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肺がん、新PD-1阻害薬cemiplimab+化学療法の第III相試験(EMPOWER-Lung3)が有効中止/Sanofi

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する新規PD-1阻害薬cemiplimabとプラチナダブレット化学療法の併用の有用性を検討した第III相EMPOWER-Lung3試験は、主要評価項目である全生存期間(OS)を達成し、中間解析で有効中止された。 EMPOWER-Lung3試験は、未治療のStage IVまたはStage IIIB/CのNSCLCにおいて、PD-L1発現および組織型(扁平上皮および非扁平上皮)に関係なく、cemiplimab+プラチナダブレット化学療法とプラチナダブレット化学療法単独を比較した無作為化多施設第III相試験。 466例の患者が登録され、cemiplimab 350 mg(n=312)またはプラセボ(n=154)に2対1に無作為に割り付けられた。結果、OS中央値はcemiplimab+化学療法群22ヵ月、化学療法単独群13か月で、cemiplimab+化学療法群で有意に改善した(ハザード比:0.71、95%信頼区間:0.53〜0.93、p=0.014)。cemiplimabの新しい安全性シグナルは特定されなかった。 試験の早期中止の決定は、中間分析中の独立データ監視委員会(IDMC)による推奨に基づいたもの。詳細な有効性と安全性のデータは、今後の医学会議で発表される予定。

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EGFR EXON20変異の非小細胞肺がんに対するEGFR-MET二重特異性抗体amivantamabの評価(CHRYSALIS)/JCO

 EGFR exon20挿入変異(Exon20ins)を伴う非小細胞肺がん(NSCLC)は、従来のチロシンキナーゼ阻害薬に対して耐性を示す。一方、amivantamabはEGFRとMETの双方の受容体の細胞外ドメインに結合し、TKI結合部位での耐性を回避するEGFR-MET二重特異性抗体である。 韓国のKeunchil Park氏らは、化学療法進行後のEGFR Exon20insを有するNSCLC患者に対する第I相試験初回解析において、amivantamab単剤の有効性と忍容性を報告した。 CHRYSALISは、EGFR Exon20ins NSCLCの集団を含む、非盲検用量漸増・拡大第I相試験である。・対象:プラチナベース化学療法後のEGFR Exon20ins NSCLC患者・介入:第II相推奨用量1,050mgのamivantamab(初回は4週ごと、その後5週目から2週ごと)を投与・主要評価項目:用量制限毒性と全奏効率(ORR) 主な結果は以下のとおり。・有効性評価集団(n=81)の年齢中央値は62歳、49%がアジア人であった。・前治療ライン数中央値は2であった。・ORRは40%(CR3例)であった。・無増悪生存期間の中央値は8.3ヵ月、奏効期間中央値は11.1ヵ月であった。・頻度の多い有害事象は、皮疹86%(98例)、インフージョンリアクション66%(75例)、爪囲炎45%(51例)であった。

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AmoyDx 肺癌マルチ遺伝子PCRパネル、METexon14スキッピング肺がんのコンパニオン診断にも承認/理研ジェネシス

 理研ジェネシスは、2021年8月12日、体外診断用医薬品「AmoyDx 肺癌マルチ遺伝子PCR パネル」に関し、MET遺伝子エクソン14 スキッピング変異陽性に適応する薬剤の判定補助の承認を取得したと発表。 これにより、メルクバイオファーマのテポチニブ(製品名:テプミトコ)の適応判定の補助に本品の使用が可能となる。 今回の承認により、同製品はNSCLCの5種のドライバー遺伝子に対応する本邦初のコンパニオン診断薬となった。 製品の上市に際しては、1パッケージとする統合承認を経て、EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子、BRAF V600E 変異、MET遺伝子エクソン14 スキッピング変異を1回の測定で同時に検出可能となり、10種の抗悪性腫瘍薬の適応判定の補助が可能となる。 同キットは、リアルタイムPCR法を用いることで、感度の高さや短いターンアラウンドタイム、手軽さなどにより、早期治療戦略の立案やNSCLC患者への治療機会拡大に貢献することが期待されている。

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「患者さんに話が伝わらない」と思ったら、試してほしいこと【非専門医のための緩和ケアTips】第9回

第9回 「患者さんに話が伝わらない」と思ったら、試してほしいこと「時間をとって一生懸命患者さんの話を聞いているのに、どうも患者さんの求めに応えられていない気がする…」。そんなふうに感じる時はないでしょうか。この気付き、緩和ケアの視点から非常に重要なので、今回はそんなお話をしてみます。今日の質問忙しい外来でも、患者さんの話をしっかり聞いたうえで、きちんと指導することを心掛けています。ただ、それだけ指導したにもかかわらず、あまり行動を変えてくれません。それどころか、何か納得してないような雰囲気も感じます。緩和ケアのスキルを使って、何かできることがあるでしょうか?外来でよくある光景ですよね。私も以前、糖尿病のコントロールが不十分な患者さんに食事や運動の重要性を頑張って説明したものの、「はぁ…、そうですよね…」といった反応しか返ってこず、そうした状況に悩んだ時期もありました。「生活習慣病患者の行動変容」という、緩和ケアとはまったく異なる話題に対して、緩和ケア医がアドバイスできることはあるでしょうか? 解決策そのものを提案することは難しいのですが、緩和ケアの実践や教育の場面でよく議論される話題を紹介させてください。ちょっと難しい言葉を使うと「対人援助技法」となるのですが、今回はわかりやすく「自分と患者さんの状態」を意味する言葉である「“モード”に着目しよう!」というライトな表現にしてみます。さて、今回のような臨床現場でよく見る光景ですが、肝心の患者さんは問題解決をしたい「モード」になっているでしょうか?「自分の血糖値をなんとか下げたい!」「血管リスクを低減する具体的な取り組みをアドバイスしてほしい」という糖尿病患者さんには、残念ながらあまりお目にかかりません。一方、以前の私や今回の質問をされた医師はどんな「モード」でしょう? まさしく、問題解決を目指す「モード」ではないでしょうか?「なんとか患者さんの健康を守りたい!」「そのための課題は血糖値が高いことで、解決策は食事と運動療法だから、しっかり指導しよう!」…。こんな気持ちが前面に出ているように感じられます。誤解がないように言っておきますが、これはまったく悪いことではありません。医師が患者の問題解決を目指すことは、ある意味当然のことです。ただ、意識していただきたいのは、自分と患者さんの「モード」が完全にズレている、という点です。忙しい外来でせっかく時間をかけて指導しても、患者さんにとって意味のある行動変容につながらないのでは意味がありません。これは、お互いのモードのズレが大きく、同じ議論の基盤に立ってないからです。あっさりとしたそばを食べたい人にこってりした豚骨ラーメンのおいしさを説いたところで、「よし、それじゃあ豚骨ラーメンを食べに行こう!」とはなりませんよね。自分の「モード」をいったん脇に置いておき、相手の「モード」が今どんな状態なのか、想像してみることが歩み寄りの第一歩になります。緩和ケアはいろいろな職種と協働して取り組みます。そこで医師として働いていて感じるのは、「さまざまな職種の中で、とくに医師は問題解決に思考が向きやすい」ということです。それは医師の持つ強みですが、一方で自分と患者さんの「モード」のギャップが大きくなりがちという弱みも内包しています。「モードに目を向けて」というと、「チーム医療で、時間をたっぷり使える緩和ケアだからできるアプローチでしょう?」と思われるかもしれませんが、外来の限られた時間であっても、医師の意識は患者さんに確実に伝わるものです。「患者さんにわかってもらえない、伝わっていない」と感じたら、一息ついて自分と相手の「モード」に目を向けてみましょう。次回はこのスキルを高める方法もお伝えしたいと思います。今回のTips今回のTips自分と患者さんの「モード」に意識を向けてみよう!

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がん悪液質は非小細胞肺がんIO-Chemo治療の予後不良因子か

 がん悪液質は免疫チェックポイント阻害薬の単剤療法の予後不良因子であることが示されているが、化学免疫療法に関する、その関係の検討は少ない。京都府立医科大学の森本健司氏らは後ろ向き解析により、非小細胞肺がん(NSCLC)において、がん悪液質が化学免疫療法予後の不良因子である可能性を明らかにした。 わが国の12施設で化学免疫療法を受けたNSCLC患者を対象に医療記録を後ろ向きに解析した。がん悪液質の定義は、化学免疫療法開始前6ヵ月以内の、5%以上の全体重減少、BMI20 kg/m2の対象者では2%を超える全体重減少とした。 主な結果は以下のとおり。・対象は2019年1月~11月に登録され、解析対象に適格となった患者は196例であった。・解析対象のうち25.5%(50例)が悪液質診断の基準を満たしていた。・がん悪液質患者では非がん悪液質患者に比べ、PD-L1発現50%以上の頻度が、有意に高かった(48%、p=0.01)・がん悪液質患者の無増悪生存期間は、非がん悪液質の患者に比べ有意に短かった(p=0 .04)・全生存期間(OS)については、がん悪液質患者と非がん悪液質患者間の関係は認めなかった(p=0.14)。

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固形燃料による家庭内大気汚染がうつ病に及ぼす影響

 家庭内大気汚染は、脳卒中や心血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、肺がんなどを引き起こすことが知られており、世界では毎年数百万人が大気汚染に起因する疾患で早期に死亡している。この長期的な家庭内大気汚染がメンタルヘルスに及ぼす影響を検討したエビデンスは限られている。中国・華中科技大学のChenshuang Li氏らは、固形燃料の使用による長期的な家庭内大気汚染とうつ病との関連を調査するため、中国の代表的なフォローアップデータセットを用いて検討を行った。Environmental Pollution誌2021年8月15日号の報告。 対象は、China Health and Retirement Longitudinal Study(CHARLS)の4つの最新データ(2011、2013、2015、2018年)より抽出した中高年成人7,005人。抑うつ症状の測定には、うつ病自己評価尺度(CES-D 10)を用い、12ポイント超を抑うつ症状ありと定義した。家庭内大気汚染とすべての集団およびサブグループ(社会人口統計学的要因、ライフスタイル行動、慢性疾患、居住環境により層別化)におけるうつ病リスクとの関連を調査するため、Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・固形燃料の使用による長期的な家庭内大気汚染は、中国における高齢者のうつ病リスクの上昇との有意な関連が示唆された。●暖房の場合のハザード比(HR):1.27(95%信頼区間[CI]:1.14~1.42)●調理の場合のHR:1.26(95%CI:1.13~1.40)・より長期にわたる家庭内大気汚染および作物廃棄物や木材の使用による家庭内大気汚染は、うつ病リスクがより高かった。 【より長期にわたる家庭内大気汚染】●暖房の場合のHR:1.47(95%CI:1.28~1.68)●調理の場合のHR:1.36(95%CI:1.19~1.56) 【作物廃棄物や木材の使用による家庭内大気汚染】●暖房の場合のHR:1.66(95%CI:1.41~1.94)●調理の場合のHR:1.37(95%CI:1.23~1.53)・サブグループ解析では、固形燃料の使用による家庭内大気汚染がうつ病に及ぼす影響は、さまざまであった。・小さな家や部屋数の少ない家で暮らす高齢者は、クリーンな燃料を使用している人と比較し、暖房や調理に固形燃料を使用すると、うつ病リスクの上昇が認められた。 著者らは「固形燃料の使用による長期的な家庭内大気汚染とうつ病リスクとの関連が示唆された。固形燃料の使用を制限し、家庭内大気汚染を改善することは、中国の高齢者のうつ病を予防し、うつ病に関連する公衆衛生上の負荷を減少させるために役立つであろう」としている。

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CGPを提供するリキッドバイオプシーを国内で初めて発売/中外製薬

 中外製薬は、固形がんに対する包括的ゲノムプロファイリング(CGP)を提供するリキッドバイオプシー検査である「FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル」について、8月1日より保険償還が開始され、21021年8月2日、発売したと発表。あわせてエスアールアエルによる検査の受託も開始される。CGPとコンパニオン診断機能を持ったがん遺伝子パネル検査 FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイルは、血液検体を用いた固形がんに対するCGPと、国内承認済の複数のがん治療薬に対するコンパニオン診断機能を持ったがん遺伝子パネル検査で、本年3月22日に厚生労働省より承認されている。 FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイルは、固形がんを対象に、血液中の循環腫瘍DNA(ctDNA)を用いることで、324のがん関連遺伝子を解析する。がんゲノムプロファイリング機能とあわせ、厚生労働省より承認されている複数の分子標的治療薬のコンパニオン診断機能も有しており、これらの結果を1つのレポートとして提供する。医薬品の適応判定の補助を目的とした場合の適応・活性型EGFR遺伝子変異(非小細胞肺がん):アファチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、オシメルチニブ・EGFRエクソン20 T790M変異(非小細胞肺がん):オシメルチニブ・ALK融合遺伝子(非小細胞肺がん):アレクチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ・ROS1融合遺伝子(非小細胞肺がん):エヌトレクチニブ・NTRK1/2/3融合遺伝子(固形がん):エヌトレクチニブ・BRCA1/2遺伝子変異(前立腺がん):オラパリブ

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オピオイドから認知症在宅診療まで、「緩和ケア」の旬のトピックを学ぶ【非専門医のための緩和ケアTips】第8回

第8回 オピオイドから認知症在宅診療まで、「緩和ケア」の旬のトピックを学ぶ今日の質問開業してからは多忙で学術大会から足が遠ざかっています。参加するメリットはありますか?今回は2021年6月に開催された第26回日本緩和医療学会学術大会について、開催レポートを兼ねて紹介したいと思います。新型コロナウイルス流行下ということで、現地とオンライン参加のハイブリッド開催で行われました。緩和ケア学会、というとどんな内容をイメージするでしょうか? 医学系学会といえば、改定ガイドラインの解説や最新の研究分野の発表とシンポジウム、みたいなところがメジャーですよね。緩和ケア学会もそうした内容はあるのですが、他学会では見られないユニークな内容もあります。今回の学術大会のテーマは「初心忘るべからず(初心不可忘)」。私は知らなかったのですが、これは世阿弥が生み出した能の有名な言葉だそうです。大会ポスターも能のシーンを基に作られ、特別講演は能楽師をお招きしての「能楽の時代を超えた役割」。医学の学術大会になぜ能?と思った方も多いでしょう。ですが、緩和ケア系の学会でこうした文化的なトピックと緩和ケアの接点を探るセッションが開催されることは珍しくありません。これまでも音楽や地域づくりなど、文化人類学的な演題が行われてきました。緩和ケアという領域の特性として、文化・教育と医療の融合に関する議論は欠かすことができず、「死生観の醸成」といった議論を大切にされている方も多くいます。とはいえ、私たち臨床医がこうした分野を勉強する機会はあまりありませんから、学術大会だからこその学びでもあります。もちろん、緩和ケアの実践的な演題も多くあります。印象的だったのは「オピオイド」に関する発表です。がん治療の成績向上に伴い、オピオイドの使用が長期化する患者さんが増えてきました。読者の中にも、オピオイドを長期使用しているがん患者を外来でフォローされている方がいるのではないでしょうか。海外ではオピオイド依存症が大きな社会問題になっており、不適切使用を防ぐための指導がこれまで以上に重要になっています。発表でも慢性疼痛のマネジメントや長期使用のアセスメント、留意点の議論が活発に行われました。私が運営を手伝った「認知症BPSDの在宅緩和ケア成功の秘訣」のセッションも興味深いものでした。介護者の負担が大きい状況下にあって、医師は緩和ケアをどのように実践すべきか、薬物療法や各職種への働き掛けについて議論が交わされました。質問も活発で、がん以外の疾患に対する緩和ケアの重要性とその実践の難しさに多くの人が直面していると感じました。私は今回の学術大会の実行委員であり、現地で参加しました。オンラインは自宅でリラックスして参加できるメリットがありますが、各分野の第一人者や懐かしい仲間と直接会うことができる現地参加のメリットも再確認できました。コロナの影響で1年以上会えなかった先生方と言葉を交わすこともできました。こうした機会はバーンアウトを防ぐためにも有効だといわれています。開業されて1人で診療している先生も多いことでしょう。知識のアップデートのほか、ネットワーキングの機会としてもぜひ学術大会を有効活用していただければと思います。次の第27回日本緩和医療学会学術大会は2022年7月1日(金)~2日(土)、神戸で開催予定です!今回のTips今回のTips他分野とは一線を画したユニークなトピックに触れられる、緩和ケアの学術大会にぜひご参加ください!

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NSCLCの4種のドライバー変異を判定するリアルタイムPCRが国内承認/理研ジェネシス

 理研ジェネシスは、2021年6月25日、複数の抗悪性腫瘍薬のコンパニオン診断薬として「AmoyDx 肺癌マルチ遺伝子 PCR パネル」の国内製造販売承認を取得したと発表。  同製品は、非小細胞肺がんの4種のドライバー遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、BRAF)を網羅するリアルタイムPCR法を原理としたコンパニオン診断薬である。 EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子、BRAF V600E変異を1回の測定で同時に検出し、9種の抗悪性腫瘍薬の適応判定の補助が可能。 リアルタイムPCR法を用いた複数遺伝子を網羅するコンパニオン診断薬が承認されたのは本邦初であり、その感度の高さや短いターンアラウンドタイム(TAT)、手軽さなどにより、早期治療戦略の立案やNSCLC患者への治療機会拡大に貢献することが期待されている。製品概要・ 製品名:AmoyDx 肺癌マルチ遺伝子 PCR パネル(製品番号:A246)・承認番号:30300EZX00059000・使用目的:がん組織から抽出したDNA中の遺伝子変異(EGFR遺伝子変異及びBRAF遺伝子変異)及びRNA中の融合遺伝子(ALK融合遺伝子及びROS1融合遺伝子)の検出NSCLC患者への、以下の抗悪性腫瘍剤の適応を判定するための補助に用いる ・EGFR 遺伝子変異 ゲフィチニブ、エルロチニブ塩酸塩、アファチニブマレイン酸塩、 オシメルチニブメシル酸塩 ・ALK 融合遺伝子 クリゾチニブ、アレクチニブ塩酸塩、ブリグチニブ ・ROS1 融合遺伝子 クリゾチニブ ・BRAF V600E 変異 ダブラフェニブメシル酸塩とトラメチニブジメチルスルホキシド付加物の併用投与・検査原理 PCR 法(リアルタイム PCR 法および RT-PCR法)・検体材料 腫瘍細胞の存在が確認されたFFPE組織、新鮮凍結組織・包装 1キット(12テスト)・製造販売業者 株式会社理研ジェネシス・製造元 Amoy Diagnostics Co., LTD(中国)

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緩和ケアを体系的に学ぶなら、まずはここから!【非専門医のための緩和ケアTips】第7回

第7回 緩和ケアを体系的に学ぶなら、まずはここから!だんだん暑くなってきましたね。外来に通院している患者さんに「熱中症に気を付けて」とアドバイスするのもこんな時期です。今日の質問緩和ケアを学んでみたいのですが、何から始めればいいのでしょうか? 関連する学会は入ったほうがいいですか?今回は、緩和ケアを学びはじめた若手の先生からよく聞かれる質問です。実は5、6月にかけ、緩和ケア業界は忙しくなります。それは、毎年6月に最も会員数が多い関連学会である、日本緩和医療学会の学術大会が開催されるからです。コロナの影響による学会オンライン化の流れもあり、演題の打ち合わせだけでなく発表の事前収録なども含め、タスクが多くなる時期です。私も所属するこの日本緩和医療学会について、少し紹介させてください。会員数は1万2,012名(2021年7月1日時点)、医師は約半数で、残りは看護師が最多、次いで薬剤師、リハビリテーション専門職など多職種で構成されています。緩和ケアを実践するうえでチーム医療は非常に大切であり、いろいろな職種が参加する学会である点が特徴です。日本緩和医療学会が取り組んでいる事業をいくつか紹介します。緩和ケアに関連したガイドラインの作成エビデンスの集積が難しい分野ではありますが、その中でもわかっていることを理解し、根拠をもって診療することは大切です。学会では「がん疼痛」「がん患者の呼吸器症状の緩和」「がん患者の消化器症状の緩和」「苦痛緩和のための鎮静」といった、緩和ケアで重要な分野についてのガイドラインを作成しています。これらのガイドラインは学会サイトより無料でダウンロード可能となっており、困ったとき、迷ったときに調べてみるのに便利です。緩和ケアセミナー学会では、緩和ケアを学びたい医療者を対象としたセミナーを数多く開催しています。たとえば、年2回開催される「教育セミナー」では、1日かけてさまざまなトピックの講演が行われます。最近はオンライン形式で参加が容易になり、1,000人近い参加者が一緒に学ぶ場となっています。医師だけでなく看護師など緩和ケアに関わる多職種が参加し、テーマも他学会ではなかなか聞くことのできないものがめじろ押し。最近でも、臨床宗教師の方のお話や、意思決定を支援するうえで知っておきたい法律と倫理のセッションなどユニークな講演が行われています。学会に入会すればストリーミング配信も視聴できるので、自己学習教材にもなります。こうした、ほかにないコンテンツを利用できるだけでも学会入会のメリットがあると感じます。また、緩和医療認定医や専門医を目指す先生にとっては資格取得要件ともなっているので、計画的に受講いただければと思います。2021年6月18日~19日に第26回日本緩和医療学会学術大会がオンラインと現地開催のハイブリッド形式で開催されました。どこの分野も同様でしょうが、学術大会はパンデミック下における学術活動を基盤とした、貴重な学びとネットワーキングの機会を創出しています。次回は、開催直後の今年の学術大会の内容を報告します。日本緩和医療学会今回のTips今回のTips緩和ケアを学ぶならぜひ日本緩和医療学会へ。ガイドラインやセミナーを通じて、緩和ケアの学習機会を提供しています。近年はオンラインで参加しやすくなっています!

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非小細胞肺がん化学放射線療法における最適な化学療法レジメン【肺がんインタビュー】 第66回

第66回 非小細胞肺がん化学放射線療法における最適な化学療法レジメン出演:国立がん研究センター東病院 呼吸器内科 善家 義貴氏StageIII非小細胞肺がん化学放射線療法における最適な化学療法レジメンはなにか?議論が残るこのテーマを検討したWJTOG0105試験の10年追跡結果がJAMA Oncology誌に発表された。筆頭著者である国立がん研究センター東病院 善家義貴氏に研究結果および今後の展開について聞いた。参考Zenke Y,et al. Effect of Second-generation vs Third-generation Chemotherapy Regimens With Thoracic Radiotherapy on Unresectable Stage III Non-Small-Cell Lung Cancer: 10-Year Follow-up of a WJTOG0105 Phase 3 Randomized Clinical Trial. JAMA Oncol. 2021;7:904-909.

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アテゾリズマブのNSCLCアジュバント、適応申請へ/中外

 中外製薬は、2021年7月6日、抗PD-L1抗体アテゾリズマブ(製品名:テセントリク)の非小細胞肺がん(NSCLC)術後補助療法に対する製造販売承認申請を厚生労働省に行った。 今回の承認申請は、NSCLCの術後補助療法に対する第III相臨床試験IMpower010の成績に基づいている。同試験では、PD-L1発現(TPS)1%以上のII期~IIIA期の手術および化学療法後のNSCLCにおいて、best supportive careと比較して、テセントリク治療が無病生存期間を34%低下させた(ハザード比:0.66、95%信頼区間:0.50~0.88)。テセントリクの安全性は、これまでに認められている安全性プロファイルと同様であり、新たな安全性上の懸念は示されなかった。

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化学療法+ニボルマブ+ベバシズマブによる非扁平上皮NSCLC1次治療の成績(ONO-4538-52/TASUKI-52)/Ann Oncol

 非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、ニボルマブとプラチナ含有化学療法およびベバシズマブの併用を評価する国際無作為化二重盲検第III相試験ONO-4538-52/TASUKI-52試験の結果がAnnals of Oncology誌に発表された。TASUKI-52試験のPFS中央値はニボルマブ群12.1ヵ月・対象:未治療のStage IIIB/IVの非扁平上皮NSCLC患者(PD-L1発現問わず)・試験群:ニボルマブ(360mg)+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ(3週間ごと6サイクル)→ニボルマブ+ベバシズマブ(ニボルマブ群)・対照群:プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ→プラセボ+ベバシズマブ(プラセボ群) ニボルマブ/プラセボ+ベバシズマブは、疾患進行または許容できない毒性発現まで継続・評価項目:[主要評価項目]独立放射線審査委員会(IRRC)評価の無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、全奏効率(ORR)、安全性 TASUKI-52試験の主な結果は以下のとおり。・2017年6月~2019年7月に、日本、韓国、台湾から550例が登録され、ニボルマブ群とプラセボ群に無作為に割り付られた。・追跡期間中央値13.7ヵ月であった。・IRRC評価のPFS中央値はニボルマブ群12.1ヵ月に対し、プラセボ群8.1ヵ月と、ニボルマブ群で有意に長かった(ハザード比:0.56、96.4%信頼区間:0.43~0.71、p<0.0001)。・サブグループ解析では、PD-L1発現レベルを問わず、ニボルマブ群でPFS良好であった。・IRRC評価のORRは、ニボルマブ群で61.5%、プラセボ群で50.5%であった。・OS中央値は両群とも未到達であった。・治療関連有害事象の発現率は、全Grade、Grade3/4ともに両群で同等であった。

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ASCO2021 レポート 肺がん

レポーター紹介2021年のASCOは、昨年に引き続き完全Webでの開催であり、肺がん領域については周術期での重要な発表がいくつかあったものの、進行期については真新しい話題は乏しい印象であった。本稿では、その中からIMpower010試験、IMPACT(WJOG6410L)試験、CheckMate9LA試験、amivantamab+lazertinib併用療法Phase I試験、patritumab deruxtecan(HER3-DXd)Phase I試験、JCOG1210/TORG1528試験について解説したい。IMpower010試験完全切除後の非小細胞肺がんを対象として、標準治療としてシスプラチン+ペメトレキセド/ゲムシタビン/ドセタキセル/ビノレルビンを最大4サイクル実施した後に、経過観察群と、アテゾリズマブ1,200mg/body 16サイクルを比較する第III相試験の結果が、Heather A. Wakelee先生から報告された。本試験では、完全切除後の非小細胞肺がん、病理病期StageIB~IIIA、1,280例が1:1にランダム化され、無病生存期間を主要評価項目として実施された。本試験はヒエラルキカルに3つの主要評価項目、順にPD-L1 TC≧1%のII~IIIA期における無病生存期間、II~IIIA期全体での無病生存期間、IB~IIIA期、最後に全生存期間の解析が実施されるプロトコールとなっている。今回報告されたのは、無病生存期間の第1回中間解析の結果である。最初の解析対象となるPD-L1 TC≧1%のII~IIIA期においては、ハザード比が0.66、95%信頼区間0.50~0.88、無病生存期間中央値がアテゾリズマブ群で未到達、経過観察群で35.3ヵ月という結果であり、統計学的にも有意に優越性が示されている。次の対象となるII~IIIA期全体での無病生存期間においても、ハザード比が0.79、95%信頼区間0.64~0.96、無病生存期間中央値がアテゾリズマブ群42.3ヵ月、経過観察群35.3ヵ月という結果であり、統計学的にも有意に優越性が示された。一方、IB~IIIA期においては、ハザード比が0.81、95%信頼区間0.67~0.99、無病生存期間中央値がアテゾリズマブ群未到達、経過観察群37.2ヵ月という結果であり、今回の中間解析では統計学的な優越性は示されなかった。この結果に基づき、全生存期間の解析は現時点では公式なものではないが、両群で明らかな差はないという結果が報告されている。有害事象に関しては、アテゾリズマブで従来報告されていた内容と大きな違いは認められなかった。周術期治療においては、免疫チェックポイント阻害剤を用いた術前、術後、さらには術前+術後の臨床試験が実施されている。その中でも、今回のIMpower010試験が、術後療法についてはいち早く報告された。PD-L1 TC≧1%のII~IIIA期の集団において、無病生存期間で明確な利益が示されているだけでなく、今後観察期間が延長された段階での無病生存期間の中間解析、さらには、全生存期間の結果を期待したい。IMPACT(WJOG6410L)試験WJOGで実施された、完全切除後のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんを対象として、標準治療としてのシスプラチン+ビノレルビン療法と試験治療としてのゲフィチニブを比較する第III相試験の結果を多田先生が報告された。本試験では、完全切除後に病理病期でII期もしくはIII期と診断されたEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん、230例が1:1にランダム化され、無病生存期間を主要評価項目として実施された。完全切除後のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんにおける、EGFR-TKIを用いたPhase III試験としては、アストラゼネカ社が主導したADAURA試験、中国で実施されたADJUVANT(CTONG1104)試験がすでに報告されている。ADAURA試験では第3世代EGFR-TKIのオシメルチニブが、ADJUVANT試験ではIMPACT試験同様にゲフィチニブが、EGFR-TKIとして用いられている。とくにADAURA試験では、無病生存期間においてオシメルチニブの明らかな優越性が示されたものの、進行肺がんでのEGFR-TKIの治療成績を踏まえて、全生存期間ではその差が解消されてしまうのではないか等の見解が示され議論を呼んでいる。一方、ゲフィチニブを用いたAJUVANT試験においては、ゲフィチニブのシスプラチン+ビノレルビンに対する、無病生存期間での優越性がハザード比0.60、95%信頼区間0.42~0.87で示されている。中国で行われたADJUVANT試験に比べても、いち早く立案されたIMPACT試験の結果は、日本国内だけでなく、世界的にも注目を集めていた。今回、残念ながら主要評価項目である無病生存期間、今後追跡される予定である副次評価項目の全生存期間いずれにおいても、試験治療であるゲフィチニブの優越性は示されないという結果であり、驚きをもって迎えられている。無病生存期間については、ハザード比0.92(p値0.63)、期間中央値はゲフィチニブで35.9ヵ月、シスプラチン+ビノレルビン療法で25.0ヵ月であり、全生存期間については、ハザード比1.03(p値0.89)、期間中央値は両群とも未到達という結果であった。同様のデザインで実施されたADJUVANT試験では、4年時点で両群ともに無病生存がほぼゼロとなっていたのに比べ、IMPACT試験の無病生存曲線は、5年目以降、約30%のところで平坦になり3人に1人で根治が得られていることが示唆されている。さらに、ADJUVANT試験においては、標準治療群のシスプラチン+ビノレルビンの無病生存期間中央値が18.0ヵ月、ゲフィチニブ群で28.7ヵ月であったのに対し、IMPACT試験では標準治療群でも25.0ヵ月、試験治療群では35.9ヵ月と明らかに異なる結果であった。ADAURA試験においては、プラチナ併用療法による術後療法を実施していない患者も含む解析での標準治療群の無病生存期間中央値は20.4ヵ月(II~IIIA期)であり、プラチナ併用療法による術後療法を実施された患者集団での無病生存期間中央値は22.1ヵ月(ただしこちらはIB期含む)という結果であった。これらの試験結果より、IMPACT試験において、標準治療群のシスプラチン+ビノレルビンによる無病生存期間が最も良好であることが、主要評価項目を達成できなかった1つの要因となっていると考えられる。さらに、試験治療群についても、ゲフィチニブに比べオシメルチニブの有効性が高いことが示唆される。IMPACT試験は、残念ながら主要評価項目を達成できなかったものの、今後もフォローアップの結果が得られ、また、実臨床にも応用される可能性のあるEGFR-TKIによる術後療法について、考察を深めるために必須の情報をもたらした重要な試験と評価でき、追加解析の結果含め期待したい。CheckMate9LA試験CheckMate9LA試験は、未治療進行非小細胞肺がん患者を対象として、標準治療としてのプラチナ併用療法(腺がんプラチナ+ペメトレキセド、扁平上皮がんカルボプラチン+パクリタキセル、いずれも3週おき4サイクル、ペメトレキセドは維持療法あり)、試験治療としてのプラチナ併用療法(3週おき2サイクル)にニボルマブ(Nivo、360mg/body、3週おき)、イピリムマブ(Ipi、1mg/kg、6週おき)を追加し、Nivo+Ipiについては増悪もしくは2年までの維持療法実施を比較する第III相試験であり、Martin Reck先生が報告された。本試験では、EGFR陰性、ALK陰性、PS 0~1のIV期もしくは再発の非小細胞肺がん、719例が1:1にランダム化され、全生存期間を主要評価項目として実施された。2020年のASCOでの初回報告から、追跡期間を延長し最短でも2年の追跡がされたデータセットでのアップデート報告である。進行非小細胞肺がんにおいては、プラチナ併用療法に対するNivo+Ipiの優越性を示したCheckMate227試験の結果も併せて、日本においてもNivo+Ipi、Nivo+Ipi+プラチナ併用療法が承認され、実臨床で実施可能な状態となっている。今回、CheckMate227試験は、4年のフォローアップ結果がポスター発表されており、PD-L1 TPS≧1%、<1%のそれぞれの群における4年の全生存割合が29%、24%であり、長期生存につながることが示されている。CheckMate9LA試験の2年フォローアップ結果では、全生存期間については、ハザード比0.72、95%信頼区間が0.61~0.86、全生存期間中央値はNivo+Ipi+プラチナ併用療法群で15.8ヵ月、プラチナ併用療法群で11.0ヵ月であり、無増悪生存期間については、ハザード比0.67、95%信頼区間が0.56~0.79、無増悪生存期間中央値は試験治療群で6.7ヵ月、標準治療群で5.3ヵ月であった。2年の全生存割合については、全体集団、PD-L1 TPS≧1%、≦1%においてそれぞれ、38%、41%、37%、2年の無増悪生存割合についても同様の順番で、20%、20%、20%であった。この結果は、PD-L1の発現状況によらず維持されており、従来指摘されているPD-1とCTLA-4の双方を阻害する併用療法の特徴が再現されている。有害事象に関しては、すべてのGrade3/4について試験治療群48%、標準治療群で38%、いずれかの治療の中止に関連したすべての有害事象が試験治療群で22%、標準治療群で8%、治療関連死が両群ともそれぞれ2例であった。昨年の報告時と比べ、有害事象の頻度はほとんど変動しておらず、Nivo+Ipi併用療法に懸念されている有害事象も、多くは1年以内に発生していることが示唆された。フォローアップ期間が延長されるたびに、いわゆるTail plateauと呼ばれる生存曲線後半がフラットになっているかが注目され、今回のCheckMate9LA試験では従来に比べ曲線がフラットになっていない印象があることが話題になっている。ただ、生存曲線の後半の部分は、打ち切り症例の影響を受けやすく、最も信頼できない部分でもあり、他の免疫チェックポイント阻害剤の試験と同様に、5年などの長期の結果を待たなければならない。CheckMate9LAについては、プラチナ併用療法が含まれていないものの、同様の併用療法であるCheckMate227試験の4年のデータが、ある程度長期の成績を占うものとして参考になると考えられる。amivantamab+lazertinib近年、オシメルチニブ耐性後のEGFR遺伝子変異陽性肺がん患者を対象とした、次世代の治療について期待の持てる結果が報告されている。オシメルチニブ耐性後の患者に対して、amivantamabとlazertinibの併用療法を検討するCHRYSALIS Phase I試験について有効性に関するアップデートと、バイオマーカー解析の結果が報告された。amivantamabはEGFRとMETを標的としたBispecific抗体であり、EGFRやMETそのものに対する効果だけでなく、免疫細胞を介在した効果(immune cell-directing activity)も期待されている薬剤である。lazertinibはオシメルチニブ同様第3世代EGFR-TKIに位置付けられる薬剤である。今回の報告では、EGFR経路の耐性機序、METに関連する耐性機序を有することがバイオマーカー解析の結果判明した集団と、それらの耐性機序が明らかではない集団での有効性が示された。EGFRやMETに何らかのオシメルチニブ耐性機序が出現していた集団での奏効割合は47%、他の耐性機序が報告されている患者集団での奏効割合が29%であった。全体集団での奏効割合は36%、無増悪生存期間中央値が4.9ヵ月であった。今回有害事象に関する追加データは乏しかったものの、amivantamabには従来EGFR抗体として特徴的な皮疹等の有害事象に加え、比較的高い割合の患者で注入に伴う反応が報告されており、適切な支持療法の併用が求められる。今回の結果から、従来示されているように多様な耐性機序が混在するオシメルチニブ治療後の患者集団においても一定の効果が期待されるものの、可能な限り耐性機序を明らかにすることにより、より高い有効性を追求することができることも明らかになった。patritumab deruxtecan(HER3-DXd)オシメルチニブを中心としたEGFR-TKI耐性化後の治療薬として注目されているもうひとつのカテゴリーが、抗体薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate:ADC)である。複数のADCが開発中であるが、その中でも注目を集めている薬剤がpatritumab deruxtecan(HER3-DXd)である。HER3に対する完全ヒト化モノクローナル抗体であるpatritumabに、トラスツズマブ デルクステカンでも用いられているトポイソメラーゼ阻害剤をペイロードとして付加したADCである。今回は、Phase I試験のうち、用量漸増パートと、拡大コホートの結果が報告された。オシメルチニブだけでなくさまざまなEGFR-TKI耐性化後の患者が登録され、有効性については前治療によらず39%の奏効割合が報告され、無増悪生存期間中央値も8.2ヵ月と、オシメルチニブ後の治療薬として期待される結果であった。耐性機序別にみても、オシメルチニブ等EGFR-TKIに対する多様な耐性に対応できることが示されている。また、今回は、脳転移を有する患者に関するサブグループ解析も報告されたが、脳転移を有する集団においても同様の有効性が示されていた。HER3を標的としたADCであることから、HER3の発現状況によって有効性に違いがあるのではと従来指摘されていたが、今回の報告では、H-scoreで評価したHER3の発現の強度によらず効果が示されていることが示された。Grade3以上の有害事象としては、血小板減少、好中球減少、倦怠感、貧血等が報告されており、有害事象による治療中止は10%前後であった。トラスツズマブ デルクステカンで注目されている肺障害についても、今回、全体集団で出現割合が5%とされており、注意は要するものの大きな懸念は示されなかった。今後単剤での開発だけでなく、オシメルチニブとの併用療法等の開発も検討されており、期待したい。JCOG1210/TORG1528試験JCOG肺がん内科グループ、TORGのインターグループ試験として実施された、71歳以上の高齢、進展型小細胞肺がん患者を対象として、標準治療としてのカルボプラチン+エトポシド(CE療法、カルボプラチンAUC5、エトポシド80mg/m2)、試験治療としてのカルボプラチン+イリノテカン(CI療法、カルボプラチンAUC4、イリノテカン50mg/m2)を比較する第II/III相試験の結果を、研究事務局の下川先生が報告された。本試験では、71歳以上の進展型小細胞肺がん、258例が1:1にランダム化され、全生存期間を主要評価項目として実施された。高齢者進展型小細胞肺がんにおいては、JCOG9702試験の結果に基づき、日常診療で幅広くCE療法が実施されている。本試験は、JCOG9511試験において、シスプラチンの併用療法薬としてエトポシドに対する優越性を示したイリノテカンを、高齢者においても検討することを目的に実施されている。残念ながら主要評価項目である全生存期間、副次評価項目である無増悪生存期間いずれにおいても、試験治療であるCI療法の優越性は示されず、CE療法が変わらず標準治療とされるという結論であった。全生存期間については、ハザード比0.848、95%信頼区間が0.650~1.105、全生存期間中央値はCE療法で12.0ヵ月、CI療法で13.2ヵ月であり、無増悪生存期間については、ハザード比0.851、95%信頼区間が0.664~1.090、無増悪生存期間中央値はCE療法で4.4ヵ月、CI療法で4.9ヵ月であった。有害事象(Grade3以上)に関しては、CE療法、CI療法それぞれについて、白血球減少59.2%、16.1%、好中球減少87.2%、46.0%、貧血28.0%、12.9%、血小板減少27.2%、12.9%、発熱性好中球減少症11.2%、9.7%であった。残念ながら高齢者進展型小細胞肺がんにおいて、新たなプラチナ併用療法の有効性が示されることはなかったものの、アテゾリズマブ、デュルバルマブ等免疫チェックポイント阻害剤との併用療法の登場で使用頻度の増えたCE療法について、高齢者も含め国内多施設臨床試験での有効性、安全性のデータが得られ、今後の追加解析の結果が待たれる。さいごに昨年に続くVirtual meetingであり、発表者、司会者、聴講者ともに、Webでの学会運営への習熟が明らかなASCOであった。おそらく今後も、Webでのライブ配信は継続されるのではないかと思われるが、来年こそはシカゴで開催したいという参加者の熱意が感じられた。昨今の状況が一刻も早く解決され、会場に集えない方がVirtualで、また、会場に集える場合は現地で、同じように最新のエビデンスを体感できる時代が来ることを祈念している。

758.

ALK阻害薬ブリグチニブのコンパニオン診断薬としてベンタナ OptiView ALK(D5F3)承認/ロシュ・ダイアグノスティックス

 ロシュ・ダイアグノスティックスは、ALK陽性非小細胞肺がん患者の診断補助に用いるALK融合タンパクキット「ベンタナ OptiView ALK(D5F3)」の一部変更承認を6月21日に取得。武田薬品のALK阻害薬ブリグチニブに対するコンパニオン診断薬として承認された。 ベンタナOptiView ALK(D5F3)は、がん組織、細胞中に発現するALK融合タンパクを検出する体外診断用医薬品であり、ALK阻害薬クリゾチニブ、セリチニブ、およびアレクチニブのコンパニオン診断薬として製造販売承認されている。 今回ブリグチニブに対して承認されたことで、未治療のALK陽性肺がんに対して国内で承認されているすべてのALK阻害薬のコンパニオン診断薬となった。

760.

非小細胞肺がん、ニボルマブ+化学療法の術前補助療法(CheckMate816)/ASCO2021

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の術前補助療法において、ニボルマブ(NIVO)+化学療法と化学療法を比較する無作為化化第3相試験CheckMate816の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表された。・対象:Stage IB~IIIAの切除可能なNSCLC(ECOGPS≦1)・試験薬群:ニボルマブ360mg+プラチナダブレット化学療法 3週ごと3サイクル→手術(n=179)・対照薬群:プラチナダブレット化学療法 3週ごと3サイクル→手術(n=179) 根治手術は治療から6週間以内に行われた・評価項目:[主要評価項目]盲検化独立委員会評価の病理学的完全奏効(pCR)および無イベント生存率[探索的評価項目]手術実施状況、手術関連有害事象 主な結果は以下のとおり。・pCR達成率は、NIVO+化学療法群24.0%、化学療法群2.2%と、NIVO+化学療法群で有意に優れていた(オッズ比:13.94、99%信頼区間:3.49~55.75、p<0.0001)。(既報)・根治的手術率は、ニボルマブ+化学療法83%、化学療法群では75%であった。・肺葉切除術はNIVO+化学療法群の77%、化学療法群の61%で実施され、肺全摘はNIVO+化学療法の17%、化学療法群の25%で実施された。・R0切除はNIVO+化学療法群83%、化学療法群78%で達成され、原発巣の残存生存腫瘍率はニボルマブ+化学療法10%に対し、化学療法群では74%であった。・全Gradeの手術関連有害事象の発現はNIVO+化学療法群41%、化学療法群47%であり、Grade3/4はそれぞれ11%、15%で発現した。 CheckMate816において、NIVO+化学療法の術前補助療法は、pCRを有意に改善した。また、同治療は忍容性が高く、ニボルマブの追加により術後合併症が増えることもなかった。この結果は、ニボルマブ+化学療法のNSCLC術前補助療法の選択肢としての可能性を支持するものだと。発表者は結んでいる。

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