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イキサゾミブ、幹細胞移植歴のない多発性骨髄腫の維持療法に適応追加/武田

 武田薬品工業は、2021年5月27日、イキサゾミブ(製品名:ニンラーロ)について、幹細胞移植歴のない多発性骨髄腫に対する初回治療後の維持療法の治療薬として、厚生労働省より多発性骨髄腫における維持療法の効能又は効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認を取得した。 今回の承認は、主に無作為化プラセボ対照二重盲検多施設共同国際第III相試験であるTOURMALINE-MM4試験の結果に基づくものである。同試験では、幹細胞移植歴のない成人の多発性骨髄腫患者を対象に無増悪生存期間(PFS)を主要評価項目として、同剤がPFSを統計学的に有意に改善することが確認された。イキサゾミブの維持療法における安全性プロファイルは、単剤療法における既知の安全性プロファイルと同様であり、TOURMALINE-MM4試験で新たな懸念は確認されなかった。 イキサゾミブは、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の効能効果で、2017年3月に厚生労働省より製造販売承認を取得し2017年5月24日から発売。2020年3月25日に「多発性骨髄腫における自家造血幹細胞移植後の維持療法」に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得している。

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DLBCL、研究・治療の最新状況を報告したNEJM論文をポイント解説【Oncologyインタビュー】第33回

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は悪性リンパ腫の一種であり、血液腫瘍の中で最も患者数が多い疾患である。2021年3月、NEJM誌に「Diffuse Large B-Cell Lymphoma」と題した、疾患名そのものをタイトルにした論文が掲載された。現在の初発・再発における治療戦略から今後の新薬の開発情報までがまとめられた、17ページにわたる本論文のポイントを、岡山大学病院 ゲノム医療総合推進センターの遠西 大輔氏(血液・腫瘍内科 准教授)が解説する。インタビューはzoom形式で行われたこの論文は、著者2人がいずれも臨床医です。臨床医目線で病態の分類変更の背景など、最新知識をコンパクトにまとめたところに、まずは大きな価値があるでしょう。血液疾患の臨床に当たっている方であれば既知の情報も多いので、関心あるところと新たな知見の部分を重点的に読むとよいと思います。重要なポイントについて、パートごとに内容を読み解いていきましょう。Pathological Features and Molecular Classification最初は分子遺伝学的なまとめです。最近の分子の詳細な解析によって新たなサブタイプが登場している状況を解説しており、この内容はFigure 1Cにまとまっているのでこれを見るだけでもよいと思います。Staging and Response Assessment今後の臨床面で注目すべきは、一行だけ触れられている「リキッドバイオプシー」でしょう。世界的にも、血液腫瘍に対するリキッドバイオプシーを用いた遺伝子検査は保険承認されていませんが、数年内には臨床で使われるようになると予想されます。固形がん同様に、血液がんでも遺伝子変異のタイプに応じて治療戦略を選択し、効く薬剤を予測して使い分けるようになるかもしれません。ここで引用されている論文1)は、あまたあるDLBCLとリキッドバイオプシーに関する論文の中でも代表的なものなので、関心がある方はこちらの著者グループに注目するとよいと思います。Prognostic Factorsここでは長らく使われてきた、国際予後指標(International Prognostic Index:IPI)が改良され「NCCN-IPI」となったことが紹介されています。こちらの要旨はTable 3にまとまっているのでそれを確認するだけでもよいでしょう。Primary Managementここから進行期と限局期に分けて治療の話題に入っていきます。進行期の最適なレジメンを決めるまでのこれまでの経緯がまとめられていますが、CHOP療法にリツキシマブを追加したR-CHOP療法を6回投与、というのが現状の結論です。それに加え、現在進んでいるR-CHOPに他の薬剤を追加する複数の試験内容が紹介されています。この部分はこれからのDLBCL治療を考えるうえで非常に重要なポイントなのでじっくり読んでみてください。Management of Relapsed or Refractory Diseaseここでは、再発・難治のDLBCLに対する治療戦略が述べられています。若年層の患者には自家造血幹細胞移植(ASCT)を試みることがありますが、あまり成績がよくないことが示されています。次いで、現在の臨床を大きく変えつつあるCAR-T療法が紹介されています。CAR-T療法は国内では2年前に再発または難治性のDLBCLに対して承認され、ここでは臨床試験からリアルワールドまで最新のデータが紹介されています。承認当初に懸念されていた副作用についても想定より抑えられていることが示されています。そして最後は新薬の開発状況です。日本で今年3月に承認を受けたばかりの抗CD79bを標的とする抗体薬物複合体・ポラツズマブ ベドチンに関する臨床試験のデータをはじめ、現在開発中の新薬が、ターゲットとする分子や現状までの臨床試験の結果と共にまとまっています。それなりの数がありますが、今後臨床に登場してきそうな有望なものが選別されているのはさすがです(Table 4)。個人的には次世代の免疫チェックポイント阻害薬といわれる、マクロファージを使う抗CD47抗体にとくに注目しています。最終ページのfigure 2には、現在のDLBCL治療の全体がまとまっています。病態分類から始まり、再発や自家移植で寛解する割合や、それぞれの段階で行う治療戦略と薬剤が見やすくまとめられており、全体を俯瞰するうえで非常によくできた1枚です。図 原著論文のfigureを基にCareNet.com編集部作成画像を拡大する上部左の「High-Grade B-Cell Lymphoma」はWHO分類変更によって新たに登場したものです。特定の遺伝子変異を認める予後不良のものをDLBCLと分け、異なる治療戦略をとることになりました。真ん中の限局期・進行期では治療戦略には大きな変化はないものの、治験等で新たなレジメンを選択できる状況を示しています。そして右下のこれまで治療の手段がなかった2次・3次治療においても、CAR-T療法や免疫療法等によって治療を継続できる可能性が生まれており、今後も治療戦略は大きく進化していくでしょう。原著論文Sehn LH, et al. N Engl J Med. 2021;384:842-858.参考1)Kurtz DM, et al. J Clin Oncol. 2018;36:2845-2853.

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ファイザー新型コロナワクチン、がん患者ではとくに2回接種を/Lancet Oncol

 がん患者に対する新型コロナワクチンBNT162b2(ファイザー)の安全性と免疫原性をがん患者における評価を目的とした前向き観察研究の結果が発表された。 対象は、2020年12月8日~2021年2月18日に、ロンドンの3つの病院でBNT162b2接種を受けたがん患者と健康成人(主に医療従事者)。複合主要評価項目は、がん患者におけるBNT162b2ワクチンの初回接種後のSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質IgG陽性の割合、2回目(初回から21日後)接種後の同陽性例の割合であった。 主な結果は以下のとおり。・期間中に151例のがん患者(固形がん95例、血液がん56例)と健康成人54例が対照群として登録された。・2回目の接種を受けたのは対照群16例、固形がん患者25例、血液がん6例であった。・SARS-CoV-2に曝露された17例を除外した、ワクチン初回接種21日後のSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質IgG陽性の割合は、対照群94%(34例中32例)、固形がん患者38%(56例中21例)、血液がん患者18%(44例中8例)であった。・2回目接種2週間後のSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質IgG陽性の割合は、対照群100%(12例中12例)、固形がん患者95%(19例中18例)、血液がん患者60%(5例中3例)であった。・BNT162b2ワクチンの忍容性は良好で、初回接種後毒性がなかったものはがん患者では54%、対照群では38%、2回目の接種後毒性がなかったものはがん患者では71%、対照群では31%であった。・毒性は初回接種後7日以内の注射部位の痛みがもっとも多く、がん患者では35%、対照群では48%に発現した。ワクチン関連の死亡は報告されていない。 健康成人例に比べ、がん患者では1回接種でのBNT162b2ワクチンの効果は低いことが示された。一方、固形がん患者においては、2回目ブースト接種から2週間以内に免疫原性が有意に増加した。筆者は、これらのデータは、がん患者におけるBNT162b2ワクチン2回目接種の優先を支持するものだとしている。

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骨髄腫に、ダラツムマブの皮下注新発売/ヤンセンファーマ

 ヤンセンファーマは、2021年5月19日、抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブとボルヒアルロニダーゼ アルファを配合した皮下投与製剤ダラキューロ配合皮下注(以下、ダラキューロ)の販売を開始した。ダラキューロは、本年3月23日に多発性骨髄腫を効能又は効果として製造販売承認を取得している。 ダラツムマブの点滴静注製剤(以下、ダラツムマブ IV)は、多発性骨髄腫に対して、複数の治療レジメンで承認されており、国内外の各種ガイドラインでも推奨されている。一方で、infusion reaction(急性輸液反応)を予防するため、投与に際しては500~1,000mlの輸液が必要となり、約3〜7時間の投与時間を要する。今回製造販売承認を取得したダラキューロでは、皮下投与に要する時間が約3〜5分へと短縮され、また固定用量となるため薬剤調製手順が簡略化されることにより、医療従事者および患者の負担が軽減されることが期待されている。 ダラキューロについては、日本人を含む再発・難治性の多発性骨髄腫を対象とした国際共同第III相試験(MMY3012試験[COLUMBA試験])において、ダラツムマブ IVに対する非劣性が単剤療法にて示され、安全性が確認されている。また日本人集団における薬物動態および有効性は全体集団と一貫しており、安全性に明らかな差異は認められなかった。ダラキューロ配合皮下注製品概要・製品名:ダラキューロ配合皮下注・一般名:ダラツムマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)・効能又は効果:多発性骨髄腫・用法及び用量:他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には本剤1回15mL(ダラツムマブ(遺伝子組換え)として1,800mg及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として30,000単位(2,000単位/mL))を、併用する抗悪性腫瘍剤の投与サイクルを考慮して、以下のA法又はB法の投与間隔で皮下投与する。 A法:1週間間隔、2週間間隔及び4週間間隔の順で投与する。 B法:1週間間隔、3週間間隔及び4週間間隔の順で投与する。・製造販売承認日:2021年3月23日・薬価基準収載日:2021年5月19日・発売日:2021年5月19日・薬価:15mL 1瓶 434,209円・製造販売元:ヤンセンファーマ株式会社

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第60回 昔なじみの抗うつ薬が抗がん免疫を助ける/持参のCOVID-19抗原検査で楽々帰国

昔なじみの抗うつ薬と抗PD-1薬の併用でいっそうの抗腫瘍効果抗うつ薬として昔なじみのモノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)が免疫細胞によるがん駆除を助ける働きを担い、PD-1阻害薬と併用すればそれら単独投与以上の腫瘍抑制効果を発揮することがマウス実験で示されました1,2)。ペムブロリズマブやニボルマブ等のPD-1阻害薬は腫瘍細胞が免疫攻撃から逃れるために利用するT細胞表面分子を阻止します。PD-1阻害薬はうまくいけば何年も腫瘍を食い止めますが誰にでも効くというわけではなく、その効果を補う薬の標的探しが続けられています。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のがん免疫学者Lili Yang氏のチームもその一つで、抗腫瘍免疫との関わりがこれまで知られていなかったモノアミン酸化酵素(MAO)の一つ・MAO-A遺伝子が腫瘍のT細胞で意外にも発現していることを突き止め、どうやらPD-1阻害薬の併用薬の標的として有望なことを見出しました。MAO-Aはドパミンやセロトニンなどの気分向上神経伝達物質を分解します。MAO-A活性が低い男性と攻撃的な振る舞いの関連が示されていることからMAO-A遺伝子は戦士の遺伝子として知られます3)。Yang氏等の新たな研究によるとMAO-AはT細胞の戦士化にもどうやら寄与しているらしく、マウスのMAO-A遺伝子を封じたところT細胞の抗腫瘍免疫が強力となり、腫瘍増殖が抑制されました。MAO-A阻害薬フェネルジン(phenelzine)も同様の効果があり、マウスの腫瘍を増殖し難くしました。また、MAO阻害薬とPD-1阻害薬の併用はいっそうの抗腫瘍効果をもたらしました。T細胞はセロトニンを作って抗腫瘍免疫を底上げし、MAO-Aはそのセロトニンを分解することで腫瘍のT細胞回避を助けてしまうようです。その回避路を断つMOA阻害薬とPD-1阻害薬の併用が試験で検討されることをYang氏は望んでいます。安上がりでどこでも手に入るMAO阻害薬はあわよくばがん患者の抑うつもついでに取り去ってくれるかもしれません。そのような併用試験をするなら前立腺がんは候補の一つになりそうです。というのもMAO-A は前立腺がんで過剰発現し、がん細胞や腫瘍開始細胞(がん幹細胞)の増殖を促して前立腺がんの発生を促すことが示唆されているからです4)。ただしMAO-A は必ずがんに味方するというわけではなさそうで、肝細胞がん、胆管がん、褐色細胞腫、神経芽腫、腎細胞がん、肺腺がんなどでは逆にがんと敵対する腫瘍抑制因子として働くと示唆されています5)。MAO阻害薬の試験ではMAO-Aに備わるせっかくの腫瘍抑制効果を意図せず妨げることがないように注意する必要があるでしょう。ユナイテッド航空がアボット社のCOVID-19抗原検査で楽々帰国できるようにするユナイテッド航空がAbbott(アボット)社と手を組み、海外旅行者の米国帰還の際に必要な新型コロナウイルス感染(COVID-19)陰性証明をよりすんなり取得できる仕組みを提供します6)。ユナイテッド航空の乗客はアボット社の抗原検査BinaxNOW Home Testを携えて出国し、海外滞在中にわざわざ検査センターに赴かずともそれを使って検査することで米国に帰還可能かどうかを判断できるようになります。遠隔医療が使える環境で旅行者がBinaxNOW Home Testのような抗原検査を自ら実施し、海外から米国への飛行機に搭乗するのに必要な陰性証明にその検査結果を使うことを同国は最近許可しています。BinaxNOW Home Testは手帳ほどの大きさで軽量であり、バッグに場所を取らず収めることができます。どっちつかずの検査結果となってしまった場合に備えて1つきりではなく幾つか持っていった方が良いようです。参考1)Wang X, et al. Sci Immunol. 2021 May 14; 6:eabh2383.[Epub ahead of print]2)An old antidepressant helps the immune system fight tumors in mice / Science3)Mentis AA, et al.Transl Psychiatry. 2021 Feb 18;11:130.4)Liao CP, et al. Oncogene.2018 Sep;37:5175-5190.5)Huang Y, et al. Front Oncol. 2021 Mar 8;11:645821.6)United and Abbott Partner to Make Return to U.S. Worry Free for International Travelers with Home-Testing Kits / PRNewswire

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アントラサイクリン心筋症 見つかる時代から見つける時代へ【見落とさない!がんの心毒性】第2回

連載の第1回では、循環器医ががん医療に参画し始めた背景について向井先生が解説しました。第2回ではアントラサイクリン心筋症・心不全にも新たなアプローチが求められていることについて、大倉が解説します。重篤な心不全で見つかる時代から、そうなる前に見つける時代になったことを感じていただければ幸いです。アントラサイクリンによる心不全は3回予防できるドキソルビシンが1975年にわが国で使われ始めて、もうすぐ半世紀が経とうとしています。よく効くので、今尚がん医療の現場で広く使われています。心毒性があるため心機能異常またはその既往歴のある患者には禁忌です。とはいえ心臓病でもアントラサイクリンを使わざるを得ない状況は患者の高齢化とともに増加傾向にあります。献身的ながん医療の成果が10年生存率の改善(58.3%)という形で表れています。一方、一部のアントラサイクリン使用患者では、心毒性により化学療法を中断したり、QOL(生活の質)が損なわれたりしています。心不全で亡くなることもあります。循環器医は“アントラサイクリンによる心不全は早期発見で3回予防できる”と考えています。(1)心機能の低下予防 (2)心不全の発症予防 (3)慢性心不全の増悪予防の3回です(図)。実際のところ、がん医療の現場でこの考え方はあまり共有されていません。そのため1回も予防されずに重症化した心不全がん患者を診ることもあります。(図)心不全の進展ステージとアントラサイクリン心筋症の予防機会画像を拡大する2021年3月、“脳卒中と循環器病対策基本法”の行動計画の核心である脳卒中と循環器病克服第二次5ヵ年計画が公表されました1)。心不全は重要3疾患の1つに掲げられ、悪性腫瘍に合併する心不全の管理も重点項目として指定されました。“心不全は予防と早期発見”という考えが国民に向けて発信されることで、がん医療にも徐々に馴染んでゆくものと思われます。発生率と危険因子アントラサイクリンによる心機能障害は用量依存性に発生します。ドキソルビシン換算で累積投与量が 400 mg/m2で3~5%、550 mg/m2で7~26%、700 mg/m2で18~48%に起こります2)。累積投与量以外にも、65歳以上の高齢者、小児、胸部・縦隔への放射線照射、トラスツズマブなど心毒性を有する他の薬剤の使用、基礎心疾患の既往や合併、心血管リスク(喫煙、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、肥満)の合併などで、起こりやすくなるため注意が必要です。この段階で併存心疾患や心血管リスクを治療し心機能低下を予防します3)(図:1回目の予防)。近年、ゲノムワイド関連解析(GWAS:genome-wide association study)により、拡張型心筋症の原因となる遺伝子変異の一つで、サルコメア蛋白のタイチンをコードする遺伝子の切断型変異(Titin-truncating variants)があると、アントラサイクリンの心毒性に対して脆弱になることが報告されました4)。5ヵ年計画にはファーマコゲノミクス(PGx)の推進が盛り込まれており、抗がん薬の心毒性に関与する遺伝子を5年間に2個同定しようとしています。Onco-cardiologyの分野でもゲノム医療が始まろうとしています1)。心毒性の機序アントラサイクリンは一部の患者に不可逆的な心筋障害を起こします。失われた心筋細胞が復活することはありません。ミトコンドリアの鉄の蓄積と活性酸素の過剰な産生を惹起し、ミトコンドリアや細胞内小器官が障害されます。DNAの修復に欠かせないトポイソメラーゼIIβを阻害し、DNA二重鎖切断とアポトーシスを誘導します。心筋細胞の恒常性に欠かせない周囲の血管内皮細胞も障害され、後々の心筋細胞の適応性や生存性の低下に繋がります。心筋の線維芽細胞や前駆細胞も複雑に関与しています4)5)。経過・治療古典的には心毒性は急性、慢性早期、慢性晩期に分類されていました(表1)。(表1)アントラサイクリンによる心毒性の古典的な臨床分類画像を拡大する現在では、詳細な経過観察により、心筋細胞レベルの障害が最初に起きて、それが潜在進行性の心機能低下を惹起し、代償機転が破綻して心不全に至るという連続性が確認されています。心不全を起こす患者では、アントラサイクリン投与後に、血清トロポニンが一過性に上昇し、左室駆出率(LVEF)が低下します。心保護薬で治療すると、ほとんどの患者でLVEFは不完全ながら回復傾向を示しますが、一部の患者はLVEFが悪化して、心不全を発症します。Cardinaleらによれば、アントラサイクリン投与後に9%の患者に心毒性(LVEF50%未満への低下)が認められました。心毒性の98%は化学療法終了後1年以内(中央値3.5ヵ月)に現れました。エナラプリルとカルベジロールで治療をすると82%に回復傾向を認めました6)。無症候性心機能低下(図:ステージB)のうちに発見し、心保護薬で予防をすることで悪化を食い止め、心不全(図:ステージC)を予防できます(図:2回目の予防)。そのため、ここでの介入が最も効果的と考えられています。しかし、この予防機会を失えば、心不全を発症します。こうなると、非可逆的な心筋障害であるため、治療に難渋し、ステージDへの進行を防げない可能性があります。潜在患者の早期発見に有用な検査定期的に全員に心エコーをすれば早期発見は可能ですが、医療資源は限られているため、ハイリスク群を優先することが欧米の腫瘍学会でコンセンサスを得ています(表2)。(表2)最新ガイドラインに見るアントラサイクリン使用に関連した強い推奨[A、B]画像を拡大するリスクの層別化には、アントラサイクリン治療後のトロポニン測定に期待が寄せられています。上昇しない患者はその後の心不全が起きにくいことが分かっており、心エコーの頻度を減らすことができます7)。一方、上昇し、その後も上昇が持続する患者では、心不全が起きやすいため、心保護薬を開始したり、心エコーの頻度を増やしたりします。わが国の保険制度ではそのようなトロポニンの使われ方は認められておりません。採血のタイミングやカットオフ値の標準化については今なお研究段階です。アントラサイクリン治療を終えて数ヵ月以上経過している患者の心不全の早期発見は、危険因子による層別化や、BNPやNT-proBNPによる補助診断に頼ることになります。フラミンガムの一般住民を対象にした疫学調査によると、BNP はLVEF40%以下の心機能低下に対する感度は良好でしたが、LVEF50%前後に対してはよくありませんでした8)。ステージBの中でもCに近い患者の検出には使えそうです。BNP検査によるアントラサイクリン心筋症の早期発見については、小児やAYA世代のがんサバイバーでの有用性については否定的な報告があります9)。それでも特性を理解すれば、たいへん便利な検査ですので、BNP検査については正書や学会ホームページをご覧ください10)11)。心エコーでは、無症候性心機能低下(ステージB)の中で、更に早い段階の異常を捉えようとしています。スペックルトラッキング法を用いたGlobal longitudinal strain (GLS)は、薬剤性心筋障害をLVEFよりも早期に感度良く検出できるようです。欧米の腫瘍学会ガイドラインでも測定を推奨していますが、人間の感覚を超えた領域なので慣れるのに時間がかかりそうです12)。心機能低下はがん治療終了後1年以内に始まるので、半年後と1年後の心エコーを推奨していますが、異常を見落としたり、その後に異常が明らかになることもあるため、その後のフォローも欠かせないでしょう。フォローの内容や間隔については、危険因子が多いほど綿密にします。なぜ重症化してから見つかるのか?「患者や医師が、息切れ、むくみ、疲れ易さを、がんのせいと勘違いする」「医師や薬剤師が累積使用量の上限を超えなければ心不全は起きないだろうと油断もしくは勘違いする」「がん治療が済んで患者がフォローアップされなくなる」「フォローされてもクリニックの先生方と心不全への懸念が共有されない」などが原因で、発見が遅れ重症化の引き金になると考えられます。慢性晩期のアントラサイクリン心筋症には、認識不足や連携の脆弱さといった医療システムの問題が少なからず関係しています。心不全全般に言えることですが、脳卒中や心筋梗塞や糖尿病と比べ、心不全についての認知度が低いことは、かなり前から指摘されており世界共通の課題でした13)。アントラサイクリンで治療した患者に、心不全のセルフチェックを促すには、心不全についての知識の普及が肝要です。心不全発症に早めに気づいて治療することで重症化が予防できます(図:3回目の予防)。今、試されるチーム力最新のESMOガイドライン2020では“がんサバイバーから目を離すな”とうたっています。アントラサイクリンで治療した乳がん患者で薬剤性心筋障害を起こすのは、3~6%程度ですが、軽んずることなく解決への道を開けば、将来の患者の利益になります。院内ではがん診療科と多職種の連携が解決への糸口となり14)、晩期障害の早期発見にはクリニックの先生方の協力が不可欠です。地域医療への知識の普及には、大学や医師会の役割りが大きいです。システムの問題が心不全に関与しているのならば、システムを修正すれば良いのです。心不全についての知識は一般の方には伝わりにくいことが世界共通の課題ですが、“脳卒中と循環器病対策基本法”の下、行政による後押しで国民への啓蒙が始まろうとしています。高齢化に伴い、がん患者の心臓病が増加しています15)。がんと心不全の古くからの関係は新しい時代を迎えました。1)日本脳卒中学会・日本循環器学会編. 脳卒中と循環器病克服第二次5ヵ年計画 ストップCVD(脳心血管病)健康長寿を達成するために. 20212)Zamorano JL, et al. Eur Heart J. 2016;37:2768-2801.3)日本腫瘍循環器学会編集委員会編. 腫瘍循環器診療ハンドブック. メジカルビュー社;2020.p10-11.(赤澤 宏 心機能障害/心不全 アントラサイクリン系薬剤)4)Garcia-Pavia P, et al. Circulation. 2019;140:31-41.5)Kadowaki H, et al. Circ J. 2020;84:1446-1453.6)Cardinale D, et al. Circulation. 2015;131:1981-1988.7)Cardinale D, et al. 2004;109:2749-2754.8)Vasan RS, et al. JAMA. 2002; 288:1252-1259.9)Michel L, et al. ESC Heart Fail. 2020;7:423-433.10)猪又孝元ほか The Manual心不全のセット検査. メジカルビュー社;2019.11)日本心不全学会:血中BNPやNT-proBNP値を用いた心不全診療の留意点について12)日本心エコー図学会編.抗がん剤治療関連心筋障害の診療における心エコー図検査の手引13)Okura Y, et al. J Clin Epidemiol. 2004;57:1096-1103.14)日本腫瘍循環器学会編集委員会編. 腫瘍循環器診療ハンドブック. メジカルビュー社;2020.p.176-178.(大倉 裕二、吉野 真樹 腫瘍循環器診療における連携のコツと工夫 多職種連携)15)Okura Y, et al. Int J Clin Oncol. 2019;24:983-994.講師紹介

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「塩酸バンコマイシン」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第51回

第51回 「塩酸バンコマイシン」の名称の由来は?販売名塩酸バンコマイシン点滴静注用0.5g※塩酸バンコマイシン散はインタビューフォームが異なるため、今回は情報を割愛しています。ご了承ください。一般名(和名[命名法])バンコマイシン塩酸塩(JAN)[日局]効能又は効果1.<適応菌種>バンコマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)<適応症>敗血症、感染性心内膜炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、腹膜炎、化膿性髄膜炎2.<適応菌種>バンコマイシンに感性のメチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(MRCNS)<適応症>敗血症、感染性心内膜炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、腹膜炎、化膿性髄膜炎3.<適応菌種>バンコマイシンに感性のペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)<適応症>敗血症、肺炎、化膿性髄膜炎4.MRSA 又は MRCNS 感染が疑われる発熱性好中球減少症用法及び用量通常、成人にはバンコマイシン塩酸塩として1日2g(力価)を1回0.5g(力価)6時間ごと又は1回1g(力価)12時間ごとに分割して、それぞれ60分以上かけて点滴静注する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。高齢者には、1回0.5g(力価)12時間ごと又は1回1g(力価)24時間ごとに、それぞれ60分以上かけて点滴静注する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。小児、乳児には、1日40mg(力価)/kgを2~4回に分割して、それぞれ60分以上かけて点滴静注する。新生児には、1回投与量を10~15mg(力価)/kgとし、生後1週までの新生児に対しては12時間ごと、生後1ヵ月までの新生児に対しては8時間ごとに、それぞれ60分以上かけて点滴静注する。警告内容とその理由本剤の耐性菌の発現を防ぐため、「効能・効果に関連する使用上の注意」、「用法・用量に 関連する使用上の注意」の項を熟読の上、適正使用に努めること。禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)【禁忌(次の患者には投与しないこと)】本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者【原則禁忌(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)】1.テイコプラニン、ペプチド系抗生物質又はアミノグリコシド系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者2.ペプチド系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、テイコプラニンによる難聴又はその他の難聴のある患者[難聴が発現又は増悪するおそれがある。]※本内容は2021年5月12日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年10月改訂(改訂第16版)医薬品インタビューフォーム「塩酸バンコマイシン点滴静注用0.5g」2)シオノギ製薬:製品情報一覧

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AZ製ワクチン後の血栓症、発症者の臨床的特徴/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスSARS-CoV-2に対するChAdOx1 nCoV-19ワクチン(アストラゼネカ製)の接種により、因果関係は確定されていないものの、血液凝固異常(主に脳静脈血栓症と血小板減少症)に関連する、まれだが重篤な有害事象が引き起こされる可能性が示唆されている。英国・University College London Hospitals NHS Foundation TrustのMarie Scully氏らは、同ワクチン接種後に、ヘパリン療法の有無とは無関係に、血小板第4因子(PF4)依存性症候群が発現する可能性を示し、このまれな症候群の迅速な同定は、治療との関連で重要であることを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年4月16日号に掲載された。23例の1回接種後の臨床的特徴、検査値を評価 研究グループは、ChAdOx1 nCoV-19ワクチン接種後6~24日の期間に血栓症と血小板減少症(ワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症[VITT])を発症した患者の臨床的特徴と検査値に基づき、これらの病態の新たな基本的発症機序を検討し、その治療上の意義について評価した。 23例が登録された。平均年齢は46歳(範囲:21~77歳)、16例(70%)が50歳未満であり、14例(61%)が女性であった。深部静脈血栓症の既往歴のある1例と、配合経口避妊薬を服用している1例を除き、血栓症を引き起こす可能性のある病態や薬剤の使用歴のある患者はいなかった。 全例が、血栓症と血小板減少症の発症前6~24日(中央値12日)に、ChAdOx1 nCoV-19ワクチンの1回目の接種を受けていた。23例中22例が、急性血小板減少症を伴う血栓症(主に脳静脈血栓症)で、残りの1例では孤立性の血小板減少症を伴う出血性症状が認められた。23例中22例で抗PF4抗体陽性 全例が、発症時のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法による検査でSARS-CoV-2陰性であった。また、血清学的検査用の検体が得られた10例は、いずれもヌクレオカプシドタンパク質に対する抗体が陰性であったことから、最近、SARS-CoV-2に曝露された可能性は低いと考えられた。 全例で、発症時のフィブリノゲンは低~正常値で、Dダイマー値は急性血栓塞栓症患者で予測される値に比べ大きく上昇していた。また、血栓性素因やその原因となる前駆的要因の証拠はなかった。 全例で、ヘパリンベースの治療の施行前に採取された検体を用いてELISA法によるPF4に対する抗体検査が実施され、23例中22例が陽性(1例は不確定)、1例は陰性であった。また、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の検査を受けた9例は、全例が陰性だった。 著者は、「これらの患者で観察された病態生理学的特徴に基づき、血栓性症状の進行のリスクがあるため、血小板輸血治療は回避し、血栓性症状の初回発現時には、非ヘパリン系抗凝固薬と、免疫グロブリンの静注を検討することが推奨される」としている。

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ポロキサマー188、鎌状赤血球症の血管閉塞性疼痛改善せず/JAMA

 鎌状赤血球症の小児/成人患者における血管閉塞性の疼痛エピソードの治療では、ポロキサマー188はプラセボと比較して、非経口オピオイド鎮痛薬の最終投与までの期間を短縮しないことが、米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のJames F. Casella氏らが行った「EPIC試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年4月20日号で報告された。12ヵ国66施設のプラセボ対照無作為化第III相試験 研究グループは、鎌状赤血球症患者における血管閉塞性の疼痛エピソードに対するポロキサマー188の有効性を再評価する目的で、国際的な二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験を実施した(米国・Mast Therapeutics, Inc.の助成による)。 2013年5月~2016年2月の期間に、12ヵ国66施設で、年齢4~65歳、鎌状赤血球症(ヘモグロビンSS、鎌状赤血球、S-β0サラセミア、S-β+サラセミア)と診断され、非経口オピオイド鎮痛薬による治療を要する血管閉塞性の急性疼痛エピソード(4時間以上持続する中等度~重度の疼痛)で入院となった患者が登録された。 被験者は、ポロキサマー188(負荷投与量100mg/kg/時を静脈内投与後、30mg/kg/時を12~48時間持続注入)の投与を受ける群またはプラセボ群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 388例(平均年齢15.2歳、女性176例[45.4%])が無作為化の対象となり、ポロキサマー188群に194例、プラセボ群に194例が割り付けられた。15日の時点でフォローアップができたのは357例(92.0%)、30日時にフォローアップができたのは368例(94.8%)だった。16歳未満では明らかな有害性 無作為化の時点から非経口オピオイド鎮痛薬の最終投与までの平均時間(主要評価項目)は、ポロキサマー188群が81.8時間、プラセボ群は77.8時間であり、両群間に有意な差は認められなかった(群間差:4.0時間、95%信頼区間[CI]:-7.8~15.7、幾何平均比:1.2、95%CI:1.0~1.5、p=0.09)。 年齢と試験薬の有意な交互作用(p=0.01)に基づき年齢別の解析を行ったところ、16歳未満では、非経口オピオイド鎮痛薬の最終投与までの平均時間は、ポロキサマー188群の88.7時間に比べ、プラセボ群は71.9時間と有意に短かった(群間差:16.8時間、95%CI:1.7~32.0、幾何平均比:1.4、95%CI:1.1~1.8、p=0.008)。 ポロキサマー188群で頻度が高かった有害事象は高ビリルビン血症(12.7% vs.5.2%)などであり、プラセボ群で高頻度の有害事象は低酸素症(5.3% vs.12.0%)などであった。1件以上の重篤な有害事象が発現した患者は、ポロキサマー188群が33.9%、プラセボ群は29.8%だった。 著者は、「ポロキサマー188は、鎌状赤血球症患者における血管閉塞性疼痛の期間を短縮しなかった。既報の他の第III相試験では、16歳未満で明らかな有益性を認めたのに対し、本試験では有害性が示された」とまとめている。

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貧血と不眠症~メタ解析

 最近、いくつかのゲノムワイド研究において、不眠症と貧血に共通の遺伝的要素が関連している可能性が示唆されている。米国・ペンシルベニア州立大学のSamantha N. Neumann氏らは、貧血を有する成人は、そうでない人と比較し、不眠症の有病率が高いかどうかを調査するため、横断的研究およびメタ解析を実施した。Chinese Medical Journal誌2020年12月21日号の報告。 対象は、進行中のコホート研究であるKailuan研究に参加した中国人成人1万2,614人。貧血の定義は、女性でヘモグロビンレベル12.0g/dL未満、男性で13.0g/dL未満とした。不眠症の評価には、アテネ不眠尺度(AIS)中国語版を用いた。不眠症の定義は、AIS総スコア6以上とした。貧血と不眠症との関連は、年齢、性別、慢性疾患の状態、血漿C反応タンパク質濃度などの潜在的な交絡因子で調整した後、ロジスティック回帰モデルを用いて評価した。成人集団における貧血と不眠症の関連を評価するため、本横断研究と以前実施した3つの横断研究の結果をプールし、固定効果モデルを用いて、メタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・貧血を有する成人は、そうでない人と比較し、不眠症の有病率が高かった(調整オッズ比[OR]:1.32、95%信頼区間[CI]:1.03~1.70)。・C反応性タンパク質レベルが1mg/L以上のような慢性炎症を有する患者を除外した後でも、貧血と不眠症の有意な関連が認められた(調整OR:1.68、95%CI:1.22~2.32)。・参加者2万2,134人を含むメタ解析においても、貧血と不眠症に正の関連が認められた(プールされたOR:1.39、95%CI:1.22~1.57)。 著者らは「横断研究デザインの性質上、結果の解釈には注意が必要である」としながらも「貧血を有する成人は、不眠症である可能性が有意に高いことが示唆された」としている。

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全身性アミロイドーシス〔amyloidosis〕

1 疾患概要アミロイドーシスとは、通常は可溶性である蛋白質が、さまざまな要因により不溶性の線維状構造物であるアミロイドヘと変性し、諸臓器に沈着することで種々の機能障害を来す疾患群である1)。全身の諸臓器にアミロイド沈着が起こり臓器障害を引き起こす全身性アミロイドーシス、1つの臓器に限局してアミロイド沈着を起こす限局性アミロイドーシスに分類されるが、これまで42のアミロイド前駆蛋白質が明らかになっている(表)。表 主なアミロイドーシスの分類画像を拡大する(Buxbaum JN, et al. Amyloid. 2022;29:213-219.より引用作成)その中で患者数も多く、治療できる疾患は以下の通りである。ALアミロイドーシス、家族性アミロイドポリニューロパチー([familial amyloid polyneuropathy:FAP]、ATTRv)、老人性全身性アミロイドーシス(ATTRwt)は厚生労働省に難病指定されている。1)ALアミロイドーシス異常形質細胞が単クローン性に増殖し、その産物である免疫グロブリン(M蛋白)の軽鎖(L鎖)がアミロイドを形成する。まれに重鎖(H鎖)が前駆蛋白質となるAHアミロイドーシスもある。2)ATTRvアミロイドーシス遺伝的に変異を起こしたトランスサイレチン(transthyretin:TTR)が前駆蛋白となり末梢神経、自律神経系、心、腎、消化管、眼などの臓器に沈着する常染色体顕性遺伝形式のアミロイドーシスを言う。3)AAアミロイドーシス関節リウマチ(RA)など慢性炎症に続発し、血清アミロイドA蛋白が原因蛋白質となる。4)ATTRwtアミロイドーシスTTRが前駆蛋白となり、70歳代以降に発症しやすく、主に心臓や運動器に疾患を来す。5)透析アミロイドーシス長期の透析に伴いβ2ミクログロブリンが前駆蛋白となり、 手根管や運動器に沈着する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)アミロイド蛋白質の沈着臓器は、心臓、腎臓、消化管、神経、眼、運動器など多臓器にわたり、臨床症状は多彩である。初期にはALアミロイドーシスでは全身倦怠感、体重減少、浮腫、貧血などの非特異的症状があるが他の病型では特徴的な症状がない。経過中にうっ血他心不全、蛋白尿、吸収不良症候群、末梢神経障害、起立性低血圧、手根管症候群、肝腫大、巨舌、皮下出血などを呈する。1)心アミロイドーシス超音波エコーや心電図、MRI、血清NT-proBNPなどでスクリーニングができるが、ピロリン酸心筋シンチを行うと90%以上の感度でATTRvやATTRwt症例では陽性になることが明らかになっている。本症は最も生命予後を左右する。2)末梢神経障害ATTRvやATTRwtアミロイドーシス、ALアミロイドーシスなどで認められるが、皮膚パンチ生検、神経伝導速度、SudoScanなどで小径線維の障害を証明することが重要である。3)腎アミロイドーシスしばしばネフローゼ症候群を呈し、蛋白尿や浮腫、 低アルブミン血症を呈する。胸水や心嚢液貯留をみることもある。4)消化管胃および十二指腸に沈着しやすい。交替性下痢便秘が起こり吸収不良症候群や下痢がみられる。血管周囲へのアミロイドの沈着が起こり 消化管出血が起こることもある。■ 診断全身性アミロイドーシスの診断には、 少なくとも2臓器にわたる病変を認めることが重要であり、限局性アミロイドーシスと鑑別する必要がある。確定診断は病理検査が必要で、アミロイドーシス全般のスクリーニングとしては腹壁脂肪生検が広く行われている。低侵襲性で簡便であるが、ATTRv以外では感度が低いため、複数の臓器(消化管[とくに胃・十二指腸]、口唇、皮膚、唾液腺、歯肉生検など)での生検を行いコンゴレッド染色で陽性を確認する必要がある。その後、前駆蛋白を免疫組織染色で決定し(決定できないときは質量分析装置を使用する)、各種検査により病変臓器の範囲を決定し、治療の方針を決めていく。ALアミロイドーシスではM蛋白の検出には、血清・尿の電気泳動が行われてきたが、遊離軽鎖(free light chain:FLC)が保険適用となり感度が98%と高いことから、広く行われるようになっている。アミロイドーシスでは疾患特異的なマーカーがないので、既存の疾患に該当しない場合、まず本症を疑うことが重要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)1)ALアミロイドーシスボルテゾミブ、サリドマイドなどの化学療法薬も用いられるが、ダラツムマブ+ボルテゾミブ+シクロフォスファミド+デキサメタゾン(DCyBorD)療法が保険適用となっている。2)ATTRvアミロイドーシス(1)肝移植アミロイド原因蛋白質である異型TTRの95%以上が肝臓で産生されることから、1990年以来、世界各国で肝移植が試みられてきたが治療薬剤の登場と共に行われなくなった。(2)薬剤療法TTRの四量体を安定化させアミロイド沈着を防ぐdiflunisal(外国購入で使われている)、タファミジス(商品名:ビンダケル)が使用可能になり、ニューロパチー、心機能悪化が抑制されている。また、RNAi治療薬パチシランナトリウムを改良し3ヵ月に1回の皮下注射製剤、ブトリシラン(同:アムヴトラ)が開発され、ニューロパチーには改善効果が認められている(海外ではすでに心アミロイドーシスにも使用されている)。(3)眼科的治療緑内障や硝子体混濁に関しては手術を行う。3)ATTRwtアミロイドーシスタファミジスが心不全の改善効果を示し、死亡率を抑制することが明らかになっている。siRNA TTR製剤もATTRvに伴う心不全に対し改善効果があることが明らかになっている。4)AAアミロイドーシス本症を引き起こす原疾患はRAが大多数であるため、リウマチ治療薬が結果として本症の治療になる。抗IL-6受容体抗体トシリズマブ(同:アクテムラ)投与によりアミロイド沈着が完全に消失したとする報告もある。5)透析アミロイドーシス透析膜の改良により発症頻度が低下している。透析にアミロイド吸着カラム(リクセル)を用いることがある。6)その他の対症療法心アミロイドーシスは利尿薬による対症療法が中心となる。ジギタリスやカルシウム拮抗薬はアミロイド線維と結合し感受性が高まるため、中毒のリスクや血行動態悪化の危険があるので、注意が必要である。腎アミロイドーシス蛋白尿の減少にACE阻害薬が有効であることもある。末期の腎不全に関しては腹膜透析、血液透析を行う。腎移植は腎以外のアミロイドの沈着がない場合に考慮する。消化管アミロイドーシスでは下痢に注意が必要である。低栄養状態の患者には十分な栄養を経口、経静脈的に補給する。4 今後の展望ALアミロイドーシスでは、ミエローマ細胞に対する治療薬の開発が進んでいる。ATTRvアミロイドーシスではgene silencing治療に加え、CRISPR-Cas9システムによるゲノム編集治療がPhase studyIIに入っている。AAアミロイドーシスは原因疾患としては最も多いRAの生物製剤治療が進み、今後さらに患者数は減っていくものと思われる。透析アミロイドーシスは透析膜の改良によりさらに患者数が減少している。ALアミロイドーシスとATTRvの組織沈着アミロイドをターゲットとした抗体治療の開発が進みPhase studyに入っている。5 主たる診療科ALアミロイドーシスは血液内科、ATTRvアミロイドーシスは神経内科、循環器内科、消化器内科、整形外科、ATTRwtアミロイドーシスは循環器内科、神経内科、整形外科、AAアミロイドーシスはリウマチ科、透析アミロイドーシスは腎臓内科などの診療科が、これまで主に診療にあたってきたが、アミロイドーシス全体の啓発活動が活発化し、横断的な診療が行われるようになった。心アミロイドーシスを来すのはAL 、ATTRv、ATTRwt アミロイドーシスなどで高率にみられる。どの全身性アミロイドーシスも腎にアミロイド沈着がみられるので腎臓内科の関与が必要である。また、ATTRvアミロイドーシスにおいては眼アミロイドーシスを呈するため、眼科の関与が必要となる。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報「アミロイドーシス調査研究班」(厚生労働省)ホームページ(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報道しるべの会(FAP患者家族会)(患者とその家族および支援者の会)1)植田光晴 編集、安東由喜雄 監修. 21世紀の疾患:神経関連アミロイドーシス. 2020;医学と看護社.2)Kastritis E, et al. N Engl J Med. 2021;385:46-58.3)Ando Y, et al. Amyloid. 2022;29:143-155.4)Frederick L. et al. J Am Coll Cardiol. 2019;73:2872-2891.5)Buxbaum JN, et al. Amyloid. 2022;29:213-219.公開履歴初回2021年4月28日更新2024年6月21日

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CLLに対するアカラブルチニブ、初回治療でも有効性示す

 2021年3月、再発・難治の慢性リンパ性白血病(CLL)に対して国内承認された選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬アカラブルチニブ(商品名:カルケンス)について、CLL初回治療においても有効性が認められたという。オハイオ州立大学のJohn C Byrd氏らの研究によるもので、Blood誌2021年3月30日号オンライン版に掲載された。 CLLは白血病の中で、リンパ系幹細胞が比較的時間をかけてがん化するものを指す。日本においては10万人あたり0.2人(2008年調査)と比較的稀な疾患だ。現在、CLL初回治療として承認されたBTK阻害薬にイブルチニブがあるが、アカラブルチニブとは有害事象の出現の特性が異なるとされ、アカラブルチニブが承認されれば治療の選択肢が広がることとなる。 本試験は、単群第I/II相臨床試験(ACE-CL-001)であり、未治療で化学療法不適のCLL患者99例が登録された。患者の年齢中央値は64歳、Rai分類ステージIII~IV期が47%だった。アカラブルチニブ200mgを1日1回、または100mgを1日2回、進行または忍容性がなくなるまで経口投与した。 主な結果は以下のとおり。・99例中57例(62%)は免疫グロブリン重鎖可変部体細胞遺伝子変異(IGHV)陰性、12例(18%)はTP53遺伝子異常があった。・追跡期間中央値53ヵ月時点で85例が治療を継続しており、14例の中止理由は有害事象(AE)6例、病状進行3例などだった。・全奏効率は97%(部分奏効90%、完全奏効7%)で、すべての予後不良サブグループでも同様の結果が得られた。・100mg投与でBTK占有率が改善されたため、全患者が100mgに移行した。・重篤な AE は38 例(38%)で報告され、中止となった6例の内訳は二次原発がん(4例)と感染症(2例)だった。Grade3以上のイベントは、感染症(15%)、高血圧(11%)、出血性イベント(3%)、心房細動(2%)などだった。 著者らは、本試験におけるアカラブルチニブの持続的な有効性と長期的な安全性は、症状のある未治療のCLL患者の臨床管理におけるアカラブルチニブの使用を支持するものである、としている。

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COVID-19感染流行下における血液疾患診療の指針まとめ/日本血液学会【Oncologyインタビュー】第32回

日本血液学会は3月半ば、「新型コロナウィルス感染症蔓延下における血液疾患診療について」と題した声明を発表した。血液腫瘍を専門とする医療者に向け、疾患別に分けたうえで新型コロナ流行下での診療方針と、患者へのワクチン接種の推奨について留意事項をまとめたものだ。この声明をまとめた日本血液学会理事、造血器腫瘍診療ガイドライン委員会委員長である筑波大学の千葉 滋氏(血液内科 教授)に作成の経緯と狙いを聞いた。インタビューはzoom形式で行われた―このタイミングで声明を出された経緯は?これまでも、学会としては米国血液学会(ASH)や欧州血液学会(EHA)が発表した情報(Q&Aなど)を紹介、アップデートしてきました。ただ、日本は感染蔓延状況が欧米に比べればマイルドであり、また治療を入院で行うか外来で行うかが異なることもあります。このため、欧米における危機対応の判断の中には必ずしも日本の現状にそぐわない点もある、という声がありました。そこで、作業のためのワーキングチームで議論を始めました。また、学会誌である「臨床血液」の2月号がCOVID-19の特集号となっており、こちらと相互補完的に情報共有ができればよい、とも考えました。―COVID-19の影響で血液疾患の治療にはどんな変化がありましたか?日本では感染者の絶対数が北米や欧州諸国ほど多くありません。日本で血液疾患を診療しているのは中〜大規模医療機関が主体ですが、こうした病院において血液疾患の診療を大幅に抑制せざるを得なくなったところはあまり多くないのではと思います。血液疾患には「急速に病態が進む」ものと「緩やかな経過をたどる」ものがあります。急速に病態が進む疾患は、COVID-19感染リスクを勘案したとしても、治療を待てないケースが大半です。一方で、緩やかな経過をたどる疾患では、計画どおり治療を進めるべきか、COVID-19感染リスクを考慮して計画を変更すべきか、慎重に判断すべき時期があります。血液疾患は疾患そのものが要因で免疫不全になり、さらに治療によって一段と深刻になるケースが多いため、治療のベネフィットと感染リスクの見極めが必要になるからです。たとえば悪性リンパ腫の中で緩やかな経過をたどる疾患における寛解後の維持療法では、ベネフィットがリスクと比して少ないと医師が判断した場合には、治療を延期・中断するなどの判断が行われると思います。日本血液学会のサイト上で公開されている声明他のがんでは、「COVID-19による受診控えでがんの診断や治療が遅れる」といった問題も指摘されてきました。しかし、血液腫瘍は病態進行の速さから何ヵ月も受診を控えることが現実的でない場合が多いですし、一般に血液腫瘍が疑われるとなるべく早く専門施設の受診を勧められるケースが大半です。ですから、COVID-19蔓延のための受診控えによって治療の遅れが多数のケースで生じた、ということはなかったのではないかと想像しています。血液学会で計画されている「COVID-19レジストリ―研究ワーキンググループ」の調査により、血液疾患を持つ新型コロナ感染者の実態の一部が明らかになると思います。―今回の声明では、ASH等の海外学会が発信しているQ&Aと違う意見が述べられているのでしょうか?米国はもともと人口当たりの病床数が日本に比べて圧倒的に少なく、入院費用も非常に高額であるため入院期間が短く、日本では入院となるような治療(たとえば自家造血幹細胞移植など)でも外来で行われてきたという実態がありました。ここに、日本よりも2桁多い累計3,000万人を超えるような数の新型コロナの感染者が発生したことから、外来・入院それぞれで病院機能が受けた影響は日本に比べ格段に大きかったと推察されます。このために、血液疾患の治療も平時の治療から変更せざるを得ないケースが出てきて、そのノウハウが情報発信されているものです。一方で、日本では先にお話ししたように、血液疾患の治療を平時のものから変更しなければならないような事態には必ずしも至っていないため、今回の声明でも「従来のガイドラインに沿った治療を継続すべき」との見解が多くなっています。ただ、一部には、通院間隔を空けるため投与間隔の長い薬剤に変更する、維持療法を見送る、等の提案をしている箇所もあります。―血液疾患患者に対するワクチン接種の推奨はどのようになっていますか?基本的には「打てる状況ならば、打っておいたほうがいい」というスタンスです。実際には、ワクチン開発中の治験に組み入れられた血液疾患の患者はおらず、エビデンスが蓄積されるのはこれからです。一般にがん患者がCOVID-19に罹患すると重症化リスクが高いとさまざまに報告されており、ワクチンの有効性のデータからも血液がんあるいは他の血液疾患で接種を推奨しない理由はありません。ただ、実際はそれほど単純ではありません。血液疾患患者は免疫不全状態にあることが多く、抗がん剤や免疫抑制剤による治療中であればさらにそれが顕著となります。結果として、一般の方よりもワクチンの効果が低くなることが予想されます。もともとワクチン接種による免疫獲得の成功率は100%ではありませんが、血液疾患患者の成功率はさらに下がる可能性が高い。とくに同種造血幹細胞移植後の患者さんは免疫がほとんど消えてしまいます。移植後に免疫が回復するには時間がかかりますので、これまでも移植後は6ヵ月経過し免疫抑制剤を中止した後に、肺炎球菌や麻疹・風疹などへの予防接種をしていました。生ワクチンは移植後1年経過してからです。新型コロナワクチンについては、移植後いつ接種すべきかが一層深刻な問題です。免疫回復を待っている間にも感染する危険がありますので。こうした点について声明では、欧米の推奨と共に、基本的な考え方を記述しています。一方、新型コロナワクチンを優先接種したすぐ後で抗がん剤治療や移植を実施すれば、ワクチンの効果が消えてしまう可能性もあります。「消えたら再接種ができるのか」という問題はまだ議論もされていない状況ですから、抗がん剤治療や移植が計画されている場合にいつ接種するかは、慎重な判断が求められるわけです。骨髄腫など治療が長期に及ぶ疾患においても、治療中のどのタイミングでワクチンを接種するのか、という別の判断が必要です。骨髄腫についてはつい先頃、日本骨髄腫学会が独自に留意点などを公表しています。こう見ていくと、大多数の血液疾患の患者さんにワクチン接種は推奨されるものの、実際にどのタイミングで接種するかは、個々の患者さんの疾患と治療の段階に応じて主治医と相談しながら決めていただく、という結論になるでしょう。血液疾患といっても多種多様です。血液学会のほかに移植・免疫療法、骨髄腫、血栓・止血、小児血液・がんなどの専門学会があるので、そちらからの声明もご確認いただければと思います。参考サイト日本血液学会「新型コロナウィルス感染症蔓延下における血液疾患診療について-留意事項-」日本骨髄腫学会「骨髄腫患者に対する新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン接種について」

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多発性骨髄腫、CRd療法でダラツムマブ追加の有効性確認/JAMA Oncol

 最近の研究によって、多発性骨髄腫の1次治療として、プロテアソーム阻害薬ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾンの3剤併用(VRd療法)にダラツムマブを追加することの有用性が確認されたが、プロテアソーム阻害薬をカルフィルゾミブに代えたCRd療法においても、ダラツムマブ追加の有効性が示されたという。米国・メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのOla Landgren氏らの非ランダム化MANHATTAN試験の結果によるもので、JAMA Oncology誌4月15日号オンライン版に掲載された。 2018年10月1日~2019年11月15日の間にメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターで新たに多発性骨髄腫と診断された患者41例が登録された。治療開始からの追跡期間中央値は20.3(95%CI:19.2~21.9)ヵ月だった。 カルフィルゾミブ(1、8、15日)、レナリドミド(1~21日)、デキサメタゾン(週次)、ダラツムマブ(1、8、15、22日[1~2サイクル]、1、15日[3~6サイクル]、1日[第7、8サイクル])投与を、28日間・8サイクル実施した。主要評価項目は、微小残存病変(MRD)率、副次的評価項目は安全性と忍容性の評価、奏効率の評価、無増悪生存率(PFS)と全生存率(OS)だった。 主な結果は以下のとおり。・41例の年齢中央値は59歳(範囲:30~70歳)、25例(61%)が女性で、20例(49%)が高リスクの多発性骨髄腫であった。・主要評価項目である骨髄でのMRD陰性化(感度<10-5)は、41例中29例(71%、95%CI:54%~83%)で達成され、試験の成功が判断された。・MRD陰性化までの期間中央値は6(範囲:1~8)サイクルだった。・副次評価項目である全奏効率は100%(41/41)、非常に良好な部分奏効率または完全奏効率は95%(39/41)だった。・最も多かった(2例以上)グレード3または4の有害事象は、好中球減少(12例[27%])、発疹(4例[9%])、肺感染症(3例[7%])、アラニンアミノトランスフェラーゼ値の上昇(2例[4%])だった。死亡例はなかった。 著者らは、CRd療法+ダラツマブ併用療法は安全性と忍容性に優れている可能性があり、新たに多発性骨髄腫と診断された患者において高い残存病変陰性率と高いPFSを示すことが示唆された、としている。

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CLLに次世代BTK阻害薬アカラブルチニブを販売開始/アストラゼネカ

 アストラゼネカは2021年4月21日、「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能又は効果とした、アカラブルチニブ(商品名:カルケンス)の販売を開始した。アカラブルチニブは、経口投与可能な次世代の選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬である。・製品名:カルケンスカプセル 100mg・一般名:アカラブルチニブ・効能又は効果:再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)・用法又は用量:通常、成人にはアカラブルチニブとして1回 100mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。・製造販売承認日 2021年1月22日・薬価100mg 1カプセル 15,202.20円・薬価基準収載日 2021年4月21日・発売日 2021年4月21日

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腎性貧血に対するHIF-PH阻害薬モリデュスタットを発売/バイエル薬品

 バイエル薬品は、HIF-PH(低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素)阻害薬モリデュスタットナトリウム(商品名:マスーレッド)を腎性貧血治療薬として2021年4月22日に発売したと発表した。本剤は、保存期および透析期慢性腎臓病(CKD)の主要な合併症の1つである腎性貧血に対して、1日1回の経口投与によりヘモグロビン値を管理できる腎性貧血治療薬。 本剤は、高地などで低酸素状態に適応する際の身体の生理的な反応を穏やかに活性化し、エリスロポエチンの産生を誘導して赤血球の産生を促進することにより、腎性貧血を改善する。錠剤の識別性の向上のため、両面に製品名や用量を印字している。 本剤の承認は、透析実施前(保存期CKD)および透析(血液透析および腹膜透析)実施中の患者を対象とした国内第III相臨床試験プログラム「MIYABI」(5試験)などの試験成績に基づいている。MIYABIのうち実薬対照試験では、主要評価項目である評価期間中の平均ヘモグロビン値のベースラインからの変化量に関して、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)に対する本剤の非劣性が検証された。なお、有害事象の発現頻度はESAと同程度だった。 HIF-PH阻害薬としては、ロキサデュスタット(商品名:エベレンゾ、アステラス製薬)、ダプロデュスタット(同:ダーブロック、グラクソ・スミスクライン)、バダデュスタット(同:バフセオ、田辺三菱製薬)、エナロデュスタット(同:エナロイ、日本たばこ産業/鳥居薬品)の4剤が発売されており、モリデュスタットは5剤目となる。マスーレッドの概要販売名:マスーレッド錠5mg/12.5mg/25mg/75mg一般名:モリデュスタットナトリウム効能・効果:腎性貧血用法・用量:<保存期慢性腎臓病患者>・赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合通常、成人にはモリデュスタットとして1回25mgを開始用量とし、1日1回食後に経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1回200mgとする。・赤血球造血刺激因子製剤から切り替える場合通常、成人にはモリデュスタットとして1回25mg又は50mgを開始用量とし、1日1回食後に経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1回 200mgとする。<透析患者>通常、成人にはモリデュスタットとして1回75mgを開始用量とし、1日1回食後に経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1回200mgとする。製造販売承認取得日:2021年1月22日発売日:2021年4月22日薬価:マスーレッド錠5mg 44.30円/12.5mg 93.70円/25mg 165.10円/75mg 405.30円製造販売元:バイエル薬品株式会社

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再発非ホジキンリンパ腫にcopanlisib+リツキシマブが有効/Lancet Oncol

 再発した非ホジキンリンパ腫患者を対象に、PI3K阻害薬であるcopanlisibとリツキシマブの併用療法の有効性と安全性を評価したCHRONOS-3試験の結果が、Lancet Oncology誌4月10日号オンライン版に掲載された。 CHRONOS-3は、世界186施設で行われた多施設共同、二重盲検、無作為化第III相試験。対象はPS2以下、1年以上無増悪かつ無治療、または化学療法不適の場合は6ヵ月以上無治療の成人再発非ホジキンリンパ腫患者で、copanlisib+リツキシマブ群とプラセボ+リツキシマブ群に無作為で割り付けられた。主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)だった。 主な結果は以下のとおり。・2015年8月3日~2019年12月17日の間に458例が適格となり、copanlisib+リツキシマブ群(copanlisib群)307例、プラセボ+リツキシマブ群(プラセボ群)151例に割り付けられた。・追跡期間中央値は19.2カ月(IQR:7.4~28.8)だった。・copanlisib群のPFS中央値は21.5ヵ月(95%CI:17.8~33.0)で、プラセボ群の13.8ヵ月(10.2~17.5、HR:0.52[0.39~0.69]、p

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総合内科専門医試験オールスターレクチャー 血液

第1回 急性・慢性白血病第2回 悪性リンパ腫第3回 多発性骨髄腫 Oncology emergency第4回 骨髄増殖性腫瘍 造血幹細胞移植第5回 貧血性疾患・造血不全第6回 出血・血栓性疾患 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。血液については、渡邉純一先生が講義します。数々の新薬の登場による血液腫瘍の治療法の変化が最大のポイントです。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 急性・慢性白血病第1回のテーマは、急性・慢性白血病です。急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病について、近年のガイドラインの改訂や、新規薬剤の情報を整理して解説します。第2回 悪性リンパ腫血液の第2回は、悪性リンパ腫について解説します。悪性リンパ腫については、低悪性度から高悪性度B細胞リンパ腫など、各種それぞれのリンパ腫に適した、多数の新規薬剤が登場し、治療のスタンダードとなっています。臨床データを押さえながら、新しい治療薬について説明します。第3回 多発性骨髄腫 Oncology emergency血液の第3回は、多発性骨髄腫とOncology emergencyについて解説します。近年、さまざまな新規薬剤によって、予後が改善している多発性骨髄腫。ただし、完治が厳しい疾患であることには変わりなく、共存を目的とした治療計画が立てられています。薬剤のメカニズムと副作用も重要なポイントです。悪性腫瘍の経過で、急速に悪化した場合の緊急治療Oncology emergencyについて、血液内科領域の対応や基礎疾患、症状を確認します。第4回 骨髄増殖性腫瘍 造血幹細胞移植骨髄増殖性腫瘍には、真性多血症、原発性骨髄繊維症、本態性血小板血症があります。年齢によってリスクが変化するため、治療方針も異なります。使用する薬剤のメリットとデメリットも確認しましょう。造血幹細胞移植には、自家移植と同種移植があります。とくに同種移植について、合併症のリスクや保険適用となった新薬の解説をします。第5回 貧血性疾患・造血不全骨髄不全の疾患である、再生不良性貧血、発作性夜間血色素尿症、骨髄異形成症候群について解説します。近年ガイドラインが改訂された、再生不良性貧血の診療指針の変更点や、骨髄異形成症候群のリスク分類を確認しておきましょう。造血不全による貧血性の疾患は、各種貧血の病態や、保険適用となっている薬剤など、基本をしっかり復習します。第6回 出血・血栓性疾患出血・血栓性疾患には、血小板減少を伴うものと、凝固異常を伴うものがあります。特発性血小板減少性紫斑病と血栓性血小板減少性紫斑病のガイドラインには、新薬が加えられました。播種性血管内凝固は、診断基準がアップデートされたので注意しましょう。後天性血友病、フォンウィルブランド病、抗リン脂質抗体症候群、先天性血友病についてもポイントを説明します。

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Onco-Cardiology(腫瘍循環器学)とは【見落とさない!がんの心毒性】第1回

はじめに生活習慣の欧米化や高齢化に伴い本邦の疾病構造は大きく変化し、がんの増加と共にがんに循環器疾患を合併する患者さんが増加しています。世界的にもがん治療の進歩に伴う新しい抗がん剤の登場により循環器合併症(心毒性)の頻度が高くなり、がんと循環器の両者を診療する腫瘍循環器学(Onco-Cardiology)が注目されるようになりました。このような中、2000年に米国MDアンダーソンがんセンター循環器内科にOnco-Cardiology 外来が、本邦では2011年に大阪府立成人病センターにおいて腫瘍循環器外来を開始しました。当時、subspeciality化が進む医療現場においてニッチな学際領域であったOnco-Cardiologyは、がん治療専門施設や大学病院の循環器内科の腫瘍循環器外来として開設されました。それから約10年の歳月を経て、2020年末に日本腫瘍循環器学会の編集により「腫瘍循環器診療ハンドブック」1)が作成され、がん診療の現場での腫瘍循環器診療の標準化が始まろうとしています。しかしながら、すべてのがん診療の現場において対応するには未だ腫瘍循環器医の数は十分ではなく、がん治療の複雑化と長期化に伴う新たな心毒性の出現やがんサバイバーの増加に伴う晩期心毒性の出現など、Onco-Cardiologyにおいて新たな課題が生まれてきています。本連載は、「腫瘍循環器学:Onco-Cardiology」を初めて耳にされる方や、がん診療を行っておられる腫瘍専門医や循環器専門医の皆様で実際に心毒性のコントロールに困っておられる先生を対象に、現在第一線で腫瘍循環器診療を行っているエキスパートらが知っておいていただきたい事項の解説、具体的な症例を提示しながらOnco-Cardiologyの最新情報を紹介します。なお、本企画を連載するメンバーは、それぞれが異なった規模の医療施設において実際にOnco-Cardiologyの診療・研究を行っています。Onco-Cardiologyをできるだけ多くの読者の皆様に知っていただき、理解いただくためにも、それぞれの経験を元に最新情報を交えながらOnco-Cardiologyを紹介してまいります。掲載の都合上、不足部分については「腫瘍循環器診療ハンドブック(日本腫瘍循環器学会編集)」をお手元に置いて連載を読んでいただければ、より理解が深いものになると期待いたしております。腫瘍循環器学(Onco-Cardiology)とは従来、がんと循環器はお互いに離れた関係にあり、1970年代アントラサイクリン系抗がん剤の投与による心筋症が報告されたものの両者が触れ合う機会は決して多くありませんでした。しかしながら、21世紀を迎え分子標的薬が登場しHER2阻害薬(トラスツズマブ)心筋症などの新しい機序の心毒性が登場するようになると、循環器専門医ががん診療に介入する機会は急激に増加するようになります。(図1)に示すように新たな心毒性が出現するごとに腫瘍循環器に関連した論文数は増え、2010年以降には急速な増加を認めています2)3)。とくに血管新生阻害薬や新たな標的に対する薬剤の登場により、心筋毒性が中心であった心毒性は高血圧症や動脈・静脈血栓塞栓症などの血管毒性や不整脈関連毒性(QTc延長、心房細動、心室性頻拍症ほか)など多彩な病態を呈するようになり、循環器専門医による診療が不可欠です。さらに、免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象(irAE)では、腫瘍循環器医のみならず内分泌内科専門医、神経内科専門医など複数の診療科が共同で診療する必要のあるような複雑な合併症を示す症例も多く認められます。(図1)腫瘍循環器学関連の論文数と循環器合併症(心毒性)の推移画像を拡大するがん診療における心血管リスクの変化がん診療は発がん前の時点から始まり、急性期がん治療期、がんの回復・寛解期、そしてがん治療が終了した後と、それぞれのステージに合わせて腫瘍専門医によるがん治療が行われます。その間、(図2)に示すように心血管リスクはがん発症前~がん治療中に出現する急性期心毒性、治療開始後から1年程度で認める慢性期心毒性、そしてがん治療が終了し数年から10年以上が経過し潜在的に進行する晩期心毒性と、各ステージにおいて、がん種のみならず患者の病態や治療内容により大きく変化しています4)。(図2)がん診療における心血管リスクと腫瘍循環器診療画像を拡大する腫瘍循環器医は、腫瘍専門医の依頼によりそれぞれのステージに合わせ診療を行い、がん治療前に患者が有する心血管リスクを層別化することでがん治療による心毒性の発症を予測します。さらに、治療前から有する生活習慣病などのリスク因子を適正化することでがん治療のリスクを軽減し、がん治療が開始した後は心毒性の早期発見、早期治療を行います。従って、急性期心毒性への対応は、腫瘍専門医を中心として外来化学療法室、薬剤師などの多くのメディカルスタッフと連携し、あくまでがん治療の継続を第一の目標としてがん患者の安全性を確保すると共にがん治療の適正化を目指します。その一方で、がん治療が終わったがんサバイバーに出現する晩期心毒性に対する対応は、長期的にわたる循環器疾患モニタリングによる継続的な循環器ケア(continuum of cardiovascular care)が必要となります。本邦ではこのがんサバイバーがすでに500万人以上とされ、現在も急速に増加しているため、腫瘍循環器外来のみならず一般の循環器外来でも診療の機会が増えています。すでにがん治療が終了したがんサバイバーにとって、晩期心毒性への対応は急性期がん治療を専門とする医療機関のみでは困難な場合が多く、腫瘍循環器医、かかりつけ医(総合内科医)、薬剤師などを含めた長期間にわたる医療連携が必要となっています。実際の医療現場では晩期合併症に対する医療リソースは決して十分ではなく、日々進歩するがん診療において今後の大きな課題となっています5)。今後の方向性がんと循環器における関係は、2017年の日本腫瘍循環器学会設立を機に、国や学会レベルでも学際領域の連携が進み、基礎・臨床・疫学研究への支援が加速しています。前述の「腫瘍循環器診療ハンドブック」により腫瘍循環器外来における基本的な治療指針が示されたことで、今まで触れることのなかった多くの医療者にもOnco-Cardiologyがより身近なものとなっています。今後、多くのエビデンスが集積されることで本邦独自の腫瘍循環器関連診療ガイドラインが作成され、がん患者へより良い治療が提供できることが期待されています。1)日本腫瘍循環器学会編集委員会編. 腫瘍循環器診療ハンドブック.メジカルビュー社. 2020.2)Barac A, et al. J Am Coll Cardiol. 2015;65:2739-2746.3)Herrmann J, et al. Nat Rev Cardiol. 2020;17:474-502.4)Okura Y, et al. Cir J 2019;83:2191-2202.5)向井幹夫. 医学のあゆみ 2020; 273:483-488.講師紹介

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