド、ボルテゾミブ、デキサメサゾン併用療法(RVd)の後に自家造血幹細胞移植(ASCT)を行う治療法は、RVdと比較して無増悪生存期間(PFS)を延長するが、6年を超える追跡期間で全生存期間(OS)には差がないことが、第III相無作為化試験であるDETERMINATION 試験の結果から示された。米国・ハーバード大学のPaul G. Richardson氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。 前処置として高用量のメルファランを投与するASCTは、移植適格の新規多発性骨髄腫(NDMM)患者に対する標準治療とされてきた。その一方で、最近はRVdによる導入療法やレナリドミドによる長期維持療法などの有効性が明らかとなり、移植適格NDMM患者に対する治療法は進化している。同試験では、現在の治療においてもASCTは移植適格NDMMに対する導入療法として有用であるかが検証された。・対象:1サイクルのRVd後レナリドミド維持療法を行ったNDMM患者(722例)・試験薬:RVd+ASCT(365例)→レナリドミド維持療法(310例)・対照薬:RVd→レナリドミド維持療法(357例)・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、QOL、安全性など 主な結果は以下のとおり。・PFR中央値は試験薬群で67.7ヵ月、対照薬群で46.2ヵ月であり、試験薬群で有意に高かった(ハザード比:1.53、95%信頼区間:1.23~1.91、p<0.0001)。・6年以上におよぶ追跡期間においてOSは両群間に差が認められず、5年OS率は試験薬群で80.7%、対照薬群で79.2%であった。・試験薬群と対照薬群でそれぞれORRは97.5%、95.0%、非常に良い部分奏効(VGPR)以上は82.7%、79.6%、完全寛解(CR)以上は46.8%、42.0%であった。・維持療法開始時点での微小残存病変陰性化率は、試験薬群で54.4%、対照薬群で39.8%であった。・治療期間中を通じて有害事象(AE)の管理は可能であったが、Grade3以上の治療関連有害事象の発現率は試験薬群と治療薬群でそれぞれ41.9%と26.1%、重篤なAEの発現率は維持療法前が47.1%と40.3%、維持療法中が16.6%と11.3%であった。Grade5のAEは試験薬群で1.6%、対照薬群0.3%で発現した。

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高カルシウムだったら疑いたいMAH【知って得する!?医療略語】第11回

第11回 高カルシウムだったら疑いたいMAH高カルシウム(Ca)血症に遭遇した時に注意することを教えてください高Ca血症を見かけたら、悪性疾患も鑑別に想定します。悪性疾患に伴う高Ca血症と言っても、鑑別すべき病態は複数あるので注意が必要です。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】MAH【日本語】悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症・悪性腫瘍随伴高カルシウム血症【英字】malignancy-associated hypercalcemia【分野】腫瘍関連【診療科】全診療科【関連】局所骨溶解性高Ca血症(LOH:local osteolytic hypercalcemia)腫瘍随伴体液性高Ca血症(HHM:humoral hypercalcemia of malignancy)PTH非依存性活動性ビタミンD産生腫瘍(悪性リンパ腫)異所性PTH産生腫瘍実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。最近、ハッとしたことがありました。高Ca血症の鑑別を考えたとき、悪性腫瘍に伴う高Ca血症(MAH:malignancy-associated hypercalcemia)について、筆者自身が悪性疾患を念頭に置いてどれくらい血清Ca値に注意を払えていただろうか、という振り返る機会があったからです。高Ca血症の鑑別は多岐に及びますが、悪性腫瘍に関連する高Ca血症の病態だけでも、以下のように複数挙げられます。悪性腫瘍に関連した高カルシウム血症腫瘍随伴体液性高Ca血症(HHM:humoral hypercalcemia of malignancy)(腫瘍細胞からのPTHrP過剰産生に基づく全身性液性機序)局所骨溶解性高Ca血症(LOH:local osteolytic hypercalcemia)(多発性骨髄腫・悪性疾患骨転移)悪性リンパ腫による活性型ビタミンD過剰産生異所性PTH産生腫瘍ただ、臨床現場では、血清Ca値の結果報告は、未補正値のみが表示されることが多く、意識してアルブミン値で補正しないと、軽度の高Ca血症は見落としてしまう可能性があります。また、血清Ca値が正常範囲内でも、過去のデータと見比べると上昇傾向になっている場合もあります。このため、過去のデータとの比較が重要となってきます。また、薬剤が血清Ca値を修飾する場合があります。高齢女性では骨粗鬆症の治療薬を使用している場合も多く、たとえばビスホスホネート製剤はその血中Ca濃度の低下作用から、血清Ca値の上昇をマスクしてしまう可能性も否定できません。血清Ca値を悪性疾患の早期発見やスクリーンニングという観点で利用することは難しいです。しかし、血清Caに異常を認めたときは悪性疾患をしっかり想定する必要があり、未診断の悪性疾患が潜んでいる可能性をきちんと想起したいものです。しばらく経ってから悪性疾患が見つかるという事態は極力避けたい状況であり、日常臨床で当たり前に検査している血清Caの解釈には、より一層の注意を払いたいと感じます。1)井上 大輔. 日内会誌. 2020;109:740-745.2)福原 傑. 日腎会誌. 2017;59:598-605.

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がん患者でのブレークスルー感染リスクと転帰/JCO

 米国で最大のCOVID-19症例と対照の全国コホートを運営するNational COVID Cohort Collaborative Consortiumが、ワクチン接種を受けたがん患者のブレークスルー感染リスクと転帰について調査した結果が、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年3月14日号で報告された。がん患者、とくに血液腫瘍患者はブレークスルー感染と重篤な転帰のリスクが高かったが、ワクチン接種患者ではブレークスルー感染リスクが著明に低下することが示唆された。 本研究では、新型コロナウイルス感染の記録がなく、mRNAワクチンを1回もしくは2回接種し、2020年12月1日~2021年5月31日にブレークスルー感染した患者をNational COVID Cohort Collaborativeを用いて特定した。ブレークスルー感染リスクと転帰について、ロジスティック回帰を使用して分析した。 主な結果は以下のとおり。・ワクチン接種集団においてブレークスルー感染を6,860例に認め、うち1,460例(21.3%)ががん患者だった。・固形腫瘍および血液腫瘍患者は、がん患者以外と比較して、ブレークスルー感染(オッズ比[OR]:1.12、95%CI:1.01〜1.23およびOR:4.64、95%CI:3.98〜5.38)および重篤な転帰(OR:1.33、95%CI:1.09〜1.62およびOR:1.45、95%CI:1.08〜1.95)のリスクが有意に高かった(年齢、性別、人種/民族、喫煙状況、ワクチンの種類、ワクチン接種日を調整)。・血液腫瘍患者は、固形腫瘍患者に比べてブレークスルー感染リスクが高かった(調整ORはリンパ腫の2.07からリンパ性白血病の7.25の間)。・ブレークスルー感染リスクはワクチン2回目接種後、すべてのがん患者で低かった(OR:0.04、95%CI:0.04〜0.05)。また、BNT162b2ワクチン(ファイザー製)よりmRNA-1273ワクチン(モデルナ製)でリスクが低く(OR:0.66、95%CI:0.62〜0.70)、とくに多発性骨髄腫患者で低かった(OR:0.35、95%CI:0.15〜0.72)。・免疫抑制が強く、骨髄移植を伴う薬物療法は、ワクチン接種集団のブレークスルー感染リスクと強く関連していた。

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CAR-T ide-cel、多発性骨髄腫に国内承認/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2022年1月20日、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするCAR-T細胞療法イデカブタゲン ビクルユーセル(製品名:アベクマ)について、再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象とした再生医療等製品製造販売承認を取得した。再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象にしたCAR-T療法の承認取得は今回が国内初。 今回の承認取得は、国際共同第II相試験(実施地域:日本・米国・欧州・カナダ)、ならびに海外第I相試験(実施地域:米国)で得られた有効性および安全性の結果に基づいている。 国際共同第II相試験(外国人コホート128例、日本人コホート9例)では、主要評価項目とした全奏効割合は、外国人コホート128例において73.4%であり、統計的に有意であった。日本人コホート9例の全奏効割合は88.9%であった。  海外第I相試験において、全奏効割合は全体(62例)で74.2%、承認用量範囲である目標用量450×106個(38例)では84.2%であった。 国際共同第II相試験において、イデカブタゲン ビクルユーセルが投与された137例(日本人患者9例を含む)中134例(97.8%)に副作用が認められた。主な副作用は、サイトカイン放出症候群(84.7%)、好中球減少症(59.9%)、血小板減少症(45.3%)、貧血(38.0%)、白血球減少症(27.7%)、疲労(16.1%)、リンパ球減少症(14.6%)、低γグロブリン血症(11.7%)、発熱(10.2%)等であった。 また海外第I相試験においては、62例中55例(88.7%)に副作用が認められた。主な副作用は、サイトカイン放出症候群(75.8%)、好中球減少症(41.9%)、血小板減少症(40.3%)、貧血(38.7%)、疲労(32.3%)、白血球減少症(27.4%)、リンパ球減少症(16.1%)、悪心(14.5%)、頭痛(14.5%)、低リン酸血症(12.9%)、上気道感染(11.3%)等であった。

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イサツキシマブ、再発難治多発性骨髄腫に対する3レジメンが追加承認/サノフィ

 2021年11月、サノフィは再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬である抗CD38モノクローナル抗体イサツキシマブ(商品名:サークリサ)における、カルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用療法、単剤療法およびデキサメタゾン併用療法に関する承認事項一部変更を発表した。 12月17日に行われたプレスセミナーでは、日本赤十字社医療センターの鈴木 憲史氏、岡山医療センターの角南 一貴氏がイサツキシマブの各療法の承認に至った試験概要や新たな治療法への期待について講演した。イサツキシマブがIsaPdレジメンに加えて3レジメンに追加承認 多発性骨髄腫は日本における新規罹患者数は約7,700人(2018年)、死亡者数は約4,400人(2019年)、比較的高齢者に多く発症する。治療法は移植と薬物療法が中心で、複数の治療薬が承認されており、ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾンのVRd療法をはじめとした多くの併用レジメンがある。薬剤の発達により予後は改善しているが、細胞遺伝学的高リスクや腎機能障害を合併などでは予後不良となるケースが多く、再発難治には患者背景に合わせた複数の治療オプションが求められていた。 今回の承認によって再発難治の多発性骨髄腫に対するイサツキシマブのレジメンは以下の4つとなった(スラッシュ以下は承認の基となった試験名)。・イサツキシマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン(IsaPd)/ICARIA-MM試験・イサツキシマブ+カルフィルゾミブ+デキサメタゾン(IsaKd)/IKEMA試験・イサツキシマブ+デキサメタゾン(Isa+d)/TED10893試験・イサツキシマブ単剤/ISLANDs試験 「多発性骨髄腫は、再発ごとに治療可能期間が減少するため、早い段階で無増悪生存期間を最大化できる戦略が求められる。また、単剤ではなかなか制御できない疾患であり、薬剤の役割分担も重要。イサツキシマブは直接的な細胞死を誘導する作用機序があり、強力かつ長い効果が期待できる。駅伝でいえば花の2区走者になれるのではないか」(鈴木氏)。 「ISLANDs試験は日本人を対象とした日本発のエビデンスであり、抗体薬単剤のレジメンは国内初で、承認も日本のみとなっている。IsaPdやIsaKdの3剤併用レジメンはそれなりに強力なので、 Isa+dと単剤療法はフレイルの患者やポマリドミド・カルフィルゾミブが使いにくい患者の選択肢になるだろう」(角南氏)。

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