高齢者の白内障、手術で大腿骨頸部骨折リスク16%低下

提供元:ケアネット

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公開日:2012/08/14

 

白内障の診断を受けた高齢者は、白内障手術を受けたほうが受けない場合に比べ、1年間の大腿骨頸部骨折リスクは約16%低下するとの結果が報告された。米国・ブラウン大学のVictoria L. Tseng氏らが、メディケア受給者110万人超について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年8月1日号で発表した。視覚障害は骨折のリスク因子であることは明らかにされているが、白内障手術と骨折リスクとの関連についてはこれまでほとんど報告されていないという。

白内障と診断されたメディケア加入者5%を無作為抽出
研究グループは、65歳以上のメディケア・パートB受給者の中から、2002~2009年の間に白内障の診断を受けた人のうち、無作為に抽出した5%(111万3,640人)について後ろ向き追跡試験を行い、手術の有無による1年間の骨折罹患率を比較した。

同罹患率については、年齢、性別、人種、居住地域などについて補正を行い、ロジスティック回帰モデルでオッズ比を求めた。

白内障手術群、非手術群に比べ大腿骨頸部骨折リスクは0.84倍に
被験者のうち、追跡期間中に白内障の手術を受けたのは、41万809人(36.9%)だった。また、大腿骨頸部骨折を発生したのは、1万3,976人(1.3%)だった。

白内障手術を受けた人の、受けなかった人に対する、1年間の大腿骨頸部骨折に関する補正後オッズ比は、0.84(95%信頼区間:0.81~0.87)と、絶対リスク格差は0.20%だった。

また、最も多い大腿骨頸部骨折関連の共存疾患は骨粗鬆症(13万4,335人、12.1%)で、最も多い共存眼疾患は緑内障だった(21万2382人、19.1%)。

白内障手術を受けて大腿骨頸部骨折リスクが低下した人は、受けなかった適合グループ群との比較で、重症の白内障の人、傾向スコアに基づき手術を受けたと思われる人、75歳以上、Charlson併存疾患指数3以上の人であった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)