サイト内検索|page:66

検索結果 合計:2009件 表示位置:1301 - 1320

1301.

今ある知識で考える、新型タバコのリスクとは

 IQOS(アイコス)やPloomTECH(プルーム・テック)などの加熱式タバコのシェアが日本で急速に拡大している。禁煙をめざして、あるいは周囲への影響を考慮して紙巻タバコから移行する人も多い中、医療者はそのリスクをどのように捉えていけばよいのか。第29回日本疫学会学術総会(2019年1月30日~2月1日・東京)において、「タバコ対策の最近の話題」と題したシンポジウムが開催された。本稿では、田淵 貴大氏(大阪国際がんセンター)による講演の内容を紹介する。IQOS使用者は2015年から2017年にかけて約10倍に まず田淵氏は、“新型タバコ”という言葉に何が含まれるのかを解説。本邦ではニコチンを薬物として、ニコチン入りの電子タバコの販売が薬機法のもと禁止される一方、タバコの葉を使用している加熱式タバコはタバコ事業法のもと販売されていること、またニコチンを含まない電子タバコにはとくに規制がなく、自由に販売されているという状況を説明した。同氏は、「国際的には電子タバコはタバコではないと定義されることが多いが、本邦では加熱式タバコも含め電子タバコと呼ぶことが多い」と話した。本講演では、広く普及が進みつつあるIQOSやPloomTECH、gloといった製品が含まれる加熱式タバコの話題が中心となった。 同氏らが実施した15~69歳の約8千人対象のインターネット調査1)によると、2015年時点でIQOS、PloomTECHの使用者(30日以内の各製品の使用の有無)は0.5%以下だったのに対し、2017年にはPloomTECHが1%以上、IQOSは3.6%に急増した(gloは2017年発売で1%弱)。3.6%という数字を該当年齢の総人口から推計すると、約300万人。現在集計中の2018年データではさらに増加しているという。 また、IQOS使用者にどのような特徴があるかをみると、女性よりも男性、40代以上よりも20代や30代、やめる気のない喫煙者よりもやめたい喫煙者がより多く使っていることが分かった。また、もともと吸わなかった人の1.3%が、2年後にIQOSを使うようになっていた。広告では「有害性成分9割減」≠病気になるリスク9割減 加熱式タバコ使用が広がった背景には、「従来の紙巻タバコに比べて有害性が少ない」という認識が大きく影響していると考えられる。実際、広告では「紙巻タバコの煙と比較して、有害性成分の量を90%低減」と大きく謳われている。同氏は、「これを見た消費者の多くは、病気になるリスクも90%低減されていると誤解してしまっている。しかし毒性学的には、有害性物質の量が1/10になったからといって病気になるリスクも1/10になるわけではない」と指摘した。 では実際に有害性物質の量はどうなっているのか。タバコ特異的ニトロソアミンの量は、IQOSでは紙巻タバコの10分の1程度に減っていた。一方、ニコチン含有量を比較すると、紙巻タバコの2,100 μg/本に対し1,200 μg/stickと、IQOS にも紙巻タバコの半分以上のニコチンが含まれている2)。「紙巻タバコをIQOSに変えたとしても、ニコチン依存症は維持される」と同氏。そして、IQOSはじめ加熱式タバコに多く含まれるのが、グリセロールやプロピレングリコールといった物質だという。「これらは発がん性物質ではないが、こういった物質を肺深くに吸い込んだときに、人体にどんな影響があるかはまったくわかっていない」と続けた。さらなる新製品も登場。どのように判断して患者指導につなげていくか 1月29日には、PloomTECHシリーズの新製品が発売された。含有物質の違いに加え、加熱方式の違いなど、製品ごとにますます複雑化する中、リスクを判断していくことは容易ではない。紙巻タバコにおける肺がんのリスクが明らかになってから、受動喫煙によるリスクを明らかにするまでにおよそ40年かかった。田淵氏は、「研究が難しく、時間のかかることであるのは間違いないが、加熱式タバコにはどのような健康影響があるのか、データを積み上げていかなければいけない」と話した。 また、「今ある情報から総合的に判断して、加熱式タバコには紙巻タバコとほとんど変わらない害が使用者本人にあると予測される」とし、この予測はFDAの専門家による見解とも一致しているとした。“IQOSがタバコ関連疾患のリスクを減らす”というフィリップモリスの主張に対するFDAの諮問委員会の見解は以下の通り。 委員会メンバーは、IQOSが紙巻きタバコよりも、有害物質への曝露を減らすことができるとするフィリップモリスの主張を 8 対 1 で承認したが、曝露の減少により、疾病の罹患率や死亡率を減らすことができるとは言えないという見解を賛成 5、反対 2、棄権 1 で採択。さらに、完全に加熱式タバコに切り替えることで、タバコ関連疾患のリスクを減らすことができるとは言えないという見解を、9人中8人が示した。 最後に同氏は、実際の禁煙外来などの患者指導では、「新型タバコに変えました!」という患者さんに対して、まずはその意向や背景にある事情を尊重すべき、と話した。多くの人は、新型タバコの方が害が少ない、新型タバコだと他人への害を減らせると考えて新型タバコを使っている。「頭ごなしに“新型タバコはダメ”といってもうまくいかないだろう。まずは紙巻タバコをやめられたことを“よかったですね”と評価して、一歩進めて次は新型タバコもやめましょう」と順を追って丁寧に指導していくのがよいのではないか、と提案して締めくくった。

1302.

結節性硬化症〔TS : tuberous sclerosis, Bourneville-Pringle病〕

1 疾患概要■ 概念・定義主に間葉系起源の異常細胞が皮膚、中枢神経など全身諸臓器に各種の過誤腫性病変を起こす遺伝性疾患である。従来、顔面の血管線維腫、痙攣発作、知能障害が3主徴とされているが、しばしば他に多くの病変を伴い、また患者間で症状に軽重の差が大きい。疾患責任遺伝子としてTSC1とTSC2が同定されている。■ 疫学わが国の患者は約15,000人と推測されている。最近軽症例の報告が比較的多い。■ 病因・発症機序常染色体性優性の遺伝性疾患で、浸透率は不完全、突然変異率が高く、孤発例が60%を占める。軽微な症例は見逃されている可能性もある。本症の80%にTSC1(9q34)遺伝子とTSC2(16p13.3)遺伝子のいずれかの変異が検出される。TSC1遺伝子変異は生成蛋白のtruncationを起こすような割合が高く、また家族発症例に多い。TSC2遺伝子変異は孤発例に、また小さな変異が多い。一般に臨床症状と遺伝子異常との関連性は明らかではない。両遺伝子産物はおのおのhamartin、tuberinと呼ばれ、前者は腫瘍抑制遺伝子産物の一種で、低分子量G蛋白Rhoを活性化し、アクチン結合蛋白であるERMファミリー蛋白と細胞膜裏打ち接着部で結合する。後者はRap1あるいはRab5のGAP(GTPase-activating protein)の触媒部位と相同性を有し、細胞増殖抑制、神経の分化など多様で重要な機能を有する。Hamartinとtuberinは複合体を形成してRheb(Ras homolog enriched in brain)のGAPとして作用Rheb-GTPを不活性化し、PI3 kinase/S6KI signaling pathwayを介してmTOR(mammalian target of rapamycin)を抑制、細胞増殖や細胞形態を制御している。Hamartinとtuberinはいずれかの変異により、m-TOR抑制機能が失われることで、本症の過誤腫性病変を惹起すると推定されている。近年、このm-TOR阻害薬(エベロリムスなど)が本症病変の治療に使われている。■ 臨床症状皮膚、中枢神経、その他の諸臓器にわたって各種病変がさまざまの頻度で経年齢的に出現する(表1)。画像を拡大する1)皮膚症状学童期前後に出現する顔面の血管線維腫が主徴で80%以上の患者にみられ頻度も高い。葉状白斑の頻度も比較的高く、乳幼児期から出現する木の葉状の不完全脱色素斑で乳幼児期に診断価値の高い症候の1つである。他に結合織母斑の粒起革様皮(Shagreen patch)、爪囲の血管線維腫であるKoenen腫瘍、白毛、懸垂状線維腫などがある。2)中枢神経症状幼小児早期より痙攣発作を起こし、精神発達遅滞、知能障害を来すことが多く、かつての3主徴の2徴候である。2012年の“Consensus Conference”で(1)脳の構造に関与する腫瘍や皮質結節病変、(2)てんかん(痙攣発作)、(3)TAND(TSC-associated neuropsychiatric disorders)の3症状に分類、整理された。(1)高頻度に大脳皮質や側脳室に硬化巣やグリア結節を生じ、石灰化像をみる。数%の患者に上衣下巨細胞性星細胞腫(subependymal giant cell astrocytoma:SEGA)が発生する。SEGAは小児期から思春期にかけて急速に増大することが多く、脳圧亢進症状などを来す。眼底の過誤腫や色素異常をみることもあり、通常は無症状であるが、時に視力障害を生ずる。(2)TSC患者に高頻度にみられ、生後5、6ヵ月頃に気付かれ、しばしば初発症状である。多彩な発作で、治療抵抗性のことも多い。点頭てんかんが過半数を占め、その多くが精神発達遅滞、知能障害を来す。(3)TSCに合併する攻撃的行動、自閉症・自閉的傾向、学習障害、他の神経精神症状などを総括した症状を示す。3)その他の症状学童期から中年期に後腹膜の血管筋脂肪腫で気付かれることもある。無症候性のことも多いが、時に増大して出血、壊死を来す。時に腎嚢腫、腎がんが出現する。周産期、新生児期に約半数の患者に心臓横紋筋腫を生ずるが、多くは無症候性で自然消退すると言われる。まれに、腫瘍により収縮障害、不整脈を来して突然死の原因となる。成人に肺リンパ管平滑筋腫症(lymphangiomyomatosis:LAM)や多巣性小結節性肺胞過形成(MMPH)を生ずることもある。前者は気胸を繰り返し、呼吸困難が徐々に進行、肺全体が蜂の巣状画像所見を呈し、予後不良といわれる。経過に個人差が大きい。後者(MMPH)は結核や肺がん、転移性腫瘍との鑑別が必要であるが、通常治療を要せず経過をみるだけでよい。■ 予後と経過各種病変がさまざまな頻度で経年的に出現する(表1)。それら病変がさまざまに予後に影響するが、中でも痙攣発作の有無・程度が患者の日常生活、社会生活に大きく影響する。従来、生命的予後が比較的短いといわれたが、軽症例の増加や各種治療法・ケアの進展によって生命的、また生活上の予後が改善方向に向かいつつあるという。死因は年代により異なり、10歳までは心臓横紋筋腫・同肉腫などの心血管系異常、10歳以上では腎病変が多い。SEGAなどの脳腫瘍は10代に特徴的な死因であり、40歳以上の女性では肺のLAMが増加する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)遺伝子診断が確実であり、可能であるが、未知の遺伝子が存在する可能性、検査感度の問題、遺伝子変異と症状との関連性が低く、変異のホットスポットもない点などから一般的には通常使われない。遺伝子検査を受けるときは、そのメリット、デメリットをよく理解したうえで慎重に判断する必要がある。実際の診断では、ほとんどが臨床所見と画像検査などの臨床検査による。多彩な病変が年齢の経過とともに出現するので、症状・病変を確認して診断している。2018年に日本皮膚科学会が、「結節性硬化症の新規診断基準」を発表した(表2)。画像を拡大する■ 診断のポイント従来からいわれる顔面の血管線維腫、知能障害、痙攣発作の3主徴をはじめとする諸症状をみれば、比較的容易に診断できる。乳児期に数個以上の葉状白斑や痙攣発作を認めた場合は本症を疑って精査する。■ 検査成長・加齢とともに各種臓器病変が漸次出現するので、定期的診察と検査を、あるいは適宜の検査を計画する。顔面の結節病変、血管線維腫は、通常病理組織検査などはしないが、多発性丘疹状毛包上皮腫やBirt-Hogg-Dube syndromeなどの鑑別に、また、隆起革様皮でも病理組織学的検査で他疾患、病変と鑑別することがある。痙攣発作を起こしている患者あるいは結節性硬化症の疑われる乳幼児では、脳波検査が必要である。大脳皮質や側脳室の硬化巣やグリア結節はMRI検査をする。CTでもよいが精度が落ちるという。眼底の過誤腫や色素異常は眼底検査で確認できる。乳幼児では心エコーなどで心臓腫瘍(横紋筋腫)検査を、思春期以降はCTなどで腎血管筋脂肪腫を検出する必要がある。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 基本治療方針多臓器に亘って各種病変が生ずるので複数の専門診療科の連携が重要である。成長・加齢とともに各種臓器病変が漸次出現するので定期的診察と検査を、あるいは適宜の検査を計画する。本症の治療は対症療法が基本であるが、各種治療の改良、あるいは新規治療法の開発が進んでいる。近年本症の皮膚病変や脳腫瘍、LAMに対し、m‐TOR阻害薬(エベロリムス、シロリムス)の有効性が報告され、治療薬として使われている。■ 治療(表3)画像を拡大する1)皮膚病変顔面の血管線維腫にはレーザー焼灼、削皮術、冷凍凝固術、電気凝固術、大きい腫瘤は切除して形成・再建する。最近、m-TOR阻害薬(シロリムス)の外用ゲル製剤を顔面の血管線維腫に外用できるようになっている。シャグリンパッチ、爪囲線維腫などは大きい、機能面で問題があるなどの場合は切除する。白斑は通常治療の対象にはならない。2)中枢神経病変脳の構造に関与する腫瘍、結節の中では上衣下巨細胞性星細胞腫(subependymal giant cell astrocytoma:SEGA)が主要な治療対象病変である。一定の大きさがあって症状のない場合、あるいは増大傾向をみる場合は、外科的に切除、あるいはm-TOR阻害薬(エベロリムス)により治療する。急速進行例は外科的切除、頭蓋内圧軽減のためにシャント術も行う。本症の重要な症状である痙攣発作の治療が重要である。点頭てんかんにはビガバトリン(同:サブリル)、副腎皮質(ACTH)などが用いられる。ケトン食治療も試みられる。痙攣発作のフォーカス部位が同定できる難治例に、外科的治療が試みられることもある。点頭てんかん以外のてんかん発作には、発作型に応じた抗てんかん薬を選択し、治療する。なお、m-TOR阻害薬(エベロリムス)は、痙攣発作に対して一定の効果があるとされる。わが国での臨床使用は今後の課題である。精神発達遅滞や時に起こる自閉症に対しては、発達訓練や療育などの支援プログラムに基づいて適切にケア、指導する。定期的な受診、症状の評価などをきちんとすることも重要である。また、行動の突然の変化などに際しては、結節性硬化症の他病変の出現、増悪などがないかをチェックする。3)その他の症状(1)後腹膜の血管筋脂肪腫(angiomyolipoma: AML)腫瘍径が4cm以上、かつ増大傾向がある場合は出血や破裂の可能性もあり、腫瘍の塞栓療法、腫瘍切除、腎部分切除などを考慮する。希少疾病用医薬品としてm-TOR阻害薬(エベロリムス)が本病変に認可されている。無症候性の病変や増大傾向がなければ検査しつつ経過を観察する。(2)周産期、新生児期の心臓横紋筋腫収縮障害、伝導障害など心障害が重篤であれば腫瘍を摘出手術する。それ以外では心エコーや心電図で検査をしつつ経過を観察する。(3)呼吸器症状LAMで肺機能異常、あるいは機能低下が継続する場合は、m-TOR阻害薬(エベロリムス)が推奨されている。肺機能の安定化、悪化抑制が目標で、治癒が期待できるわけではない。一部の患者には、抗エストロゲン(LH-RHアゴニスト)による偽閉経療法、プロゲステロン療法、卵巣摘出術など有効ともいわれる。慢性閉塞性障害への治療、気管支拡張を促す治療、気胸の治療など状態に応じて対応する。時に肺移植が検討されることもある。MMPHは、結核や肺がん、転移性腫瘍との鑑別が必要であるが、通常治療を要せず経過をみるだけでよい。4 今後の展望当面の期待は治療法の進歩と改良である。本症病変にm-TOR阻害薬(エベロリムス)が有効であることが示され、皮膚病変、SEGAとAMLなどに使用できる。本症治療の選択肢の1つとしてある程度確立されている。しかしながら効果は限定的で、治癒せしめるにはいまだ遠い感がある。病態研究の進歩とともに、新たな分子標的薬剤が模索され、より効果の高い創薬、薬剤の出現を期待したい。もとより従来の診断治療法の改善・改良の努力もされており、今後も発展するはずである。患者のケアや社会生活上の支援体制の強化が、今後さらに望まれるところである。5 主たる診療科小児科(神経)、皮膚科、形成外科、腎泌尿器科、呼吸器科 など※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本結節性硬化症学会(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)結節性硬化症のひろば(主に患者と患者家族向けの診療情報)患者会情報TSつばさ会(患者とその家族および支援者の会)1)金田眞理ほか. 結節性硬化症の診断基準および治療ガイドライン-改訂版.日皮会誌. 2018;128:1-16.2)大塚藤男ほか. 治療指針、結節性硬化症. 厚生科学研究特定疾患対策研究事業(神経皮膚症候群の新しい治療法の開発と治療指針作成に関する研究).平成13年度研究報告書.2002:79.3)Krueger DA, et al. Pediatric Neurol. 2013;48:255-265.4)Northrup H, et al. Pediatric Neurol. 2013;49:243-254.公開履歴初回2013年2月28日更新2019年2月5日(謝辞)本稿の制作につき、日本皮膚科学会からのご支援、ご協力に深甚なる謝意を表します(編集部)。

1303.

肺がんのニボルマブ治療、スタチン使用者で効果高い

 既治療進行非小細胞肺がん(NSCLC)におけるニボルマブの臨床的な効果予測因子の報告は多いが、ニボルマブの有効性を予測できる単一の因子を決定する十分なエビデンスはない。今回、がん・感染症センター都立駒込病院/日本医科大学の大森 美和子氏らによる前向き調査の結果、既治療進行NSCLCに対してニボルマブを受けた患者において、スタチン使用群で奏効割合が高く、治療成功期間(TTF)の延長も示された。なお、全生存期間(OS)の有意な延長は示されなかった。Molecular and Clinical Oncology誌2019年1月号に掲載。 2016~17年にニボルマブを受けた計67例の既治療進行NSCLC患者を前向きに観察調査した。臨床的因子として、年齢、性別、ECOG PS、組織型、EGFR変異、化学療法歴、喫煙状態、スタチン使用、フィブラート使用、DPP-4阻害薬使用、メトホルミン使用について検討した。統計分析はKaplan-Meier法およびリスク因子を調整したCox回帰を用いた。ニボルマブの奏効はRECIST version1.1により評価した。 主な結果は以下のとおり。・年齢中央値は67歳(範囲:36~87歳)で、男性46例、女性21例が登録された。PS0/1は59例であった。・腺がん(41例)、扁平上皮がん(17例)、その他(9例)に分類され、EGFR変異は13例(19.4%)に認められた。・検討した臨床的因子に関して、OSで統計学的に有意な因子はなかった。・奏効割合は、スタチンを使用した患者群について統計学的に有意であった(p=0.02)。・TTFは、スタチン使用群が未達(95%信頼区間[CI]:1.9~NR)、スタチン非使用群が4.0ヵ月(95%CI:2.0~5.4)であった(p=0.039)。・OS中央値は、スタチン使用群が未達(95%CI:8.7~NR)、スタチン非使用群が16.5ヵ月(95%CI:7.5~NR)であった(p=0.058)。・本研究の限界として、スタチン投与患者が少数(10例)であること、スタチン投与量と期間、末梢血中のコレステロール値が不明なこと、治療前の腫瘍細胞のPD-L1発現が不明なことが挙げられる。

1304.

NSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ単独治療の追跡結果(KEYNOTE-024)/JCO

 未治療のPD-L1高発現(TPS≧50%)の転移を有するNSCLC患者を対象にペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)単独投与群と標準治療のプラチナベース化学療法群を比較したKEYNOTE-024試験の追跡結果が、Journal of Clinical Oncology誌に2019年1月8日付けで発表された。全生存期間(OS)結果の更新と共にクロスオーバーバイアス調整分析を含む忍容性解析も報告された。KEYNOTE-024でのペムブロリズマブ群と化学療法群のOSハザード比は0.49 KEYNOTE-024は、国際無作為化オープンラベル第III相試験・対象:転移を有する未治療のPD-L1高発現(TPS≧50%)NSCLC患者(305例)・試験群:ペムブロリズマブ200mg 3週ごと(154例)・対照群:治験担当医が選択したプラチナベース化学療法 4~6サイクル(151例)・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)、[副次評価項目]OSなど KEYNOTE-024の主な追跡結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は25.2ヵ月であった。・OS中央値はペムブロリズマブ群の30.0ヵ月に対し、化学療法群は14.2ヵ月(HR:0.63、95%CI:0.48~NR)・化学療法群の82例がペムブロリズマブにクロスオーバーしていた。・simplified two-stage methodによりクロスオーバーバイアスを調整すると、ペムブロリズマブ群と化学療法群のOSハザード比は0.49(95%CI:0.34~0.69)であった。・Grade3以上の治療関連有害事象はペムブロリズマブ群の31.2%、化学療法群の53.3%で発現した。

1305.

最近の話題 TRK阻害薬【侍オンコロジスト奮闘記】第70回

第70回:最近の話題 TRK阻害薬キーワードNTRK遺伝子融合がんTRK阻害薬larotrectinibOkamura R, et al. Analysis of NTRK Alterations in Pan-Cancer Adult and Pediatric Malignancies: Implications for NTRK-Targeted Therapeutics.JCO Precision Oncology. Nov 15, 2018[Epub ahead of print]Drilon A, et al.Efficacy of Larotrectinib in TRK Fusion–Positive Cancers in Adults and Children.N Engl J Med 2018; 378:731-739.

1306.

最新のがん統計:男性では前立腺がんが上位に

 厚生労働省は、2016年に開始した「全国がん登録」による初めての結果を公表した。それによると、2016年において、新たにがん(上皮内がんを除く)と診断された患者は99万5,132例で、男性が56万6,575例(56.9%)、女性が42万8,499例(43.1%)だった。 部位別のがん罹患数は、男性では胃(16.4%)、前立腺(15.8%)、大腸(15.8%)、肺(14.8%)、肝(5.0%)の順で多く、女性では乳房(22.1%)、大腸(16.0%)、胃(9.8%)、肺(9.7%)、子宮(6.6%)の順で多かった。 この結果を、2014年における「地域がん登録」に基づくデータと比較すると、がん罹患数の女性における順位は同じだったが、男性のがん罹患数は2位と4位が入れ替わり、前立腺がんが増え、肺がんが減ったという結果であった。※「がん登録」では、最初に診断されたがんを登録している。また、1人の人で、独立した2種類以上のがんが発見された場合、それぞれのがんを独立して数えるため、罹患数は延べ人数で示されている。男性のがん罹患率のピークは女性と10歳ずれている 2016年における全部位のがん罹患数を年齢階級別に見ると、15歳未満の小児が0.2%、15~29歳が0.5%、30~44歳が3.9%、45~59歳が12.7%、60~74歳が40.3%、75歳~99歳が42.3%の割合を占めた。また、がん罹患率(人口10万対)は、5歳以上で段階を踏んで上がっていき(5歳階級)、男性では60歳以上、女性では65歳以上の階級で1,000を超過した。がん罹患率のピークは、男性では85~89歳、女性では95~99歳であった。 さらに、がん罹患率を都道府県別に見てみると、男女の総数は、長崎(454.9)、秋田(446.3)、香川(436.7)、北海道(428.2)、宮崎(426.4)の順で高かった。また、部位別のがん罹患率は、たとえば胃がんでは、新潟(74.7)、秋田(70.3)、山形(63.2)の順で高く、大腸がんでは秋田(73.7)、青森(72.2)、鳥取(71.4)の順で高かった。 今回公表されたデータでは、どの地域で何歳の患者さんが、どのがんに罹患したかがわかるため、詳細な分析が可能となる。「全国がん登録」制度の概要と作られた経緯 全国がん登録は、がん医療の質の向上ならびにがん予防の推進のため、情報提供の充実、その他のがん対策を科学的知見に基づき実施するため、がんの罹患、治療、転帰などの状況を把握し、分析することを目的としている。 「がん登録等の推進に関する法律」(平成25年法律 第111号)により、がんの初回診断が行われた病院などから都道府県知事に届け出られた者および市区町村長から報告される死亡者情報票によって把握されたがんによる死亡者を対象としている。また、2016年1月1日~12月31日にわが国で診断された日本人および外国人の事象を客体としている。集計は、国立がん研究センターにおいて行われた。 国立がん研究センターによると、以前は、都道府県がそれぞれの自治体内で診断されたがんのデータを集めた「地域がん登録」制度が用いられていたが、住んでいる都道府県以外の医療機関で診断・治療を受けた患者や、途中で他県に移動した患者などのデータが重複する可能性があった。また、すべての医療機関が協力しているわけではなく、正確なデータを集めることが難しかったため、「全国がん登録」制度という新しい仕組みができたという。

1307.

膵がん死を減らせるか? 膵がん切除後の補助療法:mFOLFIRINOXかゲムシタビンか(解説:上村直実氏)-998

 消化器領域のがんでは感染症である肝がんと胃がんによる死亡者が激減し、著明な増加を示していた大腸がん死亡者数も肺がんと同様にプラトーに達し減少に転じている。その中で早期発見が困難でかつ発見時には手術不能例が多い膵がんによる死亡者数のみが年間3万人を超えて増加の一途をたどっている。膵がん死を防ぐ方法としては、完治できる外科的手術が理想的であるが、早期に発見された切除可能膵がんでも手術単独の5年生存率はわずか10%とされており、生存率の向上を目的として、術前・術後の補助療法が模索されているが、とくに局所病変が切除可能で転移に乏しい患者に対する術後の補助療法は必須となっている。 このたび、フランスとカナダで施行された第III相試験(RCT)の結果として、切除可能膵がん患者に対する術後補助療法として、毒性の強いFOLFIRINOX(フルオロウラシル/ロイコボリン+イリノテカン+オキサリプラチン併用)の用量を調整したmodified FOLFIRINOXと欧米における標準治療であるゲムシタビン(GEM)を比較した結果、前者がより有効であることがNEJM誌に報告された。mFOLFIRINOX群の無病3年生存率39.7%がGEM群の21.4%に比べて有意に延長した結果は今後に期待を持てる数字といえる。一方、日本では欧米の評価と異なりGEMとともに標準治療とされているS-1の評価が必要であると考えられる。 いずれにせよ、わが国における今後の膵がん対策として、実地医家など第一線の診療現場と専門医を有する中核施設の協力体制による早期発見システム(尾道方式など)の構築が必要であり、一方、補助化学療法としては、GEMとS-1を標準治療として有効性を示す新規薬剤の模索が進行中であるが、今後、MSI-highの膵がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の有用性が早急に検討されることが期待される。

1308.

高齢者に対するICIは効きが悪い?【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第4回

第4回 高齢者に対するICIは効きが悪い?1)Lichtenstein MRL, et al. Impact of Age on Outcomes with Immunotherapy in Patients with Non-Small Cell Lung Cancer(NSCLC). J Thorac Oncol. 2018 Nov 23. [Epub ahead of print]2)Grossi F, et al. Use of nivolumab in elderly patients with advanced squamous non-small-cell lung cancer: results from the Italian cohort of an expanded access programme. Eur J Cancer. 2018;100:126-134.NSCLCのみならず、今後SCLCでも初回治療に導入が進むと期待される免疫チェックポイント阻害剤(ICI)。一方で、治験データからは見えてこない高齢者やPS不良例に対する効果についてはしばしば議論がなされてきた。今回、高齢者に対する2つのレトロ解析を紹介する。1)について2013~17年まで、MGH(マサチューセッツ総合病院)でPD-1/L1単剤治療を受けた245例。31.0%が70代、11.4%が80代。PD-L1免疫染色はE1L3N cloneで実施。PFSは70代までは年齢が上がるごとに延長(70代のmPFS 3.8ヵ月)、しかし80代のmPFSは1.6ヵ月と短かった。OSは60歳未満、60代、70代で同等(12~14ヵ月)であったが、80代で3.6ヵ月と短かった。有害事象は年代によって大きな差はなし。2)について欧州におけるexpanded access programmeをまとめたもの。2015年に欧州にある96の病院で治療を受けた、扁平上皮がん371例が対象。75歳以上は19%、80歳以上の割合は不明。ORRは年代で差はなし。PFSについても3.2~4.2ヵ月と同様。OSは75歳以上で5.8ヵ月と、そのほか(7.9~8.6ヵ月)に比して短かった。有害事象は年代によって大きな差はなし。解説高齢者に対する化学療法は本邦でも重要な課題だが、これまでの治験のサブセットは多くが65歳や70歳などで区切られており、われわれが実臨床で考える高齢者とはかけ離れているという問題がある。また、免疫応答が異なる集団でICIの効果が異なるかについてはいろいろ興味深い検討がなされており、最近のJAMA Oncol誌にも男女間でICIの効果に差はなさそうだ、というメタアナリシスが報告されている(Wallis CJD, et al. JAMA Oncol. 2019 Jan 3. [Epub ahead of print])。高齢者については、「免疫応答が落ちているのでICIの効果が劣る」という意見と「高齢者にできる腫瘍はTMBが高い可能性があるのでICIの効果は高いのでは」という、相反する意見があった。今回紹介した論文について、前者では80歳以上の高齢者で効果が低そう、という知見だが、この集団の患者背景を見てみると脳転移を有する患者の割合が他よりも有意に多く(約30%)、PS2の患者も35%を占めるなど、予後不良な因子を有する集団である。PFSは1.6ヵ月と非常に短く、OSも3.6ヵ月と同様に短いこともこれを反映していると思われる。一方、EJC誌のレトロ解析では、ORR、PFSはいずれの年代でも同様であった。こちらは逆に75歳以上の集団でのみ脳転移の頻度が少ないので解釈が悩ましいところだが、全体、高齢者集団とも過去の第III相試験における有効性データと近い結果であり、サンプルサイズもより多く、信頼性はやや高いと思われる。なお、双方の研究ともに高齢者ではOSが非常に短くなっているが、何らかの予後不良因子が隠れているのか、もしくはICI後の治療割合が本邦に比して低いのかなど、まだ不明な点は多いといえる。有害事象については、いずれの報告でも年齢による差はない、つまり細胞障害性薬剤より軽い、ということであるので、結局のところ、これらの報告から「高齢者だからといってICIの使用を躊躇する必要はなさそうだ」、というのが自分の考えである。PD-L1高発現など選別した集団において年齢によって効果の違いがあるのか、今後の研究が望まれる。

1309.

血中hsCRP高値の現・元喫煙者、肺がんリスク高い/BMJ

 血中高感度C反応性蛋白(hsCRP)が高値の元喫煙者および現喫煙者は、肺がんリスクが高いことが示された。一方で、hsCRP値と肺腺がんリスクの関連は認められず、hsCRP値は、原因となるリスク因子ではなく肺がんの診断前マーカーとなりうる可能性が示されたという。国際がん研究機関(IARC、本部:フランス)のDavid C. Muller氏らが、20のコホート試験を基に行った、コホート内ケースコントロール試験の結果で、BMJ誌2019年1月3日号で発表した。先行研究では、CRPは全身性炎症のマーカーで、肺がんリスクと関連することが示されていた。しかし、喫煙状態別(喫煙歴なし、元喫煙、現喫煙)の関連について正確な推定値を示すことが可能な規模の試験はなかった。喫煙歴や組織学的亜型に分けて関連を検証 研究グループは、アジア、欧州、オーストラリア、米国で行われた20の住民ベースコホート試験を基にケースコントロール試験を行い、診断前の血清またはプラズマhsCRP値と肺がんとの関連を検証した。喫煙歴や組織学的亜型に分けて分析した。 被験者は、新たに肺がんの診断を受けた5,299例と、個別に罹患密度でマッチングした同数の対照群だった。血中hsCRP値2倍の元・現喫煙者、肺がんリスクは1.09倍 元喫煙者と現喫煙者で、血中hsCRP値が高いほど肺がんリスクも上がり、血中hsCRP値が2倍に上昇した場合のそれぞれのオッズ比は、現喫煙者1.09(95%信頼区間[CI]:1.05~1.13)、元喫煙者1.09(同:1.04~1.14)だった(相互作用p<0.01)。この関連は、とくにフォローアップの当初2年間でがんと診断された場合に強くみられた。一方、喫煙歴のない人では、こうした関連は認められなかった。 血中hsCRP値と肺がんリスクとの強い関連は、腺がんを除くすべての組織学的亜型で一貫して認められた。腺がんの関連オッズ比は0.97(同:0.94~1.01)で、喫煙歴にかかわらず関連はみられなかった。 リスクモデルで、喫煙ベースの変数に血中hsCRP値を加味しても、全体的なリスク判別能は改善しなかった。しかし、わずかだが、フォローアップの当初2年間のがん診断については改善がみられた。

1310.

ダコミチニブ、EGFR変異陽性NSCLCに国内承認/ファイザー

 ファイザー株式会社は、2019年1月8日、「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」の効能・効果で、EGFR-TKIダコミチニブ(商品名:ビジンプロ錠15mg、同45mg)の製造販売承認を取得した。 ダコミチニブの有効性と安全性は、ダコミチニブとゲフィチニブを直接比較した国際共同第III相ARCHER1050試験の結果により確認された。盲検下での独立中央判定(BICR)の評価による無増悪生存期間中央値は、ダコミチニブ群では14.7ヵ月、ゲフィチニブ群では9.2ヵ月で、ダコミチニブ群はゲフィチニブ群と比べ、優れた改善を示した。また、全生存期間中央値は、ダコミチニブ群では34.1ヵ月、ゲフィチニブ群では26.8ヵ月であった。ダコミチニブは約7ヵ月間の審査期間を経て承認 ダコミチニブは、日本においては優先審査品目に指定され、2018年5月28日に製造販売承認を申請後、約7ヵ月間の審査期間を経て承認となった。米国では、米国食品医薬品局(FDA)より優先審査に指定され、2017年9月27日にEGFR活性化変異を有する転移のある非小細胞肺がん治療の1次治療薬として承認を取得している。ビジンプロの概要・製品名:ビジンプロ錠15mg/45mg(VIZIMPRO Tablets 15mg/45mg)・一般名:ダコミチニブ水和物(Dacomitinib Hydrate)・効能・効果:EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌・用法・用量:通常、成人にはダコミチニブとして1日1回45mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。・製造販売承認取得日:2019年1月8日・製造販売元:ファイザー株式会社

1312.

アテゾリズマブ、NSCLCの4剤併用、小細胞がんの1次治療【侍オンコロジスト奮闘記】第69回

第69回:アテゾリズマブ、NSCLCの4剤併用、小細胞がんの1次治療キーワードIMpower133IMpower150アテゾリズマブ動画書き起こしはこちら音声だけをお聞きになりたい方はこちら //playstopmutemax volumeUpdate RequiredTo play the media you will need to either update your browser to a recent version or update your Flash plugin.こんにちは。ダートマス大学腫瘍内科の白井敬祐です。こちら、今年は11月の中旬ぐらいから雪が降って、かなり寒くなりました(このビデオは2018年12月に収録されたものです)。華氏で2度ですから、摂氏にするとマイナス10度以下、もう12月に入って早々にそういう時期があって、相変わらずフロントガラスの内側に張ってる氷を削って帰るとようなことをしています。IMpower、アテゾリズマブのグループで、カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ+アテゾリズマブが、12月6日、FDAで認可になりました(わが国でも2018年12月に承認となりました)。4剤併用でしかもタキソールはまだ3時間かけての点滴がスタンダードになっているので、かなり長時間になると思うんですけども、1つオプションができたかと。どういうときに使えるのか考えたんですけど、例えば腎機能が悪くてペメトレキセドが使えないとか、そういう方には使える可能性があると思います。あと、パクリタキセルは薬自体が安いので、4剤になるといくらなのか計算したことないのですが、そういう方にもオプションはあるのかなと思いました。この4剤はサブセット解析でEGFR陽性あるいはALK陽性肺がんで2ndラインに使ったときにアテゾリズマブを加えた群の方が、加えない群よりも差があったということが報告されたんですけど、EGFR陽性群あるいはALK陽性群に、どのような形でチェックポイントインヒビターが使えるかというのは、今後も興味があるところです。頻度は低いですけれども、効く人もいるので、その効く方をどのようにして選択しいくかというのが課題になると思います。小細胞がんの話題なんですけども、プラチナとエトポシドの組み合わせが、長い間スタンダードになっていたんですが、プラチナ+エトポシド+アテゾリズマブですね、抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブを加えた群がOverall Survivalを有意に延長するということが、ニューイングランドジャーナルに報告になりました。Overall Survivalは、12.3ヵ月vs.10.3ヵ月と比較的メリットになる期間は短めなんですけれども、ここ20~30年で初めてSmall Cellの1stラインの治療が変わるかもしれないということで、非常に注目を集めています。興味のあるところは、効いた患者さんが、どの程度効果が持続するのか、チェックポイントインヒビターのSustainabilityに興味がありますが、まだ長期の結果は報告されていないようです。いずれにしても10ヵ月から12.3ヵ月になったというのは、画期的なことです。僕は使ったことはないんですけれども、ほかの大きながんセンターの友人に聞くと、1stラインで使いだした、と言っていました。また実際使った時の経験なども報告できれば良いかなと思っています。Socinski MA, et al. Atezolizumab for First-Line Treatment of Metastatic Nonsquamous NSCLC.N Engl J Med. 2018;378:2288-2301.FDA approves atezolizumab with chemotherapy and bevacizumab for first-line treatment of metastatic non-squamous NSCLCアテゾリズマブ、NSCLCへの1次治療に国内承認Leora Horn, et al.First-Line Atezolizumab plus Chemotherapy in Extensive-Stage Small-Cell Lung Cancer.N Engl J Med.2018;379:2220-2229.vvvv

1313.

アテゾリズマブ、NSCLCへの1次治療に国内承認

 中外製薬株式会社は、抗PD-L1抗体アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)に関し、2018年12月21日、「化学療法未治療の扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する用法・用量の追加について厚生労働省より承認を取得した。 今回の承認は、国際共同第III相臨床試験(IMpower150試験)の成績に基づいている。IMpower150試験では、アテゾリズマブとベバシズマブおよび化学療法の併用により、ベバシズマブおよび化学療法の併用と比較し、統計学的に生存期間の有意な延長が認められた。アテゾリズマブの併用療法の安全性プロファイルは、これまで各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、本併用療法で新たな安全性のシグナルは確認されなかった。■「アテゾリズマブ」関連記事アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

1314.

ペムブロリズマブのNSCLC1次治療、3パターンが国内承認/MSD

 MSD株式会社は、2018年12月21日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、非小細胞肺がんにおける以下の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(非扁平上皮癌)に対する初回治療としてペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)との併用療法としての適応拡大・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(扁平上皮癌)に対する初回治療としてカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルとの併用療法としての適応拡大・PD-L1陽性(TPS1≧1%)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する初回治療としての単独療法としての適応拡大3パターンの試験でペムブロリズマブの有効性および安全性が示された 今回の適応拡大にあたっては、未治療の転移のある非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)患者を対象とした国際共同第III相KEYNOTE-189試験、未治療の転移のある非小細胞肺がん(扁平上皮がん)患者を対象とした国際共同第III相KEYNOTE-407試験、およびPD-L1陽性(TPS≧1%)の未治療の非小細胞肺がん患者を対象とした国際共同第III相臨床試験KEYNOTE-042試験のそれぞれにおいて、ペムブロリズマブの有効性および安全性が示された。 KEYNOTE-189試験では、PD−L1発現にかかわらず、未治療の転移を有する非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)患者616例において、ペムブロリズマブとペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法が、標準化学療法であるペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法と比較して、全生存期間(OS)を有意に改善した(HR=0.49、95%CI:0.38~0.64、p<0.00001)。ペムブロリズマブとペメトレキセド+プラチナ製剤の化学療法併用群の91.9%に副作用が認められ、主な副作用(20%以上)は、悪心46.2%、貧血38.0%、疲労33.1%、好中球減少症24.9%および食欲減退20.7%であった。 KEYNOTE-407試験では、PD−L1発現にかかわらず、未治療の転移を有する非小細胞肺がん(扁平上皮がん)患者559例において、ペムブロリズマブとカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルとの併用療法が、プラセボとカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルの併用療法と比較して、OSを有意に改善した(HR=0.64、95% CI:0.49~0.85、p=0.0008)。ペムブロリズマブと化学療法の併用群の95.3%に副作用が認められ、主な副作用(20%以上)は、脱毛症45.3%、貧血44.2%、好中球減少症34.9%、悪心30.6%、血小板減少症29.1%および下痢21.9%であった。 KEYNOTE-042試験では、PD-L1陽性(TPS≧1%)の未治療の非小細胞肺がん患者1,274例において、ペムブロリズマブ単独療法がプラチナ製剤併用化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)と比較してOSを有意に延長した(HR=0.81、95%CI:0.71~0.93、p=0.002)。ペムブロリズマブ群の62.7%に副作用が認められ、主な副作用(10%以上)は甲状腺機能低下症10.8%であった。 今回の適応拡大により、ペムブロリズマブは、PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者に対する初回治療(PD-L1発現にかかわらず化学療法との併用療法。PD-L1陽性[TPS≧1%]の場合は単独療法も使用可能)に使用できる抗PD-1抗体となる。

1315.

NSCLCにおけるPD-1阻害薬の潜在的バイオマーカー【肺がんインタビュー】 第22回

第22回 NSCLCにおけるPD-1阻害薬の潜在的バイオマーカー(Investigatorインタビュー)出演:神奈川県立がんセンター臨床研究所 がん免疫療法研究開発学部 部長 笹田 哲朗氏NSCLCにおけるPD-1阻害薬治療前後のCXCL2とMMP2の変化は、治療効果の予測因子となる可能性が示唆された。この研究について、神奈川県立がんセンター笹田哲朗氏に聞いた。Matsuo N, et al. Association between soluble immune mediators and tumor responses in patients with non-small cell lung cancer treated with anti-PD-1 inhibitor. Int J Cancer.2018 Oct 11.[Epub ahead of print]

1316.

ペムブロリズマブのMSI-H固形がんが国内承認…臓器横断的がん治療が現実に/MSD

 MSD株式会社は、2018年2月12日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。この適応拡大は医薬品の条件付き早期承認制度の適用を受けていた。 高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)とは、傷ついたDNAを修復する機能が低下していることを示すバイオマーカー。細胞は、DNA複製時に自然に起こる複製ミスを修復する機能をもっているが、この修復機能の低下によって、DNAの繰り返し配列(マイクロサテライト)が正常な細胞と異なる状態になっていることをマイクロサテライト不安定性(MSI)と呼び、このMSIが高頻度に起きている現象を高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)と呼ぶ。 MSI-High固形がんは、大腸がん、胃がんや膵臓がんといった消化器系のがんのほか、子宮内膜がんや卵巣がん、乳がん、前立腺がん、膀胱がん、甲状腺がんなどでも報告されている。大腸がんの約6%、子宮内膜がんの約17%にMSI-High固形がんがみられたとの報告がある。 この適応拡大にあたっては、治療歴を有するMSI-High固形がんを対象とした2つの国際共同第II相試験において、ペムブロリズマブの有効性および安全性が示された。1つは、治療歴を有するMSI-Highの結腸・直腸がん患者61名を対象にしたKEYNOTE-164試験(コホートA)。この試験での奏効率(ORR)は27.9%(95%CI:17.1~40.8)であった。対象者の57.4%に副作用が認められ、主な副作用(10%以上)は、関節痛16.4%、悪心14.8%、下痢13.1%、無力症11.5%およびそう痒症11.5%であった。もう1つは、治療歴を有するMSI-Highの結腸・直腸以外の固形がん患者94名を対象にしたKEYNOTE-158試験。この試験でORRは37.2%(95%CI:27.5~47.8)であった。対象者の61.7%に副作用が認められ、主な副作用(10%以上)は、疲労11.7%およびそう痒症11.7%であった 共通のバイオマーカーに基づいてがん種横断的に効能・効果(適応)を有するがん治療薬は、国内初となる。 なお、ペムブロリズマブの適応判定を目的としたMSI-Highを検出するためのコンパニオン診断薬として、株式会社ファルコバイオシステムズの「MSI検査キット(FALCO)」が承認されている。■関連記事ペムブロリズマブ、臓器横断的ながんの適応取得:FDA小細胞肺がんへのペムブロリズマブ単独投与、PD-L1陽性例でより高い効果(KEYNOTE-158)/ASCO2018いよいよ臨床へ、がん種を問わないMSI-H固形がんをどう診断し、治療していくかMSI-H固形がんへのペムブロリズマブ、日本人サブ解析結果(KEYNOTE-158)/癌治療学会 いよいよ臨床へ、がん種を問わないMSI-H固形がんをどう診断し、治療していくか

1317.

アジア人でより良好な結果、ニボルマブ+イピリムマブによる高TMB肺がん1次治療(CheckMate-227)/日本肺癌学会

 第III相CheckMate-227試験(Part 1)の結果、高腫瘍遺伝子変異量(TMB)の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療において、ニボルマブ・イピリムマブの併用療法が標準化学療法と比較して有意に無増悪生存期間(PFS)を延長したことがすでに報告されている。本試験のアジア人サブグループ解析結果を、がん研究会有明病院の西尾 誠人氏が11月29~12月1日に東京で開催された第59回日本肺癌学会学術集会で発表した。なお、本結果は、11月8~10日に中国・広州市で開催されたIASLC ASIAでのKeunchil Park氏による発表のアンコール演題。CheckMate-227試験Part 1: PD-L1発現1%以上および1%未満のStage IVまたは再発NSCLCの初回治療患者(EGFR /ALK不明、ECOG PS 0~1)対象に、ニボルマブ+イピリムマブ群、ニボルマブ群、ニボルマブ群+化学療法群と化学療法群を比較した第III相試験[主要評価項目]高TMB(≧10変異/メガベース)患者におけるPFS、PD-L1発現状況ごとの全生存期間(OS)[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性など ※今回は、上記2つの主要評価項目のうち高TMB患者におけるPFSのニボルマブ+イピリムマブ群と化学療法群の比較について、アジア人サブグループ解析結果が発表された。 主な結果は以下のとおり。・有効なTMBデータを有した153例のうち、高TMB患者は53例であった。・上記の53例のうち、21例(うち日本人:13例)がイピリムマブ+ニボルマブ群に、32例(同:16例)が化学療法群に割り付けられた(全集団ではイピリムマブ+ニボルマブ群139例、化学療法群160例)。・高TMB患者における1年PFS率は、全集団でニボルマブ+イピリムマブ群43% vs.化学療法群13%、アジア人サブグループで64% vs.17%であった。・PFS中央値は、全集団で7.2ヵ月 vs.5.5ヵ月(HR:0.58、97.5%CI:0.41~0.81)、アジア人サブグループでNR vs.5.5ヵ月(HR:0.34、95%CI:0.15~0.75)であった。日本人集団でも、ニボルマブ+イピリムマブ群で同様のPFSベネフィットが得られた(HR:0.44、95%CI:0.15~1.35)。・ORRは、全集団で45%(完全奏効[CR]:4%、部分奏効[PR]:42%)vs. 27%(CR:1%、PR:26%)、アジア人サブグループで76%(CR:14%、PR:62%)vs. 22%(CR:0%、PR:22%)であった。日本人集団でも、85% vs. 31%とニボルマブ+イピリムマブ群で高いORRが得られた。・Grade3/4の治療関連有害事象の発現は、全集団でニボルマブ+イピリムマブ群31% vs.化学療法群36%、アジア人サブグループでは40% vs. 37%。治療中止例はそれぞれ17%vs. 9%、22% vs. 12%であった。・全Gradeの治療関連有害事象発現状況は、アジア人で若干皮疹の発現が多かったが(50% vs. 34%)、全体として全集団における発現状況と同様の傾向がみられた。

1318.

デュルバルマブMYSTIC試験のOS結果/アストラゼネカ

 アストラゼネカとそのグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンは、2018年12月13日、スイスのジュネーブで開催された2018年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)がん免疫療法会議において第III相MYSTIC試験の全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)に関するデータを発表した。 MYSTIC試験は、未治療のステージIV非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象としてデュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)単剤またはデュルバルマブと抗CTLA-4抗体tremelimumabの併用療法を、プラチナベースの標準化学療法(SoC)と比較検討した多施設共同無作為化非盲検国際第III相試験。主要評価項目は、PD-L1発現25%以上の患者における、デュルバルマブ単独療法のOS、デュルバルマブ・tremelimumab併用療法のPFSおよびOS(いずれもSoCとの比較)。結果、デュルバルマブ単剤群のOSは、SoC群12.9ヵ月に対し16.3ヵ月、2年OS率は、SoC群22.7%に対しデュルバルマブ単剤群38.3%と、主要解析集団(PD-L1発現25%以上)で上回ったが、統計学的有意差には到達しなかった(HR:0.76、97.54%CI:0.564~1.019、p=0.036)。 デュルバルマブ・tremelimumab併用群のOSは、SoC群12.9ヵ月に対し11.9ヵ月、2年OS率は、同22.7%に対し35.4%であった(HR:0.85、98.77%CI:0.611~1.173)。併用群のPFS中央値は、SoC群5.4ヵ月に対し3.9ヵ月、1年PFS率はSoC群25.8%に対し14.3%であった(HR:1.05、99.5%CI:0.722~1.534)。デュルバルマブ・tremelimumabの併用療法はPFSおよびOSともに未達成であった。なお、標準化学療法群のうち39.5%は、化学療法後に免疫療法を受けていた。 また、あらかじめ規定された探索的解析では、腫瘍遺伝子変異量(bTMB)による生存を調査している。メガベースあたり16以上の変異と定義されたbTMB高値におけるデュルバルマブ・tremelimumab併用群のOS HRは標準化学療法群との比較で0.62(95%CI:0.451~0.855)、デュルバルマブ単剤群のOS HRは0.80(0.588~1.077)であった。 MYSTIC試験のデュルバルマブおよびデュルバルマブ・tremelimumab併用療法の安全性ならびに忍容性プロファイルは過去の試験と一貫していた。Grade3/4の有害事象はデュルバルマブ単剤群40.4%、デュルバルマブ・tremelimumab併用群47.7%、化学療法群46.0%であった。治療関連有害事象による治療中止はデュルバルマブ単剤群5.4%、デュルバルマブ・tremelimumab併用群13.2%、化学療法群の9.4%であった。

1319.

骨粗鬆症検診、受診率が最も低い県は?

 骨粗鬆症患者は約1,280万人と推計されているが、自覚症状がないことが多いため気づかれにくい。骨折などでQOLが急激に低下することを防ぐためには早期に診断し、治療に取り組むことが重要となっている。12月7日、骨粗鬆症財団は厚生労働省の公表データをもとに都道府県別に骨粗鬆症検診受診率を調べた結果を発表した。検診受診率が最も高い栃木県と最も低い島根県では47倍もの開きがあり、相関解析の結果、検診受診率が低い地域ほど大腿骨骨折の発生率が高く、介護が必要になる人が多くなる傾向が明らかになった。検診受診率は最も高い県で14%、最も低い県では0.3% 現在国が行っている公的な骨粗鬆症検診としては、40、50、55、60、65、70歳の女性を対象にした節目検診があり、骨粗鬆症財団では男性でも70代以降は2年おきを目安とした受診を推奨している。 2015年度の骨粗鬆症検診の受診率は全国平均で5.0%と低く、高い方から栃木県(14.0%)、山梨県(13.1%)、福島県(13.1%)、群馬県(13.1%)、宮城県(12.1%)であった。低い方からみていくと島根県(0.3%)、和歌山県(0.9%)、神奈川県(0.9%)、京都府(1.1%)、北海道(1.2%)の順で、地域によって大きな差があることが明らかとなった1)。検診受診率が高いほど大腿骨骨折が少なく、要介護率が低い傾向 骨粗鬆症は大腿骨骨折の大きなリスク因子であり、本調査では、大腿骨骨折により人工骨頭挿入術を受けた患者の割合と、検診受診率および要介護率との間の関連が調べられた。 その結果、大腿骨骨折により人工骨頭挿入術を受けた患者の割合と要介護率との間には正の相関(n=47、r=0.47、p<0.01)、人工骨頭挿入術を受けた患者の割合と検診受診率との間には負の相関(n=46、r=-0.49、p<0.01)がみられた。さらに、要介護率と検診受診率との間には負の相関関係が認められている(n=46、r=-0.46、p<0.01)。これらのことから、検診受診率の低い地域ほど大腿骨骨折の発生率が高く、介護が必要になる人が多い傾向が示唆された。 なお、各種の健康診査およびがん検診(健康診査、血圧、脂質検査、糖尿病検査、貧血検査、肝疾患検査、腎疾患検査、胃がん健診、肺がん検診、大腸がん検診、子宮頸がん検診、乳がん検診)の検診受診率と要介護率の間には相関関係は認められなかった。 骨粗鬆症検診の受診者数は「平成27年度地域保健・健康増進事業報告(健康増進法)」、要支援及び要介護者数は「平成26年度介護保険事業状況報告」、人工骨頭挿入術(股)数は「第 2 回レセプト情報・特定健診等情報データベース」、人口は「平成 27 年国勢調査人口等基本集計」を用いている。この結果は、日本骨粗鬆症学会雑誌2)に報告された。 骨粗鬆症財団ホームページ内の「検診のQ&A」ページでは医療従事者向けのQ&Aが掲載されているほか、骨量測定結果の見方について患者配布用の資材もダウンロード可能となっている。■参考1)公益財団法人骨粗鬆症財団 プレスリリース2)山内広世ほか. 日本骨粗鬆症学会雑誌. 2018;4:513.〔12月17日 記事の一部を修正いたしました〕

1320.

オシメルチニブの耐性機序【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第3回

第3回 オシメルチニブの耐性機序1)Piotrowska Z, Isozaki H, Lunnerz JK, et al. Landscape of Acquired Resistance to Osimertinib in EGFR-Mutant NSCLC and Clinical Validation of Combined EGFR and RET Inhibition with Osimertinib and BLU-667 for Acquired RET Fusion. Cancer Discov. 2018 Sep 26. [Epub ahead of print]2)Oxnard GR,et al. Assessment of Resistance Mechanisms and Clinical Implications in Patients With EGFR T790M-Positive Lung Cancer and Acquired Resistance to Osimertinib.JAMA Oncol.2018;4:1527-1534.3)Papadimitrakopoulou,et al. Analysis of resistance mechanisms to osimertinib in patients with EGFR T790M advanced NSCLC from the AURA3 study. ESMO2018LBA51EGFR遺伝子変異陽性例に対する最善の治療として脚光を浴びるオシメルチニブ。徐々にではあるが、耐性機序についても報告が増えてきている。今回、MGH(マサチューセッツ総合病院)のグループからCancer Discovery誌に新規の報告が出ていたので、紹介する。MGHで治療されたオシメルチニブ耐性41例における腫瘍組織・cfDNAの解析を報告したもの。ほぼ全例が2次・3次治療、つまりT790M変異陽性例に対してオシメルチニブを用いた後の耐性。組織検体35例の解析において、2例で小細胞がん、1例で扁平上皮がんへの転化が確認されている。変異解析では、19%でEGFR C797S変異が認められたが、いずれもcis配置であった。その他の変異として、22%にMET増幅が確認されている。複数箇所の生検が得られた患者において、異なる変異(C797S変異と野生型、MET増幅あり・なし)などが認められた。少数ではあるが、3例でRET融合遺伝子異常が確認された。融合遺伝子異常は過去のMGHのパネルでは検索されていなかったため、さかのぼって検討したところ、RETやBRAF融合遺伝子異常が1例ずつ確認された。前臨床研究では、RET陽性細胞株に対してRET阻害剤単独では効果不十分であり、オシメルチニブとRET阻害剤の併用が有効であった。こうした結果を基に、上記のオシメルチニブ耐性のRET陽性例に対してRET阻害剤+オシメルチニブ併用が行われ、著明な腫瘍の縮小が認められた。オシメルチニブの耐性機序については、2015年に報告された、C797Sが有名である(Thress KS, et al. Nature Med. 2015;21:560-562.)。ただしこれは15例中6例と非常に少数例の解析であった。その後にOxnardらが140例程度の解析においてC797Sの頻度は22%と報告している(Oxnard GR, et al. JAMA Oncol. 2018;4:1527-1534.)。さらに今年のESMOではAURA3試験の耐性機序が報告され、C797S変異(14%)・MET増幅(19%)・細胞周期に関する遺伝子異常(12%)・HER2増幅(5%)・PIK3CA異常(5%)など、とされている(Papadimitrakopoulou, ESMO2018)。当初提唱されていた「C797S陽性例に第1・2世代EGFR-TKIが有効かもしれない」という仮説については、これまでの実臨床における報告の大多数がcis配置とのことであり、期待感が少し下がりつつある一方で、昨今言われているようにオシメルチニブの耐性機序が非常に多彩であることがクローズアップされている。このOxnard論文でも、今読み返すと、RETやBRAF融合遺伝子が認められているし、SCLCへの転化も複数例報告されている。今後、実臨床では、FLAURA試験の結果を受けてオシメルチニブの初回治療へとシフトしていくと思われる。その場合の耐性機序がT790M変異陽性例とどの程度異なるのかは、気になる点である(Ramalingham, JCO2018などに少数ながら耐性機序の報告あり)。また、このように耐性機序が細分化していくと大規模な臨床試験で有効性を確認してはじめて承認される、というこれまでの流れを考え直す必要が出てくるかもしれない(本試験でも個人向けのoff labelプロトコールを施設で通した、との記載あり)。遺伝子変異陽性例の臨床研究には新たなルールの確立が急務であるように思われる。

検索結果 合計:2009件 表示位置:1301 - 1320