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第130回 がん治療で知られるCAR-Tの応用で全身性エリテマトーデス患者5人が寛解

がん治療で一足先に実用化されたキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)の応用で5人の自己免疫疾患・全身性エリテマトーデス(SLE)が寛解に至りました1-3)。5年前にB細胞がんの治療として米国で承認されたCAR-T治療は採取したT細胞を目当ての加工を施したうえで再び患者の体内に戻すという手順を踏みます。SLEは免疫系が自己DNAに誤って反応してしまうことで生じます。その反応とはB細胞が死にゆく細胞から放出されるDNAへの抗体を作ってしまうことです。SLE治療のCAR-Tはそういう病因抗体を作るB細胞の駆除を目指し、B細胞のタンパク質CD19を標的とするキメラ抗原受容体(抗CD19 CAR)を導入したうえで患者5人に投与されました。その投与から3ヵ月以内に5人全員が寛解に至り、免疫抑制剤などのそれまで必要だった薬を止めることができ、薬なしでやっていけるようになりました。5人の観察期間はおよそ8ヵ月(中央値)で、長い人は治療から17ヵ月経ち2)、薬なしでの寛解を観察期間中維持しました。効果がどれほど続くかはまだ不明で今後多くの人に試して調べる必要がありますが、投与したCAR-Tが体内でなくなっても効果は少なくともしばらくは持続するようです。というのも5人に投与したCAR-Tは1ヵ月もするとほとんど検出されなくなったからです。3ヵ月半ほどが過ぎるといったん枯渇したB細胞が骨髄の幹細胞から作られるようになって復活し始めました。しかし幸いにもそれらの新たなB細胞は自己DNAに反応しませんでした。ただし、SLE患者のDNAに反応するように何がB細胞を駆り立てるのかは分かっておらず、何らかのきっかけでその反応が再び頭をもたげ始める恐れがあります。そういう再発の恐れをはじめとする課題を今後の試験で検討する必要がありますが今回の結果をSLE界隈の医師等はまずは歓迎しているようです。僅か5人の結果とはいえCAR-T治療の効果はこれまでにないものであり、胸躍らせるものだとKing‘s College LondonのSLE研究医師Chris Wincup氏は言っています2)。CAR-Tの活躍の場はSLEに限定されるものではなく、免疫が神経を攻撃することで生じる多発性硬化症(MS)などの抗体を要因とする他の自己免疫疾患も相手できるかもしれません。企業による自己免疫疾患治療CAR-Tの開発も進んでおり、たとえば米国カリフォルニア州のバイオテック企業Kyverna Therapeutics社はSLEに伴う腎臓炎症・ループス腎炎を治療するCAR-T・KYV-101の臨床試験を今年中に開始します4)。KYV-101もCD19標的CAR-Tであり、最近Kyverna社はドイツのフリードリヒ・アレクサンダー大学のGeorg Schett氏を科学顧問に迎えています。Schett氏は他でもない今回紹介したCAR-T治療試験のリーダーです。ループス腎炎を合併する重度SLE女性がCD19標的CAR-T治療で寛解に至ったことをSchett氏等は今回の試験報告に先立って昨夏の去年8月にNEJM誌に報告しています5)。参考1)Mackensen A,et al. . Nat Med. 2022 Sep 15. [Epub ahead of print]2)Radical lupus treatment uses CAR T-cell therapy developed for cancer / NewScientist3)Cancer treatment tackles lupus / Science4)Kyverna Therapeutics Names Georg Schett, M.D., and Peter A. Merkel, M.D., MPH, to Scientific Advisory Board / PRNewswire5)Mougiakakos D, et al. N Engl J Med. 2021;385:567-569.

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低BMIの蛋白尿リスクに“朝食抜き”が影響

 蛋白尿は心血管疾患と死亡率の重要な予測因子であり、いくつかの研究では、朝食を抜くことと蛋白尿の有病率との関連性が報告1)されている。また、朝食を抜くと肥満のリスクが高まることも明らかになっている。そこで、村津 淳氏(りんくう総合医療センター腎臓内科)らは蛋白尿が肥満の人でよく見られることに着目し、朝食を抜くことによる蛋白尿の有病率とBMIとの関連について調査を行った。その結果、蛋白尿は低BMIと関連性が見られ、低BMIの人の場合には、朝食を抜くことに注意する必要があることが示唆された。本研究結果はFront Endocrinol誌8月19日号に掲載された。. 本研究者らは、正常な腎機能者における朝食抜きと蛋白尿の有病率との関連に対するBMIの臨床的影響を評価することを目的に、2008年4月~2018年12月までの期間に市中病院で健康診断を受け、腎疾患の既往がなく、推定糸球体濾過量(eGFR)が60mL/min/1.73m2 以上であった2万6,888例 (男性:1万5,875例、女性:1万1,013例) を対象に横断研究を実施した。 本研究では、週3日以上朝食を食べていない者を「朝食抜き」と定義。そのほか、対象者には喫煙、アルコール多飲、運動不足、睡眠不足、間食の有無、深夜/夕食時の生活行動、既往歴(高血圧・糖尿病・脂質異常症・脳卒中・高尿酸血症・冠動脈疾患)についてアンケートを行った。また、朝食抜きと蛋白尿の有病率との関連性はBMI(kg/m2)を3つのサブグループ(男性:

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ケレンディア、2型糖尿病を合併するCKD患者に関する最新データ発表/バイエル

 バイエル薬品の2022年8月30日付のプレスリリースによると、欧州心臓病学会(ESC)学術集会2022において、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病患者(CKD)の死亡率にケレンディア(一般名:フィネレノン)が及ぼす影響を示した最新データが発表された。ケレンディアで2型糖尿病を合併するCKD患者の全死因死亡の発現率減少 2型糖尿病を合併するCKD患者を対象としたフィネレノン第III相臨床試験プログラムは、FIDELIO-DKDとFIGARO-DKDの2つの試験で構成されている。この2つの試験を含むFIDELITYは2型糖尿病を合併するCKD患者1万3,000名以上を対象に、心腎アウトカムを検討した最大規模の第III相臨床試験プログラムである。FIDELITYの全体集団では、全死因死亡および心血管死に対するフィネレノンの効果は統計学的有意差にわずかに至らなかったものの、FIDELITYの事前規定した探索的on-treatment解析から得られた最新データによると、本集団ではフィネレノン群がプラセボ群と比べ、全死因死亡の発現率(ハザード比[HR]:0.82[95%信頼区間[CI]:0.70~0.96]、p=0.014)および心血管死の発現率(HR:0.82[95%CI:0.67~0.99]、p=0.040)を有意に減少させることが示された。追跡期間4年時点での心血管死までの時間に関するイベント確率解析では、ベースライン時点の推算糸球体濾過率(eGFR)および尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)に関係なくフィネレノンの有用性は一貫しており、eGFRが60mL/min/1.73m2以上の場合、プラセボと比べフィネレノンのより顕著な効果が示された。 Bayer(ドイツ)医療用医薬品部門の経営委員会メンバーで、研究開発責任者であるクリスチャン・ロンメル氏は、「最適な血糖値や血圧に管理しているにもかかわらず、2型糖尿病を合併するCKD患者さんの多くは腎不全に移行し、心血管死のリスクが著しく高くなっている。本日発表された探索的解析は、このような脆弱な患者さんの死亡リスクを低下させ、より長く健康な状態を維持するフィネレノンの可能性を示している」と述べた。 ケレンディアは2021年7月に米国食品医薬品局(FDA)、2022年2月に欧州委員会(EC)、2022年6月に中国国家薬品監督管理局(NMPA)よりそれぞれ販売承認を取得している。また、日本では2022年3月に厚生労働省より承認取得した。さらに他複数の国で審査当局の承認が得られたほか、現在販売認可の承認申請中である。

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4つのステップで糖尿病治療薬を判断/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎)は、9月5日に同学会のホームページで「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」を発表した。 このアルゴリズムは2型糖尿病治療の適正化を目的に、糖尿病の病態に応じて治療薬を選択することを最重要視し、エビデンスとわが国における処方実態を勘案して作成されている。 具体的には、「Step 1」として病態に応じた薬剤選択、「Step 2」として安全性への配慮、「Step 3」としてAdditional benefitsを考慮するべき併存疾患をあげ、「Step 4」では考慮すべき患者背景をあげ、薬剤を選択するアルゴリズムになっている。 同アルゴリズムを作成した日本糖尿病学会コンセンサスステートメント策定に関する委員会では序文で「わが国での糖尿病診療の向上に貢献することを期待するとともに、新しいエビデンスを加えながら、より良いものに進化し続けていくことを願っている」と今後の活用に期待をにじませている。体形、安全性、併存疾患、そして患者背景で判断 わが国の2型糖尿病の初回処方の実態は欧米とは大きく異なっている。高齢者へのビグアナイド薬(メトホルミン)やSGLT2阻害薬投与に関する注意喚起が広く浸透していること、それに伴い高齢者にはDPP4阻害薬が選択される傾向が認められている。 その一方で、初回処方にビグアナイド薬が一切使われない日本糖尿病学会非認定教育施設が38.2%も存在していたことも明らかになり、2型糖尿病治療の適正化の一助となる薬物療法のアルゴリズムが必要とされた。 そこで、作成のコンセプトとして、糖尿病の病態に応じて治療薬を選択することを最重要視し、エビデンスとわが国における処方実態を勘案して制作された。 最初にインスリンの適応(絶対的/相対的)を判断したうえで、目標HbA1cを決定(目標値は熊本宣言2013などを参照)し、下記のステップへ進むことになる。【Step 1 病態に応じた薬剤選択】・非肥満(インスリン分泌不全を想定)DPP-4阻害薬、ビグアナイト薬、α-グルコシダーゼ阻害薬など・肥満(インスリン抵抗性を想定)ビグアナイト薬、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬など【Step 2 安全性への配慮】別表*に考慮すべき項目で赤に該当するものは避ける(例:低血糖リスクの高い高齢者にはSU薬、グリニド薬を避ける)【Step 3 Additional benefitsを考慮するべき併存疾患】・慢性腎臓病:SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬・腎不全:SGLT2阻害薬・心血管疾患:SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬【Step 4 考慮すべき患者背景】別表*の服薬継続率およびコストを参照に薬剤を選択(フォロー)・薬物療法開始後、およそ3ヵ月ごとに治療法の再評価と修正を検討する。・目標HbA1cを達成できなかった場合は、病態や合併症に沿った食事療法、運動療法、生活習慣改善を促すと同時に、Step1に立ち返り、薬剤の追加などを検討する。*別表 安全な血糖管理達成のための糖尿病治療薬の血糖降下作用・低血糖リスク・禁忌・服薬継続率・コストのまとめ―本邦における初回処方の頻度順の並びで比較―(本稿では省略)

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第124回 医療DXの要「マイナ保険証」定着に向けて日医を取り込む国・厚労省の狙いとは(前編)未対応は最悪保険医取り消しも

普及進まぬマイナンバーカード保険証こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。夏の甲子園が終わり、脱力していたらロサンゼルス・エンジェルスの身売り話が飛び込んで来ました。来季以降の大谷 翔平選手の去就に注目が集まる中、MLBでは喜ばしい話題もありました。シアトル・マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏が27日(日本時間28日)、球団殿堂入り(MLBの野球殿堂ではなく球団独自の殿堂です)のセレモニーで15分を超える英語のスピーチを行い、超満員のスタンドを沸かせました。決して流暢とは言えない英語ながら、ユーモア溢れるそのスピーチは、英語での学会発表が苦手な皆さんにも参考になるのではないでしょうか1)。さて、世の中、相変わらずDX(デジタル・トランスフォーメーション)流行りです。ということで今回は、8月24日に開催された、医療機関向けの「オンライン資格確認等システムに関するWEB説明会」について書いてみたいと思います。「オンライン資格確認等システム」とは、マイナンバーカードを保険証として使う「マイナ保険証」のことで、これからの日本の医療DXの要とも言われています。ただ、その普及の割合はまだまだ低く、岸田 文雄首相も進捗の遅さにイラついているとも言われています。厚生労働省と三師会による合同説明会厚生労働省と三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)が合同で開催した「オンライン資格確認等システムに関するWEB説明会」は、8月24日夜、18時30分からYouTube上で開催されました。約1万6,000人が参加し、医療関係者の関心の高さがうかがえました2)3)。冒頭、厚生労働省の伊原 和人保険局長が挨拶し、オンライン資格確認は「今後のデータヘルスの甚盤になる仕組み」と語り、「原則義務化されることを踏まえ、速やかに顔認証付きカードリーダーが届けられるよう従来の受注生産を事前生産にすることにしており、導入の準備を進めていただきたい」と要請。続いて日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の3師会の担当役員も挨拶し、揃って「早く導入しましょう。大変役立ちます」と訴えかけました。説明会の後半には、顔認認証付きカードリーダーのメーカーのプレゼンまで盛り込んだそのプログラムからは、遅々として進まぬマイナ保険証の普及・定着に対する、厚労省(と医療DX推進本部の長となる岸田首相)の焦りが伝わってくるようでもありました。中医協答申でオンライン資格確認導入の原則義務化が決定この説明会は、8月10日に開かれた中央社会保険医療協議会において、オンライン資格確認(いわゆるマイナンバーカードの保険証利用)導入の原則義務化が決定したことを受けて、急遽開催が決まったものです。6月7日に閣議決定されていた「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針2022)で、オンライン資格確認を2023年4月から原則義務化し、現行の保険証の原則廃止の方向性は示されていました。8月10日、中医協が後藤 茂之厚生労働大臣(当時)に答申し、それが正式決定となったのです。保険医療機関運営の“法律”である「保険医療機関及び保険医療養担当規則」にその旨が定められることになったことで、マイナ保険証導入に向けての強制力は一段と強まったと言えるでしょう。「原則義務化」で例外もあるにはあるのですが、その例外は院長が高齢などの理由から紙レセプトでの請求が認められているごくわずかの保険医療機関・薬局に限られ、全体の4%ほどに過ぎません。ほとんどの医療機関はあと7ヵ月の間に「マイナ保険証」に対応しなければならないのです。ちなみに、既に運用開始した医療機関等は2022年8月14日時点で26.8%だそうです。なお、8月10日の中医協ではマイナ保険証対応に向け、医療機関、薬局向けの補助の拡充や、マイナ保険証を使う患者の自己負担の方が高いという現状の問題点を解決するための、10月1日からの診療報酬上の加算の取り扱いの見直しも決定しています。「全国医療情報プラットフォーム」の創設につなげるオンライン資格確認等システム、いわゆるマイナ保険証は、日本の医療DXの基盤になるものと位置づけられています。「骨太方針2022」では、マイナ保険証のシステムを、当初のレセプト・特定健診等情報の共有に加えて、予防接種、電子処方箋情報、電子カルテ等の医療情報についても共有・交換できるようにし、「全国医療情報プラットフォーム」の創設につなげるとしています。なお、今回の説明会の資料では、オンライン資格確認のメリットとして、次の2点が強調されていました。1)医療機関・薬局の窓口で、患者の方の直近の資格情報等(加入している医療保険や自己負担限度額等)が確認できるようになり、期限切れの保険証による受診で発生する過誤請求や手入力による手間等による事務コストが削減。2)マイナンバーカードを用いた本人確認を行うことにより、医療機関や薬局において特定健診等の情報や薬剤情報を閲覧できるようになり、より良い医療を受けられる環境に(マイナポータルでの閲覧も可能)。導入しなければ「保険医療機関等の指定の取り消し事由になりうる」24日の説明会そのものは制度概要の説明から、体制整備に向けての医療機関に対する補助金の仕組みの解説など、事務的に進みましたが、「導入義務対象機関が来年4月導入に間に合わない場合にどうなるか」という質問に対して、厚生労働省保険局医療介護連携政策課の水谷 忠由課長が「保険医療機関等の指定の取り消し事由になりうる。療担規則が順守されないと地方厚生局で丁寧な指導を受けることになり、個別事案ごとに適宜判断される」との回答には、関係者は驚いたのではないでしょうか。救済措置の検討も予定されているようですが、救済措置は「関係者それぞれがしっかり対応を進めることを大前提に、それでもやむを得ない場合について検討する」(水谷課長)とのことです。救済措置の状況を待つことなく医療機関は「オンライン資格確認等システム導入に向けた顔認証付きカードリーダーの申し込み、システムベンダーとの契約を一刻も早く進めて欲しい」と水谷課長は強調していました。受療行動や、医療機関で提供された治療や投薬の情報が丸裸にさて、マイナ保険証の原則義務化で一体何が起るでしょうか。説明会では医療機関側の業務の効率化が盛んに強調されていましたが、国が最も期待するのは、先に示したメリットのうち2)であることは明らかでしょう。「全国医療情報プラットフォーム」が整備されれば、レセプト情報、さらに電子カルテ情報まで情報共有が行われることになります。この日の説明会でも、閲覧可能な情報が現行の薬剤情報、特定健診情報に加えて、9月からは透析、医療機関名の情報が、2023年5月からは手術情報が追加されると報告されています。患者の受療行動や、医療機関で提供された治療や投薬の情報が丸裸にされるということは、それらのデータを基に、究極的に効率化された(ムダを省いた)医療提供の仕組みがデザインされ、それが現場に要求されることを意味します。どこまでの情報が開示されるようになるかわかりませんが、重複受診、重複投与、ムダな薬剤投与、的外れの治療などが、他医にもばれてしまうわけで、「日本医師会をはじめ、医療関係団体がよくこぞって協力するな」というのが私の正直な感想です。「自院の治療は他の医師に見られたくない」というのが、多くの医師の本音でもあるからです。「首相≒財務省」vs.「厚労省≒日本医師会」の対立構造に変化?岸田首相は7月の参院選勝利を受け、8月10日に内閣改造を行いました。新内閣では加藤 勝信氏が3度目となる厚生労働大臣に就きました。親日医と見られる加藤厚労相が再び登用されただけでなく、厚労副大臣には日医推薦の羽生田 俊参議院議員が選ばれています。今年6月、中川 俊男前会長から松本 吉郎新会長に替わってからの政府の日本医師会への寄り添い振りは、やや気持ちが悪いくらいです。7月の参議院選挙直後、本連載の「第117回 医師法違反は手術だけではない!工学技士に手術をさせた病院が研修すべき『もう一つのこと』」で、「これから財務省主導の医療政策が、医療提供体制改革の“本丸”(病院の再編や、かかりつけ医の制度化など)に、どこまで切り込んでいくかが注目されます」と書きましたが、マイナ保険証と医療DXが政策の前面に出てきたことで、「第80回 『首相≒財務省』vs.『厚労省≒日本医師会』の対立構造下で進む岸田政権の医療政策」などで度々書いてきた、この対立構造に少なからぬ変化が出てきたように見えます。(この稿続く)。参考1)イチロー氏のフルスピーチ2)厚生労働省・3師会 医療機関向けライブ配信/厚生労働省 保険局3)厚生労働省・3師会 医療機関向けライブ配信 当日資料/厚生労働省 保険局

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その3【「実践的」臨床研究入門】第23回

MEDLINE(PubMed)のような1次情報源を活用した文献検索においては、できる限り多くの関連研究を収集できるように、網羅的かつ客観的で再現可能な検索式の構築が必要となります。そのために有用なツールであるMeSH(Medical Subject Headings)や(連載第21回参照)、検索式構成のための基本的なポイント(連載第22回参照)について説明しました。今回からは、実践的な検索式構築について解説していきます。MeSHとテキストワードの両方を使い、タグを活用して検索これまで、検索式構築におけるMeSHの有用性について強調してきましたが、MeSHにも弱点があります。MeSHでは、新しい概念や略語、薬剤の製剤名などはカバーされていないことが多いです。また、とくに新しい論文ほど個々の文献へのMeSHの付与(連載第21回参照)が漏れていることもあるようです(近年は自動化が進んでいるようですが)。そのため、実際の検索式では、MeSHだけでなくテキストワードも用いることが一般的です。テキストワードでは、MeSHで拾えない同義語・関連語、(アメリカ英語とイギリス英語で)異なるスペル、略語や(薬剤の)固有名詞など、を指定します。たとえば、前回PICOの例として取り上げた、われわれのコクラン・システマティックレビュー(SR: systematic review)論文1)のP(対象)の構成要素の概念である「透析」"dialysis"のMeSHは"Renal Dialysis"でした(連載第22回参照)。"MeSH Database"で"Renal Dialysis"を調べると、リンク(および下記)のように"Renal Dialysis"の説明がなされています(連載第21回参照)。"Therapy for the insufficient cleansing of the blood by the kidneys based on dialysis and including hemodialysis, peritoneal dialysis, and hemodiafiltration."「(自己の)腎臓による血液浄化が不充分な場合の、血液透析、腹膜透析、血液濾過透析を含む透析(という技術)に基づく治療法(筆者による意訳)。」"hemodialysis"や"hemodiafiltration"はイギリス英語のスペルではそれぞれ、"haemodialysis"、"haemodialysis"となります。"peritoneal dialysis"は"CAPD"などの略語で示されることもあります。また、この論文1)のI(介入)の構成概念である"aldosterone receptor antagonist"のMeSHは"Mineralocorticoid Receptor Antagonists"でしたが、具体的な個別の薬剤の固有名詞はカバーできないおそれがあります。そこで、検索式に"spironolactone"や"eplerenone"などの製剤名をテキストワードで加えて対応します。「タグ」を活用した検索項目の指定方法についても説明します。検索ワードの末尾に「タグ」を付けることにより、検索項目を限定することが出来ます。「タグ」で指定できる検索項目の一覧は、PubMedトップページの左下のリンク、FAQs & User Guideのページを下にスクロールすると"Search Field descriptions and tags"という小見出しの後に列記されていますので、ご参照ください。ここでは、検索式で良く使うタグを紹介します。実践的には、MeSHとテキストワードを併用し、タグを活用して検索式を組み立てるのです。1)Hasegawa T,et al. Cochrane Database Syst Rev. 2021 Feb 15;2:CD013109.

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固形がんの第I相試験、20年間で奏効率2倍に/Lancet

 2000~19年に行われた固形がんに関する第I相臨床試験の奏効率は、治療関連の死亡率を増大することなく2倍近くになっていることが判明した。一方で、同期間の奏効率の改善は、がんの種類、治療薬、試験デザインなどさまざまな要因によるばらつきも認められたという。米国・国立がん研究所(NCI)のDai Chihara氏らが、がん治療評価研究プログラム(Cancer Therapy Evaluation Program:CTEP)の患者データを分析し明らかにした。Lancet誌2022年8月13日号掲載の報告。治療関連死、Grade3-4毒性、奏効率を評価 研究グループは、2000年1月1日~2019年5月31日に行われたNCIが資金を提供した研究者主導の固形がんに関する第I相臨床試験のCTEPから患者データを集めて分析した。治療関連死(「おそらく」・「十中八九」・「明確に」治療に起因するGrade5の毒性による)、治療中の全死亡(がん種にかかわらずプロトコール治療中の死亡)、Grade3-4の毒性、全奏効の程度(完全奏効および部分奏効)、対象期間中(2000~05年、2006~12年、2013~19年)の完全奏効率、および経時的傾向を評価した。 また、がんの種類別、治療薬別奏効率や、がん種別奏効の経時的傾向についても分析した。 患者のベースライン特性(年齢、性別、全身状態、BMI、アルブミン濃度、ヘモグロビン濃度)および試験登録期間、治療薬、試験デザインと全奏効率との単変量解析を、修正ポアソン回帰モデルに基づくリスク比を用いて評価した。全期間全奏効率は約12%、完全奏効率は約3% 被験者総数1万3,847例、試験薬数261、465件のプロトコールについて解析を行った。そのうち、単剤療法は144件(31%)で併用療法は321件(69%)だった。 全体の治療関連死亡率は、全期間で0.7%(95%信頼区間[CI]:0.5~0.8)だった。治療関連死亡リスクに、全期間で変化はなかった(p=0.52)。試験期間中の治療中の全死亡リスクは、8.0%(95%CI:7.6~8.5)だった。 最も多く認められたGrade3-4有害イベントは血液学的なもので、1万3,847例のうち、Grade3-4の好中球減少症2,336例(16.9%)、リンパ球減少症1,230例(8.9%)、貧血894例(6.5%)、血小板減少症979例(7.1%)が、それぞれ報告された。 全試験の全奏効率は、全期間で12.2%(95%CI:11.5~12.8、1,133/9,325例)、完全奏効率は2.7%(2.4~3.0、249/9,325例)だった。全奏効率は2000~05年の9.6%(95%CI:8.7~10.6)から2013~19年の18.0%(15.7~20.5)に、完全奏効率は同じく2.5%(2.0~3.0)から4.3%(3.2~5.7)にそれぞれ上昇した。 全奏効率は、単剤療法が3.5%(95%CI:2.8~4.2)に対し併用療法が15.8%(15.0~16.8)と高率だった。 試験薬のクラス別全奏効率は、疾患により異なった。また、抗血管新生薬は、膀胱がん、大腸がん、腎臓がん、卵巣がんで高い全奏効率と関連していた。DNA修復阻害薬は、卵巣がん、膵臓がんで高い全奏効率と関連していた。 全奏効率の経時的傾向も疾患により大きく異なり、膀胱がん、乳がん、腎臓がん、皮膚がんは著しく改善したが、膵臓がんと大腸がんでは全奏効率は低いまま変わらなかった。 これらの結果を踏まえて著者は、「第I相臨床試験への参加について、試験前に患者に情報を提供したうえで意思決定を求めることが非常に重要だ」と述べながら、「今回の試験結果は、固形がんの最新の第I相臨床試験の有望なアウトカムをアップデートするものである」とコメントしている。

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第123回  高血圧治療用アプリ保険適用、中医協委員は健康アプリとの線引きの曖昧さやフォローアップの必要性を指摘

日本で2番目に承認されたDTxこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。週末から月曜にかけては、甲子園の高校野球観戦三昧でした。夏の全国高校野球選手権大会の決勝は仙台育英高校が下関国際高校に勝ち、優勝旗が初めて「白河の関超え」(東北勢の初優勝)をすることになりました。仙台育英は夏の大会決勝進出3度目にしての悲願達成です。個人的に記憶に鮮明なのは、大越 基投手が仙台育英のエースだった1989年の決勝です。大越投手は一人で全6試合を投げ抜き、帝京(東東京)との決勝は延長10回、0-2で敗れました。その大越投手、ダイエー・ホークス(当時)引退後は大学に入学し直して教員の資格を取り、現在は下関国際高校の地元でもある山口県下関市の早鞆(はやとも)高校野球部監督を務めています(2012年に春の選抜大会出場)。大越氏は決勝当日、8月22日の朝日新聞朝刊の「エール 東北人+山口の監督として」に登場、「OB、東北人としては育英を応援したいけど、山口県の監督としては下関に深紅の大優勝旗が来てほしい」と語っていました。同じ山口県内のライバル校を倒し、東北勢の長年の呪縛も解いた母校・仙台育英高校の優勝に、大越氏もほっと胸をなでおろしているのではないでしょうか。さて、今回は8月3日、中央社会保険医療協議会総会で医療機器として保険適用が決まったCureApp社の「CureApp HT高血圧治療補助アプリ」について書いてみたいと思います。日本で2番目に承認されたこのデジタル治療薬(Digital Therapeutics:DTx)に対し、中医協委員から使用実態についてのフォローアップの必要性を指摘されるなど、厳しい意見も多数出されました。月1回830点、6ヵ月を限度に算定中医協総会は8月3日、CureApp社の「CureApp HT高血圧治療補助アプリ」について保険適用を了承しました。診療報酬上は特定保険医療材料としては設定せず、新規技術料で評価されます。同社のニコチン依存症治療アプリも同様の区分で承認されており、これに準じた扱いです。具体的には、同アプリを使用して高血圧症に関する総合的な指導および治療管理を行った場合、アプリによる治療開始時に「禁煙治療補助システム指導管理加算」を準用する形で、140点を1回に限り算定します。また、同アプリを使用して高血圧症に関する総合的な指導および治療管理を行った場合に「血糖自己測定器加算の4(月60回以上測定する場合)」を準用し、月1回に限り830点を算定します。830点の算定については、初回の使用日の月から6ヵ月を限度としており、加えて前回算定日から、平均して7日間のうち5日以上、アプリに血圧値が入力されている場合にのみ算定できるとしています。なお、アプリの使用に当たっては、関連学会の策定するガイドラインおよび適正使用指針の順守を求めています。830点6ヵ月は患者側にとってはなかなか高い点数ですが、皆さんどう思われるでしょう? 6ヵ月間のアプリ使用料は3割負担で約1万5,000円となります。一般的なゲーム課金と比べると、少々高い印象です。同アプリは9月には保険収載される見通しです。中医協の資料によれば、推定適用患者数(ピーク時)は約824万人、このうち市場規模予測(ピーク時)として同アプリの使用患者数は約7万人と見積もられています。国はDTxなどプログラム医療機器の普及・定着に前のめり「CureApp HT高血圧治療補助アプリ」は、同社が自治医科大学の研究グループと共同開発した治療用アプリで、患者がスマートフォンなどを用いて使用するものです。患者がIoT血圧計で測定した家庭血圧や、生活習慣のログを日々記録すると、アプリはこれらのデータを基に、患者ごとに個別化された治療ガイダンスとして、食事、運動、睡眠などに関する情報を表示します。これにより患者の行動変容を促すことで降圧効果が得られるとしています。同アプリについては、本連載でも、2022年4月26日に薬事承認された直後に「第109回 高血圧治療用アプリの薬事承認取得で考えた、『デジタル薬』が効く人・効かない人の微妙な線引き(前編)」、「第110回 同(後編)」と2回に渡り取り上げ、国がDTxをはじめとするプログラム医療機器(SaMD)の普及・定着に相当前のめりになっている状況や、DTxの臨床試験の不可解さについて書きました。「アプリのアドバイスになかなか従わない人に果たして効果があるか」前編では、同アプリが薬事承認の了承に当たって、「承認後1年経過するごとに、市販後の有効性に関する情報を収集し、有効性が維持されていることを医薬品医療機器総合機構(PMDA)宛てに報告すること」という条件が付けられたことを紹介、「こうしたスマホアプリに順応して素直に行動を変えられる人ならよいが、頑固でアプリのアドバイスになかなか従わない人に果たして効果があるのだろうか」という素朴な疑問を投げかけました。続く後編では、「CureApp HT 高血圧症治療補助アプリ」の臨床試験の結果を読み解き、「主要評価項目であるABPM (24時間自由行動下血圧測定)による24時間のSBP(収縮期血圧)が、高血圧治療ガイドラインに準拠した生活習慣の修正に同アプリを併用した『介入群』と、同ガイドラインに準拠した生活習慣の修正を指導するのみの『対照群』を比較評価した結果、『介入群』の方が有意な改善を示した、とのことですが、『有意な改善』とは言っても、血圧の変化量の群間差は-2.4[-4.5〜-0.3]で、素人目には劇的というほどではありませんでした」と書きました。さらに、PMDAが公開した「CureApp HT 高血圧症治療補助アプリ」の審議結果報告書には臨床試験の対象患者について、「20歳以上65歳未満の降圧薬による内服治療を受けていないI度又はII度の本態性高血圧患者のうち、 食事・運動療法等の生活習慣の修正を行うことで降圧効果を十分に期待できると判断された患者を対象」と記載されているものの、「『降圧効果を十分に期待できる』をどう判断したかについては書かれていない」と指摘しました。また、DTxの成功例として知られる米Welldoc社の糖尿病治療用アプリ「BlueStar」も、相当厳格な対象患者絞り込みによって、有意差のある結果を出していたらしいことにも言及。DTxの開発は国内外で、糖尿病、うつ病、不眠症、アルコール依存症とさまざまな領域で活発化しているものの、大日本住友製薬など、開発に頓挫したケースもあることを紹介しました。中医協、支払側・診療側双方の委員から厳しい指摘この連載で書いたような、DTxの治療効果への疑問や、臨床試験での対象患者選びがブラックボックス化していることなどは、中医協委員も感じていたのかもしれません。総会では中医協委員から厳しい意見が出されました。日経メディカルやミクスオンラインなどの報道によれば、同アプリの保険適用に当たっては、支払側委員から「ニコチン依存症の治療用アプリとは異なり、(高血圧症治療補助アプリ)は健康アプリに近い印象があり、同様のアプリが今後登場してきた際には判断が難しくなるのではないか」、「通常の生活習慣指導と比較したアプリの効果についてはエビデンスがあるものの、他の健康アプリとの比較は行われていない」など、一般向けの健康アプリとの線引きの曖昧さが指摘されました。一方、診療側委員からは、「次回改定時には前例にとらわれず、専門組織からの意見などを受けて、本製品の評価について見直しを行うことも検討する必要がある。一定期間の使用を踏まえたアウトカム評価を導入することも必要ではないか」と使用実態についてのフォローアップが求められました。サワイ、CureAppが開発する肝炎治療用アプリの販売権を獲得健康アプリとの線引きの曖昧さの指摘や、フォローアップをしっかり行うようにとの要請など、なかなかに厳しい船出と言えます。しかし、DTxはこれからも次々と上市される見込みです。後発医薬品大手のサワイグループホールディングスは(サワイGHD)8月2日、CureAppが開発する肝炎の治療用アプリの販売権を獲得したと発表しました。契約一時金に加え、臨床試験の進展に応じCureAppに最大105億円を支払うとのことです。この治療用アプリは肝臓に炎症を引き起こす非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を治療対象にしたものです。医師の代わりに患者に食生活の見直しや運動などを促し、生活習慣の改善をめざすとしています。「CureApp HT 高血圧症治療補助アプリ」と同様、医師が患者に処方して使うDTxです。CureAppと東京大学医学部附属病院が共同で2016年10月より単施設における臨床研究を開始、2018年4月からは多施設共同臨床研究を実施し、認知行動療法に基づいた本アプリによる明確な体重減少ならびに肝線維化の改善効果が認められたとしています。今後、これまでの試験データを基に、第III相臨床試験に進む予定とのことです。第III相臨床試験はCureAppとサワイGHDが共同して行い、上市後の販売や営業活動はサワイGHDが担うとしています。NASHの患者は国内に200万人程度、その予備軍は推定1,000万人程度いるとされ、病気が進行すると肝硬変や肝がんを引きおこすおそれがあります。確立された薬物療法がなく、運動療法や食事療法などの生活改善が中心になっており、その一翼を同アプリが担うとしています。ただ、認知行動療法で体重減少を目指す点は理解できますが、その療法と肝線維化との関連性がどうなっているのか、プレスリリースや報道などでは今ひとつわかりません。それこそ、普通の一般向け減量アプリとの差別化はどうなるのでしょう。第III相臨床試験では、そのあたりもきちんと実証し、公表して欲しいと思います。

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診療科別、専門医の平均取得数は?/1,000人アンケート

 2018年からスタートした新専門医制度は、昨年初の機構認定の専門医が誕生し、新制度への移行が進む予定となっている。一方、サブスぺ領域の認定や、学会認定の専門医との位置付けなど、課題も多く指摘されている。CareNet.comの20~50代の会員医師1,000人を対象に、現在の専門医取得状況や今後の取得・更新意向について聞いた(2022年7月28日実施)。専門医の取得数が多い傾向がみられた診療科は? 全体で、専門医取得数を2つ以上と回答した医師は51%だった。少数派ではあったが、1.7%の医師が6つ以上と回答した。年代別にみると、30代では2つ以上と回答したのが42.3%だったのに対し、40代では62.5%まで増加、40代と50代はほぼ横ばいだった。 診療科別にみた専門医取得数の平均値(中央値)は以下のとおり。消化器は外科・内科ともに専門医取得数が多かったほか、神経内科や腎臓内科も高い傾向がみられた。一方、精神科や皮膚科では少ない傾向がみられた。消化器外科[n=24]:3.4(3)神経内科[n=26] :3.0(3)消化器内科[n=58]:3.0(3)腎臓内科[n=25]:2.9(3)感染症内科[n=4]:2.8(3)腫瘍科[n=10]:2.7(2.5)外科[n=33]:2.7(2)脳神経外科[n=25]:2.6(3)循環器内科[n=59]:2.5(2)糖尿病・代謝・内分泌内科[n=31]:2.4(2)呼吸器内科[n=34]:2.2(2)心臓血管外科[n=11]:2.1(2)救急科[n=10]:1.9(2)整形外科[n=55]:1.9(2)産婦人科[n=18]:1.9(2)形成外科[n=11]:1.8(1)内科[n=183]:1.7(2)血液内科[n=8]:1.6(2)小児科[n=45]:1.6(2)呼吸器外科[n=4]:1.5(1.5)リハビリテーション科[n=12]:1.5(1)放射線科[n=27]:1.5(1)総合診療科[n=15]:1.5(1)病理診断科[n=9] :1.4(2)耳鼻咽喉科[n=15]:1.3(1)泌尿器科[n=20] :1.3(1)その他[n=21]:1.2(1)麻酔科[n=27] :1.1(1)眼科[n=16]:1.0(1)膠原病・リウマチ科[n=7]:1.0(1)皮膚科[n=22] :0.8(1)精神科[n=76] :0.8(1)臨床研修医[n=59]:0.3(0)58%の医師が持っている専門医をすべて更新予定と回答 現在持っている専門医資格について聞いた質問では、認定内科医が24.5%と最も多く、総合内科専門医(18.8%)、外科専門医(8.4%)が続いた。新専門医制度の基本19領域と認定内科医、総合内科専門医以外の資格(“その他”として自由回答)を持つと回答した医師も14.4%おり、各学会認定の多様な専門医資格を取得している状況がわかる。 今後の更新予定については、現在持っている専門医資格について、58.6%の医師が「資格をすべて更新予定」と回答。「一部は更新しない予定」は3.0%、「すべてを更新しない予定」は1.1%に留まった。専門医取得による給与・待遇の向上があったと回答したのは14% 専門医を取得することによるメリットについては、「知識向上やスキルアップができた」が39.6%と最も多く、「開業時に役立った(15.8%)」「他の医師・スタッフから信頼が得られた(14.6%)」という回答が続いた。「給与や待遇が向上した」と回答したのは14.1%だった。 一方のデメリットについては、「受験料、更新料、学会参加などで費用がかかる」が36.3%と最も多く、「学会での単位取得など、時間的な負担が大きい(31.3%)」「評価システムへの登録等、手続きが煩雑(15.7%)」といった時間・手間等の負担を挙げる声が多く上がった。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。会員医師の専門医取得状況は―医師1,000人に聞きました

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その2【「実践的」臨床研究入門】第22回

前回、網羅的なPubMed検索を行うために役立つツールであるMeSH(Medical Subject Headings)の概要を説明しました。今回からは、MeSHも活用したPubMed検索式の具体的な作成方法について解説します。まずは、あなたの「漠然とした臨床上の疑問」であるクリニカル・クエスチョン(CQ)を「具体的で明確な研究課題」であるリサーチ・クエスチョン(RQ)に変換しましょう(連載第1回参照)。言い換えると、CQをRQの典型的な「鋳型」であるPE(I)COのP(対象)とE(曝露要因)もしくはI(介入)、C(比較対照)、O(アウトカム)に流し込むのです。ここでは、われわれが最近出版したコクラン・システマティックレビュー (SR: systematic review)論文1)のPICOを例に挙げて、説明します。検索式はPとI(もしくはE)で構成する降圧薬の1種であるアルドステロン受容体拮抗薬は、心血管疾患(CVD: cardiovascular disease)発症リスクを低下させることが知られています。しかし、腎機能が廃絶した透析患者では、アルドステロン受容体拮抗薬の作用機序から重篤な高カリウム血症を生じる懸念もあり、その有効性と安全性については確かなエビデンスは確立されていませんでした。このような背景のもと、われわれは下記のCQとRQ(PICO)を立案しました。CQ:アルドステロン受容体拮抗薬は透析患者の予後を改善するかP:透析患者I:アルドステロン受容体拮抗薬C:プラセボもしくは通常治療(アルドステロン受容体拮抗薬なし)O:全死亡、CVD死亡、CVD発症、高カリウム血症、などこのように、RQ(PICO)を立てた後、はじめに押さえておくべき検索式作成のポイントは、下記のとおりです。まず、PとI(またはE)というRQの2つの構成要素の概念を英語検索ワードに変換して、検索式の構築を考えます。適切な英語検索ワードの選択については連載第3回で解説しました。その手順を踏んで、Pの構成要素の概念である「透析」をライフサイエンス辞書で検索してみると、まず"dialysis"という英語キーワードがヒットします。続いて、前回解説したMeSHも調べてみましょう。MeSHデータベースで"dialysis"を検索すると、リンクのように"Renal Dialysis"や”Dialysis”、"Peritoneal Dialysis"などのMeSH term(統制語)がヒットします。Iのアルドステロン受容体拮抗薬もライフサイエンス辞書で調べると、"aldosterone receptor antagonist"という英語キーワードが検索されます。同様に、MeSHデータベースで"aldosterone receptor antagonist"をキーワードに検索すると、リンクのように”Mineralocorticoid Receptor Antagonists”がMeSH termでした。検索式作成におけるもう一つのポイントは、CとOは検索式に一般的には含めない、ということです。なぜなら、CやOはひとつの構成概念では決まらないことが多いからです。実際、今回提示したわれわれのコクランSR1)論文のRQ(PICO)でも、Cはプラセボもしくは通常治療と2つの概念で構成されています。Oも、ここで記載した4つのアウトカムだけでなく、Summary of findings tableに記載した主要なものだけでも、女性化乳房(アルドステロン受容体拮抗薬の頻度の多い副作用)、左心室重量(心エコーにて評価)と計6つ挙げています1)。また、PubMedでの検索の対象になるのは論文タイトルと抄録ですので、CやOの構成概念は必ずしも記載されていないことが多い、ということもCとOを検索式に含めない理由とされています。1)Hasegawa T,et al. Cochrane Database Syst Rev. 2021 Feb 15;2:CD013109.

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英語で「1日の排尿回数」は?【1分★医療英語】第36回

第36回 英語で「1日の排尿回数」は?I think my child does not have an appetite recently.(最近、うちの子の食欲があまりないような気がします)I see. Do you remember how many times a day she had a wet diaper yesterday?(なるほど、昨日は1日に何回くらいおしっこをしたか覚えていますか?)《例文》患者She had only four wet diapers today. Is it normal?(私の娘は今日4回しかおしっこをしていません。これって普通ですか?)医師Yes, it is totally normal for her age!(娘さんの年齢でしたら、まったく問題ないですよ!)《解説》今回は小児特有の英語表現をお伝えします。日本語に直訳しづらいのですが、“a wet diaper”で「オムツをしているお子さんのおしっこ」を示します。“two wet diapers”は「2回おしっこをした」(直訳では「オムツが2回濡れた」)というように、排尿回数を表すことができます。生後から3歳前後まではオムツをしている子が多いかと思いますが、赤ちゃんや幼児が陥りやすい脱水症状の指標として“wet diaper”の回数を聞くことは医療者にとって必須です。上記の表現のように“How many times a day does your baby have a wet diaper?”と聞く以外にも、“How many wet diapers does your baby have every day?”という表現も使われ、同様の意味となります。いずれも聞きたいのは「オムツをしている赤ちゃんの排尿回数」です。オムツを卒業した子どもの場合は、“pee”を用いて“How many times did you pee yesterday?”(昨日何回おしっこをしましたか?)と聞きます。さらに大きくなった青少年期や大人に対してはいろいろな表現がありますが、“go to the bathroom”を用いて、“How many times a day do you go to the bathroom?” で「1日に何回排尿しますか?」と聞くことが多い印象です。「排尿する」には“urinate”という単語がありますが、子どもの患者さんや家族に対して使うとかなり仰々しい印象になるので、医療者同士の会話以外ではあまり使われません。小児領域では医療者同士の会話でも“wet diaper”や“pee”を使う人が多いです。上記の表現をマスターし、子どもの患者さんが来た際にはぜひ使ってみてください。講師紹介

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国内初、2型DM合併CKDの進行を防ぐMR拮抗薬「ケレンディア錠10mg/20mg」【下平博士のDIノート】第101回

国内初、2型DM合併CKDの進行を防ぐMR拮抗薬「ケレンディア錠10mg/20mg」今回は、非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬「フィネレノン(商品名:ケレンディア錠10mg/20mg、製造販売元:バイエル薬品)」を紹介します。本剤は、わが国初の2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)の進行を防ぐMR拮抗薬として期待されています。<効能・効果>本剤は、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(ただし、末期腎不全または透析施行中の患者を除く)の適応で、2022年3月28日に承認され、同年6月2日に発売されています。なお、原則としてACE阻害薬またはARBが投与されている患者に使用します。<用法・用量>通常、成人にはフィネレノンとして20mgを1日1回経口投与します。ただし、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の場合は10mgから投与を開始し、血清カリウム値・eGFRに応じて、投与開始から4週間後を目安に20mgへ増量します。なお、血清カリウム値が4.8mEq/L以下の場合は、投与量が10mgでもeGFRが前回の測定から30%を超えて低下していない限り20mgに増量します。一方、血清カリウム値が5.5mEq/L超える場合は投与を中止し、中止後に5.0mEq/Lを下回った場合には、10mgから投与を再開することができます。<安全性>2つの国際共同第III相試験(FIGARO-DKDおよびFIDELIO-DKD)では、安全性解析対象6,510例中1,206例(18.5%)において、臨床検査値異常を含む副作用が報告されました。主な副作用は、高カリウム血症496例(7.6%)、低血圧92例(1.4%)、血中カリウム増加85例(1.3%)、血中クレアチニン増加69例(1.1%)、糸球体ろ過率減少67例(1.0%)などでした。また、重大な副作用として、高カリウム血症(8.8%)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬と呼ばれ、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病患者における心臓や腎臓の機能低下を防ぎます。2.血圧が下がることにより、めまいやふらつきが現れることがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作には注意してください。3.飲み合わせに注意が必要な薬剤が多数あります。服用している薬剤や健康食品、サプリメントがあれば報告してください。4.グレープフルーツやグレープフルーツジュースは、薬の効果を強めてしまう恐れがあるため、摂取を避けてください。5.この薬の服用により、血中のカリウム値が上昇することがあります。手や唇がしびれる、手足に力が入らない、吐き気などの症状が現れた場合はすぐに相談してください。また、カリウムの摂り過ぎや脱水、便秘には注意してください。6.(授乳中の方に対して)薬剤が乳汁中へ移行する可能性があるため、本剤を服用中は授乳しないでください。<Shimo's eyes>近年、ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬が心腎保護作用の点から注目されています。既存のMR拮抗薬としては、スピロノラクトン(商品名:アルダクトンA)、エプレレノン(同:セララ錠)、エサキセレノン(同:ミネブロ)が発売されています。スピロノラクトンは女性化乳房などの副作用の課題があり、比較的それらの副作用が少ないエプレレノンも、中等度以上の腎機能障害患者(Ccr:50mL/min未満)や、微量アルブミン尿または蛋白尿を伴う糖尿病患者への投与は禁忌となっています。一方で、エサキセレノンは本剤と同様にステロイド骨格を持たないという特徴がありますが、適応は高血圧症のみとなっています。2つの臨床試験では、CKDステージが軽度~比較的進行した糖尿病性腎症の患者さんに、ACE阻害薬・ARBによる既存の治療を行った上で本剤を投与した結果、主要評価項目である心血管複合エンドポイントの発現リスクは13%、腎複合エンドポイントの発現リスクは18%、プラセボ群に比べ有意に低下させました。こういった結果をもたらした国内で初めてのMR拮抗薬であり、2型糖尿病合併CKDの適応を持つ唯一のMR拮抗薬です。相互作用で注意すべき点として、本剤は主にCYP3A4により代謝されるため、強力なCYP3A4阻害作用を持つ薬剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)を投与中の患者さんには禁忌となっています。また、併用注意の薬剤も多数あるので、併用薬はサプリメント等を含め、細やかに聞き取りましょう。MR拮抗薬といえば血清カリウム値上昇に注意が必要ですが、本剤はACE阻害薬あるいはARBとの併用が原則となっていることから、血清カリウム値のモニタリングが必須となります。対象患者の腎機能について、eGFRが60mL/min/1.73m2未満では投与量に制限があります。また、eGFRが25mL/min/1.73m2未満の場合は、本剤投与によりeGFRが低下することがあるため、リスクとベネフィットを考慮し投与の適否を慎重に判断することとされています。なお、SGLT2阻害薬であるダパグリフロジン(同:フォシーガ)が2021年8月にCKDの適応を取得し、カナグリフロジン(同:カナグル)も、2022年6月に本剤と同じ2型糖尿病を合併するCKDに対する適応を取得しています。参考1)PMDA 添付文書 ケレンディア錠10mg/ケレンディア錠20mg

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英語で「方針を確認しましょう」は?【1分★医療英語】第35回

第35回 英語で「方針を確認しましょう」は?I feel like I missed something critical during the morning round.(朝の回診中に大事なことを聞き逃した気がします)OK, then let’s run the list.(分かりました、それでは全患者の方針を確認しましょう)《例文1》Let’s run the list to make sure that we are on the same page.(方針が一致しているか確認するために、各患者のやるべきことを順番に見ていきましょう)《例文2》Guys, we’ll meet at 3pm and run the list for any problems.(みんな、午後3時に集まって、問題がないか患者リストを確認しよう)《解説》今回紹介するのは“run the list”という、医療の世界での独特の表現です。 知っていれば決して難しくはない表現ですが、知らないと何を言っているのかさっぱり…、かもしれません。ここでいう“the list”とは「全患者のリスト」のことです。たとえば、あなたのその日の受け持ち患者が10人いるとしたら、その10人が掲載されたリストです。“run”は、皆さまご存じの「走る」を意味する動詞ですが、ここでは「リストを確認していく」といった意味になります。イメージとしては、「日々の入院診療の中、忙しい時間の合間に患者リストを上から順番に走り抜けていく」ような感じです。指導医が研修医に対し、あるいは後期研修医が自分の下に付いている初期研修医に対して“Let’s run the list.”と言った場合、患者リストを上から順番に見ながら、各患者の治療方針やto doリストを確認し、抜けがないか、あればそれを付け足していく作業を行います。具体的には…(研修医)「Aさんには、今日は6時間おきに生化学検査をとって、Naをフォローします」(指導医)「あと、尿検査も忘れないでね」といったようなやりとりを順番にしていくのです。忙しい日ほど“run the list”が大切になるので、まさに「走る」感覚でテンポ良く会話していくのがポイントです。米国の臨床現場にいなければなかなか使うことのない表現かもしれませんが、“run”の面白い使い方としてご紹介しました。講師紹介

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 PubMed検索 その1【「実践的」臨床研究入門】第21回

これまで、関連研究レビューのための情報ソースとして、1次情報ではなく、まずは、2次情報(診療ガイドラインやUpToDate®、コクラン・ライブラリー、など)の活用をお勧めし(連載第3回参照)、それらの実践的な使用方法について解説してきました。今回からは、医学研究における1次情報の最も代表的な検索インターフェースである、PubMedの活用方法について解説します。PubMedは米国国立医学図書館(United States National Library of Medicine:NLM)が作成している、生物医学系論文の書誌情報と抄録の電子データベースであるMEDLINEの検索プラットフォームです。PubMedの運営もNLMが行っており、無料で提供されています。その他の検索プラットフォームとデータベースについても、連載第17回で解説しましたので、ご参照ください。ここでは、まず、PubMed検索の際に有用なツールであるMeSH(Medical Subject Headings)について紹介します。PubMedの統制語辞書MeSHはじめに、統制語について説明します。統制語とは、いろいろな類語で表現されるひとつの概念を表す、代表的な単語です。MeSHは、NLMが作成した、さまざまな医学用語を統一し、上位語・下位語や同義語・類義語を整理した統制語辞書です。PubMedではMeSHを利用することで、より網羅的な検索ができるようになります。それでは、実際にMeSHを使ってみましょう。下記は、これまでブラッシュアップしてきた、われわれのClinical Question (CQ)とResearch Question(RQ)、 PECOです(連載第14回参照)。CQ:食事療法を遵守すると非ネフローゼ症候群の慢性腎臓病患者の腎予後は改善するのだろうかP:非ネフローゼ症候群の慢性腎臓病(CKD)患者E:食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の遵守C:食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の非遵守O:1)末期腎不全(透析導入)、 2)eGFR低下速度の変化このCQのキーワードである、「低たんぱく食(low protein diet)」(連載第3回参照)で、MeSHを調べてみます。まず、PubMedのトップページを開きます。トップページの右下にMeSH Databaseというリンクがありますので、クリックします。MeSH Databaseの検索窓が出てきますので、"low protein diet"と入力してみましょう。すると、PubMedのリンクのように"Diet, Protein-restricted"が低たんぱく食のMeSH term(統制語)であることがわかります。下にスクロールしていくと、"Entry Terms"という小見出しの後に、下記のような類語が列記(一部略)されており、これらは上記のMeSH Term, "Diet, Protein-restricted"ひとつで統制されます。Low Protein DietProtein Restricted DietProtein-Restricted Diets…一方、個々の文献にはMeSH Termが10語程度付与されています。その論文のMajor TopicとなるMeSH Termにはアスタリスク(*)がついています。実際に、これまで何度か取り上げた、われわれのCQの「Key論文」1)で見てみましょう。この論文のPubMedのリンクを下にスクロールすると、"MeSH terms"の小見出しがあり、この論文に下記の通り(一部略)のMeSH Termが登録されていることがわかります。Diet, Protein-restricted*Disease Progression*Glomerular Filtration Rate…PubMedではMeSH Termを利用することで、より網羅的な検索ができるようになります。今回、お示ししたように、自身のRQの「Key論文」(連載第8回参照)で登録されているMeSH Termを「逆引き」してみるのも良いと思います。1)Hahn D, et al. Cochrane Database Syst Rev 2020:CD001892.doi:10.1002/14651858.CD001892.pub4.

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高リスクIgA腎症に対する経口ステロイドの効果と有害事象を勘案した治療法(解説:浦信行氏)

 IgA腎症の治療法として、ステロイド剤はRA系阻害薬と並んで基本的治療法の一つである。一部の例外的報告を除いて腎障害進行抑制効果や尿蛋白低減効果は有意であるが、その治療法にはかなりのバリエーションがあり、0.8~1.0 mg/kg/日程度の高用量、その半量程度の低用量、さらにステロイドパルス療法や隔日投与法などがあるが、高用量以外はいずれも有害事象の発症抑制を意図したものである。 本研究は多施設二重盲検RCTであり、当初高用量群とプラセボ群との比較であったが、実薬群で有害事象が多かったため観察期間の中央値が2.1年で中止となった。この時点で二重盲検が外れたことでデータの解析に多少のバイアスが掛かる結果となった。ただし、低用量による試験再開の結果でも、同様の臨床効果が得られたことから、その臨床的意義は低くはない。加えて有害事象は実薬群でプラセボ群より多かったとはいえ、高用量群の3分の1以下に留まっていることを考慮すれば、結果的に低用量群の優位性も示した結果となった。この結果は今後のステロイドによる治療に大きな示唆を与えるもので、低用量、隔日投与、パルス療法の意義も同方向にある。 この試験には中国人の参加が多いが、サブ解析では治療効果は中国人に比べ、非中国人のほうの効果が有意に大であった。過去にもカナダ在住のアジア人とそれ以外の人種の比較が報告されているが、その効果もアジア人で有意に低値であった(Barbour J, et al. Kidney Int. 2013;84:1017-1024.)とのことで軌を一にする成績であり、その遺伝子レベルでの解析など原因の解明が必要である。 ところで、本研究ではステロイドの効果は治療終了後の追跡期間で減弱していくことも指摘され、病因・病態に直結した免疫抑制療法など、より一層病態に根差した治療法の開発が必要である。

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慢性腎臓病の啓発活動を共同展開/日本腎臓病協会・バイエル薬品

 2022年6月1日、日本腎臓病協会とバイエル薬品が、慢性腎臓病(CKD)の早期診断および治療介入の啓発活動を通じて、国民の健康寿命延伸に寄与することを目的に、腎臓病対策の普及啓発に関する包括連携協定を締結したことを公表した。 CKDは全世界的に増え続けており、現在、日本には成人の約8人に1人にあたる、約1,330万人のCKD患者がいるといわれている1)。さらに、CKDでは心臓病や脳卒中などの心血管疾患になりやすいことが明らかになっており、CKD治療による心血管疾患予防が大きな課題となっている。 本協定により、医療従事者を対象に、腎臓病および腎臓病対策の重要性の認識を高め、診断・治療の標準的考え方を普及する活動を行うと同時に、医療機関、健診機関、行政や報道機関などに対しても腎臓病および腎臓病対策の重要性に関する啓発活動を行うなど、両機関が連携して腎臓病の克服を目指す。

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その3【「実践的」臨床研究入門】第20回

かつては、出版した論文(掲載誌)のインパクトファクター(Impact factor:IF)の総計で、研究者個人の研究業績評価がなされている向きがあったかもしれません(もしかしたら、一部では今でも?)。繰り返しになりますが、IFは学術誌の影響力を測るひとつのものさしであり、個々の論文の影響力や、ましてや論文著者の研究業績を評価する指標ではありません(連載第18回、第19回参照)。今回は、研究者(論文著者)の影響力や業績評価の指標について解説します。研究者(論文著者)の影響力の指標 h-index研究者の影響力や業績評価もまた、学術誌や個々の論文の影響力の指標と同じく、被引用回数に基づく指標が用いられています。研究者が出版した論文の被引用回数が多ければ多いほど、それだけその研究者の論文が注目されているということであり、ひいては質の高い業績がある、と評価されます。研究者個人単位での業績評価には近年、h-indexという指標が多く用いられています。h-indexは、「その研究者が出版した論文のうち、被引用回数がh回以上である論文がh本以上であることを満たす最大値h」と定義されています。「ちょっと何言ってるかわからない」ですかね。もし、ある研究者のh-indexが20であったとすると、その研究者は20回以上引用されている論文が20本以上ある、ということです。このように、h-indexは研究者が出版した論文の「被引用回数」と「論文数」という、その研究者の影響力と生産性を同時に示すことができる指標です。h-indexが高いほど、その研究分野への貢献度が高いと評価されます。具体的な-indexの算出方法は下記のとおりになります。1.その研究者が出版した論文を被引用数が多い順(降順)にすべて並べる2.順位の数値が被引用数より高くなった手前の順位の数値が、その研究者のh-indexh-indexは、実際には上記の手順で手計算で算出するのではなく、ScopusやGoogle Scholarなどの検索データベースで簡単に調べることができます。ScopusとGoogle Scholarどちらで調べれば良いかについては、筆者はScopusをおすすめします。その理由は下記のとおりです。ScopusはMEDLINE(PubMed)を100%、EMBASE収録誌のほとんどを網羅しており(連載第17回参照)、これらの電子データベースに収載された論文を1本でも出版したすべての研究者の情報が公開されています。一方、Google Scholarでは、アカウントを登録し自分のプロフィールの公開を許可している研究者の情報しか閲覧できません。また、Google Scholarが収録している文献情報は、学会抄録やMEDLINEやEMBASEに収載されていない(低レベルの)学術誌も含まれており、Scopusよりh-indexが見かけ上高く出る傾向があります。ほとんどの研究教育施設ではScopusを機関契約していると思いますが、h-indexなどの研究者プロフィールは、無料で利用可能なScopus Previewでも調べられます(一部機能制限あり)。著者検索ページにアクセスし、著者の姓、名、および所属機関を英語入力することで、その研究者情報を閲覧できます。それでは、前回もとりあげたコクラン・フル・レビュー論文著者のh-indexをScopusで調べてみましょう。筆頭著者のDeirdre Hahn氏、責任著者のDenis Fouque氏のh-indexを上記の手順で検索すると、連載第20回執筆時点(2022年5月)では、それぞれ10と64と表示されます。おそらくHahn氏は比較的若手の、Fouque氏はシニアの大御所研究者であることが推測されます。このようにh-indexもIFと同様に研究歴の浅い若手には不利な数値となります。そのため直近5年間のh5-indexという指標が使われることもあります。また、これもIFと同じですが、異なる研究分野間での研究者のh-indexの比較も難しいとされています。関連研究レビューの際に、その論文著者の影響力評価のひとつの指標としてh-indexも参考にしてみてください。h-indexはメンター探しのツールとしても有用かもしれません。1)Hirsch JE. Proc Natl Acad Sci U S A. 2005;102:16569-72. doi: 10.1073/pnas.0507655102.2)Hahn D, et al. Cochrane Database Syst Rev 2020:CD001892.doi: 10.1002/14651858.CD001892.pub4.

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高リスクIgA腎症への経口ステロイドで転帰改善、用量は?/JAMA

 高リスクIgA腎症患者において、経口メチルプレドニゾロンによる6~9ヵ月の治療は、プラセボと比較して、腎機能低下・腎不全・腎疾患死亡の複合アウトカムのリスクを有意に低下させた。ただし、経口メチルプレドニゾロンの高用量投与では、重篤な有害事象の発現率が増加した。中国・北京大学第一医院のJicheng Lv氏らが、オーストラリア、カナダ、中国、インド、マレーシアの67施設で実施された多施設共同無作為化二重盲検比較試験「Therapeutic Effects of Steroids in IgA Nephropathy Global study:TESTING試験」の結果を報告した。本試験は、重篤な感染症が多発したため中止となったが、その後、プロトコルが修正され再開されていた。JAMA誌2022年5月17日号掲載の報告。メチルプレドニゾロンの用量を0.6~0.8mg/kg/日から0.4mg/kg/日に減量し、試験を再開 研究グループは、2012年5月~2019年11月の期間に、適切な基礎治療を3ヵ月以上行っても蛋白尿1g/日以上、推定糸球体濾過量(eGFR)20~120mL/分/1.73m2のIgA腎症患者503例を、メチルプレドニゾロン群またはプラセボ群に1対1の割合に無作為に割り付けた。 メチルプレドニゾロン群は、当初、0.6~0.8mg/kg/日(最大48mg/日)を2ヵ月間投与、その後4~6ヵ月で減量・離脱(8mg/日/月で減量)するレジメンであったが、メチルプレドニゾロン群に136例、プラセボ群に126例、計262例が無作為化された時点で重篤な感染症の過剰発生が認められたため、2015年11月13日に中止となった。その後、プロトコルを修正し、メチルプレドニゾロン群は、0.4mg/kg/日(最大32mg/日)を2ヵ月間投与、その後4~7ヵ月で減量・離脱(4mg/日/月で減量)するレジメンに変更するとともに、ニューモシスチス肺炎に対する抗菌薬の予防的投与を治療期間の最初の12週間に追加した。 2017年3月21日に修正プロトコルで試験が再開され、2019年11月までに241例(メチルプレドニゾロン群121例、プラセボ群120例)が登録された。 主要評価項目はeGFR40%低下・腎不全(透析、腎移植)・腎疾患死亡の複合で、副次評価項目は腎不全などの11項目とし、2021年6月まで追跡調査した。メチルプレドニゾロン群で複合アウトカムが有意に減少、高用量では有害事象が増加 無作為化された503例(平均年齢:38歳、女性:198例[39%]、平均eGFR:61.5mL/分/1.73m2、平均蛋白尿:2.46g/日)のうち、493例(98%)が試験を完遂した。 平均追跡期間4.2年において、主要評価項目のイベントはメチルプレドニゾロン群で74例(28.8%)、プラセボ群で106例(43.1%)に認められた。ハザード比(HR)は0.53(95%信頼区間[CI]:0.39~0.72、p<0.001)、年間イベント率絶対群間差は-4.8%/年(95%CI:-8.0~-1.6)であった。 メチルプレドニゾロン群の各用量について、それぞれのプラセボ群と比較して主要評価項目に対する有効性が確認された(異質性のp=0.11、HRは高用量群0.58[95%CI:0.41~0.81]、減量群0.27[95%CI:0.11~0.65])。 事前に規定された11項目の副次評価項目のうち、腎不全(メチルプレドニゾロン群50例[19.5%]vs.プラセボ群67例[27.2%]、HR:0.59[95%CI:0.40~0.87]、p=0.008、年間イベント率群間差:-2.9%/年[95%CI:-5.4~-0.3])などを含む9項目で、メチルプレドニゾロン群が有意に好ましい結果であった。 重篤な有害事象の発現は、メチルプレドニゾロン群がプラセボ群より多く(28例[10.9%]vs.7例[2.8%])、とくに高用量群で高頻度であった(22例[16.2%]vs.4例[3.2%])。

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