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免疫チェックポイント阻害薬:“予後に影響大”の心筋炎を防ぐには? 【見落とさない!がんの心毒性】第5回

はじめにこれまでの連載ではアントラサイクリン心筋症、そしてHER2阻害薬やVEGFR-TKIといった分子標的薬による心毒性が取り上げられてきました。今回は、免疫チェックポイント阻害薬について、塩山と向井が解説します。この薬は患者さん自身の免疫系を活用することによってがん細胞を攻撃するという新しい概念の治療法です。自然免疫と獲得免疫免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の作用機序を理解するために、まずは昔に勉強した(はずの)基本的な免疫システムの復習から始めましょう。免疫系には、「自然免疫」と「獲得免疫」の2つがあります。自然免疫とは生まれつき持っている免疫反応で、細菌やウイルス、がん細胞といった異物を最初に攻撃するシステムです。病原体(抗原)を好中球やマクロファージ、NK(ナチュラルキラー)細胞といった食細胞が認識して攻撃します。それに引き続いて樹状細胞が活性化します。抗原を取り込んだ樹状細胞は、異物の断片(ペプチド)を主要組織適合遺伝子複合体(MHC :major histocompatibility complex)分子に結合してヘルパーT細胞に提示(抗原提示)します。そしてヘルパーT細胞から指令を受けたB細胞が抗体を産生し、またキラーT細胞が誘導されることで異物を攻撃するシステムが獲得免疫です(図1)。(図1)自然免疫と獲得免疫画像を拡大する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)免疫システムには免疫反応を活性化するアクセル(共刺激分子)と、抑制するブレーキ(共抑制分子)が存在します。共抑制分子は自己に対する不適切な免疫応答や過剰な免疫反応を抑制し、免疫システムが暴走することを防いでいます。T細胞上にはPD-1(Programmed cell death 1)やCTLA-4(Cytotoxic T lymphocyte- associated antigen 4)といった免疫チェックポイント分子が存在し、共抑制分子として作用しています。がん細胞に発現しているPD-L1や樹状細胞(抗原提示細胞)に発現しているB7といったリガンドがPD-1、CTLA-4にそれぞれ結合することによりT細胞の活性化が抑制され、免疫系からの攻撃を回避しています(図2:左)。ICIは免疫チェックポイント分子もしくはそのリガンドに結合してT細胞の抑制シグナル(ブレーキ)を解除することによってT細胞の活性化を誘導し、がん細胞に対する免疫応答を高めます(図2:右)。(図2)免疫チェックポイント阻害薬の作用機序画像を拡大するこの仕組みをつきとめ、がん免疫療法という新たな分野を開拓した京都大学の本庶 佑博士ならびにテキサス大学のジェームズ・アリソン博士に2018年ノーベル生理学・医学賞が授与されたことは記憶に新しいですね。現在承認されているICIには、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体の3種類があります(表1)。適応症は年々拡大しており、手術、化学療法、放射線治療に次ぐ第4の治療法として期待されています。(表1)本邦で使用可能な免疫チェックポイント阻害薬画像を拡大する免疫関連有害事象(irAE)ICIによる免疫系の活性化に伴って、自己免疫疾患に類似した副作用を引き起こすことが知られています。従来の殺細胞性抗がん剤や分子標的薬による副作用とは異なる作用機序であり、免疫関連有害事象(irAE :immune-related adverse event)と呼ばれます。irAEは、皮膚、消化器、呼吸器、内分泌、神経など、全身のあらゆる臓器に発現することが報告されています1)(図3)。(図3)ICIによる有害事象[irAE]画像を拡大する心臓におけるirAEも心筋炎、心筋症、心膜疾患、不整脈など多岐にわたりますが、中でも心筋炎は予後に影響するため注意が必要です。心筋炎の発症頻度は~1%程度と決して多くはありませんが、中には劇症化する症例が存在し、致死率は50%に達すると報告されています2)。そのため早期に発見して適切に対応することが重要です。ICIによる心筋炎の発症機序として、心筋細胞に発現しているPD-L1と、T細胞上のPD-1の結合を阻害することで過剰な免疫応答が生じている可能性が考えられますが、それ以外にもいくつかの機序が推定されており、正確なメカニズムは明らかになっていません。irAE心筋炎の診断心筋炎に特異的な症状はなく、軽微な検査値異常のみで自覚症状をまったく認めないものから、劇症型心筋炎に進行して急変する症例まで多岐にわたります。有害事象の重症度は有害事象共通用語規準(CTCAE :Common Terminology Criteria for Adverse Events) ver. 5.0に基づいてGrade 1~5に分類されています(表2)。(表2)CTCAEによる心毒性の評価画像を拡大するICI投与中には、定期的にバイオマーカー(トロポニン、BNP)、心電図、心臓超音波検査のチェックが必要です。心筋炎の発症はICI開始3ヵ月以内が多いと言われていますので、投与初期にはとくに注意する必要があります。心筋炎を発症した症例のうち、9割以上にトロポニン上昇を認めますが、約半数では左室収縮能が正常であったという報告もあり3)、心臓超音波検査はあくまで補助的な診断ツールです。現時点では心筋生検が診断のゴールドスタンダードであり、病理組織学的にCD8陽性細胞障害性T細胞(キラーT細胞)、CD68陽性マクロファージ、CD4陽性ヘルパーT細胞の浸潤が特徴とされています。ただし感度があまり高くなく、またウイルス性心筋炎との鑑別が難しいことも念頭におく必要があります。近年では心臓MRI検査によるガドリニウム遅延造影(LGE)所見やT2-STIR画像が有用とされていますが、心筋生検と同様に偽陰性が存在するため、結果の解釈には注意する必要があります4)。最終的にはこれらの所見を組み合わせて総合的に診断します5)(表3)。(表3)ICI関連心筋炎の診断画像を拡大するirAE心筋炎の治療ICI投与中にトロポニンの上昇や心電図異常が出現した場合(Grade 1)、あるいは軽微な症状の場合(Grade 2)にはICIを休薬します。休薬のみで検査値異常や自覚症状が改善すれば投与再開も考慮しますが、十分なエビデンスがあるわけではありません。息切れなどの症状が増強すれば(Grade 2-3)、ICIを休薬した上でステロイドによる治療が必要です。基本的にはプレドニゾロン1~2mg/kgで治療を行いますが、循環動態が悪化していれば(Grade 4)ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1g/日)を3日間先行します。さらに病態に応じて、心臓ペーシングや機械的な循環動態の補助が必要な症例もあります。ステロイド治療に反応しない場合には、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、インフリキシマブ、アバタセプトなどの免疫抑制剤や免疫グロブリン大量療法が有効であったという報告がありますが、エビデンスに乏しく、わが国では保険適応外です。おわりに2014年に登場したニボルマブは、がん免疫療法のブレークスルーとなり、今後もICIの開発は加速すると思われます。また2019年には患者さん自身のT細胞に遺伝子改変を行い、がん細胞を攻撃するキメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor: CAR)-T細胞療法が血液がんに対して保険承認され、個別化医療への期待が高まっています。近年ではさらなる相乗効果を期待して、ICIと標準治療(手術・化学療法・放射線療法)の併用療法や、2種類のICIによる併用療法も行われています。しかし複数の薬剤を併用することでirAEが増加することが懸念されていますので、循環器内科医とがん治療医の連携が今後益々重要になってくるでしょう。1)Wang DY, et al. JAMA Oncol. 2018;4:1721-1728.2)Salem JE, et al. Lancet Oncol. 2018;19:1579-1589.3)Mahmood SS, et al. J Am Coll Cardiol. 2018;71:1755-1764.4)Zhang L, et al. Eur Heart J. 2020;41;1733-1743.5)Bonaca MP, et al. Circulation. 2019;140:80-91講師紹介

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グルココルチコイド抵抗性の慢性GVHD、ルキソリチニブが有効/NEJM

 中等度~重度グルココルチコイド抵抗性/依存性の慢性移植片対宿主病(GVHD)に対し、JAK1-JAK2阻害薬ルキソリチニブの24週時点の全奏効割合は49.7%と、従来の治療法の25.6%に比べ有意に高率で、治療成功生存期間の中央値も18.6ヵ月vs.5.7ヵ月と大幅に延長し、症状改善の割合も有意に高率(オッズ比[OR]:2.62)だった。ドイツ・フライブルク大学のRobert Zeiser氏らが、329例を対象に行った第III相非盲検無作為化試験の結果、明らかにされた。安全性については、ルキソリチニブ群で血小板減少と貧血の発現頻度が高率だった。慢性GVHDは同種造血幹細胞移植の主要な合併症で、患者の約50%でグルココルチコイド抵抗性/依存性を示す。これまでに、慢性GVHDの2次治療を評価した第III相無作為化試験の確固たるデータは不足しているが、後ろ向きサーベイで、同患者に対してルキソリチニブが有効である可能性が示されていた。NEJM誌2021年7月15日号掲載の報告。 24週時点の全奏効、治療成功生存期間、修正Lee症状尺度スコアなどを比較 研究グループは、中等度~重度グルココルチコイド抵抗性/依存性の慢性GVHDを有する12歳以上の患者を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはルキソリチニブ(10mg、1日2回)を、もう一方には、10通りの一般的治療選択肢のリストから、担当医の判断で利用可能な最善の治療が行われた(対照群)。 主要エンドポイントは、24週時点の全奏効(完全奏効・部分奏効)だった。主な副次エンドポイントは、治療成功生存期間と、24週時点の修正Lee症状尺度スコアの改善だった。いずれのエンドポイントも、ルキソリチニブ群で大幅に改善 被験者総数は329例で、ルキソリチニブ群165例、対照群164例だった。 24週時点の全奏効割合は、対照群25.6%に対し、ルキソリチニブ群は49.7%に上った(OR:2.99、p<0.001)。治療成功生存期間の中央値についても、対照群5.7ヵ月に対し、ルキソリチニブ群は18.6ヵ月超と、有意に延長した(ハザード比[HR]:0.37、p<0.001)。症状改善の割合は、それぞれ11.0%、24.2%とルキソリチニブ群で有意に高率だった(OR:2.62、p=0.001)。 24週目までにみられたGrade3以上の有害事象で発現頻度が10%以上だったのは、血小板減少(ルキソリチニブ群:15.2%、対照群:10.1%)と、貧血(12.7%、7.6%)だった。サイトメガロウイルス感染の発生率と再活性化率は、両群で同程度だった。

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HSCT患者、ワクチン2回目接種後に高い免疫応答示す

 造血幹細胞移植(HSCT)を受けた患者のCOVID-19感染症の予後は不良であるとの報告がある1),2)。318例のHSCT患者(同種造血幹細胞移植184例、自家造血幹細胞移植134例)を対象とした大規模多施設試験におけるCOVID-19感染診断後30日時点での全生存率は、同種造血幹細胞移植68%(95%CI:58~77)、自家造血幹細胞移植67%(55~78)と厳しい結果だった3)。免疫不全患者はmRNAワクチンの初期の治験からから除外されていたため、この集団におけるワクチンの有効性を評価する必要がある。Lancet誌2021年7月24日号CORRESPONDENCEに掲載。 対象は、同種造血幹細胞移植を受けてから中央値23ヵ月(範囲:3~213[IQR:9~30])後にBNT162b2(ファイザー製)の2回接種(4週間隔)を受けた88例。2回目接種から中央値28日(IQR:26~31)後の免疫原性を、スパイクタンパク質に対するヒト抗体(IgG[S-RBD])で評価した。69例(78%)が評価可能で、3例は検出されたが評価できず、16例は検出されなかった。また、88例中7例にSARS-CoV-2感染歴があった。 ワクチン効果の代替指標として、IgG価4,160AU/mL以上または未満でサンプルを層別化した。この閾値以上(n=52)と未満(n=36)の特徴を比較したところ、閾値以上は、同種造血幹細胞移植からワクチン接種までの期間が12ヵ月以上であること、ワクチン接種時の末梢血の絶対的リンパ球数が1,000/μL以上であることが相関していた。 一方、ワクチン接種後3ヵ月以内に全身性免疫抑制剤を投与された患者は、IgG価が閾値以下であった。ワクチン接種後3ヵ月以内に全身性免疫抑制剤を投与されたことと、末梢血のリンパ球数が1,000/μL未満であったことは、多変量解析においてもIgG価の低さと相関関係があったが、同種造血幹細胞移植からワクチン接種までの期間には相関関係を見出せなかった。初回接種後の追跡調査期間中央値は84日(範囲:44~121[IQR:65~110])で、このコホートにおいてCOVID-19の感染は観察されなかった。 今回、初めて同種造血幹細胞移植患者を対象に2回のワクチン接種後の免疫原性を評価したところ、全体的に頻繁かつ高レベルの液性応答が観察された。これは長期間の薬理的免疫抑制を受けている固形臓器移植患者における最近の観察結果とは対照的だった4)。今回の結果は、同種造血幹細胞移植を受けた患者への大規模なワクチン接種を支持するものだが、感染に対する免疫学的保護のレベルを明らかにするためには、さらに多施設共同の長期研究が必要であり、免疫応答の低い患者に対する3回目のワクチン接種の効果を検討することも考慮に入れる必要がある。

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がん化療中の副作用、遠隔モニタリングで症状負荷減少/BMJ

 Advanced Symptom Management System(ASyMS)を用いたがん治療中の遠隔モニタリングにより、症状の負担が有意に減少することが示された。英国・ストラスクライド大学のRoma Maguire氏が、オーストリア、ギリシャ、ノルウェー、アイルランドおよび英国のがんセンター12施設で実施した無作為化評価者盲検比較試験「eSMART試験」の結果を報告した。ASyMSは、携帯電話を用い化学療法の毒性を24時間体制でリアルタイムにモニタリングし管理するシステムである。著者は、「効果量は“中(medium)”(Cohen's d=0.5)であったことから、ASyMSは臨床的に有効と考えられる。遠隔モニタリングシステムは、将来の医療サービス、とくにCOVID-19のパンデミックで生じる混合医療提供モデルには不可欠である」とまとめている。BMJ誌2021年7月21日号掲載の報告。初回または5年ぶりの化学療法を受けるがん患者829例を無作為化し評価 研究グループは、補助化学療法関連副作用の遠隔モニタリングが、症状の負担やQOLなどに及ぼす影響を評価する目的で、初回または5年ぶりの化学療法を受ける、転移のない乳がん、大腸がん、ホジキン病または非ホジキンリンパ腫患者829例を、ASyMSを用いた治療群(介入群、415例)または標準治療群(対照群、414例)に無作為に割り付け、6サイクルの化学療法を行った。 介入群は、ASyMSを用い、10種類の症状(悪心・嘔吐、下痢、便秘、粘膜炎、知覚異常、手足の痛み、インフルエンザ様症状/感染症、疲労感、痛み)および最大6種類の追加症状を評価する質問票(Daily Chemotherapy Toxicity Self-Assessment Questionnaire: DCTAQ)に記入した。 主要評価項目は症状の負担(Memorial Symptom Assessment Scale:MSASで評価)、副次評価項目はそれぞれの評価スケールによる、健康関連QOL(Functional Assessment of Cancer Therapy-General:FACT-G)、支持療法のニーズ(Supportive Care Needs Survey Short-Form:SCNS-SF34)、不安(State-Trait Anxiety Inventory-Revised:STAI-R)、自己効力感(Communication and Attitudinal Self-Efficacy Scale for Cancer:CASE-Cancer)、および労働遂行能力(Work Limitations Questionnaire:WLQ)であった。ASyMSを用いた副作用の遠隔モニタリングで症状負荷が軽減 症状の負担(MSAS総スコア)は、介入群では化学療法前(ベースライン)と同程度であったが、対照群ではサイクル1以降、増加した。ベースラインからの変化量は、介入群が低かった(補正後平均群間差:-0.15、95%信頼区間[CI]:-0.19~-0.12、p<0.001、Cohen's d=0.5)。MSASのサブドメインについても、介入群では対照群と比較し、全体的苦痛指数(-0.21、-0.27~-0.16、p<0.001)、精神症状(-0.16、-0.23~-0.10、p<0.001)、および身体症状(-0.21、-0.26~-0.17、p<0.001)が有意に低いことが示された。 副次評価項目のベースラインからの変化量については、介入群でFACT-G総スコアは高く(補正後平均群間差:4.06、95%CI:2.65~5.46、p<0.001)、STAI-R特性不安(-1.15、-1.90~-0.41、p=0.003)およびSTAI-R状態不安(-1.13、-2.06~-0.20、p=0.02)は低く、CASE-Cancerスコアは高く(0.81、0.19~1.43、p=0.01)、SCNS-SF34はほとんどのドメイン(性的なニーズ、患者ケアとサポートのニーズ、身体と日常生活のニーズ)が低かった。その他のSCNS-SF34ドメインおよびWLQには有意な差はなかった。 ASyMSの安全性は良好であった。好中球減少症が介入群で高頻度にみられた。

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がん治療の中心静脈アクセスデバイス、完全埋め込み型ポートが有用/Lancet

 固形腫瘍または血液腫瘍患者の全身性抗がん薬治療(SACT)に使用する中心静脈アクセスデバイス(CVAD)では、完全埋め込み型ポート(PORT)はHickmanトンネル型中心静脈カテーテル(Hickman)や末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)と比較して、合併症の頻度がほぼ半減し、QOLや費用対効果も比較的良好である可能性があることが、英国・グラスゴー大学のJonathan G. Moss氏らが実施した「CAVA試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2021年7月20日号に掲載された。3つの2群間比較で非劣性または優越性を評価 研究グループは、悪性腫瘍患者に対するSACTに用いる3つのCVADについて、合併症の発生率や費用、QOLを比較し、受容性、臨床的有効性、費用対効果を評価する目的で、非盲検無作為化対照比較試験を行った(英国国立衛生研究所[NIHR]医療技術評価[HTA]プログラムの助成による)。本試験では、2013年11月~2018年2月の期間に、英国の18の腫瘍科病棟で参加者が募集された。 対象は、年齢18歳以上、固形腫瘍または血液腫瘍の治療で12週以上のSACTが予測され、最適なCVADに関して臨床的に不確実性が認められる患者であった。 被験者は、4つの無作為化の選択肢(Hickman対PICC対PORT[2対2対1]、PICC対Hickman[1対1]、PORT対Hickman[1対1]、PORT対PICC[1対1])に基づいて、3つのCVADに割り付けられた。PICCとHickmanの比較では非劣性(マージン:10%)、PORTとHickmanおよびPORTとPICCの比較では優越性(マージン:15%)の評価が行われた。 主要アウトカムは、デバイスの除去、試験中止、追跡期間1年のうちいずれか先に到達した時点における合併症(デバイス関連の感染症・静脈血栓症・肺塞栓症、静脈血吸引不能、器具の故障など)の発生率とした。医療サービス提供モデルの改変が課題 1,061例が登録され、PICC対Hickmanに424例(PICC群212例、Hickman群212例)、PORT対Hickmanに556例(253例、303例)、PORT対PICCに346例(147例、199例)が割り付けられた(Hickman対PICC対PORTの患者は2つの2群間比較に含まれたため、比較対象の患者の総数は無作為化で割り付けられた患者数よりも多く、1,326例[各群の平均年齢の幅59~62歳、女性の割合の幅44~55%]となった)。 がん種は、固形腫瘍が87~97%で、このうち大腸がんが46~65%、乳がんが11~16%、膵がんが6~15%であり、血液腫瘍は3~13%で、固形腫瘍の患者のうち59~68%に転移病変が認められた。 Hickmanの留置を最も多く行ったのは放射線科医(46~48%)で、次いで看護師(23~35%)、麻酔科医(13~20%)の順であった。PICC留置の多くは看護師(67~73%)によって行われた。PORT留置は、放射線科医(59~78%)、看護師(2~24%)、麻酔科医(10~11%)の順だった。PORT群の5例が全身麻酔下にデバイスを留置されたが、これ以外はすべて局所麻酔下であった。 PICC対Hickmanの合併症発生率は、PICC群が52%(110/212例)、Hickman群は49%(103/212例)と同程度であった。両群間の差は10%未満であったが、PICCのHickmanに対する非劣性は確認されず(オッズ比[OR]:1.15、95%信頼区間[CI]:0.78~1.71)、検出力が不十分である可能性が示唆された。 PORT対Hickmanの合併症発生率は、PORT群が29%(73/253例)と、Hickman群の43%(131/303例)に対して優越性が認められた(OR:0.54、95%CI:0.37~0.77)。また、PORT対PICCでは、PORT群は32%(47/147例)の発生率であり、PICC群の47%(93/199例)に比し優れていた(0.52、0.33~0.83)。 デバイス特異的なQOLは、PICC群とHickman群に差はなく、PORT群はこの2群に比べ良好であった。一方、PICC群はHickman群よりも総費用が低かった(-1,553ポンド)が、留置期間を考慮すると、週当たりの費用の差は小さくなった(-129ポンド)。PORT群はHickman群に比べ総費用(-45ポンド)が低く、週当たりの費用も安価であった(-47ポンド)が、有意差はなかった。また、PORT群はPICC群に比し総費用が実質的に高額であった(+1,665ポンド)が、週当たりの費用は逆に低かった(-41ポンド、有意差はない)。 著者は、「これらの知見により、固形腫瘍でSACTが行われる患者の多くは、英国国民保健サービス(NHS)の範囲内でPORT留置を受けるべきであることが示唆される」とまとめ、「現在の課題は、PORTをより適切な時期に、費用対効果が高い方法で施行できるように、医療サービス提供モデルを改変することである」としている。

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KEYNOTE-204試験 インタビュー

KEYNOTE-204試験 インタビュー出演:災害医療センター 血液内科 関口 直宏氏ペムブロリズマブの、再発・難治性の古典的ホジキンリンパ腫に対する治療効果を検討したKEYNOTE-204試験。本試験の結果はどのような意義を持つのか?また、今後の再発・難治性古典的ホジキンリンパ腫の治療法はどう変わるのか?本試験の中間解析論文の共著者である災害医療センター 血液内科 関口 直宏 氏に聞いた。

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VEGFR-TKIの心毒性、注意すべきは治療開始○ヵ月【見落とさない!がんの心毒性】第4回

第4回はチロシンキナーゼ阻害薬(TKI:Tyrosine Kinase Inhibitor)の心毒性メカニズムと管理法に、草場と森山が解説します。はじめに血管は、酸素や栄養素の供給、炎症部位への細胞輸送など、ヒトのからだにとって必要不可欠な組織です。血管形成は胎生期より始まり、出生後には創傷治癒や月経などの生理的機能、がんや糖尿病などの疾病と深くかかわっています。VEGFR-TKIとは?血管内皮細胞増殖因子VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)のファミリーにはVEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、 胎盤増殖因子(PIGF)-1、PIGF-2があり、これらは細胞表面に発現するVEGF受容体(VEGFR)-1、VEGFR-2、VEGFR-3、 NRP(neuropilin)1、NRP2のチロシンキナーゼ型受容体と結合して、下流のシグナル伝達経路を活性化することにより、血管内皮細胞の増殖・分化・遊走や血管透過性の調整など血管新生において中心的な働きをします(図1)。(図1)VEGFRシグナルとVEGFR-TKI画像を拡大する多くのがんにおいて、VEGFRを介したシグナル伝達経路の活性化は、がんの増殖や進展に促進的に働きます。VEGFRなどのチロシンキナーゼ型受容体のリン酸化を阻害するTKIは「血管新生阻害薬」の一つとして、様々ながんの治療に用いられています。VEGFR-TKIの種類VEGFR-TKI は、主な標的分子であるVEGFR以外にも複数の分子の機能を阻害します。以下に各薬剤の主な標的分子、本邦での適応疾患を(表1)に示します。(表1) VEGFR-TKI の主な標的分子と適応疾患主な心毒性とリスク因子VEGFは、血管拡張作用を有する一酸化窒素とプロスタサイクリンを増加させ、血管収縮作用を有するエンドセリン-1産生を抑制するため、VEGFの機能が阻害されると血圧が上昇すると考えられています1)。そのため、VEGFR-TKIでは高血圧の頻度が高く(15~40%)、治療開始後2ヵ月以内に発症・増悪する場合が多いのが特徴です。また、微小血管の毛細血管床の密度低下や腎臓におけるメサンギウム細胞・内皮細胞障害なども高血圧発症に関与するとされています1)。リスク因子として、高血圧症の既往、NSAIDsやエリスロポエチン製剤との併用が報告されており2)、時に高血圧緊急症に至る場合があるため、適切な治療が必要です。また、心筋障害・心不全(~5%)、血栓塞栓症(0.6~11.5%)、QT延長(0.6~13.4%)などの心血管毒性も見られます3)。がん患者を対象とした研究のメタ解析でもVEGFR-TKIは、心不全、血栓塞栓症のリスク因子と報告されているのです4)5)。そのほか、倦怠感(35~50%)、下痢(30~70%)、手足症候群などの皮膚毒性(15~70%)、肝機能障害(5~50%)の頻度が高いです。管理法予防・治療の基本は、がん治療の効果を維持しながら、毒性のリスクを減らすことを目指します。VEGFR-TKIのみを対象とした心血管毒性の管理法の研究は少なく、特異的な管理法は未確立のため、通常の心血管リスク管理が重要です。高血圧診療の目標は、早期診断と血圧管理であり、リスク因子(高血圧の既往と現在の血圧など)の評価と既存の高血圧の治療は、VEGFR-TKI投与前に開始しましょう。投与開始後は、重篤な合併症を避けるために血圧上昇の早期発見と治療が重要で、通常の高血圧治療と同様に、ACE阻害薬、ARB、ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬が推奨されています6)。VEGFR-TKIはCYP3A4により代謝されるため、CYP3A4阻害作用を有する降圧剤(非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬)との併用は避ける必要があります。心機能の低下した心不全患者では、ACE阻害薬、ARB、β遮断薬を第一選択とします6)また、VEGFR-TKIは下痢の頻度が高く、利尿剤による脱水を助長する危険性もあります。利尿剤には電解質異常、二次性QT延長のリスクがあるため慎重に用います。重症高血圧があらわれた場合は、循環器専門医と連携して、頻繁なモニタリングと治療効果の評価を行うとともに、VEGFR-TKIの休薬・減量・再開について検討しましょう。心不全診療では、心不全症状発現前の心機能低下を早期発見する為に定期的な心エコー評価を行います。がん治療関連心筋障害を合併した場合は循環器専門医と相談しレニン・アンギオテンシン系阻害薬、β遮断薬などを開始します6)。血栓塞栓症診療では、下肢の浮腫やD-dimer上昇などの血栓症を疑う所見が見られた際に下肢静脈エコーで深部静脈血栓症の評価を行い、臨床的に肺塞栓症を疑う場合は胸部造影CTを行います。静脈血栓塞栓症の診断に至った際は、症例ごとに出血・血栓症のリスクを評価して抗凝固療法の適応を判断します。腎機能正常例では、ワルファリンよりも出血リスクが低い直接経口抗凝固薬(DOAC)が推奨されます6)。心不全や血栓塞栓症の症例において、がん治療を休止・中止すべきかどうかはがん治療医と循環器専門医が連携して判断する必要があります。おわりに近年、悪性腫瘍の領域において、精力的な薬剤開発と良好な抗腫瘍効果から、VEGFR-TKIはがん治療に広く用いられるようになってきました。それに伴い、心血管毒性の管理の重要性が増しており、がん治療医と循環器専門医との緊密な連携がより重要になっているのです。1)Li W, et al. J Am Coll Cardiol. 2015;66:1160-1178. 2)Robinson ES ,et al . Semin Nephrol. 2010;30:591-601.3)日本腫瘍循環器学会編集委員会編. 腫瘍循環器診療ハンドブック. メジカルビュー社;2020.4)Ghatalia P, et al. Crit Rev Oncol Hematol. 2015;94:228 -237.5)Abdel-Qadir H, et al. Cancer Treat Rev. 2017;53:120-127.6)Zamorano JL, et al. Eur Heart J. 2016;37:2768-2801.講師紹介

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温水洗浄便座が院内感染を媒介する可能性?

 いまや、日本の世帯の8割超が使用していると見られる温水洗浄便座。患者の清潔にも有用であるため、医療機関でも多く導入されているが、便座のウォータージェットノズルを介して多剤耐性菌が院内感染を広がるリスクを示唆する新たな研究結果が明らかになった。東京医科大学病院感染制御部・感染症科准教授の中村 造氏らの研究チームが、今月、オンライン開催された第31回欧州臨床微生物学・感染症学会(ECCMID)で報告した。著者らは、「温水洗浄便座に関連した院内感染の報告は初めてで、感染制御に大きな影響を与える可能性がある」と述べている。 研究グループは、2020年9月~2021年1月、東京医科大学病院の血液病棟のトイレに設置された温水洗浄便座のウォータージェットノズルから検体を採取し、多剤耐性菌の有無を調べた。このトイレは、重症敗血症患者を含む多剤耐性緑膿菌(multidrug-resistant P. aeruginosa:MDRP)感染患者3例が使用していた。研究では、DNAフィンガープリント法により、3例が保有するMDRP株とノズルから採取されたMDRP株が一致するかどうかを調べた。MDRP株は、イミペネム、メロペネム、アミカシン、シプロフロキサシンなど、少なくとも2種類の抗菌薬に耐性を示すものと定義した。 その結果、患者の検体とノズルから採取した検体の株が一致し、いずれの検体も緑膿菌ST235クローンが優勢であった。 著者らは、単一の病院病棟における小規模研究であり、遺伝子解析では、患者からノズルへ移行した菌なのか、あるいはその逆なのかは判別できないなど、いくつかの研究の限界があるとしながらも、「本研究は、MDRPが患者集団内で伝染しており、汚染された温水洗浄便座のノズルを介して院内感染が広がる可能性があることを強く示唆するものである」と指摘。その一方、「徹底した手洗いや環境浄化で院内の衛生状態を良好にすることで、患者の免疫が低下していても感染制御は可能だ」と述べている。

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タゼメトスタット、EZH2変異陽性の濾胞性リンパ腫に国内承認/エーザイ

 エーザイは、2021年6月23日、EZH2阻害薬タゼメトスタット(製品名:タズベリク)について、再発又は難治性のEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫(標準的な治療が困難な場合に限る)の効能効果で日本における製造販売承認を取得したと発表。 本承認は、同社が国内で実施した多施設共同非盲検単群臨床第II相試験(206試験)およびEpizyme社が海外で実施した臨床試験の結果などに基づいたもの。EZH2阻害薬タゼメトスタットの奏効率は76.5% 206試験では、前治療後に再発・増悪したEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫(FL)患者などが登録された。同試験でのFL17例の独立判定によるEZH2阻害薬タゼメトスタットの奏効率(ORR)は76.5%。事前に設定した閾値ORRを統計学的に有意に上回り、主要評価項目を達成した。また、発現率25%以上の有害事象は、味覚異常(52.9%)、上咽頭炎(35.3%)、リンパ球減少症(29.4%)および血中クレアチンホスホキナーゼ増加(29.4%)であった。 FLは非ホジキンリンパ腫の10~20%を占め、一般的に進展が緩徐で、化学療法の感受性は良好である。しかし、再発を繰り返すため、治癒が困難な疾患であることから、新たな治療戦略が求められている。FLの中で、EZH2遺伝子変異を有する症例は7~27%で、日本では約600~2,400例と推定される。 EZH2阻害薬タゼメトスタットのコンパニオン診断薬としてロシュ・ダイアグノスティックスの「コバス EZH2 変異検出キット」が承認されている。また、投与全患者を対象とした特定使用成績調査(全例調査)が行われる。

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第68回 3回目接種に温度差

Pfizer/BioNTechの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンBNT162b2の2回接種が済んで2週間か4週後の人の血清は世界で優勢になりつつあるデルタ変異株(B.1.617.2株)を確かに阻止する1)ものの、最近発表されたイスラエルの状況2)でも示されているように接種が済んでから半年後の感染や発症の予防効果に陰りが認められます。そこで両社はBNT162b2の3回目接種の試験を実施しており、そのさしあたりのデータで非変異SARS-CoV-2やベータ変異株を阻止する抗体反応の上昇が確認されています。3回目接種後の抗体反応は2回接種後を5~10倍上回りました3)。BNT162b2の3回目接種はデルタ変異株への抗体反応も同様に引き上げるとPfizer/BioNTechは予想しており、米国FDAや欧州医薬品庁(EMA)などに3回目接種が間もなく認可申請されます4)。世界に先駆けてSARS-CoV-2ワクチン接種を始めたイスラエルは3回目接種の導入も早く、総人口930万人の6割超の約570万人が少なくとも1回目接種を済ませている同国はPfizer/BioNTechの申請を待つことなくすでに3回目接種の提供を開始しています5)。ただし、3回目接種の対象は2回目接種済みの全員ではなく免疫系が損なわれている成人に限られます。他の国と同様にデルタ変異株が優勢になりつつあるイスラエルでは一桁台だった1日の新たな感染数がここ1ヵ月で450人ほどに増えており、7月7日時点で46人が重症で入院しています6)。Reutersのニュース5)によるとそれら重症者の約半数はワクチン接種済みであり、ほとんどはリスク因子を有していました。限定的とはいえ3回目接種を早速開始したイスラエルとは対照的に米国は3回目接種をいまのところ不要と考えています。米国疾病予防管理センター(CDC)とFDAの先週8日の発表7)によると目当ての回数を接種済みの人は重症化や死亡を免れています。デルタやその他の変異株による重症化や死亡も例外ではなく防げており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院や死亡しているのは今やほぼすべてワクチン非接種の人です(第67回参照)。ワクチンがまだの人は自分や周りの人を守るために接種することをCDCやFDAは改めて要請しています。世界保健機関(WHO)も米国と同様に追加接種はいまだ検討中であっていまのところ支持していません8)。予防効果の維持に追加接種が必要かどうかは不明であり、その判断には更なる情報が必要と考えています。米国もWHOと同様に追加接種について引き続き検討し、いざ必要になったときのための準備をしておくとCDCやFDAは言っています。WHOや米国とは裏腹にPfizer/BioNTechの腹は決まっています。発症予防効果が時を経るにつれて落ちていくことや変異株がこれからも新たに発生し続けるであろうことなどを踏まえると 2回目接種が済んでから半年~1年以内に3回目接種をして高水準の予防効果を維持する必要があるだろうとしており3)、Pfizerは追加接種について米国時間の月曜日12日にFDAと話し合う約束を取り付けています9)。Pfizer/BioNTechは3回目接種の先も見据え、デルタ変異株のスパイクタンパク質を標的とするmRNAワクチンの開発も進めています。その臨床試験は来月8月に始まる予定であり、投与用のmRNAはすでに製造済みです3)。参考1)Liu J,et al.Nature. 2021 Jun 10. [Epub ahead of print]2)Decline in Vaccine Effectiveness Against Infection and Symptomatic Illness3)Pfizer and BioNTech Provide Update on Booster Program in Light of the Delta-Variant / Pfizer/BioNTech4)Pfizer, BioNTech to seek authorization for COVID booster shot as Delta variant spreads / Reuters5)Israel offers third shot of Pfizer COVID-19 vaccine to adults at risk / Reuters6)Clarification Regarding the Number of Critical Cases / gov.il7)Joint CDC and FDA Statement on Vaccine Boosters /CDC8)Question open on need for COVID booster shot, data awaited, WHO says / Reuters9)Pfizer, U.S. health officials to discuss COVID boosters on Monday -company / Reuters

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再発・難治性多発性骨髄腫、BCMA標的CAR-T細胞療法の奏効率97%/Lancet

 多くの前治療歴のある再発・難治性の多発性骨髄腫に対し、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的としたCAR-T細胞療法ciltacabtagene autoleucel(cilta-cel)の単回投与は、速やかに深くそして持続的な奏効をもたらすことが示された。全奏効率は97%、12ヵ月無増悪生存は77%だった。米国・Sarah Cannon Research InstituteのJesus G. Berdeja氏らが、97例の患者を対象に行った第Ib/II相の単群非盲検試験「CARTITUDE-1試験」の結果で、著者は「cilta-celは、再発・難治性の多発性骨髄腫の実行可能な治療選択肢となりうるだろう」と述べるとともに、今回の試験データは基礎資料の1つとして規制当局へ提出したことを明らかにしている。Lancet誌オンライン版2021年6月24日号掲載の報告。リンパ球除去療法の5~7日後に、cilta-celを単回投与 CARTITUDE-1試験はcilta-celの安全性と臨床的活性を評価することを目的に、2018年7月16日~2019年10月7日に、米国16ヵ所の医療センターで患者を登録して行われた。適格被験者は、多発性骨髄腫でECOG(米国東海岸がん臨床試験グループ)PSが0/1で、3レジメン以上の前治療歴またはプロテアソーム阻害薬と免疫調節薬の両方に抵抗性を示し、プロテアソーム阻害薬と免疫調節薬、抗CD38抗体の服用歴のある18歳以上とした。 被験者は、リンパ球除去療法の5~7日後に、cilta-cel(標的用量:CAR-T細胞0.75×106個/kg)を単回投与した。 主要評価項目は、安全性および第II相試験での推奨用量の確認(第Ib相試験)、全奏効率(第II相試験)だった。副次評価項目は、奏効期間および無増悪生存だった。CAR-T細胞神経毒性は21%で発生、Grade3/4は9% 被験者113例が登録され、97例(第Ib相で29例、第II相で68例)が第II相推奨用量を投与された。 2020年9月1日(臨床的カットオフ日)時点における追跡期間中央値は12.4ヵ月(IQR:10.6~15.2)、97例の前治療歴レジメン数中央値は6だった。 全奏効率は97%(95%信頼区間[CI]:91.2~99.4、94/97例)で、厳格な完全奏効を達成したのは65例(67%)だった。最初の奏効までの期間中央値は1ヵ月(IQR:0.9~1.0)で、奏効は時間の経過とともに深まった。 12ヵ月無増悪生存は77%(95%CI:66.0~84.3)、全生存率は89%(80.2~93.5)だった。 血液学的有害事象の発現頻度は高く、Grade3/4の同イベントとして好中球減少症(95%)、貧血(68%)、白血球減少症(61%)、血小板減少症(60%)、リンパ球減少症(50%)が報告された。 サイトカイン放出症候群の発生率は95%(うちGrade3/4は4%)、発症までの期間中央値は7.0日(IQR:5~8)、発症期間中央値は4.0日(3~6)だった。同発症者のうち1例はGrade5で血球貪食性リンパ組織球症を発症したが、それ以外は全員軽快した。CAR-T細胞神経毒性の発生は21%だった(うちGrade3/4は9%)。本試験における死亡は14例で、うち6例が治療関連有害事象によるもの、5例が病勢進行によるもの、3例が治療とは関連しない有害事象によるものだった。

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第67回 がん患者にmRNAワクチン有効/米国のCOVID-19死亡例の接種状況/ワクチン開発に役立つ発見

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの効果を裏付ける2つの報告と次世代のCOVID-19ワクチン開発で参考になりそうな研究成果を紹介します。がん患者の94%がCOVID-19のmRNAワクチンに応答Pfizer/BioNTech社やModerna社のmRNAワクチン・BNT162b2やmRNA-1273が投与されたがん患者のほとんどが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への抗体を幸いにも発現しました1)。2回目の接種を済ませたがん患者123人中116人(94%)にSARS-CoV-2への抗体が認められました。ただし、先立つ6ヵ月間に抗CD20抗体リツキシマブ治療経験がある4人にはSARS-CoV-2への抗体が認められませんでした。また、骨髄腫やホジキンリンパ腫などの血液がん患者の抗体発現率は77%であり、固形がん患者の98%に比べて低めでした。血液がん患者は抗体活性も低めでした。今後の課題として、そのような不安要素がある患者へのがん治療後の3回目の接種の検討などが必要です2)。米国では今やワクチン接種済みのCOVID-19死亡例は1%に満たないAP通信社が米国疾病予防管理センター(CDC)の5月のデータを独自に調べた結果によると同国のCOVID-19死亡のほぼすべてはワクチン接種が済んでいない人でした3)。5月のおよそ11万のCOVID-19入院患者にワクチン接種が済んだ人はほとんどおらず僅か約1.1%の1,200人足らずでした。また、5月にCOVID-19で死亡した1万8,000人超にもワクチン接種が済んでいる人はほとんどおらず1%にも満たない(およそ0.8%)約150人のみでした。好中球の投網でCOVID-19を一網打尽?Pfizer/BioNTechのmRNAワクチン接種でも発現4)しうることが知られるIgA抗体は粘膜表面に豊富でウイルス病原体の防御で重要な役割を担います。IgA抗体はウイルスに直接取り付いて細胞感染を阻止することに加え、免疫細胞表面にあるFc受容体と協力して抗菌活性を促しうることが知られています。Fc受容体を介したIgA抗体のウイルス感染への作用はこれまでよく分かっていませんでしたが、PNAS誌に掲載された新たな研究の結果5)、IgA抗体-ウイルス複合体は好中球のFc受容体に結びついてクモの巣状の仕掛け・NET(好中球細胞外トラップ)を投網の如く好中球に分泌させると分かりました。好中球が破裂(NETosis)して放たれるNETはウイルスを捉えて不活性化することも確認され、その抗ウイルス機能が裏付けられました。他の免疫活性がそうであるようにNETは有益である一方で行き過ぎると害をもたらします。IgA抗体が感染前に豊富に備わっていればNETは感染防御を担うでしょう。しかし感染でIgA抗体がたくさん作られてしまうとNETは炎症を引き起こしてむしろ病状を悪化させてしまう恐れがあります6)。SARS-CoV-2やインフルエンザウイルスなどに対抗するIgA抗体をあらかじめ備えておくための次世代のワクチン開発に今回の成果は参考になるでしょう。参考1)Addeo A, et al.Cancer Cell. 2021 Jun 18:S1535-6108,00330-5.2)94% of patients with cancer respond well to COVID-19 vaccines / Eurekalert3)Nearly all COVID deaths in US are now among unvaccinated / AP4)Turner JS, et al.Nature. 2021 Jun 28. [Epub ahead of print]5)Stacey HD, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2021 Jul 6;118.6)Researchers discover unique 'spider web' mechanism that traps, kills viruses / Eurekalert

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ASCO2021 レポート 血液腫瘍

レポーター紹介ASCOの年次総会は毎年6月に米国・シカゴで開催されてきましたが、COVID-19の影響で、昨年のASCO 2020は初のWEB開催となりました。本年のASCO 2021も引き続きWEB開催でした。血液内科を専門領域としている私は、6月の同時期に欧州血液学会(EHA)や国際悪性リンパ腫会議(ICML)が開催されるため、それらの学会に参加することが多く、これまでASCOの会員ではあるもののASCOには参加したことがありませんでした。しかし、ASCO 2020がWEB開催となったため、昨年、初めてASCOに参加しました(WEBでの聴講参加を行いました)。そこで感じたのは、ASCOでは種々のがんに対する最新の臨床試験の結果の中でも、クオリティーが高く、今後の治療体系を変えていくような大規模臨床試験の結果や、新規の治療薬の第I/II相試験の結果が発表されているということでした。私の専門領域の血液腫瘍領域からの採択演題数はそう多くなかったのですが、逆に、そこで発表される演題は注目度の高いものばかりでありました。今年のASCO 2021もCOVID-19の影響でWEB開催されることとなったため、米国まで行かずに通常の病院業務をしながら、業務の合間に時差も気にせず、オンデマンドで注目演題を聴講したり発表スライドを閲覧したりすることができました。それらの演題の中から10演題を選んで、発表内容をレポートしたいと思います。血液腫瘍領域でOralやPoster Discussionに選ばれているAbstractを見ますと、その多くが、分子標的薬や抗体薬による治療や、あるいはCAR-T細胞治療の臨床試験の結果でした。最近のトレンドであるChemo-freeレジメンによる治療にシフトしていっていることを強く感じました。以下に、白血病関連3演題、悪性リンパ腫(慢性リンパ性白血病含む)関連4演題、多発性骨髄腫関連3演題を紹介します。白血病関連Combination of ponatinib and blinatumomab in Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia: Early results from a phase II study. (Abstract #195835)初発および再発・難治のフィラデルフィア染色体陽性ALLおよびCMLのALL転化(CML-LBC)に対する、ポナチニブとブリナツモマブ併用による治療の第II相試験の結果が報告された。ポナチニブは30mg内服、ブリナツモマブは持続点滴による通常の投与法であった。初発患者20例、再発・難治患者10例、CML-LBC患者5例が対象となった。CR/CRp率は、全体で96%(初発:100%、再発・難治:89%、CML-LBC:100%)であり、CMR(完全分子寛解)も全体で79%であった。また、初発の患者のうち19例は同種移植を受けず生存中であった。フォローアップ期間の中央値12ヵ月時点で、1年OSは93%、1年EFSは76%であり、初発の患者に限ると1年OS、EFSはともに93%であった。本Chemo-freeレジメンは、とくに初発Ph陽性ALL患者に対し、非常に有望な治療法であると思われた。OPTIC primary analysis: A dose-optimization study of 3 starting doses of ponatinib (PON). (Abstract #195828)ポナチニブは、第3世代のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であり、第2世代TKIに抵抗性/不耐容となったCML患者、あるいはT315I変異を有するCML患者に対し、有効性を示す。しかし、心血管障害の副作用が問題となり、至適な投与量については、議論の余地があった。本試験では、2種類以上のTKIに抵抗性/不耐容となった、あるいはT315I変異を有するCML-CP患者283例を3群に分け、45mg、30mg、15mgの量で開始し、45mg、30mgの群はIS-PCRが1%以下となった時点で15mgに減量するという投与法を比較している。主要評価項目の12ヵ月時点でのIS-PCR 1%以下の達成率は、45mg開始群が最も高かった。とくにT315I変異を認める症例には明らかな差を認めている。心血管の副作用の割合も45mg開始群でやや多かったが、有効性と安全性の差を比較すると45mg開始群の優位性が示された。45mgから開始し、効果に応じて減量する治療法は有用と思われた。Effect of olutasidenib (FT-2102) on complete remissions in patients with relapsed/refractory (R/R) mIDH1 acute myeloid leukemia (AML): Results from a planned interim analysis of a phase 2 clinical trial. (Abstract #195811)変異IDH1の選択的阻害薬のolutasidenib単剤による、再発・難治のIDH1変異を有するAML患者に対する第II相試験の結果が報告されている。153例の患者が本試験に参加している。olutasidenib 150mgを1日2回内服する治療である。治療期間の中央値は4.7ヵ月で、43例が治療継続中であり、110例が治療中止した(主な中止理由は、病勢進行:31%、副作用:14%、死亡:10%、移植:8%であった)。有効性の評価可能例123例において、主要評価項目のCR+CRhは33%であった。CR+CRhの患者では、治療奏効期間の中央値は未達であり、18ヵ月時点のOSは87%であった。G3/4の副作用は主に血球減少であり、IDH1分化症候群は14%にみられた。olutasidenibはIDH1変異を有する再発・難治AMLに対し、有効と思われる薬剤である。悪性リンパ腫(慢性リンパ性白血病含む)関連First results of a head-to-head trial of acalabrutinib versus ibrutinib in previously treated chronic lymphocytic leukemia. (Abstract #201554)再発・難治性CLL(del(17p)かdel(11q)の異常を有する症例のみ)に対するBTK阻害薬のイブルチニブとアカラブルチニブのHead to headの比較試験(ELEVATE-RR試験)の結果が報告された。有効性については、PFSの中央値が両者とも38.4ヵ月で差を認めず、安全性については、心房細動の頻度が有意にアカラブルチニブで少ないという結果であった。さらに、高血圧、関節痛、出血、下痢の副作用もアカラブルチニブで少なく、一方、頭痛と咳はアカラブルチニブで多かった。副作用中止の割合は、イブルチニブで21.3%に対して、アカラブルチニブでは14.7%と少なかった。本試験の結果、OFF-ターゲット効果の少ないアカラブルチニブはイブルチニブと比較して、有効性は変わらず、副作用が少ないことが示された。Fixed-duration (FD) first-line treatment (tx) with ibrutinib (I) plus venetoclax (V) for chronic lymphocytic leukemia (CLL)/small lymphocytic lymphoma (SLL): Primary analysis of the FD cohort of the phase 2 captivate study. (Abstract #201560)初発CLL患者に、イブルチニブとベネトクラクスを併用したCAPTIVATE試験(第II相)の結果が示された。イブルチニブ420mgを3サイクル投与した後、ベネトクラクスを400mgまで増量し、12サイクル併用している。159例の患者が参加し、主要評価項目はdel(17p)を有さない患者のCR率であった。ハイリスク症例は、del(17p)/TP53変異:17%、del(11q):18%、複雑核型:19%、IGHV未変異:56%であった。92%の患者が予定治療を完遂できた。del(17p)を有さない患者のCR率は56%(95%CI:48~64%)であった。ハイリスク症例でも同様であった。MRD陰性は、末梢血で77%、骨髄で60%にみられた。腫瘍崩壊症候群は1例も認められなかった。初発CLLに対し、イブルチニブとベネトクラクスによる固定期間の治療も1つの有望な治療選択肢となりうる。Efficacy and safety of tisagenlecleucel (Tisa-cel) in adult patients (Pts) with relapsed/refractory follicular lymphoma (r/r FL): Primary analysis of the phase 2 Elara trial. (Abstract #196296)再発・難治の濾胞性リンパ腫(R/R FL)に対するtisa-cel(商品名:キムリア)の効果をみたELARA試験(第II相)の結果が報告された。2レジメン以上の前治療歴のあるR/R FL患者98例がエントリーされ、97例にキムリアが投与されている。本試験の対象となった患者の年齢中央値は57歳、60%がFLIPI 3点以上、65%がBulky massを有しており、前治療のレジメン数の中央値は4レジメン(2-13)であった。78%の患者が最終治療に抵抗性があり、60%の患者が抗CD20抗体を含む最初の治療から2年以内に再発(POD24に該当)していた。このような患者コホートに対し、CR率は66%、全奏効率は86%であった。6ヵ月時点のPFSは76%であった。G3/4の有害事象は76%にみられ、CRSは49%(G3以上は0%)にみられた。R/R FLに対する3レジメン以降の治療として、キムリアは1つの選択肢となりうることが示された。The combination of venetoclax, lenalidomide, and rituximab in patients with newly diagnosed mantle cell lymphoma induces high response rates and MRD undetectability. (Abstract #201563)初発マントル細胞リンパ腫に対するリツキシマブ、レナリドミド(R2)に、ベネトクラクス(Ven)を併用した治療の第Ib相試験の結果が報告された。レナリドミドは20mgをDay1~21に服用し、ベネトクラクスはサイクル1(C1)Day8から開始し、4週間かけて400mgまで増量する。リツキシマブは、C1では毎週投与し、以降は8週ごとに投与した。12サイクル、寛解導入治療を行った後は、維持療法として、レナリドミド10mgを24ヵ月間、ベネトクラクスを12ヵ月間、リツキシマブを36ヵ月間、投与する予定である。DLT評価期間は、C1D8から42日間とされた。28例が試験に参加し、全例、ベネトクラクスを400mgまで増量できた。DLTは認められなかった。治療開始後3ヵ月時点のORRは96%、CR/CRuは67%、MRD陰性は63%であり、Chemo-freeレジメンのR2+Venは、安全性に問題なく、有効性が期待できるレジメンの可能性が示された。多発性骨髄腫関連Carfilzomib-based induction/consolidation with or without autologous transplant (ASCT) followed by lenalidomide (R) or carfilzomib-lenalidomide (KR) maintenance: Efficacy in high-risk patients. (Abstract #196624)初発多発性骨髄腫(MM)患者に対し、KRD(4サイクル)+Auto+KRD(4)とKCD(4)+Auto+KCD(4)、KRD(12)(Autoなし)の寛解導入療法を比較し、さらにその後、維持療法をKR vs.R単剤で比較するFORTE試験のハイリスク染色体異常の有無での解析結果が報告されている。標準リスク、ハイリスクともに、KRD+Auto+KRDによる寛解導入治療が、KCD+Auto+KCD、KRD(12)より有意に治療成績が良いことが示された。ただし、1q増幅(amp(1q))の患者の予後はすべての治療で最も悪かった。また、維持療法についても、KRがR単剤と比較し、標準リスク、ハイリスクともに、有意にPFSを延長したが、1q増幅では差がなく、最も短かった。ハイリスク患者のKRD+Autoの4年PFSは62%であり、KRによる維持療法の3年PFS(維持療法開始後)は69%であった。KRD+Auto+KRD→KR維持療法は、ハイリスク染色体異常を有するMM患者に対する1つの治療戦略と考えられた。Daratumumab (DARA) maintenance or observation (OBS) after treatment with bortezomib, thalidomide and dexamethasone (VTd) with or without DARA and autologous stem cell transplant (ASCT) in patients (pts) with newly diagnosed multiple myeloma (NDMM): CASSIOPEIA Part 2. (Abstract #195428)移植適応の初発MM患者に対するDara-VTDとVTDを比較したCASSIOPEIA試験のパート2部分の、Daraによる維持療法の意義を検証した中間解析結果が報告されている。寛解導入治療でPR以上が得られた患者を対象に、Dara投与群(8週に1回の投与、最長2年間)と無治療群にランダム化されている。886例が、Dara群442例と無治療群444例に分けられ、PDとなるまでDaraの投与は行われた。全体では、有意に(HR:0.53、95%CI:0.42~0.68)Dara維持療法群でPFSの延長がみられているが、Dara-VTDによる寛解導入が行われた患者では、Dara維持療法によるPFSの延長はみられなかった。Dara-VTDによる寛解導入が行われた患者でのDara維持療法の意義については、観察期間を延長し、PFS2やOSの評価が必要であると思われる。Updated phase 1 results of teclistamab, a B-cell maturation antigen (BCMA) × CD3 bispecific antibody, in relapsed/refractory multiple myeloma (MM). (Abstract #195433)CD3とBCMAに対するバイスペシフィック抗体(バイト抗体)薬のteclistamabの再発・難治MM患者に対する第I相試験の結果が報告されている。この試験では、投与量および投与方法が検討され、第II相試験の推奨用量が、1,500μg/kgの週1回の皮下注投与に決定されている。また、本投与量・投与法で治療を受けた40例は、前治療のレジメン数の中央値が5レジメン(2-11であり、トリプルクラス抵抗性が83%、5薬抵抗性が35%)のHeavily treated患者であった。全奏効率は65%(58%がVGPR以上、40%がCR以上)であった。有害事象は、CRSが70%(G3以上は0)、G3/4の好中球減少が40%、神経毒は1例のみ(G1で自然軽快)であった。既存の治療に抵抗性のMM患者に対する新たな治療薬として期待される結果であったと思われる。おわりに以上、ASCO2021で発表された血液腫瘍領域の演題の中から10演題を紹介しました。どの演題も今後の治療を変えていくような結果であるように思いました。来年以降、ASCOが現地開催となると、私は6月にASCOに参加することは難しくなります。できれば、COVID-19が収束しても、現地開催に加えてWEB開催を継続してもらいたいと思いました。

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マントル細胞リンパ腫1次治療、ベネトクラクス+レナリドミド+リツキシマブが有望/ASCO2021

 未治療のマントル細胞リンパ腫(MCL)患者に対し、レナリドミド+リツキシマブ(R2療法)とベネトクラクスの併用は、用量制限毒性(DLT)を認めず忍容性は良好で、高リスク患者の治療に有望であることが示された。米国・ミシガン大学 Rogel Cancer CenterのTycel Jovelle Phillips氏が、第Ib相試験の中間解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。・対象:未治療MCL成人患者(ECOG PS 0~2)28例・介入:[導入期](1サイクルを28日間として、12サイクル)ベネトクラクス(1サイクル目は50mgから200mgに漸増、2サイクル目以降は400m/日)+レナリドミド(1サイクル目は10mgから20mgに禅僧、2~12サイクルは20mg/日をDay 1~21に投与)+リツキシマブ(1サイクル目375mg/m2/日Day 1、8、15、22、その後は偶数サイクルのDay 1投与)。[維持期](3年間)ベネトクラクス(400mg/日を最低12ヵ月間)+レナリドミド(10mg/日または導入期最終投与量の半量を24ヵ月)+リツキシマブ(375mg/m2/を日8週間ごと36ヵ月投与)※導入期に完全奏効(CR)、MRD陰性を認めた患者、非病勢進行(PD)患者、移植不適格/拒否患者は維持期へ移行。・評価項目:[主要評価項目]1サイクル目のDay 8から42日間におけるDLT[副次評価項目]CR(CR/不完全奏効[CRu])、奏効率(ORR)(CR/CRu+部分奏効[PR]) 主な結果は以下のとおり。・30例が登録され、28例が治療を受けた。28例中、23例(82%)が治療継続中(導入期5例、維持期18例)、3例(11%)はPDで中止、2例(7%)は他の医学的問題のために中止となった。・28例の患者背景は、男性18例(64%)、女性10例(36%)、年齢中央値65歳、全例Ann Arbor StageIIIまたはIVで、MCL国際予後指数(MIPI)スコアは中間リスク群が10例(6%)、高リスク群が18例(88%)であった。また、芽球性サブタイプ4例、多形性サブタイプ2例、Ki-67陽性細胞割合≧30%が19例、p53欠失2例、p53変異5例であった。・治療期間は中央値308日、投与サイクル数中央値は11サイクルで、投与量が減量されたのは10例(ベネトクラクス8例、レナリドミド5例、両方3例)であった。・有効性については、3ヵ月時(28例)のCRが67%、ORRは96%、6ヵ月時(27例)はそれぞれ78%、97%、9ヵ月時(16例)はCR94%、12ヵ月時(12例)はCR100%であった。・MRD陰性率は、3ヵ月時(27例)63%、6ヵ月時(25例)77%、9ヵ月時(16例)94%、12ヵ月時(12例)92%であった。・無増悪生存率(2021年4月30日時点)は、3ヵ月時96.4%、12ヵ月時85.5%であった。・DLT評価期間中にDLTは認められず、全例が1日400mgまで増量可能であった。・治療との関連が疑われるGrade3以上の有害事象は、主に好中球減少症、血小板減少症などであった。・MRD陰性例で再発した患者はおらず、PDで中止となった3例はp53変異を有していた。 Phillips氏は、「未治療MCL患者において、ベネトクラクス+リツキシマブ+レナリドミド併用療法は安全で、高いORRとMRD陰性率が得られることが示された。初期データではあるが、本併用療法はMIPIスコア高リスク、芽球性および多形性サブタイプなど高リスクの特徴を有する患者に有効と考えられ、今後、臨床試験を拡大する予定である」と結んだ。

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再発/難治性濾胞性リンパ腫、CAR-T(tisa-cel)は有望(ELARA)/ASCO2021

 複数回治療を受けた再発/難治性濾胞性リンパ腫(r/r FL)における抗CD19 CAR-T細胞療法薬tisagenlecleucel(tisa-cel)の有効性と安全性を評価した国際単群第II相試験「ELARA試験」の主要解析の結果を、米国・ペンシルベニア大学のStephen J. Schuster氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。高い奏効率と良好な安全性プロフィールが示され、r/r FL患者にとって有望な治療であることを報告した。 FL患者の約20%は初回治療後2年以内に再発し、治療ラインが増えるに従いアウトカムは不良となっていくことから、新たな治療が切望されている。tisa-celは、難治性大細胞型B細胞リンパ腫の成人患者において持続的奏効や良好な安全性プロファイルが示されていた。・対象:18歳以上r/r FL(Grade1-3A)、2レジメン以上の前治療に抵抗性または自家幹細胞移植後再発患者98例・介入: tisa-cel(0.6-6×108 CAR+ viable T細胞)投与、ブリッジング治療可・評価項目:[主要評価項目]Lugano分類(2014)による完全奏効率(CRR)[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性、細胞動態 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ日(2020年9月28日)での投与例は97例(年齢中央値57.0歳)。前治療回数中央値は4で、5回以上が27.8%(27例)を占めた。・追跡期間中央値は10.6ヵ月であった。・安全性評価(97例)において、治療関連有害事象疑いは75例(77.3%)、Grade3/4は44例(45.4%)であった。死亡は3例であった。・投与後8週以内のとくに注目すべき有害事象(AESI)において、神経毒性の発生は全Gradeで9.3%であり、重篤な神経毒性症候群(ICANS)は1例のみであった。・同様にサイトカイン放出症候群(CRS)の発生は、全Gradeで48.5%、Grade3以上は報告されなかった。・有効性の評価(94例)において、主要評価項目のCRRは66%(95%信頼区間[CI]:56~75)、ORRは86%(95%CI:78~92)だった。・PFS、OSはいずれも未到達であった。6ヵ月時点のPFSは76%(95%CI:65~84)であった。 Schuster氏は、「tisa-celは、r/r FL患者の2レジメン以降の治療としてメリットがあると思われる」と報告した。

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Ph陽性ALLへのポナチニブ・ブリナツモマブ併用療法は有望/ASCO2021

 新規診断または再発/難治性のフィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)に対し、BCR-ABL1チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)ポナチニブ+二重特異性T細胞誘導抗体ブリナツモマブ併用の有効性と安全性を評価した第II相単群試験の結果を、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのNicholas J. Short氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。忍容性は良好で、ほとんどの患者で化学療法および自家造血幹細胞移植(AHSCT)を必要とせず、とくに初発患者に有望な治療であることを報告した。 初発Ph陽性ALLにおいて標準療法とされる化学療法+第1・第2世代TKIの5年全生存率(OS)は30~50%であり、T315I変異例では最大75%で再発を認める。一方で、ポナチニブおよびブリナツモマブは、それぞれ高い奏効が報告されており、ポナチニブ+ブリナツモマブ併用の評価が行われた。・対象:18歳以上、新規診断または再発/難治性のPh陽性ALL患者、リンパ性移行期または急性転化期の慢性骨髄性白血病(CML-LBC)患者、PS≦2、35例・介入:[導入期:5サイクル]ブリナツモマブ(標準用量、4週投与2週休薬)+ポナチニブ(1サイクル目 30mgx1/1、2サイクル目以降はCMR達成後15mgに減量)[維持期]ポナチニブ15mgを少なくとも5年間、予防的髄腔内化学療法(メトトレキサート/シタラビン)12回・評価項目:[主要評価項目]初発患者:CMR、再発/難治性患者:ORR(完全奏効/不完全奏効[CR/CRp])[副次評価項目]無イベント生存率(EFS)、OS、安全性 主な結果は以下のとおり。・治療を受けた35例(年齢中央値59歳、66%でBCR-ABL1転写産物p190確認)の内訳は、初発患者20例(62歳、77%)、再発/難治性患者10例(36歳、90%)、CML-LBC患者5例(70歳、0%)であった。・CR/CRp率は、全患者96%、初発患者100%、再発/難治性患者89%、CML-LBC患者100%であった。・CMRは、全患者79%、初発患者86%、再発/難治性患者88%、CML-LBC患者40%であった。・観察期間中央値12ヵ月における1年EFS率は、全患者で76%、初発患者93%、再発/難治性患者61%、CML-LBC患者60%であった。2年EFS率は、それぞれ70%、93%、41%、60%であった。・1年OS率は、93%、93%、80%、100%、2年OS率は80%、93%、53%、100%であった。・忍容性は良好で、ほとんどの有害事象はGrade1/2であった。Grade3の治療関連有害事象は、ポナチニブ関連ではリパーゼ上昇が2例(6%)、ALT情報、脳虚血、高血圧、膵炎、深部静脈血栓症がそれぞれ1例(3%)であり、ブリナツモマブ関連では脳症1例(3%)であった。 Short氏は、「Ph陽性ALLに対するポナチニブ+ブリナツモマブ併用療法の安全性、有効性が示された。化学療法やAHSCTを必要としないレジメンとして有望である」とまとめた。

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「サビーン」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第57回

第57回 「サビーン」の名称の由来は?販売名サビーン®点滴静注用500mg一般名(和名[命名法])デクスラゾキサン(JAN)効能又は効果アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出用法及び用量通常、成人には、デクスラゾキサンとして、1日1回、投与1日目及び2日目は1000mg/m2(体表面積)、3日目は500mg/m2を1〜2時間かけて3日間連続で静脈内投与する。なお、血管外漏出後6時間以内に可能な限り速やかに投与を開始し、投与2日目及び3日目は投与1日目と同時刻に投与を開始する。また、用量は、投与1日目及び2日目は各2000mg、3日目は1000mgを上限とする。 中等度及び高度の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアラン ス:40mL/min未満)では投与量を通常の半量とする。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)禁忌(次の患者には投与しないこと)1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者2.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人※本内容は2021年6月23日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年3月(改訂第4版)医薬品インタビューフォーム「サビーン®点滴静注用500mg」2)キッセイ薬品:SAVENE®injectable500mg

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治療抵抗性/不耐容の慢性期CML、ポナチニブの最適レジメン(OPTIC)/ASCO2021

 BCR-ABL1チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)ポナチニブは、前治療に治療抵抗性または不耐容の慢性期(CP)の慢性骨髄性白血病(CML)に対し、1日45mgから投与を開始し、BCR-ABL1IS≦1%を達成した時点で15mgに減量する投与量調整レジメンが最適であることが、第II相「OPTIC試験」で示され、米国・オーガスタ大学ジョージアがんセンターのJorge Cortes氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。 第II相OPTIC試験は、ポナチニブの有効性と安全性の最適化を目的として、3用量(45mg、30mg、15mg)から投与を開始し奏効に基づき投与量を調整するレジメンをプロスペクティブに評価する無作為化非盲検試験である。中間解析で、1日45mgから投与を開始する投与量調整レジメンの有効性と安全性が示され、すでに昨年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で報告されていた。また、中間解析結果に基づき、FDAは治療抵抗性または不耐容のCP-CML患者への本投与量調整レジメンを承認している。今回は、観察期間中央値32ヵ月(最低12.8ヵ月)の主要解析結果が報告された。・対象:2種類以上のTKIによる前治療に抵抗性または不耐容を示す、またはBCR-ABL1 T315I変異陽性のCP-CML成人患者283例・試験群: ポナチニブ 1日45mg→1日15mg投与(45mg→15mg群)94例 ポナチニブ 1日30mg→1日15mg投与(30mg→15mg群)94例 ポナチニブ 1日15mg投与(15mg群)94例BCR-ABL1IS≦1%を達成した時点で15mgに減量・評価項目:[主要評価項目]12ヵ月時点でのBCR-ABL1IS≦1%達成[副次評価項目]12ヵ月および24ヵ月時点での分子遺伝学的大奏効(MMR)、12ヵ月までの細胞遺伝学的大奏効(MCyR)、MMRの期間、安全性 主な結果は以下のとおり。・データカットカットオフ日(2020年5月31日、追跡期間中央値32ヵ月)の時点で、45mg→15mg群は50例(53%)、30mg→15mg群は41例(43%)、15mg群は43例(46%)が治療を継続していた。・12ヵ月時点でのBCR-ABL1IS≦1%達成率は、45mg→15mg群44.1%(41/93例)、30mg→15mg群29.0%(27/93例)、15mg群23.1%(21/91例)で、45mg→15mg群が主要評価項目を達成した(p<0.017)。・24ヵ月時点までではそれぞれ55.9%、37.6%、33.0%であった。・BCR-ABL1IS≦1%達成後に15mgに減量した患者において、45mg→15mg群では73.3%(33/45例)、30mg→15mg群では78.6%(22/28例)の患者が奏効を維持していた。・T315I変異の有無別でみると、45mg→15mg群においてT315I変異陽性例、T315I変異以外の変異陽性例、変異陰性例のいずれにおいても、12ヵ月までにBCR-ABL1IS≦1%を達成した患者の割合が高かった(それぞれ60%、56%、46%。30mg→15mg群ではそれぞれ25%、40%、38%)。・Grade3以上の主な治療下で発現した有害事象(TEAE)は、血小板減少症27%、好中球減少症17%、高血圧8%、貧血7%等であった。・Grade3以上のTEAEの発現率は、45mg→15mg群68.1%、30mg→15mg群61.7%、15mg群63.8%、TEAEにより投与量を減量した患者の割合はそれぞれ45.7%、35.1%、31.9%であった。・動脈閉塞イベント(AOE)の発現率は、45mg→15mg群9.6%、30mg→15mg群5.3%、15mg群3.2%であった。 Cortes氏は、「2種類以上のTKIに抵抗性または不耐容のCP-CML患者に対し、奏効に基づきポナチニブの投与量を調整することでリスクとベネフィットを最適化でき、良好な生存に寄与するだろう」とまとめた。

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再発多発性骨髄腫、イサツキシマブ追加でPFS延長/Lancet

 既治療の再発・難治性多発性骨髄腫患者の治療において、抗CD38モノクローナル抗体イサツキシマブをカルフィルゾミブ+デキサメタゾンと併用すると、カルフィルゾミブ+デキサメタゾンと比較して、無増悪生存(PFS)期間が延長するとともに深い奏効の割合が改善し、新たな標準治療となる可能性があることが、フランス・University Hospital Hotel-DieuのPhilippe Moreau氏らが実施した「IKEMA試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年6月4日号で報告された。上乗せ効果を評価する非盲検無作為化第III相試験 本研究は、日本を含む16ヵ国69施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2017年11月~2019年3月の期間に患者登録が行われた(フランスSanofiの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、前治療ライン数が1~3の再発・難治性多発性骨髄腫で、血清または尿中のM蛋白(血清M蛋白≧0.5g/dL、尿中M蛋白≧200mg/24時間)の測定が可能な患者であった。 被験者は、イサツキシマブ+カルフィルゾミブ+デキサメタゾンの投与を受ける群(イサツキシマブ群)またはカルフィルゾミブ+デキサメタゾンの投与を受ける群(対照群)に、3対2の割合で無作為に割り付けられた。イサツキシマブは、10mg/kg/週を4週間静脈内投与し、その後は同用量が2週ごとに投与された。投与は、病勢進行または許容されない毒性が発現するまで継続された。 主要評価項目は、intention-to-treat集団における無増悪生存期間であった。VGPR以上、MRD陰性、奏効期間も良好 302例(年齢中央値64歳、女性44%、前治療レジメン数中央値2)が登録され、イサツキシマブ群に179例、対照群に123例が割り付けられた。 追跡期間中央値20.7ヵ月の時点で、独立審査委員会の判定による無増悪生存期間中央値は、イサツキシマブ群が未到達、対照群は19.15ヵ月であり、有意な差が認められた(ハザード比[HR]:0.53、99%信頼区間[CI]:0.32~0.89、片側検定のp=0.0007)。また、2年時の推定無増悪生存率は、イサツキシマブ群が68.9%、対照群は45.7%であった。 全奏効割合(国際骨髄腫作業部会[IMWG]の基準で、厳格な完全奏効[sCR]、完全奏効[CR]、最良部分奏効[VGPR]、部分奏効[PR]を達成した患者の合計)は、イサツキシマブ群が87%(155/179例)、対照群は83%(102/123例)と、両群間に有意な差はみられなかった(片側検定のp=0.19)ものの、VGPR以上の達成割合(73% vs.56%、p=0.0011)はイサツキシマブ群で良好であった。また、CR達成割合(sCR+CR)は、それぞれ40%および28%であった。微小残存病変(MRD)陰性の達成割合は、イサツキシマブ群が対照群の2倍以上だった(30% vs.13%、p=0.0004)。 奏効期間(HR:0.43、95%CI:0.27~0.67)および次の治療法への移行までの期間(HR:0.57、95%CI:0.38~0.84)はイサツキシマブ群で長かった。 Grade3以上の試験薬投与後に発現した有害事象(TEAE)は、イサツキシマブ群が77%(136/177例)、対照群は67%(82/122例)で認められ、重篤なTEAEはそれぞれ59%(105例)および57%(70例)、投与中止の原因となったTEAEは8%(15例)、14%(17例)にみられた。試験期間中に、致死的なTEAEはイサツキシマブ群3%(6例)、対照群3%(4例)で発生した。 著者は、「カルフィルゾミブ+デキサメタゾンへのイサツキシマブの追加は、免疫調節薬を含む1次治療施行後に増悪した患者や、免疫調節薬に抵抗性の患者の新たな治療選択肢となるだろう」としている。

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再発/難治性B-ALL、CAR-T細胞療法「KTE-X19」が有望/Lancet

 再発/難治性前駆B細胞急性リンパ性白血病(ALL)の患者に対する、自家抗CD19 CAR-T細胞療法「KTE-X19」の有効性と安全性を検討した第II相国際多施設共同非盲検単群試験「ZUMA-3試験」の結果を、米国・モーフィットがんセンターのBijal D. Shah氏らが報告した。完全寛解率または血液学的回復が不十分な完全寛解率は高率で、奏効した患者における全生存(OS)期間中央値は未到達であり、安全性プロファイルは管理可能であったという。新たな治療法や自家造血幹細胞移植(allo-SCT)の治療にもかかわらず、再発/難治性前駆B細胞ALL患者の転帰は依然として不良であり、より効果的な治療の開発が求められている。著者は、「今回の試験結果は、KTE-X19はそれらの患者に長期的な臨床的ベネフィットをもたらす可能性があることを示すものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2021年6月3日号掲載の報告。米国・カナダ・欧州25施設で行われたZUMA-3試験 ZUMA-3試験の被験者は、米国、カナダおよび欧州の25施設で登録され、18歳以上、ECOG 0/1、骨髄芽球5%超の再発/難治性前駆B細胞ALL患者が適格とされた。被験者は白血球除去療法および前処置化学療法を受けた後、KTE-X19の単回注入(1×106 CAR-T細胞/kg体重)を受けた。 主要評価項目は、中央評価による完全寛解(CR)率および血液学的回復が不十分な完全寛解(Cri)率であった。副次評価項目は、寛解期間(DOR)、無再発生存(RFS)期間、OS、微小残存病変(MRD)陰性率、allo-SCTを受けた患者の割合などであった。 有効性および安全性の解析は、治療を受けた患者集団を対象に行われた。主要評価項目達成は71%、奏効患者のOSは未到達 2018年10月1日~2019年10月9日の期間に、71例が登録され、白血球除去療法を受けた。KTE-X19の作製に成功したのは65例(92%)で、55例(77%)が投与を受けた。治療を受けた患者の年齢中央値は40歳(IQR:28~52)、追跡期間中央値は16.4ヵ月(13.8~19.6)であった。 CRまたは血液学的回復が不十分なCriを達成した患者は39例(71%、95%信頼区間[CI]:57~82、p<0.0001)であった。うちCR達成患者は31例(56%)であった。 DOR中央値は、12.8ヵ月(95%CI:8.7~評価不能[NE])であり、RFSは11.6ヵ月(2.7~15.5)、OS期間は18.2ヵ月(15.9~NE)であった。 奏効した患者において、OS中央値は未到達であり、38例(97%)がMRD陰性であった。KTE-X19投与後にallo-SCTを受けた患者は10例(18%)だった。 Grade3以上で最も頻度の高い有害事象は、貧血27例(49%)、発熱20例(36%)であった。Grade3以上の感染症を呈した患者は14例(25%)報告された。Grade5のKTE-X19関連事象は2例(脳ヘルニア、敗血性ショック)報告された。Grade3以上のサイトカイン放出症候群(CRS)は13例(24%)、Grade3以上の神経学的イベントは14例(25%)報告された。

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