サイト内検索|page:6

検索結果 合計:1814件 表示位置:101 - 120

101.

早期からの緩和ケアっていつからやればいい?【非専門医のための緩和ケアTips】第63回

第63回 早期からの緩和ケアっていつからやればいい?緩和ケアを含む医療は時代と共に形を変えていくものですが、ここ最近は「いかに早期から緩和ケアを提供するか」という議論が盛んになっています。でも、コンセプトは理解できても、具体的にどうするかとなると、難しく感じる方も多いようです。今日の質問最近、「早期からの緩和ケア」や「診断時点の緩和ケア」という言葉をよく聞きます。終末期だけでなく、緩和ケアをできるだけ早くから提供する、という考え方はよいと思うのですが、具体的にはいつから行えばいいのでしょうか?この質問はよくいただくものですね。確かに、「早期の緩和ケア」といっても、具体的に「いつから、何をするのか」は、なかなか難しい問題です。研究領域においては、「早期からの緩和ケア」とは、「進行がんの診断後早期から専門的緩和ケアサービスが介入すること」を意味します。ただ、緩和ケアの専門家が少ない日本においては、「緩和ケアを専門としているかにかかわらず、その患者に関わる医療者が緩和ケアを提供する」という意味で用いられていることが多いです(「一次緩和ケア」とも呼びます)。早期の緩和ケアにおいては、「包括的アセスメント」が重要です。これは身体症状だけでなく、精神心理的な苦痛や社会的な問題など、幅広く緩和ケアを必要とする状態がないかを評価することです。要は「患者さんが困っていることがあれば、きちんとそれに気付いて対応しましょうね」というだけなので、まあ当たり前ではあります。でも、「本当に、きちんと、できていますか?」と改めて問われると、どうでしょうか?自分から「症状で困っていることはないのですが、今の治療がうまくいかなかったらどうしようと思って不安なんです。最近眠れないこともあって…」なんて言ってくれる患者さんは、そうはいません。よって、医療者側からきちんとアセスメントをすることが必要であり、結果として緩和ケアのニーズがあれば、それに対応します。このアセスメントのために、いくつかのツールが開発されています。有名なのが「生活のしやすさに関する質問票」1)です。こちらはフリーでダウンロードできますので、ぜひ活用してみてください。今回のTips今回のTips早期の緩和ケアとは、早ければいいわけではなく、ニーズに対して行うもの。病状にかかわらず、アセスメントを繰り返すことが大切。1)生活のしやすさに関する質問票/緩和ケア普及のための地域プロジェクト

102.

CheckMate試験の日本語版プレーン・ランゲージ・サマリーが公開/小野・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、抗PD-1抗体「オプジーボ(一般名:ニボルマブ)点滴静注」の3つの臨床試験結果に関するPlain Language Summary of Publication(PLS)の日本語版がFuture Oncology誌に掲載されたことを発表した。 PLSとは、臨床試験結果や医学論文などの情報を、専門家以外の人でも理解しやすいように平易な言葉で要約した文書で、PLSを受け入れる国際ジャーナルの増加に伴い、近年、世界的にその出版数が増加している。 今回、小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、下記3つの第III相臨床試験に関するPLSの日本語翻訳サポートを行った。・CheckMate 816試験:切除可能な非小細胞肺がん患者を対象に、術前補助療法としてニボルマブと化学療法の併用療法を評価した臨床試験PLS日本語版・CheckMate 649試験:未治療の切除不能な進行・再発の胃がん、胃食道接合部がん、食道腺がん患者を対象に、ニボルマブと化学療法の併用療法を評価した臨床試験PLS日本語版・CheckMate 274試験:根治的切除術を受けた筋層浸潤性尿路上皮がん患者を対象に、術後補助療法としてニボルマブを評価した臨床試験PLS日本語版 掲載されたPLSは、単純に元となった論文を簡素化した内容ではなく、疾患の基礎情報や専門用語の解説、薬の基本的な作用機序などについてもまとめられている。また、文書全体にイラストやピクトグラムを用い、治療の意義や結果の解釈なども含めて、QA形式でわかりやすく解説されている。 いずれもオープンアクセスになっており、専門家以外が情報を確認したり、医療関係者が患者への説明に使用したりすることで、治療の理解や選択に役立つと考えられる。 なお、小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、国際ジャーナルに掲載された主要な第III相臨床試験のPLSについて、今後も日本語翻訳のサポートを行っていくとしている。

103.

NSCLCの術前術後デュルバルマブ、pCRとEFS改善(AEGEAN)/NEJM

 未治療の切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、術前化学療法+周術期(術前術後)のデュルバルマブは、術前化学療法単独と比較し、無イベント生存期間(EFS)および病理学的完全奏効(pCR)を有意に改善し、安全性プロファイルは各薬剤の既知のプロファイルと一致していたことが示された。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJohn V. Heymach氏らが、28ヵ国で実施された国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「AEGEAN試験」の結果を報告した。術前または術後の補助療法としての免疫療法は、切除可能NSCLC患者のアウトカムを改善する可能性が示されており、周術期レジメンは両方の利点が組み合わさり長期アウトカムを改善することが期待されていた。NEJM誌2023年10月23日号掲載の報告。術前化学療法+周術期デュルバルマブvs.術前化学療法+プラセボを比較 研究グループは、未治療の切除可能なStageIIA~IIIB[N2](AJCC Cancer Staging Manual第8版による)のNSCLCで、手術が予定され、ECOG PSが0~1の18歳以上の患者を、病期(IIまたはIII)、PD-L1発現(≧1%または<1%)で層別化して、デュルバルマブ群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。術前にプラチナ製剤ベースの化学療法+デュルバルマブまたはプラセボの静脈内投与を3週ごとに4サイクル、術後にデュルバルマブまたはプラセボの静脈内投与を4週ごとに12サイクル行った。 主要評価項目は、EFS(盲検下独立中央判定)とpCR(中央評価)であった。EFSは、手術の施行または完了が阻害された病勢進行、局所再発または遠隔再発、あるいは全死因死亡のうち最も早く発生したイベントまでの期間と定義した。なお、有効性の解析は、ベースラインでEGFRまたはALK遺伝子変異が確認された患者を除外して行われた(修正ITT集団)。 2019年1月2日~2022年4月19日の間に、計802例がデュルバルマブ群(400例)とプラセボ群(402例)に無作為に割り付けられ、修正ITT集団は計740例(それぞれ366例、374例)であった。デュルバルマブ併用の有益性、病期やPD-L1発現状況にかかわらず確認 修正ITT集団について事前に計画した第1回中間解析(データカットオフ2022年11月10日、無イベント生存者の追跡期間中央値11.7ヵ月[範囲:0.0~46.1])において、EFSは、デュルバルマブ群未到達(NE)、プラセボ群25.9ヵ月であり、デュルバルマブ群で有意な延長を認めた(病勢進行、再発または死亡の層別化ハザード比[HR]:0.68、95%信頼区間[CI]:0.53~0.88、p=0.004)。12ヵ月EFS率は、デュルバルマブ群73.4%(95%CI:67.9~78.1)、プラセボ群64.5%(58.8~69.6)であった。24ヵ月EFS率は、それぞれ63.3%(56.1~69.6)、52.4%(45.4~59.0)であった。 pCRは最終解析(データカットオフ2022年11月10日)において、デュルバルマブ群17.2%(95%CI:13.5~21.5)、プラセボ群4.3%(95%CI:2.5~6.9)で、デュルバルマブ群が有意に高かった(群間差:13.0ポイント、95%CI:8.7~17.6)。この結果は、中間解析の結果(データカットオフ2022年1月14日、402例対象、p<0.001)と一致していた。 EFSおよびpCRに関するデュルバルマブの有益性は、病期およびPD-L1発現状況にかかわらず確認された。 Grade3または4の有害事象の発現率は、デュルバルマブ群42.4%、プラセボ群43.2%であった。

104.

がん検診で見つかった異常、フォローアップ率向上の鍵を握るのはプライマリケア医

 乳がん、子宮頸がん、大腸がん、および肺がんの検診で異常が見つかり、経過観察(フォローアップ)が必要になった患者に対してプライマリケア医が介入することで、患者が必要なフォローアップを推奨通りのタイミングで受ける可能性の高まることが、新たな臨床試験で示された。米マサチューセッツ総合病院(MGH)一般内科のSteven Atlas氏らが、米国立がん研究所(NCI)と米国がん協会(ACS)の支援を受けて実施したこの研究の詳細は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」10月10日号に発表された。 この臨床試験は、米国の3つのヘルスケアネットワークと提携している44カ所のプライマリケアクリニックで、2020年8月24日から2021年12月31日の間に、乳がん、子宮頸がん、大腸がん、および肺がんの検診を受け、異常が1回以上認められたが、フォローアップを受けていない患者1万1,980人(年齢中央値60歳、女性64.8%)を対象にしたもの。異常が見つかったがんの中で最も多かったのは大腸がん(69%)で、次いで、子宮頸がん(22%)、乳がん(8%)、肺がん(1%)の順に多かった。 研究グループは、電子健康記録(EHR)のデータから、検診で判明した異常に対してフォローアップ検査を受けるべきタイミングを推奨するためのアルゴリズムを開発した。対象者は、1)通常のケアを受ける群、2)EHRにリマインダーが表示される群、3)EHRへのリマインダー表示に加え、2週間が経過してもフォローアップを受けない患者に手紙を送り、それでもフォローアップを受けない患者には4週間後に電話をかける群、4)2と3の介入を行い、4週間が経過してもフォローアップを受けない患者に患者ナビゲーターが電話をかける群、の4群にランダムに割り付けられた。 その結果、主要評価項目とした、試験登録から120日以内に推奨されたフォローアップを完了した患者の割合は、4番目の群(EHRリマインダー+手紙・電話+ナビゲーターによる電話)で31.4%、3番目の群(EHRリマインダー+手紙・電話)で31.0%、2番目の群(EHRリマインダー)で22.7%、1番目の群(通常ケア)で22.9%であった。また、4番目の群は1番目の群に比べて120日以内にフォローアップを完了する患者の割合が8.5%有意に高いことが示された(調整済み絶対差8.5%、95%信頼区間4.8〜12.0%、P<0.001)。さらに、240日以内にフォローアップを完了した患者の割合についての検討と、がんの種類や検診の異常結果のリスクレベル別の検討でも、同様の傾向が見られた。 Atlas氏は、「患者ががん検診受診により最大の利益を得るためには、乳がん、子宮頸がん、大腸がん、あるいは肺がんの検診で異常が見つかった場合に、それを適切なタイミングでフォローアップするためのEHRを使ったリマインダーや患者に受診を促すシステムを医療機関が整える必要がある」と話す。また、同氏は、「そのようなシステムは、プライマリケアをベースに築くのが最善だとわれわれは考えている。なぜなら、全人的なアプローチを取り、がん検診や検査結果のフォローアップを含む幅広い予防医療活動を担っているのがプライマリケア医だからだ」とMGHのニュースリリースで述べている。 さらにAtlas氏は、「介入は成功したものの、フォローアップ受診率には依然として大きなギャップが存在する。予防的がん検診の効果を十分に得るためには、これらの問題に対処する必要がある」との考えを示している。

105.

オンコマインDx、カプマチニブのMETエクソン14スキッピング非小細胞肺がんに対するコンパニオン診断として追加申請/サーモフィッシャー

 サーモフィッシャーは、オンコマインTM Dx Target Test マルチ CDxシステム(以下、オンコマインDx)について、カプマチニブ塩酸塩水和物(以下、カプマチニブ)のMETエクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対するコンパニオン診断として、2023年11月1日付で厚生労働省に医療機器製造販売承認事項一部変更申請を行ったと発表。 カプマチニブに対するコンパニオン診断システムとしての適応追加の承認が得られれば、オンコマインDxは、非小細胞肺がんの7ドライバー遺伝子(BRAF、EGFR、HER2、ALK、ROS1、RET、MET)、甲状腺がんの1ドライバー遺伝子(RET)、甲状腺髄様がんの1ドライバー遺伝子(RET)を網羅するコンパニオン診断システムとなる。

106.

セルペルカチニブによるRET陽性NSCLC1次治療、PFSを有意に延長/NEJM

 進行RET融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)の患者に対し、セルペルカチニブはプラチナベースの化学療法(ペムブロリズマブの併用を問わず)と比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが、中国・同済大学のCaicun Zhou氏らが行った第III相無作為化試験で示された。セルペルカチニブは中枢移行性を有する強力な選択的RET阻害薬で、進行RET融合遺伝子陽性NSCLC患者に対する有効性が、第I・II相の非無作為化試験で示されていた。NEJM誌オンライン版2023年10月21日号掲載の報告。切除不能なRET陽性・非扁平上皮NSCLCで全身性治療未実施の患者を対象に試験 1次治療としてのセルペルカチニブの有効性と安全性を検証した本試験は、病理学的に確認された切除不能なStageIIIB、IIIC、IVのRET融合遺伝子陽性・非扁平上皮NSCLCで、転移後に薬物治療を受けていない18歳以上の患者を対象に行われた。研究グループは被験者を、セルペルカチニブ(160mg、1日2回、21日サイクル)の投与を受ける群、プラチナベースの化学療法を受ける群(対照群)に、無作為に割り付けた。対照群には、治験担当医師の裁量でペムブロリズマブ(200mg)を投与した。試験薬の投与期間中、対照群に盲検下独立中央判定(BICR)で評価された病勢進行が認められた場合は、セルペルカチニブ群へのクロスオーバーが認められた。 主要評価項目は、ITTペムブロリズマブ集団(対照群に割り当てられた場合に医師がペムブロリズマブを投与する予定だった患者を含む)と被験者全体のITT集団の両集団における、BICRで評価したPFSだった。PFS中央値、セルペルカチニブ群24.8ヵ月、対照群11.2ヵ月 2020年3月~2022年8月に、23ヵ国103施設から計261例(全ITT集団)が登録された。 ITTペムブロリズマブ集団は計212例だった(セルペルカチニブ群129例、対照群83例)。被験者は65歳未満、女性、非喫煙者が多かった。 事前計画の中間有効性解析時点(死亡または病勢進行が98イベント後と規定)のPFS中央値は、セルペルカチニブ群24.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:16.9~推定不能)、対照群11.2ヵ月(8.8~16.8)だった(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.46、95%CI:0.31~0.70、p<0.001)。 奏効を示した患者の割合は、セルペルカチニブ群84%(95%CI:76~90)、対照群65%(54~75)だった。中枢神経系に影響をもたらした病勢進行までの時間に関する原因特異的HRは0.28(95%CI:0.12~0.68)だった。 有効性に関する全ITT集団(261例)の結果は、ITTペムブロリズマブ集団の結果と類似していた。有害事象は、両群ともに既報のものと変わらなかった。

107.

75歳以上/PS2以上の局所進行NSCLCにもCRT後のデュルバルマブ地固めは有用か?/ESMO2023

 化学放射線療法(CRT)後のデュルバルマブ地固め療法は、切除不能な局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する標準治療である。しかし、75歳以上またはperformance status(PS)2以上の切除不能な局所進行NSCLC患者における臨床的意義については明らかになっていない。そこで、この集団におけるCRT後のデュルバルマブ地固め療法の有用性を検討したNEJ039A試験が実施され、その結果を静岡県立静岡がんセンターの高 遼氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。試験デザイン:国内第II相単群試験対象:StageIIIの切除不能NSCLC患者のうち、PS 0/1かつ75歳以上の患者73例、PS 2以上かつ75歳未満の患者13例(計86例)試験群:CRT(30分割で合計60Gyを照射。最初の20回は、放射線照射の1時間前に低用量カルボプラチン[30mg/m2]を毎回投与)→デュルバルマブ(10mg/kgを2週ごと、1年間)評価項目:[主要評価項目]デュルバルマブ投与開始から12ヵ月後の無増悪生存(PFS)率※[副次評価項目]PFS、全生存期間(OS)、安全性など※:既報を基に、35%以上であれば臨床的有用性を示すとみなすこととした。 主な結果は以下のとおり。・2019年9月~2021年10月の期間にCRTを受けた患者86例のうち、61例(70.9%)がデュルバルマブ地固め療法を受けた。この61例(男性50例[82%]、年齢中央値78歳[範囲:55~89])が解析対象となった。・解析対象のうち、PS 0は28例(45.9%)、1は27例(44.3%)、2は6例(9.8%)であった。PD-L1発現状況は、50%以上が14例(23.0%)、1~49%が17例(27.9%)、1%未満が17例(27.9%)、不明が13例(21.3%)であった。・デュルバルマブ投与開始から12ヵ月後のPFS率は51.0%(90%信頼区間[CI]:39.9~61.1)であった(参考:同様のレジメンで対象患者がPS 0/1、年齢中央値64歳であったPACIFIC試験1)のPFS率は55.9%)。・PFS中央値は12.3ヵ月、OS中央値は28.1ヵ月であった。・全Gradeの有害事象として、肺臓炎または放射線肺臓炎が80.3%に発現した。Grade3/4の有害事象で最も多かったものは、肺臓炎または放射線肺臓炎(8.2%)であった。Grade5の間質性肺炎により1例が死亡した。 高氏は、本結果について「デュルバルマブ投与開始から12ヵ月後のPFS率は51.0%と高く、主要評価項目を達成した。全Gradeの有害事象として、肺臓炎または放射線肺臓炎の発現率が既報1)よりも高かったが、Grade3以上については10%未満の発現率であり、許容可能と考えられた。本試験の結果から、75歳以上またはPS 2以上などの脆弱な局所進行NSCLC患者に対しても、CRT後のデュルバルマブ地固め療法は効果的かつ適応可能であることが示唆された」とまとめた。

108.

既治療の進行NSCLC、Dato-DXdがPFS改善(TROPION-Lung01)/ESMO2023

 TROP2を標的とする抗体薬物複合体(ADC)のdatopotamab deruxtecan(Dato-DXd)は、複数のがん種において臨床試験が実施されており、有用性が検討されている。その1つに、前治療歴のある進行・転移非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした国際共同第III相比較試験TROPION-Lung01試験があり、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)において、米国・カリフォルニア大学のAaron Lisberg氏が第1回中間解析の結果を報告した。本試験において、Dato-DXdは2次治療の標準治療の1つとされるドセタキセルと比較して、有意に無増悪生存期間(PFS)を改善した。試験デザイン:国際共同第III相無作為化非盲検比較試験対象:前治療歴のあるStageIIIB、IIIC、IV(AJCC第8版に基づく)のNSCLC患者604例(actionable遺伝子変異の有無は問わない)試験群:Dato-DXd(6mg/kg)を3週ごと(Dato-DXd群:299例)対照群:ドセタキセル(75mg/m2)を3週ごと(ドセタキセル群:305例)評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)に基づくPFS、全生存期間(OS)[副次評価項目]BICRに基づく奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・対象患者の年齢中央値は64歳(範囲:24~88)で、43.1%(260/604例)が2ライン以上の前治療を受けていた。actionable遺伝子変異を有する患者の割合は17%(101/604例)で、多くがEGFR遺伝子変異であった(14%[84/604例])。・治療期間中央値は、Dato-DXd群4.2ヵ月(範囲:0.7~18.3)、ドセタキセル群2.8ヵ月(範囲:0.7~18.9)であった。・BICRに基づくPFS中央値は、Dato-DXd群4.4ヵ月、ドセタキセル群3.7ヵ月であり、Dato-DXd群が有意に改善した(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.62~0.91、p=0.004)。12ヵ月PFS率はそれぞれ30.1%、17.8%であった。・PFSに関するサブグループ解析において、扁平上皮がん(HR:1.38)を除いてDato-DXd群が良好な傾向にあった。・非扁平上皮がん(Non-Sq)のサブグループにおけるPFS中央値は、Dato-DXd群5.6ヵ月、ドセタキセル群3.7ヵ月であった(HR:0.63、95%CI:0.51~0.78)。・BICRに基づくORRは、Dato-DXd群26.4%、ドセタキセル群12.8%であり、DOR中央値はそれぞれ7.1ヵ月、5.6ヵ月であった。・OSのデータは未成熟であったが、OS中央値はDato-DXd群12.4ヵ月、ドセタキセル群11.0ヵ月であり、Dato-DXd群が良好な傾向にあった(HR:0.90、95%CI:0.72~1.13)。・Dato-DXd群の主な治療関連有害事象は、口内炎(47%)、悪心(37%)であった。・治療に関連すると判定されたGrade3以上の間質性肺疾患は、Dato-DXd群3.4%、ドセタキセル群1.4%に認められた(Grade5はそれぞれ7例、1例)。 本結果について、Lisberg氏は「前治療歴のある進行・転移NSCLC患者において、Dato-DXdはドセタキセルと比較してPFSを有意に改善した。ただし、PFSの改善は主にNon-Sqの患者でみられた。Grade3以上のTRAEの発現は少なく、新たな安全性シグナルは確認されなかった。しかし、Grade3以上の間質性肺疾患がみられたため、注意深く観察する必要があることが示された。以上から、Dato-DXdは前治療歴のあるNon-Sq NSCLC患者に対する、新たな治療選択肢になる可能性があると考えている」とまとめた。

109.

EGFR exon20挿入変異にamivantamab+化学療法(PAPILLON)/ESMO2023

 EGFR exon20挿入変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、EGFR・MET二重特異性抗体amivantamabと化学療法の併用を評価する国際無作為化比較第III相試験PAPILLONの結果を、フランス・キューリー研究所のNicolas Girard氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。 未治療のEGFR exon20挿入変異陽性のNSCLCの治療成績は芳しくなく、全生存期間(OS)中央値は16〜24ヵ月である。同バリアントは、従来のEGFR-TKIに対する感受性がなく、免疫チェックポイント阻害薬もベネフィットを示せていない。・対象:未治療のEGFR exon20挿入変異陽性NSCLC・試験群:amivantamab+化学療法(amivantamab群、153例)・対照群:化学療法(化学療法群、155例)・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)評価の無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、OS、PFS2、安全性など 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は14.9ヵ月であった。・BICR評価のPFS中央値はamivantamab群11.4ヵ月、化学療法群6.7ヵ月で、amivantamab群で有意に延長した(ハザード比[HR]:0.395、95%信頼区間[CI]:0.30~0.53、p<0.0001)。12ヵ月PFSはそれぞれ48%と13%、18ヵ月PFSはそれぞれ31%と3%であった。・すべてのPFSサブグループにおいて、amivantamab群が良好であった。・BICR評価のORRはamivantamab群73%、化学療法群47%であった(オッズ比[OR]:3.0、95%CI:1.8〜4.8、p<0.0001)。・DOR中央値はamivantamab群9.7ヵ月、化学療法群4.4ヵ月であった。・PFS2中央値はamivantamab群未到達、化学療法群17.2ヵ月で、amivantamab群で有意に延長した(HR:0.493、95%CI:0.32〜0.76、p=0.001)。・OS中央値は未到達であった(HR:0.675、95%CI:0.42〜1.09、p=0.106)。・OS中央値はamivantamab群未到達、化学療法群24.4ヵ月であった(HR:0.675、95%CI:0.42〜1.09、p=0.106)。 Girard氏は、この試験の結果から、EGFR exon20挿入変異NSCLCに対するamivantamab+化学療法の1次治療は新たな標準治療であることを示した、と述べた。

110.

オシメルチニブ耐性EGFR陽性肺がんに対するamivantamab含有レジメンの有効性(MARIPOSA-2)/Ann Oncol

 オシメルチニブ耐性を獲得したEGFR陽性肺がんに対し、有望な新治療法が報告された。 現在、EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療では、主に第3世代EGFR-TKIであるオシメルチニブがである用いられる。しかし、初回治療の奏効にもかかわらず、多くの症例がオシメルチニブ耐性を獲得し、その後は細胞障害性抗がん剤による治療が主流となる。 オシメルチニブの耐性メカニズムは多彩であるが、MET遺伝子異常とEGFR経路の異常が多いとされる。amivantamabはEGFRとMETの二重特異性抗体、lazertinibは第3世代EGFR-TKI である。この両剤と化学療法の併用は、オシメルチニブを含むEGFR-TKI耐性のEGFR変異陽性NSCLCにおける有効性を第I相試験で示している。 MARIPOSA-2試験は、オシメルチニブ耐性のEGFR変異陽性NSCLCに対する、amivantamab+化学療法±lazertinibを評価した国際無作為化第III相試験である。・対象:オシメルチニブ単剤療法耐性のEGFR変異(exon19 delまたはL858R)NSCLC・試験群1:amivantab+lazertinib+化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)(ALC群、n=263)・試験群2:amivantab+化学療法(同上)(AC群、n=131)・対照群:化学療法(同上)(C群、n=263)・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)評価による無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、PFS2、安全性など 主な結果は以下のとおり。・PFS中央値はAC群6.3ヵ月、ALC群8.3ヵ月、C群4.2ヵ月で、対化学療法群のハザード比(HR)はそれぞれ0.48(95%CI:0.36~0.64、p<0.001)、0.44(95%信頼区間[CI]:0.35~0.56、p<0.001)であった。・サブ解析においても、すべての集団でamivantamab含有群のPFSが良好な結果であった。・ORRはAC群64%、ALC群63%、C群36%で、対化学療法のオッズ比[OR]はそれぞれ3.10(95%CI:2.00~4.80、p<0.001)、2.97(95%CI:2.08~4.24、p<0.001)であった。・BICR評価による頭蓋内PFSはAC群12.5ヵ月、ALC群12.8ヵ月、C群8.3ヵ月で、対化学療法のHRはそれぞれ0.55(95%CI:0.38~0.79)と0.58(95%CI:0.44~0.78)であった。・DORはAC群6.9ヵ月、ALC群9.4ヵ月、C群5.6ヵ月であった。・Grade3以上の試験治療下における有害事象(TEAE)は、ALC群92%、AC群72%、C群の48%で発現した。・amivantamab含有群で頻度が高かったGrade3以上のTEAEは好中球減少、血小板減少、白血球減少であった。また、インフュージョンリアクション(全Grade)がAC群の58%、ALC群の56%、静脈血栓塞栓症(全Grade)がAC群の10%、ALC群の22%で発現した。

111.

EGFR陽性肺がん1次治療におけるamivantamab+lazertinibの有効性(MARIPOSA)/ESMO2023

 EGFR陽性肺がんの1次治療に新たな選択肢が示された。 現在、EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療では標準治療として、第3世代EGFR-TKIであるオシメルチニブが用いられる。オシメルチニブによる1次治療は優れた有効性を示すが、いまだに治療抵抗性や病勢進行例の存在は避けられない。 この治療抵抗性の25〜50%は、EGFRおよびMET遺伝子の2次的な異常である。EGFRとMETの二重特異性抗体であるamivantamabと、新規第3世代EGFR-TKIであるlazertinibの併用は、EGFR変異陽性NSCLC1次治療において、抵抗性を克服し、臨床成績を改善すると期待される。第I相試験CHRYSALISでは、この2剤の併用が未治療のEGFR変異陽性NSCLCに対し持続的な効果を示している。 未治療のEGFR変異陽性NSCLCに対する、amivantamab+lazertinibとオシメルチニブを比較した国際無作為化第III相試験であるMARIPOSA試験が行われている。韓国・延世がんセンターのByoung Chul Cho氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で同試験の主要結果を発表した。・対象:未治療のEGFR変異(exon19 delまたはL858R)陽性NSCLC・試験群1:amivantamab+lazertinib(AL群、n=429)・試験群2:lazertinib(L群、n=216)・対照群:オシメルチニブ(O群、n=429)・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)評価による無増悪生存期間(PFS)(AL群対O群)[副次評価項目]奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、奏効期間(DOR)、PFS2、安全性など(AL群対O群) 主な結果は以下のとおり。・PFS中央値はAL群23.7ヵ月、O群16.6ヵ月であり(ハザード比[HR]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.58〜0.85、p<0.001)、L群は18.5ヵ月であった。・ORRはAL群86%、O群85%であった。・DORはAL群25.8ヵ月、O群16.8ヵ月であった。・脳転移あり例のPFS中央値はAL群18.3ヵ月、O群13.0ヵ月であった(HR:0.69、95%CI:0.53〜0.92)。・脳転移なし例のPFS中央値はAL群27.5ヵ月、O群19.9ヵ月であった(HR:0.69、95%CI:0.53〜0.89)。・中間解析(追跡期間22.0ヵ月)でのOS中央値は両群とも未到達で、24ヵ月OS率はAL群74%、O群69%であった(HR:0.70、95%CI:0.61〜1.05、p=0.11)。・Grade3以上の有害事象(AE)は、AL群75%、O群43%で発現した。・懸念すべきAEである静脈血栓塞栓症はAL群の37%で発現し、ほとんどはGrade1〜2であった。 Byoung Chul Cho氏は、amivantamabとlazertinib併用は、EGFR変異陽性NSCLの1次治療における新たなスタンダードであると結んだ。

112.

膵がん治療中に造影CTで偶然肺塞栓を発見!適切な対応は?【見落とさない!がんの心毒性】第25回

※本症例は、実臨床のエピソードに基づく架空のモデル症例です。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。《今回の症例》年齢・性別70代・男性主訴なし現病歴既往症はとくになし。背部痛を契機に病院を受診し、腹部エコーで膵頭部腫瘍、多発肝結節を指摘された。経皮的肝生検で膵がん(腺がん)の病理診断となった。造影CTで膵頭部の原発巣および多発肝転移、腹膜播種、腹水貯留を認めた。CA19-9が1,250U/mLと上昇していたほか、血液検査で臨床的に問題となる異常所見は認めなかった。膵がんStageIVの診断で、PS0と全身状態は良好であり、緩和的化学療法を導入する方針となった。ゲムシタビン+ナブパクリタキセル(GEM+nab-PTX)療法(GEM1,000mg/m2 day1,8,15/nab-PTX125mg/m2 day1,8,15/1サイクル=4週)を開始した。3サイクル終了後、がんの病勢評価のために造影CTを実施したところ、両肺動脈に造影欠損域が多発しており、偶発的肺塞栓症(incidental pulmonary embolism:incidental PE)が発覚した。【問題1】当該患者に連絡し、臨時で病院を受診するように指示をした。取り急ぎ確認すべきこと、必要な検査として優先度の低い選択肢を一つ選べ。a.自覚症状の有無(呼吸困難、胸痛など)の確認とバイタルサインb.血液検査 D-dimerc.血液検査 CA19-9d.心臓超音波検査e.下肢超音波検査【問題2】該当患者がPEを発症した原因を鑑別する上で、優先度の低い選択肢を一つ選べ。a.造影CTでがんの病勢確認b.DVTの確認c.GEMやnab-PTXによる薬剤性血栓塞栓症リスクの確認d.プロテインC/プロテインSの確認e.がん以外の合併症や内服薬の確認全体解説Incidental PEは症候性VTEと同様に抗血栓薬での治療を行うことがASCOガイドラインで提案されている3)。韓国で実施された後ろ向き研究で、肺がん患者におけるincidental PEについて評価された。8,014例の肺がん患者が登録されたデータベースにおいて、180例(2.2%)が治療経過の中でPEと診断されており、その内113例(63%)がincidental PEであった。肺がんの診断から3ヵ月以内にPEを発症した場合は予後不良(ハザード比[HR]:1.5)であり、またincidental PEに対する抗血栓療法を行わなかった場合は予後不良(HR:4.1)であったと報告されている4)。本邦からの単施設による後ろ向き研究では、incidental PEのがん患者における発症率は1.3%であり、PE合併がん患者の死亡率は高い(HR:2.26)ことが報告されている5)。incidental PEについて検討した大規模試験は多くないが、日常診療で経験される病態であり、基本的には症候性PEと同様に対応することが望ましい。Incidental PEはその診断経緯から無症候性であることも多い。スペインで実施された前向き観察研究では、PEに起因するうっ血性心不全や右室機能不全、活動性出血などの大きなリスクがないincidental PE患者に対する外来抗血栓療法の安全性が報告されており6)、一部の症例は入院管理を必要としない可能性も示唆されるが、その適応は循環器内科専門医により慎重に判断される必要がある。また、Incidental PEは進行期のがん患者、および化学療法による積極的な治療中のがん患者に発症することが多く、発症数週以内の死亡の可能性もあるため7)、無症状であっても過小評価するべきではない。当科でもincidental PEは年に数件程度の頻度で経験するが、約1/3は膵がん患者である。Incidental PEの発症時期は、がんの診断直後(数ヵ月以内)、化学療法中、原疾患が進行し予後数週と思われる時期、などさまざまである。化学療法中の患者の場合は化学療法を円滑に継続するために腫瘍専門医と循環器内科医の協力が必須である。原疾患が進行し予後が限られている場合は、出血リスクや入院加療による負担などを考慮した上で治療適応を慎重に判断することが求められる。1)Horsted F, et al. PLoS Med. 2012;9:e1001275.2)Campia U, et al. Circulation. 2019;139:e579-e602.3)Key NS, et al. J Clin Oncol. 2023;41:3063-3071. 4)Sun JM, et al. Lung Cancer. 2010;69:330-336.5)Nishikawa T, et al. Circ J. 2021 Feb 17.[Epub ahead of print] 6)Martin AM, et al. Clin Transl Oncol. 2020;22:612-615.7)Olusi SO, et al. Vasc Health Risk Manag. 2011;7:153-158.講師紹介

113.

進行期肺がんの3割が悪液質を合併!?【DtoD ラヂオ ここが聞きたい!肺がん診療Up to Date】第3回

第3回:進行期肺がんの3割が悪液質を合併!?パーソナリティ日本鋼管病院 呼吸器内科 部長 田中 希宇人 氏ゲスト順天堂大学付属順天堂医院 宿谷 威仁 氏参考1)Shukuya t ,et al. Epidemiology, risk factors and impact of cachexia on patient outcome: Results from the Japanese Lung Cancer Registry Study. J Cachexia Sarcopenia Muscle.2023;14:1274-1285.2)未治療進行非小細胞肺癌における悪液質の合併と化学療法に与える影響の観察研究 NEJ050A試験関連サイト専門医が厳選した、肺がん論文・ニュース「Doctors'Picks」(医師限定サイト)講師紹介

114.

KRAS G12C変異陽性NSCLCに対するadagrasib+ペムブロリズマブの有用性(KRYSTAL-7)/ESMO2023

 adagrasibは、半減期が長く(23時間)、用量依存的な薬物動態を示し、中枢神経系への移行性を有するKRAS G12C阻害薬である。また、肝臓やその他の臓器部位に対するoff-target作用も少ないと考えられている。KRAS G12C変異を有する進行・転移非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、adagrasibとペムブロリズマブの併用療法を検討したKRYSTAL-7試験が実施され、PD-L1高発現(TPS 50%以上)の患者において有望な結果が示された。本結果は、米国・シカゴ大学メディカルセンターのMarina Garassino氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。試験デザイン:海外第II相試験対象:未治療のKRAS G12C変異を有する進行・転移NSCLC患者148例試験群:adagrasib(400mg、1日2回)+ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)評価項目:[主要評価項目]治験担当医師評価に基づく奏効率(ORR)[副次評価項目]奏効期間(DOR)、治験担当医師評価に基づく無増悪生存期間(PFS)、安全性など本発表では、PD-L1高発現(TPS 50%以上)の患者51例における有効性と治療を受けた全患者148例の安全性のデータが報告された。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の年齢中央値は67歳、女性が48%であり、追跡期間中央値は8.7ヵ月であった(PD-L1高発現の患者の追跡期間中央値は10.1ヵ月)。・PD-L1高発現の患者におけるORRは63%(CR:1例、PR:31例)、病勢コントロール率は84%であった。・奏効までの期間中央値は1.4ヵ月、DOR中央値は未到達(95%信頼区間[CI]:12.6~推定不能)であった。・PFS中央値は未到達(95%CI:8.2~推定不能)であり、1年PFS率は60.8%であった。・全患者における主な治療関連有害事象(40例以上に発現)は、悪心(34.5%)、下痢(29.7%)であった。・全Gradeの免疫関連有害事象(irAE)は18%、Grade3以上のirAEは5%に認められた。・Grade5の治療関連有害事象が2例(1%)に認められ、内訳は肺臓炎、肺炎であった。・adagrasibとペムブロリズマブの両剤の中止に至った治療関連有害事象は4%に認められた(adagrasibのみ中止:6%、ペムブロリズマブのみ中止:11%)。・ALT/AST上昇やその他の肝関連の治療関連有害事象により両剤の中止に至った患者はいなかった。 本結果について、Garassino氏は「adagrasibとペムブロリズマブの併用療法は、PD-L1高発現のNSCLC患者における有望な有効性、管理可能な安全性プロファイルを示した。PD-L1高発現の患者におけるORRは63%であり、ペムブロリズマブ単剤によって得られると予測されるORR(39~45%)よりも良好であった。これらの結果は、未治療のKRAS G12C変異を有するPD-L1 TPS 50%以上の進行・転移NSCLC患者を対象として、adagrasibとペムブロリズマブの併用療法とペムブロリズマブ単剤療法を比較する第III相試験の開始を支持するものである」とまとめた。

115.

KRAS G12C変異大腸がん、ソトラシブ+パニツブマブが第III相試験でPFS延長(CodeBreaK 300)/ESMO2023

 KRAS G12C遺伝子変異を有する進行固形がんに対する、KRAS G12C阻害薬ソトラシブの有用性をみる大規模バスケットCodeBreaK試験。第I相CodeBreaK 101試験ではKRAS G12C変異の転移大腸がん(mCRC)コホートにおいて、ソトラシブ+抗EGFR抗体パニツムマブ併用療法が30%の奏効率(ORR)を示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)のPresidentialセッションで、イタリア・Fondazione IRCCS Istituto Nazionale dei TumoriのFilippo Pietrantonio氏が、第III相CodeBreaK 300試験の初回解析結果を発表した。・対象:化学療法抵抗性KRAS G12C変異を有するmCRC患者、PS0~2・試験群:ソトラシブ960mgを1日1回+パニツムマブ6mg/kg(高ソト群)、またはソトラシブ240mgを1日1回+パニツムマブ6mg/kg(低ソト群)・対照群:治験責任医師が選択したTAS-102またはレゴラフェニブ(選択治療群)・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、ORR 主な結果は以下のとおり。・160例が登録され、高ソト群(n=53)、低ソト群(n=53)、選択治療群(n=54)に無作為に1対1対1で割り付けられた。・追跡期間中央値7.8ヵ月におけるPFSは、高ソト群5.6ヵ月、低ソト群3.9ヵ月、選択治療群2.2ヵ月であった。高ソト群の選択治療群に対するハザード比[HR]は0.49(95%信頼区間[CI]:0.30~0.80、p=0.006)、低ソト群のHRは0.58(95%CI:0.36~0.93、p=0.03)で、主要評価項目を達成した。・OSは未到達、ORRは高ソト群26.4%、低ソト群5.7%、選択治療群0%であった。・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)は、高ソト群36%、低ソト群30%、選択治療群43%で発現した。5%以上に発現したのは、高ソト群はざ瘡様皮膚炎(11.3%)、低マグネシウム血症(5.7%)、発疹(5.7%)、低ソト群は低マグネシウム血症(7.5%)、下痢(5.7%)、選択治療群は好中球減少症(23.5%)、貧血(5.9%)、高血圧(5.9%)であった。致命的なTRAEはなかった。 Pietrantonio氏は「ソトラシブ+パニツムマブ併用療法は、本試験の主要評価項目を達成し、とくに高ソト群は優れた臨床的ベネフィットを示した。Grade3以上のTRAEは両ソト群で選択治療群より少なく、忍容性が認められた。以上から、ソトラシブ+パニツムマブ併用療法は新たな標準療法となり、非小細胞肺がん同様に、ソトラシブ960mgのレジメンが支持される」と結論付けた。

116.

Uncommon EGFR変異陽性NSCLC、アファチニブがPFS改善(ACHILLES/TORG1834)/ESMO2023

 EGFR遺伝子変異は多様であり、多くのuncommon変異やcompound変異(EGFRチロシンキナーゼ部位に複数の変異を有する)が存在する。これらの多様な変異に対して、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)が有効性を示す可能性を示唆する報告はあるが、結論は得られていない。そこで、EGFR-TKIの活性が低いとされるexon20挿入変異やT790M変異を除くuncommon変異をsensitizing uncommon変異と定義し、EGFR遺伝子にsensitizing uncommon変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象として、アファチニブと化学療法を比較する第III相試験(ACHILLES/TORG1834試験)が実施された。その結果、アファチニブは化学療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を改善した。本結果は、新潟県立がんセンター新潟病院の三浦 理氏によって欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表された。試験デザイン:国内第III相非盲検無作為化比較試験対象:未治療のsensitizing uncommon EGFR遺伝子変異(exon20挿入変異、de novo T790M変異を除くuncommon/compound変異)を有する進行・再発の非扁平上皮NSCLC患者109例試験群:アファチニブ(1日30mgまたは40mg)を病勢進行まで (アファチニブ群:73例)対照群:プラチナ製剤(シスプラチン[75mg/m2]またはカルボプラチンAUC5または6)+ペメトレキセド(500mg/m2)を3週ごとに4サイクル→ペメトレキセドを3週ごとに病勢進行まで(化学療法群:36例)評価項目:[主要評価項目]治験医師評価に基づくPFS[副次評価項目]奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、全生存期間(OS)、安全性などデータカットオフ日:2023年2月28日 主な結果は以下のとおり。・対象の半数以上が主要なuncommon変異を有し、G719X変異単独が39.4%(43/109例)、L861Q変異単独が18.3%(20/109例)であった。compound変異は31.2%(34/109例)に認められ、uncommon/uncommon変異が22.0%(24/109例)、common(L858Rまたはexon19欠失変異)/uncommon変異が9.2%(10/109例)であった。・追跡期間中央値は12.5ヵ月であった。・PFS中央値は化学療法群が5.7ヵ月であったのに対し、アファチニブ群は10.6ヵ月であり、アファチニブ群が有意に改善した(ハザード比[HR]:0.422、95%信頼区間[CI]:0.256~0.694、p=0.0007、有意水準α=0.0304)。・以上の結果から、データ安全性モニタリング委員会は試験の早期中止を勧告した。・ORRは化学療法群が47.1%(PR:16例)であったのに対し、アファチニブ群は61.4%(CR:2例、PR:41例)であったが両群間に有意差は認められなかった(p=0.2069)。・DCRは化学療法群82.4%、アファチニブ群82.9%であった。・Grade3以上の有害事象は化学療法群37.1%、アファチニブ群43.8%に発現した。アファチニブ群の主な有害事象(50%以上に発現)は、下痢(82.2%)、爪囲炎、発疹、粘膜炎(いずれも58.9%)であった。アファチニブ群において肺炎による治療関連死が1例認められた。 三浦氏は「本試験によって、未治療のsensitizing uncommon EGFR遺伝子変異を有する非扁平上皮NSCLC患者において、アファチニブが標準治療となることが示された。今後はOSのデータや変異の種類による治療への反応性、病勢進行後の治療状況などを明らかにする予定である」とまとめた。

117.

アジアの緩和ケアについて【非専門医のための緩和ケアTips】第62回

第62回 アジアの緩和ケアについて今回は日常の臨床から離れ、海外に目を向けたいと思います。2023年10月にアジア全域の緩和ケアに関する国際学会が韓国で開催されます。国際学会と聞くとワクワクしますよね。今回はそんな国際的な緩和ケアの話題について、お話しします。今回の質問先日、メディアで海外の支援活動をしている医師が取り上げられていました。緩和ケア領域においても、こういった国際的な交流はあるのでしょうか?今回は、これまであまり触れてこなかった話題に関するご質問をいただきました。緩和ケアを通じた国際交流、期待で胸が膨らみますよね。実は、今私が最も関心があり、将来的に活躍の場を広げたいのが、この領域です。10月に韓国で開催される「第15回アジア太平洋ホスピス緩和ケア会議 APHC(Asia Pacific Hospice Palliative Care)2023」に参加します。これはアジアの各国が参加する、アジアで最大級の緩和ケアに関する国際学会です。とくに研究領域では、アジア各国の若手が今後の国際的な研究の取り組みを議論するなど、刺激的な場です。私が今回参加する目的は、各国で異なる緩和ケアの提供モデルを共有し、私たちの取り組む緩和ケアをより良くするアイデアを得るためです。私も10年以上緩和ケア領域に従事し、患者さんに必要なさまざまなことに取り組んできました。そして、「今後10年、さらに何に取り組んでいくかべきか」を考える時期にあります。まったく異なる環境で緩和ケアを実践している方と議論することが、知らず知らずのうちに自分がつくっていた“限界”を取っ払ってくれるのではないか、と期待しています。先日、私の病院にカンボジア出身の医師が見学に来たのですが、彼の話もいろいろ考えさせられました。カンボジアは内戦などがあり、医療体制はこの30年ほどでつくられたものです。緩和ケアなどの領域はまだ広がっておらず、緩和ケアを教え、広げる人材もこれから育てていく必要がある、という話でした。さらに数年前、インドネシアやフィリピンの医療従事者と話した際は、多くの島に人口が分布している地理的特性の中でどのように緩和ケアを提供するのか、というのが大きな問題となっていました。日本でも沖縄をはじめとした離島医療において議論されるテーマです。こうしてみると、日々の臨床から少し視野を広げ、アジア各国における緩和ケアが置かれた状況を考えることが、自分たちの強みと今後の伸び代を考える機会になるかもしれません。今回のTips今回のTipsアジアの一員としての日本を、緩和ケアを通じて意識してみるのも刺激になりますよ。

118.

EGFR変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブへのラムシルマブ上乗せは有用か?(OSIRAM-1)/ESMO2023

 第1世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)とVEGF阻害薬ラムシルマブの併用はEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に有用であることが報告されているが、第3世代EGFR-TKIとの併用の有用性は明らかになっていない。そこで、第3世代EGFR-TKIのオシメルチニブとVEGF阻害薬ラムシルマブの併用療法の有用性を評価するOSIRAM-1試験が実施された。本試験の結果を北里大学病院/神奈川県立がんセンターの中原 善朗氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。試験デザイン:国内第II相無作為化比較試験対象:未治療のEGFR遺伝子変異(exon19欠失変異、L858R変異)を有する進行NSCLC患者122例(症候性の脳転移を有する患者は除外)試験群:オシメルチニブ(80mg、1日1回)+ラムシルマブ(10mg/kg、隔週)を病勢進行または許容できない毒性の発現まで(併用群:59例)対照群:オシメルチニブ(同上)を病勢進行または許容できない毒性の発現まで(単独群:63例)層別化因子:性別、EGFR遺伝子変異の種類評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)に基づくPFS[副次評価項目]奏効率、安全性など 主な結果は以下のとおり。・2018年11月~2020年4月に122例の患者が組み入れられ、追跡期間中央値は36.0ヵ月であった。・BICRに基づくPFS中央値は併用群20.0ヵ月、単独群24.0ヵ月であり、有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:1.054、95%信頼区間[CI]:0.674~1.648、p=0.82)。・BICRに基づくPFSのサブグループ解析(post-hoc解析)において、75歳以上(HR:0.688、95%CI:0.250~1.895)、L858R変異(同:0.821、0.388~1.740)、脳転移あり(同:0.655、0.296~1.451)の集団で併用群が良好な傾向を示した。・併用群の治療期間中央値は、オシメルチニブが571日であったのに対し、ラムシルマブは140日であった。・Grade3以上の主な有害事象(いずれかの群で10%以上)は、CK上昇(併用群:1.7%、単独群:12.9%)、好中球数減少(それぞれ10.2%、3.2%)、高血圧(それぞれ16.9%、1.6%)であった。・血小板数減少(併用群:55.9%、単独群27.4%)、好中球数減少(それぞれ30.5%、25.8%)が併用群に多く認められ、ラムシルマブの治療中止に至った(血小板数減少による中止:14例、好中球数減少による中止:11例)。 本結果について、中原氏は「本試験において、オシメルチニブへのラムシルマブ上乗せの効果は認められなかったが、脳転移を有する患者においてPFSが改善する傾向がみられた。本試験ではラムシルマブ投与期間が想定よりかなり短く、併用療法による血小板数減少・好中球数減少に加え、新型コロナウイルス感染症のパンデミック期と重なったことで、隔週の来院が求められる併用群のラムシルマブ投与に悪影響が及んだ可能性がある」とまとめた。

119.

切除可能NSCLC、周術期ペムブロリズマブ上乗せでOS・EFS改善(KEYNOTE-671)/ESMO2023

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象としたKEYNOTE-671試験の第1回中間解析において、術前補助療法としてペムブロリズマブ+化学療法、術後補助療法としてペムブロリズマブを用いた場合、術前補助療法として化学療法を用いた場合と比較して、無イベント生存期間(EFS)が有意に改善したことが報告されている1)。今回、KEYNOTE-671試験の第2回中間解析の結果が、カナダ・McGill UniversityのJonathan Spicer氏により、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表され、EFSと全生存期間(OS)が有意に改善したことが示された。本試験の結果から、米国食品医薬品局(FDA)は2023年10月16日に切除可能なNSCLC患者に対する術前・術後補助療法としてペムブロリズマブの使用を承認したことを発表している2)。・試験デザイン:国際共同無作為化二重盲検第III相試験・対象:切除可能なStageII、IIIA、IIIB(N2)のNSCLC患者(AJCC第8版に基づく)・試験群:ペムブロリズマブ200mg+化学療法(シスプラチン[75mg/m2]+ゲムシタビン[1,000mg/m2を各サイクル1、8日目]またはペメトレキセド[500mg/m2])を3週ごと最大4サイクル→手術→ペムブロリズマブ200mgを3週ごと最大13サイクル(ペムブロリズマブ群:397例)・対照群:プラセボ+化学療法(同上)を3週ごと最大4サイクル→手術→プラセボを3週ごと最大13サイクル(プラセボ群:400例)・評価項目:[主要評価項目]EFSおよびOS[副次評価項目]病理学的完全奏効(pCR)、病理学的奏効(mPR)など・解析計画:計2回の中間解析が事前規定され、今回の中間解析はEFSの最終解析とした。今回の解析におけるOSの有意水準は片側α=0.00543であった。・データカットオフ日:2023年7月10日 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は36.6ヵ月(範囲:18.8~62.0)であり、254例(31.9%)が死亡した。・OS中央値はプラセボ群が52.4ヵ月(95%信頼区間[CI]:45.7~推定不能)であったのに対し、ペムブロリズマブ群では未到達(同:推定不能~推定不能)であり、ペムブロリズマブ群が有意に改善した(ハザード比[HR]:0.72、95%CI:0.56~0.93、片側p=0.00517)。・3年OS率はプラセボ群64.0%、ペムブロリズマブ群71.3%、4年OS率はそれぞれ51.5%、67.1%であった。・OSのサブグループ解析においてもペムブロリズマブ群が良好な傾向であったが、PD-L1発現状況別にみたOSのHR(95%CI)は、PD-L1(TPS)50%以上が0.55(0.33~0.92)、1~49%が0.69(0.44~1.07)、1%未満が0.91(0.63~1.32)であり、PD-L1発現が少ないほどペムブロリズマブ群のベネフィットは減少する傾向にあった。また、東アジア人集団のHR(95%CI)は1.05(0.64~1.73)、喫煙歴のない集団は1.00(0.41~2.46)であった。・EFS中央値はプラセボ群が18.3ヵ月(95%CI:14.8~22.1)であったのに対し、ペムブロリズマブ群では47.2ヵ月(同:32.9~推定不能)であり、第1回の中間解析に続き、ペムブロリズマブ群が有意に改善した(HR:0.59[95%CI:0.48~0.72])。・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)はプラセボ群37.8%、ペムブロリズマブ群45.2%に認められ、治療中止に至ったTRAEはそれぞれ5.3%、13.6%、死亡に至ったTRAEはそれぞれ0.8%、1.0%に認められた。 本結果について、Spicer氏は「OSの有意な改善が認められ、新たな安全性シグナルは検出されなかったことから、本試験の周術期レジメンは切除可能なStageII、IIIA、IIIBのNSCLCに対する新たな標準治療となる」とまとめた。

120.

ニボルマブベースの非小細胞肺がん周術期レジメンが有効性示す(CheckMate 77T)/ESMO2023

 切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)におけるニボルマブベースの周術期レジメンが良好な結果を示した。 欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)において米国・MDアンダーソンがんセンターのTina Cascone氏が発表した、同集団に対する術前ニボルマブ+化学療法、術後ニボルマブを評価する無作為化二重盲検第III相CheckMate 77T試験の中間解析の結果である。・対象:切除可能なStageIIA〜IIIB (American Joint Committee on Cancer[AJCC]第8版) のNSCLC・試験群:ニボルマブ360mg 3週ごと+プラチナダブレット化学療法 3週ごと4サイクル→手術→ニボルマブ480mg 4週ごと1年間(NIVO+化学療法/NIVO群、n=229)・対照群:プラチナダブレット化学療法 3週ごと4サイクル→手術→プラセボ4週ごと1年間(化学療法/PBO群、n=232)評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)評価の無イベント生存期間(EFS)[副次評価項目]病理学的完全奏効(pCR)および主要な病理学的奏効(MPR)(ともに盲検下独立病理学審査[BIPR]評価)、全生存期間(OS)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は25.4ヵ月であった。・BICR評価のEFS中央値は、NIVO+化学療法/NIVO群は未到達、化学療法/PBO群は18.4ヵ月で、NIVO+化学療法/NIVO群で有意に改善していた(ハザード比[HR]:0.58、97.36%信頼区間[CI]:0.42〜0.81、p=0.00025)。・12ヵ月EFS率はNIVO+化学療法/NIVO群73%、化学療法/PBO群59%、18ヵ月EFS率はそれぞれ70%と50%であった。・BIPR評価のpCR率はNIVO+化学療法/NIVO群25.3%、化学療法/PBO群4.7%(オッズ比[OR]:6.64、95%CI:3.40〜12.97)、BIPR評価のMPR率はそれそれ35.4%と12.1%であった(OR:4.01 、95%CI:2.48〜6.49)。・全期間における全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)は、NIVO+化学療法/NIVO群の89%、化学療法/PBO群の87%に発現した。術前期間のTRAE発現はそれぞれ86%と85%、術後期間のTRAE発現はそれぞれ50%と30%であった。 Cascone氏は、CheckMate 77T試験の結果は、ニボルマブベースの周術期レジメンが切除可能NSCLCにとって有望な新しい治療選択肢であることを支持するものだと結んだ。

検索結果 合計:1814件 表示位置:101 - 120