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医師の英語学習、どのくらいお金と時間をかけている?/1,000人アンケート

 英語で学会発表を行ったり、外国人患者を診療したりするために、英語は医師にとって欠かせないスキルとなっている。英語を学ぶ主な目的や学習方法といった医師の英語学習状況を把握するため、会員医師1,021人を対象に『医師の英語学習に関するアンケート』を9月21日に実施した。年代別の傾向をみるため、20~60代以上の各年代を約200人ずつ調査した。その結果、英語学習に最も費用と時間をかけているのは30代であることなどが明らかとなった。海外学会への参加頻度から、おすすめの英語系YouTubeチャンネルや語学学習アプリなど、学習に役立つツールまで、英語学習に関するさまざまな意見が寄せられた。医師全体の18%が海外学会に参加 「Q1. 2022~23年、どれくらい海外学会に参加しましたか?(参加形式は発表・聴講を問わない、オンラインでの参加も含む)」という設問では、年代別に海外学会への参加の実態を聞いた。全体で18%が1回以上参加していた。 年代別で1回以上の参加率が高い順に、30代(24%)、40代(23%)、20代(17%)、50代(14%)、60代以上(12%)であった。一方、20~50代では、期間中1回の参加の割合が最も多くを占めていたが、60代以上は、3回以上参加した割合が最も多かった(7%)。診療科別の海外学会参加率(1回以上)では、参加率が高い順に、皮膚科(39%)、血液内科(36%)、放射線科(30%)、腎臓内科(29%)、リハビリテーション科(27%)であった。医師が英語を学ぶ目的、年代が低いほど研究、高いほど臨床を重視 「Q2. 医療業務やキャリアアップに関わるもので、英語を学ぶ目的は?(当てはまるものを3つ選択)」の設問では9つの選択肢を設け、多い順に「医学論文を投稿するため」(39%)、僅差で「外国人患者を診療するため」(39%)、続いて「英語の学会発表を聴くため」(31%)、「外国人医療者とコミュニケーションを取るため」(26%)、「英語で学会発表を行うため」(26%)であった。 医師が英語を学ぶ目的については、年代別で傾向が分かれた。目的別で最も多い年代は、「医学論文を投稿するため」は20代、「英語で学会発表を行うため」は30代、「外国人患者を診療するため」は60代、「外国人医療者とコミュニケーションを取るため」は50代となり、年代が低いほど研究に関わる目的の割合が高く、年齢が高いほど臨床に関わる目的が高くなった。英語学習に最も時間とコストをかけている医師は30代 「Q3. 現在行っている英語学習法は?(当てはまるものすべて選択)」では、選択肢を12個設け、多い順に「英語論文を読む」(47%)、「YouTube、Podcast」(21%)、「勤務先の抄読会」(14%)、「市販のテキストやラジオ」(13%)、「英語のドラマや映画、小説」(12%)、「英語学習アプリ」(10%)となった。30代と40代では、「YouTube、Podcast」、「英語学習アプリ」の割合が多く、60代以上では、「市販のテキストやラジオ」、「英語の映画やドラマ、小説」が多かった。 「Q4. 英語学習に月間かける費用は?」の設問では、費用をかけていない医師の割合が71%と大半を占め、次いで「1円以上、5,000円未満」が20%であった。「Q5. 英語を学習する頻度は?」の設問では、英語を学習する習慣のある医師が60%であった。学習の頻度は、多い順に「週に1日」(26%)、「週に2、3日」(15%)、「毎日」(10%)、「週に4~6日」(9%)であった。30代が英語学習に費用をかけている割合が最も多く(33%)、学習する習慣のある医師も最も多かった(67%)。医師がおすすめする英語学習法 Q6では、自由回答として、おすすめの英語学習法やサービス名、そのほか英語学習に関する意見を聞いた。回答者から寄せられた意見、おすすめの学習法、英語系YouTubeチャンネル、語学学習アプリなどは以下のとおり。【YouTube】・あいうえおフォニックスは発音や英語表現を簡単にテンポよく解説してくれる。(総合診療科・30代)・英語学習系YouTuberのタロサック。(総合診療科・30代)・もりてつという塾講師のYouTubeが参考になる。(総合診療科・40代)・フレンズ英会話はおすすめです。(腫瘍科・50代)・Kevin's Englishは楽しいです。(産婦人科・60代)【アプリ・オンラインツール】・ChatGPTは活用している。(小児科・40代)・スピーク、ELSA、mikanというアプリがおすすめ。(放射線科・20代)・スタディサプリ。(消化器内科・30代)・NHKの語学講座アプリ。無料で複数回復習ができる。(小児科・40代)・Duolingo。(皮膚科・40代)・HiNative(ネイティブにチャットで質問できるアプリ)。(呼吸器内科・40代)・DMM英会話で毎日外国の人と話し、振り返りをしている。あとはアプリで単語を覚えたり、発音の練習などしている。(循環器内科・30代)【ニュース】・ワシントンポストやニューヨークタイムズの動画ニュースを聞く。(小児科・40代)・CNN English Express。(消化器外科・50代)・BBCのPodcast。(腎臓内科・30代)【論文・学会】・ひたすら論文を書いています。(総合診療科・30代)・英文抄録を読む。(内科・60代)・好きなジャンルの講演を聴く。(血液内科・40代)・NEJMやJAMAのPodcast。(循環器内科・60代)【その他、独自の工夫】・IELTSを受けている。(臨床研修医・20代)・駅で電車を待っている間や、外を歩いているときに英語で独り言を呟いてみる。(消化器内科・40代)・歌詞を覚えて歌う。(消化器外科・50代)・子供用アニメは英語がそれほど難しくなくとっつきやすい。(泌尿器科・50代)・医療系の英語ドラマで、英語の字幕を見ながら英語で聞いて、言葉を復唱する。海外留学の経験からも、これが一番の勉強法だと思います。(内科・50代)【英語が使えてよかったこと】・突然海外からの患者が来た時に、対応できるので信頼度が上がる。(小児科・20代)・英語論文を書く時間がかからない。(整形外科・30代)・外資系の産業医活動ができた。海外出張に参加できた。(精神科・50代)・日々の絶え間ない学習が有効とわかったのが良かった。(その他・60代)アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。医師の英語学習、おすすめの学習ツールは?/医師1,000人アンケート

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英語で「任せます」は?【1分★医療英語】第101回

第101回 英語で「任せます」は?《例文1》Please leave it to me.(私に任せてください)《例文2》I’ll leave it to you whether you start the medication today or not.(この薬を今日から飲み始めるかどうかは、あなたにお任せします)《解説》“leave”には「離れる」や「置いておく」といった意味がありますが、これに関連して「任せる」という意味もあります。同じく“leave”の動詞を使って「仕事を託す」といったイメージで、”I'll leave it to you.” または“I’ll leave it in your hands.”(あなたにお任せします)といったように使います。また、何か仕事を進めてもらうような状況では、“Please go ahead.”(どうぞ進めてください)という表現もよく使われます。また、「仕事を引き継いでもらう」といった状況では、“Over to you.”(よろしく)という表現もよく使われますが、目上の人にはやや失礼に当たるので注意しましょう。「任せる」という意味の表現には、“It’s up to you”というものもあります。これは「あなた次第です」と訳されることが多いですが、言い方によっては突き放した表現にも聞こえてしまうため、使う際には注意が必要です。上の表現にも出てきた“hand”を使って「仕事を託す」というイメージで、“It’s in your hands now.”(今からお任せします)という言い方も可能です。講師紹介

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血管内/外溶血を抑制する発作性夜間ヘモグロビン尿症薬「エムパベリ皮下注1080mg」【最新!DI情報】第2回

血管内/外溶血を抑制する発作性夜間ヘモグロビン尿症薬「エムパベリ皮下注1080mg」今回は、補体(C3)阻害薬「ペグセタコプラン(商品名:エムパベリ皮下注1080mg、製造販売元:Swedish Orphan Biovitrum Japan)」を紹介します。本剤は、発作性夜間ヘモグロビン尿症における世界初のC3阻害薬であり、血管内溶血および血管外溶血の抑制が期待されています。<効能・効果>発作性夜間ヘモグロビン尿症の適応で、2023年3月27日に製造販売承認を取得し、9月4日より販売されています。なお、本剤は、補体(C5)阻害薬による適切な治療を行っても、十分な効果が得られない場合に投与されます。<用法・用量>通常、成人には、ペグセタコプランとして1回1080mgを週2回皮下投与します。なお、十分な効果が得られない場合には、1回1080mgを3日に1回の間隔で皮下投与することができます。補体(C5)阻害薬から本剤に切り替える際は、補体(C5)阻害薬中止による溶血を抑えるため、本剤投与開始後4週間は補体(C5)阻害薬を併用します。<安全性>国際共同第III相試験(PEGASUS/APL2-302試験)の無作為化投与期間において多く認められた副作用は、注射部位紅斑14.6%、注射部位反応9.8%、注射部位硬結7.3%、注射部位腫脹7.3%などでした。なお、重大な副作用として、莢膜形成細菌による重篤な感染症(頻度不明)、髄膜炎菌感染症(頻度不明)、過敏症(2.5%)が設定されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、発作性夜間ヘモグロビン尿症に対して補体(C5)阻害薬による適切な治療を受けているにもかかわらず、効果が不十分な場合に投与される注射薬です。2.血管内の溶血を防ぐとともに、血管外の溶血も防ぎます。3.投与中および投与終了後2ヵ月は、「患者安全性カード」を常に携帯してください。4.主治医以外の医師の診察を受ける場合には「患者安全性カード」を掲示し、必ずこの薬を使用していることを医師および薬剤師に伝えてください。5.投与中に発熱や悪寒、頭痛など感染症を疑う症状が生じた場合は、たとえ軽度であっても主治医に連絡してください。<ここがポイント!>発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は溶血性貧血の一種であり、免疫機構の1つである補体によって赤血球が攻撃、破壊される病気です。現在のところ根本的な治療は造血幹細胞移植のみですが、補体(C5)阻害薬であるエクリズマブやラブリズマブによる治療を続けることで症状の進行を抑えることができます。しかし、補体(C5)阻害薬は効果が不十分となることがあり、また一部の患者では肝臓や脾臓などで溶血する「血管外溶血」がみられることがあります。本剤は、補体C3とC3bを特異的に阻害し、血管内溶血を防ぐとともにC5阻害薬で活性化されたC3bの血管外溶血も抑制することができます。エクリズマブ治療でHb値が10.5g/dL未満のPNH患者に対して、本剤を投与したときの有効性および安全性をエクリズマブ継続投与と比較した国際共同第III相試験(PEGASUS/APL2-302試験)において、主要評価項目である無作為化投与期間の16週時点のHb値のベースラインからの変化量は、本剤群は+2.37g/dL、エクリズマブ群は-1.47g/dL、群間差は3.84g/dL(95%信頼区間:2.33~5.34)であり、本剤はエクリズマブ群に比べてHb値を有意に改善しました。本剤は免疫系の一部を阻害するため、髄膜炎菌や肺炎球菌、インフルエンザ菌b型などによる重篤な感染症にかかる可能性が高まります。そのため、本剤を初めて使用する2週間前までに、これら3種のワクチンを接種する必要があります。なお、重篤な感染症を引き起こすリスクは投与終了後も数週間続くことがあるので、患者安全性カードを患者に携帯する必要があります。

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エフガルチギモド、一次性免疫性血小板減少症に有効/Lancet

 一次性免疫性血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病)は後天性の自己免疫疾患で、血小板抗原を標的とする自己抗体がその一部を媒介しており、ほかの疾患との明確な関連のない孤立性血小板減少症(血小板数<100×109/L)を特徴とする。患者は、出血イベント(まれに生命を脅かす)や疲労を呈し、QOLの低下を招く場合もある。米国・ジョージタウン大学のCatherine M. Broome氏らは「ADVANCE IV試験」において、ファーストインクラスの抗胎児性Fc受容体(FcRn)抗体フラグメント製剤エフガルチギモドが、プラセボと比較して、本症の慢性期の患者における血小板数の持続的臨床効果について有意に優れ、忍容性も良好で有害事象の多くは軽度~中等度であることを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年9月28日号に掲載された。アジア、欧米の71施設の無作為化プラセボ対照第III相試験 ADVANCE IV試験は、日本を含むアジア、欧州、北米の71施設が参加した24週間の二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年12月~2022年2月の期間に患者のスクリーニングを行った(argenxの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、平均血小板数が30×109/L未満で、過去に少なくとも1回の免疫性血小板減少症の治療が奏効し、ベースラインで同時併用療法を受けているか、過去に少なくとも2回の免疫性血小板減少症の治療を受けている、慢性(罹患期間>12ヵ月)または持続性(同3~12ヵ月)の一次性免疫性血小板減少症の患者であった。 これらの患者を、エフガルチギモド(10mg/kg)またはプラセボを静脈内投与する群に2対1の割合で無作為に割り付けた。最初の4週間は週1回の投与を行い、その後は担当医の裁量で、週1回投与を継続するか、血小板数≧100×109/Lの場合は2週に1回の投与に変更することが可能であった。 主要エンドポイントは、慢性の免疫性血小板減少症の集団における血小板数の持続的臨床効果(直近6週間のうち少なくとも4週で血小板数が≧50×109/L)とした。 131例(年齢中央値47.0歳[四分位範囲[IQR]:18~85]、女性54%)を登録し、86例をエフガルチギモド群に、45例をプラセボ群に割り付けた。これらの患者は、平均罹患期間が10.6年で、67%(88/131例)が少なくとも3回の免疫性血小板減少症の治療歴のある長期罹患者であった。131例のうち慢性の患者は118例(エフガルチギモド群78例、プラセボ群40例)だった。慢性だけでなく、全体でも有効 主要エンドポイントを達成した慢性期の患者の割合は、プラセボ群が5%(2/40例)であったのに対し、エフガルチギモド群は22%(17/78例)と有意に高かった(補正後群間差:16%、95%信頼区間[CI]:2.6~26.4、p=0.032)。 24週の治療期間のうち病勢コントロール(血小板数≧50×109/L)を達成した週数の中央値は、プラセボ群が0.0週(IQR:0.0~1.0)であったのに比べ、エフガルチギモド群は2.0週(0.0~11.0)であり有意に優れた(p=0.0009)。 全131例における主要エンドポイントを達成した患者の割合も、エフガルチギモド群で優れた(26% vs.7%、補正後群間差:19%、95%CI:5.7~29.6、p=0.011)。 安全性解析は全131例で行った。エフガルチギモド群は忍容性も良好で、試験薬投与中に発現した有害事象(TEAE)の重症度は多くが軽度~中等度であった。重篤なTEAEは、エフガルチギモド群が8%、プラセボ群は16%で、治療関連TEAEはそれぞれ17%、22%で発現した。注目すべきTEAEのうち、両群で最も頻度が高かったのは、頭痛(エフガルチギモド群16%、プラセボ群13%)、血尿(16%、16%)、点状出血(15%、27%)であった。 著者は、「本研究の結果は、一次性免疫性血小板減少症の慢性期の患者であっても、本症の病態生理においてはIgGが重要であることを示しており、とくに治療困難な患者の治療選択肢としてのIgG低下療法の適用可能性についての理解を深めるものである」とし、「このデータは、胎児性FcRnのIgG recyclingの阻害による病原性IgG抗体の減少が、複数の治療によっても病勢がコントロールされていない一次性免疫性血小板減少症の患者の治療において有効なアプローチとなることを示唆する」と指摘している。

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早期中絶後のRh検査、免疫グロブリン投与の必要性/JAMA

 妊娠第1期の人工妊娠中絶はRh感作のリスクではなく、妊娠12週より前の人工妊娠中絶後のケアとして、Rh検査および免疫グロブリンの投与は不要であることが、米国・ペンシルベニア州立大学のSarah Horvath氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2023年9月26日号で報告された。米国の前向きコホート研究 本研究は、妊娠12週0日以前に人工妊娠中絶(薬剤、手術)を受けた女性506例の中絶前後の血液サンプルを用いて、胎児性赤血球(fRBC)が検出されるかを検証する米国の多施設共同前向きコホート研究である(米国・Society of Family Planning Research Fundの助成を受けた)。 主要アウトカムは、妊娠第1期の人工妊娠中絶後に、fRBC数がRh感作の閾値(総赤血球数500万個当たりのfRBC数125個)を超えた女性の割合であった。 506例のうち、319例(63.0%)が薬剤による中絶、187例(37.0%)は手術による中絶を受けていた。平均年齢は27.4(SD 5.5)歳で、313例(61.9%)が黒人、123例(24.3%)は白人だった。中絶後fRBC数と関連するベースラインの背景因子はなかった 506例中3例は、ベースライン時にfRBC数がRh感作閾値を超えて上昇しており、このうち1例(0.2%、95%信頼区間[CI]:0~0.93)は中絶後に上昇していた。これ以外に、人工妊娠中絶後にfRBC数がRh感作閾値を超えて上昇した例はなかった。 fRBC数中央値は、薬剤による中絶では4.0個(最大58個)、手術による中絶では3.0個(最大32個)であり、fRBC数が閾値を超えて上昇した例の割合は、それぞれ0%(95%CI:0~1.4)、0%(0~1.6)であった。 最適化された測定法では、薬剤による中絶と手術による中絶で、中絶後のfRBC数の分布に統計学的な有意差は認めなかった。 ベースラインからのfRBC数の変化量中央値は0個であり、fRBC数の95パーセンタイル値は24個、99パーセンタイル値は35.6個であった。 また、中絶前と後のfRBC数には強い関連性(p<0.001)を認めたが、中絶後のfRBC数と有意な関連を示すベースラインの患者背景因子はなかった。 著者は、「これらの結果は、妊娠第1期の人口妊娠中絶後にRh検査や免疫グロブリン投与は不要であることを示唆している。このエビデンスは、妊娠第1期の人工妊娠中絶後のRh免疫グロブリン投与に関する国際的なガイドラインに、有益な情報をもたらす可能性がある」としている。

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アントラサイクリン系薬剤による心機能障害をアトルバスタチンは抑制したがプラセボとの差はわずかであった(解説:原田和昌氏)

 近年、Onco-cardiologyが注目されており、がん化学療法に伴う心毒性を抑制できる薬剤の探索が行われている。動物実験や小規模なランダム化比較試験では、アントラサイクリン系薬剤による左室駆出率(LVEF)低下に対する、アトルバスタチンの抑制作用が報告されていたが、乳がんを中心としたPREVENT試験では効果を示せなかった(ドキソルビシン換算の中央値、240mg/m2)。 リンパ腫患者においてアトルバスタチン(40mg/日)の投与はプラセボと比較して、アントラサイクリン系薬剤に関連する心機能障害を有意に抑制し、心不全の発生には有意な差がないことが、二重盲検無作為化プラセボ対照臨床試験であるSTOP-CA試験で示された(同、300mg/m2)。主要評価項目はLVEFが化学療法前後で絶対値において10%以上低下し、12ヵ月後に55%未満となった患者の割合で、プラセボ群22%対アトルバスタチン群9%であった(p=0.002)。しかし、群全体としてのEF低下幅はスタチン群4.1%で、プラセボ群5.4%との差は1.3%のみであった(p=0.029)。 がん化学療法の心毒性に対する抑制効果のメタ解析では、スピロノラクトン、エナラプリルが最も有効で、スタチン、β遮断薬がこれに続いた。また、アントラサイクリン系薬剤もしくはトラスツズマブ治療を受けた患者のコホート研究では、ACE阻害薬、β遮断薬の治療にて全死亡が少なかった。さらに、アントラサイクリン系薬剤治療に関するメタ解析では、β遮断薬によって心不全の発症が有意に低下した。 スタチンによる心保護作用についてはさまざまな機序が推定されており、その意味で本試験の結果は納得のいくものである。そもそも、最近のメタ解析によるとスタチンにはHFrEF患者の入院の抑制作用も示されている。しかし、EF低下幅の差1.3%で有意差を出すことができたのは、ひとえに試験デザインの秀逸さによるものと考えられる。

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国際学会発表に活用する【医療者のためのAI活用術】第6回

(1)学会発表原稿作成に使えるプロンプト英語がネックで国際学会での発表を躊躇している方がいらっしゃるかもしれません。しかし、英語の文章の生成が得意なChatGPTをここでも有効活用することができます。なお、学会によってはChatGPTの使用を禁止、もしくは使用した場合には使用したことの明示を求めている場合があるため、各学会の指針を確認してください。研究や症例報告などの論文化を前提に、国際学会で発表をするという方もいらっしゃると思います。その場合、論文の文章をもとに学会発表のための英語原稿を作成する必要が出てきますが、論文の文章をそのまま使用すると、話した時に違和感のある英語になってしまいます。論文の文章から発表用の原稿を作成したい場合、以下のようなプロンプトを使用することができます。#役割あなたは優秀な研究者です#命令書入力文の抄録を学会発表で話すための原稿に変更してください#制約条件出力は英語で行ってください難しい表現は避け、自然な英語にしてください#入力文(ここに抄録を入力)図1に抄録の一部をこのプロンプトを用いて書き換えた例を示しています。中には違和感のある表現もあり、すべてを採用するのは避けたほうがよいですが、伝わりやすい表現があれば参考にすることができます。(図1)論文の文章を発表用の原稿に書き換え画像を拡大する(2)学会発表の質疑応答に使えるプロンプトChatGPTを利用して、文章をもとに質問やコメントを考えてもらうことが可能です。たとえば国際学会での発表を控えていて、質疑応答に備えて想定質問とその回答をあらかじめ用意しておきたい状況があると思います。また、国際学会で座長を任された際に、事前に提出された抄録からコメントや質問を考えておきたいというシチュエーションもあるかもしれません。そのような場合、以下のようなプロンプトが有効です。#役割あなたは○○領域の権威ある教授で、学会の座長です#命令書抄録に対して質問5個とコメント2個考えてください#制約条件出力は英語で行ってください研究の本質をつくような鋭い質問をしてください将来の研究につながるような建設的なコメントをしてください質問とコメントは口語調にしてください#入力文(ここに抄録を入力)例として、ある論文の抄録を入力すると、図2のように指示どおり5つの想定質問を考えてくれます。これをもとに事前に回答を用意しておけば、質疑応答がスムーズに行えるようになるかもしれません。また、図3のように建設的なコメントも考えてくれるため、座長になった時にもコメントをするのに役立ちます。もちろん、ChatGPTが提案したものをすべて採用する必要はなく、妥当なものだけを抽出して採用すればよいと思います。なお、ここでは例として英語で出力していますが、日本語の抄録を入力したり、日本語で出力したりすることも可能です。(図2)ChatGPTが考えた想定質問画像を拡大する(図3)ChatGPTが考えた座長コメント画像を拡大する

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新クラスの血友病A治療薬「オルツビーオ」製造販売承認を取得/サノフィ

 サノフィは2023年9月25日付のプレスリリースで、高い血液凝固第VIII因子活性を長く維持するファースト・イン・クラスの高活性維持型血液凝固第VIII因子製剤オルツビーオ(一般名:エフアネソクトコグ アルファ[遺伝子組換え])の製造販売承認を取得したことを発表した。オルツビーオは世界初で唯一の血友病A治療薬 血友病Aは生涯続く希少疾患で、血液凝固因子の欠乏により血液が凝固する機能が損なわれ、関節における過度の出血や自然出血により関節障害や慢性疼痛が現れ、生活の質(QOL)が損なわれる恐れがある。血友病Aの重症度は血液中の凝固因子活性レベルで評価され、出血リスクと血液凝固因子活性レベルは逆相関の関係にある。 オルツビーオの効能・効果は「血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」であり、本剤は、週1回の投与でその活性を週の大半にわたり正常~ほぼ正常範囲(40%超)に高く維持することができる、世界初で唯一の血友病A治療薬である。12歳以上の重症血友病A患者に対して、従来の血液凝固第VIII因子製剤による定期補充療法と比べ、有意に出血を減少させた。また、成人および小児の血友病Aにおける定期補充療法、出血時補充療法、ならびに周術期管理に使用できる。基本の用量は50IU/kgである(年齢や臨床状態、活動レベルによらず、あらゆる患者に対して適用)。 今回の承認は、NEJM誌に掲載された12歳以上の重症血友病A患者を対象としたピボタル第III相XTEND-1試験(結果)と、12歳未満の小児患者を対象としたXTEND-Kids試験(結果)を含む、重症血友病A患者から得られた良好な試験結果に基づく。 XTEND-1試験において、オルツビーオの週1回投与による定期補充療法は主要評価項目を達成し、重症血友病Aにおいて優れた出血抑制効果を示し、年間出血率(ABR)の平均値は0.71(95%CI:0.52~0.97)、ABRの中央値は0.00(Q1,Q3:0.00,1.04)であった。また、オルツビーオは重要な副次評価項目を達成し、前治療の既存の血液凝固第VIII因子製剤による定期補充療法との患者内比較でABRが77%減と有意な減少を示した(95%CI:58~87、p<0.001)。オルツビーオは血友病患者の生活のイメージを大きく変える新薬 小児を対象としたXTEND-Kids試験の最終結果では、オルツビーオの週1回投与を52週間受けた12歳未満の小児(73例)におけるABRの平均値は0.6(95%CI:0.4~0.9)、ABRの中央値は0(Q1,Q3:0.0,1.0)であった。XTEND-Kids試験の詳細な結果は、7月に開催された国際血栓止血学会(ISTH)年次総会で発表された。試験全体を通してオルツビーオの安全性プロファイルは確立されており、本剤の投与後に血液凝固第VIII因子に対するインヒビターの発現は認められず、発現頻度が10%以上の副作用は頭痛と関節痛であった。 サノフィの代表取締役社長である岩屋 孝彦氏は、「オルツビーオの承認取得は、血友病A患者にとって大きな前進となる。オルツビーオは、週1回の投与で1週間の大半にわたり血液凝固因子の高い活性レベルを維持できる医薬品であり、患者や医師が抱く血友病患者の生活のイメージが大きく変わる。サノフィは、オルツビーオをはじめとする革新的な数々の治療薬をさらに前進させ、世界中の希少血液疾患の患者の治療にパラダイムシフトを起こし、標準治療の変革をもたらせるよう尽力する」としている。 オルツビーオは、米国で2023年2月に承認されており、2017年8月にオーファンドラッグ、2021年2月にファストトラック、2022年5月には血液凝固第VIII因子製剤として初のブレークスルーセラピー(画期的治療薬)に指定されている。欧州では2019年6月にオーファンドラッグに指定され、2023年5月に承認申請している。

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Do not harm. 誰に処方すべきかよく考えてから。血友病におけるリバランス薬として初のローンチを控えるconcizumab(解説:長尾梓氏)

 血友病の治療の基本は長らく「不足した凝固因子を補充する」という原則にのっとって行われてきた。補充する薬剤は献血から遺伝子組み換え製剤に、半減期延長型から長半減期延長型へ都度進化はしてきたが、補充療法という原則は変わらなかった。5年前に初めて原則から外れる薬剤であるエミシズマブが発売されたが、それでもエミシズマブは第VIII因子を代替する薬剤であり、コンセプトは斬新なものの、専門医としては簡単に受け入れることができた。 今回データが発表されたconcizumabは、その原則とはまったく異なるコンセプトの薬剤である。俗に「リバランス薬」といわれるこの薬は、TFPIという体内で凝固を抑制する因子を抑制する抗体製剤である。凝固抑制因子を抑制することで、体内で出血傾向に傾いていたバランスを「リバランス」するというのが基本的な考え方である。リバランス薬は他にもantithrombinやProtein Cなどの凝固抑制因子を対象としてさまざまな製薬会社が開発に取り組んでいる。その中でもconcizumabは最も早期に発売が予定されている薬剤である。ちなみに、カナダではすでに発売されているが、血友病Bインヒビターのみが適応である。なぜ、血友病Bインヒビターだけが適応なのか?(日本とは承認条件が異なる可能性があるため、注意が必要です) 前述したエミシズマブはこれまで唯一の皮下注射剤であり、これまで頻回の静脈注射による治療で多くの苦労してきた血友病患者にとっては、ほぼ悲願であった。しかし、エミシズマブは血友病Aにしか使えない。血友病Bに使える皮下注射剤はこれまでなかった。加えて、エミシズマブはインヒビターの有無に関わらず使用できた。このため、これまで出血で非常に苦労してきた血友病Aインヒビター患者は完全に救われた。しかし、血友病Bインヒビター患者にはそのような夢の薬はなかった。 しかし、血友病Bでインヒビターのない患者には、超半減期延長型製剤といってもいい薬剤がすでに存在していた。最長3週間に1回の定期補充療法で出血抑制を抑制することが可能な状況で、出血回数も非常に良好にコントロールされることが臨床試験からも臨床上の経験からもわかっていた。つまり、血友病Bインヒビターの患者が取り残されていたのだ。 concizumabは血友病A/B、インヒビターの有無を問わず使用できる薬剤である。皮下注射薬であり、毎日の注射が必要なものの、発売元のNovo Nordiskは糖尿病のインスリン製剤での実績があり、非常に簡便なインジェクターを保有している。concizumabにもそれが使えるというわけである。 ただし、本論文に記載のあるとおりで、「進行中の臨床試験でconcizumabの投与を受けていた3例(本試験の1例を含む)に非致死的血栓塞栓イベントが発生したため、投与を中断し、用法を変更して再開した」経緯を持つ薬剤である。用法を変更して再開してからの事故は報告されていないものの、本来血栓を起こすリスクの低い血友病患者に、血栓を起こすことのないように。Do not harm.の原則を忘れずに、本当に必要な患者が誰なのか正確に特定し、適切に処方することが必要である。この記事がその検討に一助となれば幸いである。 血友病の治療はこれまで多くの進化を遂げてきたが、新たな薬剤が登場するたびに、治療法の選択やその使用方法についての認識を更新する必要がある。concizumabは、その新たな選択肢の1つとして、今後の治療の現場で大きな期待を持たれている。しかしながら、あらゆる治療には利点とリスクが存在する。患者の安全を最優先に、十分な情報と知識を持ったうえでの適切な判断が求められる。 医療従事者や関係者は、新たな治療法の導入や適用に関して、患者のニーズやリスクを総合的に評価し、最良の治療を提供するための研修や教育を受けることが重要である。また、患者自身やその家族にも、新しい治療法の利点やリスク、治療の手順や注意点などを十分に理解してもらうための教育や情報提供が必要である。

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9月15日 世界リンパ腫デー【今日は何の日?】

【9月15日 世界リンパ腫デー】〔由来〕世界50ヵ国、75の悪性リンパ腫患者会・関連支援団体で構成されている世界リンパ腫連合が、2004年よりこの日を「世界リンパ腫デー」として制定。安らぎと新たな命の息吹を表すライムグリーン色のリボンをシンボルに、世界的な疾患啓発活動を展開している。関連コンテンツASCO2023 レポート 血液腫瘍濾胞性リンパ腫フォーラム早期再発・難治性LBCL、axi-celでOS延長/NEJMホジキンリンパ腫初回治療、ニボルマブ+AVD療法がPFSを改善(SWOG S1826)/ASCO2023進行期皮膚T細胞リンパ腫への同種HSCT、PFSを有意に延長/Lancet

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ブラック教授選を戦い抜き、ホワイト医局をつくる

2021年に近畿大学医学部教授に着任した大塚 篤司氏。現職を含め計3回挑んだ教授選をテーマにしたコラムをWebで連載し、今年7月には”小説“として書籍『白い巨塔が真っ黒だった件』(幻冬舎)にまとめた。「Web連載のスタート時は医局改革について書くつもりだったのが、教授選について書いた回の反響があまりにも大きくて…。自分としてもきちんと振り返っておこうと本にまとめました」。執筆を終えての思いと、これからの展望について聞いた。理不尽さの前に立ち尽くす、日本の中堅層に読んでほしい――新著では、実力よりも政治力が問われる教授選の実態を、余すところなく描いています。波紋を呼びそうな内容の本書をまとめた原動力は?Web連載が始まると、「こんなところまで書いていいんですか?」と周囲からの反響が大きく、みんなそんなに教授選のことを知りたいのか、と感じました。反響の大きさから、書籍にまとめる話が進んだのですが、スキャンダラスな暴露本にはしたくなくて…。基本的に、連載もそれをベースにまとめた本書も“フィクション”です。主人公である僕の心情はリアルなものですが、ほかの登場人物や設定は架空のものです。物語としてまとめ直すことで、自分の書きたいことを縛りなく、書き切ることができました。僕はこれまで何冊も本を書きましたが、フィクションは初めて。編集の方に「小説の書き方」を手取り足取り教えてもらいました。おかげさまで、すらすら読めるエンタメ小説に仕上がったと思います。――教授選に2回破れ、精神的に追い詰められていく様子が描かれています。そこを乗り越え、3回目に挑まれた理由は?僕が医師になったのは2003年ですが、そのときは医師の働き方の多様性がありませんでした。医局に入るか、民間病院で部長になるか、開業するか、といったくらいの選択肢しかない。僕は研究をしたかったし、チームで仕事をしたかったので医局に入りましたが、入局したら「そのまま教授を目指す」のが既定路線であり、それをなぞってきた感はあります。そして、医局の中でいい経験もつらい経験もする中で、自分の理想とする医局をつくりたい、と思うようになりました。とはいえ、この20年間で医師のキャリアも多様化しました。僕はSNSの医療発信に力を入れており、それを契機に医療者以外の方とのつながりが増え、世界が広がりました。大学以外の場所でもチームで面白い仕事ができることを実感したのです。2回目の教授選の敗戦は精神的にこたえましたが、そのときにはそうした外とのつながりがあったので、「大学にいることにこだわらなくてもいいかな」と考えられました。そんなとき、今のポジションの話が来たのです。情報発信やマーケティングに熱心な大学だと聞いていたので自分と合うのでは、という気持ちがあったのと、「これでダメならもういいや」と割り切って挑むことができました。――本書を一番読んでほしい人は?Web連載は医療者向けのサイトで書いていたので、今回本にすることで一般の方にも届くといいなと思っています。以前の僕のように、硬直した組織の中で閉塞感を抱え、もっと本当はよくできるのに…と、モヤモヤした思いを抱えながら働いている、そんな中堅層の方でしょうか。僕も何度も組織に絶望し、夢を諦めそうになりました。でも、そのときに周囲や家族の助けがあって、いま一歩のところで踏みとどまってきました。不透明な意思決定などの理不尽な目に遭い、希望を失っている人が日本中にいます。そうした状況にいる人に「もう少し頑張れば、光が見える。一緒に頑張ろう」という励ましのメッセージを込めました。2年でここまで進めた医局改革――教授に着任されて2年、医局改革はどのように進めているのでしょうか?わかりやすいところでは、「教授の総回診」を廃止しました。小説『白い巨塔』で一般にも知られるようになった、医局のシンボル的な行事です。以前は教授の診察テクニックを若手が盗む、といった意味があったのだと思いますが、時代は変わり、若手が学べる場は増えました。若手の学びの場としては効率が悪く、患者さんからも「ぞろぞろ来られて、感じが悪い」というマイナスの声が上がるようになりました。もうそういう非効率的なことはやめよう、と決めたのです。病棟全体を把握する必要はあるので、週1回、僕と看護師長と病棟医長の3人で回診し、若手は相談があればそこに来てもらい、なければ自分の仕事をする、というスタイルにしました。――2024年からスタートする「医師の働き方改革」への対応は?皮膚科の特徴として、女性医師の比率がきわめて高いことがあります。僕の教室でも入局者の7~8割が女性で、彼女たちが希望を持ってキャリアを築ける環境づくりが必須です。子供のお迎えに間に合うよう、それまで就業時間後に始めていたカンファレンスを就業時間内に終わるよう改めたり、カンファレンスや勉強会を育児休業中の先生も見られるようにWeb配信して現場復帰をスムーズにしたり、といった工夫をしました。加えて、有給休暇をきちんと取れるように徹底しています。本書でも書いていますが、僕自身、過労とストレスで一度倒れたことがあります。また、スイスへの留学時は夏休みと冬休みをそれぞれ2週間ずつ取れる環境でした。それまで働き詰めだったので「そんなに休んだら成果が出ないだろう」と思っていたのですがそんなことはなく、しっかり休んだほうが、生産性が上がることを実感しました。そうした背景から、教授就任のタイミングで2週間連続して取得できる有給休暇を設定し、まずは自分から取るようにしています。女性の多い医局として、働き方改革の新たなモデルを率先してつくっていかなければと思っています。――医局は医師派遣など人事的な役割も大きいですが、個人の希望やキャリアとのバランスは?医局と人事は切っても切り離せない関係です。医師個人のキャリアや生活の満足度を上げつつ、地域の医療を守らなければなりません。近大は私立なので、国立大学とは地域医療において求められる役割が少し違いますが、それでも近県含め、医療が手薄な地域の方の健康を守る責任があります。本人が望まない人事は基本的にしませんが、まずは医局員とよく話すようにしています。たとえば、親の診療所を継ぐ予定のある人なら「地域の医療も知っておいたほうがいいかもしれないよ」とアドバイスするなど、視野を広げてキャリアを選べるように話し合っています。若手とたくさん話し、彼ら・彼女らの興味を知って、機会があれば外に連れ出したり、人を紹介したりしています。僕自身、大学から出て、外の世界の方とつながって、世界がぐっと広がった実感があります。希望を持ってキラキラした目で入局してきた若手が、狭い病院に閉じ込められ、疲弊してしまうのは避けたい。医師の仕事は忙しく、とくに若手の間は業務に忙殺されがちですが、無駄をなくし、時間を捻出し、外の世界とつなげて閉塞感を感じさせないようにする。そこはマネジメントの力量だと思います。――最近では医局に属さない若手医師も増えていますが、医局の魅力とは?批判的に語られることが多い医局ですが、その持つ力や価値は今でも大きいと思います。若手であれば、ロールモデルがたくさんいるのが良い所でしょう。「こんなキャリアがあるんだ」と参考にできる先輩がたくさんいます。そして、医師は個人でも働けますが、インパクトの大きな研究や、社会を動かす大きいプロジェクトはやはり組織でないとできません。ノーベル経済学賞を受賞した心理学・行動経済学者のダニエル・カーネマン博士が提唱している「ピーク・エンドの法則」というものを意識しています。これは「人間がいろいろな記憶を振り返ったときに、ピーク時とエンド時の記憶が印象を決める」という理論です。たとえば、ディズニーランドへ行ったとき、チケットが高かったとか行列に長時間並んだ、などのマイナスの経験をしても、アトラクションに乗ったときの楽しさと帰り際のパレードの素晴らしさ、つまりは「ピーク」と「エンド」の記憶が素晴らしいから、みんながまた行こうとするわけです。この理論を知ったとき、とても腑に落ちる感じがしました。医局がワクワクする「ピーク」を感じられる場となり、いつか離れる「エンド」には良い記憶として残ってほしいと思います。「チーム」としての実績を作りたい――今後の目標は?今後は「近畿大学皮膚科がやった仕事」を増やしたい。今はどうしても僕が前に出て、広告塔のようになっている面がありますが、研究でも臨床でも「ああ、近畿大学皮膚科っていい仕事をしてるよね」と認知されることを1つずつ作っていきたい。大学ですからもちろん研究業績ならいいですし、産学連携・ベンチャーなどもありうるでしょう。チームとしての実績を作り、認知されることが目標です。個人的な長期目標は、「老害」にならないこと(笑)。僕もこれまでやってきたことに対する自負があるので、年齢を重ねたとき、若手から批判されたら反発する気持ちは出ると思います。でも、だからといって「オレはすごい、まだまだやれる。批判するヤツは潰す」とやってしまったら、若い力が育たない。社会全体でそれをやって萎縮しているのが、今の日本でしょう。でも、権力を持つと人は簡単に変わってしまう。老害にならないためには、外とつながり続け、価値観をアップデートしていかねばなりません。幸い、周囲にいくつになっても最前線で活躍している方や若手を育てている方など、尊敬できる先輩方がいるので、そうした方たちの背中を見ながら、自分なりの働き方、生き方を追求したい。今回の執筆が大変ながらも楽しかったので、小説もまた書きたいですね。書籍タイトルの入ったオリジナルのネクタイは、高校生の娘さんのデザインによるもの。書籍情報『白い巨塔が真っ黒だった件』『白い巨塔が真っ黒だった件』著者大塚 篤司定価1,650円(税込)発行幻冬舎(2023年7月)(ケアネット 杉崎 真名)

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睡眠の質を高めるため、多くの医師がしていることは?/1,000人アンケート

 2024年4月から医師の働き方改革の新制度がスタートするが、長時間労働に端を発する医師の過労問題は改善されていないのが現状である。そのような中、睡眠は健康管理の重要カテゴリーとして医学界を筆頭にさまざまな業界で注目されているが、長時間労働者の象徴とも言える医師は果たして睡眠時間を確保できているのだろうか―。そこで、ケアネットでは多忙を極める医師の睡眠時間の実態を調査するために「睡眠状況、睡眠への意識について」のアンケートを実施。回答結果を診療科別、年代別、病床数別に抽出した。平均睡眠時間/睡眠の質に満足、全体の48% 今回は平均睡眠時間(当直時を除く)や睡眠に対する満足度、気になっていることについてそれぞれ質問した。平均睡眠時間や睡眠の質に満足していると回答した割合が半数以上であった診療科は全9科(血液内科、皮膚科、泌尿器科、精神科/心療内科、神経内科、腎臓内科、総合診療科、耳鼻咽喉科、内科)であった。一方、満足している回答者が少なかったのは、眼科(25%)、産婦人科(30%)、放射線科(31%)と続き、臨床研修医(37%)も満足できていない実態が明らかになった。また、年代別の満足度を見ると70代以上(59%)、40代(50%)、60代(49%)と続いた。1日の平均睡眠時間、6時間が最多 経済協力開発機構(OECD)が33ヵ国を対象に行った「1日の睡眠時間(睡眠に充てる時間)」に関する調査によると、日本人の睡眠時間は7時間22分と33ヵ国平均(8時間28分)と比較しても1時間以上短い。さらに「スタンフォード式 最高の睡眠」の著者である株式会社プレインスリープ創業者/最高研究顧問の西野 精治氏らが調査した日本人の平均睡眠時間は6時間43分と報告されている。これらを参考に、ここでは「睡眠時間5時間以下を睡眠時間が短い」と定義すると、本アンケート全体では4人に1人が睡眠不足であり、血液内科、総合診療科、麻酔科、小児科などが該当した。ただし、血液内科においては睡眠時間が短くても現状に満足していると回答している人が多く、睡眠時間が長い=満足、につながるわけではないことも言えるのではないだろうか。ちなみに、こちらも年代で見てみると、睡眠への満足度が高かった70代の3割超は5時間睡眠であった。医師が睡眠時に気になっていること 続いて「医師自身が睡眠時において気にしていること」を尋ねたところ、回答者の2/3が睡眠中の悩みを抱えており、最も多かったのは中途覚醒で、50代以上の回答が多かった。そのほか、いびき、入眠障害も年齢層問わず悩みの種として挙げられた。睡眠の質向上のため、マットレスや枕にこだわる 今回のアンケートでは医師が睡眠のためにこだわっている物事、活用している物も聞いてみた。その結果、枕と回答した人が最も多く(397人)、オススメ商品として「テンピュール」「じぶんまくら」を多数が挙げていた。次にマットレス/布団(317人)と回答した人が多く、「エアウィーヴ」「コアラマットレス」「シモンズ」などが選ばれていた。また、睡眠のために、「ヤクルト1000」などの乳酸菌飲料やサプリメントの摂取、就寝時間や食事時間など時間管理を挙げる人も多かった。 なお、厚生労働省は今年3月、睡眠について気になっているけれど対処法がわからずに悩んでいる人、肥満、高血圧、糖尿病などの疾患がある人を含む幅広い人を対象に作成された『良い目覚めは良い眠りから知っているようで知らない睡眠のこと』というパンフレットとともにその解説書を公開しており、患者への生活指導のみならず医師にも役立つツールなので、ぜひ参考にされたい。 このほか、医師の睡眠実態の詳細ほか、以下のアンケ―ト結果では医師が個人の見解でオススメする寝具、意識して取り入れている物の一覧も公開している。『医師の平均睡眠時間、睡眠への満足度は?』<アンケート概要>目的:睡眠が健康管理の重要なカテゴリーとして注目されていることから、多忙な医師の睡眠状況、睡眠に対する意識を調査した。対象:ケアネット会員医師 1,000人調査日:2023年8月24日方法:インターネット

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なぜ日本は遅れをとっているのか?小児抗がん剤ドラッグラグの現状

 2023年3月に閣議決定・取り組みが開始された「第4期がん対策推進基本計画」では、新規治療薬などへのアクセス改善に向け既存制度の見直しを含めた対応策の検討を行うことが明記され、厚生労働省は関連の研究班の発足やPMDAへの「小児・希少疾病用医薬品等薬事相談センター」の設置などに動き出している。背景には、ドラッグラグにとどまらずドラッグ“ロス”にも陥りかねない小児がん治療における現状があるという。国立成育医療研究センターの富澤 大輔氏に話を聞いた。2017年以降、米国承認済・日本未承認の医薬品が増加 成人と同様に小児がん領域においても分子標的薬の時代となり、開発が進んでいる。「有効性の高さに加え、がん治療終了後の長い人生を健康に過ごすことが目標となる小児がん治療において副作用が少ないことは大きなメリット」と富澤氏は話す。しかし一方で、標的が細分化され対象患者数が少なく、臓器横断的に有効性を発揮しうる分子標的薬では従来制度のみに基づく開発には限界がある。 米国では2017年、成人を対象とした新しい分子標的化合物について、腫瘍の種類または適応症によらず、医薬品の分子標的または作用機序が小児がんの増殖または進行に関連している場合、すべての成人用がん治療薬の新薬を小児でも試験することを義務付ける法律(RACE法)が新たに制定された。これを機に小児分野での開発が飛躍的に進み、FDA承認済で日本未承認の医薬品が増加している。さらに、新規の分子標的薬は日本に支社のないベンチャー企業が開発していることも多く、日本国内では開発すら行われない(=ドラッグロス)ことも懸念される。中国やオーストラリアと比較しても少ない日本の臨床試験数 国別の小児がん対象の臨床試験数をみたデータによると、2022年3月時点で米国は321、EUは168、中国は151、オーストラリアは76だったのに対し、日本は38と圧倒的に少ない。小児での臨床試験実施の難しさは世界共通であるものの、とくに日本の場合は臨床試験実施の要件が厳しいことが障壁となっていると富澤氏は指摘。たとえば小児では剤形の変更が必要になる場合も多いが、その際の添加物が日本で承認されていないと実施が難しくなる、併用薬が適応外の場合に海外では使用実績のデータなどを活用して新規薬のみを治験薬として試験が行われることが多いが、日本では併用薬も含めての試験実施となるためハードルが高くなるといったケースがある。 一方でこれらは、承認する薬剤については国が責任をもって安全性を確かめなければいけないという姿勢の現れでもあると富澤氏は話し、薬価制度含め日本の状況に合う形で、企業への適切なインセンティブの付与や試験実施のための環境整備・人材育成などが進むことが必要とした。小児領域での遺伝子パネル検査の普及にも課題 がん遺伝子パネル検査の適応には小児も含まれ、実施されているが、がんゲノム医療中核拠点病院およびがんゲノム医療拠点病院に指定されている小児専門病院は現時点で国立成育医療研究センターのみで、十分とはいえない。さらに、現状ではこの検査が外来の患者にしか使えず、入院患者の多い小児がん治療の現場では、一度退院してもらって検査を実施後再入院という形をとらなければならないことも課題と富澤氏。「使える分子標的薬を見つけることはもちろん大きな目的だが、小児の場合は診断に困るようなケースで遺伝子検査によって正確な診断につながることもあるし、予後予測のためのツールとすることも期待される」とし、小児がん治療の現場でも遺伝子検査は欠かせないものになっており、よりアクセスしやすい状況にしていくことが重要と話した。 がん対策推進基本計画への明記を含めようやく動き出しつつある現状だが、富澤氏は「現在も小児がんは子どもの病死原因の第1位であり、いま治療中の患者さんにとっては、5年後・10年後では間に合わない」と話し、広くこの問題が認知され、状況が改善されていくことに期待を寄せた。―――――――――――――――――――オンラインLIVEイベント「ケアネットまつり」で講義を配信予定!9月23日(土・祝)14:25~14:55「知っていますか?小児がんのドラッグラグ問題」日々小児がんの患者さんの診療に力を注いでいる国立成育医療研究センター小児がんセンターの富澤 大輔氏が、ドラッグラグが及ぼしている小児がん診療の実態と、これからその問題にどう立ち向かっていくのかを講義します。詳細ページはこちら(無料・予約不要)https://carenetv.carenet.com/mailimages/lp/fes/2023/info.html―――――――――――――――――――

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コーヒー・緑茶で貯蔵鉄が減少、閉経後女性は多飲による鉄欠乏に注意?~J-MICC佐賀地区研究

 コーヒーや緑茶の摂取は、腸において鉄分の吸収を阻害することにより、体内の貯蔵鉄の量を減少させると考えられている。貯蔵鉄が過剰となると酸化ストレスが増加し、心血管疾患やがんの発症リスクとなるため、コーヒーや緑茶の摂取がこれらのリスクを低下させる可能性が指摘されている。しかし、過剰摂取は鉄欠乏を招く可能性もある。そこで、南里 妃名子氏(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所)らの研究グループは、日本多施設共同コホート研究(J-MICC Study)佐賀地区の調査に参加した1万435人を対象として、コーヒー、緑茶の摂取量と血清フェリチン値との関係を検討した。その結果、男性および閉経後女性では、コーヒー、緑茶はいずれも摂取量が多いほど血清フェリチン値が低かった。閉経前女性では、緑茶の摂取量のみに同様の関連が認められた。また、閉経後女性において、コーヒーを1日3杯以上飲む人は飲まない人と比べて、鉄欠乏が多くみられた。本研究結果は、Frontiers in Nutrition誌2023年8月10日号に掲載された。コーヒー・緑茶の摂取量と血清フェリチン値、男性と閉経後女性で負の関連 2005~07年において、J-MICC Study佐賀地区の調査に参加した40~69歳の健康成人1万435人を対象として、性別、閉経の有無別にコーヒーおよび緑茶の摂取量と血清フェリチン値の関係を検討した。また、鉄欠乏(血清フェリチン値12μg/L未満)との関係も検討した。 コーヒーおよび緑茶の摂取量と血清フェリチン値、鉄欠乏との関係を検討した主な結果は以下のとおり。・血清フェリチン値の中央値は男性115.0μg/L、閉経前女性13.7μg/L、閉経後女性63.7μg/Lであった。・鉄摂取量やビタミンC摂取量を含む多変量解析の結果、男性ではコーヒー、緑茶の摂取量と血清フェリチン値にはいずれも負の関連が認められた(それぞれp for trend=0.004、0.016)。・同様に、閉経後女性においてもコーヒー、緑茶の摂取量と血清フェリチン値にはいずれも負の関連が認められた(それぞれp for trend=0.023、<0.001)。・閉経前女性では、緑茶の摂取量と血清フェリチン値に負の関連が認められたが(p for trend=0.01)、コーヒーの摂取量との関連は認められなかった。・同様にコーヒー、緑茶の摂取量と鉄欠乏との関連を検討した結果、閉経後女性ではコーヒー、緑茶の摂取量と鉄欠乏にはいずれも負の関連が認められた(それぞれp for trend=0.004、0.049)。男性、閉経前女性には関連が認められなかった。・閉経後女性において、コーヒーを1日3杯以上飲む人は飲まない人と比べて、鉄欠乏の割合が有意に高率であった(4.8% vs.2.3%、オッズ比:2.20、95%信頼区間:1.06~4.56)。

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がんサバイバーの心不全発症、医療者の知識不足も原因か/日本腫瘍循環器学会

 9月30日(土)~10月1日(日)の2日間、神戸にて第6回日本腫瘍循環器学会学術集会が開催される(大会長:平田 健一氏[神戸大学大学院医学研究科 内科学講座 循環器内科学分野])。それに先立ち、大会長による学会の見どころ紹介のほか、実際にがんサバイバーで心不全を発症した女性がつらい胸の内を語った。がん治療を始める前に、病歴にもっと目を向けてほしかった 今回のメディアセミナーに患者代表として参加した女性は、10代で悪性リンパ腫の治療のために抗がん剤を使用。それから十数年以上経過した後に健康診断で乳がんを指摘されて乳房温存手術を受けたが、その後にリンパ節転移を認めたため、抗がん剤(計8コース)を行うことになったという。しかし、あと2コースを残し重症心不全を発症した。幸いにも植込み型補助人工心臓(VAD)の臨床試験に参加し、現在に至る。 この女性は医療機関にかかる際には必ず病歴を申告していたそうだが、治療の際に医療者から“抗がん剤の種類によっては生涯使用できる薬剤量の上限があること”を知らされず、「後になって知った」と話した。今回、過去の治療量が反映されなかったことが原因で心不全を発症したそうだが「乳がん治療のための抗がん剤を始める際は、むくみや動悸については説明があったものの、抗がん剤が心臓に与える影響や病歴について何も触れられなかったことはとても残念だった。5コース目の際に看護師に頻脈を指摘されたがそれ以上のことはなかった。VADは命を救ってくれたが私の人生の救いにはまったくなっていない。日常生活では制約だらけでやりたいことは何もできない」と悔しさをにじませた。「生きるために選択した治療が生きる希望を失う状況を作り出してしまったことは悔しく、残念でならない」とする一方で、「医療者や医療が進歩することを期待している」と医療現場の発展を切に願った。 これに対し小室氏は、医療界における腫瘍循環器の認知度の低さ、がん治療医と循環器医の連携不足が根本原因とし「彼女の訴えは、治療歴の影響を鑑みて別の抗がん剤治療の選択はなかったのか、心保護薬投与の要否を検討したのかなど、われわれにさまざまな問題を提起してくださった。患者さんががん治療を完遂できるよう研究を進めていきたい」とコメントした。 前述の女性のような苦しみを抱える患者を産み出さないために、がん治療医にも循環器医にも治療歴の聴取もさることながら、心毒性に注意が必要な薬剤やその対処法を患者と共有しておくことも求められる。そのような情報のアップデートのためにも4年ぶりの現地開催となる本学術集会が診療科の垣根を越え、多くの医療者の意見交換の場となることを期待する。さまざまな学会と協働し、問題解決に立ち向かう 大会長の平田氏は「今年3月に発刊されたOnco-cardiologyガイドラインについて、今回のガイドラインセッションにて現状のエビデンスや今後の課題について各執筆者による解説が行われる。これに関し、2022年に発表されたESCのCardio-Oncology Guidelineの筆頭著者であるAlexander Lyon氏(英国・Royal Brompton Hospital)にもお越しいただき、循環器のさまざまなお話を伺う予定」と説明した。また、代表理事の小室 一成氏が本学会の注力している活動内容やその将来展望について代表理事講演で触れることについても説明した。 主な見どころは以下のとおり。<代表理事講演>10月1日(日)13:00~13:30「日本腫瘍循環器学会の課題と将来展望」座長:南 博信氏(神戸大学内科学講座 腫瘍・血液内科学分野)演者:小室 一成氏(東京大学大学院医学系研究科 循環器内科学)<ガイドラインセッション>9月30日(土)14:00~15:30座長:向井 幹夫氏(大阪国際がんセンター)   南 博信氏(神戸大学内科学講座 腫瘍・血液内科学分野)演者:矢野 真吾氏(東京慈恵会医科大学 腫瘍血液内科)   山田 博胤氏(徳島大学 循環器内科)   郡司 匡弘氏(東京慈恵会医科大学 腫瘍血液内科)   澤木 正孝氏(愛知県がんセンター 乳腺科)   赤澤 宏氏(東京大学 循環器内科)   朝井 洋晶氏   (邑楽館林医療企業団 公立館林厚生病院 医療部 内科兼血液・腫瘍内科)   庄司 正昭氏   (国立がん研究センター中央病院 総合内科・がん救急科・循環器内科)15:40~17:10座長:泉 知里氏(国立循環器病研究センター)   佐瀬 一洋氏(順天堂大学大学院医学研究科 臨床薬理学)演者:窓岩 清治氏(東京都済生会中央病院 臨床検査科)   山内 寛彦氏(がん研有明病院 血液腫瘍科)   田村 祐大氏(国際医療福祉大学 循環器内科)   坂東 泰子氏(三重大学大学院医学系研究科 基礎系講座分子生理学分野)   下村 昭彦氏(国立国際医療研究センター 乳腺・腫瘍内科)<シンポジウム>9月30日(土)9:00~10:30「腫瘍と循環器疾患を繋ぐ鍵:clonal hematopoiesis」10月1日(日)9:00~10:30「がん患者に起こる心血管イベントの予防と早期発見-チーム医療の役割-」/日本がんサポーティブケア学会共同企画10:40~11:50「腫瘍循環器をメジャーにするために」/広報委員会企画13:40~15:10「免疫チェックポイント阻害薬関連有害事象として心筋炎の最新の理解と対応」15:20~16:50「小児・AYAがんサバイバーにおいてがん治療後出現する晩期心毒性への対応」/AYAがんの医療と支援のあり方研究会共同企画15:20~16:50「第4期がんプロにおける腫瘍循環器学教育」/学術委員会企画<Keynote Lecture>9月30日(土)11:20~12:10「Onco-cardiology and echocardiography (GLS)」Speaker:Eun Kyoung Kim氏(Samsung Medical Center)<ストロークオンコロジー特別企画シンポジウム>10月1日(日)10:50~11:50「がん合併脳卒中の治療をどうするか」 このほか、教育セッションでは双方が学び合い、コミュニケーションをとっていくために必要な知識として、「腫瘍循環器学の基本(1)~循環器専門医からがん専門医へ~」「腫瘍循環器学の基本(2)~がん専門医から循環器専門医へ~」「肺がん治療の現状」「放射線治療と心血管障害」などの講演が行われる。

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血友病A/Bのconcizumab予防投与、年間出血回数が大幅減/NEJM

 concizumabは、組織因子経路インヒビター(TFPI)に対するモノクローナル抗体で、血友病の全病型で皮下投与の予防治療薬として検討が進められている。名古屋大学病院の松下 正氏ら「explorer7試験」の研究グループは、インヒビターを有する血友病AまたはBの患者において、concizumabの予防投与はこれを行わずに出血時補充療法(on-demand treatment)のみを行う場合と比較して、年間出血回数(ABR)が大きく減少し、長期的なアウトカムを改善する可能性があることを明らかにした。研究の成果は、NEJM誌2023年8月31日号に掲載された。4群の非盲検第IIIa相試験 explorer7試験は、2つの無作為化群(グループ1、2)と2つの非無作為化群(グループ3、4)から成る非盲検第IIIa相試験である(Novo Nordiskの助成を受けた)。バイパス製剤による出血時補充療法を受けているインヒビターを有する血友病AまたはBの患者133例(血友病A患者80例、血友病B患者53例)を対象とした。 このうち52例を、少なくとも24週間は出血の予防治療を行わず、出血時補充療法を継続する群(グループ1[非予防治療群]、19例)、またはconcizumabの予防投与を32週間以上行う群(グループ2、33例)に無作為に割り付けた。 残りの81例のうち、21例はexplorer4試験でconcizumabの投与を受けていた患者(グループ3)で、60例はバイパス製剤の予防投与を受けている患者または出血時補充療法を受けている患者(グループ4)であり、いずれのグループにもconcizumabの予防投与を24週間以上行った。 進行中の臨床試験でconcizumabの投与を受けていた3例(本試験の1例を含む)に非致死的血栓塞栓イベントが発生したため、投与を中断し、用法を変更して再開した(4週の時点でのconcizumabの血漿中濃度に基づき用量は調節可能)。 主要エンドポイントは、治療の対象となった自然出血および外傷性出血のエピソードであり、グループ1とグループ2で比較した。投与再開後に血栓塞栓イベントの報告はない 主要エンドポイントの年間出血回数(ABR)の推定平均値は、グループ1の11.8回(95%信頼区間[CI]:7.0~19.9)と比較して、グループ2は1.7回(1.0~2.9)と有意に低かった(率比:0.14、95%CI:0.07~0.29、p<0.001)。また、concizumabの予防治療を受けた全患者(グループ2、3、4)のABRの中央値は0回だった。 自然出血、関節出血、標的関節出血のABRも、グループ1に比べグループ2で低く、率比はいずれも主要エンドポイントとほぼ同様であった(率比:自然出血0.14[95%CI:0.06~0.30]、関節出血0.15[0.07~0.32]、標的関節出血0.12[0.02~0.84])。また、治療の対象となった出血と治療を必要としなかった出血を合わせた全出血の解析でも、ABRはグループ2で低かった(率比:0.33、95%CI:0.17~0.64)。 血友病の病型別の解析では、これらの知見と同様の傾向を認めたが、病型別の優位性を示すほどの検出力はこの試験にはなかった。 concizumab投与の再開後に血栓塞栓イベントの報告はなかった。また、血漿中concizumab濃度は経時的に安定して推移した。 患者報告アウトカムのうちSF-36 v2の「体の痛み」、「身体機能」や「日常役割機能(身体)」はグループ1に比べグループ2で良好な傾向を認めたものの有意な差はなかったが、「全体的健康感」や「活力」はグループ2で優れた。また、Hemophilia-Patient Preference Questionnaireに回答した83例のうち77例(93%)が、前の治療よりもconcizumabが好ましいと答えた。 著者は、「本試験は非盲検デザインで、投与中断期間が結果に測定不能な影響を及ぼした可能性があり、患者報告アウトカムに関する十分なデータの収集が困難であったことなどから、統計学的な検出力が低く、バイアスの可能性がある点に留意する必要がある」としている。

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医師のSNS利用、診療に関する情報収集に使っているのは?/1,000人アンケート

 パソコンやスマートフォンの電源を入れて初めに起動するアプリについて、最近では、メールではなくFacebookやX(旧:Twitter)などのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)からという人も多い。私たちの生活に浸透したSNSについて、医師はどのSNSツールを、どのように使っているのか、会員医師1,000人にアンケート調査を行った。アンケートは、8月11日にCareNet.comのWEBアンケートシステムで全年代、全診療科に対して実施した。また、2019年にも同様のアンケートを実施していることから、今回の結果と比較した。医師のSNS利用、Threads、TikTokは不人気? 質問1で会員医師に「SNSの利用状況」を6つの代表的なツール別 (Facebook、X、Instagram、YouTube、Threads、TikTok)に聞いたところ、「書き込み/投稿している」SNSツールはX(154人)、Facebook(130人)、Instagram(118人)の順で多かった。また、「閲覧のみ」のSNSツールはYouTube(706人)、X(341人)、Facebook(333人)の順で多かった。そのほか「利用している」の「書き込み/投稿」「閲覧」を合わせたものではYouTube、X、Facebookの順で多かった。SNSツールでTikTok、新たに登場したThreadsは約90%の会員医師が利用していなかった。 質問2で「診療に関する情報を集める目的で使っているSNS」について会員医師に聞いたところ(複数回答)、利用していない(550人)が一番多かったが、使用されているSNSツールではYouTube(272人)が一番多く、次にX(201人)、Facebook(107人)と続いた。 質問3で「診療に関する情報を集める目的で最も使っているSNS」を会員医師に聞いたところ(単回答)、「利用していない」(575人)が一番多かったが、使用されているSNSツールではYouTube(186人)が一番多く、次にX(152人)、Facebook(56人)と続いた。 年代別の調査について20・30代の会員医師(n=335)では、「書き込み/投稿している」SNSツールはX(85人)、Instagram(73人)、Facebook(43人)の順で多かった。また、「閲覧のみ」のSNSツールはYouTube(258人)、X(158人)、Facebook(154人)の順で多かった。 40代の会員医師(n=209)では、「書き込み/投稿している」SNSツールはX(25人)、YouTube(25人)と同率で、次にFacebook(24人)の順で多かった。また、「閲覧のみ」のSNSツールはYouTube(145人)、Instagram(68人)、X(56人)の順で多かった。 50代の会員医師(n=240)では、「書き込み/投稿している」SNSツールはFacebook(25人)、YouTube(21人)、X(19人)の順で多かった。また、「閲覧のみ」のSNSツールはYouTube(171人)、Facebook(67人)、X(66人)の順で多かった。 60代以上の会員医師(n=216)では、「書き込み/投稿している」SNSツールはFacebook(26人)、YouTube(23人)、Instagram(15人)の順で多かった。また、「閲覧のみ」のSNSツールはYouTube(132人)、Facebook(46人)、X(44人)の順で多かった。若い医師のSNS利用、Instagramが多い 前回2019年の調査との比較で4つのSNSツール(Facebook、X、Instagram、YouTube)の利用状況では、「書き込み/投稿している」SNSツールで今回伸びていたのはX、Instagram、YouTubeでの3ツールで、「閲覧のみ」ではFacebook、X、Instagram の3ツールで伸びていた。「利用していない」は全部のSNSツールで減少していた。 年齢別でみると、20・30代の会員医師では「書き込み/投稿している」SNSツールでXとInstagramが約2倍近く伸びていた。40代の会員医師ではほぼ前回と同じようなSNS利用状況だった。50代の会員医師では「書き込み/投稿している」SNSツールでXが約2倍、YouTubeが約8倍の伸びをみせていた。60代以上の会員医師では「書き込み/投稿している」SNSツールでInstagramが約2倍近い伸びをみせていた。 「診療で最も使用するSNS」では、前回に比べInstagramが大きく伸びていた(2.0%→26.0%)。また、「使用しない」はほとんど変化がなかった(57.0%→57.5%)。 最後に自由記入で会員医師に「よく使うSNSとその理由、診療で役立つアカウント、注目している医療者などのSNSに関するエピソード」について聞いたところ、以下のような意見があった。【SNSに肯定的な会員医師のご意見】・SNSでは簡潔にまとめられていることが多く、保存しやすい〔整形外科〕・コロナ後遺症、補聴器などで役立つコンテンツが多い〔耳鼻咽喉科〕・SNS上の海外医師の外科手術動画は勉強になる〔脳神経外科〕・患者の考え方や理解に役立つ〔小児科〕【SNSに否定的な会員医師のご意見】・信頼性に不安があるので、SNSからは専門的な情報は得ていない〔内科〕・SNSそのものを利用していない〔血液内科〕・SNSの発信は誤った情報が多い〔臨床研修医〕・SNSに興味がない〔眼科〕【会員医師が参考しているSNSサイトやアカウント】・YouTubeで平島 修氏の「フィジカルクラブちゃんねる」をみている〔脳神経外科〕・YouTubeは専門領域でも勉強になる配信をされていることが多く、「心電図マイスターチャンネル」はよく利用している〔循環器内科〕・ヒロ医師ブログ初心者(Xアカウント:@doctor_hhm)をフォロー〔消化器内科〕・YouTubeの「メンズNs」は患者さんに説明するのに平易な言葉で解説してくれるのでみている〔膠原病・リウマチ科〕アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。SNSの利用状況

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第179回 血液凝固タンパク質2つがコロナ感染後の脳の不調と関連

血液凝固タンパク質2つがコロナ感染後の脳の不調と関連疲労に加えて認知機能障害、いわゆる脳のもやもや(brain fog)が数ある新型コロナウイルス感染(COVID-19)罹患後症状(long COVID)の1つとしてよく知られています。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染して認知機能障害に見舞われる人とそうでない人を隔てる仕組みへの血液凝固タンパク質2つの寄与を示唆する大規模観察試験結果が報告されました1)。試験ではCOVID-19で入院した患者約2千例(1,837例)が追跡され、入院時のそれらタンパク質2つと感染から半年と1年時点での認知機能障害の関連が認められました。その1つはフィブリノゲンです。C反応性タンパク質(CRP)に比してフィブリノゲンが入院時に多かった患者は少なかった患者に比べて記憶や注意などの認知機能の客観的検査成績や主観評価が劣りました。もう1つはDダイマーで、CRPに比してDダイマーが多かった患者は認知機能の主観評価が劣りました。たとえばDダイマーが多かった患者の6ヵ月時点の認知機能主観評価C-PSQ(0~7点)の点数は約1.5点劣りました。また、Dダイマーが多かった患者は疲労や呼吸困難の訴えや仕事への差し障りをより多く報告しました。フィブリノゲンやDダイマーとCOVID-19の関連を示した報告は今回が初めてではありません。先立つ複数の試験でCOVID-19入院患者にそれらタンパク質の増加が血栓過剰とともに認められています2)。フィブリノゲンが多いことと認知機能障害や認知症の関連を示したCOVID-19流行前の報告もあり、フィブリノゲンは認知機能欠損と何はさておき関連するのかもしれません。一方、DダイマーはCOVID-19以外で認知機能障害との関連は示されておらず、SARS-CoV-2感染に特有の指標かもしれません。フィブリノゲンやDダイマーが認知機能障害を引き起こすとしてその仕組みがいくつか想定されています。フィブリノゲンは脳の血液循環を妨げる血栓を形成するのかもしれません。あるいは神経系の受容体と直接相互作用することも想定されます。Dダイマーは肺での血栓形成をより反映していると思われ、それが呼吸困難に寄与し、酸欠による脳の不具合をもたらすのかもしれません。今回の試験結果を解釈するうえでいくつか注意点があります。1つは変異株がぼこぼこ出現する前のコロナ流行初期に募った被験者を対象にしていることであり、変異株が優勢の現在の感染患者に今回の結果が当てはまるかどうかは不明です。また、ワクチン非接種の重症の入院患者を対象としていることも注意が必要です。感染症状が軽度だったlong COVID患者は多く、そういう患者は今回の試験の対象ではありません。フィブリノゲンやDダイマー、あるいはより大まかに血栓を標的とする治療のlong COVID予防の裏付けはほとんどありません。抗凝固薬が治療手段の1つとしてみなされていますが、決定的な試験結果はまだありません2)。それに抗凝固薬は出血などの副作用と隣り合わせでもあります。抗凝固薬の検討のために必要な前段階として、認知機能障害をSARS-CoV-2感染後に被った患者の脳を画像診断して脳虚血の兆候があるかどうかを調べることを著者は提案しています1)。もし脳虚血が見つかるようなら先行きが心配な患者の感染初期のころの抗凝固薬使用の試験を実施する価値はありそうです。参考1)Taquet M, et al. Nat Med. 2023 Aug 31. [Epub ahead of print] 2)Clotting proteins linked to Long Covid’s brain fog / Science

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臓器がわかる3Dグラフィックス ORGAN ROOMS

医学専門出版社がつくったしっかり学べるアートブック本書は、イユダエマさん(2021年大阪芸術大学デザイン学科グラフィックデザインコース卒業)による卒業制作作品「ORGAN ROOMS」をもとに制作したアートブックです。本作品は9つの臓器をそれぞれの部屋に見立ててその働きをわかりやすく表現したもので、大阪芸術大学卒業制作選抜展で公開された段階でも、医学的にかなり調べこんで制作されたものでした。単行本化にあたり、アートのよさを残しつつ、医学専門出版社として、より正しくわかりやすい表現にできないかと検討を重ねるとともに、アートブックとしてだけでなく、読み物としても楽しめるよう、臓器にまつわる豆知識を盛り込んでいます。なお、幅広い読者層を想定し、全ページにわたり振り仮名をつけています。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    臓器がわかる3Dグラフィックス ORGAN ROOMS定価2,750円(税込)判型A4判頁数42頁発行2023年7月著者ORGAN ROOMS編集部(編・著)

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