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ESMO2020レポート 肺がん

レポーター紹介今年はCOVID-19の影響で、ASCOをはじめ多くの学会がvirtual meeting開催となり、ESMO2020も例にもれずvirtual meetingとして、2020年9月16日~21日に開催された。肺がん領域においては注目の演題が多数存在し、Presidential SymposiumにおいてはADAURA試験およびCROWN試験の報告がされた。日本人演者においては、先ほどのADAURA試験において坪井先生、@Be試験の瀬戸先生、WJOG8715L試験の戸井先生がOral Presentationに選出されている。重要な試験のフォローアップの報告を含め、いくつか注目の演題を紹介したい。ADAURA試験ASCO2020で大幅な無病生存期間(DFS)の改善を示したADAURA試験であるが、ESMO2020においては中枢神経系(CNS)を含む再発パターンについて国立がん研究センター東病院の坪井 正博先生によって報告された。ADAURA試験は、StageIB~IIIA期の切除可能な上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異(Del-19/L858R)を有する非小細胞肺がん(NSCLC)を対象に、術後補助療法として第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)オシメルチニブとプラセボを比較した第III相試験である。Stage(IB/II/IIIA)、EGFR遺伝子変異(Del-19/L858R)および人種(アジア人/非アジア人)によって層別化され、オシメルチニブ群およびプラセボ群には1:1で割付された。オシメルチニブの投与は3年間または再発まで行われた。今回の報告では、CNSを含む再発パターンについての内容であった。CNS転移再発はEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者において比較的高頻度に認められる遠隔転移の再発形式の1つであり、予後不良因子である。オシメルチニブは既存のEGFR-TKIに比べ血液脳関門通過性が高いことが報告されており、脳転移への効果が期待された。全体の再発割合はオシメルチニブ群において11%、プラセボ群において46%であり、そのうち遠隔転移再発はオシメルチニブ群で38%、プラセボ群で61%であった。主な再発部位は、オシメルチニブ群では肺が6%、リンパ節が3%、CNSが1%、プラセボ群では肺が18%、リンパ節が14%、続いてCNSが10%となっており、期待されていたとおりオシメルチニブ群におけるCNS再発は低かった。CNS DFS中央値は、プラセボ群の48.2ヵ月(95%CI:NC~NC)に対し、オシメルチニブ群では未到達(NR)(95%CI:39~NC)、ハザード比(HR)0.18(95%CI:0.10~0.33)、p<0.0001と有意な延長が示された。1年/2年/3年CNS DFS率はプラセボ群ではそれぞれ97%/85%/82%と低下傾向を示したのに対し、オシメルチニブ群では100%/98%/98%とほぼ低下は認めなかった。また、試験開始後18ヵ月時のCNS再発率はオシメルチニブ群で1%未満(95%CI:0.2~2.5%)、プラセボ群で9%(95%CI:5.9~12.5%)と、CNS再発率もオシメルチニブ群において低かった。今回の報告より、術後補助療法としてのオシメルチニブを投与することにより、局所および遠隔転移の再発リスクが減少することが示された。術後補助療法の再発予防としてオシメルチニブを使うべきか、術後再発としてオシメルチニブを使用すべきか、今後の全生存期間のさらなるフォローアップの報告が期待される。WJOG8715L試験現在初回治療でオシメルチニブを選択する機会も増えており、2次治療で使用する機会が少なくなってきたが、そもそものオシメルチニブの適応であるEGFR-TKI不応となったT790M陽性NSCLCに対して、オシメルチニブ・ベバシズマブ併用療法とオシメルチニブを比較した第II相試験がWJOG8715L試験である。未治療のEGFR遺伝子変異陽性NSCLCにおいてはエルロチニブ+VEGF阻害薬によりPFSの延長効果が示されており、今回の結果も期待された。主要評価項目はPFS、副次評価項目はORR、治療成功期間(TTF)、OS、安全性であり、当院の戸井 之裕先生によって発表された。PFSは、ベバシズマブ併用群が9.4ヵ月、単剤群が13.5ヵ月、HR 1.44(95%CI:1.00~2.08)、p=0.20でベバシズマブ併用群のほうがむしろ短い結果となった。前治療でVEGF阻害薬の治療歴有無別でのPFSの解析も行われており、VEGF(-)-オシメルチニブ(37例)13.7ヵ月、VEGF(+)-オシメルチニブ(4例)15.1ヵ月、VEGF(-)-ベバシズマブ併用(32例)11.1ヵ月、VEGF(+)-ベバシズマブ併用(8例)4.6ヵ月、とVEGF阻害薬の治療歴のある併用群の成績がとくに短かった。併用群で多く認められたGrade3以上の副作用は蛋白尿および高血圧であり、間質性肺炎は両群で10%程度に認められた。今回の報告では、残念ながらベバシズマブを併用することの意義は示せなかった。PFSが延びなかった理由として、VEGF阻害薬の治療歴のある症例に対する併用群の成績が良くなかったのが影響している可能性があるが、VEGF阻害薬の治療歴のない症例の比較においてもベバシズマブを上乗せする効果はみられていない。オシメルチニブとベバシズマブとの相性の問題か、EGFR-TKI既治療という腫瘍周囲環境がある程度整った状況によるものなのか、議論に尽きない結果となった。未治療EGFR遺伝子変異陽性肺がんを対象にオシメルチニブ・ベバシズマブ併用療法の有効性を検討するWJOG9717L試験、またオシメルチニブ・ラムシルマブ併用療法の有効性を検討するTORG1833試験がそれぞれ登録終了しており、それらの結果と合わせ、オシメルチニブにVEGF阻害薬を併用することの意義が結論付けられることとなるだろう。CROWN試験CROWN試験は未治療のALK転座陽性進行NSCLCを対象に、初回治療としてロルラチニブとクリゾチニブを比較した第III相試験である。EGFR遺伝子変異陽性NSCLCに対しオシメルチニブが初回治療として承認されたように、ALK転座陽性NSCLCに対しての初回治療になるかが期待される。本試験は多くの試験において脳転移症例が除外される中、治療済または症状のない未治療の脳転移を有する患者の登録が認められていた。しかしながら、クロスオーバーは認められていなかった。今回は中間解析の結果が報告された。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はロルラチニブ群でNE(95%CI:NE~NE)、クリゾチニブ群で9.3ヵ月(95%CI:7.6~11.1)、HR 0.28(95%CI:0.19~0.41)、p<0.001と有意な延長が示された。1年PFS率はロルラチニブ群が78%(95%CI:70~84)、クリゾチニブ群が39%(95%CI:30~48)と大きな開きをみせている。PFSは、脳転移の有無も含めてすべてのサブグループで有意にロルラチニブ群が良かった。奏効率はロルラチニブ群で76%、クリゾチニブ群で58%であった。ロルラチニブは頭蓋内移行性が高く、今回の報告では脳転移に対する効果も検討されている。頭蓋内奏効率は、ベースラインで測定可能または測定不能な脳転移があった患者で、ロルラチニブ群(38例)が66%(95%CI:49~80)、クリゾチニブ群(40例)が20%(95%CI:9~36)とロルラチニブ群での高い奏効が示された。脳転移の増悪までの期間は、ロルラチニブ群(149例)がNE(95%CI:NE~NE)、クリゾチニブ群(147例)が16.6ヵ月(95%CI:11.1~NE)、HR 0.07(95%CI:0.03~0.17)、p<0.001で有意にロルラチニブ群が良かった。OSはインマチュアであり、両群ともに中央値はNEであった。副作用はロルラチニブ群において高脂血症、高TG血症、浮腫、体重減少、末梢神経障害を高頻度に認めている。中間解析の結果ではあるが、PFSは有意な改善が期待できる。ALK肺がんは現時点でも長期のOSが示されているが、ロルラチニブを初回に使うことによってさらなるOSの改善が期待できるのか、今後の報告が気になるところである。WJOG10718L/@Be試験@Be studyはEGFR/ALK/ROS1陰性、PD-L1強陽性(Daco 22C3)の未治療非扁平上皮非小細胞肺がんに対して、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法の有効性を検証する単群第II相試験である。免疫チェックポイント阻害薬に血管新生阻害薬を上乗せする試験は近年いくつか報告されており、本試験は肺がんにおいてベバシズマブを上乗せする初めての試験である。主要評価項目は奏効率(ORR)、副次的評価項目はPFS、DoR、OS、安全性であり、試験事務局である九州がんセンターの瀬戸 貴司先生により結果が報告された。登録された40例中、39例が適格であり、TPS 50~75%が13例(33.3%)、75~100%が26例(66.7%)であった。主要評価項目であるORRは64.1%(90%CI:49.69~76.83)と統計学的にメットしており、9割以上の症例において腫瘍縮小が認められた。PFSは15.9ヵ月(95%CI:5.65~15.93)、1年PFS率は54.9%(95%CI:35.65~70.60)であり、これまでのPD-L1強陽性に対する報告を上回る結果となり、今後が期待される。副作用は、23件/12例においてGrade3の副作用を認め、Grade4以上は認めなかった。副作用中止は2例に認め、硬化性胆管炎と脳症によるものだった。今後、PD-L1強陽性に対して免疫チェックポイント単剤(IMpower110 or KEYNOTE-024)か免疫チェックポイントに血管新生阻害薬を上乗せする(@Be)か、さらには殺細胞性抗がん剤も併用する(IMpower150)か、第III相試験が興味深いところである。KEYNOTE-024試験KEYNOTE-024試験は、PD-L1強陽性(TPS≧50%)の未治療進行NSCLCに対する初回治療におけるペムブロリズマブ単剤治療と化学療法(プラチナ併用療法)を比較した第III相試験である。化学療法群ではPDを認めた場合にペムブロリズマブ群へのクロスオーバーが認められていた。これまでPFS、OSにおいて有意な延長効果が示されてきたが、今回は5年フォローアップのデータの報告となった。2020年6月1日にデータカットオフされ、追跡期間中央値は59.9ヵ月であった。化学療法群のペムブロリズマブへのクロスオーバーは66.0%であった。OSはペムブロリズマブ群で26.3ヵ月(95%CI:18.3~40.4)、化学療法群で13.4ヵ月(95%CI:9.4~18.3ヵ月)、HR 0.62(95%CI:0.48~0.81)と既報と大きな変わりは認めなかった。3年OS率はペムブロリズマブ群で43.7%、化学療法群で19.8%、5年OS率はペムブロリズマブ群で31.9%、化学療法群で16.3%と、3年以上の症例ではtail-plateauの傾向もみられ、5年たった時点でも生存率は約2倍維持されている。化学療法群において高いクロスオーバーがあったにもかかわらず、ペムブロリズマブ群は5年OS率においても有意な延長効果が示され、初回治療で投与することは重要と考える。さらには、35サイクル(2年間)ペムブロリズマブを投与できた症例(39例)の奏効率は82%と高率であった。多くは治療早期に奏効が得られており、免疫チェックポイント阻害薬においても、縮小効果がある症例においては長期の治療効果が期待できることが示された。現在、PD-L1強陽性に対しては単剤で十分ではないかという議論がされるが、今回の長期フォローアップのデータはそれを裏付ける結果の1つであるといえる。PD-L1強陽性に対する単剤とコンビネーションの比較試験も進行中であり、その結果にも注目したい。CheckMate-9LA試験EGFR/ALK陰性の未治療進行NSCLCを対象に初回治療としてニボルマブ(Nivo)+イピリムマブ(Ipi)に化学療法2サイクルを併用するNivo+Ipi+化学療法群と化学療法群を比較する第III相試験である。ASCO2020において有効性が公表され、すでに米国・オーストラリア・シンガポール・カナダでは承認されており、日本でも承認間近と伺っている。今回は、アジア人サブグループの結果が報告された。9LA登録例のうち、アジア人は日本人患者(50例)と中国人患者(8例)であった。Nivo+Ipi+化学療法群が28例、化学療法群が30例であった。OSは、アジア人サブグループでも全集団と同様の傾向がみられ、Nivo+Ipi+化学療法群でNR(15.4ヵ月~NR)、化学療法群で13.3ヵ月(8.2ヵ月~NR)、HR 0.33(95%CI:0.14~0.80)と併用群で良好な結果が示された。組織型(Sq/non-Sq)、PD-L1発現(≧1%/<1%)でみた解析においても、少数ながらNivo+Ipi+化学療法群において改善傾向が認められた。気になる副作用であるが、アジア人における全体およびGrade3/4の頻度、そして副作用中止の頻度が高い傾向があるが、とくにアジア人集団で新たに認められたものはなかった。今回の報告でもあるように9LAレジメンは副作用が懸念点であり、今後実臨床においてどのように評価されていくのかが気になるところである。さいごに今回のESMO2020もvirtualではあったものの、肺がん領域においてはいくつもの重要な報告があった。日本においてはいくらかCOVID-19の蔓延が落ち着きつつあり、現地とwebのハイブリッド開催が行われるようにもなってきたが、世界的には落ち着いておらず国際学会に行くのはまだまだ先になるだろう。国際学会の刺激は現地でないと味わえないところもあり、一刻も早い現状の改善を期待している。

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Stage3A N2非小細胞肺がんへの術後放射線療法を評価(LungART)/ESMO2020

 Stage IIIA N2の非小細胞肺がん(NSCLC)の完全切除例に対する術後放射線治療(PORT)は議論の残る問題である。Stage IIIA N2のNSCLC完全切除例に対するPORTを評価する初の多施設無作為化第III相比較試験Lung ART試験の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)にて、フランス・Gustave RoussyのLe Pechoux氏が発表した。・対象:完全切除のN2 Stage3A NSCLC(PS 0-2、術前・後後化学療法許容)・試験群:縦隔PORT(54Gy/27〜30分割)・対照群:PORTなし・評価項目:[主要評価項目]無病生存期間(DFS)[副次評価項目]毒性、局所制御、再発パターン、全生存期間(OS)、二次がん、治療関連毒性など 主な結果は以下のとおり。・2007年8月〜2018年7月、501例が登録され、PORT群252例、非PORT群249例に無作為に割り付けられた。・年齢の中央値は61歳、男性66%、腺がん73%であり、追跡期間中央値は4.8年であった。・DFS中央値は、PORT群30.5ヵ月、非PORT群28.0ヵ月と、PORT群で良好な傾向にあるが、その差は有意ではなかった(HR:0.85、95%CI:0.67〜1.07、p=0.16)。・イベントの内容を見ると、PORT群では死亡(14.6%)、非PORT群では縦隔再発(46.1%)が最も多かった。 ・3年OSはPORT群68.5%、非PORT群66.5%と差はなかった。・死亡はPORT群で39.4%、最も多い原因は心肺毒性(16.2%)、非PORT群では41.5%、最も多い原因は疾患進行または再発(86.1%)であった。・全Gradeの有害事象(AE)はPORT群92.1%、非PORT群では11.3%に発現。Grade3/4のAEはPORT群23.7%、非PORT群15.0%で発現した。 今回の試験の結果から、Pechoux氏は、完全切除Stage3A N2 NCSLCに対するPORTは、すべての症例に一貫したスタンダードとして推奨すべきではないとしている。

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KRASG12C阻害薬sotorasib、進行固形がんに有望/NEJM

 複数の前治療歴のあるKRAS p.G12C変異が認められる進行固形腫瘍の患者に対し、sotorasibは、有望な抗腫瘍活性を示したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのDavid S. Hong氏らによる第I相臨床試験の結果、報告された。Grade3または4の治療関連毒性作用の発生は11.6%であった。sotorasibは、開発中のKRASG12Cを選択的・不可逆的に標的とする低分子薬。KRAS変異をターゲットとしたがん治療薬は承認されていないが、KRAS p.G12C変異は、非小細胞肺がん(NSCLC)では13%、大腸がんやその他のがんでは1~3%で発生が報告されているという。NEJM誌2020年9月24日号掲載の報告。sotorasibを1日1回投与し、安全性などを評価 sotorasibの第I相臨床試験は、KRAS p.G12C変異が認められる進行固形腫瘍患者を対象に行われた。被験者は、sotorasibを1日1回経口投与された。 主要評価項目は安全性。主な副次評価項目は、薬物動態および固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECISTガイドライン)バージョン1.1で評価した客観的奏効だった。治療関連有害事象は約57%で発生 被験者は計129例(NSCLC 59例、大腸がん42例、その他の腫瘍28例)で、用量漸増および拡大コホートに包含された。被験者の転移がんに対する前治療数の中央値は3(範囲:0~11)だった。 用量制限毒性や治療関連死の有害事象は認められなかった。治療関連有害事象の発生は73例(56.6%)で、そのうちGrade3または4の発生は15例(11.6%)だった。 NSCLCの患者のうち、客観的奏効(完全または部分奏効)が確認されたのは32.2%(19例)で、病勢コントロール(客観的奏効または病勢安定)が認められたのは88.1%(52例)だった。無増悪生存期間の中央値は6.3ヵ月(範囲:0.0+~14.9[+はデータカットオフ時に打ち切られた患者データが含まれていることを示す])だった。 大腸がん患者では、客観的奏効が確認されたのは7.1%(3例)、病勢コントロールは73.8%(31例)、無増悪生存期間の中央値は4.0ヵ月(範囲:0.0+~11.1+)だった。膵がん、子宮内膜がん、虫垂がん、悪性黒色腫の患者においても、奏効が認められた。

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ニボルマブ480mg4週ごと投与、国内承認/小野・BMS

 小野薬品工業と ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2020年9月25日、ヒト型抗ヒトprogrammed cell death-1(PD-1)ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の単独投与時の用法及び用量に関して、すでに承認を取得している全ての9つのがん腫において、これまでの 1回240mgを2週間間隔で点滴静注する用法及び用量に加え、1 回480mgを4週間間隔で点滴静する用法及び用量が追加になったと発表。  今回の用法及び用量の追加の承認によって、治療選択肢が増えること、患者および医療スタ ッフの利便性の向上に繋がるものと期待しているとしている。

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超音波気管支鏡ガイド下針生検、PD-L1検査の成功率高い/Chest

 適切な治療には、確度の高い情報が得られる検査の実施が重要である。今回、それらが治療の成否の鍵を握ることを再認識する試験結果が示された。イタリア・モリーゼ大学のFabio Perrotta氏らは、一般的に進行がん患者で行われる細胞検体の採取について、超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)で採取した検体が、非小細胞肺がん(NSCLC)におけるPD-L1検査に適しているかを評価する大規模な多施設共同研究を行った。その結果、EBUS-TBNAはPD-L1検査に適した検体を提供することが示され、進行N期と脳転移はPD-L1高発現と関連することも示されたという。抗PD-1/PD-L1抗体治療を行うに当たっては、がん細胞におけるPD-L1の発現が、患者を選択するための臨床的に重要なバイオマーカーになる。NSCLC患者を対象とした免疫療法の臨床試験では、PD-L1検査の組織学的エビデンスが必要とされており、そうした背景を踏まえて本検討は行われた。Chest誌2020年9月号掲載の報告。 研究グループは2015年1月~2016年12月に、英国の6施設および米国の1施設におけるNSCLCの連続症例から採取した577検体について分析した。 PD-L1検査におけるEBUS-TBNA検体採取の適切性を他の検体採取法と比較するとともに、研究集団における臨床病理学的特徴とPD-L1発現との関連を調べた。 主な結果は以下のとおり。・EBUS-TBNA群(189検体)では、PD-L1検査が成功した患者の割合は94.7%であった。・他の組織採取法の検体と比較し、EBUS-TBNAで採取した検体の適切性に重大な差はなかった。・高齢患者では、PD-L1検査の不成功率が高かった(OR:1.06、p=0.008)。・多変量解析の結果、進行N期(p=0.048)および脳転移の存在(p<0.001)は、PD-L1高発現と関連していた。

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ALK陽性肺がん、ロルラチニブの1次治療が有効性示す、とくに脳転移(CROWN試験)/ESMO2020

 未治療のALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)においてロルラチニブとクリゾチニブを比較する多施設非盲検無作為化第III相CROWN試験の中間解析が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)にて、オーストラリア・Peter MacCallumがんセンターのB. Solomon氏により発表された。・対象:StageIIIB/IVの未治療のALK陽性肺がん(無症状のCNS転移は許容)・試験群:ロルラチニブ(100mg/日)・対照群:クリゾチニブ(250mgx2/日)・評価項目:[主要評価項目]盲検化独立中央評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]治験実施医によるPFS、BICR評価の奏効率(OR)、BICR評価の脳内奏効率(IC-OR)、BICR評価の奏効期間(DoR)、BICR評価の脳内奏効期間(IC-DR)、全生存期間(OS)、安全性CROWN試験の結果はALK陽性非小細胞肺がんでのロルラチニブ使用を支持するもの CROWN試験の中間解析の主な結果は以下のとおり。・対象患者296例は、無作為にロルラチニブ群(n=149)とクリゾチニブ群 (n=147)に割り付けられた。・BICR評価のPFSは、ロルラチニブ群NE(推定不能)、クリゾチニブ群9.1ヵ月と、ロルラチニブ群で有意に延長された(HR:0.28、95%CI:0.19〜0.41、p<0.001)。12ヵ月PFS率は80%対35%であった。・治験担当医によるPFSは、ロルラチニブ群NE(推定不能)、クリゾチニブ群9.3ヵ月と、ロルラチニブ群で有意に改善された(HR:0.21、95%CI:0.14〜0.31、p<0.001)12ヵ月PFS率は80%対35%であった。・OSは両群とも中央値未達であった。・BICR評価のORは、ロルラチニブ群76%、クリゾチニブ群58%であった。・BICR評価のIC-ORは、ロルラチニブ群66%、クリゾチニブ群20%、測定可能病変だけ見るとロルラチニブ群71%、クリゾチニブ群8%と、その差はさらに大きかった。・Grade3/4の有害事象(AE)は、ロルラチニブ群では72%、クリゾチニブ群56%であった。そのうちロルラチニブ群で最も頻度の高かった項目は脂質異常であった。AEのため中止に至った割合はロルラチニブ群7%、クリゾチニブ群9%であった。 Solomon氏は、CROWN試験の結果は、ALK陽性非小細胞肺がん1次治療でのロルラチニブ使用を支持するものであると述べた。

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非扁平上皮NSCLC1次治療、化学療法+ベバシズマブ+ニボルマブの4併用がPFS延長(ONO-4538-52/TASUKI-52)/ESMO2020

 ONO-4538-52/TASUKI-52試験は、非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療治療において、プラチナ化学療法とベバシズマブの併用にニボルマブを上乗せした初の無作為化二重盲検第III相試験である。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、その初回解析の結果を韓国・ソウル国立大学ブンダン病院のJong Seok Lee氏が発表した。・対象:未治療のStage IIIB/IVの非扁平上皮NSCLC患者(PD-L1発現問わず)・試験群:ニボルマブ(360mg)+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ(3週間ごと6サイクル)→ニボルマブ+ベバシズマブ(ニボルマブ群)・対象群:プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ→プラセボ+ベバシズマブ(プラセボ群) ニボルマブ/プラセボ+ベバシズマブは、疾患進行または許容できない毒性発現まで継続・評価項目:[主要評価項目]独立放射線審査委員会(IRRC)評価の無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目 ]全生存期間(OS)、全奏効率(ORR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・日本、韓国、台湾の患者550例が1:1で無作為にニボルマブとプラセボに割り付けられた。 ・データカットオフ(2020年2月10日)での最低追跡期間は7.4ヵ月であった。・PFS中央値は二ボルマブ群12.1ヵ月に対しプラセボ群8.1ヵ月と、ニボルマブ群で有意に長かった(HR:0.56、96.37%CI:0.43〜0.71、p<0.0001)。12ヵ月PFS率は二ボルマブ群50.1%、プラセボ群30.2%であった。・PD-L1発現別のPFS HRは、PD-L1<1%で0.55、PD-L1 1〜49%で0.63、PD-L1≧50%で0.55であった。・ OSは評価に達していないが、ニボルマブ群の中央値は25.4ヵ月、プラセボ群24.7ヵ月であった(HR:0.85、95%CI:0.63〜1.14)。・ ORRは、ニボルマブ群61.5%、プラセボ群50.5%であった。・Grade3/4の治療関連有害事象(TRAE)はニボルマブ群で73.6%、プラセボ群で72.0%、治療中止につながるTRAEは二ボルマブ群16.5%、プラセボ群4.4%と、二ボルマブ群で多く観察されたが、治療関連死は二ボルマブ群1.8%、プラセボ群1.5%と同程度であった。 カルボプラチン・パクリタキセルとベバシズマブへのニボルマブの併用はPFSを有意に延長し、その効果はPD-L1発現に関係なく認められた。非扁平上皮NSCLCの1次治療となる可能性が示唆されると、Lee氏は述べた。

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NSCLCの脳転移に対するペムブロリズマブの効果/Lancet Oncol

 ペムブロリズマブが非小細胞肺がん(NSCLC)の脳転移に有効である可能性が示された。米国・イェール大学医学大学院のSarah B. Goldberg氏らは、NSCLCまたは悪性黒色腫の患者を対象としたペムブロリズマブの非盲検第II相試験において、脳転移病変に対する抗PD-1抗体の効果を検討しており、これまでに中間解析結果を報告している。今回、同試験のNSCLCコホートを対象とした最新の解析を行い、ペムブロリズマブは、PD-L1発現が1%以上のIV期NSCLC患者における脳転移病変に対して有効であり、安全性も確認されたことを報告した。著者は、「NSCLCによる中枢神経系(CNS)疾患に対する免疫療法のさらなる検討が必要である」とまとめている。Lancet Oncology誌2020年5月号掲載の報告。 研究グループは、18歳以上のIV期NSCLCで、1つ以上の脳転移(5~20mm大)を有し、脳転移巣未治療または放射線療法後に増悪した患者を対象に、ペムブロリズマブ10mg/kgを2週間間隔で静脈内投与した。 CNS疾患の評価には、mRECISTを用いた。また、患者をPD-L1発現が1%以上(コホート1)、PD-L1発現が1%未満または評価不能(コホート2)の2つのコホートに分けた。 主要評価項目は、脳転移病変の奏効率(部分奏効または完全奏効を達成した患者の割合)であった。治療を受けたすべての患者を有効性および安全性の解析対象とした。 主な結果は以下のとおり。・2014年3月31日~2018年5月21日までの間に42例が治療を受けた。・追跡期間中央値8.3ヵ月において、脳転移病変の奏効が得られた患者は、コホート1で37例中11例(奏効率29.7%、95%信頼区間[CI]:15.9~47.0)、コホート2では0例であった。・Grade3~4の治療関連有害事象は、肺臓炎が2例、全身症状、大腸炎、副腎機能障害、高血糖および低カリウム血症が各1例であった。・重篤な治療関連有害事象は42例中6例(14%)に発現し、肺臓炎が2例、急性腎障害、大腸炎、低カリウム血症および副腎機能障害が各1例であった。・治療に関連した死亡は認められなかった。

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T790M陽性NSCLCに対するオシメルチニブとベバシズマブの併用(WJOG 8715L)/ESMO2020

 EGFR-TKIに耐性となりT790M陽性が確認された進行肺腺がんに対して、オシメルチニブとベバシズマブの併用は、オシメルチニブ単独に比し、無増悪生存期間(PFS)の延長を示せなかった。日本のWest Japan Oncology Group(WJOG)の試験結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で仙台厚生病院の戸井 之裕氏から発表された。 このWJOG8715L試験は、日本国内で実施されたオープンラベルの無作為化第II相試験である。・対象:EGFR-TKIで進行後T790M変異陽性が確認されたEGFR変異陽性進行肺腺がん81例・試験群:オシメルチニブ+ベバシズマブ(OB群)・対照群:オシメルチニブ(O群)・評価項目[主要評価項目]主治医判定によるPFS[副次評価項目]奏効率(ORR)、治療成功期間(TTF)、全生存期間(OS)、安全性 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値16ヵ月時点でのPFS中央値は、O群13.5ヵ月、OB群9.4ヵ月、HR1.44(95%CI:1.00~2.08)、p=0.20とOB群のほうが短かった。・ORRはO群55.0%、OB群71.8%と、OB群のほうが高かった。・抗VEGF薬投与歴のないO群のPFS中央値は13.7ヵ月、OB群のPFS中央値は11.1ヵ月であったが、抗VEGF薬の投与歴があったO群のPFS中央値は15.1ヵ月で、OB群のPFS中央値は4.6ヵ月と短かった。・TTF中央値はO群11.2ヵ月、OB群8.4ヵ月、HR1.54、p=0.12であった。・OS中央値は、O群22.1ヵ月で、OB群は未到達、HR1.02、p=0.96であった。・有害事象としての蛋白尿と高血圧は、有意にOB群で頻度が高く、貧血は有意にO群で高率であった。OB群に重篤な塞栓症や出血は認められなかった。

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切除不能StageIII NSCLC、デュルバルマブ地固め療法、半数が4年生存(PACIFIC)/ESMO2020

 同時化学放射線療法(cCRT)後に疾患進行のない切除不能StageIII非小細胞肺がん(NSCLC)におけるデュルバルマブ地固め療法の第III相PACIFIC試験。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、デュルバルマブ群初とはる全生存期間(OS)を含む4年生存データを、英国・マンチェスター大学のC. Faivre-Finn氏が発表した。・対象:cCRT後に進行していない切除不能StageIII NSCLC患者・試験群:デュルバルマブ10mg/kg、2週ごと12ヵ月(473例)・対照群:プラセボ、2週ごと12ヵ月(236例)・評価項目:[主要評価項目]盲検独立中央評価委員会(BICR)判定による無増悪生存期間(PFS)、OS[副次評価項目]死亡または遠隔転移までの時間、2回目の進行までの時間、安全性などCRTの1~42日後に、被験者はデュルバルマブとプラセボに2対1に無作為に割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。・2020年3月20日現在、追跡期間中央値は34.2ヵ月であった。・OS中央値はデュルバルマブ群47.5ヵ月、プラセボ群29.1ヵ月であった(HR:0.71、95%CI:0.57〜0.88)。 ・4年OS率は、デュルバルマブ群49.6%、プラセボ群6.3%であった。・PFS中央値は、デュルバルマブ群17.2ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月であった(HR:0.55、95%CI:0.44〜0.67)。・4年PFS率は、デュルバルマブ群35.3%、プラセボ群19.5%であった。

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肺がん1次治療におけるペムブロリズマブ単独治療の5年生存率、30%超(KEYNOTE-024)/ESMO2020

 PD-L1 発現(TPS≧50%)の転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるペンブロリズマブ単剤治療は第III相KEYNOTE-024試験の追跡期間11.2ヵ月の解析で、化学療法と比較して有意な無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の改善が示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、同試験の5年追跡結果を、米国・Sidney Kimmel包括的がんセンターのJ.R. Brahmer氏が発表した。・対象:転移を有する未治療のPD-L1高発現(TPS≧50%)NSCLC患者(305例)・試験群:ペムブロリズマブ200mg 3週ごと(154例)・対照群:治験担当医が選択したプラチナベース化学療法 4~6サイクル(151例)・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]OSなど 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時(2020年6月1日)の追跡期間中央値は59.9ヵ月であった。・化学療法群のペムブロリズマブへのクロスオーバーは66.0%(99/150例)であった。 ・OS中央値はペムブロリズマブ群26.3ヵ月、化学療法群13.4ヵ月であった(HR:0.62、95%CI:0.48〜0.81)・5年OS率はぺムブロリズマブ群31.9% 、化学療法群16.3%であった。・全奏効率(ORR)はペムブロリズマブ群46.1%(CR4.5%、PR41.6%)に対し、化学療法群31.1%(CR0%、PR31.1%)であった・DORは、ペムブロリズマブ群29.2ヵ月に対し、化学療法群6.3ヵ月であった。・全Grade治療関連有害事象(TRAE)発現は、ペムブロリズマブ群76.6%に対し化学療法群90.0%、Grade3〜5のTRAEの発現は、ペムブロリズマブ群で31.2%に対し化学療法群53.3%であった。 ペムブロリズマブ単剤治療は、高いクロスオーバー率にもかかわらず、引き続きOSの改善を示している。5年OS率は、30%を超え、化学療法の約2倍であり、かつ持続的な効果を示している。ペムブロリズマブ単剤治療は、PD-L1高発現(TPS≧50%)NSCLCの1次治療において有効な治療方法であることを、この試験結果は示していると、Brahmer氏は述べた。

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EGFR変異肺がんに新規抗HER3抗体薬物複合体U3-1402が有望/ESMO2020

 濃厚な治療歴を有するEGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、HER3を標的とする抗体薬物複合体(ADC)が、臨床的に意義のある効果と管理可能な安全性を示した。この第I相試験の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で、米国・メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのHelena A. Yu氏より発表された。・対象:EGFR変異陽性の転移を有するNSCLC患者57例(用量漸増パートから12例+用量拡大パートから45例)。PSは 0〜1・試験群:Patritumab Deruxtecan(U3-1402)を用量漸増パートでは3.2mg/kg~6.4mg/kg、用量拡大パートでは5.6mg/kgを3週間ごと点滴・評価項目:[主要評価項目]抗腫瘍効果(盲検下中央判定での奏効率、奏効期間など)[副次評価項目]安全性と忍容性 主な結果は以下のとおり。・症例の年齢中央値は65歳、女性が63%、アジア人が47%、白人が44%だった。脳転移も47%の症例で認められた。・前治療ライン数の中央値は4。全員がEGFR TKIの治療を受けており(オシメルチニブ86%含む)、90%でプラチナ化学療法が、40%で免疫チェックポイント阻害薬の投与歴があった。・追跡期間中央値は5ヵ月で全奏効率25%(CR 2%、PR 23%)、3例の未確定PR例があった。・病勢コントロール率は70%、奏効期間中央値は6.9ヵ月だった。・Grade3以上の治療関連有害事象(TEAE)は、血小板減少28%、好中球減少19%、倦怠感9%、貧血9%であった。・TEAEによる治療中止は9%で、その要因は、倦怠感、食欲低下、間質性肺疾患、肺臓炎などであり、治療関連死はなかった。 最後に演者は「この抗HER3の新規ADCはEGFR C797S変異、MET増幅、HER2変異、BRAF融合、PIK3CA変異などのさまざまなEGFR-TKI耐性にも有効性を示した。次の第II相試験も計画されている」と結んだ。

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KRASG12C変異陽性肺がんにおけるsotorasib(CodeBreaK100)/ESMO2020

 KRAS p.G12C変異は固形がんの1〜3%、非小細胞肺がん(NSCLC)では13%に認められる。KRASG12C阻害薬sotorasib(開発コード:AMG510)は、KRASp.G12C変異陽性の進行固形腫瘍患者の第I相試験で良好な抗腫瘍活性と安全性プロファイルを示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、この国際オープンラベル第I相試験CodeBreaK100におけるNSCLCの結果を、米国・MDアンダーソンがんセンターのD. S. Hong氏が発表した。・対象:既治療の局所進行または転移を有するKRAS p.G12C変異陽性固形腫瘍患者・試験薬:sotorasibを進行または忍容できない有害事象が発現するまで投与(コホート1:180mg、2:360mg、3:720mg、4:960mg)・評価項目[主要評価項目]安全性[副次評価項目]客観的奏効率(ORR)、病勢制御率(DCR)、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)など 主な結果は以下のとおり。・登録患者129例中NSCLCは59例であった。・患者の年齢中央値は68.0歳、女性35%、現・元喫煙者89.8%、前治療中央値は3、抗PD-1/L1薬投与89.8%、化学療法投与は全例、脳転移は30.5%であった。・データカットオフ時(2020年6月1日)の追跡期間中央値は11.7ヵ月であった。・用量制限毒性はなく、致死的有害事象の報告もなかった。・Grade3/4の有害事象発現率は18.6%であった。頻度の高い(5%以上)の治療関連有害事象は下痢(66.1%)、ALT・AST上昇(それぞれ20.3%)、疲労感(10.2%)、悪心( 10.2%)などであった。・NSCLC全集団のPFS中央値は6.9ヵ月であった。・ NSCLC全集団のORRは32.2%、DCRは88.1%、推奨用量960mg集団のORRは35.3%、DCRは91.2%であった。 ・DoRは10.9ヵ月であった。・全集団のPFS中央値は6.3ヵ月であった。 ・KRASp.G12Cアリル頻度、血漿腫瘍変異量、PD-L1発現の程度と効果に相関はなかった。

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EGFR変異肺がんへのオシメルチニブのアジュバント、CNS含む再発を有意に減少(ADAURA)/ESMO2020

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)へのオシメルチニブの術後療法については、第III相ADAURA試験の結果が本年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2020 Virtual Scientific Program)で発表され、主要評価項目である無病生存期間(DFS)についてはオシメルチニブ群の有意な改善が報告されていた(HR:0.17、95%CI:0.12~0.23、p<0.0001)。今回の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、国立がん研究センター東病院の坪井 正博氏が同試験の再発に関するデータを発表した。・対象:EGFR変異陽性(Ex19del/L858R)のStage IB/II/IIIA非扁平上皮NSCLC完全切除患者682例(術後化学療法は許容)、PS 0〜1・試験群:オシメルチニブ80mg/日 最大3年間投与・対照群:プラセボ・評価項目:[主要評価項目]主治医判定によるStage II/IIIA患者のDFS(想定HR=0.70)[副次評価項目]全集団のDFS、2/3/4/5年時のDFS率、全生存期間(OS)、安全性、健康関連QOL今回の発表は、CNS転移を含む再発のパターンに関する探索的検討のデータである。 主な結果は以下のとおり。・DFSイベントの発生率はオシメルチニブ群で11%、プラセボ群で46%あった。・再発の内訳は、オシメルチニブ群では遠隔転移38%、局所再発62%、プラセボ群では遠隔転移61%、局所再発39%であった。・CNS転移の発生率は、オシメルチニブ群で1%(4例)、プラセボ群で10%(33例)であった。・CNS転移発生をイベントとしたCNS-DFSでは、HR:0.18、95%CI:0.10~0.33、p<0.0001で、2年DFS率は、オシメルチニブ群で98%、プラセボ群で85%であった。坪井氏は「アジュバント・オシメルチニブは、Stage IB/II/IIIAのEGFR変異陽性NSCLC患者の臨床治療を変更し得るような有効な治療法である」と結論付けている。 試験結果は、ESMO発表の同日(2020年9月19日)、NEJMにも公開された。

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EGFR変異陽性肺がんアファチニブ→オシメルチニブのシークエンシャル最終解析(GioTag)/ベーリンガー

 ベーリンガーインゲルハイムは、2020年9月2日、GioTagアップデート研究の最終解析結果を発表した。同研究は、T790M変異を有するEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんにおいて、アファチニブの初回治療後にオシメルチニブを投与する治療法を評価したリアルワールド、レトロスペクティブ観察研究。 結果、解析患者203例におけるアファチニブからオシメルチニブへのシークエンシャル治療の全生存期間(OS)中央値は37.6ヵ月、治療成功期間(TTF)は27.7ヵ月に達した。  Del19変異陽性患者のOS中央値は41.6ヵ月、TTF中央値は37.1ヵ月であった。アジア人患者のOSは44.8ヵ月、TTFは37.1ヵ月。Del19陽性アジア人患者のOSは45.7ヵ月、TTFは40.0ヵ月となった。 また、安定した脳転移を有する患者群ではOS 31ヵ月、TTF 22.2ヵ月。65歳以上の患者群ではOS 36.9ヵ月、TTF 27.3ヵ月、ECOG PS2以上の患者群ではOS 32ヵ月、TTF 22.2ヵ月であった。

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奇跡を軌跡に。日本初の患者提案型医師主導治験:KISEKI trial【肺がんインタビュー】 第51回

第51回 奇跡を軌跡に。日本初の患者提案型医師主導治験:KISEKI trial出演:近畿大学医学部内科学 腫瘍内科部門 武田 真幸氏西日本がん研究機構(WJOG)と肺がん患者の会ワンステップが実現した日本初の患者提案型医師主導治験「KISEKI trial(WJOG12819L)」。このT790M変異を問わないEGFR変異陽性肺がん2次治療におけるオシメルチニブの第II相試験について、研究事務局の近畿大学の武田真幸氏に実施にいたる背景や試験デザインについて聞いた。

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