血中ビタミンB6とメチオニン値が高濃度だと、肺がんリスクは大幅減少

提供元:ケアネット

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公開日:2010/06/29

 



血中ビタミンB6とメチオニン値が高濃度だと、低濃度の人に比べ、肺がん発症リスクはおよそ半減するようだ。フランスInternational Agency for Research on CancerのMattias Johansson氏らが行ったケースコントロール試験で明らかになったもので、JAMA誌2010年6月16日号で発表した。これまで、ビタミンBのがん発症予防に関する研究は、主に葉酸塩値の大腸がん発症予防効果について行われ、ハイリスク集団についてその抑制効果を前向きに示すことはできなかったという。

肺がん発症の約900人とコントロール群約1,800人を分析




同研究グループは、1992~2000年にかけて、10ヵ国51万9,978人を対象に行った前向きコホート試験、European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)のうち、血液採取データがある38万5,747人について追跡した。

結果、2006年までに肺がんを発症した人は899人いた。そのコントロール群として、国や性別、誕生日、血液採取日をマッチングした1,770人を選び、両群の血中の4種のビタミンB(B2、B6、葉酸塩のB9、B12)とメチオニン、ホモシステイン濃度を調べ、肺がん発症率との関連を分析した。

ビタミンB6濃度の最高四分位範囲の肺がん発症リスク、最低四分位範囲の0.44倍、メチオニンは同0.52倍




喫煙の有無を補正した上で、血中ビタミンB6濃度が最も高い四分位範囲の最も低い同範囲に対する、肺がん発症に関するオッズ比は、0.44(95%信頼区間:0.33~0.60、傾向に関するp<0.000001)だった。また血中メチオニン値の同オッズ比は、0.52(同:0.39~0.69、傾向に関するp<0.000001)だった。

こうした傾向は、喫煙経験のまったくない群、喫煙歴あり群、現喫煙群のいずれにおいても認められ、喫煙が交絡因子ではないことが示された。

血中葉酸塩濃度については、最高四分位範囲の最低四分位範囲に対する同オッズ比が0.68(同:0.51~0.90、傾向に関するp=0.001)だったが、現喫煙群と喫煙歴あり群についてのみ、同傾向が強くみられた。

また、ビタミンB6とメチオニン両値が高いことと肺がん発症リスクの低下との関連が認められた。オッズ比は、全対象では0.41、非喫煙群0.36、喫煙歴あり群0.51、現喫煙歴群は0.42だった。

なお、EPIC試験全体における、10万人当たりの肺がんの年齢調整罹患率は、男性の非喫煙群が6.6、喫煙歴あり群は44.9、現喫煙群が156.1だった。女性の同率はそれぞれ、7.1、23.9、100.9だった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)