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富裕層の医師はどれくらい?/医師1,000人アンケート

 野村総合研究所が2025年2月に公開したレポート1)によると、2023年の日本の富裕層・超富裕層の世帯数は前回調査(2021年)から11.3%増加し、合計約165万世帯となった。これは全体の約3%に当たる。では、医師のなかに富裕層・超富裕層はどれくらいいるのだろうか。そこで、CareNet.comでは20~60代の医師1,005人を対象に、世帯年収・純金融資産額に関するアンケート調査を実施した(2025年7月27日~8月2日実施)。本アンケート調査では、世帯年収と純金融資産額を調査し、富裕層・超富裕層の割合を算出した。また、資産運用の成功/失敗のエピソードも募集した。世帯年収1,400万円以上は53.1%、3,000万円以上は16.1% 野村総合研究所が2025年2月に公開したレポート1)では、共働きで世帯年収1,500万円以上の家庭を「パワーファミリー」、都市部居住の共働きで世帯年収3,000万円以上の家庭を「スーパーパワーファミリー」としている。 では、医師の世帯ではどうだろうか。CareNet.comが実施したアンケート調査では、世帯年収1,400~3,000万円が49.8%、3,000万円以上が10.8%であった。この数字には、既婚かつ片働きの世帯(431人)や独身世帯(177人)が含まれている。そこで、共働き世帯(397人)に絞ってみると、世帯年収1,400~3,000万円が53.1%、3,000万円以上が16.1%であった。すなわち、共働き世帯のうちパワーファミリー相当は7割近くに上り、スーパーパワーファミリー相当も2割弱ということになる。富裕層・超富裕層は約13% 次に、世帯の純金融資産保有額※について聞いた。富裕層・超富裕層は純金融資産保有額に基づいて定義され、富裕層は「1億円以上5億円未満」、超富裕層は「5億円以上」である。野村総合研究所のレポート1)では、日本の富裕層は153.5万世帯(2.8%)、超富裕層は11.8万世帯(0.2%)とされている。 こちらも医師の世帯をみてみると、富裕層に当たる「1億円以上5億円未満」は11.2%、超富裕層に当たる「5億円以上」は2.0%であった。富裕層と超富裕層を合わせると13.2%に上り、日本全体の3.0%を大きく上回った。 富裕層・超富裕層の割合を開業医・勤務医別にみると、開業医では19.3%、勤務医では7.2%であり、開業医が高かった。また、共働き世帯は富裕層・超富裕層の割合が高く17.2%であった。片働き世帯は10.4%、独身世帯は11.3%であった。年代別にみると、年代が上がるほど富裕層・超富裕層の割合が高く、60代では18.3%に上った。※ 純金融資産は、現金・預金や株式などの金融資産総額から住宅ローンなどの負債総額を差し引いたものを指す。不動産や車などは含まない。資産運用の実施、20~40代は7割超 資産運用の実施状況を聞いた。その結果、運用中と回答した割合は、全体では64.7%であった。しかし、年代別にみると20代、30代、40代がそれぞれ71.4%、78.5%、75.6%と高かった一方で、50代、60代はそれぞれ55.1%、54.7%と低い傾向にあった。また、50代、60代の3割超が、資産運用を一度も実施したことがないと回答した。日本株、オルカンやS&P500などの投資信託が人気 資産運用の内訳をみると、運用対象は「日本株」が最も多く(60.0%)、次いで「投資信託/ETF(全世界):オールカントリーなど」(46.7%)、「投資信託/ETF(米国):S&P500など」(43.8%)であった。不動産(12.4%)、金・プラチナ(12.4%)、暗号資産(8.4%)なども一定数を占めた。 また、「投資・資産運用の成功/失敗エピソード」を募集したところ、成功例として「新型コロナ流行期の押し目買い」「S&P500の長期積立」「ドルコスト平均法」などが挙げられた。一方、失敗例としては「証券会社や銀行の勧誘で購入した商品の暴落」「FXなどでの大損」「株式を保有していた会社の倒産」などが目立った。【成功エピソード】・コロナショックの時、日本株を買いあさって、5,000万円の含み益がある(50代、腎臓内科)・駅直結の新築マンションを購入したら、期待通りに値上がりした(50代、その他)・S&P500を堅実に積み立てており、元本の倍くらいになっている(40代、精神科)・2022年ごろから、ひたすらドルコスト平均法。失敗は感じていない(20代、眼科)【失敗エピソード】・証券会社に勤める患者さんに勧められて人生で初めて購入した株があっという間に値下がりし、現在は100分の1になっている。その患者さんは来なくなった(50代、内科)・投資会社に勧められた株を買ったあと暴落した。すぐに損切りしてしまったが、その後10年経って株価が上がった。塩漬けでも持っておけばよかったと思った(60代、糖尿病・代謝・内分泌内科)・FXなどで一瞬で5,000万円くらい溶かしたことがあるので、リスクの高い投資は行わないようにしている(50代、産婦人科)・トルコリラの投資をしたら1/3になった(50代、泌尿器科)・株式を保有していた会社が倒産した(60代、内科)・研修医時代にワンルームマンションに投資。売却したがとんとんだった。苦労のほうが多い(40代、皮膚科)・最近株を盗まれた(60代、腎臓内科)・かなり前に株で大損して(2,000万円くらい)以後株の世界から足を洗った(60代、内科)・いつも損ばかり(60代、内科)【その他のエピソード】・知らないものには手を出さない(40代、内科)・投資信託に現金を使い過ぎて、給料日まで現金がギリギリとなり、ひもじい日々を過ごした(30代、放射線科)・株を買ったら買いっぱなし。その後の株価を見ることもない(60代、泌尿器科)・損失が怖くて大きなお金は株式投資できない(40代、脳神経外科)アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。医師の世帯年収・資産はどれくらい?/医師1,000人アンケート(ケアネット 佐藤 亮)■参考文献・参考サイトはこちら1)株式会社野村総合研究所ニュースリリース(2025年2月13日)

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スピロノラクトン、維持透析患者の心不全・心血管死を減少させるか/Lancet

 維持透析を受けている腎不全患者において、スピロノラクトン25mgの1日1回経口投与はプラセボと比較し、心血管死および心不全による入院の複合アウトカムを減少させなかった。カナダ・McMaster UniversityのMichael Walsh氏らが、12ヵ国143の透析プログラムで実施した医師主導の無作為化並行群間比較試験「ACHIEVE試験」の結果を報告した。維持透析を受けている腎不全患者は心血管疾患および死亡のリスクが大きいが、スピロノラクトンがこれらの患者において心不全および心血管死を減少させるかどうかは明らかになっていなかった。著者は、「本試験では、維持透析患者におけるスピロノラクトン導入の有益性は認められなかった。維持透析患者の心血管疾患と死亡を減少させるための、ステロイド性ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬に代わる選択肢について、さらなる研究が必要である」とまとめている。Lancet誌2025年8月16日号掲載の報告。心血管死または心不全による入院の複合アウトカムをプラセボと比較 ACHIEVE試験の対象は、45歳以上、または糖尿病の既往がある18歳以上の腎不全患者で、3ヵ月以上維持透析を受けている患者であった。 研究グループは、登録患者全例に非盲検導入期としてスピロノラクトン25mgを1日1回7週間以上経口投与し、血清カリウム値が6.0mmol/Lを超えておらず、忍容性があり試験薬の服薬を順守できると判断した患者を、ブロック無作為化法(ブロックサイズ4)により、施設で層別化し、スピロノラクトン群とプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。患者、医療従事者および評価者は、いずれも盲検化された。 主要アウトカムは心血管死または心不全による入院の複合アウトカムで、無作為化された全患者を解析対象集団としてイベント発生までのtime-to-event解析を行った。無益性のため試験は早期に中止 2017年9月19日~2024年10月31日に3,689例がスクリーニングされ、3,565例が非盲検導入期に登録された。このうち2,538例が、スピロノラクトン群(1,260例)またはプラセボ群(1,278例)に無作為化された。患者背景は、女性931例(36.7%)、男性1,607例(63.3%)であった。 2024年12月10日時点で、主要アウトカムのイベント報告数508件(総予想数の78%)を含む中間解析の結果に基づき、外部の安全性・有効性モニタリング委員会により無益性による試験の早期中止が勧告された。最終追跡調査は2025年2月28日に終了し、追跡期間中央値は1.8年(四分位範囲:0.85~3.35)であった。 複合アウトカムのイベントは、スピロノラクトン群で258例(10.46件/100患者年)、プラセボ群で276例(11.33件/100患者年)に認められ、ハザード比(HR)は0.92(95%信頼区間[CI]:0.78~1.09、p=0.35)であった。 両群で心血管死(HR:0.89、95%CI:0.74~1.08)、心臓死(0.81、0.64~1.03)、血管死(1.07、0.77~1.47)、および全死因死亡(0.95、0.83~1.09)はいずれも同等で、心不全による初回入院(0.97、0.72~1.30)ならびにあらゆる初回入院(0.96、0.87~1.06)も両群で差はなかった。

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透析前の運動は透析中の運動と同様に心筋スタニングを抑制

 透析中の運動療法が血液透析誘発性心筋スタニングを軽減することが報告されているが、日常診療での実施には設備やスタッフ配置など多くの課題がある。今回、透析前の運動療法でも透析中の運動療法と同等の心保護効果があることが、フランス・Avignon UniversityのMatthieu Josse氏らによって明らかになった。Clinical Journal of the American Society of Nephrology誌オンライン版2025年8月12日号掲載の報告。 本研究は非盲検ランダム化クロスオーバー試験として実施され、末期腎不全患者25例を対象に、(1)運動療法を伴わない標準的な血液透析を実施(標準透析)、(2)血液透析中に運動療法を実施(透析中運動)、(3)運動療法を終えてから血液透析を実施(透析前運動)の3種類の介入をランダムな順序でそれぞれ実施した。2次元心エコー検査と全血粘度の測定は、透析開始直前と透析中負荷ピーク時に実施した。心血管血行動態は30分ごとにモニタリングした。 主な結果は以下のとおり。・左室局所壁運動異常は、標準透析と比較して、透析中運動および透析前運動で有意に減少した。 -透析中運動:1.60セグメント減少(95%信頼区間[CI]:0.09~3.10、p=0.04) -透析前運動:1.72セグメント減少(95%CI:0.21~3.22、p=0.02)・心筋スタニング抑制効果は、透析中運動と透析前運動で差はなかった(p=0.86)。・血行動態は、運動期間を除けば透析中運動と標準透析で類似しており、透析前運動と標準透析では完全に同様であった・透析中運動では全血粘度低下が抑制され、高せん断速度での全血粘度変化と左室局所壁運動異常の減少に有意な関連が認められた(p=0.006およびp=0.04)。・透析前運動では、左室局所壁運動異常の改善と血行動態変化との有意な関連は認められなかった(p>0.42)。 これらの結果より、研究グループは「血液透析前の運動療法は、透析中の運動療法と同等の心保護効果をもたらした。この効果は、血行動態の変化によるものではなく、運動そのものに由来する可能性が高い」とまとめた。

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第280回 エストロゲンが腎臓を守る

エストロゲンが腎臓を守る急性腎障害(AKI)はよくある疾患なのに狙い撃ちの治療は乏しく、医療が取り組むべき大きな難題の1つです。ドイツ・ドレスデン工科大学のチームによる新たな研究で、女性ホルモンのエストロゲンが細胞死の一種のフェロトーシス(鉄依存的細胞死)を防ぐことでAKIを生じ難くすることが示されました1,2)。AKIや末期腎不全(ESRD)の印であるネフロン欠損は急な尿細管壊死を介して生じ、雄性の腎臓がよりAKIになりやすいことが数十年前から知られています3,4)。たとえば米国の公的保険受給者540万人を調べた試験で、女性のAKI発生率が有意に低いことが示されています5)。同様の結果が他の試験でも認められており、とくに閉経前の女性に比べて男性はAKIを生じやすく、AKIに関連する死により至りやすいようです。さかのぼること40年ほど前の1988年にそういう性差の仕組みの緒となりうるマウスの研究成果が発表されています。鉄剤(鉄ニトリロ三酢酸)を腹腔内に毎日投与したところ、雄マウス6匹は1週間ともたず6日以内にすべて死にましたが、雌マウスや去勢した雄マウスはすべてが3ヵ月間の投与期間を生き抜きました6)。そのような毒性の性差は脂質過酸化の程度とどうやら関連するようです。最近になって、その名が示すとおり鉄を必要とする脂質過酸化で生じる7)フェロトーシスが腎臓などの臓器を傷める仕組みや急な尿細管壊死に寄与することが示唆されています。今回の新たな研究では、雌マウスの尿細管ではフェロトーシス細胞死の連鎖がなく、エストロゲンの一種の17βエストラジオールが複数の仕組みによりフェロトーシスを防ぐことが明らかになりました。17βエストラジオールが水酸化されて生じる水酸化エストラジオールがそれら複数の仕組みの一端を担います。水酸化エストラジオールはラジカルを捕獲する抗酸化物として働いてフェロトーシスを直接的に阻止します。水酸化エストラジオールは腎尿細管に豊富で、雄マウスに投与したところAKIを防ぐことができました。エストラジオールはその受容体ESR1への作用により、遺伝子発現を調整することでもフェロトーシスを阻止します。ESR1を欠く雌マウスの腎尿細管は卵巣除去マウスに似てフェロトーシス抑制が低下していました。どうやらESR1は抗フェロトーシス作用が知られるヒドロパースルフィドの分解を防ぐことでフェロトーシスを阻止するようです。ESR1が抗フェロトーシスを担うのとは正反対に、雄マウスの尿細管はフェロトーシスを促進するエーテル脂質経路のタンパク質を発現しています。一方、閉経までという期間限定ではありますが、ESR1は雌マウスのエーテル脂質経路を抑制することでフェロトーシスを阻止する働きも担うことが示されました。男性や閉経女性のフェロトーシス狙いの腎疾患治療の開発に今回の成果が役立ちそうです。また、心臓発作や脳卒中などの女性に生じ難いその他の疾患の性差の研究、さらには女性の寿命がより長いことの仕組みの解明などでもフェロトーシスが今後注目されるでしょう8)。 参考 1) Tonnus W, et al. Nature. 2025 Aug 13. [Epub ahead of print] 2) Nature study: Estrogen protects the kidneys - research from Dresden and Heidelberg proves the relevance of gender-specific medicine for understanding disease and therapy / Eurekalert 3) Park KM, et al. J Biol Chem. 2004;279:52282-52292. 4) Silbiger SR, et al. Am J Kidney Dis. 1995;25:515-533. 5) Xue JL, et al. J Am Soc Nephrol. 2006;17:1135-1142. 6) Li JL, et al. Biochim Biophys Acta. 1988;963:82-87. 7) Dixon SJ, et al. Cell. 2012;149:1060-1072. 8) Estrogens protect against acute kidney injury / Research in Germany

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生存時間分析 その3【「実践的」臨床研究入門】第57回

Cox比例ハザード回帰モデルによる交絡因子の調整前回まで、Cox比例ハザード回帰モデルの基本的な考え方を説明しました。今回は、Cox比例ハザード回帰モデルによる交絡因子(連載第45回参照)の調整について、前回に引き続き筆者らが出版した実際の臨床研究論文1)のリサーチ・クエスチョン(RQ)を例にして解説します。Cox比例ハザード回帰モデルは、イベント発生までの時間(生存時間)に対する多変量解析手法です(連載第50回参照)。このモデルにより、特定の要因がハザード(ある瞬間におけるイベント発生のリスク、すなわち瞬間的なイベント発生率)に与える影響を評価できます(連載第55回参照)。Cox比例ハザード回帰モデルの基本的な形は以下のような積(かけ算)の式で表されます(連載第56回参照)。h(t|X)=h0(t)×exp(β1X1+β2X2・・・+βnXn)h(t|X):特定の説明変数のセットXを持つ個体の時点tにおけるハザードh0(t):基準ハザード関数X1、X2、…、Xn:交絡因子を含む説明変数β1、β2、…、βn:各説明変数に対応する回帰係数上記のように、Cox比例ハザード回帰モデルを用いた交絡因子の調整は、回帰モデルの式に交絡因子を説明変数として含めることで行われます。たとえば、事例論文1)の要因である透析導入前腎専門医診療(Pre-Nephrology Visit:PNV)の有無という変数X1が透析導入後早期(1年以内)の死亡のハザード(アウトカム)に与える影響を評価する際に、糖尿病(DM)の有無(X2)が交絡因子であるとします。この場合、回帰モデルの式は以下のようになります。h(t|X1、X2)=h0(t)×exp(β1X1)×exp(β2X2)=h0(t)×exp(β1X1+β2X2)X1:PNVの有無(あり=1、なし=0)X2:DMの有無(あり=1、なし=0)この回帰モデルでは、回帰係数β1は、DMの有無(X2)の効果であるexp(β2X2)を調整したうえでの、PNVの有無(X1)がハザードに与える影響を推定します(連載第55回、第56回参照)。DMという交絡因子の影響を取り除いたPNVの調整ハザード比(adjusted hazard ratio:aHR)は exp(β1)となります。事例論文1)では、交絡因子として、年齢、性別、血液検査データ(ヘモグロビンや血清アルブミンなど)やDMを含む14の並存疾患などの要因を交絡因子として調整したと記載されています。したがって、この研究で実際に使用されたCox比例ハザード回帰モデルの簡略化された概念的な式は、以下のようになります。h(t|PNV、Age、Sex、…、DM)=h0(t)×exp(βPNV・PNV+βAge・Age+βSex・Sex+・・・+βDM・DM)βPNVの指数変換 exp(βPNV)がPNVのaHRとなり、事例論文1)で点推定値は0.57と報告されています 。95%信頼区間(95%confidence interval:95%CI)は0.50〜0.66と1をまたいでおらず、p<0.0001と統計学的にも有意差を認めました。これは、すべての交絡因子を統計的に調整した後でも、PNVを受けた患者群はPNVを受けなかった患者群と比較して、透析導入後早期(1年以内)死亡のリスクが43%低いことを意味します(1-0.57=0.43)。腎臓内科医の存在意義? の1つを示す解析結果を出せた、と安堵しました。1)Hasegawa T et al. Clin J Am Soc Nephrol. 2009;4:595-602.

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急性腎盂腎炎、治療推奨は7日間?【Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャー】第9回

Q9 急性腎盂腎炎、治療推奨は7日間?急性腎盂腎炎の標準的治療期間は10~14日とされますが、外来診療において単純性であれば治療開始後数日で解熱することが多く、抗菌薬を2週間も継続する必要はないのではと思われる症例が多々あります。実際1週間で治療終了しても再燃しない方がほとんどですが、いかがお考えでしょうか?

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尿路感染症へのエコー(3):腎盂腎炎と水腎症【Dr.わへいのポケットエコーのいろは】第3回

尿路感染症へのエコー(3):腎盂腎炎と水腎症前回、ポケットエコーを用いて尿ジェットを観察し、尿路結石を指摘する方法や、カラードプラで腎盂・尿管を描出し、水腎症がわかるようになるための手技について解説しました。今回は、「腎盂腎炎を診断できる」「B modeで水腎症がわかる」という目標を設定してポケットエコーの手技を解説していきます。腎盂腎炎を指摘できる腎臓の圧痛を評価すれば腎盂腎炎の診断に役立ちます。じつは、腎臓は直接触診することができます。身体診察では腎臓の双手診という手法があります。実臨床ではあまり用いられていないかもしれませんが、エコーを併用すれば画面を見ながら安全に圧痛を確認できます。腎臓の圧痛を確認する際は、肋骨脊柱角を叩打される場合がありますが、これは腎臓の圧痛を間接的に判断しているにすぎず、特異度は高くありません。そこで、sonographic Murphy's sign(超音波プローブによる胆嚢圧迫時の疼痛)の腎臓版として、プローブで腎臓を押しながら観察していきます。それでは、実際の手技を動画で見ていきましょう。このように、腎臓をエコーガイド下で触診していくという方法があるのです。B modeで水腎症がわかるつづいて、腎臓を長軸にきれいに描出し、B modeで水腎症を確認する方法を紹介します。実際の手技を見る前に、まずは次の2点を押さえておきましょう。まず1点目は「腎臓は後腹膜に固定されている」ということです。腎臓は後腹膜に固定されていますが、海底に根を張る昆布がゆらゆら揺れるのと同様に、息を吸うとよく動きます。2点目は「腎臓は上極(頭側)から下極(足側)にかけて腹側に傾いている」ということです。このことを意識して、エコーのプローブを斜めに傾けるときれいに断面を見ることができます。それでは、以上を踏まえて動画を見ていきましょう。いかがでしょうか? 「腎臓は断片的にしか見えない」と感じられていた先生もいるのではないでしょうか。しかし、B modeで見ることで腎臓をきれいに描出することができ、大きな情報が得られるのです。それでは、次回からは「胆道系疾患の手技」について紹介していきます。

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足の親指が腫れて痛みます【漢方カンファレンス2】第2回

足の親指が腫れて痛みます以下の症例で考えられる処方をお答えください。(経過の項の「???」にあてはまる漢方薬を考えてみましょう)【今回の症例】50代男性主訴左母趾の痛み既往高血圧、高尿酸尿症、痛風発作病歴数日前から左母趾に違和感があった。1日前から腫れて痛みを伴うようになったため手持ちのNSAIDsを内服したが痛みがつらく、歩行困難が続くため発症から2日目に受診した。現症身長162cm、体重75kg。体温36.8℃、血圧140/80mmHg、脈拍70回/分 整。左母趾に熱感・腫脹あり。経過初診時ロキソプロフェン錠60mg 3錠 分3を継続し、「???」エキス3包 分3で治療を開始。(解答は本ページ下部をチェック!)2日後腫れがひいて、痛みは半分程度まで軽減した。5日後痛みはほとんどなくなって普通に歩けるようになった。問診・診察漢方医は以下に示す漢方診療のポイントに基づいて、今回の症例を以下のように考えます。【漢方診療のポイント】(1)病態は寒が主体(陰証)か、熱が主体(陽証)か?(冷えがあるか、温まると症状は改善するか、倦怠感は強いか、など)(2)虚実はどうか(症状の程度、脈・腹の力)(3)気血水の異常を考える(4)主症状や病名などのキーワードを手掛かりに絞り込む【問診】<陰陽の問診> 寒がりですか? 暑がりですか? 体の冷えを自覚しますか? 入浴ではお湯に長く浸かりますか? 暑がりです。 冷えの自覚はありません。 長風呂ではありません。 患部に熱感を感じますか? 冷水で冷やすと痛みはどうですか? 入浴で温めるとどうですか? 左母趾を中心に体全体が熱っぽいです。 冷ますと痛みが楽です。 あまりお風呂で温めたくありません。 <飲水・食事> のどが渇きますか? 冷たい飲み物と温かい飲み物のどちらを飲みたいですか? 1日どれくらい飲み物を摂っていますか? 食欲はありますか? 胃腸は弱いですか? のどが渇いて冷たい水が飲みたいです。 1日およそ1.5L程度です。 食欲はあります。 もともと胃は丈夫です。 <汗・排尿・排便> 汗はかいていますか? 尿は1日何回出ますか? 夜、布団に入ってからは尿に何回行きますか? 便は毎日出ますか? 便秘や下痢はありませんか? 少し汗ばみます。 尿は1日4〜5回です。 夜間にトイレは行きません。 毎日、形のある便が出ます。 <ほかの随伴症状> よく眠れますか? 足がむくみませんか? 倦怠感はありませんか? 足はつりませんか? 足の痛みでよく眠れません。 左足が腫れてむくみっぽいです。 倦怠感はありません。 足はつりません。 ほかに困っている症状はありますか? 困っているのは足の痛みだけです。腫れているので靴が履けません。 【診察】顔色はやや紅潮。脈診ではやや浮・やや強の脈。また、舌は乾燥した白黄苔が中等量、舌下静脈の怒張あり、腹診では腹力は中等度より充実、腹直筋の緊張を認めた。皮膚は発汗し湿潤傾向で、患部は紅斑・腫脹・熱感があった。カンファレンス 今回の診断は既往にもある痛風発作ですね。NSAIDsを内服しているので標準的治療はすでに行っています。アレルギーや消化性潰瘍などのためNSAIDsが用いにくい場合はプレドニゾロンという選択肢もあります。 痛風発作の治療は現代医学的な治療で十分でしょう…と思いたくなりますね。とはいえここは漢方カンファレンス、痛風発作を漢方だけで治療というわけにはいきませんが、漢方薬の併用も考えていきましょう。さあ、漢方診療のポイントに沿ってみていきましょう。 漢方診療のポイント(1)の病態の陰陽は、暑がり、体熱感があり、冷水を好む、患部にも熱感があることなどから陽証です。 今回のような急性疾患では慢性疾患より陰陽の判断がわかりやすいね。一般的に病気の発症初期は、熱が主体の陽証で始まることが多いといえるよ。ただし急性の腰痛などで、温めたほうが気持ちがよいという場合は陰証の場合もあるから注意が必要だね。 漢方診療のポイント(2)の虚実は闘病反応の程度だからわかりやすいですね。今回のように患部の局所反応が盛んな症例は闘病反応が充実していると考えて、実証と考えてよいでしょう。 今回の症例は、暑がり、冷えの自覚なし、冷水を好む、患部の熱感などから陽証、さらに局所反応も熱感や腫脹がありますし、脈:やや強、腹力:充実と実証ですね。 そうですね。さらに冷水で冷ますと痛みが楽というのも前回の症例の「入浴で温めると楽になる痛み」とは逆で陽証ですね(陽証については本ページ下部の「今回のポイント」の項参照)。現代医学的にも、足関節捻挫で、氷で冷やしたり、冷湿布を貼ったりして治療します。足関節捻挫の急性期にお風呂で温めても楽にはならないですね。 前回の帯状疱疹後神経痛と同じく足関節捻挫もよい例だね。局所の炎症反応は時間の経過とともに消退して、古傷になると熱感や腫脹はなくなるけど冷えると悪化するなどという特徴が出てくれば、陰証・虚証になっていくとイメージできるね。 漢方治療では同じ足関節捻挫でも、陰陽に応じて治療が変わるのが特徴です。冷湿布を使うか、温湿布を使うかのイメージでしょうか。 そうだね。どちらの湿布を貼りたいかという情報も陰陽の判断に使えるかもね。ただし温湿布は皮膚がかぶれてしまう人が多いから、漢方で温めた方がよいよね。 症例に戻りましょう。陽証・実証まで確認できました。漢方診療のポイント(3)気血水の異常はどうですか? 患部の腫脹や下肢の浮腫は水毒です。舌下静脈の怒張があるので瘀血です。食欲不振や倦怠感はないので気虚はないようです。 尿の回数が4〜5回/日と少なめなことは尿不利、口渇があることも水毒としてよいでしょう。 今回の症例をまとめよう。 【漢方診療のポイント】(1)病態は寒が主体(陰証)か、熱が主体(陽証)か?顔面やや紅潮、暑がり、冷水を好む、患部の熱感→陽証(2)虚実はどうか脈:やや強、腹:やや充実、強い局所反応→実証(3)気血水の異常を考える尿不利・口渇、患部の腫脹・下肢浮腫→水毒、舌下静脈の怒張→瘀血(4)主症状や病名などのキーワードを手掛かりに絞り込む局所の熱感・腫脹解答・解説【解答】本症例は、陽証・実証で熱と水毒に対応する越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)で治療しました。【解説】越婢加朮湯は、関節の紅斑・腫脹・熱感が使用目標になります。越婢加朮湯には麻黄(まおう)、石膏(せっこう)、朮(じゅつ)が含まれ、熱を冷ましながら浮腫を改善させる作用(清熱利水[せいねつりすい]作用)があります。石膏を含むため、自汗傾向・口渇などの自覚症状も使用目標です。陽証・実証の水毒に対する漢方薬で、体表面を主とする水毒、体内に熱がこもった状態と考えて六病位では太陽病〜少陽病に分類されます。本症例のような急性関節炎、蜂窩織炎、帯状疱疹などに歴史的に活用されており、膝関節炎に用いた症例1)やNSAIDsが無効、または投与困難な急性腰痛症やcrowned dens syndromeなどの整形外科の疼痛性疾患に対して越婢加朮湯と大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)の併用が有効であった2)とする症例報告があります。使用上の注意点として、麻黄が含まれることから胃弱、虚血性心疾患の既往、前立腺肥大など尿閉のリスクがある場合は慎重投与です。今回のポイント「陽証」の解説漢方治療では生体に外来因子が加わった際の生体反応の形式について、熱性の病態を「陽証」、寒性の病態を「陰証」の2型に分類します。寒熱のほか、陽証では活動性、発揚性、陰証では非活動性、沈降性などの特徴があります。大まかに寒熱≒陰陽と考えてよいですが、一般的に寒熱は局所の病態を表し、陰陽では体全体の性質を総合的に判断します。一方、病因と生体の闘病反応の程度・病態の充実度を虚実とよびます。闘病反応が充実している場合を実証、闘病反応が乏しい病態が虚証です。主に虚実は脈や腹壁の反発力・緊張度により判定しますが、本症例のように局所反応の程度も参考になり、患部の熱感や腫脹などの局所の炎症が強い場合も実証を示唆します。陽証は、太陽病、少陽病、陽明病の3つに分類でき、病位は、太陽病が体表面の表(ひょう)、陽明病では裏(り)、少陽病はその中間の半表半裏(はんぴょうはんり)になります。一方、陰証の太陰病・少陰病・厥陰病ではすべて病位は裏になります。陽証では体力も充実していることから実証となりやすい傾向にありますが、体力が低下して闘病反応が弱い陽証・虚証の漢方薬も数多く存在します。陽明病は、熱の極期で闘病反応が充実していることから実証のみになります。今回の鑑別処方越婢加朮湯以外にも陽証の関節・皮膚疾患に用いる漢方薬を紹介します。越婢加朮湯よりもややマイルドな作用の桂枝二越婢一湯(けいしにえっぴいっとう)は長期投与に向きますが、エキス剤がないため桂枝湯と越婢加朮湯で代用します。黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は浮腫や腫脹(水毒)が目立たず、熱感と暗赤色の紅斑が主体の皮膚疾患に適応になります。柴苓湯(さいれいとう)は、小柴胡湯(しょうさいことう)と五苓散(ごれいさん)を組み合わせた漢方薬で、抗炎症作用と利水作用をもちます。少陽病ですから体表面より少し病気が侵入した場合に用いるのが典型ですが、蕁麻疹やリンパ浮腫に対してしばしば使用されています。麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)は、石膏が含まれず、清熱作用は弱くなりますが、利水作用をもつ薏苡仁(よくいにん)が含まれ、熱感や腫脹があまり目立たない関節痛や筋肉痛に用いられます。本症例も時間が経過して局所反応が軽減したものの痛みが持続する場合は麻杏薏甘湯の適応になるでしょう。また麻杏薏甘湯は経験的に疣贅や頭のフケなどの皮膚疾患にも使用されます。薏苡仁湯(よくいにんとう)はさらに慢性化した関節痛や筋肉痛に適応となります。足底腱膜炎やアキレス腱炎など筋腱の痛みによいとされます。さらに皮下出血を認める打撲や局所の血流障害を伴う場合は瘀血と考えて治打撲一方(ぢだぼくいっぽう)を用いる、もしくは併用する場合もあります。 1) 星野綾美 ほか. 日東医誌. 2008;59:733-737. 2) 福嶋祐造 ほか. 日東医誌. 2019;70:35-41.

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SGLT2阻害薬がCKD患者の入院リスクを総合的に低減

 SGLT2阻害薬が慢性腎臓病(CKD)の進行や心血管イベントを抑える効果はこれまでに報告されているが、あらゆる原因による予定外の入院リスクの低減効果については体系的に評価されていない。今回、大島 恵氏(オーストラリア・シドニー大学/金沢大学)らの研究により、SGLT2阻害薬は糖尿病の有無、腎機能やアルブミン尿の程度にかかわらず、CKD患者の予定外の入院リスクを低減したことが明らかになった。Clinical Journal of the American Society of Nephrology誌オンライン版2025年7月14日号掲載の報告。 これまでのCREDENCE試験では、SGLT2阻害薬カナグリフロジンが、CKDを合併する2型糖尿病患者の心・腎イベントを抑制することが明らかになっている。今回、研究グループはCREDENCE試験の事後解析を実施し、Cox比例ハザードモデルを用いてカナグリフロジンの予定外の初回および2回目以降の入院への影響を評価した。また、CKD患者を対象としたSGLT2阻害薬の3つのプラセボ対照試験について逆分散法によるメタ解析を実施し、全体およびサブグループ(糖尿病・腎機能・アルブミン尿)における効果を検証した。 主な結果は以下のとおり。・CREDENCE試験では、中央値2.6年の追跡期間中に、4,401例中1,543例(35%)が3,015回の入院を経験した。・カナグリフロジンは、プラセボと比較して、予定外の初回の入院リスクを12%低減させ(ハザード比[HR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.80~0.98、p=0.02)、初回および2回目以降の入院リスクを14%低減させた(HR:0.86、95%CI:0.76~0.96、p=0.007)。・CKD患者を対象とした3つのプラセボ対照試験のメタ解析では、SGLT2阻害薬はあらゆる原因による初回および2回目以降の入院リスクを15%低減させた(HR:0.85、95%CI:0.78~0.95、p<0.001)。この効果は、糖尿病の有無、ベースライン時の腎機能、アルブミン尿の程度にかかわらず一貫した。・とくに減少がみられた入院の原因は、感染症、心疾患、腎・尿路疾患、代謝・栄養障害であった。・SGLT2阻害の使用により、CKD患者1,000人年当たり36件(95%CI:13~56)の予定外の入院を予防すると推定された。

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尿路感染症へのエコー(2):尿管結石と水腎症【Dr.わへいのポケットエコーのいろは】第2回

尿路感染症へのエコー(2):尿管結石と水腎症前回、ポケットエコーを用いて膀胱の全貌を観察し、膀胱虚脱を描出できるようになるための手技について解説しました。今回は、「尿路結石を指摘できる」「水腎症がわかる」という目標を設定してポケットエコーの手技を解説していきます。尿管結石を指摘できる尿ジェットという言葉を聞いたことがあるでしょうか? おそらく聞いたことがない人がほとんどではないでしょうか。尿ジェットというのは、腎臓で産生された尿が膀胱に流れてくる現象を表す言葉です。膀胱と腎臓の間に尿管が走っており、その尿管と膀胱がつながる場所が背側に存在します。これを尿管膀胱移行部といいます。尿管膀胱移行部から膀胱内へ尿が移動する際は持続的にゆっくり溜まるのではなく、間欠的に噴出(尿ジェット)します(図1)。そのため、尿管結石の痛み方も持続痛ではなく、間欠痛が特徴になっています。そして、移行部が尿管結石の詰まりやすい箇所となります。図1 腎臓から膀胱への尿の移動画像を拡大するでは、実際のエコーの手技を見ていきましょう。飲水量が多くなると尿ジェットの頻度は上昇し、飲水量が少ないときは尿ジェットの頻度は減少します。動画でお見せしたとおり、尿ジェットが出ている部分が移行部であるため、尿管膀胱移行部の観察により尿路結石を特定することができます(図2赤矢印)。図2 尿ジェットと尿管結石の関係画像を拡大する水腎症がわかるつづいて、水腎症をカラードプラで確認する方法を紹介します。まず、動画を見ていきましょう。ここでは腎臓をきれいに描出し、腎盂をしっかりと観察してカラードプラを当てていきます。いかがでしょうか? 手技は意外と簡単だったのではないでしょうか。動画の被験者は健康成人であるため、わかりにくい部分もあったかもしれません。実際に尿管結石による水腎症の症例では、カラードプラが乗っていない部分があり、腎盂が拡張していることがわかります(図3)。図3 水腎症のエコー像画像を拡大するそれでは、次回は「腎臓の圧痛の見方」「腎臓を長軸にきれいに描出する方法」について紹介します。

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「10日間続く緑色尿」…原因は?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第286回

「10日間続く緑色尿」…原因は?臨床現場は時に、ミステリー小説さながらの謎に満ちています。今回は、そんな謎解きの一つ、「緑色の尿」をテーマにした症例報告をご紹介します。ある日、担当の患者さんの尿バッグが鮮やかな緑色に染まっていたら、先生ならまず何を疑いますか?Colluoglu T, et al. An interesting observation: prolonged green urine can be a combined effect of decreased liver and renal function in a patient with heart failure-a case report. Eur Heart J Case Rep. 2023 Nov 16;7(12):ytad570.この物語の主人公は、79歳の女性です。彼女は呼吸困難を主訴に、急性増悪した心不全のため入院となりました。そして、彼女の尿は入院前から1週間もの間、緑色だったのです。緑色尿の原因として捜査線上に次に浮かび上がった容疑者は、やはり薬剤です。病歴を詳しく聴取すると、彼女が入院の1週間前に行ったペースメーカー植え込み術の際に、鎮静薬のプロポフォールと、メトヘモグロビン血症の治療薬メチレンブルーが投与されていたことが判明しました。この2つは、緑色尿の原因としてよく知られる薬剤です。なんだ、これで一件落着か…と思いきや、謎はさらに深まります。通常、これらの薬剤による緑色尿は、投与後2〜3日で自然に消える一過性の現象だからです。しかし、彼女の場合は12日間も持続したのです。なぜ、これほどまでに長引いたのでしょうか?入院時、彼女は心不全の悪化により肝機能も腎機能も著しく低下していました。ここで、犯人たちの犯行手口を詳しく見ていきましょう。まずプロポフォールです。プロポフォールは主に肝臓で代謝されますが、心不全による血流低下で肝機能が落ちると、腎臓が代謝の肩代わりを始めます。この腎臓での代謝の際に生まれるフェノール性の代謝物が、尿を緑色にする正体です。しかし、彼女の場合は心不全によって腎臓への血流も乏しく、腎機能も低下していました。そのため、腎臓は緑色代謝物を産生したものの、それを効率よく排泄することができませんでした。行き場を失った緑色代謝物が体内に留まり続けたことが、緑色尿が長引いた直接の原因だったのです。共犯者のメチレンブルーも、この状況を悪化させた可能性があります。彼女に投与されたメチレンブルーの量は、心機能や腎血流を低下させる可能性のある高用量でした。これが心不全をさらに悪化させ、肝臓と腎臓の血流を低下させることで、プロポフォール代謝物の排泄遅延に拍車をかけたと推測されます。治療により心不全が改善し、肝臓と腎臓の機能が回復するにつれて、彼女の尿の色は濃い緑から薄緑へ、そして黄色へと徐々に正常な色に戻っていきました。この色の変化は、まさに多臓器機能が回復していく過程をリアルタイムで示す、視覚的なバイタルサインだったといえるでしょう。

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Lp(a)による日本人のリスク層別化、現時点で明らかなこと/日本動脈硬化学会

 第57回日本動脈硬化学会総会・学術集会が7月5~6日につくば国際会議場にて開催された。本稿ではシンポジウム「新たな心血管リスク因子としてのLp(a)」における吉田 雅幸氏(東京科学大学先進倫理医科学分野 教授)の「今こそ問い直すLp(a):日本におけるRWDから見えるもの」と阿古 潤哉氏(北里大学医学部循環器内科学 教授)の「二次予防リスクとしてのLp(a)」にフォーカスし、Lp(a)の国内基準として有用な値、二次予防に対するLp(a)の重要性について紹介する。Lp(a)に対する動き、海外と日本での違い リポ蛋白(a)[Lp(a)]が「リポスモールa」などと呼ばれていた1990年代、心血管疾患との関連性に関する多くのエビデンスが報告され、測定の第一次ブームが巻き起こっていた。あれから30年。現在の日本でのLp(a)測定率は、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスクが高い患者でも0.42%に留まっている1)。いったいなぜ、測定のブームは衰退し、Lp(a)に関する研究の進展に年月を要しているのか。これについて吉田氏は「Lp(a)は霊長類にしかないリポ蛋白であり、動物実験を行うのが難しい分子である。また、進化の過程でプラスミノーゲン(PMG)遺伝子の部分的重複からアポAが進化する過程で、非常に複雑な構造になった。また、KIV2のサブタイプが2~40と多く存在することで、個人差が大きくなり検査が行いにくい側面がある。さらにSNPのような遺伝的要素も影響している」と説明し、治療薬開発の難しさにも言及した。 加えて、順天堂大学の三井田 孝氏が指摘しているように、測定キットの違いによる測定値のばらつき、測定値の国際標準化がなされていない点などもLp(a)測定の足かせになっている。 世界的な動向としては、米国、欧州、中国でコンセンサスステートメントが発表されており、「30mg/dL(75nmol/L)未満:低リスク、30~50mg/dL(75~125nmol/L):中リスク、50mg/dL(125nmol/L)超:ハイリスク」と濃度によってどのように治療を考えるべきかが示されている。その一方で、「日本動脈硬化学会ではこれらを検討できていない」とコメントした。国内最新研究から明らかになったこと そこで、吉田氏らは日本人のLp(a)濃度分布やLp(a)のASCVDとの関連を明らかにするため、多施設共同後ろ向きコホート研究(LEAP研究)を行った。 本研究は、研究参加施設(東京科学大学、国立循環器病研究センター、大阪医科薬科大学、金沢大学、慈恵会医科大学、杏林大学、順天堂大学)において血清Lp(a)が測定された外来・入院患者6,173例を対象に実施。各施設で得られたLp(a)測定値は、測定キット間の誤差を標準化するため、三井田氏らの校正式に基づきnmol/Lへ換算して集計された。その結果について、「本研究において使用されていたキットは積水メディカルとニットーボーメディカルの2種で、nmol/L換算すると中央値は20.88nmol/Lであった。また、冠動脈疾患(CAD)を有する群、ASCVDを有する群、家族性高コレステロール血症(FH)を有する群では、いずれもLp(a)が有意に高値であった。一方、糖尿病(DM)を有する群では有意に低値であった。この基礎疾患の違いによる結果は先行研究でも報告されているとおりであった」とコメントした。また、感度・特異度・ROC曲線から、低値群:25nmol/L未満、中値群:25~75nmol/L、高値群:75nmol/L超の3つにリスク層別化して比較したところ、CAD、ASCVD、CKDを基礎疾患として有する群では段階的に有病率が増加し、Lp(a)値と疾患頻度の関連が示された。 同氏は本研究の限界として「後ろ向き研究であったため、今後は前向きに検討していく必要がある。また、三井田氏が“mg/dLで表示することは計量学的な誤りがある”と指摘するように、単位はnmol/L表記が望ましいのではないかと議論されている」と述べ、「われわれの今回の研究対象は比較的リスクの高い集団であったため、この点も考慮しながら、日本動脈硬化学会のコンセンサスステートメントを作成していきたい」と締めくくった。 なお、日本動脈硬化学会ホームページにおいてLp(a)検査値標準化ツールが掲載されたため、積水メディカル、ニットーボーなどで測定された検査値であれば、このツールを用いて容易にmg/dLをnmol/Lへ変換することができる。Lp(a)高値を発見せねば、2次予防への治療介入の意義 続いて阿古氏は、2014年に報告されたCADにおけるメンデルランダム研究2)やLp(a)と血栓性疾患や脳血管疾患の間に因果関係があるか検討した研究3)などの結果を踏まえ、「Lp(a)はLDL-Cと同様にCVDにおける真のリスク因子に分類されており、弁膜症や血栓性疾患などの動脈硬化性疾患の独立したリスク因子としても認識されている。また近年では、2次予防におけるLDL-CおよびLp(a)とCVDリスクの関係を検討した研究報告4)も出てきており、心血管疾患の1次予防のみならず2次予防においてもその役割は重要」とLp(a)高値症例に対して治療介入を行う意義を強調した。さらに、近赤外分光法血管内超音波検査(NIRS-IVUS)などの血管内イメージングからも、Lp(a)の上昇によって(破れやすい)プラークの割合が増加5)、LDL-C同様にLp(a)もプラーク性状に影響6)していることが見いだされており、「Lp(a)測定がプラークの性状にも影響を与えている可能性を示唆している」と述べた。 現在、世界各国では再発イベントなどがある患者、イベントの家族歴を有する患者、ASCVDリスクが高い患者などへLp(a)測定が推奨されている。同氏はこの状況を受け、「われわれの研究結果1)から、国内のLp(a)高リスク患者への測定が進んでいないのは明らか」と、今こそLp(a)への介入が重要であることを訴える。 30年前と違い、Lp(a)低下薬の第III相試験(Lp(a)HORIZON、OCEAN(a)、ACCLAIM-Lp(a)など)が着々と進められている状況を見据え、同氏は「国内でも2次予防としてLp(a)測定を推奨し、Lp(a)高値の患者に対してLDL-C目標値を厳格にしていくことが必要なのではないだろうか」と締めくくった。■参考文献1)Fujii E, et al. J Atheroscler Thromb. 2025;32:421-438.2)Jansen H, et al. Eur Heart J. 2014;35:1917-1924.3)Larson SC, et al. Circulation. 2020;141:1826-1828.4)Madsen CM, et al. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2020;40:255-266.5)Erlinge D, et al. J Am Coll Cardiol. 2025;85:2011-2024.6)Shishikura D, et al. J Clin Lipidol. 2025;19:509-520.

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生存時間分析 その2【「実践的」臨床研究入門】第56回

Cox比例ハザード回帰モデルの基本的な考え方 その2前回は、生存時間分析における基本的な概念である「ハザード」と「ハザード比」、また「比例ハザード性」の前提について説明しました。今回からは、筆者らが出版した実際の臨床研究論文1)のリサーチ・クエスチョン(RQ)に沿って、Cox比例ハザード回帰モデルの考え方を解説します。われわれは、以下のクリニカル・クエスチョン(CQ)とRQ(PECO)を立案しました。CQ:透析導入前腎専門医診療は透析導入後早期の予後を改善するか?P(対象):新規透析導入患者E(要因):透析導入前腎専門医診療ありC(対照):透析導入前腎専門医診療なしO(アウトカム):透析導入後早期(1年以内)の死亡このRQの背景を簡単に説明します。筆者は、初期研修以降「都市型」地域中核病院の腎臓内科に長らく勤務しておりました。そこでは腎臓/透析専門医が多く在籍し他科連携も良く、早期からの腎専門医診療は当たり前の環境で育ちました。米国留学直後、医局人事により地方型地域中核病院にいわゆる「ひとり医長」として赴任し、腎臓/透析専門医診療へのアクセス格差を実感しました。このような実体験に基づき、「透析導入前腎専門医診療は透析導入後早期の予後に影響するのでは?」というCQを着想したという訳です。それでは、透析導入前腎専門医診療を受けた群と受けなかった群の比較を考えたときに、透析導入後1年以内の早期死亡のハザード(瞬間的なイベント発生率)はどのような変数に影響されるかを考えてみます。まず、透析導入前腎専門医診療を受けたか否か、という変数です。次に考慮すべき変数は時間です。前回説明したとおり、ハザードは時々刻々と変化することが予想されるからです。実際、このRQで設定した透析導入後1年以内の早期死亡のハザードは、透析導入後半年以内という前半で高く、半年以降の後半は低くなることが先行研究で知られています。そして、透析導入後1年以内の早期死亡のハザードは、透析導入前腎専門医診療の有無という変数と時間という変数の積(かけ算)モデルで規定できる、とします。この関連性を、以下の数式で表します。h(t|X)=h0(t)×exp(b×X)もし、透析導入前の腎専門医診療が「あり」ならX=1、「なし」ならX=0となります。それぞれの群の変化するハザードは、時間の効果である基準ハザード関数h0(t)と、透析導入前腎専門医診療の効果であるexp(b×X)の積で決まるということです。データからbという回帰係数を推定することになりますが、これは統計解析ソフトが計算してくれます。この数式から、透析導入前腎専門医診療あり群のハザード、腎専門医診療なし群のハザードはそれぞれ以下に示したようになります。透析導入前腎専門医診療あり群のハザードh(t|1)=h0(t)×exp(b×1)=h0(t)×exp(b)透析導入前腎専門医診療なし群のハザードh(t|0)=h0(t)×exp(b×0)=h0(t)よって透析導入前腎専門医診療あり群となし群のハザード比はh(t|1)/h(t,0)=h0(t)×exp(b)/h0(t)=exp(b)つまり、ハザード比はexp(b)となります。ところで、透析導入前腎専門医診療あり群となし群のハザードを示した数式をあらためて眺めてみると、どちらの式にもh0(t)という時間の関数が含まれています。すなわち、いずれも時間の効果の影響を受けていることがわかります。しかし、ハザード比の数式では時間の関数h0(t)が分子と分母で相殺されて消えているので、ハザード比は時間の効果の影響を受けていません。したがって、このハザード比の数式からも、ハザード比が時間によらず一定という比例ハザード性の前提が用いられていることがわかります。このように比例ハザード性の前提が用いられた回帰モデルのことを比例ハザードモデルと呼びますが、開発したCox博士の名前を冠して、Cox比例ハザードモデルやCox回帰モデルとも言います。 1) Hasegawa T et al. Clin J Am Soc Nephrol. 2009;4:595-602.

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賃金・物価上昇、診療報酬改定が直撃!診療所の経営は?/医師1,000人アンケート

 2024年の診療報酬改定は、診療報酬本体は+0.88%、薬価・材料価格引き下げは-1.00%で、全体ではマイナス改定となった。「医療従事者の賃上げ」「医療DX等による質の高い医療の実現」「医療・介護・障害福祉サービスの連携強化」という3つの目標が掲げられ、関連する項目が加算・減算された。診療報酬改定のほか、ここ数年の急激な物価上昇や人件費高騰もクリニックの経営に影響を与えていることが予想される。ケアネットでは「自身でクリニックを経営し、開業後3年以上が経過している医師」(40代以上)を対象に、直近の経営状況についてWebアンケートで聞いた。患者数は「増えた」が2割に対し、「減った」が4割 「1ヵ月の延べ患者数」について2023年度と2024年度を比較すると、「やや減った」と回答したのは25%、「大きく減った」は13%に上り、全体の38%が患者減少を報告した。一方で、「やや増えた」(17%)、「大きく増えた」(3%)は合わせて20%に留まった。「大きく減った」との回答は小児科(27%)、産婦人科(18%)、消化器内科(15%)、耳鼻咽喉科(15%)で目立った。一方で、耳鼻咽喉科は「大きく増えた」も最多の9%で、コロナ禍の収束後に経営状況の二極化が進んでいるようだ。診療報酬単価、精神科は5割強が「減った」 2023年度と2024年度の「患者1人当たりの診療単価の平均」については、「やや減った」(34%)、「大きく減った」(11%)を合わせると45%が減少したと回答した。「やや増えた」(8%)、「大きく増えた」(2%)としたクリニックは全体の1割に過ぎなかった。とくに精神科(「大きく減った」と「やや減った」の合計55%)、呼吸器内科(同52%)、循環器内科(同52%)などで「減った」との回答が目立った。精神科は2024年の診療報酬改定で30分未満の診療報酬が減額(精神保健指定医は330点→315点、非指定医は315点→290点)されたことが大きく響いたようだ。ほかの診療報酬改定の項目としては「特定疾患療養管理料から糖尿病・脂質異常症・高血圧を除外」も内科系クリニックの経営に与えた影響が大きかったようだ。「患者数」と比較して、「診療報酬単価」は「増えた」という回答の割合が一層低く、「減った」という回答の割合が高かった。患者数減少よりも診療報酬単価低下が、診療所の収益をより圧迫している状況が伺える。増えた費用としては「人件費」がトップ 費用面で、2023年度と2024年度を比較して増えた項目(複数回答)としては、(経営者以外の)人件費(588人)が最多で、以下医薬品・医療消耗品費(504人)、水道光熱費・通信費(475人)の回答が多かった。賃上げ圧力が強まり、マイナンバーカードや電子処方箋への対応など医療DXへの投資も求められ、固定費の上昇が利益を一層圧迫している状況が見える。5割以上が「減益」と回答 患者数と診療報酬単価の減少傾向、そして費用の上昇は、結果として最終利益の変動にも明確に表れた。2023年度と2024年度の「最終利益(自身の給与を含む)」について、「やや減った」が36%、「大きく減った」が20%で、過半数を超える56%が減益と回答した。「変わらない」は22%、「やや増えた」(12%)、「大きく増えた」(2%)は合わせて14%だった。とくに小児科は4割近く、産婦人科も3割超が「大きく減った」と回答した。今後の経営方針は「攻め」と「守り」に二極化 「今後の経営方針」(複数回答)では、「攻め」「守りor撤退」と明暗が分かれた。自由診療やDX化などの拡大路線に舵を切る選択肢を選んだのは、腎臓内科、呼吸器内科、消化器内科などの医師に多かった。一方、「減益」との診療所が多かった産婦人科、小児科、耳鼻咽喉科などは診察日縮小や閉院を視野に入れるとの回答が多かった。年代別では、40代の比較的若い医師は「DX化」「自由診療」などの「攻め」の志向が強かったが、この割合は年代とともに減少した。60代以上では2割、70代以上では3割が「閉院」または「事業譲渡」を検討していると回答した。 経営や診療報酬に関する自由回答では、物価高、人件費高騰の中での診療報酬単価の据え置きや減額に対する不満や抗議の声一色となった。「物価上昇に連動しない診療報酬の改定は違法だと思う」(内科・東京都・60代)「物価上昇に応じた診療報酬の増額が不可欠」(眼科・大阪府・50代)「診療報酬は下げられる中で、スタッフの給料は上げてやりたい。となると自分の取り分を減らすしかない」(耳鼻咽喉科・宮城県・60代)「売り上げが減って自身の給与を大幅に減らした」(消化器内科・大阪府・60代)「利益が前年に比べて半減。本当の話です。閉院も検討中です」(内科・京都府・50代)「コロナ禍の『医療者に感謝』という言葉は何だったのか。次のパンデミック時に、末端の診療所が閉院していたら誰が患者を診るのか? 中小病院に患者が集中して混乱が起きることは目に見えている」(内科・福井県・50代)アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。クリニックの経営動向/医師1,000人アンケート

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2型糖尿病合併慢性腎臓病におけるフィネレノン+エンパグリフロジン併用療法:アルブミン尿の著明な改善―CONFIDENCE研究は腎アウトカムの予測にも“CONFIDENT”といえるか?(解説:栗山哲氏)

本論文は何が新しいか? CONFIDENCE研究では、2型糖尿病(T2DM)に合併する慢性腎臓病(CKD)の初期治療において、非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(nsMRA)であるフィネレノンと、SGLT2阻害薬(SGLT2i)であるエンパグリフロジンの併用療法が、それぞれの単独療法と比較して尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を有意に低下させることが示された。これまで、フィネレノンとSGLT2iの併用療法をT2DMに伴うCKDの初期段階で評価したエビデンスは限られており、この点において本研究は新規性を有する。CONFIDENCE研究の背景 T2DMに伴うCKD患者に対する腎保護療法の第1選択は、ACE阻害薬やARBなどのRAS阻害薬である。これは、2000年代に実施されたRENAAL、IDNT、MARVAL、IRMA2といった大規模臨床試験によって裏付けられている。2015年以降、SGLT2iにおいて、EMPA-REG OUTCOME、CANVASなどの試験で心血管イベントや複合腎エンドポイント(EP)の改善が相次いで報告された。SGLT2iではさらに、DAPA-CKDやEMPA-KIDNEYなどの試験により、非糖尿病性CKDに対しても心腎保護効果を有するエビデンスが蓄積されている。 一方、ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)については、2000年ごろにRALES(スピロノラクトン)やEPHESUS(エプレレノン)により、重症心不全や心血管死に対する有用性が示されたが、これらは腎関連のハードEPについては検討されていない。その後、新世代のnsMRAであるエサキセレノンおよびフィネレノンが開発された。このうち、エサキセレノンはT2DMに伴う早期CKD患者においてUACRの低下効果が認められているが、現在の適応は高血圧症のみであり、尿蛋白陽性例やeGFRが低下した症例では原則として使用できない。これに対しフィネレノンは、FIGARO-DKD、FIDELIO-DKD、そして両試験を統合解析したFIDELITYにおいて、心血管イベントおよび複合腎EPに対する有用性が示されている。なお、nsMRAとSGLT2i併用の同様の研究は、フィネレノンとダパグリフロジン併用でも行われ、UACRの相加的減少効果として報告されている(Marup FH, et al. Clin Kidney J. 2023;17:sfad249.)。 これらのエビデンスを踏まえ、2024年のKDIGOガイドラインでは、フィネレノンはRAS阻害薬およびSGLT2iに上乗せ可能な薬剤として、T2DMに伴うCKDの早期における心・腎保護の「新たな選択肢」として推奨されている(推奨の強さ:弱い、エビデンスレベル:高い、リスクとのバランスを考慮したうえでの判断)(Levin A, et al. Kidney Int. 2024;105:684-701.)。病態生理学的見地から、T2DMに合併するCKDにはミネラルコルチコイド受容体(MR)の過剰活性化が心・腎障害を惹起することから、MR抑制効果の優れたnsMRAに対する理論的期待は大きい。 CONFIDENCE研究は、以上の背景を踏まえ、フィネレノンとSGLT2iの併用療法の有効性および安全性を評価することを目的として実施された。登録症例数は約800例、観察期間は180日間である。腎疾患領域の臨床研究の課題 腎疾患領域における臨床研究の報告数は、循環器系や神経系など、他の医学分野と比較してきわめて少ない(Palmer SC, et al. Am J Kidney Dis. 2011;58:335-337.)。その主な要因としては、CKDにおいて治療目標となるバイオマーカーが乏しいこと、CKDステージ早期と末期で適切な腎予後のサロゲートEPを設定する必要があること、などが挙げられている。CKDにおける「真のEP」としては、透析導入、腎関連死、腎不全などがある。一方で、サロゲートマーカーとしては、血清クレアチニン(Cr)の倍加速度、推算糸球体濾過量(eGFR)、eGFRの40%以上の低下などが用いられ、これらは複合腎EPとして適宜設定される。UACRは、容易に短期間でも観察可能なサロゲートマーカーであり、研究費の削減や実施期間の短縮に資する利便性も高い。しかしながら、サロゲートEPは本来、真のEPと強く関連していなければ優れた予後予測因子とはいえない。この点において、UACRは早期のマーカーとしては、UACR>300mg/g・Crを超える腎疾患以外は適切な腎アウトカムの予測因子とまではいえない(濱野高行. 日本腎臓学会誌. 2018;60:577-580.)。 本論文の著者の1人であるHeerspink氏は、本試験で仮に複合腎EPを評価項目とする場合は4万例以上のサンプルサイズと長期観察が必要となること、またUACRは優れたサロゲートではないものの一定の予測的価値があること、などを踏まえ、UACRを主要評価項目として採用したと述べている。CONFIDENCE研究からのメッセージと今後の方向性 CONFIDENCE研究は、「腎アウトカムの予測にも“CONFIDENT”といえるか?」―この問いには議論が必要である。Agarwal氏はイベントリスクに対する媒介解析の結果から、フィネレノンを用いた早期介入による複合腎イベント低下の多くの部分がUACR抑制作用により媒介されていることから、アルブミン尿抑制の重要性を強調している(Agarwal R, et al. Ann Intern Med. 2023;176:1606-1616.)。また、2025年6月に開催された欧州腎臓学会においても、短期的なUACRの変化が長期的な腎保護効果と関連することに言及し、「併用療法の新時代が到来した」との論調の講演もあった(Liam Davenport. Medscape. June 5, 2025.)。 しかしながら、「フィネレノン+SGLT2iの早期導入によるUACR低下」を「長期的な腎アウトカムを改善すること」に全面的に外挿するのは無理がある。ちなみに、本研究でeGFRの初期低下(Initial drop or dip)に注目すると、14日目において併用群では−6.1mL/分/1.73m2の低下がみられた(SGLT2i単独群では−4.0mL/分/1.73m2)。この併用群におけるInitial drop後のeGFRスロープには、観察期間である180日目においては緩徐化がみられず、この点からは腎保護効果は支持されない。一方で、有害事象の観点からは、一定のメリットが示唆される。高カリウム血症の発現率は、併用群で25例(9.3%)、フィネレノン単独群で30例(11.4%)と、併用群で15~20%程度相対的に低下していた。これは、SGLT2iが高カリウム血症のリスクを抑制する可能性を示した先行研究の知見と一致しており、一定のベネフィットとして評価できる可能性がある。 今後、フィネレノンとSGLT2iの早期併用による腎保護効果の有無を明らかにするためには、長期間かつ大規模に複合腎EPを設定した追試検証が必要と思われる。

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経口セマグルチドはASCVDかつ/またはCKDを合併した肥満2型糖尿病患者の心血管イベントを減らす(解説:原田和昌氏)

 GLP-1受容体作動薬の注射剤は、さまざまな異なる患者像において心血管系の有効性が確立しており、メタ解析でも同様の結果が得られている。しかし、経口セマグルチドはPIONEER 6試験にて2型糖尿病(T2DM)かつ心血管リスクの高い患者における安全性は確立されたが、主要有害心血管イベント(MACE)に対する有効性は示されなかった。米国のDarren K. McGuire氏らはSOUL試験により、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)かつ/または慢性腎臓病(CKD)を有する平均BMI 31のT2DM患者において、経口セマグルチドがプラセボと比較してMACEのリスクを有意に減少させることを示した。 SOUL試験は二重盲検無作為化プラセボ対照第IIIb相試験であり、50歳以上のT2DM(HbA1c値6.5~10.0%)、ASCVDかつ/またはCKD(eGFR<60mL/分/1.73m2)を有する9,650例(平均年齢66.1±7.6歳、女性28.9%)を対象とした。標準治療に加えてセマグルチド(1日1回)を経口投与する群(4,825例)、またはプラセボ群(4,825例)に無作為に割り付けた。平均追跡期間は47.5±10.9ヵ月で、9,495例(98.4%)が試験を完了した。全体の70.7%に冠動脈疾患、23.1%に心不全、21.2%に脳血管疾患、15.7%に末梢動脈疾患の既往歴があり、42.4%にCKDを認めた。また、26.9%がSGLT2阻害薬の投与を受けていた。主要アウトカムは、プラセボ群で13.8%、経口セマグルチド群では12.0%に発生し(ハザード比[HR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.77~0.96、p=0.006)、セマグルチド群の優越性が示された。 個々の項目のイベント発生率のHRは、心血管死が0.93(95%CI:0.80~1.09)、非致死的心筋梗塞が0.74(0.61~0.89)、非致死的脳卒中が0.88(0.70~1.11)であった。検証的副次アウトカムのHRは、主要腎障害イベントが0.91(95%CI:0.80~1.05、p=0.19)、主要有害下肢イベントが0.71(0.52~0.96)であった。重篤な有害事象はセマグルチド群で47.9%、プラセボ群で50.3%に発現し(p=0.02)、消化器系の障害は5.0%および4.4%にみられた。試験薬の恒久的な投与中止に至った有害事象は、15.5%および11.6%であった。 GLP-1受容体作動薬は経口投与と皮下注射で血中濃度が異なるためか、主に皮下注製剤でMACEに対する有効性が証明されてきた。本試験によりASCVDかつ/またはCKD合併の肥満T2DMというハイリスク患者では、経口のセマグルチドがMACEを14%有意に抑制することが証明された。実臨床では経口投与を好む患者も多いため重要な試験であると考えられる。また、副次アウトカムで主要有害下肢イベントが抑制されたのはセマグルチド皮下注のSTRIDE試験と同様であるが、GLP-1受容体作動薬の別のメタ解析1)(ほとんどが皮下注製剤)ではマクロアルブミン尿の新規発症に限らない、主要複合腎臓アウトカムの有意な低下が示されていることから、患者像やアウトカムによってGLP-1受容体作動薬の製剤を使い分ける必要があるのかもしれない。

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デスモプレシン、重大な副作用にアナフィラキシー追加/厚労省

 厚生労働省は2025年6月24日、男性の夜間頻尿や中枢性尿崩症治療薬として使用される脳下垂体ホルモン薬のデスモプレシン酢酸塩水和物(以下、デスモプレシン)と甲状腺・副甲状腺ホルモン薬のチアマゾールに対して、添付文書の改訂指示を発出した。副作用の項に重大な副作用を新設し、デスモプレシンの経口剤と点鼻剤の両剤形においてアナフィラキシーの追記が、チアマゾールには急性膵炎の追記がなされた。なお、デスモプレシンの点鼻剤には、合併症・既往歴等のある患者の項にもアナフィラキシーの発現について追記がなされた。 対象製品は以下のとおり。デスモプレシン酢酸塩水和物(経口剤) ミニリンメルトOD錠25μg、同50μg ミニリンメルトOD錠60μg ミニリンメルトOD錠120μg、同240μg<重大な副作用> アナフィラキシーデスモプレシン酢酸塩水和物(点鼻剤) デスモプレシン点鼻スプレー2.5μg「フェリング」 デスモプレシン・スプレー10協和 ほか<合併症・既往歴等のある患者> 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。アナフィラキシーが発現するおそれがある。<重大な副作用> アナフィラキシー 本剤のアナフィラキシー関連症例を評価した結果、デスモプレシン(注射剤)とアナフィラキシーとの因果関係が否定できない症例が集積したこと(令和7月4月8日改訂指示通知)から、経口剤および点鼻剤の使用上の注意を改訂することが適切と判断された。ただし、中枢性尿崩症の効能を有する点鼻剤(デスモプレシン点鼻スプレー2.5μg「フェリング」)については代替薬がなく、禁忌を設定した場合に医療現場で不利益を被る可能性が考えられたため、点鼻剤については「禁忌」の項への追記は行わず、「合併症・既往歴等のある患者」の項にのみの追記とし、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しない旨の注意喚起を追記することが適切と判断された。チアマゾール メルカゾール錠2.5mg、同5mg メルカゾール注10mg<重大な副作用> 急性膵炎 上腹部痛、背部痛、発熱、嘔吐などの症状、膵酵素異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 急性膵炎関連症例および疫学文献などを評価した結果、本剤と急性膵炎との因果関係が否定できない症例が集積したこと、本剤と急性膵炎との関連を示唆する疫学文献が複数報告されていることから、使用上の注意を改訂することが適切と判断された。

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治療法が大きく変化、アミロイドーシス診療ガイドライン8年ぶりに改訂

 『アミロイドーシス診療ガイドライン2025』が2024年12月に発刊された。2017年版から8年ぶりの改訂となるが、この間にアミロイドーシスの各病型の病態解明が進み、診断基準をはじめ、トランスサイレチン型(ATTR)アミロイドーシスに対する核酸医薬、ALアミロイドーシスに対する抗CD38抗体薬、アルツハイマー病(AD)による軽度認知障害および軽度の認知症に対する抗アミロイドβ抗体薬の発売など、治療法も大きな変化を遂げている。そこで今回、本ガイドライン作成委員長であり、アミロイドーシスに関する調査研究班1)を率いる関島 良樹氏(信州大学医学部 脳神経内科、リウマチ・膠原病内科 教授)にアミロイドーシスの現状や診断方法、本書の改訂点などについて話を聞いた。次々と上市された薬剤、最新の診断フローチャートが疾患に光を灯す アミロイドーシスとは、アミロイドの沈着により臓器障害を引き起こす疾患群であり、その原因となる前駆蛋白質についてはヒトでは42種類が同定されている。また、前駆蛋白質の産生部位とアミロイドの沈着部位との関係により、全身性と限局性に分類される。このほかにも病型によって有病率や診断方法、患者・家族へのアドバイスなどが異なることから、本書を「第I章 アミロイドーシスの診断の基礎知識」「第II章 病型別アミロイドーシス最新診療ガイドラインとCQ」の2本柱で章立て、各々が必要なページにたどり着けるような構成になっている。第I章では各冒頭に要約を示しながらアミロイドーシスの基礎知識を解説。第II章では代表的なアミロイドーシスをピックアップし、各病型(診療科別)のClinical Question、それぞれの患者数・有病率、どんな症例で疑うべきか、診断や治療について言及している。 本書の大きな改訂点の1つとして、関島氏は「2017年版は学会承認を得たものではなかったが、今回は5学会(日本アミロイドーシス学会、日本神経学会、日本循環器学会、日本腎臓学会、日本血液学会)の承認を得て作成した」と説明。これまでは各学会で個別のガイドラインを作成していたが、アミロイドーシスはアミロイドがさまざまな臓器に沈着し、特異的な所見に乏しい症例も少なくない。「全診療科の先生方に、本症を疑って鑑別診断にあたることが求められるため、全臓器横断的なガイドラインを目指した」ともコメントした。本書のp.17~18には、研究班で作成した最新版の診断基準を反映したアミロイドーシス診断のためのフローチャートが示されているので、患者のどこか(心臓、腎臓、消化管、手根管、関節・靭帯、眼、皮膚、各臓器の腫瘤性病変など)にアミロイドーシスの疑いを持ったら、このフローチャートをぜひ思い出してほしい。 また、診断や治療におけるこの8年の発展は目まぐるしく、各疾患の治療項目も充実した。治療において最も大きな変貌を遂げたのはATTRアミロイドーシスである。ATTRアミロイドーシスは遺伝性(ATTRv)と野生型(ATTRwt)に分類され、主な障害は末梢神経障害(ATTR-PN)と心筋症(ATTR-CM)である。たとえば、タファミジス(商品名:ビンダケル/ビンマック)は、ATTRvアミロイドーシスによる末梢神経障害(ATTRv-PN)の進行抑制に加え、2019年にATTR型心アミロイドーシス(ATTR-CM、野生型および変異型)に適応が拡大。核酸医薬(siRNA)であるパチシラン(同:オンパットロ)やブトリシラン(同:アムヴトラ)はATTRv-PN(トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー)治療薬として承認されている。さらに、ADによる軽度認知障害および軽度の認知症の進行抑制に対する抗アミロイドβ抗体薬(レカネマブ[同:レケンビ]、ドナネマブ[同:ケサンラ])も2023年以降に相次いで承認された。患者を“見て診る”、全医師が特徴をつかみ潜在患者発掘へ しかし、これらの治療薬をうまく使いこなしていくには、診断に至るまでの問診や身体診察が鍵となる。アミロイドーシス自体はさまざまな臓器や血管に沈着することから、すべての診療科に関わる病気であり、とくにADや近年注目を浴びているATTRwtアミロイドーシスは日本国内に数百万人が潜在患者として存在することから、「アミロイドーシスはコモンディジーズである」と話す。「10年前の全国調査1)では、ATTRwtアミロイドーシスの患者数は50人程度だったのが、今は約3,000人に上る。疾患別にみると、心不全患者の中には5万人以上の潜在患者がいると言われ、手根管症候群300万人のうち100万人以上がATTRwtが原因ではないかとわれわれは推測している。ATTRwtは50歳以上の男性、60歳以上の女性で多いため、整形外科領域では該当患者の手根管症候群の手術の際にアミロイド沈着の有無を検査することが浸透し始めている」と説明した。 このような状況を踏まえ、同氏は専門性に応じた理解が必要であるとし、「一般内科医の皆さまには、心不全、脊柱管狭窄症、手根管症候群といったよくある疾患にアミロイドーシスが潜んでいること、息切れや動悸などの心不全症状を生じる前から手足のしびれや痛み、物がつまみにくいなどの運動障害が先行していることがある点に注意してほしい。そして、認知症の約7割がAD2)であることを踏まえ、抗アミロイドβ抗体薬の適応となる軽度認知機能障害(MCI)から軽度の認知症の時期に脳神経内科などの専門科への紹介をしていただくことが重要」とコメントした。 一方、専門医に向けては診療科ごとに以下のような特徴を示した。――――――――――――――――――〇循環器:心アミロイドーシス(ATTRv、ATTRwt、AL)のうち、ATTRwtはとくに頻度が高く男性に多い。〇血液内科:ALアミロイドーシスでは、眼の周囲の出血によるラクーンアイサインがみられる。〇腎臓内科:蛋白尿の原因疾患としてALアミロイドーシスを鑑別に挙げる。長期透析患者で、手根管症候群,ばね指、破壊性脊椎関節症などの骨関節症状を呈する場合、Aβ2Mアミロイドーシスを考慮する。〇神経内科:成人発症の多発ニューロパチーの鑑別にアミロイドーシス(ATTRvおよびAL)を挙げる。高齢者の手根管症候群の主要な原因疾患としてアミロイドーシス(とくにATTRw)を考慮する。〇膠原病:関節リウマチなどで慢性炎症が持続する患者において、下痢や蛋白尿が認められた場合、血清アミロイドA(SAA)を前駆蛋白とするAAアミロイドーシスを鑑別に挙げる。―――――――――――――――――― このほかの特徴的な臨床所見として、「巨舌、上腕二頭筋の断裂(ポパイサイン)などがある。ポパイサインは、腱・靭帯アミロイドーシスによって上腕二頭筋の腱断裂が起こり、これにより上腕二頭筋が短縮して力こぶのように見える。ATTRwtアミロイドーシスで高頻度に見られるので注意してもらいたい」と説明した。 最後に同氏は「現在、アミロイドーシスは治療薬開発も世界的に盛んで、国内では今夏にSiRNA製剤ブトリシランにATTR-CMの適応追加が予定されているなど、目が話せない領域だ。ゲノム編集薬を用いた治療においてもアミロイドーシスが先駆けとなっていることから、3年後に予定している次回改訂ではこれらの知見を盛り込みたい」と締めくくった。

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