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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第56回

第56回:腎がんのゲームチェンジャーキーワード腎細胞がんメラノーマ動画書き起こしはこちら音声だけをお聞きになりたい方はこちら //playstopmutemax volumeUpdate RequiredTo play the media you will need to either update your browser to a recent version or update your Flash plugin.こんにちは。ダートマス大学腫瘍内科の白井敬祐です。3月末、こちらではまだ雪がふったり、朝晩は氷点下になることがあったんですが、やっと雪が少しずつ融けてきて、春らしい雰囲気になってきました。ただ、油断はできないようで、来週もまだ朝晩は氷点下になるときがあるようなので、タイヤの交換は、もうちょっと待とうかなと思っています。(このビデオは3月間末に収録したものです)今日お話ししたいのは、腎がんですね。腎がんで、立て続けに、確実にPractice Changingになると思われる発表が出たので、報告したいと思います。またまた、Immune Checkpoint阻害薬の話になってしまいます。サンフランシスコで開かれたASCO-GUで発表されたのがMotzer先生(Sloan-Kettering Cancer Centerの先生ですけれども)のアテゾリズマブとベバシズマブ(アバスチン)を組み合わせた1st lineのPhaseIIIトライアルです。現在の標準治療とされるスニチニブと比べた試験なのですけれども、そこでOverall Response Rateが43%対35%で、Progression Free Survivalが11ヵ月と7ヵ月、Hazard Ratioが0.74(だったと思うんですけども)、と大きな差が認められました。副作用もアテゾリズマブとアバスチンのほうが少なかった、ということで、非常に大きく取り上げられています。腎がんは、ソラフェニブやスニチニブが出てから、かなり長い間1st lineは、それだったのですけど、大きく変わる可能性が出てきました。その発表の一週間後ぐらい、3月21日付けのNew England Journalに、これも1st authorはMotzer先生なんですけれども、イピリムマブとニボルマブのコンビネーション(アメリカではメラノーマに認可されているのですが)対スニチニブのPhaseIII試験、これも1st lineでの試験の結果がNEJMに掲載されました。注意しないといけないのは、今現在アメリカでメラノーマに認可されているイピリムマブ(の用量)は3g/kg、ニボルマブが1mg/㎏、3週おきなんですけれども、この臨床試験では、イピリムマブは1mg/kgでニボルマブは3mg/kgです。これは、腎がんのPhaseIで効果に差がなく、しかも副作用が少なかった、ということで採用されたようです。メラノーマに関してもPhaseIIIで、イピ3・ニボ1 versus イピ1・ニボ3の試験が、登録はすべて終わっています。結果発表待ちですが、副作用が低くて同じだけの効果がみられれば、メラノーマのほうも投与量が変わってくるかもしれません。(この試験での)Response Rateは42%対27%、スニチニブが27%ですね。特筆すべきなのは、Complete Responseがイピ・ニボのコンビネーション群で9%にみられたということです。従来、腎がんとかメラノーマでは、High Doseインターロイキン2療法でComplete Responseがみられることがあるというのは、よく知られた事実なのですが、それよりもさらに高いCR rate(メラノーマでもここまで高いCR rateはなかったと思うんですけど)が報告されています。非常に画期的な点だと思います。うちの腎がんの同僚からも、「ケイスケ、これから副作用についていろいろ聞くと思うから、よろしく頼む」ということを言われました。イピリムマブ、ニボルマブの組み合わせは、腎がんでは認可されてないのですけども、いずれも実際の臨床で使える薬なので、これだけPhaseIIIではっきりした結果が出ると、保険会社にこのNEJMのペーパーを付けて申請をすれば、認可される可能性もあります。もちろんNCCNガイドライン、あるいはNCCNのConpendium(便覧)に、この療法が掲載されると、多くの保険会社はFDAの認可の前に、許可をすることがあります。この辺が、ちょっと面白いところではあります。Atezolizumab Plus Bevacizumab Improves Progression-Free Survival in First-Line Treatment of Advanced Renal Cell Carcinoma進行性腎細胞がんの1次治療、ニボルマブとイピリムマブ併用が有効/NEJMMotzer RJ, et al. N Engl J Med. 2018 Mar 21. [Epub ahead of print]

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急性骨髄性白血病、微小残存病変が再発の予測因子に/NEJM

 急性骨髄性白血病(AML)では、完全寛解中の分子レベルでの微小残存病変の検出が、再発率や生存率に関して、高度な独立の予後因子としての意義を持つことが、オランダ・エラスムス大学のMojca Jongen-Lavrencic氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2018年3月29日号に掲載された。AML患者は完全寛解に到達することが比較的多いが、再発率が依然として高い。次世代シークエンシングにより、ほぼすべての患者で分子レベルの微小残存病変の検出が可能となったが、再発の予測における臨床的な意義は確立されていないという。再発、生存の予測に臨床的な意義を付加するかを検証 研究グループは、次世代シークエンシングを用いた標的分子のモニタリングが、白血病の再発の予測に臨床的な意義を付加するかを検証する大規模なコホート研究を実施した(オランダがん協会のQueen Wilhelmina基金などの助成による)。 2001~13年の期間に新規に診断された、年齢18~65歳のAML患者を対象とした。診断時および寛解導入療法後の完全寛解時に、ターゲット次世代シークエンシングを用いて遺伝子変異の評価を行った。 エンドポイントは、4年時の再発率、無再発生存率、全生存率であった。加齢に伴うクローン性造血には、再発リスクとの関連はない 482例のAML患者が登録され、平均2.9ヵ所の遺伝子変異が検出された。1つ以上の変異が検出された430例(89.2%)の年齢中央値は51歳(範囲:18~66)で、216例が男性であった。診断時に検出された変異のうち頻度が高かったのは、NPM1(39%)、DNMT3A(33%)、FLT3(33%)などであった。 このうち51.4%で完全寛解中も変異が持続し、変異のアレル頻度にはばらつきがみられた(範囲:0.02~47%)。また、加齢に伴うクローン性造血を有する人に比較的多く発現する持続的なDTA変異(DNMT3A、TET2、ASXL1の変異)の検出は、再発率の上昇とは関連がなかった。 持続的なDTA変異を除くと、分子レベルの微小残存病変の検出は、検出されない場合に比べて、4年時の再発率が有意に高く(55.4 vs.31.9%、ハザード比[HR]:2.14、p<0.001)、無再発生存率が低く(36.6 vs.58.1%、再発または死亡のHR:1.92、p<0.001)、全生存率が低かった(41.9 vs.66.1%、死亡のHR:2.06、p<0.001)。 多変量解析では、完全寛解中のDTA以外の遺伝子変異の持続的な検出は、再発率(HR:1.89、p<0.001)、無再発生存率(再発または死亡のHR:1.64、p=0.001)、全生存率(死亡のHR:1.64、p=0.003)に関し、高度な独立の予後因子としての意義をもたらすことが確認された。 また、残存病変の検出におけるシークエンシングとフローサイトメトリーの比較では、シークエンシングは付加的な予後因子としての意義を有することが示された。 著者は、「DTA変異の持続は再発リスクの増加とは関連しなかったことから、再発を予防するためにこれらの残存細胞を除去する必要はないと考えられるが、さらに長期のフォローアップを行った場合に再発リスクが増加する可能性は排除されない」と指摘している。

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民谷式 内科系試験対策ウルトラCUE Vol.1

第1回 腎臓 第2回 代謝 第3回 内分泌 第4回 血液 内科系試験に対応した全3巻の基本講座の第1巻です。試験内容が異なる認定内科医と総合内科専門医試験ですが、学生の頃に学んだことを復習するというスタートラインは同じ。全13領域で出題頻度の高いテーマを、わかりやすいシェーマと明快な講義で総復習しましょう。題名の「CUE」は放送業界用語の「キュー」、『臨床的有用性』(Clinical Utility)、そしてパーキンソン病医療における「CUE」から来ています。つまり、「動こうとしてもはじめの一歩が踏み出せない状態」に対して、このレクチャーが試験勉強を始める一歩を踏み出すきっかけになってほしいという思いです。講師の民谷先生の実臨床経験を組み込んだクリアな解説は、とても役に立ちます。専門外や苦手科目からチェックして、次のステップへ進んでください。第1回 腎臓 疾患をしっかり区別するためには解剖生理が非常に重要です。とくに腎の場合は、どこの部位で起こる障害かということをしっかり整理する必要があります。民谷式オリジナルのアニメーションでは腎疾患を大きく3つに分類。疾患を振り分けるコツをしっかりとレクチャーします。第2回 代謝 代謝のセクションではまず、物質が体内に入って分解・合成される流れをしっかりとおさらいします。物質の流れをもう一度理解すると、機能低下している箇所に必要な治療や薬剤といった知識がすんなりと頭に入ります。民谷式オリジナルのシェーマを参考に、代謝領域攻略のポイントをしっかりとつかんでください。第3回 内分泌 内分泌領域ではまず、それぞれの臓器の解剖生理をしっかり覚えることが、試験攻略の近道です。民谷式オリジナルのシェーマはわかりやすく簡略化してあるので、物質の流れが阻害されるとどんな病態になりどんな症状になるのか、すんなりと頭に入ります。第4回 血液 血液分野では、どこでなにが起こっているのかを考えるのが、頭を整理するうえで非常に大切です。また、日常診療では、骨髄標本と血液標本を間違えることはありませんが、ペーパーテストでは起こり得ることです。必ず、何を見ているかを確認する癖をつけましょう。

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再発・難治性CLLにvenetoclaxとリツキシマブ併用が有効/NEJM

 再発または難治性(R/R)慢性リンパ性白血病(CLL)患者において、venetoclax+リツキシマブ併用療法は、ベンダムスチン+リツキシマブ併用療法より無増悪生存率が有意に高率であることが示された。オーストラリア・メルボルン大学のJohn F. Seymour氏らが、多施設共同無作為化非盲検第III相試験「MURANO試験」の結果を報告した。venetoclaxは、CLLで過剰発現し、CLL細胞の生存に重要な役割を持つ抗アポトーシス蛋白のB細胞リンパ腫-2(BCL-2)を阻害する経口薬で、venetoclax+リツキシマブ併用療法は、忍容性が良好でvenetoclax単独療法よりも有効性が期待できることが示唆されていた。NEJM誌2018年3月22日号掲載の報告。venetoclaxまたはベンダムスチンとリツキシマブとの併用療法を比較 MURANO試験は、2014年3月31日~2015年9月23日の期間で、20ヵ国109施設で実施された。対象は1~3レジメンの治療歴があるR/R CLL患者389例で、venetoclax+リツキシマブ群(venetoclaxを最長2年間、リツキシマブを最初の6ヵ月間投与)と、ベンダムスチン+リツキシマブ群(ベンダムスチンとリツキシマブを6ヵ月間投与)に無作為に割り付けた。ベンダムスチン+リツキシマブ群で病勢進行した場合、venetoclax+リツキシマブ群へのクロスオーバーは行わなかった。 主要評価項目は、治験担当医師の評価による無増悪生存期間(PFS)とし、有効性はintention-to-treat集団で解析した。venetoclax+リツキシマブ群で無増悪生存期間が延長 追跡期間中央値23.8ヵ月において、治験担当医師の評価によるPFS中央値は、venetoclax+リツキシマブ群未到達(進行/死亡は32/194例)、ベンダムスチン+リツキシマブ群17.0ヵ月(同114/195例)と、venetoclax+リツキシマブ群で有意に延長した。2年無増悪生存率は、それぞれ84.9%および36.3%であった(進行/死亡のハザード比[HR]:0.17、95%信頼区間[CI]:0.11~0.25、層別log-rank検定のp<0.001)。 サブグループ解析の結果、染色体17p欠失患者を含むすべての臨床的および生物学的サブグループにおいて、一貫したPFSの改善が認められた。染色体17p欠失患者の2年無増悪生存率は、venetoclax+リツキシマブ群で81.5%、ベンダムスチン+リツキシマブ群で27.8%(HR:0.13、95%CI:0.05~0.29)、非染色体17p欠失患者でそれぞれ85.9% vs.41.0%であった(HR:0.19、95%CI:0.12~0.32)。 venetoclax+リツキシマブのベンダムスチン+リツキシマブに対する有効性は、独立評価委員会の評価によるPFSおよび他の副次有効性評価項目の結果によっても確認された。 Grade3/4の好中球減少症の発現率は、venetoclax+リツキシマブ群がベンダムスチン+リツキシマブ群より高値であったが、Grade3/4の発熱性好中球減少症および感染症/寄生虫感染症の発現率は、venetoclax+リツキシマブ群が低値であった。venetoclax+リツキシマブ群におけるGrade3/4の腫瘍崩壊症候群の発現率は3.1%(6/194例)であった。

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TNF受容体関連周期性症候群〔TRAPS:Tumor necrosis factor receptor-associated periodic syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義TNF受容体関連周期性症候群(Tumor necrosis factor receptor-associated periodic syndrome:TRAPS)は、常染色体優性形式をとる家族性の周期性発熱・炎症疾患である。本疾患は1982年にWilliamsonらが再発性の発熱、皮疹、筋痛、腹痛を呈するアイルランド/スコットランドの1家系を見いだし、“familial Hibernian fever”として報告したことに始まる。1999年にMcDermottらが1型TNF受容体の遺伝子変異が本疾患の原因であることを報告し“TRAPS”と命名した1)。その論文において、自己炎症という新しい疾患概念が提唱された。TRAPSは自己炎症疾患(autoinflammatory disease)の代表的疾患であり、自己抗体や自己反応性T細胞によって生じる自己免疫疾患(autoimmune disease)とは異なり、自然免疫系の異常によって発症すると考えられている。本症は2015年1月1日より医療費助成対象疾患(指定難病、小児慢性特定疾病)となった。■ 疫学欧米人、アジア人、アフリカ系アメリカ人などさまざまな人種において、まれな疾患として報告されている。「TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)の病態の解明と診断基準作成に関する研究」研究班(研究代表者:堀内孝彦[九州大学] 平成22-24年度 厚生労働省)が行った全国調査では、わが国には少なくとも33家系51例の患者がいることが明らかになった2)。■ 病因1型TNF受容体遺伝子(TNFRSF1A)の変異で生じる。1型TNF受容体は455個のアミノ酸より構成され、細胞外ドメインの4つのCRD(cysteine-rich domain)と細胞膜貫通部、細胞内ドメインと細胞内のDD(death domain)という特徴的な構造を持っている。TRAPSで報告されている変異のほとんどはCRD1とCRD2をコードしているエクソン2-4の単一塩基ミスセンス変異である。なかでもタンパクの高次構造に重要な働きをしているジスルフィド(S-S)結合を形成するシステイン残基の変異が多い。これらの変異がTRAPSの病態形成にいかに関与するかは、いくつかの仮説が提唱されてきた。現時点では次のように考えられている。高次構造の異常によるmisfolding(タンパク質の折り畳みの不良)のため、変異1型TNF受容体は細胞表面へ輸送されずに小胞体内に停滞する。小胞体内の変異1型TNF受容体は、ミトコンドリアからのROS産生を介して細胞内のMAPキナーゼ脱リン酸化酵素を阻害することにより、定常状態でのMAPキナーゼを活性化状態にする。これだけでは炎症性サイトカイン産生の誘導は起こらないが、細菌感染などでToll様受容体からのシグナルが加わることにより、IL-1、IL-6、TNFなどの炎症性サイトカイン産生誘導が起こると考えられる。また、マクロファージなどのTNF産生細胞では、片方の対立遺伝子由来の正常なTNF受容体からのシグナルにより、炎症がパラクライン的に増幅されると考えられる3)。■ 症状TRAPSは常染色体優性の遺伝形式をとり、典型的な変異を示すものでは浸透率は85%以上と高い。発症年齢は同一家族内でも一定ではなく、乳児期から成人期に至るまで幅広い。症状の種類については2002年にHullらが提案したTRAPS診断指針を参照いただきたい(表1)4)。発作時には、38℃以上の発熱はほぼ必発であり、それに加えて腹痛、筋痛、皮疹、結膜炎、眼窩周囲浮腫、胸痛、関節痛などの随伴症状をともなう。わが国のTRAPS患者での個々の症状の頻度を表2に示す2)。表1 TRAPS診断指針1. 6ヵ月を超えて反復する炎症症状によるエピソードの存在(いくつかは同時にみられることが一般的)(1)発熱(2)腹痛(3)筋痛(移動性)(4)皮疹(筋痛を伴う紅斑様皮疹)(5)結膜炎・眼窩周囲浮腫(6)胸痛(7)関節痛、あるいは単関節滑膜炎2. エピソードの持続期間が(エピソードごとにさまざまだが)平均して5日を超える3. ステロイドに反応するがコルヒチンには反応しない4. 家族歴あり(いつも認められるとは限らない)5. どの人種、民族でも起こりうる画像を拡大する1)発熱最も特徴的でありTRAPSを疑うきっかけになる。1ヵ月~数ヵ月の間隔で不規則に繰り返す。発熱の期間は通常1~4週間であることが多く、平均21日程度である。2)腹痛日本人の頻度は欧米人に比べて少ない。腹膜炎や腸炎、腹壁の筋膜炎によって生じる。嘔気や便秘を伴うこともある。3)筋痛原因は筋炎というよりも筋膜炎と考えられている。症状は通常1ヵ所に起こり、発作期間中に寛解と増悪を繰り返す。4)皮疹(図1A)遠心性に移動性の紅斑であり筋痛の位置に一致することも多い。熱感と圧痛を有し、自然消退する。5)結膜炎・眼窩周囲浮腫(図1B)片側性または両側性の結膜炎、眼窩周囲浮腫、眼窩周囲痛が発作期間中に出現する。6)胸痛胸膜炎や胸壁の筋膜炎による症状である。7)関節痛非破壊性、非対称性で下肢の大関節に起きることが多い。画像を拡大する■ 予後TRAPSの長期予後については不明な点が多いが、経過とともに症状が増悪していく症例も、軽症化していく症例もみられる。長期的な経過では、ステロイド治療の副作用や、アミロイドーシスの合併が問題となる。欧米ではアミロイドーシスは10%の合併頻度であるが、わが国の全国調査ではアミロイドーシス合併例の報告はない。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)2002年、Hullらは症状、家族歴などから構成される「TRAPS診断指針」を発表したが、これは診断基準ではなく、遺伝子検査の適応を判断するための指針であった(表1)。TRAPS診断のgold standardは遺伝子検査である。疾患関連性が明確なTNFRSF1A遺伝子異常は、CDR1、CDR2のシステインの変異、T50M変異などである。これらが認められれば診断は確定する。その一方で、病的意義の明らかではない多型も存在する。その代表は、欧米ではP46LとR92Qである。これらは欧米の健常人の数%に認められるため、病的意義について議論がある。P46LとR92QのTRAPSは浸透率が低く、軽症で予後が良い。わが国ではT61Iが最も多くのTRAPS患者から報告されているが、健常人にも約1%の対立遺伝子頻度で認めるため病的意義については議論がある6)。TNFRSF1A遺伝子異常のリストは、INFEVER websiteで参照できる。「自己炎症疾患とその類縁疾患に対する新規診療基盤の確立」研究班(研究代表者:平家俊男[京都大学]平成24-26年度 厚生労働省)では、前述の厚生労働省堀内班の研究結果を踏まえてTRAPS診療フローチャートを作成した。この診断フローチャートは、指定難病、小児慢性特定疾病の診断基準として利用されている(図2)。6ヵ月以上の炎症兆候の反復を必須条件とし、家族歴などの補助項目を満たす場合に遺伝子検査を推奨している。最終的な診断は遺伝子検査による。遺伝子検査結果の解釈は専門家への相談が必要である。画像を拡大する2015年、ヨーロッパの小児リウマチ学会(Paediatric Rheumatology International Trials Organisation:PRINTO)は、ヨーロッパを中心とした自己炎症症候群患者のデータベース(Eurofever registry)のデータを元に、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、クリオピリン関連周期熱症候群、TRAPSの予備的臨床的診断基準を作成し発表した(表3)7)。作成にあたり遺伝子検査で診断が確定した患者がgold standardとされた。TRAPSのP46LとR92Qのような浸透率の低い遺伝子異常や疾患関連性が不明な遺伝子異常は除外された。陰性対照群としてPFAPA症候群を加えた5疾患の患者群の臨床所見について多変量解析が行われ、各疾患を区別する項目が抽出され、そして、各項目をスコア化して診断基準が作成された。診断基準の適用については、感染症や他のリウマチ性疾患などを除外していることが重要な前提条件である。この予備的臨床的診断基準は、遺伝子検査の適応の判断や、疾患関連性が不明な遺伝子異常を有する患者の診断において参考にできる。将来的には、検査値や遺伝子検査と組み合わせた診断基準の作成が期待される。画像を拡大する症状は典型的な有熱性エピソードに関連してなければならない(感染症などの併存疾患を除外する)。†:末梢側へ向かって移動する紅斑であり、最も典型的には筋痛の部位を覆い、通常四肢または体幹に生じる。‡:東地中海:トルコ人、アルメニア人、非アシュケナージ系ユダヤ人、アラブ人  北地中海:イタリア人、スペイン人、ギリシャ人略称FMF:家族性地中海熱 MKD:メバロン酸キナーゼ欠損症 CAPS:クリオピリン関連周期熱症候群 TRAPS:TNF受容体関連周期性症候群■ 検査本症に疾患特異的なバイオマーカーはない。発作時に血沈、CRP、フィブリノゲン、フェリチン、血清アミロイドA蛋白などの急性期反応物質の増加が認められる。好中球の増加、慢性炎症に伴う小球性低色素性貧血、血小板の増加なども認められる。これらの検査値は発作間欠期にも正常ではないことがある。筋症状があっても、CK、アルドラーゼの上昇は認められない。最も重篤な合併症であるアミロイドーシスでは腎病変の頻度が高く、蛋白尿が認められるため、早期発見のために定期的な尿検査が推奨される。血清中の可溶型1型TNF受容体濃度の低値が特徴的とされていたが、TRAPSに特異的な所見とはいえず診断的意義は乏しいと考えられる。■ 鑑別診断ほかの周期性発熱を呈する疾患が挙げられる。ただし、筋痛や腹痛などが前景に立ち高熱が認められない症例、炎症性エピソードが周期的(反復性)ではなく慢性的に持続する患者などでもTRAPSの可能性はある。具体的には、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、クリオピリン関連周期熱症候群などの自己炎症疾患や全身型若年性特発性関節炎、成人スティル病、ベーチェット病などが鑑別に挙がる。TRAPS様症状の家族歴は、遺伝子異常の存在を予測する最も重要な因子である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)前述したわが国のTRAPS診断フローチャートに、治療(TRAPS診療の推奨)についての記述がある(表4)。また、2015年にPRINTOからTRAPSを含む自己炎症疾患の診療に関するエビデンスに基づいたレコメンデーションが発表された(表5)。発作時の短期的なNSAIDsもしくはステロイド投与が基本治療である。発作が軽症で頻度も年1、2回などと少ない場合、NSAIDsによる症状緩和のみでも対応可能である。わが国の診断フローチャートにある、経口プレドニゾロン(PSL)1mg/kg/日で開始し7~10日で減量・中止する方法(表4)は、HullらがTRAPS診断指針を発表した論文で推奨した方法である。留意事項に記載されているとおり、必要なステロイドの投与量や期間は、症例毎に、また同一症例でも発作ごとに異なり、状況に応じて判断していく必要がある。ステロイドは、当初効果があった症例でも次第に効果が減弱し、増量や継続投与を強いられる場合がある。重度の発作が頻発する場合、追加治療としてTNF阻害薬のエタネルセプト(商品名:エンブレル)とIL-1阻害薬カナキヌマブ(同:イラリス)が推奨されている。エタネルセプトは受容体製剤であるが、同じTNF阻害薬でも抗体製剤であるインフリキシマブ(同:レミケード)とアダリムマブ(同:ヒュミラ)はTRAPSで著しい増悪を起こした報告があり使用が推奨されない。また、エタネルセプトもステロイドと同様に効果が減弱するとの報告がある。PRINTOのレコメンデーションは、IL-1阻害薬の推奨度をより高く設定し、欧州医薬品庁(European Medicines Agency:EMA)は、TRAPSに対するIL-1阻害薬のカナキヌマブの使用を認可している。わが国でも2016年12月にカナキヌマブがTRAPSに対して適応が追加された。画像を拡大する表5 TRAPS診療の推奨画像を拡大するL:エビデンスレベル1B(randomised controlled study)、2A(controlled study without randomisation)、2B(quasi-experimental study)、3(descriptive study)、4(expert opinion)S:推奨の強さA(based on level 1 evidence)、B(based on level 2 or extrapolated from level 1)、C(based on level 3 or extrapolated from level 1 or 2)、D(based on level 4 or extrapolated from level 3 or 4 evidence)略称TRAPS:TNF受容体関連周期性症候群 MKD:メバロン酸キナーゼ欠損症 CAPS:クリオピリン関連周期熱症候群4 今後の展望TRAPSは国内の推定患者数が数十例の極めてまれな疾患だが、不明熱の診療などで鑑別疾患に挙がることは少なくない。TRAPS様症状の家族歴があるときには遺伝子検査が診断に最も有用であるが、保険適用はなく施行できる施設も限られており、容易にできる検査とは言い難い。日本免疫不全・自己炎症学会では、TRAPSを含めた関連疾患の遺伝子検査の保険適用を将来的に目指した検討を進めている。5 主たる診療科小児科、膠原病内科、血液内科、感染症内科、総合診療科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療研究情報INFEVER website(医療従事者向けのまとまった情報)一般社団法人日本免疫不全・自己炎症学会(医療従事者向けのまとまった情報)1)McDermott MF, et al. Cell. 1999;97:133-144.2)Ueda N, et al. Arthritis Rheumatol. 2016;68:2760-2771.3)Simon A, et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2010;107:9801-9806.4)Hull KM, et al. Medicine (Baltimore). 2002;81:349-368.5)Lachmann HJ, et al. Ann Rheum Dis. 2014;73:2160-2167.6)Horiuchi T. Intern Med. 2015;54:1957-1958.7)Federici S et al. Ann Rheum Dis. 2015;74:799-805.公開履歴初回2018年03月27日

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第55回

第55回:重篤な患者とのコミュニケーションで役立つ3つの「W」キーワード肺がんメラノーマ動画書き起こしはこちらダートマス大学 腫瘍内科の白井敬祐です。今回お話ししたいと思うのは、前に少し触れた、“Serious Illness Conversation”ガイドラインです。重篤な病気になったときに、どういう話をすれば良いのか、ということを『Compication』とか『Checklist』とか『Being Mortal』という本で有名な、ハーバード大学の外科医であるAtul Gawande氏が主催する財団の1つの取り組みなのですが、重篤な病気になった時(心不全だったり、心筋梗塞だったり、COPDの末期だったり、必ずしもがんである必要はないんですけれども)、どのようにしたら、もっと良い準備をしてもらえるかといいうことで、オペ室で外科医あるいは看護師さんがチェックリストを使うのと同じように、そういった会話にもガイドラインがあれば、医療者側も患者さんも家族もストレスを減らしながら、かつ大事な要点を網羅しながら、話ができるんじゃないか、ということで進められているプロジェクトです。腫瘍内科は、Stage 4、根治が望めない患者さんに話をすることも多いので、そういう話を上手く持っていこうということです。それをいかにフェローに教えるか、インストラクターのためのワークショップが、先月ありました。病院から離れたところで、1日こもって、ポケベルは残念ながら鳴るんですけれども、そういうところに離れて、みっちりとワークショップをしたので、そのことについてお話しをしたいと思います。リーダーは2人の緩和医療ドクターです。夫婦2人とも“緩和医療 命”みたいな感じの仲の良い夫婦なんですけれども、その2人がコーチになって、肺がん専門の医者2人、消化器の専門の医者1人、頭頸部がんの専門家1人の計4人が選ばれて、本当のムースのはく製が飾ってあるような、山小屋に閉じ込められて、1日話をしました。たとえば「もし上手くいかなかったらどういうふうにしたいですか」とか「(バケットストとアメリカではよく言うんですけども)あなたの残された夢は何かありますか」「家族に言いたいことあれば、どんなことですか」とか。医療者側が、その話をするはタイミングが難しいんですね。治療が上手くいっていると、その話には触れにくいし、治療が上手くいってないと、逆にその話がメインになってしまって、準備をするというところまで行かないことも多いです。そういったタイミングを探さなくても、こういうマニュアルや、このリストに沿って話をしましょうと(いうことです)。面白いところは、このリストは、患者さんに見せても良いということになっています。たとえば、患者さんや家族の強みであったり、心配されてることとか、そういうトピックを選びながら「今日はこの話をしましょう」と話すことで、お互いにある程度心の準備ができるので、比較的ストレスが減るのではないかと(いうことです)。もしストレスが減れば、100%にはならないにしても、現在言われてよりは多くの人が、そういった会話に入れるのではないか、という趣旨で始められた企画です。ここで覚えてもらいたいのは、2つの“W、W、W”(です)。(まず)患者さんに話すとき、上手くいかなかった時の“Wish、Worry、Wonder”です。“I wish”ステートメントは、上手くいって欲しかったんだけど、残念がら上手くいかない、そうしたら「I worried、私はあなたのことを心配しています」、「あなたのことを考えてますよ」というメッセージを出して、「I wonder」と進めるんですね。たとえば、患者さんが、もっとアグレッシブなことを望んでおられるときに、医療者から見て、むしろ症状の緩和のほうに力を入れたほうが良いと思ったときには、「I wonder」から始めて、話を進める。“Wish、Worry、Wonder”というステートメントは、迷ったときに非常に便利だと思います。このガイドのミソは、詰まった時に助け船になってくれる(ことです)。患者さんもその逆にそのリスト見ながら、「今、こういうところに会話はあるんだな」と確認できるというメリットがあります。もう一つの“W、W、W”。これはSerious Illness Conversation”ガイドを、フェローや学生に教える時に(使います)。患者さんの気持ちに、ちょっと寄り添えていなかったり…あるいは僕たちがよく説明する時に言うんですけれども…インスリンの量も血糖値が変わると変わりますよね、それと同じように、われわれのコミュニケーションの仕方も、患者さんの反応の仕方によって調節する必要があると。ともすると、「いや、ここはこうしたほうが良かった」「僕ならこうするよ」っていうアドバイスから入りがちなんですけど、どんなフィードバックでも“W、W、W”で始めなさいということを徹底されました。今日も外来で研修を受けた同僚に「How was your WWW? 」とか冗談を言っているのですけれども、それは何かというと“What went well? ”です。「どうしたら良かったのか」とか「もっと上手くできなかったか」とネガティブなことを聞くのではなく、「どこが上手くいったと思う? 」と問いかけることで、教えられる側も改善点がないか考えるきっかけになる。上手くいったというところから始めることで、上手くいかなかったところにも気が付いてもらいやすい(ということです)。“What went well? ”ステートメント、よろしければ明日からの、研究医やスタッフとの会話に冗談で使ってみても良いかも知れません。 (ところで、)ダートマス大学はビジネススクールが有名で、Ron Adnerという教授がいるんですけれども、彼は(日本語訳にもなっている)『Wide Lens』という本を出しています。会社というのは良い製品ができると「これは絶対に市場に受け入れられるはずだ」と、そこばかりを追求して、結局上手くいかないことがあると(言っています)。それはなぜかというと、商品は良くて、それを手にする消費者が喜んでも、流通や小売店など、すべての場所でメリットがないと上手くいかないと(いうことです)。視野を広く持たないと、死角ができて失敗する。Wide Lensを持つことで、できるかぎり失敗を減らせるのではないか、ということを書いたビジネス書なのです。なぜスチーブ・ジョブス(のiPod)は成功して、ほかのMP3プレーヤーが失敗したのかとか、(医療カルテは米国ではEpicという会社が独占しているのですが)GoogleやIBMやOracleオラクルといった大会社も電子カルテにか関わっていたのに上手くいかず、なぜ小さなEpicがのし上がったのか、ということも解説しているので、興味があったら読んでみてください。(前出の)Atul Gawandeが、その『Wide Lens』を読んで共感したようで(広く見ることで、死が運命付けられたような病気にかかったときに、そういう会話を上手くできるということですね)、Ron Adnerにコンタクトを取ってきて、今度話をするみたいです。ちょっとその話を教えてもらいたいと思います。なぜRon Adnerなのかというと、娘が高校の水泳部に入っていて、車で送り迎えをするのですが、その時の待ち友達の1人が、Ron Adnerです。Atul Gawande著 ComplicationAtul Gawande著 The Checklist Manifesto: How To Get Things RightAtul Gawande著 Being MortalThe Conversation ProjectRon Adner著 The Wide Lens

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ニボルマブの480mg4週ごと投与、FDAが承認

 米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は2018年3月6日、米国食品医薬品局(FDA)が、480mg固定用量4週間ごと投与の追加適応を含む、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の生物学的製剤承認一部変更申請を承認したと発表。この承認により、医療者は、新バイアルによる240mgの2週間ごと投与と、480mgの4週ごと投与を、患者に合わせて選べるようになる。また、すべてのニボルマブ適応疾患で、従来より短い30分投与も承認された。 480mg固定用量4週ごと投与は、下記の適応症に対して承認されている。・転移性メラノーマ(単独投与またはイピリムマブとの併用療法後の単独投与)・既治療の転移性非小細胞肺がん・抗血管新生療法後の進行腎細胞がん・プラチナベース化学療法中または後に進行した局所進行または転移性尿路上皮がん・自家造血幹細胞移植(HSCT)とブレンツキシマブ ベドチン、または自家HSCT含む3ライン以上の全身療法の後に再発/進行した古典的ホジキンリンパ腫・プラチナベース治療後の再発/転移性の頭頸部扁平上皮がん・ソラフェニブ治療後の肝細胞がん・完全切除されたメラノーマの術後アジュバント療法■参考ブリストル・マイヤーズ スクイブ社プレスリリース

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敗血症性ショック、ステロイド2剤併用で死亡率低下/NEJM

 敗血症性ショック患者に対する検討で、ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン投与はプラセボ投与と比較して、90日全死因死亡率が低いことが示された。フランス・Raymond Poincare病院のDjillali Annane氏らが、1,241例を対象に行った多施設共同二重盲検無作為化試験の結果を、NEJM誌2018年3月1日号で発表した。敗血症性ショックは、感染に対する宿主反応の調節不全が特徴で、循環異常、細胞異常、代謝異常を呈する。研究グループは、ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンによる治療、または活性型drotrecogin αによる治療は、宿主反応を調節可能であり、敗血症性ショック患者の臨床的アウトカムを改善する可能性があるとの仮説を立てて、検証試験を行った。昇圧薬非使用日数、人工呼吸器非装着日数なども比較 試験は2×2要因デザインにて、集中治療室(ICU)の入院患者で、24時間未満に敗血症性ショックと診断された患者(疑い例含む)を対象に行われた。 対象患者を無作為に分け、ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン療法、活性型drotrecogin α単独療法、これら3剤の併用療法、各療法に適合させたプラセボを投与した。 主要評価項目は、90日全死因死亡率。副次的評価項目は、ICU退室時および退院時、28日時点、180日時点の各時点における死亡率と、生存日数、昇圧薬非使用日数、人工呼吸器非装着日数、臓器不全の非発生日数とした。 同試験は、中途で活性型drotrecogin αが市場から撤退したため、その後は2群並行デザインで継続した。ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン療法を行った群と、両薬を投与しなかったプラセボ群について比較分析した。ICU退室時死亡率・退院時死亡率は約6ポイント減少 試験に組み入れた被験者1,241例(ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群614例、プラセボ群627例)において、90日死亡率は、ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群が43.0%に対し、プラセボ群は49.1%と高率だった(p=0.03)。ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群の死亡に関する相対リスクは、0.88(95%信頼区間[CI]:0.78~0.99)だった。 また、ICU退室時死亡率も、プラセボ群41.0%に対しヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群は35.4%(p=0.04)、退院時死亡率はそれぞれ45.3%と39.0%(p=0.02)、180日死亡率は52.5%と46.6%(p=0.04)で、いずれもヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群が有意に低率だった。一方で28日死亡率については、38.9%、33.7%と、両群で有意差はなかった(p=0.06)。 28日目までの昇圧薬非使用日数は、プラセボ群が15日に対しヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群は17日(p<0.001)、臓器不全非発生日数もそれぞれ12日、14日で(p=0.003)、ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群で有意に長かった。一方で人工呼吸器非装着日数は、それぞれ10日、11日と両群間で差はなかった(p=0.07)。 重篤有害事象の発生頻度は両群で同程度だったが、高血糖症の発生頻度がヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群で高かった。

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第54回

第54回:ペムブロ・化学療法併用の第III相試験KEYNOTE-189キーワード肺がんメラノーマペムブロリズマブ動画書き起こしはこちら<このビデオレターは侍オンコロジスト#52の続編です>FDAの認可というと面白いところはですね。カルボプラチン、ペメトレキセド、ペムブロリズマブ(という)、従来の抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬の併用がアメリカで認可になったという話をしたと思うんですけど、これ実はFull Approvalではなくて、Conditional Approvalという形になっています。それはなぜかというと、臨床試験の結果はポジティブに出たけど、これはRandomized PhaseIIの結果であったからですね。(そのよう中)今回、メルクからのプレスリリースで、PhaseIIIでも同じようにポジティブなったという報告がありました。実際の数字はまだ見ていないので、PhaseIIと同じくらいポジティブな…StageIVの肺がん患者さんに対してカルボプラチン、ペメトレキセド、ペムブロリズマブを使った群のProgression Freee Survivalは13ヵ月を超えるという結果が出たんですけれども…これに準ずるぐらい凄い結果が出るのか、ちょっと覗いてみたいですね。Merck社プレスリリースMerck’s KEYTRUDA(pembrolizumab) Significantly Improved Overall Survival and Progression-Free Survival as First-Line Treatment in Combination with Pemetrexed and Platinum Chemotherapy for Patients with Metastatic Nonsquamous Non-Small Cell Lung Cancer (KEYNOTE-189)ペムブロリズマブ、化学療法併用でNSCLC1次治療のOS延長(第III相KEYNOTE-189)Langer CJ, et al. Carboplatin and pemetrexed with or without pembrolizumab for advanced, non-squamous non-small-cell lung cancer: a randomised, phase 2 cohort of the open-label KEYNOTE-021 study. Lancet Oncol. 2016;17:1497-1508.

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第53回

第53回:AJCCがんStaging Manual今年から適用開始キーワード肺がんメラノーマ動画書き起こしはこちらこんにちはダートマス大学腫瘍内科の白井敬祐です。2018年になって、(ダートマス大学の)がんセンターで、まだちょっと慣れずにあたふたしているのが、AJCCのがんステージングマニュアルversion8(第8版)の導入が始まったということです。実はこれ、去年(2017年)の1月1日に発表されたのですが、実際の臨床に適用するのが、2018年の1月1日から、ということになっています。病理の報告の仕方、あるいはtumorボードで発表するときも、このAJCCの8に準拠してやるようにすることが勧められてるいのですけども、大きく変わったとこもあれば、まったく変わってないとこともあって。今ハチャメチャしているところです。AJCCステージングというのは、基本的には予後をクリアに分けるために行われるので、たとえば肺がんであれば、今回から、単一臓器の転移のみの場合はM1bですね。肝臓とか肺とか脳とかいろいろなところに転移がある場合はM1cですけれども。このM1bに関しては、転移のある臓器に局所治療することで、明らかにM1cよりは予後が良くなる。いうことが最近のがん統計の解析でわかったということです。有名なところでは乳がんですね。HER2レセプター陽性・陰性が、がんのステージングに加わって。こういうふうに、予後に大きな影響を与える因子が出たときに改訂されます。たとえば、メラノーマでは(第7版では)小数点2桁まで報告してたんですが、第8版からは小数点1桁までで良いということになったので、今まで0.75mmと記載していたのが0.8mmになるということですね。そこもまだ慣れないので、病理医はレポートでcorrected…訂正を何回も出してます。臨床試験の登録も。(今あるプロトコルはほとんどがAJCC7のステージングですけど)、新しく出てきたプロトコルではAJCC8を使うようになってきています。実際のところ、まだ僕が専門にしてる免疫療法に関しては免疫チェックポイントインヒビターの恩恵を受けた統計ではないので、必ずしも5年生存率に劇的な改善があるという訳ではないんですけれども、今後そこも変わってくるところだと思います。Implementation of AJCC 8th Edition Cancer Staging System

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抗CCR4抗体モガムリズマブ、HTLV-1関連脊髄症に光/NEJM

 ヒト化抗CCR4モノクローナル抗体モガムリズマブは、ステロイド維持療法の効果不十分なヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)関連脊髄症(HAM)(正式な疾患名の表記は、HAM/TSP[HTLV-1-associated myelopathy/Tropical spastic paraparesis、HTLV-1関連脊髄症/熱帯性痙性対麻痺])患者において、末梢血中のHTLV-1感染細胞数と髄液炎症マーカーを減少させることが認められた。主な副作用は皮疹で、忍容性も良好であった。聖マリアンナ医科大学の佐藤 知雄氏らが、身体機能を著しく損なう神経炎症性疾患であるHAMに対する、モガムリズマブの安全性および有効性を検討した医師主導の第I/IIa相試験の結果を報告した。NEJM誌2018年2月8日号掲載の報告。医師主導第I/IIa相試験でモガムリズマブの安全性と有効性を評価 HTLV-1は、成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)やHAMの原因となるウイルスで、HAM患者では、主にCCR4陽性のHTLV-1感染T細胞が異常細胞に変化し、脊髄内で慢性的な炎症を引き起こす。これまで、HAM患者から得た末梢血単核細胞を用いた前臨床試験で、モガムリズマブがHTLV-1感染細胞数と炎症性サイトカインの両方を減少することが示されていた。 研究グループは、2013年11月~2015年1月に、HAMに対するモガムリズマブの安全性、薬物動態および有効性を評価する目的で、第I/IIa相試験を実施した。 対象は、3ヵ月以上の経口プレドニゾロン投与が無効のHAM患者であった。第I相用量漸増試験(3+3デザイン)において、モガムリズマブの5用量(0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kgまたは0.3mg/kg)を各3例に段階的に単回投与(点滴静注)し、85日間観察した。計21例が投与を受けた。第IIa相試験には、第I相試験を完遂した19例を組み込み、第I相試験と同じ用量を投与した。0.003mg/kg、0.01mg/kgまたは0.03mg/kg投与群には8週ごと、0.1mg/kgまたは0.3mg/kg投与群には12週ごとに投与し、24週間観察した。忍容性は良好、血中HTLV-1感染細胞数と髄液中炎症マーカーが減少 モガムリズマブは、最大投与量0.3mg/kgまでの忍容性が確認された。最も頻度が高かった副作用は、Grade1/2の皮疹(発現率48%)、リンパ球減少および白血球減少(いずれも33%)であった。 末梢血単核細胞中のHTLV-1感染細胞数の減少(15日目に64.9%減少、95%信頼区間[CI]:51.7~78.1)、ならびに脳脊髄液中の炎症マーカーの減少(29日目にCXCL10濃度が37.3%減少[95%CI:24.8~49.8]、ネオプテリン濃度が21.0%減少[95%CI:10.7~31.4])が認められた。その効果は用量依存的で、第IIa相試験においても反復投与により試験終了まで維持された。また、下肢の痙性は79%の患者で改善し、運動障害の改善も32%で確認されている。

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再発性B細胞性ALL、CAR-T療法での長期転帰/NEJM

 新たな細胞免疫治療であるCD19特異的キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞療法は、再発性B細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)の小児および成人患者で、70~90%という良好な完全寛解率が示されている。しかし、これらの試験の多くはフォローアップ期間が相対的に短く、長期的な寛解の予測因子と考えられる背景因子の解析は行われていない。そこで、米国・メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(MSKCC)のJae H. Park氏らは、CD19 CAR T療法を受けたALL成人患者の第I相試験の長期フォローアップを行い、その結果をNEJM誌2018年2月1日号で報告した。単施設での再発性B細胞性ALLの第I相試験 研究グループは、MSKCCにおいて、再発性B細胞性ALLの成人患者を対象に、19-28z CAR発現自己T細胞注入の第I相試験を行った(Commonwealth Foundation for Cancer Researchなどの助成による)。 安全性および長期転帰の評価を行い、これらと人口統計学的特性、臨床的特性、疾患特性との関連を評価した。2010年2月~2016年6月に再発・難治性B細胞性ALLの成人登録患者53例が、MSKCCで作製された19-28z CAR T細胞の注入を受けた。 ベースラインの年齢中央値は44歳(範囲:23~74)で、18~30歳が14例(26%)、31~60歳が31例(58%)、60歳超は8例(15%)であった。前治療数は2が21例(40%)、3が13例(25%)、4以上は19例(36%)であった。同種造血幹細胞移植歴のある患者は19例(36%)、フィラデルフィア染色体陽性は16例(30%)だった。疾患負荷が小さい患者は、安全性と有効性が良好 完全寛解は44例(83%、95%信頼区間[CI]:70~92)で得られた。微小残存病変(MRD)の評価が可能であった48例のうち、MRD陰性の完全寛解例は32例(67%、95%CI:52~80)であった。移植の有無、前治療数、移植前化学療法のレジメン、年齢、CAR T細胞の用量の違いによる、完全寛解率の有意な差はなかった。 サイトカイン放出症候群は45例(85%)で発現し、そのうち重度(Grade≧3)は14例(26%)で、多臓器不全を併発した1例が死亡した。神経毒性は、Grade2が1例(2%)、Grade3が19例(36%)、Grade4が3例(6%)に認められたが、Grade5や脳浮腫はみられなかった。 疾患負荷が大きい(骨髄芽球≧5%または髄外病変を有する)患者は、小さい(骨髄芽球<5%)患者に比べ、重度のサイトカイン放出症候群(p=0.004)および神経毒性イベント(p=0.002)のリスクが高かった。 フォローアップ期間中央値29ヵ月(範囲:1~65)の時点で、無イベント生存期間中央値は6.1ヵ月(95%CI:5.0~11.5)、全生存期間中央値は12.9ヵ月(95%CI:8.7~23.4)であった。MRD陰性完全寛解例はMRD陽性完全寛解例/非奏効例に比べ、無イベント生存期間中央値(p<0.001)および全生存期間中央値(p<0.001)が有意に優れた。 治療前の疾患負荷が小さい患者では、大きい患者に比べ、無イベント生存期間中央値(10.6ヵ月[95%CI:5.9~未到達]vs.5.3ヵ月[95%CI:3.0~9.0]、p=0.01)および全生存期間中央値(20.1ヵ月[95%CI:8.7~未到達]vs.12.4ヵ月[95%CI:5.9~20.7]、p=0.02)が有意に延長した。 著者は、「コホート全体の全生存期間中央値は12.9ヵ月で、疾患負荷が小さい患者では20.1ヵ月であった。また、疾患負荷が小さい患者では、サイトカイン放出症候群と神経毒性イベントの発現率が著明に低かった」とまとめている。

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B細胞性ALL、CAR-T療法で8割が全寛解/NEJM

 小児および若年成人における再発・難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)に対して、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞療法(CAR-T療法)であるtisagenlecleucelの単回投与は、長期にわたる持続的な寛解をもたらし、Grade3以上の有害事象は一過性であることが確認された。米国・ペンシルベニア大学のShannon L. Maude氏らが、11ヵ国の25施設で実施された国際共同第II相臨床試験の結果を報告した。単一施設で行われたtisagenlecleucelの第I・IIa相試験では、同患者における完全寛解率は93%と高く、毒性は重篤であったものの、ほとんどが可逆的であることが示されていた。NEJM誌2018年2月1日号掲載の報告。小児および若年成人患者75例でtisagenlecleucelの有効性を評価 試験は、小児(スクリーニング時3歳以上)および若年成人(診断時21歳未満)の再発・難治性CD19陽性B細胞性ALL患者を対象に、tisagenlecleucelを単回投与し評価した。tisagenlecleucelは、T細胞活性化シグナルを伝達するCD3ゼータ領域と共刺激シグナルを伝達する4-1BB(CD137)領域を含み、CD19に対するCARを発現するよう、レンチウイルスベクターで形質導入された自己T細胞を用いて作られた。 主要評価項目は、3ヵ月以内の全寛解率(完全寛解、または、血液学的回復が不完全な完全寛解の割合)。副次評価項目は、フローサイトメトリーで評価された検出できない微小残存病変を伴う完全寛解または血液学的回復が不完全な完全寛解、寛解持続期間、無イベント生存、全生存、安全性などとした。 2015年4月8日~2017年4月25日(データカットオフ日)に、事前に計画された解析に関して75例がtisagenlecleucelの投与を受け、有効性が評価された。全寛解率は81%、寛解は持続、Grade3以上の有害事象発現は73% 3ヵ月以内の全寛解率は81%で、治療に反応した全患者においてフローサイトメトリーで評価された微小残存病変は陰性であった。 6ヵ月時点の無イベント生存率は73%(95%CI:60~82%)、全生存率は90%(95%CI:81~95%)、12ヵ月時点はそれぞれ50%(95%CI:35~64%)、76%(95%CI:63~86%)であった。寛解持続期間は中央値に未到達であり、tisagenlecleucelは血液中に最長20ヵ月間残留していることが確認された。 tisagenlecleucelとの関連が疑われたGrade3/4の有害事象は、73%の患者に発現した。サイトカイン放出症候群の発現率は77%で、このうち48%の患者はトシリズマブで治療された。神経学的イベントは40%の患者に発現したが、支持療法で管理され、脳浮腫は報告されなかった。

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Dr.大山のがんレク!すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義(下巻)

第7回 頭頸部がん 第8回 食道がん 第9回 肝胆膵がん 第10回 婦人科がん 第11回 泌尿器がん 第12回 造血器腫瘍 第13回 脳腫瘍 第14回 緊急症 第15回 緩和ケア がん化学療法が一般的な治療となり、一般内科でもがん患者を診る機会が多くなりました。この番組では、がん種ごとに、基本的知識、ステージ、主な治療法、化学療法とその副作用をコンパクトに解説。下巻では7つのがんとオンコロジックエマージェンシー、緩和ケアを収録。すべての医療者が自信を持ってがん患者と向き合えるための知識を、腫瘍内科 大山優先生がレクチャーします!第7回 頭頸部がん 咽頭、口腔、鼻腔など発現部位によって予後や治療法が異なる頭頸部がん。技術的・機能的に可能な場合は外科的切除、不可能な場合はケモラジ、すなわち放射線治療と化学療法の合わせ技で対応します。発見前には舌の違和感や出血などで来院することもあり、治療後には口腔内の合併症など、一般医のフォローも必要ですので、ぜひポイントを押さえてください。 第8回 食道がん 食道がんの手術後には、吻合部が狭窄し、嚥下障害を起こすことがあります。唾液が飲み込めないなど、生活に支障を来す患者のQOL改善には一般内科医のフォローが必須!食道がんは気管、大動脈、心膜、椎体に接するため、浸潤しやすいのが恐ろしい点です。症状のある患者は進行している場合が多く、治癒率も高くないなど、基礎知識も押さえておきましょう。第9回 肝胆膵がん 肝胆膵がんは病態が多様で、患者ごとの治療選択がとても重要です。肝がんは慢性肝炎や肝硬変の進行具合によって治療が異なり、殺細胞薬はほとんど効果がないこと、膵がんは早期発見が難しく約4%の患者しか完治できないことなど、一般内科医でもこれだけは知っておきたい肝胆膵がんの基本的知識、治療方法、副作用をコンパクトに解説します。第10回 婦人科がん 今回は子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんをぎゅっとまとめてレクチャー。この3つは共通してカルボプラチンとパクリタキセルを使用した化学療法を行います。これだけでも覚えておきたいポイントです。そのほかHPV(ヒト乳頭腫ウイルス)など、一般内科医にも最低限知っておいてほしい婦人科がん知識をお伝えします!第11回 泌尿器がん 今回は腎がん、尿路上皮がん、前立腺がん、精巣がんをまとめてレクチャーします。泌尿器がんは患者によって進行のスピードや薬剤反応性などに大きな個人差があるのが特徴です。とくに前立腺がんは緩徐進行性のため治療不要となる場合があり、PSA検診の可否が問題となっています。新薬開発の目覚しい化学療法や、QOL確保のための膀胱温存療法、ホルモン療法など、一般内科医でも知っておきたいがん知識が満載です!第12回 造血器腫瘍 造血器腫瘍は遺伝子レベルで病型が細分化され、新薬の登場とともに、治療も複雑化しています。急性白血病や悪性リンパ腫でも、化学療法は比較的有効で、的確な治療と全身管理によって完治できるタイプもあります。初診時に見逃してはならない、メディカルエマージェンシーのポイントを解説します!第13回 脳腫瘍 脳腫瘍は原発性と転移性に分けられます。原発性の悪性腫瘍は境界が不明瞭なため完全摘出が難しく、手術後に化学放射線療法を行います。転移性脳腫瘍は、原発腫瘍の部位や状態によって治療方法が異なります。なかでも、EGFR遺伝子変異性肺がんのように化学療法高度感受性の原発腫瘍の場合は、転移巣も化学療法が有効となるケースがあります。このように最近は脳腫瘍でも長期予後が期待できる場合もあるので、脳腫瘍治療のエッセンスを一通り覚えておきましょう!第14回 緊急症 がん患者の容態悪化、Oncologic Emergencyに対応できますか?一般内科でも外来でがん治療中の患者に遭遇する機会が多くなりました。専門医でなくとも、抗がん剤の副作用や合併症に対応しなければなりません。今回は一般内科医でも是非知っておいてほしい、経過観察してはいけないがんの緊急症について解説します!第15回 緩和ケア 最終回はがん診療においては必須となる緩和ケア。とくに疼痛治療の要となるオピオイドについて、開始方法や副作用を説明します。一般内科でも疼痛ケアや術後のフォローなどを行う機会が増えています。これだけは知っておきたい緩和ケア知識をぜひチェックしてください。

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第52回

第52回:アファチニブのEGFR変異適応追加の意義キーワード肺がんメラノーマ動画書き起こしはこちら遅くなりましたが、2018年、明けましておめでとうございます*。ダートマス大学 腫瘍内科の白井 敬祐です。(*このビデオは1月下旬に収録されたものです)去年の秋にESMOヨーロッパで、durvalumabの(非小細胞がんの)アジュバント陽性ということ(結果)が報告されたり、オシメルチニブの1stラインでの大きなPFSの改善あるいはニボルマブがメラノーマのアジュバントで陽性となった臨床試験の話をしましたが、1月の初っぱな、アファチニブのパッケージインサートに新しい効能が加わりました。これは、EGFRの変異(の効能追加)です。僕たちが薬を保険会社に認可してもらうときには…いろんな保険会社があるのはアメリカの良くないところなんですけど…保険会社に簡易認可フォームみたいなものがあって、そこにEGFR mutationがあるかないかだけではなくて、FDAの認可基準であるEGFR Exon19delがあるか、Exon21 mutationがあるかというチェックボックスがあるんです。けれども、実際に臨床をしていると、L861QだとかG719Xだとか、S768Iというまれなmutationがあるんです。そういうmutationでも、“実はエルロチニブが効く”だとか、“アファチニブはエルロチニブよりもよく効く”とか…pre clinicalだったり、ケースレポートだったり、臨床試験のサブセットアナリシスだったりするのですが…そこに申請するときに論文を添付したり、ASCOの発表の抄録を添付して認めてもらうことはあるんですけれども、そういうことをしなくても(済むようになりました)。アファチニブに関しては1stラインで、L861Q、とかG719Xとか、S768Iというmutationに対しての認可が、1月に入ってすぐにおりました。アファチニブは確かに効果はあるんですけれども、必ずしも副作用が少ないわけではないので、使いにくいところもあるんですが、「1stラインで最もブロードな適応を受けたEGFR-TKIですよ」ということを製薬会社はアピールしだしました。この辺は面白くて、製薬会社が何をクレームしていいのかというのは、かなり厳密に決まっているようで。オシメルチニブは1stラインでプラセボよりも良かったというPhase IIIの結果がNew England Journalに出たんですけど、Drug Rep(MR)さんは、そういうことは一切触れることがまだできません。それはなぜかというと、FDAで認可されてないからですね。もちろん実際のところは、NCCNガイドラインの肺がんのところを見てもらうとわかるんですけど。(NCCNガイドラインは)2017年11月に更新があったと思ったら、12月17日にまた新たなバージョンが発表されています。もし、最近NCCNのガイドラインをのぞいておられなかったら、見てください。FDA、EGFR陽性NSCLCに対するアファチニブの適応拡大を承認(CareNet.com)FDAアナウンスメント

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再生不良性貧血〔AA : aplastic anemia〕

再生不良性貧血のダイジェスト版はこちら1 疾患概要■ 概念・定義再生不良性貧血は、末梢血でのすべての血球の減少(汎血球減少)と骨髄の細胞密度の低下(低形成)を特徴とする症候群である。同じ徴候を示す疾患群から、概念のより明確なほかの疾患を除外することによって診断することができる。病気の本態は「骨髄毒性を示す薬剤の影響がないにもかかわらず、造血幹細胞が持続的に減少した状態」である。再生不良性貧血という病名は、鉄欠乏性貧血や悪性貧血などのように、不足している栄養素を補充すれば改善する貧血とは異なり、血液細胞が再生しにくいという意味で付けられたが、治療方法が進歩した現在では、再生不良性貧血の骨髄は必ずしも「再生不良」とはいえないので、この病名は現実に即さなくなってきている。■ 疫学臨床調査個人票による調査では、2004~2012年の9年間の罹患数は約9,500(年間約1,000人)、罹患率は8.2(/100万人年)と推計された。罹患率の性比(女/男)は1.16であり、男女とも10~20歳代と70~80歳代でピークが認められ、高齢のピークの方が大きかった1)。これは欧米諸国の約3倍の発生率である。■ 病因成因によってFanconi貧血、dyskeratosis congenitaなどの先天性と後天性に分けられる。後天性の再生不良性貧血には原因不明の一次性と、クロラムフェニコールをはじめとするさまざまな薬剤や放射線被曝・ベンゼンなど化学物質による二次性がある。一次性(特発性)再生不良性貧血は、何らかのウイルスや環境因子が引き金になって起こると考えられているが詳細は不明である。わが国では特発性が大部分(90%)を占める。また、そのほかに特殊型として肝炎後再生不良性貧血は、A型、B型、C型などの既知のウイルス以外の原因による急性肝炎発症後1~3ヵ月で発症する。若年の男性に比較的多く重症化しやすいが、免疫抑制療法に対する反応性は特発性再生不良性貧血と変わらない。再生不良性貧血-発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria:PNH)症候群は、臨床的には再生不良性貧血でありながら、末梢血中にglycosylphosphadidylinositol(GPI)アンカー膜蛋白の欠失した血球が増加しており、溶血を伴う状態を指す。そのなかには、発症時から再生不良性貧血‐PNH症候群状態のもの(骨髄不全型のPNH)と、再生不良性貧血と診断されたのち長期間を経てPNHに移行するもの(二次性PNH)の2種類がある。再生不良性貧血の重症度は、血球減少の程度によって表1のように5段階に分けられている1)。画像を拡大する特発性再生不良性貧血の約70%は抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン(anti-thymocyte globulin:ATG、商品名:サイモグロブリン)やシクロスポリン(CsA〔同:ネオーラル〕)などの免疫抑制療法によって改善することから、免疫学的機序による造血幹細胞の破壊・抑制が多くの例で関与していると考えられている。しかし、免疫反応の標的となる自己抗原は同定されていない。再生不良性貧血の約60%に、GPIアンカー膜蛋白の欠失したPNH形質の血球(PNH型血球)が検出されることや、第6染色体短腕の片親性二倍体により細胞傷害性T細胞からの攻撃を免れて造血を支持するようになった造血幹細胞由来の血球が約25%の例で検出されること2,3)などが、免疫病態の関与を裏付けている。一方、Fanconi貧血のように、特定の遺伝子異常によって発症する先天性再生不良性貧血が存在することや、特発性再生不良性貧血と診断されていた例のなかにテロメラーゼ関連の遺伝子異常を持つ例があることなどから、一部の例では造血幹細胞自身に異常があると考えられている。ただし、これらの遺伝子異常が検出される頻度は非常に低い。免疫抑制療法が効かない再生不良性貧血例のなかには、骨髄が脂肪髄であったために再生不良性貧血として治療されたが、その後短期間で異常細胞が顕在化し、診断が造血器悪性腫瘍に変更される例も含まれている。さらに、免疫抑制療法が効かないからといって、必ずしも免疫病態が関与していないという訳ではない。そのなかには、(1)免疫異常による発病から治療までの時間が経ち過ぎているために効果が出にくい、(2)免疫抑制療法の強さが不十分である、(3)免疫学的攻撃による造血幹細胞の枯渇が激しいために造血が回復しえない、などの理由で免疫抑制療法に反応しない例もある。このため、発病して間もない再生不良性貧血のほとんどは、造血幹細胞に対する何らかの免疫学的攻撃によって起こっていると考えたほうがよい。■ 症状息切れ・動悸・めまいなどの貧血症状と、皮下出血斑・歯肉出血・鼻出血などの出血傾向がみられる。好中球減少の強い例では発熱がみられる。軽症・中等症例や、貧血の進行が遅い重症例では無症状のこともある。他覚症状として顔面蒼白、貧血様の眼瞼結膜、皮下出血、歯肉出血などがみられる。■ 予後かつては重症例の50%が半年以内に死亡するとされていた。最近では血小板輸血、抗菌薬、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などの支持療法が進歩し、免疫抑制療法や骨髄移植が発症後早期に行われるようになったため、約7割の患者が輸血不要となるまで改善し、9割が長期生存するようになっている。一部の重症例や、発症後長期間を経過した例は免疫抑制療法によっても改善せず、定期的な赤血球輸血・血小板輸血を必要とする。赤血球輸血が40単位を超えると糖尿病・心不全・肝障害などの鉄過剰症による症状が現れる。最近では、デフェラシロクス(商品名:エクジェイド)による鉄キレート療法が行われるようになったため、輸血依存例の予後の改善が期待されている。一方、免疫抑制療法により改善した長期生存例の約5%が骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)、5~10%がPNHに移行する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 末梢血所見通常は赤血球、白血球、血小板のすべてが減少する。重症度の低い例では貧血と血小板減少だけしか認めないこともある。急性型では正球性正色素性、慢性型では通常大球性を示し、すべての例で網赤血球の増加を伴わない。重症例では好中球だけではなくリンパ球も減少する。■ 血液生化学検査血液生化学検査では血清鉄、鉄飽和率、血中エリスロポエチン値、トロンボポエチン値などの増加がみられる。とくにトロンボポエチンの増加は、前白血病状態との鑑別に重要である。トロンボポエチンが300pg/mL未満であれば再生不良性貧血は否定的である4)。■ 骨髄穿刺・生検所見再生不良性貧血と診断するためには両者を行うことが必須である。骨髄生検では細胞成分の占める割合が全体の30%以下に減少している。なかでも巨核球・幼若顆粒球・赤芽球の著しい減少が特徴的である。骨髄細胞が残存している場合には多くの例で赤芽球に異形成が認められる。好中球にも異形成を認めることがあるが、その割合が全好中球の10%を超えることはない。巨核球は減少しているため、異形成の有無は評価できないことが多い。ステージ4までの再生不良性貧血では、穿刺する場所によって骨髄が正形成または過形成を示すことがあるが、そのような場合でも巨核球は通常減少している。染色体は原則として正常であるが、病的意義の明らかでない染色体異常を少数認めることがある。■ 病理腸骨からの骨髄生検では細胞成分の占める割合が全体の30%以下に減少し、重症例では完全に脂肪髄化する(図1)。ただし、ステージ 1~3の患者では、細胞成分の多い部分が残存していることが多い。画像を拡大する■ 骨髄MRI骨髄穿刺・生検で評価できる骨髄は一部に限られるため、骨髄細胞密度を評価するためには胸腰椎を脂肪抑制画像で評価することが望ましい。重症再生不良性貧血例の胸腰椎をMRIで検索するとSTIR法では均一な低信号となり、T1強調画像では高信号を示す。ステージ3より重症度の低い例の胸腰椎画像は、残存する造血巣のため不均一なパターンを示す。■ フローサイトメトリーによるCD55・CD59陰性血球の検出Decay accelerating factor(DAF、CD55)、homologous restriction factor(HRF、CD59)などのGPIアンカー膜蛋白の欠失した血球の有無を、感度の高いフローサイトメトリーを用いて検索すると、明らかな溶血を伴わない再生不良性貧血患者の約半数に少数のCD55・CD59陰性血球が検出される。このようなPNH形質の血球陽性例は陰性例に比べて免疫抑制療法が効きやすく、また予後もよいことが知られている5)。■ 診断基準・鑑別診断わが国で使用されている診断基準を表2に示す1)。画像を拡大する再生不良性貧血との鑑別がとくに問題となるのは、MDS(2008年分類)のなかでも芽球の割合が少ないrefractory cytopenia with unilineage dysplasia(RCUD)、refractory cytopenia with multilineage dysplasia(RCMD)、idiopathic cytopenia of undetermined significance(ICUS)、骨髄不全の程度が強いPNH、欧米型の有毛細胞白血病などである。RCUD、RCMDまたはICUSが疑われる症例において、巨核球増加を伴わない血小板減少や血漿トロンボポエチンの上昇がみられる場合には、再生不良性貧血と同様の免疫病態による骨髄不全を考えたほうがよい。PNH形質血球の増加がみられる骨髄不全のうち、網赤血球の増加(>10万/μL)、正常上限の1.5倍を超えるLDH値の上昇、間接ビリルビンの上昇、ヘモグロビン尿などの溶血所見がみられる場合には、骨髄不全型PNHと診断する。骨髄生検上細網線維の増加や、血清可溶性インターロイキン2レセプター値の著増などがみられる場合は、有毛細胞白血病を疑う。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ ステージ1、2に対する治療輸血を必要としないこの重症度で、血球減少の進行がみられない場合には、血球減少が自然に回復する可能性があるため、無治療で経過をみることが勧められてきた。しかし、再生不良性貧血では診断から治療までの期間が長くなるほど免疫抑制療法の奏効率が低くなるため、診断後はできるだけ早期にCsAを投与して効果の有無をみたほうがよい。とくに血小板減少が先行する例は、免疫抑制療法に反応して改善することが多いので、血小板減少が軽度であっても、少量のCsAを短期間投与し反応性をみることが望ましい。図2は筆者の私案を示している。画像を拡大する■ 重症例(ステージ3以上など)に対する治療この重症度の患者に対する治療方針(筆者私案)を図3に示す。画像を拡大する患者が40歳以下でHLAの一致する同胞ドナーが得られる場合には、同種骨髄移植が第一選択の治療方法である。とくに20歳未満の患者では治療関連死亡の確率が低く、長期生存率も90%前後が期待できるため、最初から骨髄移植を行うことが勧められる。40歳以上の高齢患者に対してはATG・CsAか、ATG・CsA・エルトロンボパグ(ELT〔商品名:レボレード〕)併用療法を行う。サイモグロブリンの市販後調査によると、ステージ4・5例およびステージ2・3例におけるATG+CsAの有効率はそれぞれ44%(219/502)、64%(171/268)とされている。ELTは、ATG+CsAと同時またはATG+CsAの2週間後から併用することにより、ウマATG+CsAの有効率が90%まで向上することが、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の臨床研究により示された6)。日本でも2017年8月より保険適用が認められ、初回のATG+CsA療法後に併用することが可能になっている。これにより、日本で唯一使用できるサイモグロブリンの有効率が高まる可能性がある。ただし、NIHの臨床試験では、2年間で約12%の症例に、第7染色体異常を中心とする新たな染色体異常が出現していることから、ELT併用によって異常造血幹細胞の増殖が誘発される可能性は否定できない。このため、若年患者に対する初回治療にELTを併用するかどうかは、患者の重症度、罹病期間、免疫病態マーカーの有無などを考慮して判断することが勧められる。とくに、治療前に骨髄FISH検査で第7染色体欠失細胞がないかどうかを確認する必要がある。保険で認められているサイモグロブリンの投与量は2.5~3.75mg/kgと幅が広く、至適投与量についてはよく分かっていない。サイモグロブリンは、リンフォグロブリンに比べて免疫抑制作用が強いため、サイトメガロウイルスやEBウイルスの再活性化のリスクが高いとされている。このため、治療後2~3週以降はできる限り頻回にEBウイルスコピー数をモニタリングする必要がある。重症例のうち初診時から好中球がほとんどなく、G-CSF投与後も好中球がまったく増えない劇症型の場合には、緊急的な臍帯血移植やHLA部分一致血縁ドナーからの移植適応がある。■ 難治例に対する治療免疫抑制療法が無効であった場合、初回治療としてELTが使用されなかった例に対しては約40%にELTの効果が期待できる7)。メテノロンやダナゾール(保険適用外)も重症度の低い一部の例には有効である。これらの薬物療法にすべて抵抗性であった場合には、非血縁ドナーからの骨髄移植の適応がある。支持療法としては、貧血症状の強さに応じて、ヘモグロビンで7g/dL以上を目安に1回あたり400mLの赤血球濃厚液‐LRを輸血する。輸血によって血清フェリチン値が1,000ng/mL以上となった場合には経口鉄キレート剤のデフェラシロクスを投与し、輸血後鉄過剰症による臓器障害を防ぐ。血小板数が1万/μL以下となっても、明らかな出血傾向がなければ予防的血小板輸血は通常行わないが、感染症を併発している場合や出血傾向が強いときには、血小板数が2万/μL以上となるように輸血を行う。4 今後の展望再生不良性貧血の発症の引き金となる自己抗原が同定されれば、その抗原に対する抗体や抗原特異的なT細胞を検出することによって、造血幹細胞に対する免疫的な攻撃によって起こった骨髄不全、すなわち再生不良性貧血であることが積極的に診断できるようになる。自己抗原やそれに対する特異的なT細胞が同定されれば、現在用いられているATGやCsAのような非特異的な免疫抑制剤ではなく、より選択的な治療法が開発される可能性がある。また、近年使用できるようになったELTは、治療抵抗性の再生不良性貧血に対しても約40%に奏効する画期的な薬剤であるが、どのような症例に奏効し、またどのような症例に染色体異常が誘発されるのか(ELTを使用すべきではないのか)は不明である。これらを明らかにするために前向きの臨床試験と定期的なゲノム解析が必要である。5 主たる診療科血液内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)特発性造血障害に関する調査研究班(資料)(再生不良性貧血診療の参照ガイドがダウンロードできる)公的助成情報難病情報センター 再生不良性貧血(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報再生つばさの会(再生不良性貧血の患者と家族の会の情報)1)再生不良性貧血の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ. 再生不良性貧血診療の参照ガイド 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業特発性造血障害に関する調査研究班:特発性造血障害疾患の診療の参照ガイド(平成22年度改訂版); 2011. p3-32.2)Katagiri T, et al. Blood. 2011; 118: 6601-6609.3)Maruyama H, et al. Exp Hematol. 2016; 44: 931-939 e933.4)Seiki Y, et al. Haematologica. 2013; 98: 901-907.5)Sugimori C, et al. Blood. 2006; 107: 1308-1314.6)Townsley DM, et al. N Engl J Med. 2017; 376: 1540-1550.7)Olnes MJ, et al. N Engl J Med. 2012; 367: 11-19.公開履歴初回2013年09月26日更新2018年01月23日

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MGUS、M蛋白の違いで多発性骨髄腫などへの進行リスクに差/NEJM

 意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)において、IgM型MGUS患者と非IgM型MGUS患者では、進行リスクに大きな違いがあることが確認された。また、MGUS患者の全生存期間(OS)は、対照集団の予測OSより短いことも示された。米国・メイヨー・クリニックのRobert A. Kyle氏らが、中央値で約34年という長期にわたる追跡調査の結果を報告した。MGUSは50歳以上の約3%に生じ、患者の7~19%で5~10年後にがん化することが示唆されている。これまでの研究は症例数が少なく追跡期間も短期で、OSに関する情報は限定的であった。NEJM誌2018年1月18日号掲載の報告。MGUS患者約1,400例で多発性骨髄腫などへの進行を34年間追跡 研究グループは、1960~94年の間にメイヨー・クリニックでMGUSと診断された患者で、ミネソタ州南東部に在住の1,384例について、Rochester Epidemiology Projectの診療記録システムおよびメイヨー・クリニックの入院・外来患者診療記録を用いて調査した。 主要エンドポイントは、MGUSから多発性骨髄腫またはその他の形質細胞性/リンパ性疾患への進行であった。 1万4,130人年の追跡調査(追跡期間中央値34.1年、範囲0.0~43.6年)において、1,384例中1,300例(94%)の死亡が認められた。MGUS患者の11%が多発性骨髄腫等へ進行、IgM型で進行リスク大 追跡期間中に、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、ALアミロイドーシス、ワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症、慢性リンパ性白血病、形質細胞腫への進行が、MGUS患者147例(11%)で確認された。このリスクは、年齢および性別をマッチさせた対照集団より6.5倍(95%CI:5.5~7.7)高かった。また、これらの疾患への進行の累積リスク(他の原因による死亡を除く)は、10年時で10%、20年時で18%、30年時で28%、35年時で36%、40年時で36%であった。 IgM型MGUS患者では、血清遊離軽鎖比(κ/λ比)の異常および血清M蛋白量高値(1.5g/dL以上)の2つのリスク因子がある場合、20年時の進行リスクが55%であった。リスク因子が1つの場合は41%、どちらのリスク因子もない場合は19%であった。 また、非IgM型MGUS患者の20年時の進行リスクは同様に、それぞれ30%、20%および7%であった。 MGUS患者のOS中央値は8.1年で、対照集団の予測OS(中央値12.4年)より短かった(p<0.001)。

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高血糖はがん死亡に関連するが、非がん死亡とは関連せず

 高血糖はがん全体および特定のがんの発症率と関連し、糖尿病によるリスクとは異なる。フランスの大規模なプライマリケア集団(IPCコホート)において、これらの関連を全死因死亡や非がん死亡と比較し分析したところ、高血糖ががん死亡と有意に関連(とくに消化器がんと白血病)していたが、非がん死亡とは関連していなかった。またこの関連は、長期アスピリン治療を含む交絡因子を考慮しても維持された。Diabetologia誌オンライン版2018年1月5日号に掲載。 1991年1月~2008年12月に、16~95歳(平均±SD:男性44.8±12.0歳、女性45.1±14.2歳)の30万1,948人(男性19万3,221人、女性10万8,727人)がCenter Ipc Parisで健康診断を受けた。健康診断中に標準状態で収集したすべてのデータを統計分析に使用した。血糖測定を含むすべての検査は絶食条件下で行った。糖尿病を有する参加者(9%未満)は分析から除外した。参加者は、血糖値により五分位に分類され、全死因死亡、がん死亡、非がん死亡を評価するために、最大17年間(平均±SD:9.2±4.7年)追跡された。 主な結果は以下のとおり。・年齢と性別を調整後、がん死亡率と血糖の五分位の間に非線形の関係がみられた。・最も血糖値が高い群とがん関連死亡の間に有意な関連があった(多変量Coxモデル、ハザード比:1.17、95%CI:1.03~1.34)が、正常血糖群はがん死亡と関連はなかった。・血糖値と全死因死亡率または非がん死亡率との間に関連はみられなかった。・消化器がんと白血病において、最も血糖値が高い五分位で死亡の過剰リスクがみられ、糖尿病やアスピリン使用について調整した後も結果は変わらなかった。しかし、この過剰リスクは血糖降下薬使用で消失した(ハザード比:1.03、95%CI:0.74~1.43)。

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BiTE抗体ブリナツモマブ、B細胞性ALLに国内申請

 アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社(本社:東京、代表取締役社長:スティーブ スギノ)とアステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長:畑中 好彦)は、アステラス・アムジェン・バイオファーマがCD19とCD3に二重特異性を有するT細胞誘導抗体製剤ブリナツモマブについて、日本で、再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病(ALL)の治療薬として製造販売承認申請を行ったと発表した。 同社のプレスリリースによれば、日本での製造販売承認申請は、海外第III相ランダム化試験(TOWER試験)を含む複数の海外試験および国内第Ib/II相試験結果に基づき行われた。ブリナツモマブはPh- B前駆細胞性成人ALL患者を対象にブリナツモマブと標準化学療法の有効性を検討した第III相無作為化試験TOWER試験で、成人の再発又は難治性のALL患者において、標準化学療法に対する全生存期間の延長が検証されている。 なお、ブリナツモマブは、2017年9月29日付で厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けている。

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letermovirは造血幹細胞移植での有力なサイトメガロウイルス感染症発症予防薬となるか(解説:吉田 敦 氏)-792

 造血幹細胞移植患者において、サイトメガロウイルス(CMV)は高率に活性化し、肺炎やGVHDを引き起こす。このためガンシクロビルやバルガンシクロビルが予防薬として用いられてきたが、効果が限定的であるうえ、骨髄抑制・回復抑制が問題であった。しかしながらこの2剤に頼らざるをえない状況は10年以上変わっていない。 CMVはターミナーゼ(terminase)によりゲノムDNAの中間体を切断し、カプシド蛋白にまとめていく。このターミナーゼに結合してウイルス複製を阻害するのがletermovirであり、その効果は非常に強く、かつヒトサイトメガロウイルスに特異的であり、また細胞毒性も少ないことが判明していた。造血幹細胞移植患者を対象とした第II相試験では、生着後12週間にわたって1日60mg、120mg、240mgをそれぞれ投与したところ、ウイルス血症の予防に対する効果は240mgで最も大きく、さらに予防できなかった患者はプラセボ群で64%であったのに対し、letermovir 240mg群では29%であり、有意差があった1)。これを受けて今回、第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験が行われた。 20ヵ国の67医療機関を受診した18歳以上の患者で、登録時にCMV感染症を認めず、さらに血漿中CMV DNAが検出感度(151コピー/mL)以下であった者を対象とした。生着の有無にかかわらず、letermovir投与群(480mg/日、点滴・経口あり、ただしシクロスポリン併用者は240mg/日)とプラセボ群に割り付けて14週まで投与し、その後経時的に測定したCMV DNAが上昇するか、CMV感染症を発症した時点を、エンドポイント(試験中止)と判断した。さらに本試験に関連したと考えられる副作用や、死亡に至った重大な合併症の有無については、48週まで観察した。 結果として、letermovir群は325例、プラセボ群は170例となり、移植からletermovir開始までの期間は0~28日(中央値9日)であった。24週までにエンドポイントに達した患者は37.5%対60.6%と、letermovir群で有意に低く(p<0.001)、これは患者のCMV感染症の発症リスクの高低によらなかった。次いで副作用をみると、嘔吐、浮腫、心房細動/粗動がletermovir群でやや多かったが、有意差はなかった。総死亡率はletermovir群20.9%、プラセボ群25.5%であった。 今回の結果では、letermovirでCMV感染症を有意に予防することができた。安全性・忍容性ともに許容される範囲であった点(骨髄抑制を含む)、内服・静注両方で使用が可能であった点も好ましかった。したがって従来の薬剤に代わる予防薬として期待されるところである。ただし本剤はゲノムの点変異のみで耐性を来すこと、それも1日60mgの投与で耐性が出現した例が報告されている2)。すでにFDAはletermovirを成人造血幹細胞移植患者の予防薬として認可したが、用量・血中濃度に注意した本剤の適正な使用と、有効性・耐性出現の両方について今後も慎重な評価が必要であるといえる。

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