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カリウム摂取増で高血圧患者の血圧が低下:WHO調査/BMJ

 カリウム摂取量を増やすことで成人高血圧患者の血圧が低下するとともに、血中脂質濃度やカテコラミン値、腎機能には有害な影響はないことを示す質の高いエビデンスが得られたとする研究結果を、世界保健機関(WHO)のNancy J Aburto氏らの研究グループが、BMJ誌オンライン版2013年4月5日号で報告した。脳卒中のリスクも24%低下したという。カリウム摂取量が少ないと血圧上昇、高血圧、脳卒中のリスクが増加し、多ければこれらの疾患は予防される可能性が指摘されている。一方、カリウム高摂取が血圧や心血管疾患に及ぼす良好な効果に関するデータにはばらつきがあり、血中脂質濃度、カテコラミン値、腎機能に及ぼす有害な作用のデータも十分ではない状況だ。カリウム摂取が健康に及ぼす影響をメタ解析で評価 研究グループは、カリウム摂取が健康に及ぼす影響に関する知見の不足を補うために、文献の系統的レビューとメタ解析を行った。 データベースと既報の総説の文献一覧に当たり、カリウム摂取が血圧、腎機能、血中脂質濃度、カテコラミン値、全死因死亡、心血管疾患、脳卒中、冠動脈心疾患に及ぼす影響を検討した無作為化対照比較試験およびコホート試験を選出した。 2名の研究者が別個に試験の評価を行い、患者背景および転帰のデータを抽出した。カリウム高摂取の影響を評価するために、逆分散法とランダム効果モデルを用いてメタ解析を行った(平均差またはリスク比と、その95%信頼区間[CI]を算出)。非高血圧患者では降圧効果なし 血圧、血中脂質濃度、カテコラミン値、腎機能について検討した22件の無作為化対照比較試験(1,606例)および成人の全死因死亡、心血管疾患、脳卒中、冠動脈心疾患の検討を行った11件のコホート試験(12万7,038例)がメタ解析に含まれた。 カリウム摂取の増加により、成人の高血圧患者で血圧が3.49(95%CI:1.82~5.15)/1.96(同:0.86~3.06)mmHg低下したが、非高血圧患者ではこのような効果はみられなかった。 カリウム高摂取群(90~120mmol/日≒3,500~4,700mg/日)では収縮期血圧が7.16(95%CI:1.91~12.41)mmHg低下したが、用量反応は認めなかった。カリウム摂取の増加が、成人の腎機能、血中脂質濃度、カテコラミン値に有害な作用を及ぼすことはなかった。 カリウム摂取と脳卒中の発症リスクは有意な逆相関を示し、高摂取によりリスクが24%低下した(リスク比:0.76、95%CI:0.66~0.89)。心血管疾患(同:0.88、0.70~1.11)や冠動脈心疾患(同:0.96、0.78~1.19)との間には有意な関連はなかった。 小児では、3件の無作為化対照比較試験と1つのコホート試験において、カリウム摂取の増加により収縮期血圧が0.28(95%CI:-0.49~1.05)mmHg低下するが有意差はないことが示唆された。 著者は、「カリウム摂取量の増加により成人の高血圧患者の血圧が低下し、血中脂質濃度、カテコラミン値、腎機能には有害な作用はないことを示す質の高いエビデンスが得られた。また、カリウム高摂取により脳卒中のリスクが24%低下することを示す中等度の質のエビデンスも確認された」とまとめ、「これらの結果は、血圧上昇および脳卒中の予防、管理においては、カリウム摂取量を増やすことで、腎でのカリウム処理を損なわずにベネフィットがもたらされることを示唆する」と指摘している。

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心不全への標準治療に加えたアリスキレン投与、長期アウトカム改善せず/JAMA

 心不全入院患者に対し、利尿薬やβ遮断薬などの標準的治療に加え、直接的レニン阻害薬の降圧薬アリスキレン(商品名:ラジレス)の投与を行っても、6ヵ月、12ヵ月後のアウトカム改善は認められなかったことが、米国・ノースウェスタン大学のMihai Gheorghiade氏らによるプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、報告された。研究グループは、先行研究における、心不全患者に対するアリスキレン投与は脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を有意に低下し良好な血行動態をもたらすといった報告を踏まえて、アリスキレンの長期アウトカム改善の可能性に関する本検討を行った。JAMA誌2013年3月20日号掲載の報告より。世界316ヵ所で、心不全入院患者1,639例を無作為化 研究グループは2009年5月~2011年12月にかけて、南・北米、ヨーロッパ、アジアの316ヵ所の医療機関を通じ、心不全で入院した患者1,639例を対象に無作為化試験を行った。アリスキレンを、標準的な治療に加え投与した場合のアウトカムについて比較した。 被験者は18歳以上で、左室駆出率(LVEF)40%以下、BNP値400pg/mL以上、またはN末端プロBNP(NT-proBNP)値1,600pg/mL以上であった。また、水分過負荷の徴候や症状も認められた。 主要アウトカムは、6ヵ月後および12ヵ月後の心血管死または心不全による再入院とした。心血管死または心不全のイベント発生率、両群で同程度 被験者のうち最終的に分析対象に組み込まれたのは1,615例だった。平均年齢は65歳、平均LVEFは28%、平均推定糸球体濾過量(eGFR)は67mL/分/1.73m2だった。また被験者のうち41%が糖尿病を有していた。無作為化時点で利尿薬を服用していたのは95.9%、β遮断薬は82.5%、ACE阻害薬またはARBは84.2%、アルドステロン受容体拮抗薬は57.0%だった。 6ヵ月後の主要エンドポイント発生率は、アリスキレン群24.9%(心血管死:77例、心不全による再入院:153例)に対し、プラセボ群は26.5%(同:85例、同:166例)であり、両群で有意差はなかった(ハザード比:0.92、95%信頼区間:0.76~1.12、p=0.41)。 12ヵ月後の同イベント発生率についても、アリスキレン群35.0%に対しプラセボ群37.3%と、両群で有意差はなかった(同:0.93、0.79~1.09、p=0.36)。 なお、高カリウム血症、低血圧症、腎機能障害や腎不全の発症率は、いずれもアリスキレン群で高率だった。

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募集した質問にエキスパートが答える!心房細動診療 Q&A (Part.2)

今回も、4つの質問に回答します。「抗凝固薬服薬者が出血した時の対処法」「抗血小板薬と抗凝固薬の併用」「レートコントロールの具体的方法」「アブレーションの適応患者と予後」ワルファリンまたは新規抗凝固薬を服薬中に出血した場合、どのように対処すべきでしょうか?中和方法等を含めて教えてください。緊急の止血を要する場合の処置法は図5のとおりです。まずは、投与中止し、バイタルサインを見ながら止血と補液を行います。脳出血やくも膜下出血の場合には十分な降圧を行います。最近、Xa阻害剤の中和剤(PRT4445)が開発され、健常人を対象に臨床研究が始まることが報告されました。今後の結果が待たれます。ダビガトランは透析可能とされておりますが、臨床データは十分ではなく、また出血の起きているときに太い透析用のカテーテルを留置するのはあまり現実的ではないでしょう。図5.中等度~重度の出血(緊急の止血を要する場合)画像を拡大する虚血性心疾患既往例など抗血小板薬と抗凝固療法を併用する場合、どのような点に注意すべきでしょうか?抗血小板薬2剤+抗凝固薬1剤という処方パターンなどは許されますでしょうか?大変悩ましい質問です。抗血小板薬と抗凝固療法の併用は、出血事故を増加させます。このため併用者が受診した時には、出血がなかったかどうかを毎回問診します。ヨーロッパ心臓病学会(ESC)の2010年ガイドラインには、虚血性心疾患で抗血小板薬と抗凝固療法を併用する場合の治療方針が掲載されております(表2)。その指針には、(1)HAS-BLED出血スコアを考慮し、次に(2)待機的に加療する狭心症か、あるいは緊急で治療を要する急性冠症候群か、そして(3)ステント性状がベアメタルか薬剤溶出性か、の3つのステップを踏んで薬剤の種類と投与期間を決定すると示されています。確かに合理的と思いますが、これには十分なエビデンスがないことより、今後の検証を待つべきでしょう。しかしながら、個人差があると思いますが、原則としてステント留置後1年が経過したらワルファリン単剤で様子を見たいと思います。ただし、新規抗凝固薬についての言及はありません。表2.心房細動+ステント症例の抗血栓療法画像を拡大するレートコントロールを具体的にどのように行えばよろしいでしょうか?(薬剤の選択、β遮断薬の使い方、目指すべき脈拍数等)レートコントロールは洞調律の維持を切望しない、すなわち心房細動症状があまり強くない人に行うことが主です。しかしながら、リズムコントロール薬と併用することもありますし、反対にリズムコントロール薬よりもレートコントロール薬の方が有効である症例も経験します。まず、心機能別の薬剤使い分けを表示します(表3)。高齢者は薬物の代謝能力が落ちていることがありますので、投与前には肝・腎機能を調べるとともに、併用薬がないかどうかも確認します。まず表3に記載された薬剤は少量から使用すべきでしょう。たとえばジギタリスは常用量の半量から使用し、β遮断薬は(分割や粉砕などの手間がかかりますが)常用量の1/4 ~1/2量から開始します(最近は低用量製剤も使用可能です)。ベラパミルは朝と日中の2回のみ使用します。投与後は過度な徐脈になっていないかどうかを、自覚症状とホルター心電図で検討します。私は、夜間の最低脈拍数は40台まで、また、3秒までのポーズは良しとしております。動いたときに息切れがひどくなったと言われれば中止することもあります。喘息のある場合はジギタリスかCa拮抗薬がお勧めですが、ベータ1選択性の強いビソプロロールは投与可能とされます。目標心拍数についてはRACE II試験が参考になります(NEJM 2010)。この試験では、レートコントロールは厳密に行うべきか(安静時心拍数が80/分未満で、かつ日常活動時に110/分未満)、あるいは緩徐でよいか(安静時心拍数が110/分未満であれば良しとする)の2群に分けて3年間の予後を比べました。その結果、2群間に死亡や入院、およびペースメーカ植込みなどの複合エンドポイントに有意差はなかったことより、レートコントロールは緩めで良いと結論付けられました。その後のサブ解析(JACC 2011)、左房径や左室径のりモデリング(拡大)は、レートコントロールの程度で差はないことが報告されました。白衣高血圧と同様の現象で、診察時や心電図をとるときに緊張すると、心拍数はすぐに増加します。しかしながら、いつも頻脈が続く場合や、頻脈による症状が強い時には、何か疾患が隠れていることもありますので注意が必要です。たとえば、COPD、貧血、甲状腺機能亢進症、および、頻度は低いのですがWPW症候群に合併した心房細動(頻脈時にQRS幅が広い)のこともありますのでレートコントロールがうまくいかない場合には専門医を受診させるとよいでしょう。薬剤によるレートコントロールがうまくいかない場合には、房室結節をカテーテルアブレーションによって離断し、同時にペースメーカを植込むこともあります。表3.心機能別にみた薬剤の使い分け画像を拡大するアブレーションはどのような患者に適応されますか?また、長期予後はどうでしょうか?教えてください。機器の改良と経験の積み重ねによってアブレーションの成功率は高くなってきました。この結果、適応範囲は拡大し、治療のエビデンスレベルは向上しております。日本循環器学会のガイドラインでは年間50例以上の心房細動アブレーションを行っている施設に限ってはClass Iになりました。すなわち内服治療の段階を経ることなく、アブレーションを第一選択治療法として良いとしました。しかながら、心房細動そのものは緊急治療を要する致死性不整脈ではありません。このため、アブレーションの良い適応は心房細動が出ると動悸症状が強くてQOLが低下する患者さんでしょう。心房細動がでると心不全に進展する場合も適応です。最近は、マラソンブームをうけて一般ランナーやジムでトレーニングを続けるアスリートなどが心房細動を自覚して紹介来院される人が増えてきたように思います。心房細動がでるとパフォーマンスが落ちて気分が落ちるためにアブレーションを希望されるようです。現時点では、心房細動アブレーションに生命予後の改善や脳梗塞の予防効果があるかどうかのエビデンスがそろったわけではありません。図6のようにアブレーションを一回のみ施行した場合は5年間の追跡で約半数が再発します(左)。再発に気付いて追加アブレーションを行うことにより洞調律維持効果が上がります(右)。発生から1年以上持続した持続性心房細動や左房径が5cmを超えている場合は再発率が高いため、最初から複数回のアブレーションを行うことも説明します。また、合併症は0ではありません。危険性を十分説明し、患者さんが納得したところで施行すべきです。アブレーションが成功したと思ってもその後に無症候性の心房細動が発生していることも報告されておりますので、CHADS2スコアにしたがって抗凝固療法を継続することも必要でしょう。また、最近は図7のようにCHADS2スコアが心房細動アブレーションの効果を予測するとする報告がなされました。CHADS2スコアが1を超えると再発率が高く、追加アブレーションが必要とされるようです。図6.洞調律維持効果(中期)画像を拡大する図7.CHADS2スコアと洞調律維持効果(長期)画像を拡大する

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(65)〕 スピロノラクトンは収縮機能保持心不全例の左室拡張機能指標を改善させる:予後改善効果に期待

本研究は左室収縮機能が保持された心不全患者を対象に、二重盲検法でスピロノラクトン25mgあるいは偽薬を各々約200例に対して1年間投与し、同薬の左室機能や形態、運動耐容能などに与える影響を検討した。その結果、同薬は左室拡張能指標、左室重量係数、NT-proBNP値を改善させることを明らかにした。しかし、運動耐容能やQOL指標には明らかな改善効果はみられなかったとしている。左室収縮機能保持心不全例の予後やQOLを改善させる治療法は確立されておらず、最近増えつつあるこのタイプの心不全に対する治療エビデンスを確立させることは喫緊の課題である。 本論文では、残念ながら生命予後や運動耐容能までの改善効果は見出すことはできなかった。とはいえ、投与法や対象群選定の工夫により、同薬の収縮機能保持心不全例に対しての臨床的有用性を期待させる結果である。しかし、注意しなければならないのは、対象例の9割以上が高血圧を合併しており、スピロノラクトン群は偽薬群に比較して収縮期血圧が最終的に約9mmHg低くなっている。この降圧効果の差をいかに解釈するかがポイントと考えられる。左室肥大を有する高血圧例では、いくつかの降圧薬により左室重量や左室拡張機能が改善することはすでに知られている。本論文では、その左室拡張機能改善と降圧効果は統計学的に処理しても独立したものとしているが、対照を偽薬ではなく同程度の降圧効果を有するものとした場合にも同様の効果が現れるものかを知りたいところである。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(53)〕 HOPE試験の再来か?ACE阻害薬が間歇性跛行に”降圧を超えた”有効性

ASOによる間歇性跛行を有する症例に対して、ACE阻害薬ラミプリルの6ヵ月投与は、歩行距離、歩行時間、歩行スピードのいずれも改善し、疼痛の軽減させることでQOL改善をもたらしたという論文である。 しかも、これらの改善に対する血圧低下は収縮期/拡張期血圧各々3.1/4.3mmHgと比較的少なく、また高血圧の有無にかかわらずその改善度は同様であった。このことから著者らは、HOPE試験と同じようにACE阻害薬の「降圧を超えた」血管保護効果があったとしている。この程度の血圧低下を、“降圧”とみなすか“降圧以外”とみなすかは判定が難しいが、HOPE試験では診察室血圧の差は軽微であっても24時間血圧、とくに夜間血圧に大きな差がみとめられていた。 本研究では、921例リクルートされた症例から212例のみが登録されており、大多数が登録基準を満たさず脱落している。患者背景では、高血圧患者は50%前後にすぎず、糖尿病患者も25%しか含まれていない。すなわち、冠動脈疾患、腎疾患など他の心血管合併症を有する例やプラセボ治療に耐えることのできない症例はすべて除外されていることになる。 実臨床の世界では、ASO症例は他の心血管合併症を有していることが多く、本試験の結果が実臨床の世界で通用するか否かは不明である。もう一つ、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)でも同様な結果が得られるか否かについて著者らは言及していないが、ACE阻害薬のブラジキニンによる血管拡張効果をWIQスコアの改善と関連づけていることから、ARBでは同様の改善効果は期待できないであろう。 いずれにしても比較的軽症なASO症例では高血圧の有無にかかわらずACE阻害薬の処方が有用であることを示す一つのエビデンスではあろう。

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バレンタインデーの前に知っておきたい「チョコレートが体に良い5つの理由」

 日本のチョコレートの年間消費量の2割程度がこの日に消費されるというバレンタインデー。近年、チョコレートが健康に良いことを裏付ける研究結果が発表されているため、バレンタインデーのこの機会に少しまとめてみた。研究者らは、チョコレートのカカオに多く含まれるフラバノールによる抗酸化、抗凝固、抗炎症作用などが心血管疾患に良い効果をもたらしているのではないかと考えているようだ。1. 毎日少量のダークチョコレート摂取で血圧が低下1) ダークチョコレートによる降圧効果が小規模な無作為化比較試験により示された(2007年JAMA誌掲載)。この試験では高血圧前症または高血圧症(第I度)44例に、ダークチョコレートを毎日6.3g(30kcal)、もしくはホワイトチョコレートを摂取させた。その結果、18週間で、ダークチョコレート摂取群の収縮期血圧が平均2.9mmHg、拡張期血圧も1.9mmHg下がった(p<0.001)。体重、血漿中の脂質、ブドウ糖、8-isoprostaneのレベルに変化はなかった。高血圧有病率は86%から68%まで減少した。一方、ホワイトチョコレート摂取群では血圧、血漿中マーカーとも変化は見られなかった。2. チョコレートの消費量が多い人ほど心血管疾患リスクが低い2) チョコレート消費量と心血管疾患リスクに関するメタアナリシスの結果が2011年のBMJ誌に発表されている。この研究では2010年10月までに発表された文献のデータベースを検索し、選択基準を満たした7試験(11万4,009人)をメタアナリシスの対象としている。この解析の結果、チョコレートの消費量が最も多い群は最も少ない群に比べて、全心血管疾患リスクが37%低下(相対リスク:0.63、95%信頼区間:0.44~0.90)し、脳卒中リスクが29%低下した(同:0.71、0.52~0.98)。しかし、心不全の抑制効果はみられなかった(相対リスク:0.95、95%信頼区間:0.61~1.48)。3. チョコレートを多く食べる男性で脳卒中リスクが17%低下3) スウェーデンのコホート研究によると、チョコレートの消費量が多い男性では脳卒中のリスクが17%低かったという(2012年Neurology誌掲載)。この研究では男性のチョコレート消費量と脳卒中リスクについて49~75歳のスウェーデン人男性3万7,103人を約10年間追跡した。その結果、チョコレートの消費量が最も多いグループ(中央値62.9g/週)は、最も少ないグループ(中央値0g/週)と比べて脳卒中のリスクが17%低下していた。 脳卒中既往例では再発率が19%低下 上記のスウェーデンのコホート研究を含む、5件の研究より脳卒中既往例に絞り込んだメタ解析を実施したところ、チョコレートの摂取量が最も多い被験者の脳卒中リスクはまったく食べない被験者より19%低かった。この解析結果より、著者はチョコレート摂取量50g/週につき脳卒中リスクが約14%低下したと試算している。4. チョコレート摂取頻度高いほどBMI低い4) チョコレートを頻繁に摂取する人ほどBMIが低い傾向にあることが2012年のArch Intern Med誌に発表されている。研究者らは心血管疾患、糖尿病、高LDL-C血症の既往のない男女(20-85歳)を対象に、チョコレートの摂取頻度とBMIとの関連を検討。週当たりのチョコレート摂取回数とBMIなどのデータが得られた972例を解析対象とした。その結果、年齢・性調整後、チョコレート摂取頻度が高い者ほどBMIが低い傾向にあった。5. チョコレートを多く食べる男性で糖尿病リスクが35%低下5) 岐阜県高山市におけるコホート研究によると、チョコレートの摂取頻度が1週間に1回以上の男性は糖尿病発症リスクが35%低下していた(ハザード比0.65、95%信頼区間0.43~0.97)。女性では糖尿病発症リスクの有意な低下は認められなかった(同0.73、0.48~1.13)。この結果は2010年のBritish Journal of Nutrition誌に発表されている。[番外編] チョコレートをたくさん食べる国ほどノーベル賞の受賞者も多い? 米国コロンビア大学のMesserli氏は、日本を含む世界22ヵ国の国民1人当たりのチョコレート消費量と、人口1,000万人当たりのノーベル賞受賞者数の相関関係を解析し、その結果が2012年のNEJM誌に発表されている。この解析結果によると、チョコレートの消費量とノーベル賞受賞者の数の間には、有意で強力な線形相関が認められた(相関係数r=0.791、p<0.0001)。チョコレート摂取量とノーベル賞受賞者の数がいずれも最高だったのはスイス。日本はチョコレートの消費量、ノーベル賞の受賞者数のいずれも22ヵ国中、中国に続いて低かった。(Messerli FH. N Engl J Med. 2012; 367: 1562-1564.)関連記事毎日少量のチョコレート摂取で血圧が低下(ジャーナル四天王)チョコレート高摂取による心血管代謝障害の抑制効果が明らかに(ジャーナル四天王)脳卒中予防でチョコレート好きに朗報

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(50)〕 降圧薬併用にNSAIDsで、急性腎障害が増加する!-多剤併用にご用心

薬剤による腎障害は、腎臓が多くの薬物の排泄臓器であることから、急性腎不全の重要な原因であり、臨床家は薬剤の使用にあたって、常に薬剤に起因する腎障害のリスクに配慮することが望まれている。数ある薬剤の中でも、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、その汎用性から、多くの使用機会があり、注意が必要とされる薬剤の一つである。とくに高齢者は複数の疾病を併存することが一般的であり、個々の疾病に沿ったガイドラン治療は、多くの場合、併用薬物によるリスクまでは十分に言及されていないのが現状である。 本論文は、およそ50万人のコホートを対象に、降圧薬、中でも降圧利尿薬、レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬と、NSAIDsの併用による腎障害の発症リスクを解析した論文である。急性腎障害の判定は、ICD-10の診断コードに基づいている。 CKD診療は、腎保護と心血管保護とを両立させることが大きな目標である。降圧薬は高血圧合併のCKD診療において重要な地位を占めているが、これまでの臨床研究からは、その期待に反する結果をもたらす実態が明らかになっている。とくにRA系阻害薬では、併用による有害作用が報告されている。たとえば、RA系阻害薬同士の併用は、ALTITUDE試験やONTARGET試験において、腎機能障害を増加させることが示唆されている。また、RA系阻害薬と降圧利尿薬との併用は、GUARD試験およびACCOMPLISH試験で、尿蛋白改善とeGFR低下という腎保護効果に乖離が認められ、腎イベントの増加をもたらした。本研究では、RA系阻害薬、降圧利尿薬およびNSAIDsの、三剤併用により30%の急性腎障害の増加が認められ、その発症の多くは30日以内であり、改めて降圧薬の腎障害リスクに警鐘を鳴らすものとなった。 多くの臨床研究は、結果をもたらすメカニズムを証明することはできない。この研究も例外ではないが、著者らは本論文中に、“Biological Mechanism”の一節を設けて、降圧利尿薬とNSAIDsの併用下では、腎血流の低下(体液量の減少)と輸入細動脈の収縮(プロスタサイクリンの合成抑制)が起り、angiotensin IIを介する輸出細動脈の収縮と、ナトリウム貯留によって糸球体濾過量が保たれていること、RA系阻害薬がこのようなangiotensin IIの生理的な機能を抑制することにより、有害作用をもたらすことに言及している。局所性RA系が、さまざまな臓器障害をもたらすとする仮説が提示され、これまでにしばしば、RA系抑制薬の “降圧を超えた臓器保護効果”が訴求されている。しかし、これまでの大規模臨床研究の結果は、必ずしもこのような作用の存在を支持している訳ではない。 今一度、生体の恒常性を維持する生理的システムとしてのRA系の役割に対する認識を新たにすることが、必要ではないか。

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降圧薬2剤併用にNSAIDsを追加併用、30日間は急性腎不全に注意が必要/BMJ

 利尿薬、ACE阻害薬あるいはARB、NSAIDsの組み合わせによる3剤併用制法は、急性腎不全リスクを増大することが、カナダ・Jewish General HospitalのFrancesco Lapi氏らによるコホート内症例対照研究の結果、報告された。リスクは、治療開始から30日間が最も強かったという。著者は、「降圧薬は心血管系にベネフィットをもたらすが、NSAIDsを同時併用する場合は十分に注意をしなければならない」と結論している。BMJ誌2013年1月12日号(オンライン版2012年12月18日号)掲載報告より。2剤併用とNSAIDsを追加した3剤併用療法の、急性腎不全リスク増大との関連を調査 研究グループは、降圧薬の利尿薬、ACE阻害薬あるいはARBの2剤併用療法に、NSAIDsを追加し3剤併用療法とした場合の、急性腎不全リスク増大との関連について調べた。 コホート内症例対照研究の手法を用いた後ろ向きコホート研究で、UK Clinical Practice Research DatalinkとHospital Episodes Statisticsデータベースから一般診療関連のデータを抽出して行われた。 主要評価項目は、直近の2剤または3剤併用療法との関連でみた急性腎不全の発生率[95%信頼区間(CI)]だった。3剤併用療法、開始後30日間の急性腎不全の補正後発生率比1.82 対象は、降圧薬を服用する48万7,372人であった。 平均追跡期間5.9年(SD 3.4)の間に、急性腎不全の発生が特定されたのは2,215件であった(発生率:7/1万人・年)。 全体として、利尿薬、ACE阻害薬、ARBのいずれかと、NSAIDsとの組み合わせによる2剤併用療法の利用者では、急性腎不全発生の増大はみられなかった。補正後発生率比は、利尿薬+NSAIDsは1.02(95%CI:0.81~1.28)、ACE阻害薬またはARB+NSAIDsは0.89(同:0.69~1.15)だった。 一方で、3剤併用療法の利用者では急性腎不全発生の増大がみられた。補正後発生率比は1.31(95%CI:1.12~1.53)だった。 また2次解析の結果、3剤併用療法で最も高率のリスクがみられたのは、使用開始後30日間だった。同期間の補正後発生率比は1.82(95%CI:1.35~2.46)だった(31~60日:1.63、61~90日:1.56、≧90日:1.01。またNSAIDs半減期別では、<12時間:1.29、≧12時間:1.77)。

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ARBの長期使用はがんのリスクを増大させるか?

 アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の長期使用とがんとの関連については、ランダム化比較試験や観察研究のメタアナリシスで矛盾した結果が報じられており、物議を醸している。 カナダのLaurent Azoulay氏らは、ARBが4つのがん(肺がん、大腸がん、乳がん、前立腺がん)全体のリスク増大に関連するかどうかを判断し、さらにそれぞれのがん種への影響を調べるため、United Kingdom General Practice Research Databaseにおいてコホート内症例対照解析を用いて後ろ向きコホート研究を行った。その結果、ARBの使用は4つのがん全体およびがん種ごとのいずれにおいても、リスクを増大させなかったと報告した。PLoS One 誌オンライン版2012年12月12日号に掲載。 本研究では、1995年(英国において最初のARBであるロサルタンの発売年)から2008年の間に降圧薬を処方された患者コホートを2010年12月31日まで追跡調査した。 症例は、追跡調査中に新たに肺がん、大腸がん、乳がん、前立腺がんと診断された患者とした。ARBの使用と利尿薬やβ遮断薬(両方またはどちらか)の使用とを比較して、条件付きロジスティック回帰分析を行い、がんの調整発生率比(RR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・コホートには116万5,781人の患者が含まれ、4万1,059人の患者が4つのがん種のうちの1つに診断されていた(554/100,000人年)。・ARBの使用とがんの増加率は、利尿薬やβ遮断薬(両方またはどちらか)の使用と比較し、4つのがん全体(RR:1.00、95%CI:0.96~1.03)、およびがん種ごとのどちらにおいても関連が認められなかった。・アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬(RR:1.13、95%CI:1.06~1.20)とCa拮抗薬(RR:1.19、95%CI:1.12~1.27)の使用が、それぞれ肺がんの増加率と関連していた。 著者は、「ACE阻害薬とCa拮抗薬による肺がんの潜在的なリスクを評価するためにさらなる研究が必要」としている。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(40)〕 RA系抑制薬同士の併用はメリットなく、むしろ有害

レニン-アンジオテンシン(RA)系阻害薬としては、ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)および直接的レニン阻害薬(アリスキレン)があるが、これまでONTARGET試験などで、ACE阻害薬とARBの併用は、ACE阻害薬単独に比べて心血管合併症予防効果が認められず、むしろ有害事象が増加するのみという結果が示されている。今回の結果も、RA系抑制薬同士の併用はメリットがなく、有害であることを明瞭に示した点で意義のある試験である。 このトライアルを企画した意図としては、本試験のプロトコールどおり、すでにACE阻害薬あるいはARBを服用している高血圧または高リスク症例に対して、アリスキレンを上乗せすることで、さらなるメリットが得られる可能性を期待していたと思われる。しかし、本試験の結果は直接的レニン阻害薬の存在意義そのものが危うくなる結果であり、期待は大きく崩れた。 対象例のうち、より高リスクの症例では、より多くの降圧薬に加えて抗血小板薬やスタチン薬が処方されている。しかも、対象症例の試験開始時点の収縮期血圧140mmHg以上は40.8%、拡張期血圧85mmHg以上は12.2%にすぎないということは、血圧管理もかなりなされていることになる。さらに、アリスキレン追加群の血圧下降度について、プラセボ群と比べて群間差が収縮期血圧1.3mmHg/拡張期血圧0.6mmHgということから、追加によってもさらなる降圧が見込めるわけではないことも示した。 むしろRA系同士の併用は、高カリウム血症という危険な有害事象を招く可能性があることを教えてくれた貴重なトライアルである。 やはり降圧薬併用の基本は、降圧機序の異なる薬剤同士を少量ずつ組み合わせことである。 今後、この試験の結果はガイドラインでもきちんと活かされ、かつ保険上でも併用禁忌として記載され広く臨床医に周知されるべきである。

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成人一般健診は罹患率や死亡率を低下させない/BMJ

 一般健康診断は新たな病気の発見数を増加したが、全体的にみても心血管系やがんについてみても、罹患率や死亡率は低下していないことが、デンマーク・ノルディックコクランセンターのLasse T Krogsboll氏らによる、無作為化試験対象のコクラン・システマティックレビューとメタ解析の結果、報告された。一般健診は、罹患率や死亡率を抑制するのに効果的であるとみなされ、リスク因子が抑制されるという共通認識の下および観察結果に基づいて世界各国でヘルスケアの基本として行われてきた。しかし、一方で罹患率と死亡率に関するベネフィットのエビデンスは不足していた。今回の解析でも、一般健診の重大有害転帰に関する影響については研究も報告もされておらずエビデンスは不明のままとなった。BMJ誌2012年11月24日号(オンライン版2012年11月20日号)掲載より。成人の健診受診者と非受診者を対象とした16の無作為化試験をレビュー Krogsboll氏らは、成人の患者関連アウトカム(罹患率と死亡率)に重点を置いた一般健診のベネフィットあるいは害悪を定量化することを目的とした。死亡率は、ランダム効果メタ解析で結果を評価し、他のアウトカムはメタ解析ができないものは質的統合を図った。 解析対象は、疾患やリスク因子に関して偏りのない成人集団を対象とした健診受診者と非受診者を比較した無作為化比較試験とした。健康診断とは、複数臓器の複数疾患やリスク因子をターゲットとして行う一般集団スクリーニングと定義し、高齢者対象のものは除外した。 16試験が選択され、うち14試験から解析可能なアウトカムデータ(参加者18万2,880例)が得られた。効果を検証する大規模長期の研究が必要 全体死亡のデータは9試験から得られた(死亡1万1,940例)。リスク比は0.99(95%信頼区間0.95~1.03)だった。 心血管死亡については8試験から得られ(死亡4,567例)、リスク比は1.03(0.91~1.17)であった。またがん死亡については8試験から得られ(死亡3,663例)、リスク比は1.01(0.92~1.12)だった。これらの分析結果は、サブグループ解析と感受性解析でも変わらなかった。 すべての試験からデータを得られたわけではないが、一般健診について、罹患率、入院、障害、懸念、医師の診察を受けること、仕事を休むことへの有益な影響はみいだせなかった。 また1試験において、受診者群が非受診者群と比べて6年間で、新たな病気の発見が総数で20%多くなり、慢性症状の自己申告数も増加していたことが認められた。別の1試験では、高血圧と脂質異常症の有病率の増加が認められた。 降圧薬服用に関するデータが得られた4試験のうち2試験では、降圧薬の投与の増加がみられた。 さらに4試験中2試験で、一般健診についてわずかに効果はあると自己申告のデータが得られたが、回答にバイアスがかかっている可能性があった。 Krogsboll氏は、「本所見は、医師は健診受診や予防への取り組みを止めるべきであるということを意味しているわけではない。重要なのは、システマティックな健診が効果がなかった理由であり、今後、個々の健診内容(心血管リスク因子や慢性腎臓病のスクリーニングなど)を直接研究することが必要である。本研究では、リスク因子の変化は一般健診の評価の指標には適さないことも示唆された。大規模な長期の追跡研究は不経済かもしれないが、効果がなく有害な一般健診ほど高くはつかないので実施の必要がある」とまとめている。

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激辛!伊賀流心臓塾

第6回「高血圧について 薬剤選択よりも大切なこと」第7回「不整脈知ってたらものすごい楽ですね!」第8回「避けては通れない臨床倫理の肝」 ※第1巻は「激辛!伊賀流心臓塾(第1巻)≪増補改訂版≫」となります。第6回「高血圧について 薬剤選択よりも大切なこと」自覚症状のない高血圧症においては、患者さん自身が治療途中でドロップアウトしてしまうケースが非常に多いのが実状ではないでしょうか。「どのような薬剤を選択するか」も大切ですが、それよりも、「患者さんに治療へのモチベーションを持っていただき、正しく治療を継続してもらうこと」の方が、はるかに重要であると伊賀先生は言います。番組では、薬剤治療だけでなく、高血圧治療に不可欠な減塩や運動療法についても患者自身が納得して治療を継続できるような様々な知恵を紹介していきますその他、二次性高血圧除外のための検査はどこまでするべきか、伊賀流禁煙指導法、白衣高血圧への対処、そして第一選択薬についてなど、皆様の疑問にズバリお答えします。【今回の症例】45歳男性。症状なし。5〜6年前の検診からいつも血圧160〜170/ 100であった。2年前に某総合病院を受診して降圧剤を処方されたが、1ヶ月で服用を自己中止する。今回、昇進試験を控え、会社から再診の指示があり当院を受診。心拍数は70、末梢動脈はすべて触知。その他の特記すべき所見なし。第7回「不整脈知ってたらものすごい楽ですね!」 ひとくちに動悸といっても、速いものから遅いもの、また規則的なものから不規則なものまで様々なタイプのものがあり、それらを患者さんが総称して「動悸」と呼んでいる…ということは、「第0回=イントロダクション」でもお伝えしました。 伊賀先生は、「的確に病歴を聴取することでほとんどの動悸の原因はわかる」と言います。そして、動悸の原因を特定せずに安易に不整脈薬などを処方することは厳に慎むべきとのこと。今回は、プライマリ・ケア医もぜひ知っておくべき動悸や不整脈特に日常よく遭遇する期外収縮、不整脈薬の使い方などについて核心を突いた解説をします。【今回の症例】65歳男性。2〜3年前から時々、特に夜間に「動悸」を感じていた。平地歩行や階段歩行では動悸も息切れもなし。血圧正常で、過剰心音、心雑音なく、胸部X線、心電図、一般採血も正常。第8回「避けては通れない臨床倫理の肝」 6センチ大の腹部大動脈瘤が偶然発見されたとします。純粋に「医学的適応」のみ考えれば手術するのが妥当であり、手術の目的は突然死を予防することです。ただ、手術したからといって日常生活に変化があるわけではなく、逆に手術しないからといって痛みや症状があるわけでもありません。このようなとき主治医は、「医学的な判断のみにとどまらず、患者の死生観や希望、そして家族の希望や経済的因子、生活の質の変化など、さまざまな背景を踏まえた総合的な判断を抜きにして決定をくだすことはできないと伊賀先生は言います。今回は、プライマリ・ケア医にとって避けては通れない臨床倫理をテーマに、その考え方や判断因子の整理の仕方などを学んでいきます。【今回の症例】85歳男性。元来無症状であった。上腹部痛から肝腫瘍疑いでCT検査を施行されたが肝腫瘍ではなく、腎動脈直下から始まる6.0cmの腹部動脈瘤を指摘された。血圧、バイタルサイン等は正常。

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聖路加GENERAL 【内分泌疾患】

第4回「糖尿病の悪化だと思ったら・・・」第5回「ただ風邪といっても」第6回「2次性高血圧を見逃さない ! 」 第4回「糖尿病の悪化だと思ったら・・・」人間ドックにおいて、糖尿病の疑いということで精査を勧められていた68歳の男性。肥満も家族歴もないことから受診していませんでしたが、急な体重減少をきっかけに初めて検査を受けたところ、A1Cが13.7%と、急激に上昇していることが判明。高血糖の要因は、I型II型糖尿病以外にも、膵炎、膵がん、ヘモクロマトーシス、Cushing症候群、先端肥大症、PCOSなどさまざまなものがあります。本症例の患者さんは、急な体重減少もあることから膵臓のCTを撮影したところ、膵がんが発見されました。血糖の悪化が膵がん発見のきっかけになり、膵がんが糖尿病治療のきっかけになったという例を通して、糖尿病の裏に隠れている内分泌系の異常をどのようにして見抜くか、そしてその対応について解説します。第5回「ただ風邪といっても」もともと健康な21歳の女子大生。発熱、咽頭痛など、感染症の症状を呈したため近医で受診しました。数種類の抗菌薬を処方されましたが改善せず、ついには意識低下で救急コール。糖尿病の既往のある78歳の男性。家族が訪ねて行ったら、すでに意識がなく倒れていた。いずれも意識障害が出る危険な状態ですが、その裏には糖尿病がありました。意識障害の鑑別AIUEO tipsから始まって、DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)、遷延性の低血糖による意識障害など、難度の高い診断について解説します。第6回「2次性高血圧を見逃さない ! 」最終回は、高血圧の裏に隠れた内分泌疾患を紹介します。10年間高血圧があるも、降圧薬が効かない60歳女性。特に目立った所見はないものの、低Kから原発性アルドステロン症をつきとめました。内分泌性高血圧もさまざまなものがありますが、まずは患者をよく観察することがポイントです。たとえば、「クッシング症候群」ではにきび、肥満、多毛、「アクロメガリー」では大きな鼻顎手足、「腎血管性高血圧」では腎周囲の血管雑音など。その後、症状によって、所定の検査をおこなうことで診断します。ともすれば、見逃して放置されてしまう可能性もある内分泌性高血圧を、具体的な症例を呈示して解説します。

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高血圧はカテーテルで治す時代がくるか?

 ケアネットでは、11月3~7日に開催されたAHA(米国心臓協会)学術集会での注目演題を速報した。その一つとして、同時に4ヵ所を焼灼する「EnligHTNカテーテル」を用いた腎動脈アブレーションのパイロット試験について報じたが、この発表に対する桑島 巌氏(東京都健康長寿医療センター 顧問)のコメントを得たため合わせて掲載する。桑島 巌氏(東京都健康長寿医療センター 顧問)のコメント 腎除神経は治療抵抗性高血圧に対して期待されている治療手技である。すでにドイツ、オーストラリアを中心に5,000例を超える治験が進行しており、今年の欧州心臓病学会や国際高血圧学会でも大きな話題となった。 カテーテルの種類はすでに6社から発売されているが、中でも世界的にはMEDTRONIC社が開発しているSymplicityカテーテルを用いた方法が広く用いられている。その結果についてはSymplicity HTN-1,2が発表されており、米国でも二重盲検法によるSymplicityHTN-3が進行中である。 Symplicityカテーテルはカテーテルを引きながららせん状に4~6ヵ所を焼灼するため、焼灼部位の位置関係の確実性に問題がある。また焼灼ごとに発生する痛みも課題である。今回のパイロット試験で用いられたEnligHTNカテーテルは、血管内で拡張し4ヵ所を同時に焼灼する方法であり、そのことで焼灼部位の位置関係が一定となることや時間短縮のメリットがある。 症例数は46例と多くはないが、降圧効果も期待されたように良好であり、副作用も少ない。夜間血圧に対する効果などが知りたいところである。また、腎除神経は、治療抵抗性高血圧に対しての降圧においては有効であることは間違いがないと思われるが、本当の有用性は脳心血管イベントの抑制が証明されてからということになる。

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速報!! AHA 2012

AHA(米国心臓協会)学術集会が、11月3~7日に開催された。興味深い演題を厳選。速報で伝えます。また、後日、その発表に対し、J-CLEARによる解説を予定しています。発表は、日々の臨床にどのような影響を与えるのか?今後、どのように進展していくのか?演題一覧11月7日発表演題EndOVascular Treatment for Infra-inguinal Vessel, in Patients With Critical Limb Sichemia (olive) Registry in Japan日本における下肢虚血に対する血管内治療の成績発表:OLIVEレジストリRandomized Comparison of the Effects of Two Doses of Dabigatran Etexilate on Clinical Outcomes Over 4.3 Years: Results of the Rely-able Double-blind Randomized Trialダビガトラン長期投与で、脳梗塞リスクと出血リスクはどう変わる?11月6日発表演題LAPLACE-TIMI 57 Primary Results期待の『抗PCSK9抗体』の最大規模第II相試験、報告される -LAPLACE-TIMI57試験-Effect of Cardiac Stem Cells in Patients with Ischemic Cardiomyopathy: Interim Results of the SCIPIO Trial Up to 2 Years After Therapy虚血性心不全に対する初の心筋幹細胞移植、2年目成績が明らかに!-SCIPIO試験-11月5日発表演題Effects of the Cholesteryl Ester Transfer Protein Inhibitor Dalcetrapib in Patients with Recent Acute Coronary SyndromeCETP阻害薬によるHDL-C増加、今度は有用性を示せたか?:dal-OUTCOMESEnligHTN™ I, First-in-man Multi-center Study of a Novel Multi-electrode Renal Denervation Catheter in Patients with Drug-Resistant Hypertension同時複数箇所焼灼カテーテルを用いた腎動脈アブレーションの安全性:降圧効果は?:EnligHTN 111月4日発表演題A Randomized Trial of Bedside Platelet Function Monitoring to Adjust Antiplatelet Therapy Versus Standard of Care in Patients Undergoing Drug Eluting Stent Implantation: The ARCTIC Study待機的ステント留置例におけるVweyfi-Nowによる血小板活性測定の有用性、認められず:ARCTICResults of the Trial to Assess Chelation Therapy心筋梗塞後慢性期に対するキレート療法、有用性を確立するには至らず:TACT

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【速報!AHA2012】同時複数箇所焼灼カテーテルを用いた腎動脈アブレーションの安全性:降圧効果は?:EnligHTN 1

 近年、Symplicityカテーテルを用いた腎動脈アブレーションの、薬物治療抵抗性高血圧に対する著明な降圧作用が報告されている。今回、EnligHTNカテーテルを用いても、同様の有用性を期待できることが明らかになった。パイロットスタディ "EnligHTN I" の結果として、4日のClinical Science: Special RepoertsセッションにてVAメディカルセンター(米国)のVasilious Papademetriou氏が報告した。  EnligHTNカテーテルは血管内で拡張し、血管壁の異なる4カ所を同時にアブレーションできる。このため、Symplicityカテーテルならばプルバックしながら周回性に4回行うアブレーションを、一度で施行できる。また4つのアブレーション部位は位置関係が常に同じとなるので、アブレーションをより正確な位置で行いうるなどの利点があるという。 今回、Papademetriou氏らは、このEnligHTNカテーテルによる腎動脈アブレーションの安全性と降圧作用を、薬物治療抵抗性高血圧で検討した。「薬物治療抵抗性」の定義は、利尿薬併用にもかかわらず、「診療所収縮期高血圧(SBP)≧160mmHg」である。 46例が登録された。診療所血圧は、平均4.1剤の降圧薬服用にもかかわらず176/96mmHgだった。心拍数は71拍/分。また30%に睡眠時無呼吸を認めた。  まず安全性だが、腎動脈アブレーション後6か月間に大きな問題は認めなかった。すなわち周術期に事故はなく、アブレーションに由来する腎動脈狭窄も認めなかった。1例が入院を有する低血圧を来したものの、降圧薬の調節で解決した。腎機能も、糸球体濾過率(eGFR)半減、血清クレアチニン2倍化、末期腎不全移行は認めなかった。ただし有意ではないが、経時的にeGFRは低下、血清クレアチニンは増加していた。  降圧作用については、アブレーション前に176/96mmHgだった診療所血圧から、1か月後には28/10mmHgの有意な低下を認め、3か月後27/10mmHg、6か月後にも26/10mmHgと降圧作用は維持された。一方、24時間平均血圧の低下幅は、1か月後、3か月後とも10/5mmHg、6か月後10/6mmHgと、診療所血圧に比べ降圧幅が小さい傾向にあった。夜間血圧の降圧幅は示されなかった。 指定討論者のRobert Carey氏(バージニア大学:米国)はこの結果を、先行する一連のSimplicity試験とおおむね同じと評し、最終的には臨床転機を評価せねばならないと述べた。取材協力:宇津貴史(医学レポーター)「他の演題はこちら」

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CKD患者の血圧管理:ARBで降圧不十分な場合、増量か?併用か?

 CKD患者の血圧管理においてARB単剤で降圧目標130/80mmHg未満に到達することは難しい。今回、熊本大学の光山氏らは、日本人対象の無作為化比較試験のサブ解析の結果、ARB単剤で降圧不十分時にARBを増量するより、Ca拮抗薬を併用したほうが心血管系イベントや死亡といったリスクを回避しやすいことを示唆した(Kidney International誌オンライン版10月10日号掲載報告)。 ARBを低用量から開始し、通常用量まで増量しても降圧目標に達しないケースでは次にどのような一手を打つべきか? さらに増量する方法のほか、Ca拮抗薬など他の降圧薬の追加も選択肢となる(『CKD治療ガイド2012』では尿蛋白を伴わず、糖尿病を合併していない場合は「降圧薬の種類を問わない」とされている)。 サブ解析は、無作為化オープン試験OlmeSartan and Calcium Antagonists Randomized(OSCAR)試験について行われた。OSCAR試験では心血管疾患もしくは2型糖尿病を1つ以上有する日本人の高齢者(65~85歳)高血圧患者1,164例を対象とし、ARB増量群(オルメサルタン40mg/日)あるいはARB+Ca拮抗薬併用群(オルメサルタン20mg/日+Ca拮抗薬)に無作為化された。今回のサブグループ解析の対象は、事前に設定されていたCKD患者(eGFR 60 mL/min/1.73 m2 未満)である。 主要評価項目は「心血管系イベント」および「非心血管疾患死」。心血管系イベントは「脳血管障害」「冠動脈疾患」「心不全」「その他動脈硬化性疾患」「糖尿病性合併症」「腎機能の悪化」と定義された。なお、本試験については、すでに2009年に小川氏(熊本大学)らによって主要結果が発表されている(Hypertens Res. 2009;32:575-580.)。 主な結果は下記のとおり。・血圧は併用群で増量群に比べ、有意に低下。・主要評価項目の発生率は併用群(16例)で増量群(30例)より少なかった(ハザード比 2.25)。・脳血管障害および心不全イベントが増量群でより多く発生した。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(29)〕 抗血栓薬やスタチン薬時代においてβ遮断薬の有用性は証明されず

心筋梗塞後の症例に対するβ遮断薬処方は、すでに標準治療として定着している。これは多数のエビデンスに基づいているが、その多くはすでに10年以上以前のものである。はたして、今日のようにPCIが一般的になり、かつスタチン薬や抗血小板薬治療などが普及した今日においてもなお、β遮断薬の有用性はあるのであろうか。またβ遮断薬は、冠動脈疾患症例や高リスク症例に対しても有用と思われがちだが、その有用性は必ずしも証明されている訳ではない。それが本論文におけるメタ解析のアンチテーゼである。 たしかに上記の問題点は臨床上非常に重要であり、興味のあるところである。 本研究は、国際的な観察研究REACH登録での後ろ向き解析である。その結果は予想に反して、心筋梗塞後症例、心筋梗塞を有しない冠動脈疾患および高リスク症例のいずれにおいても、β遮断薬治療群の心血管系予後は非使用群と差がないことを示した。 この結果は、以下のような見方ができる。つまり、現代では一般的になった抗血栓薬や高脂血症治療の普及が大きくイベント発症を抑制し、また、降圧薬も広く普及したためにβ遮断薬の相対的有用性は減少したということである。 ただし、本試験には大きなリミテーションがあることも事実である。後ろ向き解析において、さまざまな交絡因子の影響を調整する、近年頻用されるPropensity scoreという手法が用いられているが、β遮断薬の種類や用量、そしてその既往など、調整しきれない部分も存在していることも考慮する必要があるだろう。また、対象となった症例の年齢層が70歳という高齢者であることも、β遮断薬の効果を発揮させにくくしている要因であるかもしれない。 よって、本試験の結果をもって実臨床に応用するには時期尚早であり、冠動脈疾患に対するβ遮断薬の適応は、個々の病態をみながら判断するべきである。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(25)〕 糖尿病患者の降圧目標値:エビデンスの質を見極める

糖尿病患者における降圧目標値に関しての議論が盛んになっている。 わが国のガイドラインでは、糖尿病患者の降圧目標は130/80mmHgと厳格な降圧を推奨している。その根拠となったトライアルはUKPDS試験とHOT試験であるが、前者では厳格治療群とはいっても144/82mmHgであり、後者のHOT試験ではサブ解析で拡張期血圧が80mmHgまでの降圧達成群が85mmHg群や90mmHg群よりも心血管イベントが少なかったというものである。ガイドラインで示すような130/80mmHgという低いレベルがイベントを抑制するというエビデンスはなく、上記の2つのトライアル結果を演繹したにすぎない。 一方、2年前に発表されたACCORD試験は、収縮期血圧<140mmHgの緩和降圧群と<120mmHgの厳格降圧群との間で心血管イベント発症に有意差は認めず、糖尿病患者に対する積極的降圧に疑義をなげかけた最初のトライアルとなった。 しかし、本試験では致死的および非致死的脳卒中に関しては、積極的降圧群の方が予防効果は有意に優れるという結果も示しており、むしろ脳卒中の多い日本人では、積極的降圧を推奨したガイドラインを支持する解釈も可能であった。 今回のretrospective cohort研究は2型糖尿病患者では、厳格な降圧、収縮期血圧<130/80mmHg群は収縮期血圧が130~139mmHgの群に比べて死亡率の減少を示さなかったというものである。さらに110mmHg以下の降圧群では死亡率は有意に上昇するという結果を示した。 本試験の問題点は多い。まずretrospective研究の常として試験開始時の症例の臨床的背景が一律ではない可能性があること。心血管死ではなく総死亡をアウトカムとしており、死因の分析までできていないこと。そして、これもcohort研究の常として因果の逆転の可能性があること。すなわち血圧が低いから死亡したのではなく、心機能が低下したような症例が早期に死亡した可能性があること。そして何よりも、収縮期血圧が160mmHg以上の群ですら死亡率の上昇が認められていないことである。つまり、糖尿病患者の死亡率は血圧がかなり高くても増加しないという読み方ができるのである。 このような結果が出た背景には、糖尿病患者の大部分がスタチン薬や抗血小板薬など心血管予防薬を服用しているために、本当の意味での心血管合併症発症あるいは心血管死と血圧レベルとの関連が評価しにくくなっていると考えられる。多くのlimitationを含有する本試験の結果は、わが国のガイドラインを変更する根拠とはならない。

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2型糖尿病患者に対する厳格な降圧、全死因死亡のリスクを低下させない

 新規診断2型糖尿病患者に対する厳格な降圧(<130/80mmHg)は、心血管疾患合併の有無にかかわらず全死因死亡のリスクを低下させず、低血圧は不良な予後のリスクを増大させることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのEszter Panna Vamos氏らの検討で確認された。欧米のガイドラインでは、心血管疾患のリスクが高い患者の血圧は<130/85mmHgに維持することが推奨されている。一方、糖尿病患者における正常血圧の維持が、心血管リスクにベネフィットをもたらすことを示す信頼性の高いエビデンスはなく、積極的な降圧の有害性を示唆する知見もあるという。BMJ誌2012年9月22日号(オンライン版8月30日号)掲載の報告。全死因死亡に及ぼす血圧の影響を後ろ向きコホート試験で評価研究グループは、新規に診断された2型糖尿病患者において血圧が全死因死亡に及ぼす影響を評価するために、レトロスペクティブなコホート試験を行った。1990~2005年にUnited Kingdom General Practice Research Databaseに登録された治療期間1年以上の新規診断2型糖尿病患者(18歳以上)12万6,092例を対象とした。“the lower the better”の指針は適用されない可能性が2型糖尿病の診断時に、1万2,379例(9.8%)が心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中)を合併していた。フォローアップ期間中央値3.5年の時点における全体の死亡率は20.2%(2万5,495例)で、心血管疾患合併患者の死亡率は28.6%(3,535例)、非合併患者は19.3%(2万1,960例)だった。心血管疾患合併糖尿病患者に対する厳格な降圧(<130/80mmHg)は、ベースラインの背景因子(診断時年齢、性別、BMI、喫煙状況、HbA1c、コレステロール値、血圧など)で調整すると生存を改善しなかった。低血圧は全死因死亡のリスクを増大させた。すなわち、収縮期血圧を130~139mmHgでコントロールされた患者に比べ、110mmHgで維持された患者の全死因死亡のハザード比(HR)は2.79(95%信頼区間[CI]:1.74~4.48、p<0.001)であった。また、拡張期血圧を80~84mmHgでコントロールされた患者に比し、70~74mmHgに維持された患者のHRは1.32(95%CI:1.02~1.78、p=0.04)、70mmHg未満に維持された患者のHRは1.89(95%CI:1.40~2.56、p<0.001)と、やはり有意な差を認めた。同様の関連が、心血管疾患を合併していない2型糖尿病患者にもみられた。ベースライン時に高血圧と診断され、降圧治療を受けている患者においても同様の関連を認めた。著者は、「新規診断2型糖尿病患者に対する<130/80mmHgの降圧治療は、心血管疾患合併の有無にかかわらず、全死因死亡のリスクを低下させなかった。低血圧(とくに、<110/75mmHg)は不良な予後のリスクを増大させた」と結論し、「これらの知見により、高リスク患者の血圧コントロールでは“the lower the better”の指針は適用されない可能性が示唆される。現時点では、糖尿病患者における<130/80mmHgの降圧治療を支持する頑健なエビデンスが存在しないため、血圧を130~139/80~85mmHgにコントロールしつつ、他の治療法やライフスタイル介入を併用するアプローチが、糖尿病患者の心血管疾患アウトカムの改善につながると考えられる」と指摘する。

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