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検証 NSCLCにおけるニボルマブの適正投与期間(CheckMate-153)/ESMO2017

 PD-1/PD-L1阻害薬の適正な治療期間は明らかになっておらず、今後の重要な問題である。スペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017)において、米国Sarah Cannon Research Institute/Tennessee OncologyのDavid Spigel氏が、PD-1/PD-L1阻害薬の治療期間を評価する初めての無作為化試験であるCheckMate-153試験の結果を発表した。 CheckMate-153試験は、既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)で、ニボルマブの治療(3mg/kg 2週ごと)を1年間継続した患者を、同剤の治療を継続するcontinuous nivolumab群(治療継続群)と、同剤の治療を1年間で中止するstop nivolumab群(ストップ群)に無作為に割り付け、臨床効果と安全性を評価した。主要評価項目は、Grade3~5の治療関連有害事象。探索的評価項目は、治療継続群とストップ群の安全性と有効性である。 1,245例が試験に登録され、ニボルマブの治療が1年間継続されている220例が無作為割り付けの対象となった。そのうち病勢コントロール(CR、PR、SD)されていた治療継続群76例とストップ群87例で有効性評価が行われた。両群の患者背景は同等で、患者の4分の1は3つ以上の前治療がある重度治療集団であった。 データカットオフ時(2017年5月15日)の追跡期間は、最短10.0ヵ月、最長14.9ヵ月であった。無作為割り付け後1年の無増悪生存(PFS)率は、治療継続群65%、ストップ群40%と、治療継続群で高かった(HR:0.42、95%CI:0.25~0.71)。PFSサブグループ解析においても、ほとんどの項目で治療継続群が優位であった。全生存期間については、治療継続群は未到達、ストップ群は23.2ヵ月と、統計学的有意には至らなかったものの、治療継続群で優れた傾向にあった(HR:0.63、95%CI:0.33~1.20)。今後の追跡結果が待たれるところである。 ストップ群ではPD後、ニボルマブによる再治療が認められているが、同群87例中49%(43例)がPDとなり、このうちの79%(34例)がニボルマブによる再治療を選択している。 安全性については、全Grade、重症Grade共に、治療継続群でわずかに頻度が高かった。治療関連死は両群共に認められていない。 Discussantであるドイツ Lungen Clinic Grasshausdorf Airway research CenterのMartin Reck氏は、「本試験は有効性を探索的評価項目としているが、PD-1/PD-L1阻害薬の適正な治療期間は重大な臨床的疑問である。今後橋渡し研究を進めると共に、有効性を主要評価項目とした、適切な統計パワーと患者数および統計デザインによる医師主導前向きランダム化試験が必要である」と述べた。■参考CheckMate-153試験(Clinical Trials.gov)

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第2世代ALK-TKI既治療のNSCLCにおけるlorlatinibの成績/ESMO2017

 ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)では、クリゾチニブによる1次治療で耐性獲得後、セリチニブ、アレクチニブ、brigatinibといった第2世代ALK-TKIが用いられる。この間、患者は臨床的恩恵を受けることができるが、ほとんどの場合、耐性を発症してしまう。lorlatinibは、脳への移行性を示す、次世代ALK-TKIであり、第1世代、第2世代TKIの耐性変異に対して活性がある。スペイン・マドリードにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017)では、第2世代TKIの治療歴を有するALK陽性NSCLCおけるlorlatinibの抗腫瘍活性および安全性について、スペイン Vall d’Hebron Institute of OncologyのE. Felip Fon氏らが発表した。 この第II相試験は、6つの拡大コホート(EXP1~6)で行われ、ALK陽性NSCLCはEXP1~5で評価された(EXP6はROS1陽性)。今回の発表は、EXP3B(クリゾチニブ以外のALK-TKI治療歴が1ライン)、EXP4(ALK-TKI治療歴が2ライン)、EXP4(ALK-TKI治療歴が3ライン)の3コホートの解析である。主要評価項目は、独立評価委員会(IRC)による客観的奏効率(ORR)と頭蓋内ORR(IC ORR)であった。 データカットオフ時点で、138例が第2世代TKI(アレクチニブ、セリニチブ、brigatinibまたはその他)による治療を1回以上受けていた。これらのうち95例はベースライン時に中枢神経転移を有していた。 第2世代TKI治療を1回以上受けた患者のORRは37.7%、IC ORRは47.4%であった。第2世代薬剤別にみたORR、IC ORRは、アレクチニブ既治療患者ではそれぞれ、35.1%と44.4%、セリチニブ既治療患者では34.2%と45.0%、brigatinib既治療患者では46.2%と46.4%であった。 EXP3、EXP4およびEXP5コホートにおける一般的な治療関連有害事象(TRAE)は、高コレステロール血症(EXP3、EXP4、EXP5でそれぞれ83.3%、78.5%、80.4%)および高トリグリセライド血症(同48.3%、69.2%、65.2%)。その多くはGrade1~2で、標準的な治療で管理可能であった。治療関連死は認められていない。■関連記事第3世代ALK阻害薬lorlatinibの成績発表/ASCO2017次世代ALK/ROS1阻害剤lorlatinib、ALK肺がんでFDAのブレークスルー・セラピー指定

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durvalumab維持療法、Stage III肺がんのPFSを有意に改善(PACIFIC)/ESMO2017

 切除不能な局所進行Stage III肺がんに対するdurvalumab維持療法が、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善。抗PD-L1抗体durvalumabの第III相PACIFIC試験の最新の結果を2017年9月9日、スペイン・マドリードで行われた欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017)でスペインHospital Universitario de OctubreのLuis Paz-Ares氏が発表した。 PACIFIC試験は、プラチナベース化学療法と放射線の同時併用療法後に進行が認められないStage IIIのNSCLC患者において、抗PD-L1抗体durvalumab維持治療を標準療法と比較する第III相試験である。 NSCLCと診断される患者の3分の1はStage IIIである。PS良好なStage III NSCLCの標準治療は、プラチナ併用療法を用いたCCRTであるが、CCRT開始からのPFS中央値は8~10ヵ月、5年生存率は15%程度で良好な成績とはいえず、新たな治療が望まれていた。 PACIFIC試験では、切除不能な局所進行(Stage III)NSCLCと診断され、2サイクル以上のプラチナ・ベースのCCRT後に病勢進行が認められない患者を対象とし、CCRT後42日間に、durvalumab(10mg/kg、2週ごと最大12ヵ月投与)群とプラセボ群に2:1の割合で無作為に割り付けを行った。患者はPD-L1発現状況にかかわらずに登録された。 主要評価項目は、盲検化独立判定委員会評価のPFSと全生存期間(OS)。副次評価項目は奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性などであった。本試験は、Stage III NSCLC患者に対する免疫チェックポイント阻害薬の効果を評価した初めての第III相試験である。 2014年5月~2016年4月に713例が登録され、durvalumab群に473例、プラセボ群に236例が割り付けられた。患者背景には大きな偏りはなかった。PD-L1発現25%未満は、durvalumab群とプラセボ群でそれぞれ、39.3%と44.3%。発現25%以上は24.2%と18.6%、不明は36.6%と37.1%であった。 今回の発表は、追跡期間14.5ヵ月(データカットオフ2017年2月13日)におけるPFSの中間解析の結果である。主要評価項目のPFSは、durvalumab群16.8ヵ月(13.0~18.1)、プラセボ群5.6ヵ月(4.6~7.8)と、durvalumab群で有意なPFSの延長が認められた(HR:0.52、95%CI:0.42~0.65、p<0.0001)。PFSのサブグループ解析では、EGFR変異陽性または不明のサブグループを除き、durvalumab群が一貫して優位であった。また、いずれのPD-L1発現状況(25%未満、25%以上、不明)においても、durvalumab群が優位であることが示された。 副次評価項目であるORRは、durvalumab群28.4%、プラセボ群16.0%と、durvalumab群で有意な改善がみられた(p<0.001)。DORは、durvalumab群では未到達、プラセボ群は13.8ヵ月と、durvalumab群で延長が認められた(HR:0.43、95%CI:0.22~0.84)。遠隔転移または死亡までの期間は、durvalumab群23.2ヵ月(23.2~未到達)、プラセボ群14.6ヵ月(10.6~18.6)と、durvalumab群で有意に延長していた(HR:0.52、95%CI:0.39~0.69、p<0.0001)。なお、OSについては、解析に十分なイベントが発生していなかった。 durvalumab群の安全性プロファイルは、進行NSCLCに対する単剤療法の場合と同様であり、本試験で新たな有害事象(AE)の発現は認められなかった。Grade 3/4のAE発現頻度はdurvalumab群で29.9%、プラセボ群で26.1%であり、AEによる治療中止はdurvalumab群15.4%、プラセボ群9.8%であった。Grade 3/4の肺臓炎または放射線肺臓炎の発現頻度はdurvalumab群で3.4%、プラセボ群で2.6%であり、これらによる死亡は、それぞれ1.1%と1.7%であった。 以上の結果より、「durvalumabはIII期NSCLC患者に対するCCRT後の治療オプションとして有望である」とPaz-Ares氏は述べた。 この結果は、同時にNew England Journal of Medicine誌に掲載された。■参考ESMO2017プレスリリースAntonia SJ, et al.N Engl J Med. 2017 Sep 8.[Epub ahead of print]PACIFIC試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ステージ3切除不能肺がん、durvalumab維持療法が良好な結果:PACIFIC試験

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がんリスクが低い血液型は?

 ABO式血液型は遺伝的な特性である。今回、ABO式血液型と、がん全体および各がんにおける発症リスクの関連について、米国・ピッツバーグ大学のJoyce Yongxu Huang氏らが上海コホート研究で調査し、PLOS ONE誌2017年9月7日号に報告した。 本研究は、1986年に登録された中国人男性1万8,244人の前向きコホート研究である。25年のフォローアップ期間中に3,973人ががんを発症した(肺がん964人、大腸がん624人、胃がん560人、肝臓がん353人、膀胱がん172人など)。Cox比例ハザードモデルを使用して、ABO式血液型によるがん全体および各がんのハザード比(HR)を計算した。 主な結果は以下のとおり。・B型はA型と比べてがん全体のリスクが有意に低かった(HR:0.91、95%CI:0.84~0.99)。・B型とAB型はそれぞれ、消化器がんと大腸がんのリスクが有意に低かった。・B型はまた、胃がんリスクと膀胱がんリスクも有意に低かった。・AB型は、肝臓がんリスクが有意に高かった。・組織型別にみると、B型とAB型は、扁平上皮がんと腺がんのリスクが低かったが、肉腫、リンパ腫、白血病またはその他の細胞型のがんリスクとは関連していなかった。

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動脈硬化へのカナキヌマブ、がん発症への影響は/Lancet

 インターロイキン‐1β(IL-1β)抗体カナキヌマブを、心筋梗塞歴があり、高感度CRP(hsCRP)値が2mg/L以上のアテローム性動脈硬化症患者に投与することで、肺がん発症リスクと同死亡リスクが有意に低下する可能性が示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul M. Ridker氏らが、カナキヌマブの血管イベント再発抑制に関する無作為化二重盲検プラセボ対照試験「CANTOS試験」の、事前に規定していた2次(探索的)解析を行い明らかにした。Lancet誌オンライン版2017年8月25日号掲載の報告。1万例超を中央値3.7年で追跡 研究グループは、心筋梗塞歴があり、hsCRP値が2mg/L以上のアテローム性動脈硬化症患者で、がんの診断を受けたことがない1万61例を対象に試験を行った。 用量依存的な有効性を評価するため、被験者を4群に分け、カナキヌマブ50mg、150mg、300mg、プラセボをそれぞれ3ヵ月ごとに皮下投与した。追跡期間の中央値は3.7年だった。 2次解析のエンドポイントは、がん発症・死亡で、カナキヌマブ投与の割り付けをマスクされたがんエンドポイント委員会が判定を行った。解析はintention to treatにて行った。カナキヌマブ300mg群でがん死亡0.49倍、肺がん死亡0.23倍 ベースラインのhsCRP値とインターロイキン-6値の中央値は、追跡期間中に肺がんを発症した患者でいずれも高かった。どのがんも発症しなかった患者との比較で、それぞれ6.0 vs.4.2mg/L、3.2 vs.2.6ng/Lだった(いずれもp<0.0001)。 カナキヌマブ投与により、追跡期間中のhsCRP値とインターロイキン-6値には用量依存的抑制効果が認められ、それぞれ26~41%、25~43%の低下がみられた(すべての比較についてp<0.0001)。 がんによる死亡は全体で196例であり、カナキヌマブ投与プール群がプラセボ群に比べ有意に少なかった(傾向のp=0.0007)。カナキヌマブ投与量別にみると、300mg群でのみプラセボ群に比べがん死亡率が有意に低率だった(ハザード比[HR]:0.49、95%信頼区間[CI]:0.31~0.75、p=0.0009)。 肺がんを発症したのは129例だった。同発症率は、150mg群と300mg群でプラセボ群に比べ有意に低かった(HRは150mg群:0.61[95%CI:0.39~0.97、p=0.034]、300mg群:0.33[95%CI:0.18~0.59、p<0.0001]、また傾向のp<0.0001)。 肺がん死亡率は、300mg群ではプラセボ群に比べ大幅に低く、HRは0.23(95%CI:0.10~0.54、p=0.0002)で、カナキヌマブ投与群全体でも有意に低かった(傾向のp=0.0002)。 致死的感染症や敗血症は、カナキヌマブ群でプラセボ群に比べ高率だった。全死因死亡率は、両群で同等だった(HR:0.94、95%CI:0.83~1.06、p=0.31)。 これらの結果を踏まえて著者は、「肺がんは事前に規定した正式なエンドポイントではなかったが、発症および死亡が有意に低下する可能性が示された。これらのデータが、正式ながんスクリーニングや治療設定の下でも示されるかを調べる必要がある」とまとめている。

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ALK阻害剤のコンパニオン診断薬発売/ロシュ・ダイアグノスティックス

 ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長 兼 CEO:小笠原 信)は、非小細胞肺がん患者のうち、ALK陽性患者の判定補助に用いる体外診断用医薬品「ベンタナ OptiView ALK (D5F3)」を2017年9月15日に発売する。 「ベンタナ OptiView ALK (D5F3)」は、ALK阻害剤のうち、クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)およびセリチニブのコンパニオン診断薬として、治療効果が見込めるALK陽性非小細胞肺がん患者の判定補助に用いる。免疫組織化学(IHC)法を測定原理とし、ベンタナ シリーズの全自動免疫染色装置を用いて検出を行う。 全自動染色のため煩雑な手技が必要なく、光学顕微鏡による確認ができるため、院内検査に取り入れやすく、効率的かつ迅速な検査が期待できるという。保険点数は2,700点。■参考ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社プレスリリース

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HR0.46、オシメルチニブが1次治療で標準治療を上回る(FLAURA)/ESMO2017

 EGFR変異陽性進行NSCLCの1次治療として、第1世代EGFR-TKIによる標準治療に比べ、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が病勢増悪および死亡のリスクを54%減少させた。第Ⅲ相ランダム化比較試験FLAURAの結果に基づき、米国Winship Cancer Institute of Emory UniversityのSuresh Ramalingam氏がスペイン・マドリードにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017)のPresidential Symposiumで報告した。 EGFR変異陽性進行NSCLCの1次治療は、ゲフィチニブやエルロチニブの第1世代EGFR-TKIが標準治療として推奨されているが、半数以上の患者はT790M変異による獲得耐性を生じる。オシメルチニブはEGFR変異およびT790M耐性変異の両方を阻害し、中枢神経系(CNS)転移に対する臨床活性を発揮する第3世代EGFR-TKIである。 FLAURA試験では、WHO PS 0~1、Del19またはL858RのEGFR遺伝子変異を有する未治療の局所進行または転移性NSCLC患者を対象とし、オシメルチニブ(80mg、1日1回内服)群および標準治療群(ゲフィチニブ250mg、1日1回内服またはエルロチニブ150mg、1日1回内服)に1:1の割合で無作為に割り付けた。層別化因子は、遺伝子変異のタイプ(Del19/L858R)および人種(アジア人/非アジア人)である。いずれの治療群でも病勢増悪が認められるまで治療を継続し、6週ごとにRECIST 1.1基準による評価を行った。標準治療群の患者では、病勢増悪およびT790M陽性が確認された場合、オシメルチニブへのクロスオーバー投与が許容された。主要評価項目は治験担当医師評価による無増悪生存期間(PFS)で、副次評価項目は奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、安全性などであった。 アジア、欧州、および北米より556例が登録され、オシメルチニブ群に279例、標準治療群に277例が割り付けられた。患者背景は両群でバランスがとれており、62%がアジア人、遺伝子変異タイプはDel19が63%、登録時にCNS転移を伴う症例はオシメルチニブ群で19%、標準治療群で23%であった。今回は、データカットオフ2017年6月12日の解析結果が報告された。 主要評価項目のPFS中央値は、オシメルチニブ群が18.9ヵ月(95%CI: 15.2~21.4)、標準治療群が10.2ヵ月(95%CI: 9.6~11.1)であり、ハザード比0.46(95%CI: 0.37~0.57、p<0.0001)と有意なPFS延長が示された。両治療群のカプランマイヤー曲線は治療開始直後から大きく乖離していた。 登録時にCNS転移を合併していた患者(116例)におけるPFS解析では、オシメルチニブ群の標準治療群に対するハザード比は0.47(95%CI: 0.30~0.74、p=0.0009)であり、CNS転移を合併していなかった患者(440例)におけるハザード比0.46(95%CI: 0.36~0.59、p<0.0001)と同等のPFSに対する改善効果が示された。 ORRはオシメルチニブ群が80%、標準治療群が76%(オッズ比1.28)であった。DOR中央値はオシメルチニブ群17.2ヵ月、標準治療群8.5ヵ月と、オシメルチニブ群で約2倍に延長していた。OS解析にはまた十分なイベントが起こっておらず、両治療群ともに生存期間中央値には未到達であったが、中間解析のハザード比は0.63(95%CI: 0.45~0.88)とオシメルチニブ群におけるOS延長傾向が認められた。 オシメルチニブ群における安全性プロファイルは、標準治療群とほぼ同等であったが、オシメルチニブ群のほうがGrade 3以上の有害事象の発現頻度が低く、治療中止に至る患者の割合も低かった。 以上の結果から、Ramalingam氏は「オシメルチニブはEGFR変異陽性の進行NSCLC患者に対する新しい標準治療となる」との結論を述べた。■参考ESMO2017プレスリリースFLAURA試験(Clinical Trials.gov)■関連記事EGFR変異陽性NSCLC1次治療薬としてのオシメルチニブの評価/JCOオシメルチニブ、肺がんFLAURA試験の主要評価項目を達成

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EGFR変異陽性NSCLC1次治療薬としてのオシメルチニブの評価/JCO

 オシメルチニブは、Exon19、21といったEGFR遺伝子変異EFGR遺伝子変異と共にT790M変異に対する強力な阻害薬である。AURA試験に含まれる2つの未治療患者のコホートからEGFR変異型進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する初回治療としてのオシメルチニブの臨床活性と安全性を検討した研究結果が発表された。 この研究では未治療の局所進行または転移性EGFR変異陽性NSCLC患者60例が、オシメルチニブ80mg/日または160mg/日投与を受けた(各コホート30例)。評価項目は、治験担当医評価の客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、および安全性であった。また、オシメルチニブの耐性機構を調べるため、患者がPDとなった時点あるいは後に血漿サンプルを収集した。 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ(2016年11月1日)の追跡期間中央値は19.1ヵ月であった。・ORRは、80mg群67%、160mg群87%、全体では77%であった。・PFSは、80 mg群22.1ヵ月(13.7~30.2)、160㎎群19.3ヵ月(13.7~26.0)、全体では20.5ヵ月(15.0~26.1)であった。・血漿サンプル採取38例のうち、50%は血中循環腫瘍DNAが検出不可能であった。・19例中9例は、MET増幅(n=1)、EGFRおよびKRAS増幅(n=1)、MEK1、KRAS、またはPIK3CA変異(それぞれn=1)、EGFR C797S変異(n=2)、JAK2変異(n=1)、HER2 exon20挿入変異(n=1)を含む推定抵抗性機構を有していた。・EGFR T790Mの獲得は検出されなかった。 オシメルチニブは、未治療のEGFR変異進行NSCLC患者において、高いORRと長いPFSを示した。

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心血管イベント抑制薬、肺がん発症も抑制/ESC2017

 IL-1βは炎症性アテローム性動脈硬化症の継続的な進行に関与することで知られているが、がんの微小環境においても、その増殖や転移に関与しているという仮説がある。そのような中、IL-1β阻害薬canakinumab(ACZ885)が、炎症を軽減することによって心血管疾患および肺がんリスクのリスクを低下させるという、最新の試験結果が2017年8月27日、ESC(欧州心臓病学会)2017で発表された。 これは、炎症性アテローム性動脈硬化症患者における、canakinumabの第III相試験CANTOS(Canakinumab Anti-inflammatory Thrombosis Outcomes Study)の探索的研究の結果である。CANTOSは、心筋梗塞の既往があり、がんの診断歴がなく、炎症マーカー高感度であるC反応性蛋白(hsCRP)が2mg/L以上のアテローム性動脈硬化症患者1万61例において、canakinumabによる心血管イベント抑制を評価した無作為比較試験。患者は、プラセボまたは3用量(50mg、150mg、300mg)のcanakinumabに無作為に割り付けられ、探索的研究では、がんの発症について追跡調査された。 3.7年の追跡期間中、canakinumabはプラセボと比較して、hsCRPの濃度を26~41%、IL-6の濃度を25~43%、用量依存的に減少した(いずれもp<0.0001)。全がん発症率はcanakinumab群とプラセボ群で有意差はなかった(p=0.31)。全がん死亡率は、canakinumab群でプラセボ群よりも有意に低かった(p=0.0007)。用量別にみると300mg群でプラセボ群に比べ有意であった(HR:0.49、95%CI:0.31~0.75、p=0.0009)。また、肺がん発症率は、プラセボ群に対し300mg群(HR:0.33、95%CI:0.18~0.59、p<0.0001)および150mg群(HR:0.61、95%CI:0.39~0.97、p=0.034)で有意な低下が見られた。肺がん死亡率は、プラセボ群に対し300mg群で有意に低下した(HR:0.23、95%CI:0.10~0.54、p=0.0002)。 ノバルティスは、canakinumabがIL-1βを標的とするがん免疫療法としての可能性を示したとし、規制当局と肺がんに対する仮説についての議論を行い、追加の第III相試験の実施を検討する予定。この結果は発表と同時にLancet誌にも掲載されている。■参考ECSプレスリリースノバルティス株式会社メディアリリースRidker, PM, et al.Lancet. 2017 Aug 25. [Epub ahead of print]CANTOS(Clinical Trials.gov)

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Dr.大山のがんレク!すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義(上巻)

第1回 がん総論 第2回 肺がん 第3回 乳がん 第4回 胃がん 第5回 大腸がん 第6回 副作用&合併症マネジメント がん化学療法が一般的な治療となり、一般内科でもがん患者を診る機会が多くなりました。この番組では、がん種ごとに、基本的知識、ステージ、主な治療法、化学療法とその副作用をコンパクトに解説。上下巻11種のがんのうち、上巻では4つのがんと、がん医療用語などをまとめた総論、副作用&合併症マネジメントを収録。すべての医療者が自信を持ってがん患者と向き合えるための知識を、腫瘍内科 大山優先生がレクチャーします!第1回 がん総論 「2人に1人はがんになる」時代。すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義「がんレク!」第1回はその基本中の基本である「がん総論」。がん治療で使用される用語や指標、治療方法とその進め方をコンパクトに解説。さらに、注目を集める免疫療法をはじめ、医療のプロとして今必ず知っておくべきがんにまつわる知識をまとめました。第2回 肺がん 第2回は男性のがん死因1位であり、一般内科医でも遭遇する機会の多い肺がんのレクチャーです。肺がんの予後を劇的に改善した分子標的薬や、ニボルマブが注目を集める免疫チェックポイント阻害薬など、一般内科医でもこれだけは知っておきたい知識がこの番組を見るだけで得られます。肺がんの基本的知識、治療薬、副作用をコンパクトに解説します。第3回 乳がん 今回は女性が最も多く罹患する乳がんについて解説します。患者数が多いため、一般内科医でも診る機会が多いがんの1つです。サブタイプ分類による個別化医療が進んでいることも乳がんの特徴です。ホルモン感受性の有無、HER2の発現状況、増殖のしやすさなどによって選択されるそれぞれの治療法をコンパクトにレクチャーします。期待されるホルモン療法と分子標的薬は是非チェックしてください。第4回 胃がん罹患率が大腸がんに次ぎ第2位の胃がん。内視鏡検査で早期発見されることも多く、外科的切除による治癒率も比較的高いがんです。また、化学療法にも感受性で、さらにHER陽性にはベバシズマブなど分子標的薬による治療が有効です。また免疫チェックポイント阻害薬も開発中であり、さらなる個別化医療が期待されています!一方、胃切除後の合併症等には注意が必要です。がん患者の治療中・治療後のフォローを解説します。第5回 大腸がん 罹患率第1位の大腸がん。一般内科でも診る機会の多い大腸がんは、化学療法感受性で、分子標的薬による治療、サブタイプによる個別化治療も進んでいるがんです。抗がん剤はどのように選択されるのか、患者の全身状態やがんの性質によって処方が異なる、がん化学療法の基本的な考え方をお教えします。第6回 副作用&合併症マネジメント 外来による抗がん剤治療が普及し、一般内科でも抗がん剤を使用中の患者に遭遇する機会が増えました。すなわち、抗がん剤には必発であるさまざまな副作用を、一般内科医も診なければならないということです。第6回では典型的副作用の発現時期や、それらの治療、がんの合併症について解説します。がん患者の容態悪化、Oncologic Emergencyは経過観察ができません。それらに対応できるよう、この機会にぜひ勉強してください。

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口腔がんになりやすい職業

 フィンランド・ヘルシンキ大学のLaura Tarvainen氏らが、舌・口腔(oral cavity)・咽頭がんにおける職業別リスクについて、飲酒・喫煙を調整し評価したところ、歯科医師などいくつかの職業で舌がんの相対リスクが高いことがわかった。著者らは、職業的な化学物質への曝露、飲酒や喫煙の増加、ヒトパピローマウイルス感染が関連する可能性を示唆している。Anticancer research誌2017年6月号に掲載。 著者らは、1961~2005 年における北欧諸国の1,490万人と、舌・口腔・咽頭がん2万8,623例のデータを調査。職業別の飲酒については肝硬変による死亡率と肝臓がん発症率に基づいて推定し、職業別の喫煙については肺がん発症率に基づいて推定した。 飲酒・喫煙について調整後、舌・口腔・咽頭がんの相対リスクが1.5を超えた職業は、歯科医師、芸術系職、美容師、ジャーナリスト、司厨、船員、ウエイターなどであった。

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170)中性脂肪の代謝を阻害する“喫煙”【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者今日は朝食を食べて採血をしました。医師なるほど。中性脂肪が300mg/dLと驚くほど上昇していますね。空腹時は150mg/dL前後なのですが…。患者中性脂肪って食事で動くんですね。医師そうですね。食事で大きく変動します。食後の中性脂肪が高いと心筋梗塞になりやすいと言われています。患者どうやったら、中性脂肪を下げることができますか?医師食事をすると中性脂肪が上がりますが、血管の内側で中性脂肪は代謝されます。でも、その機能を落としてしまうのが「タバコ」です。患者やっぱり、タバコですか。肺がん以外にもいろいろと悪さをするんですね。明日から禁煙、いえ今日から禁煙準備を始めます。●ポイントすぐに禁煙に取り組む自信がない人には禁煙準備(例:灰皿の整理、カートン 買いを止めるなど)から始めてもらいます1)Staniak HL, et al. Atherosclerosis. 2014;233:381-386.2)Kabagambe EK, et al. Atherosclerosis. 2009;203:633-639.

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肺がん再生検、実施状況や成功率は?―会員医師によるアンケート結果 第4回【肺がんインタビュー】

第3世代EGFR-TKIオシメルチニブが登場し、再生検によりT790M変異の有無を確認することが重要となっています。2017年7月には血漿検査が保険適用されましたが、組織検査が実施困難な場合に限られ、患者1人あたり算定は1回という条件が設けられるなど、依然として多くの症例で適時組織検査を実施しながら、治療方針を決定していくことが求められています。手技そのものを含め、採取部位や生検方法の選択など、「難しい」といわれることも多い再生検について、ケアネット会員の医師を対象に、自施設での実施状況や成功率についてうかがいました。結果概要がん診療連携拠点病院以外の施設では、再生検成功率20%未満が最も多い再生検できない理由は「再生検困難な部位」「PS不良」「患者拒否」がん診療連携拠点病院以外では「設備や技術的な問題」も理由に再生検のタイミングは「次の治療が必要になったとき」が60%強生検部位:再生検では転移巣が増加生検手技:再生検で減る気管支鏡、増える経皮的生検調査概要実施日時2017年6月1日、6月16日形式webアンケート対象ケアネット・ドットコム会員医師のうち呼吸器内科、呼吸器外科、腫瘍科回答数各回100名

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がん発症後、動脈血栓塞栓症リスクが2倍以上に

 がん患者の動脈血栓塞栓症リスクの疫学的な関連をより明確にするため、がんステージの影響を含めて、米国Weill Cornell MedicineのBabak B. Navi氏らが検討したところ、新規がん発症患者において、動脈血栓塞栓症リスクが短期的に大幅な増加を示すことがわかった。Journal of the American College of Cardiology誌2017年8月22日号に掲載。 本研究では、Surveillance Epidemiology and End Results-Medicareにリンクしたデータベースを用いて、2002~11年に新規に、乳がん、肺がん、前立腺がん、大腸がん、膀胱がん、膵臓がん、胃がん、非ホジキンリンパ腫と診断された患者を同定した。がんではないメディケア登録者と人口動態および併存疾患でマッチさせ、それぞれのペアを2012年まで追跡した。また、診断コードを用いて、心筋梗塞または虚血性脳卒中として定義された動脈血栓塞栓症を同定した。さらに、競合リスク生存率統計を用いて累積発症率を算出し、グループ間の比較にはCoxハザード分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・がん患者とマッチさせた対照患者27万9,719ペアを同定した。・動脈血栓塞栓症の6ヵ月累積発症率は、対照患者の2.2%(95%信頼区間[CI]:2.1~2.2%)と比べ、がん患者では4.7%(95%CI:4.6~4.8%)であった(ハザード比[HR]:2.2、95%CI:2.1~2.3)。・心筋梗塞の6ヵ月累積発症率は、 対照患者の0.7%(95%CI:0.6~0.7%)と比べ、がん患者では2.0%(95%CI:1.9~2.0%)であった(HR:2.9、95%CI:2.8~3.1)。・虚血性脳卒中の6ヵ月累積発症率は、対照患者の1.6%(95%CI:1.6~1.7%)に比べ、がん患者では3.0%(95%CI:2.9~3.1%)であった(HR:1.9、95%CI:1.8~2.0)。・過剰リスクはがん種によって異なり(肺がんで最大)、がんのステージと相関し、概して1年で解消した。

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ROS1肺がん治療薬と診断薬の承認にLC-SCRUM-Japanの研究成果

 国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、東京都中央区)は2017年8月18日、同センター東病院での多施設共同研究全国肺がん遺伝子診断ネットワークLC-SCRUM-Japan(研究代表者:同東病院、呼吸器内科長後藤功一氏)の成果および治療開発への貢献により、ROS1融合遺伝子陽性の切除不能進行・再発非小細胞肺がん(ROS1肺がん)に対する治療薬として、分子標的薬クリゾチニブの適応拡大が承認されたと発表。あわせて、ROS1融合遺伝子検出の体外診断用医薬品(ROS1融合遺伝子検出キット)が、この治療におけるコンパニオン診断薬として承認された。 LC-SCRUM-Japanには全国240以上の診療施設が参加し、4,000例を超える肺がん患者の遺伝子スクリーニングが行われた。2013年9月から開始されたROS1肺がんに対するクリゾチニブの承認申請のための臨床試験には、LC-SCRUM-Japanの遺伝子スクリーニングで発見されたROS1肺がん患者が多数登録され、またその診断薬の開発には、これまでの遺伝子スクリーニングのデータが活用された。ROS1肺がんは非小細胞肺がんの1~2%という希少ながんにも関わらず、臨床試験の開始から4年で治療薬、および診断薬の承認に至ったことには、LC-SCRUM-Japan参加全施設が協力して行った大規模な遺伝子スクリーニングが大きく貢献した、としている。 この試験結果をもとに、わが国では、2017年5月にROS1肺がんに対する治療薬としてクリゾチニブの適応拡大が承認された。あわせて、ROS1融合遺伝子検出のための体外診断用医薬品OncoGuide AmoyDx ROS1融合遺伝子検出キットが、ROS1肺がんに対するクリゾチニブ治療のコンパニオン診断薬として承認された。■参考国立がん研究センタープレスリリース

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抗PD-1/PD-L1抗体治療で白髪もよみがえる?

 スペインの研究グループが、抗PD-1/PD-L1抗体による皮膚有害事象の研究中に毛髪再色素化の現象を発見し、JAMA Dermatology誌2017年7月12日号で報告した。免疫チェックポイント阻害薬による発疹、白斑、そう痒症などの皮膚関連事象発生は報告されているが、毛髪再色素化の報告は初めて。また、メラノーマ治療で報告されている皮膚や毛髪の脱色(白斑様)とは相反する作用である。 スペインUniversitari Germans Trias i Pujol病院のNaelia Rivera氏らの報告によれば、抗PD-1/PD-L1抗体の前向き試験に登録された、肺がん患者52例中、14例(男性13例、女性1例、平均年齢64.9歳)で、以前の髪色への再色素化が確認された。この再色素化は、びまん性の色素化、あるいは白髪中への黒斑として現れている。また、同有害事象の発現患者では、14例中13例がPRかSDと、良好な臨床効果を示して治療継続されていることから、同有害事象が良好な反応の指標である可能性も示唆している。14例の免疫チェックポイント阻害薬の内訳は、ニボルマブ12例、ペムブロリズマブ1例、atezolizumab1例である。 しかし、同試験は進行中であり、統計的な分析も行われていない。毛髪再色素化については、患者の古い写真とフォローアップ中に撮った最近の写真を比較することによって観察しているが、ヘアカラーによる髪染めにまつわる適切な質問が行われていない点などを指摘する懐疑的な研究者もいるようである。

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非小細胞肺がん化学放射線同時併用療法(CCRT)のアンメットニーズ 第3回【肺がんインタビュー】

第3回 非小細胞肺がん化学放射線同時併用療法(CCRT)のアンメットニーズStage III非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、化学放射線同時併用療法(CCRT)の適用レジメンについて検討した「TORG1018試験」。この試験に関する記事が、肺がん治療医師の方々からの高い関心を集めている。そこで、NSCLCのCCRTに適用する化学療法、そしてTORG1018試験について、日本医科大学の久保田 馨氏に聞いた。CCRTの適応になる患者さんは、どの程度おられますか?縦郭リンパ節転移があるStage IIIAおよびStage IIIBでは、化学放射線同時併用療法(CCRT)が治療の中心になります。内科的治療対象の3~4割程度になると思います。III期NSCLCにおけるCCRTのアンメットニーズは高いのでしょうか?画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大するTORG1018試験のStudyデザインおよび主要結果CCRTに適用するレジメンとして確立したものがなかった、というのが現状だと思います。おそらく皆さん、どのレジメンを用いるか悩んでおられると思います。Stage IIIで根治を期待する場合は、やはりCDDPレジメンが中心になります。2000年代初めまでは、MVPレジメン(MMC+Vindesine+CDDP)を用いていました。1999年以降、プラチナ製剤と第3世代抗がん薬との併用がIV期に対する標準レジメンとなりましたが、第3世代抗がん薬は、毒性のため放射線とのfull doseでの同時併用が困難でした。減量する、weekly投与にする等の工夫がなされましたが、明らかな優位性をもったレジメンは現れませんでした。そのような中、day 1、8に分割したDTX+CDDPは岡山大学の研究で、Stage III切除不能局所進行NSCLCのCCRTにおいて、MVPレジメンとの比較試験を行い、良好な成績を収めていました。また、S-1+CDDPは進行NSCLCに対する標準化学療法レジメンの1つであるとともに、CCRTにおける良好な成績も報告されていました。TORG1018試験の結果は、臨床にどのように反映できると思われますか?TORG1018試験は、ランダム化第II相試験として、CCRT施行患者に対しDTX+CDDPとS-1+CDDP、それぞれの成績を評価しました。GEM、PTX、DTXなどはIV期のfull doseを使えないというのが難点でしたが、本試験でのDTX+CDDPレジメンはfull doseに近く、前述の研究からも高い有効性が期待されます。一方のS-1+CDDPレジメンも同様にfull doseで使用でき、アクティビティが期待できます。試験の結果、主要評価項目である2年OSはS-1+CDDP群79%、DTX+CDDP群が69%でした。数字としては、S-1+CDDP群がDTX+CDDP群を上回っていました。また、肺障害を含めた有害事象もS-1+CDDP群で少ないという結果でした。このように、有効性および安全性の双方ともS-1+CDDPは良好であり、実臨床では、このS-1+CDDPを化学放射線同時併用療法の標準化学療法として日常臨床で用いることができる、と言えるでしょう。今後、S-1+CDDPはCCRTの適用レジメンとして、どのように拡大していくと思われますか?アジアでのトライアルで、S-1+CDDPレジメンを評価することができると思います。また、今後、CCRT後の免疫チェックポイント阻害薬維持療法が、標準治療となることが期待されています。S-1+CDDPレジメンは、比較的副作用が軽度で、免疫チェックポイント阻害薬の効果を、より引き出すことができるかも知れません。免疫チェックポイント薬併用のベースレジメンとしての位置付けも期待できると思います。■関連記事III期NSCLCの化学放射線同時併用療法に適用するレジメンは?本邦のランダム化試験の結果発表/ASCO2017

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