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COVID-19、ヒドロキシクロロキンの使用は支持されない/BMJ

 ヒドロキシクロロキンは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する有効な治療薬として期待され世界的に注目されていたが、リアルワールドで収集した観察データを用いた臨床研究の結果、酸素投与を要するCOVID-19肺炎入院患者へのヒドロキシクロロキン使用は、支持されないことを、フランス・パリ・エスト・クレテイユ大学のMatthieu Mahevas氏らが報告した。COVID-19による呼吸不全や死亡を予防する治療が緊急に必要とされる中、ヒドロキシクロロキンは、in vitroでCOVID-19の原因である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抑制効果が報告され、小規模な臨床試験でも有効性が示唆されていた。BMJ誌2020年5月14日号掲載の報告。フランスの4施設におけるCOVID-19肺炎入院患者におけるヒドロキシクロロキンの有効性を後ろ向きに解析 研究グループは、2020年3月12日~31日の期間に、フランスの3次医療施設4施設に入院したCOVID-19肺炎患者全例について電子カルテをスクリーニングし、18~80歳で酸素投与を必要とするが集中治療室(ICU)への入室は必要としないSARS-CoV-2感染が確認された肺炎患者を適格症例として、入院48時間以内にヒドロキシクロロキン600mg/日の投与を開始した患者(治療群)と、ヒドロキシクロロキンを投与せず標準治療を行った患者(対照群)に分け比較した。 主要評価項目は21日時点でのICU入室を伴わない生存率、副次評価項目は全生存期間、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を伴わない生存率、酸素投与からの離脱、自宅退院またはリハビリテーション施設への転院である(すべて21日時点)。解析は、逆確率重み付け法により交絡因子を調整した。ヒドロキシクロロキン治療群と対照群とで生存率に有意差なし 主要解析の対象集団は全体で181例、治療群が84例、対照群が89例であり、入院後48時間以降にヒドロキシクロロキンの投与を開始した8例も追加された。 主要評価項目である21日時のICU入室を伴わない生存率は、治療群76%、対照群75%であった(加重ハザード比[HR]:0.9、95%信頼区間[CI]:0.4~2.1)。また、21日時点の全生存率は治療群89%、対照群91%(加重HR:1.2、95%CI:0.4~3.3)、ARDSを伴わない生存率はそれぞれ69%、74%(加重HR:1.3、95%CI:0.7~2.6)、酸素投与から離脱した患者の割合は82%、76%(加重リスク比:1.1、95%CI:0.9~1.3)であった。 治療群の8例(10%)に、治療の中止を要する心電図異常が認められた。

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FDA、ALK陽性NSCLCの1次治療としてbrigatinib承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年5月23日、ALK陽性転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療にALK阻害薬brigatinibを承認した。 この承認は、未治療のALK陽性の局所進行または転移のあるNSCLC患者におけるbrigatinibとクリゾチニブの有効性と安全性を比較した第III相ALTA-1L臨床試験の結果に基づくもの。 brigatinibの客観的奏効率(ORR)は74%、クリゾチニブでは62%であった。べースラインで測定可能な脳転移のある患者のORRは78%、クリゾチニブでは26%であった。無病生存率(PFS)中央値は、brigatinib24ヵ月、クリゾチニブ11ヵ月、ハザード比は0.49であった。 brigatinibの一般的な有害事象(AE)は、下痢(53%)、発疹(40%)、咳(35%)、高血圧(32%)、疲労(32%)、悪心(30%)、筋肉痛(28%)、呼吸困難(25%)、腹痛(24%)、頭痛(22%)など。重篤なAEは、肺炎(4.4%)、間質性肺疾患(3.7%)、発熱(2.9%)、呼吸困難(2.2%)、肺塞栓症(2.2%)、無力症(2.2%)であった。

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COVID-19、NY重症患者の死亡リスク増加因子が明らかに/Lancet

 検査で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が確認され、米国・ニューヨーク市内2ヵ所の病院に入院した重症患者257例について前向きコホート試験を行った結果、高年齢、慢性肺疾患、慢性心臓病などが入院死亡リスク増加の独立リスク因子であることが確認された。米国・コロンビア大学アービング医療センターのMatthew J. Cummings氏らが行った試験の結果で、年齢の因子では10歳増加ごとに死亡リスクは1.31倍に、慢性肺疾患は死亡リスクを2.94倍に増加することが示されたという。また、侵襲的機械換気の実施率は重症患者の79%に上っていた。2020年4月28日現在、ニューヨーク市におけるCOVID-19入院患者は4万人を超えている。現況下でのCOVID-19患者の疫学、臨床経過、および重症転帰のデータの必要性から本検討は行われた。Lancet誌オンライン版2020年5月19日号掲載の報告。臨床的リスク因子やバイオマーカーと、院内死亡率の関連を検証 研究グループは2020年3月2日~4月1日に、検査でCOVID-19が確認され、2ヵ所のニューヨーク・プレスビテリアン病院(マンハッタン区北部、コロンビア大学アービング医療センターの関連病院)に入院し、急性低酸素呼吸不全が認められた18歳以上の重症患者を対象に前向き観察試験を行った。被験者について、臨床情報やバイオマーカー、治療データを集め、死亡リスクとの関連を分析した。 主要アウトカムは、入院死亡率だった。副次アウトカムは、侵襲的機械換気の実施率と期間、昇圧薬の使用や腎代替療法の頻度、入院後の院内臨床的増悪までの期間などだった。 Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、臨床的リスク因子やバイオマーカーと、院内死亡率との関連を検証した。追跡期間は全被験者28日以上で、4月28日で追跡を打ち切った。慢性心臓病で死亡リスク1.76倍、高IL-6・高D-dimer値もリスク因子 試験対象期間中に、COVID-19が確認され2ヵ所の病院に入院した成人は1,150例で、うち重症患者は257例(22%)だった。被験者の年齢中央値は62歳(IQR:51~72)で、うち男性は67%(171例)だった。重症患者のうち82%(212例)に1つ以上の慢性疾患があり、最も多くみられたのは高血圧症(63%、162例)、次いで糖尿病(36%、92例)だった。また、46%(119例)が肥満だった。 4月28日時点で、死亡は39%(101例)、入院継続は37%(94例)だった。侵襲的機械換気を実施したのは79%(203例)で、その期間中央値は18日(IQR:9~28)、昇圧薬を使用したのは66%(170例)、腎代替療法の実施は31%(79例)だった。入院後の院内臨床的増悪までの期間中央値は、3日(IQR:1~6)だった。 多変量Coxモデル解析の結果、入院死亡に関連した独立リスク因子は、高年齢(10歳増加ごとの補正後ハザード比[HR]:1.31、95%信頼区間[CI]:1.09~1.57)、慢性心臓病(補正後HR:1.76、95%CI:1.08~2.86)、慢性肺疾患(同:2.94、1.48~5.84)、高IL-6値(十分位増加ごとの補正後HR:1.11、95%CI:1.02~1.20)、高D-dimer値(同:1.10、1.01~1.19)だった。

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第8回 「つぶれる前に助けてくれ!」 医療機関の叫びをどうとらえるか(前編)

病院の医業収入、前年比10%減!こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。5月25日、首都圏と北海道の緊急事態宣言が解除されました。その前の週末あたりから飲食店や飲み屋はほぼ平常運転に戻りつつありましたが、私自身はまだ街の飲み屋には行っていません。あまりにも退屈なので、話題の特別定額給付金のオンライン申請に挑戦してみました。使用したのはパソコンではなくiPhone。スマホからであればパソコン申請で必要なカードリーダーが要らずに比較的簡単にできる、と聞いたからです。実際のところはどうだったか。マイナンバーカードの読み取りエラーやSafari(iPhoneのウェブブラウザ)の設定変更など、いろいろなトラブルが重なり、やり直すこと十数回…。結局、申請完了まで2時間ほどかかってしまいました。私自身のITリテラシーの問題もありますが、マイナンバーカードのシステム全体の使い勝手の悪さは相当なものです。申請は受理されたようですが、給付金がスムーズに受け取れるのかが心配です。さて、今回気になったのは、個別の事件ではなく、新型コロナウイルス感染症の影響で医療機関の経営が苦境に陥っていると伝える、さまざまなメディアの報道です。3月末から5月にかけて、外来・入院・救急患者等が減り続け、医療機関の経営が大変だということは、折々に多くのメディアが報道してきました。ここに来て、医療関係団体の調査結果なども公表され、その厳しさを訴える声が日に日に高まっています。日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会の「病院経営状況緊急調査(速報)」によると、20年4月の医業収入は前年同月比で10.5%減(有効回答病院の平均)。新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた病院はさらに深刻で12.7%減でした。一時的に病棟を閉鎖した病院も14.9%減と大幅に落ち込みました。医業利益率もそれぞれ9.0%、11.8%、16.0%の減少です。4月分の診療報酬が基金から支払われるのは6月なので、実際に資金がショートしたり、倒産したりするケースが出るとすれば夏以降だと思われますが、その前に医療関係団体が「つぶれる前に助けてくれ!」とSOSを発した、というわけです。日医は第二次補正予算に向けて医療機関への支援を要望大学病院や診療所の経営も大変なようです。全国医学部長病院長会議によると、大学病院の経営状況も深刻で、会員大学の4月の診療報酬請求額は前年同月比で外来が7.35%、入院が10.61%減でした。入院では手術件数が1万2,780件と大きく減少したことが響いています。一方、日本医師会が4月20日の会見で公表した「新型コロナウイルス対応下での医業経営状況等アンケート調査」によると、診療所の3月の診療報酬額は前年同月比で総件数10.9%、総日数10.7%、総点数9.4%減と、各約1割の減少でした。さらに、88.0%の診療所の診療報酬が対前年比でマイナスとなり、総点数で30%減以下の診療所が7.5%ありました。こうした状況を受け、日本医師会の横倉 義武会長は5月18日、全国医学部長病院長会議の山下 英俊会長らとともに、安倍 晋三首相、萩生田 光一文科大臣、加藤 勝信厚生労働大臣らと面会、第二次補正予算に向けて新型コロナウイルス感染症対応に当たる医療機関への支援を要望しました。空床発生等に伴う支援や危険手当、PCR検査の拡充等の5本柱、総額約7兆5,213億円の要望です。診療報酬も見直しの方向だがそうした中、5月27日にも閣議決定される予定の第2次補正予算案では、新型コロナウイルスの感染長期化や第2波に備え、医療・介護の現場への支援を手厚くする方針が示されています。医療・介護の現場支援は都道府県向け交付金の拡充で対応。地域の重点病院において専用病棟を多く設置できるようにするほか、新型コロナ患者を受け入れる医療機関や介護事業所の従事者に対する最大20万円の一時手当の給付も行われる予定です。診療報酬そのものも、見直しが検討されています。日本経済新聞は5月22日付け朝刊で「厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の重症患者を受け入れる病院が受け取る診療報酬を引き上げる検討に入った」と報じました。報道では、「本来の入院料から3倍に引き上げる案が軸だ。(中略)来週にも中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)の総会を開いて了承を得る考え。(中略)例えば集中治療室(ICU)の入院料は本来1日8万~14万円程度で、これを3倍にするといった検討を進めている」としています。なお、診療報酬については、自民党の「国民医療を守る議員の会」が5月19日、加藤勝信厚労大臣に手渡した新型コロナウイルス感染症対策に向けた2次補正予算案についての緊急提言書の中で、同感染症患者以外を診療する地域医療の確保に向けて、院内感染防止対策のために基本診療料の2割引き上げを要請しています。一律の“営業保証”に疑問新型コロナウイルス感染症に懸命に対応した医療機関への資金援助は納得できます。病床を閉鎖したり、他科のスタッフを感染症対策に振り向けたりした結果としての患者減の対応も納得できます。しかし、新型コロナウイルス感染症の患者を直接診療することもなく、ただ診療所を閉めていただけのところにも、“営業保証”をするかのような基本診療料引き上げの施策はいかがなものでしょうか。診療報酬は、税金と国民一人ひとりが支払う保険料で賄われています。今回のコロナ禍による医療機関の減収分を安易に一律に補填しようとするやり方は、同じ収入減に困っている国民の納得を得られるものではないでしょう。今回はちょっと長くなり過ぎましたので、この問題については来週もう少し考えてみたいと思います。(この項続く)

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COVID-19と関連?流行期に川崎病類似疾患の集団発生/Lancet

 イタリア・ロンバルディア州・ベルガモ県は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の流行の影響を広範囲に受けており、小児では川崎病類似疾患の集団発生が確認されている。同国パパ・ジョバンニ23世病院のLucio Verdoni氏らは、COVID-19流行期に診断を受けた川崎病類似疾患患者の発生状況と臨床的特徴を調査した。その結果、過去5年間と比較して、COVID-19流行期の2ヵ月間で月間発生率が30倍以上に増えており、患児は比較的年齢が高く、心臓の障害が多く、マクロファージ活性化症候群(MAS)の特徴を呈する患者が多く、重症川崎病の発生率が高いことが示された。川崎病は、急性の中型血管炎で、ほぼ小児のみが罹患する。急性期の患児は血行動態が不安定となる可能性があり、これは重症の病型である川崎病ショック症候群(Kawasaki disease shock syndrome:KDSS)として知られる。また、MASの判定基準を満たす場合があり、2次性の血球貪食性リンパ組織球症に類似の症状を呈する。原因は不明だが、感染性の病原体が、本症を引き起こすカスケードの引き金となることが示唆されている。Lancet誌オンライン版2020年5月13日号掲載の報告。流行の前後で発生状況を比較 研究グループは、COVID-19流行期の川崎病類似疾患の発生状況を評価する目的で後ろ向きコホート研究を行った(特定の研究助成は受けていない)。 過去5年間に、ベルガモ市のパパ・ジョバンニ23世病院の一般小児科で川崎病類似疾患と診断された患児を、COVID-19流行の開始前(I群)と後(II群)に分けて解析した。 川崎病類似症状を呈した患児は、米国心臓協会(AHA)の適応症に準じて川崎病として管理された。KDSSは、収縮期動脈低血圧、基礎収縮期血圧の20%以上の低下、または末梢循環不全の徴候を伴う川崎病と定義された。MASの診断は、小児リウマチ国際試験機関(PRINTO)の判定基準に準拠した。 鼻咽頭および口咽頭ぬぐい液を用いた定量的な逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)と、SARS-CoV-2のIgMとIgGを検出する血清学的定性検査により、現在と過去の感染の有無を調べた。 II群の患児は、全例が免疫グロブリン療法(2g/kg)を受け、RAISE試験(Kobayashiスコア)のリスク層別化に基づく治療を受けた。PCR陽性は2例のみ、IgG陽性8例、IgM陽性3例 2015年1月1日~2020年2月17日の期間に、川崎病類似疾患と診断されたI群の患者は19例(男児7例、女児12例、平均年齢3.0[SD 2.5]歳)であった。発熱から入院までの平均期間は6日(範囲4~11日)で、定型が13例(68%)、不全型川崎病が6例(31%)であった。低血圧や低灌流の徴候などはみられず、MASと診断された患児もいなかった。全例が、冠動脈瘤の残存もなく完全に回復した。 一方、2020年2月18日~4月20日の期間に診断されたII群の患児は10例(男児7例、女児3例、平均年齢7.5[SD 3.5]歳)であった。このうちPCR検査陽性は2例で、8例がIgG陽性、3例はIgMも陽性だった(血清学的検査が陰性の2例のうち1例は、大量免疫グロブリン療法後に検査を受けた)。 II群の10例の発熱から入院までの平均期間は6日(範囲4~8日)であった。5例(50%)は定型、残りの5例(50%)は不全型の川崎病であった。胸部X線検査は全例で行われ、5例(50%)で肺炎が認められた。このうち胸部CT検査を受けた2例では、両肺底部の肥厚が確認された。 II群の5例(50%)には、低血圧と低灌流の臨床徴候が認められ、KDSSの判定基準を満たした。また、5例(50%)がMASと診断された。II群の患者は全例が退院し、アスピリン治療を継続している。他の流行国でも、同様の集団発生が予測される I群に比べII群では、川崎病の月間発生率が30倍以上高かった(I群0.3例/月vs.II群10例/月、p<0.0001)。また、II群は、発症時の平均年齢が高く(3.0[SD 2.5]歳vs.7.5[3.5]歳、p=0.0003)、平均BMIも高値を示した(15.93[SD 1.72])vs.19.11[3.21]、p=0.0016)。II群の10例中5例(50%)に、COVID-19確定例との接触が認められた。 I群に比べII群は、白血球数(19.4[SD 6.4]×109/L vs.10.8[6.1]×109/L、p=0.0017)、リンパ球数(3.0[SD 1.8]×109/L vs.0.86[0.4]×109/L、p=0.0012)および血小板数(457[SD 96]×109/L vs.130[32]×109/L、p<0.00001)の値が低かった。 また、II群は、心エコー図の異常(2/19例[10%]6/10例[60%]、p=0.0089)の割合が高く、KDSS(0/19例[0%]vs.5/10例[50%]、p=0.021)およびMAS(0/19例[0%]vs.5/10例[50%]、p=0.021)の頻度が高かった。 Kobayashiスコア≧5点の患児(2/19例[10%]vs.7/10例[70%]、p=0.0021)の割合はII群で高く、ステロイドによる補助治療の必要性(3/19例[16%]vs.8/10例[80%]、p=0.0045)も、II群の患児で高かった。 著者は、「SARS-CoV-2流行国では、同様の川崎病または類似症候群の集団発生が予測される」としている。

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COVID-19関連の超過死亡算出するオンラインツール開発/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の医学的、社会的、経済的な影響は、総人口死亡率に未知の作用を及ぼしているといわれる。これまでの死亡率モデルは、高リスクの基礎疾患や、それらのより長期のベースライン(COVID-19流行以前)の死亡率は考慮されていないが、英国・University College LondonのAmitava Banerjee氏らは、さまざまな感染抑制レベルに基づくCOVID-19発生のシナリオと、基礎疾患の相対リスクに基づく死亡率の影響を考慮して、COVID-19の世界的流行から1年間の超過死亡者数を、年齢、性、基礎疾患別に推定するモデルを確立するとともに、これを算出するオンラインツールを開発し、プロトタイプを公開した(オンラインリスク計算機のプロトタイプ)。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年5月12日号に掲載された。電子健康記録データを用いて超過死亡を推定するコホート研究 研究グループは、英国のプライマリケアおよびセカンダリケアの電子健康記録(Health Data Research UKのCALIBER)にリンクされたデータを用いて人口ベースのコホート研究を行った(英国国立衛生研究所[NIHR]University College London病院バイオメディカル研究センターなどの助成による)。  1997~2017年の期間に、医療機関に登録された30歳以上の個人を対象に、Public Health Englandのガイドラインで定義された基礎疾患の有病率(2020年3月16日以降)を調査した。  COVID-19の世界的流行の相対的影響を、COVID-19流行前のバックグラウンド死亡率と比較した相対リスク(RR)とし、RRを1.5、2.0、3.0と仮定した場合に、完全抑制(0.001%)、部分抑制(1%)、軽減(10%)、何も対策をしない(80%)などの異なる感染率のシナリオで、COVID-19関連の超過死亡の簡略なモデルと計算ツールを開発し、各疾患の1年間の死亡率を推定した。 また、超過死亡を推算するためのオンライン公開用のプロトタイプのリスク計算機を開発した。超過死亡に直接・間接に及ぼす全体の影響の評価が必要 386万2,012人(女性195万7,935人[50.7%]、男性190万4,077人[49.3%])を対象とした。対象の20%以上が高リスクであり、そのうち13.7%が70歳以上の高齢者で、6.3%は1つ以上の基礎疾患を有する70歳以下の高齢者と推定された。 高リスク集団の1年死亡率は4.46%(95%信頼区間[CI]:4.41~4.51)と推定された。年齢と基礎疾患が複合的にバックグラウンドリスクに影響を及ぼし、疾患によって死亡率に顕著なばらつきが認められた。 英国の集団における完全抑制のシナリオでは、超過死亡者数(COVID-19流行前のベースラインの死亡との比較)は、RRが1.5の場合は2人、RRが2.0で4人、RRが3.0では7人と推定された。 また、軽減シナリオでは、RRが1.5の超過死亡者数は1万8,374人、2.0で3万6,749人、3.0では7万3,498人と推定された。何も対策をしないシナリオの超過死亡者数は、RRが1.5の場合は14万6,996人、2.0で29万3,991人、3.0では58万7,982人であった。 著者は、「これらの結果は、持続的で厳格な抑制対策とともに、基礎疾患があるため最もリスクが高い集団を対象に、さまざまな予防介入による継続的な取り組みを行う必要性を示唆する。各国は、COVID-19の世界的流行が超過死亡に直接・間接に及ぼす全体的な影響を評価する必要がある」と指摘している。

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第8回 初診のオンライン診療、継続的実施の検討へ

<先週の動き>1.初診のオンライン診療、継続的実施の検討へ2.病院の医業収入は前年比10.5%減、コロナ受け入れ病院では12.7%減も3.コロナの影響で先延ばしされた新たな社会保障制度改革4.新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬の開発が待たれる1.初診のオンライン診療、継続的実施の検討へ19日に開催された国家戦略特区諮問会議において、新型コロナウイルスの影響により、全国で時限的・特例的措置として可能になっている「初診患者のオンライン診療」について議論された。そこでは、安倍 晋三首相より、コロナ収束後も初診のオンライン診療が引き続き活用できるよう、継続的実施に向けて規制や制度の改革を進める方針を表明した。厚生労働省によると、5月14日現在、オンライン診療などを実施しているのは全国で約1万4,500施設、うち初診からの実施は約6,000施設。今後、利点や課題を洗い出した上で、全国的に認めるのかどうかも含めて検討され、年内に取りまとめを急ぐ。(参考)第44回 国家戦略特別区域諮問会議 配布資料2.病院の医業収入は前年比10.5%減、コロナ受け入れ病院では12.7%減も21日、自民党の岸田 文雄政調会長が「令和2年度第2次補正予算の編成に向けて」の提言を安倍首相に提出した。新型コロナの影響で、受診控えなどにより収入が大きく減少し、経営危機に直面している医療機関や薬局が経営破綻しないように求めている。最近、医療機関における経営状態の悪化についてたびたび報道されているが、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の病院経営状況緊急調査(速報)によれば、前年の2019年4月と今年4月を比較した医業収入は、回答した病院で10.5%減少しており、コロナ患者入院受入病院では12.7%減となっている。日本医師会は、半年間で7兆5,000億円の予算措置などにより、医療機関や薬局などの経営支援を行うことを求めている。取り急ぎ、厚労省は5月分の診療報酬支払いについて、本来より1ヵ月繰り上げた6月に概算で給付する案を検討しており、医療従事者に支払うボーナスなどの原資を確保できるように動く見込み。(参考)第2次補正予算に向けた提言概要(自由民主党政務調査会)新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況緊急調査(速報)(日本病院会)3.コロナの影響で先延ばしされた新たな社会保障制度改革22日に開催された第7回全世代型社会保障検討会議において、安倍首相が今夏に取りまとめる予定だった最終報告を半年ほど遅らせることを表明した。新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、社会保障の新たな課題を取り上げたことなどによる影響。ウイルス感染リスクがある中、医療・介護に従事する労働者が安全に就労できるよう、マスクや消毒液などの衛生用品の確保などの支援や、感染リスクを恐れて受診抑制や介護サービス利用控えなどの動きに対して、オンライン診療や非接触サービスの活用についての言論を求めている。これを受け、75歳以上の患者の窓口負担を1割から2割に引き上げる法案の国会提出が2021年に先送りになるなど、今後の医療改革や健康保険財政などに影響が出る可能性もある。(参考)全世代型社会保障検討会議(第7回)配布資料(首相官邸)新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえた社会保障の新たな課題に関する基礎資料4.新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬の開発が待たれるコロナ治療薬開発の進捗状況について、日々報道がなされているが、民間の医療機関が手にする段階は、現時点ではまだ先になりそうである。7日に承認された、新型コロナウイルス感染症に対する国内初の治療薬レムデシビル(商品名:ベクルリー)は、重症患者が対象とされ、一般の患者に用いることは難しいと考えられる。今後、中等症患者を対象とした2本目の第III相試験の結果など、5月下旬に初期のデータが公表される見込み。また、政府が早期承認するとしていたファビピラビル(同:アビガン)については、動物実験で催奇形性(外表異常、内臓異常、骨格異常、骨格変異)が認められており、精液への移行もあるなど、内服投与に当たっては細心の管理が必要である。その上、17日に日本医師会の「COVID-19有識者会議」が発表した「新型コロナウイルス感染パンデミック時における治療薬開発についての緊急提言」によれば、承認を早める事務手続きの特例処置は理解できるとしているが、科学的根拠の不十分な候補薬を治療薬として承認すべきでないとしており、今後の治験結果の公表や承認申請を待つことになる。ワクチン製造を手掛ける大手製薬企業を中心として、開発治験が進んでいると発表されているが、安全性・有効性の確認中であり、正式な承認申請はまだである。第二波の襲来に備えるために、各国と協調体制を取りながら、迅速な開発、供給態勢の整備が進むことが待たれる。(参考)新型コロナウイルス感染パンデミック時における治療薬開発についての緊急提言(日本医師会COVID-19有識者会議)新型コロナウイルス 治療薬・ワクチンの開発動向まとめ【COVID-19】(Answers News)

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免疫チェックポイント阻害薬、再投与における免疫関連AE再発率/JAMA Oncol

 免疫関連有害事象(irAE)発現後の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)再投与の安全性に関するデータが示された。フランス・ノルマンディー大学のCharles Dolladille氏らによる世界保健機関(WHO)のデータベース「VigiBase」を用いた医薬品安全性監視(pharmacovigilance)コホート研究の結果で、著者は、「適切なモニタリングとともに、有害事象を特定し治療する標準的な治療アルゴリズムを用いることにより、特定の患者にはICI再投与を考慮できるだろう」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2020年4月16日号掲載の報告。 研究グループは、irAEを発現したがん患者において、ICI再投与後にICI治療中止に至った同一のirAE再発率と、irAE再発に関連する臨床的特徴を明らかにする検討を行った。 130ヵ国以上から個別症例安全性報告を集めたWHOのデータベース「VigiBase」を用い、2019年9月1日までに報告された1つ以上のirAEを発現したICI治療症例を特定し解析した。 主要評価項目は、ICI再投与後の最初のirAEの再発率、副次評価項目は再投与後のirAE再発に関連する要因、ICI治療レジメン別の再発率(抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体単剤、抗CTLA-4抗体単剤、または併用療法)、および再投与後の異なるirAEの発現率であった。 主な結果は以下のとおり。・解析対象である1つ以上のirAEを発現したICI治療患者は、2万4,079例であった。・ICIの再投与が行われたのは6,123例で、このうち452例(7.4%)で効果が認められた。・452例中130例(28.8%、95%信頼区間[CI]:24.8~33.1)で、初回投与時と同じirAEの再発が観察された。・再投与において、大腸炎(報告オッズ比[OR]:1.77、95%CI:1.14~2.75、p=0.01)、肝炎(報告OR:3.38、95%CI:1.31~8.74、p=0.01)、および肺炎(報告OR:2.26、95%CI:1.18~4.32、p=0.01)は再発率が高く、一方、副腎障害は再発率が低かった(報告OR:0.33、95%CI:0.13~0.86、p=0.03)。

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アルナイラム社とVir社、COVID-19 治療薬候補(VIR-2703)を特定

 Vir Biotechnology社およびアルナイラム社は、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2ゲノムを標的とするRNAi治療薬研究の開発候補として、VIR-2703を選定したと発表した。両社は、近日中にFDAおよび他の規制当局と面会し、2020年末を目処にヒトにおける臨床試験を開始する見込みだとしている。 アルナイラム社は、SARS-CoV-2ゲノムの高度に保存された領域を標的とするRNAiを媒介するsiRNAを350種以上合成し、ウイルス複製を1/1000以下まで低減した有力なsiRNAを複数特定した。なかでも、VIR-2703は、SARS-CoV-2のウイルスモデルを使って感染性ビリオン(感染性を有するウイルス粒子)産生の抑制を測定する用量反応試験で、50%阻害濃度(EC50)が100ピコモル未満、EC95が1ナノモル未満であることを示した。さらに、VIR-2703は、4,300以上のSARS-CoV-2ゲノムのうち、99.9%以上に対して反応し、2003年のSARSアウトブレイクから発生したSARS-CoVゲノムに対しても反応すると予測されている。この結果を受け、両社は、VIR2703を開発候補薬に選定し、臨床試験に進めることとした。

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COVID-19へのヒドロキシクロロキン、気管挿管・死亡リスク抑制せず/NEJM

 米国では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として、ヒドロキシクロロキンが広く投与されているが、その使用を支持する頑健なエビデンスはなかったという。同国コロンビア大学のJoshua Geleris氏らは、ニューヨーク市の大規模医療センターでCOVID-19入院患者の調査を行い、本薬はこれらの患者において気管挿管や死亡のリスクを抑制しないと報告した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年5月7日号に掲載された。ヒドロキシクロロキンは、マラリアやリウマチ性疾患の治療に広く使用されており、抗炎症作用と抗ウイルス作用を持つことから、COVID-19に有効な可能性が示唆されている。米国では、2020年3月30日、食品医薬品局(FDA)が緊急時使用許可(Emergency Use Authorization)を発出し、臨床試験に登録されていないCOVID-19患者への使用が認可された。ガイドラインでは、肺炎のエビデンスがある入院患者に本薬の投与が推奨されており、世界中の数千例の急性期COVID-19患者に使用されているという。米国の単施設のコホート研究 研究グループは、COVID-19患者におけるヒドロキシクロロキンの使用は、気管挿管および死亡のリスクを抑制するとの仮説を立て、これを検証する目的でコホート研究を行った(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 対象は、2020年3月7日~4月8日の期間に、ニューヨーク市のマンハッタン区北部に位置する急性期病院であるニューヨーク・プレスビテリアン病院(NYP)-コロンビア大学アービング医療センター(CUIMC)に入院し、鼻咽頭または口咽頭拭い液を検体として用いた検査でSARS-CoV-2陽性の成人患者であった。 救急診療部受診から24時間以内に、気管挿管、死亡、他の施設へ転送となった患者は除外された。フォローアップは4月25日まで継続した。ヒドロキシクロロキンは、1日目に負荷投与量600mgを2回投与後、400mgを1日1回、4日間投与するレジメンが推奨された。 主要エンドポイントは気管挿管および死亡の複合としtime-to-event解析を行った。傾向スコアによる逆確率重み付けを用いた多変量Coxモデルを使用して、ヒドロキシクロロキンの投与を受けた患者と非投与患者を比較した。有益性、有害性とも排除されない、推奨はすでに削除 1,376例が解析の対象となった。フォローアップ期間中央値22.5日の時点で、346例(25.1%)に主要エンドポイントのイベントが発生した(挿管されずに死亡166例、挿管180例)。データのカットオフ時(4月25日)には、232例が死亡(66例は挿管後)し、1,025例が生存退院しており、119例は入院中(挿管なしは24例のみ)だった。 1,376例中811例(58.9%)にヒドロキシクロロキンが投与され(投与期間中央値5日)、565例(45.7%)には投与されなかった。投与群の45.8%は救急診療部受診後24時間以内に、85.9%は48時間以内に投与が開始された。 傾向スコアでマッチさせていない患者では、ヒドロキシクロロキン投与量は、年齢層や性別、人種/民族、BMI、保険の有無、喫煙状況、他の薬剤の使用状況の違いで異なっていた。また、ベースラインの重症度は、投与群が非投与群に比べて高く、動脈血酸素分圧(PaO2)/吸入気酸素濃度(FIO2)比中央値は投与群が223、非投与群は360であった。 傾向スコアでマッチさせた患者は、投与群が811例、非投与群は274例だった。 未補正の粗解析では、ヒドロキシクロロキン投与群は非投与群に比べ、主要エンドポイントのイベント発生率が高かった(32.3%[262/811例]vs.14.9%[84/565例]、ハザード比[HR]:2.37、95%信頼区間[CI]:1.84~3.02)。 一方、傾向スコアによる逆確率重み付けを用いた多変量解析では、ヒドロキシクロロキンとイベント発生率に有意な関連は認められなかった(HR:1.04、95%CI:0.82~1.32)。 著者は、「この観察研究の結果は、デザインと95%CI値を考慮すると、ヒドロキシクロロキン治療の有益性と有害性のいずれをも排除しないが、現時点では、有効性を検証する無作為化臨床試験以外では、その使用を支持しない」としている。なお、NYP-CUIMCでは、すでにガイダンスを改訂し、COVID-19患者におけるヒドロキシクロロキン治療の推奨は削除されたという。

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医師目線と患者目線の確率は違う、新型コロナウイルスからの考察【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第23回

第23回 医師目線と患者目線の確率は違う、新型コロナウイルスからの考察この原稿を書いているのは、2020年5月初旬のゴールデンウィークです。新型コロナウイルス(COVID-19)対策として、緊急事態宣言がなされ、外出の自粛要請・施設の使用制限などの感染予防対策が行われています。これを遵守して、自宅でパソコンに向かって駄文を練っております。このコロナウイルスに感染しているかどうかを調べるPCR検査のあり方について議論が続いています。当初は、感染者との濃厚接触があり、発熱などの症状のある人に限定して PCR検査が行われてきました。もっと検査の対象をひろげ、検査数を増やすべきであるという議論です。PCR検査が陽性であれば間違いなく感染者で、検査が陰性であれば間違いなく感染者ではない、こうであれば理想的です。しかし、現実は異なります。本当は感染者なのにPCR検査が陰性になる場合や、検査結果が陽性でも実際には感染者ではない場合があります。この検査精度については、感度と特異度の2つの観点から評価されます。感度は感染者を陽性と判定できる確率で、特異度は非感染者を陰性と判定できる確率です。新型コロナウイルスへのPCR検査の感度は70%程度とされ、感染者の30%は検査で陰性と判定されることが問題です。テレビのワイドショーでは、識者と呼ばれる方々が賛成・反対の立場で熱く持論を展開しています。感度・特異度だけでなく検査前確率や陽性的中率などの統計的な専門用語を駆使して語る方もおられます。その意見は間違っている訳ではないのですが、正しくもないように思います。そもそも、確率や統計学的な論理を理解するには、一定の知的水準と数学的な素養が要求されます。理解できない人をバカにしている訳ではありません。収入も減少し、社会不安があり、何よりも先が見通せない状況においては、冷静な判断は難しいものです。政策や対応策を立案する部門では詳細な数値に基づいて考察すべきですが、実際に困難に直面している各個人に確率的なことを説明することの意味は難しいのです。これは、新型コロナウイルスにおいてだけではありません。ある患者さんに手術前の説明をする場面を考えてみます。「どのような手術でも100%安全という訳ではありません。100%安全と言い切ることはできないのです」このように説明します。「それはわかっています。どの程度の危険性があるのですか?」不安そうにたずねます。「そうですね。この手術で死亡する確率は0.1%ほどでしょうか」医師が答えます。患者さんと家族に表情に安堵が感じられます。なにより1,000人手術を受けても999人が生存するのです。どうみても上手くいく手術に思われます。ところが、その患者さんが手術合併症で命を落としたとします。1,000人に1人の死亡例に該当してしまったのです。その亡くなった本人にとっては、1,000分の999は生きていて、1,000分の1だけ死んでいるのではありません。0.1%の出来事ではなく、死亡したという事実は100%のできごとです。確率的な考察は、サンプル数や施行数が多い場合に意味を持ちます。人生において何千回も手術を行う医療提供者には死亡率0.1%は意味がありますが、手術を人生で1回しか受けない患者サイドでの死亡率0.1%の解釈は難しいです。「サイコロで6が出る確率は、出るか出ないかだから1/2だ」と言う人に、数学的にそれが1/6であることの説明・証明は可能でしょう。しかし、サイコロを何回も、何十回も、何百回もふってこそ1/6に近づいていくのです。1回しかサイコロをふるチャンスがなければ、当人とすれば、出るか出ないかの二者択一すなわち1/2の確率ともいえます。新型コロナウイルス騒動の収束と終息を願うばかりです。収束は、「収まる」「束ねる」ということから、状況が一定の状態に落ち着くとことを意味し、「終息」は完全に終わるという意味です。新型肺炎の状況が落ち着いてくるのが収束、完全に制圧された場合が終息となります。収束してから終息です。言葉遊びをしている場合ではなく、とにかくシュウソクしてほしいです。

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新型コロナPCR検査、偽陰性が多い期間は?

 新型コロナウイルスのPCR検査の感度や特異度は十分に特定されておらず、偽陰性となる可能性が最も高い期間はよくわかっていない。今回、米国ジョンズ・ホプキンズ大学のLauren M. Kucirka氏らが7つの研究のプール解析を行ったところ、偽陰性率は、発症後3日目(感染後8日目)に最も低くなることがわかった。著者らは、偽陰性の可能性を最小限にするために、検査は発症から3日間待って実施すべきとしている。また、臨床的にCOVID-19が疑われる場合は、PCR陰性のみで除外診断すべきではなく、臨床的および疫学的状況を慎重に検討する必要があると述べている。Annals of Internal Medicine誌オンライン版2020年5月13日号に掲載。PCR検査の偽陰性率は発症から3日目が20%と最低 本研究は、鼻咽頭または咽頭スワブを用いたPCR検査のデータを有する7つの研究のプール解析(入院または外来患者計1,330例)で、感染(曝露)後もしくは発症(症状発現)後の偽陰性率について、階層ベイズモデリングを用いて算出した。 PCR検査の偽陰性率について算出した主な結果は以下のとおり。・PCR検査の偽陰性率は感染1日目が100%(95%CI:100~100%)であり、4日目が67%(95%CI:27~94%)と5日目(COVID-19の典型的な発症日)まで減少した。 ・発症日(感染5日目)の偽陰性率は38%(95%CI:18〜65%)であった。・感染8日目(発症から3日目)の偽陰性率は20%(95%CI:12~30%)と最低となり、その後、9日目(21%、95%CI:13~31%)から再び増加し、21日目に66%(95%CI:54〜77%)となった。 なお、本研究の限界として、プール解析した基の研究のデザインの不均一性により、推定が不正確であることを挙げている。

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COVID-19、ヒドロキシクロロキンで院内死亡低下せず/JAMA

 ニューヨークの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキン、抗菌薬アジスロマイシンまたはこれらの両薬を治療に用いた患者は、いずれも使用していない患者と比較して、院内死亡率に有意差はなかった。米国・ニューヨーク州立大学のEli S. Rosenberg氏らが、COVID-19入院患者の後ろ向き多施設共同コホート研究の結果を報告した。ヒドロキシクロロキンの単独またはアジスロマイシンとの併用は、COVID-19に対する治療法の候補と考えられているが、有効性や安全性に関するデータは限定的であった。JAMA誌オンライン版2020年5月11日号掲載の報告。無作為抽出したCOVID-19入院患者約1,400例を後ろ向きに解析 研究グループは、ニューヨーク都市圏の25施設に2020年3月15日~28日の間で24時間以上入院したCOVID-19患者7,914例(同期間でのニューヨーク都市圏におけるCOVID-19全入院患者の88.2%を占める)から、施設単位で無作為に抽出した1,438例について、治療薬、既往症、入院時臨床所見、転帰および有害事象に関するデータを解析した。最終追跡調査は2020年4月24日。 解析対象症例を入院期間中の治療に基づいて、ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンの両方を使用(併用群)、ヒドロキシクロロキンのみ、アジスロマイシンのみ、どちらも非投与の4群に分類し、院内死亡率(主要評価項目)、心停止および不整脈/QT延長の心電図異常所見など(副次評価項目)を評価した。ヒドロキシクロロキン服用群、非服用群と院内死亡率に有意差なし 解析対象の1,438例(男性858例[59.7%]、年齢中央値63歳)において、ヒドロキシクロロキン単独群(271例)、アジスロマイシン単独群(211例)および併用群(735例)は、非投与群よりも、糖尿病、呼吸数>22回/分、胸部画像の異常所見、酸素飽和度90%未満、AST>40U/Lの患者が多い傾向にあった。 院内死亡率は、全体で20.3%(95%信頼区間[CI]:18.2~22.4)であり、治療別では併用群25.7%(22.3~28.9)、ヒドロキシクロロキン単独群19.9%(15.2~24.7)、アジスロマイシン単独群10.0%(5.9~14.0)、非投与群12.7%(8.3~17.1)であった。 調整Cox比例ハザードモデルでは、非投与群と比較し、併用群(HR:1.35、95%CI:0.76~2.40)、ヒドロキシクロロキン単独群(1.08、0.63~1.85)およびアジスロマイシン単独群(0.56、0.26~1.21)で、院内死亡率に有意差は確認されなかった。 ロジスティック回帰モデルでは、非投与群と比較し、併用群(補正後オッズ比:2.13、95%CI:1.12~4.05)で心停止のリスクが有意に高かったが、ヒドロキシクロロキン単独群(1.91、0.96~3.81)とアジスロマイシン単独群(0.64、0.27~1.56)では有意差は確認されなかった。また、調整ロジスティック回帰モデルでは、心電図異常所見に相対的なリスクの差は認められなかった。

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COVID-19診療の手引きの改訂版を公開/厚生労働省

 5月18日、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、全国の関係機関ならびに医療機関に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第 2 版」を事務連絡として発出した。 同手引きの第1版は、3月17日に発出されているが、第2版となる改訂版では、国内外の最新知見を更新し、ページ数も約2倍となるなど、大幅に改訂されている。約3割の患者で嗅覚異常、味覚異常がある 追加された項目として「臨床像」では、「初期症状はインフルエンザや感冒に似ており、この時期にこれらとCOVID-19を区別することは困難である」とし、「嗅覚障害・味覚障害を訴える患者さんが多いことも分かってきた。イタリアからの報告によると約3割の患者で嗅覚異常または味覚異常があり、特に若年者、女性に多い」など追加の症状が述べられている。 「合併症」では、「若年患者であっても脳梗塞を起こした事例が報告されており、血栓症を合併する可能性が指摘されている。また、軽症患者として経過観察中に突然死を起こすことがあり、これも血栓症との関連が示唆される。小児では、川崎病様の症状を呈する事例もあることが欧米から報告されている」と血栓に関する注意も追加された。 「重症化マーカー」では、(1)D ダイマーの上昇、(2)CRP の上昇、(3)LDH の上昇、(4)フェリチンの上昇、(5)リンパ球の低下、(6)クレアチニンの上昇などが挙げられるが、「全体的な臨床像を重視して、臨床判断の一部として活用する必要がある」としている。 「薬物療法」では、「日本国内で入手できる適応薬」としてRNA合成酵素阻害薬 レムデシビル(2020 年5 月7日に特定薬事承認)を示すとともに、「日本国内で入手できる薬剤の適応外使用」として「RNA合成酵素阻害薬 ファビピラビル」「吸入ステロイド薬 シクレソニド」「蛋白質分解酵素阻害剤 ナファモスタット」「ヒト化抗IL-6 受容体モノクローナル抗体 トシリズマブ」「同 サリルマブ」を紹介している。目次 第2版1 病原体・臨床像伝播様式/臨床像/重症化マーカー/画像所見2 症例定義・診断・届出症例定義/病原体診断/抗原検査/抗体検査/届出3 重症度分類とマネジメント重症度分類/軽症/中等症/重症4 薬物療法5 院内感染対策個人防護具/換気/環境整備/廃棄物/患者寝具類の洗濯/食器の取り扱い/死後のケア/職員の健康管理/非常事態におけるN95マスクの例外的取扱い/非常事態におけるサージカルマスク、長袖ガウン、ゴーグルおよびフェイスシールドの例外的取扱い6 退院・生活指導退院等基準/生活指導引用・参考文献 診療の手引き検討委員会・作成班は「はじめに」で、「再流行のリスクもあり、予断を許しません。本手引きが広く医療現場で参考にされ、患者の予後改善と流行の制圧の一助となることを期待します」と活用を呼び掛けている。

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COVID-19軽~中等症、早期の3剤併用療法が有効/Lancet

 軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者に対し、早期に開始したインターフェロン(INF)-β-1b+ロピナビル・リトナビル配合剤+リバビリンの3剤併用療法は、ロピナビル・リトナビル配合剤単独療法に比べ、SARS-CoV-2ウイルス陰性化までの期間および入院期間を有意に短縮し、安全性にも問題がないことが確認された。香港・Queen Mary HospitalのIvan Fan-Ngai Hung氏らが、127例の入院患者を対象に行った第II相の多施設共同前向き非盲検無作為化試験の結果を報告した。COVID-19パンデミックを制圧するため、効果的な抗ウイルス薬治療を見いだすことに1つの重点が置かれている。今回の結果について著者は、「さらなる臨床研究で、INF-β-1bをバックボーンとする2剤併用抗ウイルス薬療法の検討も行う必要がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2020年5月8日号掲載の報告。鼻咽頭スワブによるRT-PCR検査で陰性化までの期間を比較 研究グループは2020年2月10日~3月20日に、香港の6病院を通じて、ウイルス検査でCOVID-19が確認され入院した18歳以上の患者127例を対象に試験を行った。INF-β-1b+ロピナビル・リトナビル配合剤+リバビリンの3剤併用抗ウイルス薬療法と、ロピナビル・リトナビル配合剤単独療法を比較し、その有効性と安全性を評価した。被験者の症状の程度は、軽症~中等症だった。 被験者を無作為に2対1の割合で2群に分け、一方にはロピナビル400mg・リトナビル100mg、リバビリン400mgをいずれも12時間ごと14日間投与し、併せてINF-β-1b 800万IUを隔日3回投与した(3剤併用群、86例)。もう一方の群には、ロピナビル400mg・リトナビル100mgを12時間ごとに14日間投与した(対照群、41例)。 主要エンドポイントは、鼻咽頭スワブによる逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査の結果でSARS-CoV-2ウイルスが陰性化するまでの期間とし、ITT解析で評価した。陰性化に関する3剤併用群のハザード比は4.37 発症から治療開始までの期間中央値は、5日(IQR:3~7)だった。 鼻咽頭スワブ検査でSARS-CoV-2ウイルスが陰性化するまでの期間中央値は、対照群12日(IQR:8~15)に対し、3剤併用群は7日(同:5~11)と有意に短かった(ハザード比:4.37、95%信頼区間:1.86~10.24、p=0.0010)。 有害事象は吐き気や下痢などが認められたが、両群間で有意差はなかった。対照群の1例が、肝炎のため治療を中止した。試験期間中の死亡は報告されなかった。

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SARS-CoV-2 は便中に長く排泄される(解説:浦島充佳氏)-1230

 対象は2020年1月から3月の間、中国・浙江省にて痰ないし咽頭深くの粘液より採取した検体にてPCRを用いて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の確定診断を受け入院した連続症例96例(軽症:22例、重症:74例)である。SARS-Cov-2ウイルスRNA量を、呼吸器、便、血清、尿検体のウイルス量のCt値で定量解析している。 以下がポイントである。1. 検出場所  痰・唾液中検出割合:100% 研究対象定義  便中検出割合:59%  血清中検出割合:41%  尿中検出割合:1例のみ2. 検出期間  痰・唾液中:18日(13~29日)  便中検出割合:22日(17~31日)  血清中検出割合:16日(11~21日)3. 重症度  重症:21日(14~30日)発症後2~3週がピーク  軽症:14日(10~21日)発症後2週がピーク4. 他のウイルス量増多の因子  60歳以上  男性 SARS-CoV-2ウイルスが便中に最も長く検出されたことは注目に値する。呼吸器から検出されるウイルスは会話や咳などを介した飛沫で感染するが、便中では接触感染が考えられる。重症例では発症後2~3週間がウイルス排泄のピークとなることから、院内感染や高齢者施設では、排泄物の扱いやトイレの清掃には細心の注意を払うべきであろう。 中国・武漢の医師らが新型コロナウイルス肺炎で入院した138例についてまとめている1)。138例中57例(41.3%)が院内感染と思われた。17例(12.3%)は新型コロナウイルス肺炎以外の理由で入院していた患者、40例(29.0%)は医療スタッフであった。外科病棟に入院していた腹部症状を認めた1人の患者から10人以上に感染させたと思われる。患者間でも感染が広がった。少なくとも4人の患者が同じ病棟で感染を広げている。4人すべての患者は非定型の腹部症状を示していた。138例中、下痢は14例(10%)に認められる。院内で感染した患者は重症化しやすい傾向にあった。ICUに入院する重症化リスクは院外感染で入院した患者の2.4倍である。 また血清中でも想像以上の頻度でウイルスが検知されていた。無症状者では理論上ウイルス血症になりにくいとは思われるが、軽症でも25%にみられていることから、COVID-19流行地での献血は要注意かもしれない。1)Wang D, et al. JAMA. 2020;323:1061-1069.

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降圧薬の処方内容はCOVID-19予後に影響するか?(解説:冨山博史氏)-1231

はじめに COVID-19発生から半年近くが過ぎようとしている。しかし、まだまだ収束そして終息にも時間を要する。COVID-19では肺炎に加え、脳心血管疾患、血栓症など生命に影響する重大な合併症を発生する。そうした合併症は、高齢者や脳心血管疾患・悪性疾患など基礎疾患を有する症例で多い。ゆえに、そうした症例における合併症発生予防に細心の注意を払う必要がある。中国では高血圧症例でCOVID-19症例の予後が不良であることが報告された1)。SARS-CoV-2ウイルスの細胞内侵入にはangiotensin converting enzyme 2(ACE2)が重要な役割を果たす。このため、renin-angiotensin系に影響する降圧薬ACE inhibitor(ACEi)やangiotensin II receptor blocker(ARB)がACE2発現に影響し、ウイルス侵入を増悪させることが懸念されていた。しかし、懸念はあくまで仮説であり、3月13日発表の欧州高血圧学会Position Statement of the ESC Council on Hypertension on ACE-Inhibitors and Angiotensin Receptor Blockersでは、同危険性の十分な根拠がないため両降圧薬のむやみな中止・変更は控えるように推奨された。今回の知見 2019年12月から2020年3月の期間で、欧州、北米、アジアで計169の病院にCOVID-19で入院した8,910例を対象とした多施設共同登録研究が実施された2)。#COVID-19の診断:咽頭ぬぐい液のPCR検査で感染を診断#解析方法:入院後転帰の院内死亡例と生存例で降圧薬処方内容を含む臨床背景を比較#結果とコメント:生存例(8,395例、平均年齢49歳)、院内死亡例(515例、平均年齢56歳)であり、院内死亡例は高齢で男性が有意に多かった。また、これまでの報告と同様、院内死亡例で冠動脈疾患、心不全、不整脈(心疾患の院内死亡のODDS比は約2倍)、糖尿病、脂質異常症、慢性閉塞性肺疾患(院内死亡のODDS比は約3倍)、現在喫煙の合併比率が有意に高かった(脳卒中に関しては評価されていない)。本検討では、高血圧合併頻度は生存例(2,216/8,395例:26.4%)と院内死亡例(130/515例:25.2%)で有意な差を示さなかった。これは上述の中国の報告1)と異なる結果である。そしてACEiおよびARBの処方率は、生存例{ACEi(754/8,395例:9%)、ARB(518/8,395例:6.2%)}、院内死亡例{ACEi(16/515例:3.1%)、ARB(38/515例:7.4%)}であり、ARB処方頻度は両群に差はなく、ACEiはむしろ生存例での処方頻度が高かった。 本試験は、短期間の登録研究であり、すでにCOVID-19の症例である。ゆえに、COVID-19がすでに診断されている症例では、感染に関連する病態増悪を懸念してACEi・ARBの他の降圧薬への変更は必要ないことが支持される。同様の結果はイタリアからも報告されている3)。今回の研究では、ACEiおよびARBのCOVID-19の易感染性については検証されていない。しかし、同イタリアの研究では両降圧薬が易感染性にも影響しない可能性を報告している3)。 中国と欧米では蔓延するSARS-CoV-2ウイルスの亜型が異なる。この差異が高血圧合併の感染性への影響に関連した可能性は否定できない。ゆえに、今後、武漢株での感染例においても高血圧合併の有無および降圧薬の予後への影響について検証する必要がある。追記:ACE2について SARS-CoV-2ウイルスは細胞表面の受容体ACE2を介して細胞内に取り込まれる。ACE2は、膜内存在性蛋白で気管支、肺、心臓、腎臓、消化器等の多くの組織に発現している。ACE2はACE(angiotensin Iからangiotensin IIへ変換する酵素)と構造が類似しているが、別の作用を有し、angiotensin IIからangiotensin-(1-7)への変換を行う。このangiotensin 1-7は降圧や心血管保護作用を有すると考えられている。

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COVID-19の流行による性生活の変化

 トルコ・Esenler Maternity and Children's HospitalのBahar Yuksel氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行がトルコ人女性の性行動にどのように影響するのかを評価するため、COVID-19流行前に行われた研究データと流行中のデータを用いて観察研究を行った。その結果、性的欲求と性交頻度はCOVID-19流行中に大幅に増加したが、性生活の質は大幅に低下したことが明らかになった。さらに、COVID-19の流行は妊娠に対する欲求の減少、女性の避妊低下、および月経不順の増加に関連することが示された。International Journal of Gynecology & Obstetrics誌オンライン版5月11日号掲載の報告。 2020年5月13日時点、トルコの感染者数は14万1,475人、死者数は3,894人と感染者は世界で9番目に多い。 研究者らは性交の頻度、妊娠の欲求、女性の性機能指数(FSFI:Female Sexual Function Index)、避妊法、月経不順について、COVID-19流行中と流行6〜12ヵ月前とを比較した。 主な結果は以下のとおり。・性交の平均頻度について、流行中と流行前で比較したところ、流行中に大幅に増加した(2.4 vs.1.9、p=0.001)。・流行前は19人(32.7%)が妊娠を望んでいたが、流行中は3人(5.1%)に減少した(p=0.001)。・一方、流行前と比べ、流行中の避妊具などの使用は有意に減少した(24 vs.10、p=0.004)。・月経不順は流行前よりも流行中で多くみられた(27.6% vs.12.1%、p=0.008)。・FSFIを流行前と流行中とで比較したところ、 流行前のほうが有意に高かった(20.52 vs.17.56、p=0.001)。

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