サイト内検索|page:21

検索結果 合計:413件 表示位置:401 - 413

401.

閉経後骨粗鬆症に適応、ウェールナラ配合錠に製造販売承認とジュリナ錠に追加承認

バイエル薬品株式会社は10月20日、閉経後骨粗鬆症治療薬「ウェールナラ配合錠」の製造販売承認及び更年期障害治療薬「ジュリナ錠0.5mg」の閉経後骨粗鬆症での適応追加を10月16日付で取得したと発表した。ウェールナラ配合錠は、天然型エストロゲンである 17β-エストラジオール 1mg と、黄体ホルモンであるレボノルゲストレル 0.04mg を主成分とする国内初の経口投与で作用する配合剤。この配合錠は、一剤でエストロゲンの補充と子宮内膜保護という2つの効果を示すことから、服薬コンプライアンスの向上が期待できる製剤として開発された。自然閉経または両側卵巣摘出に伴う骨粗鬆症患者 309名を対象とした国内プラセボ対照無作為化二重盲検試験では、1年間(52週間)の腰椎骨密度が約8%、2年間(104週)で約10%増加し、対照としたプラセボでは骨密度の増加は認められなかったという。ジュリナ錠は、国際閉経学会、北米閉経学会等が推奨する低用量の経口エストロゲン製剤で、更年期障害および卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(ホットフラッシュおよび発汗)、腟萎縮症状への適応で本年4月に厚生労働省から製造販売承認を取得し、9月16日に国内で新発売した製品。今回の適応追加により、閉経後骨粗鬆症の治療を目的とした処方が可能となった。詳細はプレスリリースへhttp://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail/?file_path=2008%2Fnews2008-10-20.html

402.

周産期うつ病に認知行動療法に基づく介入は有効か:パキスタンの場合

地域のプライマリヘルスワーカーによる認知行動療法に基づく心理学的介入は、周産期うつ病の治療として有効なことが、パキスタンで実施された無作為化試験で明らかとなった。周産期うつ病の発症率は高く、障害を引き起こしたり幼児の発達障害の原因となりうるため、その治療は公衆衛生学上の優先課題だという。イギリスLiverpool大学地域コミュニティ行動科学科のAtif Rahman氏が、Lancet誌2008年9月13日号で報告した。うつ病妊婦に対する認知行動療法に基づく介入のクラスター無作為化試験研究グループは、パキスタン非都市部において地域住民ベースのプライマリヘルスワーカーのルーチン業務に認知行動療法に基づく介入を統合し、この介入法が妊婦うつ病および新生児の予後に及ぼす効果を評価するためのクラスター無作為化対照比較試験を実施した。ラワルピンディ市非都市部の40のUnion Council(パキスタンの最小行政単位で約1万5,000~2万人の住民から構成される)をクラスターとして、介入群あるいは対照群に1対1の割合で無作為に割り付けた。対象は、妊娠第3期に周産期うつ病と診断された既婚女性(16~45歳)とした。介入群のプライマリヘルスワーカーはうつ病の母親に心理学的介入を行うための訓練を受けた。対照群のヘルスワーカーは訓練を受けずにうつ病の母親に対して介入群と同じ回数の訪問指導を行った。主要評価項目は出産後6ヵ月および12ヵ月の時点での新生児の体重および身長とし、副次評価項目は母親のうつ病とした。インタビュアーには母親がいずれの群に属するかは知らされなかった。介入群の母親はうつ病の発症率が有意に少ない各群に20ずつのクラスターが割り付けられ、介入群の母親は463例、対照群は440例であった。出産後6ヵ月の時点で大うつ病の判定規準を満たした母親の割合は、対照群の53%(211/400例)に対し介入群は23%(97/418例)と有意な改善効果が認められた(補正オッズ比:0.22、95%信頼区間:0.14~0.36、p<0.0001)。この効果は12ヵ月後も維持されていた[27%(111/412例) vs. 59%(226/386例)、補正オッズ比:0.23、95%信頼区間:0.15~0.36、p<0.0001]。両群の幼児の体重および身長のzスコアは、6ヵ月(それぞれ、p=0.7、p=0.3)および12ヵ月(p=0.3、p=0.07)の時点でいずれも有意な差は認めなかった。その一方で、介入群の幼児は下痢が少なく、予防接種率が高かった。また、介入群では母親の避妊薬の使用率が高く(乳幼児死亡率の低減には出産の間隔を十分に開けることが重要)、両親が子どもと遊ぶ時間が長いなどのベネフィットが確認された。著者は、「地域のプライマリヘルスワーカーによる認知行動療法に基づく心理学的介入は、周産期うつ病の治療として医療資源に乏しい地域の医療システムに統合しうる」と結論したうえで、この結果は「メンタルヘルスが公衆衛生プログラムの重要なコンポーネントとなりうることを示唆する」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

403.

概ね必要適格なケアを受けている:イギリス50歳以上成人

健康問題を有する人へのヘルスケア介入は効果的に行われているのか。イギリスの50歳以上成人を対象とする調査が、イーストアングリア大学医学部健康政策実践部門のNicholas Steel氏らにより行われた。BMJ誌2008年8月13日号より。32の臨床指標と7つの質問を用いて評価調査は、面談方式による全国統一のサーベイアンケートで、公的・私的を問わず提供されたケアの質の評価をカバーできる指標を有する。参加者は、全イングランドの世帯を対象とする経時的研究(English longitudinal study of ageing)の8,688人で、そのうち4,417人は13の健康問題(虚血性心疾患、うつ、糖尿病など)のうち1つ以上を有していた。主要転帰は、32の臨床指標と7つの質問を用いて、患者である参加者が受けていると回答した介入の適格性の割合と集計スコア。障害や虚弱問題の領域では不十分調査の結果、患者は1万9,082種類の必要適格なケアを受けていた。必要適格なケアを受けているかは、参加者の健康状況によって異なった。最も適格にケアを受けていたのは「虚血性心疾患」の問題を有する患者で83%、「難聴」79%、「疼痛マネジメント」78%、「糖尿病」74%、「禁煙」74%、「高血圧」72%、「脳卒中」65%、「うつ病」64%、「要介護」58%、「視覚障害」58%、「骨粗鬆症」53%、「尿失禁」51%、「転倒マネジメント」44%、「変形性関節症」29%と続き、「全体的に」62%だった。ケアの適格性は、老化に伴う問題(55%)よりも医学的問題(74%)に関するもののほうが高い。また、一般開業医の報酬対象となっている健康問題のほうが(75%)、対象外となっている健康問題(58%)よりも高かった。Steel氏は「推奨されているケアは、障害や虚弱問題の領域では十分に提供されていなかった。よりよい健康アウトカムを成し遂げるためのケア改善の努力は広範囲にわたり必要だが、特に高齢者のQOLに影響を及ぼす慢性疾患の問題で必要である」と結論している。

404.

ビスホスホネートは骨粗鬆症女性の心房細動/粗動リスクを増やさない

 ビスホスホネートの使用により骨粗鬆症女性の心房細動/粗動のリスクが増大することを示すエビデンスはないことが、デンマークAarhus大学病院臨床疫学のHenrik Toft Sorensen氏らが実施した地域住民ベースの症例対照研究で明らかとなった。ビスホスホネートは骨粗鬆症の治療に広く使用されているが、一部の臨床試験のデータに基づいて心房細動のリスクを増大させる可能性が指摘されていた。BMJ誌2008年4月12日号(オンライン版2008年3月11日号)掲載の報告。医療データベースを用いた症例対照研究 研究グループは、心房細胞/粗動と骨粗鬆症女性に対するビスホスホネート使用との関連の評価を目的に、デンマークの医療データベースを用いた地域住民ベースの症例対照研究を行った。 心房細動/粗動群に1万3,586人が、対照群に6万8,054人が登録された。主要評価項目は心房細動/粗動の補正相対リスクとした。心房細動/粗動発症の補正相対リスクに有意差なし 心房細動/粗動群の3.2%(435人)および対照群の2.9%(1,958人)がビスホスホネートの投与を受けていた。エチドロネート(国内商品名:ダイドロネル)およびアレンドロネート(ボナロン、フォサマック)の使用頻度は、両群間でほぼ同じであった。 ビスホスホネート非使用者と比較して、使用者が心房細動/粗動を発症する補正相対リスクは0.95(95%信頼区間:0.84~1.07)であり、有意な差を認めなかった。新規使用者の相対リスクは0.75(0.49~1.16)と、概して継続使用者と類似していた(0.96、0.85~1.09)。 相対リスクの推計値は、処方数や退院記録にある心房細動/粗動の診断部位とは関連がなく、入院患者と外来患者の間でも類似していた。 これらの結果により、Sorensen氏は「ビスホスホネートの使用により骨粗鬆症女性の心房細動/粗動のリスクが増大することを示すエビデンスはない」と結論し、「われわれのデータは、最近報告されたリセドロネート(ベネット、アクトネル)を用いたプラセボ対照比較試験の再解析(約1万5,000例、フォローアップ期間3年)の結果と一致する」と指摘している。

405.

遺伝子LRP5異型が骨密度減少と骨折リスク増大に関連

 低密度リポ蛋白質受容体である遺伝子LRP5の突然変異は、骨密度(BMD)の変化に基づく希有な症候群を引き起こすことが知られている。オランダ・エラスムス大学医療センターのJoyce B. J. van Meurs氏らGENOMOS Studyグループは大規模な研究を行い、LRP5異型が骨密度減少と骨折リスク増大に関わることで、骨粗鬆症に関与していることを見いだしたと報告。JAMA誌 2008年3月19日号より。欧米の37,534例について腰椎、大腿骨頸部骨密度と骨折を検証研究は、LRP5遺伝子のうち一般的な異型であるMet 667とVal1330の2種と、類似するLRP6の異型Ile1062Valが、骨密度と骨折リスクに関係するのか、大規模なエビデンスを得るために、ヨーロッパと北アメリカの18研究機関が協力し合計37,534人分のデータを提供する、前向きの多施設共同研究として行われた。データは2004年9月~2007年1月にかけて収集され、2007年2月~5月にかけて分析された。骨密度は二重エネルギーX線吸光光度定量法で評価され、骨折はアンケート、診療記録またはX線撮影の書証で確認された。骨折データは別に利用するため、脊椎骨折のための放射線検査を含む通常の調査方法で確認された。主要評価項目は、腰椎と大腿骨頸部の骨密度およびすべての骨折と脊椎骨折の有病率とした。LRP5の一般的な異型2種とも独立してBMDに影響腰椎BMD減少との関連が認められたのは、Met667群(n=25,052、Met667当たりBMD 20-mg/cm2減少;P=3.3×10の-8乗)、Val1330群(n=24,812、Val1330当たりBMD 14-mg/cm2減少;P=2.6×10の-9乗)。大腿骨頸部BMDについても同様に関連がみられ、Met667(n=25,193、同11mg/cm2減少;P=3.8×10の-5乗)、Val1330(n=25,193、同8mg/cm2減少;P=5.0×10の-6乗)だった。脊椎骨折が認められたのは、Met667群では20,488例中2,001例(オッズ比:1.26、95%信頼区間:1.08~1.47)、Val1330では20,096例中1,988例(同1.12、1.01~1.24)だった。すべての骨折リスクは、Met667群、Val1330群とも増大していた。前者は31,435例中7,876例骨折(同1.14、対立遺伝子当たり95%信頼区間:1.05~1.24)、後者は31,199例中7,802例骨折(同1.06、1.01~1.12)。ハプロタイプ分析によって、Met667とVal1330異型が両方とも独立してBMDに影響を及ぼすことが確認された。年齢、体重、身長、閉経期状態およびホルモン療法の有無で補正しても変わりはない。他方、LRP6異型のIle1062Valは、どのような骨粗鬆症の現象とも関係していなかった。Meurs氏らは「LRP5は、骨粗鬆症に関わる現象について、初めて遺伝子レベルの有意性を示したケースかもしれない。まだ一個の遺伝標識が、あるリスク現象の一部を説明したにすぎないが、骨粗鬆症のリスク変化をいくつか確認できれば、臨床予測を改善し、新薬開発に寄与する可能性もある」と強調している。(朝田哲明:医療ライター)

406.

経口避妊薬は、市販後50年で約10万人の卵巣癌死を予防

経口避妊薬の使用により卵巣癌の発生率が低下することが知られている。卵巣癌は若年女性では少なく、加齢とともに増加するため、発生率低下の公衆衛生面への影響は使用中止後のリスク低下効果の持続時間に依存するという。Collaborative Group on Epidemiological Studies of Ovarian Cancerの研究グループは45の疫学研究のデータを解析、経口避妊薬は市販後約50年の間に約20万人の女性の卵巣癌罹患を予防し、約10万人が卵巣癌による死亡から救われたと推計している。Lancet誌2008年1月26日号掲載の報告。使用状況と卵巣癌相対リスクを推計21か国の45の疫学研究から2万3,257人の卵巣癌症例と8万7,303人の非卵巣癌(対照)のデータを収集し解析を行った。経口避妊薬の使用状況と卵巣癌の相対リスクを推計し、さまざまな因子で層別化した。経口避妊薬の使用経験者は症例群が7,308人(31%)、対照群が3万2,717人(37%)であり、平均使用期間はそれぞれ4.4年、5.0年であった。卵巣癌診断年の中央値は1993年、診断時の平均年齢は56歳であった。今後数10年にわたり、年間3万人以上の卵巣癌罹患を予防経口避妊薬の使用期間が長いほど卵巣癌のリスクが低下した(p<0.0001)。また、このリスク低下効果は使用中止後30年以上が経過しても持続していたが、中止後10年までは29%、10~19年では19%、20~29年では15%と漸減した。経口避妊薬のエストロゲン含有量は年代によって異なり、1960年代は1980年代の2倍以上であった。しかし、60年代、70年代、80年代のリスク低下率は使用期間に応じて同等であり、エストロゲン量とは関連しなかった。組織型別の解析では、粘液性癌(全体の12%)は経口避妊薬の影響をほとんど受けていなかったが、他の組織型は同等のリスク低下率を示した。高所得国では、経口避妊薬を10年間使用した場合、75歳までの卵巣癌罹患率は100人当たり1.2から0.8人に、卵巣癌による死亡率は0.7から0.5人に低下すると推計された。これは、5,000人年当たり2人の罹患および1人の死亡が予防されることになる。研究グループは、「経口避妊薬の長期的な卵巣癌予防効果を確認した。市販後約50年で約20万人の卵巣癌罹患および約10万人の卵巣癌死を予防したと推計される」と結論、「卵巣癌罹患予防数は、今後、数10年以上にわたり、少なくとも年間3万人にのぼる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

407.

高度外傷性骨折も骨粗鬆症、二次的骨折と関連する

自動車衝突事故や身長以上の高さからの落下などによる高度外傷性骨折は、骨粗鬆症や二次的骨折とは無関係であると広く考えられ、高度外傷性骨折経験者は骨粗鬆症研究やその他観察研究の対象から除外されてきた。SOF・MrOS研究に参加したDawn C. Mackey氏らは、その考え方に疑問を呈し、低骨密度(BMD)は高度外傷性骨折のリスクを増大し、高度外傷性骨折は二次的骨折のリスクを増大するとの仮説を立て検証を行った。JAMA誌11月28日号掲載より。米国65歳以上女性8,022例、男性5,995例を対象高齢男女の骨密度(BMD)と高度外傷性骨折との関連、および高度外傷性骨折と二次的骨折との関連は、米国65歳以上成人を対象に行われた男女2つの大規模な前向きコホート研究で検証された。1つはSOF(Study of Osteoporotic Fractures:1988年~2006年、追跡調査9.1年)で解析対象は女性8,022例。もう1つはMrOS(Osteoporotic Fractures in Men Study:2000年~2007年、追跡調査5.1年)で男性5,995例。主要評価項目は、二重X線骨密度測定装置で測定された股関節および脊椎のBMD。脊椎以外の骨折インシデントは、X線撮影の報告によって確認。また骨折について、BMDの情報有無を問わず、高度外傷(自動車衝突事故、身長以上の高さからの落下による)、または軽度外傷(身長程度の高さからの転落および重度未満の外傷による)に分類された。BMD減少と骨折リスク上昇は高度・軽度問わず相関初発の高度外傷性骨折があったのは女性264例、男性94例。初発の軽度外傷性骨折については女性3,211例、男性346例だった。女性の解析で、股関節BMDの1-SD当たりの減少と高度外傷性骨折のリスク上昇(多変量解析による相対ハザード1.45)、あるいは軽度外傷性骨折のリスク上昇(同1.49)はいずれも同様の相関が示された。この結果は男性でも同様だった(対高度外傷骨折相対ハザード1.54、軽度外傷性骨折1.69)。二次的骨折リスクは骨折経験者で高い二次的骨折リスク(女性)は、高度外傷性骨折の経験有無で比較すると、ある女性のほうが高く34%、軽度外傷性骨折でも、ある女性のほうが高く31%だった。二次的骨折リスクのモデル化は男性では行われなかったが、Mackey氏らは、「外傷性骨折(脊椎以外)および高齢期の二次的骨折のリスク増加は、骨折の程度にかかわらず、いずれも低BMDとの相関が確認された。したがって彼らも骨粗鬆症研究などの対象として含めるべきである」と結論づけた。(武藤まき:医療ライター)

408.

経口避妊薬の長期使用により子宮頸癌のリスクが倍増、中止後は漸減

混合型経口避妊薬は、国際がん研究機関(IARC)により子宮頸癌の原因とされている。この関連性の公衆衛生学的な意義は、子宮頸癌は加齢とともに増加することから、経口避妊薬使用中止後における作用の持続性の影響を強く受ける。 「子宮頸癌の疫学に関する国際共同研究」の研究グループは、世界各国で実施された試験のデータをプールし、子宮頸癌と経口避妊薬の使用パターンの関連について検討した。11月10日付Lancet誌掲載の報告から。24試験の子宮頸癌、非子宮頸癌女性の経口避妊薬の使用状況を解析解析の対象となった24試験には26ヵ国が参加しており、その約半数は開発途上国であった。子宮頸癌16,573例[浸潤癌11,170例、子宮頸部上皮内腫瘍grade 3(CIN3)5,403例]および非子宮頸癌女性35,509名(対照)のデータを集積して再解析した。子宮頸癌の相対リスクはconditional logistic regressionを用いて解析し、試験、年齢、性交パートナー数、初回性交年齢、喫煙、スクリーニング法などで層別化した。使用期間5年以上で相対リスクが倍増、中止後は漸減経口避妊薬の現使用者においては、使用期間が長くなるに従って浸潤性子宮頸癌のリスクが増大し、使用期間5年以上の女性の相対リスクは非使用女性の約2倍に達した(相対リスク:1.90、95%信頼区間:1.69~2.13)。一方、使用中止後はリスクが低下し、10年以上が経過すると非使用者と同等のリスクに戻った。浸潤癌およびCIN3とも同じリスクパターンがみられ、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染リスクの高い女性でも同様であった。また、患者背景の異なる女性間で、相対リスクの実質的な違いはみられなかった。長期使用により、累積発症率は開発途上国、先進国ともに上昇研究グループは、「子宮頸癌の相対リスクは経口避妊薬の使用により増加するが、中止後は低下する」と結論している。さらに、「20歳代の10年間、経口避妊薬を使用すると、50歳までの浸潤性子宮頸癌の累積発症率が開発途上国では1,000人当たり7.3人から8.3人へ、先進国では3.8人から4.5人へ上昇する」と解析している。(菅野 守:医学ライター)

409.

COPD――多彩な併存症を持つ全身性疾患

2007年10月23日、COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬スピリーバ(販売:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社/ファイザー株式会社)承認取得3周年記念記者会見で、日本医科大学呼吸器内科教授、同大学呼吸ケアクリニック所長の木田厚瑞氏はCOPDの多彩な併存症について講演を行った。COPDは虚血性心疾患、肺がん、骨粗鬆症、糖尿病、うつなど多彩な併存症をもつことで注目を浴びています。木田氏が以前、解剖になった4,552名の患者を対象に、COPDの主要病態である肺気腫の合併疾患の頻度を調べたところ、脳血管障害70.9%、肺炎61.0%、胃潰瘍43.9%、肺結核24.1%、肺がん21.5%が認められ、いずれも肺気腫なしの患者より有意に高かった。また、COPD患者の死因の35%は肺炎、27%は心血管疾患、21%はがんであった(*1)。COPD患者は、呼吸機能の低下に従って、骨粗鬆症の発生頻度が大幅に増加することが知られている(*2)。COPDにおける骨粗鬆症のリスクファクターとしては、喫煙、活動量の低下、体重減少と筋肉量の減少、およびステロイド治療などが考えられている(*3)。また、COPD患者の41%にうつがあり、死亡率が高いとの報告がある(*4)。一方、COPD患者の13~17%に貧血が起こり、貧血が併存する場合、運動機能が落ち、生存率も下がる(*5,6)。このように、COPDの併存症は、多彩であるため、プライマリ・ケアと専門性の高い医療機関との連携(紹介・逆紹介)が望ましいと木田氏が強調した。一方、木田氏は、併存症を治療すると同時に、COPDに対し、効果の乏しい不適切な薬物処方をやめ、適切な治療を行うことで、患者QOLの向上、医療費の抑制につながると話した。【文献】*1 Rabe KF. N Engl J Med 2007; 356: 851.*2 Bolton CE. Am J Respir Crit Care Med 2004; 170:1286.*3 lonescu AA. Eur Respir J 2003; 22(suppl 46): 64s.*4 Fan VS, et al. Gender, depression, and risk of hospitalization and mortality in COPD*5 John M, et al. Chest 2005; 127: 825-829.*6 Cote C, et al. Eur Respir J 2007; 29: 923-929.(ケアネット 呉 晨)

410.

経口避妊薬はむしろ発癌リスクを低下させる

経口避妊薬は、1960年代初期に導入されて以来、3億人以上の女性が使用していると考えられる。経口避妊薬使用者は非使用者に比べ乳癌、子宮頸癌、肝癌のリスクが増大するとの研究結果がある一方で、子宮内膜癌、卵巣癌、結腸・直腸癌のリスクが低下するとの報告もあり、全体としての発癌リスクへの影響は明確でない。 イギリス・アバディーン大学一般医療・プライマリケア科のHannaford氏らは、経口避妊薬に関する長期試験のデータを用い、非使用者に比べ使用者では全体として発癌のリスクが低下するとの仮説の検証を行った。BMJ誌9月11日付オンライン版、9月30日付本誌掲載の報告。1968年に開始された試験のデータを用いて発癌リスクを評価解析にはRoyal College of General Practitioners’ oral contraception studyのデータを用いた。本試験は1968年に開始され、14ヵ月にわたりイギリス全土の約1,400名の一般医が23,377名の経口避妊薬使用者と23,796名の非使用者を登録した。2004年までの主要データセットと、1996年までのより小さなデータセットについて解析した。婦人科癌の併発癌をはじめ種々の癌について経口避妊薬使用者と非使用者における補正相対リスクの評価を行った。標準化変数は年齢、喫煙歴、社会的地位、ホルモン補充療法などであり、サブ解析として、使用者の背景因子、使用期間、使用中止後の経過時間による相対リスクの変化について評価した。経口避妊薬は発癌リスクを増大させず、むしろベネフィットをもたらす非使用者に比べ使用者では、大腸/直腸、子宮体部、卵巣、部位不明の癌、婦人科癌の併発癌などの発現率が有意に低下していた。使用期間が長くなるに従って、子宮頸癌、中枢神経系あるいは下垂体癌のリスクは有意に増大し、子宮体部癌、卵巣癌のリスクは有意に低下していた。より小さなデータセットでは発癌全体の相対リスクの低下には有意差はなかった。卵巣癌および子宮体部癌の相対リスクの低下は使用中止後も長期間にわたって観察されたが、部分的には有意差を認めなかった。主要データセットでは、使用者における発癌の絶対リスクの予測低下率は45/10万人年であり、加齢に伴ってベネフィットはむしろ増大した。より小さなデータセットの予測低下率は10/10万人年であった。これらの知見をふまえ、Hannaford氏は、「経口避妊薬は全体として発癌のリスクを増大させず、むしろベネフィットをもたらす可能性が示唆された」と結論し、「発癌のリスクとベネフィットのバランスは経口避妊薬の使用パターンや個々の癌の発症率などによって各国ごとに異なる可能性があり、死亡率への影響も含めさらなる検討が必要である」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

411.

カルシウム補助剤は中高年者の骨折、骨塩量減少を予防する

骨粗鬆症が原因の骨折による社会的、経済的な負担は加齢とともに世界規模で増大しており、その予防は公衆衛生学上の最優先事項とされるが、骨折予防薬は治療と同等のコストがかかる。カルシウムあるいはカルシウム+ビタミンDの補助剤は安価で効果的な骨折予防法との報告があるが、これらの知見は確立されていない。 オーストラリア・ウェスタンシドニー大学補完医学研究センターのBenjamin M. P. Tang氏らは、カルシウムあるいはカルシウム+ビタミンD補助剤が中高年者の骨粗鬆症による骨折や骨塩量に及ぼす影響を検討した無作為化試験に関するメタ解析を行った。8月25日付Lancet誌掲載の報告から。29のプラセボ対照無作為化試験に参加した約64,000人のデータを解析2007年1月までにデータベースに登録された報告などから、50歳以上の中高年者を対象とし、カルシウムあるいはカルシウム+ビタミンD補助剤の骨折および骨塩量に及ぼす効果を検討した29のプラセボ対照無作為化試験を抽出した。データは変量モデルを用いてプールした。17 試験が骨折について検討し、24試験が骨塩量の解析を行っていた。合計63,897人が解析の対象となり、そのうち58,785人(92%)が女性、平均年齢は67.8歳であった。13試験がカルシウム+ビタミンD補助剤を、16試験がカルシウム補助剤を用いていた。平均治療期間は3.5年。カルシウム補助剤により、全骨折リスク、骨塩量減少率が有意に改善骨折(52,625人)については、治療群で全骨折リスクが12%低下し有意差が認められた(リスク比:0.88、p=0.0004)。骨塩量(41,419人)については、治療群の骨塩量減少率が大腿骨近位部で0.54%改善され(p<0.0001)、椎骨では1.19%改善された(p <0.0001)。骨折リスクの改善効果はコンプライアンスが高い試験で有意に優れた(p<0.0001)。治療効果は、カルシウムの用量が<1,200mgよりも≧1,200mgで、ビタミンDは<800IUよりも≧800IUで有意に優れていた(それぞれp=0.006、 p=0.03)。Tang氏は、「50歳以上では、骨粗鬆症の予防治療としてカルシウムあるいはカルシウム+ビタミンD補助剤の使用を支持するエビデンスが得られた」と結論し、「優れた治療効果を得るには、少なくともカルシウム1,200mg+ビタミンD 800IU(併用治療の場合)が推奨される」と指摘している。また、「ビタミンDの上乗せ効果は示されなかったが、ビタミン Dの用量による効果の差が観察されている。この乖離は≧800IUのデータの不足による統計学的なアーチファクトと考えられ、高用量でのベネフィットが確認されていることから、併用する場合は≧800IUを使用すべき」と強調している。(菅野 守:医学ライター)

412.

HPV感染女性へのワクチン投与の有効性は皆無

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、HPV感染症と子宮頸部前癌および癌の発現を予防するために開発され、発癌性のHPVにすでに感染している女性に対してもワクチン接種を検討すべきとの説もある。米国立癌研究所のAllan Hildesheim氏らのグループは、子宮頸癌との関連が指摘されているHPV16と18の2タイプについて、既感染女性への予防接種がウイルス・クリアランス率を向上させるかどうか無作為化試験を実施した。報告はJAMA誌8月15日号に掲載された。16/18L1ワクチンとA型肝炎ワクチンでクリアランス率を比較試験は、2004年6月から2005年12月にかけて、コスタリカの2つの州で18~25歳の2,189人の女性を対象とした第III相無作為化盲検試験。参加者は登録時HPV DNA陽性で、HPV-16/18候補ワクチンの3回投与群(n=1,088)と、対照群としてA型肝炎予防ワクチンの6ヵ月投与群(n=1,101)とにランダムに割り付けられ、6ヵ月後のフォローアップ時にHPV DNA鑑定を受けた。主要評価項目はHPV DNAの存在。2回投与後の6ヵ月時点と3回投与後の12ヵ月時点でウイルス・クリアランス率を比較。判定は、子宮頸部標本を分子ハイブリッド形成検定、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)、さらに予防接種後のPCR法で行われた。一般的な感染症の治療にも使うべきではない6ヵ月後のウイルス・クリアランス率は、研究群33.4%(82/248)に対し対照群31.6%(95/298)(ウイルス・クリアランス率2.5%、 95%信頼区間-9.8%~13.5%)、12ヵ月後のクリアランス率は研究群48.8%(86/177)で対照群49.8%(110/220)だった(同-2.0%、-24.3%~16.3%)。また、ワクチンの全量投与を受けた女性、単感染の女性、入力変数(HPV-16/18血清・細胞学的検査結果、HPVDNAウイルス量、性経験、トラコーマクラミジアまたは淋菌感染、経口避妊薬、喫煙等)で階層化した場合でも治療効果は確認できなかった。研究グループは、HPV DNA陽性の女性へのHPV-16/18ワクチン投与はウイルス・クリアランスを改善せず、一般的な感染症の治療にも使うべきではないと結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

413.

高齢男性の骨粗鬆症性骨折予防治療の費用対効果は?

60歳白人男性が残りの生涯で、骨粗鬆症が原因で骨折する可能性は29%に上るなど、高齢男性の骨粗鬆症性骨折は重大な健康問題と認識されている。カナダ骨粗鬆学会は70歳以上あるいは65歳以上の全男性で骨密度検査を行うべきと提唱しているが、米国予防医療対策委員会やカナダ予防医療対策委員会では勧告を行っていない。女性については65歳以上での骨密度検査と予防的治療の費用対効果が実証されているが、男性については明らかになっていないため。そこでミネアポリスのPark Nicollet Health Servicesリウマチ学のJohn T. Schousboe氏らは、男性について費用対効果を検証した。JAMA誌8月8日付け報告から。生活の質を調整した生存年(QALY)当たりのコストを比較Schousboe 氏らは、骨密度検査の結果、骨粗鬆症と判明した男性(大腿骨頸部Tスコア-2.5以下)で、骨折予防を目的に5年間ビスフォスフォネートを投与した群と非介入群との費用対効果を比較した。コンピュータでMarkov microsimulation modelを作成し、65、70、75、80、85歳男性を骨折経験の有無で階層化し検証した。主要評価項目は、骨密度検査を行いフォローアップした治療群と非介入群との、生活の質を調整した生存年(QALY)当たりのコストの差、および治療戦略ごとの生涯コストおよびQALYsの累積とした。得られる利益のために支払ってよいとする額次第で介入群ではQALY当たりの生涯コストは上がったものの、骨折経験のある65歳以上の男性と骨折経験のない80歳以上の男性では50,000ドル未満で、費用対効果の可能性が確認できた。この結果は、ビスフォスフォネートのコストと骨折率低下の有効性への感受性が最も高く、骨塩量と骨折、骨折率と不利益、服薬遵守との相関も強かった。Schousboe氏らは、「経口ビスフォスフォネートのコストが年間500ドル未満の場合、あるいは、QALY当たりのコストを100,000ドルまで支払ってもよいという社会的合意がある場合は、骨折経験のない70歳以下の男性にもこの治療戦略の有効性は認められる」と結論付けている。(武藤まき:医療ライター)

検索結果 合計:413件 表示位置:401 - 413