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骨粗鬆症閉経後女性に対するテリパラチド、追加投与も切り替えもベネフィットは同等

 アレンドロネート(ALN、商品名:ボナロン、フォサマック)やラロキシフェン(RLX、商品名:エビスタ)の治療を受けた骨粗鬆症閉経後女性に対して、テリパラチド(商品名:テリボン、フォルテオ)を追加併用することと同薬への切り換えとでは、同等のベネフィットをもたらすことが明らかにされた。米国・コロンビア大学のF. Cosman氏らによる無作為化試験の結果で、これまで、同アプローチ後の体積骨密度(vBMD)や骨強度への影響については明らかではなかった。Journal of Bone and Mineral Research誌オンライン版2012年12月21日号の掲載報告。 試験は、ALN投与(70mg/週、91例)またはRLX投与(60mg/日、77例)を18ヵ月間以上受けていた骨粗鬆症閉経後女性を、テリパラチド20μg/日を追加併用投与する群または切り替え投与する群に無作為に割り付け行われた。 ベースライン、6ヵ月、18ヵ月時点で定量的CTスキャンにてvBMDの変化を評価した。骨強度は、非線形有限要素解析法によって評価した。 主な結果は以下のとおり。・脊椎部では、vBMD中央値および骨強度は、すべての群でベースラインから増加した(13.2%~17.5%、p<0.01)。追加併用群と切り替え群で、有意な差はみられなかった。・RLX投与群において、股関節部vBMDと骨強度が、追加併用群では6ヵ月、18ヵ月時点で増大したが、切り替え群では増加は18ヵ月時点でのみ認められた。18ヵ月時点の骨強度は、追加併用群2.7%(p<0.01)、切り替え群3.4%(p<0.05)であった。・ALN投与群において、股関節部vBMDは追加併用群では増加したが、切り替え群では増加しなかった(6ヵ月時点0.9%対-0.5%、18ヵ月時点2.2%対0.0%、いずれも群間差のp≦0.004)。・また、18ヵ月時点で、股関節部骨強度は追加併用群では増大が認められたが(2.7%、p<0.01)、切り替え群では認められなかった(0%)。ただし、群間差は有意ではなかった(p=0.076)。・以上から、骨粗鬆症閉経後女性でALNまたはRLX治療後に、テリパラチドを追加併用または切り換えることのベネフィットは同程度である。・股関節部骨強度の増大が、より大きかった。・RLX投与群では、骨強度は追加併用群のほうがより速く増大した。ALN投与群では、ベースラインと比較した骨強度の有意な増大は、追加併用群でのみ認められた。

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閉経後女性、血中カロテノイドが高い人ほど骨粗鬆症リスクは低い

 閉経後日本人女性を対象とした前向きコホート研究の結果、カロテノイド(とくにβクリプトキサンチンとβカロテン)の血中濃度が高い人ほど、骨減少症および骨粗鬆症リスクが低いことが報告された。農研機構・果樹研究所の杉浦実氏らが、栄養疫学調査「三ヶ日町(静岡県浜松市)研究」の参加者を4年間追跡した結果、報告した。βクリプトキサンチンはみかんに、βカロテンはにんじんに豊富に含まれる。PLoS Oneオンライン版2012年12月20日号の掲載報告。 本研究は、先行疫学研究で、カロテノイドの摂取が高いことが骨の健康を保つのに有用であることが示されていたが、血中カロテノイドと骨密度(BMD)の変化との関連についてはほとんど知られていないことを受けて、血中カロテノイドと骨量減少とが関連するかを調べることを目的に行われた。 研究は、三ヶ日町研究に参加する男性146人と女性311人(閉経前99人、閉経後212人)の計457人を対象に行われた。 被験者は以前に行われたBMDサーベイに参加しており、その後4年間のフォローアップを完了した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ4年の間に、閉経後女性被験者のうち15人が、骨粗鬆症を新規発症した。一方、男性と閉経前女性被験者では発症者はいなかった。・男性と閉経前女性被験者において、ベースラインで測定した6つの血中カロテノイド類(リコペン、αカロテン、βカロテン、βクリプトキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン)と、骨量減少との関連はみられなかった。・一方、閉経後女性被験者においては、橈骨骨量の減少と、カロテノイド(とくにβカロテン)血中濃度とに逆相関の関連が認められた。・交絡要因を補正後、βカロテン血中濃度最高三分位値の最低三分位値に対する骨粗鬆症に関するオッズ比(OR)は0.24(95%CI:0.05~1.21)であり、同βクリプトキサンチンについては0.07(同:0.01~0.88)であった。・βクリプトキサンチンの血中濃度は、骨減少症や骨粗鬆症(両方またはどちらかの)リスクとも逆相関の関連が認められた(傾向のp=0.037)。・さらに後ろ向き解析の結果、試験期間中の骨粗鬆症骨粗鬆症(両方またはどちらか)を発症した被験者は、健常者群よりも、ベースラインでのβクリプトキサンチンとβカロテンの血中濃度が有意に低かったことが明らかになった。・以上の結果、閉経後女性被験者において、抗酸化物質のカロテノイド(とくにβクリプトキサンチンとβカロテン)は、橈骨BMDと逆相関の関連がある。

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Dr.岡田の膠原病大原則

第7回「実践!ステロイドの有害事象対策」第8回「大胆解説!欧州リウマチ学会SLE診療指針」第9回「手で診断!日常診療で膠原病を見逃すな」 第7回「実践!ステロイドの有害事象対策」「ステロイドの副作用を10個挙げなさい」。指導医がよくする質問のひとつですが、大切なのは副作用を予防するための適切な対策を取ることです。そのためには、どの副作用がいつ出現しやすいかを理解すること、そして有害事象に対する検査を適切に行い、検査値を正しく解釈することが必要です。 今回は、一歩進んだ骨粗鬆症対策として、実際のDXA(二重エネルギーX線吸収法)の読み方のコツに加え、消化器、心臓血管、免疫、眼、皮膚、内分泌・代謝、精神神経、皮膚の副作用に関して、実践的な視点から解説します。 本当は防げたかもしれないステロイドの有害事象で後悔しないために、ルーチン対策をもう一度しっかりと押さえておきましょう!第8回「大胆解説!欧州リウマチ学会SLE診療指針」自己免疫疾患は、膠原病のみならず、消化器内科、内分泌科、神経内科など多くの診療科で見受けられます。全身型自己免疫疾患の代表であるSLEの病態をしっかり把握することによって、臓器別自己免疫疾患に関しても理解を深められます。 今回は、臨床医が知っておくと役立つ免疫系の仕組みを、豊富な図とともに解説。そして、SLEの症例を用いながら、2008年に出された欧州リウマチ学会のSLE診療指針に沿って詳しく見ていきます。 これまでは断片的に理解されがちだった臨床免疫を、明快で二度と忘れないビジュアル免疫学としてマスターしましょう!また、ループス腎炎を例に、臨床医として即役立つ腎臓疾患の考え方について、単純化した図解でお届けします。第9回「手で診断!日常診療で膠原病を見逃すな」手を見て診断をつけられる膠原病は実はたくさんあります。爪周囲紅斑、爪床毛細血管異常、爪上皮延長、ゴットロン徴候、強皮などは、臨床症状と組み合わせれば特異度の高い所見となります。皮膚筋炎、全身性硬化症は決して珍しい疾患ではないのです。 また早期診断で、間質性肺炎、肺動脈性肺高血圧症を発見し、早期治療できれば予後が改善します。特発性と思われていた間質性肺炎が治療に反応の良い膠原病肺であったり、年のせいだと思っていた息切れが肺高血圧症であったり。有効な治療が確立した現在では、早期診断は患者さんのQOLに大きく影響します。 「何かおかしい」と思った時は、“絨毯爆撃検査”をする前に身体所見で検査前確率をアップさせましょう

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聖路加GENERAL 【内分泌疾患】

第1回「脳卒中から自殺未遂まで」第2回「消化性潰瘍、高血圧、便秘から見つかった内分泌疾患」第3回「あなたのせいではありません」 第1回「脳卒中から自殺未遂まで」内分泌疾患は発見が難しいと言われています。それは、ホルモンを産生する場所に症状が現れるとは限らないからです。他の疾患と間違って診断をされて、発見が遅れることもしばしばあります。まずは、次の症例の状況からどのように内分泌疾患を見つけ出せるかを考えてみてください。・朝、床に倒れているところを家族に発見された女性は、右足に麻痺もあり、脳梗塞疑いで入院した。・呼吸苦と下肢の浮腫で内科を受診した女性は、心不全疑いでラシックス静注し、帰宅した。・周囲とのトラブルが多く、自殺未遂まで起こした女性は、動悸、胸痛で検査を受けたが、問題なく、経過観察になった。ここでまず重要なのは問診です。内分泌疾患の症状は、なかなか患者自身が訴えることがありませんから、積極的に訊くことが診断の第一歩です。問診の際、どのような症状から疑うのか、どのような手順で診断するのか、どのような治療をすればよいのかを、症例をもとに具体的に解説します。第2回「消化性潰瘍、高血圧、便秘から見つかった内分泌疾患」「ある女性患者は、10年前からさまざまな症状に悩まされ、入退院を繰り返していた。大腿骨頚部骨折をきっかけに骨粗鬆症の検査を受けたところ、副甲状腺機能亢進症と診断。結局、10年間に発症した消化性潰瘍や膵炎は、副甲状腺機能亢進症による高カルシウム血症が原因だったことがわかった」副甲状腺の異常を見つけるためには、カルシウムを測るのが最も簡単な方法です。ところが、一般の健康診断の項目にカルシウムが入っていることは少ないようです。アメリカでは、カルシウムを標準的に測るようにしてから、副甲状腺機能亢進症が7倍も多く見つかったというデータがあります。副甲状腺異常を発見・治療するための勘所を解説します。第3回「あなたのせいではありません」第3回は甲状腺機能低下症について解説します。第1回の甲状腺機能亢進症と同様に、重要なのは問診です。「禁煙したら太ってキーボードが打てなくなった男性」、「言葉がはっきりしなくなったアルコール性肝障害患者」、「両手にしびれが出てきた欝患者」など、今回はさらにバラエティに富んだ症例が出ますが、このような状況から、内分泌疾患をどのように見つけ出せばよいでしょうか。特に、最近急増しているうつなどの精神疾患の中にも内分泌疾患が隠れている場合があります。どのような症状から疑うのか、そして診断の手順、治療法について症例をもとに具体的に解説します。

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骨粗鬆症治療薬アドヒアランス良好でも骨折リスクが高い患者の特性が明らかに

 骨粗鬆症治療薬アレンドロネートの服薬遵守により過剰なリスクは軽減されるが、多くの患者の骨折リスクは高いまま残存する。南デンマーク大学のAbrahamsen B氏らは、それら患者の特性を明らかにするため、全国処方レジストリデータを分析し、骨粗鬆症性骨折の新たなリスク因子の同定を行った。その結果、一般集団やFRAX評価集団と比べリスク因子のパターンがやや異なる結果が得られ、一部患者(潰瘍性疾患、認知症)で正しく服用されていない可能性があること、男性さらにグルココルチコイド服用者ではリスクが低いことなどが明らかとなったと報告した。Osteoporos Int誌オンライン版2012年10月16日号の掲載報告。 デンマーク全国処方レジストリのうち、3万8,088例のアレンドロネート新規服用者を同定し分析した。 処方薬入手率>80%の患者における、初回処方後6ヵ月以降の重大骨粗鬆症性骨折をアウトカムとし評価した。 主な結果は以下のとおり。・1,072例(5.5%)が、重大骨粗鬆症性骨折を有した。・リスクは年齢とともに増大したが、男性のほうが低かった。・最も重大なリスク因子は、同時服薬の薬剤数であった[各薬剤に対するハザード比(HR):1.04、95%CI:1.03~1.06]。・認知症(HR:1.81、95%CI:1.18~2.78)、骨折既往(1回/ 同1.17、1.02~1.34、複数回/ 1.34、1.08~1.67)、潰瘍性疾患(同1.45、1.04~2.03)も、リスクの増大がみられた。・糖尿病、リウマチ性疾患については骨折リスクに影響しなかった。・グルココルチコイド服用者は、リスクが低かった(HR:0.78、95%CI:0.65~0.93)。 著者らは、この結果はあくまで観察的研究であり因果関係は不明であるとしながらも、骨折リスク因子に認知症や潰瘍性疾患、パーキンソン病を含めるべきだと結論した。

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プロゲスチン単独避妊薬は静脈血栓塞栓症リスクを増大させない

 プロゲスチンのみを含有する経口避妊薬は、女性の静脈血栓塞栓症のリスクを増大させないことが、米国・Lahey Clinic(マサチューセッツ州、バーリントン)のSimon Mantha氏らの検討で示された。ホルモン系避妊薬による静脈血栓塞栓イベントのリスクは、エストロゲンの量およびプロゲスチンの剤型の影響を受ける。静脈血栓塞栓症の発症リスクが高い女性(産後、遺伝性血栓性素因、静脈血栓塞栓症の既往など)は、プロゲスチン単独による避妊が好ましいとされるが、プロゲスチン単独避妊薬と血栓の関連を評価したデータはわずかだという。BMJ誌2012年9月1日号(オンライン版2012年8月7日号)掲載の報告。薬剤送達法の違いによるリスクの差をメタ解析で評価研究グループは、プロゲスチン単独避妊薬と静脈血栓塞栓症リスクの関連を評価し、薬剤の送達法[経口薬、子宮内器具(IUD)、注射薬]によるリスクの差について検討するために系統的なレビューを行い、メタ解析を実施した。データベース(Pubmed、Embase、Cochrane Library)や関連レビューの文献リストを検索し、プロゲスチン単独避妊薬を使用する女性の静脈血栓塞栓症のアウトカムをホルモン系避妊薬非使用女性と比較した無作為化対照比較試験および観察研究(症例対照研究、コホート研究、断面研究)を選出した。データの抽出は、2名の研究者が別個に行ったうえで、さらに2名の研究者を加えた合議によって決定した。注射薬ではリスクが2倍以上に増大8つの観察研究に登録された493人が解析の対象となった。プロゲスチン単独避妊薬を使用中に合計147人の女性が静脈血栓塞栓症と診断された。ランダム効果モデルによる解析では、プロゲスチン単独避妊薬使用女性の、非使用女性に対する静脈血栓塞栓症の調整済み相対リスクは1.03[95%信頼区間(CI):0.76~1.39]であり、有意な差は認めなかった。サブグループ解析では、プロゲスチンの経口薬(相対リスク:0.90、95%CI:0.57~1.45)とIUD(同:0.61、0.24~1.53)は静脈血栓塞栓症と関連しなかった。注射薬使用者の非使用者に対する相対リスクは2.67(95%CI:1.29~5.53)と有意差がみられた。著者は、「プロゲスチン単独避妊薬は、ホルモン系避妊薬を使用しない場合に比べ静脈血栓塞栓症リスクを増大させることはないと考えられる」と結論し、「プロゲスチン注射薬の血栓症リスクについては、さらなる検討を行う必要がある」と指摘する。

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高齢者の白内障、手術で大腿骨頸部骨折リスク16%低下

白内障の診断を受けた高齢者は、白内障手術を受けたほうが受けない場合に比べ、1年間の大腿骨頸部骨折リスクは約16%低下するとの結果が報告された。米国・ブラウン大学のVictoria L. Tseng氏らが、メディケア受給者110万人超について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年8月1日号で発表した。視覚障害は骨折のリスク因子であることは明らかにされているが、白内障手術と骨折リスクとの関連についてはこれまでほとんど報告されていないという。白内障と診断されたメディケア加入者5%を無作為抽出研究グループは、65歳以上のメディケア・パートB受給者の中から、2002~2009年の間に白内障の診断を受けた人のうち、無作為に抽出した5%(111万3,640人)について後ろ向き追跡試験を行い、手術の有無による1年間の骨折罹患率を比較した。同罹患率については、年齢、性別、人種、居住地域などについて補正を行い、ロジスティック回帰モデルでオッズ比を求めた。白内障手術群、非手術群に比べ大腿骨頸部骨折リスクは0.84倍に被験者のうち、追跡期間中に白内障の手術を受けたのは、41万809人(36.9%)だった。また、大腿骨頸部骨折を発生したのは、1万3,976人(1.3%)だった。白内障手術を受けた人の、受けなかった人に対する、1年間の大腿骨頸部骨折に関する補正後オッズ比は、0.84(95%信頼区間:0.81~0.87)と、絶対リスク格差は0.20%だった。また、最も多い大腿骨頸部骨折関連の共存疾患は骨粗鬆症(13万4,335人、12.1%)で、最も多い共存眼疾患は緑内障だった(21万2382人、19.1%)。白内障手術を受けて大腿骨頸部骨折リスクが低下した人は、受けなかった適合グループ群との比較で、重症の白内障の人、傾向スコアに基づき手術を受けたと思われる人、75歳以上、Charlson併存疾患指数3以上の人であった。

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避妊薬、妊産婦死の抑制に有効

開発途上国ではいまだに望まない妊娠が多く、避妊薬は妊産婦死亡率の低減のための有効な予防戦略であることが、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のSaifuddin Ahmed氏らの調査で示された。避妊薬の使用により毎年ほぼ2億3,000万の出生が回避され、望まない妊娠の主要な予防戦略は家族計画であり、世界的な出生率(1人の女性の平均出産回数)の低下(1970年代初頭の4.7が2000年代末期には2.6へ)は主に避妊薬使用の増加によるという。妊産婦死の99%が開発途上国で発生しており、家族計画は開発途上国における妊産婦死の抑制に取り組む「安全な母性イニシアチブ(Safe Motherhood Initiative; SMI)」の4大目標の1つとされる。Lancet誌2012年7月14日号(オンライン版2012年7月10日号)掲載の報告。避妊薬による妊産婦死亡率の抑制効果を評価研究グループは、妊産婦死亡率に及ぼす避妊薬の効果を評価し、避妊薬の供給不足が満たされた場合に、国、地域、世界レベルでどの程度の死亡率の低減が見込めるかを検討した。3つのデータベース[世界保健機構(WHO)のMaternal Mortality Estimation Inter-Agency Group(MMEIG)データベース、国連(UN)の2010年World Contraceptive Useと2010年World Population Prospectsデータベース]から関連データを抽出した。反事実モデルを用いたアプローチ(モデルI)を適応し、MMEIG(WHO)の妊産婦死亡率予測法による解析を行い、172ヵ国における避妊薬の使用による妊産婦死の低減効果を推算した。別のモデル(モデルII)を用いて167ヵ国で同様の解析を行い、満たされていない避妊薬需要が満たされた場合の死亡率を予測した。避妊薬の満たされていない需要(unmet need)は、妊娠を回避あるいは間隔をあけたいと望むが避妊薬を使用していない妊娠可能女性(15~49歳)の割合と定義した。妊産婦死亡率が44%低減、使用しないと1.8倍にモデルIによる解析では、2008年に34万2,203人の妊産婦が死亡したが、避妊薬の使用により27万2,040人の妊産婦死が回避された(44%低減)。避妊薬を使用しない場合は、2008年の妊産婦死は1.8倍になると推定された。満たされていない避妊薬需要が満たされると、年間10万4,000人の死亡が回避されると予測された(29%低減)。著者は、「開発途上国では望まない妊娠がいまだに多く、避妊薬の需要が高い。避妊薬が、開発途上国における妊産婦死亡率を低減するための有効な予防戦略であることを示すエビデンスが得られた」と結論づけている。

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MediTalking(メディトウキング)終了のお知らせ

CareNetからのお知らせみなさまにご愛顧いただきました「MediTalking(メディトウキング)」は、7月23日に予定しておりますCareNet.comサイトリニューアルに伴い、誠に勝手ながら2012年7月19日にてサービスを停止させていただきました。「エキスパートに質問(臨床、経営、特別企画)」に掲載のコンテンツは、以下のリンクよりご覧いただけます。エキスパートに質問(臨床)戸田克広先生「「正しい線維筋痛症の知識」の普及を目指して! - まず知ろう診療のポイント-」顧問 鳥谷部俊一先生「床ずれの「ラップ療法」は高齢者医療の救世主!」准教授 長谷部光泉 先生「すべては病気という敵と闘うために 医師としての強い気持ちを育みたい」教授 福島統 先生「国民のための医者をつくる大学 この理念の下に医師を育成する」教授 富田剛司 先生「全身の疾患が眼に現れることは明確 眼を診るのは診断の第一歩である」教授 川合眞一先生「関節リウマチ治療にパラダイムシフトをもたらした生物学的製剤」部長 中山優子 先生「がん治療における放射線治療医は多くの可能性をもつ魅力ある分野」副院長 教授 加藤良二 先生「人を助けるために何かをしたい。その動機が医師の原点となる」教授 鈴木康夫 先生「最先端の治療で難病患者を支える、グローバルな医療現場」教授 向井秀樹先生「患者さんと真摯に向き合う中から病態は解明される」准教授 高橋 寛先生「人と交わり、先端を目指せ!-ある整形外科医の挑戦-」講師 斎藤充先生「骨粗鬆症治療「50%の壁」を打破する「骨質マーカー」」教授 尾﨑重之先生「弁膜症治療の歴史を変える「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」」主任教授 森田峰人先生「産科婦人科最先端治療は患者個々への対応が決め手」教授 白井厚治先生「「CAVI」千葉県・佐倉から世界へ 抗動脈硬化の治療戦略」教授 中村正人先生「カテーテルの歴史とともに30年、最先端治療の場で」准教授 平山陽示先生「全人的医療への入り口」准教授 小早川信一郎先生「白内障手術の光と影」エキスパートに質問(経営)守屋文貴「やりがいと誇りをもって働ける組織を創るには?(前編)」守屋文貴「やりがいと誇りをもって働ける組織を創るには?(後編)」西岡 篤志氏「税務3回目 交際費の必要経費化・損金化のポイント」院長 井出広幸先生「医師に必要な経営能力、マネジメント能力を身につけるために」事務局長 三谷博明「患者さんに情報を正しく伝える、インターネット時代の広告のあり方」西岡 篤志氏「税務2回目 開業医に対する税務調査の実態と対応術」企画広報室長 宇佐美 脩氏「医師と患者の架け橋 -病院広報の現場」西岡 篤志氏「税務1回目 新医療法人のデメリット・誤解の解明」エキスパートに質問(特別企画)座長:岩田健太郎先生「メディアに振り回されない、惑わされない医療者になる:CareNet+Style連携特別企画」PubMed CLOUD作りました、「時間がない人」専用のPubMed

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統合失調症患者は“骨折”しやすいって本当?

近年、統合失調症患者では骨粗鬆症の罹患率が高いことが明らかになってきているが、著しい骨密度(BMD)の減少にいたる機序や臨床的意味はまだわかっていない。慶応義塾大学の岸本氏(Zucker Hillside Hospital留学中)らは統合失調症患者における骨粗鬆症と骨折リスク、さらに抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症の骨代謝への影響について、最近の知見をもとにレビューを行った。Curr Opin Psychiatry誌オンライン版2012年6月30日付の報告。主な結果は以下のとおり。 ・16報告中15件(15/16:93.8%)において、統合失調症患者は対照群と比較して、低BMDまたは骨粗鬆症の高い罹患率のうち、少なくともいずれかと相関していた。ただし、全体の一貫性はなかった。・高い骨折リスクは、統合失調症と関係し(2/2)、抗精神病薬投与とも関係していた(3/4)。・これらの要因として、運動不足、栄養不足、喫煙、アルコール摂取、ビタミンD不足が示唆された。・抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症とBMD低下との関係を調べた報告(9/15:60.0%)では、高プロラクチン血症の影響が少なからず認められた。・本結果は、サンプルが少なく効果の小さなものが含まれており、またプロスペクティブ研究は2報だけであった。・高プロラクチン血症や不健康な生活による影響はまだ明らかになっていないが、統合失調症患者ではBMD低下や骨折リスクとの関係が示唆されることから、予防や早期発見、早期介入が必要であると考えられる。(ケアネット 鷹野 敦夫)関連医療ニュース ・肥満や糖尿病だけじゃない!脂質異常症になりやすい統合失調症患者 ・せん妄対策に「光療法」が有効! ・厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ

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高齢の母親が訴える腰痛に、骨折の恐れがあることを知らない女性は7割もいる

日本イーライリリー株式会社は6日、高齢の母親をもつ45歳から60歳代の女性4,700名(47都道府県から各100名ずつ)を対象に行った、母親の健康と介護に関するインターネット調査の結果を発表した。調査は2012年6月9日~10日に、インターネット上で行われた。調査の結果、高齢の母親をもつ娘の7割以上(73.6%)は、高齢者の腰痛の原因に「骨折」の可能性があることを知らないことが明らかになった。原因として最も多く挙げられたのは、「年齢(高齢者だから)」(68.6%)、次いで 「普段の姿勢の影響」(43.9%)、「血行不良」(同)との回答が多くみられた。また、娘の約4割が、母親が「腰痛」を抱えていることを認識していることもわかった。母親が訴えている「痛み」の症状を聞いたところ、最も多い回答は「手足の関節」(38.1%)、次いで「腰」(33.0%)であった。「背中」という回答も1割弱(9.0%)あり、「腰」と「背中」を合わせた約4割(35.1%:1,650名)の母親が娘に「腰痛」を訴えていることがわかった。さらに、高齢の母親に、「背中・腰の曲がり」「身長の縮み」いずれかがあるとした娘(67.8%:3,187名)に、母親のその姿勢・外見の変化の原因として考えられることについて尋ねたところ、「年齢(高齢者だから)」(77.6%)との回答が最も多くみられた。「骨折」の可能性があると考える娘は1割未満(4.2%)であり、9割以上(95.8%)が骨折リスクについて認識していないことが示された。同社はこの結果から、「腰痛や、背中・腰の曲がり、身長の低下は、骨粗鬆症による椎体骨折の可能性があり、女性高齢者では特に注意が必要です。しかし、高齢の母親をもつ娘の大半が単に「年のせい」と考えており、骨折が見過ごされる危険性が示唆されました」と述べている。詳細はプレスリリースへhttps://www.lilly.co.jp/pressrelease/2012/news_2012_115.aspx

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日本人対象のテリパラチド週1回皮下注射の有用性(TOWER試験)

テリパラチドは骨折の危険性の高い骨粗鬆症患者に対し使用することで、骨形成と骨量増加を促す薬剤である。産業医科大学などの研究グループにより、テリパラチド56.5μg、週1回皮下注射によって骨折リスクが低下することが報告された。The Journal of clinical endocrinology and metabolism誌オンライン版2012年6月20日報告。この国内第III相試験は骨粗鬆症患者における椎体骨折の発生率の減少を目的として、多施設二重盲検プラセボ対照試験として行われた。対象は既存の椎体骨折を有する65歳から95歳までの日本人骨粗鬆症患者578例。被験者は無作為にテリパラチド56.5μg週1回皮下注射群(テリパラチド週1回群)とプラセボ群に割り付けられ、72週間投与された。プライマリエンドポイントは新規椎体骨折の発生率で、X線写真よって評価された主な結果は以下のとおり。 ・テリパラチド週1回群は新規椎体骨折の累積発生率を減少させた(テリパラチド週1回群3.1%、プラセボ群14.5%、P

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ホルモン避妊法の血栓性脳卒中と心筋梗塞のリスク

デンマーク・コペンハーゲン大学のOjvind Lidegaard氏らは、経口避妊薬やパッチ、膣リングを含む新しい各種ホルモン剤による避妊法に伴う血栓性脳卒中と心筋梗塞の発生について調べた結果、絶対リスクは小さかったが、エチニルエストラジオール20μg含有薬で0.9~1.7倍、同30~40μg含有薬では1.3~2.3倍のリスク増大が明らかになったと報告した。プロゲスチン種類別リスクの差異は比較的小さいことも示された。新しいホルモン避妊法の血栓塞栓合併症のリスクは重大な問題だが、これまで静脈血栓塞栓症リスクについて評価した研究はあるものの、動脈性合併症について検討した研究は少なく、相反する結果が示されていた。NEJM誌2012年6月14日号より。健常女性を15年間追跡研究グループは、1995年1月~2009年12月の15年間にわたるデンマーク人の女性についてヒストリカルコホート研究を行った。デンマークでは出生時に全員に個人特定番号が割り振られ、社会保障や学校教育などの公的レジストリに、生涯もしくは移民するまで一貫して用いられる。研究グループはその登録データを利用して、心血管疾患またはがんの既往歴がなく、妊娠していない15~49歳の女性について、4つの全国登録からホルモン避妊法の利用、臨床エンドポイント、潜在的交絡因子に関するデータを入手し追跡調査した。調査対象は、女性162万6,158人、総計1,425万1,063人・年の観察データだった。追跡期間中に3,311件の血栓性脳卒中(10万人・年につき21.4件)と1,725件の心筋梗塞(10万人・年につき10.1件)が発生した。エチニルエストラジオール30~40μg含有1.3~2.3倍、同20μg含有0.9~1.7倍非利用のケースと比較して、エチニルエストラジオール30~40μg含有経口避妊薬を使用している場合の血栓性脳卒中と心筋梗塞発症について、プロゲスチン種類別にみた場合、以下のような相対リスク(95%信頼区間)の増加がみられた。norethindrone:2.2(1.5~3.2)と2.3(1.3~3.9)レボノルゲストレル(商品名:アンジュ、トリキュラーほか):1.7(1.4~2.0)と2.0(1.6~2.5)norgestimate:1.5(1.2~1.9)と1.3(0.9~1.9)デソゲストレル(商品名:マーベロン、ファボワール):2.2(1.8~2.7)と2.1(1.5~2.8)gestodene:1.8(1.6~2.0)と1.9(1.6~2.3)drospirenone:1.6(1.2~2.2)と1.7(1.0~2.6)また、エチニルエストラジオール20μg含有の場合は、以下のとおりだった。デソゲストレル:1.5(1.3~1.9)と1.6(1.1~2.1)gestodene:1.7(1.4~2.1)と1.2(0.8~1.9)ドロスピレノン(商品名:ヤーズ):0.9(0.2~3.5)と0.0経皮パッチの相対リスクは3.2(0.8~12.6)と0.0、膣リングは2.5(1.4~4.4)と2.1(0.7~6.5)だった。(朝田哲明:医療ライター)

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望まない妊娠回避にはピル・パッチ・リングよりもIUD・インプラントを

望まない予定外の妊娠を回避するためには、子宮内避妊器具(IUD)など長期作用型可逆性避妊法を普及することが10代女性および若年女性を問わず有効であるとの報告が、米国・ワシントン大学医学部のBrooke Winner氏らが大規模な無作為化試験を行い発表した。米国では、予定外妊娠が他の先進国と比べて多く、その半数は避妊方法の誤った使用あるいは不適切な使用によるものとされている。Winner氏らは、米国では一般的な避妊方法として経口薬が用いられているが、イギリスやフランスではIUDなどの普及率が高く、予定外妊娠の割合も低いことに着目。また、予定外妊娠に関する大規模な前向き試験データがないことから、長期作用型可逆性避妊法と一般的な避妊法との避妊失敗率を比較した。NEJM誌2012年5月24日号掲載報告より。避妊失敗率を各避妊法別、21歳未満・以上の年齢階層別で比較研究グループは、2007年8月~2011年5月の間に8,445例を試験に登録し、無償で、長期作用型可逆性避妊法[IUD、インプラント(皮下埋め込み式)避妊法]か、一般的に処方されている避妊法[経口避妊薬、経皮性パッチ、膣リング、徐放性酢酸メドロキシプロゲステロン(DMPA)注射]の可逆性避妊が提供された。いずれかの避妊方法を選択使用した7,486例について解析を行い、全体コホートにおける各避妊方法別の避妊失敗率、年齢階層群(21歳未満群と21歳以上群)別にみた各避妊方法別の避妊失敗率について検討した。ピル・パッチ・リング使用者の避妊失敗率は、IUD・インプラント使用者の約22倍7,486例のうち予定外妊娠例は334例であった。ピル・パッチ・リング使用被験者における避妊失敗率は、100参加者・年につき4.55である一方、長期作用型可逆性避妊使用被検者の同割合は、0.27だった。年齢・教育水準・予定外妊娠歴で補正後のハザード比は、21.8(95%信頼区間:13.7~34.9)だった。ピル・パッチ・リング使用被験者の年齢階層別の避妊失敗率についてみると、21歳未満群における同割合は、21歳以上群のほぼ2倍であった。年齢にかかわりなく、DMPA注射使用者とIUD、インプラント使用者の避妊失敗率は、いずれも低く同程度であった。(武藤まき・医療ライター)

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高齢女性の最適な骨粗鬆症スクリーニングの実施間隔は?

 65歳以上の女性に対し、骨塩量(BMD)測定による骨粗鬆症スクリーニング(BMD Tスコアが-2.50以下は骨粗鬆症)の実施が推奨されているが、スクリーニングを何年間隔で行えばよいかについての指針を示したデータはほとんどない。米国・ノースカロライナ大学のMargaret L. Gourlay氏らは、基線でBMDを測定し、正常、骨減少症(軽度、中等度、進行)に分類した高齢女性を最長15年間追跡し、それぞれの群の骨粗鬆症発症率10%未満の期間について調べた。NEJM誌2012年1月19日号掲載報告より。67歳以上女性4,957例の測定BMD値ごとの骨粗鬆症進展について15年追跡 研究グループは、1986~1988年の間に米国4地域で集められた67歳以上女性で、正常BMD(大腿骨頸部と股関節のTスコアが-1.00以上)、または骨減少症(Tスコアが-1.01~-2.49)であり、股関節骨折や臨床的脊椎骨折歴および骨粗鬆症の治療歴のない4,957例を、最長15年間追跡した。 BMDスクリーニング実施間隔について、エストロゲン使用と臨床的リスク因子で補正後、股関節骨折あるいは臨床的脊椎骨折の発生が10%未満である期間は、骨粗鬆症発症への進行期間であると定義し、正常BMD群の女性と骨減少症の3つのサブグループ群(軽度、中等度、進行)別の骨粗鬆症累積発症モデルを用いて解析を行った。骨粗鬆症発症の競合リスクは、股関節骨折あるいは臨床的脊椎骨折の発生、ビスホスホネート(商品名:ボナロン、フォサマック)、カルシトニン(同:カルシトランほか)、ラロキシフェン(同:エビスタ)による治療開始とした。正常BMD、軽度骨減少症の人なら15年間隔で 結果、BMD検査を実施すべき推定間隔は、正常BMD群では16.8年(95%信頼区間:11.5~24.6年)、軽度骨減少症群では17.3年(同:13.9~21.5)、中等度減少症群では4.7年(同:4.2~5.2)、進行骨減少症群では1.1年(同:1.0~1.3)であることが示された。 Gourlay氏は、「われわれのデータは、骨粗鬆症発症率10%未満には、正常BMD、軽度骨減少症の人の場合は約15年間隔で、中等度骨減少症の人の場合は5年間隔で、進行骨減少症の人の場合は1年間隔で骨粗鬆症スクリーニングを行うべきことを示すものである」と結論している。

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骨粗鬆症治療剤 注射用テリパラチド酢酸塩(商品名:テリボン)

2011年11月、骨折の危険性の高い骨粗鬆症を適応とするテリパラチド酢酸塩(商品名:テリボン)が発売された。本剤は骨形成促進作用を有するヒト副甲状腺ホルモン製剤である。骨粗鬆症への対策は重大な課題骨粗鬆症の患者数は推定1,280万人1)と言われており、高齢化社会を迎えるわが国において、増加の一途を辿っている。骨粗鬆症の増加に伴い、骨折の発生数も年々増加している。骨粗鬆症に伴う骨折は寝たきりの原因ともなり、QOLやADLを著しく低下させるだけでなく、死亡リスクを上昇させることも報告されており2)、骨粗鬆症の予防・治療により骨折を予防することは極めて重要な課題である。骨粗鬆症患者の多くは未治療骨粗鬆症に伴う骨折が増加する要因の1つとして、未治療患者が多いことがあげられる。骨粗鬆症は自覚症状に乏しく、骨折をきっかけに発見されるケースが多い。また、骨折後、医療機関で治療を受けた際でも、骨折の原因である骨粗鬆症の治療が行われないケースも少なくない。実際、大腿骨近位部骨折後1年の間に骨粗鬆症治療が行われていなかった患者は半数以上にのぼるとも報告されている3)。さらに、骨粗鬆症治療を行った患者においても、治療効果が実感しづらいなどの理由により、治療を中断してしまうこともある。骨粗鬆症に伴う骨折を予防するためには、早期に診断し、治療介入を行うことだけでなく、患者が治療を継続できるように疾患啓発やライフスタイルに合わせた治療法の選択が求められている。骨形成を促進するテリパラチド酢酸塩骨粗鬆症の治療では食事・運動療法が基本となり、適切な時期から薬物療法を開始する必要がある。これまで薬物治療の中心となっていたのは、骨吸収を抑制する作用を有するビスフォスフォネート製剤であるが、最近では新しい作用機序を有する薬剤が開発され選択肢が増加している。その1つが骨形成促進薬のテリボンである。テリボンは骨芽細胞系細胞に作用し、前駆細胞から骨芽細胞への分化を促進したり、骨芽細胞のアポトーシスを抑制することで、骨形成を促進する薬剤である。新規椎体骨折発生率を78.6%低下65歳以上の骨折の危険性の高い原発性骨粗鬆症外来患者578例を対象とした無作為化二重盲検群間比較試験であるテリボンの第Ⅲ相試験(TOWER試験)によると、テリボン投与72週後における新規椎体骨折の発生率は3.1%であり、プラセボ群14.5%に比べ新規椎体骨折の発生率を有意に抑制した(p<0.0001、log-rank検定)4)。また、投与72週後における新規椎体骨折のプラセボ群に対する相対リスク減少率(RRR)は78.6%であった。そして、新規椎体骨折の抑制効果は早期から認められており、投与24週後までのプラセボ群に対するRRRは53.9%であった。さらに、投与継続により新規椎体骨折発生率は低下しており、投与49~72週では新規椎体骨折の発生は認められなかった。患者ごとに合わせた治療選択を骨粗鬆症に伴う骨折は、日常生活に多大なる影響を与えることから、その予防を積極的に行うことが求められる。このような中、新たな治療選択肢が増えた意義は非常に大きい。テリボンは週に1回、皮下注射する製剤であり、72週間まで投与することで骨折発生リスクの低下が期待できる薬剤である。個々の患者のライフスタイルに合わせ治療薬を選択できることは、治療継続率の向上にも寄与すると考えられる。今後、さらに専門医と在宅看護やかかりつけ医との連携が強まり、多くの骨粗鬆症患者の治療がより適切に実施されることが望まれる。

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戸田克広 先生の答え

麻薬の使用法治療としていわゆる麻薬はどのような状況、症状の時に使うべきなのでしょうか。また、投与中止はどのようにおこなうべきでしょうか。非癌性慢性痛に麻薬を使用することは依存を引き起こすのではないかと危惧する意見があります。しかし、痛みがある患者さんに適切に使用する限りは、依存は起こらないと考えられています。後者の仮説には明確なデータはないため麻薬の使用は慎重におこなうべきです。しかし、適切な治療を1年以上おこなっても鎮痛効果が不十分な場合や、初診時に激烈な痛みがあり、自殺の恐れがある場合には麻薬を使用してもよいと思います。喫煙者などの物質依存者や約束を守らない人格と判断される場合には麻薬を使用しないことが望ましいと思います。モルヒネには「天井効果がないため上限量はない」という考えもありますが、「200mg / 日を超える場合にはさらに十分な評価が必要」という意見もあります。ペインクリニック専門医ではない場合には200mg / 日を超えるモルヒネは査定される可能性が高いという非公式の制度があるため注意が必要です。ブプレノルフィン、ペンタゾシンは使用すべきではありません。トラマドール塩酸塩〔トラムセット〕またはコデイン、モルヒネ、フェンタニル〔デュロテップパッチ〕の順で使用することが一般的です。モルヒネは薬価が高いため、1回量が20mgになれば薬価の安い散剤にした方が良いと思います。麻薬が有効な場合、その他に有効な薬を見つけて麻薬を減量または中止する努力が必要です。減量とは1回量の減量であって、投与間隔を延長してはいけません。モルヒネであれば1回量を2-4週間ごとに10mgずつ減量し、痛みが悪化すれば再び増量することが望ましいと思います。※〔 〕内の名称は商品名です 中枢性過敏についてこの概念と定義はどなたが提唱したものなのでしょう。概念をもう少し詳しくお聞かせください。御多忙中とは存じますが、どうぞ宜しくお願いいたします。Woolfが中枢性過敏(central sensitization: CS)を提唱しました。CSにはさまざまな定義があります。Woolfは「侵害受容刺激により中枢の侵害受容経路のシナプス効果と興奮性が長期間ではあるが可逆的に増加すること」と定義していますが、国際疼痛学会は「正常あるいは閾値下の求心性入力に対する中枢神経系内の侵害受容ニューロンの反応性の増加」と定義しています。私は次のように考えています。侵害受容性疼痛や末梢性神経障害性疼痛という痛み刺激のみならず、精神的ストレスなどの刺激が繰り返し脳に送られ続けると、中枢神経に機能障害が起こってしまいます。機能障害ではなく器質的障害なのかもしれませんが、現時点の医学レベルではよくわかっていません。中枢神経に機能障害が起こるとさまざまな刺激に対して過敏になり、痛みを感じない程度の刺激が中枢神経に入っても痛みを感じさせてしまいます。また、中枢神経に起こった機能障害の部位そのものが痛みなどの症状の原因になる、つまり機能障害の部位から痛みなどの情報が流れてしまうと推測しています。一方、Yunusが中枢性過敏症候群(central sensitivity syndrome: CSS)を提唱しました。CSSの主な原因はCSと推測されています。CSは主に痛みに関する理論ですが、CSSには痛みを主訴とするFM以外にも、慢性疲労症候群、異常感覚を主訴とするむずむず脚症候群、化学物質過敏症、うつ病、外傷後ストレス障害なども含まれます。CSSの代表疾患の一つがFMなのです。CSは日本でも知られていますが、CSSはFM以上に日本では知られていません。CSSに含まれる疾患は定まっていません。不安障害、皮膚掻痒症、機能性胃腸障害、更年期障害、慢性広範痛症、慢性局所痛症などもCSSに含まれると私は考えています。(日本医事新報No4553, 84-88, 2011)FMの症状について口の中が痛くて、硬いものがかめない症状や、下肢痛があり車や電車に乗ると悪化するような症状はFMに該当するでしょうか?口の症状はFMの症状です。FMでは身体のどこにでもアロジニア(通常痛みを引き起こさない程度の刺激により痛みが起こること)が起こります。口腔内にそれが起これば、硬いものをかめない症状が生じます。口の症状のみがある場合には舌痛症と診断すべきかもしれませんが、舌痛症はFMの部分症状と考えることも可能です。自動車や電車に乗ると下肢痛が悪化すると訴えるFM患者を私は知りませんが、FMの症状と考えても矛盾はありません。FMでは、歩行時より下肢を動かさない状態の時に痛みが強い場合が多いからです。自動車や電車に乗ると下肢痛が悪化する場合には、むずむず脚症候群の可能性もあります。むずむず脚症候群では歩行時よりも安静時に下肢のむずむず感が強くなるため、自動車や電車に乗るとそれが強くなる場合があります。むずむず感などの違和感を痛みと表現する患者さんもいます。FMとむずむず脚症候群はしばしば合併するため注意が必要です。者の性差について患者で女性が8割を占める理由について病態の解明は進んでおりますでしょうか。現在わかっている範囲でお教えください。FMの原因は脳の機能障害という説が定説ですが、厳密にはわかっていません。そのため、女性が8割を占める理由も当然わかっていません。FMの原因解明が進めば、その理由もわかるのではないかと期待しています。FMを含むFMよりも広い概念の慢性広範痛症においては双子を用いた研究により半分が遺伝要因、半分が環境要因と報告されています。性ホルモンはFMに影響を及ぼす要因の一つと考えられています。ただし、性ホルモンは遺伝子により大きな影響を受けるため、性ホルモンの差と遺伝子の差を厳密に区別することは困難です。なお、FM患者の中で女性と男性でどちらの症状が強いかに関しては、男女差はないという報告、女性の症状が強いという報告、男性の症状が強いという報告があり、何ともいえません。治療選択について非薬物療法を患者さんが選択し、希望する場合、一番効果的なものはどれでしょうか。先生の私見でも結構ですのでご教示願えますか。非薬物療法の中では禁煙、有酸素運動、認知行動療法、温熱療法、減量、患者教育が有用です。激しい受動喫煙を含めた喫煙者では、禁煙が一番有効と考えていますが、非喫煙者では有酸素運動が一番有効と考えています。患者本人の喫煙継続は論外ですが、間接受動喫煙防止のため配偶者には禁煙、その他の家族には屋外喫煙が必要です。有酸素運動は、技術や人手が不要、安価で、誰でもできるという長所があるため、非喫煙者では最も有効と考えています。散歩や水中歩行のみならずヨガ、太極拳も有効です。歩行すると痛みが悪化する人では、深呼吸で代用も可能です。安静が有効な場合もありますが、これは痛みが起こらない程度の安静を保つことを意味するのであって、過度な安静は逆に有害です。痛みに対する認知行動療法は、論文上有効なのですが、実際に何をすれば良いのかよくわからないこと、適切な治療を行う施設が少ないこと、費用が高いことが欠点です。欧米を中心にしたインターネットによる調査では約8%の人しか認知行動療法を受けておらず、患者さんが自己評価した有効性もあまりよくありませんでした。温熱療法には、温泉療法、温水中の訓練、遠赤外線サウナ、近赤外線の照射などが含まれます。FMは心因性疼痛ではなく、恐らく脳の機能障害が原因であろうことの説明や痛いときには無理をしないことの説明などが患者教育です。星状神経節ブロックを含む交感神経ブロックが有効という根拠はありません。対照群のない研究では鍼は有効なのですが、適切な対照群のある研究では鍼の有効性が証明されていません。交感神経ブロックも鍼も、5回行って一時的な鎮痛効果しかなければ、それ以上継続しても一時的な効果しかないと私は考えています。トリガーポイントブロックの長期成績は不明です。非薬物治療は組み合わせて行うことが望ましく、さらに言えば、非薬物治療は薬物治療と併用することが望ましいと報告されています。線維筋痛症の患者とうつ病同症の患者では精神疾患(特にうつ病)を併発されている方も多いと聞きます。その場合のケアと薬剤の処方のポイントについてご教示ください。抑うつ症状あるいはうつ病に痛みが合併した場合、痛みはうつ病の一症状であるという理論は捨てる必要があります。痛みと、抑うつや不安症状は対等の症状と見なすことが重要です。FMとうつ病(または不安障害)が合併した場合、当初はより重症な症状のみを治療することをお勧めします。一方の症状がある程度軽減した後に、他方の症状を治療した方が治療は容易です。抗うつ作用がまったくない薬で痛みが軽減しても、抑うつ症状が軽減することはありふれたことです。しかし、両症状とも強い場合には、両方を同時に治療せざるを得ないこともあります。その場合には抑うつ症状に対する治療と、痛みに対する治療は分けた方がよいと思います。SSRIと短期間の抗不安薬を抑うつ症状に対する治療と考え、その他の薬は痛みに対する治療と考えた方がよいと思います。三環系抗うつ薬とSNRIは抑うつにも痛みにも有効ですが、痛みのみに有効と見なし、抑うつがついでに軽減すれば「儲け物」という程度に考えた方がよいと思います。なお、三環系抗うつ薬では鎮痛効果を発揮する投与量より抗うつ効果を発揮する投与量の方が多いのですが、SNRIでは両効果を発揮する投与量は同程度です。SSRIも痛みに対する薬も通常漸増する必要があります。それらを同日投与や同日増量すると副作用が生じた場合に、原因薬物の特定が困難になる場合があります。そのため、投与開始や増量は少なくとも中2日は空けたほうがよいと思います。抗不安薬は、SSRIが抗うつ効果や抗不安効果を発揮するまでの一時しのぎとして抗不安薬を使用すべきです。抗不安薬を半年以上投薬する場合には、転倒や骨折の増加、運動機能の低下、理解力の低下、認知機能の低下、抑うつ症状の悪化、新たな骨粗鬆症の発症、女性での死亡率の増加を説明する必要があります。抗不安薬を半年以上使用すると常用量依存が起こりやすく、その場合中止が困難になります。薬物療法とガイドライン解説の中で薬物療法について「ガイドラインでは科学的根拠がない」と記されていますが、近々に発表される、または欧米のものが翻訳される見込みはございますか。教えていただける範囲でお願いします。「線維筋痛症のガイドライン」は、アメリカ、ドイツ、ヨーロッパ、カナダ、スペインから発表されています。日本語に翻訳されて発表される見込みは現在不明です。日本のガイドラインの改訂版は今後発表される予定ですが、いつになるのか未定です。アメリカ、ドイツ、ヨーロッパのガイドラインは各治療方法の有効性のエビデンスを記載しています。カナダのガイドラインはエッセイ様式です。スペインと日本のガイドラインはサブグループに分けています。スペインのガイドラインは修正デルフィ法(参加者の匿名のアンケートとそれに対する評価を繰り返し一つの結論を出す方法)によりGieseckeらの分類方法を採用しています。日本のガイドラインの最大の特徴はFMをサブグループに分けて、サブグループごとに治療方法を変える点です。世界では、FMのサブグループ分けは多くの研究者により行われています。痛み、抑うつ状態などのさまざまな指標により得られたデータによりサブグループ分けが行われていますが、報告により異なるサブグループに分けられています。ただし、日本のガイドラインに含まれる「筋付着部炎型」は私が知る限り、報告された分類方法のどのサブグループにも存在しません。また、前回と今回の日本のガイドラインでは同じサブグループの推奨薬物が異なっていますが、その変更の根拠が記載されていません。「分類の根拠、およびサブグループごとに推奨する薬物が異なる根拠は論文化されていない」由が、今回のガイドラインに記載されています。日本のガイドラインでは各執筆者は自分自身の執筆した部分のみに責任を持つことも特徴の一つです。睡眠薬との関連痛みがひどくて眠れない患者さんに睡眠薬を処方することもあるかと思います。その場合、注意する点などご教示ください。FMに限らず、痛みのために不眠の患者さんの睡眠改善目的にまず処方する薬は、睡眠薬ではなく鎮痛薬です。もちろん非ステロイド性抗炎症薬ではなく神経障害性疼痛に対する鎮痛薬です。鎮痛薬が主で、睡眠薬は従の関係です。当初は睡眠薬を処方せず、鎮痛薬を私は処方しています。三環系抗うつ薬、ガバペンチン〔ガバペン〕、プレガバリン〔リリカ〕は鎮痛効果が強い上に、眠気の副作用が強いのでその副作用を睡眠改善に使用することも可能です。しかし、眠気の副作用がほとんどないワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液〔ノイロトロピン〕やデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物〔メジコン〕により痛みが改善すれば、結果的に睡眠が改善することもあります。FMの不眠に有効な睡眠薬はゾピクロン〔アモバン〕、ゾルピデム酒石酸塩〔マイスリー〕ですが、副作用報告の少ないゾピクロンを私は優先使用しています。FMの睡眠障害に対して抗不安薬を使用することは避けるべきです。常用量依存を作りやすいからです。特に、作用時間が短く抗不安作用が強いため常用量依存を作りやすいエチゾラム〔デパス〕を睡眠薬として使用することは避けるべきです。※〔 〕内の名称は商品名です。日本での患者数わが国における患者の推定数はどのくらい見積もられておりますでしょうか、また、欧米の患者数、人種差、性差なども合わせてお教え下さい。日本における地域住民の有病率は約1.7%と報告されていますが、その報告には調査人数や具体的な調査方法が記載されていません。今後、科学的根拠の高い日本人の有病率が世界に知られることを期待しています。日本の病院敷地内での女性就労者の2.0%、男性就労者の0.5%がFMと報告されています。アジア、欧米を中心とした報告によるとFMの有病率は約2%、そのグレーゾーンの有病率は約20%と推測されます。圧痛点の数は経時的に変動することや論文上の有病率は一時点の有病率であることを考えると、真の有病率は約2%、日本では250万人程度のFM患者がいると推測しています。中国での有病率は0.05%という報告がありますが、調査方法や診断能力に原因があるのかもしれません。同一の研究チームが異人種を調べた研究は3つあり、ブラジル(非白人2.65%と白人2.26%)とイラン(Caucasians0.6%とトルコ人0.7%)では人種差がなく、マレーシア(マレー系1.19%、インド系2.58%、中国系0.33%)では人種差がありました。そのため有病率に人種差があるのかどうかは不明です。FM患者の約8割は女性であり、性比には大きな人種差はないようです。医師以外の関与線維筋痛症について、ナースやコメディカルが介入できる余地はありますでしょうか。例えば理学療法士がストレッチを指導する、ナースが話を聞くなどで患者の日常生活から改善していくなどです。その際の保険点数など参考になるものがございましたらご教示お願いします。薬物治療以外では、コメディカルが介入できる余地がたくさんあります。ただし、FMという病名では保険点数はつきません。理学療法士や作業療法士は、有酸素運動、筋力増強訓練、ストレッチ、水中訓練などを指導できます。しかし、FMなどの痛みを引き起こす疾患では保険点数は取れません。関節の変性疾患、関節の炎症性疾患、運動器不安定症などが合併していれば運動器リハビリテーション料を請求することができます。ナースが患者の話を聞いたり、患者の痛みや生活の質を評価するアンケートの記載方法の説明を行うことができます。ただし、ナースが患者の話を聞いても保険点数を請求できません。うつ病に対する認知行動療法に対して、厳しい条件はあるものの2010年から保険点数が取れるようになりました。しかし、FMなどの痛みに対する認知行動療法では保険点数を請求できません。総括FMが知られていない日本医学は世界の標準医学から大きく乖離しています。FM以上に中枢性過敏症候群は、日本では知られていません。FMのみならず中枢性過敏症候群を認めて世界の標準医学に追いつく必要があります。FMの治療はFMのみならずそのグレーゾーン、つまり人口の約20%に有効です。グレーゾーンにもFMの治療を行うのですから、臨床の観点ではFMの診断は厳密に行う必要はありません。心因性疼痛、仮面うつ病、身体表現性障害(疼痛性障害、身体化障害)と診断するより、FMやそのグレーゾーンと診断する方が、有効な治療方法が多いためほぼ間違いなく治療成績が向上します。異なる医学理論が衝突した場合には、「脚気論争」と同様に治療成績がよい医学理論を採用すべきです。自分が長年信じていた医学理論を捨てることは困難ですが、臨床医は自分が信じる医学理論を守ることより、よりよい治療成績を求めるべきです。戸田克広先生「「正しい線維筋痛症の知識」の普及を目指して! - まず知ろう診療のポイント-」

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新しく開発された静脈血栓塞栓症リスク予測モデルQThrombosis

英国・ノッティンガム大学のJulia Hippisley-Cox氏らは、高リスクの静脈血栓塞栓症患者が特定可能な新しいリスク予測モデルQThrombosisを開発したことを報告した。同モデルのアルゴリズム変数は患者もよく知る、また一般開業医がルーチンに記録している簡易な臨床指標から成る。Hippisley-Cox氏は「アルゴリズムは一般診療所の臨床コンピュータシステムに組み込むことができ、入院や薬物療法開始以前に、患者が静脈血栓塞栓症リスク増大の可能性があるかを判断できるだろう」と結論している。BMJ誌2011年8月20日号(オンライン版2011年8月16日号)掲載報告より。イングランドとウェールズの診療データベースからリスク予測モデルを開発Hippisley-Cox氏らは、一般診療所からルーチンに収集されている臨床データを用い、前向きオープンコホート研究にて、新しい静脈血栓塞栓症のリスク予測モデルの開発に取り組んだ。具体的には、イングランドとウェールズの564の一般診療所から収集されているQResearchデータベースに登録されていた、過去12ヵ月以内に妊娠記録あるいは静脈血栓塞栓症の病歴がなく、経口抗凝固薬の処方歴のない25~84歳の患者のデータ(2004年1月1日~2010年4月30日分)で、リスク因子を導き出すためのコホート(導出コホート)231万4,701例、検証コホート124万602例を抽出し使用した。アウトカムは、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症または肺塞栓症)の発症が診療録に記載されていたか、死亡記録の原因とリンクしていた場合とした。導出コホートの検証では、Cox比例ハザードモデルにて導出されたリスク因子について1年時点と5年時点の評価が行われた。検証コホートでは、検定と識別力の検証が行われた。モデル、リスク因子の妥当性が認められる導出コホートでの静脈血栓塞栓症の発生は、同コホート総計1,009万5,199人・年で1万4,756例が認められた(1万人・年につき14.6)。検証コホートでは、同463万2,694人・年で6,913例が認められた(1万人・年につき14.9)。男女から成る最終モデルに含まれた独立予測因子は、年齢、BMI、喫煙状態、静脈瘤、うっ血性心不全、慢性腎臓病、がん、慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸疾患、過去6ヵ月以内の入院、抗精神病薬を処方されているであった。著者らは女性の最終モデルには、さらに経口避妊薬、抗がん薬のタモキシフェン、ホルモン補充療法を含めた。それらリスク予測因子の妥当性検証を検証コホートにて行った結果、R2統計値は5年時点で女性33%、男性34%だった。同じく5年時点のD統計値は女性が1.43、男性が1.45。ROC統計の結果は、男女いずれも0.75であり、モデルは適切に調整されたものであることが示された。

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