経口避妊薬の長期使用により子宮頸癌のリスクが倍増、中止後は漸減

混合型経口避妊薬は、国際がん研究機関(IARC)により子宮頸癌の原因とされている。この関連性の公衆衛生学的な意義は、子宮頸癌は加齢とともに増加することから、経口避妊薬使用中止後における作用の持続性の影響を強く受ける。
「子宮頸癌の疫学に関する国際共同研究」の研究グループは、世界各国で実施された試験のデータをプールし、子宮頸癌と経口避妊薬の使用パターンの関連について検討した。11月10日付Lancet誌掲載の報告から。
24試験の子宮頸癌、非子宮頸癌女性の経口避妊薬の使用状況を解析
解析の対象となった24試験には26ヵ国が参加しており、その約半数は開発途上国であった。子宮頸癌16,573例[浸潤癌11,170例、子宮頸部上皮内腫瘍grade 3(CIN3)5,403例]および非子宮頸癌女性35,509名(対照)のデータを集積して再解析した。
子宮頸癌の相対リスクはconditional logistic regressionを用いて解析し、試験、年齢、性交パートナー数、初回性交年齢、喫煙、スクリーニング法などで層別化した。
使用期間5年以上で相対リスクが倍増、中止後は漸減
経口避妊薬の現使用者においては、使用期間が長くなるに従って浸潤性子宮頸癌のリスクが増大し、使用期間5年以上の女性の相対リスクは非使用女性の約2倍に達した(相対リスク:1.90、95%信頼区間:1.69~2.13)。
一方、使用中止後はリスクが低下し、10年以上が経過すると非使用者と同等のリスクに戻った。浸潤癌およびCIN3とも同じリスクパターンがみられ、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染リスクの高い女性でも同様であった。また、患者背景の異なる女性間で、相対リスクの実質的な違いはみられなかった。
長期使用により、累積発症率は開発途上国、先進国ともに上昇
研究グループは、「子宮頸癌の相対リスクは経口避妊薬の使用により増加するが、中止後は低下する」と結論している。
さらに、「20歳代の10年間、経口避妊薬を使用すると、50歳までの浸潤性子宮頸癌の累積発症率が開発途上国では1,000人当たり7.3人から8.3人へ、先進国では3.8人から4.5人へ上昇する」と解析している。
(菅野 守:医学ライター)
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