サイト内検索|page:33

検索結果 合計:1046件 表示位置:641 - 660

642.

ビタミンDとオメガ3脂肪酸は糖尿病性腎臓病の進展を抑制しない(解説:住谷哲氏)-1183

 ビタミンDまたはオメガ3脂肪酸が健常人の心血管イベントやがんの発症を抑制するか否かを検討した大規模無作為化試験VITALの結果はすでに報告されているが、残念ながらビタミンDおよびオメガ3脂肪酸の両者ともに心血管イベントもがんも抑制しなかった1,2)。本試験はこのVITALに組み込まれた糖尿病患者を対象としたsupplementary trial VITAL-DKDであり、主要評価項目は治療開始5年後のeGFRの低下である。 この試験の背景には動物実験でビタミンDの投与が(1)レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を抑制する、(2)腎臓での炎症および線維化を抑制する、(3)ポドサイトのアポトーシスを抑制する、(4)アルブミン尿および糸球体硬化の程度を軽減すること、ならびにオメガ3脂肪酸が抗炎症作用および抗血栓作用を有することがある。また多くの観察研究において血中25(OH)D3濃度低値、少ない魚摂取量、血中オメガ3脂肪酸濃度低値がアルブミン尿の程度およびeGFRの低下と相関することが報告されている。つまり動物実験と観察研究の結果からは、ビタミンDまたはオメガ3脂肪酸の投与による糖尿病性腎臓病の進展抑制の可能性が示唆されたことになる。 2×2要因デザインを用いてビタミンD3(2,000 IU/日)またはオメガ3脂肪酸(エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸:1g/日)が投与された。主要評価項目である5年後のeGFRの低下はビタミンD3投与群、オメガ3脂肪酸投与群および両者の投与群とプラセボ群との間に有意な差は認められなかった。また副次評価項目である臨床的腎アウトカム(eGFRの40%以上の低下、腎不全、死亡からなる複合アウトカム)ならびに尿アルブミンについてもプラセボ群との間に有意差を認めなかった。 ビタミンDならびにオメガ3脂肪酸をサプリメントとして服用している糖尿病患者は少なくないと思われる。本試験の結果から考えると、糖尿病患者がこれらのサプリメントを摂取しても糖尿病性腎臓病進展の予防効果は期待できないだろう。やはりサプリメントに頼らず、エビデンスに基づいた治療と健康的な食生活とを目指すのが賢明だろう。

643.

アルポート症候群〔AS:Alport syndrome〕

1 疾患概要1-3)■ 概念・定義アルポート症候群(Alport syndrome:AS)は、古典的には進行性の遺伝性腎症(しばしば腎炎とも呼ばれる)に難聴を伴う症候群をさすが、近年ではIV型コラーゲン遺伝子バリアントによるものとするのが一般的である2、3)。■ 疫学約8割がX連鎖型であるが、常染色体劣性・優性のものもある。頻度は欧米の報告では1/5,000~1/10,000で、人種差や地域差はないと考えられている。また、約50,000出生に1例との報告がある。■ 病因1,3)ASの原因は、IV型コラーゲンの遺伝子バリアントである。1)IV型コラーゲンとα鎖IV型コラーゲンの網目状ネットワークを形成する基本分子はモノマーと呼ばれ、3本のα鎖がらせんを巻いた構造をしている。α鎖はN末端側のGly-X-Yの繰り返し構造をもつ約1,400残基のコラーゲンドメイン(collagenous domain)と、C末端側の約230残基の非コラーゲンドメイン(NC domain)からなる。IV型コラーゲンの構成鎖はαl〜α6鎖が知られているが、α6鎖は糸球体基底膜には存在しない。生体においてらせんを形成する3本のα鎖の組み合わせは、(1)αl-α1-α2、(2)α3-α4-α5、(3)α5-α5-α6の3種類である。2つのモノマーがC末端側の非コラーゲンドメインで結合してダイマー、4つのモノマーがN末端側のコラーゲンドメインで結合してテトラマーを形成する。モノマー、テトラマーが互いに絡み合い、かつ側面で結合しIV型コラーゲンのネットワーク構造を形成する。α1、α2鎖は糸球体基底膜以外にもメサンギウム基質、尿細管基底膜、血管基底膜など、腎組織に広範に存在する。一方、α3、α4、α5鎖は糸球体基底膜、ボーマン嚢、一部の尿細管基底膜に限局して存在する。α6鎖は糸球体基底膜には存在せずボーマン嚢に発現している。2)IV型コラーゲン遺伝子1,3)IV型コラーゲン遺伝子はいずれも非常に大きく約250kbある。αl、α2鎖をコードするCOL4A1、COL4A2遺伝子は13番染色体上に、α3、α4鎖をコードするCOL4A3、COL4A4遺伝子は2番染色体上に、α5、α6鎖をコードするCOL4A5、COL4A6遺伝子はX染色体上に存在する。したがって、大部分を占めるX連鎖型ではα5鎖、常染色体性ではα3またはα4鎖の遺伝子バリアントが原因である。これらの遺伝子バリアントにより、糸球体基底膜に存在するIV型コラーゲン分子のネットワークの破綻が引き起こされる。■ 症状3)病初期には血尿が唯一の所見となる。血尿は持続性の顕微鏡的血尿に、発熱時などに肉眼的血尿を伴うことが多い。タンパク尿は進行とともに増加していき、ネフローゼ症候群を呈することもよくある。発熱時の肉眼的血尿はIgA腎症でもしばしばみられることがよく知られているが、ASでも珍しくないことに留意が必要である。特徴的な難聴や眼病変がみられれば診断上有用である。難聴は神経性(感音性)難聴で、7~10歳頃両側性に出現し、まず高周波領域における聴力低下が起こり、進行性に増悪していく。患者の約1/3に難聴がみられるが、男児に多く、女児にはまれである。本人、家族に難聴がみられなくても、本症であることがしばしばあり、注意が必要となる。眼病変としてはanterior lenticonus、posterior subcapsular cataract、posterior polymorphous dystrophy、retinal flecksなどがある。びまん性平滑筋腫症(diffuse leiomyomatosis)の合併が認められることがある。本症は良性の平滑筋細胞の増殖で、食道での報告が多い。本症合併例ではCOL4A5遺伝子5'端とCOL4A6遺伝子5'端を含む欠失が報告されており、食道にはα6鎖が多く発現していることから、本症責任遺伝子はα6鎖遺伝子と考えられている。■ 分類先述の通り、遺伝形式は80%がX連鎖型であるが、常染色体劣性(15%)・優性(5%)のものもある。常染色体優性遺伝形式を示し、複数世代で血尿を認めるが腎不全に進行しない家系において、臨床的に良性家族性血尿と呼ばれてきた。しかし、遺伝子解析の進歩・普及により、これらにおいてIV型コラーゲン遺伝子バリアントが原因となることが明らかになり、これらの家系のバリアントがペアとなって遺伝した場合に、常染色体劣性型ASになる。さらに、片方のアリルのバリアントのみでもまれに末期腎不全に進行する場合があり、この患者は常染色体優性型ASということになる。したがって、近年ではASと良性家族性血尿の境界は曖昧である2,3)。■ 予後ASの重症度は、腎機能、難聴の程度、視力により規定される。本症候群は進行性の慢性腎症であるが小児期には通常腎機能は正常で、思春期以後徐々に腎機能が低下しはじめ、男性患者では10代後半、20代、30代で末期腎不全に至る例が多い。腎保護薬なしでの末期腎不全進行への自然歴は、X連鎖型男性患者で25歳までに50%、42歳までに90%とされる。X連鎖型の女性患者は一般に進行が遅く、腎不全に進行することは少ないと考えられていたが、近年ではX連鎖型女性患者でも中年期以降腎不全に進行することも珍しくなく、蛋白尿が持続する症例では注意がいる。X連鎖型女性に関しては、40歳までに12%、60歳以降に30~40%が末期腎不全に進行するということが判明している。一方、X連鎖型では原因遺伝子バリアントを有するが無徴候の女性例が約10%存在し、本人はまったく正常であっても子供に発症する場合がある。この場合、家系内で世代間に隔たりがあるようにみえるが、それにより本症候群を否定してはいけない。また、X連鎖型女性患者が男性と同様に重症で、10代後半に末期腎不全に進行することもある。このようにX連鎖型女性患者の重症度はバリエーションに富んでおり、胎児期早期に起きるX染色体の不活化によるものと推測されている。一方、男性患者の重症度は遺伝子バリアントパターンによるところが大きい。常染色体性ASでは、症状に男女差はなく予後不良である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)3)ASの診断基準を表に示す。血尿患者をみたときに、患者やその家族が積極的に家族の検尿異常を述べるとは限らないので、必ずできる限り詳細に家族歴を聴取し、家族性の尿異常をもらさないことが重要である。家族に尿異常者がある場合は、腎不全の有無を詳細に確認し、腎不全の家族歴がある場合は腎生検を施行する。表 アルポート症候群診断基準(平成27年2月改訂)●主項目に加えて副項目の1項目以上を満たすもの。●主項目のみで副項目がない場合、参考項目の2つ以上を満たすもの。※主項目のみで家族が本症候群と診断されている場合は「疑い例」とする。※無症候性キャリアは副項目のIV型コラーゲン所見(II-1かII-2)1項目のみで診断可能である。※いずれの徴候においても、他疾患によるものは除く。たとえば、糖尿病による腎不全の家族歴や老人性難聴など。タイトルI.主項目:I-1 持続的血尿 *1II 副項目:II-1IV型コラーゲン遺伝子変異 *2II-2IV型コラーゲン免疫組織化学的異常 *3II-3糸球体基底膜特異的電顕所見 *4III 参考項目:III-1腎炎・腎不全の家族歴III-2両側感音性難聴III-3特異的眼所見 *5III-4びまん性平滑筋腫症厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業)「腎・泌尿器系の希少・難治性疾患群に関する診断基準・診療ガイドラインの確立」班*1 3ヵ月は持続していることを少なくとも2回の検尿で確認する。まれな状況として、疾患晩期で腎不全が進行した時期には血尿が消失する可能性があり、その場合は腎不全などのしかるべき徴候を確認する。*2 IV型コラーゲン遺伝子変異:COL4A3またはCOL4A4のホモ接合体またはヘテロ接合体変異、またはCOL4A5遺伝子のヘミ接合体(男性)またはヘテロ接合体(女性)変異をさす。*3 IV型コラーゲン免疫組織化学的異常:IV型コラーゲンα5鎖は糸球体基底膜だけでなく皮膚基底膜にも存在する。抗α5鎖抗体を用いて免疫染色をすると、正常の糸球体、皮膚基底膜は線状に連続して染色される。しかし、X連鎖型アルポート症候群の男性患者の糸球体、ボーマン嚢、皮膚基底膜はまったく染色されず、女性患者の糸球体、ボーマン嚢、皮膚基底膜は一部が染色される。常染色体劣性アルポート症候群ではα3、4、5鎖が糸球体基底膜ではまったく染色されず、一方、ボーマン嚢と皮膚ではα5鎖が正常に染色される。注意点は、上述は典型的パターンであり非典型的パターンも存在する。また、まったく正常でも本症候群は否定できない。*4 糸球体基底膜の特異的電顕所見:糸球体基底膜の広範な不規則な肥厚と緻密層の網目状変化により診 断可能である。良性家族性血尿において、しばしばみられる糸球体基底膜の広範な菲薄化も本症候群においてみられ、糸球体基底膜の唯一の所見の場合があり注意を要する。この場合、難聴、眼所見、腎不全の家族歴があればアルポート症候群の可能性が高い。また、IV型コラーゲン所見があれば確定診断できる。*5 特異的眼所見:前円錐水晶体(anterior lenticonus)、後嚢下白内障(posterior subcapsular cataract)、後部多形性角膜変性症(posterior polymorphous dystrophy)、斑点網膜(retinal flecks)など。ASがIV型コラーゲン異常によるものであることが判明し、特徴的な糸球体基底膜の電子顕微鏡所見やIV型コラーゲン異常が証明されれば、家族歴や難聴は診断に必須ではない。したがって、家族歴のない例ではASを念頭に置かないと正しく診断できないことがあり、注意を要する。すなわち、家族歴のない血尿症例においても突然変異例が含まれるので、原則的に血尿がみられる疾患はすべて鑑別疾患となる。したがって、非家族性血尿の症例においても腎生検をする場合には、電顕による糸球体基底膜の観察が重要である。小児期、特に10歳以下の症例では血尿が唯一の症状であることが多く、腎不全の家族歴が明らかでない場合、鑑別は困難である。家族性に血尿がみられるが腎不全の家族歴がない場合、その血尿患者の腎生検の適応は通常の腎生検の適応と同じであるが、経過中に腎不全の家族歴が確認された場合や本人に病的タンパク尿が持続するときは腎生検を施行し、糸球体基底膜の電顕による観察により鑑別することが重要である。1)ASの腎病理所見1,3)光学顕微鏡所見は非特異的である。泡沫細胞は高度タンパク尿によるもので、本症候群に特異的というわけではないが診断上参考になる。電子顕微鏡所見は特異的で、糸球体基底膜の広範な不規則な肥厚と緻密層の網目状変化がみられれば本症候群と診断できる。良性家族性血尿において、しばしばみられる糸球体基底膜の広範な菲薄化も本症候群においてみられ注意を要する。糸球体基底膜の厚さは正常では300nm以上あるが、良性家族性血尿や本症候群では150〜200nmと異常に薄い場合がみられ、糸球体基底膜が断裂して糸球体上皮細胞と内皮細胞が直接接触していることもある。本症候群の糸球体基底膜は、網目状変化のために肥厚した部分、異常に薄い部分、正常な部分が混在する。疾患の進行に伴い糸球体基底膜は肥厚し、薄い部分、正常な部分は減少していく。正確に評価された腎電顕所見により家族歴や難聴等の無い場合でも診断が可能である。2)免疫組織学的検索による診断1,3,4)IV型コラーゲン遺伝子バリアントの影響を蛋白レベル、すなわちα鎖の発現を検索し、本症候群の確定診断可能な場合がある。IV型コラーゲンα5鎖は糸球体基底膜だけでなく皮膚上皮基底膜にも存在する。抗α5鎖抗体を用いて免疫染色をすると、正常の糸球体、皮膚基底膜は線状に連続して染色される。しかし、X連鎖型ASの男性患者の糸球体、皮膚基底膜はまったく染色されず、女性患者の糸球体、皮膚基底膜は一部が染色される。X連鎖型ASの男性患者の糸球体基底膜は正常では存在するα3鎖とα4鎖も欠損し、かつ疾患の重症度と関係を認める。注意を要する点は、上述は典型的パターンであり、非典型的パターンも存在する。また、抗α5鎖抗体を用いた染色が正常でも本症候群は否定できない。X連鎖AS男性患者の糸球体基底膜では、患者の一部にα5鎖が発現している例があり、これらの患者は非発現例と比較して、軽症例であることが明らかになっている5)。3)遺伝子診断1-3)確定診断のためα3〜α5鎖遺伝子のバリアントが検索されている。ゲノムDNAを用いてすべてのエクソンとプロモーター領域をPCRで増幅し、ダイレクトシークエンスを行うことで80%を超える遺伝子バリアントの検出率が得られる。さらに、RNAを使用する方法やMLPA法(Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification)などによりほぼ100%原因遺伝子バリアントが検出できる。近年では、次世代シーケンサを用いたパネル解析が有用である。ASの遺伝子診断について、原因遺伝子が大きくホットスポットもなく、現時点で労力とコストの面から考えて容易とは言えないが、遺伝子解析技術の進歩に伴い診断における意義が高まると考えられる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)3)現時点では疾患特異的治療はなく、対症療法が中心である。アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の投与により、腎機能障害進行阻止が可能となり、末期腎不全への進行年齢を遅らせられていることが報告されている。ただし、一般的にACEIやARB使用中は容易な脱水から腎機能低下を引き起こすので、水分が十分摂取できないときは中止するなどの指示が重要である。これまでの知見では、AS患者の透析導入後および腎移植後の予後は、他疾患に存在する腎予後に影響する併存合併症が少ないために良好であると考えられる。そのため、ASに対する腎代替療法を特別視することなく、他の慢性腎臓病と同様の腎代替療法導入基準・適応でよいと考えられる。各腎代替療法における注意事項としては、血液透析ではASに特異的な注意事項はないと考えられる。腹膜透析では血管基底膜への影響により被嚢性腹膜硬化症が増加するのではないかという可能性を論じた報告があるが推測の域を出ず、大規模データの予後結果を踏まえると、腹膜透析を避ける根拠にはならないと考えられる。腎移植においては、遺伝性疾患であるため生体腎移植時の腎提供者(ドナー)の問題、また、腎移植後の再発性腎炎(新規抗糸球体基底膜抗体腎炎)の問題が存在する。4 今後の展望■ 薬物療法近年、バルドキソロンメチルの治験がASで実施され、eGFRの改善において有効な結果が示されている(ClinicalTrials.gov Identifier: NCT03019185: A Phase 2/3 Trial of the Efficacy and Safety of Bardoxolone Methyl in Patients With Alport Syndrome – CARDINAL.■ 遺伝子治療遺伝子治療の1つとして、神戸大学小児科を中心にエクソンスキッピング療法の開発が進行中である(AMED:希少難治性疾患に対する画期的な医薬品医療機器等の実用化に関する研究薬事承認を目指すシーズ探索研究(ステップ0)「Alport症候群に対する新規治療法の開発」)。5 主たる診療科腎臓専門医(小児科、内科)、耳鼻科、眼科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報小児慢性特定疾病情報センター 慢性糸球体腎炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター アルポート症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)Alport Syndrome Foundationホームページ(日本語の選択も可能)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Nozu K, et al. Clin Exp Nephrol. 2019;23:158-168.2)Kashtan CE, et al. Kidney Int.2018;93:1045-1051.3)日本小児腎臓病学会編集. アルポート症候群診療ガイドライン2017. 診断と治療社;2017.p.1-85.4)Nakanishi K, et al. Kidney Int. 1994;46:1413-1421.5)Hashimura Y, et al. Kidney Int.2014;85:1208-1213.公開履歴初回2020年02月10日

644.

本特集に寄せられたコメント

遭遇の可能性があるので、学習したい。(東京都/内科/50代)変えれる症状に気づける目の数を増やしてください。(広島県/外科/60代)自分の知識を発展させるために応援します。(鹿児島県/内科/50代)医師の常識範囲として知っておきたい(神奈川県/小児科/70代以上)希少疾患の、新たな診断、治療方法の開発に期待します。(山梨県/内科/50代)より多くの症例を診たご経験がある先生方の知見やお話を伺えることを楽しみにしています。(茨城県/呼吸器外科/50代)最新の治療指針について学習していきたいと思います。(大阪府/神経内科/60代)患者発見の糸口を学習して備えたい(東京都/小児科/60代)希少疾患は、経験値も高まりにくいですので、頑張っていただきたいです。(大阪府/内科/50代)良く知らない症状の患者に役立つことを期待している。(東京都/腎臓内科/60代)なかなか忙しくて見れないが、時間が有ったら、是非じっくり見たい。(東京都/内科/60代)難病疾患に悩む患者さんの支えに少しでもなれる医師を増やすために(大阪府/外科/50代)微力ながら、お手伝いできればと思っています。(山口県/放射線科/30代)今後遭遇する可能性があり勉強したい。(兵庫県/麻酔科/60代)知らないより知っている方が良いと思います。(東京都/精神科/60代)地方では希少疾病であっても大都市の病院に通えず,頑張っている患者さんや診療しているスタッフがいます.そのためwebは力強いアイテムです.応援します.(長野県/外科/50代)貴重な内容なので、ぜひ勉強したいです(東京都/呼吸器内科/40代)日本全体として応援したほうが良いと思う(山形県/内科/30代)学生への講義に反映させます。(愛知県/病理診断科/50代)なかなか勉強する機会が少ないので楽しみにしています(埼玉県/循環器内科/40代)知識として持っていたいと思います(奈良県/耳鼻咽喉科/50代)ぜひ最新の診断,治療を知りたい(長崎県/循環器内科/50代)診察する機会は少ないが重要な臨床課題(静岡県/消化器内科/40代)日常診療で難病を思い浮かべ難いので学習したい。(神奈川県/乳腺外科/40代)まず知ることが大事と思う。(沖縄県/臨床研修医/30代)知らない病気は診断できない(大阪府/小児科/50代)知らなければ、疑わなければ助けられない。非常に医者にとって責任の重い疾患。(山形県/小児科/50代)希少疾患に対する認知の普及に期待します(石川県/消化器内科/40代)非専門医が実臨床で役立つ情報を期待します(奈良県/内科/40代)有識者の声、患者の声を参考にしたいと思う(京都府/血液内科/30代)顧みられにくい疾患への理解が深まることを願います(福岡県/病理診断科/20代)患者数が少ないほど情報も少ない。医療に関しては需要供給バランスでなく、少数であっても情報に対して需要があるので情報発信をしていただきたい。(長野県/整形外科/30代)難解になりがちな難病の講義ですが、わかりやすい解説を期待しています。(新潟県/皮膚科/30代)今後の治療展望を明らかにしてくれることを期待します(愛知県/腎臓内科/30代)知識の獲得で応援します。(茨城県/脳神経外科/50代)知識の再構築に使用したい。(京都府/呼吸器内科/30代)これを機にぜひ知識をブラッシュアップしたいと思います(千葉県/臨床研修医/30代)最新の知見解説で学習します 動画楽しみです(群馬県/内科/30代)そもそも疾患を知らないと診療できないので、しっかり学習していきたい(北海道/内科/20代)できるだけ勉強して困っている方を助けたいです。(長崎県/内科/60代)希少疾患の知見を得て治療に役立てたい(福岡県/その他/50代)最新の知見解説等で学習したいと思います。(神奈川県/内科/50代)エビデンスに基づいた臨床的知見を勉強したいです(佐賀県/臨床研修医/20代)一般啓発活動の参考にしたい(埼玉県/小児科/60代)医師の中でも認識されていないので、是非とも。(山口県/消化器内科/50代)忘れがち、見逃しがちの疾患を思い起こしたいと思います(神奈川県/糖尿病・代謝・内分泌内科/50代)少しでも症例が蓄積して集学的治療につながっていくことを願っています。(埼玉県/呼吸器外科/60代)自身の知見が少しでも増すことを期待しています。(新潟県/内科/60代)他に勉強できる機会があまりなく、今後の診療の参考にできればと思います。(岡山県/腎臓内科/40代)少なくとも、見逃しの無いようにしたい(大阪府/リハビリテーション科/60代)治療方法を患者に示すことが出来るので、助かります。(青森県/産婦人科/40代)深く理解でき、勉強になります。有難うございます。(岐阜県/腎臓内科/60代)応援します。参考になるサイトを開設してください。(徳島県/泌尿器科/40代)希少疾患の教科書として期待しています。(京都府/内科/50代)希少疾病・難病に対する最新の知見が周知できるとよいと思います(福井県/小児科/40代)日常診療に役立つ情報を共有する機会を作りましょう!(埼玉県/内科/50代)新たな展開が始まることを期待しています(東京都/神経内科/40代)情報共有することでより理解が進むことを期待します(静岡県/心臓血管外科/40代)難病、希少疾患の原因究明および有効な治療法開発に期待します。(佐賀県/麻酔科/40代)動画などの学習は繰り返しもしやすいので期待してます(三重県/眼科/40代)何とか勉強してしかるべき疾患の発見をしたいと思います。(青森県/内科/60代)知らないでは済まされない。(愛知県/精神科/30代)インパクトのある情報提供をお願いします。(青森県/小児科/60代)最新の知見を吸収するように努力したい。(北海道/耳鼻咽喉科/40代)未経験、未知の疾患について、知識を得たい。(静岡県/脳神経外科/60代)教科書では得られない希少疾患の患者さんの実生活(どんなことに困るのかなど)を、様々なメディアを通じて知るようにしたいと思います。(東京都/内科/40代)情報発信を期待しています(宮城県/内科/60代)どうしても専門分野に偏りますが最新の知見解説で学習したい。(大阪府/内科/60代)小さい病院なので診ることがすくないのですが、勉強させてください。(千葉県/整形外科/60代)是非日常診察の参考にさせて頂きたい(静岡県/内科/50代)ケアネットの希少疾患の特集は、極めて内容が良い(福島県/神経内科/70代以上)もしかしたら身近に存在するかもしれない希少疾患です。知識を持っておきたいのでぜひ教えてください。(滋賀県/乳腺外科/40代)希少疾患・難病の患者様がhappyになると良いと思います(神奈川県/神経内科/30代)希少疾患であっても苦しんでいる患者さんへの助けになればいいと思います(福岡県/内科/50代)意外に身近にいる希少疾患の見つけ方、ぜひ応援したい。(愛媛県/内科/50代)難病疾患について、正しい情報発信に期待しています。(神奈川県/皮膚科/60代)この機会に最新の知識をしっかり勉強したいと思います(東京都/眼科/30代)普段勉強する機会がすくないので、とてもありがたいです。(福岡県/麻酔科/40代)これを機にあまり知識のない稀な疾患を勉強します。(山口県/内科/50代)ライブラリーの数が増えるのが楽しみです。(東京都/循環器内科/40代)有意義な情報提供になると確信しています。(新潟県/内科/50代)徴候を見逃さないための勉強をしたいと思います。(大阪府/消化器外科/60代)自分の分野の難病の知識を深めていきたい。(広島県/精神科/30代)難しいですが頑張ってください(京都府/泌尿器科/30代)勉強して患者さんに役立てていきたいと思います。(大分県/精神科/40代)知識を身に着けるために参考にしたいです(神奈川県/消化器外科/50代)最新の動画配信にて学習します。(京都府/消化器外科/60代)発見することが、治療の第一歩と思います。動画で勉強したいと思います。(東京都/糖尿病・代謝・内分泌内科/20代)過去の難病の中には難病でなくなっている疾患もあるので、今後に期待しながら勉強させていただきます。(静岡県/その他/50代)少しでも手伝えるよう、情報の発信を(福岡県/小児科/40代)ぜひとも。この機会にに勉強させて欲しい。特集とか、機会作って下さい。(香川県/内科/40代)様々な症例報告の蓄積をきたいします。(静岡県/消化器外科/30代)希少疾患は疑うところから知るところからですので、知識の吸収に努めます。(愛知県/血液内科/30代)治療のある病気も増えてきているので,早期診断できるよう意識します.(東京都/神経内科/40代)難病について正しい疾患知識を発信して下さい。(東京都/皮膚科/30代)動画だと知識が入りやすいのでありがたいです(愛知県/呼吸器内科/30代)こういった企画はありがたいです。勉強させていただきたいと思います。(千葉県/脳神経外科/40代)興味深い内容を期待(神奈川県/腎臓内科/30代)診断に役立つコンテンツに期待します(東京都/小児科/30代)みなさんの関心が高まることを期待(東京都/循環器内科/30代)その他のコメントはこちら

645.

希少疾病ライブラリ

これらは、希少疾病に関してケアネットドットコムの会員医師から寄せられたご意見の一部です。このような先生方に少しでもお役に立てることを目指して、疾病の基本情報・診断・治療などを解説した「希少疾病ライブラリ」を立ち上げました。今後も随時、追加・更新していきますので、ぜひご活用ください。呼吸器科▼詳細はこちら循環器内科/心臓血管外科▼詳細はこちら消化器科▼詳細はこちら腎臓内科▼詳細はこちら糖尿病・代謝・内分泌科▼詳細はこちら血液内科▼詳細はこちら感染症内科▼詳細はこちら腫瘍科▼詳細はこちらアレルギー科▼詳細はこちら膠原病・リウマチ科▼詳細はこちら神経内科▼詳細はこちら精神科/心療内科▼詳細はこちら脳神経外科▼詳細はこちら外科/乳腺外科▼詳細はこちら整形外科▼詳細はこちら泌尿器科▼詳細はこちら産婦人科▼詳細はこちら小児科▼詳細はこちら皮膚科▼詳細はこちら耳鼻咽喉科▼詳細はこちら眼科▼詳細はこちら放射線科▼詳細はこちら麻酔科▼詳細はこちら救急科▼詳細はこちらリハビリテーション科▼詳細はこちら■掲載疾患についてわが国では、国内における患者数が5万人未満で、難病など重篤な疾病や医療上の必要性が高い疾病であることが、希少疾病用医薬品/医療機器の指定条件に挙げられています。本ライブラリでは、「希少疾病」について厳密には定義せず、「患者数が少なく、重篤な疾病や医療上の必要性が高い疾病」と考え、順次追加していく予定です。厚生労働省では、希少疾病などにさまざまな医療費助成の施策を行っています。代表的なものを下記に示しますが、各地方自治体の施策も用意されていますので、患者・家族等からお問い合わせがありました際は、「自治体の窓口にてご相談ください」とお伝えください。高額療養費制度を利用される皆さまへ小児慢性特定疾患情報センター先進医療の概要について

646.

第17回 メタボ対策からフレイル対策へシフトするタイミング【高齢者糖尿病診療のコツ】

第17回 メタボ対策からフレイル対策へシフトするタイミングQ1 食事療法を“個別化”するときの指針とは? どの時点でメタボ対策からフレイル対策へシフトしますか?栄養成分の予後に及ぼす影響は年齢によって異なってきます。一般住民の縦断調査では65歳以下ではタンパク質摂取が増えるほど死亡リスクが高くなりますが、66歳以上ではタンパク質摂取が少ないほど死亡リスクが上昇しています1)。また、メタ解析で健康的な食事パターンは65歳以上でのみ、フレイルのリスクを減らすことが報告されています2)。J-EDIT研究では、75歳以上の高齢糖尿病患者でのみ、野菜や魚が多い“健康食事パターン”は、肉や脂肪の摂取が多い“肉食食事パターン”と比べて死亡が少ないという結果が得られています3)。また、75歳以上の糖尿病患者では、地中海食のアドヒアランスが良好になるにつれて歩行能力やバランスの能力が改善するのに対して、60~74歳ではその関連が認められないという報告もあります4)。したがって、高齢糖尿病患者の食事療法は高齢期のどこかの時点で、メタボ対策からフレイル対策にシフトする必要があります。メタボ対策からフレイル対策へシフトする目安としては(1)後期高齢者、(2)低栄養、(3)フレイル・サルコペニアがあります。低栄養はBMI低値、体重減少、食事摂取量低下などで判断します。フレイルの評価にはJ-CHS基準(3項目以上)か基本チェックリスト(8点以上)を用います。サルコペニアはAWGS2019に基づいた筋力、骨格筋量などの評価によって診断します。認知機能やADLを同時に評価できるDASC-8も使用できます(第7回参照)。DASC-8の11点以上のカテゴリーIIが、フレイル対策の食事療法を行う患者の候補となります。フレイル対策のための高齢糖尿病患者の食事療法では、十分なエネルギー量、タンパク質、緑黄色野菜の摂取を勧め、低栄養を防ぐような食事を勧めます。2020年には高齢者のフレイル検診が始まり、地域の自治体や医師会によるフレイル対策が計画されています。運動療法とともに食事療法においてもフレイル対策を行うことで、健康寿命の延伸とQOLの維持・向上につながることが期待されます。Q2 認知症合併の場合、どのような対策を立てたらよいでしょうか?認知機能障害を合併した糖尿病患者の場合、低栄養を防ぎ、バランスを重視した食事療法を行います。低栄養は前臨床期を含めたさまざまな認知症の段階で認知機能を悪化させます。体重減少やBMI低値は糖尿病における認知症発症の危険因子になっています5)。また、食品の多様性が乏しくなり、その結果、低栄養となって、認知機能が悪化することに注意する必要があります。過度の食事制限は興奮や易怒性などの行動・心理学的徴候(BPSD)をきたしやすくします。間食などを無理にやめさせるのではなく、できるだけカロリーの少ない食品を用意して食べてもらう方がいいように思います。認知機能障害のある糖尿病患者では炭水化物に偏り、タンパク質や野菜の摂取が低下しやすくなります。調理しないで済む菓子パンなどが多くなる傾向があります。生活のリズムが乱れ、朝食または昼食の欠食がみられることもあります。介護者に対してこうした食事指導を行うことも必要ですが、介護保険などのサービスを利用し、ヘルパーによる調理や買い物などの援助を得ることも大切です。宅配食の利用などもいいですが、デイサービス・デイケアを利用することが、介護者の負担を軽減し、規則正しい生活リズムを保ち、昼食を確保することにつながり、食事療法の面からも大切であると思います。1)Levine ME, et al. Cell Metab 19:407-417, 2014.2)Fard NRP, et al. Nutrition Reviews 77:498–513, 2019.3)Iimuro S, et al. Geriatr Gerontol Int 12 (Suppl. 1): 59-67, 2012.4)Tepper S, et al. Nutrients 10: E767, 2018.5)Nam GE et al. Diabetes Care 42:1217-1224, 2019.

647.

第16回 新ガイドラインで総エネルギー摂取量の設定法はどう変わったか【高齢者糖尿病診療のコツ】

第16回 新ガイドラインで総エネルギー摂取量の設定法はどう変わったかQ1 高齢糖尿病患者の総エネルギー摂取量の決め方は?1)高齢者の栄養状態をどうとらえるか高齢糖尿病患者の栄養状態は個人差が大きく、低栄養と過栄養が混在しています。J-EDIT研究によると、高齢糖尿病患者の実際の総エネルギー摂取量は、男性で1,802±396kcal(31.0±6.8 kcal/kg体重)、女性で1,661±337kcal(33.7±6.9kcal/kg体重)であり、指示量よりも多くとっていました1)。この値は、これまで高齢者に指示していた標準体重当たりエネルギー指示量の25~30kcal/kg体重と乖離しています。一方、高齢糖尿病患者は低栄養を起こしやすく、体重減少やBMI低値となり、総エネルギー摂取量が低下している人もいます。これまでの考え方では、(身長)2×22で求めた標準体重に活動係数をかけて総エネルギー量を求めていました。その根拠は、高齢者を除いた一般住民の疫学調査から、死亡のリスクが最も低いBMIが22であることに基づいています。また、JDCSとJ-EDITの糖尿病患者のプール解析では、最も死亡リスクが低いBMIは22.5以上、25前後であるという結果でした。一方、75歳以上ではBMI 18.5未満の群の死亡リスクが8.1倍と75歳未満と比べて高くなり、後期高齢者では低栄養が死亡リスクに及ぼす影響が著しいことが示されました2)。高齢糖尿病患者ではサルコペニアやフレイルをきたしやすくなりますが、これらの成因には低栄養が大きく関わっており、とくにエネルギー摂取量とタンパク質摂取量の低下が関係しています。2)総エネルギー摂取量の設定の仕方は?上記のことから、高齢糖尿病患者の総エネルギー摂取量は過栄養だけでなく、低栄養やサルコペニア・フレイル予防の観点も考慮しながら決める必要があります。日本糖尿病学会は「糖尿病診療ガイドライン2019」で食事療法について改訂を行い、標準体重ではなくて、年齢を考慮した目標体重を用いた新たな総エネルギー摂取量の設定法を提案しました3)。総エネルギー摂取量(kcal/日)は目標体重(kg)にエネルギー係数(kcal/kg)をかけて求めます(表1)。目標体重の目安は65歳未満では従来通り[身長(m)]2×22ですが、前期高齢者は[身長(m)]2×22~25、後期高齢者も[身長(m)]2×22~25となっています。身体活動レベルと病態によるエネルギー係数(kcal/kg)は、(1)軽い労作:25~30、(2)普通の労作:30~35、(3)重い労作:35~のように設定します。肥満症やフレイルがある場合は、エネルギー係数を柔軟に変えることができるとされています。画像を拡大する3)目標体重当たりのエネルギー摂取と死亡の関係高齢糖尿病患者の追跡調査であるJ-EDIT研究では、目標体重当たりのエネルギー摂取量と6年間の死亡リスクとの間にU字型の関連が認められました(図1)4)。すなわち、約25kcal/kg体重未満の群と約35kcal以上の群で死亡リスクが上昇し、高齢糖尿病患者のエネルギー摂取量は25~35kcal/目標体重が最も死亡のリスクが低いという結果です。目標体重にかけるエネルギー係数は高齢者では25~35になることがほとんどですので、この結果は目標体重をもとにしたエネルギー量の設定が妥当であることを示唆しています。標準体重当たりの摂取エネルギー量の場合も、同様にU字型の関係が認められました。しかし、最も死亡リスクが小さい摂取エネルギー量は31.5~36.4kcal/kgであり、25~30kcal/kg標準体重で摂取エネルギー量を設定すると、摂取量不足になる可能性があります。また、目標体重当たりのエネルギー摂取と死亡の関係は、実体重と死亡との関係に近似していますので、これも目標体重当たりで考えた方がいいという理由の1つになります。画像を拡大する4)従来よりも指示量は増える? 実際に総エネルギー量を算出してみる目標体重による計算法では、従来の標準体重による計算法と比べて総エネルギー摂取量の指示量が多くなることが予想されます。身長150cm、体重53kgの76歳の女性で、目標体重が1.5×1.5×24=54.0kgとなったとき、軽い運動を行っている場合には30をかけてエネルギー摂取量は1,620kcalとなり、1,600kcalを処方することになります。従来であれば標準体重49.5 kgから28をかけて1,386kcalとなり、1,400kcalの食事を処方したと思われ、200~300kcal多い食事を処方することになります。こうした目標体重によるエネルギー量の設定法は、高齢者においてメタボ対策から低栄養・フレイル対策にシフトしていく観点からみると有用である可能性があります。しかし、現在の食事量や体重をみながら段階的に設定することと、身体機能、心理状態、体重、血糖コントロール状況、食事内容などの推移を見ながら、適宜変更していく必要があります。また、十分に摂取できない高齢者に対して、エネルギー摂取量を増やす方法についても個別に検討すべきであると思います。Q2 タンパク質摂取量はどのように決めますか?1)フレイル・サルコペニア予防の観点からは?フレイルやサルコぺニアの発症や進行を予防するためには、十分なタンパク質の摂取が大切です。欧州栄養代謝学会(ESPEN)のガイドラインでは、高齢者の筋肉の量と機能を維持するためには少なくとも1.0~1.2 g/kg体重/日のタンパク質摂取が推奨されています5)。また、急性疾患または慢性疾患がある高齢者では1.2~1.5 g/kg体重のタンパク質摂取が勧められています。高齢糖尿病女性の3年間の追跡調査でも1.0g/kg体重以上のタンパク質摂取の群の方が1.0g/kg体重未満の群と比べて膝進展力低下や身体機能低下が少ないという結果が得られています6)。2)タンパク質摂取を勧める理由タンパク質を十分にとる理由は、タンパク質中のアミノ酸であるロイシンが、筋肉のタンパク質合成に働くためです。ロイシンは肉類だけでなく、魚、乳製品、卵、大豆製品にも多いので、さまざまなタンパク質をバランス良くとるよう勧めることが大切です。なかなかタンパク質がとれない高齢者には、温泉たまご、魚の缶詰、プロセスチーズなどタンパク質やロイシンの多い食品を付加するような指導を行います。朝のタンパク質摂取の割合が低いとフレイル・サルコペニアになりやすいという報告もあるので、朝にタンパク質をとることを勧めるといいと思います。3)タンパク質摂取と腎機能との関係一方、タンパク質の摂取量を増やした場合には腎機能の悪化が懸念されます。しかしながら、高齢者のタンパク質摂取増加と腎機能低下との関係は明らかではありません。高齢者の追跡調査ではタンパク質摂取量とシスタチンCから求めたeGFRcys低下との関連は認められませんでした7)。顕性アルブミン尿がない2型糖尿病患者6,213人(平均年齢65歳)の追跡調査でもタンパク質摂取の最も低い群ではむしろ、CKDの悪化が見られています8)。高齢者のタンパク質制限に関してもエビデンスが乏しく、13のRCT研究のメタ解析ではタンパク質制限がeGFR低下を抑制しましたが9)、うち高齢者の研究は2件のみです。進行したCKDを合併した糖尿病患者のタンパク質制限は腎機能の悪化を抑制したという報告もありますが10)、MDRD trialのようにタンパク質制限群では死亡率の増加が認められた報告もあります11)。また、本邦の糖尿病を含むCKD患者にタンパク質制限を行った報告では65歳以上ではタンパク質摂取が最も多い群で死亡リスクが減少しています12)。したがって、重度の腎機能障害がなければ、フレイル・サルコぺニア予防のためには充分なタンパク質を摂ることが望ましいように思われます。腎症4期の患者では腎機能、骨格筋量、筋力などの変化をみながら、タンパク質制限か十分なタンパク質摂取の確保かを個別に判断する必要があります。また、高齢者ではタンパク質制限のアドヒアランスが不良であることが多いことにも注意する必要があります。1)Yoshimura Y, et al. Geriatr Gerontol Int. 2012; Suppl: 29-40.2)Tanaka S, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2014;99: E2692-2696.3)日本糖尿病学会 編著.糖尿病診療ガイドライン2019.南江堂,東京, 31-55, 2019.4)Omura T, et al. Geriatr. Gerontol. Int. 2019;1–7.5)Deutz NE, et al. Clin Nutr. 2014; 33:929-936.6)Rahi B, et al. Eur J Nutr. 2016; 55:1729-1739.7)Beasley JM, et al. Nutrition. 2014; 30:794-799.8)Dunkler D, et al. JAMA Intern Med. 2013; 173:1682-1692.9)Nezu U, et al. BMJ Open. 2013 May 28 [Epub ahead of print].10)Giordano M, et al. Nutrition. 2014 Sep;30:1045-9.11)Menon V, et al. Am J Kidney Dis. 2009 Feb;53:208-17.12)Watanabe D, et al. Nutrients. 2018 Nov 13;10: E1744.

648.

尿酸値を本気で下げる方法とは?

高尿酸血症の治療には食生活を中心とした生活習慣改善が欠かせないが、無症状の場合も多く、継続的に取り組むことは容易ではない。患者を“本気にさせる”尿酸値を下げる方法や、乳酸菌による尿酸値の上昇抑制効果とは? 2019年11月29日、「疾病リスクマーカーとして注目すべき尿酸値に関する新知見」と題したメディアセミナー(主催:明治)が開催された。久留 一郎氏(鳥取大学大学院医学系研究科)、野口 緑氏(大阪大学大学院医学系研究科)、藏城 雅文氏(大阪市立大学大学院医学研究科)が登壇し、高尿酸値と疾病リスクの関係や患者指導のポイント、生活習慣改善にまつわる新旧のエビデンスについて講演した。高尿酸値で怖いのは痛風より合併症、尿酸値を下げないと全身で臓器障害を引き起こす 尿酸値が7.0mg/dLを超える高尿酸血症患者のうち、痛風発作を起こすのは約1割。残り9割は無症候性だが、痛風以上に心配すべきは合併症で、高尿酸値は心血管代謝疾患発症のリスク因子となる。高尿酸値と各疾患の関連は数多く報告されているが、合併症のない日本人の無症候性高尿酸血症患者を対象とした5年間のコホート研究では、男女問わず高血圧、脂質異常症、CKDの発症リスクと関連したほか、男性の肥満、女性の糖尿病の発症リスクと関連したことが明らかになっている1)。久留氏は「症状のない場合でも、5年間でこれらの疾患発症リスクが増加してしまうことは見逃せない」と指摘した。 同時に、尿酸はヒトにとって必要不可欠な物質でもある。血中に存在し、生理的濃度(5.0mg/dL程度)で血管内皮機能の維持に働いているとされ、2.0mg/dL以下の低尿酸血症の状態は避けなければならない。しかし、尿酸が血中に溶けることができる限界濃度は7.0mg/dLで、それ以上に尿酸値が高まると関節だけでなく、全身の細胞内に取り込まれて臓器障害を引き起こす。その機序としては、細胞内に蓄積した尿酸により活性酸素が産生されるルート、体内での尿酸合成に伴いキサンチンオキシダーゼ(XO)が活性化されて活性酸素が増加するルートの2つが考えられるという。患者を本気で尿酸値を下げる気にさせる“具体的で実感が湧く”情報とは 続いて登壇した野口氏は、尼崎市に保健師として在任中、独自の指導方法などによって毎年数例あった職員の脳・心血管疾患での在職死亡を“0”にした経験を持つ。尿酸値を下げる方法として、健診結果の数値を見せて、ただ「減らしてください」と言っても行動にはつながりにくく、いかに具体的なイメージを持ってもらうかが重要と強調した。 たとえば高尿酸血症の場合は、「痛風発作につながる可能性がある」と言われても患者は想像がつかないことが多い。しかし「血管をどう傷つけるか」を説明すると反応があるといい、そもそも尿酸はどんな物質で、体内のどこをどうめぐり、最終的に痛みにつながる可能性があることを図示した指導用資料を活用しながら、「何が原因となって体内でどうダブついてしまうのか」を説明するという。 米国でスタチン服用経験のある1万例以上を対象に、尿酸値を下げる治療を中断しないための条件を調査した研究では、「食事や運動の相談」「web情報」といった方法論の伝達だけでは継続者は少なく、「治療の説明に対する満足」「治療コントロール目標の説明に対する同意」「心臓や動脈に対する影響の説明」といった項目で、中断が継続を上回っていた2)。尿酸値上昇にサウナ+ビールはてきめん、尿値値を下げるには豆乳よりも牛乳? 尿酸値を下げるための具体的な生活指導の方法としては、高プリン食(肉類・魚介類など)を極力控えること、十分な水分摂取(尿量2,000mL/日以上)、アルコール(特にビール)の制限、軽い有酸素運動などが推奨されている3)。藏城氏は、関連のエビデンスをメカニズムと併せていくつか紹介。自転車エルゴメーターと尿酸値の関連を調べた研究では、実施時間が長くなるほど尿酸値が上昇し4)、激しい運動は尿酸値を下げるのとは真逆の効果をもたらすと説明した。アルコール摂取に関しては、低プリン発砲酒でも尿酸値は上昇するものの、その幅は通常のものよりも低く抑えられる5)、サウナ+ビールの組み合わせは脱水とプリン体摂取とにより大きく尿酸値が上昇する6)といったデータが紹介された。 逆に摂取が推奨されるものの1つが乳製品で、痛風の発症抑制に有効であることが報告されている7)。手軽に摂取できる牛乳は有用だが、豆乳では血中尿酸値を下げる効果が確認されなかったという8)。同氏はこの背景として、牛乳にはプリン体が含まれないが、豆乳には含まれることが影響しているのではないかと話した。乳酸菌が腸内でプリン体を栄養源として利用か 最後に藏城氏は、乳酸菌による尿酸値の上昇抑制効果について、新たなデータを紹介。プリン体の吸収抑制効果に着目して選定された乳酸菌(Lactobaccillus gasseri PA-3;以下PA-3株)を含むヨーグルトと、通常のヨーグルトの抑制効果を比較した結果について解説した。20歳以上の健康な男性14人対象のプラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験の結果、ともに1日1パック(112g)のヨーグルトを摂取した場合、食後(プリン体摂取後)30分、60分時において、PA-3株を含むヨーグルトが、通常のヨーグルトと比較して尿酸値の上昇量を有意に抑制した9)。 同氏は、同じ乳製品でも、牛乳と乳酸菌による尿酸値抑制メカニズムが異なる可能性を指摘。牛乳の場合は、摂取後の尿中の尿酸排泄量が増加するが、PA-3株では尿中排泄量の変化はみられなかった。しかし血清尿酸値は抑制されていることから、「乳酸菌は消化管からのプリン体吸収抑制に寄与し、腸管内でプリン体を取り込み、増殖のための栄養源として利用している可能性がある」と話した。■参考1)Kuwabara M, et al. Hypertension. 2017 Jun;69:1036-1044.2)Cohen JD, et al. J Clin Lipidol. 2012 May-Jun;6:208-15.3)日本痛風・核酸代謝学会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版.診断と治療者;2018.4)Yamamoto T, et al. Horm Metab Res. 1994 Aug;26:389-91.5)Yamamoto T, et al. Metabolism. 2002 Oct;51:1317-23.6)Yamamoto T, et al. Metabolism. 2004 Jun;53:772-6.7)Choi HK, et al. N Engl J Med. 2004 Mar 11;350:1093-103.8)Dalbeth N, et al. Ann Rheum Dis. 2010 Sep;69:1677-82.9)Kurajoh M, et al. Gout and Nucleic Acid Metabolism. 2018;42:31-40.

649.

腎機能低下2型糖尿病患者においてメトホルミンはSU薬に比べて心血管イベントを減少させる(解説:住谷哲氏)-1161

 乳酸アシドーシスに対する懸念から、腎機能低下2型糖尿病患者に対するメトホルミン投与は躊躇されることが多い。しかし現在ではeGFR≧30mL/分/1.73m2であれば、用量調節によりメトホルミンの投与は可能とするのがコンセンサスとなっている。2016年にFDAが勧告したのを受けて本邦でも今年になって添付文書が改訂され、重度腎機能障害eGFR<30mL/分/1.73m2が禁忌であり、中等度腎機能障害eGFR 30~60mL/分/1.73m2は慎重投与となった。しかしこれは乳酸アシドーシス発症に対する安全性に基づいたものであり、中等度腎機能患者に対してメトホルミンを投与することで心血管イベントなどの真のアウトカムが改善するか否かについての議論ではない。 これまでに腎機能低下2型糖尿病患者におけるメトホルミンの真のアウトカム改善効果をみたRCTは存在しない。前向きコホート研究としては有名なREACH Registryがあり、そこではASCVD合併2型糖尿病患者におけるメトホルミンによる総死亡抑制効果は、腎機能低下の有無にかかわらず一貫して認められた1)。さらにREACH Registryを含んだ6つの観察研究のシステマティックレビューにおいても、腎機能低下2型糖尿病患者においてはメトホルミン投与により総死亡が減少することが報告されている2)。 本試験は米国の国立退役軍人保健局(VHA)の医療サービスを受けている患者の中で、メトホルミンまたはSU薬のいずれかの単剤治療を受けている患者が中等度腎機能異常と診断された時点から前向きに観察を開始したユニークなデザインになっている。その結果は、主要評価項目であるMACEはSU薬投与群に比較してメトホルミン投与群において有意に減少していた。 本試験の結果からは、腎機能低下2型糖尿病患者においてメトホルミンがSU薬以外の血糖降下薬に比較してMACEを減少させるか否かは当然ながら明らかではない。同様の試験デザインを用いて、SU薬以外の血糖降下薬とメトホルミンとの比較を検討することが今後の課題だろう。とくに初回治療患者にDPP-4阻害薬が投与されることの多いわが国においては新たな知見が得られることが期待される。

651.

医師数32万7,210人、増えた科や多い都道府県は?―厚労省調査

 厚生労働省は19日、「医師・歯科医師・薬剤師統計」の最新結果を取りまとめ、公表した。それによると、全国の医師数は、32万7,210人で、前回調査(16年)に比べ2.4%増となり、一貫して増加傾向が続いている。このうち、女性医師は7万1,758人で、前回よりも6.3%増と大きく数字を伸ばし、過去最多を更新した。一方、医療施設に従事する医師の平均年齢は上がり続けており、診療所に従事する医師の平均年齢は初めて60歳代となり、高い年齢層が支えていることがわかる。 「医師・歯科医師・薬剤師統計」は、厚労省が2年おきに実施しており、今回は2018(平成30)年12月31日時点に調査を行ったもの。それによると、全国の医師数は32万7,210人(前回比で7,730人、2.4%増)、歯科医師数は10万4,908人(同375人、0.4%増)、薬剤師数は31万1,289人(同9,966人、3.3%増)であった。都道府県別にみた医師数が最も多いのは徳島県 医師数を男女別にみると、男性医師は25万5,452人(前回比で3,465人、1.4%増)、女性医師は7万1,758人(同4,265人、6.3%増)となっており、女性医師数の躍進が顕著であった。 医師のうち、医療施設従事者は31万1,963人(総数の95.3%)で、前回比で7,204人(2.4%)増加した。平均年齢は49.9歳。このうち、病院は44.8歳で前回調査時から0.3ポイント上昇し、診療所は60.0歳で前回から0.4ポイント上昇して、初めて60歳代となった。 主たる診療科別にみると、前回調査時より従事者が増えたのは、美容外科が最も多く(対前回比で130%)、以下、産科(同112%)、腎臓内科・救急科(同111%)、リハビリテーション科(同109%)などとなっている。一方、従事者が減ったのは、気管食道外科が最も多く(対前回比で94%)、以下、外科(同95%)、肛門外科(同97%)、内科・産婦人科・臨床検査科(同99%)などとなっている。なお、本稿で紹介した診療科別の統計結果においては「臨床研修医」や「不詳」および「その他」の回答はいずれも除外している。 従業地の都道府県別にみた医療施設に従事する人口10万人当たりの医師数は、全国では246.7人で、前回比で6.6人増加した。このうち、医師数が最も多いのは徳島県(329.5人)で、次いで京都府(323.3人)、高知県(316.9人)などとなっている。一方、最も少ないのは埼玉県(169.8人)で、次いで茨城県(187.5人)、千葉県(194.1人)などとなっている。

654.

後期早産・妊娠高血圧腎症妊婦は即時分娩・待機ともに一長一短、新生児の長期予後には注意が必要(解説:前田裕斗氏)-1151

 妊娠高血圧腎症(Pre-eclampsia)を発症した妊婦の至適分娩時期の決定においては、胎児の未熟性と母体合併症(脳血管障害や肝・腎機能障害)のバランスをとる必要に迫られる。34週0日〜妊娠36週6日までのLate-pretermと呼称される時期では胎児臓器が一通りできていることから重症妊娠高血圧腎症の妊婦については即時分娩が望ましいと考えられ、実際に多くの先行文献で確かめられてきた。今回の論文は重症の徴候がない妊娠高血圧腎症(臓器障害がなく血圧が160/110mmHgを上回らない)の妊婦について即時分娩と待機方針を比較したRCTである。主要エンドポイントは母体・新生児ともに合併症の複合アウトカムであり、詳細は別記事を参照されたい。 結果は即時分娩群で有意に母体合併症が少なく(リスク比[RR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.79~0.94)、有意に新生児合併症は多かった(RR:1.26、95%CI:1.08~1.47)。著者らは母体と新生児アウトカムはトレードオフの関係にあり、妊婦との共同意思決定のためにこうした情報を共有すべきだとしている。 この論文を臨床に適用するうえで注意すべき点は2つある。(1)具体的にどんな合併症が増えているのか、(2)母体・新生児の長期予後についての影響はないのか。(1)については、母体合併症では重症域の高血圧、肝機能異常の2つが待機群で有意に上昇している。肝機能異常については、最も重症型であるHELLP症候群の頻度には差がないことから比較的軽度のものであると予測される。これら2つは確かに重症妊娠高血圧腎症の診断基準であるが、生じた時点での即時分娩で臨床的には十分対応可能、短期予後にも大きな問題はない。一方、新生児合併症についても両群の差はほぼ未熟性のみでついており、呼吸障害を含む臓器障害では差がない。呼吸障害についてはサンプルサイズの問題があるため結論は出せないが、即時分娩群で生じる新生児合併症は待機群と比較して重篤なものではない可能性は示唆される。 次に長期予後に目を向けてみよう。重症域の高血圧を短時間経験することや、軽度の肝機能異常が将来母体の予後を左右するかについては不明瞭だ。しかしながら後期早産児ではすでに正期産児と比較して新生児死亡率は高く、神経発達が遅れるリスクが高いという疫学データが出ている。また、出生体重が欧米と比較して低い日本では低出生体重児となるリスクも高く、将来の生活習慣病罹患のリスクも気になるところだ。 以上のことから、短期予後については即時分娩・待機方針ともに一長一短ではあるが、長期予後としてすでに後期早産児の新生児合併症リスクについて判明しているデータがある以上、即時分娩の方針は依然として取りにくいと考えられる。もちろん重症域の高血圧や軽度の肝機能異常を少しでも経験することで母体の将来的な何らかの疾患発症リスクが高まる可能性もあり、この点で長期予後を追跡した研究結果が待たれる。

655.

ループス腎炎〔LN : lupus nephritis〕

1 疾患概要■ 概念・定義ループス腎炎(lupus nephritis: LN)は、全身性エリテマトーデス(SLE)患者でみられる腎炎であり、多くは糸球体腎炎の形をとる。蛋白尿や血尿を呈し、ステロイド療法、免疫抑制薬に反応することが多いが、一部の症例では慢性腎不全に進行する。SLEの中では、中枢神経病変と並んで生命予後に影響を及ぼす合併症である。■ 疫学SLEは人口の0.01~0.1%に発症するといわれ、男女比は約1:9で、好発年齢は20~40歳である。そのうち明らかな腎症を来すのは50%程度といわれている。通常の慢性糸球体腎炎では、尿所見や腎機能異常が発見の契機となるが、SLEでは発熱、関節痛や顔面紅斑、検査所見から診断されることが多い。しかし、尿所見や腎機能異常がない段階でも、腎生検を行うと腎炎が発見されることが多く(silent lupus nephritis)、程度の差はあるが、じつはほとんどの症例で腎病変が存在するという報告もある。■ 病因SLEにおける臓器病変は、DNAと抗DNA抗体が結合した免疫複合体が組織沈着するために起こる。しかし、その病因は不明である。LNでは、補体の活性化を介して免疫複合体が腎糸球体に沈着する。■ 症状SLE患者では、発熱、関節痛、皮疹、口腔内潰瘍、脱毛、胸水や心嚢水貯留による呼吸困難などを来すが、LNを合併すると蛋白尿や血尿が認められ、ネフローゼ症候群に進展した場合は、浮腫、高コレステロール血症が認められる。しかし前述のように、まったく尿所見、腎機能異常を示さない症例も存在する。LNが進行すると腎不全に陥ることもある。■ 分類長らくWHO分類が使用されていたが、2004年にInternational Society of Nephrology/Renal Pathology Society(ISN/RPS)分類が採用された1)(表1)。IV型の予後が悪いこと、V型では大量の蛋白尿が認められることなど、基本的にはWHO分類を踏襲している。画像を拡大する■ 予後早期に診断し治療を開始することで、SLEの予後は飛躍的に改善しており、5年生存率は95%を超えている。しかし、LNに焦点を絞ると、2013年の日本透析医学会の統計報告では、新規透析導入患者では、年間258人がLNを原疾患として新規に透析導入となっている。しかも、導入年齢がそれ以前よりも3~4歳ほど高齢化している2)。生命予後のみならず、腎予後の改善が望まれる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)SLEの診断は、1997年に改訂された米国リウマチ学会の分類基準に基づいて行われていた3)。しかし、SLEの治療を行った患者で、この分類ではSLEとならず、米国では保険会社が支払いを行わないという問題が生じ、SLICC(Systemic Lupus lnternational Collaborating Clinics)というグループが、National Institute of Health (NIH)の支援を受けて、より感度の高い分類基準を提案したが4)、特異度は低下しており、慎重に使用すべきと考えられる。この度、米国リウマチ学会、ヨーロッパリウマチ学会合同で、SLE分類基準が改訂されたため、今後はこの分類基準が主に使用されることが予想される(表2)5,6)。日常診療で行われる検査のほかに、抗核抗体、抗二本鎖DNA抗体、抗Sm抗体、抗リン脂質抗体(IgGまたはIgM抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラント)を検査する。さらにLNの診断には、尿沈渣、蓄尿をしての蛋白尿の測定や、クレアチニンクリアランス、腎クリアランスなどの腎機能検査を行うが、可能な限り腎生検によって組織的な診断を行う。図に、ISN/RPS分類class IV-G(A)の症例を示す7)。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ ステロイド1)経口ステロイド0.8~1.0mg/kg/日 程度のプレドニゾロン(PSL)〔商品名:プレドニゾロン、プレドニン〕が使用されることが多いが、とくに抗DNA抗体高値や低補体血症の存在など、疾患活動性が高い場合、ISN/RPS分類のIV型の場合、あるいはネフローゼ症候群を合併した場合などは、1.0mg/kg/日 の十分量を使用する。初期量を4~6週使用し、その後漸減し、維持量に持っていく。維持量については各施設で見解が異なるが、比較的安全な免疫抑制薬であるミゾリビン(商品名:ブレディニン)やタクロリムス(同:プログラフ)の普及により、以前よりも低用量のステロイドでの維持が可能になっているものと考えられる。2)メチルプレドニゾロン(mPSL)パルス療法血清学的な活動性が高く、びまん性の増殖性糸球体腎炎が認められる場合に行われる。長期的な有効性のエビデンスは少なく、またシクロホスファミドパルス療法(IVCY)の方が有効性に優るという報告もあるが、ステロイドの速効性に期待して、急激に腎機能が悪化している症例などに行われる。感染症や大腿骨頭壊死などの副作用も多く、十分な注意が必要である。mPSLパルス療法は各種腎・免疫疾患で行われるが、LNでは1日1gを使用するパルス療法と、500mgを使用するセミパルス療法は同等の効果を示すという報告もある。■ 免疫抑制薬1)シクロホスファミド静注療法(IVCY)1986年に、National Institute of Health(NIH)グループが、LNにおけるIVCYの報告を行ってから、難治性LNの治療として、IVCYは現在まで世界各国で幅広く行われている。NIHレジメンは、シクロホスファミド0.5~1.0g/m2を、月に1回、3~6ヵ月間投与するものであるが、Euro Lupus Nephritis Trial(ELNT)のレジメンは、500mg/日を2週に1回、6回まで投与するものである。シクロホスファミドの経口投与では、不可逆性の無月経が重大な問題であったが、IVCYとすることでかなり減少したとされる。しかし、20代の女性で10人に1人程度の不可逆性無月経が出現するとされており、年齢が上がるとさらにそのリスクは増大する。挙児希望のある場合は、十分なインフォームドコンセントが必要である。長らく保険承認がない状態で使用されていたが、2010年に公知申請が妥当と判断され、同時に保険償還も可能となった。2)アザチオプリン(商品名:イムラン、アザニン)LNの治療に海外、国内ともに幅広く使用されているが、シクロホスファミド同様長らく保険承認がない状態で使用されていた。やはり2010年に公知申請が妥当と判断され、同時に保険償還も可能となった。シクロホスファミドに比べ骨髄障害の副作用が少なく、また、妊娠は禁忌となっていたが、腎移植などでの経験から大きな問題はないと考えられ、2018年に禁忌が解除された。3)シクロスポリン(同:サンディミュン、ネオーラル)“頻回再発型あるいはステロイドに抵抗性を示す場合のネフローゼ症候群”の病名で保険適用がある。血中濃度測定が保険適用になっており、6ヵ月以上使用する場合は、トラフ値を100ng/mL程度に設定する。投与の上限量が定められていないので、有効血中濃度が得られやすいことが利点である。トラフ値を測定するには、入院時は内服前の早朝に採血し、外来では受診日だけは内服しないように指導することが必要である。アザチオプリン同様、2018年に妊娠時の使用禁忌が解除された。4)ミゾリビン(同:ブレディニン)1990年にLNの病名で保険適用が追加された。最近は血中濃度を上昇させることの重要性が提唱され、150mgの朝1回投与や、さらに多い量を週に数回使用するパルス療法などが行われているが、「保険で認められている使用法とは異なる」というインフォームドコンセントが必要である。比較的安全な免疫抑制薬であるが、妊娠時の使用は禁忌であることに注意する必要がある。5)タクロリムス(同:プログラフ)LNの病名で保険適用がある。血中濃度測定が保険適用になっており、投与12時間後の濃度(C12)をモニタリングし、10ng/mLを超えないように留意する。しかし、LNでの承認最大用量3mg/日を使用しても、血中濃度が上昇しないことの方が多い。臨床試験において、平均4~5ng/mL(C12)で良好な成績を示したが、5~10ng/mLが至適濃度との報告もある。内服が夕方なので、午前の採血で血中濃度を測定するとC12値が得られる。併用禁忌薬、慎重投与の薬剤、糖尿病の発症や増悪に注意をする。アザチオプリン同様、2018年に妊娠時の使用禁忌が解除された。6)ミコフェノール酸モフェチル(MMF)〔同:セルセプト〕MMFは生体内で速かに加水分解され活性代謝物ミコフェノール酸(MPA)となる、MPAはプリン生合成のde novo 経路の律速酵素であるイノシンモノホスフェイト脱水素酵素を特異的に阻害し、リンパ球の増殖を選択的に抑制することにより免疫抑制作用を発揮する。海外では、ACR(American College of Rheumatology)、EULAR(European League Against Rheumatism)、KDIGO(Kidney Disease: Improving Global Outcomes)LN治療ガイドラインにおいて、活動性LNの寛解導入と寛解維持療法にMMFを第1選択薬の一つとして推奨され、標準薬として使用されている8,9)。わが国では、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において検討された「ループス腎炎」の公知申請について、2015年7月31日の薬事・食品衛生審議会の医薬品第一部会で事前評価が行われ、「公知申請を行っても差し支えない」とされ、保険適用となった。用法・用量は、成人通常、MMFとして1回250~1,000mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。なお年齢、症状により適宜増減するが、1日3,000mgを上限とする。副作用には、感染症、消化器症状、骨髄抑制などがある。また、妊娠時は禁忌であることに注意が必要である。2019年に日本リウマチ学会から発行された、SLEの診療ガイドラインでは、MMFがLNの治療薬として推奨された10)。7)multi-target therapyミゾリビンとタクロリムスの併用療法の有効性が報告されている11,12)。両剤とも十分な血中濃度を確保することが重要な薬剤であるが、単剤での有効血中濃度確保ができないような症例に有効である可能性がある。また、海外を中心にMMFとタクロリムスの併用療法の有効性も報告されている13-15)。■ ACE阻害薬(ACEI)、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)LNでの難治性の蛋白尿にACEIやARBが有効であるとの報告がある。筆者らは両者の併用を行い、さらなる有効性を確認している。特に、ループス膜性腎症で免疫抑制療法を行っても、難治性の尿蛋白を呈する症例では試みてもよいのではないかと考えている。4 今後の展望世界的に広く使用されていたシクロホスファミドとアザチオプリンが保険適用となり、使用しやすくなったため、わが国でのエビデンスの構築が望まれる。公知申請で承認されたMMFの効果にも、期待がもたれる。SLEに対する新規治療薬としては、BLysに対するモノクローナル抗体のbelimumabが非腎症SLEに対する有効性が認められFDAの承認を受け、さらにわが国でも使用可能になった。しかし、LNでの有効性についてはいまだ明らかではない。さらに、海外ではSLEの標準的治療薬であるハイドロキシクロロキンもわが国で使用可能になった。LNに対する適応はないが、再燃予防効果やステロイド減量効果が報告されており、期待がもたれる。5 主たる診療科リウマチ科・膠原病内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報全身性エリテマトーデス(難病情報センター)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)ACRガイドライン(WILEYのオンラインライブラリー)EULAR/ERA-EDTAリコメンデーション(BMJのライブラリー)KDIGO Clinical Practice Guideline for Glomerulonephritis(International Society of Nephrologyのライブラリー)公的助成情報全身性エリテマトーデス(難病ドットコム)(患者向けの医療情報)患者会情報全国膠原病友の会(膠原病患者と家族の会)参考文献1)Weening JJ, et al. Kidney Int. 2004;65:521-530.2)日本透析医学会統計調査委員会. 図説 わが国の慢性維持透析療法の現況(2013年12月31日現在);日本透析医学会.2014.3)Hochberg MC. Arthritis Rheum. 1997;40:1725.4)Petri M, et al. Arthritis Rheum. 2012;64:2677-2686. 5)Aringer M, et al. Ann Rheum Dis. 2019;78:1151-1159.6)Aringer M, et al. Arthritis Rheumatol. 2019;71:1400-1412.7)住田孝之. COLOR ATLAS 膠原病・リウマチ 改訂第3版. 診断と治療社;2016.p.30-53.8)Appel GB, et al. J Am Soc Nephrol. 2009;20:1103-1112.9)Dooley MA, et al. N Engl J Med. 2011;365:1886-1895.10)厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等 政策研究事業 自己免疫疾患に関する調査研究班.日本リウマチ学会編. 全身性エリテマトーデス(SLE)診療ガイドライン. 南山堂;2019.11)Kagawa H, et al. Clin Exp Nephrol. 2012;16:760-766.12)Nomura A, et al. Lupus. 2012;21:1444-1449.13)Bao H, et al. J Am Soc Nephrol. 2008;19:2001–2010.14)Ikeuchi H, et al. Mod Rheumatol. 2014;24:618-625.15)Liu Z, et al. Ann Intern Med. 2015;162:18-26.公開履歴初回2013年05月02日更新2019年12月10日

656.

吸入ステロイド使用者、認知症リスクが35%低い

 アルツハイマー病の病理学的カスケードにおいて神経炎症が重要な役割を示すことが報告され、神経炎症が治療標的として認識されてきている。今回、ドイツ・ロストック大学のMichael Nerius氏らが、ドイツにおける縦断的健康保険データを用いて認知症リスクに対するグルココルチコイドの影響を検討したところ、グルココルチコイドの使用が認知症リスクの低下に関連していることが示唆された。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2019年11月18日号に掲載 本研究では、50歳以上の17万6,485人のベースラインサンプルにおいて、ドイツ最大の健康保険会社の2004~13年の健康保険データを使用し、グルココルチコイド治療と認知症の発症率との関連を調べた。Cox比例ハザードモデルにより、性別、年齢、認知症の主要な危険因子として知られている併存疾患を調整後、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。さらに、グルココルチコイド治療について投与経路および治療期間で層別化して検討した。 主な結果は以下のとおり。・認知症ではない17万6,485人のうち、2013年の終わりまでに1万9,938人が認知症と診断された。・認知症発症リスクは、グルココルチコイド非使用者に比べ、使用者で有意に低かった(HR:0.81、95%CI:0.78~0.84)。・投与経路別にみると、吸入グルココルチコイドの使用者で最もリスクが低く(HR:0.65、95%CI:0.57~0.75)、次いで点鼻(HR:0.76、95%CI:0.66~0.87)、その他(HR:0.84、95%CI:0.80~0.88)と経口(HR:0.83、95%CI:0.78~0.88)の使用者で低かった。・長期使用者と短期使用者でリスク減少に差はなかった。 著者らは「グルココルチコイドが神経炎症にプラスの影響を与え、人々から認知症から守ることができるかどうかを判断するには、前向き臨床試験が必要」としている。

657.

PM2.5短期曝露の入院リスク・コスト増、敗血症や腎不全でも/BMJ

 微小粒子状物質(PM2.5)への短期曝露は、これまでほとんど知られていなかった敗血症、体液・電解質異常、急性・非特定腎不全による入院リスクや入院日数、入院・急性期後治療費の大幅な増加と関連していることが判明した。すでに知られている、同曝露と心血管・呼吸器疾患、糖尿病、パーキンソン病などとの関連もあらためて確認され、それらの関連はPM2.5濃度が、世界保健機関(WHO)がガイドラインで規定する24時間平均曝露濃度未満の場合であっても一貫して認められたという。米国・ハーバード大学医学大学院のYaguang Wei氏らが、米国のメディケアに加入する高齢者約9,500万例のデータを解析した結果で、著者は「PM2.5への短期曝露が、経済的負担を少なからず増加していた」と述べ、WHOのガイドライン更新について言及した。BMJ誌2019年11月27日号掲載の報告。相互排他的214疾患群の入院リスク・コストとの関連を検証 研究グループは、2000~12年のメディケアにおける入院患者の支払請求データを基に、相互排他的214疾患群について、入院リスク・コストとPM2.5短期曝露との関連を調べる時間層別化ケースクロスオーバー解析を行った。対象は、出来高払い(fee-for-service)プランで入院医療を受けた65歳以上の9,527万7,169例。気象変数の非線形交絡作用を補正した条件付きロジスティック回帰分析で評価した。 主要アウトカムは、214疾患群の入院リスク、入院数、入院日数、入院・急性期後治療費、入院中の死亡により失われた統計的生命価値(=死亡を回避するためのコストを評価するために用いられる経済的価値)だった。敗血症、体液・電解質異常、急性・非特定腎不全とも関連 PM2.5への短期曝露と入院リスクとの正の関連が、敗血症、体液・電解質異常、急性・非特定腎不全といった、これまでに一般的だがほとんど検討がされていなかった疾患でも見つかった。 そのような正の関連は、心血管・呼吸器疾患、パーキンソン病、糖尿病、静脈炎、血栓性静脈炎、血栓塞栓症でも認められ、これまでの研究結果が再確認された。さらにこれらの関連は、WHOがガイドラインで規定するPM2.5の24時間平均曝露濃度を下回っている場合でも一貫して認められた。 これまでほとんど検討されていなかった疾患については、PM2.5への短期曝露1μg/m3増加が年間の、入院数2,050件(95%信頼区間[CI]:1,914~2,187)増、入院日数1万2,216日(1万1,358~1万3,075)増、入院・急性期後治療費3,100万ドル(2,400万ユーロ、2,800万ポンド)(ドルの95%CI:2,900万~3,400万)増、失われた統計的生命価値25億ドル(20億~29億)増とそれぞれ関連していた。 すでに知られていた疾患との関連については、PM2.5への短期曝露1μg/m3増加が年間の、入院数3,642件(95%CI:3,434~3,851)増、入院日数2万98日(1万8,950~2万1,247)増、入院・急性期後治療費6,900万ドル(6,500万~7,300万)増、失われた統計的生命価値41億ドル(35億~47億)増とそれぞれ関連していた。■「敗血症」関連記事敗血症、新規の臨床病型4つを導出/JAMA

658.

世界初の腎機能改善薬となるか?「Nrf2活性化薬」

抗酸化ストレス・抗炎症作用を有するNrf2活性化薬「バルドキソロンメチル」2型糖尿病に関連する慢性腎臓病(CKD)は、腎不全の主要な原因とされる。糖尿病性腎臓病(DKD)を含むCKDを放置すると、腎機能の低下とともに末期腎不全(ESKD)を来たし、慢性透析療法や腎移植を要する病態に至る。腎機能低下の進展には、酸化ストレスと炎症の双方が寄与するという。バルドキソロンメチルは、開発中のDKD治療薬であり、2018年3月、厚生労働省により「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定されている。現時点で、糖尿病性腎症に適応のある薬剤(ACE阻害薬、ARBなど)は腎機能低下を遅延させるのみで、腎機能を改善する治療薬はない。バルドキソロンメチルは、体内のストレス防御反応において中心的な役割を担う転写因子 Nrf2(nuclear 1 factor (erythroid-derived 2)–related factor 2)を活性化する低分子化合物で、抗酸化ストレス作用と抗炎症作用により、腎機能を改善する可能性が示唆されている。これまでの検討で、推算糸球体濾過量(eGFR)の改善効果が確認されており、経過が長期にわたるため開発が困難であった腎機能改善薬の誕生となるか、関心を集めている。バルドキソロンメチルの国内第III相試験が進行中2013年に報告されたBEACON試験(国際共同第III相試験)1)では、2型糖尿病とStage 4のCKD(eGFR:15〜30mL/分/1.73m2)がみられる患者において、バルドキソロンメチル群とプラセボ群の比較が行われた。その結果、ESKDと心血管死の複合エンドポイントの発生率に差はなく、心不全による入院/死亡の発生率はバルドキソロンメチル群で高かったことから、本試験は早期中止となった。その一方で、バルドキソロンメチル群ではeGFRがベースラインから増加しており、プラセボ群に比べて有意に高いことが示された(差:6.4 mL/分/1.73m2、p<0.001)。また、バルドキソロンメチル群では、投与初期に体液貯留がみられる患者が多いことも明らかとなった。そこで、これらのリスク因子を除外基準に含めたTSUBAKI試験(国内第II相試験)が実施された。その結果、バルドキソロンメチルは主要評価項目であるステージ3患者での16週時点のGFRをプラセボに対して有意に改善(6.64mL/min/1.73m2、p=0.008)することが示された。これらの結果をふまえ、現在、DKD(CKDステージG3/G4)患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験AYAME試験(国内第III相試験)が進行中であり、2022年に終了が予定されている。バルドキソロンメチルへの期待バルドキソロンメチルによるGFR増加の機序は完全には明らかにされていないが、抗酸化ストレス作用と抗炎症作用による臓器保護効果は、DKD以外の疾患でも有益な可能性が示唆されている。現在、アルポート症候群(進行性遺伝性腎炎)患者を対象とする国際共同第2/3相試験(CARDINAL試験)や、結合組織病に伴う肺動脈性肺高血圧症を対象とする国際共同第III相臨床試験が進行中だという。参考1)de Zeeuw D, et al. N Engl J Med. 2013; 369: 2492-503.

659.

透析皮膚掻痒症は解決に向かうのか?(解説:浦信行氏)-1147

 透析皮膚掻痒症は50~90%の例に認められると報告され、程度が強いものは睡眠障害などで患者のADLを著しく低下させる。従来の対処法には皮膚の保湿や抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬などがあるが、効果は限定的で満足な治療効果は得られていないのが現状である。また、腎不全そのものの病態、すなわち尿毒症物質やCa、Pの沈着などの機序も加味することから重症で難治性の症例が多い。 掻痒の機序の一部は内因性オピオイドのβ-エンドルフィンによるμ受容体の活性化であるが、κ受容体がこの作用に拮抗し掻痒を抑制する。このたび報告されたdifelikefalinは選択的κ受容体作動薬である。有効性や有害事象は11月21日配信のジャーナル四天王の記事のとおりである。ただし、週3回透析終了後の回路からの静注で使用するので、腹膜透析患者や保存期腎不全患者には適応しにくい。保存期腎不全でも15~49%に難治性の掻痒症が見られると報告されている。difelikefalinの経口薬が保存期腎不全を対象に、現在第II相で試験が行われているようだ。末梢のκ受容体への選択性が高く、中枢性の幻覚や身体違和感などは見られていないとのことで安全性も高い。 ただし、わが国には10年以上前から同一機序のナルフラフィンが透析患者で保険適応があり、1割以上の症例で使用されている。使用が認められているのがわが国と韓国だけのようであり、その分わが国では有利な状況である。ナルフラフィンの有効率は63.5%という報告があるが、プラセボ対照無作為化二重盲検試験ではなく、しかも評価法も違うことからdifelikefalinと単純に比較はできない。また、わが国の透析患者は透析期間が長く、高齢者が多いことから欧米の透析患者とは病状が異なる。difelikefalinについては、わが国での臨床試験が必要と考えられる。また、いずれの薬剤も現時点では保存期腎不全には使用できない。保存期腎不全での適応に関する試験が行われ、保存期腎不全患者にも恩恵をもたらすことを切に願う。

660.

医師が選んだ“2019年の漢字”TOP5! 【CareNet.com会員アンケート結果発表】

漢字の素晴らしさや奥深い意義を伝えるための啓発活動の一環として、日本漢字能力検定協会が毎年11月に公募している「今年の漢字®」。CareNet.comでも2014年から毎年、医師会員にアンケートを実施し、医師の考える「今年の漢字」を選んでいただいています。今年は535人の先生方にご協力いただきました。はたして、読者の皆さまがイメージする漢字はランクインしているでしょうか? それでは、今年の新入社員5人が「2019年の漢字」TOP5を発表します。1位 災第1位はランクインの常連になりつつある「災」。今年は勢力のある台風が立て続けに上陸し、日本各地を脅かしました。地震を想定した災害対策が水害には通用しないなど、多くの課題が残りました。 「災」を選んだ理由(コメント抜粋)台風、水害、首里城火災など大きなニュースが相次ぎ、これらに対する準備の必要性を痛感した。(40代 内科/東京都)災害の国と再認識した。(50代 その他/鳥取県)経験したことがない台風・河川氾濫などの自然災害が多発。(50代 内科/千葉県)水害や台風被害など地震ではない自然災害が多かった。(20代 整形外科/愛媛県)2位 令第2位は、今年と言えばやっぱり「令」。新天皇の即位を記念して日本全国がお祭りムードに包まれました。一方、医療施設では書類への元号記載時に、令和元年とするか、平成31年のままとするか…悩まれたのではないでしょうか。 「令」を選んだ理由(コメント抜粋)令和元年 新時代の息吹。(40代 内科/大阪府)新天皇即位で新時代の幕開け。(60代 呼吸器内科/神奈川県)元号が変わって盛り上がったから。(20代 消化器内科/東京都)3位 水第3位は水害の「水」。2019年後半に上陸した大型台風は多くの方の命を奪いました。自宅の2階以上に逃げるのか、避難場所に逃げるのか…。個人での判断、状況に応じた判断の難しさが浮き彫りとなりました。 「水」を選んだ理由(コメント抜粋)地震にばかり気を取られていたら、ここまで大きな水害に見舞われるとは思わなかった。(40代 腎臓内科/岡山県)洪水で亡くなった方が多く、水の恐ろしさを再確認した。(60代 精神科/岐阜県)台風15号、19号と立て続けに水害に襲われた年でした。(50代 心臓血管外科/東京都)4位 和第4位も令和にちなんだ漢字、「和」が選ばれました。平和への祈り、ラグビーのチームプレーや災害時の結束力の重要性など、そんな思いを込めて選ばれていました。 「和」を選んだ理由(コメント抜粋)新元号「令和」の和、ラグビーONE TEAMでチームの和。(50代 腎臓内科/大阪府)令和になり天皇即位やラグビーワールドカップなど、和のおもてなしがあった。(50代 消化器外科/神奈川県)令和の和、多くの災害を支える和、ラグビーワールドカップから学んだ和。(50代 救急科/宮城県)5位 嵐第5位は、アイドルグループ「嵐」の活動休止、そして、ここでも災害が多かったという思いからこの漢字が選ばれていました。ちなみに、インターネットで「嵐」を検索すると… 嵐(storm)とは風雨が非常に強い状態、を意味するそうです。検索上位に関して言えば、アイドルグループが圧倒的多数を占めていました。 「嵐」を選んだ理由(コメント抜粋)台風被害が大変だったことと、嵐が来年活動休止になること。(50代 内科/和歌山県)自然災害が多く、嵐のようだったから。(50代 内科/広島県)台風の被害が大きかった一年です。(60代 眼科/神奈川県)アンケート概要アンケート名 :『2019年を総まとめ!今年の漢字と印象に残ったニュースをお聞かせください』実施日    :2019年11月8日~14日調査方法   :インターネット対象     :CareNet.com会員医師有効回答数  :535件

検索結果 合計:1046件 表示位置:641 - 660