サイト内検索|page:101

検索結果 合計:2040件 表示位置:2001 - 2020

2001.

早期肺がんの切除、実施率が低い原因は?

肺がんは米国において、がん死亡の主要な要因である。ステージI、IIの非小細胞肺がんでは、切除術が治癒の信頼性が高い唯一の方法であり、切除しない人の生存期間中央値は1年に満たない。しかし、早期肺がん患者の切除術実施率は低いのが現状で、特に黒人での実施率が低いという。米国ノースカロライナ大学チャペルヒル校のSamuel Cykert氏らは、修正可能な手術に関する因子を特定し、なぜ黒人で特に実施率が低い理由を明らかにするため、400人超を対象とする前向きコホート試験を行った。JAMA誌2010年6月16日号掲載より。黒人の実施率は白人より11ポイント低率同氏らは、2005年12月~2008年12月にかけて、生検で確定または可能性が高いと判断された新規早期肺がん患者437人のうち、386人を対象に試験を行った。被験者の年齢は26~90歳で、中央値は66歳、また29%が黒人だった。その結果、診断後4ヵ月以内に手術を行ったのは、白人は66%(179/273人)だったのに対し、黒人は55%(62/113人)で、黒人で有意に低率だった(p=0.05)。がんについての医師とのコミュニケーションが悪いほど、切除術の実施率は下がり、コミュニケーション指標25ポイントで5ポイント下がることによる、切除術の実施に関するオッズ比は0.42(95%信頼区間:0.32~0.74)だった。黒人で二つ以上の共存症があると実施率は0.04倍に術後1年後の予後予測が悪いとの患者の認識も、切除術の実施率が低いことと関連(オッズ比:0.27、同:0.14~0.50、絶対リスク差:34%)していた。黒人の切除術実施率は、二つ以上の共存症があった場合13%で、そうでない場合の62%と比べ、大幅に低率だった(オッズ比:0.04、同:0.01~0.25、絶対リスク差:49%)。また、黒人で普段医療ケアを受けられない状態だった人は切除術実施率が42%と、通常医療ケアを受けられた人の57%に比べ、低率だった(オッズ比:0.20、同:0.10~0.43、絶対リスク差:15%)。研究グループは、手術拒否の決定要因として、コミュニケーションや予後に対する患者の認識、高齢であること、黒人であることが独立した因子であることが明らかになったとして、至適手術実施のためにも、これら因子を考慮する必要があると結論している。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

2002.

血中ビタミンB6とメチオニン値が高濃度だと、肺がんリスクは大幅減少

血中ビタミンB6とメチオニン値が高濃度だと、低濃度の人に比べ、肺がん発症リスクはおよそ半減するようだ。フランスInternational Agency for Research on CancerのMattias Johansson氏らが行ったケースコントロール試験で明らかになったもので、JAMA誌2010年6月16日号で発表した。これまで、ビタミンBのがん発症予防に関する研究は、主に葉酸塩値の大腸がん発症予防効果について行われ、ハイリスク集団についてその抑制効果を前向きに示すことはできなかったという。肺がん発症の約900人とコントロール群約1,800人を分析同研究グループは、1992~2000年にかけて、10ヵ国51万9,978人を対象に行った前向きコホート試験、European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)のうち、血液採取データがある38万5,747人について追跡した。結果、2006年までに肺がんを発症した人は899人いた。そのコントロール群として、国や性別、誕生日、血液採取日をマッチングした1,770人を選び、両群の血中の4種のビタミンB(B2、B6、葉酸塩のB9、B12)とメチオニン、ホモシステイン濃度を調べ、肺がん発症率との関連を分析した。ビタミンB6濃度の最高四分位範囲の肺がん発症リスク、最低四分位範囲の0.44倍、メチオニンは同0.52倍喫煙の有無を補正した上で、血中ビタミンB6濃度が最も高い四分位範囲の最も低い同範囲に対する、肺がん発症に関するオッズ比は、0.44(95%信頼区間:0.33~0.60、傾向に関するp

2003.

スタチンの思わぬ効果・有害事象

スタチンの想定されていない効果および有害事象について検討する、英国人男女200万人超を対象とする前向きコホート研究が、英国ノッティンガム大学プライマリ・ケア部門のJulia Hippisley-Cox氏らにより行われた。思わぬ効果として、食道がんリスク低下の有益性が認められた一方、様々な有害事象リスク上昇との関連が確認されたという。BMJ誌2010年6月5日号(オンライン版2010年5月20日号)掲載より。スタチン各種、用量、投与期間ごとに効果・有害事象を定量化Hippisley-Cox氏らは、スタチンの思わぬ効果・有害事象について、種類・用量・投与期間別に定量化することを目的とし、イングランドおよびウェールズの開業医(GP)368人の診療データをQResearch databaseから収集し検討した。200万4,692例分の患者データ(30~84歳)のうち、スタチン服用新規患者は、22万5,922例(10.7%)だった。処方の内訳は、15万9,790(70.7%)がシンバスタチン(商品名:リポバスなど)、5万328例(22.3%)がアトルバスタチン(商品名:リピトール)、8,103例(3.6%)がプラバスタチン(商品名:メバロチンなど)、4,497例(1.9%)がロスバスタチン(商品名:クレストール)、3,204例(1.4%)がフルバスタチン(商品名:ローコールなど)だった。検討された主要評価項目は、心血管疾患の初回発生、中等度~重度ミオパシー、中等度~重度肝機能障害、急性腎不全、静脈血栓塞栓症、パーキンソン病、認知症、関節リウマチ、白内障、骨粗鬆症性骨折、胃がん、食道がん、大腸がん、肺がん、メラノーマ、腎臓がん、乳がん、前立腺がん。食道がんリスク低下、肝機能障害・急性腎不全・ミオパシー・白内障リスク増大スタチンとの関連が有意ではなかったのは、パーキンソン病、関節リウマチ、静脈血栓塞栓症、認知症、骨粗鬆症性骨折、胃がん、大腸がん、肺がん、メラノーマ、腎臓がん、乳がん、前立腺がんの各リスク。食道がんリスクについては低下が認められた。一方で、中等度~重度肝機能障害、急性腎不全、中等度~重度ミオパシー、白内障のリスクは増大することが認められた。有害事象は、スタチンの種類を問わず同等にみられた。ただし肝機能障害についてはフルバスタチンでリスクが高かった。用量反応効果は、急性腎不全、肝機能障害で明瞭だった。服用期間中の全リスク増加は、最初の1年目が最も高かった。白内障リスクは男女とも、服用中止後1年以内で標準に戻った。食道がんのリスクは、女性は1年以内に男性は1~3年以内で標準に戻った。急性腎不全リスクは、男女とも1~3年以内に、肝機能障害リスクは、女性は1~3年以内に男性は3年以降に標準に戻った。心疾患リスク20%閾値に基づく5年予防NNT(治療必要数、対患者1万例)は、女性の場合、心血管疾患が37例(95%信頼区間:27~64)、食道がんは1,266例(850~3,460)だった。男性はそれぞれ、33例(24~57)、1,082例(711~2,807)だった。一方、5年NNH(有害必要数、対患者1万例)は、女性の場合、急性腎不全が434例(284~783)、中等度~重度ミオパシーは259例(186~375)、中等度~重度肝機能障害136例(109~175)、白内障33例(28~38)だった。男性のNNHは、ミオパシーのNNHが91例(74~112)だった以外は、全体として女性と同等だった。Hippisley-Cox氏は、「食道がん以外の有益性は証拠立てることができなかったが、有害事象については母集団に潜在する事象が確認でき定量化できた。さらに、有害事象の最もリスクの高い患者をモニターできるよう個別リスクのさらなる検討を進める必要がある」と結論している。

2004.

富士フイルム子会社が肺がんの新規RI標識抗体を開発 米国核医学会にて発表

富士フイルム株式会社の子会社である、株式会社ペルセウスプロテオミクスと富士フイルムRIファーマ株式会社は8日、肺がんの新規RI標識抗体を開発し、その成果を6月7日(日本時間6月8日)に米国ソルトレークシティーで開催された米国核医学会において発表した。ペルセウスプロテオミクスは、東京大学先端科学技術研究センターと共同でヒト遺伝子の発現解析により、がん細胞に特異的に発現するたんぱく質を特定し、そのたんぱく質が肺がん、膵(すい)がん、大腸がんをはじめとする広範ながんで高く発現することを見いだしたという。ペルセウスプロテオミクスはこのたんぱく質に対する抗体を作製し、富士フイルムRIファーマとの共同研究により、その中からがん組織に集積性が高く、かつ正常組織への影響が少ない抗体をイットリウム(Y-90)で標識することに成功した。この「Armed抗体」が、マウスの肺がんモデルにおいて顕著な腫瘍の増殖抑制効果を示すことを確認し、今回の発表に至ったとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_0400.html

2005.

約4割の主婦が過去1年以内に検診を受けていない?

主婦の約4割が「過去1年以内に検診を受けていない」という結果が、ソニー損害保険株式会社が27日に発表した「主婦の健康診断・健康意識に関する調査」より明らかになった。この調査は、2010年5月14日~5月17日の4日間、20歳~49歳の主婦(パート/アルバイト、専業主婦)に対し、インターネットリサーチで実施し、1,000名の有効回答を得たもの。過去1年間に受けた検診の種類を複数回答で聞いたところ、「過去1年以内にどの検診も受けていない」が39.8%と最も多い結果だった。過去1年以内にどの検診も受けていない398名に、検診を受けていない理由を複数回答で聞いたところ、「検診にお金がかかる」が39.4%と、経済面での理由が約4割となり、続いて「検診へ行く時間がない」32.7%、「面倒くさい」31.9%、「今のところ特に体に異常がみられない」29.1%となった。過去1年以内に検診したガンの種類を複数回答で聞いたところ、「子宮けいガン」が33.4%と最も多く、主婦の3人に1人が子宮けいガン検診を受けていたようだ。次に多かったのは「乳ガン」の25.9%で、「子宮体ガン」14.1%、「胃ガン」8.4%、「大腸ガン」5.7%、「肺ガン」4.1%となっている。全回答者1,000名に、あなたが受けてみたいと思う検診を複数回答で聞いたところ、1位「500円で受けられるワンコイン検診」58.5%、2位「自宅でできるキット検診」40.8%、3位「検診後に昼食が付いているランチ付き検診」30.0%となり、経済的かつ手軽に受けられる検診が求められていることがわかったという。また、ガン以外の女性特有の病気や女性がかかりやすい病気の中で気になっているものを複数回答で聞いたところ、「更年期障害」で62.8%、「子宮筋腫」 55.5%、「骨粗鬆症」33.0%、「子宮内膜症」31.8%、「貧血」29.5%となった。「更年期障害」と回答した割合は年齢があがるにつれて高くなっており、20代主婦で42.2%、30代主婦で59.2%、40代主婦では70.2%となっている。また、20代主婦では他の年代よりも回答した割合が高いものが多く、「貧血」(51.8%)、「子宮内膜症」(50.6%)、「卵巣のう腫」(38.6%)、「膀胱炎」(32.5%)で他の年代より10ポイント以上高くなっていた。詳細はこちらhttp://from.sonysonpo.co.jp/topics/pr/2010/05/20100527_1.html

2006.

40代以上喫煙者の約3人に1人がCOPD予備軍

株式会社プラスアールは25日、同社が運営するモバイルサイト「禁煙のミカタ(http://nosmoke.netclinic24.com/)」上にて実施したCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の啓発およびCOPDチェックから、40代以上の喫煙者の34.4%がCOPD予備軍であることがわかったと発表した。この調査は、同社が日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社から情報提供を受け、2009年11月1日から2010年4月30日にかけて20代から80代の喫煙者20,154名に対して行われたもの。調査概要は、「息苦しい」「痰がでる」「咳がでる」などの症状関連ワード、「禁煙」「たばこ」などのたばこ関連ワード、「肺がん」「COPD」などの疾患名ワードを中心に検索エンジン経由で集客を行い、疾患の啓発およびチェックへの誘導を実施したとのこと。本調査の結果、1,983名(9.8%)もの人が「COPDの可能性が高い」と診断され、40代以上の喫煙者に限るとその割合は34.4%と高かった。しかし、そのうち禁煙の意思を示した人は12.9%と少なく、COPDの恐ろしさに対する理解が十分でないことも明らかになった。 また、35歳以上の高リスク層も併せた上でチェック後に呼吸器科専門医のリストを提示し、実際の受診率についても調査した。(調査依頼数1,254名、有効回答数182名)その結果、12%がチェック後に専門医の受診をしており、「これから受診したい」と回答した60%を含めると、72%がチェック後の受診に対して前向きな姿勢を示していることもわかった。 詳細はプレスリリースへhttp://www.plusr.co.jp/news/20100525.html

2007.

ワクチンで予防できる唯一のがん?

2010年4月22日、星陵会館(東京都千代田区)において自民党ワクチン政策に関する議員連盟主催の「子宮頸がんを撲滅するためのワクチン普及に向けたシンポジウム」が開催された。自治医科大学附属さいたま医療センター産科婦人科教授の今野良氏は基調講演に登壇し、子宮頸がんの病態、ワクチンによる予防とその普及における問題点について語った。今野氏はまず、わが国における子宮頸がんを取り巻く状況を話題とした。子宮頸がんは検診などで早期に発見できれば、前がん病変である異形成の段階(0期)で円錐切除術を行って妊孕性を保つことや、子宮全摘術、場合によっては円錐切除術により根治が可能である。子宮頸がんのリスクファクターには免疫低下状態や喫煙などがあるが、検診を受けないことも問題である。30年前、日本は子宮頸がん検診の先進国であったが、現在の受診率は欧米と比較すると極めて低い。検診受診率が常に低い国では子宮頸がん発生率が年齢とともに増加する傾向があるが、現在のわが国の発生ピークはおよそ35歳であり、30年前の受診率の高さが40代以上の女性における発生率の低さに寄与しているのだろうとのことである。また、20~30代の発生率上昇に伴い、死亡率も上昇傾向にある。一方、子宮頸がんの自然史はかなり解明されており、発生原因の多くはヒトパピローマウイルス(HPV)感染によることがすでに明らかとなっている。HPVは性交渉で感染し、女性の8割に感染歴があるとされるがほとんどは一過性であり、持続感染した場合に子宮頸がん発生のリスクとなる。タバコは肺がん発生のリスクを10倍高めるとされているが、ハイリスクのHPVである18型は子宮頸がんのリスクを500倍以上高めるという報告があり、がんの中でも抜きん出て相関が強いといえる。これらを踏まえ、初のがん特異的予防ワクチンとして、HPVワクチンが開発された。HPVのタイプは多様であり、現在のワクチンは子宮頸がんの原因として最も高頻度に発見されている16型と前述の18型の感染を予防するものである。このワクチンを性活動前の女性に接種したところ、約70%の子宮頸がん予防効果がみられた。加えて今野氏は、検診受診率の高い国では子宮頸がん発生率が低いというデータを示しながら、ワクチンによる一次予防(対象は11~14歳女児)と、二次予防としての定期的な検診で子宮頸がんはほぼ撲滅できると述べた。2009年4月のWHO Position Paperにおいては、「HPV関連疾患が公衆衛生上重要である」ことと「国家的なHPVワクチン組み込みを推奨する」ことが明記されている。また、わが国の12歳女児全員にワクチンを3回接種した場合の試算では、ワクチンの総費用は約210億円となる。対して、治療費は約170億円が節減でき、約230億円の労働損失額を加えると約400億円を抑えられ、全体では約190億円の費用削減となるため、医療経済的には便益がコストを上回るとのことである。今野氏は、国を上げて国民の意識を高めている事例として、イギリスでテレビ放送されている子宮頚がんワクチンの啓発コマーシャルを紹介し、本講演を終えた。(ケアネット 板坂 倫子)

2008.

非小細胞肺がん、術後補助化学療法の有効性を確認:2つのメタ解析から

切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)に対して切除術後あるいは切除術+放射線療法後に補助化学療法を行うと、これを施行しない場合に比べ放射線療法の有無にかかわらず5年生存率が改善されることが、イギリス医学研究評議会(MRC)臨床試験ユニットのSarah Burdett氏らNSCLCメタ解析共同研究グループの検討で示された。毎年約150万人が肺がんを発症し、その約85%がNSCLCだが、治癒切除が可能なのは20~25%にすぎない。同研究グループの以前の検討ではシスプラチンベースの術後補助化学療法が生存期間を延長する傾向が示された(ハザード比:0.87、95%信頼区間:0.74~1.02、p=0.08)が、切除術+放射線療法後の補助化学療法の価値は明確ではないという。Lancet誌2010年4月10日号(オンライン版2010年3月24日号)掲載の報告。個々の患者データに基づく2つのアプローチに関するメタ解析研究グループは、早期NSCLCにおける手術後あるいは手術+放射線療法後の補助化学療法の有効性を確立するために、これら2つのアプローチについて包括的な系統的レビューとメタ解析を行った。解析の対象となったのは、1965年1月1日以降に開始された手術→化学療法と手術単独、あるいは手術+放射線療法→化学療法と手術+放射線療法を比較した試験で、2群間に追加治療による交絡がない無作為化試験とした。各試験に登録された個々の患者の最新のデータを収集して照合し、試験ごとに層別化したメタ解析を実施した。無作為割り付けから全原因による死亡までの期間を全生存期間と定義し、これを主要評価項目とした。両アプローチとも、化学療法追加で5年生存率が有意に改善手術→化学療法と手術単独のメタ解析の対象となったのは34試験(そのうち18試験が日本の研究)、8,447例(3,323例が死亡)であった。5年生存率は、手術単独群の60%から補助化学療法群では64%へ上昇し、絶対値で4%[95%信頼区間(CI):3~6%]、ハザード比(HR)で14%改善された(HR:0.86、95%CI:0.81~0.92、p<0.0001)。手術+放射線療法→化学療法と手術+放射線療法のメタ解析の対象は13試験(日本の研究は1試験)、2,660例(1,909例が死亡)であった。5年生存率は、手術+放射線療法群の29%から補助化学療法群では33%へ上昇し、絶対値で4%(95%CI:1~8%)、ハザード比で12%の改善が得られた(HR:0.88、95%CI:0.81~0.97、p=0.009)。いずれのメタ解析でも、化学療法のレジメンやタイミング、手術の範囲、患者背景、サブグループの違いによる効果の変動は認められなかった。著者は、「切除可能NSCLCに対する手術あるいは手術+放射線療法のいずれのアプローチでも、補助化学療法の追加によって生存率が改善される」と結論している。また、「化学療法の効果は毒性とのバランスを考慮する必要があるが、本試験では毒性の評価はできない。併存疾患についても、それがみられないか、または軽度の患者を対象としているため評価できない」とし、「以前のメタ解析では術後放射線療法はむしろ生存率を低下させることが示されているが、使用された治療技術は旧来のものであった。今回の試験は術後放射線療法を評価するようにはデザインされていない。今後、最新技術を用いた放射線療法の、術後補助化学療法としての有用性を評価する無作為化試験を行う必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

2009.

学歴差による死亡格差が年々広がっている、原因は?

平等・非平等主義社会を問わず欧米各国で、受けた教育レベルの違いによる死亡率の差が拡大しているとの報告がされている。平等主義を掲げる福祉国家モデルとされるノルウェーではどうなのか。格差の現状と、これまでの調査ではほとんど行われていない長期動向調査が、ノルウェー国立衛生研究所疫学部門のBjorn Heine Strand氏らにより行われた。1960~2000年にかけての同国中高年を対象とした原因別死亡率を追跡する前向き研究で、学歴差による死亡率の差、またその差をもたらしている主な原因について調査が行われた。BMJ誌2010年3月13日号(オンライン版2010年2月23日号)掲載より。40年間でどの学歴群も死亡率は低下したが……研究グループは、1960年、1970年、1980年、1990年時点で45~64歳だった4コホートを、それぞれ10年間にわたって追跡した。追跡期間中、死亡者数は35万9,547例、3,290万4,589人・年分のデータが得られた。主要評価項目は、「全死因死亡」「肺・気管・気管支がんに起因する死亡」「その他のがん」「心血管疾患」「自殺」「外因」「慢性下気道疾患」「その他の原因による死亡」とした。受けた教育のレベル(低・中・高学歴)の違いによる死亡率の差を、絶対指数・相対指数で求め検討した。結果、死亡率は1960~2000年にかけて、いずれの学歴群でも低下していた。また同40年間で、成人に占める低学歴群の人は激減していた。しかし、低学歴群の死亡率は相変わらず他の学歴群よりも高く、また同期間で高学歴群の死亡率がより低下したため、学歴の違いによる死亡率の差は広がっていた。絶対指数でみた低学歴群の死亡率と高学歴群の死亡率差(傾斜指数)は、40年間で男性は2倍に(105%増)、女性は3分の1の増加(32%増)していた。相対指数でみると、死亡率差は、男性は1.33から2.24(P=0.01)に、女性は1.52から2.19(P=0.05)へと広がっていた。男性は心血管系と呼吸器系、女性は呼吸器系が格差の要因男性における格差拡大は、主に「心血管疾患」「肺がん」「慢性下気道疾患」が原因だった。女性の格差拡大の原因は、主に「肺がん」「慢性下気道疾患」にあった。また女性では男性と異なり、心血管系に起因する死亡率の格差は縮まっていた。一方で、喫煙が関連していると思われる慢性下気道疾患が格差拡大に寄与していた。研究グループは、「平等主義を掲げる福祉国家ノルウェーだが、学歴差による死亡格差は、1960年~2000年の40年間で大幅に拡大していた」と結論。「我々の調査は、次の主張に対するエビデンスを示したと言える。すなわち、平等主義を掲げた社会政策だけでは死亡格差をなくすことはできないこと、教育レベルの違いによると思われる生活習慣の違いが問題であるということだ」と報告をまとめている。

2010.

社会経済的格差が、国民のがん治療格差をもたらしている:英国

英国で2000年に公表された「NHS Cancer Plan」は、英国社会全体の、がん治療アウトカムの向上と健康格差を是正するため、医療サービスへのアクセスの平等を図ることを目的に作成されたものである。ロンドン大学校疫学・公衆衛生部門のRosalind Raine氏らのグループは、その導入効果を評価するため、がん患者の救急入院と選択的入院、大腸がん、乳がん、肺がんの外科手術の種類が、社会経済的要因、年齢、性別、入院年によってどのように変動したかを調査した。BMJ誌2010年2月6日号(オンライン版2010年1月14日号)より。衰退が進む地域の女性、高齢者ほどがん救急入院率が高い研究グループは、1999年4月1日から2006年3月31日までの病院症例統計(HES)の患者個人データを基に、反復横断研究を行った。症例対象は大腸がん、乳がん、肺がんの診断で入院治療を受けた50歳以上の患者56万4,821例。主要評価項目は、救急入院した患者の比率と、推奨手術治療を受けた患者の割合とした。結果、がん救急入院率が、社会経済的に衰退傾向が進む地域の住民、女性、高齢者で高い傾向にあることが明らかになった。たとえば乳がんに関する救急入院率は、地域衰退指数(Index of Multiple Deprivation、5段階評価)が最低の地域(衰退が進んでいない地域)と最高地域(衰退が進む地域)との補正オッズ比が、0.63(95%信頼区間:0.60~0.66)だった。また肺がんに関する救急入院率で、50~59歳群と比べて80~89歳群の補正オッズ比は3.13(同:2.93~3.34)に上った。この年齢層による差異は、年々改善している傾向はみられたが、衰退が進む地域の患者については、改善傾向はみられなかった。衰退が進む地域の患者ほど、がん推奨手術を受けていないさらに、衰退指数が高い地域の患者ほど、大腸がん、乳がん、肺がんで推奨される手術を受けていないことが認められた。またその傾向が、改善してきている傾向は認められなかった。たとえば、大腸がんで前方切除術を受けていた割合は、衰退指数が最低地域では75.5%(4,497/5,959例)だったのに対し、最高地域では67.4%(3,529/5,237例)で、オッズ比1.34(95%信頼区間:1.22~1.47)の差があった。乳がんで乳房温存手術を受けていた割合は、衰退指数が最低地域では63.7%(18,445/28,960例)だったのに対し、最高地域では54.0%(11,256/20,849例)で、オッズ比は1.21(同:1.16~1.26)だった。また男性は女性と比べて前方切除術や肺がん切除術を受けている割合が低く、高年齢層ほど乳房温存手術と肺がん切除を受けている割合が低かった。たとえば、肺がん切除の場合、50~59歳群と比べて80~89歳群の補正オッズ比は、0.52(95%CI 0.46~0.59)。これらから研究グループは、「NHS Cancer Plan実行にもかかわらず、国民の医療サービスへのアクセスおよびケア供給いずれにも、社会経済的要因がいまだに強い影響をおよぼしている」と報告をまとめている。

2011.

肺がん診断後の禁煙により予後が改善

早期肺がんの診断後に禁煙を開始すると、喫煙を継続した場合に比べ65歳以上の患者の予後が改善することが、イギリス・バーミンガム大学タバココントロール研究センターのA Parsons氏らによる系統的なレビューで示された。喫煙は原発性肺がん発症のリスク因子であり、生涯喫煙者は生涯非喫煙者の20倍のリスクを有するとされる。一方、肺がんと診断されたのちの禁煙が予後に及ぼす影響については明らかにされていなかった。BMJ誌2010年1月30日号(オンライン版2010年1月21日号)掲載の報告。肺がん診断後の禁煙が予後に及ぼす影響を評価した試験を系統的にレビュー研究グループは、原発性肺がん診断後の禁煙が予後に及ぼす影響のエビデンスについて系統的レビューを行った。データベース(CINAHL、Embase、Medline、Web of Science、CENTRAL)を用い、発症時の病期や腫瘍の組織像にかかわらず、肺がん診断後の禁煙が予後に及ぼす影響を評価した無作為化対照比較試験および縦断的観察研究を抽出し、各論文に掲載された文献リストの論文にもあたった。2名の研究者が別個に個々の論文をレビューし、適格基準を満たす試験を選択した。変量効果モデルを用いて各試験のデータを統合し、不均質性の評価にはI2 statisticを使用した。このレビューで得られた診断後の喫煙継続者と禁煙者の死亡率に基づいて生命表をモデル化した。これを用いて早期非小細胞肺がんおよび限局型小細胞肺がんの5年生存率を推算した。非小細胞肺がん、限局型小細胞肺がんとも、5年生存率が2倍以上に解析の対象となった10試験のうち9試験では、ほとんどの患者が早期肺がんと診断されていた。早期非小細胞肺がんでは、診断後も喫煙を継続した患者の全死亡率は禁煙した場合の約3倍であり(ハザード比:2.94)、再発率は約2倍(同:1.86)に達した。限局型小細胞肺がんでは、全死亡率が約2倍(ハザード比:1.86)、2次原発がんの発現率が4倍以上(同:4.31)、再発率が約1.3倍(同:1.26)であった。非小細胞肺がんにおいて、禁煙ががん特異的死亡率や2次原発がんの発現に及ぼす影響を解析した試験はなかった。得られたデータに基づいてモデル化した生命表では、65歳以上の非小細胞肺がんの場合、喫煙を継続した患者の5年生存率が33%であったのに対し、禁煙した患者では70%に達した。限局型小細胞肺がんの5年生存率は、喫煙者の29%に対し禁煙者は63%であった。著者は、「早期肺がんの診断後の禁煙は予後を改善することが示唆された」と結論し、「生命表では、禁煙の肺がん抑制効果によって防止された死亡の予測値が、禁煙の心呼吸器疾患の抑制効果で防止された死亡の数よりも大きかったことから、禁煙のベネフィットは主にがんの進行の抑制によるものと考えられる。早期肺がんが見つかった場合は禁煙を勧めるべきであろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

2012.

CTを用いた肺がん検診で肺がんをどこまで見つけられるか

解像度の高いマルチスライス・コンピューター断層撮影(CT)の、肺がんリスクの高い人への肺がんスクリーニング活用で、非石灰化肺結節が見つかる機会が増えている。しかし、そうした場合に臨床家が取るべき最善の行動指針(有病誤診率を増すことなく安価で手間のかからないフォローアップのあり方)に関しては明確になっておらず、各国で無作為化試験による模索が進められている。オランダ・エラスムス医療センターのRob J. van Klaveren氏らは、同国で行われている無作為化試験「NELSON」について、さらに詳細な基準(非石灰化肺結節の体積と体積倍加時間)規定のための無作為化試験評価を行い発表した。NEJM誌2009年12月3日号報告より。非石灰化肺結節の体積と体積倍加時間を評価Klaveren氏らは、全体で7,557例の参加者を、第1回CTスクリーニング(基線試験)、第2回CTスクリーニング(第1回後1年後に実施)、第3回CTスクリーニング(第2回後2年後に実施)に無作為化した試験を行った。被験者は、第1回で非石灰化肺結節発見有無にかかわらず最終的に肺がんと診断されなかった場合は、2回目以降にも参加した。本試験で評価したのは、非石灰化肺結節の体積と体積倍加時間で、2回のCT検査の間に体積が25%以上増加した場合、増大したと定義した。第1回CTスクリーニングでは、結節が見つかった場合も50立方mm未満なら陰性と診断され、50~500立方mmでも3ヵ月後のフォローアップCTで増大していなかったら陰性と、さらに増大していた場合でも体積倍加時間が400日以上である場合は陰性と診断された。その結果、陽性だったのは2.6%(196例)だった。なお最終的に肺がんと診断されたのは0.9%(70例)。第2回CTスクリーニング(7,289例が参加)では、陽性との診断に至ったのは1.8%(128例)だった。陰性で2年後に肺がんが見つかるのは3/1,000第1回CTスクリーニングの精度は94.6%(95%信頼区間:86.5~98.0)、陰性検出率は99.9%(同:99.9~100.0)だった。第1回CTスクリーニングの結果、陰性だった7,361例の被験者のうち、フォローアップ2年後に行ったCTスキャンで20例に肺がんが検出された。Klaveren氏は、1回目のCTスクリーニングで陰性だった人で、1年後に肺がんが見つかる可能性は1/1,000、2年後に見つかる可能性は3/1,000だったと報告している。(医療ライター:朝田哲明)

2013.

葉酸、ビタミンB12の摂取はがん・総死亡率などを増加:ノルウェー虚血性心疾患患者調査

 ノルウェーの虚血性心疾患患者を対象に行った調査で、葉酸とビタミンB12の摂取ががんの発症率・死亡率と、総死亡率の増加につながることが報告された。これまでの研究で、葉酸摂取と大腸がんリスク増加との関連は示されていたが、他のがんとの関連は明らかにされていない。報告はノルウェーHaukeland大学病院心臓病部門のMarta Ebbing氏らの調べによるもので、JAMA誌2009年11月18日号で発表された。なおノルウェーでは、葉酸を強化した食品は販売されていないという。葉酸投与を受けた人の葉酸血中濃度は6倍に 研究グループは、1998~2005年にかけて行われたビタミンB摂取を伴うがん治療の影響を評価した2つの無作為化プラセボ対照二重盲検試験について、分析を行った。被験者は、葉酸(0.8mg/日)とビタミンB12(0.4mg/日)とビタミンB6(40mg/日)を投与された人が1,708人、葉酸(0.8mg/日)とビタミンB12(0.4mg/日)投与が1,703人、ビタミンB6(40mg/日)のみ投与が1,705人、プラセボ群が1,721人だった。結果、試験期間中に葉酸を投与された被験者の血中葉酸値の中央値は、6倍に増大した。葉酸+ビタミンB12を投与した群の肺がん罹患率が増加 中央値39ヵ月の治療期間と、同38ヵ月の観察期間の後、がんの診断を受けたのは、葉酸+ビタミンB12を投与した2つの群の341人(10.0%)だったのに対し、葉酸を投与しなかった2つの群では288人(8.4%)に留まった(ハザード比:1.21、95%信頼区間:1.03~1.41、p=0.02)。 がんで死亡した人は、葉酸+ビタミンB12を投与した2群の136人(4.0%)に対し、葉酸を投与しなかった2群では100人(2.9%)だった(ハザード比:1.38、同:1.07~1.79、p=0.01)。 総死亡率について見てみると、葉酸+ビタミンB12を投与した2群のうち死亡したのは548人(16.1%)だったのに対し、葉酸を投与しなかった2群では473人(13.8%)だった(ハザード比:1.18、同:1.04~1.33、p=0.01)。 こうした結果の主な原因は、葉酸+ビタミンB12を投与した群の肺がん罹患率の増加だった。なお、ビタミンB6群については、がんアウトカムや死亡率に有意な差は見られなかった。

2014.

「アバスチン」、非小細胞肺がんに対する効能・効果、用法・用量の追加承認取得

中外製薬株式会社は9日、抗VEGFヒト化モノクローナル抗体ベバシズマブ(遺伝子組換え)-販売名『アバスチン点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL』について、6日に厚生労働省より「扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する効能・効果および用法・用量の追加に関する承認を取得したと発表した。「アバスチン」は、米国では2006年10月、欧州では2007年8月に扁平上皮がんを除く進行性非小細胞肺がんに対する一次治療として承認され、海外の治療ガイドラインにも化学療法との併用での使用が推奨されている。日本での今回の承認により、結腸・直腸がんに引き続き扁平上皮がんを除く進行・再発の非小細胞肺がんにおいても日・米・欧三極での使用が可能となった。同社による厚生労働省への承認申請は2008年11月に行われ、申請資料として海外で実施された第II相および第III相臨床試験、国内で実施された第II相臨床試験の成績等が提出された。海外で実施された二つの比較試験では、プラチナ製剤をベースとした標準的な化学療法に「アバスチン」を併用することで、扁平上皮がんを除く未治療の進行・再発の非小細胞肺がんの患者の全生存期間および/または無増悪生存期間を、標準的な化学療法と比較して統計学的に有意に延長することが示された。国内第II相臨床試験においても、標準的な化学療法(カルボプラチンとパクリタキセルの併用療法)に「アバスチン」を併用することで、無増悪生存期間が統計学的に有意に延長するなど、海外臨床試験と同様な結果が報告され、日本人における「アバスチン」の有用性が示されたという。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeHeader.jsp;jsessionid=FRBNZFANZLRWICSSUIHSFEQ?documentId=doc_16373&lang=ja

2015.

ペメトレキセドによる維持療法、進行非小細胞肺がんに対する有用性を確認

進行非小細胞肺がんに対するペメトレキセド(商品名:アリムタ)による維持療法は良好な耐用性を示し、プラセボに比べ無進行生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に改善することが、ルーマニアIon Chiricutaがん研究所のTudor Ciuleanu氏らが実施した無作為化第III相試験で明らかとなった。ペメトレキセドは葉酸代謝拮抗薬であり、欧米ではシスプラチンとの併用で悪性胸膜中皮腫の1次治療として、単剤で非扁平上皮型の進行非小細胞肺がんの2次治療として、またシスプラチンとの併用で非扁平上皮型の進行非小細胞肺がんの1次治療として承認されている。本試験は2009年米国臨床腫瘍学会(ASCO)で最終報告が行われ、注目を集めた。Lancet誌2009年10月24日号(オンライン版2009年9月20日号)掲載の報告。20ヵ国83施設が参加した二重盲検無作為化第III相試験研究グループは、進行非小細胞肺がんに対するペメトレキセドを用いた維持療法の有効性および安全性を評価する二重盲検無作為化第III相試験を行った。20ヵ国83施設から、1次治療としてプラチナ製剤ベースの2剤併用療法を4コース施行後に増悪が見られなかったIIIB/IV期病変を有する663例が登録された。これらの患者が、21日を1コースとしてペメトレキセド500mg/m2(第1日)+対症療法(BSC)を施行する群(441例)あるいはプラセボ+BSCを施行する群(222例)に無作為に割り付けられた。治療は病勢が進行する(PD)まで継続することとした。患者と研究者には治療の割り付け情報は知らされなかった。全例にビタミンB12、葉酸、デキサメタゾンが投与された。主要評価項目はPFS、副次評価項目はOSとし、intention-to-treat解析を行った。PFSが1.7ヵ月、OSは2.8ヵ月延長、特に非扁平上皮がんで優れる無作為割り付けされた全例が解析の対象となった。PFSは、ペメトレキセド群が4.3ヵ月と、プラセボ群の2.6ヵ月に比べ有意に優れた(ハザード比:0.50、p<0.0001)。OSはそれぞれ13.4ヵ月、10.6ヵ月であり、ペメトレキセド群で有意に延長した(ハザード比:0.79、p=0.012)。薬剤関連毒性による治療中止率は、ペメトレキセド群が5%(21/441例)と、プラセボ群の1%(3/222例)に比べ多かった。薬剤関連のgrade 3以上の毒性は、それぞれ16%(70/441例)、4%(9/222例)であり、ペメトレキセド群で有意に頻度が高かった(p<0.0001)。特に、ペメトレキセド群で疲労感[5%(22/441例) vs. 1%(1/222)、p=0.001]と好中球減少[3%(13/441例) vs. 0%、p=0.006]が有意に高頻度に見られた。ペメトレキセドによる治療関連死は認めなかった。治療中止後の後治療としての全身療法の施行率は、ペメトレキセド群が51%(227/441例)と、プラセボ群の67%(149/222例)に比べ有意に低かった(p=0.0001)。著者は、「進行非小細胞肺がんに対するペメトレキセドによる維持療法は良好な耐用性を示し、プラセボに比べPFS、OSを有意に改善した」と結論している。また、組織型によるサブ解析では扁平上皮がんに比べ非扁平上皮がん(特に腺がん)でPFS、OSが有意に優れたことをふまえ、「本療法は、初回導入療法後に病勢が進行しなかった非扁平上皮型の進行非小細胞肺がんに対する新たな治療選択肢となるだろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

2016.

併用ホルモン補充療法は閉経後女性の肺がん死を増やす:WHI試験の事後解析

閉経後女性に対するエストロゲンとプロゲスチンの併用ホルモン補充療法は、肺がんの発症率には影響しないが、肺がん死を増加させることが、アメリカHarbor-UCLA医療センターLos Angelesバイオメディカル研究所のRowan T Chlebowski氏らが行ったWomen’s Health Initiative(WHI)試験の事後解析で示された。併用ホルモン補充療法は骨折や結腸・直腸がんのリスクを減少させるものの、心血管疾患、冠動脈心疾患、脳卒中、静脈血栓塞栓症、乳がんのリスクを増大させることがわかったため、WHI試験は早期中止となっている。Lancet誌2009年10月10日号(オンライン版2009年9月20日号)掲載の報告。肺がん診断女性をフォローアップ期間終了後も追跡した事後解析WHI試験では、プラセボ群よりもエストロゲン+プロゲスチン併用ホルモン補充療法群で発がんリスクが高く、肺がん死が増加する可能性が示唆されたことから、研究グループは、試験期間中に肺がんと診断された女性をフォローアップ期間終了後も追跡して事後解析を行った。WHI試験は、アメリカの40施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化試験。1993~98年に、50~79歳の子宮を切除していない閉経後女性16,608例が、結合型ウマエストロゲン0.625mg+酢酸メドロキシプロゲステロン2.5mg(合剤)を1日1回投与する群(8,506例)あるいはプラセボ群(8,102例)に無作為に割り付けられた。試験期間中および追加フォローアップのデータを用いて、全肺がん、小細胞肺がん、非小細胞がんの発症率および死亡率についてintention-to-treat解析を行った。年間肺がん発症率:0.16% vs. 0.13%、年間肺がん死亡率:0.11% vs. 0.06%平均試験期間5.6年および平均追加フォローアップ期間2.4年の時点で肺がんと診断された女性は、併用ホルモン補充療法群が109例(年間発症率:0.16%)、プラセボ群は85例(同:0.13%)であり、両群間に差は見られなかった(ハザード比:1.23、p=0.16)。非小細胞肺がんの発症率も、併用ホルモン補充療法群は96例(年間発症率:0.14%)、プラセボ群は72例(同:0.11%)と、両群で同等であった(ハザード比:1.28、p=0.12)。年間肺がん死亡率は併用ホルモン補充療法群(73例、0.11%)がプラセボ群(40例、0.06%)よりも有意に高く(ハザード比:1.71、p=0.01)、その原因は主に非小細胞肺がんによる死亡率の差[62例(0.09%)vs. 31例(0.05%)、ハザード比:1.87、p=0.004]であった。小細胞肺がんの発症率および死亡率は両群で同等であった。著者は、「エストロゲンとプロゲスチンの併用ホルモン補充療法は、閉経後女性の肺がん発症率には影響しないが、特に非小細胞肺がんによる死亡率を増加させる」と結論し、「これらの知見は、併用ホルモン補充療法を考慮中の女性(肺がんリスクの高い女性の場合は特に)とそのリスク/ベネフィットについて話し合う際に取り入れるべきである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

2017.

膵臓がんにおけるafliberceptの第III相試験を中止

サノフィ・アベンティス株式会社は17日、仏サノフィ・アベンティス社と米Regeneron社が、独立データモニタリング委員会(IDMC:Independent Data Monitoring Committee)の勧告に基づき、膵臓がんにおける第一選択薬としてのaflibercept(VEGF Trap)とゲムシタビンの併用をプラセボと比較評価する第III相試験(VANILLAスタディ)の中止を発表したと報告した。予定されていた有効性に関する中間解析の一環として、独立データモニタリング委員会は、同スタディでゲムシタビンにafliberceptを追加しても、主要評価項目である全生存期間に関し、プラセボとゲムシタビンの併用と比較して統計的有意な改善は得られないと判断。Aflibercept併用群で報告された副作用の種類と頻度は、おおむね予測どおりだったという。試験の終了に伴い、有効性と安全性の結果に関する詳細な解析が両社によって行われる予定。この結果は、今後の医学会で発表される。なお、以下の3件の第III相試験は継続され、現時点でそれぞれ70%以上の登録が達成されている。●VELOURスタディ:転移性結腸直腸がんの第二選択薬(フルオロウラシル・ロイコボリン・イリノテカン(FOLFIRI)との併用)●VITALスタディ:非小細胞肺がんの第二選択薬(ドセタキセルとの併用)●VENICEスタディ:ホルモン治療抵抗性転移性前立腺がんの第一選択薬(ドセタキセルおよびプレドニゾンとの併用)詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/059895E7-B551-4376-BAF8-391F4C12FC33.pdf

2018.

進行がん患者への緩和ケア、QOLと患者の心的状態を改善

進行がん患者に対し、心理教育的な緩和ケアを提供することで、患者の生活の質(QOL)や心的状態を改善する効果があることが、無作為化試験の結果明らかになった。一方で、症状の程度や入院期間などに対する効果は、認められなかった。進行がん患者に対する、緩和ケアの効果について行った無作為化試験は珍しいという。米国Dartmouth Hitchcock Medical CenterのMarie Bakitas氏らが、300人超の進行がん患者を対象に行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2009年8月19日号で発表した。専門の看護師主導で、当初4回、その後毎月電話でフォローアップBakitas氏らは、2003~2008年にかけて、進行がんの診断を受けて間もない322人の患者を無作為に2群に分け、一方には緩和ケアと通常の治療を、もう一方には通常の治療のみを行った。被験者の内訳は、消化器がん41%、肺がん36%、尿路性器がん12%、乳がん10%となっており、緩和ケア群、対照群に均等に割り付けられた。緩和ケアは、訓練を受けた看護師主導で行われ、患者の活動や自己管理、啓発を促す教育セッションを、当初は4回、その後毎月1回電話によるフォローアップを行った。QOLとうつ状態のスコアが有意に改善緩和ケア群のスコアから対照群のスコアを引いた、治療効果について見てみると、QOLは平均4.6(標準偏差:2、p=0.02)、うつ状態は平均-1.8(同:0.81、p=0.02)と、ともに有意に改善していた。一方、症状の程度は平均-27.8(同:15、p=0.06)と有意差は見られなかった。また、入院や集中治療室(ICU)の滞在日数、病院の救急治療部への診察回数などは、両群で有意差がなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

2019.

化学療法+放射線療法は、ステージIIIA(N2)非小細胞肺がん患者の治療オプション

ステージIIIA(N2)非小細胞肺がん患者の治療として、化学療法+放射線療法は、外科的切除(望ましいのは肺葉切除)の有無にかかわらず「選択肢の1つである」との報告が、米国シカゴ・ロヨラ大学のKathy S Albain氏らにより発表された。本療法をめぐっては、第2相無作為化試験(化学療法+放射線療法後の切除)で生存率が有望視される結果が得られていた。その結果を踏まえAlbain氏らは、切除ありと切除なしの比較を検討する第3相無作為化試験を行った。本報告は、Lancet2009年8月1日号(オンライン版2009年7月27日号)にて掲載されている。化学療法+放射線療法を受けた患者を2グループ(切除有・無)に分け全生存期間検証第3相試験は教育病院および地域の病院で行われ、ステージT1-3pN2M0非小細胞肺がん患者が1対1の割合で、2群(グループ1、グループ2)に無作為化され実行された。グループ1に割り付けられた患者は202例(平均年齢59歳、範囲:31~77歳)、グループ2は194例(平均年齢61歳、範囲:32~78歳)だった。両群患者には、導入化学療法として2サイクルの、シスプラチン(商品名:ブリプラチン、ランダ)50mg/m(2)を1、8、29、36日目に投与とエトポシド(商品名:ベプシド、ラステット)50mg/m(2)を1~5、29~33日に投与。加えて、放射線療法(45Gy)が行われた。進行が認められない場合、グループ1の患者には切除術が行われ、グループ2の患者には最大61Gyの放射線療法が行われ、さらに2サイクルのシスプラチン投与とエトポシドが両群ともに投与された。主要エンドポイントは、全生存期間。intention to treat解析にて行われた。治療オプションとなるが、患者にはリスクとベネフィットをきちんと伝えることが必要全生存期間中央値は、グループ1は23.6ヵ月(IQR:9.0、非到達)、グループ2は22.2ヵ月(範囲:9.4~52.7ヵ月)で、ハザード比は0.87(95%信頼区間:0.70~1.10、p=0.24)だった。5年生存者は、グループ1は37例(推定27%)、グループ2は24例(同20%)で、オッズ比は0.63(95%信頼区間:0.36~1.10、p=0.10)だった。開胸時N0状態での全生存期間中央値は、34.4ヵ月だった(IQR:15.7、非到達、5年生存者19例・41%)。無進行生存期間(PFS)は、グループ1のほうが勝っていた。グループ1のPFSは12.8ヵ月(範囲:5.3~42.2)、グループ2は10.5ヵ月(同:4.8~20.6)で、ハザード比は0.77(95%信頼区間:0.62~0.96、p=0.017)だった。また、5年無進行患者数は、グループ1は32例(推定22%)、グループ2は13例(推定11%)だった。一方で、化学療法+放射線療法に関連した主なグレード3および4毒性は、好中球減少と食道炎で、グループ1では77件(38%)、グループ2では20例(10%)報告されている。治療と関連がある死亡例は、グループ1では16例(8%)、グループ2では4例(2%)だった。また、予備解析から、全生存期間は、肺切除ではなく肺葉切除を受けた患者のほうが改善されていた。以上から、化学療法+放射線療法は、ステージIIIA(N2)非小細胞肺がん患者の治療オプションとなると結論しているが、「切除を行うべきか否かの結論には長期の検証が必要になる。また前向き試験では切除のアプローチの確認も難しい。患者にはリスクとベネフィットについてきちんと伝える必要がある」と述べている。

2020.

開発中のBIBW 2992、EGFR感受性変異を有する非小細胞肺がん患者を対象に一次治療での第III相試験開始

ドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社は3日、米国/サンフランシスコで実施された第13回世界肺がん学会で、開発中の抗がん剤BIBW 2992(海外での予定製品名:TOVOK)について、上皮成長因子受容体(EGFR)感受性変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、一次治療での第III相試験を開始すると発表した。BIBW 2992はEGFRとHER2(ヒト上皮受容体)の両チロシンキナーゼを不可逆的に阻害する初の経口投与製剤で、NSCLCの適応取得を目的として第III相試験を進めることになった初めての薬剤。BIBW 2992の第III相試験であるLUX-Lung 3試験は、EGFR感受性変異を有するNSCLC患者に、一次治療として投与した場合の有効性と安全性を、現在の標準化学療法(シスプラチン/ペメトレキセド)と比較検討するもの。LUX-Lung臨床試験プログラムでは、現在BIBW 2992のNSCLC患者に対する有効性と安全性を種々の背景のNSCLC患者群で検討する、2つの第III相国際共同試験が進められているとのこと。なお、LUX-Lung 3の開始を発表するのと並行して、同学会にて他の試験で得られたBIBW 2992の臨床成績が新たに発表された。詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/com/Home/Newscentre/pressrelease/news_detail.jsp?paramOid=5468

検索結果 合計:2040件 表示位置:2001 - 2020